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特開2024-109054クランプセンサの製造方法、クランプセンサおよび測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109054
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】クランプセンサの製造方法、クランプセンサおよび測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/22 20060101AFI20240805BHJP
   G01R 15/18 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G01R1/22 C
G01R15/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001565
(22)【出願日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2023012917
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英雄
(72)【発明者】
【氏名】山岸 君彦
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AB14
(57)【要約】
【課題】櫛歯接触構造の磁気コアを有し、かつスムースに開閉可能なクランプセンサの提供。
【解決手段】第1のコア部材21を有する第1の検出用部材S1および第2のコア部材22を有する第2の検出用部材S2と、検出用部材S1を収容可能な第1のケース11、およびケース11に対するスライドが可能で検出用部材S2を収容可能に形成された第2のケース12とを備えたクランプセンサ3の製造時に、ケース11(ケース本体11-1)の一対の孔11h,11hから検出用部材S1における周方向の両端部(先端P21a,P21b)が突出した状態となるように検出用部材S1をケース11の収容部11aに収容した状態において、基板60a、金具60bおよびネジ60c,60dによってケース11に対して第1の検出用部材S1を位置決め固定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉状態において環状に配置される磁気コアの周方向における一部を構成する第1のコア部材を少なくとも有する第1の検出用部材、および当該第1のコア部材とは別体に形成されて当該磁気コアの当該周方向における他の一部を構成する第2のコア部材を少なくとも有する第2の検出用部材と、
前記第1の検出用部材を収容可能に形成された第1のケース、および当該第1のケースに対する相対的なスライドが可能に構成されると共に前記第2の検出用部材を収容可能に形成された第2のケースとを備え、
前記閉状態に移行させられて環状に配置された状態の前記磁気コアを当該磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向に沿って見たときに前記第1のコア部材における前記周方向の両端部のうちのいずれかにおいて当該磁気コアの内周側縁部に対して交差する仮想直線に沿って前記第2のケースが前記第1のケースに対して相対的にスライド可能に構成され、
前記周方向に沿って突出する第1の凸部が前記第1のコア部材における当該周方向の前記両端部にそれぞれ設けられ、かつ当該周方向に沿って突出する第2の凸部が前記第2のコア部材における当該周方向の両端部にそれぞれ設けられると共に、当該第1の凸部および当該第2の凸部のうちの少なくとも一方の凸部が前記挿通方向において並ぶように複数設けられ、
前記閉状態に移行させられて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1のコア部材における一端側の前記第1の凸部と前記第2のコア部材における一端側の前記第2の凸部とが前記挿通方向で重なり、かつ当該第1のコア部材における他端側の前記第1の凸部と当該第2のコア部材における他端側の前記第2の凸部とが当該挿通方向で重なると共に、複数の前記少なくとも一方の凸部の間に前記第1の凸部および前記第2の凸部のうちの他方の凸部が挟み込まれた状態となるように構成され、
前記第1の検出用部材における前記一端側の第1の凸部および前記他端側の第1の凸部が当該第1のケースからそれぞれ突出した状態とするための一対の孔を有する部材収容部が前記第1のケースに設けられ、
前記第1の検出用部材が、前記部材収容部内に収容された状態で固定部材によって前記第1のケースに対して位置決め固定されているクランプセンサを製造する際に、
前記一対の孔から前記一端側の第1の凸部および前記他端側の第1の凸部がそれぞれ突出した状態で前記第1の検出用部材が前記部材収容部に収容され、かつ前記複数の少なくとも一方の凸部の間に前記他方の凸部が挟み込まれて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1のケースに対して当該第1の検出用部材を前記固定部材によって位置決め固定するクランプセンサの製造方法。
【請求項2】
前記第1の検出用部材に固定された配線用基板を備えた前記クランプセンサを製造する際に、
前記第1の検出用部材および当該第1の検出用部材に固定された当該配線用基板が前記部材収容部に収容され、かつ前記複数の少なくとも一方の凸部の間に前記他方の凸部を挟み込まれて前記磁気コアが環状に配置された状態において、当該配線用基板を挿通させた前記固定部材としての固定用ネジを前記第1のケースに対して締め込むことによって当該第1のケースに対して当該第1の検出用部材を位置決め固定する請求項1記載のクランプセンサの製造方法。
【請求項3】
閉状態において環状に配置される磁気コアの周方向における一部を構成する第1のコア部材を少なくとも有する第1の検出用部材、および当該第1のコア部材とは別体に形成されて当該磁気コアの当該周方向における他の一部を構成する第2のコア部材を少なくとも有する第2の検出用部材と、
前記第1の検出用部材を収容可能に形成された第1のケース、および当該第1のケースに対する相対的なスライドが可能に構成されると共に前記第2の検出用部材を収容可能に形成された第2のケースとを備え、
前記閉状態に移行させられて環状に配置された状態の前記磁気コアを当該磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向に沿って見たときに前記第1のコア部材における前記周方向の両端部のうちのいずれかにおいて当該磁気コアの内周側縁部に対して交差する仮想直線に沿って前記第2のケースが前記第1のケースに対して相対的にスライド可能に構成され、
前記周方向に沿って突出する第1の凸部が前記第1のコア部材における当該周方向の前記両端部にそれぞれ設けられ、かつ当該周方向に沿って突出する第2の凸部が前記第2のコア部材における当該周方向の両端部にそれぞれ設けられると共に、当該第1の凸部および当該第2の凸部のうちの少なくとも一方の凸部が前記挿通方向において並ぶように複数設けられ、
前記閉状態に移行させられて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1のコア部材における一端側の前記第1の凸部と前記第2のコア部材における一端側の前記第2の凸部とが前記挿通方向で重なり、かつ当該第1のコア部材における他端側の前記第1の凸部と当該第2のコア部材における他端側の前記第2の凸部とが当該挿通方向で重なると共に、複数の前記少なくとも一方の凸部の間に前記第1の凸部および前記第2の凸部のうちの他方の凸部が挟み込まれた状態となるように構成され、
前記第1のケースには、前記第1の検出用部材における前記一端側の第1の凸部および前記他端側の第1の凸部が当該第1のケースからそれぞれ突出した状態とするための一対の孔を有する部材収容部が設けられ、
前記第1の検出用部材が、前記部材収容部内に収容され、かつ前記一端側の第1の凸部および前記他端側の第1の凸部が前記一対の孔からそれぞれ突出した状態で固定部材によって前記第1のケースに対して位置決め固定されているクランプセンサ。
【請求項4】
前記第1のケースは、少なくとも前記挿通方向への前記第1の検出用部材の移動を制限する移動制限部が前記部材収容部における前記一対の孔の近傍に設けられている請求項3記載のクランプセンサ。
【請求項5】
前記第1の検出用部材に固定された配線用基板を備え、
前記固定部材は、前記配線用基板を前記第1のケースにネジ止め可能な固定用ネジを備えて構成されている請求項3記載のクランプセンサ。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載のクランプセンサと、
前記磁気コアに対して前記挿通方向に挿通された前記検出対象導体についての前記クランプセンサによる検出量に基づいて予め規定された被測定量を測定する測定部とを備えている測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉状態において環状に配置される磁気コアを有する一対の検出用部材が一対のケース内にそれぞれ収容されたクランプセンサおよびその製造方法、並びに、そのようなクランプセンサを備えて構成された測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のクランプセンサとして、閉状態において閉磁気回路を形成する一対の磁気コア(上側の磁気コア、および下側の磁気コア)を備えたクランプセンサが下記の特許文献に開示されている。
【0003】
この場合、上側の磁気コア(以下、「上側磁気コア」ともいう)は、環状磁気回路の上側の一部を構成可能に側面視コ字状に形成されている。また、下側の磁気コア(以下、「下側磁気コア」ともいう)は、環状磁気回路の下側の一部を構成するものであって、平板状の第1コアメンバー、L字状の第2および第3コアメンバー、第1コアメンバーを保持するコアホルダ、第2および第3コアメンバーを位置決めするコアガイド、および第2および第3コアメンバーを第1コアメンバーに対して押圧固定する板バネ部材を備え、各コアメンバーが側面視コ字状となるように配置されて一体化されている。また、このクランプセンサでは、上側磁気コアおよび下側磁気コアが、内側のシールドケース(以下、「内側ケース」ともいう)および外側のシールドケース(以下、「外側ケース」ともいう)によってそれぞれ覆われている。なお、このクランプセンサでは、両外側ケースが外装ケースとして機能するように構成されている。
【0004】
このクランプセンサの組立てに際しては、コアホルダの上に各部材を配置して一体化させた下側磁気コアを内側ケース内に収容する。この際には、内側ケースの上面開口部位から下側磁気コアにおける下方部位を先に挿入するようにして内側ケース内に下側磁気コアを収容する。次いで、内側ケースに窓枠を取り付け、かつ外側ケースを被せた後に、内側ケースおよび窓枠と下側磁気コアとの間、並びに内側ケースと外側ケースとの間にエポキシ樹脂などのポッティング剤を充填して硬化させる。これにより、外側ケースに対して内側ケースや下側磁気コアが位置決め固定された状態となる。続いて、下側磁気コアにおける第2コアメンバーおよび第3コアメンバーの上端部(閉状態において上側磁気コアに接触させられる部位)を研磨加工して平坦化する。これにより、クランプセンサにおける下側のユニットが完成する。
【0005】
また、クランプセンサにおける上側のユニットについては、上側磁気コアを収容した内側ケースに外側ケースを被せた後に、内側ケースと上側磁気コアとの間、並びに内側ケースと外側ケースとの間にポッティング剤を充填して硬化させる。これにより、外側ケースに対して内側ケースや上側磁気コアが位置決め固定された状態となる。次いで、上側磁気コアの下端部(閉状態において下側磁気コアに接触させられる部位)を研磨加工して平坦化する。これにより、クランプセンサにおける上側のユニットが完成する。この後、下側のユニットおよび上側のユニットを開閉可能に一体化させることにより、クランプセンサが完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-104011号公報(第2-4頁、第1-6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献に開示されているクランプセンサの構造、およびその製造方法には、以下のような改善すべき課題が存在する。具体的には、上記のクランプセンサでは、下側磁気コアや上側磁気コアをケース内に収容した後にポッティング剤を充填して硬化させることでケースに対して磁気コアを位置決め固定する製造方法で製造されている。この場合、このクランプセンサでは、ポッティング剤の硬化後、すなわち、ケースに対して磁気コアが位置決め固定された状態において両磁気コアの接触面が研磨加工によってそれぞれ平坦化されており、これにより、閉状態において両磁気コアを面的に接触させて好適な環状磁気回路を形成することが可能となっている。
【0008】
一方、出願人は、上側磁気コアおよび下側磁気コアの接触部を櫛歯接触構造とした磁気コアを有するクランプセンサを試作した。この場合、上記特許文献に開示のクランプセンサとは異なり、両磁気コアの接触部を櫛歯接触構造としたクランプセンサでは、ケースに対して磁気コアを位置決め固定した状態において両磁気コアの接触部(櫛歯状とすべき部位)を、噛合状態へスムースに移行できるように切削加工等によって整形するのが困難となっている。このため、櫛歯状の磁気コアを有するクランプセンサでは、開状態から閉状態への移行に際して両磁気コアの櫛歯部分を噛合状態へスムースに移行させることができるように、ケースに対して櫛歯部分を正確に位置決めした状態でこれを固定する必要がある。
【0009】
したがって、出願人は、一例として、下側ケースに収容した下側磁気コアの接触部(櫛歯接触構造の部位)に対して、上側ケースに対して位置決め固定された状態の上側磁気コアの接触部(櫛歯接触構造の部位)を噛合させ、その状態において下側磁気コアと下側ケースとの間にポッティング剤を充填して硬化させることにより、上側磁気コアの接触部に対して下側磁気コアの接触部をスムースに噛合させることが可能な位置関係で下側ケースに対して下側磁気コアを固定する製造方法を試みようとした。しかしながら、下側ケースに収容した下側磁気コアに対して上側ケースに位置決め固定されている上側磁気コアを噛合させた状態では、下側ケースにおける開口部位(下側磁気コアを収容したりポッティング剤を充填したりする部位)が上側ケースおよび上側磁気コアによって閉塞された状態となる。このため、下側磁気コアと下側ケースとの間にポッティング剤を充填することができないことが判明した。
【0010】
このように、上記特許文献に開示のクランプセンサの構造、およびその製造方法では、両磁気コアの接触部を櫛歯接触構造に改変したときに、開状態から閉状態への移行に際して両磁気コアの櫛歯部分を噛合状態へスムースに移行させることが可能に製造するのが困難となっており、この点を改善する必要がある。
【0011】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、櫛歯接触構造の磁気コアを有し、かつスムースに開閉可能なクランプセンサおよびその製造方法、並びに、そのようなクランプセンサを備えた測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るクランプセンサの製造方法は、閉状態において環状に配置される磁気コアの周方向における一部を構成する第1のコア部材を少なくとも有する第1の検出用部材、および当該第1のコア部材とは別体に形成されて当該磁気コアの当該周方向における他の一部を構成する第2のコア部材を少なくとも有する第2の検出用部材と、前記第1の検出用部材を収容可能に形成された第1のケース、および当該第1のケースに対する相対的なスライドが可能に構成されると共に前記第2の検出用部材を収容可能に形成された第2のケースとを備え、前記閉状態に移行させられて環状に配置された状態の前記磁気コアを当該磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向に沿って見たときに前記第1のコア部材における前記周方向の両端部のうちのいずれかにおいて当該磁気コアの内周側縁部に対して交差する仮想直線に沿って前記第2のケースが前記第1のケースに対して相対的にスライド可能に構成され、前記周方向に沿って突出する第1の凸部が前記第1のコア部材における当該周方向の前記両端部にそれぞれ設けられ、かつ当該周方向に沿って突出する第2の凸部が前記第2のコア部材における当該周方向の両端部にそれぞれ設けられると共に、当該第1の凸部および当該第2の凸部のうちの少なくとも一方の凸部が前記挿通方向において並ぶように複数設けられ、前記閉状態に移行させられて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1のコア部材における一端側の前記第1の凸部と前記第2のコア部材における一端側の前記第2の凸部とが前記挿通方向で重なり、かつ当該第1のコア部材における他端側の前記第1の凸部と当該第2のコア部材における他端側の前記第2の凸部とが当該挿通方向で重なると共に、複数の前記少なくとも一方の凸部の間に前記第1の凸部および前記第2の凸部のうちの他方の凸部が挟み込まれた状態となるように構成され、前記第1の検出用部材における前記一端側の第1の凸部および前記他端側の第1の凸部が当該第1のケースからそれぞれ突出した状態とするための一対の孔を有する部材収容部が前記第1のケースに設けられ、前記第1の検出用部材が、前記部材収容部内に収容された状態で固定部材によって前記第1のケースに対して位置決め固定されているクランプセンサを製造する際に、前記一対の孔から前記一端側の第1の凸部および前記他端側の第1の凸部がそれぞれ突出した状態で前記第1の検出用部材が前記部材収容部に収容され、かつ前記複数の少なくとも一方の凸部の間に前記他方の凸部が挟み込まれて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1のケースに対して当該第1の検出用部材を前記固定部材によって位置決め固定する。
【0013】
また、本発明に係るクランプセンサは、閉状態において環状に配置される磁気コアの周方向における一部を構成する第1のコア部材を少なくとも有する第1の検出用部材、および当該第1のコア部材とは別体に形成されて当該磁気コアの当該周方向における他の一部を構成する第2のコア部材を少なくとも有する第2の検出用部材と、前記第1の検出用部材を収容可能に形成された第1のケース、および当該第1のケースに対する相対的なスライドが可能に構成されると共に前記第2の検出用部材を収容可能に形成された第2のケースとを備え、前記閉状態に移行させられて環状に配置された状態の前記磁気コアを当該磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向に沿って見たときに前記第1のコア部材における前記周方向の両端部のうちのいずれかにおいて当該磁気コアの内周側縁部に対して交差する仮想直線に沿って前記第2のケースが前記第1のケースに対して相対的にスライド可能に構成され、前記周方向に沿って突出する第1の凸部が前記第1のコア部材における当該周方向の前記両端部にそれぞれ設けられ、かつ当該周方向に沿って突出する第2の凸部が前記第2のコア部材における当該周方向の両端部にそれぞれ設けられると共に、当該第1の凸部および当該第2の凸部のうちの少なくとも一方の凸部が前記挿通方向において並ぶように複数設けられ、前記閉状態に移行させられて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1のコア部材における一端側の前記第1の凸部と前記第2のコア部材における一端側の前記第2の凸部とが前記挿通方向で重なり、かつ当該第1のコア部材における他端側の前記第1の凸部と当該第2のコア部材における他端側の前記第2の凸部とが当該挿通方向で重なると共に、複数の前記少なくとも一方の凸部の間に前記第1の凸部および前記第2の凸部のうちの他方の凸部が挟み込まれた状態となるように構成され、前記第1のケースには、前記第1の検出用部材における前記一端側の第1の凸部および前記他端側の第1の凸部が当該第1のケースからそれぞれ突出した状態とするための一対の孔を有する部材収容部が設けられ、前記第1の検出用部材が、前記部材収容部内に収容され、かつ前記一端側の第1の凸部および前記他端側の第1の凸部が前記一対の孔からそれぞれ突出した状態で固定部材によって前記第1のケースに対して位置決め固定されている。
具体的には、前記第1のケースには、前記第1の検出用部材を収容可能な部材収容部が形成され、前記部材収容部は、前記第1の検出用部材における前記周方向の両端部から先に当該第1の検出用部材を前記第1のケース内に収容可能(挿入可能)に形成されると共に、当該周方向の両端部を当該第1のケースからそれぞれ突出した状態とするための一対の孔を有し、前記第1の検出用部材は、前記部材収容部内に収容された状態で固定部材によって前記第1のケースに対して位置決め固定されている。
【0014】
また、本発明に係る測定装置は、上記のクランプセンサと、前記磁気コアに対して前記挿通方向に挿通された前記検出対象導体についての前記クランプセンサによる検出量に基づいて予め規定された被測定量を測定する測定部とを備えている。
【0015】
したがって、本発明に係るクランプセンサの製造方法、クランプセンサおよび測定装置によれば、第2のケースに対して位置決め固定された状態の第2の検出用部材の先端に第1の検出用部材の先端を噛合させた状態において、第2の検出用部材や第2のケースによって作業が阻害されることなく、第1のケースに対して第1の検出用部材を固定することができる。これにより、クランプセンサが閉状態に移行させられたときに第1の検出用部材および第2の検出用部材が好適な噛合状態となる位置関係で第1のケースに第1の検出用部材を確実かつ容易に固定することができるため、櫛歯接触構造の磁気コアを有し、かつスムースに開閉可能なクランプセンサ、およびそのようなクランプセンサを備えた測定装置を提供することができる。
【0016】
また、本発明に係るクランプセンサは、前記第1のケースは、少なくとも前記挿通方向への前記第1の検出用部材の移動を制限する移動制限部が前記部材収容部における前記一対の孔の近傍に設けられている。
【0017】
したがって、本発明に係るクランプセンサおよび測定装置によれば、第2のケースに対して位置決め固定された状態の第2の検出用部材における第2のコア部材の先端に第1の検出用部材における第1のコア部材の先端を噛合させるときに、第2のコア部材の先端に対して第1のコア部材の先端が挿通方向に大きく位置ずれした状態で噛合されるのを確実に回避することができるため、好適な噛合状態となる位置関係で第1のケースに対して第1の検出用部材を固定することができる。
【0018】
また、本発明に係るクランプセンサの製造方法は、前記第1の検出用部材に固定された配線用基板を備えた前記クランプセンサを製造する際に、前記第1の検出用部材および当該第1の検出用部材に固定された当該配線用基板が前記部材収容部に収容され、かつ前記複数の少なくとも一方の凸部の間に前記他方の凸部を挟み込まれて前記磁気コアが環状に配置された状態において、当該配線用基板を挿通させた前記固定部材としての固定用ネジを前記第1のケースに対して締め込むことによって当該第1のケースに対して当該第1の検出用部材を位置決め固定する。
【0019】
また、本発明に係るクランプセンサは、前記第1の検出用部材に固定された配線用基板を備え、前記固定部材は、前記配線用基板を前記第1のケースにネジ止め可能な固定用ネジを備えて構成されている。
【0020】
したがって、本発明に係るクランプセンサの製造方法、クランプセンサおよび測定装置によれば、ポッティング剤などで第1の検出用部材を固定する構成とは異なり、第1のケースに対する固定位置の調整を完了したときに短時間で容易に第1の検出用部材を第1のケースに固定することができるため、クランプセンサや測定装置1の製造コストを十分に低減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るクランプセンサの製造方法、クランプセンサおよび測定装置によれば、第2の検出用部材の先端に第1の検出用部材の先端を噛合させた状態において、第2の検出用部材や第2のケースによって作業が阻害されることなく、第1のケースに対して第1の検出用部材を固定することができるため、櫛歯接触構造の磁気コアを有し、かつスムースに開閉可能なクランプセンサ、およびそのようなクランプセンサを備えた測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】測定装置1の構成を示す構成図である。
図2】閉状態におけるクランプセンサ3の外観斜視図である。
図3】開状態におけるクランプセンサ3の外観斜視図である。
図4】クランプセンサ3の分解斜視図である。
図5】閉状態のクランプセンサ3における先端部側の断面図である。
図6】閉状態のクランプセンサ3における先端部側の他の断面図である。
図7】磁気コア20、磁気検出素子30、シールド40および巻線50等の配置について説明するための断面図である。
図8】ケーシング10の構成について説明するための断面図である。
図9】第1のケース11、第1のコア部材21および第1のシールド部材41について説明するための外観斜視図である。
図10】第2のケース12、第2のコア部材22および第2のシールド部材42について説明するための外観斜視図である。
図11】磁気コア20単体の側面図である。
図12】磁気コア20単体の正面図である。
図13】磁気コア20単体の分解斜視図である。
図14】閉状態におけるシールド40および磁気コア20の外観斜視図である。
図15】開状態におけるシールド40および磁気コア20の外観斜視図である。
図16】閉状態における磁気コア20単体の外観斜視図である。
図17】閉状態から開状態への移行、および開状態から閉状態への移行時における磁気コア20単体の外観斜視図である。
図18】開状態におけるクランプセンサ3の第1のコア部材21a,21bおよび第2のコア部材22と、第1のシールド部材41および第2のシールド部材42との位置関係について説明するための説明図である。
図19】閉状態におけるクランプセンサ3の第1のコア部材21a,21bおよび第2のコア部材22と、第1のシールド部材41および第2のシールド部材42との位置関係について説明するための説明図である。
図20】第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライド方向について説明するための説明図である。
図21】第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライド方向について説明するための他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、クランプセンサの製造方法、クランプセンサおよび測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1に示す測定装置1は、「測定装置」の一例であって、本体部2およびクランプセンサ3を備えて構成されている。本体部2は、クランプセンサ3による検出量に基づいて「検出対象導体」の一例である測定対象導線Xについての被測定量(電流や磁気の大きさなど)を測定する「測定部(測定回路:図示せず)」が筐体内に収容されると共に、各種の操作スイッチが設けられた操作部や、測定値などを表示する表示部など(いずれも図示せず)が配設されている。この本体部2には、ケーブル4を介してクランプセンサ3が接続されている。また、クランプセンサ3は、「クランプセンサ」の一例であって、図2~6に示すように、ケーシング10、第1の検出用部材S1および第2の検出用部材S2などを備え、後述する「クランプセンサの製造方法」によって製造されている。
【0025】
この場合、図7に示すように、第1の検出用部材S1および第2の検出用部材S2は、磁気コア20、磁気検出素子30、シールド40および巻線50を備え、測定対象導線Xについての上記の被測定量を検出可能に構成されている。具体的には、第1の検出用部材S1は、「第1の検出用部材」の一例であって、磁気コア20における後述の第1のコア部材21、磁気検出素子30、シールド40における後述の第1のシールド部材41、およびボビン50aに巻回された巻線50を備えると共に、磁気検出素子30が実装された基板60a(「第1の検出用部材に固定された配線用基板」の一例)が第1のコア部材21と第1のシールド部材41との間に挟み込まれるようにして一体化されている。また、第2の検出用部材S2は、「第2の検出用部材」の一例であって、磁気コア20における後述の第2のコア部材22およびシールド40における後述の第2のシールド部材42を備えて構成されている。
【0026】
一方、図2~6,8に示すように、ケーシング10は、第1のケース11、第2のケース12およびカバー13を備え、第1の検出用部材S1や第2の検出用部材S2を収容可能に構成されている。第1のケース11は、「第1のケース」の一例であって、図2,3に示すように、収容部11aおよび把持部11bが矢印A,Bの方向に沿って並んで配設されている。この第1のケース11は、図4,8に示すように、「部材収容部」としての上記の収容部11aが設けられたケース本体11-1と、ケース本体11-1に取り付けられて収容部11aを閉塞する蓋部(閉塞部材)11-2とを備えて構成されている。
【0027】
この場合、図5,8に示すように、ケース本体11-1に設けられた収容部11aは、第1の検出用部材S1などを収容可能に構成されると共に、測定対象導線Xを挿通可能な切欠き11sが設けられている。この収容部11aは、第1の検出用部材S1における周方向の両端部(後述するように櫛歯状に形成されている部位)から先に第1の検出用部材S1を矢印Uの向きでケース本体11-1内に収容(挿入)することができるように形成されている。
【0028】
また、ケース本体11-1には、収容部11aに収容した第1の検出用部材S1における周方向の両端部をケース本体11-1からそれぞれ突出させる一対の孔11h,11h(「一端側の第1の凸部および他端側の第1の凸部が第1のケースからそれぞれ突出した状態とするための一対の孔」の一例)が形成されている。これにより、図5に示すように、本例のクランプセンサ3では、両孔11h,11hから両端部をそれぞれ突出させるようにして第1の検出用部材S1を収容部11aに収容した状態において、第1のケース11における両孔11h,11hの間の部位に第1の検出用部材S1の周方向における中央部が当接させられ、第1のケース11に対する第1の検出用部材S1の矢印Uの向きへの移動が規制されて、孔11hからの第1の検出用部材S1(端部)が過剰に突出した状態となるのが回避されている。
【0029】
また、本例のクランプセンサ3では、ケース本体11-1に設けられた孔11hの口縁部が「第1の検出用部材の挿通方向への移動を制限する移動制限部」としてそれぞれ機能して、収容部11aに収容された第1の検出用部材S1が図5に示す矢印A,Bの方向や図6に示す矢印Cの向きにケース本体11-1に対して相対的に移動するのが制限される構成が採用されている。
【0030】
また、図5に示すように、本例のクランプセンサ3では、第1の検出用部材S1と一体化された上記の基板60aに固定用ネジ60cによって固定された取付金具60bが第1のケース11(ケース本体11-1)に対して固定用ネジ60dによって固定され、これにより、第1の検出用部材S1が収容部11aに収容された状態で第1のケース11に固定される構成が採用されている。なお、このクランプセンサ3の例では、取付金具60bおよび固定用ネジ60c,60dが相俟って「固定部材」が構成されている。
【0031】
第2のケース12は、「第2のケース」の一例であって、図2,3に示すように、収容部12aを備えると共に、第1のケース11に対して第2のケース12を矢印A,Bの方向にスライドさせるための操作用ノブ(図示を省略する)が配設されて、第1のケース11に対する矢印A,Bの方向への相対的なスライド(後述する「仮想直線」に沿ったスライド)が可能に構成されている。収容部12aは、図5に示すように、第2の検出用部材S2などを収容可能に構成されている。この第2のケース12は、図4,8に示すように、ケース本体12-1および蓋部12-2を備えて構成されている。
【0032】
カバー13は、第2のケース12を挟み込むようにして第1のケース11に固定されると共に、第1のケース11の把持部11bと相俟ってクランプセンサ3における「把持部」を構成する。このカバー13には、第2のケース12に配設された前述の操作用ノブを挿通可能な挿通用孔13aが開口されている。
【0033】
磁気コア20は、「閉状態において環状に配置される磁気コア」の一例である櫛歯接触構造の閉磁路構成部材であって、図7,9~13に示すように、第1のコア部材21および第2のコア部材22を備え、閉状態において側面視矩形状の環状閉磁路を形成可能に構成されている。
【0034】
第1のコア部材21は、「磁気コアの周方向における一部を構成する第1のコア部材」の一例であって、図7に示すように、その長手方向の中央部にギャップGが生じるように第1のケース11の収容部11aに収容されている。以下、第1のコア部材21を構成する2つの部材のうちの先端側に配置される部材を第1のコア部材21aともいい、把持部11b側に配置される部材を第1のコア部材21bともいう(「第1のコア部材」が2つの部材で構成されている例)。
【0035】
この第1のコア部材21a,21bは、図12に示すように、プレート25a,25bを交互に積層することで、図7に示すように、側面視略L字状にそれぞれ形成されている。この場合、図12,13に示すように、本例のクランプセンサ3では、プレート25aがプレート25bよりも長尺に形成されており、プレート25aの先端がプレート25bの先端から突出するように両プレート25a,25bが積層されることにより、プレート25aの先端(プレート25aにおける先端P21a,P21b側の部位:以下、プレート25aの先端P21aやプレート25aの先端P21bともいう)によって「環状の磁気コアにおける周方向に沿って突出する第1の凸部」が構成されている。
【0036】
なお、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21aのプレート25aと第1のコア部材21bのプレート25aとが同一形状に形成されると共に、第1のコア部材21aのプレート25bと第1のコア部材21bのプレート25bとが同一形状に形成されている。これにより、1種類のプレート25a、および1種類のプレート25bを製作することで、第1のコア部材21a,21bの双方を製造することが可能となっている。
【0037】
この場合、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21の先端P21a(図9,11~13参照)が「第1のコア部材における一端」に相当し、第1のコア部材21の先端P21b(図9,11~13参照)が「第1のコア部材における他端」に相当する。また、本例のクランプセンサ3では、一例として4枚のプレート25aおよび4枚のプレート25bによって第1のコア部材21a,21bがそれぞれ形成されている。つまり、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21の先端P21aに4つの「第1の凸部」が設けられると共に、第1のコア部材21の先端P21bに4つの「第1の凸部」が設けられている(「少なくとも一方の凸部」としての「第1の凸部」が「磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向」において並ぶように複数設けられた構成の一例)。
【0038】
第2のコア部材22は、「第1のコア部材とは別体に形成されて当該磁気コアの当該周方向における他の一部を構成する第2のコア部材」の一例であって、図12に示すように、プレート26a,26bを交互に積層することで、図7に示すように、側面視略コ字状にそれぞれ形成されている。この場合、図12,13に示すように、本例のクランプセンサ3では、プレート26aがプレート26bよりも長尺に形成されており、プレート26aの先端がプレート26bの先端から突出するように両プレート26a,26bが積層されることにより、プレート26aの先端(プレート26aにおける先端P22a,P22b側の部位:以下、プレート26aの先端P22aやプレート26aの先端P22bともいう)によって「環状の磁気コアにおける周方向に沿って突出する第2の凸部」が構成されている。
【0039】
なお、本例のクランプセンサ3では、第2のコア部材22の先端P22a(図10~12,13参照)が「第2のコア部材における一端」に相当し、第2のコア部材22の先端P22b(図10~11,13参照)が「第2のコア部材における他端」に相当する。この場合、本例のクランプセンサ3では、一例として4枚のプレート26aおよび4枚のプレート26bによって第2のコア部材22が形成されている。つまり、本例のクランプセンサ3では、第2のコア部材22の先端P22aに4つの「第2の凸部」が設けられると共に、第2のコア部材22の先端P22bに4つの「第2の凸部」が設けられている(「少なくとも一方の凸部」としての「第2の凸部」が「磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向」において並ぶように複数設けられた構成の一例)。
【0040】
また、このクランプセンサ3では、図20,21に示すように、閉状態に移行させられて環状に配置された状態の磁気コア20を、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向に沿って見たときに第1のコア部材21における周方向の両端部のうちのいずれか(この例では、先端P21a,P21bの双方)において磁気コア20の内周側縁部(両図における破線L1の部位)に対して交差する「仮想直線(両図における荒破線L2)」に沿って矢印A,Bで示すように第2のケース12が第1のコア部材21に対して相対的にスライド可能に構成されている。
【0041】
この場合、「第1のコア部材における周方向の両端部のうちのいずれかにおいて磁気コアの内周側縁部に対して交差する[仮想直線]の[内周側縁部に対する交差角度]」は、本例のクランプセンサ3の例における90°(直交)に限定されない。しかしながら、この「交差角度」が過剰に小さい「仮想直線」に沿ってスライドさせる構成を採用したときには、後述する「本願発明の効果によって奏される効果」が十分に奏されない可能性がある。したがって、図21に示す荒破線L2a,L2bで示す「仮想直線」のように、「磁気コアの内周側縁部(破線L1)」に対する交差角度θ1が最小でも45°となる角度範囲θ2内の角度となるような「仮想直線」に沿ってスライド可能に構成するのが好ましい。
【0042】
また、本例のクランプセンサ3における磁気コア20では、「磁気コア20の内周側縁部」である破線L1が、第1のコア部材21における先端P21a,P21bにおいて平行となっているため、「仮想直線」の一例である荒破線L2が、第1のコア部材21における先端P21a,P21bの双方において破線L1に対して同じ交差角度で交差(この例では、直交)している。しかしながら、本例の磁気コア20とは異なり、「磁気コアの内周側縁部」が、「第1のコア部材における一端部および他端部」において非平行となっている「磁気コア」を備えたとき(図示せず)には、「第1のコア部材における一端部」および「第1のコア部材における他端部」のいずれかにおいて「磁気コアの内周側縁部」に対して交差する「仮想直線」に沿って「第1のケース」に対して「第2のケース」を相対的にスライド可能に構成することができる。
【0043】
一方、図7,9,10,14,15に示すように、シールド40は、第1のシールド部材41および第2のシールド部材42を備えている。第1のシールド部材41は、図7,9,14,15に示すように、第1のコア部材21における外周部に配設された状態で第1のコア部材21と共に第1のケース11の収容部11aに収容されている。第2のシールド部材42は、図7,10,14,15に示すように、第2のコア部材22における外周部に配設された状態で第2のコア部材22と共に第2のケース12の収容部12aに収容されている。
【0044】
このクランプセンサ3では、図16に示すように、閉状態に移行させられて磁気コア20が環状に配置された状態において、第1のコア部材21における先端P21a側の「第1の凸部(プレート25a)」と、第2のコア部材22における先端P22a側の「第2の凸部(プレート26a)」とが、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向(図2,3等に示す矢印Cの方向)で重なると共に、第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」と、第2のコア部材22における先端P22b側の「第2の凸部(プレート26a)」とが、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向で重なるように構成されている(「少なくとも一方の凸部」としての「第1の凸部」の間に「他方の凸部」としての「第2の凸部」が挟み込まれると共に、「少なくとも一方の凸部」としての「第2の凸部」の間に「他方の凸部」としての「第1の凸部」が挟み込まれる構成の例)。
【0045】
また、図17に示すように、このクランプセンサ3では、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドによって閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、第2のコア部材22における先端P22a側の「第2の凸部(プレート26a)」が、第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」に対して、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向で重なる位置を通過可能に構成されている。
【0046】
具体的には、図12に示すように、本例のクランプセンサ3では、図2,3等に示す矢印A,Bの方向に沿って磁気コア20を見たときに、第1のコア部材21においてプレート25aが積層される位置、すなわち、「第1の凸部」が存在する位置に、第2のコア部材22においてプレート26bが積層されると共に、第1のコア部材21においてプレート25bが積層される位置、すなわち、「挿通方向」で隣合う2つの「第1の凸部」の間の位置に、第2のコア部材22においてプレート26aが積層されている。また、本例のクランプセンサ3では、第2のコア部材22においてプレート26aが積層される位置、すなわち、「第2の凸部」が存在する位置に、第1のコア部材21においてプレート25bが積層されると共に、第2のコア部材22においてプレート26bが積層される位置、すなわち、「挿通方向」で隣合う2つの「第2の凸部」の間の位置に、第1のコア部材21においてプレート25aが積層されている。
【0047】
また、図14,15,18,19に示すように、本例のクランプセンサ3では、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドによって閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、第1のシールド部材41における「第1の端部(先端P41b)」が「他端部側の第2の凸部(プレート26aにおける先端P22b)」、および「一端部側の第2の凸部(プレート26aにおける先端P22a)」に当接しないように第1のシールド部材41が構成されて第1のケース11の収容部11aに収容されている。
【0048】
また、本例のクランプセンサ3では、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドによって閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、第2のシールド部材42における「第2の端部(先端P42a)」が「一端部側の第1の凸部(プレート25aにおける先端P21a)」および「他端部側の第1の凸部(プレート25aにおける先端P21b)」に当接しないように第2のシールド部材42が構成されて第2のケース12の収容部12aに収容されている。
【0049】
さらに、図14,19に示すように、本例のクランプセンサ3では、閉状態に移行させられて第1のコア部材21および第2のコア部材22が環状に配置された状態において、第1のシールド部材41における先端P41aと、第2のシールド部材42における先端P42aとが極く近距離に配置された状態となり、かつ第1のシールド部材41における先端P41bと、第2のシールド部材42における先端P42bとが極く近距離に配置された状態となるように第1のシールド部材41および第2のシールド部材42が構成されている。
【0050】
次に、クランプセンサ3の製造方法(組立て方法)について、添付図面を参照して説明する。
【0051】
なお、第1の検出用部材S1や第2の検出用部材S2の組立てについては完了しているものとし、詳細な説明を省略する。また、第1の検出用部材S1と一体化された基板60aに対する取付金具60bの固定用ネジ60cによる固定についても完了しているものとし、詳細な説明を省略する。
【0052】
最初に、第2のケース12のケース本体12-1における収容部12aに第2の検出用部材S2を収容して固定する。具体的には、図4に示す矢印Dの向きで、第2の検出用部材S2における先端P22a,P22b側から先に収容部12aに対して第2の検出用部材S2を収容(挿入)し、ケース本体12-1に形成された一対の孔12h,12hから第2の検出用部材S2の先端P22a,P22bがそれぞれ突出した状態とする。次いで、収容部12a内の第2の検出用部材S2に被せるようにして、ケース本体12-1に蓋部12-2を装着し、第2の検出用部材S2が収容されている収容部12aの開口部を蓋部12-2によって閉塞する。これにより、ケース本体12-1(収容部12aの底部)と蓋部12-2とで挟まれるようにして第2のケース12に対して第2の検出用部材S2が位置決め固定された状態となる。
【0053】
次いで、一例として、第2の検出用部材S2が固定された第2のケース12をケース本体11-1に接触させる。この際には、ケース本体11-1における孔11h,11hが、それぞれ第2のケース12に固定されている第2の検出用部材S2の先端P22a,P22bの位置に合うように第2のケース12に対するケース本体11-1の相対的な位置を調整する。
【0054】
次いで、第1の検出用部材S1における先端P21a,P21bがケース本体11-1における孔11h,11hからそれぞれ突出した状態となるように第1の検出用部材S1を収容部11aに収容する。具体的には、図4に示す矢印Uの向きで、第1の検出用部材S1における先端P21a,P21b側から先に収容部11aに対して第1の検出用部材S1を収容(挿入)する。この際には、収容した第1の検出用部材S1の先端P21a,P21bをケース本体11-1における孔11h,11hおよび第2のケース12(ケース本体12-1)における孔12h,12hから突出している第2の検出用部材S2の先端P22a,P22bに対してそれぞれ噛合させるようにして収容部11a内における第1の検出用部材S1の位置を調整する。
【0055】
この場合、本例のクランプセンサ3では、ケース本体11-1に形成された孔11h、11hの口縁部と、先端P21a,P21bを孔11h、11hに挿入された状態の第1の検出用部材S1との間に極く小さな隙間が生じるようにケース本体11-1および第1の検出用部材S1が形成されており、収容部11a内における第1の検出用部材S1の位置を微調整することができるように構成されている。この場合、本例のクランプセンサ3では、孔11hの口縁部と第1の検出用部材S1との間の隙間が、第1のコア部材21を構成する各プレート25a,25bや、第2のコア部材22を構成する各プレート26a,26bの厚み以下(一例として、各プレート25a,25b,26a,26bの厚みと同程度)となるように孔11hが開口されて「移動制限部」が構成されている。
【0056】
これにより、第2のコア部材22の先端P22a,P22bに対して、第1のコア部材21の先端P21a,P21bが、図5に示す矢印A,Bの方向や、図6に示す矢印Cの方向に大きく位置ずれして噛合させられた状態(先端P21a,P22aの一部や、先端P21b,P22bの一部だけが接するように噛合させられた状態)となるのが回避され、組立てを完了したクランプセンサ3を開状態から閉状態に移行させるときに、第1の検出用部材S1の先端P21a,P21bと第2の検出用部材S2の先端P22a,P22bとがスムースに噛合状態に移行可能で、かつ先端P21a,P22aや先端P21b,P22bが好適に接した状態となる位置関係で第1の検出用部材S1を位置決めすることができる。なお、孔11hの口縁部と第1の検出用部材S1との間の隙間については、各プレート25a,25b,26a,26bの厚みの2倍未満とすることにより、両コア部材21,22の先端P21a,P21b,P22a,P22bにおける凸部が、噛合させるべき凹部とは異なる凹部に噛合させられた状態となるのを確実に回避することができる。
【0057】
続いて、第1の検出用部材S1と一体化されている基板60aに固定された取付金具60bを固定用ネジ60dによってケース本体11-1に固定する(「複数の少なくとも一方の凸部の間に前記他方の凸部が挟み込まれて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1のケースに対して当該第1の検出用部材を前記固定部材によって位置決め固定する」との工程の一例である「複数の少なくとも一方の凸部の間に前記他方の凸部を挟み込まれて前記磁気コアが環状に配置された状態において、当該配線用基板を挿通させた前記固定部材としての固定用ネジを前記第1のケースに対して締め込むことによって当該第1のケースに対して当該第1の検出用部材を位置決め固定する」との工程の一例)。これにより、基板60a、固定用ネジ60c、取付金具60bおよび固定用ネジ60dを介して第1の検出用部材S1がケース本体11-1に対して固定された状態となる(「第1の検出用部材が、部材収容部内に収容され、かつ一端側の第1の凸部および他端側の第1の凸部が一対の孔からそれぞれ突出した状態で固定部材によって第1のケースに対して位置決め固定されている」との状態の一例)。
【0058】
次いで、収容部11a内の第1の検出用部材S1や基板60aおよび取付金具60bに被せるようにして、ケース本体11-1に蓋部11-2を装着し、収容部11aの開口部を蓋部11-2によって閉塞する。この場合、図5に示すように、本例の測定装置1では、ケース本体11-1に装着した蓋部11-2の内面に第1の検出用部材S1が接し、収容部11a内において第1の検出用部材S1がケース本体11-1および蓋部11-2によって挟まれた状態となるように第1のケース11および第1の検出用部材S1が構成されている。これにより、収容部11a内における第1の検出用部材S1の意図しない移動が好適に回避される。
【0059】
この後、第2のケース12を挟み込むようにして第1のケース11にカバー13を装着し、挿通用孔13aから露出している第2のケース12に操作用ノブ(図示せず)を取り付けることにより、クランプセンサ3が完成する。
【0060】
このクランプセンサ3では、第1のケース11のケース本体11-1における収容部11aが、第1の検出用部材S1における周方向の両端部(櫛歯状の先端P21a,P21b)から先に第1の検出用部材S1を第1のケース11(ケース本体11-1)内に収容可能に(挿入可能に)形成されている。また、前述のように、収容部11aには、第1の検出用部材S1における周方向の両端部(先端P21a,P21b)が第1のケース11(ケース本体11-1)からそれぞれ突出した状態とするための一対の孔11h,11hが形成されている。
【0061】
したがって、このクランプセンサ3の組立て時には、出願人が試作した前述のクランプセンサの組立て時とは異なり、第2のケース12に対して位置決め固定された第2の検出用部材S2における周方向の両端部(先端P22a,P22b)に対して第1の検出用部材S1における周方向の両端部(先端P21a,P21b)を噛合させた状態、すなわち、クランプセンサ3が閉状態に移行させられたときに第1の検出用部材S1および第2の検出用部材S2が互いに位置すべき場所に位置した状態においてケース本体11-1に対して第1の検出用部材S1を固定し、その後に蓋部11-2によって収容部11aを閉塞することが可能となっている。
【0062】
このように、このクランプセンサ3の製造方法は、閉状態において環状に配置される磁気コア20の周方向における一部を構成する第1のコア部材21、および第1のコア部材21とは別体に形成されて磁気コア20の周方向における他の一部を構成する第2のコア部材22と、第1のコア部材21を収容する第1のケース11、および第1のケース11に対する相対的なスライドが可能に構成されると共に第2のコア部材22を収容する第2のケース12とを備え、周方向に沿って突出する「第1の凸部(プレート25aの先端)」が第1のコア部材21における周方向の両端にそれぞれ設けられ、かつ周方向に沿って突出する「第2の凸部(プレート26aの先端)」が第2のコア部材22における周方向の両端にそれぞれ設けられると共に、「第1の凸部」および「第2の凸部」のうちの少なくとも一方の凸部(本例では、「第1の凸部」および「第2の凸部」の双方)が磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向において並ぶように複数設けられ、閉状態に移行させられて磁気コア20が環状に配置された状態において、第1のコア部材21における先端P21a側の「第1の凸部」と第2のコア部材22における先端P22a側の「第2の凸部」とが「挿通方向」で重なり、かつ第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部」と第2のコア部材22における先端P22b側の「第2の凸部」とが挿通方向で重なると共に、「少なくとも一方の凸部」の間に「他方の凸部」が挟み込まれた状態となるように構成され、第1の検出用部材S1を収容可能に構成されると共に、収容状態の第1の検出用部材S1における先端P21a側の「第1の凸部」および先端P21b側の「第1の凸部」が第1のケース11からそれぞれ突出した状態とするための一対の孔11h,11hを有する収容部11aが第1のケース11に設けられ、第1の検出用部材S1が、収容部11a内に収容された状態で「固定部材(基板60a、取付金具60bおよび固定用ネジ60c,60d)」によって第1のケース11に対して位置決め固定されているクランプセンサ3を製造する際に、一対の孔11h,11hから先端P21a側の「第1の凸部」および先端P21b側の「第1の凸部」がそれぞれ突出した状態で第1の検出用部材S1が収容部11aに収容され、かつ複数の「少なくとも一方の凸部」の間に「他方の凸部」が挟み込まれて磁気コア20が環状に配置された状態において、第1のケース11に対して第1の検出用部材S1を「固定部材」によって位置決め固定する。
【0063】
また、このクランプセンサ3では、閉状態において環状に配置される磁気コア20の周方向における一部を構成する第1のコア部材21、および第1のコア部材21とは別体に形成されて磁気コア20の周方向における他の一部を構成する第2のコア部材22と、第1のコア部材21を収容する第1のケース11、および第1のケース11に対する相対的なスライドが可能に構成されると共に第2のコア部材22を収容する第2のケース12とを備え、周方向に沿って突出する「第1の凸部(プレート25aの先端)」が第1のコア部材21における周方向の両端にそれぞれ設けられ、かつ周方向に沿って突出する「第2の凸部(プレート26aの先端)」が第2のコア部材22における周方向の両端にそれぞれ設けられると共に、「第1の凸部」および「第2の凸部」のうちの少なくとも一方の凸部(本例では、「第1の凸部」および「第2の凸部」の双方)が磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向において並ぶように複数設けられ、閉状態に移行させられて磁気コア20が環状に配置された状態において、第1のコア部材21における先端P21a側の「第1の凸部」と第2のコア部材22における先端P22a側の「第2の凸部」とが「挿通方向」で重なり、かつ第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部」と第2のコア部材22における先端P22b側の「第2の凸部」とが挿通方向で重なると共に、「少なくとも一方の凸部」の間に「他方の凸部」が挟み込まれた状態となるように構成され、第1のケース11には、第1の検出用部材S1を収容可能に構成されると共に、収容状態の第1の検出用部材S1における先端P21a側の「第1の凸部」および先端P21b側の「第1の凸部」が第1のケース11からそれぞれ突出した状態とするための一対の孔11h,11hを有する収容部11aが設けられ、第1の検出用部材S1が、収容部11a内に収容され、かつ先端P21a側の「第1の凸部」および先端P21b側の「第1の凸部」が一対の孔11h,11hからそれぞれ突出した状態で「固定部材(基板60a、取付金具60bおよび固定用ネジ60c,60d)」によって第1のケース11に対して位置決め固定されている。
具体的には、第1のケース11は、第1の検出用部材S1を収容可能な収容部11aが形成されると共に、第1の検出用部材S1が収容された状態の収容部11aを閉塞する蓋部11-2を備えて構成され、収容部11aは、第1の検出用部材S1における周方向の両端部から先に第1の検出用部材S1を第1のケース11(ケース本体11-1)内に収容可能(挿入可能)に形成されると共に、周方向の両端部が第1のケース11からそれぞれ突出した状態とするための一対の孔11h,11hを有し、第1の検出用部材S1は、収容部11a内に収容された状態で「固定部材(基板60a、取付金具60bおよび固定用ネジ60c,60d)」によって第1のケース11に対して位置決め固定されている。
【0064】
また、この測定装置1では、上記のクランプセンサ3と、磁気コア20に対して挿通方向に挿通された測定対象導線Xについてのクランプセンサ3による検出量に基づいて予め規定された被測定量を測定する「測定部」を有する本体部2とを備えている。
【0065】
したがって、このクランプセンサ3の製造方法、クランプセンサ3および測定装置1によれば、例えば、第2のケース12に対して位置決め固定された状態の第2の検出用部材S2の先端P22a,P22bに先端P21a,P21bを噛合させた状態において、第2の検出用部材S2や第2のケース12によって作業が阻害されることなく、第1のケース11(ケース本体11-1)に対して第1の検出用部材S1を固定することができる。これにより、クランプセンサ3が閉状態に移行させられたときに第1の検出用部材S1および第2の検出用部材S2が好適な噛合状態となる位置関係で第1のケース11(ケース本体11-1)に第1の検出用部材S1を確実かつ容易に固定することができるため、櫛歯接触構造の磁気コア20を有し、かつスムースに開閉可能なクランプセンサ3、およびそのようなクランプセンサ3を備えた測定装置1を提供することができる。
【0066】
また、このクランプセンサ3では、第1のケース11は、少なくとも挿通方向への第1の検出用部材S1の移動を制限する「移動制限部(本例では、孔11hの口縁部)」が収容部11aにおける孔11h,11hの近傍に設けられている。したがって、このクランプセンサ3および測定装置1によれば、第2のケース12に対して位置決め固定された状態の第2の検出用部材S2における第2のコア部材22の先端P22a,P22bに第1の検出用部材S1における第1のコア部材21の先端P21a,P21bを噛合させるときに、第2のコア部材22の先端P22a,P22bに対して第1のコア部材21の先端P21a,P21bが挿通方向に大きく位置ずれした状態で噛合されるのを確実に回避することができるため、好適な噛合状態となる位置関係で第1のケース11に対して第1の検出用部材S1を固定することができる。
【0067】
また、本発明に係るクランプセンサ3の製造方法は、第1の検出用部材S1に固定された基板60aを備えたクランプセンサを製造する際に、第1の検出用部材S1および第1の検出用部材S1に固定された基板60aが収容部11aに収容され、かつ複数の「少なくとも一方の凸部」の間に「他方の凸部」を挟み込まれて磁気コア20が環状に配置された状態において、基板60aおよび取付金具60bを挿通させた「固定部材」としての固定用ネジ60c,60dを第1のケース11に対して締め込むことによって第1のケース11に対して第1の検出用部材S1を位置決め固定する。
【0068】
また、このクランプセンサ3では、第1の検出用部材S1に固定された基板60aを備え、「固定部材」が、基板60aおよび取付金具60bを第1のケース11にネジ止め可能な固定用ネジ60c,60dを備えて構成されている。
【0069】
したがって、このクランプセンサ3の製造方法、クランプセンサ3および測定装置1によれば、ポッティング剤などで第1の検出用部材S1を固定する構成とは異なり、第1のケース11(ケース本体11-1)に対する固定位置の調整を完了したときに短時間で容易に第1の検出用部材S1を第1のケース11に固定することができるため、クランプセンサ3や測定装置1の製造コストを十分に低減することができる。
【0070】
なお、「クランプセンサの製造方法」の具体的な内容や、「クランプセンサ」および「測定装置」の構成は、上記のクランプセンサ3の製造方法(組立て方法)や、クランプセンサ3および測定装置1の構成の例に限定されない。
【0071】
例えば、基板60a、取付金具60bおよび固定用ネジ60c,60dを「固定部材」として使用して第1のケース11(ケース本体11-1)に対して第1の検出用部材S1を固定する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、収容部11aに収容した第1の検出用部材S1と第1のケース11における内面との間にポッティング剤等を充填して硬化させることでポッティング剤等を「固定部材」として機能させてケース本体11-1に対して第1の検出用部材S1を固定する構成を採用することもできる。
【0072】
具体的には、第1のケース11に形成されている一対の孔11h,11hから先端P21a側の「第1の凸部」および先端P21b側の「第1の凸部」がそれぞれ突出した状態となるように第1の検出用部材S1を収容部11aに収容すると共に、第1の検出用部材S1(コア部材21a)における「第1の凸部」の間に第2の検出用部材S2(コア部材21b)における「第2の凸部」が挟み込まれて磁気コア20が環状に配置された状態において、第1のケース11に対して第1の検出用部材S1を「固定部材」としてのポッティング剤によって位置決め固定する。このような製造方法および構成を採用することにより、第1の検出用部材S1を固定用ネジ60c,60d等によって第1のケース11に対して固定した上記のクランプセンサ3と同様にして、第2のケース12に対して位置決め固定された状態の第2の検出用部材S2の先端P22a,P22bに先端P21a,P21bを噛合させた状態において、第2の検出用部材S2や第2のケース12によって作業が阻害されることなく、第1のケース11(ケース本体11-1)に対して第1の検出用部材S1を固定することができる。
【0073】
また、「第1のケース」としての第1のケース11(ケース本体11-1)に形成されている「一対の孔」としての孔11h,11hに第1の検出用部材S1の両端部を挿入することで孔11h,11hから第1の検出用部材S1の両端部(両「一方の凸部」)を突出させた状態とする方法・構成を例に挙げて説明したが、このような方法・構成に代えて、以下のような方法・構成を採用することもできる。
【0074】
この場合、「第1のケース」については、一例として、上記のクランプセンサ3における第1のケース11におけるケース本体11-1を「挿通方向」(図6における左右方向)で2分割構造とする(図示せず:以下、分割した「ケース本体11-1」を「ケース本体11-1a,11-1b」ともいい、この「ケース本体11-1a,11-1b」を接合した接合体を「ケース本体11-1」ともいう)。このような構成の第1のケース11では、接合された状態において孔11h,11hを形成する切欠き(以下、「切欠き11x」ともいう)がケース本体11-1a,11-1bのいずれか、または双方に存在する状態となっている(図示せず)。
【0075】
一方、このような第1のケース11のケースを備えた「クランプセンサ(以下、「クランプセンサ3a」ともいう)」の製造に際しては、前述のクランプセンサ3の製造時と同様にして、まず、第2のケース12のケース本体12-1における収容部12aに第2の検出用部材S2を収容して固定する。次いで、第2の検出用部材S2の先端P22a,P22bに対して先端P21a,P21bが噛合した状態となるように第2の検出用部材S2に対する第1の検出用部材S1の相対的な位置を調整することにより、第1の検出用部材S1および第2の検出用部材S2(磁気コア20)を環状に配置する。
【0076】
続いて、先端P21a,P21bを第2の検出用部材S2の先端P22a,P22bに対して噛合させた第1の検出用部材S1を挟み込む様にして第1の検出用部材S1にケース本体11-1a,11-1bをそれぞれ装着する。この際には、上記の切欠き11x内に第1の検出用部材S1の先端P21a,P21bが位置するように第1の検出用部材S1の側方からケース本体11-1a,11-1bを接合する。これにより、ケース本体11-1における収容部11a内に第1の検出用部材S1が収容された状態になると共に、切欠き11xによる孔11hが形成され、この孔11hから第1の検出用部材S1の先端P21a,P21bが突出した状態となる。
【0077】
続いて、第1の検出用部材S1と一体化されている基板60aに固定された取付金具60bを固定用ネジ60dによってケース本体11-1に固定する(「複数の少なくとも一方の凸部の間に前記他方の凸部が挟み込まれて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1のケースに対して当該第1の検出用部材を前記固定部材によって位置決め固定する」との工程の一例である「複数の少なくとも一方の凸部の間に前記他方の凸部を挟み込まれて前記磁気コアが環状に配置された状態において、当該配線用基板を挿通させた前記固定部材としての固定用ネジを前記第1のケースに対して締め込むことによって当該第1のケースに対して当該第1の検出用部材を位置決め固定する」との工程の他の一例)。これにより、基板60a、固定用ネジ60c、取付金具60bおよび固定用ネジ60dを介して第1の検出用部材S1がケース本体11-1に対して固定された状態となる(「第1の検出用部材が、部材収容部内に収容され、かつ一端側の第1の凸部および他端側の第1の凸部が一対の孔からそれぞれ突出した状態で固定部材によって第1のケースに対して位置決め固定されている」との状態の他の一例)。
【0078】
次いで、収容部11a内の第1の検出用部材S1や基板60aおよび取付金具60bに被せるようにして、ケース本体11-1に蓋部11-2を装着し、収容部11aの開口部を蓋部11-2によって閉塞する。この後、第2のケース12を挟み込むようにして第1のケース11にカバー13を装着し、挿通用孔13aから露出している第2のケース12に操作用ノブ(図示せず)を取り付けることにより、クランプセンサ3aが完成する。
【0079】
このような製造方法で製造されたクランプセンサ3aでは、ケース本体11-1に対する第1の検出用部材S1の収容手順が異なるものの、実質的な構成は、前述のクランプセンサ3と同様となっている。したがって、このクランプセンサ3aの製造方法・構成においても、前述のクランプセンサ3の製造方法・構成と同様の効果を奏することができる。なお、第1のケース11(ケース本体11-1)を「挿通方向」で2分割した構成を例に挙げて説明したが、第1のケース11(ケース本体11-1)の分割方向や分割数はこの例の構成に限定されない。
【0080】
また、閉状態において側面視矩形状の環状閉磁路を形成可能な磁気コア20を備えた例について説明したが、閉状態の「磁気コア」によって形成される環状閉磁路の側面視形状は、円形、楕円形および不定形などの各種の形状とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によれば、第1の検出用部材S1における周方向の両端部(先端P21a,P21b)が第1のケース11(ケース本体11-1)の孔11h,11hからそれぞれ突出した状態となるように第1の検出用部材S1を収容部11aに収容した状態で第1の検出用部材S1を第1のケース11に固定する製造方法・構成を採用したことで、第2のケース12に対して位置決め固定された状態の第2の検出用部材S2の先端P22a,P22bに先端P21a,P21bを噛合させた状態において、第2の検出用部材S2や第2のケース12によって作業が阻害されることなく、第1のケース11(ケース本体11-1)に対して第1の検出用部材S1を固定することができるため、スムースに開閉可能なクランプセンサ、およびそのようなクランプセンサを備えた測定装置を提供することができる。これにより、本発明は、櫛歯接触構造の磁気コアを有するクランプセンサおよび測定装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 測定装置
2 本体部
3 クランプセンサ
4 ケーブル
10 ケーシング
11 第1のケース
11-1,12-1 ケース本体
11-2,12-2 蓋部
11a,12a 収容部
11b 把持部
11h,12h 孔
11s 切欠き
12 第2のケース
13 カバー
13a 挿通用孔
20 磁気コア
21,21a,21b 第1のコア部材
22 第2のコア部材
25a,25b,26a,26b プレート
30 磁気検出素子
40 シールド
41,41a 第1のシールド部材
42,42a 第2のシールド部材
50 巻線
50a ボビン
60a 基板
60b 取付金具
60c,60d 固定用ネジ
G ギャップ
P21a,P21b,P22a,P22b,P41a,P41b,P42a,P42b,P42s 先端
Pa,Pb 端部
S1 第1の検出用部材
S2 第2の検出用部材
X 測定対象導線
θ1 交差角度
θ2 角度範囲
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10
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図21