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特開2024-108999光ファイバセンサ及びそれを用いた計測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108999
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】光ファイバセンサ及びそれを用いた計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 9/02015 20220101AFI20240805BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G01B9/02015
G01B11/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098884
(22)【出願日】2023-06-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2023013351
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390000804
【氏名又は名称】白山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【弁理士】
【氏名又は名称】安形 雄三
(72)【発明者】
【氏名】池田 敏晴
(72)【発明者】
【氏名】山手 勉
(72)【発明者】
【氏名】西條 正志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 稔
【テーマコード(参考)】
2F064
2F065
【Fターム(参考)】
2F064AA01
2F064DD02
2F064DD08
2F064EE01
2F064FF01
2F064GG02
2F064GG17
2F064GG24
2F064GG33
2F064GG52
2F065AA02
2F065AA06
2F065EE01
2F065FF52
2F065LL02
2F065LL33
(57)【要約】
【課題】3×3光カプラを用いた安価な構成で、外的影響を受けることなく精度の高い変位計測が可能な光ファイバセンサ及びそれを用いた計測システムを提供する。
【解決手段】レーザパルスを第1光カプラを経て第2光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離し、参照経路の端部に第1FRMを備えると共に、計測経路の端部に第2FRMを備え、第1FRMの参照反射光及び第2FRMの計測反射光が第2光カプラで干渉し3相に変換され、1相目パルスは、第1光カプラを経て光合成部に伝送され、2相目パルスは、第1遅延部を経て光合成部に伝送され、3相目パルスは、第2遅延部を経て光合成部に伝送され、光合成部から時分割パルス列が出力される光ファイバセンサである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源からのレーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離し、前記参照経路の端部に第1のFRMを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のFRMを備え、前記第1のFRMの参照反射光及び前記第2のFRMの計測反射光が前記第2の光カプラで干渉し3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成であることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項2】
前記レーザパルスの伝送を全てSMファイバで行うようになっている請求項1に記載の光ファイバセンサ。
【請求項3】
前記第2の遅延部の遅延時間が、第1の遅延部の遅延時間より長くなっている請求項1又は2に記載の光ファイバセンサ。
【請求項4】
請求項1に記載の前記時分割パルス列の波高値を計測することにより、前記計測対象の変位を計測することを特徴とする計測システム。
【請求項5】
レーザ光源からのレーザパルスを第1のPMファイバにより、偏光子及び第1のPM光カプラを経て第2のPM光カプラに伝送し、前記第2のPM光カプラにおいて、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離して第2のPMファイバにより伝送し、前記参照経路の端部に第1のミラーを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のミラーを備え、前記第1のミラーの参照反射光及び前記第2のミラーの計測反射光が前記第2のPM光カプラで干渉し3相に変換され、
前記変換された1相目パルスは、前記第1のPM光カプラを経て第3のPMファイバで出力され、前記第3のPMファイバに接続された第1のSMファイバで光合成部に伝送され、
前記変換された2相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第4のPMファイバで出力され、前記第4のPMファイバに接続された第2のSMファイバで第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、
前記変換された3相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第5のPMファイバで出力され、前記第5のPMファイバに接続された第3のSMファイバで第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、
前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成であることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項6】
前記第2の遅延部の遅延時間が、第1の遅延部の遅延時間より長くなっている請求項5に記載の光ファイバセンサ。
【請求項7】
請求項5に記載の前記時分割パルス列の波高値を計測することにより、前記計測対象の変位を計測することを特徴とする計測システム。
【請求項8】
それぞれが計測対象を含むn(≧2)個の干渉計に計測用パルスを伝送し、前記n個の干渉計からの前記計測対象の各変位に応じたTDMパルス列を光合成して出力する光ファイバセンサであり、
レーザパルスを前記計測用パルス及び遅延用パルスの2相に変換する(n-1)個の光カプラが設けられ、初段の光カプラはレーザ光源からのレーザパルスを入力し、2段目から(n-1)番目の光カプラは、前段からの前記遅延用パルスを遅延部を経て入力し、
n番目の光カプラは、(n-1)番目の光カプラからの前記遅延用パルスをn番目の前記干渉計に伝送して入力し、
前記n個の干渉計から出力される各TDMパルス列を順次追加的に光合成して多重TDMパルス列を出力する構成であることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項9】
前記n個の干渉計のそれぞれが、
前記レーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離し、前記参照経路の端部に第1のFRMを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のFRMを備え、前記第1のFRMの参照反射光及び前記第2のFRMの計測反射光が前記第2の光カプラで3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成である、
請求項8に記載の光ファイバセンサ。
【請求項10】
前記n個の干渉計のそれぞれが、
前記レーザパルスを第1のPMファイバにより、偏光子及び第1のPM光カプラを経て第2のPM光カプラに伝送し、前記第2のPM光カプラにおいて、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離して第2のPMファイバにより伝送し、前記参照経路の端部に第1のミラーを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のミラーを備え、前記第1のミラーの参照反射光及び前記第2のミラーの計測反射光が前記第2のPM光カプラで3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1のPM光カプラを経て第3のPMファイバで出力され、前記第3のPMファイバに接続された第1のSMファイバで光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第4のPMファイバで出力され、前記第4のPMファイバに接続された第2のSMファイバで第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第5のPMファイバで出力され、前記第5のPMファイバに接続された第3のSMファイバで第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成である、
請求項8に記載の光ファイバセンサ。
【請求項11】
請求項8に記載の前記多重TDMパルス列の波高値を計測することにより、前記n個の計測対象の各変位を計測することを特徴とする計測システム。
【請求項12】
レーザ光源からのレーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分岐し、前記参照経路の前記第2の光カプラの分岐先端に第1のミラーを備えると共に、前記計測経路の前記第2の光カプラの分岐先端にコリメータレンズを備え、
前記第2の光カプラと前記計測対象とで空間結合を形成すると共に、計測光を反射する第2のミラーを備え、
前記コリメータレンズからのレーザパルスは前記空間結合を経て前記計測対象に入射し、第2のミラーで反射された信号光が前記第2の反射光と干渉し、第2の光カプラで3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成であることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項13】
レーザ光源からのレーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分岐し、前記参照経路の前記第2の光カプラの分岐先端に端面ミラーを備えると共に、前記計測経路の前記第2の光カプラの分岐先端にコリメータ領域を備え、
前記第2の光カプラの入出力部と前記計測対象のプリズムミラーとで空間結合を形成し、
前記参照経路のレーザパルスは、前記端面ミラーで反射されて前記第2の光カプラに戻され、前記コリメータ領域からの出力レーザパルスは前記空間結合のプリズムミラーを経て前記端面ミラーに入射し、前記端面ミラーで反射された信号光が前記プリズムミラーを経て前記コリメータ領域に入力されて前記第2の光カプラに戻され、前記第2の光カプラで3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成であることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の前記時分割パルス列の波高値を計測することにより、前記計測対象の変位を計測することを特徴とする計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遅延回路を用いた位相シフト光パルス方式の代わりに、干渉計を有するセンサ部に3×3光カプラを用いて位相情報を抽出し、3出力を時分割多重化(TDM: Time Division Multiplexing)により1出力のパルス列にして、伝送経路の影響を低減するようにした光ファイバセンサ及びそれを用いた計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバセンサは、光センサ部分を無電源化できるなどの理由で、従来の電気センサに比べ、電磁環境の悪い場所、温度環境の悪い場所への適用に優れ、かつ光ファイバの低損失特性により、遠距離のセンシングにも優れた特性を発揮できる。このため、光ファイバを用いた各種センサが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5118004号公報
【特許文献2】特許第5702623号公報
【特許文献3】特許第6002329号公報
【特許文献4】特開2018-9896号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Real-time displacement measurement system using phase-shifted optical pulse interferometry: Application to a seismic observation system, Minoru Yoshida et al 2016 Jpn. J. Appl. Phys. 55 022701
【非特許文献2】A symmetric 3x3 coupler based demodulator for fiber optic interferometric sensors David A. Brown, Charles B. Cameron, Robert M. Keolian, David L. Gardner, and Steven L. Garrett.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のホモダイン方式では、干渉入力となる参照光及び計測光の強度変動と、干渉出力の光の強度変動とが、干渉出力信号の誤差となる欠点があった。また、従来のホモダイン方式では、参照光と計測光の位相関係が、位相差90度に動作点を置くことが、最も直線性の良い設定となる。しかしながら、参照光と計測光の光路長を一定に保つには、高い工作精度を要すると共に、熱膨張に対しても一定の関係を保つ必要があるなど、製造上の難しさがあった。さらに、従来のホモダイン方式では、参照光と計測光の位相差を90度に置き、位相変動の最大は±90度であり、これを超えることは原理上不可能であった。
【0006】
このような従来のホモダイン方式の問題点を解決する手法として、特許文献1~4に示されるような位相シフト光パルスを用いたリアルタイム変位計測手法が提案されているが、干渉計の一方に遅延線が必要なため、環境変動による遅延線の特性変化で、性能が劣化してしまう問題がある。
【0007】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、位相シフト光パルスを用いたリアルタイム変位計測性能の外的影響を低減させるため、3×3光カプラを用いた安価な構成で、外的影響を受けることなく精度の高い変位計測が可能な光ファイバセンサ及びそれを用いた計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は光ファイバセンサに関し、本発明の上記目的は、レーザ光源からのレーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離し、前記参照経路の端部に第1のFRMを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のFRMを備え、前記第1のFRMの参照反射光及び前記第2のFRMの計測反射光が前記第2の光カプラで干渉し3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成であることにより、
或いは、
レーザ光源からのレーザパルスを第1のPMファイバにより、偏光子及び第1のPM光カプラを経て第2のPM光カプラに伝送し、前記第2のPM光カプラにおいて、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離して第2のPMファイバにより伝送し、前記参照経路の端部に第1のミラーを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のミラーを備え、前記第1のミラーの参照反射光及び前記第2のミラーの計測反射光が前記第2のPM光カプラで干渉し3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1のPM光カプラを経て第3のPMファイバで出力され、前記第3のPMファイバに接続された第1のSMファイバで光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第4のPMファイバで出力され、前記第4のPMファイバに接続された第2のSMファイバで第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、前記第2の光カプラから第5のPMファイバで出力され、前記第5のPMファイバに接続された第3のSMファイバで第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成であることにより達成される。
【0009】
また、本発明は、それぞれが計測対象を含むn(≧2)個の干渉計に計測用パルスを伝送し、前記n個の干渉計からの前記計測対象の各変位に応じたTDMパルス列を光合成して出力する光ファイバセンサに関し、本発明の上記目的は、レーザパルスを前記計測用パルス及び遅延用パルスの2相に変換する(n-1)個の光カプラが設けられ、初段の光カプラはレーザ光源からのレーザパルスを入力し、2段目から(n-1)番目の光カプラは、前段からの前記遅延用パルスを遅延部を経て入力し、n番目の光カプラは、(n-1)番目の光カプラからの前記遅延用パルスをn番目の前記干渉計に伝送して入力し、前記n個の干渉計から出力される各TDMパルス列を順次追加的に光合成して多重TDMパルス列を出力する構成であることにより達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光ファイバセンサ及びそれを用いた計測システムによれば、遅延回路を用いた位相シフト光パルス方式に代え、計測対象(例えば加速度センサ)を含む干渉計を有するセンサ部に、3×3光カプラを用いて位相情報を抽出し、反射された3出力をTDMにより1出力のパルス列にして計測している。このため、光伝送経路の影響を確実に、かつ効率的に除去することができる。計測出力をTDMにより1出力のパルス列としているので、反射光の3本の干渉計出力を1本の光ファイバに収容することができ、複数の光ファイバの特性差による信号強度の変動を、構成面から低減できる利点がある。また、TDMにより1出力としているので、光/電気(OE)変換素子を1個で構成することができ、光/電気変換素子の特性差による信号強度、周波数特性の影響を大きく低減できる利点がある。更に、複数の干渉計出力をそれぞれTDM化して1本化することにより、長距離伝送、多チャンネル化に有利となる。
【0011】
干渉計の2つの干渉経路(参照経路及び計測経路)の距離を等しくすることで、光源の波長変動や干渉計の環境要因による影響(温度変化、屈折率変化による光路長の変動等)を小さくできる利点がある。また、2つの干渉経路を短くすることができると共に、パルス幅は任意に設定でき、高速高精度のAD変換器が不要となり、比較的安価な構成となる。
【0012】
更に3×3カプラを用いる方法の応用として、SM(Single Mode)ファイバを用いた干渉計の代わりに、PM(Polarization Maintaining)ファイバを用いてFRM(Faraday Rotator Mirror)を用いない干渉計を構築することができ、この場合には高温動作や広範囲な温度領域で動作可能であり、小型のセンサを実現できる。更に、光源送信側伝送ファイバのみに高価なPMファイバを用いて偏波状態を一定にし、干渉波形受信側伝送ファイバには安価なSMファイバを用いて、光伝送経路のコスト削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態を示すブロック構成図である。
図2】本発明の第1実施形態の動作例を示すフローチャートである。
図3】本発明の第2実施形態を示すブロック構成図である。
図4】本発明の第3実施形態を示すブロック構成図である。
図5】本発明の第3実施形態の動作例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1変形例を示す一部構成図である。
図7】本発明の第2変形例を示す一部構成図である。
図8図7の構成を示す模式図である。
図9】光ファイバブロックを説明するための略式図である。
図10】本発明の効果を示す特性図である。
図11】本発明の効果を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、位相シフト光パルスを用いたリアルタイム変位計測における外的影響の低減を図るため、特に偏波特性、温度変動、光源波長変動及び伝送路の影響を考慮した構成としている。そこで、光ファイバセンサにおける偏波特性、温度変動、光源波長変動及び伝送路の影響について検討する。
【0015】
先ず偏波特性の影響について検討する。光(レーザ光)がSM(Single Mode)ファイバを伝搬すると、偏波状態がランダムに変動するが、光の分岐から干渉までの偏波状態の変動は位相変化と同じであり、性能低下の原因となる。この偏波状態の変動を除去するため、FRM(Faraday Rotator Mirror)を使用することが考えられるが完全ではなく、干渉計の2つの干渉経路(参照経路及び計測経路)のファイバの長さが長いほどこの影響は大きく、また、FRMはセンサの小型化を制限することになる。一方、位相シフト光パルス方式では位相差を作り出すため、干渉計の2つの干渉経路をある程度の長さとする必要があり、余り短くすることができない。SMファイバに代えてPM(Polarization Maintaining)ファイバで構成することで偏波状態は安定し、しかもFRMが不要となって安価なミラーで代用できるが、PMファイバを使用するためにシステム構成全体のコストが高くなる問題がある。
【0016】
次に、温度変動の影響について検討する。温度によりSMファイバの長さと屈折率が変化し、レーザ光の位相が変化する。干渉計の2つの干渉経路(参照経路及び計測経路)の温度差は位相変動の要因となり、性能低下の大きな原因となっている。そのため、できるだけ2つの干渉経路の温度差を小さくすることが重要であるが、2つの干渉経路の長さが異なる場合は、配線場所が相違することから温度差の影響は無視できない。
【0017】
光源波長の変動の影響について検討すると、干渉計の2つの干渉経路の長さが等しい場合は、干渉は波長変動の影響を受けない。しかし、2つの干渉経路の長さに差がある場合は、波長変動は位相変動となり、性能低下の要因となる。
【0018】
最後に、伝送経路の影響について検討する。干渉計の2つの干渉経路の光ファイバのいずれかに振動や圧力、温度が加えられると、屈折率の変化等により位相差が生じる。そのため、2つの干渉経路は、できる限り振動や圧力、温度の変化を受けない構造である必要がある。そして、振動や圧力、温度の変化を受けた場合でも、2つの干渉経路の同一の場所が、同様の影響を受けるような構造であれば、相互にキャンセルされて温度等の影響を軽減することができる。
【0019】
以上のことから、位相シフト光パルス方式の光ファイバセンサの性能向上のためには、2つの干渉経路(参照経路及び計測経路)の長さの差を小さくすることが有利である。しかし、これは光パルスの幅と間隔を狭くすることになり、干渉信号を取得して変位を計測するために、より高速高精度のAD(Analog to Digital)変換器や、高い周波数まで動作する電気回路が必要となり、性能向上が限界となる。加えて構成が高価になるという問題を生じる。ここにおいて、3×3光カプラを用いた干渉計は、上記性能向上の限界や価格の問題を解決することができる。
【0020】
更にレーザ光をパルス化し、TDM技術を組み合わせた方式とすれば、出力を1本とすることができるので、性能向上と低コスト化を図ることができる。更にまた、3×3光カプラ方式の利点を維持して、干渉計をPMファイバで構成することで、干渉計にFRMが不要となり、安価なミラーで代用することができ、高温動作仕様、センサの小型化が可能になる。また、光源レーザ伝送ケーブルのみにPMファイバを用い、干渉計の光伝送ケーブルにSMファイバを用いることで、システムの価格を下げることができる。
【0021】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は本発明の第1実施形態を示しており、レーザ光源10と2×2光カプラ11とはSMファイバF1で接続され、2×2光カプラ11と3×3光カプラ12とはSMファイバF2で接続されている。3×3光カプラ12には干渉計を構成する2系列のSMファイバF3及びF4、F4’が接続され、SMファイバF3は参照経路を構成し、SMファイバF4及びF4’は計測経路を構成している。SMファイバF3及びF4’の先端部にはそれぞれ、空間結合のプリズムを介してFRM13及び14が接続され、計測経路のSMファイバF4及びF4’の中途部に計測対象としての加速度センサ20が配置され、加速度センサ20の相対変位dを光学的に計測するようになっている。加速度センサ20は、プリズムミラー21を備えている。また、3×3光カプラ12と光合成部15との間には、遅延部DL1(例えば遅延時間τ)を有するSMファイバF5と、遅延部DL2(例えば遅延時間2τ)を有するSMファイバF6とが並列に接続され、光合成部15と2×2光カプラ11との間にはSMファイバF7が接続されている。そして、光合成部15には、出力線となる1本のSMファイバF8が接続され、その先端部にパルス列の光信号を電気信号に変換する光/電気(OE)変換器16が接続されている。
【0023】
なお、光合成部15は3×3光カプラで構成することができる。また、遅延部DL1の遅延時間τ、遅延部DL2の遅延時間2τは例示であり、適宜変更可能である。
【0024】
このような構成において、その動作例を図2のフローチャートを参照して説明する。
【0025】
先ず、レーザ光源10からレーザパルスL1が発信され(ステップS1)、レーザパルスL1はSMファイバF1で伝送され、2×2光カプラ11を経てレーザパルスL2として、SMファイバF2で3×3光カプラ12に伝送される(ステップS2)。レーザパルスL2は3×3光カプラ12で干渉用の2相のレーザパルスL3及びL4に分岐され(ステップS3)、それぞれ参照経路のSMファイバF3及び計測経路のSMファイバF4及びF4’で伝送される。参照用のレーザパルスL3は端部のFRM13で反射され、参照反射レーザパルスL5として同じSMファイバF3を逆方向に伝送される(ステップS4)。また、分岐された計測用のレーザパルスL4は、加速度センサ20の計測部を経て伝送され(ステップS5)、その後、SMファイバF4’の端部のFRM14で反射され(ステップS6)、計測反射レーザパルスL6としてSMファイバF4’及びF4を逆方向に伝送され、加速度センサ20の計測部を経て3×3光カプラ12に伝送される(ステップS7)。
【0026】
SMファイバF3及びF4でそれぞれ返送された参照反射レーザパルスL5及び計測反射レーザパルスL6は3×3光カプラ12に伝送され、3×3光カプラ12で干渉を生じ、3×3光カプラ12は3相のレーザパルスL7、L8、L9に変換する(ステップS10)。ここにおいて、参照反射レーザパルL5と計測反射レーザパルスL6の位相差をφとし、直流オフセットを表わす定数をC、交流振幅を表わす定数をBとした場合、3×3光カプラ12での2相から3相への変換は、下記数1に従って行われる。
(数1)
L7=C+B・cos(φ)
L8=C+B・cos(φ+2π/3)
L9=C+B・cos(φ-2π/3)

変換された1相目のレーザパルスL7は、SMファイバF2で2×2光カプラ11に伝送され(ステップS11)、更に2×2光カプラ11からのSMファイバF7でレーザパルスL7A(波高値X1)として光合成部15に伝送される(ステップS12)。また、変換された2相目のレーザパルスL8(波高値X2)はSMファイバF5により伝送され(ステップS13)、遅延部(遅延時間τ)DL1を経て光合成部15に伝送され(ステップS14)、変換された3相目のレーザパルスL9(波高値X3)はSMファイバF6により伝送され(ステップS15)、遅延部(遅延時間2τ)DL2を経て光合成部15に伝送される(ステップS16)。
【0027】
光合成部15は、伝送されて来たレーザパルスL7A、L8及びL9を合成(論理OR)するが(ステップS20)、レーザパルスL8及びL9は、レーザパルスL7Aに比べてそれぞれ遅れ時間τ及び2τだけずれているので、光合成部15の出力パルス列PT1は時分割された形態となっている。出力パルス列PT1は光/電気変換器16に入力されて電気信号に変換され(ステップS21)、演算部等で各パルスの波高値X1、X2,X3を計測することによって、加速度センサ20の相対変位dが演算される(ステップS22)。
【0028】
上述の第1実施形態では光ファイバを全てSMファイバとし、光反射部材としてFRMを用いる構成としているが、一部にPMファイバを用いた混合構成例(第2実施形態)を、図1に対応させた図3に示して説明する。
【0029】
第2実施形態では図3に示すように、干渉計内の破線で囲んだSMファイバ系のみにSMファイバを使用し、他は全てPMファイバとしており、SMファイバ系の境界部をSM-PM接合40~42で接続している。SM-PM接合40~42には、コネクタなどの公知技術を適用できる。また、レーザ光源10から発信されたレーザパルスL1の入力経路には偏光子30が挿入されており、PMファイバによる長距離伝送で生じる微小な偏波揺らぎを除去するようになっている。SMファイバ系以外の領域では全てPMファイバを使用しているため、第1実施形態の2×2光カプラ11に代えて偏波面保存光カプラ31を使用し、3×3光カプラ12に代えて偏波面保存光カプラ32を使用している。更に、PMファイバを使用しているためFRMは不要であり、干渉計の参照経路及び計測経路の端部にそれぞれ一般的なミラー33及び34を配置している。
【0030】
第2実施形態はこのような構成であり、その動作は第1実施形態における図2と同様である。即ち、SMファイバで成る第1実施形態における伝送路の一部が、PMファイバに置き換わっただけであり、レーザパルスの流れと動作は第1実施形態と同様である。
【0031】
次に、複数の計測対象を時分割多重化で同時に計測する第3実施形態を、図4に示して説明する。図4では計測対象として3個の干渉計100,110及び120を示しているが、これに限定されるものではない。干渉計100,110及び120は同じ構成であり、図1におけるセンサ側(干渉計)の構成と同様である。
【0032】
レーザパルスL10を発信するレーザ光源101は、SMファイバF10で光カプラ102に接続され、光カプラ102と干渉計100とはSMファイバF11で接続されると共に、光カプラ103とは遅延部DL10を経てSMファイバF12で接続されている。また、干渉計100のTDM出力はSMファイバF14で光合成部104と接続され、光カプラ103と干渉計110とはSMファイバF15で接続されると共に、干渉計120とは遅延部DL11を経てSMファイバF18で接続されている。干渉計110のTDM出力はSMファイバF16で光合成部104と接続され、光合成部104の合成出力はSMファイバF17で光合成部106と接続されている。干渉計120のTDM出力はSMファイバF20で光合成部106に接続され、光合成部106の合成出力はSMファイバF21で光/電気変換器107に接続されている。
【0033】
このような構成において、その動作例を図5のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
先ず、レーザ光源101から発信されたレーザパルスL10は、SMファイバF10で光カプラ102に伝送され(ステップS100)、光カプラ102において計測用パルスL11及び遅延用パルスL12の2相のパルスに変換される(ステップS101)。光カプラ102からの計測用パルスL11は、SMファイバF11で干渉部100に伝送され、干渉部100において第1実施形態で説明したと同様な動作が実行され(ステップS110)、干渉部100から時分割のパルス列PT10が出力され、SMファイバF14で光合成部104に伝送される(ステップS111)。また、光カプラ102からの遅延用パルスL12は遅延部DL10を経て(ステップS102)、SMファイバF12で光カプラ103に伝送され(ステップS103)、光カプラ103において計測用パルスL13及び遅延用パルスL14の2相のパルスに変換される(ステップS104)。計測用パルスL13はSMファイバF15で干渉部110に伝送され、ここで第1実施形態で説明したと同様な動作が実行され(ステップS120)、干渉部110から時分割のパルス列PT11が出力され、SMファイバF16で合成部104に伝送される(ステップS121)。
【0035】
また、光カプラ103からの遅延用パルスL14は遅延部DL11を経て(ステップS105)、SMファイバF18で干渉部120に伝送され、干渉部120は前述と同様な動作を実行し(ステップS130)、干渉部120から時分割のパルス列PT12が出力される(ステップS131)。
【0036】
光合成部104においては、パルス列PT10及びPT11が時間軸で合成され(ステップS140)、合成されたパルス列PT20が形成され(ステップS141)、パルス列PT20はSMファイバF17で光合成部106に伝送される。
【0037】
干渉部120からの時分割のパルス列PT12は、SMファイバF20で光合成部106に伝送され、光合成部106でパルス列PT12とパルス列PT20とが時間軸で合成され(ステップS142)、合成されたパルス列PT21が出力される(ステップS143)。パルス列PT21はSMファイバF21で光/電気変換器107に伝送されて光/電気変換され(ステップS144)、各パルス列のパルスの波高値を計測することにより、干渉部100、110及び120のそれぞれの加速度センサの相対変位が計測される(ステップS145)。
【0038】
図4の第3実施形態では計測対象を3個(干渉計100,110,120)としているが、n(≧2)個の干渉計を対象とすることができる。即ち、それぞれが計測対象を含むn(≧2)個の干渉計に計測用パルスを伝送し、n個の干渉計からの計測対象の各変位に応じたTDMパルス列を光合成して出力する光ファイバセンサであり、レーザパルスを計測用パルス及び遅延用パルスの2相に変換する(n-1)個の光カプラが設けられ、初段の光カプラはレーザ光源からのレーザパルスを入力し、2段目から(n-1)番目の光カプラは、前段からの遅延用パルスを遅延部を経て入力し、n番目の光カプラは、(n-1)番目の光カプラからの遅延用パルスをn番目の干渉計に伝送して入力し、n個の干渉計から出力される各TDMパルス列を、順次追加的に光合成して多重TDMパルス列を出力する構成である。
【0039】
図6は本発明の第1変形例(カスタマイズ化された光カプラ)を示しており、3×3光カプラ12の分岐の先端にコリメータレンズ51及びミラー52が接続され、コリメータレンズ51でコリメートされたレーザパルスが空間結合50に入力され、更に加速度センサ20に入力し、空間結合50内のミラー53で戻される。ミラー53で戻されたレーザパルス(信号光)は、ミラー52の反射光(参照光)と干渉するようになっている。
【0040】
このような空間結合50で構成された干渉計には光ファイバが全くないので、ファイバの配線(引き回し)が不要であり、また、偏波の影響を受けないため。FRMが不要となり、小型化が可能である。更に、光導波路技術やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を応用することで、コリメータレンズやミラーを集積した3×3光カプラや加速度センサの一層の小型化が可能である。
【0041】
図7及び図8は本発明の第2変形例を示しており、3×3光カプラ12の分岐の先端にコリメータ領域54及び端面ミラー(両面ミラー)55が接続され、プリズムミラー21を備えた加速度センサ20に空間結合50Aが形成されている。ポート4の端面部に端面ミラー55が設置され、この端面ミラー55により、CPL12の内部では、ポート4のレーザパルスL3が反射(L5)して光結合部へ戻るようになっている。また、端面ミラー55により、CPL12の外では、ポート6のレーザパルスL4が反射(L6)して光結合部へ戻るようになっている。端面ミラー55はポート4の端面の両面に、例えばTi-Auの蒸着、Al蒸着などの1550nm帯の光を反射する金属を蒸着して形成される。
【0042】
ポート6のCPL12内の出口に、導波路のモードフィールド径と開口数を調整されたコリメータ領域54が設置され、このコリメータ領域54を通過したレーザパルスL4は、平行光線として加速度センサ20内のプリズムミラー21を通過して、端面ミラー55で反射されたレーザパルスL6が再度プリズムミラー21を通過し、ポート6のコリメータ領域54に入射されて光結合部へ戻る。
【0043】
ポート1~3をそれぞれポート4~6の90度の面に図9(B)に示すように設置し、このポート1~3に光の入出力を行う外部接続の光ファイバブロック12Aを設置することができ、この光ファイバブロック12Aの横方向での設置により、図9(A)に示す縦方向の設置に比べ、モジュール全長を短くすることができる。なお、光ファイバブロック12Aは、CPL12から信号線を引き出す接続部品である。
【0044】
図10及び図11は本発明の効果例を示す実験データの特性図であり、図10(A)は、加速度センサを省略した3×3光カプラによる干渉計において、復調処理、即ち3つのパルスの波高値X1,X2,X3から加速度センサの相対変位dを求めることにより、図10(B)に示す位相変化(約7π)が測定されており、レーザ波長を超えて位相検出できていることを示している。この場合は、温度によるレーザ波長の変化を用いて、干渉計に位相変化を発生させている。この位相変化は、図10(C)に示す温度と連動している。
【0045】
図11は本発明と従来の位相シフト光パルス式の位相変動量の比較例であり、図11(A)は本発明の位相変動であり、図11(B)が光シフトパルス式の位相変動であり、本発明により約1/10改善されている。
【符号の説明】
【0046】
10 レーザ光源
11 2×2光カプラ
12 3×3光カプラ
13,14 FRM
15 光合成部
16 光/電気変換器
20 加速度センサ
21 プリズムミラー
30 偏光子
31,32 偏波面保存光カプラ
33,34 ミラー
40,41,42 SM-PM接合
50、50A 空間結合
51 コリメータ
52,53 ミラー
53 コリメータ領域
54 端面ミラー(両面ミラー)
100,110,120 干渉計
101 レーザ光源
102,103 光カプラ
104、106 光合成部
107 光/電気変換器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源からのレーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離し、前記参照経路の端部に第1のFRMを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のFRMを備え、前記第1のFRMの参照反射光及び前記第2のFRMの計測反射光が前記第2の光カプラで干渉し3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成であることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項2】
前記レーザパルスの伝送を全てSMファイバで行うようになっている請求項1に記載の光ファイバセンサ。
【請求項3】
前記第2の遅延部の遅延時間が、第1の遅延部の遅延時間より長くなっている請求項1又は2に記載の光ファイバセンサ。
【請求項4】
レーザ光源からのレーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離し、前記参照経路の端部に第1のFRMを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のFRMを備え、前記第1のFRMの参照反射光及び前記第2のFRMの計測反射光が前記第2の光カプラで干渉し3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成の光ファイバセンサを用い、
前記時分割パルス列の波高値を計測することにより、前記計測対象の変位を計測することを特徴とする計測システム。
【請求項5】
レーザ光源からのレーザパルスを第1のPMファイバにより、偏光子及び第1のPM光カプラを経て第2のPM光カプラに伝送し、前記第2のPM光カプラにおいて、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離して第2のPMファイバにより伝送し、前記参照経路の端部に第1のミラーを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のミラーを備え、前記第1のミラーの参照反射光及び前記第2のミラーの計測反射光が前記第2のPM光カプラで干渉し3相に変換され、
前記変換された1相目パルスは、前記第1のPM光カプラを経て第3のPMファイバで出力され、前記第3のPMファイバに接続された第1のSMファイバで光合成部に伝送され、
前記変換された2相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第4のPMファイバで出力され、前記第4のPMファイバに接続された第2のSMファイバで第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、
前記変換された3相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第5のPMファイバで出力され、前記第5のPMファイバに接続された第3のSMファイバで第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、
前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成であることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項6】
前記第2の遅延部の遅延時間が、第1の遅延部の遅延時間より長くなっている請求項5に記載の光ファイバセンサ。
【請求項7】
レーザ光源からのレーザパルスを第1のPMファイバにより、偏光子及び第1のPM光カプラを経て第2のPM光カプラに伝送し、前記第2のPM光カプラにおいて、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離して第2のPMファイバにより伝送し、前記参照経路の端部に第1のミラーを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のミラーを備え、前記第1のミラーの参照反射光及び前記第2のミラーの計測反射光が前記第2のPM光カプラで干渉し3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1のPM光カプラを経て第3のPMファイバで出力され、前記第3のPMファイバに接続された第1のSMファイバで光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第4のPMファイバで出力され、前記第4のPMファイバに接続された第2のSMファイバで第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第5のPMファイバで出力され、前記第5のPMファイバに接続された第3のSMファイバで第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成の光ファイバセンサを用い、
前記時分割パルス列の波高値を計測することにより、前記計測対象の変位を計測することを特徴とする計測システム。
【請求項8】
それぞれが計測対象を含むn(≧2)個の干渉計に計測用パルスを伝送し、前記n個の干渉計からの前記計測対象の各変位に応じたTDMパルス列を光合成して出力する光ファイバセンサであり、
レーザパルスを前記計測用パルス及び遅延用パルスの2相に変換する(n-1)個の光カプラが設けられ、初段の光カプラはレーザ光源からのレーザパルスを入力し、2段目から(n-1)番目の光カプラは、前段からの前記遅延用パルスを遅延部を経て入力し、
n番目の光カプラは、(n-1)番目の光カプラからの前記遅延用パルスをn番目の前記干渉計に伝送して入力し、
前記n個の干渉計から出力される各TDMパルス列を順次追加的に光合成して多重TDMパルス列を出力する構成であることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項9】
前記n個の干渉計のそれぞれが、
前記レーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離し、前記参照経路の端部に第1のFRMを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のFRMを備え、前記第1のFRMの参照反射光及び前記第2のFRMの計測反射光が前記第2の光カプラで3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成である、
請求項8に記載の光ファイバセンサ。
【請求項10】
前記n個の干渉計のそれぞれが、
前記レーザパルスを第1のPMファイバにより、偏光子及び第1のPM光カプラを経て第2のPM光カプラに伝送し、前記第2のPM光カプラにおいて、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分離して第2のPMファイバにより伝送し、前記参照経路の端部に第1のミラーを備えると共に、前記計測経路の端部に第2のミラーを備え、前記第1のミラーの参照反射光及び前記第2のミラーの計測反射光が前記第2のPM光カプラで3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1のPM光カプラを経て第3のPMファイバで出力され、前記第3のPMファイバに接続された第1のSMファイバで光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第4のPMファイバで出力され、前記第4のPMファイバに接続された第2のSMファイバで第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、前記第2のPM光カプラから第5のPMファイバで出力され、前記第5のPMファイバに接続された第3のSMファイバで第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成である、請求項8に記載の光ファイバセンサ。
【請求項11】
それぞれが計測対象を含むn(≧2)個の干渉計に計測用パルスを伝送し、前記n個の干渉計からの前記計測対象の各変位に応じたTDMパルス列を光合成して出力する光ファイバセンサであり、レーザパルスを前記計測用パルス及び遅延用パルスの2相に変換する(n-1)個の光カプラが設けられ、初段の光カプラはレーザ光源からのレーザパルスを入力し、2段目から(n-1)番目の光カプラは、前段からの前記遅延用パルスを遅延部を経て入力し、n番目の光カプラは、(n-1)番目の光カプラからの前記遅延用パルスをn番目の前記干渉計に伝送して入力し、前記n個の干渉計から出力される各TDMパルス列を順次追加的に光合成して多重TDMパルス列を出力する構成の光ファイバセンサを用い、
前記多重TDMパルス列の波高値を計測することにより、前記n個の計測対象の各変位を計測することを特徴とする計測システム。
【請求項12】
レーザ光源からのレーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分岐し、前記参照経路の前記第2の光カプラの分岐先端に第1のミラーを備えると共に、前記計測経路の前記第2の光カプラの分岐先端にコリメータレンズを備え、
前記第2の光カプラと前記計測対象とで空間結合を形成すると共に、計測光を反射する第2のミラーを備え、
前記コリメータレンズからのレーザパルスは前記空間結合を経て前記計測対象に入射し、第2のミラーで反射された信号光が前記第2の反射光と干渉し、第2の光カプラで3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成であることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項13】
レーザ光源からのレーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分岐し、前記参照経路の前記第2の光カプラの分岐先端に端面ミラーを備えると共に、前記計測経路の前記第2の光カプラの分岐先端にコリメータ領域を備え、
前記第2の光カプラの入出力部と前記計測対象のプリズムミラーとで空間結合を形成し、
前記参照経路のレーザパルスは、前記端面ミラーで反射されて前記第2の光カプラに戻され、前記コリメータ領域からの出力レーザパルスは前記空間結合のプリズムミラーを経て前記端面ミラーに入射し、前記端面ミラーで反射された信号光が前記プリズムミラーを経て前記コリメータ領域に入力されて前記第2の光カプラに戻され、前記第2の光カプラで3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成であることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項14】
レーザ光源からのレーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分岐し、前記参照経路の前記第2の光カプラの分岐先端に第1のミラーを備えると共に、前記計測経路の前記第2の光カプラの分岐先端にコリメータレンズを備え、前記第2の光カプラと前記計測対象とで空間結合を形成すると共に、計測光を反射する第2のミラーを備え、前記コリメータレンズからのレーザパルスは前記空間結合を経て前記計測対象に入射し、第2のミラーで反射された信号光が前記第2の反射光と干渉し、第2の光カプラで3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成の光ファイバセンサを用い、
前記時分割パルス列の波高値を計測することにより、前記計測対象の変位を計測することを特徴とする計測システム。
【請求項15】
レーザ光源からのレーザパルスを第1の光カプラを経て第2の光カプラで、干渉計を形成する参照経路及び計測対象を含む計測経路に2相分岐し、前記参照経路の前記第2の光カプラの分岐先端に端面ミラーを備えると共に、前記計測経路の前記第2の光カプラの分岐先端にコリメータ領域を備え、
前記第2の光カプラの入出力部と前記計測対象のプリズムミラーとで空間結合を形成し、前記参照経路のレーザパルスは、前記端面ミラーで反射されて前記第2の光カプラに戻され、前記コリメータ領域からの出力レーザパルスは前記空間結合のプリズムミラーを経て前記端面ミラーに入射し、前記端面ミラーで反射された信号光が前記プリズムミラーを経て前記コリメータ領域に入力されて前記第2の光カプラに戻され、前記第2の光カプラで3相に変換され、前記変換された1相目パルスは、前記第1の光カプラを経て光合成部に伝送され、前記変換された2相目パルスは、第1の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記変換された3相目パルスは、第2の遅延部を経て前記光合成部に伝送され、前記光合成部から時分割パルス列が出力される構成の光ファイバセンサを用い、
前記時分割パルス列の波高値を計測することにより、前記計測対象の変位を計測することを特徴とする計測システム。