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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109056
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/86 20230101AFI20240805BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20240805BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240805BHJP
   H10K 50/84 20230101ALI20240805BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20240805BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240805BHJP
   C09B 23/04 20060101ALN20240805BHJP
   C09B 47/00 20060101ALN20240805BHJP
   C09B 47/24 20060101ALN20240805BHJP
   C09B 47/10 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
H10K50/86 865
H10K50/844
H10K59/10
H10K50/84
G02B5/22
G09F9/00 313
C09B23/04
C09B47/00
C09B47/24
C09B47/10
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002897
(22)【出願日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2023-0012904
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】チョ ウォンジョン
(72)【発明者】
【氏名】ノ ヒュンジョン
【テーマコード(参考)】
2H148
3K107
5G435
【Fターム(参考)】
2H148CA04
2H148CA14
2H148CA19
2H148CA23
2H148CA24
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC06
3K107CC32
3K107EE23
3K107EE49
3K107FF06
3K107FF13
3K107FF14
5G435AA04
5G435BB05
5G435CC09
5G435GG11
5G435GG43
5G435HH05
5G435HH18
(57)【要約】
【課題】偏光フィルムなしでも低い反射率を有する表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、表示装置に関する発明であり、本発明の一実施例に係る表示装置は、650nm~680nmの波長での第1-1反射率が420nm~440nmの波長での第1-2反射率より大きい表示パネルと、前記表示パネル上に配置され、第1波長範囲で第1透過率を有し、前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲で第2透過率を有し、前記第1波長範囲及び前記第2波長範囲と異なる第3波長範囲で第3透過率を有する、第1レイヤーと、前記第1レイヤー上に配置されるバリア膜と、前記バリア膜上に配置される、第2レイヤーとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
650nm~680nmの波長での第1-1反射率が420nm~440nmの波長での第1-2反射率より大きい表示パネルと、
前記表示パネル上に配置され、第1波長範囲で第1透過率を有し、前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲で第2透過率を有し、前記第1波長範囲及び前記第2波長範囲と異なる第3波長範囲で第3透過率を有する第1レイヤーと、
前記第1レイヤー上に配置されるバリア膜と、
前記バリア膜上に配置される第2レイヤーとを含む、表示装置。
【請求項2】
前記第1波長範囲は、430nm以上480nm未満であり、前記第2波長範囲は、480nm以上630nm未満であり、前記第3波長範囲は、630nm以上780nm未満であり、前記第1透過率が前記第2透過率より大きい、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1透過率は63%±2%であり、前記第2透過率は58%±2%であり、前記第3透過率は60%±2%である、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1透過率は66%±2%であり、前記第2透過率は60%±2%であり、前記第3透過率は66%±2%である、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1透過率は63%±2%であり、前記第2透過率は60%±2%であり、前記第3透過率は63%±2%である、請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
550nmの波長での前記表示パネルの反射率は、10%以下である、請求項2に記載の表示装置。
【請求項7】
550nmの波長での前記第2レイヤーの反射率は、550nmの波長に対して0.5%以下である、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2レイヤーの反射率は、入射する光の波長範囲が540nm~560nmであるとき、最小値を有する、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2レイヤーの透過率は、99%以上である、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記バリア膜は、トリアセチルセルロース(Tri-acetyl cellulose;TAC)またはアクリル系樹脂を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記バリア膜は、100nm以下の位相差値を有する、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1レイヤーは、最大吸収波長が470nm~490nmの範囲内である第1色素、最大吸収波長が570nm~590nmの範囲内である第2色素、最大吸収波長が670nm~690nmの範囲内である第3色素及び最大吸収波長が770nm~790nmの範囲内である第4色素を含む、請求項2に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1レイヤーは、前記第1色素0.35~0.39重量%を含み、前記第2色素0.38~0.42重量%を含み、前記第3色素0.38~0.42重量%を含み、前記第4色素0.38~0.42重量%を含む、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1レイヤーは、前記第1色素0.32~0.34重量%を含み、前記第2色素0.38~0.42重量%を含み、前記第3色素0.32~0.36重量%を含み、前記第4色素0.32~0.36重量%を含む、請求項12に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第1レイヤーは、前記第1色素0.35~0.39重量%を含み、前記第2色素0.38~0.42重量%を含み、前記第3色素0.38~0.42重量%を含み、前記第4色素0.38~0.42重量%を含む、請求項12に記載の表示装置。
【請求項16】
前記第1色素は、ピロメテンコバルト錯体色素であって、下記化学式1で表される化合物で構成される、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の表示装置。
【化1】
【請求項17】
前記第2色素は、テトラアザポルフィリン銅錯体色素であって、下記化学式2で表される化合物で構成され、
【化2】
前記化学式2において、R1~R8は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホネート基、直鎖(a straight chain)を示す炭素数1~20の分枝状または環状アルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、炭素数1~20のモノアルキルアミノ基、炭素数2~20のジアルキルアミノ基原子、炭素数7~20のジアルキルアミノ基、炭素数7~20のアラルキル基、炭素数6~20のアリール基、ヘテロアリール基、炭素数6~20のアルキルチオ基、及びアリールチオ基を6~20個の炭素原子であるか、または、前記化2において、R1~R8は、それぞれ前記原子または基が連結基を通して連結された芳香族環以外の環であり、Mは、2個の水素原子、2価金属原子(divalent metallic atom)、2価1置換金属原子(divalent monosubstituted metallic atom)、4価2置換金属原子(tetravalent disubstituted metallic atom)またはオキシ金属原子(oxy metallic atom)を示す、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第3色素は、フタロシアニンコバルト錯体色素であって、下記化学式3で表される化合物で構成される、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の表示装置。
【化3】
【請求項19】
前記第4色素は、フタロシアニン銅錯体色素であって、下記化学式4で表される化合物で構成され、
【化4】
前記フタロシアニン銅錯体色素は、α及びβ形態の混合結晶形態であり、mは、α-位での塩素置換基の平均個数を示し、nは、β位での塩素置換基の平均個数を示す、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項20】
前記第1レイヤーは、感圧接着剤(pressure sensitive adhesive:PSA)をさらに含む、請求項12に記載の表示装置。
【請求項21】
前記第1レイヤーは、感圧接着剤からなる第1-1レイヤー;及び
前記第1色素、前記第2色素、前記第3色素、前記第4色素及びハードコーティング物質を含む第1-2レイヤーを含む、請求項12に記載の表示装置。
【請求項22】
420nm~440nmの波長での第2反射率より大きな650nm~680nmの波長での第1反射率を有する表示パネル及び前記表示パネル上に配置される反射視感調節フィルムを含み、
前記反射視感調節フィルムは、
第1波長範囲で第1透過率、第2波長範囲で第2透過率及び第3波長範囲で第3透過率を有する第1レイヤーと、
前記第1レイヤー上に配置され、550nmの波長での反射率が1%を超えない第2レイヤーとを含み、
前記第1波長範囲、前記第2波長範囲及び前記第3波長範囲は、互いに異なる、表示装置。
【請求項23】
前記反射率は、0.5%を超えない、請求項22に記載の表示装置。
【請求項24】
レッド系列(Reddish)の外光反射視感を有する表示パネルと、
前記表示パネル上の第1レイヤーと、
前記表示パネル上の第2レイヤーとを含み、
前記第1レイヤーは、最大吸収波長が470nm~490nmの範囲内である第1色素、最大吸収波長が570nm~590nmの範囲内である第2色素、最大吸収波長が670nm~690nmの範囲内である第3色素及び最大吸収波長が770nm~790nmの範囲内である第4色素を含む、表示装置。
【請求項25】
前記第2レイヤーの反射率は、入射する光の波長範囲が540nm~560nmである時に最小値を有する、請求項24に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、より詳細には、最適な構造設計を通して偏光フィルムを含まなくても低い反射率と赤い系列のニュートラルブラック(Reddish Neutral black)を実現できる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、有機発光表示装置であってよい。有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display device、OLED)は、バックライトを備える液晶表示装置(Liquid Crystal Display device、LCD)とは異なり別途の光源を必要としない。従って、軽量薄型に製造が可能で、工程上の利点があり、低電圧駆動により消費電力が低い利点がある。何よりも、有機発光表示装置は、自己発光素子を含み、それぞれの層を薄い有機薄膜に形成することができ、他の表示装置に対比して柔軟性及び弾性に優れ、これによって表示パネルに構成されるのにより有利な利点がある。
【0003】
一般に、表示装置の表示パネルは、偏光フィルムを備えることで外部光による反射を最小化するか減少させている。しかし、近年、物価上昇等によって偏光フィルムの価格が過度であり、偏光フィルムなしでも低い反射率を有し、光の効率を上げることができ、赤い系列のニュートラルブラック(Reddish Neutral black)を実現できる表示装置の必要性が増加している。ニュートラルブラック(Neutral black)は、電源OFF状態での表示装置の色相を意味し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、偏光フィルムなしでも低い反射率を有する表示装置を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、低コストでニュートラルブラックを実現できる表示装置を提供することである。
【0006】
本発明の課題は、以上において言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例に係る表示装置は、650nm~680nmの波長での第1-1反射率が420nm~440nmの波長での第1-2反射率より大きい表示パネルと、前記表示パネル上に配置され、第1波長範囲で第1透過率を有し、前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲で第2透過率を有し、前記第1波長範囲及び前記第2波長範囲と異なる第3波長範囲で第3透過率を有する、第1レイヤーと、前記第1レイヤー上に配置されるバリア膜と、前記バリア膜上に配置される、第2レイヤーとを含む。
【0008】
その他の実施例の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、偏光フィルムなしでも低い反射率を有する表示装置を提供することができる。
【0010】
本発明は、低コストでニュートラルブラックを実現できる表示装置を提供することができる。
【0011】
本発明に係る効果は、以上において例示された内容により制限されず、さらに多様な効果が本発明内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本明細書の一実施例に係る表示装置の平面図である。
図2図1の表示装置がフォールディングされた状態を示した斜視図である。
図3図1及び図2の表示装置に含まれる画素の断面の一例示を概略的に示す断面図である。
図4図1の表示パネル上に配置される反射視感調節フィルムを含む表示装置の一例示を示した概略的な断面図である。
図5図1の表示パネル上に配置される反射視感調節フィルムを含む表示装置の他の例示を示した概略的な断面図である。
図6】本発明の一実施例に係る表示装置に使用される反射視感調節フィルムを構成する第1レイヤーのCase1乃至Case3による波長別の透過率を測定して示したグラフである。
図7】上述したCase1乃至Case3の第1レイヤーを含む反射視感調節フィルムの光学的特性を示した表である。
図8】第2レイヤーの反射率によるCase3の光学的特性を示した表である。
図9】さらなる比較例である比較例5乃至比較例7と、HTO構造の比較例に対する光学的特性を示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると、明確になるだろう。しかし、本発明は、以下において開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形状に構成され、単に、本実施例は、本発明の開示が完全なものとなるようにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲により定義されるだけである。
【0014】
本発明の実施例を説明するための図面に開示された形状、面積、比率、角度、個数等は、例示的なものであるので、本発明は、図示された事項に制限されるものではない。明細書全体にわたって、同じ参照符号は、同じ構成要素を指す。また、本発明を説明するにあたって、関連した公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本発明上において言及された「含む」、「有する」、「なされる」等が使用される場合、「~だけ」が使用されない以上、他の部分が加えられ得る。構成要素を単数で表現した場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0015】
構成要素を解釈するにあたって、別途の明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0016】
位置関係についての説明である場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~隣に」等と二部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」が使用されない以上、二部分の間に一つ以上の他の部分が位置してもよい。
【0017】
要素または層が他の要素または層の「上(on)」と称されるものは、他の要素のすぐ上または中間に他の層または他の素子を介在した場合をいずれも含む。
【0018】
また、第1、第2等が多様な構成要素を述べるために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語により制限されない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。従って、以下において言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよい。
【0019】
明細書全体にわたって、同じ参照符号は、同じ構成要素を指す。
【0020】
図面で示された各構成の面積及び厚さは、説明の便宜のために示されたものであり、本発明は、示された構成の面積及び厚さに必ずしも限定されるものではない。
【0021】
本発明の様々な実施例のそれぞれの特徴は、部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、各実施例が互いに対して独立して実施可能であってもよく、関連関係で共に実施してもよい。
【0022】
以下においては、図面を参照して本発明について説明する。
【0023】
図1は、本明細書の一実施例に係る表示装置の平面図である。図2は、図1の表示装置がフォールディングされた状態を示した斜視図である。
【0024】
本明細書の実施例に係る表示装置100は、表示パネル110、光学部材120及びウィンドウ部材130を含む。以下においては、説明の便宜のために、本明細書の実施例に係る表示装置100が有機発光表示装置であるものと仮定して説明するが、これに制限されない。
【0025】
図1を参照すると、本明細書の実施例に係る表示装置100は、表示領域DA及び非表示領域NDAを含む。表示領域DAは、複数の画素が配置されて実質的に映像が表示される領域である。表示領域DAには、映像を表示するための発光領域を含む複数の画素及び画素を駆動するための薄膜トランジスタ、及びキャパシタ等が配置され得る。一つの画素は、複数のサブ画素SPを含むことができる。サブ画素SPは、表示領域を構成する最小単位であり、それぞれのサブ画素SPは、特定の波長帯域の光を発光するように構成され得る。例えば、それぞれのサブ画素SPは、赤色、緑色、青色または白色光を発光するように構成され得る。非表示領域NDAは、表示領域DAを囲むように配置される。非表示領域NDAは、実質的に映像が表示されない領域であり、表示領域DAに配置される画素及び駆動素子を駆動するための多様な配線、及び駆動IC等が配置される。例えば、非表示領域NDAには、ゲートドライバIC、データドライバICのような多様なIC、VSS配線等が配置され得る。
【0026】
図1及び図2を参照すると、本明細書の実施例に係る表示装置100は、フォールディング領域FA及び非フォールディング領域NFAを含む。フォールディング領域FAは、表示装置100をフォールディングする時に折り畳まれる領域であり、フォールディング軸FXを基準に特定の曲率半径によってフォールディングされ得る。例えば、フォールディング領域FAのフォールディング軸FXは、Y軸方向に形成され得、非フォールディング領域NFAは、フォールディング軸FXと垂直なX軸方向にフォールディング領域FAから延び得る。
【0027】
表示装置100をフォールディングするとき、フォールディング領域FAがフォールディング軸FXを基準にフォールディングされる場合、フォールディング領域FAは、円または楕円の一部を形成し得る。フォールディング領域FAの曲率半径は、フォールディング領域FAが形成する円または楕円の半径であってよい。表示装置100で映像が表示される上面が表示面であり、表示面の反対面である表示装置100の下面を背面としたとき、フォールディング領域FAは、表示装置100の表示面が外部に露出されるようにフォールディングする外側フォールディング(out-folding)方式または表示装置100の表示面が互いに向かい合うようにフォールディングする内側フォールディング(in-folding)方式の中から選択された方式でフォールディングされ得る。
【0028】
非フォールディング領域NFAは、表示装置100をフォールディングするとき、フォールディングされない領域である。例えば、非フォールディング領域NFAは、表示装置100をフォールディングするとき、平面状態を維持する。非フォールディング領域NFAは、フォールディング領域FAの両側に位置し得る。例えば、非フォールディング領域NFAは、フォールディング軸FXを基準にX軸方向に延びた領域であってよい。フォールディング領域FAは、非フォールディング領域NFAの間にあってよい。また、フォールディング軸FXを基準に表示装置100がフォールディングされるとき、非フォールディング領域NFAは、互いに重畳され得る。
【0029】
図1及び図2においては、表示装置100が一つのフォールディング領域FA及び二つの非フォールディング領域NFAが配置されたものと示したが、フォールディング領域FA及び非フォールディング領域NFAの個数及び位置は多様に変更され得、これに制限されない。例えば、表示装置100は、二つ以上のフォールディング領域FAおよび/または三つ以上の非フォールディング領域NFAを含むことができる。
【0030】
図3は、図1及び図2の表示装置に含まれる画素の断面の一例示を概略的に示す断面図である。
【0031】
図3を参照すると、基板310は、上部に配置される有機発光表示装置100の構成要素を支持及び保護する役割を果たし、近年は、フレキシブル(Flexible)特性を有する延性の物質からなり得るので、基板310は、フレキシブル基板であってよい。例えば、フレキシブル基板は、ポリエステル系高分子、シリコン系高分子、アクリル系高分子、ポリオレフィン系高分子、及びこれらの共重合体からなる群のうち一つを含むフィルム形態であってよい。
【0032】
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシラン(polysilane)、ポリシロキサン(polysiloxane)、ポリシラザン(polysilazane)、ポリカルボシラン(polycarbosilane)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリメタクリレート(polymethacrylate)、ポリメチルアクリレート(polymethylacrylate)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmetacrylate)、ポリエチルアクリレート(polyethylacrylate)、ポリエチルメタクリレート(polyethylmetacrylate)、サイクリックオレフィンコポリマー(COC)、サイクリックオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、パーフルオロアルキル高分子(PFA)、スチレンアクリルニトリルコポリマー(SAN)及びこれらの組み合わせの中で少なくとも一つで構成できる。
【0033】
フレキシブル基板310上にバッファ層312を配置する。シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン窒化物(SiNx)の単一層や複数層で構成されるバッファ層312は、基板310を通した水分や他の不純物の浸透を防止し、基板310の表面を平坦化できる。バッファ層312は、必ずしも必要な構成ではなく、基板310の種類や基板310上に配置される薄膜トランジスタの種類によって省略してもよい。
【0034】
バッファ層312上に配置される薄膜トランジスタ320は、ゲート電極322、ソース電極324、ドレイン電極326及び半導体層328を含む。
【0035】
半導体層328は、非晶質シリコン(Amorphous Silicon)、または非晶質シリコンより優れた移動度(Mobility)を有し、エネルギー消費電力が低く、信頼性に優れ、画素内で駆動薄膜トランジスタに適用できる多結晶シリコン(Polycrystalline Silicon)で構成でき、これに制限されない。
【0036】
近年は、酸化物(Oxide)半導体が移動度と均一度に優れた特性で脚光を浴びている。酸化物半導体は、4元系金属酸化物であるインジウムスズガリウム亜鉛酸化物(InSnGaZnO)系材料、3元系金属酸化物であるインジウムガリウム亜鉛酸化物(InGaZnO)系材料、インジウムスズ亜鉛酸化物(InSnZnO)系材料、インジウムアルミニウム亜鉛酸化物(InAlZnO)系材料、スズガリウム亜鉛酸化物(SnGaZnO)系材料、アルミニウムガリウム亜鉛酸化物(AlGaZnO)系材料、スズアルミニウム亜鉛酸化物(SnAlZnO)系材料、2元系金属酸化物であるインジウム亜鉛酸化物(InZnO)系材料、スズ亜鉛酸化物(SnZnO)系材料、アルミニウム亜鉛酸化物(AlZnO)系材料、亜鉛マグネシウム酸化物(ZnMgO)系材料、スズマグネシウム酸化物(SnMgO)系材料、インジウムマグネシウム酸化物(InMgO)系材料、インジウムガリウム酸化物(InGaO)系材料、インジウム酸化物(InO)系材料、スズ酸化物(SnO)系材料、亜鉛酸化物(ZnO)系材料等で構成でき、それぞれの元素の組成比率は制限されない。
【0037】
半導体層328は、p型またはn型の不純物を含むソース領域(Source Region)、ドレイン領域(Drain Region)、及び、ソース領域及びドレイン領域の間のチャネル(Channel)を含むことができ、チャネルと隣接したソース領域及びドレイン領域の間には、低濃度ドーピング領域を含むことができる。
【0038】
半導体層328は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及びインジウム(In)のうち一つの不純物がドーピングされた領域を含むことができる。半導体層328は、リン(P)、ヒ素(As)及びアンチモン(Sb)のうち一つの不純物が高濃度でドーピングされた領域を含むことができる。
【0039】
第1絶縁層314は、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン窒化物(SiNx)の単一層またはこれらの多重層で構成された絶縁層であり、半導体層328に流れる電流がゲート電極322に流れないように配置する。そして、シリコン酸化物は、金属よりは延性に劣るが、シリコン窒化物に比しては延性に優れ、その特性によって選択的に単一層または複数層に形成できる。
【0040】
そして、多結晶シリコンが半導体層328に適用される場合、半導体層328と隣接して配置される絶縁層は、水素含有量の高い無機膜層を形成することができる。例えば、多結晶シリコン半導体層328と隣接した層はシリコン窒化物(SiNx)を配置し、隣接していない層はシリコン酸化物(SiOx)を配置すると、水素が多結晶シリコン半導体層328に拡散して安定化されて薄膜トランジスタ320の特性低下を防止できる。
【0041】
そして、酸化物半導体が半導体層328に適用される場合、半導体層328と隣接して配置される絶縁層は、水素含有量の低い無機膜層を形成することができる。例えば、酸化物半導体層328と隣接した層はシリコン酸化物(SiOx)を配置し、隣接していない層はシリコン窒化物(SiNx)を配置すると、水素が酸化物半導体層328に拡散することを防止して薄膜トランジスタ320の特性低下を防止できる。
【0042】
ゲート電極322は、ゲートラインを通して外部から伝達される電気信号に基づいて薄膜トランジスタ320をターン-オン(turn-on)またはターン-オフ(turn-off)するスイッチの役割を果たし、導電性金属である銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、及びネオジム(Nd)等であり、これに対する合金で単一層または多重層に構成され得、これに制限されない。
【0043】
ソース電極324及びドレイン電極326は、データラインと連結されて外部から伝達される電気信号が薄膜トランジスタ320から発光素子330に伝達されるようにする。ソース電極324及びドレイン電極326は、導電性金属である銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、及びネオジム(Nd)等の金属材料やこれに対する合金で単一層または多重層に構成でき、これに制限されない。
【0044】
ゲート電極322とソース電極324及びドレイン電極326を互いに絶縁させるために、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン窒化物(SiNx)で構成された第2絶縁層316をゲート電極322とソース電極324及びドレイン電極326の間に配置できる。
【0045】
薄膜トランジスタ320上にシリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)のような無機絶縁層で構成されたパッシベーション層をさらに配置してもよい。パッシベーション層は、パッシベーション層上、下部の構成要素の間の不要な電気的連結を防ぎ、外部からの汚染や損傷等を防ぐ役割を果たすことができ、薄膜トランジスタ320及び発光素子330の構成及び特性によって省略してもよい。
【0046】
薄膜トランジスタ320は、薄膜トランジスタ320を構成する構成要素の位置によってインバーテッドスタガード(Inverted Staggered)構造とコープレーナー(Coplanar)構造に分類され得る。インバーテッドスタガード構造の薄膜トランジスタは、半導体層を基準にゲート電極がソース電極及びドレイン電極の反対側に位置する。コープレーナー構造の薄膜トランジスタ320は、半導体層328を基準にゲート電極322がソース電極324及びドレイン電極326と同一側に位置する。
【0047】
図3においては、コープレーナー構造の薄膜トランジスタ320が示されているが、有機発光表示装置100は、インバーテッドスタガード構造の薄膜トランジスタを含んでもよい。
【0048】
説明の便宜のために、有機発光表示装置100に含まれ得る多様な薄膜トランジスタの中で駆動薄膜トランジスタだけを示したが、スイッチング薄膜トランジスタ、キャパシタ等も有機発光表示装置100に含まれ得る。そして、スイッチング薄膜トランジスタは、ゲート配線から信号が印加されると、データ配線からの信号を駆動薄膜トランジスタのゲート電極に伝達する。駆動薄膜トランジスタは、スイッチング薄膜トランジスタから伝達を受けた信号により電源配線を通して伝達される電流をアノードに伝達し、アノードに伝達される電流により発光を制御する。
【0049】
薄膜トランジスタ320を保護し、薄膜トランジスタ320により発生する段差を緩和させ、薄膜トランジスタ320とゲートライン及びデータライン、発光素子330の間に発生する寄生静電容量(Parasitic-Capacitance)を減少させるために、薄膜トランジスタ320上に平坦化層318を配置する。
【0050】
そして、平坦化層318は、有機発光表示装置100の構造及び特性によって複数の層に形成でき、アクリル系樹脂(Acrylic Resin)、エポキシ樹脂(Epoxy Resin)、フェノール樹脂(Phenolic Resin)、ポリアミド系樹脂(Polyamides Resin)、ポリイミド系樹脂(Polyimides Resin)、不飽和ポリエステル系樹脂(Unsaturated Polyesters Resin)、ポリフェニレン系樹脂(Polyphenylene Resin)、ポリフェニレンスルファイド系樹脂(Polyphenylenesulfides Resin)、及びベンゾシクロブテン(Benzocyclobutene)のうち一つ以上の物質で形成され得、これに制限されない。
【0051】
平坦化層318上に配置される発光素子330は、アノード332、発光部334及びカソード336を含む。
【0052】
平坦化層318上に配置されるアノード332は、透明導電性物質であるインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide;ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide;IZO)等で構成でき、これに制限されない。アノード332は、平坦化層318上に配置されるので、説明の便宜のために基板310上に配置されるものと記載され得る。
【0053】
有機発光表示装置100がカソード336が配置された上部に光を発光するトップエミッション(Top Emission)である場合、発光された光がアノード332で反射してより円滑にカソード336が配置された上部方向に放出され得るように、反射層をさらに含むことができる。
【0054】
例えば、アノード332は、透明導電性物質で構成された透明導電層と反射層が順に積層された2層構造であるか、透明導電層、反射層及び透明導電層が順に積層された3層構造であってよく、反射層は、銀(Ag)または銀を含む合金であってよい。
【0055】
アノード332及び平坦化層318上に配置されるバンク層340により実際に光を発光する領域を区画できる画素が定義される。即ち、バンク層340は、平坦化層318上に配置されてアノードの上面のうち少なくとも中央部を露出させることができる。バンク層340は、アノードの上面のうち少なくとも中央部を露出させるために少なくとも一つの開口部を含むことができる。また、バンク層340は、平坦化層318上に配置されるので、説明の便宜のために基板310上に配置されるものと記載され得る。
【0056】
バンク層340は、フォトレジスト(Photoresist)を形成した後にフォトリソグラフィ(Photolithography)により形成され、フォトレジストは、光の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂をいい、フォトレジストを露光及び現像して特定パターンが得られ得る。
【0057】
フォトレジストは、ポジ型フォトレジスト(Positive Photoresist)とネガ型フォトレジスト(Negative photoresist)とに分類され得る。ポジ型フォトレジストは、露光で露光部の現像液に対する溶解性が増加するフォトレジストをいい、ポジ型フォトレジストを現像すると露光部が除去されたパターンが得られる。そして、ネガ型フォトレジストは、露光で露光部の現像液に対する溶解性が大きく低下するフォトレジストをいい、ネガ型フォトレジストを現像すると非露光部が除去されたパターンが得られる。
【0058】
有機発光表示装置100の発光部334を形成するために、蒸着マスクであるFMM(Fine Metal Mask)を使用することができる。そして、バンク層340上に配置される蒸着マスクと接触して発生し得る損傷を防止し、バンク層340と蒸着マスクとの間に一定の距離を維持するために、バンク層340上にスペーサー(不図示)を配置する。
【0059】
スペーサー(不図示)は、バンク層340と同じ物質で構成して一度の工程を通して形成することもできる。フレキシブル有機発光表示装置100がフォールディングされるフォールディング領域は、フォールディングで発生する剥離現象を防止するために、発光素子330と隣接した領域のバンク層340上にスペーサー(不図示)を形成して配置する。
【0060】
アノード332とカソード336との間には、発光部334が配置される。発光部334は、光を発光する役割を果たし、正孔注入層(Hole Injection Layer;HIL)、正孔輸送層(Hole Transport Layer;HTL)、発光層、電子輸送層(Electron Transport Layer;ETL)、電子注入層(Electron Injection Layer;EIL)のうち少なくとも一つの層を含むことができ、有機発光表示装置100の構造や特性によって発光部334の一部の構成要素は省略されてもよい。ここで、発光層は、有機発光層及び無機発光層を適用することも可能である。
【0061】
正孔注入層は、アノード332上に配置して正孔の注入を円滑にする役割を果たす。正孔注入層は、例えば、HAT-CN(dipyrazino[2,3-f:2’,3’-h]quinoxaline-2,3,6,7,10.11-hexacarbonitrile)、CuPc(phthalocyanine)、及びNPD(N,N’-bis(naphthalene-1-yl)-N,N’-bis(phenyl)-2,2’-dimethylbenzidine)のいずれか一つ以上からなり得る。
【0062】
正孔輸送層は、正孔注入層上に配置して発光層に円滑に正孔を伝達する役割を果たす。正孔輸送層は、例えば、NPD(N,N’-bis(naphthalene-1-yl)-N,N’-bis(phenyl)-2,2’-dimethylbenzidine)、TPD(N,N’-bis-(3-methylphenyl)-N,N’-bis-(phenyl)-benzidine)、s-TAD(2,2’,7,7’-tetrakis(N,N-dimethylamino)-9,9-spirofluorene)、及びMTDATA(4,4’,4’’-Tris(N-3-methylphenyl-N-phenyl-amino)-triphenylamine)のいずれか一つ以上からなり得る。
【0063】
発光層は、正孔輸送層上に配置され、特定の色の光を発光できる物質を含んで特定の色の光を発光できる。そして、発光物質は、燐光物質または蛍光物質を利用して形成することができる。
【0064】
発光層が赤色(Red)を発光する場合、発光するピーク波長は、600nm~650nmの範囲になり得、CBP(4,4’-bis(carbazol-9-yl)biphenyl)またはmCP(1,3-bis(carbazol-9-yl)benzene)を含むホスト物質を含み、PIQIr(acac)(bis(1-phenylisoquinoline)(acetylacetonate) iridium)、PQIr(acac)(bis(1-phenylquinoline)(acetylacetonate) iridium)、PQIr(tris(1-phenylquinoline) iridium)及びPtOEP(octaethylporphyrin platinum)の中で一つ以上を含むドーパントを含む燐光物質からなり得る。または、PBD:Eu(DBM)3(Phen)またはPeryleneを含む蛍光物質からなり得る。
【0065】
ここで、ピーク波長(λ)は、EL(ElectroLuminescence)の最大波長をいう。発光部を構成する発光層が固有の光を出す波長をPL(PhotoLuminescence)といい、発光層を構成する層の厚さや光学的特性の影響を受けて出る光をエミッタンス(Emittance)という。このとき、EL(ElectroLuminescence)は、電界発光表示装置が最終的に放出する光をいい、PL(PhotoLuminescence)及びエミッタンス(Emittance)の積で表され得る。
【0066】
発光層が緑色(Green)を発光する場合、発光するピーク波長は、520nm~540nmの範囲になり得、CBPまたはmCPを含むホスト物質を含み、Ir(ppy)3(tris(2-phenylpyridine)iridium)を含むIr complexのようなドーパント物質を含む燐光物質からなり得る。また、Alq3(tris(8-hydroxyquinolino)aluminum)を含む蛍光物質からなり得る。
【0067】
発光層が青色(Blue)を発光する場合、発光するピーク波長は、440nm~480nmの範囲になり得、CBPまたはmCPを含むホスト物質を含み、FIrPic(bis(3,5-difluoro-2-(2-pyridyl)phenyl-(2-carboxypyridyl)iridium)を含むドーパント物質を含む燐光物質からなり得る。また、spiro-DPVBi(4,4’-Bis(2,2-diphenyl-ethen-1-yl)biphenyl)、DSA(1-4-di-[4-(N,N-di-phenyl)amino]styryl-benzene)、PFO(polyfluorene)系高分子及びPPV(polyphenylenevinylene)系高分子のいずれか一つを含む蛍光物質からなり得る。
【0068】
発光層上に電子輸送層を配置して発光層に電子の移動を円滑にする。電子輸送層は、例えば、Liq(8-hydroxyquinolinolato-lithium)、PBD(2-(4-biphenyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazole)、TAZ(3-(4-biphenyl)4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole)、spiro-PBD、BCP(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)及びBalq(bis(2-methyl-8-quinolinolate)-4-(phenylphenolato)aluminum)のいずれか一つ以上からなり得る。
【0069】
電子輸送層上に電子注入層がさらに配置され得る。電子注入層は、カソード336から電子の注入を円滑にする有機層であり、有機発光表示装置100の構造と特性によって省略され得る。電子注入層は、BaF2、LiF、NaCl、CsF、Li2O及びBaOのような金属無機化合物であってよく、HAT-CN(dipyrazino[2,3-f:2’,3’-h]quinoxaline-2,3,6,7,10.11-hexacarbonitrile)、CuPc(phthalocyanine)、及びNPD(N,N’-bis(naphthalene-1-yl)-N,N’-bis(phenyl)-2,2’-dimethylbenzidine)のいずれか一つ以上の有機化合物であってよい。
【0070】
発光層と隣接した位置に正孔または電子の流れを阻止する電子阻止層(Electron Blocking Layer)または正孔阻止層(Hole Blocking Layer)をさらに配置し、電子が発光層に注入されるとき、発光層から移動して隣接した正孔輸送層に通過するか、正孔が発光層に注入されるとき、発光層から移動して隣接した電子輸送層に通過する現象を防止し、発光効率を向上させることができる。
【0071】
カソード336は、発光部334上に配置され、発光部334に電子を供給する役割を果たす。カソード336は、電子を供給しなければならないので、仕事関数の低い導電性物質であるマグネシウム(Mg)、銀-マグネシウム(Ag:Mg)等のような金属物質で構成でき、これに制限されない。
【0072】
有機発光表示装置100がトップエミッション方式である場合、カソード336は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウムスズ亜鉛酸化物(Indium Tin Zinc Oxide;ITZO)、亜鉛酸化物(Zinc Oxide;ZnO)及びスズ酸化物(Tin Oxide;TiO)系列の透明導電性酸化物であってよい。
【0073】
発光素子330上には、有機発光表示装置100の構成要素である薄膜トランジスタ320及び発光素子330が外部から流入する水分、酸素または不純物によって酸化または損傷されることを防止するための封止部350が配置される。
【0074】
封止部350は、複数の封止層352、356、異物補償層354及び複数のバリアフィルム(Barrier Film)358が積層されて形成できる。
【0075】
第1封止層352は、薄膜トランジスタ320及び発光素子330の上部の前面に配置され、無機物である窒化シリコン(SiNx)または酸化アルミニウム(AlyOz)のうち一つで構成され得、これに制限されない。第1封止層352上に配置される異物補償層354上には、第2封止層356がさらに配置され得、第1封止層352は、ALD(Atomic Layer Deposition)等の工程を通して形成でき、これに限定するものではない。
【0076】
第1封止層352は、二つの逆テーパ構造である第2スペーサー344の側面に接着され、発光素子330を固定させてフレキシブル有機発光表示装置100のフォールディングされるフォールディング領域に配置される発光素子330の剥離を抑制でき、接着力を改善することができる。
【0077】
異物補償層354は、第1封止層352上に配置され、有機物であるシリコンオキシカーボン(SiOCz)、アクリル(Acryl)またはエポキシ(Epoxy)系列のレジン(Resin)を使用することができ、これに制限されず、工程中に発生し得る異物やパーティクル(Particle)によって発生したクラック(Crack)により不良が発生するとき、異物補償層354によって屈曲及び異物が覆われながら補償できる。
【0078】
封止層352、356及び異物補償層354上にバリアフィルム358を配置して有機発光表示装置100が外部からの酸素及び水分の浸透を遅延させることができる。バリアフィルム358は、透光性及び両面接着性を帯びるフィルム形態に構成され、オレフィン(Olefin)系列、アクリル(Acrylic)系列及びシリコン(Silicon)系列のいずれか一つの絶縁材料で構成され得、またはCOP(Cyclolefin Polymer)、COC(Cycloolefin Copolymer)及びPC(Polycarbonate)のいずれか一つの材料で構成されたバリアフィルムをさらに積層でき、これに制限されない。
【0079】
本明細書の実施例に係る有機発光表示装置100は、画素を含む表示領域及び表示領域の外郭の非表示領域を含むフレキシブル基板、表示領域のフレキシブル基板がフォールディングされるフォールディング領域、表示領域上に配置される薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ上に配置され、画素を区画するバンク層、バンク層と隣接して配置される発光素子、バンク層上に配置され、逆テーパ(taper)構造を有する少なくとも一つ以上のスペーサー及び発光素子、第1スペーサー及び第2スペーサー上に配置される封止部を含む。
【0080】
図4は、図1の表示パネル上に配置される反射視感調節フィルムを含む表示装置の一例示を示した概略的な断面図である。
【0081】
参考までに、図4に開示された構成要素についての説明のうち上述した内容と同一または重複する内容は省略され得る。
【0082】
図4を参照すると、本明細書の一実施例に係る表示装置は、表示パネル110及び表示パネル110上に配置される反射視感調節フィルム200を含む。このとき、反射視感調節フィルム200は、第1レイヤー201、第1レイヤー201上のバリア膜202及びバリア膜202上の第2レイヤー203を含むことができる。
【0083】
このとき、表示パネルは、図1乃至図2において詳述し、図3の画素を有するパネルであってよい。表示パネル110は、有機発光表示パネルであってよいが、これに制限されることはない。
【0084】
表示パネル110は、基準波長の光に対して第1反射率以下の反射率を有し得る。一例として、表示パネル110は、550nmの波長の光に対して0%超10%以下の反射率を有し得る。また、第1波長範囲で表示パネルの反射率は、第3波長範囲で表示パネル110の反射率より小さくてよい。
【0085】
即ち、表示パネル110は、第1反射率以下の反射率を有し、第1基準波長での第1-1反射率と第2基準波長での第1-2反射率を有し得る。このとき、第1-1反射率は、第1-2反射率より大きくてよい。
【0086】
一例として、第1基準波長は650nm以上680nm以下であり、第2基準波長は420nm以上440nm以下であってよい。即ち、650nm以上680nm以下の波長での表示パネル110の第1-1反射率は、420nm以上440nm以下の波長での表示パネル110の第1-2反射率より大きくてよい。このように、表示パネル110は、赤い系列の波長に対する光をよりさらに多く反射する。従って、本明細書における表示パネル110は、赤い系列のブラック視感を有するパネルであり得る。
【0087】
第1レイヤー201は、特定の波長範囲の光に対して特定の透過率範囲を有し得る。第1レイヤー201は、第1波長範囲での第1透過率、第1波長範囲と異なる第2波長範囲での第2透過率、及び第1波長範囲及び第2波長範囲と異なる第3波長範囲での第3透過率を有し得る。
【0088】
一例として、第1波長範囲は、可視光線の波長範囲中、ブルー(blue)色相の光に該当する波長範囲であってよい。第2波長範囲は、可視光線の波長範囲中、グリーン(Green)色相の光に該当する波長範囲であってよい。第3波長範囲は、可視光線の波長範囲中、レッド(Red)色相の光に該当する波長範囲であってよい。一例として、第1波長範囲は、430nm以上480nm未満であり、第2波長範囲は、480nm以上630nm未満であり、第3波長範囲は、630nm以上780nm未満であってよい。
【0089】
第1レイヤー201は、色素を含む層であり、色素だけではなく感圧接着剤(pressure sensitive adhesive:PSA)を共に含む層であってよい。
【0090】
一実施例として、第1レイヤー201の実施例として、Case1乃至Case3は、次のとおりである。
【0091】
一例として、第1波長範囲は、430nm以上480nm未満であり、第2波長範囲は、480nm以上630nm未満であり、第3波長範囲は、630nm以上780nm未満であってよい。
【0092】
このとき、第1透過率は、63%±2%であり、好ましくは63%±1%であってよい。第2透過率は、58%±2%であり、好ましくは58%±1%であってよい。第3透過率は、60%±2%であり、好ましくは60%±1%であってよい(以下、Case1)。
【0093】
Case1で、表示装置のWCT(White Color Temperature)輝度は、100%以上107%以下であり、表示装置のCCT(Correlated Color Temperature、相関色温度)は、9,000K以上11000K以下であってよい。また、Case1の好ましい一実施例において、表示装置のWCT(White Color Temperature)輝度は、105.0%であり、表示装置のCCT(Correlated Color Temperature)は、9,965Kであってよい。
【0094】
他の例として、第1波長範囲は、430nm以上480nm未満であり、第2波長範囲は、480nm以上630nm未満であり、第3波長範囲は、630nm以上780nm未満であるとき、第1透過率は、66%±2%であり、好ましくは66%±1%であってよい。第2透過率は、60%±2%であり、好ましくは60%±1%であってよい。第3透過率は、66%±1%であってよい(以下、Case2)。
【0095】
Case2で、表示装置のWCT(White Color Temperature)輝度は、100%以上105%以下であり、表示装置のCCT(Correlated Color Temperature)は、9,000K以上11000K以下であってよい。また、Case2の好ましい一実施例において、表示装置のWCT(White Color Temperature)輝度は、104.7%であり、表示装置のCCT(Correlated Color Temperature)は、10,691Kであってよい。
【0096】
また他の例として、第1波長範囲は、430nm以上480nm未満であり、第2波長範囲は、480nm以上630nm未満であり、第3波長範囲は、630nm以上780nm未満であるとき、第1透過率は、63%±2%であり、好ましくは63%±1%であってよい。第2透過率は、60%±2%であり、好ましくは60%±1%であってよい。第3透過率は、63%±2%であり、63%±1%であってよい(以下、Case3)。
【0097】
Case3で、表示装置のWCT(White Color Temperature)輝度は、100%以上105%以下であり、表示装置のCCT(Correlated Color Temperature)は、9,000K以上11000K以下であってよい。また、Case3の好ましい一実施例において、表示装置のWCT(White Color Temperature)輝度は、103.7%であり、表示装置のCCT(Correlated Color Temperature)は、9,901Kであってよい。
【0098】
バリア膜202は、第1レイヤー201上に配置され、支持部材として、トリアセチルセルロース(Tri-acetyl cellulose;TAC)またはアクリル系樹脂を含むことができる。具体的に、バリア膜202は、100nm以下の位相差値を有し得る。このとき、位相差値(Δnd)は、バリア膜202の厚さ(d)とバリア膜202をなすトリアセチルセルロース(Tri-acetyl cellulose;TAC)またはアクリル系樹脂の屈折率異方性(Δn)の積と定義され得る。
【0099】
第2レイヤー203は、バリア膜202上に配置され得る。第2レイヤー203は、基準波長で第2反射率以下の反射率を有し得る。一例として、第2レイヤー203は、550nmの波長で0.5%以下の反射率を有し得る。また、第2レイヤー203は、550nmの波長で最小反射率を有し得る。即ち、第2レイヤー203の反射率は、入射する光の波長が550nmであるとき、最小であり得る。また、第2レイヤー203の透過率は、99%以上であってよい。
【0100】
第2レイヤー203は、低反射コーティング層であって、一般に通用される低反射コーティング層であってよい。一例として、第2レイヤー203は、単層であるか、少なくとも2層以上の複層であってよい。第2レイヤー203は、低反射物質として知られているマンガン(Mn)または窒化物(Nitride)を含むことができる。参考までに、上述したCase1乃至Case3で同じ第2レイヤー203が使用され得る。
【0101】
Case1乃至Case3で、第1レイヤー201は、第1色素乃至第4色素を含むことができる。
【0102】
第1レイヤー201の全重量中、第1色素乃至第4色素は、1重量%内外に含まれ得、第1レイヤー201は、その他に添加剤1重量%、基本粘着剤83重量%等を含むことができる。
【0103】
Case1乃至Case3において、第1色素は、好ましくは最大吸収波長約480nmを有する色素であってよい。一例として、第1色素は、ピロメテンコバルト錯体色素であってよい。
【0104】
Case1乃至Case3において、第2色素は、好ましくは最大吸収波長約580nmを有する色素であってよい。一例として、第2色素は、テトラアザポルフィリン銅錯体色素であってよい。
【0105】
Case1乃至Case3において、第3色素は、好ましくは最大吸収波長約680nmを有する色素であってよい。一例として、第3色素は、フタロシアニンコバルト錯体色素であってよい。
【0106】
Case1乃至Case3において、第4色素は、好ましくは最大吸収波長約780nmを有する色素であってよい。一例として、第4色素は、フタロシアニン銅錯体色素であってよい。
【0107】
一実施例として、Case1乃至Case3に対する実施例は、次のとおりである。
【0108】
Case1で第1レイヤー201は、最大吸収波長が470nm~490nmの範囲内である第1色素0.35~0.39重量%、最大吸収波長が570nm~590nmの範囲内である第2色素0.38~0.42重量%、最大吸収波長が670nm~690nmの範囲内である第3色素0.38~0.42重量%及び最大吸収波長が770nm~790nmの範囲内である第4色素0.38~0.42重量%を含むことができる。
【0109】
Case2で第1レイヤー201は、ピロメテンコバルト錯体色素0.32~0.34重量%、テトラアザポルフィリン銅錯体色素0.38~0.42重量%、フタロシアニンコバルト錯体色素0.32~0.36重量%及びフタロシアニン銅錯体色素0.32~0.36重量%を含むことができる。
【0110】
Case3でピロメテンコバルト錯体色素0.35~0.39重量%、テトラアザポルフィリン銅錯体色素0.38~0.42重量%、フタロシアニンコバルト錯体色素0.38~0.42重量%及びフタロシアニン銅錯体色素0.38~0.42重量%を含むことができる。
【0111】
好ましい実施例として、Case1乃至Case3に対する実施例は、次のとおりである。
【0112】
Case1で第1レイヤー201は、第1色素0.37重量%、第2色素0.40重量%、第3色素0.40重量%及び第4色素0.40重量%を含むことができる。
【0113】
Case2で第1レイヤー201は、第1色素0.34重量%、第2色素0.40重量%、第3色素0.34重量%及び第4色素0.34%を含むことができる。
【0114】
Case3で第1レイヤー201は、第1色素0.37重量%、第2色素0.40重量%、第3色素0.40重量%及び第4色素0.40重量%を含むことができる。
【0115】
また、好ましい実施例として、Case1乃至Case3に対する実施例は、次のとおりである。
【0116】
第1色素は、ピロメテンコバルト錯体色素であって、下記化学式1で表される化合物で構成され得る。
【化1】
【0117】
第2色素は、テトラアザポルフィリン銅錯体色素であって、下記化学式2で表される化合物で構成され得る。下記化合物は、山本化成社の製品であって、品名はPD-311Sであり、最大吸収波長は、約480nmであってよい。
【化2】
化学式2において、R1~R8は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホネート基、直鎖(a straight chain)を示す炭素数1~20の分枝状または環状アルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、炭素数1~20のモノアルキルアミノ基、炭素数2~20のジアルキルアミノ基原子、炭素数7~20のジアルキルアミノ基、炭素数7~20のアラルキル基、炭素数6~20のアリール基、ヘテロアリール基、炭素数6~20のアルキルチオ基、及びアリールチオ基を6~20個の炭素原子であるか、または、化学式2において、R1~R8は、それぞれ原子または基が連結基を通して連結された芳香族環以外の環であり、Mは、2個の水素原子、2価金属原子(divalent metallic atom)、2価1置換金属原子(divalent monosubstituted metallic atom)、4価2置換金属原子(tetravalent disubstituted metallic atom)またはオキシ金属原子(oxy metallic atom)を示す。
【0118】
第3色素は、フタロシアニンコバルト錯体色素であって、化学式3で表される化合物で構成され得る。下記化合物は、山田化学社の製品であって、品名はFDR-002であり、最大吸収波長は、約680nmであってよい。
【化3】
【0119】
第4色素は、フタロシアニン銅錯体色素であって、下記化学式4で表される化合物で構成され得る。下記化合物は、山田化学社の製品であって、品名はFDN-002であり、最大吸収波長は、約780nmであってよい。
【化4】
但し、フタロシアニン銅錯体色素は、α及びβ形態の混合結晶形態であり、mは、α-位での塩素置換基の平均個数を示し、nは、β位での塩素置換基の平均個数を示す。
【0120】
図5は、図1の表示パネル上に配置される反射視感調節フィルムを含む表示装置の他の例示を示した概略的な断面図である。
【0121】
参考までに、図4に開示された構成要素についての説明のうち上述した内容と同一または重複する内容は省略され得る。
【0122】
図5を参照すると、表示パネル110上に配置される反射視感調節フィルム200は、第1-1レイヤー201aと第1-2レイヤー201bを含む第1レイヤー201を含むことができる。
【0123】
第1-1レイヤー201aは、上述した感圧接着剤(pressure sensitive adhesive:PSA)を含む層であってよい。このとき、第1-1レイヤー201aは、上述した第1色素乃至第4色素を含まなくてよい。
【0124】
第1-2レイヤー201bは、ハードコーティング層であってよい。このとき、第1-2レイヤー201bは、上述した第1色素乃至第4色素を含むことができる。上述したCase1乃至Case3の色素の例示は、第1-2レイヤー201bに含まれ得る。
【0125】
第1-2レイヤー201bは、96%の光透過率を有し、一般に使用されるハードコーティング層であってよい。ハードコーティング層は、第1-1レイヤー201aの上部に位置して、表示パネル及び第1-1レイヤー201aを保護し、外部の物理的な力により表示パネル及び第1-1レイヤー201aが損傷されることを防止する役割を果たす。即ち、ハードコーティング層は、表示装置の最外郭に形成され、表示パネル及び第1-1レイヤー201a等を保護する。
【0126】
ハードコーティング層は、単層に形成されるか、2層以上の多層構造になされてもよい。一方、ハードコーティング層の材質は、特に限定されず、当該技術の分野においてプラスチックフィルムの表面硬度を向上させるために使用される多様な材料が制限なく使用され得る。ハードコーティング層の厚さは、例えば、5μm~100μm程度、好ましくは、6μm~50μm程度であってよいが、これに限定されるものではない。
【0127】
図6は、本発明の一実施例に係る表示装置に使用される反射視感調節フィルムを構成する第1レイヤーのCase1乃至Case3による波長別の透過率を測定して示したグラフである。即ち、図6のグラフは、380nm~780nmの波長に対する透過率を測定したものである。
【0128】
Case1乃至Case3の第1レイヤーは、第1色素乃至第4色素を上述した含有比で含むことができる。基準になるHTOとFlat OTFの比較例より、短波長の場合、3~6%の透過率の向上があり、長波長の場合もまた3~6%の透過率の向上があった。
【0129】
参考までに、HTOは、位相差層、バリア層及び偏光子層を含む低反射フィルムとして使用した表示装置であって、第1波長範囲乃至第3波長範囲の平均透過率が約45.5%であってよい。Flat OTFは、Case1乃至Case3と異なり第1波長範囲乃至第3波長範囲でフラットな形態の透過率グラフを有する低反射フィルムであり、Flat OTFの平均透過率は、約60%であってよい。
【0130】
図6を参照すると、レファレンスであるHTO(45.5%)とFlat OTF(60%)の場合より、Case1乃至Case3は、短波長及び長波長の可視光線の範囲で透過率が全般的に向上したことが確認される。
【0131】
特に、レファレンスであるHTO(45.5%)より全ての波長領域でCase1乃至Case3の透過率が向上した。即ち、第1レイヤーに上述した第1色素乃至第4色素を含ませることで、特定の波長範囲で透過率の改善が確認されたのである。
【0132】
また、Case1乃至Case3は、レファレンスであるFlat OTF(60%)より短波長領域である第1波長範囲(430nm~480nm)で約3~6%高い透過率を有する。また、Case1乃至Case3は、レファレンスであるFlat OTF(60%)より長波長領域である第3波長範囲(630nm~780nm)で約3~6%高い透過率を有する。これによって、Case1乃至Case3は、レファレンスであるFlat OTF(60%)より第1波長範囲及び第3波長範囲で向上した透過率を有する。
【0133】
図7は、上述したCase1乃至Case3の第1レイヤーを含む反射視感調節フィルムの光学的特性を示した表である。図7を参照すると、比較例1は、外光反射視感がブルー系列(Bluish)に現れる第1表示パネル上にFlat 60%の透過率を有する第1レイヤー及びR550 1.0%を有する第2レイヤーを含む低反射フィルムを配置した構造である。第1表示パネルは、本発明の表示装置で使用される表示パネルでない比較例であって、650nm~680nmの波長での反射率が420nm~440nmの波長での反射率より小さい。これによって、第1表示パネル上に従来のFlat 60%の透過率を有する第1レイヤーを使用する場合にも外光反射視感がブルー系列(Bluish)に現れる。第1表示パネルの基本反射率が低いので、全体反射率もまた相対的に低く測定されたものと見られる。
【0134】
比較例2は、外光反射視感がレッド系列(Reddish)に現れる第2表示パネル上にFlat 60%の透過率を有する第1レイヤー及びR550 1.0%を有する第2レイヤーを含む低反射フィルムを配置した構造である。第1表示パネルは、本発明の表示装置で使用される表示パネルであって、650nm~680nmの波長での反射率が420nm~440nmの波長での反射率より大きい。外光反射視感がレッド系列(Reddish)である第2表示パネル上に従来のFlat 60%の透過率を有する第1レイヤーを使用する場合、比較例1に比してもう少しニュートラルブラックに近くなり得る。しかし、a*、b*色座標値が(5,-5)から遠く離れており、依然としてレッド系列(Reddish)の視感が現れることを確認することができる。
【0135】
Case1では、比較例2と比較して、外光反射視感がレッド系列(Reddish)に現れる第2表示パネル上に図7の表のように予め設定された透過率を有する第1レイヤーと、R550 0.5%を有する第2レイヤーを含む反射視感調節フィルムを配置した。このとき、反射率(R/R550)は2.6/2.6と比較例2より優れ、比較例1と類似したことが確認される。一方、比較例2と比較すると、Case1は、a*、b*色座標値が(5,-5)により隣接したところ、比較例2に比してもう少しニュートラルブラックに近くなることを確認することができた。
【0136】
参考までに、本明細書において、ブラック視感は、完璧なブラックイメージを表示装置に表示した状態で測定される色温度が完璧なブラックにどれほど類似するかを意味し得る。
【0137】
また、Case1のWCT輝度もまたレファレンスである比較例2よりさらに高いことが確認される。
【0138】
参考までに、反射率Rは、実験に使用される波長範囲全体の反射率の平均値であり得、反射率R550は、実験に使用される波長のうち550nmの光に対する反射率であり得る。
【0139】
Case2は、外光反射視感がレッド系列(Reddish)に現れる第2表示パネル上に、図7の表のように予め設定された透過率を有する第1レイヤー及び0.5%を有する第2レイヤーを含む反射視感調節フィルムを配置した。このとき、反射率(R/R550)は2.6/2.5と比較例2及び比較例1と類似したことが確認される。一方、比較例2と比較すると、Case2は、a*、b*色座標値が(5,-5)により隣接したところ、比較例2に比してもう少しneutral blackに近くなることを確認することができた。また、Case2のWCT輝度もまたレファレンスである比較例2よりさらに高いことが確認される。
【0140】
Case3は、外光反射視感がレッド系列(Reddish)に現れる第2表示パネル上に図7の表のように予め設定された透過率を有する第1レイヤー及び0.5%を有する第2レイヤーを含む反射視感調節フィルムを配置した。このとき、反射率(R/R550)は2.6/2.5と比較例2より優れ、比較例1と類似したことが確認される。一方、比較例2と比較すると、Case3は、a*、b*色座標値が(5.0,-5.4)とneutral blackに最も近くなることを確認することができた。また、Case3のWCT輝度もまたレファレンスである比較例2よりさらに高いことが確認される。
【0141】
比較例3は、外光反射視感がレッド系列(Reddish)に現れる第2表示パネル上に図7の表のように予め設定された透過率を有する第1レイヤー及び0.5%を有する第2レイヤーを含むフィルムを配置した。比較例3は、Case1乃至3と比較して、第1レイヤーが第1波長範囲である430nm以上480nm未満で高い透過率を有する。このとき、反射率(R/R550)は2.6/2.5と比較例2より優れ、比較例1と類似したことが確認される。ただし、CCTを検討すると、Case1乃至Case3より過度に高い値を有し、a*、b*色座標値が(7.1,-8.7)と青い系列のブラック視感を有することが確認される。また、比較例3のWCT輝度は、レファレンスである比較例2よりさらに低いことが確認される。
【0142】
図7において、色相座標中、a*は、赤色(Red)-緑色(Green)軸を基準にする座標値であり、b*は、黄色(Yellow)-青色(Blue)軸を基準にする座標値といえる。a*=0及びb*=0である原点は、反射彩度がneutral blackであることを意味する。原点からa*が絶対値が大きい正(+)の値を有するほど赤色(Red)傾向が強くなり、絶対値が大きい負(-)の値を有するほど緑色(Green)傾向が強くなる。また、原点(O)からb*が正(+)の方向へ行くほど黄色(Yellow)傾向が強くなり、負(-)の方向へ行くほど青色(Blue)傾向が強くなる。言い換えれば、a*座標値は、絶対値が大きい正(+)の値を有し、b*座標値は、絶対値が小さい負(-)の値であるか、正(+)の値を有するほど、色相測定の対象である表示装置は、赤い系列のブラック視感を有するといえる。また、a*座標値が正(+)の値を有し、b*座標値が負(-)の値を有する場合、a*座標値とb*座標値の絶対値が類似した場合にもneutral blackを有し得る。
【0143】
比較例1及び比較例3のb*座標値は、絶対値が最も大きい負(-)の値を有するのでブルー系列のブラック視感を有するといえる。
【0144】
逆に、比較例2、Case1乃至Case3のa*座標値は、正(+)の値を有し、b*の座標値は、相対的に小さな大きさの絶対値を有する負(-)の値を有するといえる。従って、比較例2、比較例4、Case1乃至Case3は、赤い系列のブラック視感を有するといえる。
【0145】
特に、色相測定の対象となる表示装置のa*、b*座標値が(5,-5)に近いほどより好ましいニュートラルブラック視感を有する表示装置であると解析され得る。従って、Case1乃至Case3は、比較例1よりneutral blackを有する。一方、Case1乃至Case3は、比較例2より低い反射率と改善されたWCT輝度を有するので、最終的にCase1乃至Case3の光学的特性が最も優れたことが確認される。
【0146】
このように、Case1乃至3は、比較例1乃至4より優れた反射率(低い反射率)を有するという点と、ニュートラルブラックに近いブラック視感を有するという点と、WCT輝度が高いという点で長所を有する。
【0147】
言い換えれば、基本的に赤い系列の光を反射する第2表示パネルに、Case1乃至Case3のように第1レイヤー及び第2レイヤー(そして、第1レイヤーと第2レイヤーとの間のバリア膜)を含む反射視感調節フィルムを積層するならば、より好ましいニュートラルブラックに近いブラック視感を有し、高い光効率を有する表示装置が製造され得る。図8は、第2レイヤーの反射率によるCase3の光学的特性を示した表である。
【0148】
図8を参照すると、第2レイヤーの反射率であるR550(550nmの波長での反射率)が0.5%である場合と、1.0%である場合、それぞれの光学的特性が開始される。同じ条件で第2レイヤーのR550だけを変更したとき、全体反射率で差が発生することが確認される。R550が0.5%である場合の全体反射率が、R550が1.0%である場合の全体反射率より低いことが確認される。即ち、R550が0.5%である場合の反射率特性が、R550が1.0%である場合の全体反射率特性より優れている。
【0149】
それだけではなく、第2レイヤーのR550が0.5%である場合の色相は、第2レイヤーのR550が1.0%である場合の色相よりニュートラルブラックに近いブラック視感を有することが確認される。
【0150】
図9は、さらなる比較例である比較例5乃至比較例7と、HTO構造の比較例に対する光学的特性を示した表である。
【0151】
図9を参照すると、HTO構造では、色相は赤い系列のブラック視感と青い系列のブラック視感の間であることが確認される。
【0152】
比較例5乃至比較例7は、上述したCase1乃至Case3と異なる透過率を有する第1レイヤーを使用する表示装置であってよい。比較例5及び比較例7は、第1透過率の範囲乃至第3透過率の範囲がCase1乃至Case3と異なる。比較例5及び比較例7のWCT輝度は、レファレンスである比較例1より低いことが確認される。また、比較例6及び比較例7のCCTは、9000より顕著に低い値を有することが確認される。
【0153】
図7乃至図9を参照して各実施例の光学的特性を比較すると、本明細書の主要実施例であるCase1乃至Case3の光学的特性が他の比較例より優れていることが確認される。
【0154】
本発明の多様な実施例に係る表示装置は、下記のように説明され得る。
【0155】
本発明の一実施例に係る表示装置は、650nm~680nmの波長での第1-1反射率が420nm~440nmの波長での第1-2反射率より大きい表示パネル、表示パネル上に配置され、第1波長範囲で第1透過率を有し、第1波長範囲と異なる第2波長範囲で第2透過率を有し、第1波長範囲及び第2波長範囲と異なる第3波長範囲で第3透過率を有する第1レイヤー、第1レイヤー上に配置されるバリア膜、及びバリア膜上に配置される第2レイヤーを含む。
【0156】
本発明の他の特徴によれば、第1波長範囲は、430nm以上480nm未満であり、第2波長範囲は、480nm以上630nm未満であり、第3波長範囲は、630nm以上780nm未満であり、第1透過率が第2透過率より大きくてよい。
【0157】
本発明のまた他の特徴によれば、第1透過率は63%±2%であり、第2透過率は58%±2%であり、第3透過率は60%±2%であってよい。
【0158】
本発明のまた他の特徴によれば、第1透過率は66%±2%であり、第2透過率は60%±2%であり、第3透過率は66%±2%であってよい。
【0159】
本発明のまた他の特徴によれば、第1透過率は63%±2%であり、第2透過率は60%±2%であり、第3透過率は63%±2%であってよい。
【0160】
本発明のまた他の特徴によれば、550nmの波長での表示パネルの反射率は、10%以下であってよい。
【0161】
本発明のまた他の特徴によれば、550nmの波長での第2レイヤーの反射率は、550nmの波長に対して0.5%以下であってよい。
【0162】
本発明のまた他の特徴によれば、第2レイヤーの反射率は、入射する光の波長範囲が540nm~560nmであるとき、最小値を有し得る。
【0163】
本発明のまた他の特徴によれば、第2レイヤーの透過率は、99%以上であってよい。
【0164】
本発明のまた他の特徴によれば、バリア膜は、トリアセチルセルロース(Tri-acetyl cellulose;TAC)またはアクリル系樹脂を含むことができる。
【0165】
本発明のまた他の特徴によれば、バリア膜は、100nm以下の位相差値を有し得る。
【0166】
本発明のまた他の特徴によれば、第1レイヤーは、最大吸収波長が470nm~490nmの範囲内である第1色素、最大吸収波長が570nm~590nmの範囲内である第2色素、最大吸収波長が670nm~690nmの範囲内である第3色素及び最大吸収波長が770nm~790nmの範囲内である第4色素を含むことができる。
【0167】
本発明のまた他の特徴によれば、第1レイヤーは、第1色素0.35~0.39重量%を含み、第2色素0.38~0.42重量%を含み、第3色素0.38~0.42重量%を含み、第4色素0.38~0.42重量%を含むことができる。
【0168】
本発明のまた他の特徴によれば、第1レイヤーは、第1色素0.32~0.34重量%を含み、第2色素0.38~0.42重量%を含み、第3色素0.32~0.36重量%を含み、第4色素0.32~0.36重量%を含むことができる。
【0169】
本発明のまた他の特徴によれば、第1レイヤーは、第1色素0.35~0.39重量%を含み、第2色素0.38~0.42重量%を含み、第3色素0.38~0.42重量%を含み、第4色素0.38~0.42重量%を含むことができる。
【0170】
第1色素は、ピロメテンコバルト錯体色素であって、下記化学式1で表される化合物で構成され得る。
【0171】
【化5】
【0172】
本発明のまた他の特徴によれば、第2色素は、テトラアザポルフィリン銅錯体色素であって、下記化学式2で表される化合物で構成され得る。
【化6】
【0173】
本発明のまた他の特徴によれば、第3色素は、フタロシアニンコバルト錯体色素であって、下記化学式3で表される化合物で構成され得る。
【化7】
【0174】
本発明のまた他の特徴によれば、第4色素は、フタロシアニン銅錯体色素であって、下記化学式4で表される化合物で構成され得る。
【化8】
【0175】
本発明のまた他の特徴によれば、第1レイヤーは、感圧接着剤(pressure sensitive adhesive:PSA)をさらに含むことができる。
【0176】
本発明のまた他の特徴によれば、第1レイヤーは、感圧接着剤からなる第1-1レイヤー及び第1色素、第2色素、第3色素、第4色素及びハードコーティング物質を含む第1-2レイヤーを含むことができる。
【0177】
本発明の他の実施例に係る表示装置は、420nm~440nmの波長での第2反射率より大きな650nm~680nmの波長での第1反射率を有する表示パネルと前記表示パネル上に配置される反射視感調節フィルムとを含み、前記反射視感調節フィルムは、第1波長範囲で第1透過率、第2波長範囲で第2透過率及び第3波長範囲で第3透過率を有する第1レイヤーと、前記第1レイヤー上に配置され、550nmの波長での反射率が1%を超えない第2レイヤーとを含み、前記第1波長範囲、前記第2波長範囲及び前記第3波長範囲は、互いに異なる。
【0178】
本発明の他の特徴によれば、前記反射率は、0.5%を超えなくてよい。
【0179】
本発明のまた他の実施例に係る表示装置は、レッド系列(Reddish)の外光反射視感を有する表示パネルと、前記表示パネル上の第1レイヤーと、前記表示パネル上の第2レイヤーとを含み、前記第1レイヤーは、最大吸収波長が470nm~490nmの範囲内である第1色素、最大吸収波長が570nm~590nmの範囲内である第2色素、最大吸収波長が670nm~690nmの範囲内である第3色素及び最大吸収波長が770nm~790nmの範囲内である第4色素を含むことができる。
【0180】
本発明の他の特徴によれば、第2レイヤーの反射率は、入射する光の波長範囲が540nm~560nmである時に最小値を有することができる。
【0181】
以上、添付の図面を参照して、本発明の実施例をさらに詳細に説明したが、本発明は、必ずしもこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想を外れない範囲内で多様に変形実施され得る。従って、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を制限するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が制限されるものではない。それゆえ、以上において記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、制限的ではないものと理解すべきである。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0182】
100 表示装置
110 表示パネル
120 光学部材
130 ウィンドウ部材
200 反射視感調節フィルム
201 第1レイヤー
201a 1レイヤー
201b 2レイヤー
202 バリア膜
203 第2レイヤー
310 基板
312 バッファ層
314 第1絶縁層
316 第2絶縁層
318 平坦化層
320 薄膜トランジスタ
322 ゲート電極
324 ソース電極
326 ドレイン電極
328 半導体層
330 発光素子
332 アノード
334 発光部
336 カソード
340 バンク層
350 封止部
352 第1封止層
354 異物補償層
356 第2封止層
358 バリアフィルム
DA 表示領域
NDA 非表示領域
FA フォールディング領域
NFA 非フォールディング領域
FX フォールディング軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9