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特開2024-109016シリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法とそれを使用した近距離無線通信タグ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109016
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】シリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法とそれを使用した近距離無線通信タグ装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 5/48 20240101AFI20240805BHJP
【FI】
H04B5/02
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147462
(22)【出願日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】112103267
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】514031983
【氏名又は名称】凌通科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Generalplus Technology Inc.
【住所又は居所原語表記】No.19,Industry E.Rd.IV,Hsinchu Science Park,Hsinchu City 30077,Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】徐培健
(72)【発明者】
【氏名】羅立聲
【テーマコード(参考)】
5K012
【Fターム(参考)】
5K012AB03
5K012AC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】専用の集積回路を採用せずコストを節約するシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法及びそれを使用した近距離無線通信タグ装置を提供する。
【解決手段】方法は、シリアルインターフェースマイクロコントローラーを提供し、近距離無線通信LC共振回路により近距離無線通信搬送波を検波し、近距離無線通信プロトコルに基づいて近距離無線通信搬送波を分周し、近距離無線通信クロック信号を獲得し、近距離無線通信LC共振回路の近距離無線通信搬送波に対しフィルタリングを行って包絡線信号を獲得し、シリアル伝送プロトコル及び近距離無線通信クロック信号のトリガー順序に基づいて包絡線信号のデジタルシーケンスを順次受信し、近距離無線通信プロトコルに基づいて包絡線信号のデジタルシーケンスから近距離無線通信データを復号化する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端及び第2端を含む近距離無線通信LC共振回路と、
入力端及び出力端を含む分周回路であって、前記分周回路の入力端は前記近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続されている分周回路と、
入力端及び出力端を含む包絡線検波回路であって、前記包絡線検波回路の入力端は前記近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続されている包絡線検波回路と、
クロック入力端及びシリアルデータ入力端を含むシリアルインターフェースマイクロコントローラーであって、前記シリアルインターフェースマイクロコントローラーのクロック入力端は前記分周回路の出力端に接続され、前記シリアルインターフェースマイクロコントローラーのシリアルデータ入力端は前記包絡線検波回路の出力端に接続されているシリアルインターフェースマイクロコントローラーと、を備え、
前記分周回路は近距離無線通信プロトコルに基づいて、前記近距離無線通信LC共振回路の第1端の近距離無線通信搬送波から近距離無線通信クロック信号を分周し、
前記包絡線検波回路は受信した信号に基づいて、包絡線信号に変換し、
前記シリアルインターフェースマイクロコントローラーのクロック入力端は前記近距離無線通信クロック信号を受信し、前記シリアルインターフェースマイクロコントローラーのシリアルデータ入力端は前記包絡線信号を受信し、前記近距離無線通信プロトコルに基づいて包絡線信号から近距離無線通信データを復号化するために用いられていることを特徴とする近距離無線通信タグ装置。
【請求項2】
第1端及び第2端を含む直流遮断回路であって、前記直流遮断回路の第1端は前記近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続され、前記直流遮断回路の第2端は前記分周回路の入力端に接続され、前記近距離無線通信搬送波を通過させるために用いられている直流遮断回路を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の近距離無線通信タグ装置。
【請求項3】
前記直流遮断回路と前記分周回路の入力端との間に接続され、前記近距離無線通信搬送波を電源電圧とコモン電圧との間で操作するために用いられているバイアス回路を更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の近距離無線通信タグ装置。
【請求項4】
前記バイアス回路は、
第1端及び第2端を含む第1抵抗器であって、前記第1抵抗器の第1端は前記電源電圧に接続され、前記第1抵抗器の第2端は前記直流遮断回路の第2端に接続されている第1抵抗器と、
第1端及び第2端を含む第2抵抗器であって、前記第2抵抗器の第1端は前記直流遮断回路の第2端に接続され、前記第2抵抗器の第2端は前記コモン電圧に接続されている第2抵抗器と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の近距離無線通信タグ装置。
【請求項5】
前記包絡線検波回路は、
第1端及び第2端を含む第3抵抗器であって、前記第3抵抗器の第1端は電源電圧に接続されている第3抵抗器と、
第1端及び第2端を含む第1一方向伝導素子であって、前記第1一方向伝導素子の第1端は前記第3抵抗器の第2端に接続され、前記第1一方向伝導素子の第2端は前記包絡線検波回路の入力端に接続され、前記第1一方向伝導素子は電流を前記第1一方向伝導素子の第1端から前記第1一方向伝導素子の第2端に向けて流れるように制限する第1一方向伝導素子と、
エミッタ端と、コレクタ端と、ベース端と、を含む第1トランジスタであって、前記第1トランジスタのエミッタ端はコモン電圧に接続され、前記第1トランジスタのコレクタ端は前記第1一方向伝導素子の第1端に接続され、前記第1トランジスタのベース端は前記第1一方向伝導素子の第2端に接続されている第1トランジスタと、
第1端及び第2端を含む第2一方向伝導素子であって、前記第2一方向伝導素子の第1端は前記包絡線検波回路の出力端に接続され、前記第2一方向伝導素子の第2端は前記第1トランジスタのコレクタ端に接続され、前記第2一方向伝導素子は電流を前記第2一方向伝導素子の第1端から前記第2一方向伝導素子の第2端に向けて流れるように制限する第2一方向伝導素子と、
第1端及び第2端を含む第1キャパシタンスであって、前記第1キャパシタンスの第1端は前記第2一方向伝導素子の第1端に接続され、前記第1キャパシタンスの第2端は前記コモン電圧に接続されている第1キャパシタンスと、
第1端及び第2端を含む第4抵抗器であって、前記第4抵抗器の第1端は前記電源電圧に接続され、前記第4抵抗器の第2端は前記第2一方向伝導素子の第1端に接続されている第4抵抗器と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の近距離無線通信タグ装置。
【請求項6】
前記包絡線検波回路は、
第1端及び第2端を含む第2キャパシタンスであって、前記第2キャパシタンスの第1端は前記包絡線検波回路の出力端に接続され、前記第2キャパシタンスの第2端は前記第2一方向伝導素子の第1端に接続されている第2キャパシタンスと、
第1端及び第2端を含む第5抵抗器であって、前記第5抵抗器の第1端は前記電源電圧に接続され、前記第5抵抗器の第2端は前記第2キャパシタンスの第1端に接続されている第5抵抗器と、
第1端及び第2端を含む第6抵抗器であって、前記第6抵抗器の第1端は前記第2キャパシタンスの第1端に接続され、前記第6抵抗器の第2端は前記コモン電圧に接続されている第6抵抗器と、を更に備えていることを特徴とする請求項5に記載の近距離無線通信タグ装置。
【請求項7】
前記シリアルインターフェースマイクロコントローラーはシリアルデータ出力端を更に備え、且つ前記近距離無線通信タグ装置は、
第1端と、第2端と、制御端と、を含むスイッチング回路であって、前記スイッチング回路の制御端は前記シリアルインターフェースマイクロコントローラーのシリアルデータ出力端に接続され、前記スイッチング回路の第1端は前記近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続され、前記スイッチング回路の第2端は前記近距離無線通信LC共振回路の第2端に接続されているスイッチング回路と、を更に含み、
前記シリアルインターフェースマイクロコントローラーのクロック入力端は前記近距離無線通信クロック信号を受信し、前記近距離無線通信プロトコルに基づいて、近距離無線通信出力データを出力するように前記スイッチング回路の第1端及び第2端の導通と切断を制御するために用いられていることを特徴とする請求項1に記載の近距離無線通信タグ装置。
【請求項8】
前記近距離無線通信LC共振回路は、
第1端及び第2端を含む近距離無線通信共振コイルであって、前記近距離無線通信共振コイルの第1端は前記近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続され、前記近距離無線通信共振コイルの第2端は前記近距離無線通信LC共振回路の第2端に接続されている近距離無線通信共振コイルと、
第1端及び第2端を含む共振キャパシタンスであって、前記共振キャパシタンスの第1端は前記近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続され、前記共振キャパシタンスの第2端は前記近距離無線通信LC共振回路の第2端に接続されている共振キャパシタンスと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の近距離無線通信タグ装置。
【請求項9】
前記シリアルインターフェースマイクロコントローラーはシリアル・ペリフェラル・インタフェース伝送プロトコル(Serial Peripheral Interface Bus、SPI)に基づいて前記包絡線信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の近距離無線通信タグ装置。
【請求項10】
前記シリアルインターフェースマイクロコントローラーはI2S伝送プロトコル(Integrated Interchip Sound)に基づいて前記包絡線信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の近距離無線通信タグ装置。
【請求項11】
シリアルインターフェースマイクロコントローラーを提供するステップと、
近距離無線通信LC共振回路により近距離無線通信搬送波を検波するステップと、
前記近距離無線通信搬送波を分周し、近距離無線通信クロック信号を獲得するステップと、
前記近距離無線通信LC共振回路の前記近距離無線通信搬送波に対し包絡線検波を行い、包絡線信号を獲得するステップと、
シリアル伝送プロトコル及び前記近距離無線通信クロック信号のトリガー順序に基づいて、前記包絡線信号のデジタルシーケンスを順次受信するステップと、
近距離無線通信プロトコルに基づいて、包絡線信号のデジタルシーケンスから近距離無線通信データを復号化するステップと、を含むことを特徴とするシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法。
【請求項12】
前記シリアル伝送プロトコルはシリアル・ペリフェラル・インタフェース伝送プロトコル(Serial Peripheral Interface Bus、SPI)に基づいて前記包絡線信号を受信するために用いられていることを特徴とする請求項11に記載のシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法。
【請求項13】
前記シリアル伝送プロトコルはI2S伝送プロトコル(Integrated Interchip Sound)に基づいて前記包絡線信号を受信するために用いられていることを特徴とする請求項11に記載のシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法。
【請求項14】
前記近距離無線通信LC共振回路の第1端と前記近距離無線通信LC共振回路の第2端との間に接続されているスイッチング回路を提供するステップと、
前記近距離無線通信プロトコルに基づいて、近距離無線通信出力データを出力するようにスイッチング回路の第1端與及び2端の導通と切断を制御するステップと、を更に含むことを特徴とする請求項11に記載のシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信(near field communication)に関し、より詳しくは、シリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法とそれを使用した近距離無線通信タグ装置(A method for near field communication(NFC)with serial interface microcontroller and NFC tag device using the same)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近距離無線通信(NEAR FIELD COMMUNICATION、NFC)は通信プロトコルの一種であり、4cmまたは更に短い距離内で2つの電子装置間の通信を実現する。近距離無線通信は簡単な設定で低速接続を提供し、機能がより強力なワイヤレス接続にガイドするために用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近距離無線通信による伝送の応用は普及を続けているが、一般的なマイクロコントローラー(microcontroller、MCU)には近距離無線通信専用のハードウェアがなく、加えて、近距離無線通信はビットレートが高いため、近距離無線通信の応用には専用の集積回路(integrated circuit、IC)が必要となり、近距離無線通信専用の集積回路が一般的な処理装置に比べてコストが高くなった。
【0004】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、その目的は、近距離無線通信専用の集積回路を使用せずに、近距離無線通信のデータの送受信を実現するシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法とそれを使用した近距離無線通信タグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の一実施態様によれば、近距離無線通信タグ装置が提供される。本発明に係る近距離無線通信タグ装置は、近距離無線通信LC共振回路と、分周回路と、包絡線検波回路と、シリアルインターフェースマイクロコントローラーと、を備えている。近距離無線通信LC共振回路は第1端及び第2端を含む。分周回路は入力端及び出力端を具備し、分周回路の入力端は近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続されている。包絡線検波回路は入力端及び出力端を含み、包絡線検波回路の入力端は近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続されている。シリアルインターフェースマイクロコントローラーはクロック入力端及びシリアルデータ入力端を備え、シリアルインターフェースマイクロコントローラーのクロック入力端は分周回路の出力端に接続され、シリアルインターフェースマイクロコントローラーのシリアルデータ入力端は包絡線検波回路の出力端に接続されている。分周回路は近距離無線通信LC共振回路の第1端の近距離無線通信搬送波に基づいて、近距離無線通信クロック信号を分周する。包絡線検波回路は受信した信号に基づいて、包絡線信号に変換する。シリアルインターフェースマイクロコントローラーのクロック入力端は近距離無線通信クロック信号を受信し、シリアルインターフェースマイクロコントローラーのシリアルデータ入力端は包絡線信号を受信し、近距離無線通信プロトコルに基づいて、包絡線信号から近距離無線通信データを復号化するために用いられている。
【0007】
本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置によれば、上述した近距離無線通信タグ装置は第1端及び第2端を含む直流遮断回路を更に備え、直流遮断回路の第1端は前記近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続され、直流遮断回路の第2端は前記分周回路の入力端に接続され、近距離無線通信搬送波を通過させるために用いられている。好ましい実施例では、上述した近距離無線通信タグ装置は、直流遮断回路と前記分周回路の入力端との間に接続されているバイアス回路を更に備え、近距離無線通信搬送波を電源電圧とコモン電圧との間で操作するために用いられている。
【0008】
本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置によれば、上述したバイアス回路は第1抵抗器及び第2抵抗器を備えている。第1抵抗器は第1端及び第2端を含み、第1抵抗器の第1端は電源電圧に接続され、第1抵抗器の第2端は前記直流遮断回路の第2端に接続されている。第2抵抗器は第1端及び第2端を含み、第2抵抗器の第1端は直流遮断回路の第2端に接続され、第2抵抗器の第2端はコモン電圧に接続されている。
【0009】
本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置によれば、上述した包絡線検波回路は、第3抵抗器と、第4抵抗器と、第1一方向伝導素子と、第2一方向伝導素子と、第1トランジスタと、第1キャパシタンスと、を備えている。第3抵抗器は第1端及び第2端を含み、第3抵抗器の第1端は電源電圧に接続されている。第1一方向伝導素子は第1端及び第2端を含み、第1一方向伝導素子の第1端は第3抵抗器の第2端に接続され、第1一方向伝導素子の第2端は包絡線検波回路の入力端に接続され、第1一方向伝導素子は電流を第1一方向伝導素子の第1端から第1一方向伝導素子の第2端に向けて流れるように制限する。第1トランジスタは、エミッタ端と、コレクタ端と、ベース端と、を具備し、第1トランジスタのエミッタ端はコモン電圧に接続され、第1トランジスタのコレクタ端は第1一方向伝導素子の第1端に接続され、第1トランジスタのベース端は第1一方向伝導素子の第2端に接続されている。第2一方向伝導素子は第1端及び第2端を含み、第2一方向伝導素子の第1端は包絡線検波回路の出力端に接続され、第2一方向伝導素子の第2端は第1トランジスタのコレクタ端に接続され、第2一方向伝導素子は電流を第2一方向伝導素子の第1端から第2一方向伝導素子の第2端に向けて流れるように制限する。第1キャパシタンスは第1端及び第2端を含み、第1キャパシタンスの第1端は第2一方向伝導素子の第1端に接続され、第1キャパシタンスの第2端は前記コモン電圧に接続されている。第4抵抗器は第1端及び第2端を含み、第4抵抗器の第1端は電源電圧に接続され、第4抵抗器の第2端は第2一方向伝導素子の第1端に接続されている。
【0010】
本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置によれば、上述した包絡線検波回路は、第2キャパシタンスと、第5抵抗器と、第6抵抗器と、を更に備えている。第2キャパシタンスは第1端及び第2端を含み、第2キャパシタンスの第1端は包絡線検波回路の出力端に接続され、第2キャパシタンスの第2端は第2一方向伝導素子の第1端に接続されている。第5抵抗器は第1端及び第2端を具備し、第5抵抗器の第1端は電源電圧に接続され、第5抵抗器の第2端は前記第2キャパシタンスの第1端に接続されている。第6抵抗器は第1端及び第2端を含み、第6抵抗器の第1端は第2キャパシタンスの第1端に接続され、第6抵抗器の第2端はコモン電圧に接続されている。
【0011】
本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置によれば、上述したシリアルインターフェースマイクロコントローラーはシリアルデータ出力端を更に備え、近距離無線通信タグ装置はスイッチング回路を更に含み、このスイッチング回路は、第1端と、第2端と、制御端と、を具備している。スイッチング回路の制御端はシリアルインターフェースマイクロコントローラーのシリアルデータ出力端に接続され、スイッチング回路の第1端は近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続され、スイッチング回路の第2端は近距離無線通信LC共振回路の第2端に接続されている。シリアルインターフェースマイクロコントローラーのクロック入力端は近距離無線通信クロック信号を受信し、近距離無線通信プロトコルに基づいて、近距離無線通信出力データを出力するようにスイッチング回路の第1端及び第2端の導通と切断を制御するために用いられている。
【0012】
本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置によれば、上述した近距離無線通信LC共振回路は近距離無線通信共振コイル及び共振キャパシタンスを備えている。近距離無線通信共振コイルは第1端及び第2端を含み、近距離無線通信共振コイルの第1端は近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続され、近距離無線通信共振コイルの第2端は近距離無線通信LC共振回路の第2端に接続されている。共振キャパシタンスは第1端及び第2端を具備し、共振キャパシタンスの第1端は近距離無線通信LC共振回路の第1端に接続され、共振キャパシタンスの第2端は近距離無線通信LC共振回路の第2端に接続されている。
【0013】
本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置によれば、上述したシリアルインターフェースマイクロコントローラーはシリアル・ペリフェラル・インタフェース伝送プロトコル(Serial Peripheral Interface Bus、SPI)に基づいて包絡線信号を受信するために用いられている。他の好ましい実施例では、上述したシリアルインターフェースマイクロコントローラーはI2S伝送プロトコル(Integrated Interchip Sound)に基づいて包絡線信号を受信するために用いられている。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明はシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法(A method for near field communication with serial interface microcontroller)をさらに提供する。このシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法は、シリアルインターフェースマイクロコントローラーを提供するステップと、近距離無線通信LC共振回路により近距離無線通信搬送波を検波するステップと、近距離無線通信プロトコルに基づいて、前記近距離無線通信搬送波を分周し、近距離無線通信クロック信号を獲得するステップと、前記近距離無線通信LC共振回路の前記近距離無線通信搬送波に対し包絡線検波を行って包絡線信号を獲得するステップと、シリアル伝送プロトコル及び前記近距離無線通信クロック信号のトリガー順序に基づいて、前記包絡線信号のデジタルシーケンスを順次受信するステップと、前記近距離無線通信プロトコルに基づいて、包絡線信号のデジタルシーケンスから近距離無線通信データを復号化するステップと、を含む。
【0015】
本発明の好ましい実施例に係るシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法によれば、上述したシリアル伝送プロトコルはシリアル・ペリフェラル・インタフェース伝送プロトコル(Serial Peripheral Interface Bus、SPI)に基づいて前記包絡線信号を受信するために用いられている。他の好ましい実施例では、上述したシリアルインターフェースマイクロコントローラーはI2S伝送プロトコル(Integrated Interchip Sound)に基づいて包絡線信号を受信するために用いられている。
【0016】
本発明の好ましい実施例に係るシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法によれば、上述したシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法は、近距離無線通信LC共振回路の第1端と近距離無線通信LC共振回路の第2端との間に接続されているスイッチング回路を提供するステップと、近距離無線通信プロトコルに基づいて、近距離無線通信出力データを出力するようにスイッチング回路の第1端及び第2端の導通と切断を制御するステップと、を更に含む。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明によれば、次のような効果がある。
本発明の好ましい実施例の精神は、近距離無線通信コイルから搬送波信号を検波し、分周することで近距離無線通信変調周波数に対応するクロック信号を生成してシリアルインターフェースマイクロコントローラーに伝送する。近距離無線通信コイルが変調された信号を検波し、包絡線検出回路により、近距離無線通信のバイナリデジタル信号シーケンスが復調され、且つ上述したクロック信号に基づいて、シリアルインターフェースマイクロコントローラーに順次伝送される。その後、シリアルインターフェースマイクロコントローラーにより、近距離無線通信のバイナリ信号が近距離無線通信データに復号化される。こうすることにより、本発明は近距離無線通信専用の集積回路を採用せずに近距離無線通信データを復号化し、コストを節約している。
【0018】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置の回路を示すブロック図である。
図2】本発明のISO 14443Aがダウンリンク伝送リンク(Downlink)の送信中の3つのシンボルを概略的に示す。
図3】本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置が受信したISO 14443A近距離無線通信信号を示す概略図である。
図4】本発明のISO 14443Aがアップリンク伝送リンク(Uplink)の送信中の3つのシンボルを概略的に示す。
図5】本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置が送信したISO 14443A近距離無線通信信号を示す概略図である。
図6】本発明のISO 14443Bがダウンリンク伝送リンク(Downlink)の送信中の信号を示す概略図である。
図7】本発明のISO 14443Bがアップリンク伝送リンク(Uplink)の送信中の信号を示す概略図である。
図8】本発明のISO 15693がダウンリンク伝送リンク(Downlink)の送信中の信号を示す概略図である。
図9】本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置が受信したISO 15693近距離無線通信信号を示す概略図である。
図10】本発明のISO 15693がアップリンク伝送リンク(Uplink)の送信中の信号を示す概略図である。
図11】本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置のより詳細な回路を示すブロック図である。
図12】本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置の包絡線検波回路103を示す回路図である。
図13】本発明の好ましい実施例に係るシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法を使用し近距離無線通信タグ装置によるデータ受信を示すフローチャートである。
図14】本発明の好ましい実施例に係るシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法を使用し近距離無線通信タグ装置によるデータ送信を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0021】
図1は本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置の回路を示すブロック図である。同図に示すように、近距離無線通信タグ装置は、近距離無線通信LC共振回路101と、分周回路102と、包絡線検波回路103と、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104と、スイッチング回路105と、を含んで構成されている。近距離無線通信LC共振回路101は、例えば、近距離無線通信共振コイル及び共振キャパシタンスを使用し、且つ並列接続方式を例とする。分周回路102は入力端及び出力端を含み、分周回路の入力端は近距離無線通信LC共振回路101の第1端に接続されている。包絡線検波回路103は入力端及び出力端を含み、包絡線検波回路103の入力端は近距離無線通信LC共振回路101の第1端に接続されている。シリアルインターフェースマイクロコントローラー104は、クロック入力端SCKと、シリアルデータ入力端SINと、シリアルデータ出力端SOUTと、を備え、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104のクロック入力端SCKは分周回路102の出力端に接続され、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104のシリアルデータ入力端SINは包絡線検波回路103の出力端に接続されている。シリアルインターフェースマイクロコントローラー104のシリアルデータ出力端SOUTはスイッチング回路105の制御端に接続され、スイッチング回路105の第1端及び第2端の導通状態を制御している。
【0022】
近距離無線通信は2つのアンテナ間の誘導結合に基づいて、近距離無線通信を支持する設備には13.56MHzの搬送波周波数を使用し、世界的に使用可能な未許可の無線周波数ISMバンドのISO/IEC18000-3エアーインターフェース標準規格(air interface standard)を使用して一方向または双方向通信を行う。仕様の違いにより、近距離無線通信には主にISO 14443及びISO 15693という2つの標準規格が存在する。一般的な近距離無線通信タグ装置はそのうちの1つの仕様にのみ適合している。近距離無線通信タグ読み取り装置則は上述した2種類の仕様に基づいて、ポーリング(Polling)方式により信号を外部の近距離無線通信タグ装置にそれぞれ出力し、且つ外部の近距離無線通信タグ装置の応答を待つ。
【0023】
まず、仮にこの近距離無線通信タグ装置是がISO 14443Aの仕様を使用する場合、そのデータ伝送レートは106Kbpsである。ダウンリンク伝送リンク(Downlink)伝送では、近距離無線通信読み取り装置が近距離無線通信タグに対し信号を伝送する際に、変形ミラー符号(Modified Miller coding)を採用し、変調方式は100%振幅偏移変調(Amplitude Shift Keying、ASK)であり、この変形ミラー符号及び100%振幅偏移変調は主に3つのシンボル(symbols)を含む(図2参照)。図2は本発明のISO 14443Aがダウンリンク伝送リンク(Downlink)の送信中の3つのシンボルを概略的に示す。上述したシンボルはシーケンスX、シーケンスY、及びシーケンスZを含み、Tb=9.44us;Tx=4.72us;T1=2.36usである。論理低電位(図では0で示す)は変調状態であり、論理高電位(図では1で示す)は無変調状態である。
【0024】
上述した図及びデータから分かるように、変形ミラー符号はサブ搬送波の周波数423.75KHzで符号化する。そこで、本実施例では、近距離無線通信搬送波13.56MHzを32で除算し、周波数423.75KHzのクロックを獲得する。
【0025】
この実施例に係る変形ミラー符号の論理1は上述したシーケンスXに対応し、そのデジタルシーケンスは1101である。論理0は上述したシーケンスYに対応し、そのデジタルシーケンスは1111であり、論理0が2つ以上連続する場合、2つ目以後の論理0には上述したシーケンスZを採用し、そのデジタルシーケンスは0111である。通信終了符号は1つの論理0に1つの上述したシーケンスYを組み合わせるため、通信終了符号の1つ前のビットが論理1(デジタルシーケンスは1101)である場合、通信終了符号は2つのY(11111111)である。通信終了符号の1つ前のビットが論理0(デジタルシーケンスは0111)である場合、通信終了符号は1つのZ及び1つのY(01111111)である。情報無し(No information)は少なくとも2つのシーケンスYである。また、通信開始(start of communication)はシーケンスZである。
【0026】
本実施例では、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104はシリアル・ペリフェラル・インタフェース伝送プロトコル(Serial Peripheral Interface Bus、SPI)を採用して送受信を行っている。また、分周回路102は13.56MHzの搬送波を検波した後、搬送波の周波数を32で除算して423.75KHzのクロックを獲得した後、シリアル・ペリフェラル・インタフェースクロック信号SPI CLKをシリアルインターフェースマイクロコントローラー104に提供する。なお、通信開始(start of communication)がシーケンスZであり、1つ目のビットが論理定電圧であるため、この実施例では、シリアル・ペリフェラル・インタフェースの動作をトリガーするために用いられている。
【0027】
一例を挙げると、近距離無線通信読み取り装置の通信開始は図3の信号に示す如く、図3は本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置が受信したISO 14443A近距離無線通信信号を示す概略図である。図3を参照すれば、搬送波を受信すると、分周回路102は近距離無線通信LC共振回路の第1端の近距離無線通信搬送波に基づいて、近距離無線通信クロック信号をシリアル・ペリフェラル・インタフェースクロック信号SPI CLKとして分周してシリアルインターフェースマイクロコントローラー104のクロック入力端SCKに伝送する。伝送されたシーケンスZを受信した後、シリアル・ペリフェラル・インタフェースがトリガーされ、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104のシリアルデータ入力端SINが包絡線検波回路103の出力端から図3の信号の包絡線を順次受信し、且つダイレクトメモリアクセス(Direct Memory Access、DMA)方式により、受信した信号をシリアルインターフェースマイクロコントローラー104のメモリに一時保存する。
【0028】
この実施例では、受信したシーケンスはSOF(Start Of Frame)Z、Z、Z、Z、Z、Z、X、X、Y、X、Y、Z…………Y、Y (End Of Frame、EOF)であり、対応するシリアル・ペリフェラル・インタフェースが受信したデータは以下の通りである。0111、0111、0111、0111、0111、0111、1101、1101、1111、0111、1111、0111………、1111、1111。
【0029】
そして、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104は上述した受信した生データ(raw data)を、上述した変形ミラー符号に基づいて000001101000000001101…………0100に復号化する。こうすることで、近距離無線通信読み取り装置が近距離無線通信タグ装置に伝送したデータを復号化する。
【0030】
アップリンク伝送リンク(Uplink)部分について、すなわち、近距離無線通信タグ装置が近距離無線通信読み取り装置にデータを伝送する部分について、マンチェスタ符号(Manchester code)を採用し、変調方式はオンオフ変調(On-Off Keying、OOK)であり、この変調方式は主に3つのシンボルを含む(図4参照)。図4は本発明のISO 14443Aがアップリンク伝送リンク(Uplink)の送信中の3つのシンボルを概略的に示す。上述したシンボルは、シーケンスDと、シーケンスEと、シーケンスFと、を含み、シーケンスDは前半の50%が変調しており、シーケンスEは後半の50%が変調しており、シーケンスFは無変調(純搬送波)である。
【0031】
論理1は上述したシーケンスDに対応し、論理0は上述したシーケンスEに対応し、通信終了(End of communication)は上述したシーケンスFに対応し、通信開始は同様に上述したシーケンスDに対応する。上述した変調サブ搬送波の周波数は1.696MHzであり、分周回路102はアップリンク伝送リンクを行う際に、近距離無線通信読み取り装置から伝送された13.56MHzの搬送波を8で除算して1.696MHzのクロック(clock)を獲得する。
【0032】
理解を容易にするため、図5は本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置が送信したISO 14443A近距離無線通信信号を示す概略図である。同図に示すように、本実施例では、仮に伝送するデータを1011010……とする。よって、対応するシーケンスはD(Start Of Frame、SOF)、D、E、D、D、E、D、E……である。これらシーケンスは0101010100000000、0101010100000000、0000000001010101、0101010100000000、0101010100000000、0000000001010101、101010100000000、0000000001010101…に変換され、メモリに保存される。シリアルインターフェースマイクロコントローラー104は1.696MHzのクロックをシリアル・ペリフェラル・インタフェースクロック信号SPI CLKとし、ダイレクトメモリアクセス(Direct Memory Access、DMA)方式により、メモリから順次取り出すと共にシリアルインターフェースマイクロコントローラー104のシリアルデータ出力端SOUTに出力することで、スイッチング回路105の導通と切断を制御する。こうすることにより、上述したデータ1011010……を近距離無線通信読み取り装置に伝送する。
【0033】
次は、仮にこの近距離無線通信タグ装置がISO 14443Bの近距離無線通信タグ装置である場合、そのデータ伝送レートは106/212/424/848 Kbpsでもよい。ダウンリンク伝送リンク(Downlink)の伝送時には、すなわち、近距離無線通信読み取り装置が近距離無線通信タグに伝送する場合、非ゼロ復帰伝送路符号(non-return-to-zero line code、NRZ)を採用し、変調方式は10%振幅偏移変調(Amplitude Shift Keying、ASK)であり、この非ゼロ復帰伝送路符号は、論理0である場合は変調信号であり、論理1である場合は振幅10%の低電位である(図6参照)。図6は本発明のISO 14443Bがダウンリンク伝送リンク(Downlink)の送信中の信号を示す概略図である。包絡線検波回路103により包絡線を検波した後、閾値を比較するのみで、106KHz(または更に高い周波数)に対応するようにシリアル・ペリフェラル・インタフェースを使用してデータを受信する。
【0034】
同様に、アップリンク伝送リンク(Uplink)部分について、変調は非ゼロ復帰伝送路符号(non-return-to-zero line code、NRZ)及びバイナリ位相偏移変調(Binary Phase Shift Keying、BPSK)を採用している。シリアル・ペリフェラル・インタフェースに対応するクロックは1.696MHzである(図7参照)。図7は本発明のISO 14443Bがアップリンク伝送リンク(Uplink)の送信中の信号を示す概略図である。同図に示すように、アップリンク伝送リンクの送信時に、論理1は0101010101010101に符号化され、論理0は1010101010101010に符号化されている。論理1及び論理0の符号化信号の位相差は180度である。よって、近距離無線通信タグ装置が近距離無線通信読み取り装置にデータを伝送すると、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104が1.696MHzのクロックをシリアル・ペリフェラル・インタフェースクロック信号SPI CLKとし、符号化されたデータをダイレクトメモリアクセス(Direct Memory Access、DMA)方式で、メモリから順次取り出すと共にシリアルインターフェースマイクロコントローラー104のシリアルデータ出力端SOUTに出力し、スイッチング回路105の導通と切断を順次制御し、データを近距離無線通信読み取り装置に伝送する。
【0035】
同様に、仮にこの近距離無線通信タグ装置がISO 15693の近距離無線通信タグ装置である場合、ダウンリンク伝送リンク(Downlink)の伝送時には、すなわち、近距離無線通信読み取り装置が近距離無線通信タグに伝送する場合、サブ搬送波が106KHzであるパルス位置変調(Pulse-position modulation、PPM)を採用し、13.56MHzの搬送波の100%振幅偏移変調(Amplitude Shift Keying、ASK)または10%~30%振幅偏移変調を組み合わせる。主なシンボルは図8に示す如く、図8は本発明のISO 15693がダウンリンク伝送リンク(Downlink)の送信中の信号を示す概略図である。同図に示すように、フレーム開始(Start Of Frame、SOF)のシンボル符号は01111011であり、その対応するクロック106KHzは計8ビットである。フレーム終了(End Of Frame、EOF)のシンボル符号は11011111である。シンボル00、01、10、11のシンボル符号はそれぞれ10111111、11101111、11111011、11111110である。
【0036】
本実施例では、同様にフレーム開始(Start Of Frame、SOF)シンボルの1つ目のビットの論理0をシリアル・ペリフェラル・インタフェースが受信動作を開始するためのトリガーとする。
【0037】
一例を挙げると、近距離無線通信読み取り装置が0xE1の伝送を開始し(図9の信号参照)、図9は本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置が受信したISO 15693近距離無線通信信号を示す概略図である。同図に示すように、0xE1はバイナリ(binary)では11100001であるが、但し、伝送時には01、00、10、11の順に受信される。搬送波を受信すると、分周回路102は近距離無線通信LC共振回路の第1端の近距離無線通信搬送波に基づいて、106KHzの近距離無線通信クロック信号をシリアル・ペリフェラル・インタフェースクロック信号SPI CLKとして分周してシリアルインターフェースマイクロコントローラー104のクロック入力端SCKに伝送する。フレーム開始を受信した後、シリアル・ペリフェラル・インタフェースがトリガーされ、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104のシリアルデータ入力端SINが包絡線検波回路103の出力端から11101111、10111111、11111011、11111110を順次受信し、ダイレクトメモリアクセス(Direct Memory Access、DMA)方式により、受信した信号をシリアルインターフェースマイクロコントローラー104のメモリに一時保存する。
【0038】
そして、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104は上述した受信した生データ(raw data)を、上述したパルス位置変調(Pulse-position modulation、PPM)に基づいて01、00、10、11に復号化する。こうすることにより、近距離無線通信読み取り装置が近距離無線通信タグ装置に伝送したデータ0xE1を復号化する。
【0039】
図10は本発明のISO 15693がアップリンク伝送リンク(Uplink)の送信中の信号を示す概略図である。同図に示すように、アップリンク伝送リンク(Uplink)の伝送時には、847KHzのサブ搬送波で実行するマンチェスタ符号(Manchester code)を採用し、変調方式はオンオフ変調(on-off keying、OOK)であり、この変調方式は主に2つのシンボル(symbols)を含む(図10参照)。論理0を伝送すると、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104のシリアルデータ出力端SOUTが、847KHzのサブ搬送波に基づいて0101010101010000000000000000をスイッチング回路105に出力する。論理1を伝送すると、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104のシリアルデータ出力端SOUTが、847KHzのサブ搬送波に基づいて1111111111111111010101010101をスイッチング回路105に出力する。同様に、伝送するデータは、まずメモリに保存され、ダイレクトメモリアクセス(Direct Memory Access、DMA)方式でシリアルインターフェースマイクロコントローラー104のシリアルデータ出力端SOUTに伝送される。
【0040】
上述した実施例において、シリアルインターフェースマイクロコントローラー104はシリアル・ペリフェラル・インタフェース伝送プロトコル(Serial Peripheral Interface Bus、SPI)に基づいて包絡線信号を受信するが、本発明が属する技術分野で通常知識を有する者ならば、シリアルインターフェースマイクロコントローラーがI2S伝送プロトコル(Integrated Interchip Sound)に基づいて包絡線信号を受信可能であることが分かる。よって、本発明はシリアル・ペリフェラル・インタフェース伝送プロトコルを使用することに限定しない。また、近距離無線通信LC共振回路101は上述した実施例では近距離無線通信共振コイル及び共振キャパシタンスを並列接続したものを実施例とするが、本発明が属する技術分野で通常知識を有する者ならば、近距離無線通信LC共振回路101は直列共振を採用してもよいことが分かり、そこで、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
図11は本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置のより詳細な回路を示すブロック図である。図1図11とを比較すると、図11の実施例では、近距離無線通信タグ装置には直流遮断回路1101及びバイアス回路1102が増設されている。直流遮断回路1101は第1端及び第2端を含むキャパシタンスで構成され、直流遮断回路1101の第1端は近距離無線通信LC共振回路101の第1端に接続され、直流遮断回路1101の第2端は分周回路の入力端に接続され、近距離無線通信搬送波の直流成分を遮断すると共に、13.56MHzの近距離無線通信搬送波の交流成分を通過させるために用いられている。また、バイアス回路1102は2つの抵抗器R1及び抵抗器R2で構成されている。抵抗器R1は直流遮断回路1101と電源電圧VDDとの間に接続され、抵抗器R2は直流遮断回路1101とコモン電圧VSSとの間に接続されている。バイアス回路1102は近距離無線通信搬送波を電源電圧VDDとコモン電圧VSSとの間で操作するために用いられている。
【0042】
図12は本発明の好ましい実施例に係る近距離無線通信タグ装置の包絡線検波回路103を示す回路図である。同図に示すように、この包絡線検波回路103は、第3抵抗器R3と、第4抵抗器R4と、第5抵抗器R5と、第6抵抗器R6と、第1一方向伝導素子D1と、第2一方向伝導素子D2と、第1トランジスタB1と、第1キャパシタンスC1と、第2キャパシタンスC2と、を含んで構成されている。第3抵抗器R3の第1端は電源電圧VDDに接続されている。第1一方向伝導素子D1の第1端は第3抵抗器R3の第2端に接続され、第1一方向伝導素子D1の第2端は包絡線検波回路103の入力端INに接続され、第1一方向伝導素子D1は本実施例ではダイオードで実施されている。第1トランジスタB1のエミッタ端はコモン電圧VSSに接続され、第1トランジスタB1のコレクタ端は第1一方向伝導素子D1の第1端に接続され、第1トランジスタB1のベース端は第1一方向伝導素子D1の第2端に接続されている。
【0043】
第2一方向伝導素子D2の第1端は第2キャパシタンスC2の第2端に接続され、第2一方向伝導素子D2の第2端は第1トランジスタB1のコレクタ端に接続され、第2一方向伝導素子D2は本実施例ではダイオードで実施されている。第1キャパシタンスC1の第1端は第2一方向伝導素子D2の第1端に接続され、前記第1キャパシタンスの第2端はコモン電圧VSSに接続されている。第4抵抗器R4の第1端は電源電圧VDDに接続され、第4抵抗器R4の第2端は第2一方向伝導素子D2の第1端に接続されている。第2キャパシタンスC2の第1端は包絡線検波回路の出力端OUTに接続され、第2キャパシタンスC2の第2端は第2一方向伝導素子D2の第1端に接続されている。第5抵抗器R5の第1端は電源電圧VDDに接続され、第5抵抗器R5の第2端は第2キャパシタンスC2の第1端に接続されている。第6抵抗器R6の第1端は第2キャパシタンスC2の第1端に接続され、第6抵抗器R6の第2端はコモン電圧VSSに接続されている。
【0044】
本実施例はオペアンプに基づいた包絡線検波器であり、より高い感度及びより広いダイナミックレンジ(dynamic range)を有している。バイポーラトランジスタB1及び第1一方向伝導素子D1を利用してバイアスをかけ、バイポーラトランジスタB1を順方向活性領域(forward active)で永続的に操作させる。負荷抵抗器R4は電源電圧VDDに接続され、第2一方向伝導素子D2に小さいバイアス電流を提供する。第2一方向伝導素子D2はバイポーラトランジスタB1のコレクタ電圧の正の半波を整流し、キャパシタンスC2の極板の電位は信号の包絡線の変動に追随する。第2キャパシタンスC2は主に包絡線の交流部分を捕捉し、直流部分は濾過し、且つ第5抵抗器R5及び第6抵抗器R6は包絡線の交流部分にバイアスをかける。第2キャパシタンスC2、第5抵抗器R5、及び第6抵抗器R6には回路が不要であり、状況や設計に応じて排除することができる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
第1一方向伝導素子D1及び第2一方向伝導素子D2は共に電流を一方向伝導素子の第1端から一方向伝導素子の第2端に向けて流れるように制限する。本発明が属する技術分野で通常知識を有する者ならば、ダイオードを使用して実施する以外、トランジスタのダイオードを接続するか、或いは他の方式で一方向伝導素子を実施可能であることが分かる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
図13は本発明の好ましい実施例に係るシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法を使用し近距離無線通信タグ装置によるデータ受信を示すフローチャートである。同図に示すように、このシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法において、近距離無線通信タグ装置がデータを受信する方法は下記ステップを含む。
【0047】
シリアルインターフェースマイクロコントローラーを提供するステップS1301(図1のシリアルインターフェースマイクロコントローラー104参照)。また、このシリアルインターフェースマイクロコントローラー104は、例えば、上述したシリアル・ペリフェラル・インタフェース伝送プロトコル(Serial Peripheral Interface Bus、SPI)やI2S伝送プロトコル(Integrated Interchip Sound)のようなシリアルインターフェースを有している。
【0048】
近距離無線通信LC共振回路により近距離無線通信搬送波を検波するステップS1302。本実施例では、13.56MHzの近距離無線通信搬送波を検波する。
【0049】
近距離無線通信搬送波を分周し、近距離無線通信クロック信号を獲得するステップS1303。上述した実施例の如く、使用する近距離無線通信プロトコルの種類に基づいて、分周回路102の近距離無線通信搬送波を分周する。
【0050】
近距離無線通信LC共振回路の近距離無線通信搬送波に対し包絡線検波を行って包絡線信号を獲得するステップS1304。上述した図1図10の実施例の如く、包絡線検波回路103が近距離無線通信搬送波に対し包絡線検波を行う。
【0051】
シリアル伝送プロトコル及び近距離無線通信クロック信号のトリガー順序に基づいて、包絡線信号のデジタルシーケンスを順次受信するステップS1305。上述した図1図10の実施例の通りである。
【0052】
近距離無線通信プロトコルに基づいて、包絡線信号のデジタルシーケンスから近距離無線通信データを復号化するステップS1306。
【0053】
図14は本発明の好ましい実施例に係るシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法を使用し近距離無線通信タグ装置によるデータ送信を示すフローチャートである。図13図14を参照すれば、このシリアルインターフェースマイクロコントローラーによる近距離無線通信方法において、近距離無線通信タグ装置によりデータを伝送する方法は、下記ステップを含む。
【0054】
近距離無線通信LC共振回路の第1端と近距離無線通信LC共振回路の第2端との間に接続されているスイッチング回路を提供するステップS1401。
【0055】
ステップS1301~ステップS1303は、上述した実施例の通りである。
【0056】
近距離無線通信プロトコルに基づいて、近距離無線通信出力データを出力するようにスイッチング回路の第1端及び第2端の導通と切断を制御するステップS1402。
【0057】
以上を総合すると、本発明の好ましい実施例の精神は、近距離無線通信コイルから搬送波信号を検波し、分周することで近距離無線通信の変調周波数に対応するクロック信号を生成してシリアルインターフェースマイクロコントローラーに伝送し、且つ、近距離無線通信コイルが変調された信号を検波し、包絡線検出回路により近距離無線通信バイナリデジタル信号シーケンスを復調すると共に、上述したクロック信号に基づいてシリアルインターフェースマイクロコントローラーに順次伝送する。その後、シリアルインターフェースマイクロコントローラーにより、近距離無線通信バイナリ信号から近距離無線通信データを復号化する。こうすることにより、本発明は近距離無線通信専用の集積回路を採用せずに近距離無線通信データを復号化することで、コストを節約している。
【0058】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0059】
101 近距離無線通信LC共振回路
102 分周回路
103 包絡線検波回路
104 シリアルインターフェースマイクロコントローラー
105 スイッチング回路
SCK クロック入力端
SIN シリアルデータ入力端
SOUT シリアルデータ出力端
1101 直流遮断回路
1102 バイアス回路
R1 抵抗器
R2 抵抗器
R3 抵抗器
R4 抵抗器
R5 抵抗器
R6 抵抗器
VDD 電源電圧
VSS コモン電圧
D1 第1一方向伝導素子
D2 第2一方向伝導素子
B1 第1トランジスタ
C1 キャパシタンス
C2 キャパシタンス
S1301~S1306 フローチャート
S1401~S1402 フローチャート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14