(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010898
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】水解性清掃シート
(51)【国際特許分類】
A47L 13/17 20060101AFI20240118BHJP
D21H 17/36 20060101ALI20240118BHJP
D21H 19/34 20060101ALI20240118BHJP
D21H 11/18 20060101ALI20240118BHJP
D21H 15/02 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A47L13/17 A
D21H17/36
D21H19/34
D21H11/18
D21H15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112475
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】592163789
【氏名又は名称】大一紙工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】松田 仁
(72)【発明者】
【氏名】金野 晴男
(72)【発明者】
【氏名】船津 啓
【テーマコード(参考)】
3B074
4L055
【Fターム(参考)】
3B074AA04
3B074AB01
3B074CC03
4L055AA02
4L055AF09
4L055AF10
4L055AF21
4L055AF46
4L055AG04
4L055AG07
4L055AG99
4L055BE10
4L055EA04
4L055EA07
4L055EA11
4L055EA16
4L055EA32
4L055GA29
(57)【要約】
【課題】湿潤強度と水解性とに優れた水解性清掃シートを提供すること。
【解決手段】木材パルプとポリビニルアルコール繊維とを含む原紙シートに、
ホウ酸とアニオン変性セルロースナノファイバーとを含む水性薬液を含浸させてなり、
前記水性薬液中のホウ酸濃度が、2.2重量%以上5.0重量%以下である水解性清掃シート。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材パルプとポリビニルアルコール繊維とを含む原紙シートに、
ホウ酸とアニオン変性セルロースナノファイバーとを含む水性薬液を含浸させてなり、
前記水性薬液中のホウ酸濃度が、2.2重量%以上5.0重量%以下であることを特徴とする水解性清掃シート。
【請求項2】
前記原紙シートを構成する製紙用繊維全体に対する前記ポリビニルアルコール繊維の割合が1.0重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の水解性清掃シート。
【請求項3】
前記アニオン変性セルロースナノファイバーが、酸化セルロースナノファイバーであることを特徴とする請求項1または2に記載の水解性清掃シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水解性清掃シートに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ周辺等の清掃のために、使用後にトイレ等に流して廃棄できる水解性清掃シートが用いられている。水解性清掃シートは、水解性の紙からなる原紙シートに、水、アルコール、抗菌成分、香料等を含む水性薬液が含浸されている。
水解性清掃シートは、拭き取り時に破れない湿潤状態での強度と、トイレ等に流したときに素早く解れてパイプ詰まりを起こさない水解性とが要求される。しかし、湿潤強度が強いということは、繊維間の結合が強くバラバラになりにくいということであり、湿潤強度と水解性とはトレードオフの関係にある。
【0003】
湿潤強度に優れた水解性清掃シートとして、特許文献1には、原紙シートに対して水性薬剤を含浸させた水解性シートであって、水溶性バインダーとセルロースナノファイバーを含有し、水性薬剤が水溶性バインダーと架橋する架橋剤を含んでいる水解性シートの発明が提案されている。
この特許文献1に記載された発明に関し、特許文献1には、セルロースナノファイバーは、乾燥強度は向上させるが湿潤強度は向上させないと考えられていたが、水溶性バインダーと架橋剤と併用することにより水解性シートの湿潤強度を向上させることができた旨が記載されている(特許文献1の段落0013)。
特許文献1には、水溶性バインダーとセルロースナノファイバーと架橋剤を含む実施例の水解性シートと、これらのいずれかを含まない比較例の水解性シートとが製造されており、実施例の水解性シートが、比較例の水解性シートよりも湿潤強度が向上したことが記載されており(表1~4)、また、水溶性バインダーを用いずセルロースナノファイバーと架橋剤のみを含む場合には湿潤強度が向上しなかったことが開示されている(表5)。一方、水解性については、実施例、比較例のシートがいずれもJIS P4501(2006)4.5「ほぐれやすさ」に準じた方法による評価結果が◎(80秒以下)であったことが開示されているのみであり(表1~4)、◎評価のなかでどれが水解性に優れていた/劣っていたかは不明である。しかし、湿潤強度と水解性とはトレードオフの関係にあるという出願時の技術常識に依れば、実施例の水解性シートは、比較例の水解性シートよりも、水解性が低下していると推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、湿潤強度と水解性とに優れた水解性清掃シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
1.木材パルプとポリビニルアルコール繊維とを含む原紙シートに、
ホウ酸とアニオン変性セルロースナノファイバーとを含む水性薬液を含浸させてなり、
前記水性薬液中のホウ酸濃度が、2.2重量%以上5.0重量%以下であることを特徴とする水解性清掃シート。
2.前記原紙シートを構成する製紙用繊維全体に対する前記ポリビニルアルコール繊維の割合が1.0重量%以上10重量%以下であることを特徴とする1.に記載の水解性清掃シート。
3.前記アニオン変性セルロースナノファイバーが、酸化セルロースナノファイバーであることを特徴とする1.または2.に記載の水解性清掃シート。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水解性清掃シートは、湿潤強度に優れながらも、水解性に優れている。本発明の水解性清掃シートは、清掃時に破れにくく衛生的であり、使用後にそのまま排水に流しても詰まりが起こりにくい。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の水解性清掃シートは、木材パルプとポリビニルアルコール繊維(以下、PVA繊維ともいう)とを含む原紙シートに、ホウ酸とアニオン変性セルロースナノファイバーとを含む水性薬液が含浸している。
【0009】
・原紙シート
原紙シートは、少なくとも木材パルプとポリビニルアルコール繊維とを含む。
木材パルプとしては、例えば、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未漂白パルプ(NUKP)、サルファイトパルプなどの化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプなどの機械パルプ等の1種または2種以上を用いることができる。これらの中で、LBKPまたはNBKPを含むことが好ましく、NBKPを含むことがより好ましい。具体的には、全木材パルプに対して、NBKPを50重量%以上含むことが好ましく、70重量%以上含むことがより好ましく、90重量%以上含むことがさらに好ましい。
【0010】
PVA繊維は、製紙材料として用いられている繊維状のものである。PVA繊維は、木材パルプ等の製紙用繊維とともに水に分散されて紙料(スラリー)とされ、抄造されることにより製紙用繊維と絡み合い原紙シートとなる。PVA繊維の繊維幅は、0.5μm以上30μm以下が好ましく、1.0μm以上20μm以下がより好ましい。また、PVA繊維の繊維長は、0.1mm以上30mmが好ましく、0.5mm以上10mm以下がより好ましい。PVA繊維としては、繊維幅、繊維長等の異なる2種以上を用いることもできる。
【0011】
原紙シートは、木材パルプとポリビニルアルコール繊維の他に、非木材パルプ、古紙パルプ、レーヨン繊維、亜麻、ケナフ、楮、三椏などの靭皮繊維、バガス、竹、エスパルトなどの硬質繊維、コットンリンターなどの種子毛繊維、マニラ麻、サイザル麻などの葉脈繊維等の非木材パルプ等の他の製紙用繊維を含むことができるが、全製紙用繊維に対する木材パルプとPVA繊維の合計の割合が60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましく、100重量%であることが最も好ましい。また、原紙シートを構成する製紙用繊維全体に対するポリビニルアルコール繊維の割合が1.0重量%以上10重量%以下であることが好ましく、2.0重量%以上8.0重量%以下であることがより好ましい。
【0012】
木材パルプとPVA繊維との重量比(木材パルプ:PVA繊維)は、90:10~99.5:0.5であることが好ましい。木材パルプとPVA繊維との重量比がこの範囲内であることにより、湿潤強度と水解性の両方に優れた水解性清掃シートを得ることができる。木材パルプとPVA繊維との重量比は、92:8~99:1であることがより好ましく、95:5~98:2であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、「A~B」との記載(A、Bは数字)は、A、Bを含む数値範囲を意味する。
【0013】
・水性薬液
水性薬液は、ホウ酸とアニオン変性セルロースナノファイバーとを含み、水性薬液中のホウ酸濃度が、2.2重量%以上5.0重量%以下である。
水性薬液は、その他に、一価アルコール、多価アルコール、グリコールエーテル、界面活性剤、香料、消臭剤、防腐剤、抗菌剤等を含むことができる。
【0014】
ホウ酸は、本発明の原紙シートを構成する繊維の一つであるPVA繊維の架橋剤である。PVA繊維を含む原紙シートを、ホウ酸を含む水性薬液に含浸することにより、ポリビニルアルコールの水酸基とホウ酸との間に水素結合が形成されて原紙シートを構成する製紙用繊維間に結合が生じ、湿潤強度が向上する。
水性薬液中のホウ酸濃度は、2.2重量%以上5.0重量%以下である。ホウ酸濃度がこの範囲内であると、含浸した際に水素結合が形成されやすく、湿潤強度の向上が期待できる。水性薬液中のホウ酸濃度は、2.5重量%以上4.0重量%以下であることが好ましい。
【0015】
セルロースナノファイバー(以下、CNFともいう)は、セルロース原料を、必要に応じて化学変性等の処理を行った後で、解繊処理することにより得られる微細繊維であり、一般に、繊維径が1~100nmのセルロースのミクロフィブリルと定義される。
CNFの原料であるセルロース原料は、木材由来のクラフトパルプ又はサルファイトパルプ、それらを高圧ホモジナイザーやミル等で粉砕した粉末セルロース、それらを酸加水分解等の化学処理により精製した微結晶セルロース粉末等を使用することができる。この他に、ケナフ、麻、イネ、バガス、竹等の植物由来のセルロース原料も使用することができる。
量産化やコストの観点からは、セルロース原料として粉末セルロース、微結晶セルロース粉末、あるいはクラフトパルプ又はサルファイトパルプのような化学パルプを用いることが好ましい。化学パルプを用いる場合は、公知の漂白処理を施してリグニンを除去することが好ましい。漂白済みパルプとしては、例えば、白色度(ISO 2470)が80%以上の漂白済みクラフトパルプ又は漂白済みサルファイトパルプを使用することができる。
【0016】
CNFの原料としては、未変性のものと、化学変性されているものがあるが、本発明は、より微細な(細く、短い)CNFが得られやすいため、カルボキシ化(酸化)、エーテル化(カルボキシメチル化)、エステル化(硫酸エステル化、リン酸エステル化、亜リン酸エステル化)等のアニオン変性CNFを用いる。アニオン変性CNFとしては、カルボキシ化CNFがより好ましい。
本発明で使用するアニオン変性CNFは、数平均繊維径が2nm以上10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。アニオン変性CNFの数平均繊維径が上記した範囲であると、水性薬液中に含まれるアニオン変性CNFが、原紙シートの目の隙間を通ることができるため、アニオン変性CNFを原紙シートの厚さ方向で均一に分布させることができる。また、アニオン変性CNFは、チキソトロピー性を有し、せん断力が加わった際に流動性を有するため、アニオン変性CNFを含む水性薬液をスプレー法等により原紙シートに塗布・含浸させることが容易である。
【0017】
本発明で使用するアニオン変性CNFは、数平均繊維長が50nm以上1500nm以下であることが好ましく、300nm以上1200nm以下がより好ましく、500nm以上1000nm以下がさらに好ましい。繊維長が長くなるほど、湿潤強度が向上する傾向があるが、繊維長が長くなると水性薬液の粘度が高くなり、取り扱い性、塗布性等が低下する。
【0018】
なお、CNFの数平均繊維径、数平均繊維長は、CNFの電子顕微鏡(EM)像または原子間力顕微鏡(AFM)像から求めることができ、具体的には以下の測定方法により求めることができる。
<数平均繊維径>
CNFの濃度が0.001質量%となるように希釈したCNF水分散液を調製する。この水分散液をマイカ製試料台に薄く延ばし、50℃で加熱乾燥させて観察用試料を作成し、原子間力顕微鏡(AFM)にて観察した形状像の任意の30本以上について断面高さを計測し、数平均繊維径を算出する。
<数平均繊維長>
マイカ切片上に固定したCNFの原子間力顕微鏡像(3000nm×3000nm)から、任意の30本以上について繊維長を測定し、数平均繊維長を算出する。繊維長測定は、画像解析ソフトWinROOF(三谷商事)を用い、長さ10nm~2000nmの範囲で行う。
【0019】
アニオン変性CNFの製造方法は特に制限されず、セルロース原料から公知の方法により製造することができる。
例えば、本出願人による特許第5544053号公報に記載の、加水分解処理した後にクラフト蒸解を行うことにより得られるパルプ(DKP)をセルロース原料として、これをカルボキシ化(酸化)、解繊する方法、特許第6229090号公報に記載の、セルロース原料をカルボキシ化(酸化)、アルカリ加水分解処理、解繊処理、脱塩処理する方法、特許第6313755号公報に記載の、セルロース原料をマーセル化剤で処理して得られるカルボキシメチル化セルロースを解繊処理する方法等が挙げられる。
【0020】
水性薬液中のアニオン変性CNF濃度は、0.001重量%以上、1.0重量%以下であることが好ましい。アニオン変性CNF濃度がこの範囲内であると、チキソトロピー性を維持しながら、原紙シートの湿潤強度と水解性の両方の向上が期待できる。
【0021】
・水解性清掃シートの製造方法
本発明の水解性清掃シートは、少なくとも木材パルプとPVA繊維とを含む紙料から一般的な抄紙法で作成した水解紙からなる原紙シートに、水性薬液を含浸することにより製造する。
原紙シートは、1層、または多層とすることができ、清掃する際の厚みを保持する点から、多層であることが好ましい。また、原紙シートは、エンボス加工を施すこともできる。エンボス加工を施した凹凸を有する原紙シートは、その凹凸部分により汚れを物理的に擦り落とすことが容易となる。
【0022】
抄紙された原紙シートは、エンボス加工や乾燥工程を経た後に裁断され、折り畳まれる。
そして、折り畳まれた原紙シートに、水性薬液が含浸されることにより、本発明の水解性清掃シートが製造される。水性薬液を含浸させる方法は特に制限されず、スプレー塗布、カーテン塗布、浸漬等の方法を用いることができる。
水性薬液は、原紙シートの重量に対して、150重量%以上250重量%以下となるように含浸することが好ましい。
【0023】
本発明の水解性清掃シートは、湿潤強度と水解性との両方に優れている。具体的には、本発明の水解性清掃シートは、JIS P8113.5の装置を用い、水性薬液を含んだ状態で試験片(幅25×長さ80mm)、引張速度毎分70mmの条件で測定を行ったとき、縦方向(抄紙方向)の引張強度が5.5N以上、かつ、JIS P4501.4.5のほぐれやすさ試験の結果が75s以下であることが好ましい。この引張強度は、5.7N以上であることがより好ましく、5.9N以上であることがさらに好ましく、6.0N以上であることがよりさらに好ましい。また、このほぐれやすさは、73s以下であることがより好ましく、71s以下であることがさらに好ましく、70s以下であることがよりさらに好ましい。
【実施例0024】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部及び%は、それぞれ重量部、重量%を示す。
【0025】
<アニオン変性セルロースナノファイバーの製造>
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物を塩酸を用いて酸性化処理した後、ガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水で洗浄することで酸化されたパルプ(カルボキシ化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシ基量は1.6mmol/gであった。これを水で1.0%(w/v)に調整し、3M水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7に調整した。超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、アニオン変性(酸化)セルロースナノファイバー(CNF)の分散液を得た。
得られたアニオン変性CNFは、数平均繊維径は3nm、数平均繊維長は550nmであった。透明度は、88.9%(固形分1.0%)であった。また、このCNFの分散液は、固形分濃度1wt%とした際の60rpmにおけるB型粘度が3260mPa・sであり、6rpmにおけるB型粘度が22530mPa・sであった。
【0026】
表1に、原紙シートのパルプ組成と水性薬液の配合(重量%)を示す。
表1に示す組成の混合パルプを、円網抄紙機で抄紙し、坪量30g/m2の原紙が2プライにした原紙シートを製造した。なお、PVA繊維として、繊維幅15μm、繊維長5mmのものを用いた。
この原紙シートに、下記表1で示す組成の水性薬液を、原紙シートに対して200重量%となるようにスプレー塗布し、水解性清掃シートを得た。
【0027】
得られた水解性シートについて、下記評価を行った。結果を表1に示す。
・湿潤引張強度
JIS P8113.5の装置を用い、水性薬液を含んだ状態で試験片(幅25×長さ80mm)幅30mm、つかみ長さ100mm、引張速度毎分70mmの条件で測定を行った。
・水解性
JIS P4501-1993 トイレットペーパーの4.5のほぐれやすさ試験に準拠して行った。
【0028】
【0029】
実施例1~5で得られた本発明の水解性清掃シートは、引張強度と水解性とに優れていた。特に、実施例1と比較例1、実施例5と比較例3、それぞれの結果より、アニオン変性CNFを含まない比較例1、3で得られた水解性清掃シートと比較して、アニオン変性CNFを含む実施例1、5で得られた水解性清掃シートは、湿潤強度が大きく向上しているにもかかわらず、水に解けやすくなったことが確かめられた。
水性薬液中のホウ酸濃度が2.0重量%である比較例2は、比較例1と比較して湿潤強度は向上したが水解性は低下した。