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特開2024-109023経口組成物、VDT症候群改善用組成物、眼精疲労改善用組成物
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  • 特開-経口組成物、VDT症候群改善用組成物、眼精疲労改善用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109023
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】経口組成物、VDT症候群改善用組成物、眼精疲労改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240805BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240805BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20240805BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A23L33/105
A61P27/02
A61K31/7048
A61K31/353
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182265
(22)【出願日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2023012391
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.碁石茶
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】平島 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】宮元 彩希
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】白川 未築
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 慎一郎
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE04
4B018LE05
4B018MD05
4B018MD08
4B018MD10
4B018MD29
4B018MD32
4B018MD35
4B018MD36
4B018MD49
4B018MD52
4B018MD59
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086EA11
4C086GA17
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZA33
4C086ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】VDT症候群改善作用、並びに眼精疲労改善作用に優れた組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを含有することを特徴とする経口組成物であって、アントシアニンとエピガロカテキンガレートが質量比でアントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートが1~29質量部であることを特徴とする経口組成物、VDT症候群改善用組成物、眼精疲労改善作用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを含有することを特徴とする経口組成物であって、アントシアニンとエピガロカテキンガレートが質量比でアントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートが1~29質量部であることを特徴とする経口組成物。
【請求項2】
アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを含有することを特徴とするVDT症候群改善用組成物であって、アントシアニンとエピガロカテキンガレートが質量比でアントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートが1~29質量部であることを特徴とするVDT症候群改善用組成物。
【請求項3】
アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを含有することを特徴とする眼精疲労改善用組成物であって、アントシアニンとエピガロカテキンガレートが質量比でアントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートが1~29質量部であることを特徴とする眼精疲労改善用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを含有する経口組成物、VDT症候群改善用組成物、眼精疲労改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IT化によりパソコンやスマートフォンを使用したVDT(Visual Display Terminal)作業従事者が増加している。VDT作業を長時間行うことにより発生する様々な症状(VDT症候群)が問題となっている。VDT症候群の症状としては、例えば、目の疲れ、視力の低下、目のかすみ、目の痛み、ドライアイ、肩・首のこり、頭痛、首から肩、腕への痛み、だるさ、手指のしびれ・痛み、背中・腰の痛み、イライラ等、眼精疲労、身体的な疲労、精神的な疲労と多岐にわたる。また、近年はエレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)といったコンピューター等の電子機器を用いたスポーツ競技も普及してきている。eスポーツもVDT作業と同様、パソコンやスマートフォンを長時間使用するため、VDT症候群が問題となっている。
【0003】
日常生活においてIT機器の使用は不可欠であるため、VDT症候群を緩和/又は改善する組成物の開発が進められている。例えば、特許文献1にはニコチンアミドモノヌクレオチドによる視覚機能改善剤が記載されている。しかしながら、ニコチンアミドモノヌクレオチドは入手が困難であり、安価で入手可能な材料の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/052019号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、VDT症候群を緩和/又は改善する組成物を探索することを課題として、種々の検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その結果、本発明者らは、アントシアニンとエピガロカテキンガレートとを特定の質量比で組み合わせることにより、VDT症候群を緩和/又は改善させた組成物の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
<1>アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを含有することを特徴とする経口組成物であって、アントシアニンとエピガロカテキンガレートが質量比でアントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートが1~29質量部であることを特徴とする経口組成物。
<2>アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを含有することを特徴とするVDT症候群改善用組成物であって、アントシアニンとエピガロカテキンガレートが質量比でアントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートが1~29質量部であることを特徴とするVDT症候群改善用組成物。
<3>アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを含有することを特徴とする眼精疲労改善用組成物であって、アントシアニンとエピガロカテキンガレートが質量比でアントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートが1~29質量部であることを特徴とする眼精疲労改善用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを特定の質量比で含有することにより、目の疲れ、不快感、眼痛、眼のかすみ、まぶしさ、充血、頭痛、肩こり、吐き気といった眼精疲労の改善、精神的な疲労を緩和することができることから、VDT症候群改善用組成物、眼精疲労改善用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例及び比較例の網膜色素上皮細胞における抗酸化作用(細胞生存率;コントロール比)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の組成物について詳細を説明する。なお、本明細書において、本発明の組成物とは、経口組成物、VDT症候群改善用組成物、眼精疲労改善用組成物のすべてを包含する概念である。また、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
<アントシアニン>
本発明の組成物はアントシアニンを含有することを特徴とする。アントシアニンとは植物の花や果実などに広く分布するフラボノイド系色素成分であり、アントシアニジンの配糖体である。本発明におけるアントシアニンとしては、例えば、ペラルゴジニン、シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、マルビジン、ペチュニジンの配糖体が挙げられる。配糖体を構成する糖としては、例えば、単糖類から選ばれる1種又は2種以上の糖、及び/又は糖酸が挙げられる。単糖類としては、五炭糖、六炭糖が好ましく、グルコース、キシロース、マンノース、フラクトース、ソルボース、ガラクトース、アピオース、ラムノース、アラビノースから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、本願発明の効果を享受できる観点から、グルコース、ガラクトース、ラムノース、アラビノースから選ばれる1種又は2種が特に好ましい。また、糖酸としては、ウロン酸が好ましく、グルクロン酸、ガラツクロン酸が特に好ましい。本発明で使用できるアントシアニンとしては、具体的には、例えばデルフィニジン-3-ガラクトシド、デルフィニジン-3-グルコシド、デルフィニジン-3-アラビノシド、デルフィニジン-3-ルチノシド、シアニジン-3-ガラクトシド、シアニジン-3-グルコシド、シアニジン-3-アラビノシド、シアニジン-3-ルチノシド、ペチュニジン-3-ガラクトシド、ペチュニジン-3-グルコシド、ペチュニジン-3-アラビノシド、ペオニジン-3-ガラクトシド、ペオニジン-3-グルコシド、ペオニジン-3-アラビノシド、マルビジン-3-ガラクトシド、マルビジン-3-グルコシド、マルビジン-3-アラビノシドが挙げられる。
【0012】
本発明で使用するアントシアニンとしては、飲食品の分野において通常使用されているものであれば特に限定されず、例えば、アントシアニンを豊富に含む植物の抽出物や植物からの精製物、試薬などを使用することができる。アントシアニンを豊富に含む植物としては、例えば、ビルベリー、ブルーベリー、エルダーベリー、リンゴンベリー、マキベリー、アロニアベリー、クランベリーなどのベリー類果実、カシス、アサイー、ブドウ、赤シソ、赤ダイコン、赤キャベツ、サツマイモ、ムラサキイモ、ベニヤマイモ、小豆、黒豆、紫トウモロコシ等が挙げられる。本発明においては、アントシアニン含量の観点からビルベリー、ブルーベリー、エルダーベリー、リンゴンベリー、マキベリー、アロニアベリー、クランベリーなどのベリー類果実又はカシスが好ましく、ビルベリー、エルダーベリーが特に好ましい。また、本発明においては、アントシアニンとエピガロカテキンガレートとの比率をVDT症候群改善等の効果を奏する範囲に調製が容易である観点から、後述するエピガロカテキンガレートとは異なる植物由来のものを使用することが好ましい。なお、抽出方法、抽出条件、精製方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
【0013】
本発明の組成物におけるアントシアニンの含有量は特に制限はなく、例えば、固形分中、0.005質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、VDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用の観点から特に好ましくは0.2質量%以上である。また、その上限についても特に制限はないが、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、8質量%以下が特に好ましい。なお、アントシアニンの含有量とは、アントシアニンを2種以上含有する場合はその総量である。
【0014】
本発明の組成物におけるアントシアニンの含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量することができる。具体的には、組成物を2%塩酸メタノールに溶解し、この溶液10mLを10%りん酸溶液で20mLに定容し、試験溶液とする。試験溶液の一部をHPLCで分離し、17種のアントシアニン(デルフィニジン-3-ガラクトシド、デルフィニジン-3-グルコシド、デルフィニジン-3-アラビノシド、デルフィニジン-3-ルチノシド、シアニジン-3-ガラクトシド、シアニジン-3-グルコシド、シアニジン-3-アラビノシド、シアニジン-3-ルチノシド、ペチュニジン-3-ガラクトシド、ペチュニジン-3-グルコシド、ペチュニジン-3-アラビノシド、ペオニジン-3-ガラクトシド、ペオニジン-3-グルコシド、ペオニジン-3-アラビノシド、マルビジン-3-ガラクトシド、マルビジン-3-グルコシド、マルビジン-3-アラビノシド)のピークの積分値を算出する。また、シアニジン-3-グルコシド標準品をメタノールに溶解し、この溶液の一部をHPLCで分離し、ピークの積分値を算出する。試験溶液から得られた各アントシアニンのピークの積分値とシアニジン-3-グルコシド標準品のピークの積分値の比(前者/後者)を算出する。予め作成した検量線を用いることで、各アントシアニン含量を算出し、総アントシアニン含有量を求める。HPLC条件は以下のとおり、グラジエント条件は下記の表1のとおりである。
カラム:ZORBAX Extend―C18、φ4.6mm×250mm、粒径5μm(アジレントテクノロジー株式会社)
溶出溶媒:
A液;水及びギ酸の混液(900:100)
B液;水、メタノール、アセトニトリル及び酢酸の混液(400:225:225:100)
溶出速度:1.0mL/min
検出波長:535nm
【0015】
【表1】
【0016】
<エピガロカテキンガレート>
本発明の組成物はエピガロカテキンガレートを含有することを特徴とする。エピガロカテキンガレートとは、フラボノイドであるカテキン(catechin)の一種である。緑茶、紅茶、烏龍茶といった茶に含まれることが知られており、没食子酸エピガロカテキンとも言われ、エピガロカテキンと没食子酸のエステルである。
【0017】
本発明で使用するエピガロカテキンガレートとしては、飲食品の分野において通常使用されているものであれば特に限定されず、例えば、エピガロカテキンガレートを豊富に含む植物の抽出物や植物からの精製物、試薬などを使用することができる。エピガロカテキンガレートを豊富に含む植物としては、例えば、チャノキ(Camellia sinensis)が挙げられ、その葉(茶葉)を使用することができる。茶葉は、その加工方法により、不発酵茶葉、半発酵茶葉、発酵茶葉、後発酵茶葉に分類される。不発酵茶葉としては、例えば、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶葉が挙げられ、火入れ加工が施されていてもよい。また、半発酵茶葉としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶葉が挙げられる。発酵茶葉としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶葉が挙げられる。後発酵茶としては、例えば、碁石茶、阿波茶、プーアル茶が挙げられる。茶葉は1種又は2種以上を使用することができる。本発明においては、エピガロカテキンガレート含量の観点から不発酵茶葉が好ましく、緑茶が特に好ましい。また、本発明においては、アントシアニンとエピガロカテキンガレートとの比率をVDT症候群改善等の効果を奏する範囲に調製が容易である観点から、アントシアニンとは異なる植物由来のものを使用することが好ましい。なお、抽出方法、抽出条件、精製方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
【0018】
本発明の組成物におけるエピガロカテキンガレートの含有量は特に制限はなく、例えば、固形分中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上であり、優れたVDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用の観点から特に好ましくは4.2質量%以上である。また、その上限についても特に制限はないが、75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
【0019】
本発明の組成物におけるエピガロカテキンガレートの含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量することができる。組成物をメタノール及び0.5mg/mLシュウ酸の混液(8:2)に溶解し、この溶液の一部をHPLCで分離し、エピガロカテキンガレート由来のピークの積分値を算出する。また、エピガロカテキンガレート標準品をメタノールに溶解し、この溶液の一部をHPLCで分離し、ピークの積分値を算出する。エピガロカテキンガレートに由来するピークの積分値の比(前者/後者)を算出する。この積分値の比と、予め作成した検量線とを用いることで、エピガロカテキンガレートの含有量を算出する。HPLC条件は以下のとおりである。
カラム:Unison UR-C18、φ4.6mm×250mm、粒径3μm(インタクト株式会社)
溶出溶媒:水、アセトニトリル及び酢酸の混液(87:13:1)
溶出速度:1.0mL/min
検出波長:270nm
【0020】
本発明の組成物におけるアントシアニン及びエピガロカテキンガレートの合計量は特に制限はなく、例えば、固形分中、0.1質量以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上であり、優れたVDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用を得られる観点から特に好ましくは4.4質量%以上である。また、その上限についても特に制限はないが、85質量%以下が好ましく、79質量%以下がより好ましく、68質量%以下が特に好ましい。
【0021】
本発明の組成物において、アントシアニン及びエピガロカテキンガレートの質量比はアントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートは1~29質量部である。この中でも、アントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレート5~29質量部がより好ましく、10~27質量部が特に好ましく、優れたVDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用を得られる観点から15~25質量部が特に好ましい。
【0022】
<その他成分>
本発明の組成物には、上記成分以外に、必要に応じてその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、賦形剤、滑沢剤、水溶性食物繊維や不溶性食物繊維等の食物繊維、タンパク質、各種ビタミン類やミネラル類、藻類、酵母等の微生物等を配合することができる。更に、必要に応じて、通常食品分野で用いられる、甘味料、酸味料、栄養補助剤、安定剤、結合剤、光沢剤、増粘剤、着色料、希釈剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。これらその他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0023】
<VDT症候群改善用組成物、眼精疲労改善用組成物>
本発明の組成物は、網膜における酸化ストレス緩和の効果を奏することから、VDT症候群改善用組成物、眼精疲労改善用組成物として優れた効果を発揮しうる。VDT症候群とは、視作業(眼を使う作業)を続けることにより引き起こされる眼精疲労、疲労感やイライラなどの精神的症状を包含する概念である。VDT症候群としてはこのような症状のうち1種が発症することもあるが、複数の症状を発症することが多い。眼精疲労とは、眼痛、目の疲れ、充血、不快感、かすみ、ぼやけ、乾き(ドライアイ)、まぶしさ、焦点があわない、色コントラスト感度の低下といった目の症状、頭痛、首や肩のこり、吐き気、身体的疲労感、イライラ感といった目の疲れにより引き起こされる身体的・精神的症状を包含する概念である。
【0024】
VDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用としては、具体的には、目の痛みを緩和する、目の疲れをとる、目の疲労感を緩和する、目を疲れにくくする、目の不快感を緩和する、目のかすみを緩和する、目のぼやけを緩和する、目の潤いをサポートする、ブルーライトなどの光ストレスを軽減する、目のピント調節機能を維持する、色コントラスト感度の改善により目の調子を整える、目の使用による肩や首の負担を緩和する、目の使用による頭痛を緩和する、目の使用による身体的疲労感を緩和する、目の使用によるイライラ感を緩和する、目の使用による吐き気を緩和する、などが挙げられる。
【0025】
本発明の組成物は、例えば、「目の疲労感や目の不快感を軽減する」「目のぼやけを緩和する」「目の潤いをサポートする」「ブルーライトなどの光ストレスを軽減する」「目のピント調節機能を維持する」「色コントラスト感度の改善により目の調子を整える」「VDT作業による身体的疲労感を軽減する」「目の使用による身体的疲労感を軽減する」「VDT作業によるイライラ感・頭のズキズキ感を軽減する」「目の使用によるイライラ感・頭のズキズキ感を軽減する」「VDT作業による首や肩、の負担を軽減する」「目の使用による首や肩、の疲労感を軽減する」等の文言による広告・宣伝は本発明の組成物の実施とみなすことができる。
【0026】
本発明の組成物は、経口的な使用に適した形態であれば特に限定されないが、摂取のしやすさの観点から、液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状等の流動状であってもよい。固体状としては、粉末状、顆粒状、粒状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状、ソフトカプセル状、などが挙げられる。
【0027】
本発明の組成物の1日の使用量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定できる。例えば、本発明の組成物の1日の使用量は、使用者の体重を基準として、固形分換算で、好ましくは0.2~20mg/kgであり、より好ましくは0.4~10mg/kgであり、本願発明の組成物の効果を発揮する観点から、さらに好ましくは1~4mg/kg である。
【0028】
本発明の組成物の1回の使用量についても同様に特に限定されない。例えば、本発明の組成物の1回の使用量は、使用者の体重を基準として、固形分換算で、好ましくは0.1~20mg/kgであり、より好ましくは0.2~10mg/kgであり、本願発明の組成物の効果を発揮する観点から、さらに好ましくは0.5~4mg/kg である。
【0029】
また、本発明の組成物の1日の使用量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、好ましくは10~1000mg、より好ましくは20~500mg、本願発明の組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは50~200mg とすることができる。
【0030】
本発明の組成物の1回の使用量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、好ましくは5~1000mg、より好ましくは10~500mg、本願発明の組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは25~200mg とすることができる。
【0031】
本発明の組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
【実施例0032】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、種々の態様をとることができる。
【0033】
<網膜色素上皮細胞における抗酸化作用の評価>
以下の方法にて、網膜色素上皮細胞における抗酸化作用を評価した。
【0034】
[被験物質]
・アントシアニン:塩化シアニジン3-グルコシドを用いた
・エピガロカテキンガレート:(-)-エピガロカテキンガレートを用いた
【0035】
[細胞]
ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE-19)を用いた。
【0036】
[試験方法]
(1)網膜色素上皮細胞(ARPE-19)を増殖培地(10% FBS-DMEM/F-12)で培養した。
(2)96ウェルプレートに前記の細胞を10000cells/wellとなるように100μL/wellで播種し、37℃、5容量%COインキュベーター内で、24時間前培養した。
(3)被験物質含有培地100μL/wellと200mM過酸化水素水を添加し、37℃、5容量%COインキュベーター内で、18時間培養した。各試験群の被験物質の合計濃度は0.1μg/mLとした。
(4)培養後、培地を除去し、Cell Counting Kit-8を使用して、細胞生存率を測定した。
(5)コントロール(被験物質未投与群)に対する被験物質投与群の相対値を算出した。
結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
[試験結果]
網膜色素上皮細胞とは、網膜の外側に位置し、視細胞を保護し、視機能の維持に重要な役目を担っている。パソコンやスマートフォンといったVDTから発せられるブルーライトはVDT症候群や眼精疲労の原因の一つであるが、短波長で高いエネルギーを持つため、「光酸化」と呼ばれる酸化ストレスを引き起こし、網膜上皮細胞のアポトーシスを誘導する。そのため、酸化ストレスに対する網膜色素上皮細胞の保護作用を評価することで、VDT症候群改善効果、眼精疲労改善効果を評価することができる。図1からわかるように、アントシアニンのみである比較例1、カテキンのみである比較例4は細胞生存率が低く、酸化ストレスに対する網膜色素上皮細胞保護作用が低いことがわかった。また、アントシアニンとエピガロカテキンガレートが質量比でアントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートが30,又は0.3の場合も同様に細胞生存率が低く、酸化ストレスに対する網膜色素上皮細胞保護作用が低いことがわかった。一方、アントシアニンとエピガロカテキンガレートが質量比でアントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートが1~29質量部である本願発明の経口組成物(実施例1~5)は細胞生存率が高く、酸化ストレスに対する網膜色素上皮細胞保護作用が高いことがわかった。特に、アントシアニン1質量部に対してエピガロカテキンガレートが15~25質量部である実施例2~4は、より高い細胞生存率であり、酸化ストレスに対する網膜色素上皮細胞保護作用がより高いものであることがわかった。以上より、本発明の経口組成物はVDT症候群改善、眼精疲労改善に優れたものであることが明らかとなった。
【0039】
<製造例1~10>
下記表3に記載の組成に従って、錠剤(250mg)を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを配合特定の配合比で含有することから、1日1~2回、1回あたり1粒を水と共に摂取することで、優れたVDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用を享受できる。
【0040】
【表3】
【0041】
<製造例11~15>
下記表4に記載の組成に従って、粉末飲料(3g)を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを配合特定の配合比で含有することから、1日1回、1回あたり3gを100~150mLの水に溶かして摂取することで、優れたVDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用を享受できる。
【0042】
【表4】
【0043】
<製造例16~20>
下記表5に記載の組成に従って、ハードカプセル(内容量200mg)を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを配合特定の配合比で含有することから、1日1回、1回あたり1粒を水と共に摂取することで、優れたVDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用を享受できる。
【0044】
【表5】
【0045】
<製造例21>
下記表6に記載の組成に従って、ハードカプセル(内容量250mg)を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを配合特定の配合比で含有することから、1日2回、1回あたり1粒を水と共に摂取することで、優れたVDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用を享受できる。
【0046】
【表6】
【0047】
<製造例22>
下記表7に記載の組成に従って、錠剤(300mg)を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを配合特定の配合比で含有することから、1日1~2回、1回あたり1粒を水と共に摂取することで、優れたVDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用を享受できる。
【0048】
【表7】
【0049】
<製造例22>
下記表8に記載の組成に従って、錠剤(200mg)を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、アントシアニン及びエピガロカテキンガレートを配合特定の配合比で含有することから、1日1~2回、1回あたり1粒を水と共に摂取することで、優れたVDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用用を享受できる。
【0050】
【表8】
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の組成物は、アントシアニンとエピガロカテキンガレートとを含有することにより、VDT症候群改善作用、眼精疲労改善作用に優れた組成物を提供することができることから、産業上の利用の可能性が高いものである。
図1