(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109082
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】スクリーンユニット、スクリーンユニットの組立方法、およびスクリーンユニットの分解方法
(51)【国際特許分類】
G03B 21/58 20140101AFI20240805BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20240805BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240805BHJP
G09F 19/18 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G03B21/58
G09F19/00 Z
H04N5/74 C
G09F19/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009863
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2023012712
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柘植 秀幸
【テーマコード(参考)】
2H021
5C058
【Fターム(参考)】
2H021AA02
2H021AA05
2H021BA01
5C058EA33
5C058EA38
(57)【要約】
【課題】非常に簡単に設置でき、可搬性が高く、投影面積の変更も容易であり、かつ高品質のスクリーンユニットを提供する。
【解決手段】スクリーンユニットは、平面スクリーンとして機能する複数のパネルと、前記複数のパネルを背面から保持して連結するフレームと、前記複数のパネルを連結した場合に、正面視して前記複数のパネルにまたがって配置される中間部材と、を有し、前記複数のパネルは、第1スクリーンシート、光を遮断する第1遮断膜、および基材を有し、前記中間部材は、前記第1スクリーンシートと同じ光学特性を有する第2スクリーンシート、および前記第1遮断膜と同じ光学特性を有する第2遮断膜を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面スクリーンとして機能する複数のパネルと、
前記複数のパネルを背面から保持して連結するフレームと、
前記複数のパネルを連結した場合に、正面視して前記複数のパネルにまたがって配置される中間部材と、
を有し、
前記複数のパネルは、第1スクリーンシート、光を遮断する第1遮断膜、および基材を有し、
前記中間部材は、前記第1スクリーンシートと同じ光学特性を有する第2スクリーンシート、および前記第1遮断膜と同じ光学特性を有する第2遮断膜を有する、
スクリーンユニット。
【請求項2】
前記第1遮断膜および前記第2遮断膜のうち少なくとも正面側は鏡面反射特性を有する、
請求項1に記載のスクリーンユニット。
【請求項3】
前記中間部材は、前記第2遮断膜の背面に、さらに磁性シートを備える、
請求項1または請求項2に記載のスクリーンユニット。
【請求項4】
前記基材は、それぞれ正面視した周辺部において、磁石が埋め込まれている、
請求項3に記載のスクリーンユニット。
【請求項5】
前記基材は、発泡部材からなる、
請求項1または請求項2に記載のスクリーンユニット。
【請求項6】
前記複数のパネルは、それぞれ正面および背面を連通する孔を有する、
請求項1または請求項2に記載のスクリーンユニット。
【請求項7】
前記孔は、多孔質材で埋められている、
請求項6に記載のスクリーンユニット。
【請求項8】
前記複数のパネルの背面に取り付けられるアクチュエータをさらに備える、
請求項1または請求項2に記載のスクリーンユニット。
【請求項9】
フレームを載置面に載置する手順と、
平面スクリーンとして機能する複数のパネルを、前記載置面に載置された前記フレームに取り付ける手順と、
正面視して、前記フレームに取り付けられた前記複数のパネルにまたがるように中間部材を配置する手順と、
を有し、
前記複数のパネルは、第1スクリーンシート、光を遮断する第1遮断膜、および基材を有し、
前記中間部材は、前記第1スクリーンシートと同じ光学特性を有する第2スクリーンシート、および前記第1遮断膜と同じ光学特性を有する第2遮断膜を有する、
スクリーンユニットの組立方法。
【請求項10】
前記フレームは、折りたたみ可能であり、
前記複数のパネルを前記フレームに取り付ける手順の前に、折りたたまれた状態の前記フレームを展開する手順をさらに有し、
前記複数のパネルは、前記フレームが展開された状態で、前記フレームに取り付けられる、
請求項9に記載のスクリーンユニットの組立方法。
【請求項11】
平面スクリーンとして機能する複数のパネルと、前記複数のパネルを背面から保持して連結するフレームと、正面視して前記複数のパネルにまたがって配置される中間部材と、を有するスクリーンユニットから、前記中間部材を取り外す手順と、
前記フレームから、前記複数のパネルを取り外す手順と、
を有し、
前記複数のパネルは、第1スクリーンシート、光を遮断する第1遮断膜、および基材を有し、
前記中間部材は、前記第1スクリーンシートと同じ光学特性を有する第2スクリーンシート、および前記第1遮断膜と同じ光学特性を有する第2遮断膜を有する、
スクリーンユニットの分解方法。
【請求項12】
前記フレームは、折りたたみ可能であり、
前記フレームから、前記複数のパネルを取り外す手順の後に、前記フレームを折りたたむ手順をさらに有する、
請求項11に記載のスクリーンユニットの分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一実施形態は、スクリーンユニット、スクリーンユニットの組立方法、およびスクリーンユニットの分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プロジェクタ1、スクリーン2、及びスクリーン2を設置するための保持体3を具備する映像装置が開示されている。特許文献1のスクリーン2は裏面に貼合した磁石シート6を有する。保持体3は複数の区分板4を、つなぎ目5を介して配置接合してなる。区分板4は磁石シート6に付着する手段を有する。映像装置は区分板4のつなぎ目5の段差及び/又は間隙に起因する磁石シート6の凹凸を平坦化するスクリーン平坦化手段12を具備する。
【0003】
特許文献2には、アルミ蒸着を施したロール式のスクリーンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-128611
【特許文献2】特開2008-40153
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスクリーンは、ロール状のシートであり、表面にしわが発生しないようにするため厚手で重量のあるシートになっている。そのため、従来のスクリーンの可搬性は低い。
【0006】
特許文献1の構成も、保持体に1枚の大きなスクリーンシートを張るため、扱いづらい。また、特許文献1の構成では、投影面積の変更ができない。
【0007】
本開示のひとつの態様は、非常に簡単に設置でき、可搬性が高く、投影面積の変更も容易であり、かつ高品質のスクリーンユニット、ならびに、このスクリーンユニットの組立方法およびスクリーンユニットの分解方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るスクリーンユニットは、平面スクリーンとして機能する複数のパネルと、前記複数のパネルを背面から保持して連結するフレームと、前記複数のパネルを連結した場合に、正面視して前記複数のパネルにまたがって配置される中間部材と、を有し、前記複数のパネルは、第1スクリーンシート、光を遮断する第1遮断膜、および基材を有し、前記中間部材は、前記第1スクリーンシートと同じ光学特性を有する第2スクリーンシート、および前記第1遮断膜と同じ光学特性を有する第2遮断膜を有する。
【0009】
本発明の一実施形態に係るスクリーンユニットの組立方法は、フレームを載置面に載置する手順と、平面スクリーンとして機能する複数のパネルを、前記載置面に載置された前記フレームに取り付ける手順と、正面視して、前記フレームに取り付けられた前記複数のパネルにまたがるように中間部材を配置する手順と、を有し、前記複数のパネルは、第1スクリーンシート、光を遮断する第1遮断膜、および基材を有し、前記中間部材は、前記第1スクリーンシートと同じ光学特性を有する第2スクリーンシート、および前記第1遮断膜と同じ光学特性を有する第2遮断膜を有する。
【0010】
本発明の一実施形態に係るスクリーンユニットの分解方法は、平面スクリーンとして機能する複数のパネルと、前記複数のパネルを背面から保持して連結するフレームと、正面視して前記複数のパネルにまたがって配置される中間部材と、を有するスクリーンユニットから、前記中間部材を取り外す手順と、前記フレームから、前記複数のパネルを取り外す手順と、を有し、前記複数のパネルは、第1スクリーンシート、光を遮断する第1遮断膜、および基材を有し、前記中間部材は、前記第1スクリーンシートと同じ光学特性を有する第2スクリーンシート、および前記第1遮断膜と同じ光学特性を有する第2遮断膜を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、非常に簡単に設置でき、可搬性が高く、投影面積の変更も容易であり、かつ高品質のスクリーンユニット、ならびに、このスクリーンユニットの組立方法およびスクリーンユニットの分解方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】パネル10を外した場合のフレーム13の斜視図である。
【
図4】2つのパネル10の正面図および側面図である。
【
図5】変形例1に係るパネル10の正面図および側面図である。
【
図6】変形例2に係る2つのパネル10を縦に並べた場合の正面図および側面図である。
【
図7】変形例3に係るパネル10の正面図および側面図である。
【
図8】変形例4に係るパネル10の正面図および側面図である。
【
図10】変形例6に係るパネル10の正面図である。
【
図11】変形例7に係るパネル10の正面図である。
【
図12】変形例8に係るパネルの10の正面図である。
【
図13】変形例9に係るパネルの10の正面図である。
【
図14】変形例10に係る2つのパネル10を縦に並べた場合の、2つのパネル10の対向する側面およびその近傍を示す側面図である。
【
図15】変形例11に係る2つのパネル10を縦に並べた場合の、2つのパネル10の対向する側面およびその近傍を示す側面図である。
【
図16】変形例12に係る2つのパネル10を縦に並べた場合の、2つのパネル10の対向する側面およびその近傍を示す側面図である。
【
図17】変形例13に係る2つのパネル10を縦に並べた場合の、2つのパネル10の対向する側面およびその近傍を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、スクリーンユニット1の斜視図である。スクリーンユニット1は、板状のパネル10と、フレーム13と、中間部材15と、を有する。
図1の例では、スクリーンユニット1は、12個のパネル10と、5個の中間部材15と、を有する。
【0014】
図2は、パネル10および中間部材15を外した場合のフレーム13の斜視図である。フレーム13は、ベース31、後面ブロック32、連結部材33、前面ブロック34、および連結フレーム35を備えている。
【0015】
前面ブロック34および後面ブロック32は、例えば直方体形状からなる。前面ブロック34は、板状のパネル10の四隅に対応して配置される。この例では、フレーム13は、20個の前面ブロック34を有し、これら20個の前面ブロック34を12個のパネル10の各四隅に配置する。20個の前面ブロック34のそれぞれの底面の1つは、板状のパネル10の四隅に取り付けられる。
【0016】
後面ブロック32は、例えば直方体形状からなる。フレーム13は、前面ブロック34と同じ数の20個の後面ブロック32を有する。連結部材33は、後面ブロック32および前面ブロック34を前後に連結する。
【0017】
ベース31は、フレーム13の最外周に配置されている14個の後面ブロック32を縦または横方向に並んで連結する。
【0018】
連結フレーム35は、後面ブロック32と前面ブロック34を縦または横方向に並んで連結する。例えば、図中の右上の前面ブロック34は、連結フレーム35を介して、フレーム13を正面視して縦方向の1つ下側の後面ブロック32に連結される。また、例えば、
図2中の右上の前面ブロック34は、連結フレーム35を介して、フレーム13を正面視して横方向の1つ左側の後面ブロック32に連結される。
【0019】
これにより、フレーム13は、20個の後面ブロック32および前面ブロック34を安定して連結する。フレーム13を正面視して縦方向の一番下に配置された5つの後面ブロック32および前面ブロック34は、床等の載置面に載置される。よって、フレーム13は、20個の前面ブロック34のそれぞれの底面の1つを正面に向けて配置し、自立する。
【0020】
なお、ベース31は、中央で折れ曲がる。また、2つの連結フレーム35は、縦または横方向に並ぶ後面ブロック32および前面ブロック34の中央で回転可能に接続される。これにより、フレーム13は、小さく折りたたむことができる。
【0021】
図3は、パネル10の正面図および側面図である。
図3の左側に示す図は、パネル10の正面図であり、右側に示す図は、パネル10の左側面図である。他の個別パネルも
図3に示すパネル10と同じ構成を有する。
【0022】
パネル10は、第1スクリーンシート71、第1アルミ蒸着層73、板材75、および磁石77を有する。
【0023】
第1スクリーンシート71は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、あるいはポリ塩化ビニル等の樹脂素材からなる。第1スクリーンシート71の正面側は白色コーティングされていて、投影機の映像を投影する。これにより、パネル10は、平面スクリーンとして機能する。
【0024】
第1アルミ蒸着層73は、本発明の第1遮断膜の一例であり、第1スクリーンシート71の背面に蒸着されている。第1アルミ蒸着層73は、第1スクリーンシート71の背面からの外光を遮断する。よって、第1アルミ蒸着層73は、第1スクリーンシート71に投影される映像の品質を向上させる。
【0025】
なお、
図3では説明のために第1アルミ蒸着層73と第1スクリーンシート71の厚みは同じ程度に示しているが、第1アルミ蒸着層73の厚みは数nm~数百nm程度であり、第1スクリーンシート71の厚みは数μm~数百μmである。
【0026】
板材75は、本発明の基材の一例であり、金属、樹脂、または木等の材料からなる平板状の部材である。板材75の厚みは数cm~数十cmである。一例として、本実施形態の板材75は、発泡スチロール等の発泡部材からなる。板材75は、発泡部材からなるため、体積に対して非常に軽量になる。そのため、イベントの運営者は、パネル10を容易に持ち運ぶことができる。
【0027】
板材75の正面と第1スクリーンシート71の背面は、粘着剤(不図示)を介して貼り付けられる。
【0028】
板材75を正面視した周辺部(この例では四隅)には、磁石77が埋め込まれている。前面ブロック34が磁性体である場合、パネル10は、磁石77により前面ブロック34に吸着する。なお、パネル10をフレーム13に取り付ける手法は、磁石による吸着に限らない。例えば、パネル10は、面ファスナーにより前面ブロック34に取り付けてもよい。あるいは、パネル10は、前面ブロック34の後面からネジ止めすることで取り付けてもよい。ただし、パネル10は、磁石により前面ブロック34に吸着することで、取り外しおよび取り付けが容易になる。
【0029】
前面ブロック34は、パネル10を取り付けるためのガイドになると同時にパネル10を保持する保持部材として機能する。これにより、前面ブロック34は、パネル10が落下したりずれたりすることを防止することができる。イベントの運営者は、
図2に示した状態のフレーム13に12個のパネル10を吸着させることで、スクリーンユニット1を構成する。
【0030】
スクリーンユニット1は、複数のパネル10に分解することができる。また、フレーム13は、小さく折りたたむことができる。したがって、イベントの運営者は、会場の狭い入口等からもスクリーンユニット1を容易に持ち込むことができる。また、フレーム13は自立するため、スクリーンを吊り下げたり固定したりするための構造物は不要である。また、スクリーンユニット1は、会場やイベントの内容に応じて自由にサイズや画角(縦横比)を変更することができる。イベントの運営者は、任意の数のパネル10を用意することで、会場やイベントの内容に合わせた最適な大きさや画角(縦横比)のスクリーンを簡単に設置することができる。
【0031】
そして、スクリーンユニット1は、複数のパネル10を連結した場合に、正面視して複数のパネルにまたがって配置される中間部材15を備える。
図1の例では、スクリーンユニット1は、12個のパネル10を連結した場合に、隣接するパネル10の隙間を塞ぐように、17個の長方形状の中間部材を備える。
【0032】
なお、スクリーンユニット1は、3つのパネル10を縦に連結した長さと同じ長さを持つ中間部材15と、4つのパネル10を横に連結した長さと同じ長さを持つ中間部材15と、を備え、隣接するパネル10の隙間を塞いでもよい。
【0033】
図4は、2つのパネル10を縦に並べた場合の正面図および側面図である。
図4の左側に示す図は、2つのパネル10を縦に並べた場合の正面図であり、右側に示す図は、2つのパネル10を縦に並べた場合の左側面図である。
図4では説明のために中間部材15の厚みを厚く示しているが、実際には中間部材15の厚みは非常に薄く、数μm~数百μm程度である。
【0034】
中間部材15は、第2スクリーンシート51、第2アルミ蒸着層53、および磁性シート55を備えている。第2スクリーンシート51は、第1スクリーンシート71と同じ光学特性を有する。
【0035】
第2アルミ蒸着層53は、本発明の第2遮断膜の一例であり、第2スクリーンシート51の背面側に蒸着されている。第2アルミ蒸着層53は、第2スクリーンシート51の背面からの外光を遮断する。よって、第2アルミ蒸着層53は、第2スクリーンシート51に投影される映像の品質を向上させる。第2アルミ蒸着層53は、第1アルミ蒸着層73と同じ光学特性を有する。
【0036】
なお、本発明における同じ光学特性とは、完全に同じ特性を意味するのではなく、本発明の効果を発揮する程度に同じ特性を意味する。
【0037】
第2スクリーンシート51は、第1スクリーンシート71と同じく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、あるいはポリ塩化ビニル等の樹脂素材からなる。第1スクリーンシート71の正面側は白色コーティングされている。ただし、第2スクリーンシート51は、第1スクリーンシート71と同じ素材である必要はない。
【0038】
磁性シート55は、第2スクリーンシート51の背面に粘着剤(不図示)を介して貼り付けられる。第2スクリーンシート51は、磁性シート55により、板材75の磁石77に吸着される。これにより、中間部材15は、粘着剤や両面テープを用いることなく、磁力により簡単にパネル10の境界に取り付けたり、取り外したりすることができる。
【0039】
第1スクリーンシート71および第2スクリーンシート51は同じ光学特性を有し、第1アルミ蒸着層73および第2アルミ蒸着層53は同じ光学特性を有する。これにより、複数のパネル10により構成されるスクリーンユニット1の正面は、全て同じ光学特性となる。したがって、イベント参加者等の利用者は、新たな顧客体験として、複数のパネル10間の隙間を全く気にすることなく投影機の映像だけを見ることができ、非常に高いイベントへの没入感を得ることができる。また、イベントの運営者は、新たな顧客体験として、高品質なスクリーンユニットを非常に簡単に設置でき、簡単に持ち運ぶことができ、かつ投影面積の変更も容易となる。
【0040】
また、中間部材15の厚みは非常に薄く、数μm~数百μm程度であり、かつ第1スクリーンシート71および第2スクリーンシート51は同じ光学特性を有し、第1アルミ蒸着層73および第2アルミ蒸着層53は同じ光学特性を有する。そのため、イベント参加者等の利用者は、スクリーンユニット1を斜めから見ても中間部材15とパネル10の境界を視認することは困難である。これにより、イベント参加者等の利用者は、新たな顧客体験として、中間部材15を全く気にすることなく投影機の映像だけを見ることができ、非常に高いイベントへの没入感を得ることができる。
【0041】
上記実施形態では、第1遮断膜である第1アルミ蒸着層73および第2遮断膜である第2アルミ蒸着層53の正面側は鏡面反射特性を有する。これにより、第1遮断膜および第2遮断膜の正面側は、第1スクリーンシート71および第2スクリーンシート51から背面側に漏れる光を反射して、第1スクリーンシート71および第2スクリーンシート51に投影される映像の品質を向上させる。ただし、第1遮断膜および第2遮断膜の正面側は鏡面反射特性を有することは必須ではない。例えば、スクリーンユニット1は、第1遮断膜のみ鏡面反射特性を有していてもよいし、第2遮断膜のみ鏡面反射特性を有していてもよい。
【0042】
なお、第1遮断膜および第2遮断膜は、アルミ蒸着層に限られない。例えば、第1遮断膜および第2遮断膜は、黒幕や、クロマキー合成で用いられる厚手幕等の幕でもよい。また、第1遮断膜および第2遮断膜は、例えば、アルミ箔等の金属箔でもよい。金属箔が用いられた場合、パネル10の防炎性、耐熱性および耐湿性を向上させることができる。なお、本実施形態の第1遮断膜および第2遮断膜の遮光率は、例えば、99.40%以上である。なお、遮光率は、99.80%以上でもよいし、99.99%以上でもよい。
【0043】
次に、本実施形態のスクリーンユニット1の組立方法および分解方法について説明する。
【0044】
スクリーンユニット1は、次の手順を含む方法によって組み立てられてもよい。
【0045】
(手順1)フレーム13を載置面に載置する手順、
(手順2)平面スクリーンとして機能する複数のパネル10を、載置面に載置されたフレーム13に取り付ける手順、および
(手順3)正面視して、フレーム13に取り付けられた複数のパネル10にまたがるように中間部材15を配置する手順。
【0046】
また、上述のように、フレーム13は、折りたたみ可能である。このため、スクリーンユニット1の組立方法は、上記手順1または上記手順2の前に、折りたたまれた状態のフレーム13を展開する手順をさらに有してもよい。この方法によれば、スクリーンユニット1を、より簡単に持ち運ぶことができる。
【0047】
スクリーンユニット1は、次の手順を含む方法によって分解されてもよい。
【0048】
(手順4)組み立てられたスクリーンユニット1から、中間部材15を取り外す手順、および
(手順5)フレーム13から、複数のパネル10を取り外す手順。
【0049】
また、上述のように、フレーム13は、折りたたみ可能である。このため、スクリーンユニット1の分解方法は、上記手順5の後に、フレーム13を折りたたむ手順をさらに有してもよい。この方法によれば、スクリーンユニット1を、より簡単に持ち運ぶことができる。
【0050】
図5は、変形例1に係るパネル10の正面図および側面図である。上記実施形態では、磁石77は、板材75の四隅に埋め込まれていた。変形例1に係るパネル10の磁石77は、板材75を正面視した周辺部の全て(四辺および四隅)に埋め込まれている。
【0051】
これにより、中間部材15は、全面で第1スクリーンシート71に吸着される。そのため、中間部材15が第1スクリーンシート71から浮き上がることを防止できる。したがって、イベント参加者等の利用者は、新たな顧客体験として、中間部材15を全く気にすることなく投影機の映像だけを見ることができ、さらに高いイベントへの没入感を得ることができる。
【0052】
図6は、変形例2に係る2つのパネル10を縦に並べた場合の正面図および側面図である。変形例2において、第1スクリーンシート71の正面には、さらに第3スクリーンシート79が貼り付けられている。第3スクリーンシート79は、例えば粘着剤で第1スクリーンシート71の正面に貼り付けられる。第3スクリーンシート79は、第1スクリーンシート71と同様に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、あるいはポリ塩化ビニル等の樹脂素材からなる。第1スクリーンシートの正面側は白色コーティングされている。第1スクリーンシート71および第3スクリーンシート79は同じ光学特性を有する。
【0053】
第3スクリーンシート79は、正面視して第1スクリーンシート71の面積よりも小さい面積を有する。そのため、パネル10を正面視すると、第3スクリーンシート79の外周部から第1スクリーンシート71が露出する。
【0054】
中間部材15は、複数のパネル10を並べた時に第1スクリーンシート71が露出する部分を覆うように、第1スクリーンシート71に貼り付けられる。第3スクリーンシート79の高さ(厚み)は、中間部材15の高さ(厚み)と同じである。そのため、中間部材15および第3スクリーンシート79の前面は同じ高さになる。よって、投影機の光を斜めに照射しても全く影を発生させない。
【0055】
したがって、イベント参加者等の利用者は、新たな顧客体験として、中間部材15を全く気にすることなく投影機の映像だけを見ることができ、さらに高いイベントへの没入感を得ることができる。
【0056】
図7は、変形例3に係るパネル10の正面図および側面図である。変形例3に係るパネル10は、正面視して多数の孔91が設けられている。
図7の例ではパネル10は、正面視して11行および11列の孔91を備える。孔91は、正面視して円形状である。ただし、孔91の数および形状は
図7の例に限らない。孔91は、第1スクリーンシート71、第1アルミ蒸着層73、および板材75を正面から背面まで貫通する。これによりパネル10は、背面と正面とを音響的に連通している。
【0057】
したがって、複数のパネル10により構成されるスクリーンユニット1の背面にスピーカを置いた場合に、当該スピーカから出力される音は、孔91を介してスクリーンユニット1の正面に到達する。イベント参加者等の利用者は、新たな顧客体験として、スクリーンユニット1の正面から到来する音を体感することができる。
【0058】
また、孔91には、不織布またはスポンジ等の多孔質材93が充填されていてもよい。多孔質材93は、孔91における音の通過を阻害しない。多孔質材93は、第1スクリーンシート71と同じ光学特性を有する。これにより、スクリーンユニット1の正面は、全て同じ光学特性となる。したがって、イベント参加者等の利用者は、新たな顧客体験として、スクリーンユニット1の正面から到来する音を体感し、かつ投影機の映像を自然に見ることができる。
【0059】
図8は、変形例4に係るパネル10の正面図および側面図である。変形例4に係るパネル10の背面には、アクチュエータ92が取り付けられている。アクチュエータ92は、例えば圧電振動子またはモータ振動子からなる。アクチュエータ92は、音信号を入力し、該音信号に応じてパネル10を振動させる。これにより、パネル10は、スピーカとして機能する。
【0060】
図9~13は、それぞれ、変形例5~9に係るパネル10の正面図である。
図5に示す変形例1では、磁石77は、板材75を正面視した周辺部の全て(四辺および四隅)に埋め込まれていた。変形例5~9に係るパネル10の磁石77は、板材75を正面視した周辺部において、四隅を除く四辺に沿って埋め込まれている。
【0061】
図9に示すように、変形例5に係るパネル10の磁石77は、板材75を正面視した周辺部において、四隅を除く四辺に埋め込まれている。これにより、変形例1と同様に、中間部材15を、ほぼ全面で第1スクリーンシート71に吸着することができる。また、変形例1と比較して、パネル10を軽量化することができる。
【0062】
図10に示すように、変形例6に係るパネル10の磁石77には、変形例5の磁石77と比較して、板材75を正面視した場合の内側に、複数の矩形の切欠きが形成されている。
【0063】
図11に示すように、変形例7に係るパネル10の磁石77には、変形例5の磁石77と比較して、板材75を正面視した場合の内側に、複数のV字形状の切欠きが形成されている。
【0064】
図12に示すように、変形例8に係るパネル10の磁石77は、板材75を正面視した周辺部の四隅を除く四辺の各々において、対応する辺と直交する方向に関して間隔を空けて埋め込まれている。言い換えると、変形例8の磁石77には、変形例5の磁石77と比較して、四辺に沿ったスリットが形成されている。
【0065】
図13に示すように、変形例9に係るパネル10の磁石77は、板材75を正面視した周辺部の四隅を除く四辺の各々において、対応する辺に沿って間隔を空けて埋め込まれている。言い換えると、変形例9の磁石77には、変形例5の磁石77と比較して、四辺に沿って空隙が形成されている。
【0066】
変形例6~9に係るパネル10によれば、変形例1と同様に、中間部材15を、ほぼ全面で第1スクリーンシート71に吸着することができる。また、変形例5と比較して、パネル10をさらに軽量化することができる。
【0067】
図14~17は、それぞれ、変形例10~13に係る2つのパネル10を縦に並べた場合の、2つのパネル10の対向する側面およびその近傍を示す側面図である。上記実施形態では、パネル10の四つの側面は、パネル10の前面および後面と直交する平面で形成されていた。変形例10~13に係るパネル10は、パネル10の四つの側面が上記実施形態とは異なる形状を有している。
【0068】
図14に示す変形例10に係るパネル10では、側面視において、側面に段差が形成されている。
図15に示す変形例11に係るパネル10では、側面視において、側面が傾斜して形成されている。
図16に示す変形例12に係るパネル10では、側面視において、側面の一部が突出して形成されている。
図17に示す変形例13に係るパネル10は、側面視において、側面が湾曲して形成されている。
【0069】
変形例10~13に係るパネル10によれば、隣接するパネル10同士の端部を重ねて配置することができるため、隣接するパネル10の隙間の発生を抑制しつつフレーム13に取り付けることができる。
【0070】
したがって、イベント参加者等の利用者は、新たな顧客体験として、スクリーンユニット1の正面から到来する音を体感し、かつ投影機の映像を自然に見ることができる。本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0071】
1 :スクリーンユニット
10 :パネル
13 :フレーム
15 :中間部材
31 :ベース
32 :後面ブロック
33 :連結部材
34 :前面ブロック
35 :連結フレーム
51 :第2スクリーンシート
53 :第2アルミ蒸着層
55 :磁性シート
71 :第1スクリーンシート
73 :第1アルミ蒸着層
75 :板材
77 :磁石
79 :第3スクリーンシート
91:孔
92:アクチュエータ
93:多孔質材