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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108988
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】毛髪変形化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20240805BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20240805BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A61K8/898
A61Q5/04
A61K8/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023022940
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】518035145
【氏名又は名称】株式会社イングラボ
(71)【出願人】
【識別番号】518035156
【氏名又は名称】株式会社CUTICULA
(72)【発明者】
【氏名】中谷 靖章
(72)【発明者】
【氏名】一木 登紀男
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB082
4C083AC302
4C083AC582
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC772
4C083AD161
4C083AD162
4C083BB13
4C083CC34
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE25
(57)【要約】
【課題】損傷のばらつきのある毛髪に対し、カール効果又は縮毛矯正効果を有する毛髪変形化粧料を提供する。
【解決手段】グアニルシステイン及びシリコーン油を含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グアニルシステイン及びシリコーン油を含有することを特徴とする毛髪変形化粧料。
【請求項2】
グアニルシステインの含有量が、0.5質量%以上7質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪変形化粧料。
【請求項3】
シリコーン油の含有量が、0.1質量%以上5質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の毛髪変形化粧料。
【請求項4】
さらに、グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が7質量%以下で、かつ、グアニルシステインの含有量に対してグアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が10倍以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪変形化粧料。
【請求項5】
毛髪に塗布した後に、加温することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪変形化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、損傷のばらつきのある毛髪に対し、カール効果又は縮毛矯正効果を有する毛髪変形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なパーマネントウェーブは、主成分の還元剤、酸化剤の作用によりカールを形成することができる。具体的には、チオグリコール酸又はその塩、システアミン又はその塩等の還元剤を含有する第1剤をロッドに巻いた毛髪に塗布することによりケラチンタンパクに存在するジスルフィド結合を還元開裂した後、中間水洗し、過酸化水素あるいは臭素酸ナトリウム等の酸化剤を主成分とする第2剤で処理して、ジスルフィド基を酸化再形成させ、毛髪をカール状に固定する。
【0003】
一般的な加熱式パーマネントウェーブは、主成分の還元剤、酸化剤の作用及び高温での処理によりカールを形成することができる。具体的には、チオグリコール酸又はその塩、システアミン又はその塩等の還元剤を含有する第1剤を毛髪に塗布することによりケラチンタンパクに存在するジスルフィド結合を還元開裂した後、中間水洗し、加熱ロッドに巻き付け60℃~120℃での処理によりカール状にした上で、加熱ロッドをはずす前後どちらかで過酸化水素あるいは臭素酸ナトリウム等の酸化剤を主成分とする第2剤で処理して、ジスルフィド基を酸化再形成させ、毛髪をカール状に固定する。又、加熱ロッドの代わりに高温整髪用アイロンにて毛髪をカール状にした上で、過酸化水素あるいは臭素酸ナトリウム等の酸化剤を主成分とする第2剤で処理して、ジスルフィド基を酸化再形成させ、毛髪をカール状に固定する場合もある。
【0004】
一般的な縮毛矯正は、主成分の還元剤、酸化剤の作用及び高温での機械的処理によりクセを矯正することができる。具体的には、チオグリコール酸又はその塩、システアミン又はその塩等の還元剤を含有する第1剤を毛髪に塗布することによりケラチンタンパクに存在するジスルフィド結合を還元開裂した後、中間水洗し、ドライヤーなどで乾燥し、アイロンによる約180℃での機械的処理によりストレート状に伸ばした上で、過酸化水素あるいは臭素酸ナトリウム等の酸化剤を主成分とする第2剤で処理して、ジスルフィド基を酸化再形成させ、毛髪をストレート状に固定する。
【0005】
近年、酸化染毛剤にて毛髪の根元から毛先にかけて異なる明度と色味を施すグラデーションカラー、部分的にブリーチを施したウィービングやハイライト、ブリーチした後酸化染毛剤にて色味を施すダブルカラーなどのヘアデザインが広がっている。これらのヘアデザインは損傷にばらつきがある。そのため、カール形成や縮毛矯正するために、損傷の低い部分にあわせてアルカリ性~中性のパーマネントウェーブ第1剤、アルカリ性~中性の加熱式パーマネントウェーブ第1剤、アルカリ性~中性の縮毛矯正第1剤を使用するためには、損傷の高い部分に前処理剤が必要となるが、損傷の高い部分のみに前処理を行なうことは、非常に難しい上に手間と時間がかかってしまう等、課題が多い。また、損傷の高い部分にあわせて酸性のパーマネントウェーブ第1剤、酸性の加熱式パーマネントウェーブ第1剤、酸性の縮毛矯正第1剤を使用すると健康~損傷の低い部分のカール効果や縮毛矯正効果が不十分となる。従って、損傷のばらつきのある毛髪に対し、カール効果又は縮毛矯正効果を有するパーマネントウェーブ剤、加熱式パーマネントウェーブ剤、縮毛矯正剤といった毛髪変形化粧料が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、損傷のばらつきのある毛髪に対し、カール効果又は縮毛矯正効果を有する毛髪変形化粧料を提供することを目的とする。なお、本明細書の毛髪変形化粧料とは、パーマネントウェーブ第1剤、加熱式パーマネントウェーブ第1剤、縮毛矯正第1剤のことである。パーマネントウェーブ剤及び加熱式パーマネントウェーブ剤の機能であるカール効果とは、カールやウェーブ等の毛髪を変形させることを含む広義の意味である。縮毛矯正剤の機能である縮毛矯正とは、クセ毛、波状毛、縮毛、加齢によるうねりやちらつき等、損傷によるパサつきや広がり等を、矯正する、ストレート状にする、キレイにする等を含む広義の意味である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、グアニルシステイン及びシリコーン油を含有する毛髪変形化粧料が、損傷のばらつきのある毛髪に対し、カール効果又は縮毛矯正効果を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の前記毛髪変形化粧料には、作用時間を短縮するために、グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分を加えてもよい。
【0009】
本発明の前記毛髪変形化粧料を塗布した後に、作用時間を短縮し、さらにカール効果又は縮毛矯正効果を向上するために、加温してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の毛髪変形化粧料により、損傷のばらつきのある毛髪に対し、カール形成又は縮毛矯正することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の毛髪変形化粧料は、グアニルシステイン及びシリコーン油を含有する。なお、加熱式パーマネントウェーブには、加熱ロッドによるカール形成と高温整髪用アイロンによるカール形成等を含む。さらに、パーマネントウェーブ剤、加熱式パーマネントウェーブ剤、縮毛矯正剤には、化粧品分類の洗い流すヘアセット料であるカーリング料、加熱式カーリング料、ストレート料等を含む広義の意味である。以下、本発明について詳述する。
【0012】
グアニルシステインの含有量は、特に制限されない。グアニルシステインの含有量は、例えば、毛髪変形化粧料の全質量に対して、0.5質量%以上7質量%以下の範囲にあってもよく、1質量%以上3質量%以下の範囲にあってもよい。7質量%を超えて含有させても、含有量に見合った効果は期待できない。
【0013】
シリコーン油の含有量は、特に制限されない。シリコーン油の含有量は、例えば、毛髪変形化粧料の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下の範囲にあってもよく、0.5質量%以上3質量%以下の範囲にあってもよい。5質量%を超えて含有させても、含有量に見合った効果は期待できない。
グアニルシステイン及びシリコーン油の含有量を適切に調整することによって、毛髪の損傷のばらつきに応じたカール効果又は縮毛矯正効果を有する毛髪変形化粧料を得ることができる。
【0014】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。これらシリコーン油から選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
毛髪変形化粧料は、pH4.0以上9.0以下の範囲にあってもよく、pH6.0以上7.5以下の範囲にあってもよい。pH4.0未満では、加温放置しても時間がかかる。また、pH9.0を超えても見合った効果は期待できず、損傷の高い部分の損傷がさらに進む場合がある。
【0016】
pH調整には、酸及び/又は塩基が用いられる。酸としては、特に限定されるものではないが、レブリン酸やグリコール酸や乳酸等のモノカルボン酸、マレイン酸やリンゴ酸等のジカルボン酸、クエン酸等のトリカルボン酸、グルタミン酸やアスパラギン酸である酸性アミノ酸、エチドロン酸、エデト酸、フィチン酸等のキレート効果を特に有する酸等の有機酸、リン酸、塩酸等の無機酸を用いることができる。これら酸から選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基としては、特に限定されるものではないが、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基、トリエタノールアミンやイソプロパノールアミン、塩基性アミノ酸等の有機塩基を用いることができる。これら塩基から選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
さらに、グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が7質量%以下で、かつ、グアニルシステインの含有量に対してグアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が10倍以下であれば含有してもよい。グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が7質量%を超えるとカール効果及び縮毛矯正効果が低下する。グアニルシステインの含有量に対してグアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が10倍を超えて含有するとカール効果及び縮毛矯正効果が低下する。
【0018】
グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分としては、例えば、チオグリコール酸及び塩類、システイン及び塩類、アセチルシステイン、システアミン及び塩類、チオ乳酸及び塩類、チオグリセリン、チオグリコール酸システアミン、ブチロラクトンチオール、チオグリコール酸グリセリル等が挙げられる。これらグアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分から選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
毛髪変形化粧料を塗布した後に、作用時間を短縮し、さらに、カール効果又は縮毛矯正効果を向上するために、加温してもよい。具体的には、以下の通り。
毛髪変形化粧料がパーマネントウェーブ第1剤として通常ロッドを使用する場合
(1)パーマネントウェーブ第1剤塗布前後どちらかで通常ロッドに巻き付ける工程
(2)加温機、スチーマー、過熱水蒸気、加圧過熱水蒸気等にて加温放置する工程
(3)必要に応じ水洗する工程
(4)酸化する工程
(5)ロッドをはずす工程
(6)水洗する工程
毛髪変形化粧料がパーマネントウェーブ第1剤として加熱ロッドを使用する場合
(1)パーマネントウェーブ第1剤塗布前後どちらかで加熱ロッドに巻き付ける工程
(2)加熱ロッドにて加温放置する工程
(3)必要に応じ水洗する工程
(4)酸化する工程
(5)ロッドをはずす工程
(6)水洗する工程
毛髪変形化粧料が加熱パーマネントウェーブ第1剤の場合
(1)加熱パーマネントウェーブ第1剤を塗布する工程
(2)加温機、スチーマー、過熱水蒸気、加圧過熱水蒸気等にて加温放置する工程
(3)水洗する工程
(4)加熱ロッドに巻き付け加熱及び必要に応じ乾燥させる、又は、高温整髪用アイロンでカールを形成する工程
(5)加熱ロッドをはずす前後のどちらかで酸化する、又は、酸化する工程
(6)水洗する工程
毛髪変形化粧料が縮毛矯正第1剤の場合
(1)縮毛矯正第1剤を塗布する工程
(2)加温機、スチーマー、過熱水蒸気、加圧過熱水蒸気等にて加温放置する工程
(3)水洗する工程
(4)乾燥する工程
(5)毛髪矯正アイロンでストレート状にする工程
(6)酸化する工程
(7)水洗する工程
【0020】
本発明の毛髪変形化粧料は、上述した成分以外にも、通常用いられる他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で任意に添加することができる。このような成分として、例えばカチオン高分子、アニオン高分子、非イオン高分子、両性高分子、多価アルコール、糖類、アミノ酸、ペプチド、プロテイン、ビタミン類、油分、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、3級アミン化合物、フッ素化合物、アミノエチルチオコハク酸ジアンモニウム、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、増粘剤、ゲル化剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、植物抽出エキス、溶剤、防腐剤、香料、粉末成分、色素、水等を含有することができる。
【0021】
本発明の毛髪変形化粧料の剤型は、所望の効果が充分に発揮されるのであれば特に限定されないが、例えば、液状、乳液状、フォーム状、ゲル状、クリーム状などの剤型を採りうる。
【実施例0022】
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
【0023】
(実施例1~6、比較例1~3)
下記の表1に掲げた組成を有する毛髪変形化粧料を、各成分が均一になるまで撹拌混合することで調製した。
得られた毛髪変形化粧料がパーマネントウェーブ第1剤として通常ロッドを使用する場合のカール効果の評価を、以下の方法により評価した。
【0024】
また、臭素酸ナトリウムの10質量%水溶液を調製し、第2剤とする。
【0025】
<パーマネントウェーブ用試験毛束の作成>
長さが30cm、重さ10gの人毛黒髪毛束を市販の粉末タイプのブリーチ剤にて処理し、市販のシャンプーにて2回洗浄、市販のヘアトリートメントで処理し、十分にタオルドライし、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。その後、各毛束を縦方向に4等分し、隣り合わない2ケ所をアルミホイルに包み市販の粉末タイプのブリーチ剤にて処理する。こうすることで、アルミホイルで包んだ2ケ所はブリーチの影響を受けない。その後、市販のシャンプーにて2回洗浄、市販のヘアトリートメントで処理し、十分にタオルドライし、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。さらに、各毛束を市販の8レベルの酸化染毛剤にて2回処理し、市販のシャンプーにて2回洗浄し、十分にタオルドライしパーマネントウェーブ用試験毛束とした。ブリーチ2回処理部と、ブリーチ1回処理部があることで、損傷のばらつきのある毛髪とする。
【0026】
<パーマネントウェーブ処理>
パーマネントウェーブ用試験毛束を直径20mmの通常ロッドに巻き付け表1記載のパーマネントウェーブ第1剤を各10g塗布し、表1記載の通りの時間を45℃加温又は加温しないで放置する。その後、お湯で十分にパーマネントウェーブ第1剤を洗い流す。次に、第2剤を各15g塗布し、室温にて10分間放置し、毛髪を通常ロッドからはずし、お湯で十分に第2剤を洗い流す。十分にタオルドライし、コームで整え、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。
【0027】
<カール力の評価>
下記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が評価した。
<評価基準>
1.カールがほとんどない。
2.カールは弱い。
3.カールはやや弱いがきれいにかかっている。
4.カールがきれいにかかっている。
5.カールが十分にきれいにかかっている。
【0028】
<まとまりの評価>
下記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が評価した。
<評価基準>
1.損傷のばらつき間のカール差が大きく、ざらつきのある手触り。
2.損傷のばらつき間のカール差がやや大きく、ざらつきのある手触り。
3.損傷のばらつき間のカール差が少なく、ざらつきがない手触り。
4.損傷のばらつき間のカール差がほとんどなく、なめらかな手触り。
5.損傷のばらつき間のカール差がなく、非常になめらかな手触り。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例1~6に示されるように、グアニルシステイン及びシリコーン油を含有する場合、十分なカール力及びまとまりが得られた。これに対し、比較例1~3に示されるように、グアニルシステイン又はシリコーン油が含有しない場合は、カール力及び/又はまとまりが不十分であった。
【0031】
(実施例7~13、比較例4~7)
下記の表2に掲げた組成を有する毛髪変形化粧料を、各成分が均一になるまで撹拌混合することで調製した。
得られた毛髪変形化粧料がパーマネントウェーブ第1剤として加熱ロッドを使用する場合のカール効果の評価を、以下の方法により評価した。
【0032】
<パーマネントウェーブ用試験毛束の作成>
長さが30cm、重さ10gの人毛黒髪毛束を縦方向に4等分し、隣り合わない2ケ所をアルミホイルに包み市販の粉末タイプのブリーチ剤にて処理し、市販のシャンプーにて2回洗浄、市販のヘアトリートメントで処理し、十分にタオルドライし、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。こうすることで、アルミホイルで包んだ2ケ所はブリーチの影響を受けない。さらに、各毛束を市販の8レベルの酸化染毛剤にて処理し、市販のシャンプーにて2回洗浄し、十分にタオルドライしパーマネントウェーブ用試験毛束とした。ブリーチ1回処理部と、ブリーチ未処理部があることで、損傷のばらつきのある毛髪とする。
【0033】
<パーマネントウェーブ処理>
パーマネントウェーブ用試験毛束を直径20mmの加熱ロッドに巻き付け表2記載のパーマネントウェーブ第1剤を各10g塗布し、表2記載の通りの時間を50℃加温又は加温しないで放置する。その後、お湯で十分にパーマネントウェーブ第1剤を洗い流す。次に、前記第2剤を各15g塗布し、室温にて15分間放置し、毛髪を通常ロッドからはずし、お湯で十分に第2剤を洗い流す。十分にタオルドライし、コームで整え、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。
【0034】
<カール力の評価>
前記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が評価した。
【0035】
<まとまりの評価>
前記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が評価した。
【0036】
【表2】
【0037】
実施例7~13に示されるように、グアニルシステイン及びシリコーン油に加えさらに、グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が7質量%以下で、かつ、グアニルシステインの含有量に対してグアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が10倍以下である場合、十分なカール力及びまとまりが得られた。これに対し、比較例4~7に示されるように、グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が7質量%を超える場合、グアニルシステインの含有量に対してグアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が10倍を超える場合、又は、グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が7質量%以下で、かつ、グアニルシステインの含有量に対してグアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が10倍以下の場合であってもシリコーン油を含有しない場合は、カール力及び/又はまとまりが不十分であった。
【0038】
(実施例14~18、比較例8~10)
下記の表3に掲げた組成を有する毛髪変形化粧料を、各成分が均一になるまで撹拌混合することで調製した。
得られた毛髪変形化粧料を縮毛矯正第1剤として使用する場合の矯正効果の評価を、以下の方法により評価した。
【0039】
<縮毛矯正用試験毛束の作成>
天然クセ毛(インド人黒毛)を伸長時の長さが30cm、重さ3gの毛束を市販の粉末タイプのブリーチ剤にて処理し、市販のシャンプーにて2回洗浄、市販のヘアトリートメントで処理し、十分にタオルドライし、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。その後、各毛束を縦方向に4等分し、隣り合わない2ケ所をアルミホイルに包み市販の粉末タイプのブリーチ剤にて処理する。こうすることで、アルミホイルで包んだ2ケ所はブリーチの影響を受けない。その後、市販のシャンプーにて2回洗浄、市販のヘアトリートメントで処理し、十分にタオルドライし、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。さらに、各毛束を市販の8レベルの酸化染毛剤にて2回処理し、市販のシャンプーにて2回洗浄し、十分にタオルドライし縮毛矯正用試験毛束とした。ブリーチ2回処理部と、ブリーチ1回処理部があることで、損傷のばらつきのある毛髪とする。
<縮毛矯正処理>
試験毛束に、表3記載の縮毛矯正第1剤を各6g塗布し、表3記載の通りの時間を40℃加温又は加温しないで放置する。その後、お湯で十分に縮毛矯正第1剤を洗い流す。十分にタオルドライしてからドライヤーで乾燥させ、180℃に熱した毛髪矯正アイロンにて10秒間かけて毛髪をストレート状にした。次に、前記第2剤を各9g塗布し、室温にて10分間放置し、お湯で十分に2剤を洗い流す。十分にタオルドライし、コームで整え、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。
【0040】
<縮毛矯正力の評価>
下記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が評価した。
<評価基準>
1.クセの伸びが悪い。
2.クセの伸びがやや悪い。
3.クセの伸びがやや良い。
4.クセの伸びが良い。
5.クセの伸びが非常に良い。
【0041】
<まとまりの評価>
下記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が評価した。
<評価基準>
1.損傷のばらつき間の縮毛矯正差が大きく、ざらつきのある手触り。
2.損傷のばらつき間の縮毛矯正差がやや大きく、ざらつきのある手触り。
3.損傷のばらつき間の縮毛矯正差が少なく、ざらつきがない手触り。
4.損傷のばらつき間の縮毛矯正差がほとんどなく、なめらかな手触り。
5.損傷のばらつき間の縮毛矯正差がなく、非常になめらかな手触り。
【0042】
【表3】
【0043】
実施例14~18に示されるように、グアニルシステイン及びシリコーン油を含有する場合、十分な縮毛矯正力及びまとまりが得られた。これに対し、比較例8~10に示されるように、グアニルシステイン又はシリコーン油が含有しない場合は、縮毛矯正力及び/又はまとまりが不十分であった。
【0044】
(実施例19~23、比較例11~14)
下記の表4に掲げた組成を有する毛髪変形化粧料を、各成分が均一になるまで撹拌混合することで調製した。
得られた毛髪変形化粧料を縮毛矯正第1剤として使用する場合の矯正効果の評価を、以下の方法により評価した。
【0045】
<縮毛矯正用試験毛束の作成>
天然クセ毛(インド人黒毛)を伸長時の長さが30cm、重さ3gの毛束を縦方向に4等分し、隣り合わない2ケ所をアルミホイルに包み市販の粉末タイプのブリーチ剤にて処理し、市販のシャンプーにて2回洗浄、市販のヘアトリートメントで処理し、十分にタオルドライし、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。こうすることで、アルミホイルで包んだ2ケ所はブリーチの影響を受けない。さらに、各毛束を市販の8レベルの酸化染毛剤にて処理し、市販のシャンプーにて2回洗浄し、十分にタオルドライし縮毛矯正用試験毛束とした。ブリーチ1回処理部と、ブリーチ未処理部があることで、損傷のばらつきのある毛髪とする。
<縮毛矯正処理>
試験毛束に、表4記載の縮毛矯正第1剤を各6g塗布し、表4記載の通りの時間を40℃加温又は加温しないで放置する。その後、お湯で十分に縮毛矯正第1剤を洗い流す。十分にタオルドライしてからドライヤーで乾燥させ、180℃に熱した毛髪矯正アイロンにて10秒間かけて毛髪をストレート状にした。次に、前記第2剤を各9g塗布し、室温にて15分間放置し、お湯で十分に2剤を洗い流す。十分にタオルドライし、コームで整え、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。
【0046】
<縮毛矯正力の評価>
前記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が評価した。
【0047】
<まとまりの評価>
前記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が評価した。
【0048】
【表4】
【0049】
実施例19~23に示されるように、グアニルシステイン及びシリコーン油に加えさらに、グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が7質量%以下で、かつ、グアニルシステインの含有量に対してグアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が10倍以下である場合、十分な縮毛矯正力及びまとまりが得られた。これに対し、比較例11~14に示されるように、グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が7質量%を超える場合、グアニルシステインの含有量に対してグアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が10倍を超える場合、又は、グアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が7質量%以下で、かつ、グアニルシステインの含有量に対してグアニルシステイン以外のチオ―ル基を有する還元成分の含有量が10倍以下の場合であってもシリコーン油を含有しない場合は、まとまりが不十分であった。
【0050】
前記の表1に掲げた組成を有する毛髪変形化粧料を、各成分が均一になるまで撹拌混合することで調製した。
得られた毛髪変形化粧料がパーマネントウェーブ第1剤として通常ロッドを使用する場合のカール効果の評価を、以下の方法により評価した。
【0051】
<パーマネントウェーブ用試験毛束の作成>
長さが30cm、重さ10gの人毛黒髪毛束を市販の粉末タイプのブリーチ剤にて処理し、市販のシャンプーにて2回洗浄、市販のヘアトリートメントで処理し、十分にタオルドライし、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。その後、各毛束を縦方向に4等分し、隣り合わない2ケ所をアルミホイルに包み市販の粉末タイプのブリーチ剤にて処理する。こうすることで、残りの2ケ所はブリーチの影響を受けない。その後、市販のシャンプーにて2回洗浄、市販のヘアトリートメントで処理し、十分にタオルドライし、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。さらに、各毛束を市販の8レベルの酸化染毛剤にて2回処理し、市販のシャンプーにて2回洗浄し、十分にタオルドライしパーマネントウェーブ用試験毛束とした。ブリーチ2回処理部と、ブリーチ1回処理部があることで、損傷のばらつきのある毛髪とする。
【0052】
<パーマネントウェーブ処理>
パーマネントウェーブ用試験毛束を直径20mmの通常ロッドに巻き付け表1記載のパーマネントウェーブ第1剤を各10g塗布し、表1記載の通りの時間を45℃加温又は加温しないで放置する。その後、洗い流さず前記第2剤を各15g塗布し、室温にて10分間放置し、毛髪を通常ロッドからはずし、お湯で十分に第2剤を洗い流す。十分にタオルドライし、コームで整え、毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。
【0051】
<カール力の評価>
前記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が評価した。
【0053】
<まとまりの評価>
前記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が評価した。
【0054】
パーマネントウェーブ第1剤を放置後に洗い流さない処理方法でも、実施例1~6に示される十分なカール力及びまとまりと同様の結果が得られた。本工程にて、パーマネントウェーブの時間が短縮できる。