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特開2024-109051混合デバイス及び混合デバイスのための使捨てデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109051
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】混合デバイス及び混合デバイスのための使捨てデバイス
(51)【国際特許分類】
   B01F 33/452 20220101AFI20240805BHJP
   B01F 35/513 20220101ALI20240805BHJP
   B01F 35/32 20220101ALI20240805BHJP
   C12M 1/02 20060101ALI20240805BHJP
   B01F 101/22 20220101ALN20240805BHJP
   B01F 101/44 20220101ALN20240805BHJP
【FI】
B01F33/452
B01F35/513
B01F35/32
C12M1/02 A
B01F101:22
B01F101:44
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000644
(22)【出願日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】23154333
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】524008915
【氏名又は名称】レヴィトロニクス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ホレンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ニルス シュレーゲル
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン バスマー
【テーマコード(参考)】
4B029
4G036
4G037
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB01
4B029CC01
4B029DB08
4G036AC24
4G037DA13
4G037DA30
4G037EA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】混合デバイス及び混合デバイスのための使捨てデバイスを提供する。
【解決手段】少なくとも2つの物質を混合するための混合デバイスであって、単回使用の使捨てデバイス100及び複数回使用できる再使用可能デバイス200を有し、使捨てデバイス100は、磁気有効コアを内部に有するロータ・ハウジング2と、ベーン7を有するインペラー10と、ロータ・ハウジング2を受け取るカップ81とを備え、再使用可能デバイス200は、インペラー10を非接触で磁気的に浮上かつ駆動して回転させるステータ4を備え、ステータ4は、カップ81を受け取るように設計される凹所51を有するステータ・ハウジング5を備え、更に、カップ81に封止接続されインペラー10が配置される可撓性混合容器110を備える、混合デバイスのための使捨てデバイスである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの物質を混合するための混合デバイスであって、単回使用のために設計された使捨てデバイス(100)、及び複数回にわたる使用のために設計された再使用可能デバイス(200)を有し、
前記使捨てデバイス(100)は、ロータ・ハウジング(2)及び前記物質を混合するための複数のベーン(7)を有するインペラー(10)と、前記ロータ・ハウジング(2)を受け取るためのカップ(81)とを備え、前記インペラー(10)は、軸方向(A)を画定している所望の回転軸(D)の周りを回転するように設計され、前記インペラー(10)は、前記軸方向(A)に対して直角の半径方向における前記インペラー(10)の最大延長である外径(DA)を有し、磁気有効コア(3)が前記ロータ・ハウジング(2)の中に提供され、前記カップ(81)は寸法的に安定な方法で設計され、前記再使用可能デバイス(200)はステータ(4)を備え、前記ステータ(4)により、動作状態では、前記インペラー(10)を非接触で磁気的に駆動して、前記所望の回転軸(D)の周りに回転させることができ、且つ、前記ステータ(4)に対して磁気的に浮上させることができ、前記ステータ(4)は、前記インペラー(10)を駆動し、且つ、浮上させるための回転電磁界を生成するための複数の巻線(6)を備え、及び前記ステータは、中に前記ロータ・ハウジング(2)が配置された前記カップ(81)を受け取るように設計されている凹所(51)を有するステータ・ハウジング(5)を有し、それにより前記カップ(81)を前記凹所の中に挿入することができる混合デバイスにおいて、前記インペラー(10)を傾斜に対して安定させるための複数の安定化要素(9)が前記インペラー(10)に提供され、個々の安定化要素(9)は2つのベーン(7)の間に配置され、且つ、半径方向に対して半径方向の内縁(91)から半径方向の外縁(92)まで延在し、及び個々の半径方向の外縁(92)は、前記所望の回転軸(D)から、前記インペラー(7)の前記外径(DA)の半分より短い距離(D92)を有することを特徴とする混合デバイス。
【請求項2】
個々のベーン(7)が、半径方向に対して前記所望の回転軸(S)から一定の半径方向の距離(D1)で配置され、前記半径方向の距離(D1)がゼロではなく、及び個々の安定化要素の前記半径方向の内縁(91)が、前記所望の回転軸(D)から、前記半径方向の距離(D1)より長い距離(D91)を有する、請求項1に記載の混合デバイス。
【請求項3】
個々のベーン(7)が、前面(71)、背面(72)、上縁(73)及び下縁(74)を有し、前記インペラー(10)が回転すると前記前面(71)が前記背面(72)よりも先行し、前記下縁(74)及び前記上縁(73)が前記軸方向(A)に対して前記ベーン(7)の範囲を定め、前記上縁(73)が、前記ロータ・ハウジング(2)から離れて対向している前記ベーン(7)の端部に配置され、並びに前記安定化要素(9)が前記ベーンの前記前面(71)及び/又は前記背面(72)に配置される、請求項1又は2のいずれか一項に記載の混合デバイス。
【請求項4】
前記安定化要素(9)がそれぞれ、前記前面(71)又は前記背面(72)と、0°ではなく、及び180°ではない角度をなし、前記角度が40°から140°までの範囲であることが好ましい、請求項3に記載の混合デバイス。
【請求項5】
その前記前面(71)に安定化要素(9)が提供される個々のベーン(7)が前記背面(72)に同じく安定化要素(9)を備えるよう、前記安定化要素(9)が対称で配置される、請求項3又は4のいずれか一項に記載の混合デバイス。
【請求項6】
前記安定化要素(9)がそれぞれの前記ベーン(7)の前記上縁(73)よりも前記下縁(74)の近くに配置される、請求項3から5までのいずれか一項に記載の混合デバイス。
【請求項7】
個々のベーン(7)が湾曲方式で設計され、したがって前記前面(71)又は前記背面(72)が中低方式で設計される、請求項3から6までのいずれか一項に記載の混合デバイス。
【請求項8】
前記安定化要素(9)が、それぞれ1つのベーン(7)の前面(71)から隣接するベーン(7)の背面(72)まで延在する複数のリング・セグメントを備える、請求項3から7までのいずれか一項に記載の混合デバイス。
【請求項9】
前記ロータ・ハウジング(2)が、外部ハウジング径(DR)並びに上部端面(25)及び下部端面(26)を有する円筒状に設計され、前記上部端面及び下部端面が、前記軸方向に対する前記ロータ・ハウジング(2)の範囲を定め、並びに任意選択で円板形ハブ・ディスク(78)が前記ロータ・ハウジング(2)の前記上部端面(25)に配置され、前記上部端面(25)に前記ベーン(7)が提供される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の混合デバイス。
【請求項10】
前記安定化要素(9)が前記ロータ・ハウジング(2)の前記上部端面(25)又は前記ハブ・ディスク(78)の上に配置され、前記所望の回転軸(D)からの個々の半径方向の外縁(92)の距離が、前記ロータ・ハウジング(2)の前記ハウジング径(DR)の半分より長い、請求項9に記載の混合デバイス。
【請求項11】
前記ロータ・ハウジングの前記上部端面(25)及び/又は前記下部端面(26)が、前記端面(25、26)の円周全体に沿って延在する面取り(251、261)を使用して設計される、請求項9又は10のいずれか一項に記載の混合デバイス。
【請求項12】
前記インペラー(10)を前記軸方向(A)に完全に貫通して延在する少なくとも1つのリリーフ・ボア(23)を有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の混合デバイス。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一項に従って設計された混合デバイスのための使捨てデバイスであって、前記インペラー(10)と、前記ロータ・ハウジング(2)を受け取るための前記カップ(81)とを備える使捨てデバイス(100)。
【請求項14】
固定手段(120)を更に備え、前記固定手段(120)により、前記磁気有効コア(3)が前記カップ(81)の中に磁気的に保持され、引っ張ることによって前記固定手段(120)を除去することができる、請求項13に記載の使捨てデバイス。
【請求項15】
混合される物質のための可撓性混合容器(110)を更に備え、前記混合容器(110)が前記カップ(81)に封止接続されて全体を形成し、及び前記インペラー(10)が前記全体の中に配置される、請求項13又は14のいずれか一項に記載の使捨てデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれのカテゴリの独立特許請求項のプリアンブルによる、少なくとも2つの物質を混合するための混合デバイス、及び混合デバイスのための使捨てデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも2つの物質を混合し、例えば2つの液体又は1つの液体を粉末と、或いは液体又は懸濁液を気体と混合するための混合デバイスは、多くの技術分野で使用されている。多くの用途では、混合が生じる混合容器及びその中に含まれている構成要素が清潔であることは極めて重要である。ここでは、実例として製薬産業及び生物工学産業を挙げることができる。ここでは、物質の慎重な配合を必要とする溶液及び懸濁液が頻繁に調製される。
【0003】
製薬産業において、例えば製薬的活性物質の製造では、清潔性に対して極めて高い要求がなされ、物質と接触する構成要素は、殺菌しなければならないことさえしばしばある。生物工学においても、例えば製造される製品の有用性を危うくしないために極端に程度が高い清潔性を保証しなければならない、生物学的物質、細胞又は微生物の準備、処理又は培養に同様の要求がなされている。
【0004】
例えば、物質、例えばタンパク質を回収するために、或いは細胞又は他の生物学的材料を培養するためにバイオリアクタが使用されている。バイオリアクタは、連続プロセス及びバッチ・プロセスの両方で動作させることができる。これらのプロセスでは、バイオリアクタから流体、例えば細胞ブロスを除去し、それを濾過デバイスに供給し、残余分をバイオリアクタに再び戻すことは典型的な方法である。次に、抽出されるべき物質が濾過液又は浸透液として濾過デバイスから除去され、吐出される。
【0005】
したがって、例えば混合容器中における細胞ブロス(cell broth)の連続混合又は細胞ブロスの連続循環を保障するために、バイオリアクタには混合デバイスが必要である。ここでは、物質を保護するために、或いは製造される製品を汚染から保護するために、極めて程度が高い清潔性を保証しなければならない。
【0006】
したがって、例えば生物学的活性が生じるこのようなプロセスでは無菌性が極めて重要である。例えば蒸気殺菌によるデバイスの殺菌は、時間を消費し、また、費用がかかる要因であることが極めて多い。そのために、今日、時間を消費する殺菌プロセスを回避するために、或いは最短に低減するために、それぞれのデバイスの構成要素をこのようなプロセスのための使捨て部品として設計する傾向が増している。詳細には、プロセスの間、生物学的物質と直接接触する構成要素は、しばしば、使捨て部品として設計されている。使捨て部品(使捨て)という用語は、それらの意図された目的に従って一度だけ使用することができる部品又は構成要素を意味している。使用後、使捨て部品は廃棄され、次の用途のために新しい使捨て部品、即ち未だ使用されていない使捨て部品と交換される。
【0007】
使捨て部品は、使用に先だって、例えばガンマ放射線を照射することによって殺菌される。これらの使捨て部品又は使捨てデバイスは、次に、他の構成要素、例えば複数回にわたる使用のために設計された再使用可能デバイスと共に組み立てられなければならない。単回使用のための使捨てデバイスを製造し、又は設計する場合、それらを再使用可能デバイス又はその構成要素と共に、可能な最も単純な方法で組み立てることができることは重要な基準である。この組立ては、可能な限りほとんど努力することなく、僅かな単純なステップで、速やかに、好ましくはツールを必要とすることなく実施することができることが望ましい。したがって可能な最も単純な方法で組み立てることができ、又は分離することができるように、使捨てデバイス及び再使用可能デバイスの設計に努力が払われている。
【0008】
可能な限り良好なプロセスのための清潔性要求事項に合致するために、それぞれの物質と接触する混合デバイスの構成要素の数を可能な限り少なく維持するための努力が払われている。そのために電磁動作混合デバイスが知られており、通常はインペラーを備えているか、又はインペラーを駆動するロータが混合容器の中に配置されている。この場合、ステータは混合容器の外側に提供されており、ステータは、混合容器の壁を介して、接触することなく、磁界又は電磁界によってロータを駆動し、また、接触することなく、所望の位置でロータを磁気浮上させる。この「非接触」概念は、とりわけ、不潔性又は汚染の原因になり得る混合容器中への機械的軸受又はフィードスルーが不要である利点を同じく有している。
【0009】
物質がバイオリアクタの中を循環して混合される、このタイプのとりわけ有効なデバイスは、欧州特許第2 065 085(B)号明細書の範囲に開示されている。ここでは、混合容器の中に配置されたステータ及びロータが軸受なし電動機を形成している。軸受なし電動機という用語は、電磁回転駆動を意味しており、ロータはステータに対して完全に磁気的に浮上され、個別の磁気軸受は提供されない。そのために、ステータは、電気駆動のステータ及び磁気浮上のステータの両方である軸受及び駆動ステータとして設計されている。磁気回転界はステータの巻線を使用して生成することができ、磁気回転界は、一方ではロータを回転させるトルクをロータに付与し、また、他方では、ロータの半径方向の位置を能動的に制御することができ、或いは調整することができるよう、必要に応じて設定することができるせん断力をロータに付与する。
【0010】
磁気的に浮上されるロータ又は磁気的に浮上されるインペラーを有する混合デバイスの場合、磁気浮上が任意にハイ・ローダブルではないことによる問題が生じ得る。これは、とりわけ、ロータの少なくとも1自由度が単に磁気抵抗力によって受動的に磁気安定化される、即ちロータの少なくとも1自由度を能動的に制御し、或いは調整することができない設計にあてはまる。この自由度に影響を及ぼすインペラーの力、即ちモーメントが過度に大きくなると、ロータの信頼性の高い磁気浮上はもはや保証されない。実例として、ここでは、所望の回転軸によって画定される軸方向に対してロータ又はインペラーを傾斜させることについて言及することができる。動作状態におけるインペラーに作用する傾斜モーメントが過度に大きくなると、ロータを安定させる磁気抵抗力は、もはや、十分に大きい回復トルクを生成するのに十分な大きさではなく、したがってインペラーは、例えばインペラーを取り囲んでいる壁に当たることになり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第2 065 085(B)号明細書
【特許文献2】欧州特許第4 083 431号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、この現況技術に鑑みて、本発明の目的は、磁気的に浮上されるインペラーを有する混合デバイスを提案することであり、混合デバイスは、単回使用のための使捨てデバイス、及び複数回にわたる使用のための再使用可能デバイスを備え、インペラーは、過剰傾斜に対してより良好に固着される。更に、本発明の目的は、このような混合デバイスのための使捨てデバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的に合致する本発明の主題は、それぞれのカテゴリの独立特許請求項の特徴によって特性化される。
【0014】
本発明によれば、少なくとも2つの物質を混合するための混合デバイスが提案され、混合デバイスは、単回使用のために設計された使捨てデバイス、及び複数回にわたる使用のために設計された再使用可能デバイスを有し、使捨てデバイスは、ロータ・ハウジング及び物質を混合するための複数のベーンを有するインペラーと、ロータ・ハウジングを受け取るためのカップとを備え、インペラーは、軸方向を画定している所望の回転軸の周りを回転するように設計され、インペラーは、軸方向に対して直角の半径方向におけるインペラーの最大延長である外径を有し、磁気有効コアがロータ・ハウジングの中に提供され、カップは寸法的に安定な方法で設計され、再使用可能デバイスはステータを備え、そのステータにより、動作状態では、インペラーを非接触で磁気的に駆動して、所望の回転軸の周りに回転させることができ、且つ、ステータに対して磁気的に浮上させることができ、ステータは、インペラーを駆動し、且つ、浮上させるための回転電磁界を生成するための複数の巻線を備え、また、ステータは、中にロータ・ハウジングが配置されたカップを受け取るように設計されている凹所を有するステータ・ハウジングを有し、それによりカップを凹所の中に挿入することができる。インペラーを傾斜に対して安定させるための複数の安定化要素がインペラーの上に提供され、個々の安定化要素は2つのベーンの間に配置され、且つ、半径方向に対して半径方向の内縁から半径方向の外縁まで延在し、また、個々の半径方向の外縁は、所望の回転軸から、インペラーの外径の半分より短い距離を有する。
【0015】
回転しているインペラーの、軸方向に対する傾斜に対する著しくより良好な安定は、ベーンの上及び/又はロータ・ハウジングに配置されている、インペラー上のこれらの安定化要素によるものであることが分かっている。更に、インペラーの軸方向の位置も同じくより良好に安定化され、したがってインペラーは、軸方向に対するその所望の位置をより良好に維持し、軸方向に容易に変位しない。混合デバイスが軸受なし電動機の原理に従って設計される場合、インペラーは、通常、受動的に磁気的に安定化され、又は浮上され、即ちインペラーをこれらの3自由度、即ち傾斜の2自由度及び軸方向の位置の自由度に対して制御することができない。磁気浮上は、この場合、受動的に磁気的に安定化される安定化要素によって、自由度に対して正確にリリーフされる。これは、インペラーの著しくより安定な磁気浮上をもたらす。この場合、安定性が増しているため、インペラーにより大きい機械的負荷をかけることも可能であり、例えばより長い、又は幅がより広いベーンを使用することができ、これは、混合デバイスの効率に対して有利な効果を有する。
【0016】
とりわけ、安定化要素による追加の安定化は、安定化要素によって生成される攪乱によるものであり得るあらゆる潜在的不安定化をはるかに凌いでいることが分かっている。
【0017】
個々の半径方向の外縁が、所望の回転軸から、インペラーの外径の半分の最大90%又は最大80%又は最大70%の距離を有する実施例が可能である。
【0018】
個々のベーンは、半径方向に対して所望の回転軸から一定の半径方向の距離で配置されることが好ましく、この半径方向の距離はゼロではなく、また、個々の安定化要素の半径方向の内縁は、所望の回転軸から、半径方向の距離より長い距離を有する。これは、ベーンが半径方向に対して安定化要素の半径方向の内縁よりも所望の回転軸の近くまで延在すること、言い換えると、半径方向に対して、安定化要素の半径方向の内縁は、ベーンの内部開始よりも更に外側であり、即ち安定化要素はベーンよりも更に外側で始まることを意味している。
【0019】
好ましい実施例によれば、個々のベーンは、前面、背面、上縁及び下縁を有し、インペラーが回転すると前面が背面よりも先行し、下縁及び上縁は軸方向に対してベーンの範囲を定め、上縁は、ロータ・ハウジングから離れて対向しているベーンの端部に配置され、また、安定化要素はベーンの前面及び/又は背面に配置される。
【0020】
この実施例では、したがって安定化要素はベーンの前面又は背面に配置され、したがってベーンの表面に配置され、主として物質の混合を提供する。個々の安定化要素はベーンの前面又は背面に配置されるため、安定化要素は、円周方向から見ると、このベーンとその円周状に隣接するベーンとの間に配置される。
【0021】
安定化要素の各々は、安定化要素がそれぞれ前面又は背面から円周方向に延在し、且つ、前面又は背面と少なくともほぼ90°の角度をなすよう、ベーンのそれぞれの前面又は背面に対して少なくとも実質的に直角に配置されることが好ましい。しかしながら安定化要素は前面又は背面に対して傾斜して配置されることも可能であり、即ちそれらが前面又は背面と鈍角又は鋭角をなすことも可能である。
【0022】
したがって安定化要素がそれぞれ前面又は背面と、0°ではなく、また、180°ではない角度をなしている実施例が好ましく、この角度は40°から140°までの範囲であることが好ましい。
【0023】
安定化要素は、その前面に安定化要素が提供される個々のベーンが背面に同じく安定化要素を備えるよう、対称で配置されることが更に有利な対処である。それぞれのベーンに対するこの対称実施例は、インペラーの平衡が取れた軸方向の位置をもたらす。詳細には、例えば追加の傾斜モーメントによるインペラーのより大きい偏向を回避することができる。
【0024】
更に、安定化要素がそれぞれのベーンの上縁よりも下縁の近くに配置されると有利であることが証明されている。したがって安定化要素は軸方向に対して磁気有効コアのより近くに配置され、これは、インペラーの安定化に対して有利な効果を有する。達成される安定化に関して、安定化要素のそれぞれの半径方向の内縁が、ベーンの半径方向に外部の端部よりもベーンの半径方向に内部の端部の近くに配置されるよう、安定化要素をそれらの半径方向の位置に対して所望の回転軸のより近くに配置することが有利であることが同じく証明されている。
【0025】
要約すると、したがって、安定化要素が軸方向及び半径方向の両方に対して磁気有効コアの中心の近くに配置されると有利である。
【0026】
好ましい実施例によれば、個々のベーンは湾曲方式で設計され、したがって前面又は背面は中低方式で設計される。
【0027】
安定化要素が、それぞれ1つのベーンの前面から隣接するベーンの背面まで延在する複数のリング・セグメントを備えることは更に好ましい実施例である。この実施例では、1つのベーンの前面は、個々の事例において、リング・セグメントによって隣接するベーンの背面に接続される。
【0028】
好ましい実施例によれば、ロータ・ハウジングは、外部ハウジング径並びに上部端面及び下部端面を有する円筒状に設計され、この上部端面及び下部端面は、軸方向に対するロータ・ハウジングの範囲を定め、任意選択でハブ・ディスクがロータ・ハウジングの上部端面に配置され、このハブ・ディスクの上にベーンが提供される。したがって、ハブ・ディスクを有するインペラーを設計することが可能であり、ハブ・ディスクの上にベーンが配置され、次に、例えばスナップ-ロック接続、差込み接続、又はスナップ-オン接続によって、このハブ・ディスクをロータ・ハウジングに接続する。一方、ベーンがロータ・ハウジングの複数の端面に直接配置され、或いはロータ・ハウジングの複数の端面のうちの1つに直接配置されることも同じく可能である。
【0029】
好ましい実施例によれば、安定化要素はロータ・ハウジングの上部端面又はハブ・ディスクの上に配置され、所望の回転軸からの個々の半径方向の外縁の距離は、ロータ・ハウジングのハウジング径の半分より長い。その結果、安定化要素は、半径方向に対してロータ・ハウジングを越えて突出する。
【0030】
傾斜させるために利用することができる隙間を広くするために、ロータ・ハウジングの上部端面及び/又は下部端面が、端面の円周全体に沿って延在する面取りを使用して設計されることは好ましい対処である。
【0031】
インペラーを軸方向に完全に貫通して延在する少なくとも1つのリリーフ・ボアが提供されることは更に有利な対処である。
【0032】
更に、本発明によれば混合デバイスのための使捨てデバイスが提案され、使捨てデバイスは本発明に従って設計される。使捨てデバイスは、インペラーと、ロータ・ハウジングを受け取るためのカップとを備える。
【0033】
好ましい実施例によれば、使捨てデバイスは固定手段を更に備え、この固定手段により、磁気有効コアがカップの中に磁気的に保持され、固定手段は引っ張ることによって除去することができる。この方法によれば、例えば使捨てデバイスが配送され、或いは出荷される際に、磁気力によってインペラーをカップの中に固定することができる。使捨てデバイスを再使用可能デバイスに挿入した後、使用に先だって、引っ張ることによって固定手段が除去される。固定手段は、例えば、カップの底に外部的に配置され、インペラーの磁気有効コアと協同する金属円板と、円板をカップから引っ張り出すことができるよう、この円板に取り付けられたストラップとを備える。
【0034】
別の好ましい実施例によれば、使捨てデバイスは、混合される物質のための可撓性混合容器を更に備え、混合容器はカップに封止接続されて全体を形成し、また、インペラーはその全体の中に配置される。混合容器は、例えばプラスチック・バッグとして設計され、このプラスチック・バッグはカップに溶接することができ、したがってカップとプラスチック・バッグが相俟って全体を形成し、その中に混合される物質が導入される。次に、カップが溶接された可撓性混合容器を寸法的に安定な支持容器の中に挿入することができ、次に、中にロータ・ハウジングが配置されたカップをステータが受け取る。
【0035】
本発明の他の有利な対処及び実施例は従属請求項から明らかである。
【0036】
以下、本発明について、実施例を参照して、また、図面(一部断面図)を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による混合デバイスの実施例の斜視図である。
図2図1と同様の分解図である。
図3】軸方向に沿った断面における実施例の断面図である。
図4図3と同様の分解図である。
図5】本発明による混合デバイスのステータの実施例の斜視図である(ステータ・ハウジングは示されていない)。
図6】軸方向に沿った断面における、図5のステータの略断面図である。
図7】軸方向に沿った断面におけるインペラーの実施例の略断面図である。
図8】ハブ・ディスクがその上に取り付けられたロータ・ハウジングの実施例の断面斜視図である。
図9】固定手段を有する使捨てデバイスの実施例の斜視図である。
図10】軸方向に沿った断面における、図9の使捨てデバイスである。
図11】インペラーを設計するための変形態様を示す斜視図である。
図12】インペラーを設計するための別の変形態様を示す斜視図である。
図13】インペラーを設計するための別の変形態様を示す斜視図である。
図14】インペラーを設計するための別の変形態様を示す斜視図である。
図15】インペラーを設計するための別の変形態様を示す斜視図である。
図16】インペラーを設計するための別の変形態様を示す斜視図である。
図17図16の変形態様を示す側面図である。
図18】インペラーを設計するための更に別の他の変形態様を示す斜視図である。
図19】インペラーを設計するための更に別の他の変形態様を示す斜視図である。
図20】インペラーを設計するための更に別の他の変形態様を示す斜視図である。
図21】インペラーを設計するための更に別の他の変形態様を示す斜視図である。
図22】インペラーを設計するための更に別の他の変形態様を示す斜視図である。
図23】インペラーを設計するための更に別の他の変形態様を示す斜視図である。
図24図23の変形態様を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明による混合デバイスの実施例の斜視図を示したものであり、混合デバイスはその全体が参照符号1で示されている。このような混合デバイス1は、とりわけ、生物工学産業又は製薬産業で使用することができる。また、本発明による混合デバイス1は、混合される物質と接触する構成要素の極めて程度が高い清潔性又は無菌性が肝要である用途にも同じくとりわけ適している。本発明による混合デバイス1は、バイオリアクタ又は発酵槽として、或いはバイオリアクタ又は発酵槽の構成要素として設計することも可能である。しかしながら本発明はこのような実施例に限定されず、より一般的には、培養基又は物質が混合される混合デバイスに関していることが理解される。詳細には、これらの物質は流体又は固体であってもよく、粉末であることが好ましい。本発明による混合デバイス1は、液体を互いに混合するのに適しており、並びに/或いは少なくとも1つの液体と粉末又は他の個体を混合するのに適しており、並びに/或いは気体と液体及び/又は固体を混合するのに適している。
【0039】
混合される物質と接触する構成要素の清潔性又は無菌性を保証するために、本発明による混合デバイス1は、参照符号100でその全体が示され、また、単回使用のために設計されている使捨てデバイスと、参照符号200でその全体が示され、また、永久使用のため、即ち複数回にわたる使用のために設計されている再使用可能デバイスとを備えている。使捨てデバイス100は、混合プロセスの間、混合される物質と接触する構成要素を備えていることが好ましい。
【0040】
「使捨てデバイス」という用語、及び使捨て部品、使捨て構成要素などの「使捨て」という要素を有する他の組成は、単回使用、即ち意図されているように一度だけ使用することができ、使用後は廃棄されるように設計されているデバイス、構成要素又は部品を意味している。新しい用途のためには、新しい、未だ使用されていない使捨て部品を使用しなければならない。したがって使捨てデバイス100を構成し、或いは設計する場合に重要なことは、可能な限り単純に、且つ、経済的に使捨てデバイス100を製造することができ、必要なコストが僅かであり、また、可能な最低の価格で入手することができる材料から製造することができることである。別の重要なことは、再使用可能デバイスと共に使捨てデバイス100を可能な限り容易に組み立てることができることである。したがって使捨てデバイス100は、高度な組立努力を必要とすることなく、極めて容易に交換することができなければならない。とりわけ好ましくは、使捨てデバイス100は、ツールを使用することなく、再使用可能デバイス200と共に組み立てることができ、或いは再使用可能デバイス200から分離することができなければならない。
【0041】
より良好に理解するために、図2は、更に、図1の本発明による混合デバイス1の実施例の分解斜視図を示している。図3は、軸方向に沿った断面における、組み立てられた状態のこの実施例の断面図を示したものである。最後に、図4は、図3と同様の断面図における、但し分解図における実施例を示したものである。
【0042】
混合デバイス1(図1から図4)では、使捨てデバイス100は少なくとも以下の構成要素、即ちロータ・ハウジング2及び物質を混合するための複数のベーン7、この事例では5つのベーン7を有するインペラー10と、ロータ・ハウジング2を受け取るためのカップ81とを備えている。磁気有効コア3はロータ・ハウジング2の中に配置されており、例えば永久磁気方式で設計されている。磁気有効コア3は、磁気有効コア3が耐トルク方式でロータ・ハウジング2に接続され、また、ロータ・ハウジング2に対して一切の並進運動を実施することができないようにロータ・ハウジング2に対して固定されている。そのために、ロータ・ハウジング2は、例えばプラスチックで鋳造され、例えばエポキシ樹脂で鋳造され、それにより磁気有効コア3がロータ・ハウジング2に対して固定される。ロータ・ハウジング2は、磁気有効コア3のカプセル封止21として設計されることも同じく可能である(例えば図7を参照されたい)。
【0043】
ロータ・ハウジング2は、外部ハウジング径DRで円筒状に設計されている。ロータ・ハウジング2は上部端面25及び下部端面26を有しており、軸方向に対するロータ・ハウジング2の範囲を定めている。ここで説明されている実施例では、5つのベーン7はロータ・ハウジング2の上部端面25に直接配置されており、これらのベーン7は、円周方向に対して等距離で上部端面25に配置されている。例えばベーン7は、上部端面25に置いて、例えばクランプ接続又はスナップ-ロック接続によって上部端面25に取り付けることができ、或いはベーン7は、上部端面25に接着又は溶接される。ベーン7はロータ・ハウジング2の一体部品であることも同じく可能である。
【0044】
同じく好ましい変形態様によれば(図8を参照されたい)、個別のハブ・ディスク78が提供され、この上にベーン7が配置される。このハブ・ディスク78は、次に、ロータ・ハウジング2の上部端面25に固定される。
【0045】
ロータ・ハウジング2を有するインペラー10は、軸方向Aを画定している所望の回転軸Dの周りを回転するように設計されており、非接触でインペラー10を磁気的に駆動することができ、また、インペラー10を磁気的に浮上させることができる。そのために磁気有効コア3はロータ・ハウジング2の中に配置されている。インペラー10の「磁気有効コア3」は、ステータ4と磁気的に協同してトルクを形成し、また、磁気浮上力を生成するインペラー10の領域を意味している。
【0046】
インペラー10は、半径方向におけるインペラー10の最大延長である外径DA(図4)を有しており、半径方向は軸方向Aに対して直角である。
【0047】
カップ81は寸法的に安定な方法で設計され、プラスチックでできていることが好ましい。カップ81は、実質的に円筒状に、且つ、軸方向Aに対して回転対称で設計されている。
【0048】
カップ81の内径は、ロータ・ハウジング2のハウジング径DRより僅かに大きくなるように寸法化されている。ここでは、僅かに、は、一方では、ロータ・ハウジング2がカップ81の内壁と接触することなく、カップ81の中を自由に回転することができ、他方では、インペラー10の有効な磁気浮上及び有効な磁気駆動を保証するために、ロータ・ハウジング2の円筒状外壁とカップ81の内壁の間の距離が可能な限り短くなる意味で理解されたい。
【0049】
再使用可能デバイス200はステータ4を備えており、このステータ4を使用して、動作状態では、インペラーを非接触で磁気的に駆動して所望の回転軸Dの周りに回転させることができ、且つ、ステータ4に対して磁気的に浮上させることができ、ステータ4は、インペラー10を駆動し、且つ、浮上させるための回転電磁界を生成するための複数の巻線6(例えば図5を参照されたい)を備えている。ステータ4はステータ・ハウジング5の中に配置されており、ステータ・ハウジング5はステータ4のカプセル封止として設計され、好ましくは気密カプセル封止として設計されている。
【0050】
ステータ・ハウジング5は、2つの端面によって軸方向Aに対して範囲が定められている。これらの2つの端面のうちの一方に中央凹所51が提供され、この中央凹所51は、中にロータ・ハウジング2が配置されたカップ81を受け取るように設計されており、したがってカップ81を凹所51の中に挿入することができる。したがってロータ・ハウジング2の中に配置された磁気有効コア3はステータ4と磁気的に相互作用することができ、ステータ4の巻線6によって駆動され、接触することなく回転することができる。ステータ・ハウジング5の中の凹所51は、一方では、カップ81を単純な方法で凹所51の中に挿入することができ、他方では、半径方向に測定される、ステータ・ハウジング5と磁気有効コア3の間の距離が可能な限り短くなるように、その半径方向の寸法に対して設計されている。カップ81及び凹所51の寸法は、組み立てられた状態では凹所51がカップ81を緊密に取り囲み、且つ、その壁がカップ81のシェル表面に当接するように互いに適合されることが好ましい。
【0051】
使捨てデバイス100は、混合される物質を受け取るための、プラスチックでできている可撓性混合容器110を更に備えていることが好ましい。可撓性混合容器110は、図1及び図2に、描写に従ってその下縁のみが示されている。図3及び図4には、混合容器110がもう少し示されている。混合容器110は、貯蔵中、可能な限り空間をほとんど占有しないよう、折り畳むことができる可撓性バッグ、例えばプラスチック・バッグであることが好ましい。可撓性混合容器110はカップ81に封止接続されて全体を形成し、その中で物質の混合が生じる。可撓性混合容器110は、例えばカップ81に溶接又は接着される。
【0052】
混合容器110は、自ずから知られている方法で少なくとも1つの入口(表現されていない)を有することができ、この入口を介して混合される物質を混合容器110の中に導入することができる。更に、例えば追加の物質を供給するための、プローブ又は測定センサを収容するための他の入口を提供することも可能であり、これらのプローブ又は測定センサを使用して、混合プロセスの間、例えば温度、圧力、濃度などのパラメータが監視される。また、とりわけ混合プロセスの間、物質移送のために入口を使用することも可能である。詳細には、ここでは、例えば実施例ではバイオリアクタとして、必要な気体を供給し、又は吐出させることができる。とりわけ微生物又は生物学的組織又は細胞の培養では、しばしば、酸素又は空気を混合容器110に供給することができ、また、他の気体、とりわけ二酸化炭素を混合容器110から吐出させることができることが必要である。更に、混合容器110は少なくとも1つの出口(表現されていない)を備えており、この出口を介して物質、例えば混合された物質を吐出させることができる。
【0053】
可撓性混合容器110は、しばしば、例えば入口の数及び配置に関して特定の用途に適合されるため、可撓性混合容器110がない使捨てデバイス100がパッケージされ、且つ、ユーザに配送されることは好ましい変形態様である。この場合、ユーザがその特定の用途に適した可撓性混合容器110を提供し、且つ、その可撓性混合容器110を使捨てデバイス100のカップ81に封止接続して、混合される物質を受け取るための全体を形成する。
【0054】
使用するために、カップ81が取り付けられた可撓性混合容器110が、例えば再使用可能デバイス200の構成要素である寸法的に安定な支持容器210の中に挿入される。支持容器210は、円形の底部プレート211及び円筒状側壁212を有する実質的に円筒状に設計されている。側壁212は図3及び図4に示されている。より良好な概観のために、図1及び図2には底部プレート211のみが表現されている。
【0055】
実質的に円筒状に設計された支持容器210はその上側が開き、したがって難なく混合容器110を支持容器210の中に挿入することができる。支持容器210は、例えばタンクとして設計されており、また、例えば鋼、詳細にはステンレス鋼でできている。
【0056】
中央に配置され、また、円形に設計された開口213が支持容器210の底部プレート211に提供されており、この開口213は、カップ81がこの開口213を通過することができ、且つ、その縁で底部プレート211によって支持されるように寸法化されている。
【0057】
ステータ・ハウジング5は、ステータ・ハウジング5中の中央凹所51が底部プレート211の開口213と整列し、したがってカップ81を底部プレート211の開口213を介してステータ・ハウジング5の凹所51の中に挿入することができるよう、底部プレート211の外側に配置されている。ステータ・ハウジング5は、例えばねじ(表現されていない)によって底部プレート211の外側に取り付けられることが好ましい。
【0058】
混合デバイス1を形成するための使捨てデバイス100及び再使用可能デバイス200の組立ては極端に単純で、且つ、速やかであり、とりわけ、ツールを必要とすることなく実施することができる。そのために、通常は貯蔵のために折り畳まれている、カップ81が密閉方式で取り付けられた混合容器110が支持容器210の中に置かれ、また、インペラー10が中に配置されたカップ81が底部プレート211の開口213を介してステータ・ハウジング5の凹所51の中に挿入される。それだけでいつでも混合デバイス1を使用することができる。使用後、混合容器110がカップ81及びインペラー10と共に支持容器210から単純に引っ張り出される。したがって再使用可能デバイス200との、又は再使用可能デバイス200からの使捨てデバイス100のこのとりわけ単純で、且つ、トラブルがない接続又は分離は、使捨てのための実施例の実質的な態様を考慮している。
【0059】
混合容器110が寸法的に安定な混合容器110として設計され、したがって支持容器210を必要としない実施例も同じく可能である。混合容器110が寸法的に安定な混合容器110として設計される場合、混合容器110は単回使用のために設計することができ、また、例えばプラスチックで構築することができ、或いは混合容器110は複数回にわたる使用、即ち再使用することができるように設計することができ、また、例えばステンレス鋼などの金属材料で構築することができる。
【0060】
混合容器110が寸法的に安定な混合容器110として設計される場合、混合容器110はカップ81とワン・ピースで設計することも可能であり、したがってカップ81は混合容器の一体構成要素である。当然、カップ81が寸法的に安定な混合容器110に封止接続することができる個別の構成要素である実施例も同じく可能である。
【0061】
次に、本発明による混合デバイス1のステータ4の好ましい実施例について、図5及び図6に基づいて説明する。図5は、ステータ4のこの実施例を斜視図で示したものである。図6は、ステータ4を軸方向Aに沿った断面図で示したものである。より良好に理解するために、ステータ・ハウジング5は図5及び図6には表現されていない。更に、より良好に理解するために、電磁回転駆動としてステータ4と協同する、インペラー10の磁気有効コア3は、図5及び図6の個々の事例に示されている。
【0062】
ステータ4及び磁気有効コア3を備えたこの電磁回転駆動は、ここではテンプル・モータとして設計されている。
【0063】
テンプル・モータでは、ステータ4は複数のコイル・コア45を備えており、ここでは6つのコイル・コア45を備え、それらの個々は、第1の端部461から軸方向Aに第2の端部462まで延在しているロッド形の縦方向のリム46、及び縦方向のリム46の第2の端部462に配置された横方向のリム47を備えている。個々の横方向のリム47は、磁気有効コア3に向かって半径方向に延在し、磁気有効コア3に面している端面によって範囲が定められている。
【0064】
すべての縦方向のリム46の第1の端部461は、還流42を介して互いに磁気伝導接続されている。還流42は、リング形方式で設計されるか、又は縦方向のリム46を互いに接続するいくつかのセグメントを備えることが好ましい。軟磁性体は、磁束伝導要素として働いて磁束を導くため、ステータ4の還流42及びコイル・コア45は、いずれも、それぞれ軟磁性体でできている。コイル・コア45及び還流42のための適切な軟磁性体は、例えば強磁性体又はフェリ磁性体であり、即ちとりわけ鉄、ニッケル-鉄、コバルト-鉄、シリコン鉄又はミューメタルである。この事例では、ステータ4にはステータ・シート・スタックとしての設計が好ましく、コイル・コア45及び還流42は、シート・メタルで設計され、即ちそれらは、積み重ねられているいくつかの薄いシート・メタル要素からなっている。
【0065】
したがって個々のコイル・コア45はLの形を有しており、複数の縦方向のリム46は、それぞれ、軸方向Aに延在しているLの長いリムを形成し、また、縦方向のリム26に対して直角の半径方向に、磁気有効コア3に向かって延在している複数の横方向のリム47は、それぞれLの短いリムを形成している。軸方向Aに延在し、また、神殿の柱を連想させる複数のロッド形の縦方向のリム46は、テンプル・モータにその名を与えている。
【0066】
個々の横方向のリム47は、個々の事例においてステータ極41を形成している。ステータ極41は磁気有効コア3の周りに配置されており、即ちインペラー10の磁気有効コア3は、動作状態ではステータ極41によって取り囲まれる。集中巻線6として設計されていることが好ましい巻線6は、縦方向のリム46に配置されている。集中巻線6のうちの1つは個々の縦方向のリム46に配置され、それぞれの縦方向のリム46を取り囲んでいる。
【0067】
この意味においては、テンプル・モータという用語は本出願の文脈で理解されたい。
【0068】
コイル・コア45は円形の線上に等距離で配置されており、したがって横方向のリム47の端面はインペラーの磁気有効コア3を取り囲んでいる。磁気有効コア3は永久磁気円板として、又は直径方向に磁化されることが好ましい永久磁気リングとして設計されている。磁気有効コア3の磁化は、参照符号がない矢印によって、図5及び図6の個々の事例に示されている。
【0069】
電磁回転駆動のステータ4は軸受及び駆動ステータとして設計されており、このステータ4を使用して、動作状態では、ステータ4に対して接触することなくインペラー10を磁気的に浮上させることができる。
【0070】
更に、インペラーは、既に言及したように、接触することなく所望の回転軸の周りを回転するために、ステータ4によって磁気的に駆動することができる。所望の回転軸Dは、磁気有効コア3がステータ4に対して中心に位置し、且つ、傾斜位置にない場合に、動作状態において、磁気有効コア3が回転する軸を意味している。この所望の回転軸Dは軸方向Aを画定している。通常、軸方向Aを画定している所望の回転軸Dは、ステータ4の中心軸に対応している。
【0071】
電磁回転駆動1は、軸受なし電動機の原理に従って設計され、且つ、この原理に従って動作することが好ましい。「軸受なし電動機」という用語は、磁気有効コア3、延いてはインペラー10がステータ4に対して完全に磁気的に浮上され、個別の磁気軸受は提供されない電磁回転駆動を意味している。そのために、ステータ4は、電気駆動のステータ4及び磁気浮上のステータの両方である軸受及び駆動ステータとして設計されている。磁気回転界はステータ4の電気巻線6を使用して生成することができ、磁気回転界は、一方ではインペラー10を所望の回転軸Dの周りに回転させるトルクをインペラー10に付与し、また、他方では、インペラー10の半径方向の位置を能動的に制御することができ、或いは調整することができるよう、必要に応じて調整することができるせん断力を、軸方向Aに対して直角の半径方向の平面R(図6)における磁気有効コア3に付与する。半径方向の平面Rは直交座標系のx-y平面を画定し、直交座標系のz軸は軸方向Aに走っている。
【0072】
したがって、インペラー10の3自由度、即ちその回転及びその半径方向の位置(2自由度)を能動的に調整することができる。更なる3自由度、即ち軸方向Aにおけるその位置、及び所望の回転軸Dに対して直角の半径方向の平面Rに対する傾斜(2自由度)に対して、インペラー10は、受動的に磁気的に浮上されるか、又は磁気抵抗力によって安定化され、即ちインペラー10を制御することはできない。個別の磁気軸受がなく、磁気有効コア3が完全に磁気浮上することは特性であり、それが軸受なし電動機にその名を与えている。軸受及び駆動ステータ4の場合、浮上機能と駆動機能とを分離することはできない。
【0073】
軸受なし電動機の場合、従来の磁気軸受とは対照的に、磁気浮上及び電動機の駆動は回転電磁界によって実現される。典型的には、軸受なし電動機では、磁気駆動及び浮上機能は2つの磁気回転界の重畳によって生成され、それらは、通常、駆動界及び制御界と呼ばれている。ステータ4の巻線6によって生成されるこれらの2つの回転界は、通常、1だけ異なる極対数を有している。例えば駆動界が極対数pを有している場合、制御界は極対数p+1又はp-1を有している。この事例では、半径方向の平面における磁気有効コア3に作用する接線方向の力は駆動界によって生成され、軸方向Aの周りに回転させるトルクをもたらす。駆動界と制御界の重畳により、必要に応じて調整することができるせん断力を半径方向の平面における磁気有効コア3に生成することが同じく可能であり、このせん断力を使用して、半径方向の平面における磁気有効コア3の位置を調整することができる。したがって集中巻線6によって生成される電磁磁束を、回転の駆動のみを提供する(電)磁磁束と、磁気浮上のみを実現する(電)磁磁束に分割することは不可能である。
【0074】
駆動界及び制御界を生成するために、一方では2つの異なる巻線システム、即ち1つは駆動界を生成する巻線システム、及び1つは制御界を生成する巻線システムを使用することが可能である。この場合、駆動界を生成するためのコイルは、通常、駆動コイルと呼ばれ、また、制御界を生成するためのコイルは制御コイルと呼ばれる。この場合、これらのコイルに印加される電流は駆動電流又は制御電流と呼ばれる。また、他方では、ここで説明されている実施例の場合と同様、1つの単一の巻線システムのみを使用して駆動及び浮上機能を生成することも同じく可能であり、したがって駆動コイルと制御コイルに区別はない。これは、制御デバイス(表現されていない)によって個々の事例で決定される駆動電流及び制御電流の値が計算によって、即ち例えばソフトウェアの支援の下で加えられ、或いは重畳され、結果として得られる総電流がそれぞれの集中巻線6に印加される方法で実現することができる。この事例では、当然、制御コイルと駆動コイルを区別することはもはや不可能である。
【0075】
したがってここで説明されているステータ4の実施例では、厳密に1つの集中巻線6が個々の縦方向のリム46の周りに配置されている。動作状態では、これらの回転電磁界はこれらの集中巻線6を使用して生成され、この回転電磁界を使用してトルクがインペラー10にもたらされ、この回転電磁界を使用して、必要に応じて調整することができるせん断力をインペラー10の磁気有効コア3に半径方向に付与することができ、したがって磁気有効コア3の半径方向の位置、即ち軸方向Aに対して直角の半径方向の平面Rにおけるその位置を能動的に制御することができ、或いは調整することができる。
【0076】
例えば巻線6を制御し、且つ、巻線6に電力を供給するための電力回路、並びに信号処理回路を備えた制御デバイスがステータ・ハウジング5の中に配置されていることが好ましい。
【0077】
軸受なし電動機の構造及び設計に関する更なる詳細は、例えば欧州特許第4 083 431号明細書に見出すことができる。
【0078】
ステータ・ハウジング5はステータ4の周りにジャケットを形成していることが好ましい。ステータ4はステータ・ハウジング5によってカプセル封止されていることが好ましい。ステータ4のカプセル封止は気密カプセル封止として設計されていることが好ましい。ステータ・ハウジング5は、非導電性であるか、又は少なくともごく僅かな導電性であり、且つ、耐久性のある材料でできていることが好ましい。更に、ステータ・ハウジング5は耐溶剤性の材料でできており、したがってアルコール又は他の溶剤を使用してステータ・ハウジング5を洗浄することができる。例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyetheretherketone)又はポリオキシメチレン共重合体(POM-C:polyoxymethylene copolymer)などのプラスチックは非導電性材料に属している。Hastelloy又は高合金チタン合金(例えばGrade 5)などの金属合金は比較的導電性が乏しい材料に属している。
【0079】
更に、ステータ4の構成要素が中に配置されたステータ・ハウジング5が、プラスチック、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン又はシリコーンで鋳造されることは好ましい対処である。これには、ステータ・ハウジング5が薄い壁を使用して設計されても、ステータ4が優れた寸法安定性を維持するという利点がある。
【0080】
図7は、軸方向Aの断面におけるインペラー10の実施例を極めて概略的な断面図で示したものである。インペラー10は、中に磁気有効コア3が固定されているロータ・ハウジング2、及びベーン7を備えており、ベーン7はロータ・ハウジング2の上部端面25に配置され、耐トルク方式でロータ・ハウジング2に接続されている。
【0081】
ロータ・ハウジング2はカプセル封止21を備えているか、又はカプセル封止として設計され、それにより磁気有効コア3がカプセル封止される。磁気有効コア3を完全に取り囲むカプセル封止21はプラスチックでできていることが好ましい。例えば磁気有効コア3をプラスチックで鋳造することが可能である。ロータ・ハウジング2を2つの部分、即ちカップ形ベース部分及びその上に配置された蓋(表現されていない)を使用して設計することも同じく可能である。次に、磁気有効コア3はベース部分の中に挿入され、且つ、ベース部分に固定される。引き続いてベース部分の上に蓋が置かれ、且つ、例えば溶接又はボンディングによってベース部分に堅固に接続される。ベース部分の中の磁気有効コア3の固定は、例えばプレスばめによって達成することができ、したがって締りばめが生成される。しかしながら、磁気有効コア3を挿入した後に、ロータ・ハウジング2に対して磁気有効コア3を固定するために、プラスチックでベース部分を鋳造することも同じく可能である。
【0082】
図7に表現されている実施例では、軸方向Aにロータ・ハウジング2を完全に貫通し、したがってインペラー10を貫通して延在しているリリーフ・ボア23が提供されている。リリーフ・ボア23はロータ・ハウジング2の中心に配置され、上部端面25の中心から下部端面26の中心まで延在している。リリーフ・ボア23はロータ・ハウジング2の中心に配置され、上部端面25の中心から下部端面26の中心まで延在している。リリーフ・ボア23は、例えば、図7に表現されているように、円筒状ボアとして設計することができる。しかしながらリリーフ・ボアを円錐形にし、或いはすべてが互いに平行で、且つ、上部端面25又は下部端面26の中心の周りに配置されている複数のリーフ・ボアを提供することも同じく可能であり、この構造は、端面25、26の中心に対して対称であることが好ましい。
【0083】
それ自体公知のように、リリーフ・ボア23は、回転しているベーン7によって生成される軸方向のスラストを少なくとも部分的に補償するように働いており、それによりインペラー10の軸方向の浮上をリリーフしている。
【0084】
図7に表現されている実施例では、磁気有効コア3は環状形で設計され、リリーフ・ボア23の周りに延在している。磁気有効コアは永久磁石として設計することができ、或いは1つ又は複数の永久磁石を備えることができる。磁気有効コアを磁気抵抗ロータとして設計することも同じく可能であり、即ち永久磁石なしに設計することも可能である。
【0085】
個々のベーン7は、概ね半径方向に、半径方向に内側に向いている開始部75から、半径方向に対してロータ・ハウジング2を越えて突出している、半径方向に外側に向いている端部76まで延在している。個々のベーン7は、所望の回転軸Dから半径方向の距離D1に配置されており、即ち個々のベーン7の半径方向に内側に向いている開始部75は、所望の回転軸Dからゼロではない半径方向の距離D1を有している。半径方向の距離D1は、すべてのベーン7に対してまったく同じであることが好ましい。
【0086】
個々のベーン7は、前面71、背面72、上縁73及び下縁74を有している。
【0087】
前面71及び背面72は、ベーン7の面であり、主として物質を混合する役割を担っている。前面71は、インペラー10が回転すると背面72より先行する。インペラーの回転は、参照符号Uの矢印によって図7に示されている。したがって前面71は、ベーン7の、時には圧力面と呼ばれる面であり、一方、背面72は、ベーン7の、時には吸込み面と呼ばれる面である。
【0088】
上縁73及び下縁74は軸方向Aに対するベーン7の範囲を定めており、上縁73は、ベーン7の、ロータ・ハウジング2から離れて対向している端部に配置され、また、下縁74は、ロータ・ハウジング2の上又は中に配置されている縁である。
【0089】
更に、インペラー7を傾斜に対して安定させるための安定化要素9が個々のベーン7に提供されている。安定化要素9の配置及び設計については、後で詳細に考察される。
【0090】
個々の安定化要素9はベーン7の前面71又は背面72に配置されている。当然、安定化要素9は、個々の事例において、個々の前面71及び個々の背面72に配置することも同じく可能である(例えば図15を参照されたい)。
【0091】
個々の安定化要素9は、個々の事例において、半径方向に対して、安定化要素9の半径方向の内縁91から半径方向の外縁92まで延在している。個々の安定化要素9は、個々の半径方向の外縁92が所望の回転軸Dから、インペラー10の外径DAの半分より短い距離D92を有するように設計され、且つ、配置されている。これは、安定化要素9がそれぞれのベーン7の半径方向に外側に向いている端部76に配置されているのではなく、半径方向に対して端部76から間隔を隔てていることを意味している。したがって安定化要素9は、半径方向に対して、ベーン7よりもはるかに内側で終わっている。
【0092】
個々の半径方向の外縁92が所望の回転軸Dから、インペラー10の外径ADの半分の最大90%又は最大80%又は最大70%である距離D92を有する実施例が可能である。
【0093】
個々の半径方向の外縁92が所望の回転軸Dから、インペラー10の外径ADの半分の最大2分の1、即ち最大50%である距離D92を有する実施例が同じく可能であり、例えば図14を参照されたい。
【0094】
更に、個々の安定化要素9の半径方向の内縁91は、所望の回転軸Dから、その所望の回転軸Dからのベーン7の半径方向の距離D1より長い距離D91を有していることが好ましい。これは、半径方向に対して、安定化要素9の半径方向の内縁91がベーン7の半径方向に内側に向いている開始部75よりはるかに外側にあることを意味している。
【0095】
図8は、ハブ・ディスク78がロータ・ハウジング2の上に置かれている実施例を断面斜視図で示したものである。ベーン7及び磁気有効コア3は図8には表現されていない。より良好に理解するために、図8の斜視図では、ロータ・ハウジング2及びハブ・ディスク78の一部が切り欠かれている。
【0096】
磁気有効コア3(図8には表現されていない)はロータ・ハウジング2の中にカプセル封止されており、好ましくはロータ・ハウジング2の中に気密カプセル封止されている。ハブ・ディスク78はロータ・ハウジング2の上部端面25に配置されており、ロータ・ハウジング2のハウジング径DR又は上部端面25の直径に少なくともほぼ等しい直径を有している。
【0097】
図8で認識することができるように、上部端面25は、端面25の円周全体に沿って延在している面取り251を使用して設計されており、即ち上部端面25からロータ・ハウジング2のシェル表面への移行領域は、面取り方式で設計されている。
【0098】
別法又は相補として、下部端面26も、下部端面26の円周全体に沿って延在している面取り261(図8には表現されていないが、例えば図22を参照されたい)を使用して設計されている。
【0099】
ロータ・ハウジング2の上部端面25及び下部端面26は、いずれも、それぞれ面取り251、261を使用して設計されていることがとりわけ好ましい。インペラー10が有している傾斜した隙間は、面取り251、261によって広くなっている。インペラー10は、ロータ・ハウジング2をカップ81と物理的に接触させることなく、面取り251、261を使用して更に傾斜させることができる。
【0100】
ハブ・ディスク78はロータ・ハウジング2に固定して接続されている。これは図8に表現されているように、ハブ・ディスク78は、スナップ-ロック接続27を介してロータ・ハウジング2の上部端面25に接続することができ、したがってハブ・ディスク78を上部端面25の上にスナップさせることができる。このようなスナップ-ロック機構は多くの実施例で当業者に知られており、ここでの更なる説明は不要である。スナップ-ロック機構は、インペラー10に対するトルクを生成する力がスナップ-ロック機構に負荷をかけないように設計されることが好ましい。
【0101】
当然、ハブ・ディスク78を何らかの他の接続によって上面25に取り付けることも同じく可能であり、例えば差込み接続又はスナップ-オン接続によって、或いは溶接又は接着などの非取外し可能接続を使用して取り付けることも可能である。
【0102】
いくつかのレセプタクル781がハブ・ディスク78の中に提供されており、これらのレセプタクル781の中にベーン7を挿入することができる。これらのレセプタクル781は、それらがハブ・ディスク78に対するそれぞれのベーン7の固定を同時にもたらすように設計することができる。当然、他の方法、例えば接着又は溶接によってベーン7をレセプタクル781の中に固定することも同じく可能である。
【0103】
更に、複数のベーン7がハブ・ディスク78の一体部品である実施例が可能であり、即ちそれらはハブ・ディスク78とワン・ピースで設計される。
【0104】
図9は、例えば使捨てデバイス100が輸送中で、未だステータ4の中に挿入されていない場合の、インペラー10のための固定手段120を有する使捨てデバイス100の実施例を斜視図で示したものである。より良好に理解するために、図10は、軸方向Aに沿った断面におけるこの使捨てデバイス100を更に示したものである。
【0105】
使捨てデバイス100は、インペラー10、カップ81及び固定手段120を備えている。固定手段120は、固定手段120が磁気力によって磁気有効コア3、延いてはインペラー10をカップ81の中に保持するように設計されている。
【0106】
磁気有効コア3の好ましい永久磁気実施例の場合、固定手段120は、ストラップ122が取り付けられている軟磁性円板121を備えている。
【0107】
インペラー10はカップ81の中に挿入されており、したがって磁気有効コア3が中に配置されたロータ・ハウジング2はカップ81の底に載っている。引き続いて軟磁性円板121がカップ81の底に外側から置かれており、したがってカップ81の底はロータ・ハウジング2と軟磁性円板121の間に配置されている。軟磁性円板121と永久磁気設計された磁気有効コア3の間の磁気相互作用により、ロータ・ハウジング2、延いてはインペラー10がカップ81の中に固定される。
【0108】
カップ81がステータ・ハウジング5の凹所51の中に挿入される前に、ストラップ122を引っ張ることによって固定手段120を除去することができ、それにより軟磁性円板121をカップ81の底から分離することができる。
【0109】
インペラー10は明確に定義された位置、即ちカップ81の中に固定手段120によって保持されるため、固定手段120は使捨てデバイス100を輸送するのにとりわけ有利である。
【0110】
磁気有効コア3が磁気抵抗ロータとして設計される場合、或いは永久磁石なしに設計される場合、永久磁気円板が軟磁性円板121の代わりに使用される。
【0111】
次に、安定化要素9を有するインペラー10の実施例のための異なる変形態様について、図11から図24を参照して説明する。以上の説明、とりわけ図7及び図8を参照した説明は、同じ方法又はほぼ同じ方法で、以下で説明される変形態様に同じく適用されることが理解される。更に、複数の変形態様のうちの1つに基づいて実例として説明されている特定の対処は、他の変形態様に基づいて説明されている対処及び実施例と組み合わせることも可能であり、即ち個々の事例で説明されている対処及び実施例は他の変形態様と組み合わせることができることも強調しておくべきである。
【0112】
複数の変形態様の各々はハブ・ディスクを使用して設計することも可能であることが同じく理解される。
【0113】
図17及び図24を除き、図11から図24のすべては、それぞれ、インペラー10の実施例のための変形態様を斜視図で示したものである。図17図16の変形態様を側面図で示したものである。図24は、図23の変形態様を軸方向からの平面図で示したものである。
【0114】
以下で説明されるすべての変形態様では、インペラー10は、個々の事例において、厳密に5つのベーン7を使用して設計されており、それらはインペラー10の円周に沿って等距離で配置されている。厳密に5つのベーン7を有する実施例は好ましい実施例であるが、本発明は、当然、厳密に5つのベーンの数に限定されない。インペラー10は、5つのベーン7より少ないベーン7を使用して設計されてもよく、例えば厳密に3つ又は厳密に4つのベーン7を使用して設計されてもよく、或いは5つのベーン7より多い、例えば厳密に6つ又は厳密に7つのベーン7を使用して設計されてもよい。
【0115】
本発明によれば、インペラー10を傾斜に対して安定させるための安定化要素9は、それぞれ、2つのベーン7の間に配置される。この特徴は2つの基本的な可能性を含んでおり、安定化要素9はロータ・ハウジング2に直接配置されるか、又は存在している場合、ハブ・ディスク78に直接配置され、且つ、円周方向に対して2つのベーン7の間に配置され、或いは安定化要素9は、それぞれ、ベーン7の前面71又は背面72に配置される。この安定化要素9は、ベーン7の前面71又は背面72における配置の事例においても2つのベーン7の間に配置され、即ちその前面71又は背面72に安定化要素9が配置されるベーン7と、円周方向から見て隣接するベーン7との間に配置される。これらの2つの可能性の組合せを実現することも可能であり、即ち安定化要素9がロータ・ハウジング2又はハブ・ディスク78に直接配置され、且つ、ベーン7の前面71又は背面72に配置されるインペラー10の実施例を実現することも可能である。
【0116】
図11は、安定化要素9が、個々の事例において、個々のベーン7の背面72に提供される変形態様を示したものである。個々の安定化要素9は、長さL及び幅Bを有する長方形プレートとして設計されている。ここでは、長さLは半径方向における安定化要素9の延長であり、また、幅Bは、半径方向及び軸方向Aに対して直角の方向における延長である。したがって幅Bは、安定化要素9が2つの隣接するベーン7の間の空間中をどこまで延在しているかを示している。すべての安定化要素9は、少なくとも実質的に同じように設計されている。個々の安定化要素9の長さLはベーン7の対応する長さより著しく短く、ベーン7の長さは、前面71(又は背面72)に沿って測定した、ベーン7の半径方向に内側に向いている開始部75からの、半径方向に外側に向いている端部76の距離である。安定化要素9の長さLは、ベーン7の長さの最大2分の1、又は最大3分の1であることが好ましい。
【0117】
安定化要素9は、それぞれ、軸方向Aに対してベーン7の下縁74に配置されている。安定化要素9は、半径方向に対してベーン7のほぼ中心に配置されており、したがってベーン7の半径方向に内側に向いている開始部75からの、安定化要素9の半径方向の内縁91の距離は、ベーン7の半径方向に外側に向いている端部76からの、安定化要素9の半径方向の外縁92の距離とほぼ同じである。
【0118】
当然、安定化要素9は、それぞれ、ベーン7の前面71に配置されることも同じく可能である。
【0119】
図11に表現されている変形態様では、プレート形安定化要素9は、それぞれ、ベーン7の背面72に対して直角に配置されており、即ち個々の安定化要素9は、安定化要素9が配置されている背面72と90°の角度をなしている。他の実施例では、個々の安定化要素9は背面72(又は前面71)に対して傾斜して配置され、したがって安定化要素9はそれぞれの背面72(又は前面71)と鈍角又は鋭角をなしている。40°から140°までの範囲の角度が好ましい。
【0120】
図12は、安定化要素9が、軸方向Aに対して、それぞれのベーン7の上縁73と下縁74の間のほぼ中心に配置されている変形態様を示したものである。
【0121】
図13は、安定化要素9が、軸方向Aに対して、それぞれのベーン7の上縁73に配置されている変形態様を示したものである。
【0122】
図14は、安定化要素9が、この場合も、軸方向Aに対して、それぞれのベーン7の下縁74に配置されるが、図11に示されている変形態様と比較すると、半径方向に対して更に内側、即ち所望の回転軸Dのより近くに配置されている変形態様を示したものである。個々の安定化要素9は、その半径方向の内縁91が、それぞれのベーン7の半径方向に内側に向いている開始部75又はその近傍に配置されるように配置されている。
【0123】
図15は、安定化要素9が、個々のベーン7がその前面71及びその背面72の両方に安定化要素9を有するように、対称的に配置されている変形態様を示したものであり、同じベーン7に提供されている安定化要素9はベーン7に対して対称的に配置され、即ち軸方向Aに対して、且つ、半径方向に対して同じ位置に配置されている。
【0124】
当然、軸方向Aに対する、また、半径方向に対するすべての位置が可能であり、とりわけ図11から図14に表現されている位置が可能である。
【0125】
対称配置はとりわけ好ましい対処である。
【0126】
図16及び図17は、ベーン7の機械的強度が安定化要素9によって著しく強化される追加の利点を有する変形態様を示したものである。図16はこの変形態様を斜視図で示したものであり、また、図17はこの変形態様を側面図で示したものである。この変形態様では、安定化要素9は、軸方向Aにおけるそれらの位置に対して、個々の事例においてベーンの下縁74の近くに配置され、いずれの事例においても上縁73よりも下縁74の著しく近くに配置されている。
【0127】
安定化要素9の半径方向の内縁91は、それらがそれぞれロータ・ハウジング2の上部端面25に引き寄せられ、したがって個々の安定化要素9がそれぞれのベーン7に物理的に接続されるだけでなく、ロータ・ハウジング2にも物理的に接続されるように設計されている。結果として得られるベーン7の機械的強度の強化により、ベーン7をより大きくすることができ、とりわけより長くすることができる。したがって混合デバイス1をより遅い回転ベーン7で動作させることができ、その一方で同じ混合効率を維持することができ、したがって望ましくないキャビテーションの開始をもっと大きいトルクにシフトさせることができる。
【0128】
更なる対処として、ベーン7は、半径方向から見て湾曲方式で設計され、したがってベーンの前面71は個々の事例において中高方式で設計され、また、背面72は個々の事例において中低方式で設計される。
【0129】
更なるオプションとして、ベーン7の上縁73は、それらの半径方向の外部領域に面取り731を備え、したがって軸方向Aのベーン7の延長は、所望の回転軸Dからの距離が長くなるにつれて、この半径方向の外部領域で減少する。面取り731は、直線方式又は湾曲方式で設計することができる。
【0130】
実施例に対する更なる可能性は、ベーン7の下縁74がその半径方向の外部領域に面取りを使用して同じく設計されること、或いは上縁73及び/又は下縁74がそれぞれ、直線面取り又は湾曲面取りをそれらの半径方向の内側領域に備えることである。所望の回転軸Dからの距離が長くなるにつれて連続的に先細りになり、即ち軸方向Aにおける延長に対してより細くなるように個々のベーン7が設計される実施例が同じく可能である。
【0131】
図18は、安定化要素9がリング・セグメントとして設計される変形態様を示したものであり、個々の安定化要素9は、個々の事例において、ベーン7の前面71から円周方向に隣接するベーン7の背面72まで延在しており、また、安定化要素は両方のベーン7に堅固に接続されている。
【0132】
図18に示されている実施例では、リング・セグメント形安定化要素9は、それぞれ、ベーン7の下縁74に、又は下縁74に隣接して配置されている。当然、リング・セグメント形安定化要素9が軸方向Aに対して他の位置に配置される実施例も同じく可能である。
【0133】
一般に、安定化要素9が軸方向Aに対して磁気有効コア3の近くに配置され、且つ、半径方向に対して更に内側、即ち所望の回転軸Dのより近くに配置される実施例が好ましい。
【0134】
図19及び図20には、安定化要素9がロータ・ハウジング2に直接配置され、即ちロータ・ハウジング2の上部端面25に配置されている変形態様が表現されている。ハブ・ディスク78を有する実施例では、安定化要素9は、ほぼ同じ方法でハブ・ディスク78の上に配置されることが理解される。
【0135】
図19に表現されている変形態様では、安定化要素9は、個々の事例において、半径方向に対してロータ・ハウジング2を超えて突出している、ロータ・ハウジング2の上部端面25上の2つの隣接するベーン7の間で、円周方向に対して中心に配置されている。ここでは、安定化要素9は、したがってベーン7に直接接続されていない。安定化要素9は、例えば長さL及び幅Bを有する長方形プレートとして設計されている(図11)。
【0136】
図20に表現されている実施例では、安定化要素9はそれぞれ、Tの形で設計されており、Tの縦方向のリム95の一方の端部はロータ・ハウジング2の上部端面25に接続されており、また、Tの横方向のリム96は半径方向に外側に向かって配置されている。更に、Tの横方向のリム96は、弓形の湾曲方式で設計されている。
【0137】
図21は、ベーン7がここでも湾曲方式で設計され、したがってベーンの前面71が中高方式で設計され、また、背面72が中低方式で設計されている変形態様を示したものである。この変形態様では、安定化要素9は、個々の事例において、個々のベーン7の背面72にのみ提供されている。
【0138】
図22は、ロータ・ハウジング2が、個々の事例において、その上部端面25及びその下部端面26の両方に面取り251、261を使用して設計されている変形態様を示したものである。2つの面取り251及び261を有するこの実施例は、インペラー10のすべての実施例に対して好ましい。
【0139】
安定化要素9がベーン7の前面71及び/又は背面72に直接配置されている実施例では、安定化要素9を個々のベーン7の上に提供する必要はないことが理解される。
【0140】
図23及び図24は、安定化要素9がベーン7に直接配置されるが、安定化要素9が個々のベーン7の上に提供されない変形態様を示したものである。したがってベーン7のうちのいくつかが安定化要素9を使用して設計され、また、いくつかのベーン7が安定化要素9なしに設計される変形態様が同じく可能である。図23はこのような変形態様を斜視図で示したものであり、また、図24は、この変形態様を軸方向からの平面図で示したものである。この変形態様では、インペラー10は厳密に6つのベーン7を有している。円周方向から見ると、安定化要素9は、個々の事例において、個々の第2のベーン7の背面72に配置されている。安定化要素9を有する2つのベーン7の間にそれぞれ配置されるベーン7は安定化要素を有していない。そのため、これらのベーン7のうちの3つは安定化要素9を有し、他の3つのベーン7は安定化要素9を有していない。
【0141】
当然、多くの他の可能な実施例が存在しており、例えば直線設計のベーン7は、それらが半径方向に延在しないように配置することができ、これらは半径方向に対して傾斜して配置される。また、ベーン7の下縁74が円周方向に対して同じベーン7の上縁73へオフセットして配置されるように、ベーン7が軸方向Aに対して傾斜して配置される実施例も同じく可能である。
【0142】
使捨てデバイス100及び再使用可能デバイス200を備えた、本発明による混合デバイス1の場合、使捨てデバイス100は殺菌可能でなければならないことは、いくつかの用途にとっては更に重要な点である。この点に関して、使捨てデバイス100がガンマ線殺菌可能であれば、とりわけ有利である。このタイプの殺菌の場合、殺菌される要素にガンマ放射線が照射される。ガンマ線殺菌の利点は、例えば蒸気殺菌と比較すると、とりわけ、殺菌がパッケージを通して同じく生じ得ることである。とりわけ使捨てデバイスの場合、部品は、製造後、パッケージの中に入れられ、次に、顧客に出荷されるまで一定の時間期間の間、貯蔵されることは一般的な実践である。この場合、殺菌は、通常、顧客への配送の少し前になされるか、或いは顧客によってのみなされる。このような事例では、殺菌はパッケージを通してなされ、これは、蒸気殺菌又は他のプロセスでは不可能である。
【0143】
使捨てデバイス100に関して、使捨てデバイス100は、通常、2回以上にわたって殺菌可能である必要はない。プラスチックへのガンマ放射線の照射は劣化の原因になり、したがって複数回のガンマ線殺菌はプラスチックを使用不可能にし得るため、とりわけガンマ線殺菌の場合、これは大きな利点である。
【0144】
使捨てデバイス100の場合、通常、高温の下での、及び/又は高(蒸気)圧の下での殺菌を省略することができるため、例えば高温に耐えることができない、或いは複数回にわたって高温及び高圧レベルにさらすことができない、それほど高価ではないプラスチックを使用することができる。
【0145】
したがって、すべてのこれらの点を考慮すると、少なくとも一度ガンマ線殺菌することができるこのようなプラスチックを使用して使捨てデバイス100を製造することが好ましい。材料は、1回のガンマ線殺菌を可能にするために、少なくとも40kGyの線量に対してガンマ線安定でなければならない。更に、ガンマ線殺菌中に有毒物質を生成してはならない。更に、混合される物質又は混合された物質と接触するすべての材料はUSP Class VI規格に合致することが好ましい。
【0146】
使捨てデバイス100の製造には、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE:low density PE)、極低密度ポリエチレン(ULDPE:ultra-low density PE)、高密度ポリエチレン(HDPE:high density PE)、エチレン・ビニル・アセテート(EVA:ethylene vinyl acetate)、ポリエチレン・テレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF:polyvinylidene fluoride)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS:acrylonitrile butadiene styrene)、ポリウレタン(PU)、ポリアクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン(PSU)などのポリスルホン、シリコーンなどのプラスチックが適している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【外国語明細書】