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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109055
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/852 20230101AFI20240805BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20240805BHJP
   H10K 50/19 20230101ALI20240805BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20240805BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20240805BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20240805BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H10K50/852
H10K59/35
H10K50/19
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/17
G09F9/30 365
G09F9/30 337
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001739
(22)【出願日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】10-2023-0012823
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】金 洸 賢
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC09
3K107CC33
3K107CC37
3K107DD10
3K107DD52
3K107DD72
3K107DD75
3K107DD89
3K107FF13
3K107FF15
5C094AA03
5C094AA12
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094CA24
5C094DA13
5C094EA05
5C094EA06
5C094FA02
5C094JA08
5C094JA11
(57)【要約】
【課題】白色表示時において、視野角変化による色偏差を低減または防止し、安定した視感を得ることができる発光表示装置を提供する。
【解決手段】第1サブ画素、第2サブ画素及び第3サブ画素を含む基板と、第1サブ画素に備えられ、赤色発光層を含む赤色発光素子と、第2サブ画素に備えられ、緑色発光層を含む緑色発光素子及び第3サブ画素に備えられ、青色発光層を含む青色発光素子とを含む。そして、赤色発光層の光発光ピークと赤色発光素子の発光ピーク間の第1波長差は2nm以下であり、緑色発光層の光発光ピークと緑色発光素子の発光ピーク間の第2波長差は2nm以下であり、青色発光ピークと青色発光素子の発光ピーク間の第3波長差はそれぞれ2nm以下であり得る。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サブ画素、第2サブ画素及び第3サブ画素を含む基板と、
前記第1サブ画素に備えられ、赤色発光層を含む赤色発光素子と、
前記第2サブ画素に備えられ、緑色発光層を含む緑色発光素子と、
前記第3サブ画素に備えられ、青色発光層を含む青色発光素子とを含み、
前記赤色発光層の光の発光ピークと前記赤色発光素子の電界発光ピークとの間の第1波長差は2nm以下であり、
前記緑色発光層の光の発光ピークと前記緑色発光素子の電界発光ピークとの間の第2波長差は2nm以下であり、
前記青色発光層の光の発光ピークと前記青色発光素子の電界発光ピークとの間の第3波長差それぞれは2nm以下である発光表示装置。
【請求項2】
前記赤色発光素子での赤色光、前記緑色発光素子での緑色光及び前記青色発光素子での青色光が合成された白色光は、60°以下の視野角から0.010以下の色視野角の距離を有する請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記赤色発光素子における赤色光の第1色視野角の距離、前記緑色発光素子における緑色光の第2色視野角の距離及び前記青色発光素子における青色光それぞれの第3色視野角の距離のうち、
60°以下の視野角において前記第1色視野角の距離最大値が最も大きく、前記第3色視野角の距離の最大値が最も小さい請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記第1色視野角の距離の最大値は45°~60°の視野角で生じ、
前記第2色視野角の距離の最大値及び前記第3色視野角の距離の最大値は30°乃至60°の視野角で生じる請求項3に記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記赤色発光素子における赤色光の第1色視野角の距離、前記緑色発光素子における緑色光の第2色視野角の距離及び前記青色発光素子における青色光のそれぞれの第3色視野角の距離は、
同一視野角で前記赤色発光素子での赤色光、前記緑色発光素子での緑色光および前記青色発光素子での青色光が合成された白色光の第4色視野角の距離より大きい請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項6】
前記赤色発光素子における赤色光の第1色視野角の距離、前記緑色発光素子における緑色光の第2色視野角の距離及び前記青色発光素子における青色光の第3色視野角の距離は、
視野角20°から60°において、前記第1色視野角の距離が前記第2色視野角及び前記第3色視野角の距離のそれぞれより大きい請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項7】
視野角0°~20°において、前記第1色視野角の距離が前記第2色視野角の距離及び前記第3色視野角の距離のそれぞれより小さい請求項6に記載の発光表示装置。
【請求項8】
前記赤色発光素子、前記緑色発光素子及び前記青色発光素子はそれぞれ、互いに対向した第1電極及び第2電極を含み、
前記赤色発光層、前記緑色発光層および前記青色発光層は前記第1電極と前記第2電極の間にあり、
前記赤色発光素子、前記緑色発光素子及び前記青色発光素子は、前記第1電極と前記第2電極との間の垂直距離が互いに異なる請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項9】
前記赤色発光層、前記緑色発光層および前記青色発光層は互いに厚さが異なる請求項8に記載の発光表示装置。
【請求項10】
前記第2電極上にキャッピング層をさらに含み、
前記第2電極は半透過性電極であり、
前記第1電極は反射電極である請求項8に記載の発光表示装置。
【請求項11】
前記赤色発光層は、前記第1サブ画素で共通層を挟んで重なった複数の赤色発光層を含み、
前記緑色発光層は、前記第2サブ画素で前記共通層を挟んで重なった複数の緑色発光層を含み、
前記青色発光層は、前記第3サブ画素で前記共通層を間に置いて重なった複数の青色発光層を含む請求項8に記載の発光表示装置。
【請求項12】
前記複数の赤色発光層のうち、最上の赤色発光層と前記共通層との間に第1正孔輸送補助層と、
前記複数の緑色発光層のうち、最上の緑色発光層と前記共通層との間に第2正孔輸送補助層とをさらに含む請求項11に記載の発光表示装置。
【請求項13】
前記共通層は、電子輸送層、電荷生成層および正孔輸送層を含む請求項11に記載の発光表示装置。
【請求項14】
前記赤色発光素子、前記緑色発光素子及び前記青色発光素子はそれぞれ、
第1電極と、
前記第1電極上の正孔注入層と、
前記正孔注入層上の正孔輸送層と、
前記正孔輸送層上の電子輸送層と、
前記赤色発光層、前記緑色発光層及び前記青色発光層それぞれ上に位置する第2電極とを含み、
前記赤色発光層、前記緑色発光層及び前記青色発光層のそれぞれは、前記正孔輸送層と前記電子輸送層との間に設けられる請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項15】
前記正孔輸送層と前記赤色発光層との間に第1正孔輸送補助層と、前記正孔輸送層と前記緑色発光層との間に第2正孔輸送補助層をさらに含む請求項14に記載の発光表示装置。
【請求項16】
前記第1正孔輸送補助層が前記第2正孔輸送補助層よりも、さらに厚い請求項15に記載の発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野角変化による白色の色ずれを防止し、発光色ごとの色ずれの視認を防止することができる発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化社会が発展するにつれて、画像を表示するための表示装置に対する要求が様々な形で増加している。
【0003】
発光素子で画素を構成する発光表示装置は、別途の光源ユニットを必要とせず、スリム化あるいはフレキシブル化に有利であり、また、色純度に優れるという利点がある。
【0004】
一例として、発光素子は、異なる2つの電極と、その間の発光層とを含んで構成される。いずれかの電極から発生した電子と他方の電極で発生した正孔が発光層内に注入されると、注入された電子及び正孔が結合して励起子(exciton)が生成され、生成された励起子が励起状態(excited state)から基底状態(ground state)に落ちながら発光が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光表示装置は、サブ画素別に異なる色を発光する発光層を備え得る。この場合、各サブ画素は互いに対向した2つの電極間に異なる垂直距離を与え、アウトカップリング効果を誘導する。そして、このような発光表示装置は白色表示時に互いに異なる発光層がある発光素子を全てターンオンさせて白色を表現する。この場合、互いに隣接したサブ画素から対向した電極間の垂直距離差に起因して、白色表示時において、視野角変化によって色偏差が大きくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述した問題を解決し、白色表示時に視野角の変化による色偏差を低減または防止し、安定した視感を得ることができる発光表示装置を提供する。
【0007】
本発明の一実施例による発光表示装置は、第1サブ画素、第2サブ画素及び第3サブ画素を含む基板と、第1サブ画素に備えられ、赤色発光層を含む赤色発光素子と、第2サブ画素に備えられ、緑色発光層を含む緑色発光素子及び第3サブ画素に備えられ、青色発光層を含む青色発光素子とを含む。そして、赤色発光層の光の発光ピークと赤色発光素子の発光ピークとの間の第1波長差は2nm以下であり、緑色発光層の光の発光ピークと緑色発光素子の発光ピークとの間の第2波長差は2nm以下であり、青色発光ピークと青色発光素子の発光ピークとの間の第3波長差はそれぞれ2nm以下であり得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の発光表示装置は、次のような効果を奏する。
【0009】
赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子それぞれでELピーク-PLピーク波長の差がそれぞれ2nm以下であり、各発光素子から出る発光色の色視野角の距離の最大値がR>G>Bである場合、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子を全て発光させた時に出てくる白色との色視野角の距離は0.010以下になり、これにより、発光表示装置の白色表示時において、視野角の変化に起因する色偏差を最小化または低減し、視認されないようにできる。
【0010】
また、第1電極と第2電極の間の垂直距離が発光素子別に異なるように適用され、アウトカップリング特性を最大化した構造で、白色でも色視野角変動性を低減でき、ユーザによる画面の視野角の変化によらず、視感を向上させることができる。
【0011】
そして、本発明の発光表示装置は発光層と発光素子が含まれた有機層共通層の厚さ及び材料を調整することにより、光の発光ピークと電界発光ピークの波長差を調整することができ、別途の物質追加なしに高信頼性の発光表示装置を製造することが可能である。したがって、環境(ecology)負荷を軽減し、低電力および工程最適化を図り、ESG(Environment/Social/Governance)を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の発光表示装置を概略的に示したブロック図である。
図2】本発明の一実施例により発光表示装置において、隣接するサブ画素の配置された発光素子を示した断面図である。
図3図2の発光素子を適用した発光表示装置を示した断面図である。
図4】本発明の発光表示装置において、赤色発光素子の発光ELスペクトルおよび光の発光PLスペクトルを示したグラフである。
図5】本発明の発光表示装置において、緑色発光素子の発光ELスペクトルおよび光の発光PLスペクトルを示したグラフである。
図6】本発明の発光表示装置において、青色発光素子の発光ELスペクトル及び光の発光PLスペクトルを示したグラフである。
図7】本発明の発光表示装置において、視野角変動による発光色別R、G、B、W色視野角の距離△u’v’を示したグラフである。
図8】本発明の発光表示装置において、視野角変動による色座標を示したグラフである。
図9】比較例による発光表示装置において、視野角変動による発光色別R、G、B、W色視野角の距離△u’v’を示したグラフである。
図10】本発明の他の実施例による発光表示装置において、隣接するサブ画素の配置された発光素子を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施例を説明する。明細書全体にわたって同じ参照番号は、実質的に同じコンポーネントを意味する。以下の説明で、本発明に関連する技術あるいは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曇らせることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、以下の説明で使用されるコンポーネント名称は明細書作成の容易さを考慮して選択されたもので、実際の製品の部品名称と異なる場合がある。
【0014】
本発明の多様な実施例を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、個数などは例示にすぎず、本発明が図面に図示された事項に限定されるものではない。本明細書全体にわたって同じ図面符号は同一構成要素を指す。また、本発明を説明するにあたり、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨に関連しないと判断される場合、その詳細な説明を省略することがある。本明細書上で言及した「含む」、「有する」、「成り立つ」などが使われる場合、「~だけ」が使用されない以上、他の部分が追加され得る。構成要素を単数で表現した場合において、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含み得る。
【0015】
本発明の多様な実施例に含まれた構成要素を解釈するにあたって、別途の明示的記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0016】
本発明の多様な実施例を説明するにあたり、位置関係について説明する場合に、例えば、「~上に」、「~上に」、「~下に」、「~横に」などと二つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」が使用されない限り、二つの部分の間に一つ以上の異なる部分が位置し得る。
【0017】
本発明の多様な実施例を説明するにあたり、時間関係について説明する場合に、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」などと時間的前後関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」が使用されない以上、連続的でない場合も含み得る。
【0018】
本発明の多様な実施例を説明するにあたって、「第1~」、「第2~等が多様な構成要素を叙述するために使用であるが、このような用語は互いに同一類似した構成要素間で区別をするために使用されるだけである。したがって、本明細書で「第1~」と修飾される構成要素は、別途の言及がない限り、本発明の技術的思想内で「第2~」と修飾される構成要素と同一でありうる。
【0019】
本発明の様々な実施例内のそれぞれの特徴が部分的にまたは全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に多様な連動および駆動が可能であり、各多様な実施例が互いに対して独立的に実施可能でもあり、関連関係で共に実施可能でもありうる。
【0020】
本明細書において「ドーピングされた」とは、ある層のほとんどの重量比を占める物質に、ほとんどの重量比を占める物質と異なる物性互いに異なる物性とは、例えば、NタイプとPタイプ、有機物質と無機物質を有する物質が重量比30%未満で添加されていることを意味する。言い換えれば、「ドーピングされた」層とは、ある層のホスト物質とドーパント物質を重量比の比重を考慮して分別できる層を意味する。そして「ドーピングされない」とは、「ドーピングされた」に該当する場合以外のすべての場合をいう。例えば、ある層が単一物質で構成されたり、互いに性質が同じような物質が混合されて構成される場合、その層は「ドーピングされない」層に含まれる。例えば、ある層を構成する物質のうち少なくとも一つがPタイプであり、その層を構成する物質すべてがNタイプでなければ、その層は「ドーピングされない」層に含まれる。例えば、ある層を構成する物質のうち少なくとも一つが有機物質であり、その層を構成する物質すべてが無機物質ではないならば、その層は「ドーピングされない」層に含まれる。例えば、ある層を構成する物質はすべて有機物質であり、その層を構成する物質のうち少なくとも一方がNタイプであり、もう一方がPタイプである場合、Nタイプの物質が重量比30%未満またはPタイプの物質が重量比30%未満の場合に「ドーピングされた」層に含まれる。
【0021】
一方、本明細書において、EL電界発光、(electroluminescence)スペクトルとは、1有機発光層に含まれるドーパント物質やホスト物質のような発光物質の固有の特性を反映するPL(光の発光、photoluminescence)スペクトルと、2正孔輸送層、電子輸送層などの有機層の厚さを含む有機発光素子の構造と光学的特性によって決定されるアウトカップリングエミタンス(emittance)スペクトルカーブが乗算される。
【0022】
図1は、本発明の発光表示装置を概略的に示したブロック図である。
【0023】
以下、図面を参照して本明細書の発光表示装置およびその製造方法について説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施例による発光表示装置を概略的に示したブロック図である。
【0025】
図1のように、本発明の一実施例による発光表示装置1000は、表示パネル11、映像処理部12、タイミング制御部13、データ駆動部14、スキャン駆動部15、および電源供給部16を含み得る。
【0026】
表示パネル11は、データ駆動部14から供給されたデータ信号DATAとスキャン駆動部15から供給されたスキャン信号、そして電源供給部16から供給された電源に対応して映像を表示し得る。
【0027】
表示パネル11は、複数のゲートラインGLと複数のデータラインDLの交差領域ごとに配置されたサブ画素SPを含み得る。サブ画素SPの構造は発光表示装置1000の種類によって多様に変更できる。
【0028】
例えば、サブ画素SPは構造によって上部発光(top emission)方式、下部発光(bottom emission)方式、または両面発光(dual emission)方式で形成され得る。サブ画素SPは特定の種類のカラーフィルターが形成されたり、カラーフィルターが形成されずに自体の色を発光できる単位を意味する。例えば、サブ画素SPは赤色サブ画素、緑色サブ画素および青色サブ画素を含み得る。または、サブ画素SPは、例えば赤色サブ画素、青色サブ画素、白色サブ画素および緑色サブ画素を含み得る。サブ画素SPは発光特性によって一つ以上の異なる発光面積を有し得る。例えば、青色のサブ画素と異なる色を発光するサブ画素は、異なる発光面積を有し得る。
【0029】
一つ以上のサブ画素SPは一つの単位画素(pixel)を構成し得る。例えば、一つの単位画素は赤色、緑色および青色のサブ画素を含むことができ、赤色、緑色および青色のサブ画素を繰り返し配置し得る。または、一つの単位画素は赤色、緑色、青色および白色サブ画素を含むことができ、赤色、緑色、青色および白色サブ画素を繰り返し配置するか、赤色、緑色、青色および白色サブ画素をクアッド(quad)タイプで配置し得る。本明細書による実施例で、サブ画素のカラータイプ、配置タイプ、配置順序などは発光特性、素子の寿命、装置のスペック(spec)などによって多様な形態で構成でき、これに限定されない。
【0030】
表示パネル11はサブ画素SPが配置されて映像を表示する表示領域AA(点線領域の内部)と表示領域AA周辺の非表示領域NAに区分される。スキャン駆動部15は、表示パネル11の非表示領域NAに実装され得る。また、非表示領域NAにはパッド電極PDを含むパッド部を含み得る。
【0031】
ここで、表示領域AAはアクティブ領域といい、非表示領域NAは非アクティブ領域とも言う。
【0032】
映像処理部12は外部から供給されたデータ信号DATAと共にデータインエイブル信号DEなどを出力し得る。映像処理部12はデータインエイブル信号DEの他にも垂直同期信号、水平同期信号およびクロック信号のうち一つ以上を出力できるが、これらの信号は説明の便宜上図示を省略する。
【0033】
タイミング制御部13は、映像処理部12から駆動信号とともにデータ信号DATAの供給を受けることがある。駆動信号はデータインエイブル信号DEを含み得る。または、駆動信号は垂直同期信号、水平同期信号およびクロック信号を含み得る。タイミング制御部13は駆動信号に基づいてデータ駆動部14の動作タイミングを制御するためのデータタイミング制御信号DDCとスキャン駆動部15の動作タイミングを制御するためのゲートタイミング制御信号GDCを出力し得る。
【0034】
データ駆動部14は、タイミング制御部13から供給されたデータタイミング制御信号DDCに応じて、タイミング制御部13から供給されるデータ信号DATAをサンプリングおよびラッチし、ガンマ基準電圧に変換して出力し得る。
【0035】
データ駆動部14は、データラインDLを介してデータ信号DATAを出力し得る。データ駆動部14はIC(Integrated Circuit)形態で構成できる。例えば、データ駆動部14は、表示パネル11の非表示領域NAに配置されたパッド電極PDとフレキシブル回路フィルム(図示せず)を介して電気的に連結し得る。
【0036】
スキャン駆動部15は、タイミング制御部13から供給されたゲートタイミング制御信号GDCに応答してスキャン信号を出力し得る。スキャン駆動部15は、ゲートラインGLを介してスキャン信号を出力し得る。
スキャン駆動部15はIC(Integrated Circuit)形態で構成されるか、表示パネル11にゲートインパネル(Gate In Panel;GIP)方式で構成され得る。
【0037】
電源供給部16は、表示パネル11を駆動するための高電位電圧及び低電位電圧等を出力し得る。電源供給部16は、高電位電圧を第1電源ラインEVDD(駆動電源ラインまたは画素電源ライン)を介して表示パネル11に供給することができ、低電位電圧を第2電源ラインEVSS(補助電源ラインまたは共通電源ライン)を介して表示パネル11に供給し得る。
【0038】
表示パネル11は、表示領域AAと非表示領域NAに区分され、表示領域AA内の互いに交差してマトリックス形態で形成されるゲートラインGLとデータラインDLによって定義される複数のサブ画素SPを含み得る。
【0039】
サブ画素SPは赤色red光、緑色(green)光、青色(blue)光、黄色(yellow)光、紫色(magenta)光および青緑色(cyan)光のうち少なくとも2つ以上の光を放出するサブ画素を含み得る。
【0040】
また、複数のサブ画素SPは特定の種類のカラーフィルターが形成されたり、カラーフィルターが形成されずに自体の色を発光することができる。しかし、本発明が必ずしもこれに限定されるわけではなく、サブ画素SPはカラータイプ、配置タイプ、および配置順序などは発光特性、素子の寿命、および装置のスペック(spec)などによって多様な形態で構成され得る。
【0041】
サブ画素SPそれぞれは光が出る発光部と発光部周辺の非発光部を含み得る。
【0042】
以下では、本発明の実施例により赤色サブ画素、緑色サブ画素、青色サブ画素それぞれに該当色を発光する発光層を含む発光素子を適用した発光表示装置について図を参照して説明する。
【0043】
図2は、本発明の一実施例により発光表示装置において、隣接するサブ画素の配置された発光素子を示した断面図である。図3図2の発光素子を適用した発光表示装置を示した断面図である。
【0044】
図4は、本発明の発光表示装置において、赤色発光素子の発光ELスペクトルおよび光の発光PLスペクトルを示したグラフである。図5は、本発明の発光表示装置において、緑色発光素子の発光ELスペクトルおよび光の発光PLスペクトルを示したグラフである。図6は、本発明の発光表示装置において、青色発光素子の発光ELスペクトル及び光の発光PLスペクトルを示したグラフである。
【0045】
図2及び図3に示すように、本発明の一実施例による発光表示装置1000は、第1サブ画素R_SP、第2サブ画素G_SP及び第3サブ画素B_SPを含む基板100と、基板上の各サブ画素に備えられた発光素子RED、GED、BEDとを含む。
【0046】
より具体的には、本発明の一実施例による発光表示装置1000は、第1サブ画素R_SPに備えられ、第1、第2赤色発光層143、163を含む赤色発光素子REDと、第2サブ画素G_SPに備えられ、第1、第2緑色発光層142、162を含む緑色発光素子GED及び第3サブ画素B_SPに備えられ、第1及び第2青色発光素子141、161とを含む青色発光素子BEDとを含む。
図2及び図3による発光表示装置において、各発光素子RED、GED、BEDは、第1、第2電極120、175との間の電荷生成層CGLと第1電極120と電荷生成層CGLとの間の下部スタック及び電荷生成層CGLと第2電極175との間の上部スタックを含む。
【0047】
具体的には、赤色発光素子REDは、第1電極120と第2電極175の間に電荷生成層CGLと電荷生成層CGLによって分かれる2つのスタックを含む。そして、赤色発光素子REDの下部スタックは、正孔注入層131、第1正孔輸送層132、第1赤色発光層143、第1電子輸送層151を含む。赤色発光素子REDの上部スタックは、第2正孔輸送層154、第1正孔輸送補償層156、第2赤色発光層163、第2電子輸送層171を含む。
【0048】
図2による緑色発光素子GEDの下部スタックは、正孔注入層131、第1正孔輸送層132、第1緑色発光層142、第1電子輸送層151を含む。緑色発光素子GEDの上部スタックは、第2正孔輸送層154、第2正孔輸送補償層157、第2緑発光層162、第2電子輸送層171を含む。
【0049】
図2による青色発光素子BEDの下部スタックは、正孔注入層131、第1正孔輸送層132、第1青色発光層141、第1電子輸送層151を含む。青色発光素子BEDの上部スタックは、第2正孔輸送層154、第2青色発光層161、第2電子輸送層171を含む。
【0050】
第1赤色発光層143と第2赤色発光層163は、第1サブ画素R_SPで互いに重畳されており、第1緑色発光層142と第2緑色発光層162は、第2サブ画素R_SPで重畳されており、第1青色発光層141と第2青色発光層161は、第3サブ画素B_SPで重畳されている。
【0051】
また、下部スタックと上部スタックの間にはn型電荷生成層152およびp型電荷生成層153が積層された電荷生成層CGLがさらに含まれる。n型電荷生成層152は電子を生成して下部スタックに供給及び伝達し、p型電荷生成層153は正孔を生成して上部スタックに供給及び伝達する。場合によってはn型電荷生成層152とp型電荷生成層153は一つの層に形成し得る。
【0052】
第1電極120と第2電極175の間に含まれた層を全て含めて中間層図3のOSといい、中間層OSに含まれた層は全て有機材料を含んで形成され得る。場合によっては、一部の層は電子輸送性、正孔輸送性、あるいは移動度や発光制御のために無機材料を少量のドーパントで含み得る。
【0053】
一方、本発明の一実施例による発光表示装置において、正孔注入層131、第1正孔輸送層132、第1電子輸送層151、電荷生成層CGL、第2正孔輸送層154、第2電子輸送層171は、各発光素子RED、GED、BEDで共通して備えられ、この点で共通層と称され得る。
【0054】
赤色発光素子RED、緑色発光素子GED及び青色発光素子BEDは、第1電極120と第2電極175の間で垂直距離を異にして、各発光色の波長による異なるアウトカップリング(out-coupling)特性を得る。第1、第2電極120、175の間の垂直距離を異にするために、赤色発光素子REDおよび緑色発光素子GEDは、互いに異なる厚さの第1正孔輸送補償層156および第2正孔輸送補償層157をそれぞれ備え得る。
【0055】
ここで、第1正孔輸送補償層156および第2正孔輸送補償層157は、下部スタックと上部スタックのいずれかに配置することもでき、下部スタックと上部スタックで各正孔輸送層と接して配置し得る。図2の例では、上部スタックに第1、第2正孔輸送補償層156、157が配置された例を示している。第1、第2正孔輸送補償層156、157は、第1、第2正孔輸送層132、154と同一または類似のエネルギーバンドギャップ特性を有する有機物で形成し得る。しかし、本発明はこれに制限されることはない。
【0056】
一方、本発明の一実施例による発光表示装置において、第1電極120は反射電極を含み、第2電極175は半透過電極あるいは透明電極であり得る。第2電極175上には赤色発光素子RED、緑色発光素子GEDおよび青色発光素子BEDを保護し、第2電極175から放出される光の出射効率を高めるためにキャッピング層180をさらに備え得る。キャッピング層180は、有機キャッピング層と無機キャッピング層のいずれかを含み得る。キャッピング層180は、異なる屈折率を有する複数のキャッピング層を積層して放出効果を最大化し得る。
ことがある、
【0057】
第1電極120は反射電極を含み、第2電極(Cathode)は透明電極あるいは反射透過電極を含み得る。例えば、第1電極(Anode)が反射電極を含む場合、第1電極(Anode)は透明導電膜および反射効率の高い不透明導電膜を含む多層構造で形成され得る。第1電極(Anode)の透明導電膜としては、インジウム-チン-オキサイド(Indium Tin Oxide;ITO)またはインジウム-ジンク-オキサイド(Indium Zinc Oxide;IZO)のような仕事関数値が比較的大きい材質で構成され、不透明導電膜としては銀(Ag)、マグネシウム(Mg)アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)またはタングステン(W)からなる群から選択されたいずれかの合金からなる。例えば、第1電極(Anode)は透明導電膜、不透明導電膜及び透明導電膜が順次積層された構造で形成されたり、透明導電膜及び不透明導電膜が順次積層された構造で形成され得る。一例として、第1電極(Anode)はITO/APC(Ag-Pd-Cu)/ITOの積層構造を含み得る。
【0058】
第2電極(Cathode)は、一例として、インジウム-チン-オキサイド(Indium Tin Oxide;ITO)またはインジウム-ジンク-オキサイド(Indium Zinc Oxide;IZO)のような透明導電物質からなり得、光が透過できるほど薄い銀(Ag)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、エタービューム(Yb)またはこれらの少なくともいずれかを含む合金からなり得る。第2電極(Cathode)が光が透過できるほどの薄い厚さの金属あるいは金属合金からなる場合、第2電極(Cathode)は反射透過性を有し、第1電極(Anode)と第2電極(Cathode)との間で共振された光はストロングキャビティ特性を有し、第2電極(Cathode)を通じて透過できる。
【0059】
一方、本発明の一実施例による発光表示装置は、赤色発光素子RED、緑色発光素子GED及び青色発光素子BEDとの間に隣接する第1、第2赤色発光層143、163、第1、第2緑色発光層142、162及び第1及び第2青色発光層141、161の厚さを異にして光学距離を異にし得る。
【0060】
赤色発光素子RED、緑色発光素子GED及び青色発光素子BEDは、それぞれ対向する第1電極120及び第2電極175を含み、第1及び第2赤色発光層143、163、第1及び第2緑色発光層142、162及び第1及び第2青色発光層141、161は、第1電極120と第2電極175との間に含まれる。また、赤色発光素子RED、緑色発光素子GED及び青色発光素子BEDは、第1電極120の内面(精工注入層131と接した面)と第2電極175の内面(電子輸送層171)との間の垂直距離が互いに異なり、第1、第2電極120、175の垂直距離差で各発光色の最大のアウトカップリング特性を有し得る。
【0061】
最大のアウトカップリング特性は、各発光素子の第1、第2電極120、175の間の発光層から発生した光が第1、第2電極120、175の内面で反射と再反射を経て補強干渉によって最大の光が出射できる条件において、得られ得る。赤色発光素子REDは600nm乃至650nmの波長で最大発光ピークを有し、緑色発光素子GEDは500nm乃至590nmで最大発光ピークを有し、青色発光素子BEDは420nm乃至490nmで最大発光ピークを有し得る。すなわち、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子は、各最大発光ピークが発生する波長が異なるので、補強干渉を通じてアウトカップリング特性のために要求される第1、第2電極125、175間の垂直距離で差がある。
【0062】
公知のサブ画素別に異なる色の発光層でサブ画素の色を表現する構造では、第1、第2電極間の垂直距離の差がある発光素子が含まれ、正面構造でアウトカップリング特性を改善することであるが、視野角変化に感度を有し、色差の視認が問題になる。
【0063】
本発明の発光表示装置は、このような視野角変化による色偏差を解決し、特に白色表示時に発生する視野角に応じた色変化を防止できる。
【0064】
本発明の発光表示装置は、図4に示すように、赤色発光層の光の発光(PL;Photoluminescence)ピーク(PLλmax)と赤色発光素子の電界発光EL;Electroluminescenceピーク(ELλmax)との間の第1波長差(Red Plmmax-ELmmax)は2nm以下であり、図5に示すように、緑色発光層の光の発光ピーク(PL peak)と緑色発光素子のエレクトロルミネッセンス(EL peak)との間の第2波長差(Green Plλmax-EL pm)は2nm以下であり、図6のように、青色発光層の光の発光ピーク(PL peak)と青色発光素子の電界発光ピーク(EL peak)間の第3波長差(Green Plλmax-ELλmax)がそれぞれ2nm以下であり得る。これにより視聴者が発光表示装置を見る場合、視野角を変えても、それぞれの発光色の色偏差を低減することができる。さらに、これにより赤色発光素子からの赤色光、緑色発光素子からの緑色光および青色発光素子からの青色光を合成した白色光での色視野角の偏差も最小化または低減することができる。
【0065】
一方、発光層の光の発光スペクトル(PL spectrum)は発光層固有物質(ドーパント及びホスト)によって決まる特性である。そして、発光素子の電界発光スペクトル(EL spectrum)は、光の発光スペクトルのカーブと発光素子全体構造に含まれた有機層全体の厚さ及び材料によって決定されるアウトカップリングエミタンススペクトルのカーブ間の積によって決定される。
【0066】
例えば、図4を参照すると、本発明の発光表示装置の赤色発光素子の赤色発光層は、約610nm~625nmの波長でPLピークを有し、赤色発光素子のELスペクトルは赤色発光素子全体に含まれる有機層131、132、143、151、152、153、154、156、163、171の材料及び厚さを調整して赤色発光ピーク(PLピーク)波長と2nm以下の波長差で電界発光ピーク(ELピーク)を有する赤色のELスペクトルを生成する。第1、第2赤色発光層143、163は、それぞれイリジウム、白金などの重金属を含む赤色燐光ドーパントを含み、正孔輸送性および電子輸送性ホストの少なくとも一つを含み得る。
【0067】
また、図5に示すように、本発明の発光表示装置の緑色発光素子の緑色発光層は、約525nm~540nmの波長でPLピークを有し、緑色発光素子のELスペクトルは緑色発光素子全体に含まれる有機層131、132、142、152、153、154、156、163、171の厚さ及び成分を調整して緑色発光ピーク(PLピーク)波長と2nm以下の波長差で電界発光ピーク(ELピーク)を有する緑色のELスペクトルを生成する。第1、第2緑色発光層142、162は、それぞれイリジウム、白金などの重金属を含む緑色燐光ドーパントを含み、正孔輸送性および電子輸送性ホストの少なくとも一つを含み得る。
【0068】
また、図6に示すように、本発明の発光表示装置の青色発光素子の青色発光層は、およそ450nm~470nmの波長でPLピークを有し、青色発光素子のELスペクトルは青色発光素子全体に含まれる有機層131、132、141、152、153、154、156、163、171の材料及び厚さを調整して青色発光層の光の発光ピーク(PLピーク)波長と2nm以下の波長差で電界発光ピーク(ELピーク)を有するELスペクトルを生成する。第1、第2青色発光層141、161は、それぞれボロン系蛍光またはTADF(Thermal Activated Delayed Fluorescence)青色ドーパントを含み、少なくとも一つのホストを含み得る。
【0069】
図2を参照すると、本発明の一実施例による発光表示装置において、青色発光素子BEDに含まれる共通層131、132、151、152、153、154、171が緑色発光素子GEDと赤色発光素子REDに共通して形成される。したがって、まず青色発光素子BEDの第1、第2青色発光素子141、161の材料による青色PLピークと、共通層131、132、151、152、153、154、171の厚さ及び材料による青色ELピーク電界発光ピークの波長差が2nm以下になるようにした後に、緑色発光素子GEDと赤色発光素子REDは各発光素子の発光層142/162、143/163と第1、第2正孔輸送補助層156、157の厚さ及び成分を調整して緑色光の発光ピーク(PLピーク)と緑色電界発光ピーク(ELピーク)間の波長差を2nm以下に調整し、赤色光の発光ピーク(PLピーク)と赤色電界発光ピーク(ELピーク)間の波長差を2nm以下に調整し得る。
【0070】
このために第1、第2赤色発光層143、163、第1、第2緑色発光層142、162及び第1、第2青色発光層141、161は互いに厚さが異なり得る。
【0071】
また、第1、第2正孔輸送補助層156、157の厚さは互いに異なる場合がある。
【0072】
以下、図3について説明していない構成について説明する。
【0073】
図3に示す発光表示装置1000は、基板100上に薄膜トランジスタTFTと発光素子EDの第1電極120との接続を示している。
【0074】
基板100は、グラス、プラスチックフィルム、および金属フィルムの少なくとも1つを含み得る。
【0075】
発光素子EDはそれぞれ薄膜トランジスタTFTに接続される。例えば、図3に示すように、薄膜トランジスタTFTは、半導体層103、前記半導体層103のチャンネルとゲート絶縁膜104を挟んで重なったゲート電極105、前記半導体層103と接続されたソース電極106及びドレイン電極107とを含む。
【0076】
基板100は、グラス、プラスチックフィルム、および金属フィルムの少なくとも1つを含み得る。
【0077】
発光素子EDはそれぞれ薄膜トランジスタTFTに接続される。例えば、図3に示すように、薄膜トランジスタTFTは、半導体層103、前記半導体層103のチャンネルとゲート絶縁膜104を挟んで重なったゲート電極105、前記半導体層103と接続されたソース電極106及びドレイン電極107とを含む。
【0078】
半導体層103のソース電極106またはドレイン電極107は、第1電極120と接続し得る。
【0079】
半導体層103は、酸化物半導体、非晶質シリコン、結晶質シリコンの少なくとも一つを含み得る。
【0080】
半導体層103の下側には、基板100の下側から入ってくる光が半導体層103に影響を及ぼすことを防止するために、遮光層101をさらに備え得る。
【0081】
遮光層101および半導体層103の間にはバッファ層102をさらに備え得る。
【0082】
薄膜トランジスタTFTを保護するために無機保護膜108および有機保護膜109が順に形成され得る。
【0083】
バッファ層102、無機保護膜108は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜およびシリコン酸窒化膜、金属酸化膜および金属窒化膜のいずれかであり得る。
【0084】
有機保護膜109はフォトアクリル、BCBなどの有機材料で形成され、上部表面が平坦に形成され得る。
【0085】
一方、図3では、図2の正孔注入層131および第1正孔輸送層132を含む正孔注入/輸送部130で単一構成で表現し、第1電子輸送層151、電荷生成層(CGL;152/153)および第2正孔輸送層154を含む隣接スタック間キャリア輸送部150の単一構成で表現した。本発明の実施例の発光表示装置において、共通層である正孔注入/輸送部130、キャリア輸送部150及び第2電子輸送層171は、それぞれ図2に示す以上の複数層であり得る。
【0086】
また、第2電子輸送層171は、第2電極175に隣接して電子注入層をさらに含み得る。
【0087】
一方、本発明の発光表示装置は上述した個別発光素子と各発光層のPLピーク-ELピーク特性だけでなく、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子を全てターンオンして白色光を示す場合、視野角変動による色視認を最小化することを特徴とする。
【0088】
図7は本発明の発光表示装置において、視野角変動による発光色別(R、G、B、W)の色視野角の距離(△u’v’)を示したグラフである。図8は本発明の発光表示装置において、視野角変動による色座標を示したグラフである。図9は比較例による発光表示装置において、視野角変動による発光色別(R、G、B、W)色視野角の距離(△u’v’)を示したグラフである。
【0089】
【表1】
【0090】
図4図6のPLピーク-ELピーク特性を有するように赤色発光素子、緑色発光素子、及び青色発光素子を設計すると、図7及び表1のように赤色発光素子における赤色光、緑色発光素子における青色光が合算された白色光Wは、60°以下の視野角で0.010以下の色視野角の距離Δu’v’を有し得る。
【0091】
赤色発光素子における赤色光Rの第1色視野角の距離Δu’v’、緑色発光素子における緑色光Gの第2色視野角の距離Δu’v’及び青色発光素子における青色光Bそれぞれの第3色視野角の距離Δu’v’のうち、60°以下の視野角で赤色の第1色視野角の距離の最大値(RmaxΔu’v’)が最も大きく、青色第3色視野角の距離の最大値(BmaxΔu‘v)が最も小さいことがある。
すなわち、図7に示すように、赤色の第1色視野角の距離最大値、緑色の第1色視野角の距離最大値及び青色の第3色視野角の距離の最大値(RmaxΔu’v’>GmaxΔu’v’>BmaxΔu’v’)の関係である。
【0092】
赤色第1色視野角の距離の最大値(RmaxΔu’v’)は45°乃至60°の視野角で発生し、第2色視野角の距離の最大値(GmaxΔu’v’)及び第3色視野角の距離の最大値(BmaxΔu’v’)は30°乃至60°の視野角で発生する。
【0093】
赤色発光素子における赤色光の第1色視野角の距離(RΔu’v’)、緑色発光素子における緑色光の第2色視野角の距離(GΔu’v’)及び青色発光素子における青色光の第3色視野角の距離(BΔu’v’)のそれぞれは、同一視野角で赤色発光素子における赤色光、緑色光及び青色発光素子における青色光が合成された白色光の第4色視野角の距離(WΔu’v’)より大きくなり得る。
【0094】
赤色発光素子における赤色光の第1色視野角の距離(RΔu’v’)、緑色発光素子における緑色光の第2色視野角の距離(GΔu’v’)及び青色発光素子における青色光の第3色視野角の距離(BΔu’v’)は、視野角20°から60°において、第1色視野角の距離(RΔu’v’)が最も大きく、第3色視野角の距離BΔu’v’が最も小さくなり得る。あるいは視野角20°~60°において、第1色視野角の距離(RΔu’v’)が第2色視野角(GΔu’v’)及び第3色視野角の距離BΔu’v’のそれぞれより大きくなり得る。また、視野角0°から20°において、第1色視野角の距離(RΔu’v’)が第2色視野角の距離(GΔu’v’)及び第3色視野角の距離(BΔu’v’)それぞれより小さい場合がある。
【0095】
図4図6のように、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子それぞれにおいてELピーク-PLピーク波長の差がそれぞれ2nm以下であり、図7のように、各発光素子から出る発光色の色視野角の距離の最大値がR>G>Bである場合、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子を全て発光させた時に出てくる白色との色視野角の距離は0.010以下になり、これにより発光表示装置で白色表示時における視野角の変化に起因する色偏差を最小化または低減し、視認されないようにすることができる。
【0096】
白色を表示するために各発光画素で発光されるELλmaxとPLλmaxの関係が一定以下の波長幅差を有し、発光色別色視野角の距離(△u’v’)の最大値がR>G>Bの順に満たされる場合、白色視野角変動幅を改善できる。
【0097】
図8は、白色表示時、視野角を0°から15°ずつ増加させ、15°、30°、45°、60°の色座標を1976色座標(u’、v’)系で示したものである。図8を参照すると、始点である0°と視野角45°との差が最大となり、終点である60°は始点0°に近づくことが分かる。これは、本発明の発光表示装置で白色表示時において、白色表示時の色偏差が視野角45°の場合より60°でより少ないことを意味する。
【0098】
一方、図7及び表1を参照すると、本発明の発光表示装置で白色の色座標は60°以下の視野角で0.010以下で白色表示時において、ユーザによる色偏差の視認がほとんどないことが確認できる。
【0099】
【表2】
【0100】
一方、表2及び図9に示すように、赤色、緑色及び青色発光素子のうち、特に青色発光素子のELピーク-PLピークの波長差が2nmを超える比較例の発光表示装置の場合、青色の色視野角の距離(△u’v’)が視野角40°以上で急激に上昇し、視野角60°で0.080を超えることが確認できる。また、白色の視野角40°以上で色視野角の距離(△u’v’)が0.032に近く、白色表示時に視野角の変化による色偏差の視認が発生することが確認できる。
【0101】
一方、上述した図2及び図3の各発光素子構造は2スタック構造で説明したが、本発明の発光表示装置はこのような2スタック構造の発光素子構造に限定されない。各発光素子別の効率を高めるために電荷生成層と追加スタックをさらに備え、少なくともいずれかの発光素子を3スタック以上の構造で構成し得る。
【0102】
また、以下で説明するように、単一スタックの発光素子がある構造においても、本発明の発光素子別のELピーク-PLピーク波長差が制限され、発光色別色視野角の距離特性を定義して、発光表示装置で白色表示時における視野角変動による色偏差を最小化または低減し、色偏差の視認を防止することができる。
【0103】
図10は、本発明の他の実施例による発光表示装置において、隣接するサブ画素の配置された発光素子を示した断面図である。
【0104】
図10のように、本発明の他の実施例による発光表示装置の各発光素子は、単一スタック構造を有し得る。
【0105】
すなわち、図10に示すように、本発明の他の実施例による発光表示装置は、第1サブ画素R_SPに備えられ、赤色発光層247を含む赤色発光素子REDと、第2サブ画素G_SPに備えられ、緑色発光層246を含む緑色発光素子GED及び第3サブ画素B_SPに備えられ、青色発光層245を含む青色発光素子BEDを含む。
【0106】
各発光素子RED、GED、BEDは、第1、第2電極220、255の間に各発光層247、246、245の以外の次の共通層を含み得る。
【0107】
すなわち、第1電極220と第2電極255との間の共通層は、正孔注入層231、正孔輸送層232、電子輸送層251などを含み得る。
【0108】
具体的には、赤色発光素子REDは、第1電極220と第2電極255との間に正孔注入層231、正孔輸送層232、第1正孔輸送補助層241、赤色発光層247、電子輸送層251を含む。
【0109】
緑色発光素子GEDは、第1電極220と第2電極255との間に正孔注入層231、正孔輸送層232、第2正孔輸送補助層242、緑色発光層246、電子輸送層251を含む。
【0110】
青色発光素子BEDは、第1電極220と第2電極255との間に正孔注入層231、正孔輸送層232、青色発光層245、電子輸送層251を含む。
【0111】
第1電極220と第2電極255の間に含まれた層を全て含めて中間層と称し、中間層OSに含まれた層は全て有機材料を含めて形成され得る。場合によっては、一部の層は電子輸送性、正孔輸送性、あるいは移動度や発光制御のために無機材料を少量のドーパントで含み得る。
【0112】
赤色発光素子RED、緑色発光素子GED及び青色発光素子BEDは、第1電極220と第2電極255の間で垂直距離を異にして各発光色の波長による異なるアウトカップリング(out-coupling)の特性を得る。第1、第2電極220、255の間の垂直距離を異にするために、赤色発光素子REDおよび緑色発光素子GEDは、互いに異なる厚さの第1正孔輸送補償層241および第2正孔輸送補償層242をそれぞれ備え得る。
【0113】
一方、本発明の他の実施例による発光表示装置において、第1電極220は反射電極を含み、第2電極255は半透過電極あるいは透明電極であり得る。
【0114】
また、本発明の他の実施例による発光表示装置において、第2電極255上には発光素子RED、GED、BEDのそれぞれの保護と光放出効果を向上させるためにキャッピング層260をさらに含み得る。キャッピング層260上に封止層をさらに含み得る。
【0115】
本発明の発光表示装置は、共通して隣接したサブ画素に異なる色を発光する発光層を含み、備えられる発光素子が第1、第2電極の間に異なる垂直距離がある時、各発光層と該当発光素子のELスペクトルピーク(電界発光スペクトルピーク)とPLスペクトルピーク(光の発光スペクトルピーク)間の波長差を一定以下に減らして視野角変動性を解決することができる。ELスペクトルピーク(電界発光スペクトルピーク)とPLスペクトルピーク(光の発光スペクトルピーク)の波長差を小さくすることは、各発光素子の発光層の材料と発光素子を成す第1、第2電極との間の垂直距離内に含まれた材料及び厚さ調整で可能であり、場合によっては第1電極や第2電極のうち少なくとも一つの厚さを異にすることによっても調整可能である。
【0116】
赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子それぞれでELピーク-PLピーク波長の差がそれぞれ2nm以下であり、各発光素子から出る発光色の色視野角の距離の最大値がR>G>Bである場合、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子を全て発光させた時に出てくる白色との色視野角の距離は0.010以下になり、これにより、発光表示装置の白色表示時の視野角の変化による色偏差を最小化または低減し、視認されないようにすることができる。
【0117】
また、第1電極と第2電極の間の垂直距離が発光素子別に異なるように適用され、アウトカップリング特性を最大化した構造で白色でも色視野角変動性を防止できるもので、ユーザの画面に対する視野角の変化に関係なく画質を向上させることができる。
【0118】
そして、本発明の発光表示装置は、発光層と発光素子の含まれた有機層(共通層)の厚さ及び材料を調整して光の発光ピークと電界発光ピークの波長差を調整することができ、別途の物質追加なしに信頼性を有する発光表示装置の製造が可能である。これに対し、環境(ecology)負荷を軽減し、低電力および工程最適化を図り、ESG(Environment/Social/Governance)を実現することが可能となる。
【0119】
本発明の一実施例による発光表示装置は、第1サブ画素、第2サブ画素及び第3サブ画素を含む基板と、第1サブ画素に備えられ、赤色発光層を含む赤色発光素子と、第2サブ画素に備えられ、緑色発光層を含む緑色発光素子及び第3サブ画素に備えられ、青色発光層を含む青色発光素子とを含む。そして、赤色発光層の光の発光ピークと赤色発光素子の発光ピーク間の第1波長差は2nm以下であり、緑色発光層の光の発光ピークと緑色発光素子の発光ピーク間の第2波長差は2nm以下であり、青色発光ピークと青色発光素子の発光ピーク間の第3波長差はそれぞれ2nm以下であり得る。
【0120】
赤色発光素子での赤色光、緑色発光素子での緑色光および青色発光素子での青色光が合算された白色光は、60°以下の視野角から0.010以下の色視野角の距離を有し得る。
【0121】
赤色発光素子における赤色光の第1色視野角の距離、緑色発光素子における緑色光の第2色視野角の距離及び青色発光素子における青色光それぞれの第3色視野角の距離のうち、60°以下の視野角で第1色視野角の距離の最大値が最も大きく、第3色視野角の距離の最大値が最も小さくなり得る。
【0122】
第1色視野角の距離の最大値は45°~60°の視野角で発生し、第2色視野角の距離の最大値及び第3色視野角の距離の最大値は30°~60°の視野角で発生し得る。
【0123】
赤色発光素子における赤色光の第1色視野角の距離、緑色発光素子における緑色光の第2色視野角の距離及び青色発光素子における青色光それぞれの第3色視野角の距離それぞれは、同一視野角で赤色発光素子における赤色光、緑色発光素子における緑色光及び青色発光素子における青色光が合算された白色光の第4色視野角の距離より大きくなり得る。
【0124】
赤色発光素子における赤色光の第1色視野角の距離、緑色発光素子における緑色光の第2色視野角の距離及び青色発光素子における青色光それぞれの第3色視野角の距離は、視野角20°から60°において、第1色視野角の距離が前記第2色視野角及び前記第3色視野角の距離のそれぞれより大きくなり得る。
【0125】
視野角0°乃至20°において、第1色視野角の距離が第2色視野角の距離及び第3色視野角の距離それぞれより小さくなり得る。
【0126】
赤色発光素子、赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子はそれぞれ、互いに対向した第1電極および第2電極を含み、赤色発光層、緑色発光層および青色発光層は第1電極と第2電極の間にあり得る。また、赤色発光素子、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子は、第1電極と第2電極との間の垂直距離が互いに異なり得る。
【0127】
赤色発光層、緑色発光層および青色発光層は互いに厚さが異なってもよい。
【0128】
第2電極上にキャッピング層をさらに含み、第2電極は半透過性電極であり、第1電極は反射電極であり得る。
【0129】
赤色発光層は第1サブ画素で共通層を挟んで重畳した複数の赤色発光層を含み、緑色発光層は第2サブ画素で共通層を挟んで重畳した複数の緑色発光層を含み、青色発光層は第3サブ画素で共通層を挟んで重畳した複数の青色発光層を含み得る。
【0130】
複数の赤色発光層のうち、最上の赤色発光層と共通層の間に第1正孔輸送補助層および複数の緑色発光層のうち、最上の緑色発光層と共通層の間に第2正孔輸送補助層をさらに含み得る。
【0131】
共通層は、電子輸送層、電荷生成層および正孔輸送層を含み得る。
【0132】
赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子はそれぞれ第1電極と、正孔注入層と、正孔注入層上の正孔輸送層と、正孔輸送層上の電子輸送層及び電子輸送層上に第2電極を含み、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層それぞれは正孔輸送階と電子輸送階との間に備えられ得る。
【0133】
正孔輸送層と赤色発光層の間に第1正孔輸送補助層と、正孔輸送層と緑色発光層の間に第2正孔輸送補助層をさらに含み得る。
【0134】
第1正孔輸送補助層が第2正孔輸送補助層より厚く構成され得る。
【0135】
一方、以上で説明した本発明は、上述の実施例及び添付された図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であることが、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明らかだろう。
【符号の説明】
【0136】
100 基板
120 第1電極
131 正孔注入層
132 第1正孔輸送層
141 第1青色発光層
142 第1緑色発光層
143 第1赤色発光層
151 第1電子輸送層
152 n型電荷生成層
153 p型電荷生成層
CGL 電荷生成層
154 第2正孔輸送層
161 第2青色発光層
162 第2緑色発光層
163 第2赤色発光層
171 第2電子輸送層
175 第2電極
180 キャッピング層
RED 赤色発光素子
GED 緑色発光素子
BED 青色発光素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10