(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109080
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/52 20060101AFI20240805BHJP
E06B 3/32 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
E06B9/52 A
E06B9/52 B
E06B3/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009792
(22)【出願日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】63/442,116
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】植竹 智英
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014CA01
2E014CC01
2E014CD04
(57)【要約】
【課題】屋外側から見た外観を良好とする建具を提供する。
【解決手段】建具100は、建具枠材11と、建具枠材11に支持された障子2と、建具枠材11に支持され、障子2の屋内側に配置された網戸3と、を備え、障子2は、框材21と、框材21に支持されたパネル材29と、を備え、網戸3は、建具枠材11に設けられた網戸枠材31と、網戸枠材31に支持された網戸本体4と、を備え、網戸枠材31の屋内外方向に沿う内周面は、框材21の屋内外方向に沿う内周面よりも外周側に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具枠材と、
前記建具枠材に支持された障子と、
前記建具枠材に支持され、前記障子の屋内側に配置された網戸と、を備え、
前記障子は、
框材と、
前記框材に支持されたパネル材と、を備え、
前記網戸は、
前記建具枠材に設けられた網戸枠材と、
前記網戸枠材に支持された網戸本体と、を備え、
前記網戸枠材の屋内外方向に沿う内周面は、前記框材の屋内外方向に沿う内周面よりも外周側に配置されている建具。
【請求項2】
前記網戸枠材は、前記建具枠材に着脱可能に固定されている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記網戸枠材は、螺子で前記建具枠材に固定されている請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記網戸枠材は、内周側に向かって開口する網戸溝部を備え、
前記網戸溝部には、前記網戸本体の縁部が挿入され、
前記網戸は、前記網戸本体の縁部を前記網戸溝部の内部に押さえ付ける押さえ部材を備える請求項1または2に記載の建具。
【請求項5】
前記網戸枠材は、内周側に向かって開口する網戸溝部を備え、
前記網戸は、前記網戸本体の縁部が係止された係止部材を備え、
前記係止部材は、前記網戸溝部に係止されている請求項1または2に記載の建具。
【請求項6】
前記建具枠材は、中空に形成された中空部を備える請求項1または2に記載の建具。
【請求項7】
前記建具枠材の屋外側を向く面には、気密材が設けられ、
前記気密材は、前記框材に当たっている請求項1または2に記載の建具。
【請求項8】
前記網戸は、前記建具枠材の内周面と前記網戸枠材の外周面との間に配置されたスペーサを備える請求項1または2に記載の建具。
【請求項9】
前記建具枠材は、上枠及び縦枠であり、
前記網戸枠材は、前記網戸本体の上部を支持する網戸上枠及び前記網戸本体の左右端部を支持する網戸縦枠である請求項1または2に記載の建具。
【請求項10】
前記網戸本体の下部は、下枠に支持されている請求項1または2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2023年 1月31日に出願された米国仮出願第63/442,116号の利益を主張し、その全文が参照により本明細書に援用される。
[技術分野] 本開示は、建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、滑り出し窓では、障子の屋内側に網戸が設置されることがある。下記の特許文献1に開示されているように、障子の枠に網戸枠が固定され、網戸枠に網戸が取り付けられていた滑り出し窓が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、網戸枠の見付け方向の内側の面である内周面が、障子の框の内周面よりも内周側に突出しているため、屋外側から見て網戸枠の内周面を含む部分が見えてしまい、意匠性が悪いという問題点がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屋外側から見た外観を良好とする建具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る建具は、建具枠材と、前記建具枠材に支持された障子と、前記建具枠材に支持され、前記障子の屋内側に配置された網戸と、を備え、前記障子は、框材と、前記框材に支持されたパネル材と、を備え、前記網戸は、前記建具枠材に設けられた網戸枠材と、前記網戸枠材に支持された網戸本体と、を備え、前記網戸枠材の屋内外方向に沿う内周面は、前記框材の屋内外方向に沿う内周面よりも外周側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】一実施形態に係る上側の網戸枠材の取付を示す分解斜視図である。
【
図7】一実施形態に係る側部の網戸枠材の取付を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係る建具について、図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、本開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成を分かりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺等を異ならせている。
【0009】
以下の説明では、屋外側と屋内側とを結び水平方向に沿う方向を、屋内外方向と称する。屋内外方向と直交し水平方向に沿う方向を、左右方向と称する。屋内外方向及び左右方向と直交する方向を、上下方向と称する。屋内外方向を矢印Yで示す。左右方向を矢印Xで示す。上下方向を矢印Zで示す。開口部Wの中央側を、内周側と表記する。開口部Wの中央と反対側を、外周側と表記する。左右方向の中央側を、左右法方向の内側を表記する。左右方向の中央と反対側を、左右方向の外側と表記する。
【0010】
図1に示すように、建具100は、枠体1と、障子2と、網戸3と、を備えている。建具100は、横滑り出し窓である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、枠体1は、建物の開口部Wに固定されている。枠体1は、四方枠状に形成されている。枠体1は、上枠11と、下枠12と、一対の縦枠13,13と、を有している。枠体1は、樹脂製である。枠体1はアルミ合金等の金属製であってもよく、枠体1を形成する材料は適宜設定可能である。
【0012】
上枠11及び下枠12は、左右方向に延びている。縦枠13は、上下方向に延びている。一対の縦枠13,13は、上枠11の左右方向の端部と下枠12の左右方向の端部とを連結している。上枠11及び縦枠13は、特許請求の範囲の建具枠材に対応する。
【0013】
障子2は、四方枠状に形成された枠体1に支持されている。障子2は、枠体1の内側に配置されている。障子2は、框体20と、パネル材29と、を有している。
【0014】
框体20は、四方枠状に形成されている。框体20は、上框21と、下框22と、一対の縦框23,23と、を有している。框体20は、樹脂製である。框体20はアルミ合金等の金属製であってもよく、框体20を形成する材料は適宜設定可能である。
【0015】
上框21及び下框22は、左右方向に延びている。縦框23は、上下方向に延びている。一対の縦框23,23は、上框21の左右方向の端部と下框22の左右方向の端部とを連結している。上框21及び縦框23は、特許請求の範囲の框材に対応する。
【0016】
パネル材29は、框体20に支持されている。パネル材29は、ペアガラスである。パネル材29はシングルガラスやトリプルガラス等のガラスパネルやアクリル板であってもよく、パネル材29を形成する材料は適宜設定可能である。
【0017】
上枠11の構成について説明する。
図3に示すように、上枠11は、屋内側板部111と、中間板部112と、内側固定板部113と、外側固定板部114と、外側板部115と、を有している。
【0018】
屋内側板部111は、板状に形成されている。屋内側板部111の板面は、屋内外方向を向いている。屋内側板部111は、上枠11の屋内に面する位置に配置されている。中間板部112は、屋内側板部111の屋外側に屋内側板部111と間隔を空けて配置されている。中間板部112は、板状に形成されている。中間板部112の板面は、屋内外方向を向いている。
【0019】
内側固定板部113は、板状に形成されている。内側固定板部113の板面は、上下方向を向いている。内側固定板部113は、上枠11の屋内側の部分で内周側に配置されている。屋内側板部111の内周端部111dは、内側固定板部113よりも内周側に延びている。外側固定板部114は、内側固定板部113の上方に内側固定板部113と間隔を空けて配置されている。外側固定板部114は、板状に形成されている。外側固定板部114の板面は、上下方向を向いている。外側板部115は、外側固定板部114の上方に外側固定板部114と間隔を空けて配置されている。外側板部115は、板状に形成されている。外側板部115の板面は、上下方向を向いている。
【0020】
屋内側板部111、中間板部112、外側固定板部114及び外側板部115によって、中空に形成された中空部S1が形成されている。中空部S1は、屋内側板部111に面して屋内側板部111の屋外側に配置されている。中空部S1は、外側固定板部114に面して外側固定板部114の上側に配置されている。中空部S1は、上枠11の長さ方向の略全長にわたって形成されている。
【0021】
中間板部112には、内側固定板部113と外側固定板部114との間の位置に、屋内外方向に貫通する係止孔112hが形成されている。係止孔112hには、気密材81の気密係止部811が挿入され、中間板部112の係止孔112hの上下に係止されている。気密材81の気密部812は、気密係止部811から屋外側に突出している。気密部812は、上枠11の中間板部112の屋外側を向く面112bに沿って配置されている。気密部812は、障子2の上框21の屋内側を向く面に当たっている。気密材81によって、上枠11と上框21との間が封止されている。
【0022】
下枠12の構成について説明する。
図4に示すように、下枠12は、第1中間板部121と、第2中間板部122と、底壁部123、を有している。
【0023】
第1中間板部121は、板状に形成されている。第1中間板部121の板面は、屋内外方向を向いている。第2中間板部122は、第1中間板部121の屋外側に第1中間板部121と間隔を空けて配置されている。第2中間板部122は、板状に形成されている。第2中間板部122の板面は、屋内外方向を向いている。底壁部123は、第1中間板部121の下端部と第2中間板部122の下端部とを連結している。底壁部123は、板状に形成されている。底壁部123の板面は、上下方向を向いている。
【0024】
第1中間板部121、第2中間板部122及び底壁部123によって、上方に開口する網戸嵌合溝部125が形成されている。第1中間板部121には、屋外側に向かって突出する係合突部121aが設けられている。第2中間板部122には、屋内側に向かって突出する係合突部122aが設けられている。一対の係合突部121a,122aは、屋内外方向に隙間を空けて対向して配置されている。一対の係合突部121a,122aは、網戸嵌合溝部125の入り口を狭めている。係合突部121aの先端面121b及び係合突部122aの先端面122bは、網戸嵌合溝部125の外側に向けて広がるテーパー状に形成されている。
【0025】
縦枠13の構成について説明する。
図5に示すように、縦枠13は、屋内側板部131と、中間板部132と、内側固定板部133と、外側固定板部134と、外側板部135と、を有している。
【0026】
屋内側板部131は、板状に形成されている。屋内側板部131の板面は、屋内外方向を向いている。屋内側板部131は、縦枠13の屋内に面する位置に配置されている。中間板部132は、屋内側板部131の屋外側に屋内側板部131と間隔を空けて配置されている。中間板部132は、板状に形成されている。中間板部132の板面は、屋内外方向を向いている。
【0027】
内側固定板部133は、板状に形成されている。内側固定板部133の板面は、左右方向を向いている。内側固定板部133は、縦枠13の屋内側の部分で内周側に配置されている。屋内側板部131の内周端部131sは、内側固定板部133よりも内周側に延びている。外側固定板部134は、内側固定板部133よりも左右方向の外側に内側固定板部133と間隔を空けて配置されている。外側固定板部134は、板状に形成されている。外側固定板部134の板面は、左右方向を向いている。外側板部135は、外側固定板部134の左右方向の外側に外側固定板部134と間隔を空けて配置されている。外側板部135は、板状に形成されている。外側板部135の板面は、左右方向を向いている。
【0028】
屋内側板部131、中間板部132、外側固定板部134及び外側板部135によって、中空に形成された中空部S3が形成されている。中空部S3は、屋内側板部131に面して屋内側板部131の屋外側に配置されている。中空部S3は、外側固定板部134に面して外側固定板部134の左右方向の外側に配置されている。中空部S3は、縦枠13の長さ方向の略全長にわたって形成されている。
【0029】
中間板部132には、内側固定板部133と外側固定板部134との間の位置に、屋内外方向に貫通する係止孔132hが形成されている。係止孔132hには、気密材83の気密係止部831が挿入され、中間板部132の係止孔132hの左右に係止されている。気密材83の気密部832は、気密係止部831から屋外側に突出している。気密部832は、縦枠13の中間板部132の屋外側を向く面132bに沿って配置されている。気密部832は、障子2の縦框23の屋内側を向く面に当たっている。気密材83によって、縦枠13と縦框23との間が封止されている。
【0030】
図1及び
図2に示すように、網戸3は、枠体1の内側に、障子2よりも屋内側に配置されている。網戸3は、枠体1に支持されている。網戸3は、網戸上枠31と、一対の網戸縦枠33,33と、網戸本体4と、一対の横縁部材42,42と、一対の縦縁部材43,43と、を有している。
【0031】
網戸上枠31は、左右方向に延びている。網戸縦枠33は、上下方向に延びている。網戸上枠31及び網戸縦枠33は、アルミ合金等の金属製である。網戸上枠31及び網戸縦枠33は樹脂製であってもよく、網戸上枠31及び網戸縦枠33を形成する材料は適宜設定可能である。網戸上枠31及び網戸縦枠33は、特許請求の範囲の網戸枠材に対応する。
【0032】
図3に示すように、網戸上枠31は、上枠11の内側固定板部113の下側に配置されている。網戸上枠31は、屋内側溝壁部311と、屋外側溝壁部312と、底壁部313と、を有している。
【0033】
屋内側溝壁部311は、板状に形成されている。屋内側溝壁部311の板面は、屋内外方向を向いている。屋内側溝壁部311は、網戸上枠31の屋内に面する位置に配置されている。屋外側溝壁部312は、屋内側溝壁部311の屋外側に屋内側溝壁部311と間隔を空けて配置されている。屋外側溝壁部312は、板状に形成されている。屋外側溝壁部312の板面は、屋内外方向を向いている。底壁部313は、屋内側溝壁部311の上下方向の中間と屋外側溝壁部312の上下方向の中間とを連結している。底壁部313は、板状に形成されている。底壁部313の板面は、上下方向を向いている。
【0034】
屋内側溝壁部311、屋外側溝壁部312及び底壁部313によって、内周側である下方に開口する網戸溝部315が形成されている。屋内側溝壁部311には、屋外側に向かって突出する係合突部311aが設けられている。屋外側溝壁部312には、屋内側に向かって突出する係合突部312aが設けられている。一対の係合突部311a,312aは、屋内外方向に隙間を空けて対向して配置されている。一対の係合突部311a,312aは、網戸溝部315の入り口を狭めている。係合突部311aの先端面311b及び係合突部312aの先端面312bは、網戸溝部315の外側に向けて広がるテーパー状に形成されている。
【0035】
屋内側溝壁部311の上端部311uは、底壁部313よりも上方に延びている。屋内側溝壁部311の上端部311uは、上枠11の内周端部111dの屋内側に配置されている。屋外側溝壁部312の上端部314は、底壁部313よりも上方に延びている。屋内側溝壁部311の上端部311uは、屋内側に折曲されている。底壁部313には、上下方向に貫通する取付孔313hが形成されている。
【0036】
上枠11の内側固定板部113の下面113dと網戸上枠31の屋外側溝壁部312の上端部314の上面314uとの間には、スペーサ86が配置されている。スペーサ86は、2枚の板材で形成されている。スペーサ86を構成する板材の厚さ、枚数は、上枠11の内側固定板部113と網戸上枠31の屋外側溝壁部312の上端部314との間の距離に応じて適宜設定可能である。上枠11の内側固定板部113の下面113dは、特許請求の範囲の建具枠材の内周面に対応する。網戸上枠31の屋外側溝壁部312の上端部314の上面314uは、特許請求の範囲の網戸枠材の外周面に対応する。
【0037】
図6に示すように、網戸上枠31は、螺子87で上枠11に着脱可能に固定されている。
図3に示すように、螺子87は、網戸上枠31の底壁部313の取付孔313hに挿通され、スペーサ86の切り欠きに挿通されて、上枠11の内側固定板部113及び外側固定板部114の螺子孔に螺合されている。螺子87の頭部は、網戸上枠31の底壁部313の取付孔313hの下側に係止されている。螺子87が締め付けられることによって、スペーサ86は、網戸上枠31の屋外側溝壁部312の上端部314と上枠11の内側固定板部113との間に挟み込まれている。
【0038】
図6に示すように、網戸上枠31の左右方向の両端部には、端部キャップ35がとりつけられている。
【0039】
図5に示すように、網戸縦枠33は、縦枠13の内側固定板部133の左右方向の内側に配置されている。網戸縦枠33は、屋内側溝壁部331と、屋外側溝壁部332と、底壁部333と、を有している。
【0040】
屋内側溝壁部331は、板状に形成されている。屋内側溝壁部331の板面は、屋内外方向を向いている。屋内側溝壁部331は、網戸縦枠33の屋内に面する位置に配置されている。屋外側溝壁部332は、屋内側溝壁部331の屋外側に屋内側溝壁部331と間隔を空けて配置されている。屋外側溝壁部332は、板状に形成されている。屋外側溝壁部332の板面は、屋内外方向を向いている。底壁部333は、屋内側溝壁部331の左右方向の中間と屋外側溝壁部332の左右方向の中間とを連結している。底壁部333は、板状に形成されている。底壁部333の板面は、左右方向を向いている。
【0041】
屋内側溝壁部331、屋外側溝壁部332及び底壁部333によって、内周側である左右方向の内側に開口する網戸溝部335が形成されている。屋内側溝壁部331には、屋外側に向かって突出する係合突部331aが設けられている。屋外側溝壁部332には、屋内側に向かって突出する係合突部332aが設けられている。一対の係合突部331a,332aは、屋内外方向に隙間を空けて対向して配置されている。一対の係合突部331a,332aは、網戸溝部335の入り口を狭めている。係合突部331aの先端面331b及び係合突部332aの先端面332bは、網戸溝部335の外側に向けて広がるテーパー状に形成されている。
【0042】
屋内側溝壁部331の左右方向の外側の端部331sは、底壁部333よりも左右方向の外側に延びている。屋内側溝壁部331の端部331sは、縦枠13の内周端部131sの屋内側に配置されている。屋外側溝壁部332の左右方向の外側の端部334は、底壁部333よりも左右方向の外側に延びている。屋外側溝壁部332の端部334は、屋内側に折曲されている。底壁部333には、上下方向に貫通する取付孔333hが形成されている。
【0043】
縦枠13の内側固定板部133の左右方向の内側を向く面133sと網戸縦枠33の屋外側溝壁部332の端部334の左右方向の外側を向く面334sとの間には、スペーサ86が配置されている。スペーサ86は、1枚の板材で形成されている。スペーサ86を構成する板材の厚さ、枚数は、縦枠13の内側固定板部133と網戸縦枠33の屋外側溝壁部332の端部334との間の距離に応じて適宜設定可能である。縦枠13の内側固定板部133の面133sは、特許請求の範囲の建具枠材の内周面に対応する。網戸縦枠33の屋外側溝壁部332の端部334の面334sは、特許請求の範囲の網戸枠材の外周面に対応する。
【0044】
図7に示すように、網戸縦枠33は、螺子87で縦枠13に着脱可能に固定されている。
図5に示すように、螺子87は、網戸縦枠33の底壁部333の取付孔333hに挿通され、スペーサ86の切り欠きに挿通されて、縦枠13の内側固定板部133及び外側固定板部134の螺子孔に螺合されている。螺子87の頭部は、網戸縦枠33の底壁部333の取付孔333hの左右方向の内側に係止されている。螺子87が締め付けられることによって、スペーサ86は、網戸縦枠33の屋外側溝壁部332の端部334と縦枠13の内側固定板部133との間に挟み込まれている。
【0045】
図1及び
図2に示すように、網戸本体4は、網材41を有している。網材41は、矩形状に形成されている。
図1に示すように、一対の横縁部材42,42は、網材41の上端部及び下端部に設けられている。横縁部材42は、左右方向に延びている。
図2に示すように、一対の縦縁部材43,43は、網材41の左右方向の両端部に設けられている。縦縁部材43は、上下方向に延びている。網材41の上端部に設けられる横縁部材42は、特許請求の範囲の押さえ部材に対応する。
【0046】
図3に示すように、網材41の上端部には、網材係止部材411が固定されている。網材係止部材411は、網戸上枠31の網戸溝部315内において、一対の係合突部311a,312aの上側に配置されている。網材係止部材411を網戸溝部315内に挿入する際には、網材係止部材411を斜めにしたり、変形させたりして挿入する。挿入された後の状態で、網材係止部材411の屋内外方向の長さ寸法が網戸溝部315の一対の係合突部311a,312aの隙間の寸法よりも長いため、網材係止部材411は一対の係合突部311a,312aに係止される。
【0047】
横縁部材42は、網戸上枠31の網戸溝部315に嵌合することで、網戸上枠31に取り付けられている。横縁部材42は、樹脂で形成されている。横縁部材42は、下方に開口する略J字状をしている。横縁部材42は、一対の側板部421a,421bと、底板部422と、延出板部423と、を有している。
【0048】
一対の側板部421a,421bは、屋内外方向に離れて対向して配置されている。側板部421aは、網戸溝部315内において屋内側寄りに配置されている。側板部421bは、網戸溝部315内において屋外側寄りに配置されている。底板部422は、一対の側板部421a,421bの上端部どうしを連結している。延出板部423は、側板部421aから下方に延びている。延出板部423の下端部には、屋内外方向に張り出した位置規制部426が設けられている。
【0049】
側板部421aは、網戸溝部315の係合突部311aの先端面311bに係止されている。側板部421bは、網戸溝部315の係合突部312aの先端面312bに係止されている。側板部421bと係合突部312aとの間には、網材41が挟み込まれている。位置規制部426の先端部は、網材41を屋外側に押している。これによって、網材41が屋内外方向の所定の位置を維持するようにして、網材41の上部が網戸上枠31に取り付けられている。網材係止部材411及び網材41における側板部421bと係合突部312aとの間に挟み込まれている部分は、特許請求の範囲の網戸本体の縁部に対応する。
【0050】
網戸上枠31の屋内側溝壁部311の下面311d及び屋外側溝壁部312の下面312dは、上框21の下面21dよりも外周側である上側に配置されている。網戸上枠31に取り付けられた位置規制部426は、上框21の下面21dよりも上側に配置されている。屋内側溝壁部311の下面311d及び屋外側溝壁部312の下面312dは、特許請求の範囲の網戸枠材の屋内外方向に沿う内周面に対応する。上框21の下面21dは、特許請求の範囲の框材の屋内外方向に沿う内周面に対応する。
【0051】
図4に示すように、下側の横縁部材42は、
図3に示す上側の横縁部材42を上下方向に対称にして配置した構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。網材41の下端部には、網材係止部材411が固定されている。網材係止部材411は、下枠12の網戸嵌合溝部125内において、一対の係合突部121a,122aの下側に配置されている。網材係止部材411を網戸嵌合溝部125内に挿入する際には、網材係止部材411を斜めにしたり、変形させたりして挿入する。挿入された後の状態で、網材係止部材411の屋内外方向の長さ寸法が網戸嵌合溝部125の一対の係合突部121a,122aの隙間の寸法よりも長いため、網材係止部材411は一対の係合突部121a,122aに係止される。
【0052】
横縁部材42は、下枠12の網戸嵌合溝部125に嵌合することで、下枠12に取り付けられている。側板部421aは、網戸嵌合溝部125の係合突部121aの先端面121bに係止されている。側板部421bは、網戸嵌合溝部125の係合突部122aの先端面122bに係止されている。側板部421bと係合突部122aとの間には、網材41が挟み込まれている。位置規制部426の先端部は、網材41を屋外側に押している。これによって、網材41が屋内外方向の所定の位置を維持するようにして、網材41の下部が下枠12に取り付けられている。
【0053】
図5に示すように、縦縁部材43は、屋内外方向を軸線方向として
図4に示す下側の横縁部材42を90°回転させて配置した構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。左右反対側の縦縁部材43は、
図5に示す縦縁部材43を左右方向に対称に配置した構成であり、説明を省略する。
【0054】
網材41の左右方向の端部には、網材係止部材412が固定されている。網材係止部材412は、縦縁部材43の側板部421aから側板部421b側に延びる係止突起425に係止されている。縦縁部材43は、特許請求の範囲の係止部材に対応する。網材係止部材412は、特許請求の範囲の網戸本体の縁部に対応する。
【0055】
側板部421aは、網戸溝部335の係合突部331aの先端面331bに係止されている。側板部421bは、網戸溝部335の係合突部332aの先端面332bに係止されている。位置規制部426の先端部は、網材41を屋外側に押している。これによって、網材41が屋内外方向の所定の位置を維持するようにして、網材41の左右方向の端部が網戸縦枠33に取り付けられている。
【0056】
網戸縦枠33の屋内側溝壁部331の左右方向の内側を向く面331t及び屋外側溝壁部332の左右方向の内側を向く面332tは、縦框23の左右方向の内側を向く面23sよりも外周側である左右方向の内側に配置されている。網戸縦枠33に取り付けられた位置規制部426は、縦框23の面23sよりも左右方向の内側に配置されている。網戸縦枠33の面331t及び屋外側溝壁部332の面332tは、特許請求の範囲の網戸枠材の屋内外方向に沿う内周面に対応する。縦框23の面23sは、特許請求の範囲の框材の屋内外方向に沿う内周面に対応する。
【0057】
このように構成された建具100では、網戸3の上部では、網戸上枠31の屋内側溝壁部311の下面311d及び屋外側溝壁部312の下面312dは、上框21の下面21dよりも外周側である上側に配置されている。網戸上枠31に取り付けられた位置規制部426は、上框21の下面21dよりも上側に配置されている。屋外側から見ると、網戸上枠31の屋内側溝壁部311の下面311d、屋外側溝壁部312の下面312d及び網戸上枠31に取り付けられた位置規制部426は、上框21で隠れるため、屋外側から見てスッキリしていて、網戸3の上部の外観を良好とすることができる。
【0058】
網戸3の左右方向の端部では、網戸縦枠33の屋内側溝壁部331の左右方向の内側を向く面331t及び屋外側溝壁部332の左右方向の内側を向く面332tは、縦框23の左右方向の内側を向く面23sよりも外周側である左右方向の内側に配置されている。網戸縦枠33に取り付けられた位置規制部426は、縦框23の面23sよりも左右方向の内側に配置されている。屋外側から見ると、網戸縦枠33の屋内側溝壁部331の面331t、屋外側溝壁部332の面332t及び網戸縦枠33に取り付けられた位置規制部426は、縦框23で隠れるため、屋外側から見てスッキリしていて、網戸3の左右方向の端部の外観を良好とすることができる。
【0059】
網戸上枠31は、上枠11に着脱可能に固定されている。網戸縦枠33は、縦枠13に着脱可能に固定されている。網戸3を設置しない場合には、網戸上枠31及び網戸縦枠33をそれぞれ上枠11及び縦枠13から取り外して、屋内側から見た内観を良好とすることができる。
【0060】
網戸上枠31及び網戸縦枠33は、螺子87でそれぞれ上枠11及び縦枠13に固定されている。網戸上枠31及び網戸縦枠33を上枠11及び縦枠13に容易に固定することができる。
【0061】
網戸上枠31の網戸溝部315に、網戸本体4の網材係止部材411が挿入されている。横縁部材42は、網材41の網材係止部材411の近傍の部分をを網戸溝部315の内部に押さえ付けている。横縁部材42によって、網材41の網材係止部材411の近傍の部分が網戸溝部315から外れることが抑制される。
【0062】
網戸本体4の網材係止部材412は、縦縁部材43に係止されている。縦縁部材43は、網戸縦枠33の網戸溝部335に係止されている。縦縁部材43によって、網戸本体4の網材係止部材412が、網戸溝部335から外れることが抑制される。
【0063】
上枠11の中空部S1及び縦枠13の中空部S3によって断熱性を高めることができる。
【0064】
中空部S1,S3には、それぞれ網戸上枠31及び網戸縦枠33を固定する螺子87の先端部が挿通されている。中空部S1,S3が形成されてることによって、螺子87で固定される網戸上枠31及び網戸縦枠33の剛性を高めることができる。
【0065】
上枠11の面112b及び縦枠13の面132bに設けられた気密材81,83が、それぞれ上框21及び縦框23に当たっているため、気密性を高めることができる。
【0066】
上枠11及び縦枠13において気密材81,83が設けられる近傍に中空部S1,S3が形成されている。開閉時に障子2が当たると上枠11及び縦枠13に負荷が作用するが、中空部S1,S3を形成することによって上枠11及び縦枠13を強固な構成とすることができる。
【0067】
上枠11の内側固定板部113の下面113dと網戸上枠31の屋外側溝壁部312の上端部314の上面314uとの間には、スペーサ86が配置されている。縦枠13の内側固定板部133の左右方向の内側を向く面133sと網戸縦枠33の屋外側溝壁部332の端部334の左右方向の外側を向く面334sとの間には、スペーサ86が配置されている。スペーサ86の厚さを調整して、網戸上枠31及び網戸縦枠33を最適な位置に取り付けることができる。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0069】
上記に示す実施形態では、建具100として、横滑り出し窓を例に挙げて説明したが、これに限られない。縦滑り出し窓等建具の種類は適宜設定可能である。
【0070】
上記に示す実施形態では、枠体1は中空部S1,S3を備えているが、これに限られない。枠体1は、中空部S1,S3を備えていなくてもよい。
【0071】
上記に示す実施形態では、枠体1と框体20との間には気密材81が設けられているが、これに限られない。枠体1と框体20との間には、気密材81が設けられていなくてもよい。
【0072】
本開示は以下の態様を含む。
(1)建具枠材と、前記建具枠材に支持された障子と、前記建具枠材に支持され、前記障子の屋内側に配置された網戸と、を備え、前記障子は、框材と、前記框材に支持されたパネル材と、を備え、前記網戸は、前記建具枠材に設けられた網戸枠材と、前記網戸枠材に支持された網戸本体と、を備え、前記網戸枠材の屋内外方向に沿う内周面は、前記框材の屋内外方向に沿う内周面よりも外周側に配置されている建具。
(2)前記網戸枠材は、前記建具枠材に着脱可能に固定されている前記(1)に記載の建具。
(3)前記網戸枠材は、螺子で前記建具枠材に固定されている前記(2)に記載の建具。
(4)前記網戸枠材は、内周側に向かって開口する網戸溝部を備え、前記網戸溝部には、前記網戸本体の縁部が挿入され、前記網戸は、前記網戸本体の縁部を前記網戸溝部の内部に押さえ付ける押さえ部材を備える前記(1)から前記(3)のいずれか一に記載の建具。
(5)前記網戸枠材は、内周側に向かって開口する網戸溝部を備え、前記網戸は、前記網戸本体の縁部が係止された係止部材を備え、前記係止部材は、前記網戸溝部に係止されている前記(1)から前記(3)のいずれか一に記載の建具。
(6)前記建具枠材は、中空に形成された中空部を備える前記(1)から前記(5)のいずれか一に記載の建具。
(7)前記建具枠材の屋外側を向く面には、気密材が設けられ、前記気密材は、前記框材に当たっている前記(1)から前記(6)のいずれか一に記載の建具。
(8)前記網戸は、前記建具枠材の内周面と前記網戸枠材の外周面との間に配置されたスペーサを備える前記(1)から前記(7)のいずれか一に記載の建具。
(9)前記建具枠材は、上枠及び縦枠であり、前記網戸枠材は、前記網戸本体の上部を支持する網戸上枠及び前記網戸本体の左右端部を支持する網戸縦枠である前記(1)から前記(8)のいずれか一に記載の建具。
(10)前記網戸本体の下部は、下枠に支持されている前記(1)から前記(9)のいずれか一に記載の建具。
【符号の説明】
【0073】
1 枠体、2 障子、3 網戸、4 網戸本体、11 上枠(建具枠材)、12 下枠、13 縦枠、21 上框(框材)、29 パネル材、31 網戸上枠(網戸枠材)、33 網戸縦枠、81,83 気密材、86 スペーサ、87 螺子、315,335 網戸溝部、S1,S3 中空部、100 建具(横滑り出し窓)