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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109073
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】半導体部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240805BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01L29/80 Q
H01L29/80 H
H01L29/78 301X
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024008698
(22)【出願日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】63/482,302
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】112143297
(32)【優先日】2023-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】劉 學興
(72)【発明者】
【氏名】蔡 佳龍
【テーマコード(参考)】
5F102
5F140
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD10
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GL04
5F102GQ01
5F102GR04
5F102GR06
5F102GR07
5F102GS02
5F102GV05
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC10
5F102HC15
5F140AA10
5F140AA24
5F140BA06
5F140BB06
5F140BB18
5F140BD04
5F140BD05
5F140BD07
5F140BD11
5F140BF05
5F140BF07
5F140BF10
5F140BF15
5F140BF17
5F140BF21
5F140BF22
5F140BF25
5F140BF27
5F140BJ05
5F140BJ07
5F140BJ10
5F140BJ11
5F140BJ13
5F140BJ15
5F140BJ17
5F140BJ25
5F140BJ26
5F140BK10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高周波電力利得を向上させつつ、より高い効率を有し、高周波及び高電力関連電子製品に適する半導体部品を提供する。
【解決手段】半導体層100と、バリア109層と、リーク電流抑制層101と、オーミックコンタクト層103、104と、電極層105、106と、を含む半導体部品1において、半導体層は、突出部100Pと、突出部に隣接した頂面T1、T2と、を有する。突出部は、頂面T3と、2つの側面S1、S2と、を含む。バリア層は、突出部の頂面上に設けられる。リーク電流抑制層101は、半導体層の頂面上に設けられる。オーミックコンタクト層は、リーク電流抑制層上に設けられ、突出部の側面及びバリア層の側面と接触し、半導体層の頂面とは接触しない。電極層は、オーミックコンタクト層上に設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側に突出部と2つの頂面とを有する半導体層と、
2つの側面を含むバリア層と、
それぞれ前記半導体層の前記2つの頂面上に設けられた2つのリーク電流抑制層と、
それぞれ前記2つのリーク電流抑制層上に設けられた2つのオーミックコンタクト層と、
それぞれ前記2つのオーミックコンタクト層上に設けられた2つの電極層と
を含み、
前記半導体層の前記2つの頂面は前記突出部に隣接し、前記突出部は頂面と2つの側面とを有し、前記突出部の前記2つの側面のうちの一方は前記突出部の前記頂面と前記半導体層の2つの頂面のうちの一方との間に隣接し、前記突出部の前記2つの側面のうちの他方は前記突出部の前記頂面と前記半導体層の2つの頂面のうちの他方との間に隣接し、
前記バリア層は前記突出部の前記頂面上に設けられ、
前記2つのオーミックコンタクト層は前記突出部の前記2つの側面及び前記バリア層の前記2つの側面と接触し、前記2つのオーミックコンタクト層は前記半導体層の前記2つの頂面と接触しない、
半導体部品。
【請求項2】
前記突出部の前記頂面は、前記2つのオーミックコンタクト層の頂面と前記2つのリーク電流抑制層の頂面との間に設けられる、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項3】
前記2つのリーク電流抑制層の材料は、SiO、SiN、Ga、(AlGa1-x、Al、AlN、又はBNを含む、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項4】
前記2つのオーミックコンタクト層は、N型窒化ガリウム、N型窒化インジウム、ZnO、SiC、AlInGaN、Ti、Al、及びCrのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項5】
前記2つのオーミックコンタクト層は、ケイ素又はゲルマニウムで1018cm-3~1021cm-3の間のドーピング濃度でドープされる、
請求項4に記載の半導体部品。
【請求項6】
前記半導体層はチャネル層を含み、前記2つのオーミックコンタクト層は前記チャネル層の側面と接触する、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項7】
前記半導体層の他方側に設けられたバッファ層を更に含む、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項8】
基板を更に含み、
前記バッファ層は前記基板と前記半導体層との間に設けられ、前記基板は、ケイ素基板、炭化ケイ素基板、SOI基板、及びQST基板のうちの1つである、
請求項7に記載の半導体部品。
【請求項9】
前記2つのオーミックコンタクト層の底面は前記2つのリーク電流抑制層と接触し、前記2つのリーク電流抑制層の頂面よりも小さい、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項10】
前記2つのリーク電流抑制層は第1リーク電流抑制層と第2リーク電流抑制層であり、前記2つの電極層は第1電極層と第2電極層であり、
前記半導体部品は、第3リーク電流抑制層及び第3電極層を更に含み、
前記バリア層、前記第3リーク電流抑制層、及び前記第3電極層は順に積層される、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項11】
前記2つのオーミックコンタクト層は前記突出部の前記2つの側面から離れる2つの側面を有し、前記オーミックコンタクト層の前記2つの側面は前記2つのリーク電流抑制層に対して傾斜しており、前記第1電極層と前記第2電極層は前記2つのオーミックコンタクト層の前記側面にそれぞれ接触する、
請求項10に記載の半導体部品。
【請求項12】
前記2つのオーミックコンタクト層は、4.49eV未満の仕事関数を有する金属を含む、
請求項1に記載の半導体部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高い動作周波数及び高い出力電力を要する応用環境のため、半導体部品は高い破壊電圧(Breakdown voltage)や高い飽和キャリア速度(Saturation Carrier Velocity)といった特性を有することを要する。窒化ガリウムはワイドバンドギャップ特性を有する。加えて、窒化ガリウムとn型窒化アルミニウムガリウムで形成されたヘテロ構造の界面で起こる分極差は二次元電子ガスを誘発し、これは高電子移動度トランジスタ(HEMT)のメカニズムである。このため、窒化ガリウム材料に基づく部品は、高周波数、高電力、耐放射線性、及び高温環境における応用に適する。
【0003】
本背景技術において開示する情報は説明される技術の理解を高めるためのものにすぎず、このため当業者にとって既知である先行技術を形成しない情報を含み得る。更に、本背景技術において開示する情報は、本発明の1つ以上の実施形態により解決すべき1つ以上の課題が当業者によって認識されていることを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高周波数部品が動作しているとき、少量の電流がソース電極及びドレイン電極下のオーミックコンタクト層からバッファ層へと下方へ漏れる。このため、上述した課題を如何にして解決するかが本業界における懸念される問題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電流がバッファ層へと下方へ漏れることを防止する半導体部品を提供する。
【0006】
本発明の1つの実施形態によると、半導体層と、バリア層と、2つのリーク電流抑制層と、2つのオーミックコンタクト層と、2つの電極層とを含む半導体部品を提供する。半導体層は、半導体層の一方側に突出部と半導体層の2つの頂面とを有する。半導体層の2つの頂面は突出部に隣接し、突出部は頂面と2つの側面とを含む。突出部の2つの側面のうちの一方は、突出部の頂面と半導体層の2つの頂面のうちの一方との間に隣接する。突出部の2つの側面のうちの他方は、突出部の頂面と半導体層の2つの頂面のうちの他方との間に隣接する。バリア層は突出部の頂面上に設けられ、バリア層は2つの側面を含む。2つのリーク電流抑制層は、半導体層の2つの頂面上にそれぞれ設けられる。2つのオーミックコンタクト層は2つのリーク電流抑制層上にそれぞれ設けられ、2つのオーミックコンタクト層は突出部の2つの側面及びバリア層の2つの側面と接触し、2つのオーミックコンタクト層は半導体層の2つの頂面と接触しない。2つの電極層は、2つのオーミックコンタクト層上にそれぞれ設けられる。
【発明の効果】
【0007】
上記に基づき、本発明の実施形態により提供される半導体部品において、リーク電流抑制層はオーミックコンタクト層と半導体層との間に設けられ、オーミックコンタクト層はコンタクト抵抗を減少させるために用いられ、これによって高周波電力利得を増加させる。リーク電流抑制層は、半導体部品の動作中に電流が半導体部品のバッファ層又は基板へと下方に漏れることを防止し、これにより電力消費を減少させる。従って、半導体部品は、高周波電力利得を向上させつつ、より高い効率を有することができる。半導体部品は、B5G/6G通信製品といった高周波及び高電力関連電子製品に適する。
【0008】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、単純に本発明を実施するのに最適な様態の例示によって本発明の好ましい実施形態を示して説明する本発明の実施形態によって開示される更なる技術的特徴から更に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の更なる理解を提供するため添付図面が含まれ、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。図面は本発明の実施形態を表し、明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
図1A】本発明の1つの実施形態による半導体部品の製造方法の概略図である。
図1B】本発明の1つの実施形態による半導体部品の製造方法の概略図である。
図1C】本発明の1つの実施形態による半導体部品の製造方法の概略図である。
図1D】本発明の1つの実施形態による半導体部品の製造方法の概略図である。
図1E】本発明の1つの実施形態による半導体部品の製造方法の概略図である。
図2A】本発明の1つの実施形態による半導体部品の製造方法の概略図である。
図2B】本発明の1つの実施形態による半導体部品の製造方法の概略図である。
図2C】本発明の1つの実施形態による半導体部品の製造方法の概略図である。
図3】本発明の1つの実施形態による半導体部品の部分的構造の概略図である。
図4】本発明の1つの実施形態による半導体部品の部分的構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の好ましい実施形態の詳細な説明において、本明細書の一部を形成し、本発明を実施することのできる特定の実施形態を例示として表す添付図面を参照する。これに関連して、「上」、「下」、「前」、「後」などの方向を示す用語は、説明される図の向きを参照して使用される。本発明の構成要素はいくつかの異なる向きで配置することができる。このように、方向に関する用語は説明目的で使用され、限定的なものでは決してない。一方、図面は概略的なものに過ぎず、明確化のため構成要素のサイズが誇張されている場合がある。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的な変更を加えることができることを理解されたい。また、本明細書で使用される表現及び用語は説明目的であり、限定的なものでは決してないことを理解されたい。本明細書における「含む」、「から成る」、又は「有する」、及びこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその均等物、並びに追加の項目を包含することを意味する。別段の制限がない限り、本明細書における用語「接続された」、「結合された」、及び「搭載された」、及びこれらの変形は広く使用され、直接的及び間接的な接続、結合、及び搭載を包含する。同様に、本明細書における用語「対面する」、「面する」、及びこれらの変形は広く使用され、直接的及び間接的に対面することを包含し、また、本明細書における「隣接する」及びその変形は広く使用され、直接的及び間接的に「隣接する」ことを包含する。このため、本明細書における構成要素「A」が構成要素「B」に対面するという記述には、構成要素「A」が構成要素「B」と直接対面する状況、又は、構成要素「A」と構成要素「B」との間に1つ以上の追加的な構成要素が存在する状況が含まれる可能性がある。また、本明細書における構成要素「B」に「隣接する」構成要素「A」という説明には、構成要素「A」が構成要素「B」と直接「隣接」している、又は、1つ以上の追加的な構成要素が構成要素「A」と構成要素「B」との間に存在する状況が含まれる可能性がある。従って、図面及び説明は限定的なものではなく本質的に例示的なものと見なされる。
【0011】
本発明の1つの実施形態による半導体部品の製造方法の概略図である図1A図1Eを参照する。
【0012】
先ず、図1Aを参照し、基板10が提供される。基板は、例えば、半導体層として、ケイ素層、炭化ケイ素層、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)層、QST(Qromis基板技術)セラミック層、又はそれらの組合せを含む。
【0013】
次に、窒化アルミニウム層300が基板10上に形成される。一般的に、窒化アルミニウム層300が高温処理において形成されるとき、そこに含まれるアルミニウムがその下のフィルム層に拡散する可能性がある。このため、いくつかの好ましい実施形態において、窒化アルミニウム層300中のアルミニウムが基板10の半導体層に拡散することを防止するため、基板10の窒化アルミニウム層300に近い側上にワイドバンドギャップ拡散バッファ層が形成され、これは製造された半導体部品において動作中に電流漏れが起こることを防止する。
【0014】
次に、窒化アルミニウム層300上にバッファ層200と半導体層100が順に形成される。バッファ層200は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層であり、半導体層100はワイドバンドギャップ窒化ガリウム(GaN)層である。基板10とその上のGaN層(半導体層100)との間の格子定数の差が応力を引き起こし、基板10上のエピタキシャル層の品質に影響することから、基板10と基板10上に形成される半導体層100との間の応力を均衡させるため、バッファ層200は基板10と半導体層100との間に形成される。
【0015】
そして、半導体層100上にバリア層109が形成される。バリア層109は窒化アルミニウムガリウム層であり、半導体層100のワイドバンドギャップ窒化ガリウム(GaN)とバリア層109はヘテロ構造(AlGaN/GaNヘテロ構造)を形成する。
【0016】
図1Bを参照し、バリア層109及び半導体層100上でエッチング処理が実行され、半導体層100の上部に突出部100Pと2つの頂面T1とT2が形成される。バリア層109は突出部100P上に位置する。
【0017】
図1Cを参照し、半導体層100の2つの頂面T1とT2及びバリア層109の頂面109T上にリーク電流抑制層101、102、107がそれぞれ形成される。いくつかの実施形態において、リーク電流抑制層101、102、107の材料は、SiO、SiN、Ga、(AlGa1-x、Al、AlN、BN、又は類似のワイドバンドギャップ材料のうちの1つを含んでよいが、本発明はこれに限定されない。
【0018】
図1Dを参照し、リーク電流抑制層101と102上にオーミックコンタクト層103と104がそれぞれ形成され、オーミックコンタクト層103は突出部100Pの側面S1に接触し、オーミックコンタクト層104は突出部100Pの側面S2に接触する。
【0019】
図1Eを参照し、オーミックコンタクト層103と104及びリーク電流抑制層107上に電極層105、106、108がそれぞれ形成され、これにより半導体部品1が形成される。
【0020】
次に、本発明の1つの実施形態による半導体部品の製造方法の概略図を表す、図1A図1B図2A図2B図2Cを順に参照する。図1A図1Bにおいて示したステップは上記実施形態において説明している。説明の繰り返しは省く。
【0021】
図2A図2Bを同時に参照し、先ず、バリア層109の頂面109T上にリーク電流抑制層107が形成され、次いで、高抵抗層101R、102R、107Rを形成するため、半導体層100の2つの頂面T1とT2及びリーク電流抑制層107が同時にイオン注入される。
【0022】
図2Cを参照し、高抵抗層101Rと102R上にオーミックコンタクト層103と104がそれぞれ形成され、オーミックコンタクト層103は突出部100Pの側面S1と接触し、オーミックコンタクト層104は突出部100Pの側面S2と接触する。最後に、オーミックコンタクト層103、104と高抵抗層107R上に電極層105、106、108がそれぞれ形成され、これにより半導体部品2が形成される。
【0023】
上述した実施形態における半導体部品の構造と機能を詳細に理解するため、図3を参照する。半導体部品1は、基板10と、半導体層100と、バッファ層200と、窒化アルミニウム層300と、2つのリーク電流抑制層101、102と、2つのオーミックコンタクト層103、104と、電極層105、106、108と、バリア層109とを含む。2つの電極層105と106は2つのオーミックコンタクト層103と104上にそれぞれ設けられる。
【0024】
半導体層100の一方側には、突出部100Pと、突出部100Pに隣接した半導体層100の2つの頂面T1、T2が存在する。突出部100Pは、頂面T3と、2つの側面S1、S2とを含む。突出部100Pの側面S1は突出部100Pの頂面T3及び頂面T1に隣接し、突出部100Pの側面S2は突出部100Pの頂面T3と頂面T2に隣接する。バリア層109は突出部100Pの頂面T3上に設けられ、バリア層109は2つの側面S3、S4を含む。
【0025】
リーク電流抑制層101は頂面T1上に設けられ、リーク電流抑制層102は頂面T2上に設けられる。オーミックコンタクト層103はリーク電流抑制層101上に設けられ、突出部100Pの側面S1及びバリア層109の側面S3と接触する。オーミックコンタクト層104はリーク電流抑制層102上に設けられ、突出部100Pの側面S2及びバリア層109の側面S4と接触する。
【0026】
いくつかの実施形態において、半導体部品1は高周波デバイスとして実装され、基板10は、ケイ素基板、炭化ケイ素基板、SOI基板、QST基板のうちの1つである。バッファ層200は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層である。バリア層109は窒化アルミニウムガリウム層である。半導体層100はワイドバンドギャップ窒化ガリウム(GaN)層である。半導体層100とバリア層109はヘテロ構造(AlGaN/GaNヘテロ構造)を形成する。電極層105、106、108は、それぞれソース電極、ドレイン電極、ゲート電極として用いられる。電極層105、106、108の材料は、Ag、Au、TiN、Au/Ti、Au/Mo/Ti、Au/Si/Ti等を含む。いくつかの実施形態において、電極層105、106、108の材料は、それぞれの厚さが30nm/200nm/40nm/10nmであるTi/Al/Ni/Auを含む。いくつかの実施形態において、電極層105、106、108の材料は、それぞれの厚さが20nm/220nm/55nm/45nmであるTi/Al/Ni/Auを含む。いくつかの実施形態において、電極層105、106、108の材料は、それぞれの厚さが15nm/60nm/35nm/50nmであるTi/Al/Mo/Auを含む。いくつかの実施形態において、電極層105、106、108の材料は、それぞれの厚さが5nm/20nm/120nm/40nm/30nmであるTa/Si/Ti/Al/Ni/Taを含む。いくつかの実施形態において、電極層105、106、108の材料は、それぞれの厚さが10nm/30nm/90nm/40nm/25nmであるTa/Ti/Al/Mo/Auを含む。いくつかの実施形態において、電極層105、106、108の材料はSi/Ti/Al/Ni/Auを含み、Si層の厚さは3nm又は6nmである。いくつかの実施形態において、電極層105、106、108の材料は、それぞれの厚さが30nm/200nm/30nm/10nmであるTi/Al/Ti/Auを含む。
【0027】
ソース電極105とドレイン電極106との間のコンタクト抵抗を低下させるため、高周波電力利得を増加させるようオーミックコンタクト層103と104が半導体部品1に設けられる。いくつかの実施形態において、オーミックコンタクト層103と104の材料は、N型窒化ガリウム、N型窒化インジウム、ZnO、SiC、AlInGaN、Ti、Al、Cr、又は4.49eV未満の仕事関数を有する金属を含んでよい。いくつかの実施形態において、オーミックコンタクト層103と104はケイ素又はゲルマニウムでドープされ、ドーピング濃度は1018cm-3~1021cm-3の間である。従って、コンタクト抵抗は更に低下する。
【0028】
突出部100Pの頂面T3はオーミックコンタクト層103及び104の頂面103T及び104Tと、リーク電流抑制層101及び102の頂面101T及び102Tとの間に位置する。低抵抗値を有する二次元電子ガスがヘテロ界面(即ち、突出部100Pの頂面T3)で形成され、二次元電子ガスはチャネル層100Cとしての役割を果たす。即ち、チャネル層100Cの側面はオーミックコンタクト層103と104に接触する。従って、コンタクト抵抗は更に低下する。
【0029】
特に注意すべきは、いくつかの比較例における半導体部品にはリーク電流抑制層101と102が設けられない。即ち、オーミックコンタクト層103は頂面T1と接触し、オーミックコンタクト層104は頂面T2と接触する。このようであると、半導体部品が動作しているとき、僅かな電流がバッファ層200又は基板10へと下方へ漏れる。これに対し、本発明の実施形態による半導体部品1はリーク電流抑制層101と102を設けている。このため、オーミックコンタクト層103は頂面T1と直接接触せず、オーミックコンタクト層104は頂面T2と直接接触しない。本発明の半導体部品1では上述した比較例における電流漏れの状況は起こらない。本発明のいくつかの実施形態において、リーク電流抑制層101と102の材料は、SiO、SiN、Ga、(AlGa1-x、Al、AlN、BN、又は類似のワイドバンドギャップ材料のうちの1つを含んでよい。ただし、本発明はこれに限定されない。
【0030】
図3に示した実施形態において、半導体部品1はリーク電流抑制層107を更に含み、バリア層109、リーク電流抑制層107、及び電極層108が順に積層される。ただし、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、電極層108はバリア層109上に直接設けられてよい。
【0031】
図3を参照し、本実施形態において、オーミックコンタクト層103は突出部100Pの側面S1から離れる斜辺面103Sを有する。斜辺面103Sはリーク電流抑制層101に対して傾斜しており、電極層105と接触する。オーミックコンタクト層104は突出部100Pの側面S2から離れる斜辺面104Sを有する。斜辺面104Sはリーク電流抑制層102に対して傾斜しており、電極層106と接触する。バリア層109の頂面109Tは、オーミックコンタクト層103、104の頂面103T、104Tと、突出部100Pの頂面T3との間に位置する。
【0032】
これに対し、本発明のもう1つの実施形態による半導体部品3の部分構造図を表す図4を参照し、半導体部品3のオーミックコンタクト層103と104の頂面103Tと104Tは、バリア層109の頂面109Tと突出部100Pの頂面T3との間に位置する。
【0033】
図3図4を参照し、半導体部品1に関して、オーミックコンタクト層103の底面103Bの面積はリーク電流抑制層101の頂面101Tの面積に等しく、オーミックコンタクト層104の底面104Bの面積はリーク電流抑制層102の頂面102Tの面積に等しい。ただし、本発明はこれに限定されない。半導体部品3に関して、図4に示すように、オーミックコンタクト層103の底面103Bの面積はリーク電流抑制層101の頂面101Tの面積よりも小さくてよく、オーミックコンタクト層104の底面104Bの面積はリーク電流抑制層102の頂面102Tの面積よりも小さくてよい。
【0034】
まとめると、本発明の実施形態の半導体部品において、オーミックコンタクト層と半導体層との間にリーク電流抑制層が設けられ、オーミックコンタクト層は高周波電力利得を増加させるためにコンタクト抵抗を低下させるため用いられる。リーク電流抑制層は、半導体部品が動作しているとき、電流がバッファ層又は基板へと下方へ漏れることを防止する。従って、半導体部品は高周波電力利得によって、より高い効率を有することができる。
【0035】
上記の本発明の好ましい実施形態に関する説明は、例示及び説明の目的で提示したものである。これは、網羅的であること、又は、本発明を開示した正確な形態又は例示的実施形態に限定することを意図していない。従って、上記説明は限定的なものではなく例示的なものと見なされるべきである。当然ながら、当業者にとっては多くの改変及び変形が明らかであろう。実施形態は、本発明の原理及びその最良の様態の実用的応用を最もよく説明するために選択されて説明されており、これにより、当業者は企図される特定の使用又は実施に適した様々な実施形態及び様々な改変を伴う本発明を理解することができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される、別段の指示がない限り、全ての用語は最も広い合理的な意味であることを意図している。このため、用語「本発明」、「本願発明」等は、必ずしも特許請求の範囲を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の特に好ましい例示的実施形態への言及は本発明を限定することを意味するものではなく、そのような限定は想定していない。本発明は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定される。更に、これら特許請求の範囲では、名詞又は要素に続く「第1」、「第2」などの使用に言及する場合がある。このような用語は命名法として理解されるべきであり、特定の数が指定されていない限り、そのような命名法によって改変される要素の数を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の要約は、要約を要求する規則に準拠するために提供されており、これは検索者に本開示から発行となった任意の特許の技術開示の主題を迅速に確認することを可能とする。これは、特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されるものではないとの理解において提出されている。説明した利点及び利益は、本発明の全ての実施形態に適用されるわけではない。当業者であれば、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に変更を加えることができることを理解されたい。更に、本発明の要素及び部材は、その要素又は部材が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関わらず、公衆に提供することを意図しているものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の半導体部品は、高周波デバイスに適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1、2、3:半導体部品
10:基板
100:半導体層
100C:チャネル層
100P:突出部
101、102、107:リーク電流抑制層
101T、102T、103T、104T、109T、T1、T2、T3:頂面
101R、102R、107R:高抵抗層
103、104:オーミックコンタクト層
103B、104B:底面
103S、104S:斜辺面
105、106、108:電極層
109:バリア層
200:バッファ層
300:窒化アルミニウム層
S1、S2、S3、S4:側面
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側に突出部と2つの頂面とを有する半導体層と、
2つの側面を含むバリア層と、
それぞれ前記半導体層の前記2つの頂面上に設けられた2つのリーク電流抑制層と、
それぞれ前記2つのリーク電流抑制層上に設けられた2つのオーミックコンタクト層と、
それぞれ前記2つのオーミックコンタクト層上に設けられた2つの電極層と
を含み、
前記半導体層の前記2つの頂面は前記突出部に隣接し、前記突出部は頂面と2つの側面とを有し、前記突出部の前記2つの側面のうちの一方は前記突出部の前記頂面と前記半導体層の前記2つの頂面のうちの一方との間に隣接し、前記突出部の前記2つの側面のうちの他方は前記突出部の前記頂面と前記半導体層の前記2つの頂面のうちの他方との間に隣接し、
前記バリア層は前記突出部の前記頂面上に設けられ、
前記2つのオーミックコンタクト層は前記突出部の前記2つの側面及び前記バリア層の前記2つの側面と接触し、前記2つのオーミックコンタクト層は前記半導体層の前記2つの頂面と接触しない、
半導体部品。
【請求項2】
前記突出部の前記頂面は、前記2つのオーミックコンタクト層の頂面と前記2つのリーク電流抑制層の頂面との間に設けられる、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項3】
前記2つのリーク電流抑制層の材料は、SiO、SiN、Ga、(AlGa1-x、Al、AlN、又はBNを含む、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項4】
前記2つのオーミックコンタクト層は、N型窒化ガリウム、N型窒化インジウム、ZnO、SiC、AlInGaN、Ti、Al、及びCrのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項5】
前記2つのオーミックコンタクト層は、ケイ素又はゲルマニウムで1018cm-3~1021cm-3の間のドーピング濃度でドープされる、
請求項4に記載の半導体部品。
【請求項6】
前記半導体層はチャネル層を含み、前記2つのオーミックコンタクト層は前記チャネル層の側面と接触する、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項7】
前記半導体層の他方側に設けられたバッファ層を更に含む、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項8】
基板を更に含み、
前記バッファ層は前記基板と前記半導体層との間に設けられ、前記基板は、ケイ素基板、炭化ケイ素基板、SOI基板、及びQST基板のうちの1つである、
請求項7に記載の半導体部品。
【請求項9】
前記2つのオーミックコンタクト層の底面は前記2つのリーク電流抑制層と接触し、前記2つのリーク電流抑制層の頂面よりも小さい、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項10】
前記2つのリーク電流抑制層は第1リーク電流抑制層と第2リーク電流抑制層であり、前記2つの電極層は第1電極層と第2電極層であり、
前記半導体部品は、第3リーク電流抑制層及び第3電極層を更に含み、
前記バリア層、前記第3リーク電流抑制層、及び前記第3電極層は順に積層される、
請求項1に記載の半導体部品。
【請求項11】
前記2つのオーミックコンタクト層は前記突出部の前記2つの側面から離れる2つの側面を有し、前記2つのオーミックコンタクト層の前記2つの側面は前記2つのリーク電流抑制層に対して傾斜しており、前記第1電極層と前記第2電極層は前記2つのオーミックコンタクト層の前記2つの側面にそれぞれ接触する、
請求項10に記載の半導体部品。
【請求項12】
前記2つのオーミックコンタクト層は、4.49eV未満の仕事関数を有する金属を含む、
請求項1に記載の半導体部品。
【外国語明細書】