(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010901
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】報知システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112478
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】下山 佑介
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC27
5H181EE08
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL02
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】車両の走行場所によらず、運転者に緊急車両の接近を報知することができる報知システムを提供する。
【解決手段】本発明の報知システム1は、車両Vの外部の音声を収音するマイク2a~2dと、収音された音声に特定の周波数が含まれているとき、特定音の検知と判断して検知信号を出力する判断部5aと、車両Vの内部に設けられ、特定音の検知を報知する照明11a~11dと、検知信号が入力されたとき、照明11a~11dで報知を開始させる制御部5bを備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、前記車両の外部の音声を収音する収音部と、
前記収音部で収音された音声に特定の周波数が含まれているとき、特定音の検知と判断して検知信号を出力する判断部と、
前記車両の内部に設けられ、前記特定音の検知を報知する報知部と、
前記検知信号が入力されたとき、前記報知部に報知を開始させる制御部と、
を備えていることを特徴とする報知システム。
【請求項2】
前記収音部は前記車両の前方左側、前方右側、後方左側及び後方右側に分離して設けられている請求項1に記載の報知システム。
【請求項3】
前記判断部は複数の前記収音部から前記特定音が接近してくる接近方向を判断し、前記接近方向を示す制御信号を出力する請求項2に記載の報知システム。
【請求項4】
前記報知部は前記車両の運転者が視認可能な位置に設けられた照明装置である請求項1に記載の報知システム。
【請求項5】
前記照明装置を複数有し、
前記判断部は前記照明装置の各々に対して選択的に前記特定音が接近してくる接近方向を示す制御信号を出力する請求項4に記載の報知システム。
【請求項6】
前記照明装置は前記接近方向に対応した位置に設けられている請求項5に記載の報知システム。
【請求項7】
前記照明装置は前記接近方向に対応して動的に点灯又は点滅する請求項5に記載の報知システム。
【請求項8】
前記照明装置は前記特定音が接近してくる接近方向に対応して照明色が変化する請求項4又は5に記載の報知システム。
【請求項9】
前記報知部は前記車両の運転者が視認可能な位置に設けられたディスプレイである請求項1に記載の報知システム。
【請求項10】
前記報知部はプロジェクタであり、
前記プロジェクタは前記車両の運転者が視認可能な位置に前記特定音の検知を示すアイコンを投影する請求項1に記載の報知システム。
【請求項11】
前記判断部は、前記収音部で収音された音声に前記特定の周波数が含まれなくなったと判断された場合又は前記収音された音声の周波数が前記特定の周波数から徐々に低下していると判断された場合に、前記特定音の検知が終了したと判断する請求項1に記載の報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内に設けられた照明装置等により緊急車両の接近を報知する報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の運転中に救急車等の緊急車両が接近してきたとき、運転者にその旨を知らせるシステムが知られている。このようなシステムの利用により、運転者は、仮に車外の音が聞こえにくい状況であっても緊急車両のために道を譲る避譲措置を取ることができる。
【0003】
例えば、特許文献1の街路灯システムは、サイレン音等の緊急車両が発する音を検知することで、緊急車両の現在位置及び進行方向を監視する。具体的には、複数の街路灯がそれぞれ音センサ、街路灯制御部及び灯具を備えており、街路灯制御部が音響信号処理部及び灯色制御部を備えている。
【0004】
音響信号処理部は、目的音が直接音又は回折音である非反射音であるか反射音であるかを判別し、非反射音に基づいて目的音の発生位置を検出する。また、灯色制御部は、緊急車両進路データに基づいて、緊急車両の進路上に設置された少なくとも1つの街路灯を警戒色で点灯させる警戒色点灯信号を生成する。
【0005】
灯色制御部は、緊急車両までの距離がしきい値よりも小さければ、その街路灯の灯色を変更すべきと判定する。そして、警戒色点灯信号を受けて、灯具が警戒色で点灯する。街路灯システムによれば、緊急車両の現在位置と進行方向とを街路灯の灯色によって運転手に通知するので、運転手が緊急車両に道を譲ることができる(特許文献1/段落0014,0015,0031等、
図1,
図2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この街路灯システムは、そもそも車両がこの街路灯付近を走行しているときに運転手が認識できる報知態様となっているため、走行場所によっては本システムを利用できないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車両の走行場所によらず、運転者に緊急車両の接近を報知することができる報知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の報知システムは、車両に設けられ、前記車両の外部の音声を収音する収音部と、前記収音部で収音された音声に特定の周波数が含まれているとき、特定音の検知と判断して検知信号を出力する判断部と、前記車両の内部に設けられ、前記特定音の検知を報知する報知部と、前記検知信号が入力されたとき、前記報知部に報知を開始させる制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明の報知システムは、車両に外部の音声を収音する収音部が設けられている。判断部は、収音された音声に緊急車両から発せられる特定の周波数が含まれているとき特定音の検知と判断し、検知信号を出力する。
【0011】
制御部は、検知信号が入力されたとき、車両の内部に設けられた報知部によよって特定音が検知されたことを報知する。このため、車両の運転者は、走行場所によらず、緊急車両の接近を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の報知システムを備える車両を示す図である。
【
図2】
図1の車両内(運転席付近)の様子を示す図である。
【
図4】報知システムの基本制御のフローチャートである。
【
図5】車両の車内の報知態様の一例を示す図である。
【
図6A】4つのマイクからなる報知システムのフローチャート(前半)。
【
図6B】4つのマイクからなる報知システムのフローチャート(後半)。
【
図7A】車両の車内の報知態様(左側後方から接近中)を示す図である。
【
図7B】車両の車内の報知態様(右側前方から接近中)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の好適な実施形態について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付して説明する。
【0014】
[実施形態]
図1は、本発明の報知システム1を備える車両Vを示している。
【0015】
図示するように、車両Vの天井部の四隅には、4つのマイク2a~2d(本発明の「収音部」)が取り付けられている。マイク2a~2dが車外の音声を収音し、マイコン5で収音した音声信号を処理する。
【0016】
マイク2a~2dは、それぞれ車両Vの前方左側、前方右側、後方左側、後方右側に設けられているため、マイコン5は、音源の方向を判断することができる。なお、図中の楕円(破線)は、マイク2a~2dのそれぞれが収音可能な方向を示している。マイク2a,2bは、車両Vのピラー部に取り付けてもよい。
【0017】
指向性のある1又は複数のマイクを、車両Vの天井部等に取り付けてもよい。このような態様によっても、マイコン5は、音源の方向を判断することができる。マイコン5は、入力された音声信号(デジタル信号)を処理し、周波数特性を調べる。例えば、救急車のサイレン音に特有の周波数成分を含む音声が検知された場合には、マイコン5が特定音と判定し、運転者にその旨を報知する。
【0018】
このように、報知システム1は、救急車等の緊急車両が車両Vに接近してきたとき、車内のオーディオ音が大きく、車外の音声が聞こえ難い状態であっても、運転者がその事象を認識することができる。運転者は、例えば車内のインテリア照明によって緊急車両の接近を知ることができるので、直ちに車両Vの避譲措置を取ることができる。
【0019】
図2は、車両V内(運転席付近)の様子を示している。
【0020】
車両Vの左右のドア上部、ダッシュボード上部、インストルメントパネル上部には、運転席を囲む形のアンビエント装飾照明である照明11a~11b(照明装置11)が設けられている。
【0021】
照明11a~11bは、それぞれ複数のLEDが内蔵されており、緊急車両の接近が検知されたとき、特定色で発光したりダイナミック点灯(点滅)したりする。照明11a~11bは、本発明の「報知部」の1つである。
【0022】
ディスプレイ12は、主にカーナビゲーションシステム又はテレビ用の画面であり、ラジオの操作等も可能となっている。ディスプレイ12も運転者から視認し易い位置に配置されているため、ディスプレイ12で緊急車両の接近を報知することができる。
【0023】
ルームミラー14の上方には、小型プロジェクタ13が取り付けられている。詳細は後述するが、小型プロジェクタ13は、緊急車両が接近してきたとき、車内の運転者が視認し易い位置にその旨を示すアイコンを投影することができる。ディスプレイ12及び小型プロジェクタ13についても、本発明の「報知部」である。
【0024】
次に、
図3を参照して、報知システム1の構成について説明する。図示するように、報知システム1は、マイク2a~2dと、それに対応するADC(Analog Digital Converter)3a~3dと、マイコン5と、照明装置11と、ディスプレイ12と、小型プロジェクタ13とで構成されている。
【0025】
車両Vのマイク2aで収音された音声はアナログ信号であるため、ADC3aにて音圧に比例したデジタル信号に変換される。なお、ADC3aは、アナログ信号入力処理部、AD変換部、フィルタ処理部、デジタル信号出力部で構成されている。
【0026】
そして、ADC3aで生成されたデジタル信号がマイコン5に入力される。専用のADCを用いることで、音声のサンプリング周波数を高くすることできるため、小さな音声の検出も可能となる。マイク2b~2dで収音された音声についても同様である。
【0027】
マイコン5は、判断部5aと、制御部5bとで構成されている。判断部5aは、マイク2a~2dで収音された音声に特定の周波数が含まれているとき、特定音の検知と判断して検知信号を出力する。判断部5aは、入力されたデジタル信号にどのような周波数成分が含まれているかを高速フーリエ変換により解析する。例えば、救急車のサイレン音は、約960Hzの周波数成分と、約770Hzの周波数成分を含み、これらが約0.6秒毎に繰り返され音声である。
【0028】
制御部5bは、当該検知信号を受けて、例えば照明装置11に報知を開始させる。照明装置11が点灯したり、特定の報知色に変更されたりすることで、運転者は、車両Vに救急車が接近していることを認識する。
【0029】
報知システム1に警察車両や消防車のサイレン音に含まれる周波数成分を予め記憶しておけば、これらのサイレン音についても、運転者に報知することができる。
【0030】
図4は、報知システム1の基本制御のフローチャートを示している。本処理では、車両Vがマイク2a~2bのうちの少なくとも1つを有していればよい。
【0031】
また、前提として、通常時は車両Vの照明装置11が「通常色」で点灯し、ディスプレイ12が「通常表示」されているものとする。なお、「通常色」とは、運転者が眩しさを感じない明るさで、任意に設定した色の発光(装飾発光)をいう。また、「通常表示」は、カーナビゲーションシステムの案内表示等をいう(
図2参照)。
【0032】
まず、マイク(例えば、マイク2a)による収音を開始し(STEP01)、判断部5aがサイレン音を検知したか否かを判断する(STEP02)。サイレン音が検知された場合にはSTEP03に進み、サイレン音が検知されない場合にはSTEP01に戻る。
【0033】
サイレン音が検知された場合(STEP02:YES)、車内へ報知するか否かを判定する(STEP03)。車内へ報知する場合にはSTEP04に進み、報知しない場合にはSTEP01に戻る。なお、サイレン音を検知したが、報知する必要のない例として、サイレン音の音圧がかなり小さい場合が挙げられる。
【0034】
車内へ報知する場合(STEP03:YES)、照明装置11等を報知態様に変更する(STEP04)。具体的には、照明装置11を「報知色」に変更し、ディスプレイ12で「報知実行」とする。また、アイコン表示を「オン」とする。
【0035】
図5は、車両Vの車内での報知態様の一例を示している。照明装置11の「報知色」とは、赤色等の目立つ色彩の発光をいう。また、ディスプレイ12の「報知実行」とは、カーナビゲーションシステムの表示を中止するか、その表示に重ねて、例えば緊急車両の画像を表示することをいう。
【0036】
アイコン表示の「オン」とは、小型プロジェクタ13が車内のピラー部等に警告マーク、緊急車両の画像といったアイコンSを投影することをいう。これらの報知を少なくとも1つ実行することで、運転者は緊急車両の接近を認識し、直ちに適切な避譲措置を取ることができる。
【0037】
次に、判断部5aは、サイレン音が鳴り止んだか否かを判断する(STEP05)。サイレン音が鳴り止み、検知されなくなった場合にはSTEP06に進み、サイレン音が鳴り止んでいない(継続して検知されている)場合には鳴り止むまでこの判断を繰り返す。本ステップでは、サイレン音が遠ざかったか否かを判定してもよい。
【0038】
最後に、サイレン音が鳴り止んだ場合(STEP05:YES)、照明装置11等による報知を中止する(STEP06)。具体的には、照明装置11を「通常色」に戻し、ディスプレイ12は「通常表示」とする。また、アイコン表示を「オフ」とする。以上で、報知システム1の基本制御の処理を終了する。
【0039】
次に、
図6A、
図6Bを参照して、4つのマイクからなる報知システム1のフローチャートを説明する。すなわち、車両Vがマイク2a~2bを有しており(
図1参照)、緊急車両が接近してくる方向を認識して適切な報知を行う処理である。なお、通常時は車両Vの照明装置11が「通常色」で点灯し、ディスプレイ12が「通常表示」されているものとする。
【0040】
まず、
図6Aにおいて、マイク2a~2d全てよる収音を開始し(STEP11)、判断部5aがサイレン音を検知したか否かを判断する(STEP12)。サイレン音が検知された場合にはSTEP13に進み、サイレン音が検知されない場合にはSTEP11に戻る。
【0041】
サイレン音が検知された場合(STEP12:YES)、前方マイク(マイク2a,2b)と比較して、後方マイク(マイク2c,2d)の音圧レベルが高いか否かを判定する(STEP13)。後方マイクの音圧レベルの方が高い場合にはSTEP14に進み、後方マイクの音圧レベルの方が低い場合には
図6BのSTEP21に進む(後述する)。
【0042】
後方マイクの音圧レベルの方が高い場合(STEP13:YES)、右側マイク(マイク2b,2d)と比較して、左側マイク(マイク2a,2c)の音圧レベルが高いか否かを判定する(STEP14)。左側マイクの音圧レベルの方が高い場合にはSTEP15に進み、左側マイクの音圧レベルの方が低い場合にはSTEP18に進む。
【0043】
まず、左側マイクの音圧レベルが高い場合(STEP14:YES)を説明する。この場合、サイレン音の周波数が低下しているか否かを判定する(STEP15)。サイレン音の周波数が低下している場合にはSTEP16に進み、サイレン音の周波数が低下しない場合にはSTEP17に進む。
【0044】
サイレン音の周波数が低下している場合(STEP15:YES)、ドップラー効果により、サイレン音の音源である緊急車両は、車両Vの左側後方に遠ざかったことになる。このため、照明装置11は、「通常色」のままとする(STEP16)。
【0045】
一方、サイレン音の周波数が低下していない場合(STEP15:NO)、特に周波数が高くなっている場合は、ドップラー効果により、緊急車両が車両Vの左側後方から接近中である。このため、照明装置11を「報知色」に変更し、報知する(STEP17)。なお、緊急車両の接近方向に対応した発光制御とするため、判断部5aから照明11a~11dのそれぞれに向けて制御信号が送信される。
【0046】
図7Aは、STEP17における車両V内の報知態様を示している。左側の照明11a,11bは、赤色等の目立つ色彩で発光させている。また、照明11aと照明11bとで、光が前方に流れるようなダイナミック点灯(点滅)をさせる。緊急車両の接近方向に対応して、照明色を変化させて報知してもよい。
【0047】
ディスプレイ12では、カーナビゲーションシステムの表示を中止するか、その表示に重ねて緊急車両の画像を表示する。また、小型プロジェクタ13により、車内のピラー部にアイコンSを投影する。これらの報知を少なくとも1つ実行することで、運転者は、緊急車両が車両Vに接近していること及びその接近方向を認識し、直ちに適切な避譲措置を取ることができる。
【0048】
次に、左側マイクの音圧レベルが低い場合(STEP14:NO)を説明する。この場合、サイレン音の周波数が低下しているか否かを判定する(STEP18)。サイレン音の周波数が低下している場合にはSTEP19に進み、サイレン音の周波数が低下しない場合にはSTEP20に進む。
【0049】
サイレン音の周波数が低下している場合(STEP18:YES)、ドップラー効果により、緊急車両が車両Vの右側後方に遠ざかったことになる。このため、照明装置11は、「通常色」のままとする(STEP19)。
【0050】
一方、サイレン音の周波数が低下していない場合(STEP18:NO)、特に周波数が高くなっている場合は、ドップラー効果により、緊急車両が車両Vの右側後方から接近中である。このため、照明装置11を「報知色」に変更し、報知する(STEP20)。なお、緊急車両の接近方向に対応した発光制御とするため、判断部5aから照明11a~11dのそれぞれに向けて制御信号が送信される。
【0051】
次に、
図6Bを参照して、後方マイクの音圧レベルの方が低い場合(STEP13:NO)を説明する。この場合、右側マイク(マイク2b,2d)と比較して、左側マイク(マイク2a,2c)の音圧レベルが高いか否かを判定する(STEP21)。左側マイクの音圧レベルの方が高い場合にはSTEP22に進み、左側マイクの音圧レベルの方が低い場合にはSTEP25に進む。
【0052】
まず、左側マイクの音圧レベルが高い場合(STEP21:YES)を説明する。この場合、サイレン音の周波数が低下しているか否かを判定する(STEP22)。サイレン音の周波数が低下している場合にはSTEP23に進み、サイレン音の周波数が低下しない場合にはSTEP24に進む。
【0053】
サイレン音の周波数が低下している場合(STEP22:YES)、ドップラー効果により、緊急車両が車両Vの左側前方に遠ざかったことになる。このため、照明装置11は、「通常色」のままとする(STEP23)。
【0054】
一方、サイレン音の周波数が低下していない場合(STEP22:NO)、特に周波数が高くなっている場合は、ドップラー効果により、緊急車両が車両Vの左側前方から接近中である。このため、照明装置11を「報知色」に変更し、報知する(STEP24)。なお、緊急車両の接近方向に対応した発光制御とするため、判断部5aから照明11a~11dのそれぞれに向けて制御信号が送信される。
【0055】
次に、左側マイクの音圧レベルが低い場合(STEP21:NO)を説明する。この場合、サイレン音の周波数が低下しているか否かを判定する(STEP25)。サイレン音の周波数が低下している場合にはSTEP26に進み、サイレン音の周波数が低下しない場合にはSTEP27に進む。
【0056】
サイレン音の周波数が低下している場合(STEP25:YES)、ドップラー効果により、緊急車両が車両Vの右側前方に遠ざかったことになる。このため、照明装置11は、「通常色」のままとする(STEP26)。
【0057】
一方、サイレン音の周波数が低下していない場合(STEP25:NO)、特に周波数が高くなっている場合は、ドップラー効果により、緊急車両が車両Vの右側前方から接近中である。このため、照明装置11を「報知色」に変更し、報知する(STEP27)。なお、緊急車両の接近方向に対応した発光制御とするため、判断部5aから照明11a~11dのそれぞれに向けて制御信号が送信される。
【0058】
図7Bは、STEP27における車両V内の報知態様を示している。右側の照明11c,11dは、赤色等の目立つ色彩で発光させている。また、照明11cと照明11dとで、光が後方に流れるようなダイナミック点灯(点滅)をさせる。
【0059】
ディスプレイ12では、カーナビゲーションシステムの表示を中止するか、その表示に重ねて緊急車両の画像を表示する。また、小型プロジェクタ13により、車内のピラー部にアイコンSを投影する。
【0060】
このフローチャートにおいて、照明装置11が「報知色」に変更された場合(STEP17,20,24,27)、本処理を定期的に繰り返すことで、やがて照明装置11は「通常色」に戻る。本フローチャートでは、ディスプレイ12、小型プロジェクタ13の説明を省略したが、照明装置11と同様の報知制御となる。以上で、4つのマイクからなる報知システム1の処理を終了する。
【0061】
本実施形態の報知システムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することできる。
【0062】
例えば、ヘッドアップディスプレイを搭載する車両では、ディスプレイ12の代わりにヘッドアップディスプレイで報知するようにしてもよい。小型プロジェクタ13を有していない車両では、ヘッドアップディスプレイにアイコンSを表示してもよい。
【0063】
緊急車両の接近が検知されたとき、音声によって報知してもよい。例えば、オーディオを停止又はボリュームを下げてサイレン音が聞こえ易いように変更してもよい。また、スピーカからの警告音や音声で緊急車両の接近を報知してもよい。
【0064】
照明装置11は、ディスプレイ12や他のインジケータと同様に、日中と夜間とで明るさを変更してもよい。日中は周囲の明るさに紛れないようにより強い発光で報知する必要がある。しかしながら、夜間は日中と同じ明るさとした場合、運転者が眩しさを感じるため、日中よりも弱い発光にしても機能する。
【符号の説明】
【0065】
1…報知システム、2a~2d…マイク、3a~3d…ADC、5…マイコン、5a…判断部、5b…制御部、11…照明装置、11a~11d…照明、12…ディスプレイ、13…小型プロジェクタ、14…ルームミラー、S…アイコン、V…車両。