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特開2024-108984ビジョンカメラを活用した船舶用造水機の最適吐出制御システム及びこれを備えた船舶用造水システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108984
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】ビジョンカメラを活用した船舶用造水機の最適吐出制御システム及びこれを備えた船舶用造水システム
(51)【国際特許分類】
   B63J 1/00 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B63J1/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022506
(22)【出願日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2023-0013126
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】516386041
【氏名又は名称】コリア・マリタイム・ユニバーシティ・インダストリー-アカデミック・コーポレーション・ファンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウォンジュ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ミンホ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】船舶用造水機の最適吐出制御システムを提供する。
【解決手段】造水機で生産された蒸留水を移送する蒸留水供給管の中間に連結された形態で蒸留水供給管と連通したチャンバを備え、外部からチャンバ内の状態を観察できるようにウィンドウを備えた観察部材と、観察部材のウィンドウを介して蒸留水の状態を撮影して映像情報を生成するビジョンカメラと、ビジョンカメラで生成された映像情報に基づいて観察部材のチャンバに蒸留水が静止状態であるか流動状態であるかを判断する流れ判断部を含む中央制御器と、流れ判断部が蒸留水の静止状態であると判断すれば電動バルブの流路を開放する開放制御信号を生成し、流れ判断部が蒸留水の流動状態であると判断すれば電動バルブの開閉動作を制御するバルブ制御器と、蒸留ポンプと蒸留水貯蔵タンクの間に設置され、バルブ制御器の開放制御信号及び閉鎖制御信号に応じて流路を開閉する電動バルブとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造水機で生産された蒸留水を蒸留水貯蔵タンクに供給するための蒸留水供給管の中間に連結された形態で造水機と蒸留ポンプの間に設置され、前記蒸留水供給管と連通されたチャンバを備え、外部からチャンバ内の蒸留水の状態を観察できるようにウィンドウを備える観察部材と、
前記観察部材のウィンドウを介して蒸留水の状態を撮影して映像情報を生成するビジョンカメラと、
前記ビジョンカメラで生成された映像情報に基づいて前記観察部材のチャンバに蒸留水が充満している静止状態であるか充満してなくて流れる流動状態であるかを判断する流れ判断部を含む中央制御器と、
前記流れ判断部が蒸留水の静止状態であると判断すれば電動バルブの流路を開放する開放制御信号を生成し、前記流れ判断部が蒸留水の流動状態であると判断すれば電動バルブの流路を閉鎖する閉鎖制御信号を生成して電動バルブの開閉動作を制御するバルブ制御器と、
前記蒸留水供給管の中間に連結された形態で蒸留ポンプと蒸留水貯蔵タンクとの間に設置され、前記バルブ制御器の開放制御信号及び閉鎖制御信号に応じて流路を開閉する電動バルブと、
を含むことを特徴とする船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項2】
前記中央制御器は、実際と同一の実験環境で行われる反復的な学習により、観察部材のチャンバに蒸留水が充満している静止状態の時の複数のタイプ別映像情報と、観察部材のチャンバに蒸留水が充満していなくて流れる流動状態の時の複数のタイプ別映像情報を比較モデルとして選別した後、静止状態グループと流動状態グループに分類して保存する比較モデル保存部をさらに含み、
前記流れ判断部は、前記ビジョンカメラでリアルタイムに生成される映像情報を前記比較モデル保存部から提供された比較モデルと比較して最高の正確度を有する1つの比較モデルを選定し、このように選定された比較モデルが静止状態グループに属していれば蒸留水が静止状態であると判断し、流動状態グループに属していれば蒸留水が流動状態であると判断することを特徴とする請求項1に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項3】
前記電動バルブは、安全上の理由で、流路を完全に閉鎖せずに一定の開度だけ開放した状態を初期閉鎖状態とし、前記初期閉鎖状態から前記電動バルブの流路が完全に開放された完全開放状態に到達するまで複数の段階に分け、前記バルブ制御信号及び閉鎖制御信号に応じて開閉動作が段階的に行われることを特徴とする請求項1に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項4】
前記電動バルブはモータの駆動力を提供されて開閉動作するグローブバルブで備えられ、
前記電動バルブの初期閉鎖状態でバルブステムの回転角度をA度、前記電動バルブの完全開放状態でバルブステムの回転角度をX度とし、前記電動バルブの初期閉鎖状態から完全開放状態までの開閉動作がn段階にわたって段階的に行われるとする場合、
前記バルブ制御器が生成した開放制御信号に応じて前記電動バルブのバルブステムは(X-A)度/nだけ正方向回転し、前記バルブ制御器が生成した閉鎖制御信号に応じて前記電動バルブのバルブステムは(X-A)度/nだけ逆方向回転して段階的な開閉動作が行われることを特徴とする請求項3に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項5】
前記電動バルブの初期閉鎖状態では前記流れ判断部が蒸留水の流動状態であると判断しても前記バルブ制御器が閉鎖制御信号を生成しないように設定され、前記電動バルブの完全開放状態では前記流れ判断部が蒸留水の静止状態であると判断しても前記バルブ制御器が開放制御信号を生成しないように設定されることを特徴とする請求項4に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項6】
前記観察部材は蒸留水供給管の中間に連結できるように一対のフランジを備え、前方には前記ビジョンカメラが位置する観察用前方ウィンドウが設置され、後方には前方ウィンドウに加えてチャンバ内部の照度向上のために後方ウィンドウが設置されることを特徴とする請求項1に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項7】
前記観察部材の後方付近にはチャンバ内部の照度向上のために外部照明がさらに設置されることを特徴とする請求項6に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項8】
前記観察部材は、ビジョンカメラが映像情報を生成する時に後方で動く事物により干渉が発生しないように後方ウィンドウを選択的に覆うことができるようにする干渉防止用後方キャップをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項9】
前記観察部材は前方ウィンドウを覆うことができるように前方キャップをさらに備え、前方キャップの中央部には前記ビジョンカメラが設置されて前方キャップが前方ウィンドウを覆う状態で撮影できるようにすることを特徴とする請求項8に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項10】
前記前方キャップにおいて前方ウィンドウと対向する面の周縁部には前記前方ウィンドウを介してチャンバ内部に光を照射できる内部照明が設置されて前方キャップと後方キャップが前記前方ウィンドウと後方ウィンドウを両方とも覆っている状態でもチャンバ内部に対する前記ビジョンカメラの撮影を可能にすることを特徴とする請求項9に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項11】
前記前方キャップにおいて前方ウィンドウと対向する面には中央部に設置されたビジョンカメラ付近を円形に囲んで前記ビジョンカメラ撮影の時に前記内部照明から照射される光による光干渉が発生しないようにする光遮断膜がさらに設置され、前記光遮断膜は前記前方ウィンドウと接触時に柔軟に変形されて前記前方ウィンドウの損傷を防止できるように柔軟な弾性素材で備えられることを特徴とする請求項10に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項12】
塩分を含む海水を加熱して蒸発させて蒸留水を生産する造水機と、
前記造水機で生産された蒸留水をポンプして蒸留水供給管を介して移送させる蒸留ポンプと、
前記造水機で生産されて移送された蒸留水を貯蔵する蒸留水貯蔵タンクと、
前記請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システムとを含むことを特徴とする船舶用造水システム。
【請求項13】
前記造水機で海水を加熱するために、船舶のエンジンと前記造水機を経由する循環管が設置され、前記循環管に沿って移送される循環水が船舶のエンジンを経由しながら熱を受けて高温になった後、前記造水機を経由しながら海水と熱交換するようにすることを特徴とする請求項12に記載の船舶用造水システム。
【請求項14】
前記循環管から循環水を迂回させた後、前記造水機に戻れるように循環させる迂回管と前記迂回管を介して循環する循環水を強制加熱する循環水ヒータがさらに設置されて、船舶の停泊中には循環水が前記迂回管を介して前記循環水ヒータを経由して循環するように迂回循環させながら前記循環水ヒータが循環水を加熱できるようにすることを特徴とする請求項13に記載の船舶用造水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用造水機の制御システムに関し、特に、造水機で生産される蒸留水の量が変わってもそれに対応して蒸留水の吐出量を能動的に調節できるようにすることにより不要な蒸留水の生産及び燃料消耗を減らし、人員を削減することができ、蒸留水の漏れによる故障を最小化して寿命を極大化できる船舶用造水機の最適吐出制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、船舶や海上構造物においてはボイラー給水、装備洗浄及び冷却、バラスト水処理、生活用水などのために、蒸留水を生産する造水機が必須である。
【0003】
造水機は、海水を利用して船舶において必要な蒸留水を生成する装置を示し、低圧蒸発式と逆浸透式に大別され、大部分の船舶では運航時に発生するエンジンの廃熱を利用して蒸留水を生成する低圧蒸発式の造水機が使われている。
【0004】
従来技術による船舶用造水機を簡単に説明すると、真空状態の容器に海水供給管に沿って海水を供給し、ここに船舶のエンジンを冷却しながら加熱された温水が流れる温水ラインにより海水が蒸発器で蒸発し、これを凝縮器で凝縮すると蒸留水が生成される。
【0005】
このような従来技術によれば、海水温度の変化などにより造水機で生産される蒸留水の量も変わるが、このような変化に対応して現場作業者が随時吐出バルブを操作して吐出量を制御することには限界があった。
【0006】
これにより蒸留水の生産量が増加する場合は生産量に比べて吐出量が少なくなるため、造水機の運用が非効率的になり、燃料消耗が不要に多くなる問題が発生した。それに対して、造水量が減少する場合は蒸留ポンプに流れる流量がなくなり蒸留ポンプのメカニカルシール(mechanical seal)が潤滑及び冷却されないため、過熱が発生し、蒸留水が漏水する致命的な問題が発生した。これにより、蒸留ポンプのモータが故障するか、造水機の運転を停止しなければならない状態になることもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許公報第1615318号(2016.04.19)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような従来の諸問題点を解消するために提案されたもので、本発明の目的は、造水機で生産される蒸留水の量が変わってもそれに対応して蒸留水の吐出量を能動的に調節できるようにすることにより不要な蒸留水の生産及び燃料消耗を減らし、人員を削減することができ、蒸留水の漏れによる故障を最小化して寿命を極大化できる船舶用造水機の最適吐出制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような目的を達成するために、本発明の技術的思想による船舶用造水機の最適吐出制御システムは、造水機で生産された蒸留水を蒸留水貯蔵タンクに供給するための蒸留水供給管の中間に連結された形態で造水機と蒸留ポンプの間に設置され、蒸留水供給管と連通されたチャンバを備え、外部からチャンバ内の蒸留水の状態を観察できるようにウィンドウを備えた観察部材と、前記観察部材のウィンドウを介して蒸留水の状態を撮影して映像情報を生成するビジョンカメラと、前記ビジョンカメラで生成された映像情報に基づいて前記観察部材のチャンバに蒸留水が充満している静止状態であるか充満してなくて流れる流動状態であるかを判断する流れ判断部を含む中央制御器と、前記流れ判断部が蒸留水の静止状態であると判断すれば電動バルブの流路を開放する開放制御信号を生成し、前記流れ判断部が蒸留水の流動状態であると判断すれば電動バルブの流路を閉鎖する閉鎖制御信号を生成して電動バルブの開閉動作を制御するバルブ制御器と、前記蒸留水供給管の中間に連結された形態で蒸留ポンプと蒸留水貯蔵タンクとの間に設置され、前記バルブ制御器の開放制御信号及び閉鎖制御信号に応じて流路を開閉する電動バルブとを含むことをその技術的構成上の特徴とする。
【0010】
ここで、前記中央制御器は、実際と同一の実験環境で行われる反復的な学習により観察部材のチャンバに蒸留水が充満している静止状態である場合の複数のタイプ別映像情報と観察部材のチャンバに蒸留水が充満していなくて流れる流動状態である場合の複数のタイプ別映像情報を比較モデルとして選別した後、静止状態グループと流動状態グループに分類して保存する比較モデル保存部をさらに含み、前記流れ判断部は、前記ビジョンカメラでリアルタイムに生成される映像情報を前記比較モデルから提供された比較モデルと比較して最高の正確度を有する1つの比較モデルを選定し、このように選定された比較モデルが静止状態グループに属していれば蒸留水が静止状態であると判断し、流動状態グループに属していれば蒸留水が流動状態であると判断することを特徴とする。
【0011】
また、前記電動バルブは安全上の理由で流路を完全に閉鎖せずに一定開度だけ開放した状態を初期閉鎖状態とし、前記初期閉鎖状態から前記電動バルブの流路が完全に開放された完全開放状態に到達するまで複数の段階に分け、前記バルブ制御器が生成した開放制御信号及び閉鎖制御信号に応じて開閉動作が段階的に行われることを特徴とする。
【0012】
また、前記電動バルブは、モータの駆動力を提供されて開閉動作するグローブバルブとして備えられ、前記電動バルブの初期閉鎖状態でバルブステムの回転角度をA度、前記電動バルブの完全開放状態でバルブステムの回転角度をX度とし、前記電動バルブの初期閉鎖状態から完全開放状態までの開閉動作がn段階にわたって段階的に行われるとした場合、前記バルブ制御器が生成した開放制御信号に応じて前記電動バルブのバルブステムは(X-A)度/nだけ正方向回転し、前記バルブ制御器が生成した閉鎖制御信号に応じて前記電動バルブのバルブステムは(X-A)度/nだけ逆方向回転して段階的な開閉動作が行われることを特徴とする。
【0013】
また、前記電動バルブの初期閉鎖状態では前記流れ判断部が蒸留水の流動状態であると判断しても前記バルブ制御器が閉鎖制御信号を生成しないように設定され、前記電動バルブの完全開放状態では前記流れ判断部が蒸留水の静止状態であると判断しても前記バルブ制御器が開放制御信号を生成しないように設定されることを特徴とする。
【0014】
また、前記観察部材は、蒸留水供給管の中間に連結できるように一対のフランジを備え、前方には前記ビジョンカメラが位置する観察用前方ウィンドウが設置され、後方には前方ウィンドウに加えてチャンバ内部の照度向上のために後方ウィンドウが設置されることを特徴とする。
【0015】
また、前記観察部材の後方付近にはチャンバ内部の照度向上のために外部照明がさらに設置されることを特徴とする。
【0016】
また、前記観察部材は、ビジョンカメラが映像情報を生成する時に後方で動く事物により干渉が発生しないように後方ウィンドウを選択的に覆うことができる干渉防止用後方キャップをさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、前記観察部材は、前方ウィンドウを覆うことができるように前方キャップをさらに備え、前記前方キャップの中央部には前記ビジョンカメラが設置されて前方キャップが前方ウィンドウを覆っている状態で撮影できるようにすることを特徴とする。
【0018】
また、前方キャップにおいて前方ウィンドウと対向する面の周縁部には前記前方ウィンドウを介してチャンバ内部に光を照射できる内部照明が設置されて前記前方キャップと後方キャップが前記前方ウィンドウと後方ウィンドウを両方とも覆っている状態でもチャンバ内部に対する前記ビジョンカメラ撮影を可能にすることを特徴とする。
【0019】
また、前記前方キャップにおいて前方ウィンドウと対向する面には中央部に設置されたビジョンカメラ付近を円形に囲むことで前記ビジョンカメラ撮影時に前記内部照明から照射される光による光干渉が発生しないようにする光遮断膜がさらに設置され、前記光遮断膜は前記前方ウィンドウと接触時に柔軟に変形されて前記前方ウィンドウの損傷を防止できるように柔軟な弾性素材で備えられることを特徴とする。
【0020】
一方、本発明の船舶用造水システムは、塩分が含まれた海水を加熱して蒸発させて蒸留水を生産する造水機と、前記造水機で生産された蒸留水をポンプして蒸留水供給管を介して移送させる蒸留ポンプと、前記造水機で生産されて移送された蒸留水を貯蔵する蒸留水貯蔵タンクと、前述の船舶用造水機の最適吐出制御システムとを含むことをその技術的構成上の特徴とする。
【0021】
ここで、前記造水機において海水を加熱するために、船舶のエンジンと前記造水機を経由する循環管が設置され、前記循環管に沿って移送される循環水が船舶のエンジンを経由しながら熱を受けて高温になった後、前記造水機を経由しながら海水と熱交換するようにすることを特徴とする。
【0022】
また、前記循環管から循環水を迂回させた後、前記造水機に戻れるように循環させる迂回管と前記迂回管を介して循環する循環水を強制加熱する循環水ヒータがさらに設置されて、船舶のエンジンの停止中には循環水が前記迂回管を介して前記循環水ヒータを経由して循環するように迂回循環させながら前記循環水ヒータが循環水を加熱できるようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明による船舶用造水機の最適吐出制御システムは、造水機で生産される蒸留水の量が変わってもそれに対応して蒸留水の吐出量を能動的に調節できるようにすることにより、不要な蒸留水の生産及び燃料消耗を減らすことができる。また、人員を削減することができ、蒸留水の漏れによる故障を最小化して寿命を極大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムを含む船舶用造水システムの構成図
図2】本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムの構成図
図3】本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムにおける観察部材の正面図
図4】本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムにおける観察部材の側断面図
図5】本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムにおいて変形された観察部材の側断面図(前方キャップと後方キャップが分離された状態)
図6】本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムにおいて変形された観察部材の側断面図(前方キャップと後方キャップが装着された状態)
図7】船舶の運航時の船舶用造水システムの運転状態を説明するための参照図
図8】船舶の停泊時の船舶用造水システムの運転状態を説明するための参照図
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照して、本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムについて詳しく説明する。本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を図面に例示して本文に詳細に説明しようとする。しかしながら、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。各図面の説明において類似の構成要素には類似の参照符号を使用した。添付の図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大するか、概略的な構成を理解するために実際より縮小して示している。
【0026】
また、第1及び第2などの用語は多様な構成要素を説明するために使われるが、前記構成要素は前記用語により限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的として使用されるだけである。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも、第1構成要素は第2の構成要素と命名されることがあり、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と命名されることもある。一方、別の定義がない限り、技術的または科学的な用語を含めてここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されている用語は関連技術の文脈上に有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味と解釈されない。
【0027】
<実施例>
図1は、本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムを含む船舶用造水システムの構成図であり、図2は、本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムの構成図であり、図3は、本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムにおける観察部材の正面図であり、図4は、本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムにおける観察部材の側断面図である。
【0028】
図示のように、本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムは、造水機210で生産される蒸留水の量が変わってもそれに対応して蒸留水の吐出量を能動的に調節できるようにしたものであり、塩分が含まれた海水から蒸留水を生産する船舶用造水システムの一部として設置され、観察部材110、ビジョンカメラ120、中央制御器130、バルブ制御器140、電動バルブ150及び外部照明160を主な構成要素とする。
【0029】
以下、前記各構成要素を中心に本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムについて詳しく説明する。
【0030】
前記観察部材110は、造水機210で生産された蒸留水が蒸留水供給管P2に沿って移送される状態を外部から容易に観察できるようにするために設置される。このために、前記観察部材110は、図2に示すように、造水機210と蒸留ポンプ220の間に蒸留水供給管P2の中間に連結された形態で設置される。前記観察部材110は、図3及び図4に示すように、蒸留水供給管P2の中間に連結できるように一対のフランジ111aを備え、本体ケーシング111の内部には流入口111dと流出口111eにより蒸留水供給管P2と連通するチャンバ111cを備える。前記観察部材110の本体ケーシング111の前方にはビジョンカメラ120が位置する観察用前方ウインドウ112aが設置され、本体ケーシング111の後方には後方ウインドウ112bが設置される。前記後方ウィンドウ112bは前方ウィンドウ112aのようにチャンバ111cの内部を観察する目的で使われることもでき、チャンバ111cの内部の照度を向上する役割もする。前記観察部材110が後方ウィンドウ112bを備えることにより、観察部材110の後方付近には図1に示すように照度を高めるための外部照明160がさらに設置されることが好ましい。このような観察部材110は、一対のフランジ111aを備え、本体ケーシング111に前方ウィンドウ112a及び後方ウィンドウ112bを備えた程度のものであれば、市中で簡単に入手できるサイトグラス(Sight Glass)を簡単に活用してもよい。しかしながら、前記観察部材110が図5及び図6に示すように着脱可能な前方キャップ114と後方キャップ113をさらに備えてビジョンカメラ120及び内部照明115と共にモジュール化した形態で最適化されるか、より良い観察性能を確保するためには、市中のサイトグラスを単純活用するよりは独自に製作された製品を使用するのがより好ましい。
【0031】
前記ビジョンカメラ120は、観察部材110の前方ウィンドウ112aを介して蒸留水の状態を撮影して映像情報を生成する。このようにビジョンカメラ120で生成された映像情報は、中央制御器130の流れ判断部(図示せず)により観察部材110のチャンバ111cに蒸留水が充満している静止状態であるか、充満していなくて流れる流動状態であるかを判断できる根拠となる。前記ビジョンカメラ120はリアルタイムで撮影して映像情報を生成できる製品と備えてもよい。前記ビジョンカメラ120は60FPS(Frames per second)程度の速度で撮影できるものを備えてもよい。
【0032】
前記中央制御器130は、ビジョンカメラ120で生成された映像情報に基づいて観察部材110のチャンバ111cに蒸留水が充満している静止状態であるか充満していなくて流れる流動状態であるかを判断する流れ判断部(図示せず)を備える。また、前記中央制御器130は、実際と同一の実験環境で行われる学習により観察部材110のチャンバ111cに蒸留水が充満している静止状態の時の複数のタイプ別映像情報と観察部材110のチャンバ111cに蒸留水が充満していなくて流れる流動状態の時の複数のタイプ別映像情報を比較モデルとして選別して静止状態グループと流動状態グループに分類して保存する比較モデル保存部(図示せず)をさらに備える。
【0033】
これにより、前記中央制御器130の流れ判断部がビジョンカメラ120でリアルタイムに生成される映像情報を比較モデル保存部から提供された比較モデルと比較して最高の正確度を有する1つの比較モデルを選定する。そして、このように選定された比較モデルが静止状態グループに属していれば前記流れ判断部は蒸留水が静止状態であると判断し、流動状態グループに属していれば蒸留水が流動状態であると判断する。このような流れ判断部の判断に応じてバルブ制御器140は電動バルブ150を開閉するための制御信号(開放制御信号、閉鎖制御信号)を生成する。
【0034】
以下、前記流れ判断部が蒸留水の状態を判断するために使用する比較モデルを用意するための方法について説明する。
【0035】
実際に使われる船舶用造水機の最適吐出制御システムと同一または同等の環境を備えた実験室において造水機を運転しながら電動バルブに対応する手動式吐出バルブを閉鎖して観察部材のチャンバ内部に蒸留水が充満している状態を繰り返して作り、その度にビジョンカメラで撮影して蒸留水が静止状態である時に該当する多数の静止状態映像情報を生成する。
【0036】
次に、造水機を運転しながら電動バルブに対応する手動式吐出バルブを開放して観察部材のチャンバ内部に蒸留水が充満していなくて流れる多様な状態を繰り返して作り、その度にビジョンカメラで撮影して蒸留水が流動状態である時に該当する多数の流動状態映像情報を生成する。ビジョンカメラの撮影時に照度の変化があると、コンピュータービジョン技術への融合が難しくなる恐れがあるので、近隣に人々が通らないように統制することが好ましい。
【0037】
以後、収集された映像情報をコンピュータビジョン技術に融合するためにopencvライブラリのようなプログラムを使用してイメージに変換する過程を行う。映像情報から抽出されたイメージデータに対してはVLC media playerのような変換プログラムを使用して必要なサイズに変換する。例えば、映像情報から抽出されたイメージを128×128ピクセルサイズのイメージに変換することができる。
【0038】
以後、データ前処理過程を行う。このために、観察部材のチャンバ内部に蒸留水が充満して静止している静止状態のイメージファイルと蒸留水が流れる流動状態のイメージファイルをそれぞれ積み重ねて4次元numpy arrayを作る。このとき、4次元numpy arrayのサイズは、例えば(305,128,128,3)になるようにすることができる。これは、RGBの3つのチャンネルを有する128×128ピクセルサイズのイメージが305個積まれていることを意味する。このような4次元numpy arrayを複数生成する。これらのnumpy arrayには0から255の間の値があり、比較モデルの学習を容易にするために255に分けて0と1の間の値を有するようにする標準化作業を行う。
【0039】
以後、比較モデルを生成する作業が行われる。このために、コンピュータビジョンモデルを選定する。例えば、CNN-LSTM、CNN-GRU、3DCNNのいずれか1つを選定する。この時、ビジョンカメラがどのくらいのFPSで撮影しているのかに応じて入力データのサイズを決めることができるが、60FPSで撮影したとすれば、入力データのサイズは(60,128,128,3)と決める。
【0040】
入力データのラベルは蒸留水が流れる流動状態の場合を0、観察部材のチャンバに充満して静止している静止状態の場合を1とする。これは、後で比較モデルを生成した時、1秒当たりデータを受信し、それに応じて電動バルブの開閉制御を開放と閉鎖のいずれかを選択する方式で操作するためである。
【0041】
それぞれの比較モデルは、tensorflowとkerasなどのライブラリを使用して実現できる。この時、ディープラーニングによる比較モデルに使われたハイパーパラメータのうち層数を多様して最適な層構造を後で選べるようにすることが好ましい。ハイパーパラメータのうちstridesは(1,1)とし、活性化関数としてはreluやswishを使用することができる。dropoutの割合は0.2とすることができる。最後の層には2つのノードを置き、sigmoidのような活性化関数を使用して、蒸留水が流れる流動状態にあるものと観察部材のチャンバに蒸留水が充満して静止状態にあるものを区分できるようにする。最適化関数としては、最良の性能のものを選定して使用すればよい。自体実験ではadam、nadam、sgdを使ってみたが、そのうちsgdが最も性能が良くてsgdを使用した。損失関数と性能指標を設定し、patienceとbatch size、訓練epochの値、訓練データと検証データの比率を決めて比較モデルを生成し、この時に生成された比較モデルを臨時保存する。例えば、損失関数としてはsparse_categorical_crossentropyを、性能指標としてはaccuracyを使用し、patienceは50、batch sizeは1、訓練epochは1000に設定する。訓練データと検証データの比率は8:2としてもよい。
【0042】
以後、比較モデルに対する検証が行われる。このために保存された各比較モデルは、蒸留水が流れる流動状態にあることを示す全体データに対して計算した正確度と観察部材のチャンバに蒸留水が充満して静止している静止状態にあることを示す全体データに対して計算した正確度を確認する。蒸留水が流動状態である時と静止状態である時を示す映像を再生させておき、実際にビジョンカメラで認識した各モデルの正確度を確認する。前記2つの場合を分類して最も最適の性能を出す比較モデルを選定し、これらの選定された比較モデルを、流れ判断部がビジョンカメラで生成された映像情報に基づいて観察部材のチャンバにおいて蒸留水が流れる流動状態であるかそれとも蒸留水が充満した静止状態であるかを判断する最終比較モデルとして比較モデル保存部に保存する。
【0043】
前記バルブ制御器140は、前述のように電動バルブ150の開閉動作を制御する。このために、前記流れ判断部が蒸留水の静止状態であると判断すれば、電動バルブ150を開放する開放制御信号を生成して電動バルブ150の流路を開放し、前記流れ判断部が蒸留水の流動状態であると判断すれば、電動バルブ150を閉鎖する閉鎖制御信号を生成して電動バルブ150の流路を閉鎖する。このような構成によれば、中央制御器130の流れ判断部が観察部材110のチャンバ111cに蒸留水が充満した静止状態であるか充満していなくて流れる流動状態であるかを継続してリアルタイムで判断しながら、電動バルブ150の流路を段階的に調節することができる。
【0044】
ここで、前記電動バルブ150は、安全上の理由により、流路を完全に閉鎖せずに一定の開度だけ開放した状態を初期閉鎖状態に設定することが好ましく、前記初期閉鎖状態から電動バルブ150の流路が完全に開放された完全開放状態に到達するまで複数の段階に分け、前記バルブ制御器140が生成した開放制御信号及び閉鎖制御信号に応じて開閉動作が段階的に行われる。
【0045】
このために、前記電動バルブ150はモータの駆動力を提供されて開閉動作するグローブバルブで備えられ、前記電動バルブ150の初期閉鎖状態でバルブステムの回転角度をA度、前記電動バルブ150の完全開放状態でバルブステムの回転角度をX度とし、電動バルブ150の初期閉鎖状態から完全開放状態までの開閉動作がn段階にわたって段階的に行われるとした場合、前記バルブ制御器140が生成した開放制御信号に応じて電動バルブ150のバルブステムは(X-A)度/nだけ正方向回転し、バルブ制御器140が生成した閉鎖制御信号に応じて電動バルブ150のベルブステムは(X-A)度/nだけ逆方向回転して段階的な開閉動作が行われる。
【0046】
例えば、プログラムが安全上の目的で初期閉鎖状態をバルブステムが30度だけ回転した状態とし、電動バルブ150のバルブステムを3周(1080度)回転させた時に流路が完全に開放される完全開放状態(最大開放状態)になると仮定する。この時、開放制御信号と閉鎖制御信号に応じて電動バルブ150のバルブステムが70度の回転角度で開閉動作をするように設定された場合、流れ判断部が蒸留水の静止状態であると15回連続的に判断すると、バルブ制御器140が開放制御信号を15回連続で生成して電動バルブ150が完全開放状態になる。すなわち、電動バルブ150がバルブステムが30度回転している初期閉鎖状態から70度ずつ15回にわたって1050度回転して回転角度1080度の完全開放状態になることである。
【0047】
しかしながら、実際の状況では蒸留水の流動状態が不規則に変化するため、本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムは、これを反映して電動バルブ150の開閉動作を段階的に行う。例えば、蒸留水が静止→静止→流動→静止→流動→流動→静止の順に流動状態が変化すると仮定すれば、電動バルブ150の開閉動作制御は次のように行われる。
【0048】
1.初期は安全上の理由によりバルブステムの回転角度が30度回転した初期閉鎖状態である(バルブステム回転角度30度)
2.流れ判断部が蒸留水が静止状態であると判断し、バルブステムを70度正方向に回転させる(バルブステム回転角度30+70=100度)
3.流れ判断部が蒸留水が静止状態であると判断し、バルブステムを70度正方向に回転させる(バルブステム回転角度100+70=170度)
4.流れ判断部が蒸留水が流動状態であると判断し、バルブステムを70度逆方向に回転させる(バルブステム回転角度170-70=100度)
5.流れ判断部が蒸留水が静止状態であると判断し、バルブステムを70度正方向に回転させる(バルブステム回転角度100+70=170度)
6.流れ判断部が蒸留水が流動状態であると判断し、バルブステムを70度逆方向に回転させる(バルブステム回転角度170-70=100度)
7.流れ判断部が蒸留水が流動状態であると判断し、バルブステムを70度逆方向に回転させる(バルブステム回転角度100-70=30度)
8. 流れ判断部が蒸留水が静止状態であると判断し、バルブステムを70度正方向に回転させる(バルブステム回転角度30+70=100度)
もし、電動バルブ150がバルブステムの回転角度30度である初期閉鎖状態で流れ判断部が蒸留水の流動状態であると判断してもバルブ制御器140が閉鎖制御信号を生成しないように事前にプログラムに設定し、電動バルブ150がバルブステムの回転角度1080度である完全開放状態(最大に開いた状態)で流れ判断部が蒸留水の静止状態であると判断してもバルブ制御器140が開放制御信号を生成しないように事前にプログラムに設定する必要がある。
【0049】
このように本発明は、蒸留ポンプ220と電動バルブ150の間に設置された観察部材110のチャンバ111c内部に流入された蒸留水の量に応じてリアルタイムで電動バルブ150を開閉する能動的な方式の制御を行う。このような方式により、造水機210で生産される蒸留水の量が変わってもそれに対応して蒸留水の吐出量を最適な量に調節することが可能になる。本発明は、このような最適吐出制御により不要な蒸留水の生産及び燃料消耗を減らし、人員を削減することができ、蒸留水の漏れによる故障を最小化してシステムの寿命を極大化することができる。
【0050】
前記外部照明160は観察部材110の後方付近に設置されてチャンバ111c内部の照度を向上させる。このような外部照明160により観察部材110のチャンバ111c内部の照度が高くなると、ビジョンカメラ120からさらに鮮明な映像を得ることができる。ただし、前記外部照明160の設置位置は後方ウィンドウ112bに直接的に対面しないようにすることにより、外部照明160から照射された光がビジョンカメラ120の撮影に逆光として作用しないよう注意する。
【0051】
一方、前記観察部材110は、図5及び図6に示すように着脱可能な前方キャップ114と後方キャップ113をさらに備えてビジョンカメラ120及び内部照明115と共にモジュール化した形態で備えられてもよい。
【0052】
前記後方キャップ113は、本体ケーシング111の後方ウィンドウ112bを選択的に覆うことができるように一般カメラレンズ用のキャップのような形態のものが備えられる。前記後方キャップ113が備えられて後方ウィンドウ112bを覆うと、観察部材110の後方において往来する人々とその他の動く事物により発生する照度変化によりビジョンカメラ120が正確な映像情報を生成するのに干渉又は支障する問題を簡単に解決することができる。従って、周辺を往来する人々を統制するなどの煩わしい作業を行わなくても良い。
【0053】
前記前方キャップ114は観察部材110において本体ケーシング111の前方ウィンドウ112aを覆う役割をする。ここで、前記前方キャップ114の中央部にはビジョンカメラ120が設置されて別途のスタンドなしにビジョンカメラ120が支持されるようにする。前記前方キャップ114において前方ウィンドウ112aと対向する面の周縁部には前方ウィンドウ112aを介してチャンバ111c内部に光を照射できる内部照明115がさらに設置される。このように、前方キャップ114にビジョンカメラ120と内部照明115が設置されると、外部環境による干渉なしに前方キャップ114と後方キャップ113が前方ウィンドウ112aと後方ウィンドウ112bを両方とも覆っている状態でもチャンバ111cの内部に対するビジョンカメラ120の撮影が可能であるという長所を有する。
【0054】
このように、前方キャップ114に内部照明115が設置される場合、内部照明115から照射された光がビジョンカメラ120の撮影に干渉を起こすことがあるが、このような光干渉の問題を解消できるように前方キャップ114において前方ウィンドウ112aと対向する面に光遮断膜116がさらに設置される。前記光遮断膜116は前方キャップ114の中央部に設置されたビジョンカメラ120の付近をフェンスのように円形に囲む形態で設置される。前記光遮断膜116は、図6に示すように、前方キャップ114が前方ウィンドウ112aを覆った状態で先端部が前方ウィンドウ112aと接触して柔軟に変形しながら密着した状態を維持する柔軟な弾性素材で備えられる。前記光遮断膜116の素材は不透明シリコンやゴムなどが適当である。このように柔軟な弾性素材からなる光遮断膜116が前方キャップ114に設置された構成によれば、光遮断膜116が内部照明115とビジョンカメラ120との間で前方ウィンドウ112aと密着した状態になり、光干渉の問題を徹底的に遮断しながらも前方ウィンドウ112aと光遮断膜116との接触による損傷問題が発生しなくなる。
【0055】
一方、前述の本発明の実施例による船舶用造水機の最適吐出制御システムとともに、塩分が含まれた海水を加熱して蒸発させながら蒸留水を生産する造水機210と、前記造水機210で生産された蒸留水をポンプして蒸留水供給管P2を介して移送させる蒸留ポンプ220と、前記造水機210で生産されて移送された蒸留水を貯蔵する蒸留水貯蔵タンク(図示せず)とをさらに含めると、船舶において海水から蒸留水を生産して貯蔵する統合された形態の船舶用造水システムが構成される。
【0056】
前記造水機210の場合、海水供給管P1を介して供給された海水を加熱して水蒸気として蒸発させることにより海水に含まれた塩分などの不純物を分離する。その後、蒸発した水蒸気を凝縮する方法で純粋な蒸留水が得られる。このように、造水機210が海水を加熱できるようにするために、船舶のエンジンと造水機210を経由する循環管P3、P4が設置され、船舶の運航中に図7に示すように循環管P3、P4に沿って移送される循環水が船舶のエンジンを経由しながら熱を受けて高温になった後、造水機210の蒸発器を経由しながら海水を加熱する。このように、前記船舶用造水システムは船舶の運航中にはエンジンの廃熱を積極的に利用して海水を加熱しながら蒸留水を生産できるようにする。
【0057】
さらに、本発明による船舶用造水システムは、船舶のエンジンが停止中でる時も海水から蒸留水を生産できるように構成される。このために、前記循環管P3、P4から循環水を迂回させた後、造水機210に戻れるように循環させる迂回管P5、P6と前記迂回管P5、P6を介して循環する循環水を強制的に加熱する循環水ヒータ230がさらに設置される。前記循環管P3、P4と迂回管P5、P6が交差する地点には方向切り替えバルブをさらに設置して循環水が船舶のエンジンを経由する代わりに迂回管P5、P6を介して前記循環水ヒータ230を経由するように方向を切り替えて案内する。
【0058】
このような構成によれば、図8のように船舶が漂流または錨泊中であるためエンジンが稼動しない場合にも循環水が迂回管P5、P6を介して循環水ヒータ230を経由するようにして循環水を加熱できるようになる。これにより、循環水ヒータ230で加熱された循環水が造水機210の蒸発器を経由しながら海水を加熱して蒸留水を生産できるようになる。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は多様な変化と変更及び均等物を使用することができる。本発明は、前記実施例を適切に変形して同一に応用できることが明確である。従って、前記記載内容は下記の特許請求範囲の限界により定められる本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0060】
110:観察部材 120:ビジョンカメラ
130:中央制御器 140:バルブ制御器
150:電動バルブ 210:造水機
220:蒸留ポンプ 230:循環水ヒータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造水機で生産された蒸留水を蒸留水貯蔵タンクに供給するための蒸留水供給管の中間に連結された形態で造水機と蒸留ポンプの間に設置され、前記蒸留水供給管と連通されたチャンバを備え、外部からチャンバ内の蒸留水の状態を観察できるようにウィンドウを備える観察部材と、
前記観察部材のウィンドウを介して蒸留水の状態を撮影して映像情報を生成するビジョンカメラと、
前記ビジョンカメラで生成された映像情報に基づいて前記観察部材のチャンバに蒸留水が充満している静止状態であるか充満してなくて流れる流動状態であるかを判断する流れ判断部を含む中央制御器と、
前記流れ判断部が蒸留水の静止状態であると判断すれば電動バルブの流路を開放する開放制御信号を生成し、前記流れ判断部が蒸留水の流動状態であると判断すれば電動バルブの流路を閉鎖する閉鎖制御信号を生成して電動バルブの開閉動作を制御するバルブ制御器と、
前記蒸留水供給管の中間に連結された形態で蒸留ポンプと蒸留水貯蔵タンクとの間に設置され、前記バルブ制御器の開放制御信号及び閉鎖制御信号に応じて流路を開閉する電動バルブと、
を含むことを特徴とする船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項2】
前記中央制御器は、実際と同一の実験環境で行われる反復的な学習により、観察部材のチャンバに蒸留水が充満している静止状態の時の複数のタイプ別映像情報と、観察部材のチャンバに蒸留水が充満していなくて流れる流動状態の時の複数のタイプ別映像情報を比較モデルとして選別した後、静止状態グループと流動状態グループに分類して保存する比較モデル保存部をさらに含み、
前記流れ判断部は、前記ビジョンカメラでリアルタイムに生成される映像情報を前記比較モデル保存部から提供された比較モデルと比較して最高の正確度を有する1つの比較モデルを選定し、このように選定された比較モデルが静止状態グループに属していれば蒸留水が静止状態であると判断し、流動状態グループに属していれば蒸留水が流動状態であると判断することを特徴とする請求項1に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項3】
前記電動バルブは、安全上の理由で、流路を完全に閉鎖せずに一定の開度だけ開放した状態を初期閉鎖状態とし、前記初期閉鎖状態から前記電動バルブの流路が完全に開放された完全開放状態に到達するまで複数の段階に分け、前記開放制御信号及び閉鎖制御信号に応じて開閉動作が段階的に行われることを特徴とする請求項1に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項4】
前記観察部材は蒸留水供給管の中間に連結できるように一対のフランジを備え、前方には前記ビジョンカメラが位置する観察用前方ウィンドウが設置され、後方には前方ウィンドウに加えてチャンバ内部の照度向上のために後方ウィンドウが設置されることを特徴とする請求項1に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項5】
前記観察部材の後方付近にはチャンバ内部の照度向上のために外部照明がさらに設置されることを特徴とする請求項に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項6】
前記観察部材は、ビジョンカメラが映像情報を生成する時に後方で動く事物により干渉が発生しないように後方ウィンドウを選択的に覆うことができるようにする干渉防止用後方キャップをさらに備えることを特徴とする請求項に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項7】
前記観察部材は前方ウィンドウを覆うことができるように前方キャップをさらに備え、前方キャップの中央部には前記ビジョンカメラが設置されて前方キャップが前方ウィンドウを覆う状態で撮影できるようにすることを特徴とする請求項に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システム。
【請求項8】
塩分を含む海水を加熱して蒸発させて蒸留水を生産する造水機と、
前記造水機で生産された蒸留水をポンプして蒸留水供給管を介して移送させる蒸留ポンプと、
前記造水機で生産されて移送された蒸留水を貯蔵する蒸留水貯蔵タンクと、
前記請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の船舶用造水機の最適吐出制御システムとを含むことを特徴とする船舶用造水システム。
【請求項9】
前記造水機で海水を加熱するために、船舶のエンジンと前記造水機を経由する循環管が設置され、前記循環管に沿って移送される循環水が船舶のエンジンを経由しながら熱を受けて高温になった後、前記造水機を経由しながら海水と熱交換するようにすることを特徴とする請求項に記載の船舶用造水システム。
【請求項10】
前記循環管から循環水を迂回させた後、前記造水機に戻れるように循環させる迂回管と前記迂回管を介して循環する循環水を強制加熱する循環水ヒータがさらに設置されて、船舶の停泊中には循環水が前記迂回管を介して前記循環水ヒータを経由して循環するように迂回循環させながら前記循環水ヒータが循環水を加熱できるようにすることを特徴とする請求項に記載の船舶用造水システム。