(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108976
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】吸水処理材
(51)【国際特許分類】
B01J 20/10 20060101AFI20240805BHJP
E02B 3/04 20060101ALI20240805BHJP
B01J 20/12 20060101ALI20240805BHJP
C04B 38/00 20060101ALI20240805BHJP
C04B 35/14 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B01J20/10 A
E02B3/04 301
B01J20/12 A
C04B38/00 303Z
C04B35/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013674
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】722004104
【氏名又は名称】株式会社ナノジャパン
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(72)【発明者】
【氏名】衣斐 豊祐
(72)【発明者】
【氏名】金子 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 悠吏
【テーマコード(参考)】
2D118
4G019
4G066
【Fターム(参考)】
2D118GA57
4G019FA13
4G066AA22B
4G066AA70B
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA23
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA43
4G066DA07
4G066FA22
(57)【要約】
【課題】優れた多孔質構造を有し、良好な強度と吸水性を備え、環境に優しい吸水処理材を提供することを目的とする。
【解決手段】多孔質構造を含む吸水処理材であって、前記多孔質構造が管状微粒子の一部及び/又は全部によって構成され、前記管状微粒子が側面に前記多孔質構造の細孔を有している吸水処理材は、例えば、盛土、ブロック又はマットなどとして好適に用いられ、特に、防災用の耐震耐越流堤体構造に好適に用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質構造を含む吸水処理材であって、前記多孔質構造が管状微粒子の一部及び/又は全部によって構成されていることを特徴とする吸水処理材。
【請求項2】
前記管状微粒子が側面に前記多孔質構造の細孔を有している請求項1記載の吸水処理材。
【請求項3】
前記細孔の形状が略円柱状又は六角形以上の多角形からなる略多角柱状である請求項2記載の吸水処理材。
【請求項4】
前記細孔の形状が略円柱状である請求項2記載の吸水処理材。
【請求項5】
前記細孔が貫通孔である請求項2記載の吸水処理材。
【請求項6】
前記管状微粒子の平均内径が、5~20μmの範囲内にある請求項1記載の吸水処理材。
【請求項7】
前記管状微粒子の管の開口形状が略円状である請求項1記載の吸水処理材。
【請求項8】
前記細孔の平均孔径が、0.5~2μmの範囲内にある請求項2記載の吸水処理材。
【請求項9】
前記細孔の深さと管の長さの比が、1:10~1:1000の範囲内である請求項2記載の吸水処理材。
【請求項10】
前記管状微粒子の平均粒径が10μm~100μmである請求項1記載の吸水処理材。
【請求項11】
前記管状微粒子が酸化物を主成分として含む請求項1記載の吸水処理材。
【請求項12】
前記酸化物がSiO2を含む請求項11に記載の吸水処理材。
【請求項13】
前記管状微粒子が珪藻土からなる請求項1記載の吸水処理材。
【請求項14】
焼結体である請求項1記載の吸水処理材。
【請求項15】
900℃以上の焼結体からなり、かつ吸水率が20%以上である請求項1記載の吸水処理材。
【請求項16】
前記珪藻土が淡水産珪藻からなる請求項13記載の吸水処理材。
【請求項17】
前記淡水産珪藻がアウラコセイラ属(Aulacoseira)である請求項16記載の吸水処理材。
【請求項18】
吸水処理材を含む製品であって、前記吸水処理材が請求項1記載の吸水処理材を含む製品。
【請求項19】
盛土、ブロック又はマットを含む耐震耐越流堤体構造であって、前記盛土、ブロック又はマットが請求項1記載の吸水処理材を含むことを特徴とする耐震耐越流堤体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水処理材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集中豪雨や台風による河川の氾濫等の洪水で床上、床下浸水して水が引いた後、住宅等の家屋の床下に砂等の粗粒子、汚物等の粗粒懸濁物や、微細な有機汚泥やシルト等の微細懸濁物を含む汚泥水が滞留し、その排除に多大の労力を要している。
【0003】
特許文献1には、毛管吸水吸着作用のある繊維状からなる材料をループパイル状に立体的に植毛することにより形成された繊維群に懸濁物を付着させる付着部が外周表面に形成された通水性の袋状部と、前記袋状部に収納された吸水性樹脂とを有する汚泥水吸収土嚢が、汚泥水の水分や微細有機物やシルト等の微細懸濁物を吸収吸着することが記載されている。しかしながら、吸水性樹脂は、強度が弱く、防災用には適していないという問題があった。また、使用後は、廃棄物の問題が生じ、環境に優しくなく、これら問題を解決することができる方策が待ち望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた多孔質構造を有し、良好な強度と吸水性を備え、環境に優しい吸水処理材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、多孔質構造を含む吸水処理材であって、前記多孔質構造が管状微粒子の一部及び/又は全部によって構成されている吸水処理材が、優れた吸水性、良好な強度及び良好な耐摩耗性等を備えていることを知見し、このような吸水処理材が、上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 多孔質構造を含む吸水処理材であって、前記多孔質構造が管状微粒子の一部及び/又は全部によって構成されていることを特徴とする吸水処理材。
[2] 前記管状微粒子が側面に前記多孔質構造の細孔を有している前記[1]記載の吸水処理材。
[3] 前記細孔の形状が略円柱状又は六角形以上の多角形からなる略多角柱状である前記[2]記載の吸水処理材。
[4] 前記細孔の形状が略円柱状である前記[2]記載の吸水処理材。
[5] 前記細孔が貫通孔である前記[2]記載の吸水処理材。
[6] 前記管状微粒子の平均内径が、5~20μmの範囲内にある前記[1]記載の吸水処理材。
[7] 前記管状微粒子の管の開口形状が略円状である前記[1]記載の吸水処理材。
[8] 前記細孔の平均孔径が、0.5~2μmの範囲内にある前記[2]記載の吸水処理材。
[9] 前記細孔の深さと管の長さの比が、1:10~1:1000の範囲内である前記[2]記載の吸水処理材。
[10] 前記管状微粒子の平均粒径が10μm~100μmである前記[1]記載の吸水処理材。
[11] 前記管状微粒子が酸化物を主成分として含む前記[1]記載の吸水処理材。
[12] 前記酸化物がSiO2を含む前記[11]に記載の吸水処理材。
[13] 前記管状微粒子が珪藻土からなる前記[1]記載の吸水処理材。
[14] 焼結体である前記[1]記載の吸水処理材。
[15] 900℃以上の焼結体からなり、かつ吸水率が20%以上である前記[1]記載の吸水処理材。
[16] 前記珪藻土が淡水産珪藻からなる前記[13]記載の吸水処理材。
[17] 前記淡水産珪藻がアウラコセイラ属(Aulacoseira)である前記[16]記載の吸水処理材。
[18] 吸水処理材を含む製品であって、前記吸水処理材が前記[1]記載の吸水処理材を含む製品。
[19] 盛土、ブロック又はマットを含む耐震耐越流堤体構造であって、前記盛土、ブロック又はマットが前記[1]記載の吸水処理材を含むことを特徴とする耐震耐越流堤体構造。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸水処理材は、優れた多孔質構造を有し、良好な強度と吸水性を備え、環境に優しいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に用いられる吸水処理材の好適な実施態様の一例を模式的に示す図である。
【
図2】実施例における吸水処理材の顕微鏡像(SEM像)を示す。
【
図3】比較例における吸水処理材の顕微鏡像(SEM像)を示す。
【
図4】実施例における吸水処理材の顕微鏡像(SEM像)を示す。なお、顕微鏡像は
図2の吸水処理材の拡大顕微鏡像である。
【
図5】実施例における吸水処理材を含む製品(ブロック)の顕微鏡像(SEM像)を示す。
【
図6】比較例における吸水処理材の顕微鏡像(SEM像)を示す。なお、顕微鏡像は
図3の吸水処理材の拡大顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の吸水処理材は、多孔質構造を含む吸水処理材であって、前記多孔質構造が管状微粒子の一部及び/又は全部によって構成されていれば特に限定されない。「管状微粒子の一部及び/又は全部」とは、前記管状微粒子の一部でも含まれていればそれでよく、破片なども含まれる。前記破片には、通常前記多孔質構造が含まれる。「主成分」とは、前記吸水処理材中の前記管状微粒子の体積比が、0.5以上の割合であればそれでよい。本発明においては、前記吸水処理材中のすべての成分に対する前記管状微粒子の体積比が0.7以上であることが好ましく、0.8以上であるのがより好ましい。
【0011】
前記吸水処理材は、前記管状微粒子を主成分として含むものであればそれでよく、他の多孔質体、バインダーなどの添加剤が含まれていてもよく、具体的に例えば、賦形剤、結着剤又は接着剤等の添加剤などが含まれていてもよい。また、前記細孔の形状が略円柱状又は六角形以上の多角形からなる略多角柱状であるのが好ましく、略円柱状であるのがより好ましい。本発明においては、前記細孔が、貫通孔からなるのが好ましい。また、本発明においては、前記管状微粒子の管の平均内径が、5~20μmの範囲内にあるのが好ましい。なお、前記平均内径は、任意に抽出した10個の吸水処理材の開口の平均値をいう。また、前記開口の形状が、略円状であるのが好ましい。前記細孔の平均孔径が、0.5~2μmの範囲内にあるのが好ましい。なお、前記平均孔径は、任意に抽出した10個の吸水処理材の細孔の孔径の平均値をいう。また、本発明においては、前記管状微粒子の平均粒径が10μm~100μmであるのが好ましい。なお、前記平均粒径は、任意に抽出した10個の粒子の粒径の平均値をいう。このような好ましい範囲によれば、放射性物質、汚物等の粗粒懸濁物や、微細な有機汚泥やシルト等の微細懸濁物を含む汚泥水又は不純物の捕集蓄積機能において、より優れた性能を発揮することができる。
【0012】
前記管状微粒子は、前記管状微粒子の側壁に細孔からなる多孔質構造が形成されていれば特に限定されないが、前記細孔の深さと管の長さの比が、1:10~1:1000の範囲内であるのが好ましく、1:10~1:100の範囲内であるのがより好ましい。前記吸水処理材の好適な態様を
図1に示す。また、
図1は前記吸水処理材における管状微粒子の拡大模式図も併せて示している。
図1の吸水処理材は、前記管状微粒子の集合体であり、
図1には、管状微粒子の拡大模式図において好適な細孔2からなる多孔質構造が示されている。本発明においては、前記管状微粒子の平均粒径が10μm~100μmであるのが好ましく、前記平均粒径は
図1に示される管状微粒子1の粒径d2から算出することができる。例えば、
図1に示される管状微粒子1を任意で10個抽出し、抽出した管状微粒子1の粒径d2の平均値を算出することにより前記平均粒径を求めることができる。また、本発明においては、前記管状微粒子の管の平均内径が、5~20μmの範囲内にあるのが好ましく、前記平均内径は
図1に示される管状微粒子1のd3から算出することができる。例えば、
図1に示される管状微粒子1を任意で10個抽出し、抽出した管状微粒子1のd3の平均値を算出することにより前記平均内径を求めることができる。本発明においては、前記細孔の平均孔径が、0.5~2μmの範囲内にあるのが好ましく、前記平均孔径は
図1に示される管状微粒子1の細孔d1から算出することができる。例えば、
図1に示される管状微粒子1を任意で10個抽出し、抽出した管状微粒子1の細孔d1の平均値を算出することにより前記平均孔径を求めることができる。このような好ましい範囲によれば、捕集蓄積機能をより向上させることができる。
【0013】
前記管状微粒子の構成材料は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、本発明においては、酸化物を主成分として含むのが好ましい。前記酸化物は、SiO2を含むのが好ましく、Al2O3を含むのも好ましい。また、カリウムを含むのも好ましく、このような好ましい範囲によれば、前記吸水処理材を土壌に適用する場合に環境により優しく、また、土壌改良機能及び吸着機能においてより優れた性能を発揮することができる。本発明においては、前記管状微粒子が珪藻土からなるのが好ましい。また、前記管状微粒子が焼結体であるのが好ましい。また、600℃以上(好ましくは、900℃以上)の焼結体からなり、かつ吸水率が20%以上であるのがより好ましい。なお、前記焼成の手段及び順序等は本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の手段等が好適に用いられるが、前記焼成の手段は酸化焼成であっても、還元焼成であってもよいが、酸化焼成であるのがより好ましい。また、前記珪藻土が淡水産珪藻からなるのが好ましく、前記淡水産珪藻がアウラコセイラ属(Aulacoseira)であるのがより好ましい。このような好ましい範囲によれば、捕集蓄積機能だけでなく、強度及び耐摩耗性においてもより優れた性能を発揮することができる。
【0014】
前記吸水処理材は、例えば、アウラコセイラ属(Aulacoseira)の珪藻の化石からなる珪藻土層において多孔質構造を含む原鉱のうち吸水率が80%以上の珪藻土層の区画から、該原鉱を常法に従い取り出し、ついで前記珪藻土に含まれる前記多孔質構造を壊さないように粉砕又は分散させることによって容易に得ることができる。前記粉砕手段は、例えば、ボールミルなどの公知の粉砕手段を用いると、例えば
図3に示すように、前記多孔質構造が壊れてしまうので、本発明においては、磨砕を抑制しながら粉砕を行うのが好ましく、振動と管状微粒子同士の衝突を抑制下における打砕のみによる粉砕手段であるのが好ましい。このような粉砕手段であれば、例えば
図2に示すように、多孔質構造が壊れることなく粉砕することができる。また、本発明においては、前記添加剤をさらに混合してもよいし、混合物をさらに焼成してもよく、これら混合物及び焼結体も本発明の吸水処理材に含まれる。なお、本発明においては、前記焼結体が、前記管状微粒子を600℃以上(好ましくは、900℃以上)で焼成して得られた焼結体であるのが好ましい。このように焼成することにより、機械的特性を良好なものとするのみならず、吸水機能を損なうことなく、例えば、吸水率を20%以上とすることができる。
【0015】
前記吸水処理材はそのままで又はさらに例えばバインダー等の添加剤や水などの溶媒等と混合され、公知の手段を用いて、盛土、ブロック又はマット等の製品とされ得る。また、前記混合手段は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の手段であってよい。なお、このような処理方法も本発明に包含される。前記吸水処理材は、盛土、ブロック又はマット等の製品において、10重量%以上含まれるのが好ましく、このような好ましい範囲によれば、前記捕集蓄積機能をより良好なものとすることができる。
【0016】
前記製品は、吸水処理材を含む耐震耐越流堤体構造用の製品であるのが好ましい。これら好ましい製品は、前記吸水処理材をそのままで用いてもよいし、又は基材として用いて常法に従い製造することが可能である。前記製品としては、例えば、盛土、ブロック又はマットなどが挙げられる。前記盛土は、砂利であってもよいし、砕石であってもよいし、湖畔や貯水池等に設けられる堤防であってもよいし、また、高速道路の造成地のような水辺を伴わない盛土であってよい。前記ブロックとしては、ブロックとしては、例えば、テトラポッド(tertapod)、六脚ブロック(hexaleg block)、中空三角ブロック(tertahedron block)、ハロースクエア(hollow square)又はアーチトライバー(arch tribar)などが挙げられる。前記マットとしては、例えば、ブロックマット、携帯マット又は植生マットなどが挙げられる。
【0017】
また、前記吸水処理材は、再利用品であってもよい。前記吸水処理材を再利用することにより、より環境に配慮したものとすることができる。また、前記吸水処理材は、使用後、土壌改良剤等として再利用することが可能である。使用済み前記吸水処理材を土壌改良剤として再利用する場合には、前記土壌改良剤は、転作障害等を防止したり、土壌中の水分や酸素濃度を調節したりすることができる。
【0018】
本発明の吸水処理材を耐震耐越流堤体構造用ブロックに適用した場合、例えば、芝生等の植物とともに屋上緑化と併用してブロックマットとして用いてもよい。屋上緑化は、芝生及び吸水処理材を含む製品(ブロック)からなっている。また、本発明の製品(ブロック)は、従来品の磁器質ブロックに比べて重量が小さく、耐震耐越流堤体構造を構築する際の負荷を軽減することができるという効果を奏する。また、本発明の吸水処理材を含む製品(ブロック)は、従来品の磁器質ブロックに比べて取り扱い性に優れており、簡便な方法で設置することができる。
【0019】
本発明の吸水処理材を耐震耐越流堤体構造用砂利に適用した場合、土嚢として用いることができる。また、本発明の吸水処理材を含む製品(砂利)は、従来品の砂利に比べて重量が小さく、耐震耐越流堤体構造を構築する際の負荷を軽減することができるという効果を奏する。また、本発明の吸水処理材を含む製品(砂利)は、従来品の砂利に比べて取り扱い性に優れており、簡便な方法で設置することができる。
【実施例0020】
(実施例1)
アウラコセイラ属(Aulacoseira)の珪藻の化石からなる珪藻土層の区画から、珪藻土を取り出し、磨砕しないように打砕のみで粉砕し、ついで水を加えて混合し得られた混合物を成形したのち、600℃以上で焼成することにより、本発明の吸水処理材を得た。得られた吸水処理材の多孔質構造を、顕微鏡(SEM)を用いて観察した。結果を
図2に示す。また、拡大顕微鏡像を
図4に示す。
図2及び
図4の顕微鏡像から明らかなように得られた吸水処理材は、管状微粒子が管状であり、前記管状微粒子の側壁に細孔からなる多孔質構造が形成されていた。また、得られた吸水処理材の吸水率を測定したところ、45%以上の吸水率を有していた。なお、焼成前の珪藻土の吸水率は、80%以上であった。また、比較例として市販されている珪藻土資材を用いて多孔質構造を、顕微鏡(SEM)にて観察したところ、
図3及び
図6に示すように、多孔質構造が壊れており、吸水率も均一ではなく、全体的に本発明の吸水処理材に比べ非常に低く吸水性が悪かった。
【0021】
(試験例1)
試験例1として、実施例1に準じて得られた吸水処理材を含む製品(ブロック)を設置し、製品(ブロック)の表面にセロハンテープを付着させて剥がしたところ、セロハンテープの粘着面に粉が付着していなかった。なお、比較例2として、直径20~50nmのポアを有する珪藻土を含むブロック(市販品)の表面にセロハンテープを付着させて剥がしたところ、セロハンテープの粘着面に粉が付着していた。このような結果から、本発明の吸水処理材を含む製品(ブロック)には優れた耐摩耗性があることがわかった。
【0022】
(試験例2)
試験例2として、実施例1に準じて得られた吸水処理材を含む製品(ブロック)と市販品の珪藻土ブロックとを用いて、地面に載置したブロックに対して、所定の高さから直径5cmの鉄球を落下させた。その結果、市販品の珪藻土ブロックでは、割れが生じた高さでも、実施例品は割れが生じなかった。また、市販品の珪藻土ブロックに、割れが生じた高さから、さらに1m以上高いところから鉄球を落下させても実施例品は割れが生じなかった。このことにより、実施例品は従来の珪藻土ブロックに対して良好な強度を有することがわかった。
【0023】
(試験例3)
試験例3として、実施例1に準じて得られた30cm×30cm×1.2cmの吸水処理材を含む製品(ブロック)と30cm×30cm×1.1cmの市販品の磁器質ブロックとを用いて、それぞれのブロックを水に浸ける前に重量を計測した(w1)。その後、それぞれのブロックを水中に30分間浸漬後、重量計測を行った(w2)。下記式(1)を用いて、吸水率を求めた。なお、下記式(1)において、w1は吸水前のブロックの重量を示し、w2は吸水後のブロックの重量を示す。また、下記式(2)を用いて、1シートあたりの吸水重量を求めた。なお、下記式(2)において、w2は上記と同様であり、w3はブロックの体積を示す。結果を表1に示す。表1に示すように、試験例3の吸水処理材を含む製品(ブロック)の吸水率は29%であり、1シートあたりの吸水重量は2.737g/cm3であった。また、市販品の磁器質ブロックの吸水率は2.4%であり、1シートあたりの吸水重量は4.225g/cm3であった。このことにより、実施例品は従来の磁器質ブロックに対して吸水性により優れていることがわかった。また、重量が非常に軽く、取り扱い性に優れているため、盛土、ブロック又はマットなどを含む耐震耐越流堤体構造としても適している。
【0024】
【0025】
【0026】