(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109050
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】幾何学形態対応型心臓弁置換装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000276
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2020527752の分割
【原出願日】2018-11-16
(31)【優先権主張番号】62/587,369
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596115687
【氏名又は名称】ザ チルドレンズ メディカル センター コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホッファーバース,ソフィオ-シャーロッテ
(72)【発明者】
【氏名】デル ニド,ペドロ,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】エデルマン,エレーザー,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ハマー,ピーター,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ペイン,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD01
4C097DD10
4C097DD15
4C097EE06
4C097SB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】置換心臓弁装置を提供する。
【解決手段】置換心臓弁装置100は、開構成と閉構成との間で移動可能な、1つまたは2つ以上の弁尖106に結合された、フレーム102を含む。フレームは、一対の交連ポスト110で連結される少なくとも2つのフレームセクション104を含む。装置は、異なる脈管構造の形状およびサイズに適応するように、および/または成長中の患者内に植え込まれている間にサイズを変更できるように幾何学形態対応型とすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が通過するための開口部を画定する、弁フレームであって、前記開口部は前記開口部の最大寸法に沿った直径を有し、弁フレームは拡張可能であって前記開口部を直径5mmから50mmまで増大させることができる、弁フレームと、
前記弁フレームに結合された第1の弁尖であって、前記開口部が露出される開構成と、前記第1の弁尖が少なくとも部分的に前記開口部を覆う、閉構成とを有する、第1の弁尖と
を含む、弁置換装置であって、
前記弁フレームは、前記開口部の直径の増大を可能にするように拡張可能であり、前記第1の弁尖は、前記開口部の直径が5mmから50mmまで拡張するときに、開構成と閉構成の間で移動可能である、弁置換装置。
【請求項2】
開口部が露出される開構成と、第1および第2の弁尖が互いに接触して、少なくとも部分的に開口部を覆う、閉構造とを有する第2の弁尖をさらに含み、
前記第1の弁尖および前記第2の弁尖は、前記開口部の直径サイズ範囲全体にわたり、前記開構成と前記閉構成の間で移動可能である、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項3】
弁フレームに結合された外部フレーム支持体をさらに含む、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項4】
弁フレームは、カテーテル送達のために、収縮形態に縮減することができる、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項5】
外部フレーム支持体および弁フレームが自己拡張式である、請求項3に記載の弁置換装置。
【請求項6】
外部フレーム支持体および弁フレームが、バルーン拡張可能である、請求項3に記載の弁置換装置。
【請求項7】
第1の弁尖が、弁フレームの拡張または収縮と共に、一定の表面積を維持する、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項8】
開口部が、弁フレームの周囲長を一定に保ちながら、拡張する、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項9】
閉構成において、第1および第2の弁尖は、5mmから50mmの開口の直径サイズ範囲に対して0から20%以下の逆流率を許容する、請求項2に記載の弁置換装置。
【請求項10】
弁フレームは、反対側の横方向よりも、第1の横方向において、より早く拡張することによって、非対称的に拡張する、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項11】
弁フレームは、反対側の横方向よりも、第1の横方向において、さらに拡張することによって、非対称に拡張する、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項12】
第1および第2の弁尖が、等しいサイズおよび形状のものである、請求項2に記載の弁置換装置。
【請求項13】
第1および第2の弁尖が、異なるサイズおよび形状のものである、請求項2に記載の弁置換装置。
【請求項14】
第1および第2の弁尖が、異なる機械的性質を有する、請求項13に記載の弁置換装置。
【請求項15】
第1および第2の弁尖が、同一の機械的性質を有する、請求項13に記載の弁置換装置。
【請求項16】
弁フレームに結合された第3の弁尖をさらに含む、請求項2に記載の弁置換装置。
【請求項17】
弁フレームに結合された第4の弁尖をさらに含む、請求項16に記載の弁置換装置。
【請求項18】
第1の弁尖が、30Mpaから4GPaの間のヤング率を有する、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項19】
最初の弁尖が、生体吸収性ポリマー、組織工学的構築物、脱細胞化相同組織工学弁尖、薄膜ニチノール、拡張PTFE膜、グルタルアルデヒド処理したウシ心膜、グルタルアルデヒド処理したブタ心膜、光酸化ウシ心膜、およびウシ頸静脈弁からなる群から選択される材料で作製されている、請求項18に記載の弁置換装置。
【請求項20】
第1の弁尖が、合成材料で作製されている、請求項18に記載の弁置換装置。
【請求項21】
第1の弁尖の厚さが0.01mmから1mmである、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項22】
開口部が円形である、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項23】
開口部が楕円形である、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項24】
開口部が非対称である、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項25】
弁フレームが、一対の交連部によって接続された第1および第2のフレームセクションを含む、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項26】
弁フレームが、第1と第2のフレームセクションが互いの鏡像となるように、対称である、請求項25に記載の弁置換装置。
【請求項27】
弁フレームが、第1および第2のフレームセクションが互いに異なるように、非対称である、請求項25に記載の弁置換装置。
【請求項28】
第1のフレームセクションの弧長が、第2のフレームセクションの弧長よりも長い、請求項27に記載の弁置換装置。
【請求項29】
第1のフレームセクションが、中間セクションから離れて延びる2本のアームを有するU字形を形成し、中間セクションが第1のフレームセクションのベースを形成する、請求項25に記載の弁置換装置。
【請求項30】
中間セクションが平面状である、請求項29に記載の弁置換装置。
【請求項31】
中間セクションが非平面状である、請求項29に記載の弁置換装置。
【請求項32】
中間セクションが鞍形曲線を含む、請求項31に記載の弁置換装置。
【請求項33】
鞍形曲線が、U字形状と同方向に弯曲している、請求項32に記載の弁置換装置。
【請求項34】
鞍形曲線が、U字形状と反対方向に弯曲している、請求項32に記載の弁置換装置。
【請求項35】
第1および第2のフレームセクションのそれぞれが、弧形状を含む、請求項25に記載の弁置換装置。
【請求項36】
流体が通過するための開口部を画定する弁フレームであって、前記開口部の最大寸法に沿った直径を有し、前記直径に垂直な方向に高さを有し、動作構成において直径を増大させるように拡張可能であるとともに、収縮構成において直径を減少させるように収縮可能であり、動作構成において高さと直径の比が0.5:1から2.5:1の範囲である、弁フレームと、
前記フレームに結合された、第1の弁尖と
を含む、弁置換装置。
【請求項37】
フレームに結合された第2の弁尖をさらに含む、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項38】
高さと直径の比が、1:1から2.5:1の範囲である、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項39】
第1の弁尖が拡張可能である、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項40】
弁フレームが、弁フレームが拡張するにつれて、互いに横方向に離れて移動するように構成された、第1および第2のフレームセクションを含む、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項41】
開位置における、第1の弁尖の高さは、弁フレームの高さの0.2倍から0.8倍の間の範囲である、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項42】
弁フレームは、直径に垂直な方向に拡張して、異なる直径において、高さと直径の比を保存することができる、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項43】
フレームに結合された第2の弁尖をさらに含み、第1および第2の弁尖が、弁フレームの直径における変化と共に保存される、接合高さを有する、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項44】
フレームに結合された第2の弁尖をさらに含み、第1および第2の弁尖が、アコーディン状の折りひだを含む構成で弁フレームに取り付けられており、弁フレームが直径に垂直な長さにおいて拡張するにつれて、アコーディオン状の折りひだが展開される、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項45】
弁フレームは、直径に垂直な長さにおいて装置を拡張させるように長くなる、セグメントをさらに含む、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項46】
拡張可能なセグメントは伸縮式セグメントである、請求項45に記載の弁置換装置。
【請求項47】
拡張可能セグメントは、生体浸食性構成要素を含む、請求項45に記載の弁置換装置。
【請求項48】
第1および第2のフレームセクションの少なくとも一方が、円筒上に投影された楕円四半分によって画定される、曲線プロファイルを有する、請求項25に記載の弁置換装置。
【請求項49】
楕円四半分がそこから導出される楕円の中心が、円筒の軸端部の周囲に沿った点と一致するとともに、前記楕円の短軸および長軸が、円筒の断面の縁部と同軸である、請求項48に記載の弁置換装置。
【請求項50】
第1および第2のフレームセクションの少なくとも一方が、円筒上に投影された楕円四半分によって画定される曲線プロファイルを有する、請求項40に記載の弁置換装置。
【請求項51】
楕円四半分がそこから抽出される楕円の中心が、円筒の軸端部の周囲に沿った点と一致するとともに、楕円の短軸および長軸が、円筒の断面の縁部と同軸である、請求項50に記載の弁置換装置。
【請求項52】
フレームが拡張するにつれて、直径が増大するにつれて高さが減少する、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項53】
交連部の対を接続する第1の補強機構をさらに含む、請求項25に記載の弁置換装置。
【請求項54】
第1および第2のフレームセクションを接続する第2の補強機構をさらに含む、請求項53に記載の弁置換装置。
【請求項55】
第1および第2のフレームセクションを接続する第3の補強機構をさらに含む、請求項54に記載の弁置換装置。
【請求項56】
第1、第2、および第3の補強機構の少なくとも1つが、フレームと共に拡張するように構成されている、請求項55に記載の弁置換装置。
【請求項57】
第1、第2、および第3の補強機構の少なくとも1つが、弁開口部がその最大サイズまで拡張されているときに、弁開口部の周囲に少なくとも等しい長さを有する、請求項56に記載の弁置換装置。
【請求項58】
第1および第2のセクションが、一対の交連部において接続されているとともに、前記交連部の対を接続する第1の補強機構をさらに含む、請求項40に記載の弁置換装置。
【請求項59】
第1および第2のフレームセクションを接続する、第2の補強機構をさらに含む、請求項58に記載の弁置換装置。
【請求項60】
第1および第2のフレームセクションを接続する、第3の補強機構をさらに含む、請求項59に記載の弁置換装置。
【請求項61】
第1、第2、および第3の補強機構の少なくとも1つが、フレームと共に拡張するように構成されている、請求項60に記載の弁置換装置。
【請求項62】
弁がその最大サイズまで拡張されているときに、第1、第2、および第3の補強機構の少なくとも1つが、少なくとも弁開口部の周囲と等しい長さを有する、請求項61に記載の弁置換装置。
【請求項63】
第2の補強機構が、経カテーテル配備のための、または生来構造への固定のための固定部位として使用される、請求項54に記載の弁置換装置。
【請求項64】
第2の補強機構が、経カテーテル配備のための、または生来構造への固定のための固定部位として使用される、請求項59に記載の弁置換装置。
【請求項65】
交連部の対の上部に接続する第1の補強機構をさらに含む、請求項25に記載の弁置換装置。
【請求項66】
第1および第2のフレームセクションが一対の交連部によって接続されているとともに、前記交連部の対の上部に接続する第1の補強機構をさらに含む、請求項40に記載の弁置換装置。
【請求項67】
弁尖の高さが、開口部の直径の1.5倍から3.5倍の範囲である、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項68】
弁尖の高さが、開口部の直径の2.2倍から2.7倍の範囲である、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項69】
弁尖の自由縁が、開口部の直径の1.5倍から3.5倍である、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項70】
弁尖の自由縁が、開口部の直径の4倍である、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項71】
第1および第2の補強機構の少なくとも一方が、前記第1および第2の補強機構の他方と異なる材料で構成されている、請求項59に記載の弁置換装置。
【請求項72】
第1および第2の補強機構の少なくとも一方が、前記第1および第2の補強機構の他方と異なる厚さである、請求項59に記載の弁置換装置。
【請求項73】
第1および第2の補強機構の少なくとも一方が、前記第1および第2の補強機構の他方と異なる形状である、請求項59に記載の弁置換装置。
【請求項74】
第1の補強機構が、少なくとも2つの異なる材料で構成されている、請求項58に記載の弁置換装置。
【請求項75】
第1および第2の補強機構の少なくとも一方が、前記第1および第2の補強機構の他方と異なる材料で構成されている、請求項54に記載の弁置換装置。
【請求項76】
第1および第2の補強機構の少なくとも一方が、前記第1および第2の補強機構の他方と異なる厚さである、請求項54に記載の弁置換装置。
【請求項77】
第1および第2の補強機構の少なくとも一方が、前記第1および第2の補強機構の他方と異なる形状である、請求項54に記載の弁置換装置。
【請求項78】
第1の補強機構が、少なくとも2つの異なる材料で構成されている、請求項53に記載の弁置換装置。
【請求項79】
開口部が、以下の形状:円形、楕円形、または非対称形の内の1種を有する、請求項1に記載の弁置換装置。
【請求項80】
開口部が、以下の形状:円形、楕円形、または非対称形の内の1種を有する、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項81】
フレームに結合された第2の弁尖をさらに含むと共に、第1および第2の弁尖が、弁フレームの直径の増大と共に減少する接合高さを有する、請求項36に記載の弁置換装置。
【請求項82】
第1の補強機構が、第1の補強機構の異なる部分において、少なくとも2つの異なる厚さを有する、請求項58に記載の弁置換装置。
【請求項83】
第1の補強機構が、第1の補強機構の異なる部分において、少なくとも2つの異なる厚さを有する、請求項54に記載の弁置換装置。
【請求項84】
第1の補強機構が、第1の補強機構の異なる部分において、少なくとも2つの異なる剛性を有する、請求項58に記載の弁置換装置。
【請求項85】
第1の補強機構が、第1の補強機構の異なる部分において、少なくとも2つの異なる剛性を有する、請求項54に記載の弁置換装置。
【請求項86】
第1の補強機構が、第1の補強ストラットを含む、請求項53、58、65、および66のいずれか一項に記載の弁置換装置。
【請求項87】
第2の補強機構が第2の補強ストラットを含む、請求項54および59のいずれかに記載の弁置換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施態様は、弁置換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関係出願の相互参照
本出願は、2017年11月16日付け出願の米国仮特許出願第62/587369号の利益を主張するものであり、その全文が参照により本明細書に組み入れられる。
【0003】
人の心臓には、血液が心室を通り正常に流れるのを確実にする、一連の弁が含まれている。先天性欠損症、外傷、またはその他の病状は、人の生来の心臓弁の機能に悪影響を及ぼす可能性がある。人工心臓弁は、欠陥のある生来の心臓弁を補完するか、完全に置換するために開発されたものである。
【発明の概要】
【0004】
一実施態様では、弁置換装置は、流体が通過するための開口部を画定する弁フレームを含み、開口部は、開口部の最大寸法に沿った直径を有する。弁フレームは拡張可能であって、開口部の直径が5mmから50mmまで増大することを可能にする。装置はさらに、弁フレームに結合された第1の弁尖(leaflet)を含む。第1の弁尖は、開口部が露出している開構成(open configuration)と、第1の弁尖が開口部を少なくとも部分的に覆う閉構成(closed configuration)とを有する。第1の弁尖は、開口部の直径が5mmから50mmまで拡張するにつれて、開構成と閉構成の間で移動可能である。
【0005】
別の実施態様では、弁置換装置は、流体の通過用の開口部を画定する弁フレームを含む。弁フレームは、開口部の最大寸法に沿った直径を有する。弁フレームはまた、直径に垂直な方向に高さを有する。弁フレームは、動作構成においては直径を増大させるように拡張可能であり、収縮構成においては直径を減少させるように収縮可能である。動作構成においては、弁フレームの高さと直径の比は、0.5:1から2.5:1の範囲である。装置はさらに、フレームに結合された第1の弁尖を含む。
【0006】
本開示はこの点において限定されないので、前述の概念、および以下で考察される追加の概念は、任意の適切な組み合わせで構成されてもよいことを理解されたい。さらに、本開示の他の利点および新規の特徴は、添付の図面と併せて考慮されるとき、様々な非限定的な実施態様についての以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付の図面は、一定の縮尺で描くことを意図していない。図面では、様々な図に示される同一または、ほぼ同一の各構成要素は、同じ数字で表わすことがある。分かりやすくするために、すべての図面において、すべての構成要素にラベル付けされているとは限らない。
【0008】
【
図1A】
図1Aは、拡張前の、弁置換装置がその中に植え込まれた血管の斜視部分断面図である。
【
図1B】
図1Bは、装置がいくらか拡張した状態の、
図1Aの血管および弁置換装置の斜視部分断面図である。
【
図2】
図2は、拡張の過程における、
図1Aの弁置換装置のフレームの斜視図である。
【
図3】
図3は、拡張の過程における、
図1Aの弁置換装置のフレームの上面図である。
【
図4】
図4は、拡張の過程における、
図1Aの弁置換装置のフレームの正面図である。
【
図5A】
図5Aは、左から右への拡張の増大段階中の、
図1Aの弁置換装置のフレームの側面図である。
【
図5B】
図5Bは、左から右への拡張の増大段階中の、
図1Aの弁置換装置のフレームの斜視図である。
【0009】
【
図6A】
図6Aは、拡張前の、弁置換装置のフレームおよび外部フレーム支持体の側面図である。
【
図6B】
図6Bは、いくらかの拡張後の、弁置換装置のフレームおよび外部フレーム支持体の側面図である。
【
図7A】
図7Aは、拡張前の、
図6Aのフレームおよび外部フレーム支持体の上方斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、いくらかの拡張後の、
図6Aのフレームおよび外部フレーム支持体の上方斜視図である。
【
図8】
図8は、一実施態様による、血管内に植え込まれた弁置換装置の一実施態様の横断面図である。
【
図9】
図9は、別の実施態様による、血管内に植え込まれた弁置換装置の一実施態様の横断面図である。
【
図10】
図10は、拡張の過程における、成長対応型弁置換装置のフレームの一実施態様の斜視図である。
【0010】
【
図12】
図12は、拡張の過程における、弁置換装置のフレームの別の実施態様の斜視図である。
【
図14A】
図14Aは、弁置換装置のフレームおよび弁尖の別の実施態様の側面図である。
【0011】
【
図17】
図17は、弁フレームセクションの別の実施態様の側面図である。
【
図18】
図18は、弁フレームセクションの一実施態様の正面図である。
【
図19】
図19は、弁フレームセクションの別の実施態様の正面図である。
【0012】
【
図20A】
図20Aは、楕円、および楕円の一部分がその上に投影された、円筒を含む面の斜視グラフィック視覚化図であり、ここで投影された曲線は、弁フレームセクションの一実施態様の曲率を画定する。
【
図21】
図21は、非拡張状態および拡張状態における、一実施態様による弁置換装置の弁フレームの一実施態様の斜視図である。
【
図22】
図22は、拡張の過程において、異なるベースライン高さと直径の比を有する、弁置換装置の弁フレームの異なる実施態様の高さ/直径比を示す線グラフである。
【
図23A】
図23Aは、異なる開口直径において、
図22のHB/DB=1.7弁フレームを有する、弁置換装置の両側で測定された流量と圧力における変化を示す、棒グラフである。
【
図23B】
図23Bは、異なる開口直径において、心周期の過程における、
図22のHB/DB=1.7弁フレームを有する、弁置換装置の流量と流動波形特徴における変化を示す、線グラフである。
【
図23C】
図23Cは、
図22のHB/DB=1.7弁フレームを有する、弁置換装置の異なる開口直径に対する、(右および左の心臓状態を表わす)2つの異なる拡張期圧(diastolic pressure)における、逆流率(regurgitant fraction)を示す、棒グラフである。
【
図23D】
図23Dは、閉構成において有限要素解析を使用してシミュレーションされるとき、
図22のHB/DB=1.7弁フレームを有する、弁置換装置の弁尖の両側の、20mmHgの負荷(右心臓状態の近似)の下での、シミュレーションされた最高応力(最大主応力、MPa)を示す図である。
【0013】
【
図24A】
図24Aは、弁置換装置の一実施態様が20kgの子羊においてin vivoで試験されたことを示す、グラフィックである。
【
図24B】
図24Bは、弁置換装置の一実施態様が60kgの羊においてin vivoで試験されたことを示す、グラフィックである。
【
図24C】
図24Cは、心周期の過程における、弁置換装置が植え込まれた状態で、20kgの子羊の右心室と肺動脈の間の圧力差(弁内外圧力勾配(transvalvular pressure gradient)、ΔP)を示す、線グラフである。
【
図24D】
図24Dは、心周期の過程における、弁置換装置が植え込まれた状態で、60kgの羊の右心室と肺動脈の間の圧力差(弁内外圧力勾配、ΔP)を示す、線グラフである。
【
図24E】
図24Eは、20kgの子羊における心周期の過程において、そのベースライン構成(1X)における弁置換装置によって生成される流動波形および逆流体積を示す線グラフである。
【
図24F】
図24Fは、60kgの成年羊における心周期の過程において、その完全拡張構成(1.8X)における弁置換装置によって発生される流動波形および逆流体積を示す線グラフである。
【
図24G】
図24Gは、弁置換装置のグラフィックの横に、14mmIDにおいてそのベースライン構成(1X)において植え込まれた弁置換装置を示す、20kgの子羊の内の一頭の心臓エコー図である。
【
図24H】
図24Hは、弁置換装置のグラフィックの横に、25mm(1.8X)まで拡張された弁置換装置を示す、60kgの羊の内の一頭の心臓エコー図である。
【0014】
【
図26】
図26は、上部補強ストラットの取り付けゾーンを示すために注釈が付けられた、弁置換装置の弁フレームの一実施態様の側面図および正面図である。
【
図27】
図27は、底部補強ストラットの取り付けゾーンを示すために注釈が付けられた、弁置換装置の弁フレームの一実施態様の上面図および側面図である。
【
図29】
図29は、弁フレームにおける補強ストラットを含まない弁置換装置の実施態様と比較した、
図25Aの弁フレームを有する弁置換装置の高さと直径の比を示す散布図である。
【
図30A】
図30Aは、in vitro流体力学試験中の、ベースライン直径での、
図25Aの弁置換装置を介した、シミュレーションされた循環流動ループの過程における流動波形と逆流体積を示す線グラフである。
【
図30B】
図30Bは、ベースライン直径において、
図25Aの弁フレームを有する弁置換装置のin vitro試験の過程において取得されたデータを格納する表である。
【0015】
【
図31A】
図31Aは、in vitro流体力学試験中の、ベースライン直径の1.8倍の拡張サイズにおいて、
図25Aの弁フレームを有する弁置換装置を介する、シミュレーションされた循環流動ループの過程における流動波形および逆流体積を示す線グラフである。
【
図31B】
図31Bは、ベースライン直径の1.8倍の拡張サイズにおいて、
図25Aの弁フレームを有する弁置換装置のin vitro試験の過程において取得されたデータを格納する表である。
【
図32A】
図32Aは、25kgの羊に植え込まれた、一実施態様による弁置換装置のX線撮影画像である。
【
図32B】
図32Bは、経カテーテルバルーン拡大(transcatheter balloon dilation)の過程における、
図32Aの弁置換装置のX線撮影画像である。
【0016】
【0017】
詳細な説明
本明細書に記載されるいくつかの実施態様は、サイズおよび/または形状を変化させて、異なる植込み環境に適応することができる心臓弁置換装置を含む。いくつかの実施態様では、そのような幾何学形態対応型心臓弁置換装置は、異なるタイプの脈管構造に適合するように適応でき、かつ/または異なるサイズの患者に使用できる可能性がある。いくつかの実施態様では、本明細書で説明されるいくつかの心臓弁置換装置は、成長する患者に使用されてもよく、患者と共に大きくなることができる。
【0018】
いくつかの実施態様では、装置を、例えば静脈弁プロテーゼとして、心臓から離れた脈管系における、その他の場所で使用することも考えられる。
【0019】
一観点によれば、心臓弁置換装置のいくつかの実施態様は、ある範囲のサイズ全体にわたって、多様な範囲の構造的環境における心臓弁機能を可能にすることができる。発明者らは、様々な環境に対応するためにサイズおよび/または形状を変化させることができる、心臓弁置換装置の必要性を認識した。
【0020】
一観点によれば、心臓弁置換装置のいくつかの実施態様は、患者と共に大きくなり、弁の開口部のサイズが大きくなるとき、あるサイズの範囲にわたって機能を維持する。現在の心臓弁補綴具(heart valve prosthetics)は成人向けに設計されており、患者および状態によっては、一度に数十年もの間、植え込まれたままになることがある。成人の患者は、通常、定期的な検査を受けて、最適な機能を確保するために弁が狭くなったり変位したりしていないことを確実にすることが求められる。場合によっては、弁を調整または置換するには、開胸手術が必要になる可能性がある。 成人では、脈管構造の内腔直径や心臓サイズは、一般的に、年毎に大きくは変化しない。ただし、子供においては、成熟するにつれて脈管構造と心臓はサイズが大幅に大きくなる。結果として、現行の装置では、弁置換を受けた子供は、成長するにつれて、適切なサイズの弁置換装置を植え込むために、複数回の処置を受ける必要があることに、本発明者らは気づいた。本発明者らは、あるサイズの範囲にわたって有効な弁置換装置の必要性を認識した。
【0021】
本明細書に記載されるいくつかの実施態様は、成長中の患者における使用に適しているが、本明細書に記載される心臓弁置換装置は、成長中の患者における使用に限定されないことを理解されたい。この装置は、成長中でない応用にも使用できる。例えば、いくつかの実施態様は、少なくとも既存の経カテーテル弁で発生する弁周囲漏出(paravalvular leakage)に対処するという理由で、設置後にサイズ調整することができる、成人用経カテーテル弁として使用してもよい。
【0022】
いくつかの実施態様では、第1の弁置換装置は、患者の人生の最初の数年で植え込まれて、装置が完全な拡張状態に達すると、患者が開胸手術を繰り返すことを避けることができるように、初期に植え込まれた装置の内側に第2の弁が配備することができる。
【0023】
いくつかの実施態様では、弁置換装置は、拡張可能な導管内の弁として機能することも考えられ、この導管は、2つの心臓構造を接続する円筒状チューブであるか、またはその他の拡張可能な導管系であってもよい。例えば、いくつかの実施態様の弁置換装置は、肺動脈導管への右心室として作用する、拡張可能な合成材料で作られた円筒状チューブに取り付けられてもよい。これらの実施態様では、弁付き導管は、患者の身体の成長に対応するために経カテーテルバルーン拡大またはその他の方法によって、定期的に拡張してもよく、かつ/または所望の圧力および/または流動条件に合致するように調整してもよい。
【0024】
心臓弁機能は、異なる特性によって特徴付けることができる。 心臓弁機能の1つの尺度は逆流率であり、これは、意図する流れの方向に逆らって弁を通って後方に漏れる血液の量を、1ストロークで心臓弁を通って流れる血液の総量で除算したものである。健康で機能的な弁は、逆流の量が少ない。本発明者らは、いくつかの場合に、0%~20%の逆流率が望ましいことを認識した。心臓弁機能の別の尺度は、弁が示す平均および最高の弁内外圧力勾配の量である。この圧力規準(pressure metric)は、妨げのない順流を可能にする弁機能を定量化することから、重要である。本発明者らは、場合によっては、心臓の右側では0mmHg~40mmHg、心臓の左側では0mmHg~30mmHgの最高弁内外圧力勾配が望ましいことを認識した。
【0025】
いくつかの実施態様では、弁置換装置は、フレームに結合された1つまたは2つ以上の弁尖を含む。弁尖は、血液がそこを通って流れることができる装置の開口部を包囲している。弁尖には、開構成と閉構成がある。開構成では、弁尖同士は離間して、装置の開口部を露出させ、血流が開口部を通るのを可能にする。閉構成では、弁尖が接合し、装置の開口部を閉塞して、血液の逆流を防止する。弁尖は、心周期中に弁の両側の圧力差に基づいて、開構成と閉構成の間を移動する。いくつかの実施態様では、装置は2つの弁尖を含む。しかしながら、3つ、4つ、5つ、またはそれを超える弁尖など、その他の数の弁尖を使用してもよい。いくつかの実施態様では、心臓置換装置は、弁尖を1つだけ含む。単一の弁尖は、フレームの一方の側から他方の側に延びていてもよい。いくつかの実施態様では、弁尖は月形、例えば、1/2から1/4の月形の弁尖である。
【0026】
いくつかの実施態様では、フレームには、一対の交連部(commissure)で連結された一対の半楕円形フレームセクションを含めてもよい。フレームセクションは、横方向外側に互いに離れて湾曲して、半砂時計形状(half-hourglass shape)を形成する。周囲の脈管構造の幅が広がるにつれて、開口端において、2つのフレームセクションがさらに離れて広がり、装置の開口部を増大させて、拡張する内腔の断面積と一致させて成長に対応する。各弁尖は、フレームセクションの各々の内周に取り付けられて、生来の静脈弁の弁尖血管壁取り付けラインを模倣してもよい。
【0027】
いくつかの実施態様では、装置は、フレームに結合された外部フレーム支持体を含む。いくつかの実施態様では、外部フレーム支持体は、半剛性の円筒状メッシュであってもよい。フレームは、外部フレーム支持体の内側に取り付けられて、それによって安定に保持される。外部フレーム支持体の剛性により、外部フレーム支持体の外表面が、装置が植え込まれている脈管構造の内壁を押し付けて、周囲の脈管構造の内腔を開いたままに保つとともに、装置の向きと位置を維持する。外部フレーム支持体は、ステントと同様に機能することができ、カテーテル送達または直接的な外科的植込みを介して装置を送達することを可能にする。しかしながら、いくつかの実施態様では、フレームは、外部フレームを追加することなく、それ自体で使用してもよいことを理解されたい。
【0028】
一観点によれば、いくつかの実施態様では、弁置換装置のフレームは、成長過程全体を通して一定の周囲長を維持する(例えば、弁尖取付け部位は非伸長である)、すなわち、成長中に、周囲長は、伸びたり、長くなったりしない。代わりに、成長に対応するためにフレームセクションが広がって離れると、交連部の高さが低下する。この非伸長設計のいくつかの実施態様では、半径方向の成長への対応は、塑性変形可能な材料(例えば、鋼、コバルトクロムなど)をバルーン拡張させることによって達成される。その結果、弁の開口部が拡張するにつれて、フレームセクションに取り付けられた弁尖が変形することがなくなる(つまり、伸びたり、長くなったり、展開されることがない)。弁尖の接合の程度(すなわち、閉鎖状態において他の弁尖と接触している弁尖材料の長さ)は、開口部が拡大するにつれて減少する可能性がある。
【0029】
いくつかの実施態様では、フレームのフレームセクションは、装置が拡張して成長に対応するにつれて、それらの形状を維持するように構成されており、したがって、弁尖は、成長の過程において、広がったり、伸びたりしない。
【0030】
代替実施態様では、装置の開口部が大きくなるときにフレームの一定の周囲長を保つのではなく、装置が大きくなるにつれてフレームを長くしてもよい。これは、開口部の拡張中に装置に生じる高さ変化の量を減らすのに役立つ。フレームは、任意の適切な材料で作製してもよく、かつ/または装置が大きくなるにつれてフレームの周囲が長くなることを可能にするための任意適切な形態で構築してもよい。例えば、フレームは、弾性的に伸ばして長くすることのできる弾性材料で作製するか、伸縮式(telescoping)セグメントを含むか、生体侵食性(bio-erodible)セグメントを含むか、またはフレームセグメントが互いに離れて広がる間に、フレーム周囲が長くなることを可能にする、その他任意の適切な機構を備えてもよい。
【0031】
いくつかの実施態様では、フレームは、伸縮式または折畳み式の可撓性セグメントを含むコアを備えた、生体侵食性の外側スリーブを有するセグメントを含んでもよい。外側スリーブが侵食されるにつれて、コアが露出される。脈管構造が拡張すると、フレームにかかる半径方向引張力によって、コアが拡張するか、または展開されて、フレームを拡張させることができる。
【0032】
弁置換装置のいくつかの実施態様では、フレームは、フレームセクションが異なる変化率で離れて動くという点において、非対称に横方向外側に拡張する。各フレームセクションの形状は、成長/拡張全体を通して維持されるが、開口部は、他方向よりも一方向により大きくなることがある。非対称的な拡張を達成するために、これらの実施態様は、異なる剛性の材料で作製されたフレームセクションを有するか、または拡張が他方側よりも片側に有利になるように、角度が付けられた交連部を有してもよい。
【0033】
フレームおよび/または外部フレーム支持体は、自己拡張式であってもよく、またはバルーン拡張によるなど、その他の手段によって拡張されてもよい。
【0034】
弁置換装置は、経カテーテルアプローチによるなど、最小限に侵襲的な手段によって送達されてもよく、または開胸手術によって植え込まれてもよい。
【0035】
いくつかの実施態様では、フレームセクションの弧の曲線プロファイルは、楕円四半分(elliptical quadrant)を円筒に投影することによって得ることができる。円筒は、血管の内壁の形状を表わすことができると考えられる。円筒の半径は、弁フレームに保持されている弁の半径と同等である。その他のフレームセクションは、投影された曲線プロファイルと一致するが、円筒の中心線のまわりに鏡映されている。その他のフレームセクション形状および曲線プロファイルも考えられることを理解されたい。しかしながら、フレームセクションの形状を定義する他の可能な方法も考えられ、本開示はそれに限定されないということも意図されている。フレームセクションはまた、その他の形状を有してもよい。
【0036】
いくつかの実施態様では、弁置換装置には、弁フレームの2つのフレームセクションを接続するストラットなどの補強機構を含めてもよい。そのような補強ストラットは、拡張中に弁フレームの形状を維持する役割を果たすことができる。弁置換装置のいくつかの実施態様には、2つのフレームセクションを接続する上部補強ストラットを含めてもよい。この上部補強ストラットは、交連部の対の上部で、またはその近くで、フレームに取り付けてもよい。上部補強ストラットは、その最大拡張直径におけるフレーム開口部の周囲以上の長さを有してもよい。上部補強ストラットは、完全に拡張した状態において、環または楕円を形成するか、または非対称に成形されてもよい。非拡張形状では、上部補強ストラットは、弁置換装置の拡張の状態には関係なく、上部から見たときに、上部補強ストラットが、円形または楕円形または非対称のプロファイルを有するように、弁置換装置の縦軸のまわりに延びる、起伏のあるプロファイル(undulating profile)を有してもよい。いくつかの実施態様では、上部補強ストラットが起伏(undulations)を有して、この起伏が、フレームの拡張前には、上部補強ストラットにより小さい直径を与えるが、上部補強ストラットがフレームと共に拡張することを可能にしてもよい。上部補強ストラットは、フレームが拡張するときにフレームに補強の完全性を提供するのに十分な剛性を備えているが、起伏をまっすぐにさせて、上部補強ストラットが拡張するのを許容するのに十分な可撓性を備えた材料で構成してもよい。
【0037】
他の実施態様では、上部補強ストラットは、弁置換装置の応用に応じて変えることができる、さまざまに異なる幾何学形態を有してもよい。例えば、上部補強機構はダイヤモンド形状にして、経皮経静脈的(percutaneous transvenous)または経皮経動脈的(percutaneous transarterical)な弁配備のために弁がカテーテル上で、より容易に圧縮され得るようにしてもよい。他の形状も考えられ、本開示はそれに限定されない。
【0038】
上部補強機構用の他の形状が考えられる。例えば、上部補強機能には、単一の環の代わりに、フレームセクションを接続する複数の拡張可能なセグメントを含めることもできる。これらのセグメントは、伸縮式セグメントとするか、または折り畳むか、もしくは圧縮したりできるようにして、機構が拡張することを可能にすることもできる。上部補強ストラットは、機構がフレームと共に拡張し、植え込まれた環境内に収まることができる限り、非環状の形状をとることもできる。
【0039】
弁置換装置のいくつかの実施態様には、弁フレームの交連部に取り付けられていない補強機構を含めることもできる。例えば、いくつかの実施態様は、フレームセクションのそれぞれの下側を互いに接続する下部補強ストラットを有することもできる。下部補強ストラットは、下部機構がフレームと共に拡張することを可能にする、起伏のある形状、または他の方法で圧縮されたもしくは折り畳まれた形状を有することもできる。上部補強ストラットと同様に、下部機構は、下部補強ストラットが拡張すること、および/または真っすぐになる、もしくは展開されることを可能にするのに十分な可撓性を備えながら、弁フレームに追加の構造強度を与えるのに十分な剛性を持つ材料で構成してもよい。
【0040】
下部補強ストラットは、生来の心臓構造への装置固定を可能にするように、弁フレームの開口部の円筒面を超えてフレア加工する(flare)か、またはその他の応用の中でも、バルブ・イン・ステント(vlave-in-stent)経カテーテル配備、またはバルブ・イン・バルブ(valve-in-valve)経カテーテル配備のための固定方法として使用してもよい。
【0041】
他の実施態様では、下部補強ストラットは、弁置換装置の応用に応じて変えることができる、さまざまに異なる幾何学形態を有してもよい。例えば、上部補強機構は、経皮経静脈的または経皮経動脈的な弁配備のために弁がカテーテル上で、より容易に圧縮されることを可能にするために、ダイヤモンド形状にしてもよい。その他の形状も考えられ、本開示はそれに限定されない。
【0042】
上部補強ストラットおよび下部補強ストラット、またはその他任意の補強ストラットは、弁が拡張するときに、弁の形状を変更するか、または制御するように調整してもよい。補強ストラットの材料特性、幾何学形態、厚さ、その他を修正して、拡張と共に特定の開口幾何学形態を得てもよい。補強ストラットは、拡張と共に特定の開口幾何学形態を得るために、材質、幾何学形態、または厚さにおいて異なってもよい。1つの補強ストラットは、拡張と共に特異な開口幾何学形態を得るために、前記補強ストラット内部の材質または厚さまでが異なってもよい。いくつかの実施態様においては、補強ストラットは、フレームの拡張を制御して、開口の形状を楕円にするか、または非対称形にするか、または円形にしてもよい。その他の形状も考えられる。例えば、補強ストラットを、一方側で材料的に厚くするか、または一方側で短くするか、または一方側で剛性の高い材料で作製して、その側が、フレームの他方側と同程度に拡張しないことを確実にしてもよい。
【0043】
上部および下部の補強機構について記述したが、いくつかの実施態様は、上部および下部の補強機構の一方または両方を含むことができることを理解されたい。さらに、いくつかの実施態様は、フレームセクション同士を接続して、上部および下部の補強機構の間に位置してもよい、追加の機構を含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施態様においては、弁置換装置は、フレームに沿って間隔を空けられた複数の穴を含んでもよい。これらの穴は、縫合糸(suture)のための固定点として作用して、弁尖のフレームへの取り付けを支援することができる。いくつかの実施態様においては、弁尖は、弁尖取付けラインの長さに沿って散在するスロットを介してフレームに添付され、次いでフレームの外側に機械的に固定される、追加の突出する材料のセグメントを有する。
【0045】
図を見ると、特定の非限定の実施態様がさらに詳細に説明されている。これらの実施態様に関係して記述された、様々なシステム、機構、および方法は、本開示は本明細書に記載された特定の実施態様のみに限定されないので、個別に使用してもよく、かつ/または任意所望の組合せで使用してもよいことを理解されたい。
【0046】
図1Aは、代表的な血管内に植え込まれた弁置換の一実施態様を示す。弁置換装置100は、フレーム102および外部フレーム支持体108を含む。フレーム102は、交連ポスト110に集束する2つのフレームセクション104について、対称的にしてもよい。フレームセクションはそれぞれ、U字形の弧であってもよい。各フレームセクション104の弧には、弁尖106が裏付けされている。弁尖106は、装置の閉構成においては、弁尖が垂れ下がって接合し、装置の開口を閉塞するように、フレームセクション104に掛けられている。血液が血管を通って流れる(
図1Aで見て、下から上に流れる)につれて、血液の流れが弁尖を押し離し、開口部を露出させて、弁尖を開構成に位置づける。血流が遅くなり始めると、弁尖は再び接合して閉構成となり、血液の逆流を防ぐ。
図1Bに見られるように、装置の周囲の血管が成長するにつれて、装置は血管と共に同様に拡張して、置換弁として効果的に機能を果たし続ける。
【0047】
図2、3および4は、それが拡張するときのフレームの一実施態様の異なる斜視図を示す。フレーム102は初期のフレームを示し、102’はいくらかの拡張後のフレームを示す。
図2および3において最もよく分かるように、フレームの開口部は、拡張前開口部114からより大きな拡張開口部114’へと拡張する。同様に、交連ポスト110は拡張前のポストを示し、110’はいくらかの拡張後のそのポストを示す。拡張前のベースラインにいて、フレームの垂直方向の高さ(軸方向の長さ)を5mm~50mm、内径を5mm~50mmとしてもよい。
【0048】
いくつかの実施態様では、フレームの直径と高さの比を、約0.5:1から2.5:1、または0.6:1から2.4:1、または0.7:1から2.3:1、または0.8:1から2.2:1、または0.9:1から2.1:1、または1:0から2:1、または1.1:2.0、または1.2:1から1.9:1、または1.3:1から1.9:1、または1.3:1から1.8:1、または1.4:1から1.7:1、または1.5:1から1.8:1、または1.6:1から1.7:1、または0.6:1から2.5:1、または0.7:1から2.5:1、または0.8:1から2.5:1、または0.9:1から2.5:1、または1.0:1から2.5:1、または1.1:1から2.5:1、または1.2:1から2.5:1、または1.3:1から2.5:1、または1.4:1から2.5:1、または1.5:1から2.5:1、または1.6:1から2.5:1、または1.7:1から2.5:1とすることができる。
【0049】
フレームが拡張すると、2つのフレームセクション104は、横方向に互いに離れるように移動する。フレームセクション104が互いに離れるにつれて、交連ポスト110の高さが低下する。
図5Aおよび5Bは、小径構成(左)から大径構成(右)に拡張するフレームの時間経過を示す。
図3および
図4から分かるように、いくつかの実施態様では、フレームが拡張するにつれて、フレームを全半径方向に均一に拡張させてもよい。いくつかの実施態様では、フレーム102全体を拡張するために成長中に発生する、フレームセクション104の伸展機構(spreading mechanism)は、各フレームセクション104の周囲長を維持することができる。
図5Bに見られるように、拡張前開口部114は、フレームが拡張するにつれて、より大きな拡張開口部114’へと拡張する。
【0050】
フレームは、ニチノール、チタン、コバルトクロム合金、ステンレス鋼、生分解性ポリマー、生体吸収性ポリマー、合成材料、白金イリジウム、マグネシウムもしくは鉄の合金、および/またはその他任意適切な材料で作製されてもよい。
【0051】
いくつかの実施態様では、各弁尖106は、その凹形外側(concaved-out side)が弁尖が取り付けられているフレームセクション104の弧と一致するように、1/2から1/4の月の形状を有してもよい。弁尖106は、フレームセクションに縫合するか、接着するか、またはその他の方法で取り付けてもよい。弁尖の凹形内側(concave-in side)または自由縁115(自由縁の説明例については、
図1A、1Bを参照)の長さは、ベースライン状態/構成での弁の直径の最大4倍までとしてもよく、これに対して、弁尖の垂直方向高さは、ベースライン状態/構成での弁の直径の最大2.5倍までとしてもよい。弁尖の中心の高さは、交連ポストでの弁尖の高さの0.2~0.8倍の範囲にすることができる。フレームが拡張するにつれて、弁尖・交連部取り付け角度が増大し、弁尖の自由縁115が真っすぐになる。余剰の弁尖の高さによって、装置の拡張範囲全体にわたって、装置が弁として効果的に機能するために十分な接合があることが確実になる。接合高さ(coaption height)は、弁フレーム拡張の前の開口直径の最大4分の3とすることができる。図示の実施態様は、互いに対称である等しいサイズおよび形状の弁尖を示しているが、弁尖は、互いにサイズおよび/または形状が異なっていてもよい。いくつかの実施態様では、1つまたは2つ以上のより小さい弁尖が、閉位置で三日月状の形状を形成する状態で、1つのより大きい弁尖が、閉位置で弁開口部の大部分を覆ってもよい。
【0052】
弁尖の寸法が上記に提示されているが、他のサイズも企図されることを理解されたい。例えば、弁尖の自由縁の長さは、2から6倍の間、またはその他の範囲であってもよい。弁尖の垂直方向高さは、ベースライン構成での弁の直径の1.5から3.5倍の間、または2.2から2.7倍の間としてもよい。弁の中央高さは、交連ポストでの弁尖の高さの0.1から1倍としてもよい。さらにその他の範囲も考えられる。
【0053】
図示の実施態様は2つの弁尖を利用する設計を示しているが、2つ以上のフレームセクションを備える3つ以上の弁尖を使用する設計も考えられる。単一の弁尖を使用する設計も考えられる。
【0054】
弁尖は、生体吸収性ポリマー、合成ポリマー、組織工学構築物(tissue-engineered construct)、脱細胞相同組織工学(decellularized homologous tissue engineered)弁尖、薄膜ニチノール、拡張PTFE膜、グルタルアルデヒド処理したウシ心膜、グルタルアルデヒド処理したブタ心膜、光酸化ウシ心膜、ウシ頸静脈弁(bovine jugular vein valve)、またはその他の任意適切な組成物または材料で作製される。いくつかの実施態様では、弁尖は、生理学的負荷で約60MPaのヤング率を有する、GORE-TEX(登録商標)0.1mmPericardial Membrane(心膜)で作製される。弁尖材料に対して、30MPaから4GPa、または70MPaから4GPa、または100MPaから4GPa、または200MPaから4GPa、または500MPaから4GPaのヤング率範囲も考えられる。
【0055】
図6A、6B、7A、および7Bは、装置の一実施態様による、拡張の異なる段階におけるフレームおよび外部フレーム支持体の図を示す。この実施態様における外部フレーム支持体108は、連続気孔(open cell)を有するメッシュ円筒である。
図1Aおよび1Bに示されるように、外部フレーム支持体は、装置に安定性を与えるとともに、血管112に対してフレームの向きを維持することができる。フレーム102が拡張するにつれて、外部フレーム支持体108を含むメッシュチューブも拡張して、その直径を増大させて、血管の直径と一致させながら、外部フレーム支持体の高さを低減することができる。
【0056】
図示の実施態様は、連続気孔を有するメッシュ円筒の形態の外部フレーム支持体を示しているが、外部フレーム支持体は異なる形態も取り得ることを理解されたい。外部フレーム支持体は、独立気孔(closed cell)を有してもよいし、または連続気孔と独立気孔が混在していてもよい。外部フレーム支持体にはまた、拡張可能なセグメントを備えた部分的に中実の円筒、または外部フレーム支持体がフレームとともに拡張することを可能にする、その他任意の配設を含めてもよい。
【0057】
いくつかの実施態様では、弁置換装置には、外部フレーム支持体を包み込むことができる、または別個の外部フレーム支持体がない場合、フレーム自体を包み込むことができる、外側可撓性カバーを含めてもよい。可撓性カバーは、外部フレーム支持体中への組織の内部成長に加えて、線維血管組織(fibrovascular tissue)または肉芽組織(granulation tissue)の異常層の形成を防止することができる。フレームおよび可撓性カバーは化学的に不活性であるか、またはそれらを化合物で処理して、これらに限定はされないが、抗付着(anti-adhesive)特性または抗血栓形成(anti-thrombogenic)特性を含む、望ましい特性を吹き込んでもよい。
【0058】
図8は、血管112に植え込まれた弁置換装置の一実施態様を示す。この実施態様では、外部フレーム支持体108は、外部フレーム支持体108の長さに沿って間隔を空けられた一連の縫合糸118によって、血管112に固定される。縫合糸118は外部フレーム支持体を血管に固定し、血管が成長するにつれて、血管が外部フレーム支持体に対して半径方向外向きの力を与え、外部フレーム支持体を拡張させ、それによりフレーム102を拡張させるようにする。いくつかの実施態様では、外部フレーム支持体には、そのような縫合糸を受け入れるための複数の穴116を含めてもよい。
【0059】
いくつかの実施態様では、外部フレーム支持体は、単一の取り付け場所においてのみ、脈管構造に固定してもよい。例えば、外部フレーム支持体は、装置の高さに沿った単一の取り付け線においてのみ、脈管構造に固定してもよい。
図9に示す実施態様では、外部フレーム支持体108は、単一の線117に沿って血管112に固定されている。脈管構造と装置との間に単一の取り付け場所を有することは、装置の高さおよび直径の変化を可能にすることに加えて、脈管構造の軸方向の成長に対応するのを助けることができる。いくつかの実施態様では、装置にはまた、装置のいずれかの軸端部に、近位シールおよび遠位シール119を含めてもよい。近位シールおよび遠位シール119は、弁周囲漏出、血流の停滞、またはそうでなければ異常な血流プロファイルを防止することができる。いくつかの実施態様では、弁は、弁の基部を超えて延びる拡張可能な合成材料で作製された外側カバーを有してもよい。この材料は、弁を生来の弁輪の位置に固定するための縫製リング(sewing ring)として使用することができる。これを、装置取付けの唯一の部位としてもよい。
【0060】
図10、
図11A、および
図11Bは、フレームの別の実施態様を示す。この実施態様では、フレーム202が拡張するにつれて、フレームセクション204は長くなり、互いに離れて、開口部214のサイズを増大させる。202’は、ある程度の拡張後のフレーム202を示す。フレームセクション204は、拡張前のフレームセクションの位置と形状を表わし、204’は、拡張後のフレームセクションの位置と形状を表わす。いくつかの実施態様では、開口直径が増大するときに、交連ポスト210の高さおよびフレーム全体の高さが維持される。
【0061】
細長いフレームの周囲長を有する装置に対して、いくつかの実施態様では、弁尖は、開口部直径が増大するにつれてサイズが増大するように構成される。例えば、いくつかの実施態様では、弁尖は、余分な材料が縫合糸間でアコーディオンのように折り重なった状態で、フレームセクションに縫合されてもよい。フレームセクションが拡張するにつれて、縫合糸間の距離が拡張し、アコーディオン状の折りひだを展開させて、伸長に対応するために弁尖の追加のセクションをもたらす。他の実施態様では、弁尖は、通常、フレームセクションに縫合されているが、弁尖は、特に可撓性または拡張性であって、フレームセクションが拡張するにつれて、単純に伸びる。
【0062】
図示の実施態様は、円形開口部と、均一に拡張するフレームセクションとを有する、対称的な弁フレームを示しているが、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。装置の他の実施態様では、開口部は、異なる構造環境および生理学的弁の用途に対応するために、楕円形であるか、そうではなく不規則な形状であってもよい。
【0063】
図12、13A、13B、および13Cは、2つのフレームセクションが非対称的に拡張するフレームの実施態様を示す。フレーム302は、ある高さの交連ポスト310で始まり、次いで、拡張後、フレーム302’は、拡張により低下した高さの、交連ポスト310’を有する。これらの実施態様では、交連ポスト310またはフレームセクション304は、何らかの方法で等しくなくして、非対称的な拡張を生成してもよい。それらは、5度以上から45度以下の間で内向きにフレア加工したり、45度以上の間で外向きにフレア加工したり、弁フレームが拡張する前の高さを不均一にしたり、異なる厚さにしたり、または剛性が異なる材料で構成してもよい。とにかく、フレーム302が脈管構造と共に拡張しようとするとき、2つのフレームセクションが横方向に異なる変化率で離間し、楕円形の開口部314が作成される。
【0064】
図14Aから14Dは、楕円形の開口部を画定する、フレーム402と、弁尖406の実施態様を示す。この実施態様では、フレームセクション404は、
図14Bに見られるように、上面図からの楕円形を生成するために先の実施態様におけるよりも幅が広い。交連ポスト410同士は、装置の開口部によって形成される楕円の長軸に沿って反対側に位置する。フレームセクションが分岐するとき、装置の開口部は、周囲の脈管構造の垂直断面と同一平面のままであり得る。図は同じ高さの交連ポストを示しているが、いくつかの実施態様では、交連ポストは、高さが等しくないか、または内側もしくは外側に5~45度フレア加工されてもよい。いくつかの実施態様では、弁置換装置は、流入弁として使用されてもよい。いくつかの実施態様では、弁置換装置は、生来の房室弁(atrioventricular valve)の形状を模倣してもよい。
【0065】
図15Aから15Fは、楕円形の開口部514を画定するフレーム502の別の実施態様を示す。この実施態様では、フレームセクション504aおよび504bは、弁フレーム拡張前に、互いに異なるサイズおよび/または形状にされている。
図15Bに見られるように、交連ポスト510の一方だけが、開口部によって形成される楕円の主軸上に配置され、一方、他方の交連ポストは、主軸の前方に位置している。弁フレームセクションのサイズおよび/または形状が相互に異なることに起因して、この実施態様の弁尖は、それらそれぞれのフレームセクションと一致するように、同様に相互に異なっている。いくつかの実施態様では、弁尖は、相互に同じ機械的特性を有するか、または異なる用途に適するように互いに異なる機械的特性を有することができる。たとえば、サイズの違いを計算に入れるために、より大きな弁尖は、より小さな弁尖と比較して延伸性を高くすることができる。他の実施態様では、交連ポストは、周囲の脈管構造に対して軸方向に傾斜する。傾斜した交連ポストを備えた実施態様は、装置を通る曲線流動パターンに対応し、傾斜の程度に応じて様々な構造環境で弁機能を維持できるようにすることができる。この傾斜は、局所的な脈管構造の内腔の垂直断面と同じ平面にない開口部を生じさせる可能性がある。
【0066】
図16Aから16Dは、フレームセクション604を有するフレーム602の別の実施態様を示す。この実施態様は、楕円形開口部614を画定する非対称フレーム602を有する。しかしながら、この実施態様では、両方の交連ポスト610が、
図16Cに見られる楕円の主軸の前方に位置している。この配設のために、フレーム602は非対称であり、結果として、開口部の大部分を覆う1つの弁尖が得られる。
【0067】
いくつかの実施態様では、開口部によって形成される平面は、周囲の脈管構造内の流体の流れに直交させるか、または流体の流れに対してオフセットさせることができる。いくつかの実施態様では、開口部によって形成される平面は、周囲の脈管構造の垂直断面と同一平面であってもよく、またはこの垂直断面に対して傾斜していてもよい。例えば、
図1Aに示される実施態様では、装置の開口部114によって形成される平面は、血管112である周囲の脈管構造の垂直断面と、同一平面上にある。さらに、開口部114によって形成される平面は、血管112を通る流体の流れにも直交する。
【0068】
いくつかの実施態様では、弁置換装置は、垂直線を画定する方向に延びる1つまたは複数の交連ポストを含む。開口部によって形成される平面は、交連ポストの方向に直交させることができるか、または直交方向に対して傾斜させてもよい。例えば、
図1Aに示される実施態様では、装置の開口部114によって形成される平面は、交連ポスト110の方向によって画定される垂直方向に直交している。これに対して、弁フレームが異なる長さのセクション704a、704bを有する、
図17に示される実施態様は、傾斜した開口部の例である。開口部714によって画定される平面740は、交連ポスト710の方向によって画定される垂直方向720に直交せず、そうではなく、直交軸730に対して傾斜している。
【0069】
いくつかの実施態様では、弁フレームは、2つ以上のフレームセクションから構成されてもよい。フレームセクションは、第1のフレームセクションの基部を形成する中間セクションから離れる方向に延びる2つのアームを有する、U字形を形成してもよい。いくつかの実施態様では、中間セクションは単一の平面上にある。例えば、
図1Aおよび
図1Bに示す実施態様では、弁フレームは、単一の平面上にある中間セクション130を有するフレームセクションを有する。このことは、
図4でも見ることができる。
【0070】
しかしながら、他の配設も可能であることを理解されたい。例えば、いくつかの実施態様では、中間セクションは、それが単一の平面に沿わないように湾曲するか、またはその他の形状になるように、非平面とすることもできる。いくつかの実施態様では、中間セクションは、U字形において同じ方向に上向きであるか、またはU字形と反対の方向に下向きである、いずれかの鞍形曲線(saddle-shaped curve)を有する。
【0071】
非平面であるベースを備えた弁フレームセクションの2つの例証用の実施態様が、
図18および19に示されている。
図18は、弁フレームセクションの正面図である。フレームセクション804aは、中間セクション830から離れる方向に延びる第1のアーム831および第2のアーム832を有する、U字形状を有し、中間セクション830は、U字形状と同じ方向に面する鞍形曲線を有する。弁フレームセクションの正面図でもある、
図19に示される例示的な実施態様では、フレームセクション904aは、中間セクション930から離れる方向に延びる第1のアーム931および第2のアーム932を有するU字形状を有し、中間セクション930は、U字形状とは反対の方向に面する鞍形曲線を有する。
【0072】
いくつかの実施態様では、弁フレームは、非対称に成形することも可能であり、またはフレア加工されるか、もしくは傾斜させられた交連ポストにより非対称に拡張させるか、またはフレームセクション間で異なる厚さまたは材料を持たせることも可能である。交連ポスト同士は、サイズおよび/または形状に関して互いに鏡映させてもよく、またはそれらは互いに異なってもよい。弁フレームと2つの交連ポストは、心臓の周期中に開口形状を変化させる(つまり、円筒形の開口部が、最高拡張期負荷の下で長円形/楕円形になる)ことを可能にするために、可変曲げ剛性を示してもよい。
【0073】
図20Aおよび20Bは、いくつかの実施態様による弁置換装置の弁フレームのフレームセクションの一方の曲線プロファイルを示す。この実施態様では、曲線プロファイル908は、平面902から、代表的な血管の内壁を表わすことのできる円筒906に、楕円四半分904を投影することによって、近似的に画定することができる。楕円形プロファイル903は、フレームの高さ(H)に等しい半長軸長さと、フレームの半径(r)に等しい長さの半短軸とを有してもよい。円筒は、フレーム開口部の半径と同等の半径を有してもよい。投影された楕円共頂点(co-vetex)は、円筒の中心線、楕円の頂点、および楕円の中心と一致させて、
図20Bの側面図からみたときに、これらがすべて、円筒の中心横断面の外縁と一致するようにすることができる。この構成では、楕円四半分がそこから導出される楕円の中心は、円筒の軸端部の周囲に沿った点と一致し、楕円の短軸と長軸は、円筒の断面の縁部と同軸である。
【0074】
曲線プロファイル908は、反対側のフレームセクションの曲線プロファイルを生成するために、円筒の中心平面のまわりに鏡映させることができる。
【0075】
また、複合曲線または多項式スプラインを円筒上に投影して、フレーム全体の曲線プロファイルを生成することもできる。
【0076】
図21は、2つの異なる状態:非拡張状態1000aおよび拡張状態1000bにおける、弁置換装置の弁フレームの一実施態様を示す。この実施態様では、弁フレーム1002の長さは、弁フレームの拡張中に一定に保持される。弁フレームの実際の長さを長くする代わりに、フレームの半径方向の増大には、弁フレームの高さを低減することによって対応する。
図22は、装置がベースライン直径DBから最終直径2DBまで拡張するときに、異なるベースライン高さと直径の比(HB/DB)を有する、弁フレームの実施態様の高さと直径の比(H/D)がどのように変化するかを示す、線グラフを示す。ベースラインHB/DB比が2、1.7、および1.5の実施態様が示されているが、その他の比も上記のように考えられる。
【0077】
弁置換装置の一実施態様は、流体力学性能試験に供された。弁置換装置は、弁フレームの5つの異なる拡張状態(16mm、19.2mm、22.4mm、25.6mm、および28.8mm)で試験された。
図23Aは、異なる拡張状態において、
図22のHB/DB=1.7の弁フレームを有する弁置換装置の両側の測定流量、逆流体積、および弁内外圧力勾配(開フェーズ、心収縮期(systole)中の弁の両側での圧力降下の測定)の両方を表わす棒グラフと線グラフである。この装置は、拡張中を通して妨害されない順流を示した。(成長する患者における生理的状態を模倣するために)増大する弁直径と一致するように流量が増大されたのに伴い、弁内外圧力勾配(ΔP)は弁拡張に伴い増加しなかった。
【0078】
図23Bは、弁置換装置が開閉したときの経時的な流れ特性の変化を表わす線グラフを示す。2つの弁サイズ、16mmおよび28.8mmIDが示されている。
図23Cは、さまざまな弁の直径で、さまざまな拡張期圧(つまり、閉状態の弁尖にかかる圧力負荷):20mmHg(生理学的な右心拡張期圧を表わす)および80mmHg(生理学的な左心拡張期圧を表わす)、において測定された逆流率を示している。全拡張状態(すなわち、1Xから1.8X IDまで)にわたり、拡張状況において、装置は、わずかな弁の漏出を示すことがわかった。
図23Dは、負荷状態(すなわち、閉じた状態における弁尖)において成長対応型弁にかかる応力の大きさと分布を評価するために実施された、有限要素解析の結果を示す。提示されたデータは、20mmHgの負荷圧力下での最高応力(最大主応力、MPa)を示している。データは、閉鎖状態での弁尖への最高応力の大きさが、16mmから28.8mm(ベースライン直径の1倍から1.8倍)への拡張の全体を通して、比較的低いことを示した。応力の多くは変形が最も高い場所に分布し、弁尖・フレームの取り付け部位に応力は集中しなかった。さらに、フレーム交連部において比較的応力が低く、これは、当技術分野で知られている従来式の3弁尖生体弁(3-leaflet bio-prosthetic valve)設計からの逸脱を表わす。
【0079】
図24A、24C、24E、および24Gは、14mmの内径を有する弁置換装置の一実施態様を、4頭の子羊に植え込むことによって行われた、in vivo試験の結果を示す。
図24B、24D、24F、および24Hは、弁置換装置の同じ実施態様が25mm(ベースライン直径の1.8倍)に拡張され、4頭の成羊に植え込まれたin vivo試験の結果を示す。これらの研究では、弁置換装置は、子羊と羊の肺動脈弁を置換するのに使用された。
図24Cおよび24Dは、それらの動物の心周期の過程における、右心室(弁に対して近位)および肺動脈圧(弁に対して遠位)において測定された変化を示す。弁の拡張状態に関係なく、弁の両側で弁内外勾配がないことがわかった。
図24Eおよび24Fは、心周期の過程における弁置換装置の両側において測定された生理学的流れの代表的な流れ波形を示す。開口部の直径に関係なく、生理液の順方向の流れは妨げられておらず、拡張期における弁置換装置を越えての漏れはなかった。
図24Gおよび24Hは、植え込まれた弁置換装置をin vivoで視覚化するために行われた心エコー図を示す。弁直径拡張の異なる状態でのフレーム高さおよび弁尖接合高さの変化が、2つの動物グループ間で明らかになる。
【0080】
図25A~Dは、弁置換装置の弁フレームの一実施態様を示す。この実施態様では、弁フレーム2500は、フレームの交連部2502に取り付けられた補強ストラット2504などの、上部補強機構を含む。装置はまた、フレームセクションの下部同士を接続する下部補強ストラット2506を含む。この実施態様では、上部補強ストラット2504は、完全に拡張された状態で円形の輪郭を有し、環の正反対の点で交連部に取り付けられている。この実施態様の上部補強ストラットは、機構が非拡張状態にあるときに上部補強ストラットの直径を減少させるのに役立つ、起伏2508を含む。フレームが拡張するときに、交連部の対が離れて、交連部の対間の距離を増大させ、上部補強ストラットに拡張応力を加える。起伏は、起伏をまっすぐにすることにより、上部補強ストラットが機構と共に拡張することを可能にする。補強ストラットの全長は、フレームが拡張を制限せず、弁の開口部を妨害したり、弁尖取付けフレームの幾何学形態を歪めたりすることなく、可能な最大の円周まで確実に拡張できるように、開口部の最大円周と同じかそれよりも大きくしてもよい。
【0081】
起伏のある環状の上部補強ストラットが
図25A、25C、および25Dに示されているが、フレームが拡張できるようにしながら、フレームセクションの交連部同士を接続する任意の形状または配置も企図されることを理解されたい。例えば、環状形状の代わりに、上部補強ストラットは、楕円形、菱形、または多角形とすることも可能であるか、または1つの連続した閉ループの代わりに別個の接続部分を備えることも可能である。上部補強ストラットは、伸縮設計(telescoping design)にすること、補強ストラットを拡張したときに可逆的に変形可能な弾性材料で作製すること、または単に、図に描かれているよりも多いか、少ないか、もしくは大きいか、小さい起伏を有することもできる。
【0082】
図26は、上部補強ストラットの取り付けゾーン2600を示す。いくつかの実施態様では、上部補強ストラットは、交連部の高さの上部30%以内で弁フレームに取り付けられる。しかしながら、上部補強ストラットが装置の上部30%ゾーンの外側に取り付けられる、他の実施態様も考えられることを理解されたい。
【0083】
いくつかの実施態様では、上部補強ストラットは、交連部の対の上部またはその近くでフレームに取り付けられる。
【0084】
図25A~Dの実施態様に示されているように、下部補強ストラット2506は、弁フレームがその非拡張構成にあるときに下部支持機構がより小さな直径を有することを可能にする起伏2508を含む。弁の直径が増大するときにフレームセクションが離間するにつれて、起伏が真っ直ぐになり、下部補強ストラット2506の直径を拡張させて、下部機構がフレームと共に拡張することを可能にする。
【0085】
装置のフレームの下に伸びる明確な涙滴形状を有する下部補強ストラットが示されているが、下部機構は、下部機構が拡張状態全体にわたって弁尖取り付けフレームの所望の幾何学的プロファイルを維持するのを助けることを可能にする、任意の形状にすることができる。下部補強ストラットは、経カテーテル配備用の固定部位として、または生来の心臓構造への取り付け用に、または他の用途にも使用できる。たとえば、下部支持機構は、伸縮設計にすること、機構が拡張されたときに可逆的に変形可能な弾性材料で作製すること、または単により多いか、より少ないか、もしくはより大きいか、より小さい起伏を有することも可能である。
【0086】
図27は、下部補強ストラットの取り付けゾーン2700を示している。
図27は、
図25Dの側面図に重ね合わせた、
図25Bからの弁フレームの上面図を示す。線2702は、開口部の直径を通過し、弁フレームの2つの交連部の上部同士を接続する仮想線に垂直な、仮想軸である。平面図を見ると、線2702がx軸であり、垂直線2703がy軸であるとすると、0°が線2702とフレーム(単位円の0°)との右交点から始まり、反時計回りで開くと仮定して、取り付けゾーン2700は280°と330°の間である。
図27に見られるように、280°から330°は、側面図で見られるように、フレームセクションの弧の下部に対応している。いくつかの実施態様では、下部機構は、点2501で表されるように、310°において取り付けられる。
【0087】
下部補強ストラットが装置の取り付けゾーン2700の外側に取り付けられるその他の実施態様も、企図されることを理解されたい。
【0088】
図28は、異なる拡張サイズ(それぞれ12.7mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mm、および24mm)での
図25Aの弁フレームの側面図を示す。
【0089】
図29は、補強ストラットを有する
図25A~D実施態様、および補強ストラットを備えない
図21の実施態様の、高さと直径の比が、弁直径の拡張と共にどのように変化するかを描写するグラフである。補強ストラットを備えた実施態様は、バルーン拡張を介して拡張されたのに対して、補強ストラットを備えていない実施態様は、シミュレーションで20%の増分で拡張された。実線は、補強ストラットを備えない弁置換装置(例えば、
図21)の挙動を表わすのに対して、破線は、上部と下部の両方の補強ストラットを備えた
図25A~Dの弁置換装置の挙動を表わす。各装置のベースラインの高さと直径の比は1.7:1であって、ベースラインの直径が2倍になるように拡張された。これらの装置では両方とも、弁フレーム直径が増大するにつれて高さと直径の比が減少する、非常に類似した拡張する弁フレームの運動学的プロファイルを達成することが分かった。
【0090】
図30A~Bおよび
図31A~Bは、
図25A~Dの弁フレームを有する弁置換装置のin vitro流体力学性能試験の結果を示す。装置の機能的なプロトタイプは、さまざまな拡張の状態で、洗練された模擬循環流ループ内で試験された。装置は、ベースライン構成(内径12.7mm、1倍)で試験され、次にバルーンカテーテルで23mm内径(1.8倍)に拡張され、生理学的な圧力と流れの条件下で再試験された。
図30Aは、心周期の過程において12.7mmの開口直径での、装置を越える流れプロファイルを示す。
図30Bは、その他の測定値を示し、弁の両側での弁内外圧力勾配、装置を通る流体流れプロファイルを含み、漏れ体積および逆流率を含む。
図31Aは、心周期の過程における、ベースライン直径(23mm)の1.8倍における、装置を越える流れプロファイルを示す。
図31Bは、
図30Bと同じタイプの測定を反映しているが、開口直径が23mmの拡張状態にある装置についてのものである。弁の機能は、試験された各弁の直径で変化しないことがわかった。
【0091】
図32A~32Cは、25kgの羊に植え込まれた一実施態様による弁置換装置を示す。拡張されていない(12.7mm)弁置換装置は、25kgの羊の肺動脈弁の位置に植え込まれた。装置は、経カテーテルバルーン拡大を使用して16mm、18mm、および20mmに拡大された。
図32Aは16mmまで拡大された装置を示し、
図32Bは拡大過程を示し、
図32Cは18mmでの
図32Bの拡大後の装置を示す。弁の幾何学形態(弁尖の取り付けラインと補強ストラット)は、拡張前および拡張後の幾何学的プロファイルに一致することがわかった。弁は、バルーンメーカーが推奨するバルーン圧を使用して、植え込まれたin vivo設定で臨床標準バルーンカテーテルによって生成される半径方向の力の下で正常に拡張し、弁フレームは、複数回の連続的な拡大後もその構造的完全性を維持した。
【0092】
図33A~33Dは、短縮された下部補強ストラット3206を有する弁フレーム3200の代替実施態様を示す。この実施態様では、下部補強ストラットの起伏は、弁フレームの底部を越えては延在しない、より短い涙滴形状の起伏トラフ(undulation trough)3208を有する。
【0093】
図34A~34Dは、装置のフレームに沿って複数の穴3303を有する弁フレーム3300の代替実施態様を示す。フレームに沿った穴を有することは、弁尖をフレームに縫合するための固定点を提供することを企図している。任意のサイズの、互いに任意の距離が空けられた、任意の数の穴を使用できることを理解されたい。穴は、フレームの本体に直接、形成しなくてもよく、代わりに、フレーム本体から生ずるセクションに形成してもよい。
【0094】
図35A~35Dは、上部補強ストラット3402および下部補強ストラット3406に加えて、中央補強ストラットを含む弁フレーム3400の代替実施態様を示す。この実施態様では、中央補強ストラット3410は、2つのフレームセクションを接続する、2つの半環状部分を有してもよい。中央補強ストラット3410の部分は、中央取り付け機構のサイズプロファイルを縮減することができる、起伏3412を含めることができる。上部と下部の補強ストラットと同様に、起伏は真っ直ぐになり、中央補強ストラットがフレームと共に拡張することを可能にする。中央補強ストラットは、最大拡張での開口部の周囲長に等しいか、それを超える長さを有することができる。
【0095】
図36A~36Bは、弁尖をフレームに縫合するための固定点を提供することができる装置のフレームに沿った複数の穴3503に加えて、フレームの補強を補助するための中央補強ストラット3510を有する、弁フレーム3500の代替実施態様を示す。
【0096】
実施態様は、補強ストラットなしで、または上部、中央、および下部の補強ストラットの1つまたは2つ以上を備えて示されているが、企図される実施態様は、任意の数の場所に位置する任意の数の補強ストラットを有することができることを理解されたい。補強ストラットは、フレームが完全に拡張した直径まで拡張できるようにすると同時に、拡張されたフレームの幾何学形態が、保存された弁機能(例えば、妨害のない順流、および皆無または最少の逆流)を可能にするように、フレームに構造的な支持を与える役割を果たすことができる。
【0097】
いくつかの実施態様では、補強ストラットおよび/または弁フレームは、SS-316LまたはCoCr-MP35N、または装置に構造的完全性を与えるのに十分な剛性を備え、同時に弁フレーム拡張と共に、起伏がまっすぐになることを可能にするか、または弁フレーム拡張と共に拡張する、その他の拡張設計を可能にするのに十分な延性がある、その他任意の材料から構築することができる。補強ストラットは、フレームと同じ幅および壁厚を有するか、またはフレームよりも厚くても薄くてもよい。
【0098】
いくつかの実施態様では、補強ストラットは、一枚の材料シートからレーザー切断、打ち抜き、またはその他の方法で切断することができる。他の実施態様では、補強ストラットは、単一片の材料から形成される必要はない。例えば、補強ストラットは、例えば、一片の材料を別の一片の材料と連結することによって、異なる材料の組み合わせで作製することができる。補強ストラットは、均一または不均一な厚さを有してもよい。
【0099】
図37A~37Cは、弁尖の弁フレームへの取り付け方を示すために、弁尖106に取り付けられた
図33A実施態様の弁フレーム3200を示す。
図25A、33A、34A、35A、および36Aに示される、その他の補強ストラットの実施態様について、弁尖は、
図37A~37Cに示されるのと同様の向きで、そのような弁フレームに取り付けてもよい。
図38Aは、拡張状態にある
図37Aの弁フレームおよび弁尖の組み合わせの正面図を示し、
図38Aは、
図38Aの側面図を示す。
【0100】
図39A~39Dは、弁置換装置の代替実施態様を示す。この実施態様では、弁フレーム3900は、フレームセクションの下部同士を接続する上部補強ストラット3904および下部補強ストラット3906を含む。この実施態様は、フレーム支持機構の機械的特性および/または幾何学形態および/または幅または厚さを修正して、弁フレーム3900の拡張形状(すなわち、開口部の形状)に影響を与えることができる方法の一例である。この実施態様では、上部補強ストラット3904は、弁尖取り付け線の太さ、および下部補強ストラット3906の厚さに比べて厚さが低減されており、これらの他のフレーム構成要素よりも、剛性が低くされている。理論に拘束されるつもりはないが、これらの修正により、装置の拡張プロファイルの変更が生じ、その場合に、拘束が少なくなるために交連部の対に半径方向に大きな変形が生じ、弁置換装置の上端において、非対称/非円形の広がりが生じると考えられる。下部補強ストラットは、弁の基部において円形の開口部を維持する。
【0101】
本開示の様々な観点は、単独で、組み合わせて、または前述の実施態様で具体的に考察されていない様々な構成で使用することができ、したがって、その応用において、前述の説明に記載されるか、または図面に示された、構成要素の詳細および配設に限定されない。たとえば、一実施態様で説明された観点は、他の実施態様で説明された観点と任意の方法で組み合わせてもよい。
【0102】
また、本明細書で説明される実施態様は、方法として具現化されてもよく、その例が提示されている。この方法の一部として実行される行為は、任意の適切な方法で順序付けることができる。したがって、例示的な実施態様では順次動作として示されているが、いくつかの動作を同時に実行することを含み得る、動作が図示とは異なる順序で実行される実施態様を構築することができる。
【0103】
本教示は、様々な実施態様および実施例に関連して説明されているが、本教示がそのような実施態様または実施例に限定されることは意図していない。反対に、当業者には理解されるように、本教示は、様々な代替形態、修正形態、および均等物を包含する。したがって、前述の説明および図面は、例にすぎない。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が通過するための開口部を画定する、弁フレームであって、前記開口部は前記開口部の最大寸法に沿った直径を有し、弁フレームは拡張可能であって前記開口部を直径5mmから50mmまで増大させることができる、弁フレームと、
前記弁フレームに結合された第1の弁尖であって、前記開口部が露出される開構成と、前記第1の弁尖が少なくとも部分的に前記開口部を覆う、閉構成とを有する、第1の弁尖と
を含む、弁置換装置であって、
前記弁フレームは、前記開口部の直径の増大を可能にするように拡張可能であり、前記第1の弁尖は、前記開口部の直径が5mmから50mmまで拡張するときに、開構成と閉構成の間で移動可能である、弁置換装置。
【外国語明細書】