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特開2024-109058入力装置支持台及び入力装置支持台の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109058
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】入力装置支持台及び入力装置支持台の使用方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 21/013 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A47B21/013
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004256
(22)【出願日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2023012831
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523034391
【氏名又は名称】片平 善浩
(74)【代理人】
【識別番号】110003498
【氏名又は名称】弁理士法人アイピールーム
(72)【発明者】
【氏名】片平 善浩
(57)【要約】
【課題】占有空間を抑え、入力装置の操作性や出力装置に出力される情報の質を含む作業の快適性を向上する入力装置支持台及びこの入力装置支持台の使用方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
作業者Pの手Phから肘Pjまでの全部又は一部を載置可能な作業台Yに取り付けられる支持アームと、支持アームで支持されて作業者P用の入力装置4を支持する支持台本体1と、を備える入力装置支持台の使用方法であって、支持台本体1で支持した入力装置4を支持アームで作業台Yの下又は作業台Yの下から作業者Pまでの間のいずれかに配置し、入力装置4を支持アーム及び/又は支持台本体1で作業者Pと反対側に傾ける。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の手から肘までの全部又は一部を載置可能な作業台に取り付けられる支持アームと、前記支持アームで支持されて前記作業者用の入力装置を支持する支持台本体と、を備える入力装置支持台の使用方法であって、
前記支持台本体で支持した前記入力装置を前記支持アームで前記作業台の下又は当該作業台の下から作業者までの間のいずれかに配置し、
前記入力装置を前記支持アーム及び/又は前記支持台本体で前記作業者と反対側に傾ける
入力装置支持台の使用方法。
【請求項2】
前記入力装置の傾きを少なくとも当該入力装置を扱う前記作業者の手の傾きと略同一にする
請求項1に記載の入力装置支持台の使用方法。
【請求項3】
前記支持台本体に少なくとも前記入力装置を扱う前記作業者の手を載せる
請求項1に記載の入力装置支持台の使用方法。
【請求項4】
前記支持台本体は、前記作業者の手を載せる載置部を有し、
前記作業者が目視しない状態で前記載置部に基づいて前記入力装置の位置を認識する
請求項1に記載の入力装置支持台の使用方法。
【請求項5】
前記入力装置の傾きの緩急を作業中の前記作業者の肩の位置に対する相対的な手の位置に応じて調整する
請求項1に記載の入力装置支持台の使用方法。
【請求項6】
前記支持アームが前記作業台に対して可動自在であり、
前記入力装置を前記支持アームで前記作業者の手が届く範囲内に移動する
請求項1に記載の入力装置支持台の使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、占有空間を抑え、作業の快適性を向上する入力装置支持台及びこの入力装置支持台の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、近年の在宅勤務の普及に伴い、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称す)を扱う場面が多様化している。作業者は、スタンディングデスクを含む作業台など、自分の体格やワークスタイルに合った環境を整えることができるようになり、作業環境の改善による生産性の向上を考えやすくなった。これにおいて、キーボードが筆記作業の邪魔にならないことが望ましく、また、一般にタイピングと筆記作業では最適な天板高さが異なるため、作業台の天板と別にキーボード台を設けることが望ましい。さらにキーボードは、パソコン不使用時には収納できる方が好ましく、このような需要から、可動式のキーボード台が開発されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002-529841号公報
【特許文献2】特表平9-506286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2には、連結部材によってキーボード支持体の位置を変更可能な構成が開示されているが、1本のアームが回動するだけでは、キーボード支持台の位置は特定の円弧に沿った範囲に限定され、高さや奥行きを自在に変更することはできない。また、高さ方向の占有空間が大きくなり、作業者の脚や、作業台の下の物(パソコンの筐体など)との干渉を考慮して扱う必要がある。
【0005】
また、作業台の天板下面には、強度を確保するための梁が設けてあることも想定され、キーボード支持体の取付が困難な場合もある。
【0006】
さらに、タイピングを行う上で、使用者の負担が最も少ないのは腕を垂らし、手首を起こさずに入力作業を行える状態であるが、従来品ではキーの面が水平又は手前に起き上がった構成であるため、キーボードの角度によって使用者の身体に負担をかけてしまい、作業の快適性が今一つであった。
【0007】
一般的に、キーボードのみならず、ゲーム機その他所定の機器を操作する入力装置は、ディスプレイやモニターといった出力装置を見ながら用いられ、換言すると、作業者は上記入力装置を目視しておらず、視野に入っていても直視していない。さらに言うと、思考に集中する際には視界に入る「モノ(特に動きを伴うモノ)」は極力少ない方が望ましく、この場合、入力装置及び入力装置を操作する作業者の手は視界に入らない位置に配置することこそが望ましい。このことから、上記入力装置は、本質的には作業台の上に無くてもよく、少なくとも上記入力装置の操作性を妨げず、上記出力装置に出力される情報の質の向上に寄与するところに配置されるべきである。そして、上記操作性や上記質の向上は、作業者の手の位置や背筋等の姿勢といった体勢(以下「作業体勢」ともいう。)次第であることに、発明者は辿り着いた。すなわち、上記入力装置の位置に作業体勢を合わせるのではなく、作業者が求める作業体勢に上記入力装置の位置を合わせるべきである。
【0008】
ここで、作業者が求める作業体勢とは、作業に伴う手、腕、肩、首、背中等の上半身の部位に対する負担を軽減又は回避し、作業に対する集中力や思考力の向上を期待できる状態であり、例えば腕を垂らし、手首を起こさず、かつ首から背中に渡って真っ直ぐな状態が該当する。
【0009】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、占有空間を抑え、入力装置の操作性や出力装置に出力される情報の質を含む作業の快適性を向上する入力装置支持台及びこの入力装置支持台の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本願発明は、作業台に取り付け可能な1本あるいは複数の支持アームと、入力装置を支持する支持台本体と、を備える入力装置支持台であって、前記支持アームは、屈曲しない構造でもよいが、屈曲する構造の場合、前記作業台に作業台取付部を介して取付け可能な遠位アームと、前記支持台本体を支持する近位アームと、を含み、前記遠位アームに対する前記近位アームの角度を変更可能な中間回動部材を有する。
このような構成によって、作業台周辺における支持台本体の位置・角度調整の自由度が向上し、占有空間を抑えながら、より快適にパソコンやゲーム機を含む機器の入力作業を行うことができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記作業台と前記遠位アームは、遠位側回動部材を介して回動可能に接続され、前記支持台本体と前記近位アームは、近位側回動部材を介して回動可能に接続される。
このような構成によって、位置・角度の調整を容易に行うことができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、中間回動部材は、傾斜角度を保持する傾斜保持機構を有する。
このような構成によって、簡便な操作及び単純な部品で、使用者にとって適切な位置に支持台本体を配置することができるとともに、メンテナンス性も高まる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、中間回動部材は、回動範囲を所定の角度に制限する案内部を有する。
このような構成によって、入力装置を簡便な操作で毎回同一の位置に配置することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、支持台本体は、使用時に使用者が手首を載せる載置部を有する。
このような構成によって、使用者が入力装置を使用するとき、使用者の手首を支えて負担を軽減することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、近位側回動部材は、載置部に近接する位置で、支持台本体に接続される。
このような構成によって、使用者の手首からの力を適切に受け止め、支持台本体の安定を保つことができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記支持台本体は、前記入力装置を所定位置に保持する入力保持部を有する。
このような構成によって、支持台が傾斜した状態でも入力装置の位置ずれを防ぎ、使用者の快適性を高める。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記作業台取付部は、前記作業台の端部と当接する当接面を有するフック部を含む。
このような構成によって、携帯性を高め、様々な場面で使用することができるようになる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記支持アームは、遠位アームと、近位アームと、を接続する中間アームを含む。
このような構成によって、可動域を拡げて、使用者の任意の位置に調整しやすくできる。
【0019】
上記課題を解決する本願発明は、入力装置支持台が、支持アームを介して接続され、天板の下に設けられる作業台である。
このような構成によって、作業台の天板を占有せずにパソコンの入力作業を行うことができる。
【0020】
上記課題を解決する本願発明は、作業者の手から肘までの全部又は一部を載置可能な作業台に取り付けられる支持アームと、前記支持アームで支持されて前記作業者用の入力装置を支持する支持台本体と、を備える入力装置支持台の使用方法であって、前記支持台本体で支持した前記入力装置を前記支持アームで前記作業台の下又は当該作業台の下から作業者までの間のいずれかに配置し、前記入力装置を前記支持アーム及び/又は前記支持台本体で前記作業者と反対側に傾ける。なお、支持アームは、作業台に対して、固定式でも回転及び/又はスライド自在な可動式でもよく、伸縮自在であってもなくてもよく、屈曲する構造であってもなくてもよく、着脱自在であってもなくてもよい。支持台本体は、支持アームに対して、固定式でも回転及び/又はスライド自在な可動式でもよく、着脱自在であってもなくてもよい。
【0021】
「作業者」とは、性別、年齢、労働者や学生等の立場、身長や体重等の身体に関する情報、パソコン操作やゲーム操作等の作業の内容、その他の属性を限定しない。「作業台」とは、子ども用でも大人用でもよく、椅子の有無に関わらず着座式でも起立式でもよく、オフィスや自宅や学校等の使用環境も、サイズや素材(木製や金属製)等の仕様も限定しないが、一般的なサイズとして高さ50~120cm、幅60~180cm、奥行き60~80cmであり、作業者と対面する位置に出力装置を備えていてもいなくてもよい。「作業者の手から肘までの全部又は一部」とは、作業者の指先、指、手のひら、手首、手のひらと手首との間、手首と肘との間、肘のいずれか又は二つ以上の組み合わせでもよい。
【0022】
「作業台の下」とは、作業台の天板の裏側から床までの空間を意味し、「作業台の下から作業者までの間」とは、上記空間の内側と外側との境界も含む。「作業者と反対側に傾ける」とは、鉛直方向に対して入力装置の表側が作業者側ではなく作業台の奥側に向かって0°(鉛直)より大きく90°(水平)より小さい角度で傾けることを意味し、好ましい角度は15~80°、より好ましい角度は30~60°であり、15°より急だと作業者の身体と近過ぎて操作性の低下が生じかねず、80°より緩やかだと作業台Y上に入力装置を置いた状態での作業体勢に近似して操作性の向上を期待しにくい。
【0023】
このような方法によって、作業者は意に反して作業体勢を入力装置に合わせることなく、作業者が求める作業体勢として、例えば腕を垂らし、手首を起こさず、かつ首から背中に渡って真っ直ぐな状態で入力装置を操作できる効果を期待できる。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記入力装置の傾きを少なくとも当該入力装置を扱う前記作業者の手の傾きと略同一にする。
【0025】
「入力装置の傾き」とは、入力装置の表側の角度が該当する。「作業者の手の傾き」とは、例えば作業者が入力装置を操作中の指先から手首の付け根を結んだ仮想線の角度や入力装置を操作中の手の甲の角度が該当する。
【0026】
このような方法によって、作業者の身体のうち入力装置に最も近い部位である手の傾きに入力装置の傾きを調整できることから、作業者が求める作業体勢をより実現しやすい効果を期待できる。
【0027】
本発明の好ましい形態では、前記支持台本体に少なくとも前記入力装置を扱う前記作業者の手を載せる。
【0028】
「作業者の手を載せる」とは、支持台本体のうち入力装置と作業者との間の余剰スペースを作業者の手で積極的に荷重している状態でも、作業者の手を添えるのみで積極的に荷重していない状態でもよい。
【0029】
このような方法によって、入力装置に作業者の手を載せる余剰スペースがなくても作業者が作業中に感じる手や腕の自重を軽減できることから、作業者が求める作業体勢をより実現しやすい効果を期待できる。
【0030】
本発明の好ましい形態では、前記支持台本体は、前記作業者の手を載せる載置部を有し、前記作業者が目視しない状態で前記載置部に基づいて前記入力装置の位置を認識する。なお、載置部は、上述したように、支持台本体のうち入力装置と作業者との間の余剰スペースでもよく、また作業者が載置部を認識しやすいように凸部、凹部等(キーボードのホームポジションのように機能して作業者が所望の効果を得られる部位)を有していてもいなくてもよい。
【0031】
「目視しない状態」とは、入力装置の位置を確認するために目や首や上半身その他身体を動かさない状態を意味し、好ましくは作業者が求める作業体勢を維持した状態を意味する。
【0032】
このような方法によって、入力装置の位置が作業台の下かつ奥側であっても作業者が求める作業体勢により作業を開始又は再開しやすい効果を期待できる。
【0033】
本発明の好ましい形態では、前記入力装置の傾きの緩急を作業中の前記作業者の肩の位置に対する相対的な手の位置に応じて調整する。
【0034】
「肩の位置」とは、床を基準にして着座状態又は起立状態における作業中の作業者の肩の位置を意味する。
【0035】
このような方法によって、着座状態であっても起立状態であっても、支持アームのみでは調整しきれない作業者が求める作業体勢を柔軟に実現しやすい効果を期待できる。
【0036】
本発明の好ましい形態では、前記支持アームが前記作業台に対して可動自在であり、前記入力装置を前記支持アームで前記作業者の手が届く範囲内に移動する。
【0037】
「作業者の手が届く範囲」とは、静止した作業者の位置を基準にして、作業者が腕を真っ直ぐに伸ばした状態や肘を曲げた状態における手の可動範囲を意味する。
【0038】
このような方法によって、同一の作業者が求める作業体勢のみならず、身長や腕の長さが異なる複数の作業者がそれぞれ求める作業体勢も柔軟に実現しやすい効果を期待できる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、占有空間を抑え、入力装置の操作性や出力装置に出力される情報の質を含む作業の快適性を向上する効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第一の実施形態に係る、入力装置支持台の平面図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る、入力装置支持台の斜視図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る、入力装置支持台を作業台に取付けた際の右側面図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る、入力装置支持台を使用状態に引き出した際の右側面図である。
図5】本発明の第一の実施形態に係る、入力装置支持台を最も前側に引き出した際の右側面図である。
図6】本発明の第一の実施形態に係る、入力装置支持台の平面図である。
図7】本発明の第一の実施形態に係る、入力装置支持台を作業台に取付けた際の右側面図である。
図8】本発明の第一の実施形態に係る、回動部材の模式図である。
図9】本発明の第一の実施形態に係る、入力装置支持台を使用状態に引き出した際の右側面図である。
図10】本発明の第二の実施形態に係る、入力装置支持台を使用状態に引き出した際の右側面図である。
図11】本発明の第三の実施形態に係る、入力装置支持台を使用状態に引き出した際の右側面図である。
図12】本発明の第四の実施形態に係る、入力装置支持台を使用状態に引き出した際の右側面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る、第一の使用方法を説明する概念図である。
図14】本発明の一実施形態に係る、第二の使用方法を説明する概念図である。
図15】本発明の一実施形態に係る、第三の使用方法を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る入力装置支持台について説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施例の順に詳述する。また、以下で用いる上下、左右、前後は、図2に示す方向を用いる。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。
【0042】
≪第一の実施形態≫
入力装置支持台Xは、入力装置を支持する支持台本体1と、支持台本体1を作業台Yに接続可能な支持アーム2と、支持台本体1、及び支持アーム2、及び作業台Yを互いに回動可能に接続する回動部材3と、を備える。ここでの入力装置4は、パソコンに使用されるものを想定しているため、以下ではパソコン用入力装置4とするが、ゲーム機用のコントローラや所定の機器の操縦ハンドルでもよい。
【0043】
作業台Yは、天板と、天板を支持する脚を備える台であれば特に限定はされないが、具体例として勉強机や仕事用のデスク、ダイニングテーブルなどが想定される。また、支持台本体1は作業台Yの天板の下に隠れる状態で使用されるため、使用者にはブラインドタッチ(タッチタイピング)が要求される。これに対応するため、作業台Yの天板の一部がガラスなどで透明になっており、入力装置支持台Xを天板の上からでも視認可能とする構成が好ましい。
【0044】
支持台本体1は、パソコン用入力装置4を支持する板状の部材であり、第一嵌め込み部11と、第二嵌め込み部12と、載置部13と、を有する。また、支持台本体1の上下方向は、支持台本体1が傾いてもパソコン用入力装置4が落下しない程度の厚みがあればよいが、パソコン用入力装置4以上の厚みを有してもよい。
【0045】
パソコン用入力装置4は、キーボード41、又はトラックパッド42、又はトラックボールマウス43等の種々の入力装置が想定され、支持台本体1は、これらのうち少なくとも二つを同時に支持する。但し、支持する装置がトラックボール付キーボードなど、文字入力とポインタ操作の両方が可能である場合は、支持台本体1はその一つのみを支持可能であればよい。
【0046】
第一嵌め込み部11は、入力装置であるキーボード41が傾斜しても落下しないように保持する入力保持部の一つである。支持台本体1の後寄りに位置し、キーボード41を上方向から嵌め込む略直方体の嵌め込み穴であり、キーボード41の縁を全方向で囲む構成であっても、適切な範囲、特に後側の一部だけ切り欠き112を設ける構成であってもよい。このような構成によって、キーボード41の縁部分に電池カバーがある場合、第一嵌め込み部11に嵌め込んだ状態で電池交換が可能になる。また、キーボード41がパソコン本体と有線接続する場合、切り欠き112から配線を逃がすことができる。
【0047】
第一嵌め込み部11の深さは、支持台本体1の上下方向の厚さより小さければ特に限定されないが、キーボード41のキーの上面と支持台本体1の上面が略同じ高さとなる構成が好ましい。このような構成によって、使用者が手首を曲げることなく快適に入力作業を行うことができる。
【0048】
第一嵌め込み部11の深さは、支持台本体1の上下方向の厚さよりも小さい構成であるが、その角部に沿う位置又は中央部に、支持台本体1を上下方向に貫通する第一押出孔111を有する構成が好ましい。また、使用者が指を入れやすい形状及び大きさであることが好ましい。このような構成によって、使用者が第一押出孔111に指を入れ、キーボード41を支持台本体1から容易に取り外すことができる。また、第一押出孔111の具体的な断面形状は、正方形、長方形、円形、楕円形などが想定されるが、特に限定されない。
【0049】
第二嵌め込み部12は、入力装置であるトラックパッド42が傾斜しても落下しないように保持する入力保持部の一つである。第一嵌め込み部11よりも前側に位置し、トラックパッド42を上方向から嵌め込む略直方体の嵌め込み穴であり、トラックパッド42を落下しないように支持する。また、一面を第一嵌め込み部11と共有し、トラックパッド42の縁の一部がキーボード41の縁に当接する構成としてもよい。好ましくは、第二嵌め込み部12が中心軸A寄りで、左右方向の偏りがない位置にある構成である。このような構成によって、使用者は左右の手を選ぶことなくトラックパッド42を使用することができる。好ましくは、第二嵌め込み部12の深さがトラックパッド42の厚さよりも深く、支持台本体1とトラックパッド42の間に若干の段差が形成される。このような構成によって、使用者の指が引っ掛からず、尚且つタイピング入力中に使用者の親指の付け根がトラックパッドに触れて誤動作することを防ぎ、快適に入力作業を行うことができる。
【0050】
第二嵌め込み部12の深さは、支持台本体1の厚さよりも小さい構成であるが、その辺に沿う位置または中央に、支持台本体1を上下方向に貫通する第二押出孔121を有する構成が好ましい。また、使用者が指を入れやすい形状および大きさである構成が好ましい。このような構成によって、使用者が第二押出孔121に指を入れ、トラックパッド42を支持台本体1から容易に取り外すことができる。また、第二押出孔121の断面形状は、正方形、長方形、円形、楕円形などが想定されるが、特に限定されない。
【0051】
第二嵌め込み部12は、トラックボールマウス43を嵌め込む穴としてもよい。トラックボールマウス43は、多様な形状のものが存在するため、第二嵌め込み部12の断面形状は、キノコ型など特定の形状でも、汎用性を確保した円形又は楕円形、又は卵形などでもよい。また、この場合の第二嵌め込み部12は、支持台本体1の中心軸Aからオフセットされた位置に設けられる構成が好ましい。このような構成によって、使用者の利き手に合わせた位置にトラックボールを配置することができる。図6では、第二嵌め込み部12が右寄りにオフセットされているが、左利き用として左寄りにオフセットされていてもよい。また、第二嵌め込み部12のオフセットに合わせて、第一嵌め込み部11が第二嵌め込み部12と反対側にオフセットされる構成が好ましい。このような構成によって、支持台本体1の左右の重量をできるだけ均等に保ち、支持アーム2や使用者への負荷の偏りを低減することができる。
【0052】
載置部13は、支持台本体1の第一嵌め込み部11よりも前側に位置する部分であり、入力装置支持台Xの使用時に使用者が手首を載せる。このような構成によって、使用者の手首を適切な高さで支持し、使用者が入力作業を行う際の手首の負担を軽減することができる。好ましくは、載置部13が第二嵌め込み部12の左右に計2か所配される構成である。このような構成によって、使用者は両手首を左右の載置部13にそれぞれ載せ、手首を中心に最低限の手の動作でキーボード41とトラックパッド42(又はトラックボールマウス43)との操作を切替えることができる。
【0053】
載置部13は、使用者の手首の骨(舟状骨など)の形状に合わせた凹部131を有する。このような構成によって、触覚でキーボードの位置を把握しやすくし、手首の骨(舟状骨など)が張り出す部分が載置部13に当たる際の負担を軽減することができる。
【0054】
支持アーム2は、支持台本体1に直接接続される近位アーム21と、作業台Y側に接続される遠位アーム22と、作業台Yに固定接続が可能な作業台取付部23と、を有する。以下、支持台本体1に近い方を近位側、支持台本体1から遠い方を遠位側と呼称する。
【0055】
回動部材3は、支持台本体1と近位アーム21とを接続する近位側回動部材31と、近位アーム21と遠位アーム22との間に設けられる中間回動部材32と、遠位アーム22と作業台取付部23とを接続する遠位側回動部材33と、を有する。
【0056】
一例として、近位アーム21と、遠位アーム22は、略長方形の断面を有する柱状の部材で、支持台本体1の上下方向の厚さと略同一の厚さ、支持台本体1の前後方向の長さよりも短い長さで構成される。特に、支持アーム2の前後方向の長さについては、回動部材3に加わるモーメントを小さく抑えるためになるべく短くすることが好ましいが、少なくとも使用者の前腕の太さ以上として、使用者が天板と支持台本体の間に両手を差し込めるような適切な長さにする。
【0057】
別の例として、支持アーム2の長さは、近位アーム21の長さと遠位アーム22の長さとの合計に該当し、50~800mmであり、好ましくは100~500mm、より好ましくは200~400mmである。上記長さが50mmより短いと、作業台Yの下に支持台本体1を設置した場合に作業台Yと支持台本体1との間のクリアランスが狭くなって作業者が手を入れにくくなり、また支持台本体1の可動範囲が狭くなって作業に適した範囲に支持台本体1を設置しにくくなるおそれがある。上記長さが800mmより長いと、支持アーム自体が邪魔となって支持台本体1の操作性が低下すること、収納時に作業台Yの天板裏面の突起物(梁等)に支持アームが干渉して取り付けにくくなること、支持台本体1の操作に必要なトルクが大きくなりすぎること、のいずれか又は二つ以上が懸念される。
【0058】
作業台取付部23は、遠位アーム22と接続され、作業台Yに固定接続を可能とする部位である。実施形態では略直方体又は平板状の部材であり、支持台本体1の上下方向の厚さと略同一又はそれ以下の厚さで構成される。また、前後方向の長さは支持台本体1の前後方向の長さよりも短い長さである構成が好ましい。
【0059】
図1に示すように、支持アーム2は、支持台本体1に近い方から、近位アーム21、遠位アーム22、作業台取付部23の順に左右方向に広がり、間隔を空けて並ぶように接続される。このような構成によって、上下方向の占有空間を抑えて入力装置支持台Xを収納することができる。
【0060】
作業台取付部23は、ねじ穴又は錐穴231が設けられ、作業台Yにボルト等で固定される。このような構成によって、作業台Yへの固定及び取り外しを容易に行うことができ、入力装置支持台Xを流通しやすくできる。
【0061】
近位側回動部材31は、支持台本体1の左右側の面と近位アーム21とを回動可能に接続する軸関節である。周知のステー付ヒンジなどを用いてねじ止めで接続することが想定され、好ましくは、支持台本体1と近位アーム21とのなす角を一定に保持するトルクヒンジを用いる構成である。このような構成によって、使用者は回動の操作だけで容易に支持台本体1の位置及び角度を決定することができる。
【0062】
中間回動部材32は、近位アーム21と遠位アーム22とを回動可能に接続する接続部に含まれる回動機構であり、近位アーム21と遠位アーム22とを軸関節で直接接続する構成が最も好ましい。また、近位アーム21と遠位アーム22とのなす角を一定に保持するトルクヒンジを用いる構成が好ましい。
【0063】
遠位側回動部材33は、遠位アーム22と作業台取付部23とを回動可能に接続する軸関節である。近位側回動部材31と同様に、周知のステー付ヒンジなどを用いることが想定され、好ましくは、遠位アーム22と作業台取付部23とのなす角を一定に保持するトルクヒンジを用いる構成である。
【0064】
トルクヒンジとした場合の設定トルクは、0.4~6.0N・m/個であり、好ましくは1.0~5.0N・m/個であり、より好ましくは2.0~4.0N・m/個である。上記トルクが0.4N・m/個より小さいと、支持台本体1自体の重量、入力装置4の重量及び作業者の手から加わる荷重を受ける支持台本体1の保持力が弱くなり、作業中に支持台本体1が容易に動いてしまい作業性が低下するおそれがある。上記トルクが6.0N・m/個より大きいと、作業台Yが木製の場合に操作により繰り返し負荷がかかることで作業台取付部23のネジ等の抜けや作業台Yの破損が発生しやすいこと、支持アーム2の剛性を増す必要があること、支持台本体1の位置を変更(使用時、収納時)する際に多大な力を加える必要があり操作性が低下すること、のいずれか又は二つ以上が懸念される。
【0065】
近位側回動部材31と支持台本体1との接続位置は、図1に示すように、第一嵌め込み部11よりも前側であり、好ましくは、載置部13が2か所の該接続位置を結ぶ直線上にある構成である。さらに、凹部131は、該直線よりも前側にある構成である。このような構成によって、使用者の手首から加わる荷重を適切に受け止め、近位側回動部材31に加わるモーメントを小さくして支持台本体1の位置を安定させることができるほか、手首からの荷重とパソコン用入力装置4の重量と、で支持台本体1のバランスを取りながら使用することができる。また、実施形態において該接続位置は、支持台本体1の左右側面(載置部13に隣接する位置)に設けられているが、平面視で使用者が手首を載せる位置の直線上にあれば、支持台本体1のどの面に設けられていてもよい。
【0066】
図3に示すように、支持アーム2を折りたたむとき、中間回動部材32は、近位側回動部材31及び遠位側回動部材33よりも後側に位置する構成が好ましい。このような構成によって、図4に示すように、近位アーム21と遠位アーム22は、中間回動部材32が後側に向かって開く動作をするため、使用者の手に支持アーム2が干渉しにくくなる。
【0067】
回動部材3の回動範囲は、支持台本体1の後側が下がるように傾斜する範囲を含む。このような構成によって、使用者が腕を下げた状態でも入力作業を行うことができ、使用者の手首、腕、肩への負担を和らげることができる。
【0068】
支持アーム2及び回動部材3は、少なくとも1組あればよいが、支持台本体1の左右両側に計2組ある構成が好ましい。このような構成によって、支持台本体1の左右への傾きを抑え、使用者の手首から加わる荷重を適切に受け止めることができる。
【0069】
入力装置支持台Xは、以下の構成を有してもよい。但し、以下に示す構成はあくまで一例であり、それぞれの有無は独立かつ任意に選択できる。
【0070】
図9に示すように、作業台取付部23として、作業台Yの天板の端部の上面及び/又は側面に引っ掛けるフック部を利用してもよい。このような構成によって、入力装置支持台Xを持ち運び、職場やカフェなど持ち運び先のデスク、テーブルにも取付けて使用することができる。また、取付具が天板と当接する当接面にはゴムシートなどの滑り止めを設ける構成が好ましい。また、フックは前述した棒状の作業台取付部23と接続して設けられていてもよく、フックとネジ止め用のボス部が一体に設けられてもよい。また、遠位アーム22は、ステンレスなどの金属製としてもよい。このような構成によって、フックに加わる鉛直下向きの荷重が大きくなり、滑り止めと併せてより安定的に天板に引っ掛けることができる。なお、フック部としては、クランプや吸盤、シール材等の作業台と当接して固定できる当接面を有していれば何を利用してもよい。
【0071】
支持台本体1及び支持アーム2は、角になる部分に角丸め又は面取りを施してもよい。このような構成によって、入力装置支持台Xの角で使用者の手を傷つける可能性を低減し、より安全に入力作業を行うことができる。
【0072】
第一嵌め込み部11及び第二嵌め込み部12は、嵌め込まれるパソコン用入力装置4に合わせたスペーサを有してもよい。このような構成によって、形状や寸法が異なるパソコン用入力装置4を、支持台本体1で位置ずれせずに支持することができる。
【0073】
回動部材3は、それぞれの回動範囲を限定し、ある所定の角度で回動を止める案内部を有する構成としてもよい。案内部の構成は、爪が溝に引っ掛かる構成や、突起とステー(又は突起同士)が当接する構成などが想定されるが、特に限定されない。このような構成によって、使用者が回動部材3の角度を意図的に調整することなく、容易に支持台本体1の位置及び角度を同一に決定することができる。
【0074】
近位側回動部材31と、中間回動部材32と、遠位側回動部材33と、がトルクヒンジである場合、それぞれが回動を開始するトルクの閾値は、全て異なる構成としてもよい。好ましくは、中間回動部材32のトルクの閾値が最も大きくなる構成である。このような構成によって、使用者の手首から加わる荷重によるモーメントを適切に受け、支持台本体1をより安定させることができる。但し、形態によっては、各閾値の大きさの順番は異なってもよい。
【0075】
作業台取付部23を作業台Yの天板の下面に取付けるとき、図5に示すように、支持アーム2を一直線に伸ばし、支持台本体1が最も前側に出る状態において、支持台本体1の後側の面が作業台Yの天板の縁と略同じ位置となるように取付けることも、同様の状態で遠位アーム22が作業台Yの天板の真下の空間に全て収まるような位置になるように取付けることもできる。特に、支持台本体1の可動域の半分以上を作業台Yの天板の真下の空間に収めた状態では、支持台本体1を作業台Yの下で扱い、使用者が作業台Yに近づいて入力作業を行いつつ、作業台Yの天板上で筆記作業を行うことが容易にできる。
【0076】
遠位側回動部材33は、図7に示すように、ステー部分が平行である蝶番関節とし、遠位アーム22と作業台取付部23とが上下に折り重なる構成としてもよい。このような構成によって、支持台本体1で支持するキーボード41がキーの高い厚型である場合、又は第二嵌め込み部12にトラックボールマウス43を嵌め込む場合に、支持アーム2を折りたたんだ状態でも作業台取付部23の厚みを活かして、作業台Yとの干渉を避けることができる。
【0077】
載置部13を含む、支持台本体1における第一嵌め込み部11よりも前側の部分は、上面が前側に向かって下がるような傾斜をつけ、上下方向の厚さが小さくなる構成であってもよい。このような構成によって、使用者の腕が支持台本体1の前側の縁に当たらず、負担を和らげることができる。
【0078】
回動部材3は、軸関節の代わりにユニバーサルジョイント(自在継手)を用いてもよい。このような構成によって、支持台本体1の可動域を広げることができるほか、支持台本体1を左右方向にずらして収納でき、作業台Yに取付ける位置の自由度を高めることができる。
【0079】
作業台取付部23は、椅子の肘掛又は背もたれ、又は座面の裏側に取付可能な取付具を有してもよい。この取付具は、前述のねじ止めを流用してもよいが、クランプなどで取付けられる構成としてもよい。
【0080】
支持台本体1は、使用者がパソコン用入力装置4の電源スイッチを操作可能な穴部を有する。この穴部は、前述の第一押出孔111、切り欠き112、第二押出孔121をそのまま用いてもよいが、別に設けてもよい。このような構成によって、パソコン用入力装置4がワイヤレスデバイスであっても、支持台本体1から取り外すことなく容易に電源スイッチを操作することができる。
【0081】
第一嵌め込み部11及び第二嵌め込み部12は、穴の底部にゴムシートや摩擦シートを貼り付ける構成としてもよい。このような構成によって、第一嵌め込み部11及び第二嵌め込み部12の断面がパソコン用入力装置4より大きい場合でも位置ずれを抑え、使用者が快適に入力作業を行うことができる。
また、入力保持部として、嵌め込み部の近傍に嵌め込み部に向かって付勢されるばねが付設されていてもよく、これにより支持台本体1が傾斜しても強力に保持される。なお、入力保持部としては、支持台本体1上の重力方向下側で入力装置41を係止する突起や、入力装置41を吊って保持する吊るし紐等を用いても良い。
【0082】
図1~7に示す形態では、近位アーム21と遠位アーム22は長さが等しいが、異なってもよい。近位アーム21が長く遠位アーム22が短い場合、中間回動部材32の動作範囲が小さく、入力装置支持台Xの動作による上下方向の占有空間を抑えることができる。一方、近位アーム21が短く遠位アーム22が長い場合、作業台取付部23を前側に設定することができ、回動部材3の状態を認識しやすくなる。
【0083】
回動部材3の案内部の例を図8に示す。ここでは中間回動部材32で説明をするが、近位側回動部材31、及び遠位側回動部材33においても同様の構成とすることが好ましい。中間回動部材32は、遠位アーム22に取付ける第一ステー321と、近位アーム21に取付ける第二ステー322と、回動を止めるストッパー323と、ストッパー323と第二ステー322とが当接する当接部324と、を有する。
【0084】
第一ステー321、及び第二ステー322は、それぞれねじ止め用の穴を有する略長方形の平板状の部材で、軸関節を介して互いの角度を変更可能に接続される。また、本発明の実施形態においては、平板形状の厚さ方向で直交する構成が好ましい。ストッパー323は、第一ステー321と所定の角度をつけて固定接続される。これにより第二ステー322がストッパー323に対して回動する。
【0085】
ストッパー323は、第一ステー321に固定接続されるL字型の部材であり、第二ステー322が第一ステー321に対して回動する可動域に張り出す構成である。また、当接部324は、ストッパー323と第二ステー322とが当接する領域でありストッパー323と第二ステー322とが当接すると、それ以上の回動ができなくなる。このような構成によって、中間回動部材32が所定の角度で回動を止め、遠位アーム22と近位アーム21とのなす角を一定にして使用することができる。
【0086】
以下、図面を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0087】
使用者は、入力装置支持台Xを作業台Yに取付ける場合、天板下面の適切な位置に作業台取付部23をねじ止めで固定する。
【0088】
次に使用者は、支持台本体1を所望の位置に引き出すとき、支持台本体1の前側を掴んで下手前方向に引き出す。その後使用者は、支持台本体1の角度を定める。支持台本体1の前側を掴んで回動させるだけで、トルクヒンジによって回動が止まり、使用者の意図した角度に決定される。
【0089】
使用者は、支持台本体1を収納するとき、支持台本体1の前側を掴んで、若しくは支持台本体1の下面に手を当てて、上奥側に押し上げ、支持台本体1を収納する。
【0090】
使用者は、パソコン用入力装置4を第一嵌め込み部11、及び第二嵌め込み部12に嵌め込んで使用する。キーボード41とトラックパッド42とを使用する場合、キーボード41を第一嵌め込み部11に嵌め込み、第二嵌め込み部12にトラックパッド42を嵌め込む。
【0091】
使用者は、パソコン用入力装置4を支持台本体1から取り外すとき、第一押出孔111及び第二押出孔121に指を入れ、パソコン用入力装置4を押し上げながら取り外す。これによって使用者は、パソコン用入力装置4の交換等を容易に行うことができる。
【0092】
使用者は、入力装置支持台Xを作業台に固定せず、独立した状態で使用するとき、図1に示すように、支持アーム2を折りたたんだ状態で使用する。入力装置支持台Xは、使用者の必要に応じて任意の場所に置いて使用しても、使用者が座った時の膝の上に載せて使用してもよい。
【0093】
使用者は、載置部13を利用して、光学式マウスを使用してもよい。この場合は、載置部13にマウスパッドを貼り付ける、カーソル変位量の拡大率が大きいマウスを使用する、等の工夫をすることが好ましい。
【0094】
使用者は、入力装置支持台Xの収納をすることができ、作業台Yの上に入力装置4を載置したときと目線やモニターとの距離を同様に保てるようになるため、作業時の快適性を高めることができる。
【0095】
以下、本発明の第二の実施形態に係る入力装置支持台について説明する。第一の実施形態と同様の構成は同じ符号を用いて説明を省略する。また、前後、左右、上下の方向は第一の実施形態の説明で用いた図2の方向を準用する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
【0096】
≪第二の実施形態≫
本実施形態では、図10に示すように、支持アーム2は、近位アーム21と、遠位アーム22と、作業台取付部23と、中間アーム24と、を含む。
【0097】
中間アーム24は、近位アーム21及び遠位アーム22と同様に略長方形断面の柱状の部材であり、その両端において、中間回動部材32を介して近位アーム21と遠位アーム22にそれぞれ回動可能に接続される。
【0098】
支持アーム2を折りたたんだ状態において、近位アーム21と中間アーム24とを接続する中間回動部材32が後寄りに配される構成が好ましい。このような構成によって、使用者の手に支持アーム2が干渉しにくくなる。
【0099】
以下、本発明の第三の実施形態に係る入力装置支持台について説明する。第一、第二の実施形態と同様の構成は同じ符号を用いて説明を省略する。また、前後、左右、上下の方向は第一の実施形態の説明で用いた図2の方向を準用する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
【0100】
≪第三の実施形態≫
本実施形態では、図11に示すように、支持アーム2は、近位アーム21と、遠位アーム22と、後方近位アーム25と、後方遠位アーム26と、を含む。また、本形態の入力装置支持台Xは、近位アーム21と遠位アーム22の組と、後方近位アーム25と後方遠位アーム26の組と、をそれぞれ2組ずつ備え、支持台本体1を4点吊りで支持する構成である。
【0101】
回動部材3は、近位側回動部材31と、中間回動部材32と、遠位側回動部材33と、後方近位側回動部材34と、後方中間回動部材35と、後方遠位側回動部材36と、を含み、各アームをそれぞれ回動可能に接続する。
【0102】
後方近位アーム25及び後方遠位アーム26は、近位アーム21及び遠位アーム22よりも後側に設けられ、近位アーム21及び遠位アーム22と同様、略長方形断面の柱状の部材であり、後方近位アーム25は支持台本体1と後方近位側回動部材34を介して回動可能に接続され、後方遠位アーム26は作業台取付部23と後方遠位側回動部材36を介して回動可能に接続され、後方近位アーム25と後方遠位アーム26は後方中間回動部材35を介して回動可能に接続される。
【0103】
また、後方近位アーム25の長さと、後方遠位アーム26の長さとの合計は、近位アーム21の長さと遠位アーム22の長さとの合計よりも長い構成が好ましい。このような構成によって、使用者が支持台本体1の後側を下げるように傾斜させる操作を容易に行うことができる。
【0104】
後方近位側回動部材34は、支持台本体1の左右側の面と後方近位アーム25とを回動可能に接続する軸関節である。周知のステー付ヒンジなどを用いてねじ止めで接続することが想定される。好ましくは、支持台本体1と後方近位アーム25とのなす角を一定に保持するトルクヒンジを用いる構成である。このような構成によって、使用者は回動の操作だけで容易に支持台本体1の位置及び角度を決定することができる。
【0105】
後方中間回動部材35は、後方近位アーム25と後方遠位アーム26とを回動可能に接続する接続部に含まれる回動機構であり、後方近位アーム25と後方遠位アーム26とを軸関節で直接接続する構成が最も好ましい。また、後方近位アーム25と後方遠位アーム26とのなす角を一定に保持するトルクヒンジを用いる構成が好ましい。
【0106】
後方遠位側回動部材36は、後方遠位アーム26と作業台取付部23とを回動可能に接続する軸関節である。後方近位側回動部材34と同様に、周知のステー付ヒンジなどを用いることが想定され、好ましくは、後方遠位アーム26と作業台取付部23とのなす角を一定に保持するトルクヒンジを用いる構成である。
【0107】
支持アーム2を折りたたんだ状態において、後方中間回動部材35は、後方近位側回動部材34及び後方遠位側回動部材36よりも後側に位置する構成が好ましい。このような構成によって、近位アーム21と遠位アーム22の動作に後方近位アーム25と後方遠位アーム26が干渉せず、使用者が支持台本体1を容易に引き出し、又は収納させることができる。
【0108】
《第四の実施形態》
本実施形態では、図12に示すように、支持アーム2である近位アーム21と、遠位アーム22とが、蛇腹状のパイプである蛇腹回動部材37によって接続されている。蛇腹回動部材37は、遠位アーム22に対する近位アーム21の位置を変更可能な中間回動部材32の変更例として機能する。
図12においては1本の支持アーム2が表されているが、支持アーム2は左右方向に相対してもう一本設けられており、さらに複数本の支持アーム2によって接続されていてもよい。
【0109】
近位アーム21は、柱状のアームであって、先端が支持台本体1に貫入して支持台本体1を支持している。好ましくは、内周部と内周部に対して回転自在な外周部を有しており、外周部の先端がねじ切りされていることで螺設されていてもよい。
【0110】
遠位アーム22は、近位アーム21と略同一形状の柱状のアームであって、先端が作業台Yに貫入して、貫入した部位が作業台取付部23として機能する。取り付けの方法はこれに限られず、作業台取付部23は、作業台Yと当接する面と、アームが貫入するカップとを有する取付金具等であってもよい。
【0111】
蛇腹回動部材37は、任意の位置で回転自在の蛇腹構造のパイプ部材である。好ましくは金属部材であり、曲げた角度をそのまま保持可能な性質により、傾斜角度を保持可能な傾斜保持機構を有する。
【0112】
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態に係る使用方法について、上述した内容と相違する部分を説明し、同等の部分の説明、図示、及び付番を略する。
【0113】
図13は、起立用の作業台Yに対する作業者Pの作業体勢を示す。図13に示すように、作業者Pとは反対側に相当する作業台Yの奥側には、出力装置としてディスプレイRが設置されている。作業台Yに対して図示しない支持アームで支持された支持台本体1は、図示しない入力装置4を支持している。入力装置4は、作業台Yの下に配置されており、支持アーム及び/又は支持台本体1で作業者Pと反対側に傾けてある。入力装置4の表側の角度d1は、鉛直方向に相当する0°より大きく水平方向に相当する90°まで任意に調整可能であり、無段階調整でもよいが、5°毎や10°毎のように段階式に調整可能であってもよい。
【0114】
作業者Pは、入力装置4の表側の角度d1を少なくとも作業者Pの手Phの角度d2と略同一にする。作業者Pは、前腕Pfの角度を手Phの角度d2と略同一にして手Phから肘Pjまで真っ直ぐにして肘Pjを曲げているが、肘Pjを曲げずに二の腕Psまで真っ直ぐにしてもよく、手首を曲げて手Phと前腕Pfとをくの字状にしてもよい。
【0115】
作業者Pは、支持台本体1のうち入力装置4と作業者Pとの間に位置する載置部13に手Phを載せる。作業者Pは、作業台Yの下を目視しない状態で手探りして触れた載置部13に基づいて入力装置4の位置を認識する。
【0116】
図14及び図15は、着座用の作業台Yに対する作業者Pの作業体勢を示す。図14図15とは、床を基準とした作業者Pの肩Pkの高さが共通するものの、作業者Pの肩Pkの位置に対する相対的な手Phの位置が異なることにより、入力装置4の傾きも相違している。図14図13とは、床を基準とした作業者Pの肩Pkの高さが相違するものの、作業者Pの肩Pkの位置に対する相対的な手Phの位置が共通することにより、入力装置の傾きが共通している。すなわち、作業者Pは、入力装置4の傾きの緩急を作業中の作業者の肩の位置に対する相対的な手の位置に応じて調整し、支持アームが作業台Yに対して可動自在である場合に入力装置4を支持アームで作業者Pの手Phが届く範囲内に移動する。
【0117】
なお、図14に示すように、支持台本体1が破線で示す作業者Pの脚と干渉する場合、作業者Pは脚を拡げ、その間に支持台本体1を配置してもよい。
【0118】
したがって、作業者Pは意に反して作業体勢を入力装置4の位置あるいは傾きに合わせることなく、作業者Pが求める作業体勢として、例えば腕を垂らし、手首を起こさず、かつ首から背中に渡って真っ直ぐな状態で入力装置4を操作でき、手Phの傾きに入力装置4の傾きを調整でき、入力装置4に手Phを載せる余剰スペースがなくても作業者Pが作業中に感じる手や腕の自重を軽減でき、入力装置4の位置が作業台Yの下かつ奥側であっても支障なく、着座状態であっても起立状態であっても対応でき、同一の作業者が求める作業体勢のみならず、身長や腕の長さが異なる複数の作業者がそれぞれ求める作業体勢も柔軟に実現しやすい。
【符号の説明】
【0119】
X 入力装置支持台
Y 作業台
1 支持台本体
11 第一嵌め込み部
111 第一押出孔
112 切り欠き
12 第二嵌め込み部
121 第二押出孔
13 載置部
131 凹部
2 支持アーム
21 近位アーム
22 遠位アーム
23 作業台取付部
231 ねじ穴又は錐穴
24 中間アーム
25 後方近位アーム
26 後方遠位アーム
3 回動部材
31 近位側回動部材
32 中間回動部材
321 第一ステー
322 第二ステー
323 ストッパー
324 当接部
33 遠位側回動部材
34 後方近位側回動部材
35 後方中間回動部材
36 後方遠位側回動部材
4 パソコン用入力装置
41 キーボード
42 トラックパッド
43 トラックボールマウス
A 中心軸
P 作業者
Ph 手
Pf 前腕
Pj 肘
Ps 二の腕
Pk 肩
R 出力装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15