(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109039
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/764 20060101AFI20240805BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20240805BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01L21/76 A
H01L21/76 L
H01L27/088 331A
H01L27/088 331G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208723
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】P 2023013048
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023018722
(32)【優先日】2023-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大坪 宣之
(72)【発明者】
【氏名】足立 耕作
【テーマコード(参考)】
5F032
5F048
【Fターム(参考)】
5F032AA35
5F032AA39
5F032AA44
5F032AA48
5F032AA64
5F032AA67
5F032AA77
5F032AC02
5F032BA03
5F032BA10
5F032CA14
5F032CA15
5F032CA16
5F032CA17
5F032CA18
5F032CA24
5F032CA25
5F032DA12
5F032DA23
5F032DA24
5F032DA33
5F048AA04
5F048AA05
5F048AC01
5F048AC07
5F048AC10
5F048BA03
5F048BA05
5F048BA06
5F048BA13
5F048BB16
5F048BC03
5F048BC06
5F048BG13
5F048BG14
(57)【要約】
【課題】半導体チップの主面に沿う横方向における耐圧を向上できる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置1Aは、第1主面3およびその反対側の第2主面4を有する半導体チップ2と、半導体チップ2の第1主面3側に形成され、アクティブ領域11を区画する素子分離部12とを含む。素子分離部12は、半導体チップ2の第1主面3側に形成されたトレンチ16と、トレンチ16の側面21に形成された第1絶縁膜41,51と、第1絶縁膜41,51からトレンチ16の内側にエアギャップAG1,AG2を挟んで形成された第2絶縁膜42,52と、第2絶縁膜42,52で被覆され、トレンチ16の底面23で半導体チップ2に接続された埋め込み導電体17とを含む。トレンチ16の側面21,22は、断面視において、トレンチ16の底面23から第1主面3に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面およびその反対側の第2主面を有する半導体チップと、
前記半導体チップの前記第1主面側に形成され、アクティブ領域を区画する素子分離部とを含み、
前記素子分離部は、
前記半導体チップの前記第1主面側に形成されたトレンチと、
前記トレンチの側面に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜から前記トレンチの内側にエアギャップを挟んで形成された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜で被覆され、前記トレンチの底部で前記半導体チップに接続された埋め込み導電体とを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記トレンチの前記側面は、断面視において、前記トレンチの開口端よりも前記トレンチの深さ方向の途中部が前記トレンチの外側に凸となるような形状に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トレンチの前記側面は、断面視において、前記トレンチの前記底部から前記第1主面に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記トレンチの前記側面は、断面視において、前記トレンチの外側に凸のアーチ状に形成されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記埋め込み導電体は、断面視において、前記埋め込み導電体の底壁から前記第1主面に向かって幅が大きくなるテーパ状の側壁を有し、
前記埋め込み導電体の前記側壁に前記第2絶縁膜が接している、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体チップが、前記第2主面側に形成され、前記埋め込み導電体が前記トレンチの前記底部で接続される第1導電型の第1不純物領域と、前記第1主面側に形成された第2導電型の第2不純物領域と、前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間に埋め込まれた第2導電型の埋め込み領域とを含み、
前記エアギャップは、前記第1主面に沿う横方向において、前記埋め込み領域と前記埋め込み導電体との間に挟まれて形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記トレンチの前記側面は、断面視において、断面視において、前記トレンチの外側に凸のアーチ状に形成されており、
アーチ状の前記側面の頂部が、前記埋め込み領域と前記埋め込み導電体との間に挟まれている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1絶縁膜が、前記トレンチの一方側の前記側面、および前記トレンチの他方側の前記側面の双方に形成されており、
前記エアギャップが、前記埋め込み導電体と前記トレンチの前記一方側の前記側面との間、および前記埋め込み導電体と前記トレンチの前記他方側の前記側面との間の双方に形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜は、前記トレンチの上部において互いに接続されており、前記トレンチの深さ方向の途中部において接続されていない、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記埋め込み導電体が、前記第2絶縁膜よりも前記第2主面側に突出する突出部を含み、
前記エアギャップは、前記トレンチの深さ方向に関し、前記突出部の底壁よりも前記第1主面側に位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記埋め込み導電体の底壁が、前記トレンチの深さ方向に関し、前記第2絶縁膜の下端および前記エアギャップの下端よりも、前記第1主面側に位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
半導体ウエハの表面にアクティブ領域を区画するように第1トレンチを形成する第1工程と、
前記第1トレンチに埋め込み導電体を埋め込む第2工程と、
前記埋め込み導電体の側壁をその内部に露出させるように、前記埋め込み導電体で形成された第1側面、および前記半導体ウエハの一部で形成された第2側面を有する第2トレンチを前記埋め込み導電体の側方に形成する第3工程と、
前記第2トレンチの内部空間により形成されたエアギャップを挟んで対向するように、前記第1側面および前記第2側面にそれぞれ第1絶縁膜および第2絶縁膜を形成する第4工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第3工程が、断面視において、前記エアギャップの幅が、前記第2トレンチの底部から前記半導体ウエハの前記表面に向かって小さくなるテーパ状に形成されるように、前記第2トレンチの前記第2側面を前記半導体ウエハの前記表面に対する傾斜面として形成する工程を含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第3工程が、前記第2トレンチの前記第2側面を、断面視において、前記埋め込み導電体側と反対側に凸のアーチ状に形成する工程を含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第3工程が、前記第2トレンチを、前記第1トレンチよりも浅い深さに形成する工程を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、DTI(deep trench isolation)構造を含む領域分離構造を備えた半導体装置を開示している。
【0003】
領域分離構造は、半導体チップの主面に形成されたトレンチと、トレンチの側面を被覆する絶縁膜と、絶縁膜を挟んでトレンチ内に埋め込まれたポリシリコンとを含む。ポリシリコンは、トレンチの底壁を介して不純物領域の高濃度領域に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
[概要]
本開示の一実施形態は、第1主面およびその反対側の第2主面を有する半導体チップと、前記半導体チップの前記第1主面側に形成され、アクティブ領域を区画する素子分離部とを含み、前記素子分離部は、前記半導体チップの前記第1主面側に形成されたトレンチと、前記トレンチの側面に形成された第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜から前記トレンチの内側にエアギャップを挟んで形成された第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜で被覆され、前記トレンチの底部で前記半導体チップに接続された埋め込み導電体とを含む、半導体装置を提供する。
【0006】
本開示の一実施形態は、半導体ウエハの表面にアクティブ領域を区画するように第1トレンチを形成する第1工程と、前記第1トレンチに埋め込み導電体を埋め込む第2工程と、前記埋め込み導電体の側壁をその内部に露出させるように、前記埋め込み導電体で形成された第1側面、および前記半導体ウエハの一部で形成された第2側面を有する第2トレンチを前記埋め込み導電体の側方に形成する第3工程と、前記第2トレンチの内部空間により形成されたエアギャップを挟んで対向するように、前記第1側面および前記第2側面にそれぞれ第1絶縁膜および第2絶縁膜を形成する第4工程とを含む、半導体装置の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すIII-III断面を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す構造の要部を拡大した断面図である。
【
図5A】
図5Aは、
図4に対応する図であって、本開示の第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す図である。
【
図6】
図6は、
図4に対応する図であって、本開示の第2実施形態に係る半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【
図7A】
図7Aは、
図6に対応する図であって、本開示の第2実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す図である。
【
図8】
図8は、
図4に対応する図であって、本開示の第1変形例を説明するための断面図である。
【
図9】
図9は、本開示の第2変形例を説明するための平面図である。
【
図10】
図10は、本開示の第3実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
【
図14A】
図14Aは、
図13に対応する図であって、本開示の第3実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す図である。
【
図15】
図15は、
図13に対応する図であって、本開示の第4実施形態に係る半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【
図16】
図16は、
図13に対応する図であって、本開示の第5実施形態に係る半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【
図17A】
図17Aは、
図16に対応する図であって、本開示の第5実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の第2絶縁膜の変形例である第1変形例を説明するための断面図である。
【
図19】
図19は、本開示の素子分離部の変形例である第2変形例を説明するための平面図である。
【
図21】
図21は、本開示の素子分離部の変形例である第3変形例を説明するための平面図である。
【0008】
[詳細な説明]
<第1~第2実施形態>
図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1Aの模式的な平面図である。
【0009】
図1を参照して、半導体装置1Aは、直方体形状の半導体チップ2を含む。半導体チップ2は、この実施形態では、Si(シリコン)チップからなる。半導体チップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する第1~第4側面5A~5Dを有している。
【0010】
第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。法線方向Zは、半導体チップ2の厚さ方向でもある。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1主面3に沿う第1方向Xに延び、第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。
【0011】
半導体装置1Aは、第1主面3に形成された複数のデバイス領域10を含む。複数のデバイス領域10は、半導体チップ2の内側の領域を利用して種々の機能デバイスがそれぞれ形成された領域である。複数のデバイス領域10は、平面視において第1~第4側面5A~5Dから間隔を空けて第1主面3の内方部にそれぞれ区画されている。デバイス領域10の個数、配置および形状はいずれも任意であり、特定の個数、配置および形状に限定されない。
【0012】
複数の機能デバイスは、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも1つをそれぞれ含んでいてもよい。半導体スイッチングデバイスは、JFET(Junction Field Effect Transistor:接合型トランジスタ)、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型の電界効果トランジスタ)、BJT(Bipolar Junction Transistor:バイポーラトランジスタ)、および、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor:絶縁ゲート型のバイポーラトランジスタ)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0013】
半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動デバイスは、抵抗、コンデンサ、インダクタおよびヒューズのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。複数のデバイス領域10は、この実施形態では、少なくとも1つのアクティブ領域11を含む。
【0014】
アクティブ領域11は、複数のトランジスタ素子が形成される領域である。アクティブ領域11には、半導体装置1Aのソース-ドレイン間が導通状態のとき(オン時)に半導体チップ2の横方向に電流が流れる。アクティブ領域11は、平面視においてたとえば四角形である。
【0015】
図2は、
図1に示す領域IIの拡大図である。
図3は、
図2に示すIII-III断面を示す図である。
図4は、
図3に示す構造の要部を拡大した断面図である。
【0016】
図3を参照して、半導体チップ2は、第2主面4側の領域に形成されたp型(第1導電型)の第1不純物領域6を含む。第1不純物領域6は、「ベース領域」と称してもよい。第1不純物領域6は、第2主面4に沿って層状に延び、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dの一部から露出している。第1不純物領域6は、第1主面3側のp型不純物濃度が第2主面4側のp型不純物濃度よりも低い濃度勾配を有している。第1不純物領域6は、具体的には、第2主面4側からこの順に積層されたp型の高濃度領域6aおよびp型の低濃度領域6bを含む積層構造を有している。
【0017】
高濃度領域6aは、比較的高いp型不純物濃度を有している。高濃度領域6aのp型不純物濃度は、1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。高濃度領域6aは、p型不純物としてのホウ素(B)を含んでいてもよい。高濃度領域6aは、50μm以上500μm以下の厚さを有していてもよい。高濃度領域6aは、この形態では、p型の半導体基板(Si基板)からなる。
【0018】
低濃度領域6bは、高濃度領域6aよりも低いp型不純物濃度を有し、高濃度領域6aの上に積層されている。低濃度領域6bのp型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。低濃度領域6bは、p型不純物としてのホウ素(B)を含んでいてもよい。低濃度領域6bは、高濃度領域6aの厚さ未満の厚さを有している。低濃度領域6bの厚さは、1μm以上20μm以下であってもよい。低濃度領域6bは、この形態では、p型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0019】
図3を参照して、半導体チップ2は、第1主面3側の領域に形成されたn型(第2導電型)の第2不純物領域7を含む。第2不純物領域7は、第1主面3に沿って層状に延び、第1主面3および第1~第4側面5A~5Dの一部から露出している。第2不純物領域7のn型不純物濃度は、1×10
14cm
-3以上1×10
17cm
-3以下であってもよい。第2不純物領域7は、5μm以上30μm以下の厚さを有していてもよい。第2不純物領域7は、厚さ方向に一様なn型不純物濃度を有していてもよいし、第1主面3に向かってn型不純物濃度が上昇する濃度勾配を有していてもよい。第2不純物領域7は、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなっていてもよい。
【0020】
半導体チップ2は、第1不純物領域6と第2不純物領域7との間に埋め込まれたn型(第2導電型)の埋め込み領域8を含む。他の言い方では、第1不純物領域6、埋め込み領域8および第2不純物領域7は、第2主面4側からこの順で積層されている。埋め込み領域8は、第1不純物領域6および第2不純物領域7に電気的に接続されている。埋め込み領域8は、第2不純物領域7に沿って層状に延びている。埋め込み領域8は、第1~第4側面5A~5Dの一部から露出している。埋め込み領域8のn型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。埋め込み領域8は、0.1μm以上5μm以下の厚さを有していてもよい。埋め込み領域8は、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなっていてもよい。
【0021】
図2および
図3を参照して、半導体チップ2は、第1主面3側において形成され、アクティブ領域11を区画する素子分離部12を含む。素子分離部12は、平面視において環状、具体的には、四角環状である。より具体的には、素子分離部12は、平面視において円弧状に湾曲した角部(四隅)を有する四角環状である。
【0022】
素子分離部12は、半導体チップ2の第1主面3側に形成された第1トレンチ構造13を含む。第1トレンチ構造13は、アクティブ領域11側の内周壁、内周壁の反対側(半導体チップ2の周縁側)の外周壁、ならびに、内周壁および外周壁を接続する底壁を含む。第1トレンチ構造13の底壁は、第1主面3に平行な平坦面を有していてもよい。第1トレンチ構造13の底壁は、第2主面4に向かう湾曲形状に形成されていてもよい。
【0023】
第1トレンチ構造13は、トレンチ16と、埋め込み導電体17と、第1絶縁部18と、第2絶縁部19とを含む。埋め込み導電体17は、トレンチ16内に埋め込まれている。
図2を参照して、トレンチ16は、アクティブ領域11を区画するように第1主面3側に形成されている。トレンチ16は、この実施形態では、平面視において環状(この実施形態では四角環状)である。より具体的には、トレンチ16は、平面視において円弧状に湾曲した角部(四隅)を有している。
【0024】
図4を参照して、トレンチ16は、第1不純物領域6に至るように、第2不純物領域7および埋め込み領域8を貫通している。具体的には、トレンチ16は、第1不純物領域6の高濃度領域6aに至るように第1主面3から第2主面4側に向けて延び、第2不純物領域7、埋め込み領域8および第1不純物領域6の低濃度領域6bを貫通している。
【0025】
トレンチ16は、アクティブ領域11側の第1側面(側面、一方側の側面)21と、アクティブ領域11側と反対側の第2側面(側面、他方側の側面)22と、第1側面21と第2側面22とを接続する底面(底部)23とを含む。この実施形態では、第1側面21は、環状のトレンチ16の内周面であり、第2側面22は、環状のトレンチ16の外周面である。
【0026】
トレンチ16は、断面視において、トレンチ16の底面23から第1主面3に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている。トレンチ16は、開口端21a,22aにおいて、第1幅W1を有している。第1幅W1は、平面視でトレンチ16が延びる方向に直交する方向の幅である。第1幅W1は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第1幅W1は、2μm以上4μm以下であることが好ましい。トレンチ16の底面23は、第2幅W2を有している。第2幅W2は、平面視でトレンチ16が延びる方向に直交する方向の幅である。第2幅W2は、第1幅W1よりも広い(第2幅W2>第1幅W1)。
【0027】
トレンチ16の第1側面21は、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに跨って形成されている。第1側面21は、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに接している。第1側面21は、第2主面4に向かうに従ってトレンチ16の外側(アクティブ領域11側)に向かう傾斜面である。別の言い方では、第1側面21は、断面視において、開口端21aよりもトレンチ16の深さ方向の途中部が、トレンチ16の外側(アクティブ領域11側)に凸となっている。この実施形態では、底面23の外側(アクティブ領域11側)の端部23aは、開口端21aよりも外側(アクティブ領域11側)に位置している。
【0028】
トレンチ16の第2側面22は、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに跨って形成されている。第2側面22は、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに接している。第2側面22は、第2主面4に向かうに従ってトレンチ16の外側(アクティブ領域11側と反対側)に向かう傾斜面である。別の言い方では、第2側面22において、断面視において、第2側面22の開口端22aよりもトレンチ16の深さ方向の途中部が、トレンチ16の外側(アクティブ領域11側と反対側)に凸となっている。この実施形態では、底面23の外側(アクティブ領域11側と反対側)の端部23bは、開口端22aよりも外側(アクティブ領域11側と反対側)に位置している。
【0029】
底面23は、第1側部底面26と、第2側部底面27と、中央底面28とを含む。中央底面28は、第1側部底面26と第2側部底面27とを接続する。第1側部底面26は、中央底面28に対し、アクティブ領域11側に形成されている。第2側部底面27は、中央底面28に対し、第1側部底面26と反対側に形成されている。第1側部底面26および第2側部底面27は、平面視でトレンチ16が延びる方向に直交する方向に中央底面28を挟んでいる。中央底面28は、トレンチ16が延びる方向に沿って延びている。中央底面28は、後述する底面33、第1溝側面31および第2溝側面32を含む概念である。底面33、第1溝側面31および第2溝側面32によって底溝が構成されている。
【0030】
第1側部底面26は、トレンチ16が延びる方向に沿って延びている。この実施形態では、第1側部底面26は、環状のトレンチ16の全周にわたって無端環状に形成されている。
図4の例では、第1側部底面26の形状は、断面視において第2主面4側に膨らむラウンド形状である。第1側部底面26は、第3幅W
3を有している。第3幅W
3は、平面視でトレンチ16が延びる方向に直交する方向の幅である。第1側部底面26は、高濃度領域6aに形成されている。第1側部底面26は、高濃度領域6aに接している。第1側部底面26は、第1主面3に平行な平坦面を有していてもよい。
【0031】
第2側部底面27は、トレンチ16が延びる方向に沿って延びている。この実施形態では、第2側部底面27は、環状のトレンチ16の全周にわたって無端環状に形成されており、環状の第1側部底面26を取り囲んでいる。
図4の例では、第2側部底面27の形状は、断面視において第2主面4側に膨らむラウンド形状である。第2側部底面27は、第1側部底面26と同じ深さ位置にある。第2側部底面27の下端部は、第1側部底面26の下端部と同じ深さを有している。第2側部底面27の最浅部は、第1側部底面26の最浅部と同じ深さを有している。第2側部底面27は、第4幅W
4を有している。第4幅W
4は、平面視でトレンチ16が延びる方向に直交する方向の幅である。第4幅W
4は、第3幅W
3と同じである。第2側部底面27は、高濃度領域6aに形成されている。第2側部底面27は、高濃度領域6aに接している。第2側部底面27は、第1主面3に平行な平坦面を有していてもよい。
【0032】
中央底面28は、断面視において、底面33から第1主面3に向かって幅が大きくなるテーパ状に形成されている。第1溝側面31および第2溝側面32は、高濃度領域6aに形成されている。第1溝側面31および第2溝側面32は、高濃度領域6aに接している。
【0033】
底面33は、トレンチ16の深さ方向に関し、第1側部底面26および第2側部底面27よりも深い位置に形成されている。
図4の例では、底面33は、第1主面3に平行な平坦面を有している。底面33が、断面視において第2主面4側に膨らむラウンド形状を有していてもよい。底面33は、高濃度領域6aに形成されている。底面33は、高濃度領域6aに接している。
【0034】
埋め込み導電体17は、トレンチ16内に埋め込まれている。埋め込み導電体17は、ポリシリコンである。このポリシリコンは、この実施形態では、p型(第1導電型)不純物(たとえばボロン(B))が添加されたドープトポリシリコンである。埋め込み導電体17は、本体部17aと、本体部17aの下端から第2主面4側に突出する突出部17bとを備えている。埋め込み導電体17の本体部17aは、トレンチ16内において、トレンチ16の深さ方向に関し、第1側部底面26および第2側部底面27よりも第1主面3側にある部分である。突出部17bは、第1側部底面26および第2側部底面27に対して底面33側に突出した部分であり、底面23の中央底面28内に埋められた部分である。
【0035】
埋め込み導電体17は、アクティブ領域11側の第1側壁36と、第1側壁36と反対側の第2側壁37と、底壁(底部)38とを備えている。第1側壁36および第2側壁37の間の距離が第1主面3に向かって大きくなることにより埋め込み導電体17がテーパ状に形成されている。
【0036】
第1側壁36は、本体部17aの側壁を構成する上部分36aと、突出部17bの側壁を構成する下部分36bとを含む。上部分36aは、第2主面4に向かうに従って、トレンチ16の内側(アクティブ領域11側と反対側)に向かう傾斜壁である。下部分36bは、上部分36aよりも一段、トレンチ16の外側(アクティブ領域11側)で上部分36aと平行である。上部分36aと下部分36bとの間は第1側部底面26の近傍に形成された接続壁を介して連続している。埋め込み導電体17の第1側壁36は、トレンチ16の深さ方向において、上部分36aと下部分36bとの境界部に段部46を有している。この段部46は、環状のトレンチ16の全体にわたって形成された無端環状の段部であってもよい。これにより、埋め込み導電体17は、本体部17aに対して突出部17bが側方に膨らむ形状を有している。下部分36bは、第2主面4に向かうに従って、トレンチ16の内側(アクティブ領域11側と反対側)に向かう傾斜面である。下部分36bは、中央底面28の第1溝側面31に接している。下部分36bは、第1溝側面31において、高濃度領域6aに接している。
【0037】
第2側壁37は、本体部17aの側壁を構成する上部分37aと、突出部17bの側壁を構成する下部分37bとを含む。上部分37aは、第2主面4に向かうに従って、トレンチ16の外側(アクティブ領域11側)に向かう傾斜壁である。下部分37bは、上部分37aよりも一段、トレンチ16の外側(アクティブ領域11側と反対側)に突出し、上部分37aと平行である。上部分37aと下部分37bとの間は、第2側部底面27の近傍に形成された接続壁を介して連続している。埋め込み導電体17の第2側壁37は、トレンチ16の深さ方向において、上部分36aと下部分36bとの境界部に段部56を有している。この段部56は、環状のトレンチ16の全体にわたって形成された無端環状の段部であってもよい。これにより、埋め込み導電体17は、本体部17aに対して突出部17bが側方に膨らむ形状を有している。 下部分37bは、第2主面4に向かうに従って、トレンチ16の内側(アクティブ領域11側)に向かう傾斜面である。下部分37bは、中央底面28の第2溝側面32に接している。下部分37bは、第2溝側面32において、高濃度領域6aに接している。
【0038】
埋め込み導電体17の底壁38は、突出部17bの底壁を形成している。底壁38は、中央底面28の底面33に接している。底壁38は、底面33において、高濃度領域6aに接している。つまり、埋め込み導電体17は、下部分36b、下部分37bおよび底壁38において、高濃度領域6aに電気的に接続されている。これにより、埋め込み導電体17が底壁38のみで高濃度領域6aに電気的に接続される場合と比較して、コンタクト面積を増大させることができる。
【0039】
前述のように、第1トレンチ構造13は、第1絶縁部18を含む。第1絶縁部18は、トレンチ16内で、埋め込み導電体17と、トレンチ16の第1側面21とを絶縁する。第1絶縁部18は、第1絶縁膜41と、第2絶縁膜42と、第3絶縁膜43と、上部絶縁膜44と、エアギャップAG1とを含む。第1絶縁部18によって、埋め込み導電体17と、第1トレンチ構造13に対しアクティブ領域11側の領域とが、電気的に絶縁されている。
【0040】
第1絶縁膜41は、トレンチ16の第1側面21に形成されている。第1絶縁膜41は、トレンチ16の第1側面21を被覆している。第1絶縁膜41は、第2主面4に向かうに従ってトレンチ16の外側(アクティブ領域11側)に向かう傾斜状である。第1絶縁膜41は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0041】
第2絶縁膜42は、埋め込み導電体17の第1側壁36の上部分36aを被覆している。第2絶縁膜42は、第2主面4に向かうに従って、トレンチ16の内側(アクティブ領域11側と反対側)に向かう傾斜状である。第2絶縁膜42は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0042】
第3絶縁膜43は、トレンチ16の第1側部底面26を被覆している。第3絶縁膜43は、第1主面3に平行な平坦状である。第3絶縁膜43は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
図4の例では、第3絶縁膜43の内端45(アクティブ領域11側と反対側の端部)は、中央底面28の第1溝側面31よりも内側(アクティブ領域11側と反対側)に位置している。埋め込み導電体17の第1側壁36には、上部分36aと下部分36bとを区画する段部46が形成されている。内端45が段部46に嵌っている。
【0043】
上部絶縁膜44は、トレンチ16の上部16aにおいて、第1絶縁膜41と第2絶縁膜42とを接続する。上部絶縁膜44は、エアギャップAG1の上部を閉じている。上部絶縁膜44の下端44aは、
図4の例では、第2不純物領域7と埋め込み領域8との境界部分9Aよりも第1主面3側に位置している。上部絶縁膜44の下端44aの第1深さD
1は、0.01μm~30μmであってもよい。第1絶縁膜41と第2絶縁膜42とは、トレンチ16の上部16aにおいてのみ接続されており、トレンチ16の深さ方向の他の途中部では互いに接続されていない。
【0044】
エアギャップAG1は、第1絶縁膜41、第2絶縁膜42、第3絶縁膜43および上部絶縁膜44によって区画された密閉空間であり、内部に空気(air)を収容している。エアギャップAG1は、第1側部底面26から第1主面3に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている。エアギャップAG1は、第1絶縁膜41および第2絶縁膜42によって、平面視でトレンチ16が延びる方向に直交する方向に挟まれている。別の言い方では、第2絶縁膜42は、第1絶縁膜41からトレンチ16の内側(アクティブ領域11側と反対側)にエアギャップAG1を挟んで形成されている。エアギャップAG1は、幅WAを有している。幅WAは、エアギャップAG1の下端49において、平面視においてトレンチ16が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WAは、トレンチ16の深さの1/300倍~1/2倍の大きさであってもよい。
【0045】
エアギャップAG1は、埋め込み導電体17と、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aとの間に挟まれて形成されている。この実施形態では、エアギャップAG1は、埋め込み導電体17と埋め込み領域8との間に挟まれている。この実施形態では、エアギャップAG1は、埋め込み導電体17と低濃度領域6bとの間に挟まれている。
【0046】
図4の例では、エアギャップAG1の上端48と第1主面3との間の距離が、エアギャップAG1の上端48と、埋め込み領域8と第2不純物領域7との境界部分9Aとの間の距離よりも短い。上端48と第1主面3との間の距離が、上端48と境界部分9Aとの間の距離よりも長くてもよい。
【0047】
図4の例では、エアギャップAG1の下端49が埋め込み領域8と第1不純物領域6との境界部分9Bよりも第2主面4側に位置している。この実施形態では、エアギャップAG1の下端49が、低濃度領域6bと高濃度領域6aとの境界部分9Cよりも第2主面4側に位置している。境界部分9Cからの下端49の第1突出量P
1は、中央底面28の第2深さD
2よりも大きくてもよい。境界部分9Cからの下端49の第1突出量P
1は、中央底面28の第2深さD
2よりも小さくてもよい。エアギャップAG1の下端49は、埋め込み導電体17の底壁38(すなわち、突出部17bの底壁38)よりも第1主面3側に位置している。
【0048】
前述のように、第1トレンチ構造13は、第2絶縁部19を含む。第2絶縁部19は、トレンチ16内で、埋め込み導電体17と、トレンチ16の第2側面22とを絶縁する。第2絶縁部19は、第1絶縁膜51と、第2絶縁膜52と、第3絶縁膜53と、上部絶縁膜54と、エアギャップAG2とを含む。第2絶縁部19によって、埋め込み導電体17と、第1トレンチ構造13に対しアクティブ領域11側と反対側の領域とが、電気的に絶縁されている。
【0049】
第1絶縁膜51は、トレンチ16の第2側面22に形成されている。第1絶縁膜51は、トレンチ16の第1側面21を被覆している。第1絶縁膜51は、第2主面4に向かうに従ってトレンチ16の外側(アクティブ領域11側と反対側)に向かう傾斜状である。第1絶縁膜51は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0050】
第2絶縁膜52は、埋め込み導電体17の第2側壁37の上部分37aを被覆している。第2絶縁膜52は、第2主面4に向かうに従って、トレンチ16の内側(アクティブ領域11側)に向かう傾斜状である。第2絶縁膜52は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0051】
第3絶縁膜53は、トレンチ16の第2側部底面27を被覆している。第3絶縁膜53は、第1主面3に平行な平坦状である。第3絶縁膜53は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
図4の例では、第3絶縁膜53の内端55(アクティブ領域11側の端部)は、中央底面28の第2溝側面32よりも内側(アクティブ領域11側)に位置している。埋め込み導電体17の第2側壁37には、上部分37aと下部分37bとを区画する段部56が形成されている。内端55が段部56に嵌っている。
【0052】
第3絶縁膜53の内端55と第3絶縁膜43の内端45との間隔は、第5幅W5を有している。第5幅W5は、平面視でトレンチ16が延びる方向に直交する方向の幅である。第5幅W5は、第3幅W3および第4幅W4よりも広くてもよい。第5幅W5は、第3幅W3および第4幅W4よりも狭くてもよい。
【0053】
上部絶縁膜54は、トレンチ16の上部16aにおいて、第1絶縁膜51と第2絶縁膜52とを接続する。上部絶縁膜54は、エアギャップAG2の上部を閉じている。上部絶縁膜54の下端54aは、
図4の例では、第2不純物領域7と埋め込み領域8との境界部分9Aよりも第1主面3側に位置している。上部絶縁膜54の下端54aの深さは、上部絶縁膜44の下端44aの第1深さD
1と同じであってもよい。第1絶縁膜51と第2絶縁膜52とは、トレンチ16の上部においてのみ接続されており、トレンチ16の深さ方向の他の途中部では互いに接続されていない。
【0054】
エアギャップAG2は、第1絶縁膜51、第2絶縁膜52、第3絶縁膜53および上部絶縁膜54によって区画された密閉空間であり、内部に空気(air)を収容している。エアギャップAG2は、第1側部底面26第2側部底面27から第1主面3に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている。エアギャップAG2は、第1絶縁膜51および第2絶縁膜52によって、平面視でトレンチ16が延びる方向に直交する方向に挟まれている。別の言い方では、第2絶縁膜52は、第1絶縁膜51からトレンチ16の内側(アクティブ領域11側)にエアギャップAG2を挟んで形成されている。エアギャップAG2は、幅WBを有している。幅WBは、エアギャップAG2の下端59において、平面視においてトレンチ16が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WBは、トレンチ16の深さの1/300倍~1/2倍の大きさであってもよい。
【0055】
エアギャップAG2は、埋め込み導電体17と、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aとの間に挟まれて形成されている。具体的には、エアギャップAG2は、埋め込み導電体17と埋め込み領域8との間に挟まれている。エアギャップAG2は、埋め込み導電体17と低濃度領域6bとの間に挟まれている。
【0056】
図4の例では、エアギャップAG2の上端58と第1主面3との間の距離が、エアギャップAG2の上端58と、埋め込み領域8と第2不純物領域7との境界部分9Aとの間の距離よりも短い。上端58と第1主面3との間の距離が、上端58と境界部分9Aとの間の距離よりも長くてもよい。
【0057】
図4の例では、エアギャップAG2の下端59が埋め込み領域8と第1不純物領域6との境界部分9Bよりも第2主面4側に位置している。この実施形態では、エアギャップAG2の下端59が、低濃度領域6bと高濃度領域6aとの境界部分9Cよりも第2主面4側に位置している。境界部分9Cからの下端59の突出量は、境界部分9Cからの下端49の第1突出量P
1と同じである。エアギャップAG2の下端59は、埋め込み導電体17の底壁38よりも第1主面3側に位置している。
【0058】
図3および
図4を参照して、半導体装置1Aは、第1主面3に形成された複数の第2トレンチ構造61を含む。
図2では、第2トレンチ構造61の図示が省略されている。複数の第2トレンチ構造61は、STI構造(shallow trench isolation structure)と称してもよい。複数の第2トレンチ構造61は、トレンチ16の側壁36,37をそれぞれ被覆し、埋め込み導電体17を露出させるように互いに間隔を空けて形成されている。
【0059】
複数の第2トレンチ構造61は、埋め込み領域8から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。つまり、複数の第2トレンチ構造61は、第2不純物領域7の厚さ範囲に形成されている。第2トレンチ構造61は、平面視において第1トレンチ構造13に沿って延びている。この実施形態では、第2トレンチ構造61は、平面視において第1トレンチ構造13に沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。
【0060】
各第2トレンチ構造61は、シャロートレンチ62および埋め込み絶縁体63を含む。シャロートレンチ62は、トレンチ16の側壁36,37に重なる位置に形成され、第2不純物領域7、上部絶縁膜44,54および埋め込み導電体17を露出させている。
【0061】
埋め込み絶縁体63は、シャロートレンチ62に埋設されている。埋め込み絶縁体63は、シャロートレンチ62内において、第2不純物領域7、上部絶縁膜44,54および埋め込み導電体17に接している。埋め込み絶縁体63は、酸化シリコン等の酸化膜および窒化シリコン等の窒化膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0062】
図3を参照して、半導体装置1Aは、アクティブ領域11に形成された機能デバイスの一例としてのプレーナゲート型のMISFETセル70を含む。
図2では、MISFETセル70の図示が省略されている。MISFETセル70は、ドレインソース電圧の大きさに応じて、HV(high voltage)-MISFETセル(たとえば100V以上1000V以下)、MV(middle voltage)-MISFETセル(たとえば30V以上100V以下)およびLV(low voltage)-MISFETセル(たとえば1V以上30V以下)のうちのいずれか一つの形態を採り得る。この実施形態では、MISFETセル70がHV-MISFETセルからなる例について説明するが、MISFETセル70の形態をHV-MISFETセルに限定する趣旨ではない。
【0063】
MISFETセル70は、断面視において、少なくとも1つ(この実施形態では1つ)のn型の第1ウェル領域71、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のp型の第2ウェル領域72、少なくとも1つ(この実施形態では1つ)のn型のドレイン領域73、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のn型のソース領域74、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のp型のチャネル領域75、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のp型のコンタクト領域76、および、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のプレーナゲート構造77を含む。
【0064】
第1ウェル領域71は、アクティブ領域11において第2不純物領域7の表層部に形成されている。第1ウェル領域71は、第2不純物領域7よりも高いn型不純物濃度を有している。複数の第2ウェル領域72は、アクティブ領域11において第1ウェル領域71から間隔を空けて第2不純物領域7の表層部に形成されている。一方の第2ウェル領域72は第1ウェル領域71から第1方向Xの一方側に間隔を空けて形成され、他方の第2ウェル領域72は第1ウェル領域71から第1方向Xの他方側に間隔を空けて形成されている。
【0065】
ドレイン領域73は、第1ウェル領域71の周縁から内方に間隔を空けて第1ウェル領域71の表層部に形成されている。複数のソース領域74は、対応する第2ウェル領域72の周縁から内方に間隔を空けて対応する第2ウェル領域72の表層部にそれぞれ形成されている。複数のチャネル領域75は、対応する第2ウェル領域72の表層部において第2不純物領域7とソース領域74の間にそれぞれ形成される。複数のコンタクト領域76は、対応する第2ウェル領域72の周縁から内方に間隔を空けて対応する第2ウェル領域72の表層部にそれぞれ形成されている。複数のコンタクト領域76は、対応するソース領域74に隣り合っている。
【0066】
複数のプレーナゲート構造77は、対応するチャネル領域75を被覆するように第1主面3の上にそれぞれ形成され、対応するチャネル領域75のオンオフを制御する。複数のプレーナゲート構造77は、この実施形態では、第1ウェル領域71および対応するソース領域74に跨るようにそれぞれ形成されている。
【0067】
複数のプレーナゲート構造77は、第1主面3側からこの順に積層されたゲート絶縁膜78およびゲート電極79を含む。ゲート絶縁膜78は、酸化シリコン(SiO2)を含んでいてもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)膜を含んでいてもよい。ゲート絶縁膜78は、半導体チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。ゲート電極79は、ポリシリコンを含むことが好ましい。ゲート電極79は、ポリシリコン内に形成されたn型領域およびp型領域のいずれか一方または双方を含んでいてもよい。
【0068】
図3を参照して、半導体装置1Aは、第1主面3に形成された複数の第3トレンチ構造80を含む。
図2では、第3トレンチ構造80の図示が省略されている。複数の第3トレンチ構造80は、STI構造と称してもよい。複数の第3トレンチ構造80は、この実施形態では、ドレイン領域73を他の領域から区画し、複数の第2ウェル領域72の外縁部を他の領域から区画するように互いに間隔を空けて形成されている。
【0069】
複数の第3トレンチ構造80は、この実施形態では、埋め込み領域8から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。つまり、複数の第3トレンチ構造80は、第2不純物領域7の厚さ範囲に形成されている。
【0070】
各第3トレンチ構造80は、シャロートレンチ81および埋め込み絶縁体82を含む。シャロートレンチ81は、第1主面3から第2主面4に向けて掘り下がっている。埋め込み絶縁体82は、シャロートレンチ81に埋め込まれている。埋め込み絶縁体82は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0071】
アクティブ領域11において、ドレイン領域73にはドレインコンタクト電極83を介してドレイン電位V
Dが付与される。
図3では、ドレインコンタクト電極83が矢印によって簡略化して示されている。ドレイン電位V
Dは、アクティブ領域11における正のデバイス電位である。ソース領域74にはソースコンタクト電極84を介してドレイン電位V
D未満のソース電位V
Sが付与される。
図3では、ソースコンタクト電極84が矢印によって簡略化して示されている。ゲート電極79にはゲートコンタクト電極85を介してゲート電位V
Gが付与される。
図3では、ゲートコンタクト電極85が矢印によって簡略化して示されている。
【0072】
埋め込み導電体17には、コンタクト電極91を介して第1電位V
1が付与される。
図3では、コンタクト電極91が矢印によって簡略化して示されている。埋め込み導電体17に付与された第1電位V
1は、埋め込み導電体17を介して高濃度領域6aに付与される。これにより、高濃度領域6aが埋め込み導電体17と同電位に固定される。第1電位V
1は、ドレイン電位V
D以下(好ましくはドレイン電位V
D未満)の電位であることが好ましい。つまり、第1電位V
1は、最大のデバイス電位未満であることが好ましい。第1電位V
1は、回路動作の基準となる基準電位、または、グランド電位であってもよい。第1電位V
1は、グランド電位であることが好ましい。
【0073】
半導体チップ2内において第1トレンチ構造13とアクティブ領域11との間に区画された領域には、第2コンタクト電極92を介して第2電位V
2が付与される。
図3および
図4では、第2コンタクト電極92が矢印によって簡略化して示されている。第2電位V
2は、ドレイン電位V
D以下(好ましくはドレイン電位V
D未満)の電位であることが好ましい。第2電位V
2は、最大のデバイス電位未満であることが好ましい。第2電位V
2は、第1電位V
1以上(V
1≦V
2)であってよい。第2電位V
2は、第1電位V
1を超えていてもよい(V
1<V
2)。第2電位V
2は、基準電位またはグランド電位であってもよい。
【0074】
図5A~
図5Mは、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1Aの製造工程を説明するための図であり、
図4に対応する部分の縦断面図である。
【0075】
図5Aを参照して、半導体装置1Aを製造するには、半導体チップ2のベースになる半導体ウエハ100が用意される。半導体ウエハ100は、表面101を有している。半導体ウエハ100は、第1不純物領域6、第2不純物領域7および埋め込み領域8を含む。第1不純物領域6は、高濃度領域6aおよび低濃度領域6bを含む。高濃度領域6aはp型の半導体基板からなる。低濃度領域6bは、エピタキシャル成長法によって、半導体基板の上に積層されたp型のエピタキシャル層からなる。
【0076】
次に、
図5Bを参照して、半導体ウエハ100の表面101に、第1マスク102および第2マスク103がこの順で積層される。第1マスク102はシリコン窒化膜であってもよい。第1マスク102は、CVD法によって形成されていてもよい。第2マスク103は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよい。第2マスク103は、CVD法によって形成されていてもよい。エッチング法によって、第1マスク102および第2マスク103が選択的に除去されることにより、第1マスク102および第2マスク103が第1ハードマスク104になる。第1ハードマスク104は、表面101において第1トレンチ105を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
【0077】
次に、第1ハードマスク104を介するエッチング法によって、半導体ウエハ100が選択的に除去される。これにより、半導体ウエハ100の表面101に第1トレンチ105が形成される(第1工程)。第1トレンチ105は、第2不純物領域7、埋め込み領域8および低濃度領域6bを貫通し、高濃度領域6aを露出させている。第1トレンチ105は、断面視において、底部から表面101に向かって幅が大きくなるテーパ状に形成されている。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。
【0078】
次に、
図5Cを参照して、埋め込み導電体17のベースとなるポリシリコン材料106が、第1マスク102および第2マスク103を介して表面101上に堆積される。この実施形態では、ポリシリコン材料106は、p型(第1導電型)不純物が添加されたドープトポリシリコンを含む。ポリシリコン材料106の堆積は、第1トレンチ105が埋め尽くされるまで続けられる。ポリシリコン材料106の堆積は、CVD法によって行われてもよい。
【0079】
次に、
図5Dを参照して、堆積したポリシリコン材料106の不要な部分が除去される。この工程は、研削法によって第2マスク103が露出するまで、ポリシリコン材料106を除去する工程を含む。研削法は、CMP(chemical mechanical polishing)法であってもよい。これにより、第1トレンチ105内に残存するポリシリコン材料106によって、埋め込み導電体17が形成される(第2工程)。むろん、この工程において、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)が採用されてもよい。
【0080】
次に、
図5Eを参照して、第2マスク103がエッチング法(ウエットエッチング法)によって除去される。これにより、第1マスク102が露出する。
【0081】
次に、第1マスク102および埋め込み導電体17の上に、第3マスク107が積層される。第3マスク107は、酸化シリコン(SiO2)であってもよい。第3マスク107は、CVD法によって形成されていてもよい。
【0082】
次に、
図5Fを参照して、エッチング法によって、第1マスク102および第3マスク107が選択的に除去されることにより、第1マスク102および第3マスク107が第3ハードマスク108になる。第3ハードマスク108は、表面101において第2トレンチ109および第3トレンチ110を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
【0083】
次に、
図5Gを参照して、第3ハードマスク108を介するエッチング法によって、半導体ウエハ100が選択的に除去される。これにより、半導体ウエハ100の表面101において、埋め込み導電体17の側方に、第2トレンチ109および第3トレンチ110が形成される(第3工程)。エッチング法は、ドライエッチング法であってもよい。
【0084】
第2トレンチ109および第3トレンチ110は、断面視において、底部から表面101に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている。第2トレンチ109および第3トレンチ110は、第1トレンチ105よりも浅い深さに形成されている。エッチング法におけるエッチング温度およびエッチング法におけるエッチングガスの流量の少なくとも一方を調整することにより、第2トレンチ109および第3トレンチ110は、底部から表面101に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成される。
【0085】
第2トレンチ109は、第1側面109aと、第2側面109bと、底面109cとを含む。第1側面109aは、埋め込み導電体17の側壁36の上部分で形成されている。第1側面109aは、底面109cから開口部109dに向かうに従って第2側面109b側に接近する傾斜面(半導体ウエハ100の表面101に対する傾斜面)に形成されている。埋め込み導電体17の側壁36は、第1側面109aに露出している。
【0086】
第2側面109bは、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに形成されている。第2側面109bは、底面109cから開口部109dに向かうに従って第1側面109a側に接近する傾斜面(半導体ウエハ100の表面101に対する傾斜面)に形成されている。底面109cは、高濃度領域6aに形成されている。底面109cは、断面視において第2主面4側に膨らむラウンド形状を有している。
【0087】
第3トレンチ110は、第1側面110aと、第2側面110bと、底面110cとを含む。第1側面110aは、埋め込み導電体17の側壁37の上部分で形成されている。第1側面110aは、底面110cから開口部110dに向かうに従って第2側面110b側に接近する傾斜面(半導体ウエハ100の表面101に対する傾斜面)に形成されている。埋め込み導電体17の側壁37は、第1側面110aに露出している。
【0088】
第2側面110bは、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに形成されている。第2側面110bは、底面110cから開口部110dに向かうに従って第1側面110a側に接近する傾斜面(半導体ウエハ100の表面101に対する傾斜面)に形成されている。底面110cは、高濃度領域6aに形成されている。底面110cは、断面視において第2主面4側に膨らむラウンド形状を有している。
【0089】
次に、
図5Hを参照して、第1絶縁膜41,51、第2絶縁膜42,52、第3絶縁膜43,53および上部絶縁膜44,54のベースとなる第1絶縁材料111が、第3ハードマスク108を介して表面101上に堆積される。第1絶縁材料111は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。第1絶縁材料111の堆積は、第2トレンチ109の開口部109dおよび第3トレンチ110の開口部110dが埋め尽くされるまで続けられる。この実施形態では、第1絶縁材料111の堆積は、CVD法によって行われてもよい。
【0090】
第2トレンチ109において、第2トレンチ109の深さ方向の途中部の幅が、第2トレンチ109の開口部109dの幅よりも広い。そのため、第1絶縁材料111によって、第2トレンチ109の内部空間の全域を埋め尽くすことはできない。ゆえに、断面視において第2トレンチ109の内部空間の中央部に、エアギャップAG1が形成される。第2トレンチ109の第1側面109a、第2側面109bおよび底面109cは、第1絶縁材料111によって被覆される。また、第2トレンチ109の開口部109dは、第1絶縁材料111によって埋められる。
【0091】
同様に、第3トレンチ110において、第3トレンチ110の深さ方向の途中部の幅が、第3トレンチ110の開口部110dの幅よりも広い。そのため、第1絶縁材料111によって、第3トレンチ110の内部空間の全域を埋め尽くすことはできない。ゆえに、断面視において第3トレンチ110の内部空間の中央部に、エアギャップAG2が形成される。第3トレンチ110の第1側面110a、第2側面110bおよび底面110cは、第1絶縁材料111によって被覆される。第3トレンチ110の開口部110dは、第1絶縁材料111によって埋められる。
【0092】
次に、
図5Iを参照して、堆積した第1絶縁材料111の不要な部分が除去される。この工程は、研削法によって第1マスク102が露出するまで、第1絶縁材料111および第3ハードマスク108を除去する工程を含む。研削法は、CMP(chemical mechanical polishing)法であってもよい。むろん、この工程において、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)が採用されてもよい。
【0093】
第1側面109a、第2側面109bおよび底面109cを被覆する第1絶縁材料111、ならびに開口部109dに埋められた第1絶縁材料111が、それぞれ、第1絶縁膜41、第2絶縁膜42、第3絶縁膜43および上部絶縁膜44になる。これにより、エアギャップAG1を挟んで対向する第1絶縁膜41および第2絶縁膜42が形成される(第4工程)。
【0094】
また、第1側面110a、第2側面110bおよび底面110cを被覆する第1絶縁材料111、ならびに開口部110dに埋められた第1絶縁材料111が、それぞれ、第1絶縁膜51、第2絶縁膜52、第3絶縁膜53および上部絶縁膜54になる。これにより、エアギャップAG2を挟んで対向する第1絶縁膜51および第2絶縁膜52が形成される(第4工程)。
【0095】
第1トレンチ105、第2トレンチ109および第3トレンチ(第2トレンチ)110によって、トレンチ16が形成される。第2トレンチ109の第2側面109bおよび底面109cは、それぞれ、トレンチ16の第1側面21および第1側部底面26になる。第3トレンチ110の第2側面110bおよび底面110cは、それぞれ、トレンチ16の第2側面22および第2側部底面27になる。第1トレンチ105において、第2トレンチ109の底面109cおよび第3トレンチ110の底面110cよりも深い部分は、トレンチ16の中央底面28になる。
【0096】
次に、
図5Jを参照して、エッチング法によって、半導体ウエハ100の表面101から第1マスク102が除去される。
【0097】
次に、
図5Kを参照して、半導体ウエハ100の表面101、上部絶縁膜44,54および埋め込み導電体17の上に、第4マスク112が積層される。第4マスク112は、表面101においてシャロートレンチ62を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
【0098】
次に、
図5Kを参照して、第4マスク112を介するエッチング法によって、半導体ウエハ100、上部絶縁膜44,54および埋め込み導電体17がそれぞれ選択的に除去される。これにより、複数のシャロートレンチ62が形成される。その後、第4マスク112は、除去されてもよい。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。
【0099】
次に、
図5Lを参照して、埋め込み絶縁体63のベースとなる第2絶縁材料113が、表面101上に形成される。第2絶縁材料113は第1絶縁材料111と同じであってもよい。第2絶縁材料113は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。第2絶縁材料113の堆積は、シャロートレンチ62が埋め尽くされるまで続けられる。第2絶縁材料113の堆積は、CVD法によって行われてもよい。
【0100】
次に、
図5Mを参照して、第2絶縁材料113の不要な部分が除去される。この工程では、表面101が露出するまで、第2絶縁材料113が研削法によって除去される。研削法は、CMP(chemical mechanical polishing)法であってもよい。これにより、シャロートレンチ62に残存する第2絶縁材料113によって、埋め込み絶縁体63が形成される。むろん、この工程において、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)が採用されてもよい。
【0101】
また、半導体ウエハ100の表面101には、MISFETセル70等の機能デバイスが形成される。これにより、半導体ウエハ100の表面101にアクティブ領域11が形成される。以上を含む工程によって、半導体装置1Aが形成される。
【0102】
本開示の第1実施形態に係る半導体装置1Aによれば、素子分離部12に含まれる第1トレンチ構造13が、トレンチ16と、トレンチ16内に埋め込まれた埋め込み導電体17とを含む。トレンチ16内において、トレンチ16の側面21,22に形成された第1絶縁膜41,51と、埋め込み導電体17の側壁36,37を被覆する第2絶縁膜42,52とが、エアギャップAG1,AG2を挟んで形成されている。これにより、埋め込み導電体17を、第1絶縁膜41,51および第2絶縁膜42,52によって、アクティブ領域11から良好に電気的に絶縁できる。
【0103】
また、エアギャップAG1,AG2が、第1主面3に沿う横方向において、埋め込み領域8と埋め込み導電体17との間に挟まれて形成されている。トレンチ16の側面21,22において、埋め込み領域8と埋め込み導電体17との間の部分に電界集中が生じると、半導体装置1Aの耐圧が低下するおそれがある。エアギャップAG1,AG2が、埋め込み領域8と埋め込み導電体17との間に挟まれて形成されている。これにより、電界集中を緩和できる。以上により、半導体チップ2の第1主面3に沿う横方向における耐圧を向上できる。
【0104】
また、埋め込み導電体17と、第1絶縁膜41,51および第2絶縁膜42,52とを同じトレンチ16内に形成するので、第1絶縁膜41,51と第2絶縁膜42,52とを互いに別のトレンチ内に形成する場合と比較して、第1トレンチ構造13の幅を狭くすることができる。これにより、半導体装置1Aの小型化を図ることができる。
【0105】
たとえば特許文献1のように、導電性の埋め込み体(ポリシリコン)を、トレンチの側面を被覆する絶縁膜を挟んでトレンチ内に埋め込むことが知られている。この場合、トレンチの側壁において、導電性の埋め込み体との間に形成される絶縁膜の厚みを厚くすることにより、上記の電界集中の緩和を図ることが考えられる。しかし、この場合は、絶縁膜の厚みを厚くするために、絶縁膜に応力の逃げ道がない。そのため、絶縁膜に結晶欠陥が発生するおそれがある。
【0106】
これに対し、この実施形態では、第1絶縁膜41,51と第2絶縁膜42,52とが、それぞれエアギャップAG1,AG2を挟んで形成されているので、絶縁膜41,42,51,52に生じた応力をエアギャップAG1,AG2に逃がすことができる。これにより、絶縁膜41,42,51,52における結晶欠陥の発生を防止できる。ゆえに、結晶欠陥の発生を防止しながら、上記の電界集中の緩和を図ることができる。
【0107】
図6は、
図4に対応する図であって、本開示の第2実施形態に係る半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。第2実施形態では、第1実施形態と主に異なる部分のみを説明し、今まで説明した構成と同じ構成には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0108】
第2実施形態に係る素子分離部12は、第1トレンチ構造13に代えて、第1トレンチ構造114を含む。第1トレンチ構造114は、トレンチ115と、第1絶縁部116と、第2絶縁部117とを含む。埋め込み導電体17は、トレンチ115内に埋め込まれている。
【0109】
トレンチ115は、アクティブ領域11側の第1側面(側面、一方側の側面)118と、アクティブ領域11側と反対側の第2側面(側面、他方側の側面)119と、底面120を備えている。第1側面118および第2側面119は、断面視において、トレンチ115の外側に凸のアーチ状に形成されている。主としてこの点において、トレンチ115はトレンチ16と相違している。
【0110】
トレンチ115は、開口端118a,119aにおいて、第6幅W6を有している。第6幅W6は、平面視でトレンチ115が延びる方向に直交する方向の幅である。第6幅W6は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第6幅W6は、2μm以上4μm以下であることが好ましい。
【0111】
トレンチ115の第1側面118は、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに跨って形成されている。第1側面118は、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに接している。第1側面118は、断面視において、トレンチ115の外側(アクティブ領域11側)に凸のアーチ状に形成されている。別の言い方では、第1側面118は、断面視において、開口端118aよりもトレンチ115の深さ方向の途中部が、トレンチ115の外側(アクティブ領域11側)に凸となるような形状である。第1側面118の頂部118pは、トレンチ115の深さ方向の中央部に形成されている。第1側面118の頂部118pは、埋め込み領域8と埋め込み導電体17との間に挟まれている。
【0112】
トレンチ115の第2側面119は、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに跨って形成されている。第2側面119は、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに接している。第2側面119は、断面視において、トレンチ115の外側(アクティブ領域11側と反対側)に凸のアーチ状に形成されている。別の言い方では、第2側面119は、断面視において、開口端119aよりもトレンチ115の深さ方向の途中部が、トレンチ115の外側(アクティブ領域11側と反対側)に凸となるような形状である。第2側面119の頂部119pは、トレンチ115の深さ方向の中央部に形成されている。第2側面119の頂部119pは、埋め込み領域8と埋め込み導電体17との間に挟まれている。
【0113】
底面120は、第1底面121と、第2底面122と、中央底面28とを含む。中央底面28は、第1底面121と第2底面122とを接続する。第1底面121は、中央底面28に対し、アクティブ領域11側に形成されている。第2底面122は、中央底面28に対し、第1底面121と反対側に形成されている。第1底面121および第2底面122は、平面視でトレンチ115が延びる方向に直交する方向に中央底面28を挟んでいる。
【0114】
第1底面121は、トレンチ115が延びる方向に沿って延びている。第1底面121は、高濃度領域6aに形成されている。第1底面121は、高濃度領域6aに接している。第1底面121は、第1主面3に平行な平坦面を有していてもよい。第1底面121は、断面視において第2主面4側に膨らむラウンド形状を有していてもよい。第1底面121の幅は、中央底面28の溝幅よりも狭い。
【0115】
第2底面122は、トレンチ115が延びる方向に沿って延びている。第2底面122は、高濃度領域6aに形成されている。第2底面122は、高濃度領域6aに接している。第2底面122は、第1主面3に平行な平坦面を有していてもよい。第2底面122は、断面視において第2主面4側に膨らむラウンド形状を有していてもよい。第2底面122の幅は、中央底面28の溝幅よりも狭い。第2底面122は、第1底面121と、同じ深さ位置にある。
【0116】
第1トレンチ構造114は、第1絶縁部116を含む。第1絶縁部116は、トレンチ115内で、埋め込み導電体17と、トレンチ115の第1側面118とを絶縁する。第1絶縁部116は、第1絶縁膜123と、第2絶縁膜42と、第3絶縁膜124と、上部絶縁膜44と、エアギャップAG3とを含む。第1絶縁部116によって、埋め込み導電体17と、第1トレンチ構造114に対しアクティブ領域11側の領域とが、電気的に絶縁されている。
【0117】
第1絶縁部116は、第1絶縁膜41および第3絶縁膜43に代えて、それぞれ第1絶縁膜123および第3絶縁膜124を含む点において、第1絶縁部18と相違している。
【0118】
第1絶縁膜123は、トレンチ115の第1側面118に形成されている。第1絶縁膜123は、トレンチ115の第1側面118を被覆している。第1絶縁膜123は、第1側面118に沿う形状である。すなわち、第1絶縁膜123は、断面視において、トレンチ115の外側(アクティブ領域11側)に凸のアーチ状に形成されている。第1絶縁膜123は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0119】
第3絶縁膜124は、トレンチ115の第1底面121を被覆している。第3絶縁膜124は、第1主面3に平行な平坦状である。第3絶縁膜124は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
図6の例では、第3絶縁膜124の内端125(アクティブ領域11側と反対側の端部)は、中央底面28の第1溝側面31よりも内側(アクティブ領域11側と反対側)に位置している。内端125は、埋め込み導電体17の第1側壁36に形成された段部46に嵌っている。
【0120】
上部絶縁膜44は、トレンチ115の上部115aにおいて、第1絶縁膜123と第2絶縁膜42とを接続する。
【0121】
エアギャップAG3は、第1絶縁膜123、第2絶縁膜42、第3絶縁膜124および上部絶縁膜44によって区画された密閉空間であり、内部に空気(air)を収容している。エアギャップAG3は、平面視でトレンチ115が延びる方向に直交する方向に挟んでいる。別の言い方では、第2絶縁膜42は、第1絶縁膜123からトレンチ115の内側(アクティブ領域11側と反対側)にエアギャップAG3を挟んで形成されている。
【0122】
エアギャップAG3は、埋め込み導電体17と、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aとの間に挟まれて形成されている。具体的には、エアギャップAG3は、埋め込み導電体17と埋め込み領域8との間に挟まれている。エアギャップAG3は、埋め込み導電体17と低濃度領域6bとの間に挟まれている。
【0123】
エアギャップAG3は、断面視で外側(アクティブ領域11側)に凸の略半円筒状に形成されている。エアギャップAG3は、平面視でトレンチ115が延びる方向に直交する方向に挟んでいる。別の言い方では、第2絶縁膜42は、第1絶縁膜123からトレンチ115の内側(アクティブ領域11側と反対側)にエアギャップAG3を挟んで形成されている。エアギャップAG3は、第7幅W7を有している。第7幅W7は、頂部118pに対応する深さ位置において、平面視においてトレンチ115が延びる方向に直交する方向の幅である。第7幅W7は、トレンチ115の深さの1/300倍~1/2倍の大きさであってもよい。
【0124】
この実施形態では、エアギャップAG3は、埋め込み導電体17と埋め込み領域8との間に挟まれている。この実施形態では、エアギャップAG3は、埋め込み導電体17と低濃度領域6bとの間に挟まれている。
【0125】
図6の例では、エアギャップAG3の上端126と第1主面3との間の距離が、エアギャップAG3の上端126と、埋め込み領域8と第2不純物領域7との境界部分9Aとの間の距離よりも短い。上端126と第1主面3との間の距離が、上端126と境界部分9Aとの間の距離よりも長くてもよい。
【0126】
前述のように、第1トレンチ構造114は、第2絶縁部117を含む。第2絶縁部117は、トレンチ115内で、埋め込み導電体17と、トレンチ115の第2側面119とを絶縁する。第2絶縁部117は、第1絶縁膜127と、第2絶縁膜52と、第3絶縁膜128と、上部絶縁膜54と、エアギャップAG4とを含む。第2絶縁部117によって、埋め込み導電体17と、第1トレンチ構造114に対しアクティブ領域11側と反対側の領域とが、電気的に絶縁されている。
【0127】
第2絶縁部117は、第1絶縁膜51および第3絶縁膜53に代えて、それぞれ第1絶縁膜127および第3絶縁膜128を含む点において、第2絶縁部19と相違している。
【0128】
第1絶縁膜127は、トレンチ115の第2側面119に形成されている。第1絶縁膜127は、トレンチ115の第2側面119を被覆している。第1絶縁膜127は、第2側面119に沿う形状である。すなわち、第1絶縁膜127は、断面視において、トレンチ115の外側(アクティブ領域11側と反対側)に凸のアーチ状に形成されている。第1絶縁膜123は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0129】
第3絶縁膜128は、トレンチ115の第2底面122を被覆している。第3絶縁膜128は、第1主面3に平行な平坦状である。第3絶縁膜128は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
図6の例では、第3絶縁膜128の内端129(アクティブ領域11側の端部)は、中央底面28の第2溝側面32よりも内側(アクティブ領域11側)に位置している。埋め込み導電体17の第2側壁37には、上部分37aと下部分37bとを区画する段部56が形成されている。内端129が段部56に嵌っている。
【0130】
上部絶縁膜54は、トレンチ115の上部115aにおいて、第1絶縁膜127と第2絶縁膜52とを接続する。
【0131】
エアギャップAG4は、第1絶縁膜127、第2絶縁膜52、第3絶縁膜128および上部絶縁膜54によって区画された密閉空間であり、内部に空気(air)を収容している。エアギャップAG4は、平面視でトレンチ115が延びる方向に直交する方向に挟んでいる。別の言い方では、第2絶縁膜52は、第1絶縁膜127からトレンチ115の内側(アクティブ領域11側)にエアギャップAG4を挟んで形成されている。エアギャップAG4は、第8幅W8を有している。第8幅W8は、頂部118pに対応する深さ位置において、平面視においてトレンチ115が延びる方向に直交する方向の幅である。第8幅W8は、トレンチ115の深さの1/300倍~1/2倍の大きさであってもよい。
【0132】
エアギャップAG4は、埋め込み導電体17と、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aとの間に挟まれて形成されている。具体的には、エアギャップAG4は、埋め込み導電体17と埋め込み領域8との間に挟まれている。エアギャップAG4は、埋め込み導電体17と低濃度領域6bとの間に挟まれている。
【0133】
図6の例では、エアギャップAG4の上端130と第1主面3との間の距離が、エアギャップAG4の上端130と、埋め込み領域8と第2不純物領域7との境界部分9Aとの間の距離よりも短い。上端130と第1主面3との間の距離が、上端130と境界部分9Aとの間の距離よりも長くてもよい。
【0134】
図6の例では、エアギャップAG4の下端131が埋め込み領域8と第1不純物領域6との境界部分9Bよりも第2主面4側に位置している。この実施形態では、エアギャップAG4の下端131が、低濃度領域6bと高濃度領域6aとの境界部分9Cよりも第2主面4側に位置している。境界部分9Cからの下端131の突出量は、境界部分9Cからの下端132の突出量と同じである。エアギャップAG4の下端131は、埋め込み導電体17の底壁38よりも第1主面3側に位置している。
【0135】
図7A~
図7Dは、本開示の第2実施形態に係る半導体装置1Bの製造工程を説明するための図であり、
図6に対応する部分の縦断面図である。
【0136】
半導体装置1Bの製造工程は、半導体装置1Aの製造工程と一部共通している。半導体装置1Bの製造工程においては、まず、半導体装置1Aの製造工程のうち
図5A~
図5Fに示す工程が行われる。
図5A~
図5Fに示す工程の説明は既に終了しているので、これらの工程の説明を省略する。
【0137】
図5A~
図5Fに示す工程の後、
図7Aを参照して、第3ハードマスク108は、表面101において第2トレンチ133および第3トレンチ134を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。第3ハードマスク108を介するエッチング法によって、半導体ウエハ100が選択的に除去される。これにより、半導体ウエハ100の表面101において、埋め込み導電体17の側方に、第2トレンチ133および第3トレンチ134が形成される(第3工程)。エッチング法は、ドライエッチング法であってもよい。
【0138】
第2トレンチ133および第3トレンチ(第2トレンチ)134は、第1トレンチ105よりも浅い深さに形成されている。
【0139】
第2トレンチ133は、第1側面133aと、第2側面133bと、底面133cとを含む。第1側面133aは、埋め込み導電体17の側壁36の上部分で形成されている。第1側面133aは、底面133cから開口部133dに向かうに従って第2側面133b側に接近する傾斜面(半導体ウエハ100の表面101に対する傾斜面)に形成されている。埋め込み導電体17の側壁36は、第1側面133aに露出している。
【0140】
第2側面133bは、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに形成されている。第2側面133bは、断面視において、埋め込み導電体17側と反対側に凸のアーチ状に形成されている。底面133cは、高濃度領域6aに形成されている。底面133cは、第1主面3に平行な平坦面を有していてもよい。
【0141】
第3トレンチ134は、第1側面134aと、第2側面134bと、底面134cとを含む。第1側面134aは、埋め込み導電体17の側壁37の上部分で形成されている。第1側面134aは、底面134cから開口部134dに向かうに従って第2側面134b側に接近する傾斜面(半導体ウエハ100の表面101に対する傾斜面)に形成されている。埋め込み導電体17の側壁36は、第1側面134aに露出している。
【0142】
第2側面134bは、第2不純物領域7、埋め込み領域8、低濃度領域6bおよび高濃度領域6aに形成されている。第2側面134bは、断面視において、埋め込み導電体17側と反対側に凸のアーチ状に形成されている。底面134cは、高濃度領域6aに形成されている。底面134cは、第1主面3に平行な平坦面を有していてもよい。
【0143】
次に、
図7Bを参照して、第1絶縁膜123,127、第2絶縁膜42,52、第3絶縁膜124,128および上部絶縁膜44,54のベースとなる第1絶縁材料111が、第1マスク102および第3マスク107を含む第3ハードマスク108を介して表面101上に堆積される。第1絶縁材料111は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。第1絶縁材料111の堆積は、第3トレンチ134の開口部133dおよび第3トレンチ134の開口部134dが埋め尽くされるまで続けられる。この実施形態では、第1絶縁材料111の堆積は、CVD法によって行われてもよい。
【0144】
第2トレンチ133において、第2トレンチ133の深さ方向の途中部の幅が、第2トレンチ133の開口部133dの幅よりも広い。そのため、第1絶縁材料111によって、第2トレンチ133の内部空間の全域を埋め尽くすことはできない。ゆえに、断面視において第2トレンチ133の内部空間の中央部に、エアギャップAG3が形成される。第2トレンチ133の第1側面133a、第2側面133bおよび底面133cは、第1絶縁材料111によって被覆される。また、第2トレンチ133の開口部133dは、第1絶縁材料111によって埋められる。
【0145】
同様に、第3トレンチ134において、第3トレンチ134の深さ方向の途中部の幅が、第3トレンチ134の開口部134dの幅よりも広い。そのため、第1絶縁材料111によって、第3トレンチ134の内部空間の全域を埋め尽くすことはできない。ゆえに、断面視において第3トレンチ134の内部空間の中央部に、エアギャップAG4が形成される。第3トレンチ134の第1側面134a、第2側面134bおよび底面134cは、第1絶縁材料111によって被覆される。また、第3トレンチ134の開口部134dは、第1絶縁材料111によって埋められる。
【0146】
次に、
図7Cを参照して、堆積した第1絶縁材料111の不要な部分が除去される。この工程は、研削法によって第1マスク102が露出するまで、第1絶縁材料111および第3ハードマスク108を除去する工程を含む。研削法は、CMP(chemical mechanical polishing)法であってもよい。むろん、この工程において、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)が採用されてもよい。
【0147】
第1側面133a、第2側面133bおよび底面133cを被覆する第1絶縁材料111、ならびに開口部133dに埋められた第1絶縁材料111が、それぞれ、第1絶縁膜123、第2絶縁膜42、第3絶縁膜124および上部絶縁膜44になる。これにより、エアギャップAG3を挟んで対向する第1絶縁膜123および第2絶縁膜42が形成される(第4工程)。
【0148】
また、第1側面134a、第2側面134bおよび底面134cを被覆する第1絶縁材料111、ならびに開口部134dに埋められた第1絶縁材料111が、それぞれ、第1絶縁膜127、第2絶縁膜52、第3絶縁膜128および上部絶縁膜54になる。これにより、エアギャップAG4を挟んで対向する第1絶縁膜127および第2絶縁膜52が形成される(第4工程)。
【0149】
第1トレンチ105、第2トレンチ133および第3トレンチ(第2トレンチ)134によって、トレンチ115が形成される。第2トレンチ133の第2側面133bおよび底面133cは、それぞれ、トレンチ115の第1側面118および第1底面121になる。第3トレンチ134の第2側面134bおよび底面134cは、それぞれ、トレンチ115の第2側面119および第2底面122になる。第1トレンチ105において、第2トレンチ133の底面133cおよび第3トレンチ134の底面134cよりも深い部分は、トレンチ115の中央底面28になる。
【0150】
その後の工程は、
図5J~
図5Lに示す工程と同じである。
図5J~
図5Lに示す工程の説明は既に終了しているので、これらの工程の説明を省略する。
【0151】
図5J~
図5Lに示す工程の後、
図7Dを参照して、第2絶縁材料113の不要な部分が除去される。この工程では、半導体ウエハ100の表面101が露出するまで、第2絶縁材料113が研削法によって除去される。研削法は、CMP(chemical mechanical polishing)法であってもよい。これにより、シャロートレンチ62に残存する第2絶縁材料113によって、埋め込み絶縁体63が形成される。むろん、この工程において、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)が採用されてもよい。また、半導体ウエハ100の表面101には、MISFETセル70等の機能デバイスが形成される。これにより、半導体ウエハ100の表面101にアクティブ領域11が形成される。以上を含む工程によって、半導体装置1Bが形成される。
【0152】
本開示の第2実施形態に係る半導体装置1Bによれば、第1実施形態に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
【0153】
以上、本開示の第1~第2実施形態について説明したが、本開示はさらに他の形態で実施することもできる。
【0154】
たとえば、
図8に示す半導体装置1Cのように、埋め込み導電体17の底壁38が、トレンチ16の深さ方向に関し、エアギャップAG1,AG2の下端49,59よりも、第1主面3側に位置していてもよい。
【0155】
具体的には、底面23には、中央底面28に代えて第1主面3側に凸部135が形成されている。凸部135は、高濃度領域6aによって形成されている。凸部135は、第1主面3に沿う平坦面からなる上面136を有している。埋め込み導電体17の底壁38は、第2絶縁膜42,52の下端42a,52aよりも第1主面3側に位置している。また、埋め込み導電体17の底壁38は、エアギャップAG1,AG2の下端49,59よりも第1主面3側に位置している。凸部135は、第2絶縁膜42と第2絶縁膜52とによって、平面視でトレンチ16が延びる方向に直交する方向に挟まれている。凸部135の上面136が、埋め込み導電体17の底壁38と接している。これにより、埋め込み導電体17の高濃度領域6aへの電気的な接続が達成されている。
図8の変形例が、第2実施形態に係る半導体装置1Bに適用されてもよい。
【0156】
また、素子分離部12が、1つのアクティブ領域11を環状に取り囲んで、他の領域を区画するものとして説明したが、隣り合う2つのアクティブ領域11の境界を区画するものであってもよい。
【0157】
具体的には、
図9に示す半導体装置1Dのように、素子分離部12(第1トレンチ構造13)が、X方向に延びるライン状の第1部分137と、Y方向に延びるライン状の第2部分138とを含んでいてもよい。「ライン状」とは、
図9に示すような直線状に限られず、曲線状を含む意味であってもよい。素子分離部12は、第1部分137と第2部分138とが交差する交差部139を有していてもよい。交差部139は、十字状に交差する部分であってもよいし、T字状に交差する部分であってもよい。この場合、交差部139に含まれる第1トレンチ構造13のトレンチ16,115の深さは、他の部分(第1部分137および第2部分138のうち交差部139を除く部分)に含まれる第1トレンチ構造13のトレンチ16,115の深さに比べて深い。これは、交差部139におけるエッチングレートが、他の部分におけるエッチングレートよりも速いことが原因である。減の印である。エアギャップAG1,AG2,AG3,AG4の下端49,59,132,131の位置も、交差部139に含まれる第1トレンチ構造13の方が、他の部分よりも深い位置にある。
【0158】
また、第1トレンチ構造13に含まれる2つの絶縁部の組合せとして、第1絶縁部18および第2絶縁部117の組合せや、第1絶縁部116および第2絶縁部19の組合せを採用してもよい。
【0159】
また、素子分離部12が、1つのアクティブ領域11を環状に取り囲んで、他の領域を区画するものである場合、素子分離部12に含まれる第1トレンチ構造13,114において、第2絶縁部19,117を廃止してもよい。
【0160】
また、たとえば、半導体装置1A,1B,1C,1Dの各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、半導体装置1A,1B,1C,1Dにおいて、p型(第1導電型)の部分がn型であり、n型(第2導電型)の部分がp型であってもよい。
<第3~第5実施形態>
図10は、本開示の第3実施形態に係る半導体装置1Eの模式的な平面図である。
【0161】
図10を参照して、半導体装置1Eは、直方体形状の半導体チップ202を含む。半導体チップ202は、この実施形態では、Si(シリコン)チップからなる。半導体チップ202は、一方側の第1主面203、他方側の第2主面204、ならびに第1主面203および第2主面204を接続する第1~第4側面205A~205Dを有している。
【0162】
第1主面203および第2主面204は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。法線方向Zは、半導体チップ202の厚さ方向でもある。第1側面205Aおよび第2側面205Bは、第1主面203に沿う第1方向Xに延び、第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向している。第3側面205Cおよび第4側面205Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。
【0163】
半導体装置1Eは、第1主面203に形成された複数のデバイス領域210を含む。複数のデバイス領域210は、半導体チップ202の内側の領域を利用して種々の機能デバイスが形成された領域である。複数のデバイス領域210は、平面視において第1~第4側面205A~205Dから間隔を空けて第1主面203の内方部に区画されている。デバイス領域210の個数、配置および形状はいずれも任意であり、特定の個数、配置および形状に限定されない。
【0164】
複数の機能デバイスは、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。半導体スイッチングデバイスは、JFET(Junction Field Effect Transistor:接合型トランジスタ)、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型の電界効果トランジスタ)、BJT(Bipolar Junction Transistor:バイポーラトランジスタ)、および、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor:絶縁ゲート型のバイポーラトランジスタ)のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0165】
半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファストリカバリーダイオードのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。受動デバイスは、抵抗、コンデンサ、インダクタおよびヒューズのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。複数のデバイス領域210は、この実施形態では、少なくとも一つのアクティブ領域211を含む。
【0166】
アクティブ領域211は、複数のトランジスタ素子が形成される領域である。アクティブ領域211には、半導体装置1Eのソース-ドレイン間が導通状態のとき(オン時)に半導体チップ202の横方向に電流が流れる。アクティブ領域211は、平面視においてたとえば四角形である。
【0167】
【0168】
図12を参照して、半導体チップ202は、第2主面204側の領域に形成されたp型(第1導電型)の第1不純物領域206を含む。第1不純物領域206は、「ベース領域」と称してもよい。第1不純物領域206は、第2主面204に沿って層状に延び、第2主面204および第1~第4側面205A~205Dの一部から露出している。第1不純物領域206は、第1主面203側のp型不純物濃度が第2主面204側のp型不純物濃度よりも低い濃度勾配を有している。第1不純物領域206は、具体的には、第2主面204側からこの順に積層されたp型の高濃度領域206aおよびp型の低濃度領域206bを含む積層構造を有している。
【0169】
高濃度領域206aは、比較的高いp型不純物濃度を有している。高濃度領域206aのp型不純物濃度は、1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。高濃度領域206aは、p型不純物としてのホウ素(B)を含んでいてもよい。高濃度領域206aの厚さは、50μm以上500μm以下であってもよい。高濃度領域206aは、この実施形態では、p型の半導体基板(Si基板)からなる。
【0170】
低濃度領域206bは、高濃度領域206aよりも低いp型不純物濃度を有し、高濃度領域206aの上に積層されている。低濃度領域206bのp型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。低濃度領域206bは、p型不純物としてのホウ素(B)を含んでいてもよい。低濃度領域206bの厚さは、高濃度領域206aの厚さ未満であってもよい。低濃度領域206bの厚さは、1μm以上20μm以下であってもよい。低濃度領域206bは、この実施形態では、p型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0171】
半導体チップ202は、第1主面203側の領域に形成されたn型(第2導電型)の第2不純物領域207をさらに含む。第2不純物領域207は、第1主面203に沿って層状に延び、第1主面203および第1~第4側面205A~205Dの一部から露出している。第2不純物領域207のn型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。第2不純物領域207の厚さは、5μm以上30μm以下であってもよい。第2不純物領域207は、厚さ方向に一様なn型不純物濃度を有していてもよいし、第1主面203に向かってn型不純物濃度が上昇する濃度勾配を有していてもよい。第2不純物領域207は、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなっていてもよい。
【0172】
半導体チップ202は、第1不純物領域206と第2不純物領域207との間に埋め込まれたn型(第2導電型)の埋め込み領域208をさらに含む。他の言い方では、第1不純物領域206、埋め込み領域208および第2不純物領域207は、第2主面204側からこの順で積層されている。埋め込み領域208は、第1不純物領域206および第2不純物領域207に電気的に接続されている。埋め込み領域208は、第2不純物領域207に沿って層状に延びている。埋め込み領域208は、第1~第4側面205A~205Dの一部から露出している。埋め込み領域208のn型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。埋め込み領域208の厚さは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。埋め込み領域208は、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなっていてもよい。
【0173】
図11および
図12を参照して、半導体チップ202は、第1主面203側において形成され、アクティブ領域211を区画する素子分離部212を含む。この実施形態では、素子分離部212は、1つのアクティブ領域211を環状に取り囲んでいる。素子分離部212は、平面視において四角環状である。具体的には、素子分離部212は、平面視において円弧状に湾曲した角部(四隅)を有する四角環状である。
【0174】
素子分離部212は、少なくとも一つの第1トレンチ構造213、および少なくとも一つの第2トレンチ構造214を含むマルチトレンチ構造を有している。この実施形態では、素子分離部212は、単一の第1トレンチ構造213および単一の第2トレンチ構造214を含む。
【0175】
第1トレンチ構造213は、半導体チップ202の第1主面203側において、アクティブ領域211を区画するように形成されている。第1トレンチ構造213は、平面視において環状、具体的には、四角環状である。より具体的には、第1トレンチ構造213は、平面視において円弧状に湾曲した角部(四隅)を有する四角環状である。第1トレンチ構造213は、第1トレンチ215、第1絶縁膜216および埋め込み導電体217を含む。
【0176】
第1トレンチ215は、半導体チップ202の第1主面203側において、アクティブ領域211を区画するように形成されている。第1トレンチ215は、平面視において環状、具体的には、四角環状である。より具体的には、第1トレンチ215は、平面視において円弧状に湾曲した角部(四隅)を有している。第1トレンチ215の平面形状は、アクティブ領域211の平面形状に応じて適宜変更される。第1トレンチ215の平面形状が多角形、円形および楕円形であるときには、第1トレンチ215の平面形状は、それぞれ多角環状、円形環状および楕円環状であってもよい。
【0177】
図13を参照して、第1トレンチ215は、第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aを貫通するように第1主面203に形成され、第1トレンチ構造213の壁面を区画している。第1トレンチ215は、第3深さD
3を有している。第1トレンチ215は、第1不純物領域206に達するように埋め込み領域208を貫通している。具体的には、第1トレンチ215は、第1不純物領域206の高濃度領域206aに達するように第1主面203から第2主面204に向けて延び、埋め込み領域208および第1不純物領域206の低濃度領域206bを貫通している。第1トレンチ215は、断面視において第2主面204に向かって幅が小さくなるテーパ形状に形成されている。第1トレンチ215は、第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aから第2主面204に向かって第2突出量P
2で突出している。第2突出量P
2は、第1主面203と境界部分209Aとの間の距離Dを超えていてもよい(P
2>D)。第2突出量P
2が、第1主面203と境界部分209Aとの間の距離D以下であってもよい(P
2≦D)。
【0178】
第1トレンチ215は、互いに対向する一対の側面(内面)215a,215bと、一対の側面215a,215bを接続する底面(底部)215cとを含む。一対の側面215a,215bは、アクティブ領域211側の側面215aと、アクティブ領域211側と反対側の側面215bとを含む。この実施形態では、側面215aは、第1トレンチ215の内周面であり、側面215bは、第1トレンチ215の外周面である。側面215a,215bは、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに跨って形成されている。側面215a,215bは、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに接している。
【0179】
この実施形態では、底面215cは、第1主面203に平行な平坦面である。底面215cは、高濃度領域206aに形成されている。底面215cは、高濃度領域206aに接している。底面215cが、断面視において第2主面204側に膨らむラウンド形状を有していてもよい。
【0180】
第1トレンチ215は、第9幅W
9(
図11も併せて参照)を有している。第9幅W
9は、平面視において第1トレンチ215が延びる方向に直交する方向の幅(最大値)である。第9幅W
9は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第9幅W
9は、2μm以上4μm以下であることが好ましい。
【0181】
第1絶縁膜216は、第1トレンチ215の側面215a,215bを被覆している。第1絶縁膜216は、第1トレンチ215の底面215cにおいて開口216dを有している。具体的には、第1絶縁膜216は、第1トレンチ215の側面215aおよび側面215bにおいて、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに接している。開口216dは、第1トレンチ215の底面215cから第1不純物領域206の高濃度領域206aを露出させている。開口216dは、この実施形態では、平面視において第1トレンチ215に沿って延びる環状に形成されている。開口216dは、平面視において第1トレンチ215に沿って延びる有端帯状に形成されていてもよい。第1絶縁膜216は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0182】
埋め込み導電体217は、第1絶縁膜216を挟んで第1トレンチ215に埋められている。埋め込み導電体217は、ポリシリコンである。このポリシリコンは、この実施形態では、p型(第1導電型)不純物(たとえばボロン(B))が添加されたドープトポリシリコンである。埋め込み導電体217は、第1絶縁膜216によって第2不純物領域207および埋め込み領域208から電気的に絶縁されている。埋め込み導電体217は、第1トレンチ215の底面215c(第1絶縁膜216の開口216d)から露出した露出部を有している。この露出部において、埋め込み導電体217は、第1不純物領域206(高濃度領域206a)に機械的に接続されている。
【0183】
図11および
図12を参照して、第2トレンチ構造214は、平面視において第1トレンチ構造213からアクティブ領域211側に間隔を空けて形成され、第1トレンチ構造213に沿って帯状に延びている。別の言い方では、第2トレンチ構造214は、半導体チップ202の第1主面203側において、第1トレンチ構造213よりもアクティブ領域211側の領域に形成されている。第2トレンチ構造214は、平面視において環状、具体的には、四角環状である。より具体的には、第2トレンチ構造214は、平面視において円弧状に湾曲した角部(四隅)を有する四角環状である。第2トレンチ構造214は、第2トレンチ219と、第2トレンチ219の内面に形成された第2絶縁膜220とを含む。第2トレンチ構造214は、アクティブ領域211と、第1トレンチ構造213の埋め込み導電体217とを絶縁する。
【0184】
第2トレンチ219は、半導体チップ202の第1主面203側において、アクティブ領域211を区画している。この実施形態では、第2トレンチ219は、平面視において第1トレンチ215に対してほぼ平行に延びる環状(この実施形態では四角環状)に形成されている。具体的には、第2トレンチ219は、平面視において円弧状に湾曲した角部(四隅)を有する四角環状である。第2トレンチ219の平面形状は、アクティブ領域211の平面形状に応じて適宜変更される。アクティブ領域211の平面形状が多角形、円形および楕円形であるときには、第2トレンチ219の平面形状は、それぞれ多角環状、円形環状および楕円環状であってもよい。
【0185】
図13を参照して、第2トレンチ219は、第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aを貫通するように第1主面203に形成され、第2トレンチ構造214の壁面を区画している。第2トレンチ219は、第4深さD
4を有している。
図13の例では、第2トレンチ219の第4深さD
4は、第1トレンチ215の第3深さD
3未満である(D
4<D
3)。別の言い方では、第2トレンチ219の第4深さD
4は、第1トレンチ215の第3深さD
3と異なっている。第2トレンチ219は、第1不純物領域206に達するように埋め込み領域208を貫通している。具体的には、第2トレンチ219は、第1不純物領域206の高濃度領域206aに達するように第1主面203から第2主面204に向けて延び、埋め込み領域208および第1不純物領域206の低濃度領域206bを貫通している。第2トレンチ219は、断面視において次に述べる底面223から第1主面203に向かって幅が小さくなるテーパ形状に形成されている。第2トレンチ219の第4深さD
4は、第1トレンチ215の第3深さD
3より深くてもよい(D
4>D
3)。第2トレンチ219の第4深さD
4は、第1トレンチ215の第3深さD
3とほぼ同じでもよい(D
4≒D
3)。
【0186】
第2トレンチ219は、第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aから第2主面204に向けて第3突出量P3で突出している。第3突出量P3は、第1主面203と境界部分209Aとの間の距離Dを超えていてもよい(P3>D)。第3突出量P3が、第1主面203と境界部分209Aとの間の距離D以下であってもよい(P3≦D)。
【0187】
第2トレンチ219は、互いに対向する第1側面(内面)221および第2側面(内面)222と、第1側面221および第2側面222を接続する底面(内面、底部)223とを含む。第1側面221は、アクティブ領域211側の側面である。第2側面222は、アクティブ領域211側と反対側の側面である。この実施形態では、第1側面221は、第2トレンチ219の内周面であり、第2側面222は、第2トレンチ219の外周面である。
【0188】
第1側面221は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに跨って形成されている。第1側面221は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに接している。第1側面221は、第2主面204に向かうに従って第2トレンチ219の外側(アクティブ領域211側)に向かう傾斜面である。平面視で第2トレンチ219が延びる方向に直交する方向に関して、第1側面221の底部221bは、開口端221aよりも、第2トレンチ219の外側(アクティブ領域211側)に寄っている。
【0189】
第2側面222は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに跨って形成されている。第2側面222は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに接している。第2側面222は、第2主面204に向かうに従って第2トレンチ219の外側(アクティブ領域211側と反対側)に向かう傾斜面である。平面視で第2トレンチ219が延びる方向に直交する方向に関して、第2側面222の底部222bは、開口端222aよりも、外側(アクティブ領域211側と反対側)に寄っている。
【0190】
底面223は、高濃度領域206aに形成されている。底面223は、高濃度領域206aに接している。
図12および
図13の例では、底面223は、断面視において第2主面204側に膨らむラウンド形状を有している。底面223が、第1主面203に平行な平坦面であってもよい。
【0191】
第2トレンチ219は、開口端221a,222aにおいて、第10幅W
10(
図11も併せて参照)を有している。第10幅W
10は、平面視で第2トレンチ219が延びる方向に直交する方向の幅である。第10幅W
10は、第9幅W
9より狭い(W
10<W
9)。第10幅W
10は、0.05μm以上5μm以下であってもよい。第10幅W
10は、0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。第10幅W
10は、第9幅W
9とほぼ同じでもよいし(W
10≒W
9)、第9幅W
9より広くてもよい(W
10>W
9)。
【0192】
第2トレンチ219の底面223は、第11幅W11を有している。第11幅W11は、平面視で第2トレンチ219が延びる方向に直交する方向の幅である。第11幅W11は、第10幅W10よりも広い(W11>W10)。第11幅W11は、第9幅W9より狭い(W11<W9)。第11幅W11は、第9幅W9とほぼ同じでもよいし(W11≒W9)、第9幅W9より広くてもよい(W11>W9)。
【0193】
第2トレンチ219は、第1不純物領域206の高濃度領域206aに達していなくてもよい。この場合、第2トレンチ219は、第1不純物領域206の低濃度領域206bに達するように第1主面203から第2主面204に向けて延び、埋め込み領域208を貫通していてもよい。また、この場合、底面223は、低濃度領域206bに形成されていてもよい。
【0194】
第2絶縁膜220は、第2トレンチ219の内面に形成されている。第2トレンチ219の内部において、第2絶縁膜220によって中空のエアギャップAG5が区画されている。別の言い方では、第2絶縁膜220は、中空のエアギャップAG5が第2トレンチ219の内部に形成されるように、第2トレンチ219の内面に形成されている。中空のエアギャップAG5は、第2絶縁膜220により閉じられた閉空間であり、中空のエアギャップAG5の全体にわたって第2絶縁膜220の内面が露出している。第2絶縁膜220は、第1側面221を被覆する第1部分220aと、第2側面222を被覆する第2部分220bと、底面223を被覆する第3部分220cと、開口部219aに形成された第4部分220dとを含む。第1部分220aは、第1側面221において、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに接している。第2部分220bは、第2側面222において、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに接している。第3部分220cは、底面223において、高濃度領域206aに接している。第4部分220dは、開口部219aにおいて、第1部分220aと第2部分220bとを接続している。第4部分220dは、エアギャップAG5の上方において開口部219aを閉じている。第1部分220aと第2部分220bとは、第2トレンチ219の開口部219aにおいてのみ接続されている。
【0195】
エアギャップAG5は、第1部分220a、第2部分220b、第3部分220cおよび第4部分220dによって区画された空間であり、内部に空気(air)を含む。エアギャップAG5は、断面視において底面223から第1主面203に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている。第2絶縁膜220の第1部分220aおよび第2部分220bは、エアギャップAG5を、平面視で第2トレンチ219が延びる方向に直交する方向に挟んでいる。
【0196】
エアギャップAG5は、幅WAを有している。幅WAは、平面視において第2トレンチ219が延びる方向に直交する方向の最大幅である。幅WAは、第2トレンチ219の深さの0.001倍~1.0倍の大きさであってもよい。
【0197】
図13の例では、エアギャップAG5の上端224は、第2不純物領域207および埋め込み領域208の境界部分209Bに対し、第1主面203側に寄っている。エアギャップAG5の下端225は、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aの境界部分209Cに対し、第2主面204側に寄っている。
【0198】
具体的には、エアギャップAG5の上端224は、第5深さD
5を有している。第5深さD
5は、0.1μm~30μmである。
図13の例では、第5深さD
5が、エアギャップAG5の上端224と第2不純物領域207および埋め込み領域208の境界部分209Bとの間の距離よりも短い。第5深さD
5が、上端224と境界部分209Bとの間の距離以上であってもよい。また、エアギャップAG5の下端225が、第2トレンチ219の深さ方向に関し、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aの境界部分209Cと同じ位置か、あるいは境界部分209Cと第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aとの間に位置していてもよい。
【0199】
エアギャップAG5は、第1主面203に沿う横方向において、埋め込み領域208における第2トレンチ219に対しアクティブ領域211側の領域208Aと、埋め込み導電体217との間に挟まれている。別の言い方では、エアギャップAG5は、第1主面203に沿う横方向において、埋め込み領域208と埋め込み導電体217との間に挟まれて形成されている。また、エアギャップAG5は、第1主面203に沿う横方向において、低濃度領域206bにおける第2トレンチ219に対しアクティブ領域211側の領域と、埋め込み導電体217との間に挟まれている。
【0200】
図12および
図13を参照して、素子分離部212は、第1主面203に形成された第3トレンチ構造241をさらに含む。
図11では、第3トレンチ構造241の図示が省略されている(後述する
図19および
図21において同じ)。第3トレンチ構造241は、STI構造(shallow trench isolation structure)と称してもよい。
【0201】
第3トレンチ構造241は、埋め込み領域208から第1主面203側に間隔を空けて形成されている。つまり、第3トレンチ構造241は、第2不純物領域207の厚さ範囲に形成されている。第3トレンチ構造241は、平面視において第1トレンチ構造213に沿って延びている。この実施形態では、第3トレンチ構造241は、平面視において第1トレンチ構造213に沿って延びる環状(この実施形態では四角環状)に形成されている。
【0202】
図13を参照して、第3トレンチ構造241は、第1シャロートレンチ242および第1埋め込み絶縁体243を含む。第1シャロートレンチ242は、平面視において第1トレンチ215の第2側面215bに重なる位置に形成され、第2不純物領域207、第1絶縁膜216および埋め込み導電体217を露出させている。第1埋め込み絶縁体243は、第1シャロートレンチ242に埋められている。第1埋め込み絶縁体243は、第1シャロートレンチ242内において、第2不純物領域207、第1絶縁膜216および埋め込み導電体217に接している。第1埋め込み絶縁体243は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0203】
図12および
図13を参照して、素子分離部212は、第1主面203に形成された第4トレンチ構造246をさらに含む。
図11では、第4トレンチ構造246の図示が省略されている(後述する
図19および
図21において同じ)。第4トレンチ構造246は、STI構造と称してもよい。
【0204】
第4トレンチ構造246は、埋め込み領域208から第1主面203側に間隔を空けて形成されている。つまり、第4トレンチ構造246は、第2不純物領域207の厚さ範囲に形成されている。第4トレンチ構造246は、平面視において第2トレンチ構造214に沿って延びている。この実施形態では、第4トレンチ構造246は、平面視において第2トレンチ構造214に沿って延びる環状(この実施形態では四角環状)に形成されている。
【0205】
図13を参照して、第4トレンチ構造246は、第2シャロートレンチ247および第2埋め込み絶縁体248を含む。第2シャロートレンチ247は、平面視において、第1トレンチ215の第1側面215a、第2トレンチ219の側面221,222および第2トレンチ219の開口部219aに重なる位置に形成され、第2不純物領域207、第1絶縁膜216、第2絶縁膜220および埋め込み導電体217を露出させている。
【0206】
第2埋め込み絶縁体248は、第2シャロートレンチ247に埋められている。第2埋め込み絶縁体248は、第2シャロートレンチ247内において、第2不純物領域207、第1絶縁膜216および第2絶縁膜220に接している。第2埋め込み絶縁体248は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0207】
図12を参照して、半導体装置1Eは、アクティブ領域211に形成された機能デバイスの一例としてのプレーナゲート型のMISFETセル250を含む。
図11では、MISFETセル250の図示が省略されている。MISFETセル250は、ドレインソース電圧の大きさに応じて、HV(high voltage)-MISFETセル(たとえば300V以上3000V以下)、MV(middle voltage)-MISFETセル(たとえば30V以上300V以下)およびLV(low voltage)-MISFETセル(たとえば1V以上30V以下)のうちのいずれか一つの形態を採り得る。この実施形態では、MISFETセル250がHV-MISFETセルからなる例について説明するが、MISFETセル250の形態をHV-MISFETセルに限定する趣旨ではない。
【0208】
MISFETセル250は、断面視において、少なくとも一つ(この実施形態では1つ)のn型の第1ウェル領域251、少なくとも一つ(この実施形態では複数)のp型の第2ウェル領域252、少なくとも一つ(この実施形態では1つ)のn型のドレイン領域253、少なくとも一つ(この実施形態では複数)のn型のソース領域254、少なくとも一つ(この実施形態では複数)のp型のチャネル領域255、少なくとも一つ(この実施形態では複数)のp型のコンタクト領域256、および少なくとも一つ(この実施形態では複数)のプレーナゲート構造257を含む。
【0209】
第1ウェル領域251は、アクティブ領域211において第2不純物領域207の表層部に形成されている。第1ウェル領域251は、第2不純物領域207よりも高いn型不純物濃度を有している。複数の第2ウェル領域252は、アクティブ領域211において第1ウェル領域251から間隔を空けて第2不純物領域207の表層部に形成されている。一方の第2ウェル領域252は第1ウェル領域251から第1方向Xの一方側に間隔を空けて形成され、他方の第2ウェル領域252は第1ウェル領域251から第1方向Xの他方側に間隔を空けて形成されている。
【0210】
ドレイン領域253は、第1ウェル領域251の周縁から内方に間隔を空けて第1ウェル領域251の表層部に形成されている。ソース領域254、チャネル領域255、コンタクト領域256およびプレーナゲート構造257は、各第2ウェル領域252に一対一で対応している。複数のソース領域254は、対応する第2ウェル領域252の周縁から内方に間隔を空けて対応する第2ウェル領域252の表層部にそれぞれ形成されている。複数のチャネル領域255は、対応する第2ウェル領域252の表層部において第2不純物領域207とソース領域254の間にそれぞれ形成されている。複数のコンタクト領域256は、対応する第2ウェル領域252の周縁から内方に間隔を空けて対応する第2ウェル領域252の表層部にそれぞれ形成されている。複数のコンタクト領域256は、対応するソース領域254に隣り合っている。
【0211】
複数のプレーナゲート構造257は、対応するチャネル領域255を被覆するように第1主面203の上にそれぞれ形成され、対応するチャネル領域255のオンオフを制御する。複数のプレーナゲート構造257は、この実施形態では、第1ウェル領域251および対応するソース領域254に跨るようにそれぞれ形成されている。
【0212】
複数のプレーナゲート構造257は、第1主面203側からこの順に積層されたゲート絶縁膜258およびゲート電極259を含む。ゲート絶縁膜258は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。ゲート絶縁膜258は、半導体チップ202の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。ゲート電極259は、ポリシリコンを含むことが好ましい。ゲート電極259は、ポリシリコン内に形成されたn型領域およびp型領域のいずれか一方または双方を含んでいてもよい。
【0213】
図12を参照して、半導体装置1Eは、第1主面203に形成された複数の第5トレンチ構造260を含む。
図11では、第5トレンチ構造260の図示が省略されている(後述する
図19および
図21において同じ)。複数の第5トレンチ構造260は、STI構造と称してもよい。複数の第5トレンチ構造260は、この実施形態では、ドレイン領域253を他の領域から区画し、複数の第2ウェル領域252の外縁部を他の領域から区画するように互いに間隔を空けて形成されている。
【0214】
複数の第5トレンチ構造260は、この実施形態では、埋め込み領域208から第1主面203側に間隔を空けて形成されている。つまり、複数の第5トレンチ構造260は、第2不純物領域207の厚さ範囲に形成されている。
【0215】
各第5トレンチ構造260は、シャロートレンチ261および埋め込み絶縁体262を含む。シャロートレンチ261は、第1主面203から第2主面204に向けて掘り下がっている。埋め込み絶縁体262は、シャロートレンチ261に埋め込まれている。埋め込み絶縁体262は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0216】
アクティブ領域211において、ドレイン領域253にはドレインコンタクト電極263を介してドレイン電位V
Dが付与される。
図12では、ドレインコンタクト電極263が矢印によって簡略化して示されている。ドレイン電位V
Dは、アクティブ領域211における正のデバイス電位である。ソース領域254にはソースコンタクト電極264を介してドレイン電位V
D未満のソース電位V
Sが付与される。
図12では、ソースコンタクト電極264が矢印によって簡略化して示されている。ゲート電極259にはゲートコンタクト電極265を介してゲート電位V
Gが付与される。
図12では、ゲートコンタクト電極265が矢印によって簡略化して示されている。
【0217】
埋め込み導電体217には、コンタクト電極271を介して第1電位V
1が付与される。
図12および
図13では、コンタクト電極271が矢印によって簡略化して示されている。埋め込み導電体217に付与された第1電位V
1は、埋め込み導電体217を介して高濃度領域206aに付与される。これにより、高濃度領域206aが埋め込み導電体217と同電位に固定される。第1電位V
1は、ドレイン電位V
D以下(好ましくはドレイン電位V
D未満)の電位であることが好ましい。つまり、第1電位V
1は、最大のデバイス電位未満であることが好ましい。第1電位V
1は、回路動作の基準となる基準電位、またはグランド電位であってもよい。第1電位V
1は、グランド電位であることが好ましい。
【0218】
半導体チップ202内において第1トレンチ構造213とアクティブ領域211との間に区画された領域には、第2コンタクト電極272を介して第2電位V
2が付与される。
図12および
図13では、第2コンタクト電極272が矢印によって簡略化して示されている。第2電位V
2は、ドレイン電位V
D以下(好ましくはドレイン電位V
D未満)の電位であることが好ましい。第2電位V
2は、最大のデバイス電位未満であることが好ましい。第2電位V
2は、第1電位V
1以上(V
2≧V
1)であってよい。第2電位V
2は、第1電位V
1を超えていてもよい(V
2>V
1)。第2電位V
2は、基準電位またはグランド電位であってもよい。
【0219】
図14A~
図14Mは、本開示の第3実施形態に係る半導体装置1Eの製造工程を説明するための図であり、
図13に対応する部分の縦断面図である。
【0220】
図14Aを参照して、半導体装置1Eを製造するには、半導体チップ202のベースになる半導体ウエハ300が用意される。半導体ウエハ300は、表面301を有している。半導体ウエハ300は、第1不純物領域206、第2不純物領域207および埋め込み領域208を含む。第1不純物領域206は、高濃度領域206aおよび低濃度領域206bを含む。高濃度領域206aはp型の半導体基板からなる。低濃度領域206bは、エピタキシャル成長法によって、半導体基板の上に積層されたp型のエピタキシャル層からなる。
【0221】
次に、
図14Bを参照して、半導体ウエハ300の表面301に、第1マスク302および第2マスク303がこの順で積層される。第1マスク302はシリコン窒化膜であってもよい。第1マスク302は、CVD法によって形成されていてもよい。第2マスク303は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよい。第2マスク303は、CVD法によって形成されていてもよい。エッチング法によって、第1マスク302および第2マスク303が選択的に除去されることにより、第1マスク302および第2マスク303が第1ハードマスク304になる。第1ハードマスク304は、表面301において第2トレンチ219を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
【0222】
次に、
図14Cを参照して、第1ハードマスク304を介するエッチング法によって、半導体ウエハ300が選択的に除去される。これにより、半導体ウエハ300の表面301に第2トレンチ219が形成される(第1工程)。エッチング法は、ドライエッチング法であってもよい。第2トレンチ219は、第1側面221と、第2側面222と、底面223とを含む。第2トレンチ219は、断面視において、底面223から表面301に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている。ドライエッチング法におけるエッチング温度およびドライエッチング法におけるエッチングガスの流量の少なくとも一方を調整することにより、第2トレンチ219は、底部から表面301に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成される。
【0223】
次に、
図14Dを参照して、第2絶縁膜220のベースになる第1ベース絶縁膜305が、第1ハードマスク304を介して表面301に形成される。第1ベース絶縁膜305は、酸化膜を含む。酸化膜は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。この実施形態では、第1ベース絶縁膜305の形成は、CVD法によって行われてもよい。
【0224】
第2トレンチ219の第1側面221、第2側面222および底面223は、第1ベース絶縁膜305によって被覆される。第1ベース絶縁膜305の形成は、第2トレンチ219の開口部219aが閉じるまで続けられる。第2トレンチ219では、第2トレンチ219の深さ方向の途中部の幅が、第2トレンチ219の開口部219aの幅よりも広い。そのため、第2トレンチ219の内部空間の全域が第1ベース絶縁膜305で埋め尽くされる前に、第2トレンチ219の開口部219aが第1ベース絶縁膜305で閉じられる。これにより、第2トレンチ219の内部空間に、エアギャップAG5が形成される(第2工程)。第1側面221、第2側面222および底面223を被覆する第1ベース絶縁膜305、および開口部219aに埋められた第1ベース絶縁膜305によって、第2絶縁膜220が形成される。
【0225】
次に、
図14Eを参照して、第1ベース絶縁膜305の上に、第3マスク306が積層される。第3マスク306は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよい。第3マスク306は、CVD法によって形成されていてもよい。
【0226】
次に、エッチング法によって、第1マスク302、第2マスク303、第1ベース絶縁膜305および第3マスク306が選択的に除去されることにより、第1マスク302、第2マスク303、第1ベース絶縁膜305および第3マスク306が第2ハードマスク307になる。第2ハードマスク307は、表面301において第1トレンチ215を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
【0227】
次に、
図14Fを参照して、第2ハードマスク307を介するエッチング法によって、半導体ウエハ300が選択的に除去される。これにより、半導体ウエハ300の表面301に第1トレンチ215が形成される(第3工程)。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。
【0228】
次に、
図14Gを参照して、第1絶縁膜216のベースになる第2ベース絶縁膜308が形成される。第2ベース絶縁膜308は、酸化膜を含む。酸化膜は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。第2ベース絶縁膜308は、酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。第2ベース絶縁膜308は、CVD法によって形成されてもよい。
【0229】
次に、
図14Hを参照して、第2ハードマスク307を介するエッチング法によって、第2ベース絶縁膜308において第1トレンチ215の底面215cを被覆する部分が除去される。エッチング法は、異方性エッチング法であることが好ましい。エッチング法は、たとえば、ドライエッチング法の一例としてのRIE法であってもよい。これにより、第2ベース絶縁膜308に、第1トレンチ215の底面215cを露出させる開口216dが形成される。第1トレンチ215の側面215a,215bを被覆する第2ベース絶縁膜308によって、第1絶縁膜216が形成される(第4工程)。
【0230】
次に、埋め込み導電体217のベースになる第2ベース導電膜310が、第2ハードマスク307および第2ベース絶縁膜308を介して表面301上に形成される。この実施形態では、第2ベース導電膜310は、p型(第1導電型)不純物が添加されたドープトポリシリコンを含む。第2ベース導電膜310の形成は、CVD法によって行われてもよい。第2ベース導電膜310の形成は、第1トレンチ215が埋め尽くされるまで続けられる。
【0231】
次に、
図14Iを参照して、第2ベース導電膜310の不要な部分が除去される。この工程は、研削法によって第1マスク302が露出するまで、第2ベース導電膜310、第2ベース絶縁膜308、第3マスク306、第1ベース絶縁膜305および第2マスク303を除去する工程を含む。研削法は、CMP(chemical mechanical polishing)法であってもよい。この工程において、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)が採用されてもよい。第1トレンチ215に残存する第2ベース導電膜310によって、埋め込み導電体217が形成される(第5工程)。
【0232】
次に、
図14Jを参照して、エッチング法によって、半導体ウエハ300の表面301から第1マスク302が除去される。
【0233】
次に、
図14Kを参照して、半導体ウエハ300の表面301、第2絶縁膜220および埋め込み導電体217の上に、第4マスク311が積層される。第4マスク311は、表面301において第1シャロートレンチ242および第2シャロートレンチ247を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
【0234】
次に、第4マスク311を介するエッチング法によって、半導体ウエハ300、第2絶縁膜220および埋め込み導電体217がそれぞれ選択的に除去される。これにより、第1シャロートレンチ242および第2シャロートレンチ247が形成される。その後、第4マスク311は、除去される。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。
【0235】
次に、
図14Lを参照して、第1埋め込み絶縁体243および第2埋め込み絶縁体248のベースになる第4ベース絶縁膜312が、表面301上に形成される。第4ベース絶縁膜312は、酸化膜を含む。酸化膜は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。第4ベース絶縁膜312は、CVD法によって形成されてもよい。
【0236】
次に、
図14Mを参照して、第4ベース絶縁膜312の不要な部分が除去される。この工程では、表面301が露出するまで、第4ベース絶縁膜312が研削法によって除去される。研削法は、CMP法であってもよい。これにより、第1シャロートレンチ242に残存する第4ベース絶縁膜312によって第1埋め込み絶縁体243が形成され、第2シャロートレンチ247に残存する第4ベース絶縁膜312によって第2埋め込み絶縁体248が形成される。すなわち、第3トレンチ構造241および第4トレンチ構造246が形成される。この工程において、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)が採用されてもよい。
【0237】
また、第3トレンチ構造241および第4トレンチ構造246の形成に並行して、半導体ウエハ300の表面301に第5トレンチ構造260(
図12参照)が形成される。
【0238】
次に、半導体ウエハ300の表面301側に、MISFETセル250(
図12参照)等の機能デバイスが形成される。これにより、半導体ウエハ300の表面301側にアクティブ領域211が形成される。以上を含む工程によって、半導体装置1Eが形成される。
【0239】
本開示の第3実施形態に係る半導体装置1Eによれば、素子分離部212において、埋め込み導電体217が埋め込まれた第1トレンチ215に隣接して、第1トレンチ215のアクティブ領域211側に、第2トレンチ219が形成されている。第2トレンチ219の側面221,222および底面223に形成される第2絶縁膜220によって、中空のエアギャップAG5が第2トレンチ219の内部に形成されている。埋め込み導電体217に対しアクティブ領域211側に形成されるエアギャップAG5および第2絶縁膜220によって、埋め込み導電体217がアクティブ領域211から電気的に絶縁される。これにより、埋め込み導電体217を、アクティブ領域211から良好に絶縁できる。ゆえに、半導体チップ202の第1主面203に沿う横方向の耐圧を向上できる。
【0240】
また、エアギャップAG5は、埋め込み領域208における第2トレンチ219に対しアクティブ領域211側の領域208Aと、埋め込み導電体217との間に挟まれている。別の言い方では、エアギャップAG5は、第1主面203に沿う横方向において、埋め込み領域208と埋め込み導電体217との間に挟まれて形成されている。第2トレンチ219の側面221,222において、埋め込み領域208と埋め込み導電体217との間の境界部分208B(
図13参照)に電界集中が生じると、半導体装置1Eの耐圧が低下するおそれがある。領域208Aと埋め込み導電体217との間にエアギャップAG5が挟まれているので、埋め込み領域208と埋め込み導電体217との境界部分208Bに生じる電界集中を緩和できる。これにより、半導体チップ202の第1主面203に沿う横方向における耐圧を向上できる。
【0241】
また、この実施形態では、第2トレンチ219の内部において、第2絶縁膜220によって中空のエアギャップAG5が形成されている。そのため、第2絶縁膜220に生じた応力をエアギャップAG5に逃がすことができる。これにより、第2絶縁膜220における結晶欠陥の発生を防止できる。ゆえに、結晶欠陥の発生を防止しながら、上記の電界集中の緩和を図ることができる。
【0242】
たとえば、第2トレンチ219を第2絶縁膜220で完全に埋め戻す形態により、第2トレンチ219の幅を有する厚膜の第2絶縁膜220で耐圧向上を図ることが期待される。しかしながら、この形態では、厚膜の第2絶縁膜220の外面全体が第2トレンチ219の内面に接しているため、第2絶縁膜220に生じる応力を逃がすことが難しい。これに対し、エアギャップAG5が形成されていれば、エアギャップAG5を、第2絶縁膜220に生じる応力の緩和スペースとして利用することができる。
【0243】
図15は、
図13に対応する図であって、本開示の第4実施形態に係る半導体装置1Fの要部を拡大した断面図である。第4実施形態では、第3実施形態と異なる部分のみを主として説明し、今まで説明した構成と同じ構成には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0244】
第4実施形態が第3実施形態と相違する点は、素子分離部212が、第2トレンチ構造214に代えて第2トレンチ構造414を含む点にある。
【0245】
第2トレンチ構造414は、第2トレンチ419と、第2トレンチ419の内面に形成された第2絶縁膜420とを備えている。第2トレンチ419は、その形状において第3実施形態に係る第2トレンチ219と相違している。
【0246】
第2トレンチ419は、第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aを貫通するように第1主面203に形成され、第2トレンチ構造414の壁面を区画している。第2トレンチ419は、第6深さD
6を有している。
図15の例では、第2トレンチ419の第6深さD
6は、第1トレンチ215の第3深さD
3よりも浅い(D
6<D
3)。別の言い方では、第2トレンチ419の第6深さD
6は、第1トレンチ215の第3深さD
3と異なっている。第2トレンチ419は、第1不純物領域206に達するように埋め込み領域208を貫通している。具体的には、第2トレンチ419は、第1不純物領域206の高濃度領域206aに達するように第1主面203から第2主面204に向けて延び、埋め込み領域208および第1不純物領域206の低濃度領域206bを貫通している。第2トレンチ419の第6深さD
6は、第1トレンチ215の第3深さD
3より深くてもよい(D
6>D
3)。第2トレンチ419の第6深さD
6は、第1トレンチ215の第3深さD
3とほぼ同じでもよい(D
6≒D
3)。
【0247】
第2トレンチ419は、第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aから第2主面204に向けて第4突出量P4で突出している。第4突出量P4は、第1主面203と境界部分209Aとの間の距離Dを超えていてもよい(P4>D)。第4突出量P4が、第1主面203と境界部分209Aとの間の距離D以下であってもよい(P4≦D)。
【0248】
第2トレンチ419は、互いに対向する第1側面(内面)421および第2側面(内面)422と、第1側面421および第2側面422を接続する底面(内面、底部)423とを含む。第1側面421は、アクティブ領域211側の側面である。第2側面422は、アクティブ領域211側と反対側の側面である。この実施形態では、第1側面421は、第2トレンチ419の内周面であり、第2側面422は、第2トレンチ419の外周面である。第1側面421および第2側面422は、断面視において、第2トレンチ419の外側(アクティブ領域211側)に凸のアーチ状に形成されている。主としてこの点において、第2トレンチ419は、第3実施形態に係る第2トレンチ219と相違している。
【0249】
第1側面421は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに跨って形成されている。第1側面421は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに接している。第1側面421は、断面視において、第2トレンチ419の外側(アクティブ領域211側)に凸のアーチ状に形成されている。別の言い方では、第1側面421は、断面視において、開口端421aよりも第2トレンチ419の深さ方向の途中部が、第2トレンチ419の外側(アクティブ領域211側)に凸となるような形状である。第1側面421の頂部421pは、第2トレンチ419の深さ方向の途中部に形成されている。第1側面421の頂部421pは、埋め込み領域8に接している。
【0250】
第2側面422は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに跨って形成されている。第2側面422は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに接している。第2側面422は、断面視において、第2トレンチ419の外側(アクティブ領域211側と反対側)に凸のアーチ状に形成されている。別の言い方では、第2側面422は、断面視において、開口端422aよりも第2トレンチ419の深さ方向の途中部が、第2トレンチ419の外側(アクティブ領域211側と反対側)に凸となるような形状である。第2側面422の頂部422pは、第2トレンチ419の深さ方向の途中部に形成されている。第2側面422の頂部422pは、埋め込み領域208に接している。
【0251】
底面423は、高濃度領域206aに形成されている。底面423は、高濃度領域206aに接している。
図15の例では、底面423は、第1主面203に平行な平坦面である。底面423が、断面視において第2主面204側に膨らむラウンド形状を有していてもよい。
【0252】
第2トレンチ419は、開口端421a,422aにおいて、第12幅W12を有している。第12幅W12は、平面視で第2トレンチ419が延びる方向に直交する方向の幅である。第12幅W12は、第9幅W9より狭い(W12<W9)。第12幅W12は、0.05μm以上5μm以下であってもよい。第14幅W14は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第12幅W12は、第9幅W9とほぼ同じでもよいし(W12≒W9)、第9幅W9より広くてもよい(W12>W9)。
【0253】
第2トレンチ419の底面423は、第13幅W13を有している。第13幅W13は、平面視で第2トレンチ419が延びる方向に直交する方向の幅である。第13幅W13は、第12幅W12とほぼ同じであり(W13≒W12)、第9幅W9より狭い(W13<W9)。第13幅W13は、第12幅W12より広くてもよいし(W13>W12)、第12幅W12より狭くてもよい(W13<W12)。第13幅W13は、第9幅W9とほぼ同じでもよいし(W13≒W9)、第9幅W9より広くてもよい(W13>W9)。
【0254】
第2トレンチ419は、第1不純物領域206の高濃度領域206aに達していなくてもよい。この場合、第2トレンチ419は、第1不純物領域206の低濃度領域206bに達するように第1主面203から第2主面204に向けて延び、埋め込み領域208を貫通していてもよい。また、この場合、底面423は、低濃度領域206bに形成されていてもよい。
【0255】
第2絶縁膜420は、第2トレンチ419の内面に形成されている。第2トレンチ419の内部において、第2絶縁膜420によって中空のエアギャップAG6が区画されている。別の言い方では、第2絶縁膜420は、中空のエアギャップAG6が第2トレンチ419の内部に形成されるように、第2トレンチ419の内面に形成されている。中空のエアギャップAG6は、第2絶縁膜420により閉じられた閉空間であり、中空のエアギャップAG6の全体にわたって第2絶縁膜420の内面が露出している。第2絶縁膜420は、第1側面421を被覆する第1部分420aと、第2側面422を被覆する第2部分420bと、底面423を被覆する第3部分420cと、開口部419aに形成された第4部分420dとを含む。第1部分420aは、第1側面421において、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aを被覆している。第2部分420bは、第2側面422において、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aを被覆している。第3部分420cは、底面423において、高濃度領域206aを被覆している。第4部分420dは、開口部419aにおいて、第1部分420aと第2部分420bとを接続している。第4部分420dは、エアギャップAG6の上方において開口部419aを閉じている。第1部分420aと第2部分420bとは、第2トレンチ419の開口部419aにおいてのみ接続されている。
【0256】
エアギャップAG6は、第1部分420a、第2部分420b、第3部分420cおよび第4部分420dによって区画された空間であり、内部に空気(air)を含む。エアギャップAG6は、第2トレンチ419の深さ方向の中央部が、第2トレンチ419の外側に凸となるような形状に形成されている。第1部分420aおよび第2部分420bは、エアギャップAG6を、平面視で第2トレンチ419が延びる方向に直交する方向に挟んでいる。
【0257】
エアギャップAG6は、第14幅W14を有している。第14幅W14は、平面視において第2トレンチ419が延びる方向に直交する方向の最大幅である。第14幅W14は、第2トレンチ419の深さの0.001倍~1.0倍の大きさであってもよい。
【0258】
図15の例では、エアギャップAG6の上端424は、第2不純物領域207および埋め込み領域208の境界部分209Bに対し、第1主面203側に寄っている。エアギャップAG6の下端425は、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aの境界部分209Cに対し、第2主面204側に寄っている。
【0259】
具体的には、エアギャップAG6の上端424は、第7深さD
7を有している。第7深さD
7は、0.1μm~30μmである。
図15の例では、第7深さD
7が、エアギャップAG6の上端424と第2不純物領域207および埋め込み領域208の境界部分209Bとの間の距離よりも短い。第7深さD
7が、上端424と境界部分209Bとの間の距離以上であってもよい。また、エアギャップAG6の下端425が、第2トレンチ419の深さ方向に関し、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aの境界部分209Cと同じ位置か、あるいは境界部分209Cと第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aとの間に位置していてもよい。
【0260】
エアギャップAG6は、第1主面203に沿う横方向において、埋め込み領域208における第2トレンチ419に対しアクティブ領域211側の領域208Aと、埋め込み導電体217との間に挟まれている。別の言い方では、エアギャップAG6は、第1主面203に沿う横方向において、埋め込み領域208と埋め込み導電体217との間に挟まれて形成されている。また、エアギャップAG6は、第1主面203に沿う横方向において、低濃度領域206bにおける第2トレンチ419に対しアクティブ領域211側の領域と、埋め込み導電体217との間に挟まれている。
【0261】
半導体装置1Fの製造工程は、第3実施形態に係る半導体装置1Eの製造工程と共通している。そのため、半導体装置1Fの製造工程についての詳細な説明を省略する。半導体ウエハ300の表面301(
図14A等参照)に第2トレンチ419を形成する工程は、
図14Cを参照して説明した工程と同等に行う。すなわち、ドライエッチング法におけるエッチング温度およびドライエッチング法におけるエッチングガスの流量の少なくとも一方を調整することにより、断面視において、外側に凸のアーチ状の第1側面421および第2側面422を有する第2トレンチ419が形成される。
【0262】
本開示の第4実施形態に係る半導体装置1Fによれば、第3実施形態に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
【0263】
図16は、
図13に対応する図であって、本開示の第5実施形態に係る半導体装置1Gの要部を拡大した断面図である。第5実施形態では、第3実施形態と異なる部分のみを主として説明し、今まで説明した構成と同じ構成には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0264】
第5実施形態が第3実施形態と相違する点は、素子分離部212が、第1トレンチ構造213に代えて第1トレンチ構造513を含む点、および素子分離部212が、第2トレンチ構造214に代えて第2トレンチ構造514を含む点にある。
【0265】
第1トレンチ構造513は、第1絶縁膜216に代えて第1絶縁膜516を含む点において、第3実施形態に係る第1トレンチ構造213と相違している。第1絶縁膜516は、開口216dに代えて開口516dを含む点において、第3実施形態に係る第1絶縁膜216と相違している。第1絶縁膜516は、側面215aおよび側面215bだけでなく、底面(内面)215cの一部を被覆する。具体的には、第1絶縁膜516が底面215cで内側に突出する突出部516a,516bを有している。開口516dは、第1トレンチ215の底面215cにおいて、側面215a,215bから第1トレンチ215の内側に間隔を空けた位置に形成されている。開口516dは、開口幅として第15幅W15を有している。開口516dは、第1トレンチ215の底面215cから第1不純物領域206の高濃度領域206aを露出させている。つまり、埋め込み導電体217は、第1絶縁膜516の開口516dから露出した露出部において、第1不純物領域206(高濃度領域206a)に機械的に接続されている。開口516dは、この実施形態では、平面視において第1トレンチ215に沿って延びる環状に形成されている。開口516dは、平面視において第1トレンチ215に沿って延びる有端帯状に形成されていてもよい。第1絶縁膜516における開口516d以外の構成は、第3実施形態に係る第1絶縁膜516と同じである。
【0266】
第2トレンチ構造514は、第2トレンチ519と、第2トレンチ519の内面に形成された第2絶縁膜520と、第2絶縁膜520の内面に形成された導電膜526と、導電膜526を上方から被覆する第3絶縁膜527とを含む。第2トレンチ構造514は、アクティブ領域211と、第1トレンチ構造213の埋め込み導電体217とを絶縁する。
【0267】
第2トレンチ519は、第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aを貫通するように第1主面203に形成され、第2トレンチ構造514の壁面を区画している。第2トレンチ519は、第8深さD8を有している。第2トレンチ519の第8深さD8は、第1トレンチ215の第3深さD3とほぼ同じである(D8≒D3)。第2トレンチ519は、第1不純物領域206に達するように埋め込み領域208を貫通している。具体的には、第2トレンチ519は、第1不純物領域206の高濃度領域206aに達するように第1主面203から第2主面204に向けて延び、埋め込み領域208および第1不純物領域206の低濃度領域206bを貫通している。第2トレンチ519は、断面視において次に述べる底面523から第1主面203に向かって幅が大きくなるテーパ形状に形成されている。第2トレンチ519は、第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aから第2主面204に向けて第5突出量P5で突出している。第5突出量P5は、第1主面203と境界部分209Aとの間の距離Dを超えていてもよい(P5>D)。第5突出量P5が、第1主面203と境界部分209Aとの間の距離D以下であってもよい(P5≦D)。
【0268】
第2トレンチ519は、互いに対向する第1側面(内面)521および第2側面(内面)522と、第1側面521および第2側面522を接続する底面(内面、底部)523とを含む。第1側面521は、アクティブ領域211側の側面である。第2側面522は、アクティブ領域211側と反対側の側面である。この実施形態では、第1側面521は、第2トレンチ519の内周面であり、第2側面522は、第2トレンチ519の外周面である。
【0269】
第1側面521は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに跨って形成されている。第1側面521は、第2主面204に向かうに従って第2トレンチ519の内側(アクティブ領域211側と反対側)に向かう傾斜面である。第1側面521の第1主面203に対する傾斜角は、第1トレンチ215の側面215aの第1主面203に対する傾斜角と同じである。第2側面522の第1主面203に対する傾斜角は、第1トレンチ215の側面215bの第1主面203に対する傾斜角と同じである。この実施形態では、底面523は、第1主面203に平行な平坦面である。第2トレンチ519は、断面視で、第1トレンチ215と同じ形状である。
【0270】
第2絶縁膜520は、第2トレンチ519の内面に形成されている。第2絶縁膜520は、第1側面521を被覆する第1部分520aと、第2側面522を被覆する第2部分520bと、底面523を被覆する第3部分520cとを含む。第1部分520aは、第1側面521において、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aを被覆している。第2部分520bは、第2側面522において、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aを被覆している。第3部分(底部)520cは、底面523において、高濃度領域206aを被覆している。
【0271】
第2絶縁膜520の第3部分520cは、底面523から第1不純物領域206の高濃度領域206aを露出させる開口520dを有している。開口520dは、この実施形態では、平面視において第2トレンチ519に沿って延びる環状に形成されている。開口520dは、平面視において第2トレンチ519に沿って延びる有端帯状に形成されていてもよい。開口520dは、第2トレンチ519の底面523において、側面521,522から第2トレンチ519の内側に間隔を空けた位置に形成されている。開口520dは、開口幅として第16幅W16を有している。第16幅W16は、第15幅W15と同じである。
【0272】
第2絶縁膜520は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【0273】
導電膜526は、第2絶縁膜520の内面に形成されている。導電膜526は、第2絶縁膜520によって第2不純物領域207および埋め込み領域208から電気的に絶縁されており、電気的に浮遊状態である。導電膜526は、第1部分520aに積層された第1部分526aと、第2部分520bに積層された第2部分526bとを含む。第1部分526aおよび第2部分526bは、第3絶縁膜527および後述するエアギャップAG7を挟んで互いに物理的かつ電気的に分離されている。第1部分526aは、第1部分520aの側面(内面)520e、および第3部分520cにおける第1側面521側の上面(内面)520gを被覆している。第1部分520aの側面520eおよび第3部分520cの上面520gは、後述するエアギャップAG7に面している。第2部分526bは、第2部分520bの側面(内面)520f、および第3部分520cにおける第2側面522側の上面(内面)520fを被覆している。第1部分520aの側面520fおよび第3部分520cの上面520hは、後述するエアギャップAG7に面している。第1部分526aの上端部526cおよび第2部分526bの上端部526dは、それぞれ第1主面203に向かうに従って厚みが薄くなっている。
【0274】
導電膜526は、ポリシリコンである。このポリシリコンは、この実施形態では、p型(第1導電型)不純物(たとえばボロン(B))が添加されたドープトポリシリコンである。
【0275】
第3絶縁膜527は、第2トレンチ519の開口部519aに形成されている。第3絶縁膜527は、導電膜526の第1部分526aの上部と、導電膜526の第2部分526bの上部とによって挟まれている。第3絶縁膜527は、第1部分526aの上部および第2部分526bの上部に接している。
【0276】
より具体的には、第3絶縁膜527は、導電膜526の上端部526cと導電膜526の上端部526dとによって挟まれている。第3絶縁膜527は、上端部526cおよび上端部526dに接している。第3絶縁膜527は、次に述べるエアギャップAG7に対し、上方から面している。第3絶縁膜527は、エアギャップAG7の上方において開口部519aを閉じている。
【0277】
エアギャップAG7は、導電膜526の第1部分526aおよび第2部分526bと、第2絶縁膜520の第3部分520cと、第3絶縁膜527と、底面523とによって区画された空間であり、内部に空気(air)を含む。エアギャップAG7は、第2主面204に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている。第2絶縁膜520の第1部分520aおよび第2部分520bは、それぞれ第1部分526aおよび第2部分526bを介して、エアギャップAG7を、平面視で第2トレンチ519が延びる方向に直交する方向に挟んでいる。
【0278】
エアギャップAG7は、幅WBを有している。幅WBは、平面視において第2トレンチ519が延びる方向に直交する方向の最大幅である。幅WBは、第2トレンチ519の深さの0.001倍~1.0倍の大きさであってもよい。
【0279】
図16の例では、エアギャップAG7の上端524は、第2不純物領域207および埋め込み領域208の境界部分209Bに対し、第1主面203側に寄っている。エアギャップAG7の下端525は、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aの境界部分209Cに対し、第2主面204側に寄っている。
【0280】
具体的には、エアギャップAG7の上端524は、第9深さD
9を有している。第9深さD
9は、0.1μm~30μmである。
図16の例では、第9深さD
9が、エアギャップAG7の上端524と第2不純物領域207および埋め込み領域208の境界部分209Bとの間の距離よりも短い。第9深さD
9が、上端524と境界部分209Bとの間の距離以上であってもよい。
【0281】
また、具体的には、エアギャップAG7の下端525は、第2トレンチ519の底面523に達している。エアギャップAG7の下端525が、第2トレンチ519の深さ方向に関し、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aの境界部分209Cと同じ位置か、あるいは境界部分209Cと第1不純物領域206および埋め込み領域208の境界部分209Aとの間に位置していてもよい。
【0282】
エアギャップAG7は、第1主面203に沿う横方向において、埋め込み領域208における第2トレンチ519に対しアクティブ領域211側の領域208Aと、埋め込み導電体217との間に挟まれている。別の言い方では、エアギャップAG7は、第1主面203に沿う横方向において、埋め込み領域208と埋め込み導電体217との間に挟まれて形成されている。また、エアギャップAG7は、第1主面203に沿う横方向において、低濃度領域206bにおける第2トレンチ519に対しアクティブ領域211側の領域と、埋め込み導電体217との間に挟まれている。
【0283】
図17A~
図17Iは、本開示の第5実施形態に係る半導体装置1Gの製造工程を説明するための図であり、
図16に対応する部分の縦断面図である。
【0284】
図17Aを参照して、半導体装置1Gを製造するには、半導体チップ202のベースになる半導体ウエハ300が用意される。半導体ウエハ300は、第3実施形態に係る半導体装置1Eの製造工程において使用された半導体ウエハ300(
図14A参照)と同等の半導体ウエハであるので、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0285】
次に、半導体ウエハ300の表面301に、第1マスク351および第2マスク352がこの順で積層される。第1マスク351はシリコン窒化膜であってもよい。第1マスク351は、CVD法によって形成されていてもよい。第2マスク352は、酸化シリコン(SiO2)であってもよい。第2マスク352は、CVD法によって形成されていてもよい。エッチング法によって、第1マスク351および第2マスク352が選択的に除去されることにより、第1マスク351および第2マスク352が第1ハードマスク353になる。第1ハードマスク353は、表面301において第1トレンチ215および第2トレンチ519を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
【0286】
第1ハードマスク353を介するエッチング法によって、半導体ウエハ300が選択的に除去される。これにより、半導体ウエハ300の表面301に、第1トレンチ215および第2トレンチ519が形成される(第1工程)。第1トレンチ215は、側面215a,215bと、底面215cとを含む。第2トレンチ519は、第1側面521と、第2側面522と、底面523とを含む。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。その後、第1ハードマスク353除去される。
【0287】
次に、
図17Bを参照して、第1絶縁膜516および第2絶縁膜520のベースになる第1ベース絶縁膜354が表面301に形成される。これにより、第1トレンチ215の側面215a,215bおよび底面215cが第1ベース絶縁膜354によって被覆される(第2工程)。また、第2トレンチ519の側面521,522および底面523が第1ベース絶縁膜354によって被覆される(第2工程)。第1ベース絶縁膜354は、酸化膜を含む。酸化膜は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。第1ベース絶縁膜354は、酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。第1ベース絶縁膜354は、CVD法によって形成されてもよい。
【0288】
次に、
図17Cを参照して、導電膜526および埋め込み導電体217のベースになる第1ベース導電膜355が表面301に形成される。これにより、第1トレンチ215の側面215a,215bおよび底面215cにおいて、第1ベース絶縁膜354の内側に第1ベース導電膜355が積層される(第3工程)。また、第2トレンチ519の側面521,522および底面523において、第1ベース絶縁膜354の内側に第1ベース導電膜355が積層される(第3工程)。この実施形態では、第1ベース導電膜355は、p型(第1導電型)不純物が添加されたドープトポリシリコンを含む。
【0289】
次に、
図17Dを参照して、エッチング法によって、また、第1ベース導電膜355において第1トレンチ215の底面215cを被覆する部分、第1ベース導電膜355において第2トレンチ519の底面523を被覆する部分、第1ベース絶縁膜354において第1トレンチ215の底面215cの中央部(底面215cにおいて、側面215a,215bから第1トレンチ215の内側に間隔を空けた位置)を被覆する部分、および第1ベース絶縁膜354において第2トレンチ519の底面523の中央部(底面523において、側面521,522から第2トレンチ519の内側に間隔を空けた位置)を被覆する部分が除去される。エッチング法は、異方性エッチング法であることが好ましい。エッチング法は、たとえば、ドライエッチング法の一例としてのRIE法であってもよい。これにより、第1トレンチ215内の第1ベース絶縁膜354に、第1トレンチ215の底面215cの中央部を露出させる開口516dが形成される。第1トレンチ215の側面215a,215bを被覆する第1ベース絶縁膜354によって、第1絶縁膜516が形成される。また、第2トレンチ519内の第1ベース絶縁膜354に、第2トレンチ519の底面523の中央部を露出させる開口520dが形成される。第2トレンチ519の側面521,522を被覆する第1ベース絶縁膜354によって、第2絶縁膜520が形成される。第2絶縁膜520は、第1部分520aと、第2部分520bと、第3部分520cとを含む。
【0290】
エッチングに伴って、第1トレンチ215の開口部215dの側面215a,215bを被覆している第1ベース導電膜355がエッチングされる。
【0291】
また、エッチングに伴って、第2トレンチ519の開口部519aの側面521,522を被覆している第1ベース導電膜355が除去される。第2絶縁膜520の内側に積層された第1ベース導電膜355によって、導電膜526が形成される。導電膜526は、第1部分526aと、第2部分526bとを含む。第1部分526aの上端部526cおよび第2部分526bの上端部526dは、第1ベース導電膜355のエッチングのために、それらの厚みが、第1主面203に向かうに従って薄くなっている。
【0292】
次に、
図17Eを参照して、第3絶縁膜527のベースになる第2ベース絶縁膜356が、第1ベース絶縁膜354および第1ベース導電膜355を介して表面301上に形成される。第2ベース絶縁膜356は、酸化シリコン(SiO
2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。この実施形態では、第2ベース絶縁膜356の形成は、CVD法によって行われてもよい。
【0293】
第2ベース絶縁膜356の形成は、第1トレンチ215の開口部215dおよび第2トレンチ519の開口部519aが閉じられるまで続けられる。第1トレンチ215の側面215a,215bに第1ベース導電膜355が形成されているため、第1トレンチ215の内部空間の幅は狭い。そのため、第1トレンチ215において、第1トレンチ215の深さ方向の途中部まで第2ベース絶縁膜356が達する前に、第1トレンチ215の開口部215dが第2ベース絶縁膜356によって埋め尽くされる。すなわち、開口部215dに第2ベース絶縁膜356が形成される。これにより、第1トレンチ215の内部空間に、空洞357が形成される。
【0294】
同様に、第2トレンチ519の側面521,522に第1ベース導電膜355が形成されているため、第2トレンチ519の内部空間の幅は比較的狭い。そのため、第2トレンチ519において、第2トレンチ519の深さ方向の途中部まで第2ベース絶縁膜356が達する前に、第2トレンチ519の開口部519aが第2ベース絶縁膜356によって埋め尽くされる。これにより、第2トレンチ519の内部空間に、エアギャップAG7が形成される(第4工程)。後述するように、開口部519aに埋められた第2ベース絶縁膜356によって、第3絶縁膜527(
図17H等参照)が形成される(第4工程)。
【0295】
次に、
図17Fを参照して、第2ベース絶縁膜356の上に第3マスク358が形成される。エッチング法によって、第1ベース絶縁膜354、第1ベース導電膜355、第2ベース絶縁膜356および第3マスク358が選択的に除去されることにより、第1ベース絶縁膜354、第1ベース導電膜355、第2ベース絶縁膜356および第3マスク358が第2ハードマスク359になる。第2ハードマスク359は、表面301において第1トレンチ215を被覆する部分を露出させ、それら以外の領域を被覆している。次に、第2ハードマスク359を介するエッチング法によって、第1トレンチ215の開口部215dから第2ベース絶縁膜356が除去される(第5工程)。これにより、第1トレンチ215の開口部215dが、空洞357に連通する。
【0296】
次に、
図17Gを参照して、埋め込み導電体217のベースになる第2ベース導電膜360が、第2ハードマスク359を介して表面301上に形成される。この実施形態では、第2ベース導電膜360は、p型(第1導電型)不純物が添加されたドープトポリシリコンを含む。第2ベース導電膜360の形成は、CVD法によって行われてもよい。第2ベース導電膜360は、第1トレンチ215が埋め尽くされるまで続けられる(第6工程)。
【0297】
次に、
図17Hを参照して、第2ベース導電膜360の不要な部分が除去される。この工程は、研削法によって表面301が露出するまで、第2ベース導電膜360、第3マスク358、第2ベース絶縁膜356、第1ベース導電膜355および第1ベース絶縁膜354を除去する工程を含む。研削法は、CMP法であってもよい。この工程において、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)が採用されてもよい。第1トレンチ215に残存する第1ベース導電膜355および第2ベース導電膜360によって、埋め込み導電体217が形成される。また、第2トレンチ519に残存する第2ベース絶縁膜356によって、第3絶縁膜527が形成される。
【0298】
【0299】
図14Kおよび
図14Lに示す工程の後、
図17Iを参照して、第4ベース絶縁膜312の不要な部分が除去される。この工程では、表面301が露出するまで、第4ベース絶縁膜312が研削法によって除去される。研削法は、CMP法であってもよい。これにより、第1シャロートレンチ242に残存する第4ベース絶縁膜312によって第1埋め込み絶縁体243が形成され、第2シャロートレンチ247に残存する第4ベース絶縁膜312によって第2埋め込み絶縁体248が形成される。すなわち、第3トレンチ構造241および第4トレンチ構造246が形成される。この工程において、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)が採用されてもよい。
【0300】
また、第3トレンチ構造241および第4トレンチ構造246の形成に並行して、半導体ウエハ300の表面301に第5トレンチ構造260が形成される。
【0301】
次に、半導体ウエハ300の表面301側に、MISFETセル250等の機能デバイスが形成される。これにより、半導体ウエハ300の表面301側にアクティブ領域211が形成される。以上を含む工程によって、半導体装置1Gが形成される。
【0302】
半導体装置1Gの製造工程では、半導体装置1Eの製造工程と比較して、トレンチ(第1トレンチ215および第2トレンチ519)を形成するためのエッチング工程の回数を削減できる、というメリットがある。
【0303】
本開示の第5実施形態に係る半導体装置1Gによれば、第3実施形態に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
【0304】
第5実施形態に係る半導体装置1Gによれば、さらに、次の作用効果を奏する。すなわち、この実施形態では、第2絶縁膜520の第3部分520cに開口520dが形成されている。そのため、第2絶縁膜520に生じた応力を開口520dに逃がすことができる。これにより、第2絶縁膜520における結晶欠陥の発生を、より効果的に防止できる。
【0305】
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示はさらに他の形態で実施することもできる。
【0306】
第5実施形態の変形例を
図18に示す。
図18は、
図16に対応する図である。
図18に示す半導体装置1Hは、第2絶縁膜520の第3部分(底部)520cに開口520dが形成されない点において、第5実施形態に係る半導体装置1Gと相違している。この場合、第2絶縁膜520によって、第2トレンチ519の底面523の全域が被覆されている。そして、エアギャップAG7の下端525が、第3部分520cの上面(内面)520j上に位置している。第3部分520cの上面520jは、エアギャップAG7に面している。
【0307】
また、半導体装置1G,1Hにおいて、第2トレンチ構造514から導電膜526を省略してもよい。
【0308】
また、素子分離部212が、1つのアクティブ領域211を環状に取り囲んで当該アクティブ領域211を区画するものではなく、隣り合う複数(たとえば2つ)のアクティブ領域(アクティブ領域211、ならびに次に述べるアクティブ領域211第1アクティブ領域211Aおよびアクティブ領域211第2アクティブ領域211B)の境界を区画するものであってもよい。
【0309】
具体的には、
図19および
図20に示す半導体装置1Iのように、隣り合う2つのアクティブ領域211の境界を区画する素子分離部212は、一対の第2トレンチ構造214を含んでおり、この第2トレンチ構造214が、第1トレンチ構造213の両側に1つずつ形成されていてもよい。別の言い方では、第2トレンチ219が、第1トレンチ215の両側に形成されていてもよい。素子分離部212は、有端帯状に形成されていてもよい。具体的には、素子分離部212は、ライン状に延びていてもよい。「ライン状」とは、
図19に示すような直線状に限られず、曲線状を含む意味であってもよい。
【0310】
この場合、2つの第2トレンチ構造214が、第1トレンチ構造213を、平面視で素子分離部212が延びる方向に直交する方向に挟む。
図20に示すように、素子分離部212は、第3トレンチ構造241を備えずに、第4トレンチ構造246を2つ備える構成であってもよい。この場合、2つの第4トレンチ構造246は、それぞれ、平面視において2つの第2トレンチ構造214の第2トレンチ219に重なる位置に形成されている。2つの第4トレンチ構造246は、第1トレンチ構造213の埋め込み導電体217を、平面視で素子分離部212が延びる方向に直交する方向に挟む。
【0311】
また、
図21および
図22に示す半導体装置1Jのように、隣り合う2つのアクティブ領域(アクティブ領域211第1アクティブ領域211Aおよびアクティブ領域211第2アクティブ領域211B)の境界を区画する素子分離部212が、1つの第1トレンチ構造213と、1つの第2トレンチ構造214とを含む構成であってもよい。隣り合う2つのアクティブ領域は、高耐圧な素子250Aが形成されたアクティブ領域211第1アクティブ領域211A、および素子250Aよりも低耐圧な素子250Bが形成されたアクティブ領域211第2アクティブ領域211Bを含んでいてもよい。素子250Aおよび素子250Bは、MISFETセル250(
図12等参照)と同等の構成であってもよい。
図21および
図22の例では、第2トレンチ構造214が、第1トレンチ構造213に対しアクティブ領域211第1アクティブ領域211A側に形成されている。また、第1トレンチ構造213が、第2トレンチ構造214に対しアクティブ領域211第2アクティブ領域211B側に形成されている。別の言い方では、第2トレンチ219が、第1トレンチ215に対しアクティブ領域211第1アクティブ領域211A側に形成され、かつ第1トレンチ215が、第2トレンチ219に対しアクティブ領域211第2アクティブ領域211B側に形成されている。
【0312】
また、
図19~
図22に示す変形例は、半導体装置1Eだけでなく、半導体装置1F,1G,1Hと組み合わされていてもよい。
【0313】
また、たとえば、半導体装置1E,1F,1G,1H,1I,1Jの各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、半導体装置1E,1F,1G,1H,1I,1Jにおいて、p型(第1導電型)の部分がn型であり、n型(第2導電型)の部分がp型であってもよい。
【0314】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
【0315】
[付記1-1]
第1主面(3)およびその反対側の第2主面(4)を有する半導体チップ(2)と、
前記半導体チップ(2)の前記第1主面(3)側に形成され、アクティブ領域(11)を区画する素子分離部(12)とを含み、
前記素子分離部(12)は、
前記半導体チップ(2)の前記第1主面(3)側に形成されたトレンチ(16,115)と、
前記トレンチ(16,115)の側面(21,22,118,119)に形成された第1絶縁膜(41,51,123,127)と、
前記第1絶縁膜(41,51,123,127)から前記トレンチ(16,115)の内側にエアギャップ(AG1,AG2,AG3,AG4)を挟んで形成された第2絶縁膜(42,52,242,252)と、
前記第2絶縁膜(42,52)で被覆され、前記トレンチ(16,115)の底部(23,120)で前記半導体チップ(2)に接続された埋め込み導電体(17)とを含む、半導体装置(1,1B,1C,1D)。
【0316】
この構成によれば、素子分離部(12)が、トレンチ(16,115)と、トレンチ(16,115)内に埋め込まれた埋め込み導電体(17)とを含む。トレンチ(16,115)内において、トレンチ(16,115)の側面(21,22,118,119)に形成された第1絶縁膜(41,51,123,127)と、埋め込み導電体(17)を被覆する第2絶縁膜(42,52)とが、エアギャップ(AG1,AG2,AG3,AG4)を挟んで形成されている。これにより、埋め込み導電体(17)を、第1絶縁膜(41,51,123,127)および第2絶縁膜(42,52)によって、アクティブ領域(11)から良好に電気的に絶縁できる。ゆえに、半導体チップ(2)の第1主面(3)に沿う横方向の耐圧を向上できる。
【0317】
[付記1-2]
前記トレンチ(16,115)の前記側面(21,22,118,119)は、断面視において、前記トレンチ(16,115)の開口端(21a,22a,118a,119a)よりも前記トレンチ(16,115)の深さ方向(Z)の途中部が前記トレンチ(16,115)の外側に凸となるような形状に形成されている、付記1-1に記載の半導体装置(1,1B,1C,1D)。
【0318】
[付記1-3]
前記トレンチ(16)の前記側面(21,22)は、断面視において、前記トレンチ(16)の前記底部(23)から前記第1主面(3)に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている、付記1-2に記載の半導体装置(1,1C,1D)。
【0319】
[付記1-4]
前記トレンチ(115)の前記側面(118,119)は、断面視において、前記トレンチ(115)の外側に凸のアーチ状に形成されている、付記1-2に記載の半導体装置(1B,1C,1D)。
【0320】
[付記1-5]
前記埋め込み導電体(17)は、断面視において、前記埋め込み導電体(17)の底壁(38)から前記第1主面(3)に向かって幅が大きくなるテーパ状の側壁(36,37)を有し、
前記埋め込み導電体(17)の前記側壁(36,37)に前記第2絶縁膜(42,52)が接している、付記1-1~付記1-4のいずれか一項に記載の半導体装置(1,1B,1C,1D)。
【0321】
[付記1-6]
前記半導体チップ(2)が、前記第2主面(4)側に形成され、前記埋め込み導電体(17)が前記トレンチ(16,115)の前記底部(23,120)で接続される第1導電型の第1不純物領域(6)と、前記第1主面(3)側に形成された第2導電型の第2不純物領域(7)と、前記第1不純物領域(6)と前記第2不純物領域(7)との間に埋め込まれた第2導電型の埋め込み領域(8)とを含み、
前記エアギャップ(AG1,AG2,AG3,AG4)は、前記第1主面(3)に沿う横方向において、前記埋め込み領域(8)と前記埋め込み導電体(17)との間に挟まれて形成されている、付記1-1~付記1-5のいずれか一項に記載の半導体装置(1,1B,1C,1D)。
【0322】
[付記1-7]
前記トレンチ(115)の前記側面(118,119)は、断面視において、前記トレンチ(115)の外側に凸のアーチ状に形成されており、
アーチ状の前記側面(118,119)の頂部(118p,119p)が、前記埋め込み領域(8)と前記埋め込み導電体(17)との間に挟まれている、付記1-6に記載の半導体装置(1B,1C,1D)。
【0323】
[付記1-8]
前記第1絶縁膜(41,51,123,127)が、前記トレンチ(16,115)の一方側の前記側面(21,118)、および前記トレンチ(16,115)の他方側の前記側面(22,119)の双方に形成されており、
前記エアギャップ(AG1,AG2,AG3,AG4)が、前記埋め込み導電体(17)と前記トレンチ(16,115)の前記一方側の前記側面(21,118)との間、および前記埋め込み導電体(17)と前記トレンチ(16,115)の前記他方側の前記側面(22,119)との間の双方に形成されている、付記1-1~付記1-7のいずれか一項に記載の半導体装置(1,1B,1C,1D)。
【0324】
[付記1-9]
前記第1絶縁膜(41,51,123,127)および前記第2絶縁膜(42,52)は、前記トレンチ(16,115)の上部(16a,115a)において互いに接続されており、前記トレンチ(16,115)の深さ方向(Z)の途中部において接続されていない、付記1-1~付記1-8のいずれか一項に記載の半導体装置(1,1B,1C,1D)。
【0325】
[付記1-10]
前記埋め込み導電体(17)が、前記第2絶縁膜(42,52)よりも前記第2主面(4)側に突出する突出部(17b)を含み、
前記エアギャップ(AG1,AG2,AG3,AG4)は、前記トレンチ(16,115)の深さ方向(Z)に関し、前記突出部(17b)の底壁(38)よりも前記第1主面側(3)に位置する、付記1-1~付記1-9のいずれか一項に記載の半導体装置(1,1B,1D)。
【0326】
[付記1-11]
前記埋め込み導電体(17)の底壁(38)が、前記トレンチ(16,115)の深さ方向(Z)に関し、前記第2絶縁膜(42,52)の下端(42a,52a)および前記エアギャップ(AG1,AG2,AG3,AG4)の下端(49,59,132,131)よりも、前記第1主面(3)側に位置する、付記1-1~付記1-9のいずれか一項に記載の半導体装置(1C)。
【0327】
[付記1-12]
半導体ウエハ(100)の表面(101)にアクティブ領域(11)を区画するように第1トレンチ(105)を形成する第1工程と、
前記第1トレンチ(105)に埋め込み導電体(17)を埋め込む第2工程と、
前記埋め込み導電体(17)の側壁(36,37)をその内部に露出させるように、前記埋め込み導電体(17)で形成された第1側面(109a,110a,133a,134a)、および前記半導体ウエハ(100)の一部で形成された第2側面(109b,110b,133b,134b)を有する第2トレンチ(109,110,133,134)を前記埋め込み導電体(17)の側方に形成する第3工程と、
前記第2トレンチ(109,110,133,134)の内部空間により形成されたエアギャップ(AG1,AG2,AG3,AG4)を挟んで対向するように、前記第1側面(109a,110a,133a,134a)および前記第2側面(109b,110b,133b,134b)にそれぞれ第1絶縁膜(41,51,123,127)および第2絶縁膜(42,52)を形成する第4工程とを含む、半導体装置(1,1B,1C,1D)の製造方法。
【0328】
[付記1-13]
前記第3工程が、断面視において、前記エアギャップ(AG1,AG2)の幅が、前記第2トレンチ(109,110)の底部(109c,110c)から前記半導体ウエハ(100)の前記表面(101)に向かって小さくなるテーパ状に形成されるように、前記第2トレンチ(109,110)の前記第2側面(109b,110b)を前記半導体ウエハ(100)の前記表面(101)に対する傾斜面として形成する工程を含む、付記1-12に記載の半導体装置(1,1C,1D)の製造方法。
【0329】
[付記1-14]
前記第3工程が、前記第2トレンチ(133,134)の前記第2側面(133b,134b)を、断面視において、前記埋め込み導電体(17)側と反対側に凸のアーチ状に形成する工程を含む、付記1-12に記載の半導体装置(1B,1C,1D)の製造方法。
【0330】
[付記1-15]
前記第3工程が、前記第2トレンチ(109,110,133,134)を、前記第1トレンチ(105)よりも浅い深さに形成する工程を含む、付記1-12~付記1-14のいずれか一項に記載の半導体装置(1,1B,1C,1D)の製造方法。
【0331】
[付記2-1]
第1主面(203)およびその反対側の第2主面(204)を有する半導体チップ(2)と、
前記半導体チップ(202)の前記第1主面(203)側に形成され、アクティブ領域(211,211A,211B)を区画する素子分離部(212)とを含み、
前記素子分離部(212)は、
前記半導体チップ(202)に形成された第1トレンチ(215)と、
前記第1トレンチ(215)の内面(215a,215b)に形成された第1絶縁膜(216,516)と、
前記第1トレンチ(215)に埋め込まれ、前記第1トレンチ(215)の底部(215c)で前記半導体チップ(202)に接続された埋め込み導電体(217)と、
前記第1トレンチ(215)に対し前記アクティブ領域(211,211A,211B)側において前記第1トレンチ(215)に隣接して形成された第2トレンチ(219,419,519)と、
前記第2トレンチ(219,419,519)の内部に中空のエアギャップ(AG5,AG6,AG7)が形成されるように前記第2トレンチ(219,419,519)の内面(221,222,223,421,422,423,521,522,523)に形成された第2絶縁膜(220,420,520)とを含む、半導体装置(1E,1F,1G,1H,1I,1J)。
【0332】
この構成によれば、素子分離部(212)において、埋め込み導電体(217)が埋め込まれた第1トレンチ(215)に隣接して、第1トレンチ(215)のアクティブ領域(211,211A,211B)側に、第2トレンチ(219,419,519)が形成される。第2トレンチ(219,419,519)の内面(221,222,223,421,422,423,521,522,523)に形成される第2絶縁膜(220,420,520)によって、中空のエアギャップ(AG5,AG6,AG7)が第2トレンチ(219,419,519)の内部に形成される。埋め込み導電体(217)に対しアクティブ領域(211,211A,211B)側に形成されるエアギャップ(AG5,AG6,AG7)および第2絶縁膜(220,420,520)によって、埋め込み導電体(217)がアクティブ領域(211,211A,211B)から電気的に絶縁される。これにより、埋め込み導電体(217)を、アクティブ領域(211,211A,211B)から良好に絶縁できる。ゆえに、半導体チップ(202)の第1主面(203)に沿う横方向の耐圧を向上できる。
【0333】
[付記2-2]
前記第2トレンチ(219,419)は、前記第2トレンチ(219,419)の深さ方向(Z)の途中部が前記第2トレンチ(219,419)の開口端(221a,222a,421a,422a)よりも断面視において前記第2トレンチ(219,419)の外側に凸となるような形状に形成されている、付記2-1に記載の半導体装置(1E,1F,1I,1J)。
【0334】
[付記2-3]
前記第2トレンチ(219)は、断面視において、前記第2トレンチ(219)の底部(223)から前記第1主面(203)に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている、付記2-2に記載の半導体装置(1E,1I,1J)。
【0335】
[付記2-4]
前記第2トレンチ(419)の側面(421,422)は、断面視において、前記第2トレンチ(419)の外側に凸のアーチ状に形成されている、付記2-2に記載の半導体装置(1F,1I,1J)。
【0336】
[付記2-5]
前記第2トレンチ(219,419)が、前記第1トレンチ(215)と異なる深さ(D4,D6)を有している、付記2-2~付記2-4のいずれか一項に記載の半導体装置(1E,1F,1I,1J)。
【0337】
[付記2-6]
前記第2絶縁膜(520)における前記エアギャップ(AG7)に面する内面(520e,520f,520g,520h,520j)に形成された導電膜(525)をさらに含む、付記2-1に記載の半導体装置(1G,1H,1I,1J)。
【0338】
[付記2-7]
前記第2トレンチ(519)内の前記エアギャップ(AG7)の上方に面する位置において、前記第2絶縁膜(520)および前記導電膜(526)を被覆する第3絶縁膜(527)をさらに含む、付記2-6に記載の半導体装置(1G,1H,1I,1J)。
【0339】
[付記2-8]
前記第2絶縁膜(520)の底部(520c)に開口(520d)が形成されている、付記2-6または付記2-7に記載の半導体装置(1G,1I,1J)。
【0340】
[付記2-9]
前記第2トレンチ(519)が、前記第1トレンチ(215)と同じ深さ(D8)を有している、付記2-6~付記2-8のいずれか一項に記載の半導体装置(1G,1H,1I,1J)。
【0341】
[付記2-10]
前記第2トレンチ(519)が、断面視で、前記第1トレンチ(215)と同じ形状である、付記2-6~付記2-9のいずれか一項に記載の半導体装置(1G,1H,1I,1J)。
【0342】
[付記2-11]
前記半導体チップ(202)が、前記第2主面(204)側に形成され、前記埋め込み導電体(217)が前記第1トレンチ(215)の前記底部(215c)で接続される第1導電型の第1不純物領域(206)と、前記第1主面(203)側に形成された第2導電型の第2不純物領域(207)と、前記第1不純物領域(206)と前記第2不純物領域(207)との間に埋め込まれた第2導電型の埋め込み領域(208)とを含み、
前記エアギャップ(AG5,AG6,AG7)は、前記第1主面(203)に沿う横方向において、前記埋め込み領域(208)と前記埋め込み導電体(217)との間に挟まれて形成されている、付記2-1~付記2-10のいずれか一項に記載の半導体装置(1E,1F,1G,1H,1I,1J)。
【0343】
[付記2-12]
前記アクティブ領域(211A,211B)が、相対的に高耐圧な素子(250A)が形成された第1アクティブ領域(211A)と、前記第1アクティブ領域(211A)に隣り合うアクティブ領域であって相対的に低耐圧な素子(250B)が形成された第2アクティブ領域(211B)とを含み、
前記第2トレンチ(219,419,519)が、前記第1トレンチ(215)に対し前記第1アクティブ領域(211A)側に形成され、かつ前記第1トレンチ(215)が、前記第2トレンチ(219,419,519)に対し前記第2アクティブ領域(211B)側に形成されている、付記2-1~付記2-11のいずれか一項に記載の半導体装置(1J)。
【0344】
[付記2-13]
前記第2トレンチ(219,419,519)が、前記第1トレンチ(215)の両側に形成された一対の第2トレンチ(219,419,519)を含む、付記2-1~付記2-12のいずれか一項に記載の半導体装置(1I)。
【0345】
[付記2-14]
半導体ウエハ(300)の表面(301)にアクティブ領域(211)を区画する第1トレンチ(215)および第2トレンチ(219,419)を含む素子分離部(212)を形成する工程を含み、
前記素子分離部(212)を形成する工程は、
前記半導体ウエハ(300)に第2トレンチ(219,419)を形成する第1工程と、
前記第2トレンチ(219,419)の内面(221,222,223,421,422,423)に第2絶縁膜(220,420)を形成することにより、前記第2トレンチ(219,419)の内部に中空のエアギャップ(AG5,AG6)を形成する第2工程と、
前記第2トレンチ(219,419,519)に対し前記アクティブ領域(211)側と反対側に、前記第2トレンチ(219,419,519)に隣接する第1トレンチ(215)を形成する第3工程と、
前記第1トレンチ(215)の内面(215a,215b)に第1絶縁膜(216)を形成する第4工程と、
埋め込み導電体(217)を、前記第1トレンチ(215)において前記第1絶縁膜(216)の内側に埋め込む第5工程を含む、半導体装置(1E,1F,1I,1J)の製造方法。
【0346】
[付記2-15]
半導体ウエハ(300)の表面(301)にアクティブ領域(211)を区画するように、第1トレンチ(215)、および前記第1トレンチ(215)に対し前記アクティブ領域(211)側に隣接する第2トレンチ(519)を形成する第1工程と、
前記第1トレンチ(215)の内面(215a,215b,215c)および前記第2トレンチ(519)の内面(521,522,523)に、それぞれ第1絶縁膜(516)および第2絶縁膜(520)を形成する第2工程と、
前記第1絶縁膜(516)の内側および前記第2絶縁膜(520)の内側に、それぞれ導電膜(526)および第1ベース導電膜(355)を積層する第3工程と、
前記第2トレンチ(519)の開口部(519a)を第3絶縁膜(527)によって塞ぐことにより、前記第2トレンチ(519)の内部空間に、前記導電膜(526)および前記第3絶縁膜(527)によって区画された中空のエアギャップ(AG7)を形成し、かつ前記第1トレンチ(215)の開口部(215d)をベース絶縁膜(356)によって塞ぐ第4工程と、
前記第1トレンチ(215)から前記ベース絶縁膜(356)を除去する第5工程と、
前記第1トレンチ(215)において前記第1ベース導電膜(355)の内側に第2ベース導電膜(360)を埋め込む第6工程とを含む、半導体装置(1G,1H,1I,1J)の製造方法。
【符号の説明】
【0347】
1A :半導体装置
1B :半導体装置
1C :半導体装置
1D :半導体装置
1E :半導体装置
1F :半導体装置
1G :半導体装置
1H :半導体装置
1I :半導体装置
1J :半導体装置
2 :半導体チップ
3 :第1主面
4 :第2主面
5A :第1側面
5B :第2側面
5C :第3側面
5D :第4側面
6 :第1不純物領域
6a :高濃度領域
6b :低濃度領域
7 :第2不純物領域
8 :埋め込み領域
9A :境界部分
9B :境界部分
9C :境界部分
10 :デバイス領域
11 :アクティブ領域
12 :素子分離部
13 :第1トレンチ構造
16 :トレンチ
16a :上部
17 :埋め込み導電体
17a :本体部
17b :突出部
18 :第1絶縁部
19 :第2絶縁部
21 :第1側面(側面、一方側の側面)
21a :開口端
22 :第2側面(側面、他方側の側面)
22a :開口端
23 :底面(底部)
23a :端部
23b :端部
26 :第1側部底面
27 :第2側部底面
28 :中央底面
31 :第1溝側面
32 :第2溝側面
33 :底面
36 :第1側壁(側壁)
36a :上部分
36b :下部分
37 :第2側壁(側壁)
37a :上部分
37b :下部分
38 :底壁
41 :第1絶縁膜
42 :第2絶縁膜
43 :第3絶縁膜
44 :上部絶縁膜
44a :下端
45 :内端
46 :段部
48 :上端
49 :下端
51 :第1絶縁膜
52 :第2絶縁膜
53 :第3絶縁膜
54 :上部絶縁膜
54a :下端
55 :内端
56 :段部
58 :上端
61 :第2トレンチ構造
62 :シャロートレンチ
63 :埋め込み絶縁体
70 :MISFETセル
71 :第1ウェル領域
72 :第2ウェル領域
73 :ドレイン領域
74 :ソース領域
75 :チャネル領域
76 :コンタクト領域
77 :プレーナゲート構造
78 :ゲート絶縁膜
79 :ゲート電極
80 :第3トレンチ構造
81 :シャロートレンチ
82 :埋め込み絶縁体
83 :ドレインコンタクト電極
84 :ソースコンタクト電極
85 :ゲートコンタクト電極
91 :コンタクト電極
92 :第2コンタクト電極
100 :半導体ウエハ
101 :表面
102 :第1マスク
106 :ポリシリコン材料
107 :第3マスク
108 :第3ハードマスク
109 :第2トレンチ
109a :第1側面
109b :第2側面
109c :底面
109d :開口部
110 :第3トレンチ(第2トレンチ)
110a :第1側面
110b :第2側面
110c :底面
110d :開口部
111 :第1絶縁材料
112 :第4マスク
113 :第2絶縁材料
1B :半導体装置
133 :第2トレンチ
133a :第1側面
133b :第2側面
133c :底面(底部)
133d :開口部
134 :第3トレンチ(第2トレンチ)
134a :第1側面
134b :第2側面
134c :底面(底部)
134d :開口部
114 :第1トレンチ構造
115 :トレンチ
115a :上部
116 :第1絶縁部
117 :第2絶縁部
118 :第1側面(側面、一方側の側面)
118a :開口端
118p :頂部
119 :第2側面(側面、他方側の側面)
119a :開口端
119p :頂部
120 :底面(底部)
121 :第1底面
122 :第2底面
123 :第1絶縁膜
124 :第3絶縁膜
125 :内端
126 :上端
132 :2下端
127 :第1絶縁膜
128 :第3絶縁膜
129 :内端
130 :上端
131 :下端
202 :半導体チップ
203 :第1主面
204 :第2主面
205A :第1側面
205B :第2側面
205C :第3側面
205D :第4側面
206 :第1不純物領域
206a :高濃度領域
206b :低濃度領域
207 :第2不純物領域
208 :埋め込み領域
208A :領域
208B :境界部分
209A :境界部分
209B :境界部分
209C :境界部分
210 :デバイス領域
211 :アクティブ領域
211A :第1アクティブ領域
211B :第2アクティブ領域
212 :素子分離部
213 :第1トレンチ構造
214 :第2トレンチ構造
215 :第1トレンチ
215a :側面(内面)
215b :側面(内面)
215c :底面(内面、底部)
215d :開口部
216 :第1絶縁膜
216d :開口
217 :埋め込み導電体
219 :第2トレンチ
219a :開口部
220 :第2絶縁膜
220a :第1部分
220b :第2部分
220c :第3部分
220d :第4部分
221 :第1側面(内面)
221a :開口端
221b :底部
222 :第2側面(内面)
222a :開口端
222b :底部
223 :底面(内面、底部)
224 :上端
225 :下端
241 :第3トレンチ構造
242 :第1シャロートレンチ
243 :第1埋め込み絶縁体
246 :第4トレンチ構造
247 :第2シャロートレンチ
248 :第2埋め込み絶縁体
250 :MISFITセル
250A :素子
250B :素子
251 :第1ウェル領域
252 :第2ウェル領域
253 :ドレイン領域
254 :ソース領域
255 :チャネル領域
256 :コンタクト領域
257 :プレーナゲート構造
259 :ゲート電極
260 :第5トレンチ構造
261 :シャロートレンチ
262 :埋め込み絶縁体
263 :ドレインコンタクト電極
264 :ソースコンタクト電極
265 :ゲートコンタクト電極
271 :コンタクト電極
272 :第2コンタクト電極
300 :半導体ウエハ
301 :表面
302 :第1マスク
303 :第2マスク
304 :第1ハードマスク
305 :第1ベース絶縁膜
306 :第3マスク
307 :第2ハードマスク
308 :第2ベース絶縁膜
310 :第2ベース導電膜
311 :第4マスク
312 :第4ベース絶縁膜
351 :第1マスク
352 :第2マスク
353 :第1ハードマスク
354 :第1ベース絶縁膜
355 :第1ベース導電膜
356 :第2ベース絶縁膜(ベース絶縁膜)
357 :空洞
358 :第3マスク
359 :第2ハードマスク
360 :第2ベース導電膜
1F :半導体装置
414 :第2トレンチ構造
419 :第2トレンチ
419a :開口部
420 :第2絶縁膜
420a :第1部分
420b :第2部分
420c :第3部分
420d :第4部分
421 :第1側面(内面)
421a :開口端
421p :頂部
422 :第2側面(内面)
422a :開口端
422p :頂部
423 :底面(内面、底部)
424 :上端
425 :下端
1G :半導体装置
514 :第2トレンチ構造
516 :第1絶縁膜
516a :突出部
516b :突出部
516d :開口
519 :第2トレンチ
519a :開口部
520 :第2絶縁膜
520a :第1部分
520b :第2部分
520c :第3部分
520d :開口
520e :側面(内面)
520f :側面(内面)
520g :上面(内面)
520h :上面(内面)
520j :上面(内面)
521 :第1側面(内面)
522 :第2側面(内面)
523 :底面(内面、底部)
524 :上端
525 :下端
526 :導電膜
526a :第1部分
526b :第2部分
526c :上端部
526d :上端部
527 :第3絶縁膜
AG1 :エアギャップ
AG2 :エアギャップ
AG3 :エアギャップ
AG4 :エアギャップ
AG5 :エアギャップ
AG6 :エアギャップ
AG7 :エアギャップ
D :距離
D1 :第1深さ
D2 :第2深さ
D3 :第3深さ
D4 :第4深さ
D5 :第5深さ
D6 :第6深さ
D7 :第7深さ
D8 :第8深さ
D9 :第9深さ
P1 :第1突出量
P2 :第2突出量
P3 :第3突出量
P4 :第4突出量
P5 :第5突出量
V1 :第1電位
V2 :第2電位
VD :ドレイン電位
VG :ゲート電位
VS :ソース電位
W1 :第1幅
W2 :第2幅
W3 :第3幅
W4 :第4幅
W5 :第5幅
W6 :第6幅
W7 :第7幅
W8 :第8幅
W9 :第9幅
W10 :第10幅
W11 :第11幅
W12 :第12幅
W13 :第13幅
W14 :第14幅
W15 :第15幅
W16 :第16幅
X :第1方向
Y :第2方向
Z :法線方向(深さ方向)
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面およびその反対側の第2主面を有する半導体チップと、
前記半導体チップの前記第1主面側に形成され、アクティブ領域を区画する素子分離部とを含み、
前記素子分離部は、
前記半導体チップの前記第1主面側に形成されたトレンチと、
前記トレンチの側面に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜から前記トレンチの内側にエアギャップを挟んで形成された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜で被覆され、前記トレンチの底部で前記半導体チップに接続された埋め込み導電体とを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記トレンチの前記側面は、断面視において、前記トレンチの開口端よりも前記トレンチの深さ方向の途中部が前記トレンチの外側に凸となるような形状に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トレンチの前記側面は、断面視において、前記トレンチの前記底部から前記第1主面に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記トレンチの前記側面は、断面視において、前記トレンチの外側に凸のアーチ状に形成されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記埋め込み導電体は、断面視において、前記埋め込み導電体の底壁から前記第1主面に向かって幅が大きくなるテーパ状の側壁を有し、
前記埋め込み導電体の前記側壁に前記第2絶縁膜が接している、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体チップが、前記第2主面側に形成され、前記埋め込み導電体が前記トレンチの前記底部で接続される第1導電型の第1不純物領域と、前記第1主面側に形成された第2導電型の第2不純物領域と、前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間に埋め込まれた第2導電型の埋め込み領域とを含み、
前記エアギャップは、前記第1主面に沿う横方向において、前記埋め込み領域と前記埋め込み導電体との間に挟まれて形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記トレンチの前記側面は、断面視において、前記トレンチの外側に凸のアーチ状に形成されており、
アーチ状の前記側面の頂部が、前記埋め込み領域と前記埋め込み導電体との間に挟まれている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1絶縁膜が、前記トレンチの一方側の前記側面、および前記トレンチの他方側の前記側面の双方に形成されており、
前記エアギャップが、前記埋め込み導電体と前記トレンチの前記一方側の前記側面との間、および前記埋め込み導電体と前記トレンチの前記他方側の前記側面との間の双方に形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜は、前記トレンチの上部において互いに接続されており、前記トレンチの深さ方向の途中部において接続されていない、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記埋め込み導電体が、前記第2絶縁膜よりも前記第2主面側に突出する突出部を含み、
前記エアギャップは、前記トレンチの深さ方向に関し、前記突出部の底壁よりも前記第1主面側に位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記埋め込み導電体の底壁が、前記トレンチの深さ方向に関し、前記第2絶縁膜の下端および前記エアギャップの下端よりも、前記第1主面側に位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
半導体ウエハの表面にアクティブ領域を区画するように第1トレンチを形成する第1工程と、
前記第1トレンチに埋め込み導電体を埋め込む第2工程と、
前記埋め込み導電体の側壁をその内部に露出させるように、前記埋め込み導電体で形成された第1側面、および前記半導体ウエハの一部で形成された第2側面を有する第2トレンチを前記埋め込み導電体の側方に形成する第3工程と、
前記第2トレンチの内部空間により形成されたエアギャップを挟んで対向するように、前記第1側面および前記第2側面にそれぞれ第1絶縁膜および第2絶縁膜を形成する第4工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第3工程が、断面視において、前記エアギャップの幅が、前記第2トレンチの底部から前記半導体ウエハの前記表面に向かって小さくなるテーパ状に形成されるように、前記第2トレンチの前記第2側面を前記半導体ウエハの前記表面に対する傾斜面として形成する工程を含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第3工程が、前記第2トレンチの前記第2側面を、断面視において、前記埋め込み導電体側と反対側に凸のアーチ状に形成する工程を含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第3工程が、前記第2トレンチを、前記第1トレンチよりも浅い深さに形成する工程を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
エアギャップAG2は、第1絶縁膜51、第2絶縁膜52、第3絶縁膜53および上部絶縁膜54によって区画された密閉空間であり、内部に空気(air)を収容している。エアギャップAG2は、第2側部底面27から第1主面3に向かって幅が小さくなるテーパ状に形成されている。エアギャップAG2は、第1絶縁膜51および第2絶縁膜52によって、平面視でトレンチ16が延びる方向に直交する方向に挟まれている。別の言い方では、第2絶縁膜52は、第1絶縁膜51からトレンチ16の内側(アクティブ領域11側)にエアギャップAG2を挟んで形成されている。エアギャップAG2は、幅WBを有している。幅WBは、エアギャップAG2の下端59において、平面視においてトレンチ16が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WBは、トレンチ16の深さの1/300倍~1/2倍の大きさであってもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
複数のプレーナゲート構造77は、第1主面3側からこの順に積層されたゲート絶縁膜78およびゲート電極79を含む。ゲート絶縁膜78は、酸化シリコン(SiO2)を含んでいてもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を含んでいてもよい。ゲート絶縁膜78は、半導体チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。ゲート電極79は、ポリシリコンを含むことが好ましい。ゲート電極79は、ポリシリコン内に形成されたn型領域およびp型領域のいずれか一方または双方を含んでいてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
エアギャップAG3は、第1絶縁膜123、第2絶縁膜42、第3絶縁膜124および上部絶縁膜44によって区画された密閉空間であり、内部に空気(air)を収容している。エアギャップAG3は、平面視でトレンチ115が延びる方向に直交する方向に挟まれている。別の言い方では、第2絶縁膜42は、第1絶縁膜123からトレンチ115の内側(アクティブ領域11側と反対側)にエアギャップAG3を挟んで形成されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0123
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0123】
エアギャップAG3は、断面視で外側(アクティブ領域11側)に凸の略半円筒状に形成されている。エアギャップAG3は、平面視でトレンチ115が延びる方向に直交する方向に挟まれている。別の言い方では、第2絶縁膜42は、第1絶縁膜123からトレンチ115の内側(アクティブ領域11側と反対側)にエアギャップAG3を挟んで形成されている。エアギャップAG3は、第7幅W7を有している。第7幅W7は、頂部118pに対応する深さ位置において、平面視においてトレンチ115が延びる方向に直交する方向の幅である。第7幅W7は、トレンチ115の深さの1/300倍~1/2倍の大きさであってもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
第1絶縁膜127は、トレンチ115の第2側面119に形成されている。第1絶縁膜127は、トレンチ115の第2側面119を被覆している。第1絶縁膜127は、第2側面119に沿う形状である。すなわち、第1絶縁膜127は、断面視において、トレンチ115の外側(アクティブ領域11側と反対側)に凸のアーチ状に形成されている。第1絶縁膜127は、酸化膜であってもよい。酸化膜は、酸化シリコン(SiO2)であってもよいし、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0131
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0131】
エアギャップAG4は、第1絶縁膜127、第2絶縁膜52、第3絶縁膜128および上部絶縁膜54によって区画された密閉空間であり、内部に空気(air)を収容している。エアギャップAG4は、平面視でトレンチ115が延びる方向に直交する方向に挟まれている。別の言い方では、第2絶縁膜52は、第1絶縁膜127からトレンチ115の内側(アクティブ領域11側)にエアギャップAG4を挟んで形成されている。エアギャップAG4は、第8幅W8を有している。第8幅W8は、頂部118pに対応する深さ位置において、平面視においてトレンチ115が延びる方向に直交する方向の幅である。第8幅W8は、トレンチ115の深さの1/300倍~1/2倍の大きさであってもよい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0249
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0249】
第1側面421は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに跨って形成されている。第1側面421は、第2不純物領域207、埋め込み領域208、低濃度領域206bおよび高濃度領域206aに接している。第1側面421は、断面視において、第2トレンチ419の外側(アクティブ領域211側)に凸のアーチ状に形成されている。別の言い方では、第1側面421は、断面視において、開口端421aよりも第2トレンチ419の深さ方向の途中部が、第2トレンチ419の外側(アクティブ領域211側)に凸となるような形状である。第1側面421の頂部421pは、第2トレンチ419の深さ方向の途中部に形成されている。第1側面421の頂部421pは、埋め込み領域208に接している。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0252
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0252】
第2トレンチ419は、開口端421a,422aにおいて、第12幅W12を有している。第12幅W12は、平面視で第2トレンチ419が延びる方向に直交する方向の幅である。第12幅W12は、第9幅W9より狭い(W12<W9)。第12幅W12は、0.05μm以上5μm以下であってもよい。第12幅W
12
は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第12幅W12は、第9幅W9とほぼ同じでもよいし(W12≒W9)、第9幅W9より広くてもよい(W12>W9)。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0273
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0273】
導電膜526は、第2絶縁膜520の内面に形成されている。導電膜526は、第2絶縁膜520によって第2不純物領域207および埋め込み領域208から電気的に絶縁されており、電気的に浮遊状態である。導電膜526は、第1部分520aに積層された第1部分526aと、第2部分520bに積層された第2部分526bとを含む。第1部分526aおよび第2部分526bは、第3絶縁膜527および後述するエアギャップAG7を挟んで互いに物理的かつ電気的に分離されている。第1部分526aは、第1部分520aの側面(内面)520e、および第3部分520cにおける第1側面521側の上面(内面)520gを被覆している。第1部分520aの側面520eおよび第3部分520cの上面520gは、後述するエアギャップAG7に面している。第2部分526bは、第2部分520bの側面(内面)520f、および第3部分520cにおける第2側面522側の上面(内面)520hを被覆している。第1部分520aの側面520fおよび第3部分520cの上面520hは、後述するエアギャップAG7に面している。第1部分526aの上端部526cおよび第2部分526bの上端部526dは、それぞれ第1主面203に向かうに従って厚みが薄くなっている。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0265
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0265】
第1トレンチ構造513は、第1絶縁膜216に代えて第1絶縁膜516を含む点において、第3実施形態に係る第1トレンチ構造213と相違している。第1絶縁膜516は、開口216dに代えて開口516dを含む点において、第3実施形態に係る第1絶縁膜216と相違している。第1絶縁膜516は、側面215aおよび側面215bだけでなく、底面(内面)215cの一部を被覆する。具体的には、第1絶縁膜516が底面215cで内側に突出する突出部516a,516bを有している。開口516dは、第1トレンチ215の底面215cにおいて、側面215a,215bから第1トレンチ215の内側に間隔を空けた位置に形成されている。開口516dは、開口幅として第15幅W15を有している。開口516dは、第1トレンチ215の底面215cから第1不純物領域206の高濃度領域206aを露出させている。つまり、埋め込み導電体217は、第1絶縁膜516の開口516dから露出した露出部において、第1不純物領域206(高濃度領域206a)に機械的に接続されている。開口516dは、この実施形態では、平面視において第1トレンチ215に沿って延びる環状に形成されている。開口516dは、平面視において第1トレンチ215に沿って延びる有端帯状に形成されていてもよい。第1絶縁膜516における開口516d以外の構成は、第3実施形態に係る第1絶縁膜216と同じである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0286
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0286】
第1ハードマスク353を介するエッチング法によって、半導体ウエハ300が選択的に除去される。これにより、半導体ウエハ300の表面301に、第1トレンチ215および第2トレンチ519が形成される(第1工程)。第1トレンチ215は、側面215a,215bと、底面215cとを含む。第2トレンチ519は、第1側面521と、第2側面522と、底面523とを含む。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。その後、第1ハードマスク353が除去される。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0289
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0289】
次に、
図17Dを参照して、エッチング法によって
、第1ベース導電膜355において第1トレンチ215の底面215cを被覆する部分、第1ベース導電膜355において第2トレンチ519の底面523を被覆する部分、第1ベース絶縁膜354において第1トレンチ215の底面215cの中央部(底面215cにおいて、側面215a,215bから第1トレンチ215の内側に間隔を空けた位置)を被覆する部分、および第1ベース絶縁膜354において第2トレンチ519の底面523の中央部(底面523において、側面521,522から第2トレンチ519の内側に間隔を空けた位置)を被覆する部分が除去される。エッチング法は、異方性エッチング法であることが好ましい。エッチング法は、たとえば、ドライエッチング法の一例としてのRIE法であってもよい。これにより、第1トレンチ215内の第1ベース絶縁膜354に、第1トレンチ215の底面215cの中央部を露出させる開口516dが形成される。第1トレンチ215の側面215a,215bを被覆する第1ベース絶縁膜354によって、第1絶縁膜516が形成される。また、第2トレンチ519内の第1ベース絶縁膜354に、第2トレンチ519の底面523の中央部を露出させる開口520dが形成される。第2トレンチ519の側面521,522を被覆する第1ベース絶縁膜354によって、第2絶縁膜520が形成される。第2絶縁膜520は、第1部分520aと、第2部分520bと、第3部分520cとを含む。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0296
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0296】
次に、
図17Gを参照して、埋め込み導電体217のベースになる第2ベース導電膜360が、第2ハードマスク359を介して表面301上に形成される。この実施形態では、第2ベース導電膜360は、p型(第1導電型)不純物が添加されたドープトポリシリコンを含む。第2ベース導電膜360の形成は、CVD法によって行われてもよい。第2ベース導電膜360
の形成は、第1トレンチ215が埋め尽くされるまで続けられる(第6工程)。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0331
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0331】
[付記2-1]
第1主面(203)およびその反対側の第2主面(204)を有する半導体チップ(202)と、
前記半導体チップ(202)の前記第1主面(203)側に形成され、アクティブ領域(211,211A,211B)を区画する素子分離部(212)とを含み、
前記素子分離部(212)は、
前記半導体チップ(202)に形成された第1トレンチ(215)と、
前記第1トレンチ(215)の内面(215a,215b)に形成された第1絶縁膜(216,516)と、
前記第1トレンチ(215)に埋め込まれ、前記第1トレンチ(215)の底部(215c)で前記半導体チップ(202)に接続された埋め込み導電体(217)と、
前記第1トレンチ(215)に対し前記アクティブ領域(211,211A,211B)側において前記第1トレンチ(215)に隣接して形成された第2トレンチ(219,419,519)と、
前記第2トレンチ(219,419,519)の内部に中空のエアギャップ(AG5,AG6,AG7)が形成されるように前記第2トレンチ(219,419,519)の内面(221,222,223,421,422,423,521,522,523)に形成された第2絶縁膜(220,420,520)とを含む、半導体装置(1E,1F,1G,1H,1I,1J)。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0337
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0337】
[付記2-6]
前記第2絶縁膜(520)における前記エアギャップ(AG7)に面する内面(520e,520f,520g,520h,520j)に形成された導電膜(526)をさらに含む、付記2-1に記載の半導体装置(1G,1H,1I,1J)。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0346
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0346】
[付記2-15]
半導体ウエハ(300)の表面(301)にアクティブ領域(211)を区画するように、第1トレンチ(215)、および前記第1トレンチ(215)に対し前記アクティブ領域(211)側に隣接する第2トレンチ(519)を形成する第1工程と、
前記第1トレンチ(215)の内面(215a,215b,215c)および前記第2トレンチ(519)の内面(521,522,523)に、それぞれ第1絶縁膜(516)および第2絶縁膜(520)を形成する第2工程と、
前記第1絶縁膜(516)の内側および前記第2絶縁膜(520)の内側に、それぞれ第1ベース導電膜(355)および導電膜(526)を積層する第3工程と、
前記第2トレンチ(519)の開口部(519a)を第3絶縁膜(527)によって塞ぐことにより、前記第2トレンチ(519)の内部空間に、前記導電膜(526)および前記第3絶縁膜(527)によって区画された中空のエアギャップ(AG7)を形成し、かつ前記第1トレンチ(215)の開口部(215d)をベース絶縁膜(356)によって塞ぐ第4工程と、
前記第1トレンチ(215)から前記ベース絶縁膜(356)を除去する第5工程と、
前記第1トレンチ(215)において前記第1ベース導電膜(355)の内側に第2ベース導電膜(360)を埋め込む第6工程とを含む、半導体装置(1G,1H,1I,1J)の製造方法。