(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109006
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】システム、プログラム、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20240805BHJP
B25J 9/10 20060101ALI20240805BHJP
B23K 9/12 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
B25J19/06
B25J9/10 A
B23K9/12 331L
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123596
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2023013652
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517425446
【氏名又は名称】リンクウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100175396
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 隆記
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 文生
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707BS10
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS07
3C707KS09
3C707KS12
3C707KT03
3C707KT05
3C707KT06
3C707LS15
3C707MS09
3C707MS10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機械制御システム等において、作業具が、作業対象物と接触するかどうかについて判定する。
【解決手段】本発明の一態様は、作業に利用される機械装置の形状を表す機械装置データ情報に基づいて、作業の際に機械装置が通過する三次元領域を表す仮想機械装置データ情報を生成し、および、作業の対象物の形状を表す対象物データ情報に基づいて、作業において対象物が配置される三次元領域を表す仮想対象物データ情報を生成する、仮想データ生成部と、仮想機械装置データ情報の内部に、仮想対象物データ情報が含まれるかどうかを判定する接触判定部と、を備える、機械制御システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業に利用される機械装置の形状を表す機械装置データ情報に基づいて、前記作業において前記機械装置が通過する三次元領域を表す仮想機械装置データ情報を生成し、および、前記作業の対象物の形状を表す対象物データ情報に基づいて、前記作業において対象物が配置される三次元領域を表す仮想対象物データ情報を生成する、仮想データ生成部と、
前記仮想機械装置データ情報の内部に、前記仮想対象物データ情報が含まれるかどうかを判定する接触判定部と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記対象物データ情報は、センサを用いて前記対象物を測定した結果に基づいて生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記対象物データ情報は、前記対象物の画像データを用いて生成された、前記対象物の三次元形状を表すデータである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記対象物データ情報は前記対象物の設計データである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記仮想対象物データ情報に作業経路を設定する作業経路設定部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記作業経路を分割して分割作業経路を生成する分割部をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記仮想データ生成部は、
前記機械装置データ情報に基づいて、前記機械装置の形状が点群データで表される第1の仮想機械装置データ情報を生成し、
前記対象物データ情報に基づいて、前記対象物の形状が点群データで表される前記仮想対象物データ情報を生成し、
前記第1の仮想機械装置データ情報を前記作業経路と平行に移動させる、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記仮想データ生成部は、
前記機械装置データ情報の前記分割作業経路と垂直な方向の形状を2以上の三角形のデータに分割して、2以上の前記三角形のデータを前記分割作業経路と平行に移動させることによって形成された、2以上の三角柱のデータで構成される第2の仮想機械装置データ情報を生成し、
前記対象物データ情報に基づいて、前記対象物の形状が点群データで表される前記仮想対象物データ情報を生成する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
2以上の前記三角柱のデータで構成される前記第2の仮想機械装置データ情報は、三次元メッシュデータで構成される三次元メッシュデータ情報である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記機械装置データ情報は、前記機械装置の三次元形状を表す設計データである、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記仮想データ生成部は、前記機械装置データ情報によって表される前記機械装置の三次元形状を前記作業経路と平行に移動させることにより、前記仮想機械装置データ情報を生成する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記接触判定部が、前記仮想機械装置データ情報の内部に、前記仮想対象物データ情報が含まれると判断した場合には、前記仮想機械装置データ情報の内部に含まれる、前記仮想対象物データ情報の形状情報を抽出する接触抽出部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記仮想対象物データ情報のうち、前記仮想機械装置データ情報の内部に含まれる部分は、前記対象物のうち、前記機械装置と接触する部分を表し、
前記仮想対象物データ情報の前記接触する部分が存在する位置の情報を表す接触データ情報を生成する接触データ生成部をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記仮想対象物データ情報及び前記接触データ情報に基づいて、前記対象物において前記接触する部分が示されている接触データ表示情報を画面に表示する表示部をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
作業に利用される機械装置の形状を表す機械装置データ情報に基づいて、前記作業において前記機械装置が通過する三次元領域を表す仮想機械装置データ情報を生成する処理と、
前記作業の対象物の形状を表す対象物データ情報に基づいて、前記作業において前記対象物が配置される三次元領域を表す仮想対象物データ情報を生成する処理と、
前記仮想機械装置データ情報の内部に、前記仮想対象物データ情報が含まれるかどうかを判断する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項16】
作業の対象物から製造物を製造する製造方法であって、
前記作業に利用される機械装置の形状を表す機械装置データ情報に基づいて、前記作業において前記機械装置が通過する三次元領域を表す仮想機械装置データ情報を生成することと、
前記対象物の形状を表す対象物データ情報に基づいて、前記作業において前記対象物が配置される三次元領域を表す仮想対象物データ情報を生成することと、
前記仮想機械装置データ情報の内部に、前記仮想対象物データ情報が含まれるかどうかを判断することと、を含む、製造方法。
【請求項17】
前記作業は、塗装処理、溶接加工、切削加工、研削加工、旋削加工のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、プログラム、及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、溶接ロボット等において、ロボットと作業対象物(ワーク)との接触を抑制可能な溶接方法等が存在する(特許文献1参照)。そして、特許文献1には、溶接時の溶接ラインに対するエンドエフェクタとセンサとの位置関係等を規定する溶接方法及び溶接装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の市場ニーズ・顧客ニーズの多様化により、製造システムは、所謂、少品種大量生産だけでなく、多品種少量生産、あるいは変種変量生産への対応が求められることがある。この場合、異なる大きさや形状を有する対象物に対し、作業条件を変更して製品群を製造することになるため、不具合の発生を事前予測することが好ましい。
本発明の一態様の課題は、ロボットの全部、または、一部を含む機械装置が、作業対象物と接触するかどうかについて判定することができる機械制御システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、作業に利用される機械装置の形状を表す機械装置データ情報に基づいて、作業において機械装置が通過する三次元領域を表す仮想機械装置データ情報を生成し、および、作業の対象物の形状を表す対象物データ情報に基づいて、作業において対象物が配置される三次元領域を表す仮想対象物データ情報を生成する、仮想データ生成部と、仮想機械装置データ情報の内部に、仮想対象物データ情報が含まれるかどうかを判定する接触判定部と、を備える、システムである。
【0006】
本発明の一態様のシステムは、仮想機械装置データ情報の内部に、仮想対象物データ情報が含まれるかどうかを判定する。これによって、当該システムは、機械装置が、対象物と接触するかどうかを判定することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、システムは、機械装置が、作業対象物と接触するかどうかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一態様による機械制御システムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の一態様による機械装置の構成例を示す図である。
【
図3】本発明の一態様による機械装置での作業の一例を示す図である。
【
図4】分割部によって作業経路が分割作業経路に分割された状態を示す図である。
【
図6】第1の仮想機械装置データ情報の生成を示す図である。
【
図7】第2の仮想機械装置データ情報の生成を示す図である。
【
図8】接触判定部が作業具と対象物とが接触するかどうかを判定するフローチャートである。
【
図9】終端判定部が仮想機械装置データ情報は作業経路の終端に到達しているかどうかを判定するフローチャートである。
【
図10】システム画面を備える機械制御システムの構成例を示す図である。
【
図11】端末画面を含む端末、および、機械制御システムを備える情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図12】画面に表示された、仮想機械装置データ情報と、仮想対象物データ情報とが接触しないことを示す図である。
【
図15】画面に表示された、仮想機械装置データ情報と、仮想対象物データ情報とが接触することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
<第1の実施の形態>
<機械制御システム1の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態による機械制御システム1の構成の一例を示す図である。
【0011】
本実施の形態による機械制御システム1は、作業を行なう機械装置11と、機械装置11の形状を測定して機械装置データを生成し、および、作業対象物の形状を測定して対象物データを生成するセンサ12と、機械装置データに基づいて機械装置データ情報を生成し、および、対象物データに基づいて対象物データ情報を生成する形状データ生成部14と、機械装置データ情報に基づいて、仮想機械装置データ情報41を生成し、および、対象物データ情報に基づいて、仮想対象物データ情報44を生成する、仮想データ生成部17と、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判定する接触判定部18と、を備える。
【0012】
このため、本実施の形態の機械制御システム1は、仮想機械装置データ情報の内部に、仮想対象物データ情報が含まれるかどうかを判定することによって、機械装置11と、作業対象物とが接触するかどうかを判定することができる。
【0013】
本実施の形態による機械制御システム1は、後述のように、さらに、接触抽出部19と、接触データ生成部20と、記憶部21と、終端判定部22と、表示部23と、を備える。
【0014】
機械装置11は、工場内で作業を行なう産業用機械、工場外で作業を行なう非産業用機械のいずれであってもよいし、両方を含んでいてもよい。機械装置11は、例えば、作業対象物等の加工、溶接、組立、検査、供給、搬送、把持などのための産業用ロボット(特に、産業用アームロボット)であってもよいし、サービス業や調理、掃除、医療、福祉、介護、受付、案内、農業、建設、災害、警備、エンターテインメントなどのための非産業用ロボット(いわゆるサービスロボット)であってもよい。作業対象物は、ワークと読み替えられてもよい。
【0015】
図2は、本発明の一態様による機械装置11の構成例を示す図である。
図2は、機械装置11が、例えば、アームロボットである場合を示している。機械装置11が、
図2に示すアームロボットである場合には、機械装置11は、一例として、機械装置本体11aと、アーム11bと、作業部11cと、作業具11dと、センサ12と、作業部センサ121と、コントローラ11eと、を含む。
【0016】
アーム11bは、一方の端部が機械装置本体11aに動作可能に取り付けられている。作業部11cは、アーム11bの他方の端部(機械装置本体11aに動作可能に取り付けられている一方の端部とは反対側の端部)に動作可能に取り付けられている。作業部11cは、アーム11bに動作できないように取り付けられていてもよい。作業を行なう作業具11dは、作業可能なように作業部11cに取り付けられている。また、作業部11cには、作業部センサ121が取り付けられていてもよい。
【0017】
機械本体11a、および、アーム11は、作業具11dが作業するために動作する。また、作業部11cは、アーム11bの他方の端部に動作可能に取り付けられている場合には、作業部11cも作業具11dが作業するために動作する。
【0018】
作業具11dは、塗装処理、溶接加工、切削加工、研削加工、旋削加工などを行なう。作業具11は、例えば、塗装用具(塗装用ガン)、溶接用具(溶接トーチ、ノズル、溶接棒)、切削工具(ドリル、エンドミル、フライス)、研削工具(砥石、カップブラシ、ダイアモンドバー)、旋削工具(バイト)などであってもよい。作業具11dは、作業部11cに2以上取り付けられていてもよい。
【0019】
作業部センサ121が、作業部11cに取り付けられていれば、作業部センサ121は、作業部11cの作業環境を測定して、作業具11dの画像データや、作業対象物の画像データ、作業環境のデータを生成することができる。作業部センサ121は、例えば、画像センサ、レーザ変位計、カメラであってもよい。ただし、作業部センサ121は、作業具11dの画像データや、作業対象物の画像データ、作業環境のデータを生成する必要がなければ、作業部11cに取り付けられていなくてもよい。
【0020】
センサ12は、機械装置11の形状を測定して機械装置データを生成し、および、作業対象物の形状を測定して対象物データを生成する。センサ12は、例えば、画像センサ、レーザ変位計、カメラであってもよい。
【0021】
センサ12が生成する機械装置データは、機械装置11の画像データ(以下、単に、「機械装置データ」という。)である。また、センサ12が生成する対象物データは、作業対象物の画像データ(以下、単に、「対象物データ」という。)である。センサ12が機械装置画像データ、および、対象物画像データを生成すると、後述の形状データ生成部14は、機械装置データに基づいて機械装置データ情報を生成し、および、対象物データに基づいて対象物データ情報を生成することができる。
【0022】
センサ12が生成した機械装置データ、および、対象物データは、例えば、静止画像データであってもよく、または、動画像データであってもよい。
【0023】
センサ12は、一般的には、機械装置11に2以上含まれている。ただし、センサ12は、機械装置11に1つのみ含まれていてもよい。また、センサ12は、一般的には、機械装置11の外部に、機械装置11の全体、または、機械装置11の測定が必要な部分(例えば、機械装置本体11a、アーム11b、作業部11c、作業具11d、作業部センサ121)、および、作業対象物を測定可能なように設けられている。ただし、センサ12は、機械装置11の全体、または、機械装置11の測定が必要な部分を測定して機械装置データを生成可能であり、また、作業対象物が測定して対象物データを生成可能であれば、機械装置11に設けられていてもよい。センサ12は、有線、または、無線で機械装置本体11aと接続されていてもよい。
【0024】
センサ12は、機械装置11の作業前や、機械装置11の作業中や、機械装置11の作業後に、機械装置データ、および、対象物データを生成することができる。このため、センサ12は、機械装置11の作業中や、機械装置11の作業後だけではなく、機械装置11の作業前でも、機械装置データ、および、対象物データを生成することができる。
【0025】
コントローラ11eは、機械装置11の操作者が機械装置11を制御するために操作する装置である。コントローラ11eは、例えば、機械装置11の機械本体11a、アーム11b、作業部11c、作業具11d、センサ12の動作開始の指示や、動作停止の指示を入力可能な装置である。コントローラ11eは、機械装置11に2以上設けられていてもよい。コントローラ11eは、有線、または、無線で機械装置11と接続されている。
【0026】
図3は、本発明の一態様による機械装置11の作業の一例を示す図である。制御部13は、機械装置11の動作などを制御する。
図3では、作業具11dは溶接作業を行っている。制御部13は、作業具11dが、溶接対象部材1100及び1101を溶接するために、作業前にセンサ12により取得した溶接パス1102の形状情報に応じて、作業具11dである溶接トーチの目標位置と目標角度を決定する。制御部13は、作業具11dが目標位置、目標角度になるようなアーム11bの軌道制御データを生成する。その後、アーム11bの動作を軌道制御データに応じて、アーム11bの動作を軌道制御するとともに、機械装置本体11aの動作を制御して、溶接作業を実行する。
【0027】
形状データ生成部14は、センサ12が生成した、機械装置データに基づいて機械装置データ情報を生成し、および、センサ12が生成した、対象物形状データに基づいて、対象物データ情報を生成する。形状データ生成部14は、機械装置11の作業前や、機械装置11の作業中や、機械装置11の作業後に、機械装置データ情報、および、対象物データ情報を生成することができる。このため、形状データ生成部14は、機械装置11の作業中や、機械装置11の作業後だけではなく、機械装置11の作業前でも、機械装置データ情報、および、対象物データ情報を生成することができる。
【0028】
形状データ生成部14が生成する機械装置データ情報は、機械装置11の形状の情報であり、形状データ生成部14が生成する対象物データ情報は、作業対象物の形状の情報である。このようにすれば、後述の仮想データ生成部17は、機械装置データ情報に基づいて仮想機械装置データ情報を生成して、および、対象物データ情報に基づいて仮想対象物データ情報44を生成することができる。形状データ生成部14が生成した、機械装置データ情報、および、対象物データ情報は、例えば、機械装置11、および、作業対象物の二次元CAD(Computer Aided Design)データ情報、または、三次元CAD(Computer Aided Design)データ情報であってもよい。また、形状データ生成部14が生成した、機械装置データ情報、および、対象物データ情報は、例えば、機械装置11、および、作業対象物の二次元点群データ情報、または、三次元点群データ情報などであってもよい。
【0029】
作業経路設定部15は、仮想対象物データ情報に作業経路を設定する。作業経路設定部15が、仮想対象物データ情報に作業経路を設定すれば、後述の仮想データ生成部17は、後述の仮想機械装置データ情報41を生成することができる。
【0030】
図4は、分割部16によって作業経路Pが分割作業経路DPに分割された状態を示す図である。分割部16は、作業経路Pを分割作業経路DPに分割する。分割部16が、作業経路Pを分割作業経路DPに分割すれば、後述の接触判定部18は、分割作業経路DPの範囲内で、後述の仮想データ生成部17が生成した仮想機械装置データ情報41の内部に、後述の仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判断することができる。
【0031】
図1に示す、仮想データ生成部17は、機械装置データ情報に基づいて仮想機械装置データ情報41を生成し、および、対象物データ情報に基づいて仮想対象物データ情報44を生成する。仮想機械装置データ情報41は、作業において機械装置11が通過する三次元領域を表す。仮想機械装置データ情報41は、機械装置11の全体の形状、または、機械装置11の測定が必要な部分(例えば、機械装置本体11a、アーム11b、作業部11c、作業具11d、作業部センサ121)の形状が二次元点群データ、または、三次元点群データで構成された情報である。仮想対象物データ情報44は、作業において対象物が配置される三次元領域を表す。仮想対象物データ情報44は、作業対象物の形状が二次元点群データ、または、三次元点群データで構成された情報である。仮想データ生成部17は、機械装置11の作業前や、機械装置11の作業中や、機械装置11の作業後に、仮想機械装置データ情報41、および、仮想対象物データ情報44を生成することができる。このため、仮想データ生成部17は、機械装置11の作業中や、機械装置11の作業後だけではなく、機械装置11の作業前でも、仮想機械装置データ情報41、および、仮想対象物データ情報44を生成することができる。
【0032】
仮想データ生成部17は、機械装置11の全体の形状、または、機械装置11の測定が必要な部分(例えば、機械装置本体11a、アーム11b、作業部11c、作業具11d、作業部センサ121)の形状を二次元点群データ情報、または、三次元点群データ情報で構成した仮想機械装置データ情報41を生成する。この点について説明する。この説明については、機械装置11が、
図2に示すアームロボットである場合を例にして説明する。
【0033】
センサ12は、機械装置11の全体、または、機械装置11の測定が必要な部分(例えば、機械装置本体11a、アーム11b、作業部11c、作業具11d、作業部センサ121)、および、作業対象物を測定して、機械装置データを生成する。形状データ生成部14は、センサ12が生成した、機械装置データに基づいて機械装置データ情報を生成し、および、センサ12が生成した、対象物形状データに基づいて、対象物データ情報を生成する。仮想データ生成部17は、機械装置データに基づいて仮想機械装置データ情報41を生成し、および、対象物データ情報に基づいて仮想対象物データ情報44を生成する。
【0034】
これらより、仮想データ生成部17は、センサ12が、機械装置11の全体、または、機械装置11の測定が必要な部分(例えば、機械装置本体11a、アーム11b、作業部11c、作業具11d、作業部センサ121)、および、作業対象物を測定して生成した機械装置データに基づいて、形状データ生成部14が生成した機械装置データ情報に基づいて、仮想機械装置データ情報41を生成することができる。このため、仮想データ生成部17は、機械装置11の全体の形状、または、機械装置11の測定が必要な部分(例えば、機械装置本体11a、アーム11b、作業部11c、作業具11d、作業部センサ121)の形状を二次元点群データ情報、または、三次元点群データ情報で構成した仮想機械装置データ情報41を生成することができる。
【0035】
仮想機械装置データ情報41は、
図12、および、
図15に示すように、仮想コーンデータ情報411と、仮想シリンダデータ情報412と、を含む。仮想データ生成部17が生成する仮想機械装置データ情報41については、仮想データ生成部17は、機械装置11の作業具11dが溶接作業具である場合に、仮想機械装置データ情報41を生成することを例にして説明する。
【0036】
図5は、溶接作業具31の構成図である。溶接作業具31は、先端に溶接作業を行なうコーン32と、コーン32を支持するシリンダ33と、を含む。
【0037】
仮想機械装置データ情報41は、少なくとも、第1の仮想機械装置データ情報42、および、第2の仮想機械装置データ情報43である。ただし、仮想機械装置データ情報41は、第1の仮想機械装置データ情報42、および、第2の仮想機械装置データ情報43以外の仮想機械装置データ情報41であってもよい。
【0038】
図6は、第1の仮想機械装置データ情報42の生成を示す図である。仮想データ生成部17は、形状データ生成部14が生成した機械装置データ情報に基づいて、点群データ情報で構成した第1の仮想機械装置データ情報42を生成する。また、仮想データ生成部17は、形状データ生成部14が生成した対象物データ情報に基づいて、点群データ情報で構成した仮想対象物データ情報44を生成する。さらに、仮想データ生成部17は、第1の仮想機械装置データ情報42を作業経路Pと平行に移動させる。このようにすれば、仮想データ生成部17は、機械装置11の形状が単純な形状(例えば、円柱、円錐、くさび、球、トーラス、直方体、角錐などのプリミティブ形状)であれば、機械装置データ情報の形状とほぼ同じ形状を有する、第1の仮想機械装置データ情報42を生成して、第1の仮想機械装置データ情報42を作業経路Pと平行に移動させれば、後述の接触判定部18は、第1の仮想機械装置データ情報42の中に仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判定することができる。点群データ情報は、二次元点群データ情報、または、三次元点群データ情報ある。
【0039】
第1の仮想機械装置データ情報42は、溶接作業具31の機械装置データ情報に基づいて生成されているので、第1の仮想コーンデータ情報421と、第1の仮想シリンダデータ情報422と、を含む。第1の仮想コーンデータ情報421は、第1の仮想機械装置データ情報42のコーン32の形状の仮想データ情報である。第1の仮想シリンダデータ情報422は、第1の仮想機械装置データ情報42のシリンダ33の形状の点群データ情報である。
【0040】
図6に示す作業経路Pは、分割部16によって、
図4に示すように、分割作業経路DPに分割されている。
図6に示す作業経路Pは、接触判定を行なう間隔ごとに分割して、分割作業経路DPを設けている。
【0041】
図7は、第2の仮想機械装置データ情報43の生成を示す図である。仮想データ生成部17は、形状データ生成部14が生成した機械装置データ情報の分割作業経路DPと垂直な方向の形状を2以上の三角形のデータに分割して、2以上の三角形のデータを分割作業経路DPと平行に移動させることによって形成された、2以上の三角柱のデータで構成される第2の仮想機械装置データ情報43を生成する。第2の仮想機械装置データ情報43は、機械装置11が分割作業経路DPに沿って移動する際に通過する三次元領域を表す。また、仮想データ生成部17は、形状データ生成部14が生成した対象物データ情報に基づいて、点群データ情報で構成した仮想対象物データ情報44を生成する。このようにすれば、仮想データ生成部17は、機械装置11の全体の形状、または、機械装置11の測定が必要な部分(例えば、機械装置本体11a、アーム11b、作業部11c、作業具11d、作業部センサ121)の形状が複雑な形状であっても第2の仮想機械装置データ情報43を生成することが可能になる。また、後述の接触判定部18は、第2の仮想機械装置データ情報43の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判定することができる。
【0042】
仮想データ生成部17は、一般的には、作業経路の始端SPを始端にする分割作業経路DPと垂直な方向の形状を2以上の三角形のデータに分割して、2以上の三角形のデータを作業経路の始端SPを始端にする分割作業経路DPと平行に移動させることによって第2の仮想機械装置データ情報43を生成する。ただし、仮想データ生成部17は、作業経路の始端SPを始端にする分割作業経路DP以外の分割作業経路DPと垂直な方向の形状を2以上の三角形のデータに分割して、2以上の三角形のデータを作業経路の始端SPを始端にする分割作業経路DP以外の分割作業経路DPと平行に移動させることによって第2の仮想機械装置データ情報43を生成してもよい。
【0043】
2以上の三角柱のデータで構成される第2の仮想機械装置データ情報43は、三次元メッシュデータで構成される三次元メッシュデータ情報である。2以上の三角柱のデータで構成される第2の仮想機械装置データ情報43は、三次元メッシュデータで構成される三次元メッシュデータ情報であれば、後述の接触判定部18は、第2の仮想機械装置データ情報43の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかをより容易に判定することができる。三次元メッシュデータも三次元点群データで構成されていてもよい。
【0044】
第2の仮想機械装置データ情報43は、溶接作業具31の機械装置データ情報に基づいて生成されているので、第2の仮想コーンデータ情報431と、第2の仮想シリンダデータ情報432と、を含む。第2の仮想コーンデータ情報431は、コーン32の形状の三次元メッシュデータで構成される三次元メッシュデータ情報である。第2の仮想シリンダデータ情報432は、シリンダ33の形状の三次元メッシュデータで構成される三次元メッシュデータ情報である。
【0045】
図7に示す作業経路Pは、分割部16によって、
図4に示すように、分割作業経路DPに分割されている。
図7に示す作業経路Pは、立体形状量ごとに分割して、分割作業経路DPを設けている。
【0046】
接触判定部18は、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判定する。このようにすれば、接触判定部18は、機械装置11が対象物と接触するかどうかを判定することができる。接触判定部18は、一般的には、仮想機械装置データ情報41と、仮想対象物データ情報44とを比較することによって、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判定する。ただし、接触判定部18は、仮想機械装置データ情報41と、仮想対象物データ情報44とに対する、仮想機械装置データ情報41と、仮想対象物データ情報44とを比較する以外の対応によって、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判定することができるのであれば、仮想機械装置データ情報41と、仮想対象物データ情報44とを比較する以外の対応によって、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判定してもよい。
【0047】
接触判定部18は、機械装置11の作業前や、機械装置11の作業中や、機械装置11の作業後に、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判定することができる。このため、接触判定部18は、機械装置11の作業中や、機械装置11の作業後だけではなく、機械装置11の作業前でも、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判定することができる。接触判定部18は、機械装置11が、
図2に示すアームロボットである場合には、機械装置11の全体や、機械装置本体11aや、アーム11bや、作業部11cや、作業具11dや、作業部センサ121と作業対象物が接触するかどうかを判定することができる。ただし、コントローラ11eは、一般的には、機械装置11と離れて設けられているので、接触判定部18は、コントローラ11eと作業対象物が接触するかどうかは判定しなくてもよい。
【0048】
図8は、接触判定部18が作業具と対象物とが接触するかどうかを判断するフローチャートである。
図8に示すフローチャートについて説明する。接触判定部18は、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判定して、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれていると判定した場合には、S102に進み、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれていないと判定した場合には、終了する(S101)。接触判定部18は、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれていると判定した場合には、機械装置11は、対象物と接触すると判定する(S102)。
【0049】
機械制御システム1は、接触判定部18が、仮想機械装置データ情報41の内部に、対象物データ情報が含まれると判定した場合には、仮想機械装置データ情報41の内部に含まれる、仮想対象物データの形状情報を抽出する接触抽出部19をさらに備える。このようにすれば、機械制御システム1は、機械装置11が、どのような状態で、作業対象物と接触しているのかを把握することができる。
【0050】
仮想対象物データ情報44のうち、仮想機械装置データ情報41の内部に含まれる部分は、接触部分であり、仮想対象物データ情報44の接触部分が存在する位置の情報は、接触データ情報であり、機械制御システム1は、接触データ情報を生成する接触データ生成部20をさらに備える。機械制御システム1が、接触データ情報を生成する接触データ生成部20を備えていれば、後述の表示部23は、機械制御システム1の後述のシステム画面24、および/または、後述の端末2の端末画面201に、接触データ情報を表示することができる。
【0051】
接触部分の形状の情報は、接触部分の形状情報であり、機械制御システム1は、接触抽出部19が抽出した、仮想機械装置データ情報41の内部に含まれる、接触部分の形状情報を記憶する記憶部21をさらに備える。機械制御システム1が、接触部分の形状情報を記憶する記憶部21を備えていれば、機械制御システム1は、仮想機械装置データ情報41の内部に含まれる、接触部分の形状情報を記憶することができる。
【0052】
記憶部21は、接触データ生成部20が生成した接触データ情報を記憶する。記憶部21は、接触データ生成部20が生成した接触データ情報を記憶すれば、機械制御システム1は、接触データ生成部20が生成した接触データ情報を記憶することができる。
【0053】
記憶部21は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、その他のストレージ等の1つあるいはそれらの任意の組み合わせによって構成される、不揮発性メモリ、または、不揮発性ストレージである。ただし、記憶部21は、揮発性メモリ、または、揮発性ストレージであってもよい。また、第1の記憶部116には、RAM(Random Access Memory)が含まれていてもよい。
【0054】
機械制御システム1は、仮想機械装置データ情報41が作業経路の終端EPに到達しているかどうかを判断する終端判定部22をさらに備える。機械制御システム1が、仮想機械装置データ情報41が作業経路の終端EPに到達しているかどうかを判断する終端判定部22をさらに備えていれば、仮想データ生成部17は、仮想機械装置データ情報41が作業経路の終端EPに到達しているかどうかを判断することができる。
【0055】
終端判定部22が、仮想機械装置データ情報41は、作業経路の終端EPに到達していないと判定した場合には、仮想データ生成部17は、仮想機械装置データ情報41を作業経路Pと平行に移動させて、終端判定部22が、仮想機械装置データ情報41は、作業経路の終端EPに到達していると判定した場合には、仮想データ生成部17は、仮想機械装置データ情報41を作業経路Pと平行に移動させることを終了する。このようにすれば、仮想データ生成部17は、仮想機械装置データ情報41が作業経路の終端EPに到達していれば、仮想機械装置データ情報41を作業経路Pと平行に移動させることを終了することができる。
【0056】
図9は、終端判定部22が仮想機械装置データ情報41は作業経路の終端EPに到達しているかどうかを判断するフローチャートである。
図9に示すフローチャートについて説明する。終端判定部22は、仮想機械装置データ情報41が作業経路の終端EPに到達しているかどうかを判定して、仮想機械装置データ情報41が作業経路の終端EPに到達していないと判定した場合には、S202に進み、仮想機械装置データ情報41が作業経路の終端EPに到達していると判定した場合には、仮想データ生成部17は、仮想機械装置データ情報41を作業経路Pと平行に移動させることを終了する(S201)。仮想データ生成部17は、仮想機械装置データ情報41を作業経路Pと平行に移動させる(S202)。
【0057】
図10は、システム画面24を備える機械制御システム1の構成例を示す図である。前述のように、仮想対象物データ情報44のうち、仮想機械装置データ情報41の内部に含まれる部分は、接触部分である。仮想対象物データ情報44の接触部分が存在する位置の表示情報は、接触データ表示情報である。機械制御システム1は、仮想データ生成部17が生成した、仮想機械装置データ情報41、および、仮想対象物データ情報44を表示し、接触データ生成部20が生成した接触データ情報に基づいて、仮想対象物データ情報44に表示した接触データ表示情報をシステム画面24に表示する表示部23をさらに備える。機械制御システム1は、表示部23をさらに備えていれば、システム画面24に、仮想機械装置データ情報41、仮想対象物データ情報44、および、仮想対象物データ情報44に表示した接触データ表示情報を表示することができる。
【0058】
図11は、端末画面201を含む端末2、および、機械制御システム1を備える情報処理システム3の構成例を示す図である。情報処理システム3は、端末画面201を含む端末2と、仮想データ生成部17が生成した、仮想機械装置データ情報41、および、仮想対象物データ情報44を表示し、接触データ生成部20が生成した接触データ情報に基づいて、仮想対象物データ情報44に表示した接触データ表示情報を端末画面201に表示する表示部23をさらに備える機械制御システム1と、を備える。情報処理システム3は、端末画面201を含む端末2と、表示部23をさらに備えていれば、端末画面201に、仮想機械装置データ情報41、仮想対象物データ情報44、および、仮想対象物データ情報44に表示した接触データ表示情報を表示することができる。
【0059】
機械制御システム1と、端末2とは、通信接続Cを介して有線、または、無線で相互に接続されている。これによって、機械制御システム1は、端末2に仮想機械装置データ情報41、仮想対象物データ情報44、および、接触データ表示情報を送信することができる。端末2は、仮想機械装置データ情報41、仮想対象物データ情報44、および、接触データ表示情報を受信すると、端末画面201に仮想機械装置データ情報41、仮想対象物データ情報44、および、仮想対象物データ情報44に表示した接触データ表示情報を表示することができる。
【0060】
機械制御システム1と、端末2とは、互いにネットワーク(例えば、インターネット)で接続されており、通信接続Cは、ネットワーク網に設けられた仮想回線であってもよい。このようにすれば、機械制御システム1と、端末2との接続が容易になる。ネットワークは、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規則により通信が行われる。なお、ネットワークは、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)やWi-Fi等に例示される近距離通信インターフェースを備えていてもよい。仮想回線は、例えば、VPN(Virtual Private Network)、インターネットVPN(Virtual Private Network)、エントリーVPN(Virtual Private Network)、IP(Internet Protocol)-VPN(Virtual Private Network)、広域イーサネットなどであってもよい。
【0061】
機械制御システム1は、端末画面201を含む端末2と通信接続Cによって接続されていても、システム画面24を備えていてもよい。
【0062】
画面に表示される仮想機械装置データ情報41、仮想対象物データ情報44、および、接触データ表示情報について説明する。画面は、システム画面24、および/または、端末画面201である。接触データ表示情報は、後述の接触点TP、および/または、後述の接触領域TAである。
【0063】
図12は、画面に表示された、仮想機械装置データ情報41と、仮想対象物データ情報44とが接触しないことを示す図である。
図12に示す、画面に表示された仮想機械装置データ情報41は、仮想データ生成部17によって生成された、第1の仮想機械装置データ情報42である。仮想機械装置データ情報41は、作業経路の始端SPから作業経路Pと平行に移動する。仮想対象物データ情報44が、仮想機械装置データ情報41に含まれる部分は存在しない。このため、接触データ生成部20は、接触データ情報を生成することはない。これによって、表示部23は、画面に接触データ表示情報を表示することはない。
図12に示す作業経路Pは、分割部16によって、
図4に示すように、分割作業経路DPに分割されている。
【0064】
図13は、
図12の一部拡大図である。
図14は、
図13の一部拡大図である。
図13、および、
図14にも、仮想機械装置データ情報41と、仮想対象物データ情報44とは接触しないことが示されている。
【0065】
図15は、画面に表示された、仮想機械装置データ情報41と、仮想対象物データ情報44とが接触することを示す図である。
図15に示す、画面に表示された仮想機械装置データ情報41は、仮想データ生成部17によって生成された、第1の仮想機械装置データ情報42である。仮想機械装置データ情報41は、作業経路の始端SPから作業経路Pと平行に移動する。仮想対象物データ情報44が、仮想機械装置データ情報41に含まれる部分が存在する。このため、接触データ生成部20は、接触データ情報を生成する。これによって、表示部23は、画面に接触データ表示情報を表示するので、画面には、接触点TP、および/または、接触領域TAが表示される。仮想対象物データ情報44が、仮想機械装置データ情報41に含まれる部分が小さい範囲である場合には、画面に表示される接触データ表示情報は、接触点TPになる。仮想対象物データ情報44が、仮想機械装置データ情報41に含まれる部分が広い範囲である場合には、画面に表示される接触データ表示情報は、接触領域TAになる。
図13に示す作業経路Pは、分割部16によって、
図4に示すように、分割作業経路DPに分割されている。
【0066】
図16は、
図15の一部拡大図である。
図17は、
図16の一部拡大図である。仮想対象物データ情報44は、仮想機械装置データ情報41と接触する部分が存在するので、
図16、および、
図17にも、接触点TP、および、接触領域TAが示されている。
【0067】
<変形例1>
機械装置データ情報を生成する方法は、センサ12を用いた測定に基づく方法には限定されない。例えば機械装置データ情報は、機械装置11の設計データであってもよい。機械装置11の設計データは、例えば、機械装置11の形状を示すCADデータ情報である。当該CADデータ情報は、機械装置11の二次元形状を表してもよいし、三次元形状を表してもよい。なお、機械装置データ情報は、機械装置11の設計データそのものであってもよいし、機械装置11の設計データを加工することで生成されたものであってもよい。
【0068】
機械装置データ情報の生成にセンサ12が利用されない場合、センサ12は、機械装置11を測定しないように設けられてもよい。すなわちこの場合、センサ12は、作業対象物を測定することができればよく、機械装置11を測定できなくてもよい。例えばセンサ12がカメラである場合、センサ12は、作業対象物を撮像範囲に含めばよく、機械装置11を撮像範囲に含まなくてよい。
【0069】
仮想データ生成部17は、任意の方法で機械装置データ情報を取得する。例えば機械装置データ情報は、予め、仮想データ生成部17からアクセス可能な記憶部(例えば、記憶部21)に格納されている。仮想データ生成部17は、この記憶部から、機械装置データ情報を取得する。その他にも例えば、機械装置データ情報は、端末2を利用して入力されてもよい。例えば機械制御システム1のユーザは、機械装置データ情報が格納されている記憶装置(例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリなど)を端末2に接続する。そして、ユーザは、端末2を利用して、当該記憶装置から機械制御システム1へ、機械装置データ情報を送信する。仮想データ生成部17は、端末2から送信された機械装置データ情報を受信することで、機械装置データ情報を取得する。
【0070】
仮想データ生成部17は、機械装置11の設計データである機械装置データ情報に基づいて、仮想機械装置データ情報41を生成する。このことから、機械装置11の設計データという、既に存在しているデータを用いて、機械装置11と対象物とが作業中に接触するか否かを事前に判断できる。そのため、機械装置11と対象物とが作業中に接触するか否かを事前に判断するために要する手間やコストが軽減される。
【0071】
ここで、機械装置データ情報として機械装置11の設計データが利用される場合、仮想データ生成部17は、機械装置データ情報をそのまま、第1の仮想機械装置データ情報42として利用してもよい。この場合、仮想データ生成部17は、機械装置データ情報(すなわち、機械装置11の設計データ)によって表される機械装置11の形状を作業経路Pと平行に移動させることによって、三次元メッシュデータを生成する。そして、この三次元メッシュデータが、第2の仮想機械装置データ情報43として利用される。
【0072】
この手法は、第1の仮想機械装置データ情報42を利用しない手法とも表現できる。すなわち、仮想データ生成部17は、機械装置データ11の設計データである機械装置データ情報を取得し、その機械装置データ情報から前述した三次元メッシュデータを生成することで、仮想機械装置データ情報41を生成しているとも言える。
【0073】
機械装置11の設計データによって表される機械装置11の形状を作業経路Pと平行に移動させる方法によれば、機械装置11の形状が点群データで表される第1の仮想機械装置データ情報42を機械装置データ情報から生成する、という処理が不要となる。よって、機械装置11が作業対象物と接触するか否かの判定に要する時間や計算機資源が削減される。
【0074】
なお、作業経路Pが複数の分割作業経路DPに分割される場合、仮想データ生成部17は、分割作業経路DPごとに、機械装置データ情報によって表される機械装置11の形状をその分割作業経路DPと平行に移動させる。これにより、分割作業経路DPごとに三次元メッシュデータが生成される。このようにして生成された複数の三次元メッシュデータが、第2の仮想機械装置データ情報43として利用される。
【0075】
<変形例2>
対象物データ情報を生成する方法は、センサ12を用いた測定に基づく方法には限定されない。例えば対象物データ情報は、対象物の設計データである。対象物の設計データは、例えば、対象物の形状を示すCADデータ情報である。当該CADデータ情報は、対象物の二次元形状を表してもよいし、三次元形状を表してもよい。なお、対象物データ情報は、対象物の設計データそのものであってもよいし、対象物の設計データを加工することで生成されてもよい。
【0076】
対象物データ情報の生成にセンサ12が利用されない場合、センサ12は、対象物を測定しないように設けられてもよい。また、センサ12が機械装置データ情報の生成にも利用されない場合、機械制御システム1には、センサ12が含まれなくてもよい。
【0077】
仮想データ生成部17は、任意の方法で対象物データ情報を取得する。例えば対象物データ情報は、予め、仮想データ生成部17からアクセス可能な記憶部(例えば、記憶部21)に格納されている。仮想データ生成部17は、この記憶部から、対象物データ情報を取得する。その他にも例えば、対象物データ情報は、端末2を利用して入力されてもよい。例えば機械制御システム1のユーザは、対象物データ情報が格納されている記憶装置(例えば、USB メモリなど)を端末2に接続する。そして、ユーザは、端末2を利用して、当該記憶装置から機械制御システム1へ、対象物データ情報を送信する。仮想データ生成部17は、端末2から送信された対象物データ情報を受信することで、対象物データ情報を取得する。
【0078】
仮想データ生成部17は、対象物の設計データである対象物データ情報に基づいて、仮想対象物データ情報44を生成する。このことから、対象物の設計データという、既に存在しているデータを用いて、機械装置11と対象物とが作業中に接触するか否かを事前に判断できる。そのため、機械装置11と対象物とが作業中に接触するか否かを事前に判断するために要する手間やコストが軽減される。
【0079】
本実施の形態の機械制御システム1は、コンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されたプログラムとして把握することもできる。本実施の形態の機械制御システム1は、コンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体に格納されたプログラムとして把握すると、次のようになる。
【0080】
機械制御システム1に関するプログラムであって、機械装置11が、作業を行ない、センサ12が、機械装置11の形状を測定して機械装置データを生成し、および、作業対象物の形状を測定して対象物データを生成し、形状データ生成部14が、機械装置データに基づいて機械装置データ情報を生成し、および、対象物データに基づいて対象物データ情報を生成し、仮想データ生成部17が、機械装置データ情報に基づいて仮想機械装置データ情報41を生成し、および、対象物データ情報に基づいて仮想対象物データ情報44を生成し、接触判定部18が、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判断する、コンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されたプログラム。本実施の形態の機械制御システム1は、コンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されたプログラムとして把握すると、本実施の形態の機械制御システム1の機能の拡張、または、変更は、コンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されたプログラムを変更することによって、改良、拡張、または、変更することによって、容易に行なうことが可能になる。本実施の形態の機械制御システム1は、コンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されているので、非一時的にコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0081】
記憶媒体は、CD-ROM(Compact Disk Read only memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、その他のストレージ等の1つあるいはそれらの任意の組み合わせによって構成される、メモリ、または、ストレージである。本実施の形態の機械制御システム1のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な不揮発性の記憶媒体に記録されているので、プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、または、プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含むハードウエアは、電源の遮断や、停電などによって、電力が供給されなくても、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されたプログラムが消滅することはない。コンピュータ読み取り可能な不揮発性の記憶媒体に記録された本実施の形態の機械制御システム1のプログラムは、RAM(Random Access Memory)にも記録可能である。
【0082】
本実施の形態の機械制御システム1によって製造物を製造する製造物の製造方法は、次のようになる。
【0083】
機械制御システムを用いた製造物の製造方法であって、機械装置11が、作業を行ない、センサ12が、機械装置11の形状を測定して機械装置データを生成し、および、作業対象物の形状を測定して対象物データを生成し、形状データ生成部14が、機械装置データに基づいて機械装置データ情報を生成し、および、対象物データに基づいて対象物データ情報を生成し、仮想データ生成部17が、機械装置データ情報に基づいて仮想機械装置データ情報41を生成し、および、対象物データ情報に基づいて仮想対象物データ情報44を生成し、接触判定部18が、仮想機械装置データ情報41の内部に、仮想対象物データ情報44が含まれるかどうかを判断して、機械制御システム1が製造物を製造する、製造方法。機械制御システム1を用いた製造方法では、作業具11dを変更することによって、作業を変更して、様々な製造物を製造することができる。
【0084】
製造物は、動産であってもよく、または、不動産であってもよい。また、製造物は、動産として製造された後に、不動産の内部、または、外部に設置されてもよい。
【0085】
機械制御システム1を用いた製造方法によって製造される製造物は、塗装処理、溶接加工、切削加工、研削加工、旋削加工のうちの少なくとも1つで、機械制御システム1を用いた製造方法によって製造される。機械制御システム1を用いた製造方法によって製造される製造物は、作業具11dを変更することによって、塗装処理、溶接加工、切削加工、研削加工、旋削加工のうちの少なくとも1つの作業を行なうことによって、様々な対象物が製造される
【0086】
最後に、本発明の実施の形態を図面及び対応する記載等を用いて以下に総括する。
【0087】
(請求項1)
作業に利用される機械装置(11)の形状を表す機械装置データ情報に基づいて、前記作業において前記機械装置(11)が通過する三次元領域を表す仮想機械装置データ情報(41)を生成し、および、前記作業の対象物の形状を表す対象物データ情報に基づいて、前記作業において対象物が配置される三次元領域を表す仮想対象物データ情報(44)を生成する、仮想データ生成部(17)と、
前記仮想機械装置データ情報(41)の内部に、前記仮想対象物データ情報(44)が含まれるかどうかを判定する接触判定部(18)と、
を備える、システム(1)。
(請求項2)
前記対象物データ情報は、センサ(12)を用いて前記対象物を測定した結果に基づいて生成される、請求項1に記載のシステム(1)。
(請求項3)
前記対象物データ情報は、前記対象物の画像データを用いて生成された、前記対象物の三次元形状を表すデータである、請求項2に記載のシステム(1)。
(請求項4)
前記対象物データ情報は前記対象物の設計データである、請求項1に記載のシステム(1)。
(請求項5)
前記仮想対象物データ情報(44)に作業経路(P)を設定する作業経路設定部(15)をさらに備える、請求項1から4いずれか一項に記載のシステム(1)。
(請求項6)
前記作業経路(P)を分割して分割作業経路(DP)を生成する分割部(16)をさらに備える、請求項5に記載のシステム(1)。
(請求項7)
前記仮想データ生成部(17)は、
前記機械装置データ情報に基づいて、前記機械装置(11)の形状が点群データで表される第1の仮想機械装置データ情報(42)を生成し、
前記対象物データ情報に基づいて、前記対象物の形状が点群データで表される前記仮想対象物データ情報(44)を生成し、
前記第1の仮想機械装置データ情報(42)を前記作業経路(P)と平行に移動させる、請求項5に記載のシステム(1)。
(請求項8)
前記仮想データ生成部(17)は、
前記機械装置データ情報の前記分割作業経路(DP)と垂直な方向の形状を2以上の三角形のデータに分割して、2以上の前記三角形のデータを前記分割作業経路(DP)と平行に移動させることによって形成された、2以上の三角柱のデータで構成される第2の仮想機械装置データ情報(43)を生成し、
前記対象物データ情報に基づいて、前記対象物の形状が点群データで表される前記仮想対象物データ情報(44)を生成する、請求項6に記載のシステム(1)。
(請求項9)
2以上の前記三角柱のデータで構成される前記第2の仮想機械装置データ情報(43)は、三次元メッシュデータで構成される三次元メッシュデータ情報である、請求項8に記載のシステム(1)。
(請求項10)
前記機械装置データ情報は前記機械装置(11)の三次元形状を表す設計データである、請求項5又は6に記載のシステム(1)。
(請求項11)
前記仮想データ生成部(17)は、前記機械装置データ情報によって表される前記機械装置(11)の三次元形状を前記作業経路(P)と平行に移動させることにより、前記仮想機械装置データ情報(41)を生成する、請求項10に記載のシステム(1)。
(請求項12)
前記接触判定部(18)が、前記仮想機械装置データ情報(41)の内部に、前記仮想対象物データ情報(44)が含まれると判断した場合には、前記仮想機械装置データ情報(41)の内部に含まれる、前記仮想対象物データ情報(44)の形状情報を抽出する接触抽出部(19)をさらに備える、請求項1から11いずれか一項に記載のシステム(1)。
(請求項13)
前記仮想対象物データ情報(44)のうち、前記仮想機械装置データ情報(41)の内部に含まれる部分は、前記対象物のうち、前記機械装置(11)と接触する部分を表し、
前記仮想対象物データ情報(44)の前記接触する部分が存在する位置の情報を表す接触データ情報を生成する接触データ生成部(20)をさらに備える、請求項12に記載のシステム(1)。
(請求項14)
前記仮想対象物データ情報(44)及び前記接触データ情報に基づいて、前記対象物において前記接触する部分が示されている接触データ表示情報を画面に表示する表示部(23)をさらに備える、請求項13に記載のシステム(1)。
(請求項15)
作業に利用される機械装置(11)の形状を表す機械装置データ情報に基づいて、前記作業において前記機械装置(11)が通過する三次元領域を表す仮想機械装置データ情報(41)を生成する処理と、
前記作業の対象物の形状を表す対象物データ情報に基づいて、前記作業において前記対象物が配置される三次元領域を表す仮想対象物データ情報(44)を生成する処理と、
前記仮想機械装置データ情報(41)の内部に、前記仮想対象物データ情報(44)が含まれるかどうかを判断する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
(請求項16)
作業の対象物から製造物を製造する製造方法であって、
前記作業に利用される機械装置(11)の形状を表す機械装置データ情報に基づいて、前記作業において前記機械装置(11)が通過する三次元領域を表す仮想機械装置データ情報(41)を生成することと、
前記対象物の形状を表す対象物データ情報に基づいて、前記作業において前記対象物が配置される三次元領域を表す仮想対象物データ情報(44)を生成することと、
前記仮想機械装置データ情報(41)の内部に、前記仮想対象物データ情報(44)が含まれるかどうかを判断することと、を含む、製造方法。
(請求項17)
前記作業は、塗装処理、溶接加工、切削加工、研削加工、旋削加工のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の製造方法。
【符号の説明】
【0088】
1 機械制御システム
2 端末
3 情報処理システム
11 機械装置
11a 機械装置本体
11b アーム
11c 作業部
11d 作業具
11e コントローラ
12 センサ
121 作業部センサ
13 制御部
14 形状データ生成部
15 作業経路設定部
16 分割部
17 仮想データ生成部
18 接触判定部
19 接触抽出部
20 接触データ生成部
21 記憶部
22 終端判定部
23 表示部
24 システム画面
31 溶接作業具
32 コーン
33 シリンダ
41 仮想機械装置データ情報
411 仮想コーンデータ情報
412 仮想シリンダデータ情報
42 第1の仮想機械装置データ情報
421 第1の仮想コーンデータ情報
422 第1の仮想シリンダデータ情報
43 第2の仮想機械装置データ情報
431 第2の仮想コーンデータ情報
432 第2の仮想シリンダデータ情報
44 仮想対象物データ情報
51 拡大図
52 メッシュデータ
53 移動ベクトル
54 三角柱データ
P 作業経路
DP 分割作業経路
SP 作業経路の始端
EP 作業経路の終端
TP 接触点
TA 接触領域
201 端末画面
C 通信接続
1100 溶接対象部材
1101 溶接対象部材
1102 溶接パス