(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109084
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】被覆管コーティング装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/32 20060101AFI20240805BHJP
C23C 14/14 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C23C14/32 Z
C23C14/14 D
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009888
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0013236
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】597060645
【氏名又は名称】コリア アトミック エナジー リサーチ インスティテュート
【氏名又は名称原語表記】KOREA ATOMIC ENERGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】金 鉉佶
(72)【発明者】
【氏名】金 成恩
(72)【発明者】
【氏名】洪 鐘大
(72)【発明者】
【氏名】呉 洪烈
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA02
4K029BA21
4K029CA03
4K029DD06
4K029JA01
4K029JA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被覆管へのコーティング効率を上げ、長さ方向と円周方向にコーティング厚さに偏差が少なく、コーティング速度を向上させることができる、被覆管コーティング装置を提供する。
【解決手段】被覆管コーティング装置10は、アークイオンプレーティングを利用したジルコニウム合金コーティング環境を作るチャンバー部12、チャンバー部内に備えられてコーティング対象体である複数の被覆管20が収容される回転支持部100、そして回転支持部に収容された複数の被覆管に向かってチャンバー部に備えられ、アーキング現象により耐酸化物質が溶融して蒸発されながらイオン化されるターゲット部14を含み、回転支持部は、複数の被覆管が回転支持される回転台を複数含み、複数の被覆管の回転速度が予め設定された速度で一定になるように回転台を支持し、複数の被覆管の長さ方向と円周方向にコーティング厚さを均一に維持するように回転台を支持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アークイオンプレーティングを利用したジルコニウム合金コーティング環境を作るチャンバー部、
前記チャンバー部内に備えられてコーティング対象体である複数の被覆管が収容される回転支持部、及び
前記回転支持部に収容された複数の被覆管に向かって前記チャンバー部に備えられ、アーキング現象により耐酸化物質が溶融して蒸発しながらイオン化されるターゲット部、を含み、
前記回転支持部は、
前記複数の被覆管が回転支持される回転台を複数含み、前記複数の被覆管の回転速度が予め設定された速度で一定になるように回転台を支持し、前記複数の被覆管の長さ方向と円周方向にコーティング厚さを均一に維持するように回転台を支持する被覆管コーティング装置。
【請求項2】
前記回転支持部は、
予め設定された第1サイズの下部を含み、高さ方向の第1中心軸結合で連結される上部を含み、円周方向に沿って装着空間を形成し、外力の伝達により回転する第1回転台、及び
前記第1回転台の円周方向に沿って複数備えられ、予め設定された第2サイズの下部を含み、高さ方向の第2中心軸結合で連結される上部を含み、複数の被覆管装着空間を形成し、前記第1回転台の回転に連動して回転する第2回転台、を含む、請求項1に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項3】
前記第1回転台は、
下側に備えられて前記第1中心軸の下部を支持する第11回転板、及び
前記第11回転板の上側に備えられて前記第1中心軸の上部を支持する第12回転板、を含む、請求項2に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項4】
前記第12回転板は円周方向に沿って予め設定された間隔で離隔形成されて、該当する軸が取り付けられるように軸取付溝を含む、請求項3に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項5】
前記回転支持部は、
前記第1回転台の一側に備えられて前記第1回転台に伝達される回転駆動力を発生する駆動部をさらに含む、請求項2に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項6】
前記回転支持部は、
前記駆動部と前記第1回転台との間、そして前記第1回転台と前記第2回転台との間に備えられて、前記駆動部の回転駆動力を伝達する動力伝達部をさらに含む、請求項5に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項7】
前記動力伝達部は、
前記駆動部の回転速度を減速する第1ギヤ比を有し、前記第1回転台の下部で軸結合で連結される第1ギヤ部、
前記第1ギヤ部の回転速度を増速する第2ギヤ比を有し、前記第2回転台に軸結合で連結される第2ギヤ部、そして
前記第2ギヤ部の回転速度を減速する第3ギヤ比を有し、前記第2回転台で前記第2ギヤ部の周辺に軸結合で連結される第3ギヤ部、を含む、請求項6に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項8】
前記第1ギヤ部は、
前記第1回転台の下部で下側に備えられて前記駆動部と直接連結される第11ギヤ部、及び
前記第11ギヤ部と同一形状を有し、前記第1回転台の下部で前記第11ギヤ部の上側に備えられて前記第11ギヤ部と同心軸に連結され、前記第2ギヤ部と直接連結される第12ギヤ部、を含む、請求項7に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項9】
前記第2ギヤ部は、
前記第2回転台の下部で下側に備えられて前記第12ギヤ部と直接連結される第21ギヤ部、及び
前記第21ギヤ部の回転速度を減速するギヤ比を有し、前記第2回転台の上部で前記第21ギヤ部の上側に備えられて、前記第21ギヤ部と同心軸に連結され、前記第3ギヤ部と直接連結される第22ギヤ部、を含む、請求項8に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項10】
前記第3ギヤ部は該当する被覆管の下部に備えられる、請求項9に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項11】
前記第2回転台は、
下側に備えられて前記第2中心軸の下部を支持する第21回転板、及び
前記第21回転板の上側に備えられて前記第2中心軸の上部を支持する第22回転板、を含む、請求項2に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項12】
前記第22回転板は円周方向に沿って予め設定された間隔で離隔形成されて該当する被覆管が分離結合構造で装着されて取り付けられるように被覆管取付溝が備えられる、請求項11に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項13】
前記被覆管取付溝は、
前記第22回転板の円周面で前記被覆管が挿入される開口部形状で備えられる流入溝、及び
前記第22回転板の内側で前記流入溝に連結される位置に備えられて前記被覆管の外径が挿入されて安着した状態を支持する安着溝、を含む、請求項12に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項14】
前記ターゲット部は前記チャンバー部の高さ方向に沿って複数備えられる、請求項1に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項15】
前記ターゲット部は前記チャンバー部内で前記回転支持部の円周方向を基準として複数配置される、請求項1に記載の被覆管コーティング装置。
【請求項16】
前記ターゲット部は前記回転支持部の円周方向を基準として互いに異なる高さになるように底面からジグザグの配列構造で配置される、請求項15に記載の被覆管コーティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被覆管コーティング装置が提供される。
【背景技術】
【0002】
事故耐性燃料(Accident Tolerant Fuel、ATF)被覆管(cladding tubes)は、原子力発電所の事故発生時、高温水蒸気環境下での水素生成量を低減させて水素爆発を防止する目的で研究、開発されてきた。ATF被覆管は、従来の被覆管が有する耐腐食性、クリープ抵抗性、照射変形下での安定性、そして保管処分に関連した特性を含む極限環境下での多様な性能条件を満たし、耐酸化性の向上に重点を置いて開発されなければならない。ところで、経済性および早期の商用化を考慮して、世界的に従来のジルコニウム(Zr)合金被覆管の表面に耐酸化物質をコーティングする方法により、事故耐性被覆管の開発が行われている。
【0003】
このために、韓国原子力研究院では、従来のジルコニウム合金被覆管の表面に3Dプリンティング工程を適用して表面処理する方法と、アークイオンプレーティング(Arc Ion Plating、AIP)技術を適用してコーティングする方法とが研究されている。AIP方法は、商用ジルコニウム合金被覆管母材に損傷を与えずにCrおよびCrAl合金をコーティングして耐酸化性を向上させる方法として選択されて商用化技術の開発が行われている。
【0004】
しかし、ジルコニウム合金被覆管にコーティング層を積層させるAIP工程は、AIP装備に多量の被覆管を装入してコーティングするには限界がある。被覆管は直径が9.5cm、厚さが0.57cm、そして長さが4mの諸元を持っている。AIP装備内に被覆管をコーティングする時、被覆管を水平型と垂直型に配置する方法がある。水平型配置方法は、被覆管の自重による反り現象により、多量の被覆管をAIP装備内に装填する時に治具(ジグ)が複雑になり、互いに干渉が発生しない条件を構成することが容易ではない。そのために、韓国原子力研究院では、AIP装備内に被覆管を垂直に配置する方法を用いて2014年からCrおよびCrAl合金コーティングを行っている。しかし、AIPコーティングの時に一度に多量の被覆管をコーティングするには限界がある。
【0005】
関連先行文献として韓国公開特許第2020-0123656号公報は、「核燃料被覆管の被膜形成装置」を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2020-0123656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態の目的は、アークイオンプレーティング(AIP)装備に多量の被覆管を装入してコーティング効率を上げることができ、被覆管の長さ方向と円周方向にコーティング厚さに偏差が少なく、また単位時間当たりのコーティング速度を向上させることができる被覆管コーティング装置を提供することにある。
【0008】
前記課題以外にも具体的に言及されていない他の課題を達成するには、本発明による実施形態が使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態による被覆管コーティング装置は、アークイオンプレーティングを利用したジルコニウム合金コーティング環境を作るチャンバー部、チャンバー部内に備えられてコーティング対象体である複数の被覆管が収容される回転支持部、そして回転支持部に収容された複数の被覆管に向かってチャンバー部に備えられ、アーキング現象により耐酸化物質が溶融して蒸発しながらイオン化されるターゲット部を含み、回転支持部は、複数の被覆管が回転支持される回転台を複数含み、複数の被覆管の回転速度が予め設定された速度で一定になるように回転台を支持し、複数の被覆管の長さ方向と円周方向にコーティング厚さを均一に維持するように回転台を支持する。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態によれば、アークイオンプレーティング(AIP)装備を利用した金属コーティング膜の蒸着工程時、多量の被覆管を装入してコーティング効率を上げながら均質なコーティング層が形成され得る。
【0011】
また、一実施形態によれば、被覆管の長さ方向と円周方向にコーティング厚さを均一に維持しながら、単位時間当たりのコーティング速度が調節され得る。
【0012】
また、一実施形態によれば、核燃料用被覆管を経済的かつ優れた品質でコーティングする装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態による被覆管コーティング装置を示した図面である。
【
図2】一実施形態による回転支持部を示した図面である。
【
図3】一実施形態による被覆管の分離結合構造を示した図面である。
【
図4】一実施形態による被覆管のコーティング重畳領域を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。図面において、本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の図面符号を使用した。また広く知られている公知技術の場合、その具体的な説明は省略する。
【0015】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に記載された場合をのぞき、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
以下、図面を参照して被覆管コーティング装置を詳細に説明する。
図1は一実施形態による被覆管コーティング装置を示した図面であり、
図2は一実施形態による回転支持部を示した図面である。そして
図3は一実施形態による被覆管の分離結合構造を示した図面であり、
図4は一実施形態による被覆管のコーティング重畳領域を示した図面である。
【0017】
図1乃至
図4を参照すれば、一実施形態による被覆管コーティング装置10は、チャンバー部12、回転支持部100、そしてターゲット部14を含む。被覆管コーティング装置10は、アークイオンプレーティング(AIP)装備に多数の被覆管20を装入してコーティング効率を上げることができる。また、一実施形態によれば、被覆管20の長さ方向と円周方向にコーティング厚さの偏差が少なく、また単位時間当たりのコーティング速度を増大することができる。
【0018】
チャンバー部12はアークイオンプレーティングを利用したジルコニウム合金コーティング環境を作ることができる。チャンバー部12は真空チャンバー部で形成され得る。
図1を参照すれば、チャンバー部12の内部にはターゲット部14、ヒーター部16、回転支持部100、そしてコーティング対象体である被覆管20が備えられ得る。チャンバー部12内で、回転支持部100に含まれる回転台と被覆管20がそれぞれ回転する。ターゲット部14を中心に接近してから離反する回転台の回転と同時に被覆管20の全面がコーティングされるように被覆管20の回転運動が維持され得る。回転支持部100に装着可能な被覆管20の個数が増加するため、被覆管20の多量装着が実現され得る。
【0019】
回転支持部100はチャンバー部12内に備えられてコーティング対象体である複数の被覆管20が収容され得る。回転支持部100は複数の被覆管20を回転支持する回転台を複数含むことができる。回転支持部100は複数の被覆管20の回転速度が予め設定された速度で一定になるように、複数の被覆管20と回転台を支持する。また、回転支持部100は複数の被覆管20の長さ方向と円周方向にコーティング厚さを均一に維持するように、複数の被覆管20と回転台を支持する。
【0020】
回転支持部100は、第1回転台110、そして第2回転台120を含むことができる。
【0021】
第1回転台110は予め設定された第1サイズの円板形状で形成された下部を含む。また、第1回転台110は円板形状以外に多角形板形状など他の形状を有することができる。第1回転台110の上部は高さ方向の第1中心軸112結合で連結されて、円周方向に沿って装着空間を形成し、外力の伝達により第1回転台110が回転することができる。
【0022】
第1回転台110は、第11回転板114、そして第12回転板116を含むことができる。第11回転板114は第1回転台110の下部に備えられて第1中心軸112の下部を支持することができる。第12回転板116は第1回転台110の上部に備えられ、第11回転板114の上に備えられて、第1中心軸112の上部を支持することができる。第12回転板116は円周方向に沿って予め設定された間隔で離隔形成されて、該当する軸が取り付けられるように軸取付溝118を含むことができる。
【0023】
第2回転台120は、被覆管20の装着と脱着が容易であり、被覆管20の装着された状態を安定的に維持することができる円形の回転板を備える。また、第2回転台120は円板形状以外に多角形板形状など他の形状を有することができる。このような回転板に複数の被覆管20が装着され得る。第2回転台120は複数備えられて、より多くの数量の被覆管20が複数の第2回転台120のそれぞれに装着され得る。必要に応じて第2回転台120は回転支持部100の空間に拡張配列され得る。このような場合、チャンバー部12の内部直径に合うように回転支持部100の空間の拡張が可能である。第2回転台120のサイズにより第2回転台120に装着可能な被覆管20の個数が制限され得る。第2回転台120を板状に形成することによって、複数の被覆管20が第2回転台120に装着され得る。1個の第2回転台120には円周方向に沿って少なくとも6個以上の被覆管20が装着され得る。そして第2回転台120は複数備えられ、互いに隣接する第2回転台120の間に干渉がない範囲で第2回転台120の装着が可能な構造で形成され得る。
【0024】
第2回転台120は第1回転台110の円周方向に沿って複数備えられ、予め設定された第2サイズの下部を含む。第2回転台120の上部は高さ方向の第2中心軸122結合で連結されて複数の被覆管20装着空間を形成し、第1回転台110の回転に連動して回転することができる。第1回転台110の第1サイズは第2回転台120の第2サイズよりも大きく形成され得る。
【0025】
第2回転台120は、第21回転板124、そして第22回転板126を含むことができる。第21回転板124は第2回転台120の下部に備えられて第2中心軸122の下部を支持することができる。第22回転板126は第2回転台120の上部に備えられ、第21回転板124の上側に備えられて、第2中心軸122の上部を支持することができる。第22回転板126は円周方向に沿って予め設定された間隔で離隔形成されて、該当する被覆管20が分離結合構造で装着されて取り付けられるように被覆管取付溝128を含むことができる。
【0026】
被覆管取付溝128は、流入溝128aと安着溝128bを含むことができる。流入溝128aは第22回転板126の円周面に位置し、被覆管20が挿入される開口部形状を有する。安着溝128bは第22回転板126の内側に位置し、流入溝128aに連結される位置にあり、被覆管20の外径が挿入されて安着した状態を支持することができる。
【0027】
第22回転板126にロッド形状の被覆管20が嵌合構造で分離結合されるように形成され得る。
【0028】
被覆管20は第22回転板126の被覆管取付溝128に分離結合され得る。そして被覆管20は第22回転板126の被覆管取付溝128に取り付けられた状態で上部と下部が別途の固定部150で結合され得る。固定部150は被覆管20の上部と下部にそれぞれ嵌合構造で分離結合される固定キャップ形状で形成され得る。固定部150は被覆管20の上部が挿入される第1固定溝152aが備えられた第1固定キャップ152、そして被覆管20の下部が挿入される第2固定溝154aが備えられた第2固定キャップ154を含むことができる。第1固定溝152aは円形の直線構造で形成され得る。第2固定溝154aは予め設定された方向に傾斜した構造で形成され得る。被覆管20の下部は第2固定溝154aの傾斜構造に対応するように傾斜して形成され得る。このように被覆管20の下部が傾斜した構造で形成され、傾斜した第2固定溝154aの内部に挿入されることによって、被覆管20自体の回転を防止することができる。被覆管20の上部と第1固定溝152aの内部は円形構造で形成され、被覆管20の下部と第2固定溝154aの内部は傾斜構造で形成されるため、被覆管20の回転が防止され得る。
【0029】
第2回転台120に結合される第2中心軸122は第12回転板116の軸取付溝118に分離結合され得る。そして第2中心軸122は第12回転板116の軸取付溝118に取り付けられた状態で、上部と下部が別途の固定部で結合され得る。固定部は第2中心軸122の上部と下部にそれぞれ嵌合構造で分離結合される固定キャップ形状で形成され得る。固定部は、第2中心軸122の上部が挿入される第1固定溝が備えられた第1固定キャップ、そして第2中心軸122の下部が挿入される第2固定溝が備えられた第2固定キャップを含むことができる。第1固定溝は円形の直線構造で形成され得る。第2固定溝は予め設定された方向に傾斜した構造で形成され得る。第2中心軸122の下部は第2固定溝の傾斜構造に対応するように傾斜して形成され得る。このように第2中心軸122の下部が傾斜した構造で形成され、傾斜した第2固定溝の内部に挿入されることによって、第2中心軸122自体の回転を防止することができる。第2中心軸122の上部と第1固定溝の内部は円形構造で形成され、第2中心軸122の下部と第2固定溝の内部は傾斜構造で形成されるため、第2中心軸122の回転が防止され得る。
【0030】
ターゲット部14は回転支持部100に収容された複数の被覆管20に向かってチャンバー部12に備えられ、アーキング現象により耐酸化物質が溶融して蒸発しながらイオン化され得る。ここで、耐酸化物質は、CrまたはCr合金を含むことができる。Cr合金は、Cr-Alを含むCr系合金を含むことができる。ターゲット部14はチャンバー部12の高さ方向に沿って複数備えられ得る。例えば、ターゲット部14はチャンバー部12の前後左右の4面でそれぞれ高さ方向に沿って複数備えられ得る。また、チャンバー部12内でターゲット部14の配置を回転支持部100の円周方向を基準として複数配置することができる。例えば、チャンバー部12内でターゲット部14の配置を回転支持部100の円周方向を基準として90度ずつ4列配置することができる。1列または2列のターゲット部配置を円周方向に90度ずつ4列配置することによって、2列配置に比べてコーティング速度が2倍増加するようにすることによってコーティング速度を高めることができる。また、ターゲット部14は円周方向に異なる高さになるように底面からジグザグおよび奇数(0、180度)と偶数(90、270度)の配列構造を有することができる。ターゲット部14は円周方向に複数配置されることによって、単位時間当たりのコーティング効率を向上させることができる。そしてターゲット部14は底面から高さを異なるように配置(ジグザグ、奇数-偶数)することによって、長さ方向の厚さ偏差が最小化され得る。
【0031】
それぞれのターゲット部14で被覆管20にコーティングされる領域があるため、上下のターゲット部14で発生または放射されるコーティング物質の重畳領域が10%以上になるように配置することができる。互いに隣接するターゲット部14とターゲット部14との間の距離は被覆管20にコーティングされる領域で10%以上重なるように配置することができる。ターゲット部14でそれぞれ被覆管20にコーティングされる領域があるため、上下のターゲット部14で発生されるコーティング物質の重畳領域が10%以上になるように配置することによって、長さ4mの被覆管20に長さ方向に均一な厚さのコーティング層を得ると共に、単位時間当たりのコーティング速度を高めることができる。
【0032】
回転支持部100は、駆動部130、そして動力伝達部140をさらに含むことができる。
【0033】
駆動部130は第1回転台110の一側に備えられて第1回転台110に伝達される回転駆動力を発生することができる。駆動部130は回転速度を制御することができるモータを含むことができる。駆動部130の駆動軸には動力伝達部140に動力を伝達する駆動ギヤ130aが備えられ得る。駆動部130の回転速度を制御することによって、被覆管20の回転速度が制御され得る。例えば、駆動部130と被覆管20の回転速度は一致するように制御することができる。そして駆動部130から発生した回転力を回転台に伝達する動力伝達部140のギヤ比を調節することによって、回転台の円周方向に沿って複数備えられた被覆管20の回転速度が一定となり、連続的に回転することができる。駆動部130と連結される動力伝達部140、そして動力伝達部140と連結される被覆管20の間に備えられるそれぞれのギヤ比を調節することで、駆動部130の回転速度と被覆管20の回転速度が1:1になるように制御することができる。被覆管20の回転速度が速ければコーティング効率が低下する。したがって、駆動部130の回転速度を調節して被覆管20の回転速度を調節することによって、被覆管20のコーティング効率を増大させることができる。このような理由により、被覆管20の均一なコーティングが実現され得る。
【0034】
動力伝達部140は駆動部130と第1回転台110との間、そして第1回転台110と第2回転台120との間に備えられて駆動部130の回転駆動力を伝達することができる。動力伝達部140は、第1ギヤ部142、第2ギヤ部144、そして第3ギヤ部146を含むことができる。真空状態でコーティングが累積するため、回転台の駆動力伝達はギヤ部を優先的に使用することができる。そして被覆管20の回転速度はそれぞれの位置で一定でなければならないため、回転直径の増加による回転速度の制御は減速ギヤを使用することができる。
【0035】
第1ギヤ部142は駆動部130の回転速度を減速する第1ギヤ比を有し、第1回転台110の下部で軸結合で連結され得る。第1ギヤ部142は、第11ギヤ部142a、そして第12ギヤ部142bを含むことができる。第11ギヤ部142aは第1回転台110の下部で下側に備えられて駆動部130と直接連結され得る。第12ギヤ部142bは第11ギヤ部142aと同一形状を有し、第1回転台110の下部で第11ギヤ部142aの上側に備えられて第11ギヤ部142aと同心軸に連結され、第2ギヤ部144と直接連結され得る。
【0036】
第2ギヤ部144は第1ギヤ部142の回転速度を増速する第2ギヤ比を有し、第2回転台120に軸結合で連結され得る。第2ギヤ部144は、第21ギヤ部144a、そして第22ギヤ部144bを含むことができる。第21ギヤ部144aは第2回転台120の下部で下側に備えられて第12ギヤ部142bと直接連結され得る。第22ギヤ部144bは第21ギヤ部144aの回転速度を減速するギヤ比を有し、第2回転台120の上部で第21ギヤ部144aの上側に備えられて、第21ギヤ部144aと同心軸に連結され、第3ギヤ部146と直接連結され得る。
【0037】
第3ギヤ部146は第2ギヤ部144の回転速度を減速する第3ギヤ比を有し、第2回転台120で第2ギヤ部144の周辺に軸結合で連結され得る。第3ギヤ部146は該当する被覆管20の下部に備えられ得る。
【0038】
前述のように駆動部130の回転により被覆管20の回転は段階的に減速と増速の関係で連結され得る。駆動部130の1次回転、次に駆動部130と連結された第1回転台110の2次回転、次に第1回転台110と連結された第2回転台120の3次回転、次に第2回転台120に装着された被覆管20の4次回転が、順次に行われ得る。
【0039】
ここで、全ての被覆管20は、コーティング時にバイアス電圧(Bias Voltage)が印加されるように回転台とギヤ部、そして被覆管20が装着される部分に電気的接触が維持されなければならない。そして回転台は外部で被覆管20を装填して嵌合方式で取付部分に一度に装着されるように形成され得る。被覆管20は円周方向に全て均質にコーティングされるように回転しなければならない。被覆管20は回転して円周方向に一定にターゲット部14に向かうようにすることによって、均一な厚さのコーティングが実現され得る。駆動部130と動力伝達部140は被覆管20の回転速度が一定であり、連続的に回転することができるギヤ部を維持するが、ただし、回転速度が制御されなければならない。被覆管20の回転速度を制御するギヤ部を備えてそれぞれのギヤ比を調節することによって、被覆管20の回転速度を連続的に一定に維持することができる。
【0040】
第1回転台110の回転中心軸である第1中心軸112から被覆管20が離れた状態で装着される場合、相対的に被覆管20の位置で第1回転台110の回転速度が増加するため、被覆管20のコーティングが円滑に行われない。第1回転台110の直径が増加する場合、駆動部130で提供される回転速度に比べて回転量が増加することで、被覆管20のコーティングが円滑に行われない。そのために、イオンが付着され得る時間が減少するため、コーティング膜が薄くなり、コーティング効率が減少することがある。
【0041】
これを解決するために、駆動部130と第1回転台110が第1ギヤ部142を介して連結され得る。駆動部130から離れる回転半径の増加による回転速度を減速させるために、第1回転台110を第1ギヤ比を有する第1ギヤ部142で連結する。この時、駆動部130と第1ギヤ部142の減速比は、第1回転台110の回転半径が増加すれば減速比を増加する方式を適用することができる。1次回転する駆動部130と連結された第1回転台110は第1ギヤ部142を介して減速されて2次回転する。
【0042】
第1回転台110と被覆管20が多数装着された第2回転台120は、第2ギヤ部144を介して連結される。第1回転台110の回転速度に比べて第2回転台120の回転速度を増速させるために、第2ギヤ比を有する第2ギヤ部144で連結する。
【0043】
この時、第1ギヤ部142と第2ギヤ部144の増速比は第2回転台120の半径が増加すれば減少する方式を適用することができる。2次回転する第1回転台110と連結された第2回転台120は、第2ギヤ部144を介して増速して3次回転する。
【0044】
第2回転台120と被覆管20は第3ギヤ部146を介して連結される。第2回転台120の回転速度に比べて被覆管20の回転速度を増速させるために、第3ギヤ比を有する第3ギヤ部146で連結する。
【0045】
この時、第2ギヤ部144と第3ギヤ部146の増速比は第2回転台120で被覆管20の回転半径が増加すれば減少する方式を適用することができる。3次回転する第2回転台120と連結された被覆管20は第3ギヤ部146を介して増速されて4次回転する。
【0046】
被覆管20が装着される第2回転台120がメイン支持台である第1回転台110の中間に位置する場合のように、被覆管20の装着位置により変わる回転速度を合わせるために該当する減速ギヤを変更適用することができる。そして第2回転台120と被覆管20がそれぞれ回転するように実現することができる。例えば、ターゲット部14を中心に被覆管20と接近してから離反する第2回転台120の回転と同時に、被覆管20の全面が均一にコーティングされるように、被覆管20の自転運動が実現され得る。
【0047】
前述のように、一実施形態による被覆管コーティング装置10は、アークイオンプレーティング(AIP)装備を利用した金属コーティング膜の蒸着工程時、多量の被覆管20を装入してコーティング効率を上げながら均質なコーティング層を得ることができる。一実施形態は、アークイオンプレーティング(AIP)装備に多量の被覆管20を装入することができ、コーティング効率を上げることができる。そしてアークイオンプレーティング(AIP)装備を利用した金属コーティング膜の蒸着工程時、多量の被覆管20を容易に装入することができ、装入された複数の被覆管20のコーティング効率を上げながら均質なコーティング層を提供することができる。アークイオンプレーティング(AIP)方法が事故耐性燃料被覆管に耐酸化物質をコーティングすることに適した方法であるが、大量生産が難しければ製造費用が増加して価格競争力を確保することができない。したがって、一実施形態による被覆管コーティング装置10は、アークイオンプレーティング装備のコーティング効率性を高めるために、チャンバー部12の制限された空間内でジルコニウム合金被覆管にアークイオンプレーティング工程で耐酸化物質がコーティングされ得る。このような場合、被覆管20の装入個数を増加させる回転支持部100を形成し、被覆管20の回転を制御することによって、被覆管20の長さ方向と円周方向にコーティング厚さが均一に維持されながら、単位時間当たりのコーティング速度が調節され得る。
【0048】
アークイオンプレーティング工法を活用した事故耐性燃料被覆管の耐酸化物質の蒸着工程において、コーティング効率を増加させなければコーティングに投入される費用増加により経済性の確保が難しい。そこで、一実施形態では、ジルコニウム合金のアークイオンプレーティング技術を適用したコーティング技術の開発において、被覆管20の装入量を増加させながら、コーティング層の均質度の向上だけでなく、コーティング速度も増加させることができる。現在、事故耐性燃料は、2025年以降に稼働する原子力発電所には事故耐性燃料を適用しなければならないというEUタクソノミーの基準により、将来全ての稼働する原子力発電所に適用しなければならない核心技術である。したがって、稼働する原子力発電所に事故耐性燃料被覆管の適用は不可避であり、一実施形態は、事故耐性燃料被覆管を経済的かつ優れた品質で製造することができる核心技術であって、稼働する原子力発電所の安全性向上だけでなく、技術保有による経済的効果が大きいと期待される。
【0049】
以上で本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0050】
10:被覆管コーティング装置
12:チャンバー部
14:ターゲット部
20:被覆管
100:回転支持部
110:第1回転台
120:第2回転台