(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108990
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】金属をイオン化する方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/68 20230101AFI20240805BHJP
【FI】
C02F1/68 520Z
C02F1/68 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029092
(22)【出願日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2023012410
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】593035696
【氏名又は名称】杉本 幹生
(71)【出願人】
【識別番号】303056140
【氏名又は名称】杉本 至健
(71)【出願人】
【識別番号】303056151
【氏名又は名称】杉本 慧子
(74)【上記2名の代理人】
【識別番号】593035696
【氏名又は名称】杉本 幹生
(72)【発明者】
【氏名】杉本 幹生
(57)【要約】
【課題】従来とは異なった新規発想、金属材と炭素材の2種を擦り合わせ金属の磨耗を極力なくし単純な構造で確実に密接したり、高速擦り合わせで金属イオンの発生がプラスされ生成効率を最大限に発揮する方法を提供すること。
【解決手段】 基軸材を炭素材にし、水中において炭素材と金属材を密接させた状態で一方を固定して他方を稼働し擦り合わせ研磨する摺動で金属をイオン化する。
即ち、基軸材を炭素材とし、炭素に対して酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位に対して差があり、小さい(低い)方を金属材とする2種の密接組合せで金属が電子を失うから金属イオンが発生.生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基軸材を炭素材にし、水中において炭素材と金属材を密接させた状態で一方を固定して他方を稼働し擦り合わせ研磨する摺動で抵抗物や隙間や不純物など金属電子の流れを止める要因を挟まず効率よく金属をイオン化することを特徴とする金属をイオン化する方法。
【請求項2】
また、請求項2記載の金属をイオン化する方法は、基軸材を炭素材にし、水中において炭素材と金属材を密接させた状態で一方を固定し他方を稼働するよう圧接摩擦下で高速摺動すると、抵抗物や隙間や不純物を挟まず確実に密接し金属電子の放出も起こして金属をイオン化することを特徴とする金属をイオン化する方法。
【請求項3】
基軸材を炭素材にし、水中において炭素材と金属材を密接させた状態で両方が相対的に稼働し擦り合わせ研磨する摺動で金属をイオン化することを特徴とする金属をイオン化する方法。
【請求項4】
基軸材を炭素材にし、水中において炭素材と鉄材を密接させた状態で両方が相対的に稼働するよう圧接摩擦下で高速摺動することで鉄の電子放出も加わる鉄をイオン化することを特徴とする金属をイオン化する方法。
【請求項5】
炭素粉と金属粉粒を調合し十分混合分散した後、放電プラズマ焼結(パルス通電加圧焼結とも云う)した2枚の材を密接状態で水中において両方を相対的に稼働させるか、又は水中において一方を固定/他方を稼働するとことで摺動研磨あるいは圧接摩擦下の高速摺動で金属をイオン化することを特徴とする金属をイオン化する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属をイオン化する方法(及び金属をイオン化する装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例として、自然環境の水中で金属鉄が電子を失ってイオン化し膨大量の『無垢な2価鉄Fe++』を短時に発生、生成する技術および装置(水圏水域には発生する2価鉄イオンと反応する水、反応して錯結合2価鉄および/または2価鉄化合物を合成する様々な化学物質が溶けている水溶液の場合も含まれる。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5258171号公報
【特許文献2】特許第4710036号公報
【特許文献3】特許第6202399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1に記載の「鉄イオン溶出体」は鉄材の粉,片,粒と炭素剤の粉とを混合し水分を含む澱粉系接着剤を加え固化するため乾燥するまでの時間に鉄材は酸化したり鉄電子が炭素側に流れ、鉄の性状を失う。
また、接着剤自体が異物だから障害になり鉄電子の流れを妨げ2価鉄イオンの生成に僅かだが支障。特許文献2の「鉄キレート発生材」は配合するキレート剤の粉,粒が鉄材と炭素剤の間に介在して分離と抵抗物になると共に溶ければ隙間となるから、キレート剤の量だけ鉄電子が炭素側に流れない。
さらに、特許文献3の「水液中粉体製造方法」は鉄材も炭素材も研削.粉砕され早期消耗材になる。
点も解決課題であった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、
基軸材を炭素材とし、炭素の酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位に対して差があり、小さい(低い)方を金属材とする2種の密接組合せ間に電位差による局部電池形成で金属の電子が不可逆的に電気陰性度の大きい(高い)炭素材へ奪取されて電子を失い、金属に陽子が余った分だけ金属イオンとなって発生.生成する。
で金属が電子を失い金属イオンが発生.生成する原理だから、炭素と金属の間に抵抗物も隙間も不純物も介在が絶対禁物。
故に、《摺動研磨》或は《高速摺動摩擦》ならば極微量の磨耗で確実に密接し金属イオンを発生する。なお、制止状態でも炭素と金属が密に接触していれば金属イオンを溶出する。
炭素と金属を離せば金属イオンは発生しないから生成,停止ができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の金属をイオン化する方法は、基軸材を炭素材にし、水中において前記炭素材と炭素材の電気陰性度より低い金属材を密接させた状態で一方を固定して他方を稼働し擦り合わせ研磨する摺動で抵抗物や隙間や不純物など金属電子の流れを止める要因を挟まず効率よく金属をイオン化することを特徴とする手段とした。
【0007】
また、請求項2記載の金属をイオン化する方法は、基軸材を炭素材にし、水中において前記炭素材と炭素材の酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位より低い金属材を密接させた状態で一方を固定し他方を稼働するよう圧接摩擦下で高速摺動すると、抵抗物や隙間や不純物を挟まず確実に密接し金属電子の放出も起こして金属をイオン化することを特徴とする手段とした。
【0008】
また、請求項3記載の金属をイオン化する方法は、基軸材を炭素材にし、水中において前記炭素材と炭素材の酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位より低い金属材を密接させた状態で両方が相対的に稼働し擦り合わせ研磨する摺動で金属をイオン化することを特徴とする手段とした。
【0009】
また、請求項4記載の金属をイオン化する方法は、基軸材を炭素材にし、水中において炭素材と鉄材を密接させた状態で両方が相対的に稼働するよう圧接摩擦下で高速摺動することで鉄の電子放出も加わって鉄をイオン化することを特徴とする手段とした。
【0010】
また、請求項5記載の金属をイオン化する方法は、炭素粉と炭素材の酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位より低い金属粉粒を調合し十分混合分散した後、放電プラズマ焼結(パルス通電加圧焼結とも云う)した2枚の材を密接状態で水中において両方を相対的に稼働させるか、又は、水中において一方を固定/他方を稼働して摺動研磨あるいは圧接摩擦下の高速摺動で金属をイオン化することを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の金属をイオン化する方法にあっては、上述のように、基軸材を炭素材にし、水中において前記炭素材と炭素材の酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位より低い金属材を密接させた状態で一方を固定して他方を稼働し擦り合わせ研磨する摺動で金属をイオン化することで、以下の効果が得られる。
即ち、基軸材を炭素材とし、炭素に対して酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位に対して差があり、小さい(低い)方を金属材とする2種の密接組合せ間に電位差による局部電池形成で金属の電子が不可逆的に電気陰性度の大きい(高い)炭素材へ奪取されて電子を失い、金属に陽子が余った分だけ金属イオンとなって発生.生成する。
【0012】
また、水が冷却と潤滑の役割を兼ねながら、数多くある金属の中でも炭素より酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位が低く小さい金属で電位差や電気陰性度差が広く大きい程、この技術ならば容易かつ効率的にイオン化することができる。
【0013】
また、炭素材と金属材の研削でなく、擦り合わせの研磨だから消耗量は極めて少なく,電位差や電気陰性度差によって金属材の電子が炭素材に流れ奪われて金属イオンが生まれる原理だから、炭素材の金属電子受容限界量で金属のイオン発生量が決まることになる。なお、制止状態でも密接で金属イオンを溶出する。
【0014】
請求項2記載の金属をイオン化する方法にあっては、上述のように、基軸材を炭素材にし、水中において前記炭素材と炭素材の酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位より低い金属材を密接させた状態で一方を固定して他方を稼働するよう圧接摩擦下で高速摺動することで、例えば、圧接しつつ高速で摺動と摩擦を繰り返す金属鉄から鉄電子が放出するクラマー効果が加わる為、鉄に陽子が余り安定する為に鉄イオンとなって溶出し、より一層の無量の「無垢でラジカルな2価鉄イオン」が水中へ放出される。
【0015】
つまり、金属電子の放出も加わって金属のイオン化を促進することができる。
また、高速摺動摩擦によるクラマー効果の電子放出でも起こる金属イオン発生だから、金属電子が全て喪失するまで継続する。
【0016】
請求項3記載の金属をイオン化する方法にあっては、上述のように、基軸材を炭素材にし、水中において前記炭素材と炭素材の酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位より低い金属材を密接させた状態で両方が相対的に稼働し擦り合わせ研磨する摺動で金属をイオン化する、つまり、炭素材と金属材の研削でなく、擦り合わせの研磨だから消耗量は極めて少なく、電位差や電気陰性度差による局部電池形成で金属材の電子が炭素材に不可逆に流れ奪われて金属イオンが生まれる原理だから、炭素材の金属電子受容限界量で金属のイオン発生量が決まる。
【0017】
請求項4記載の金属をイオン化する方法にあっては、上述のように、基軸材を炭素材にし、水中において前記炭素材と炭素材の酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位より低い鉄材を密接させた状態で両方が相対的に稼働するよう圧接摩擦下で高速摺動することで、例えば、圧接しつつ高速で
摺動と摩擦をする鉄材から鉄電子が放出するクラマー効果が加わる為、より一層無量の「無垢でラジカルな鉄イオン」が水中へ放出される。つまり、鉄の電子放出も加わって鉄のイオン化を促進することができる。
【0018】
請求項5記載の金属をイオン化する方法にあっては、上述のように、炭素粉と炭素材の酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位より低い金属粉粒を調合し十分混合分散した後、放電プラズマ焼結(パルス通電加圧焼結とも云う)した2枚の材を密接状態で水中において両方を相対的に稼働させるか、又は、水中において一方を固定/他方を稼働して摺動研磨あるいは圧接摩擦下の高速摺動で金属をイオン化することで、単純に炭素材と金属材を摺動や高速摺動すれば当接する双方の面は常に新しく炭素材と金属材の2種は確実に密接し金属電子の流れを妨害,阻害しないから抵抗がない。
【0019】
例えば、摺動や高速摺動による鉄材と炭素材は極わずか磨耗は発生するが2価鉄イオンの発生.生成量にほとんど影響を与える磨耗量ではない。
なお、摺動や高速摺動によって「摺動研磨」や「圧接下の高速摺動摩擦」による〈全く鉄電子の流れを阻害しない効果〉および〈高速摺動摩擦で鉄から電子放出して2価鉄イオンを発生する効果〉が加わる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施例1の金属をイオン化する装置を示す平面図である。
【
図2】実施例1の金属をイオン化する装置を示す正面図である。
【
図5】実施例2の金属をイオン化する装置を示す平面図である。
【
図6】実施例3の金属をイオン化する装置を示す正面図である。
【
図7】実施例4の金属をイオン化する装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下にこの発明の実施例を説明する。
【実施例0022】
先ず、この実施例1の金属をイオン化する装置は、基軸材を炭素材1にし、水中において前記炭素材1と炭素材1の酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位より低い金属材2を密接させた状態で一方を固定して他方を稼働し擦り合わせ研磨する摺動で金属をイオン化する。
次に、この実施例1の金属をイオン化する装置を
図1~4に基づいて説明する。
なお、この実施例1では、一方の円盤状の炭素材1を固定し、羽車3と水力を動力として他方の金属材2を炭素材1の上に重ねて回転させる場合について説明する。
さらに詳述すると、前記羽車3は、円盤状の合成樹脂板で構成され、
図2に示すように放射状に切り込まれた線の一方側の片を全て上に90度以上折り起こして複数の羽3aを形成し、もう一方の片3bを全て少し下に90度折り曲げて金属材2に形成した溝2aに差し込み固定することにより、羽車3を金属材1に固定する。
金属をイオン化する装置は、
図1に示すように、方形の筒状ケース4内に収容され、羽車3の回転軸3cは筒状ケース4の背面支持バー4aに回転自在に軸支され、炭素材1は、筒状ケース4の正面支持バー4bに固定されている。そして羽車3の回転軸3cに装着されたコイルスプリング3dにより羽車3を介して金属材2を炭素材1に所定の圧力で押し付けている。
また、炭素材1と金属材1の当接面に水の流れが生じるように、炭素材1に密接する金属材2の面には、
図3に示すように凹凸面を形成する縦横の溝2aが形成され、金属材2に密着する炭素材1の面には
図4に示すように凹凸面を形成する縦横の溝1aが形成されている。
【0023】
次に、この実施例1の作用を説明する。
この実施例1の金属をイオン化する装置は、上述のように構成されるため、この金属をイオン化する装置を水流のある水中に没し、又は海水中において船などで牽引することで、羽車3が水流を受けて金属材2を回転させ、筒状ケース4に固定された炭素材1との密接摺り合わせ研磨が生じ、水中又は海水中に金属イオンを放出する。
【0024】
次に、この実施例1の効果を説明する。
この実施例1の金属をイオン化する装置は、上述のように、基軸材を炭素材1にし、水中において炭素材1と金属材2を密接させた状態で一方を固定して他方を稼働するように圧接摩擦下で高速摺動で金属をイオン化することで、以下の効果が得られる。
即ち、基軸材を炭素材1とし、炭素に対して酸化還元電位及び/又は電気陰性度及び/又は標準電極電位に対して差があり、小さい(低い)方を金属材2とする2種の密接組合せで金属が電子を失うから金属イオンが発生.生成する。
即ち、圧接しつつ高速で摺動と摩擦をする金属から金属電子が放出するクラマー効果が加わる為、より一層無量の「無垢でラジカルな金属イオン」が水中へ放出される。
【0025】
また、水が冷却と潤滑の役割を兼ねながら、数多くある金属の中でも炭素より電位や電気陰性度が低く小さい金属で電位差や電気陰性度差が広く大きい程、この技術ならば容易かつ効率的にイオン化することができる。
【0026】
また、炭素材と金属材の研削でなく、擦り合わせの研磨だから消耗量は極めて少なく,電位差や電気陰性度差によって金属材の電子が炭素材に流れ奪われて金属イオンが生まれる原理だから、炭素材の金属電子受容限界量或は金属から金属電子が全て喪失することで金属イオン発生量が決まることになる。なお、制止状態でも密接で金属イオンを溶出する。
この実施例2の金属をイオン化する装置は、基軸材を炭素材1にし、水中において炭素材1と金属材を2密接させた状態で両方が相対的に稼働し擦り合わせ研磨する摺動で金属をイオン化する点が前記実施例1とは異なる。なお、実施例1と同様の構成部分には同一の符号を付してその説明を省略する。