(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109068
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】ラチェットハンドル装置付き外科手術用摘出器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/92 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A61B17/92
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007687
(22)【出願日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】18/161,943
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519070932
【氏名又は名称】シュクラ・メディカル
【氏名又は名称原語表記】SHUKLA MEDICAL
【住所又は居所原語表記】8300 SHEEN DRIVE, ST. PETERSBURG, FL 33709, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】スワイツァー ザッカリー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ゴシック-ウルフ アダム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL42
(57)【要約】
【課題】外科手術において、ねじを体内から摘出する場合に、ねじを取り外すための時間の増加を抑制し、患者が手術室に滞在する総時間の増加を抑制することのできる外科手術用摘出器を提供する。
【解決手段】外科手術用摘出器100は、近位端101及び遠位端103を有する摘出装置100Aと、締結具142と噛み合うように構成され、摘出装置100Aの遠位端103に設けられた第1ジョー116及び第2ジョー138と、摘出装置100Aの近位端101から延出するラチェットハンドル装置100Bと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端及び遠位端を有する摘出装置と、
締結具と噛み合うように構成され、前記摘出装置の前記遠位端に設けられた第1ジョー及び第2ジョーと、
前記摘出装置の前記近位端から延出するラチェットハンドル装置と、を備える外科手術用摘出器。
【請求項2】
前記摘出装置は、
近位端及び遠位端を有する第1アームであって、前記第1アームの前記近位端には前記ラチェットハンドル装置と操作可能に係合するクイックコネクトが設けられ、前記第1アームの前記遠位端は前記第1ジョーに取り付けられるように構成された第1アームと、
第2アームと、
前記第1アームと前記第2アームに回転可能に取り付けられたリンクであって、前記リンクは前記第2ジョーに取り付けられるように構成された遠位端を有するリンクと、を備える、請求項1に記載の外科手術用摘出器。
【請求項3】
前記摘出装置は、近位端及び遠位端を有する第1アームであって、前記第1アームの前記近位端には前記ラチェットハンドル装置と操作可能に係合するクイックコネクトが設けられ、前記第1アームの前記遠位端は前記第1ジョーに取り付けられるように構成された第1アームを備え、
前記ラチェットハンドル装置は、
ラチェットアセンブリと、
スプラインを有するハンドルシャフトであって、前記ラチェットアセンブリから近位方向に延びるハンドルシャフトと、
前記第1アームの前記クイックコネクトを係合するためのクイックコネクト継手と、を備える、請求項1に記載の外科手術用摘出器。
【請求項4】
前記ハンドルシャフトは、前記ラチェットアセンブリに対して回転するように操作可能である、請求項3に記載の外科手術用摘出器。
【請求項5】
前記ハンドルシャフトは、ハンドルシャフトスプラインを備え、
前記ラチェットアセンブリは、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハンドルシャフトスプラインに対して第1方向から係合し、前記ハンドルシャフトの第1回転方向の回転を制限するように構成された第1爪と、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハンドルシャフトスプラインと係合するように前記第1爪を付勢する第1付勢部材と、を備える、請求項3に記載の外科手術用摘出器。
【請求項6】
前記ラチェットアセンブリは、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハンドルシャフトスプラインに対して第2方向から係合し、前記ハンドルシャフトの前記第1回転方向と反対の第2回転方向の回転を制限するように構成された第2爪と、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハンドルシャフトスプラインと係合するように前記第2爪を付勢する第2付勢部材と、を更に備える、請求項5に記載の外科手術用摘出器。
【請求項7】
前記ラチェットアセンブリは、前記第1爪及び前記第2爪を前記ハンドルシャフトスプラインから選択的に離脱させて、前記第1回転方向又は前記第2回転方向に前記ハンドルシャフトを回転可能にするアクチュエータを更に備える、請求項6に記載の外科手術用摘出器。
【請求項8】
前記ハウジングは対向する平坦面を有し、前記第1アームの前記クイックコネクトは、前記ハウジングの前記対向する平坦面と一致して係合し、前記ハウジングと前記第1アームとの間の相対回転を防止するように構成された反対向きの平坦面を有する、請求項5に記載の外科手術用摘出器。
【請求項9】
前記ハンドルシャフトは、その近位端にグリップを有する、請求項3に記載の外科手術用摘出器。
【請求項10】
前記グリップは、前記ハンドルシャフトに対し横方向に延びる、請求項9に記載の外科手術用摘出器。
【請求項11】
前記第1ジョー及び前記第2ジョーはそれぞれ長手方向に延びる複数の隆起部を有する、請求項1に記載の外科手術用摘出器。
【請求項12】
前記第1ジョー及び前記第2ジョーは、それぞれ前記長手方向に延びる複数の隆起部に対して横方向に延びる複数の隆起部を更に有する、請求項11に記載の外科手術用摘出器。
【請求項13】
患者から医療用締結具を摘出する操作が可能な摘出装置に取り付け可能なラチェットハンドル装置であって、
ラチェットアセンブリと、
スプラインを備えるハンドルシャフトであって、前記ハンドルシャフトは、前記ラチェットアセンブリから近位方向に延びるハンドルシャフトと、
前記ラチェットハンドル装置を前記摘出装置に取り付けるためのクイックコネクト継手と、を備える、ラチェットハンドル装置。
【請求項14】
前記ハンドルシャフトは、ハンドルシャフトスプラインを備え、
前記ラチェットアセンブリは、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハンドルシャフトスプラインに対して第1方向から係合し、前記ハンドルシャフトの第1回転方向の回転を制限するように構成された第1爪と、
前記第1爪を付勢して、前記ハンドルシャフトスプラインと係合させるよう前記ハウジング内に設けられた第1付勢部材と、を備える、請求項13に記載のラチェットハンドル装置。
【請求項15】
前記ラチェットアセンブリは、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハンドルシャフトスプラインに対して第2方向から係合し、前記ハンドルシャフトの前記第1回転方向と反対の第2回転方向の回転を制限するように構成された第2爪と、
前記第2爪を付勢して、前記ハンドルシャフトスプラインと係合させるよう前記ハウジング内に設けられた第2付勢部材と、を更に備える、請求項14に記載のラチェットハンドル装置。
【請求項16】
前記ラチェットアセンブリは、前記第1爪及び前記第2爪を前記ハンドルシャフトスプラインから選択的に離脱させて、前記第1回転方向又は前記第2回転方向に前記ハンドルシャフトを回転可能にするアクチュエータを更に備える、請求項15に記載のラチェットハンドル装置。
【請求項17】
前記ハンドルシャフトは、その近位端にグリップを有する、請求項13に記載のラチェットハンドル装置。
【請求項18】
前記グリップは、前記ハンドルシャフトから反対方向に延びる、請求項17に記載のラチェットハンドル装置。
【請求項19】
前記ハウジングは、前記ハウジングと摘出装置との間の相対回転を防止するように操作可能な対向する平坦面を有する、請求項14に記載のラチェットハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラチェットハンドル装置付き外科手術用摘出器に関する。
【背景技術】
【0002】
手術室において、骨ねじが折れていたり、ねじ穴がつぶれたりしていた場合、骨ねじを患者から摘出するのは困難且つ時間がかかる。多くの場合、ねじ周囲の骨をくり抜く必要があり、骨ねじを摘出するための二次ツールが使われる。例えば、露出したネジをペンチで掴み、ねじって摘出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような場合、ねじを掴む際に滑ってしまうことも多く、ねじを取り外すための時間の分だけ手術時間が延びてしまう。また、ねじを掴み、手首をひねってペンチを回転させてねじを回してねじを緩め、ねじを掴み直してさらに回転させるという繰り返し操作は術者を疲弊させる。これらはすべて、患者が手術室に滞在する総時間の増加の原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の例示的な実施形態によれば、近位端及び遠位端を有する摘出装置と、締結具と噛み合うように構成され、前記摘出装置の前記遠位端に設けられた第1ジョー及び第2ジョーと、前記摘出装置の前記近位端から延びるラチェットハンドル装置と、を備える外科手術用摘出器を提供することができる。
【0005】
一態様によれば、前記摘出装置は、第1アームと、第2アームと、前記第1アーム及び前記第2アームに回転可能に接続されたリンクと、を備える。別の態様によれば、前記第1アームは近位端と遠位端とを有し、その前記近位端には前記ラチェットハンドル装置と操作可能に係合するクイックコネクトが設けられ、前記第1アームの前記遠位端は、前記第1ジョーに取り付けられるように構成されている。別の態様によれば、前記リンクは前記第2ジョーに取り付けられるように構成された遠位端を有する。
【0006】
一態様によれば、前記摘出装置は、近位端及び遠位端を有する第1アームであって、前記近位端には前記ラチェットハンドル装置と操作可能に係合するクイックコネクトが設けられ、前記第1アームの前記遠位端は前記第1ジョーに取り付けられるように構成された第1アームを備え、前記ラチェットハンドル装置は、ラチェットアセンブリと、スプラインを有するハンドルシャフトと、前記第1アームの前記クイックコネクトを係合するためのクイックコネクト継手と、を備える。前記ハンドルシャフトは、前記ラチェットアセンブリから近位方向に延びる。別の態様によれば、前記ハンドルシャフトは、前記ラチェットアセンブリに対して回転するように操作可能である。
【0007】
一態様によれば、前記ハンドルシャフトは、ハンドルシャフトスプラインを備え、前記ラチェットアセンブリは、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記ハンドルシャフトスプラインに対して第1方向から係合し、前記ハンドルシャフトの第1回転方向の回転を制限するように構成された第1爪と、前記ハウジング内に設けられ、前記ハンドルシャフトスプラインと係合するよう前記第1爪を付勢する第1付勢部材と、を備える。別の態様によれば、前記ラチェットアセンブリは、前記ハウジング内に設けられ、前記第1方向とは反対の第2方向からハンドルシャフトスプライン係合し、前記ハンドルシャフトの前記第1回転方向とは反対の第2回転方向の回転を制限するように構成された第2爪と、前記ハウジング内に設けられ、前記ハンドルシャフトスプラインと係合するよう前記第2爪を付勢する第2付勢部材と、を更に備える。別の態様によれば、前記ラチェットアセンブリは、前記第1爪及び前記第2爪を前記ハンドルシャフトスプラインから選択的に離脱させて、前記第1回転方向又は前記第2回転方向に前記ハンドルシャフトを回転可能にするアクチュエータを更に備える。
【0008】
一態様によれば、前記ハウジングは、対向する平坦面を有し、前記第1アームの前記クイックコネクトは、前記ハウジングの前記対向する平坦面と一致して係合し、前記ハウジングと前記第1アームとの間の相対回転を防止するように構成された反対向きの平坦面を有する。
【0009】
一態様によれば、前記ハンドルシャフトは、その近位端にグリップを有する。別の態様によれば、前記グリップは、前記ハンドルシャフトに対し横方向に延びる。
【0010】
一態様によれば、前記第1ジョー及び前記第2ジョーはそれぞれ長手方向に延びる複数の隆起部を有する。別の態様によれば、前記第1ジョー及び前記第2ジョーはそれぞれ、前記長手方向に延びる複数の隆起部の横方向に延びる複数の隆起部を更に有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
上記の概要及び本開示の例示的実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとより良く理解されるであろう。本発明を説明するために、例示的な実施形態が図面に示されている。しかしながら、例示的な実施形態は、示された正確な構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【
図1】外科手術用ねじを掴んだ状態の本開示の例示的な実施形態による外科手術用摘出器の斜視図。
【
図4A】
図1の外科手術用摘出器の第2アームの側面図。
【
図5A】
図1の外科手術用摘出器の第1アームの正面斜視図。
【
図5E】第1アームに螺合されたねじ山付きロッドを含む
図5Aの第1アームの側面図。
【
図6A】
図1の外科手術用摘出器のアジャスタのねじ山付きロッドの斜視図。
【
図7A】
図1の外科手術用摘出器のアジャスタの回転可能ノブの側面図。
【
図8】
図1の外科手術用摘出器のレバーの左斜視図。
【
図9A】
図1の外科手術用摘出器のリンクの側面図。
【
図10】説明を明確にするために第1ジョー及び第2ジョーが省略された
図1の外科手術用摘出器の正面斜視図。
【
図11】
図1の外科手術用摘出器の第1ジョーの斜視図。
【
図12】
図1の外科手術用摘出器の第2ジョーの斜視図。
【
図13】ロック解除位置にある
図1の外科手術用摘出器のレバー、第2アーム及びロック機構の斜視図。
【
図14】ロック解除位置にある
図13のレバー、第2アーム及びロック機構の上面図。
【
図15】ロック位置にある
図13のレバー、第2アーム及びロック機構の上面図。
【
図16】
図1の外科手術用摘出器の解除レバー及び第2アームの斜視図。
【
図17A】
図1の外科手術用摘出器のクイックコネクトの側面図。
【
図18A】
図1の外科手術用摘出器のラチェットハウジングの側面図。
【
図20】
図17A~17Cのクイックコネクトの縮径部が篏合している
図18A~
図18Cのラチェットハウジングのクイックコネクト継手を示す、
図2の20-20線に沿った断面図。
【
図21】
図1の外科手術用摘出器のラチェット方向選択キャップの下側からの斜視図。
【
図22】
図1の外科手術用摘出器のラチェットハンドルシャフトの斜視図。
【
図23】ラチェット爪、ラチェット爪付勢部材、付勢ボール戻り止め、及びラチェットハンドルシャフト固定ピンを含む
図22のラチェットハンドルシャフトの斜視図。
【
図24】説明を明確にするためラチェット方向選択キャップ及びラチェットハンドルシャフトのグリップ部材が省略された組み付け後のラチェットハンドル装置の後端面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面に示された本開示の様々な例示的な実施形態について詳細に説明する。同一又は類似の特徴については、可能な限り、図面全体を通して同一又は類似の参照符号を使用する。図面は、簡略された形式であり、正確な縮尺で描かれていないことに留意されたい。以下の説明では、特定の用語が便宜上使用されているが、限定するものではない。上、下、左、右、上側、下側、対角などの方向を示す用語は、添付の図面に関して使用される。「遠位」とは、体の中心から離れていることを意味するものとする。「近位」は、体の中心に近い、及び/又は、「遠位」端から離れていることを意味するものとする。
【0013】
「内向き」及び「外向き」は、それぞれ、特定の部材及びその指定された部分の幾何学的中心に向かう方向及びそこから遠ざかる方向を示す。以下の図面の説明と併せて使用されるそのような方向を示す用語は、明示的に記載されていない場合であっても、本出願の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0014】
更に、本願明細書で使用される用語は「少なくとも1つ」を意味する。これらの用語には、上述した単語やその派生語、同様の意味を持つ単語が含まれる。
【0015】
本願明細書において、量、継続時間などの測定可能な値を示す場合に「約」が使用されている場合、記載された数値から±20%、±10%、±5%、±1%、±0.1%など、適切な範囲内での変動が許容されていることを意味する。
【0016】
本願明細書において、「概ね」とは、かなりの程度、記載されたものに完全に一致する訳ではないが大部分、又は、当該技術分野において許容される程度の差異を意味する。本願明細書において、「例示的」とは、例として示すことを意味する。
【0017】
本願の全体に亘って、その様々な態様を範囲形式で示すことができる。範囲形式での説明は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであって、本願開示の主題の範囲に対する変更不可な限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、可能性のある部分的な範囲やその範囲内の個々の数値を具体的に開示したものとみなされるべきである。例えば、1~6といった範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など、部分範囲を、また、1、2、2.7、3、4、5、5.3、6などのその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0018】
更に、本開示の例示的な実施形態に記載された特徴、効果、特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。関連技術における当業者であれば、本願明細書の説明に照らし合わせて、本開示の例示的な実施形態の特定の特徴又は効果の1つ以上がなくても実施可能であることが分かるであろう。また、本開示のすべての例示的な実施形態には無い特定の実施形態に追加の特徴及び効果が確認される場合もある。
【0019】
次に図面を参照すると、
図1~3には、本開示の例示的な実施形態に係る外科手術用摘出器100が示されている。外科手術用摘出器100は、近位端101及び遠位端103を有する摘出装置100Aと、一対のジョー116,138と、ラチェットハンドル装置100Bを備える。一対のジョー116,138は、締結具142と係合するように構成され、摘出装置100Aの遠位端103に設けられている。ラチェットハンドル装置100Bは、摘出装置100Aの近位端101から延出している。ラチェットハンドル装置100Bは摘出装置100Aに固定されていてもよいが、本開示の例示的な実施形態によれば、後述するように、ラチェットハンドル装置100Bは、摘出装置100Aに取り外し可能に取り付けることができる。
【0020】
摘出装置100Aは、近位端104及び遠位端106を有する第2アーム102と、ラチェットハンドル装置100Bに取り付けるための近位端110を有する第1アーム108と、を備える。具体的には、第1アーム108は、ラチェットハンドル装置100Bと操作可能に係合するための近位端110にクイックコネクト198を備える。第1アーム108は更に第1ジョー116に取り付けるための遠位端114と、アジャスタ120及びレバー122を含む調節機構118と、を備える。レバー122は、アジャスタ120と係合する近位端124と、ピボットピン128を介して第2アーム102に回転可能に接続された遠位端126と、を有する。摘出装置100Aは、リンク130を更に備える。リンク130は、ピボットピン132,134を介して第1アーム108及び第2アーム102に回転可能に取り付けられている。リンク130は、第2ジョー138に取り付けるための遠位端136を有する。
【0021】
第2アーム102の構成は
図4A及び4Bに最もよく示されている。第2アーム102は、直立側壁150,152によって画定されたチャンネルを有する細長いアームである。第2アーム102の中間部分では、直立側壁150,152に一対のノッチ146,148が設けられており、レバー122によって支持されたロック機構154(
図16及び17)と協働するように構成されている。直立側壁150,152は、位置合わせされた第1の一対の孔156,158を更に有し、ピボットピン128を受け、レバー122の遠位端126が第2アーム102に対し回転可能に取り付けられる。第2アーム102の遠位端106近辺には、孔162,164に対して位置合わせされた貫通孔160が、リンク130の下側分岐部166,168に設けられている(
図9A~9C)。貫通孔160がピボットピン134を受け、リンク130の下側分岐部166,168に対し、第2アーム102の遠位端106が回転可能に取り付けられる。
【0022】
更に、直立側壁150,152は、位置合わせされた第2の一対の孔170,172を有し、解放レバー180の遠位端178に設けられた貫通孔176を貫通するピボットピン174を受け(
図1~3)、解放レバー180(
図16)の遠位端178が第2アーム102に対し回転可能に取り付けられる。解放レバー180の機能は、
図16を参照して更に詳しく説明する。
【0023】
第1アーム108の構成は、
図5A~5Eに最もよく示されている。第1アーム108の遠位端114に隣接して貫通孔182が設けられている。リンク130の上側分岐部188,190には、孔184,186が(
図9A~9C)が設けられており、貫通孔182に対して位置合わせされている。貫通孔182は、ピボットピン132を受け、第1アーム108の遠位端114がリンク130の上側分岐部188,190に対し回転可能に取り付けられる。
【0024】
近位端110付近において、第1アーム108の本体は、ケージ192を有している(
図1~3,7A及び7Bも参照)。ケージ192は、内部空間194を有し、調節機構118のアジャスタ120の一部である回転可能ノブ196を収容する。ケージ192の遠位端に隣接して、雌ねじ付き貫通孔200が設けられている(
図3、5B、5D及び5E)。雌ねじ付き貫通孔200は、ケージ192及びロッド216を収容するように構成されたスロット202(
図5C~5E)と連通している。第1アーム108は、スロット202に隣接して、位置合わせされた孔208,210を有する一対の側壁204,206を有し(
図5B及び5C)、付勢部材144の第1端部を保持するピン212を受ける。
【0025】
図5Aに示すように、第1アーム108は、遠位端114の先端に、第1ジョー116に取り付けるためのスライド可能ロック214を有している。詳細については後述する。
【0026】
第1アーム108は、クイックコネクト198(
図3及び17A~17C)を近位端110付近に有している。クイックコネクト198は、対応するクイックコネクト継手などと取り外し可能に係合するように構成されている。対応するクイックコネクト継手には、ラチェットハンドル装置100Bによって支持される付勢ロック部材199(
図2,3及び20)が含まれる。
【0027】
図3は、第1アーム108の調節機構118を最もよく示している。調節機構118は、アジャスタ120とレバー122を備える。アジャスタ120は、回転可能ノブ196及びロッド216を備える。ロッド216は、回転可能ノブ196から延出し、回転可能ノブ196に対して移動可能となっている。ロッド216はねじ付きロッドであり(
図5E、6A及び6B)、
図5Eに示すように、雌ねじ付き貫通孔200において第1アーム108と螺合する。ロッド216は、少なくとも1つの平坦側面218、好ましくは、一対の対抗する平坦側面218A,218Bを有する。ロッド216は、ねじのない遠位ノーズ219を更に有する。ロッド216は、ロッド216の遠位ノーズ219がレバー122の近位端124に当接するために十分な長さを有している。
【0028】
回転可能ノブ196の構成は、
図7A及び7Bに最もよく示されており、概ね円筒形を有している。回転可能ノブ196を回転させる際にユーザの指のグリップを強化するために、回転可能ノブ196の外面には、例えば、スプラインやローレット加工などのテクスチャ加工が施されていることが好ましい。
図7Bに示すように、回転可能ノブ196は、その端部又は近位端面付近に孔220を有しており、平坦側面222がロッド216の平坦側面218と協働する。回転可能ノブ196の回転により、雌ねじ付き貫通孔200内のねじ付きのロッド216が回転し、それによって、回転可能ノブ196の回転方向に応じて、ロッド216が回転可能ノブ196から延出したり、回転可能ノブ196内へ引っ込んだりする。つまり、ロッドの長手方向に沿って移動する。
【0029】
より具体的には、回転可能ノブ196を第1方向に回転させると、ロッド216は回転可能ノブ196から延出する。そのようにすることで、ロッドの遠位ノーズ219がレバー122の近位端124を更に押す。逆に、回転可能ノブ196を第2方向に回転させると、ロッド216は回転可能ノブ196内に引っ込む。その際、レバー122の近位端124は、後述する付勢部材144の影響下にあるため、ロッド216の遠位ノーズ219と接触した状態のままとなる。
【0030】
レバー122の構成は、
図3及び8に最もよく示されている。
図8に示すように、レバー122は、その近位端124と遠位端126との間に、ピボットピン128を受ける第1貫通孔226を有し、レバー122の遠位端126を第2アーム102に回転可能に取り付けることができる(
図3)。レバー122は、ロック機構154を通す第2貫通孔228を更に有する(
図3及び13参照)。
【0031】
図9A~9Cは、リンク130の構成を最もよく示している。リンク130は、上側分岐部188,190と下側分岐部166,168とを有している。リンク130は、上側分岐部188,190と下側分岐部166,168との間に、一対の位置合わせされた貫通孔230,232を有している。貫通孔230,232は、付勢部材144の第2端部を保持するピン234を受ける(
図1~3)。リンク130の遠位端136には、第2ジョー138をリンク130に取り付けるための締結具256)が設けられている。同様に、第1アーム108の遠位端114には、第1ジョー116を第1アーム108に取り付けるための締結具254が設けられている。
【0032】
図9Bに示すように、リンク130は、第2ジョー138の雄蟻継ぎ252を受けるためのリンク孔259を有する。第1ジョー116は、第1ジョー116の雄蟻継ぎ250を第1アーム108の孔257に嵌めることで、第1アーム108の遠位端114に対し取り外し可能に取り付けることができる。また、第2ジョー138は、雄蟻継ぎ252をリンク孔259に嵌めることで、リンク130の遠位端136に対し取り外し可能に取り付けることができる。
【0033】
図10に示すように、リンク130及び第1アーム108の遠位端の締結具は、第1ジョー116及び第2ジョー138の近位端に設けられ、協働締結具又は協働スライド可能ロックとそれぞれ係合する、協働締結具又はスライド可能ロックであることが好ましい。
【0034】
摘出装置100Aは、リンク130及び第1アーム108に接続されて付勢する、前述の付勢部材144を更に備えている。その方法については、後で詳細に説明する。付勢部材144は、例えば、引張ばね、エラストマーなどであってもよい。本実施形態では、約0.5~8.0lbsのばね定数を有する引張ばねであり、ばね定数は0.4、0.6、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0及び9.0lbsを含む。
【0035】
第1ジョー116と第2ジョー138の構成はそれぞれ
図11及び
図12に最もよく示されている。第1ジョー116及び第2ジョー138は、凹部260及び264を有している。凹部260及び264は、第1アーム108の遠位端114及びリンク130の遠位端136にそれぞれ設けられた、対応する戻り止め258,262(
図10)と取り外し可能に係合する。
図10に示すように、第1ジョー116及び第2ジョー138はそれぞれスライド可能ロック236及び238を有している。スライド可能ロック236及び238は、第1アーム108及びリンク130に設けられた、対応するスライド可能ロック214,240とそれぞれスライド可能に係合する。
【0036】
図10に示すように、第1アーム108及びリンク130の対応するスライド可能ロック214及び240は、それぞれ制止部242,244を有する。一態様によれば、制止部242,244は、第1ジョー116及び第2ジョー138にそれぞれ設けられた、平坦部246,248と係合可能となっている(
図11及び12)。制止部242,244は、第1アーム108及びリンク130への第1ジョー116及び第2ジョー138の挿入を制限する。
【0037】
別の態様によれば、第1ジョー116及び第2ジョー138のそれぞれに設けられたスライド可能ロック236及び238は、雄蟻継ぎ250及び252を有する(
図11及び12)。また、第1アーム108及びリンク130にそれぞれ設けられた対応するスライド可能ロック214,240は、雌蟻継ぎ254,256を有する。したがって、第1ジョー116及び第2ジョー138は、第1アーム108及びリンク130の内側又は中央側から外側又は側面側に向かって挿入され、それにより、平坦部246,248は、制止部242,244と係合する際に、スライド可能ロック236及び238の更なる進入を制限する。更に、ジョーの雄蟻継ぎ250,252は長手方向の長さを有しており、雌蟻継ぎ254,256へ挿入された際、
図1に示すように、雄蟻継ぎ250及び252が第1アーム108及びリンク130の外側へ突出する。
【0038】
別の態様によれば、摘出装置100Aは、第1ジョー116及び第1アーム108のうちの一方に戻り止め258(
図10)、又は、第2ジョー138及びリンク130のうちの一方に戻り止め262を更に備える。図示された例示的な実施形態では、戻り止め258は第1ジョー116の対応する凹部260に係合するように第1アーム108に設けられている。戻り止め262は、第2ジョー138の対応する凹部264に係合するようにリンク130に設けられている(
図10及び12)。戻り止め258,262は、例えば、ボール戻り止めであってもよい。
【0039】
図3に示すように、戻り止め258,262は、ばねなどの付勢部材266,268によって外側に付勢され、凹部260,264と係合する方向に向かう。戻り止め258,262を対応する凹部260,264に係合させることで、第1ジョー116及び第2ジョー138が、第1アーム108及びリンク130から不用意に離脱することを抑制することができる。ジョーを第1アーム108及びリンク130から取り外す際、ユーザは、付勢部材266,268の付勢力より十分に大きな力で、外側に突出する雄蟻継ぎ250,252を押すことで、戻り止め258,262を凹部260,264から外すことができる。
【0040】
図11及び12に示すように、第1ジョー116及び第2ジョー138のそれぞれのノーズ又は咬合部269には、長手方向に延びる複数の隆起部271と、長手方向に延びる複数の隆起部271の横方向に延びる複数の隆起部273が設けられている。隆起部271,273は、締結具142をジョー116,138で掴んだ際に、締結具142にしっかりと食い込むようになっている(
図1)。上述したように、締結具142は、骨ねじ、又は、骨やインプラントから摘出時に回転させる必要があるようなナットなどのような、あらゆる種類の締結具であり得る。したがって、摘出される締結具の種類に応じて、締結具に食い込んで摘出するのに適した、隆起部やその他の形態が、第1ジョー116及び第2ジョー138のノーズ又は咬合部269に形成されていてもよい。
【0041】
ロック機構154の構成は
図13~15に最もよく示されている。ロック機構154はレバー122によって支持されている。つまり、ロック機構154はレバー122上にあり、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能となっている。ロック位置では(
図15)、ロック機構154は第1ジョー116及び第2ジョー138が摘出する締結具142を掴んだ状態を維持し、ロック解除位置(
図13及び14)では、ロック機構154は第1ジョー116及び第2ジョー138が締結具142を掴んだ状態を解除する。
【0042】
ロック機構154は、レバー122の第2貫通孔228内で往復運動可能な大きさを有する中心軸270を備える。ロック機構154は、中心軸270の両端に第1円筒部272,274を有する。第1円筒部272,274は、中心軸270よりも大きな直径を有するとともに、第2アーム102の直立側壁150,152に設けられたノッチ146,148で受けられる寸法になっている。更に、第1円筒部272,274の外側端又は側端に隣接して、第1円筒部272,274よりも大きな直径を有する第2円筒部又はボタン276,278が設けられている。ボタン276,278の外面280,282は、ユーザの指で押すように構成されている。
【0043】
ロック機構154をロック位置にする場合、ユーザは第1円筒部272がノッチ148に嵌るまでボタン276の外面282を押す(
図15)。ノッチ148は、第1円筒部272を覆う張出部284を有する。張出部284は、第1円筒部272がノッチ148から外れることを防止し、第2アーム102及びそれに接続されたレバー122をロック位置に固定する。
【0044】
ロック機構154をロック解除位置にする場合、つまり、ロック機構154をロック位置から解放する場合、ユーザは第1円筒部272がノッチ148から外れるまでボタン276の外面282を押す。ロック機構154がそのような位置にある場合、ユーザは第2アーム102を第1アーム108から分離することができ、これにより、第1ジョー116及び第2ジョー138は締結具142を掴んでいる状態から解放される。
【0045】
摘出装置100Aは更に、解放レバー180を第2アーム102上に備える(
図16)。解放レバー180は、第1ジョー116及び第2ジョー138を摘出されるインプラントを掴んでいる状態から解放する。解放レバー180は、その遠位端178に隣接して設けられたナックル部286と、第2アーム102の近位端104から突出する近位端288とを有する。解放レバー180を展開する前に、ユーザはロック機構154をロック解除位置にする。解放レバー180の近位端288は、ナックル部286がレバー122の下面に接触するまで上方に持ち上げられる(
図16に示す)。解放レバー180を更に持ち上げると、ロック機構154がノッチ146,148から抜け、第2アーム102が第1アーム108から離れるように押され、それによって、第1ジョー116及び第2ジョー138は互いに離れる。
【0046】
摘出する締結具142を第1ジョー116と第2ジョー138とで掴むためには、ユーザはまず回転可能ノブ196を第1方向に回転させ、対向する咬合部269(
図11及び12)の間隔が、摘出する締結具142の周囲よりわずかに広くなるまで第1ジョー116及び第2ジョー138を離す。より詳しくは、回転可能ノブ196を第1方向へ回転することにより、レバー122の遠位端126及び第2アーム102が後方に移動し、それによって、リンク130が後方に移動し、第2ジョー138が第1ジョー116から離れる。
【0047】
次に、ユーザは、対向する咬合部269を締結具142に隣接するように配置し、回転可能ノブ196を反対方向に回転させて、第1ジョー116及び第2ジョー138を締結具142の周囲で閉じる。より具体的には、回転可能ノブ196を反対方向に回転させると、レバー122の遠位端126及び第2アーム102が前方に移動し、それによって、リンク130が前方に回転し、第2ジョー138が第1ジョー116に向かって動く。更に、付勢部材144は、締結具142を掴んでいる間は、第1ジョー116及び第2ジョー138を開いた状態に維持する。つまり、付勢部材144は、第1ジョー116及び第2ジョー138が締結具142を掴んだ状態を維持することを妨げる可能性のある、第2ジョー138の制御不能な動きを防止する。
【0048】
次に、ユーザが第1アーム108及び第2アーム102を握ると、ロック機構154が第2アーム102のノッチ146,148に嵌るまで第2アーム102が後方に回転する。ロック機構154がノッチ146,148に嵌っている間、第1ジョー116及び第2ジョー138は、締結具142をしっかりとつかんだ状態となる。ロック機構154が完全にノッチ146,148に嵌ると、ユーザは、第1円筒部272がノッチ148に嵌るまで、ボタン276の外面280を押し、それによって、第1アーム108に対する第2アーム102の位置が固定される。第2アーム102がロックされ、外科手術用摘出器100がインプラントに固定された状態で、ユーザはラチェットハンドル装置100Bを使用して、締結具142が取り付けられている骨から締結具142を取り外すことができる。締結具142が取り外されると、ユーザはロック機構154を解除し、解放レバー180の近位端288を持ち上げて、第1ジョー116及び第2ジョー138を開いて、摘出装置100Aから締結具142を外す。
【0049】
図17A~17Cには、クイックコネクト198の例示的な実施形態が示されている。クイックコネクト198は、摘出装置100Aの第1アーム108の近位端110に取り外し可能に又は不可に取り付けることができる。クイックコネクト198は、摘出装置100Aの第1アーム108の近位端110に挿入するように構成された遠位部300を備える。遠位部300に隣接して拡大環状部302が設けられている。拡大環状部302は、摘出装置100Aの第1アーム108への遠位部300の挿入を制限するための制止部として機能する。第1アーム108へ挿入された後、クイックコネクト198は、溶接又や接着などの任意の適切な取り付け方法によって第1アーム108に取り付けられる。なお、取り付け方法は溶接や接着に限定されない。
【0050】
拡大環状部302の近位側には、多角形部304が設けられている。多角形部304の近位には、互いに反対に向く平坦面308を有し、楕円形の外周形状を有するシャフト306が設けられている。シャフト306は、円形の外周形状を有する縮径された縮径中央部310を有する。シャフト306の近位端312はテーパ状であることが好ましい。ラチェットハンドル装置100Bは、ラチェットアセンブリ350を備える(
図24)。ラチェットアセンブリ350は、ハウジング316を備える。ハウジング316には、シャフト306に対応する形状の楕円孔314が設けられている(
図18B,18C及び19)。これにより、シャフト306の楕円孔314への挿入を容易にすることができる。シャフト306のテーパ状の近位端312は、縮径中央部310と係合するまで付勢ロック部材199を変位させ(
図20)、シャフト306をハウジング316に固定し、それらの相対回転を防止する。その目的について、詳細は後述する。
【0051】
ラチェットハンドル装置100Bは、ラチェットアセンブリ350と、ハンドルシャフトスプライン354を含むハンドルシャフト352と、クイックコネクト継手199′(
図23)と、を備える。ハンドルシャフト352はラチェットアセンブリ350から近位方向に延びる(
図22~24)。例示的な実施形態では、クイックコネクト継手199′は、第1アーム108のクイックコネクト198、具体的には、シャフト306の縮径中央部310と係合するための付勢ロック部材199を含む雌継手であってもよい。
【0052】
図1~3,18A~18C及び19には、ハウジング316の例示的な構造が示されている。特に、
図18B及び18Cには、対向する平坦面318を含む楕円孔314が示されている。ハウジング316は、対向する平坦面318を備え、第1アーム108のクイックコネクト198は、ハウジング316の対向する平坦面318と一致して係合するように構成された、反対向きの平坦面308を備える。平坦面308は、ハウジング316と摘出装置100Aとの間の相対回転を防止するために設けられている。シャフト306の縮径中央部310に係合された付勢ロック部材199によって、ラチェットハンドル装置100Bが摘出装置100Aに接続されると、シャフト306が楕円孔314に篏合する。これにより、ユーザは、ラチェットハンドル装置100Bと摘出装置100Aを同時に1つの方向に、又は、複数の方向に回転させることができる。複数の方向は、以下に説明するラチェットアセンブリ350によって決定される。
【0053】
本開示の例示的な実施形態によれば、
図23及び24に示すように、ラチェットアセンブリ350は、ハウジング316と第1爪356とを備える。第1爪356は、ハンドルシャフトスプライン354に第1方向から係合し、ハウジング316内に設けられ、ハンドルシャフト352の第1回転方向への回転を制限するように構成されている。ラチェットアセンブリ350は更に、第1爪356を付勢してハンドルシャフトスプライン354と係合させる第1付勢部材358、例えば、ばねやエラストマーなどをハウジング316内に備える。このように構成されたラチェットアセンブリ350は、ラチェットハンドル装置100Bが摘出装置100Aに接続されている場合、締結具142をしっかり掴んだ場外で第1回転方向に回して緩めることができる。ハンドルシャフト352の回転を容易にするため、ハンドルシャフト352は、ハンドルシャフト352に対して概ね横方向に延びるグリップ360をその近位端に有している。
【0054】
更なる例示的な実施形態によれば、ラチェットアセンブリ350は、第2爪362を更に備える。第2爪362は、ハウジング316内に設けられ、第2方向からハンドルシャフトスプライン354に係合するように構成されている。第2方向は、第1爪356がハンドルシャフトスプライン354に係合する第1方向とは反対の向きである。第2爪362がハンドルシャフトスプライン354と係合すると、ハンドルシャフト352の第1回転方向とは反対の第2回転方向への回転が制限される。ラチェットアセンブリ350は更に、第2爪362を付勢してハンドルシャフトスプライン354と係合させる第2付勢部材364、例えば、ばねやエラストマーなどをハウジング316内に有している。このように構成されたラチェットアセンブリ350は、ラチェットハンドル装置100Bが摘出装置100Aに接続されている場合、締結具142をしっかりと掴んだ状態で第1回転方向及び第2回転方向のいずれかに回して緩めることができる。
【0055】
図21は、ラチェットアセンブリ350の一部である制御キャップ366(
図1~3にも示す)の下面を示している。制御キャップ366は、ハンドルシャフト352が貫通する中央孔367を有している。制御キャップ366は、ハンドルシャフト352がラチェットアセンブリ350に対し、第1回転方向又は第2回転方向に回転できるようにしている。制御キャップ366は、制御キャップ366に設けられた環状溝370(
図21)内の保持リング368(
図3)、及びハウジング316に設けられた対応する環状溝372(
図18A)によって、ハウジング316上に回転可能に保持される。
【0056】
更に、一対の保持ピン374が、ハンドルシャフト352の遠位端に隣接して設けられた環状溝376内に配置され(
図23)、ハウジング316の内壁の図示しない凹部に係合するように構成されている。保持ピン374は、締結具142を摘出する際にユーザがグリップ360を近位方向に引っ張ったときに、ハンドルシャフト352がハウジング316から離脱しないように、(環状溝376によってハンドルシャフト352の回転を許容しつつ)ハンドルシャフト352をハウジング316に固定する役割を果たす。
【0057】
再び
図21を参照すると、制御キャップ366の下面にはいくつかの構造物があり、それぞれがラチェットアセンブリ350内で個別の機能を果たす。
【0058】
第1の構造物は、制御キャップ366の下面から突出する第1突起又はアクチュエータ378である。アクチュエータ378が制御キャップ366の下面から突出する距離は、
図24において符号378に繋がる破線で示すように、アクチュエータ378が第1爪356と第2爪362との間に延在するのに十分な距離である。以下でより詳しく説明するが、アクチュエータ378は、第1爪356及び第2爪362をハンドルシャフトスプライン354から選択的に解除して、ハンドルシャフト352が第1回転方向又は第2回転方向のいずれかに回転できるようにする。つまり、制御キャップ366は、ハンドルシャフト352の選択的な可逆的ラチェット回転を可能にする。
【0059】
第2の構造物は、角運動リミッタ380であり、これも制御キャップ366の下面から突出している。角運動リミッタ380が制御キャップ366の下面から突出する距離は、
図24において符号380に繋がる破線で示すように、角運動リミッタ380がハウジング316に設けられた円弧状凹部382内に収まるのに十分な距離である。
【0060】
第3の構造物は、制御キャップ366の下面に設けられた複数の凹部、例えば、3つの凹部384a,384b,384cであり、各凹部384a,384b,384cは、内側に付勢されるボール戻り止め386(
図23及び24)を受けるように構成されている。ボール戻り止め386は、ばねやエラストマーなどの付勢部材388(
図23)によって、384a,384b、384cのうちの1つに選択的に収まって係合するように付勢される。
【0061】
操作を行う前、制御キャップ366がハウジング316に回転可能に取り付けられ、ラチェットハンドル装置100Bが摘出装置100Aに取り付けられた状態において、ボール戻り止め386は、通常、中央または“ニュートラル”凹部384bに置かれた状態である。したがって、アクチュエータ378は第1爪356にも第2爪362にも接触せず、両方の爪がハンドルシャフトスプライン354と係合し、ハンドルシャフト352が回転しないようになっている。
【0062】
次に、ユーザは、ボール戻り止め386が凹部384a及び384cのいずれか1つに置かれるように、制御キャップ366を時計回り又は反時計回りに回す。その結果、アクチュエータ378は第1爪356及び第2爪362のうちのいずれかに接触し、接触した爪がハンドルシャフトスプライン354から外れ、接触していない爪はハンドルシャフトスプライン354と係合したままとなる。ハンドルシャフト352、ひいては、摘出装置100Aによって保持されている締結具142を、第1回転方向又は第2回転方向にラチェット回転させることができる。この状況を
図24に示す。
図24には、(破線にて示された)アクチュエータ378が第2爪362と接触し、第2爪362がハンドルシャフトスプライン354から離脱した状態が示されている。
【0063】
ハンドルシャフト352(及び摘出装置100Aによって保持された締結具142)を逆ラチェット回転させたいときは、ユーザは、単に、ボール戻り止め386が凹部384a及び384cのうちの他の凹部に置かれ、アクチュエータ378が第1爪356及び第2爪362のうちの他の爪がハンドルシャフトスプライン354から離脱するまで制御キャップ366を反対方向に回転させればよい。
【0064】
当業者であれば、上述の例示的な実施形態を、その広範な発明概念から逸脱することなく変更することができることが理解されるであろう。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲内の変更をカバーすることを意図するのであることが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0065】
100…外科手術用摘出器、100A…摘出装置、100B…ラチェットハンドル装置、102…第2アーム、108…第1アーム、116…第1ジョー、118…調節機構、120…アジャスタ、122…レバー、138…第2ジョー、154…ロック機構、180…解放レバー。