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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010909
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240118BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240118BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20240118BHJP
   G11B 33/14 20060101ALI20240118BHJP
   G11B 33/02 20060101ALI20240118BHJP
   G11B 33/12 20060101ALI20240118BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H05K7/20 H
H05K7/20 G
H05K7/20 B
H05K5/02 V
G06F1/16 312F
G11B33/14 501C
G11B33/02 301A
G11B33/12 313C
G09F9/00 304B
G09F9/00 350Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112497
(22)【出願日】2022-07-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】糸山 水季
(72)【発明者】
【氏名】大山 敦史
(72)【発明者】
【氏名】宮本 旅人
(72)【発明者】
【氏名】秋山 晶吾
(72)【発明者】
【氏名】渡村 憲司
【テーマコード(参考)】
4E360
5E322
5G435
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB16
4E360BA02
4E360BB02
4E360BB12
4E360BB17
4E360BB22
4E360ED02
4E360ED04
4E360GA02
4E360GA24
4E360GB46
4E360GC02
4E360GC08
5E322AA01
5E322AA03
5E322AB01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322DB08
5E322FA04
5G435AA12
5G435BB05
5G435BB12
5G435EE02
5G435GG44
5G435LL07
5G435LL08
(57)【要約】
【課題】冷却モジュールでの排気流量を確保して冷却性能を向上することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、第1筐体と、第2筐体と、第1筐体の後縁部と第2筐体の一縁部との間を相対的に回動可能に連結し、第2筐体の一縁部を第1筐体の後縁部との対向方向に配置可能なヒンジと、第1筐体に搭載された冷却モジュールと、を備える。第1筐体は、後縁部に開口する筐体排気口を有し、第2カバー部材は、底面の一部を下方に向けて膨出して形成され、端部が筐体排気口の下縁部を構成する脚部と、脚部の内面に設けられ、第1筐体の前縁部から前記後縁部に向かう方向で次第に下方へと傾斜する傾斜面と、を有する。冷却モジュールは、ファンと、ヒートシンクと、を有し、ヒートシンクは、脚部の内側に向かって突出する突出部を有し、突出部には、傾斜面に沿うように傾斜した傾斜形状部が設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
表面を形成する第1カバー部材と、底面を形成する第2カバー部材とで箱状に構成され、内部に発熱体を搭載した第1筐体と、
ディスプレイを有し、前記第1筐体と連結される第2筐体と、
前記第1筐体の後縁部と該後縁部と隣接する前記第2筐体の一縁部との間を相対的に回動可能に連結し、前記第2筐体の前記一縁部を前記第1筐体の後縁部との対向方向に配置可能なヒンジと、
前記第1筐体に搭載され、前記発熱体が発生する熱を吸熱する冷却モジュールと、
を備え、
前記第1筐体は、前記後縁部に開口する筐体排気口を有し、
前記第2カバー部材は、
前記底面の一部を下方に向けて膨出して形成され、端部が前記筐体排気口の下縁部を構成する脚部と、
前記脚部の内面に設けられ、前記第1筐体の前縁部から前記後縁部に向かう方向で次第に下方へと傾斜する傾斜面と、
を有し、
前記冷却モジュールは、
吸気口と、排気口とを有するファンと、
相互間に隙間を設けて並んだ複数のフィンと、前記排気口に面して配置される空気導入面と、前記筐体排気口に面して配置される空気排出面とを有するヒートシンクと、
を有し、
前記ヒートシンクは、前記脚部の内側に向かって突出する突出部を有し、該突出部には、前記傾斜面に沿うように傾斜した傾斜形状部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記脚部は、
前記前縁部から前記後縁部に向かって次第に下方へと傾斜して、内面に前記傾斜面を形成する第1プレート部と、
前記第1プレート部から前記端部まで前記底面と略平行に延び、内面に前記底面と略平行する平坦面を形成する第2プレート部と、
を有し、
前記ヒートシンクの前記突出部には、さらに、前記傾斜形状部と前記空気排出面との間で前記平坦面に沿うように延在する平坦形状部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記脚部は、さらに、前記第2プレート部の外面に固定されたゴムプレートを有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記第1筐体の厚み方向で見て、前記ゴムプレートは、前記筐体排気口の全長とオーバーラップしている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記ヒンジは、前記ディスプレイの表示面と交差する方向に前記第2筐体の前記一縁部から突出するように設けられ、ヒンジ軸を支持するヒンジ筐体を有し、
前記ヒンジ筐体は、前記第1筐体の幅方向に沿って延在し、前記筐体排気口と対向する
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却モジュールを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、CPU等の発熱体及びその冷却用の冷却モジュールを搭載した第1筐体と、ディスプレイを搭載した第2筐体とを備える。冷却モジュールとしては、ヒートパイプ等で輸送された発熱体の熱を筐体外に排出するためのヒートシンク及びファンを備えた構成がある(例えば特許文献1参照)。この構成では、ヒートシンクを通過した排気が第1筐体の後面に開口した筐体排気口から外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-059833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電子機器は、ディスプレイを搭載した第2筐体が第1筐体の後方に沈みながら回動する構成のヒンジ、いわゆるドロップダウン型のヒンジが採用されることがある。このような構成では、第2筐体は、第1筐体から開かれた際、その一縁部が筐体排気口を塞ぐように配置される。このため、冷却モジュールは、ヒートシンクを通過した空気の筐体外への排気流量が低下し、冷却性能が低下する。
【0005】
また、このような電子機器では、第2筐体の一縁部に幅方向に延在するバー形状のヒンジ筐体を備えた製品もある(上記特許文献1参照)。この構成では、ヒンジ筐体も筐体排気口を塞ぐように配置されるため、筐体排気口からの排気流量が一層低下する。特にヒンジ筐体は、筐体排気口の近傍でこれを塞ぐように配置されるため、筐体排気口からの排気がヒンジ筐体に衝突して前方に逆流し、筐体底面に設けた筐体吸気口からファンに再流入し、冷却性能を一層低下させる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、冷却モジュールでの排気流量を確保して冷却性能を向上することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、表面を形成する第1カバー部材と、底面を形成する第2カバー部材とで箱状に構成され、内部に発熱体を搭載した第1筐体と、ディスプレイを有し、前記第1筐体と連結される第2筐体と、前記第1筐体の後縁部と該後縁部と隣接する前記第2筐体の一縁部との間を相対的に回動可能に連結し、前記第2筐体の前記一縁部を前記第1筐体の後縁部との対向方向に配置可能なヒンジと、前記第1筐体に搭載され、前記発熱体が発生する熱を吸熱する冷却モジュールと、を備え、前記第1筐体は、前記後縁部に開口する筐体排気口を有し、前記第2カバー部材は、前記底面の一部を下方に向けて膨出して形成され、端部が前記筐体排気口の下縁部を構成する脚部と、前記脚部の内面に設けられ、前記第1筐体の前縁部から前記後縁部に向かう方向で次第に下方へと傾斜する傾斜面と、を有し、前記冷却モジュールは、吸気口と、排気口とを有するファンと、相互間に隙間を設けて並んだ複数のフィンと、前記排気口に面して配置される空気導入面と、前記筐体排気口に面して配置される空気排出面とを有するヒートシンクと、を有し、前記ヒートシンクは、前記脚部の内側に向かって突出する突出部を有し、該突出部には、前記傾斜面に沿うように傾斜した傾斜形状部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、冷却モジュールでの排気流量を確保して冷却性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、第1カバー部材を取り外して第1筐体の内部構造を模式的に示した底面図である。
図3図3は、ファン及びヒートシンクの斜視図である。
図4図4は、第1筐体の内部を斜め上方から見た模式的な斜視図である。
図5図5は、第1筐体を底面側から見た斜視図である。
図6図6は、ヒートシンク及びその周辺部での第1筐体の模式的な側面断面図である。
図7図7は、比較例に係る電子機器の模式的な側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。図1に示すように、電子機器10は、第1筐体11と第2筐体12とをヒンジ14で相対的に回動可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。本発明に係る電子機器は、ノート型PC以外、例えばデスクトップ型PC、タブレット型PC、スマートフォン、又はゲーム機等でもよい。
【0012】
第2筐体12は、第1筐体11よりも薄い扁平な箱体である。第2筐体12には、ディスプレイ16が搭載されている。ディスプレイ16は、例えば有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)や液晶で構成される。
【0013】
以下、第1筐体11及びこれに搭載された各構成要素について、図1に示すように筐体11,12間を所定角度に開いて、ディスプレイ16を視認する姿勢を基準とし、手前側を前、奥側を後、幅方向を左右、厚み方向を上下、と呼んで説明する。
【0014】
第1筐体11は、扁平な箱体である。第1筐体11は、上面11aを形成する第1カバー部材18と、底面11b及び四周の側面11cを形成する第2カバー部材19とで箱状に構成されている。第1カバー部材18,14Bは、厚み方向に重ね合わされて互いに着脱可能に連結される。下側の第2カバー部材19は、上面が開口した略バスタブ形状を有する(図3参照)。上側の第1カバー部材18は、略平板形状を有し、第2カバー部材19の上面開口を閉じる蓋体となる(図4参照)。第1筐体11の上面11aには、キーボード20及びタッチパッド21が設けられている。
【0015】
ヒンジ14は、第1筐体11の後縁部11dと、これと隣接する第2筐体12の一縁部12aとの間を相対的に回動可能に連結している。筐体11,12を積層してクラムシェルを閉じた状態を0度と呼ぶとすると、ヒンジ14による筐体11,12間の回動可能な角度範囲は、例えば0度から135度(図6参照)である。筐体11,12間の回動角度は、135度より大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0016】
図2は、第1カバー部材18を取り外して第1筐体11の内部構造を模式的に示した底面図である。
【0017】
図2に示すように、第1筐体11の内部には、冷却モジュール22と、マザーボード24と、バッテリ装置26とが搭載されている。第1筐体11の内部には、さらに各種の電子部品や機械部品等が設けられる。
【0018】
マザーボード24は、電子機器10のメインボードである。マザーボード24は、第1筐体11の後方寄りに配置されている。マザーボード24は、発熱体30を実装したプリント基板である。発熱体30は、例えばCPU又はGPU等である。マザーボード24には、さらにパワーコンポーネント、通信モジュール、メモリ、及び接続端子等の各種電子部品が実装されている。マザーボード24は、例えば第2カバー部材19の内面19aにねじ止めされている。マザーボード24は、上面が発熱体30等の実装面となり、下面が第2カバー部材19に対する取付面となる。発熱体30は、マザーボード24の実装面の略中央に配置されている。
【0019】
バッテリ装置26は、電子機器10の電源となる充電池である。バッテリ装置26は、冷却モジュール22及びマザーボード24の前方に配置され、第1筐体11の前端部に沿って左右に延在している。
【0020】
次に、冷却モジュール22の構成を説明する。
【0021】
冷却モジュール22は、発熱体30が発生する熱を吸熱及び拡散し、さらに第1筐体11外へと排出する。冷却モジュール22は、例えばマザーボード24の実装面の一部を覆うように積層される。図2に示すように、冷却モジュール22は、2本のヒートパイプ32,33と、左右一対のファン34,35と、左右一対のヒートシンク36,37と、ヒートスプレッダ38とを備える。
【0022】
ヒートパイプ32,33は、パイプ型の熱輸送デバイスである。ヒートパイプ32,33は、一部が前後に並んで当接又は近接した状態で並列されている。一方のヒートパイプ32は、第1端部が受熱板40を挟んで発熱体30と接続され、第2端部が一方のヒートシンク36と接続されている。他方のヒートパイプ33は、第1端部が受熱板40を挟んで発熱体30と接続され、第2端部が他方のヒートシンク37と接続されている。ヒートパイプ32,33は、金属パイプを薄く扁平に潰して断面楕円形状に形成し、金属パイプ内に形成された密閉空間に作動流体を封入した構成である。作動流体は、密閉空間内で相変化を生じながら流通し、熱を高効率に輸送する。
【0023】
左右のファン34,35は、大きさや風量等は多少異なるが、実質的に左右対称構造である。同様に、左右のヒートシンク36,37も実質的に左右対称構造である。そこで、以下では、主として左側のファン34及びヒートシンク36について説明し、右側のファン35及びヒートシンク37の各構成要素については左側の各構成要素と同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。なお、ファン34,35及びヒートシンク36,37は、左右一対ではなく、一方のみで構成されてもよい。
【0024】
図3は、ファン34及びヒートシンク36の斜視図である。
【0025】
図2及び図3に示すように、ファン34は、ヒートシンク36の直前に配置され、後向きに開口した排気口34aがヒートシンク36に面する。ファン34は、ファン筐体34bの内部に収容されたインペラ34c(図6も参照)をモータによって回転させる遠心ファンである。ファン筐体34bは、上面及び側面を形成するカバープレート34dと、下面を形成するカバープレート34eとで構成され、各カバープレート34d,34eにそれぞれ吸気口34f,34gが開口している。吸気口34f,34gは、一方を省略してもよい。図3中の参照符号42は、排気口34aからの排気が吸気口34f,34gに逆流することを防止するための気密材であり、例えばスポンジである(図6も参照)。
【0026】
ヒートシンク36は、前後方向に沿って延在すると共に上下方向に起立した複数のフィン45を左右方向に等間隔に並べた構造である。隣接するフィン45,45間には、ファン34から送られた空気が通過する隙間Gが形成されている。隙間Gは、前後方向に貫通し、複数が左右方向に並んでいる。
【0027】
各フィン45は、例えば上下端部に同一方向へと直角に屈曲した板片が形成された、断面略U字状の金属プレートである。各フィン45は、銅又はアルミニウムのような高い熱伝導率を有する金属で形成される。ヒートシンク36は、各フィン45を隙間Gを介して板厚方向に積層し、各フィン45の上下で屈曲した板片を隣接するフィン45に接合した構成である(図3参照)。ヒートシンク36は、例えば金属プレートの表面に各フィン45を並べ、それぞれの下端部を金属プレートに接合した構成等でもよく、要は複数のフィン45が隙間Gを介して並んだ構成であればよい。
【0028】
ヒートスプレッダ38は、マザーボード24の実装面を覆うように配置された金属プレートである。ヒートスプレッダ38は、マザーボード24に実装されたパワーコンポーネント等の熱を吸熱し、拡散する。ヒートスプレッダ38は、ヒートパイプ32,33及び発熱体30と積層されてもよい。ヒートスプレッダ38は、省略されてもよいし、ヒートパイプと同様な作動流体を封入したプレート型のベーパーチャンバで代替してもよい。
【0029】
次に、ヒートシンク36(37)及びその周辺部の具体的な構成例とその作用効果を説明する。
【0030】
先ず、ヒートシンク36(37)の周辺部での第1筐体11の構成を説明する。図4は、第1筐体11の内部を斜め上方から見た模式的な斜視図である。図5は、第1筐体11を底面11b側から見た斜視図である。図4及び図5は、第1筐体11のヒートシンク36が配置される部分及びその周辺部を拡大した図である。なお、第1筐体11のヒートシンク37が配置される部分及びその周辺部も基本的な構成は図4及び図5に示すものと略左右対称構造でよい。図6は、ヒートシンク36(37)及びその周辺部での第1筐体11の模式的な側面断面図である。
【0031】
図4図6に示すように、第1筐体11は、筐体排気口50と、脚部52とを備える。なお、筐体排気口50及び脚部52は、ヒートシンク37の周辺にも設けられる(図2参照)。
【0032】
筐体排気口50は、後縁部11dの側面11c(以下、「後側面11c」と呼ぶこともある。)に形成され、後方を向いて開口した横長で矩形状の開口部である。筐体排気口50は、ヒートシンク36に面して配置され、ヒートシンク36を流通した空気が通過する。筐体排気口50の左右方向の横幅は、ヒートシンク36の横幅と同程度でよい。筐体排気口50の上下方向の高さは、後側面11cの高さと同程度でよい。但し、本実施形態の後側面11cは、後述するように脚部52が下方に突出した分だけ上下に拡大されているため、筐体排気口50も上下に拡大された構造を有する。
【0033】
筐体排気口50には、ルーバー54が取り付けられている。ルーバー54は、筐体排気口50に嵌め込まれた格子状部材である。ルーバー54は、第1筐体11の強度担保、筐体排気口50からの異物進入防止、及び筐体排気口50からの円滑な排気を目的として設置されている。ルーバー54は、省略されてもよく、この場合は筐体排気口50自体をスリット形状等で構成するとよい。
【0034】
図4図6中の参照符号56は、第1筐体11の底面11bに開口した筐体吸気口である。筐体吸気口56は、ファン34(35)の吸気口34gの直下に配置される。これによりファン34(35)は、筐体吸気口56を通した第1筐体11の底面11b側の空気を吸気口34gで吸い込むことができる。
【0035】
脚部52は、電子機器10をデスク上面66等に載置する際の脚であり、底面11bの他の部分よりも下方に突出している。従来、ノート型PC等の脚部としては、底面11bにゴムブロックを貼り付けた構成が一般的である。一方、本実施形態の脚部52は、第1筐体11を構成する第2カバー部材19自体の形状である膨出部58と、膨出部58に固定されたゴムプレート60とを有する。
【0036】
膨出部58は、第1筐体11を構成する底面11bの一部、つまり第2カバー部材19の一部を下方に向けて膨出させた突出部分である。膨出部58は、底面11bの後縁部11dに面して設けられ、端部(後端部)58aが筐体排気口50の下縁部50aを構成する。膨出部58は、第1プレート部58bと、第2プレート部58cとを有する。
【0037】
第1プレート部58bは、第1筐体11の前縁部から後縁部11dに向かう方向(以下、「第1方向」と呼ぶこともある。)に沿って次第に下方へと傾斜している。これにより第2カバー部材19の内面19aには、第1方向に向かって次第に下方へと傾斜する傾斜面19bが形成されている。なお、第1方向は、ヒートシンク36での空気の流通方向と言い換えてもよい。
【0038】
第2プレート部58cは、第1プレート部58bの後端から端部58aまで第1方向に沿って延在し、底面11bと略平行している。これにより第2カバー部材19の内面19aには、底面11bよりも下方に位置し、底面11bと略平行する平坦面19cが形成されている。
【0039】
ゴムプレート60は、第2プレート部58cの外面58dに両面粘着テープ等で固定されている。ゴムプレート60は、上記した従来のゴムブロックよりも相当に薄く、例えば1mm前後のシート状に形成されている。ゴムプレート60は、脚部52がデスク上面66等に当接する際の衝撃音の発生を抑制し、或いはデスク上面66等での電子機器10の滑り止めとなる。例えば第2カバー部材19が樹脂製等の場合、ゴムプレート60は省略されてもよい。
【0040】
図4及び図5に示すように、本実施形態の場合、膨出部58は、後縁部11dの左右方向の略全長に亘って延在している。これにより膨出部58は、第1筐体11の左右端部付近ではそれぞれ、左右の筐体排気口50の左右幅方向の全長と上下にオーバーラップしている。一方、ゴムプレート60の左右幅寸法は、筐体排気口50の左右幅寸法と同一以上であり、左右の筐体排気口50と対応するように左右一対設けられる。そして、各ゴムプレート60は、各筐体排気口50の左右幅寸法の全長と上下にオーバーラップする位置にそれぞれ設置されている。ゴムプレート60は、左右方向に延在する1枚のシートで構成され、膨出部58の外面58dの長手方向に亘って延在するように取り付けられてもよい。
【0041】
次に、ヒートシンク36の具体的な構成例を説明する。
【0042】
図3及び図6に示すように、ヒートシンク36のヒートシンク36の各隙間Gは、下面(第1面36a)及びこれと平行する上面(第2面36b)との間で前後方向に延在し、それぞれ左右方向に並んで配置されて空気流路を形成する。
【0043】
ヒートシンク36は、第1面36a及び第2面36bと交差する前後の側面がそれぞれ空気導入面36c及び空気排出面36dとなる。空気導入面36cは、ファン34の排気口34aに対向し、ファン34から送られる空気Aの入口となる。空気排出面36dは、第1筐体11の後縁部に形成された開口部46に対向し、ヒートシンク36を通過した空気Aの出口となる。図6中に1点鎖線で示す矢印は、空気の流れを模式的に示したものであり、図7も同様である。
【0044】
ヒートシンク36の第2面36bには、ヒートパイプ32が接続される。ヒートシンク36の第1面36aには、傾斜形状部62a及び平坦形状部62bを有する突出部62が設けられている。これによりヒートシンク36は、側面視で略台形形状を有する。突出部62は、脚部52の内側に向かって突出している。換言すれば、ヒートシンク36は、第1面36aから下方に突出した突出部62が脚部52の内側空間に入り込んでいる。突出部62は、ヒートシンク36の左右幅方向で両端部を除く大部分に形成されている(図3参照)。突出部62は、ヒートシンク36の幅方向の全長に亘って設けられてもよい。
【0045】
傾斜形状部62aは、第2カバー部材19の傾斜面19bに沿うように傾斜している。つまり傾斜形状部62aは、第1方向に向かって次第に下方へと傾斜している。傾斜形状部62aは、傾斜面19bと平行していてもよいし、平行していなくてもよい。図6に示す構成例の傾斜形状部62aは、傾斜面19bと完全には平行していないが、略平行している。
【0046】
平坦形状部62bは、傾斜形状部62aと空気排出面36dとの間で第2カバー部材19の平坦面19cに沿って端部58aまで延在している。平坦形状部62bは、平坦面19cと平行していてもよいし、平行していなくてもよい。図6に示す構成例の平坦形状部62bは、平坦面19cと平行している。平坦形状部62bは省略されてもよく、この場合、傾斜形状部62aを端部58aに向かって延在させるとよい。この際、脚部52の第2プレート部58cも省略し、第1プレート部58bを端部58aまで延在させてもよい。
【0047】
本実施形態のヒートシンク36において、第2面36bは、各フィン45の上端部を直角に屈曲させた板片が連続し、隙間Gの上面開口を閉じている。第1面36aの平坦形状部62bは、各フィン45の下端部を直角に屈曲させた板片が連続し、隙間Gの下面開口を閉じている。
【0048】
一方、傾斜形状部62aでは、各フィン45の下端部に屈曲した板片が形成されていないため、各フィン45の下端面が隙間Gを介して並び、隙間Gの下面開口が閉じられていない。すなわち、本実施形態のヒートシンク36は、フィン45を並べて積層した構成である。従って、ヒートシンク36において、傾斜形状部62aの下面開口を閉じるためには、各フィン45の下端部を斜めに形成し、且つ屈曲した板片を形成する必要があり、フィン45自体の構造及び各フィン45の接合工程が煩雑となる。このため、本実施形態では、製造効率を考慮して傾斜形状部62aの下面開口を閉じない構成とした。
【0049】
勿論、傾斜形状部62aの下面開口も、平坦形状部62bと同様、図6中に2点鎖線で示す蓋板64で閉じてもよい。蓋板64は、各フィン45の下端部を屈曲させた板片を連続させたものでもよいし、グラファイトシートや銅シート等を取り付けたものでもよい。
【0050】
次に、電子機器10の作用効果を説明する。
【0051】
以上のように構成された電子機器10では、図6に示すように、筐体吸気口56及び吸気口34f,34gを通してファン34(35)が吸気した空気Aは、排気口34aからヒートシンク36(37)の空気導入面36cを通して各隙間Gに流入する。この空気Aは、ヒートシンク36(37)内を流通しながら各フィン45から熱を受け取り、最終的には筐体排気口50を通して第1筐体11の外部に排出される。これにより当該電子機器10は、発熱体30の熱を第1筐体11の外部に排出できる。
【0052】
ここで、本実施形態の電子機器10は、図6に示すようにドロップダウン型のヒンジ14を備える。このため、電子機器10は、第2筐体12を所定角度まで開いて使用する際、筐体排気口50の直後に第2筐体12の一縁部12a及びヒンジ筐体14aと対向配置される。
【0053】
なお、ヒンジ筐体14aは、筐体11,12間の回転軸となる左右一対のヒンジ軸14bの一端部を支持するものである。ヒンジ筐体14aは、第2筐体12の一縁部12aに一体的に取り付けられ、一縁部12aからディスプレイ16の表示面16aと直交する正面方向に顎状に突出している。ヒンジ筐体14aは、いわゆるワンバー構造であり、左右方向に沿って延在し(図1及び図2参照)、その左右端部にそれぞれヒンジ軸14bが支持される。ヒンジ軸の他端部14bは、第1筐体11の後端から前方に凹んだ後縁部11dの側部に開口する孔部65を通して第1筐体11内に引き込まれ、第1筐体11に固定されたブラケットに支持される。
【0054】
従って、当該電子機器10は、筐体排気口50から第1筐体11の外部に排出された空気Aが第2筐体12の一縁部12a及びヒンジ筐体14aに衝突し、円滑な流通が妨げられる懸念がある。
【0055】
この点、従来のノート型PCのような電子機器では、筐体排気口からの空気が一縁部12a及びヒンジ筐体14aに衝突する結果、略全ての空気がヒンジ筐体14aの上部から第1筐体11の上方に排出され、ディスプレイ16の表示面16aに沿って排出されていた(図7に示す比較例の電子機器70も参照)。図7に示すように、従来の電子機器70では、ヒートシンク68及び筐体排気口50がデスク上面66から相当上にあり、筐体排気口50からの排気が一縁部12a及びヒンジ筐体14aに真っすぐに向かう位置にあるためである。従って、このような電子機器70では、筐体排気口50からの空気が一縁部12a及びヒンジ筐体14aとデスク上面66との間にはほとんど流れない。このため、従来の電子機器では、ファンの排気流量が低下してヒートシンクでの熱交換効率が低下し、冷却モジュール全体の冷却能力の低下を引き起こしていた。
【0056】
そこで、本実施形態の電子機器10は、第1筐体11の底面11bの一部を下方に向けて膨出して形成され、端部58aが筐体排気口50の下縁部50aを構成する脚部52と、脚部52の内面19aに設けられ、第1方向に向かって次第に下方へと傾斜する傾斜面19bと、を備える。
【0057】
これにより当該電子機器10は、筐体排気口50の下縁部50aが第1筐体11の底面11bから一段下がった脚部52の端部58aにある。このため、電子機器10は、筐体排気口50の下縁部50aがデスク上面66に近接する。従って、電子機器10では、ヒートシンク36(37)及び筐体排気口50を通過した空気Aは、第2筐体12の一縁部12a及びヒンジ筐体14aの上方への流れ(空気A1)だけでなく、下方への流れ(空気A2)も十分な流量が確保される。その結果、当該電子機器10は、ファン34(35)での排気流量が増加して冷却モジュール22の冷却能力が向上する。
【0058】
特に、本実施形態のヒートシンク36(37)は、脚部52の内側に向かって突出する突出部62を有し、この突出部62には傾斜面19bに沿うように傾斜する傾斜形状部62aが設けられている。このため、図6に示すように、空気Aは、ヒートシンク36(37)を流通する際、傾斜形状部62aに沿って円滑に下方にも流れる。このため、電子機器10は、一縁部12a及びヒンジ筐体14aへの空気Aの衝突が抑制され、デスク上面66に沿う空気A2の流量が上昇するため、ファン34(35)での排気流量が一層増加して冷却モジュール22の冷却能力が一層向上する。しかも空気A2の流れが円滑なものとなることで、筐体排気口50から出た空気Aがバー形状のヒンジ筐体14aに勢いよく衝突し、この衝突した空気Aが前方に逆流し、底面11bに設けた筐体吸気口56からファン34(35)に再流入することを抑制できる。さらに第1筐体11は、底面11bから脚部52までが一体的に構成されるため、側面視や底面視での外観品質が向上する。
【0059】
なお、このような突出部62を有するヒートシンク36(37)及び脚部52を備えた構成は、ワンバー構造のヒンジ筐体14a以外、例えばヒンジ筐体14aが左右一対設けられた構成にも適用できる。この場合には、ヒンジ筐体14aは、筐体排気口50からの排気をあまり邪魔しないが、第2筐体12の一縁部12aが筐体排気口50を塞ぐように配置されることに変わりはない。このため、この場合にも、ヒートシンク36(37)及び脚部52の作用により、空気Aが一縁部12aとデスク上面66との間に円滑に流れる。その結果、電子機器10は、空気A2の流量が上昇してファン34(35)での排気流量が増加し、冷却モジュール22の冷却能力が向上する。
【0060】
当該電子機器10において、脚部52は、第1方向に向かって次第に下方へと傾斜して、内面に傾斜面19bを形成する第1プレート部58bと、第1プレート部58bから端部58aまで底面11bと略平行に延び、内面に底面11bと略平行する平坦面19cを形成する第2プレート部58cとを有してもよい。この場合、ヒートシンク36(37)の突出部62には、傾斜形状部62aと空気排出面36dとの間で平坦面19cに沿うように延在する平坦形状部62bが設けられるとよい。そうすると、図6に示すように、空気Aは、ヒートシンク36(37)を流通する際、傾斜形状部62aに沿って下方にも流れた後、今後は平坦形状部62bに沿って筐体排気口50へと一層円滑に流通する。このため、電子機器10は、一縁部12a及びヒンジ筐体14aへの空気Aの衝突が一層抑制され、空気A2の流量が一層上昇するため、ファン34(35)での排気流量が一層増加して冷却モジュール22の冷却能力が一層向上する。
【0061】
脚部52は、第2プレート部58cの外面58dに固定されたゴムプレート60を有してもよい。特に、ゴムプレート60は、第1筐体11の厚み方向で見て、筐体排気口50の全長とオーバーラップしていることが好ましい。そうすると、第1筐体11の前後方向で、筐体排気口50と筐体吸気口56との間での底面11bとデスク上面66との間の隙間をゴムプレート60が確実に閉塞する。その結果、電子機器10は、筐体排気口50から出た空気Aが前方に逆流し、底面11bに設けた筐体吸気口56からファン34(35)に再流入することを一層抑制できる。このため、冷却モジュール22の冷却能力が一層向上する。
【0062】
当該電子機器10では、ヒートパイプ32(33)がヒートシンク36の上面である第2面36bに接続されている。ここで、筐体排気口50の上下方向の高さは、脚部52が下方に突出したことで上下に拡大された後側面11cの高さと同程度に拡大されている。つまり筐体排気口50は、ヒートパイプ32(33)の後方にも開口している。このため、ファン34(35)の排気口34aから出た空気Aの一部は、ヒートパイプ32(33)の上部の隙間を通って筐体排気口50より排出される(図6中の空気A1’参照)。その結果、電子機器10は、ヒートパイプ32(33)の温度も下げつつ、ファン34(35)の合計風量をさらに増加させることができるという利点もある。
【0063】
次に、表1を参照して、実施例に係る電子機器10(図6参照)と、比較例に係る電子機器70(図7参照)との冷却性能を比較した実験結果を説明する。実施例の電子機器10は、突出部62を有するヒートシンク36と、脚部52とを備える。一方、比較例の電子機器70は、突出部62を持たない従来のヒートシンク68と、従来のゴムブロック69で構成された脚部とを備える。すなわち、比較例の電子機器70は、ヒートシンク36,37に代えてヒートシンク68を用い、脚部52に代えてゴムブロック69を用いた以外は実施例の電子機器10と同一の構成である。
【0064】
表1において、「比較例(℃)」は電子機器70の各部温度の測定結果を示し、「実施例(℃)」は電子機器10の各部温度の測定結果を示し、「温度差(℃)」は比較例の測定温度から実施例の測定温度を引いた差を示す。また、「CPU」は発熱体30であるCPUの表面温度、「キートップ」はキーボード20の表面温度を示す。「左パームレスト」は第1筐体11の上面11aのうち、タッチパッド21の左側部の表面温度、「右パームレスト」は第1筐体11の上面11aのうち、タッチパッド21の右側部の表面温度の測定結果を示す。「筐体上面(左後)」、「筐体上面(右後)」、「筐体上面(左前)」、「筐体上面(右前)」は、それぞれ第1筐体11の上面11aのうち、左後角部付近、右後角部付近、左前角部付近、右前角部付近の表面温度の測定結果を示す。「筐体底面(CPU)」は発熱体30の直下での第1筐体11の底面11bの表面温度の測定結果を示す。
【0065】
表1に示すように、本実験の結果、実施例に係る電子機器10は、比較例に係る電子機器70と比べて、ほとんどの測定位置で測定温度が低下した。すなわち電子機器10は、電子機器70と比べて、平均すると約2度程度の温度改善効果が得られた。さらに電子機器10は、電子機器70と比べて、ファン34(35)の風量が10%程度増加し、発熱体30であるCPUの熱設計電力(TDP:Thermal Design Power)が5%程度増加した。その結果、実施例の電子機器10は、比較例の電子機器70に比べて冷却モジュール22の冷却能力が向上することが明らかとなった。
【0066】
このような実験結果が得られた理由としては、第1に、比較例の電子機器70は、筐体排気口50の下縁部50aがデスク上面66から高い位置にあるため、第2筐体12の一縁部12a及びヒンジ筐体14aとデスク上面66との間に空気が流れにくいことが挙げられる。つまり、比較例では、ここを流れる空気A2の流量が実施例と比べて顕著に低下し、その結果としてファン34(35)の排気風量が低下し、冷却能力が低下したと考えらえる。
【0067】
第2に、比較例の電子機器70は、筐体排気口50の下縁部50aがデスク上面66から高い位置にあるため、筐体排気口50からの空気Aの全てがヒンジ筐体14aに高い位置で衝突する。その結果、比較例では、筐体排気口50を出た空気の一部(空気A3)がゴムブロック69の側方、つまり底面11bとデスク上面66との隙間を前方に流れ、筐体吸気口56から吸気口34gに逆流し、冷却能力が低下したと考えらえる。
【0068】
この点、実施例の電子機器10は、第1に、筐体排気口50の下縁部50aがデスク上面66に近い低位置にあるため、第2筐体12の一縁部12a及びヒンジ筐体14aとデスク上面66との間を流れる空気A2の流量が増大し、これによりファン34(35)の排気風量が上昇し、冷却能力が向上したと考えられる。この際、ヒートシンク36(37)は、突出部62でフィン45が高さ方向に拡大されている。このため、ヒートシンク36(37)は、流通する空気の流速が遅くなって空気抵抗が減るため、風量の減少を抑制できるという効果もある。勿論、ヒートシンク36(37)は、フィン45の表面積自体も拡大し、熱交換性能が向上するという利点もある。
【0069】
第2に、実施例の電子機器10は、筐体排気口50の下縁部50aがデスク上面66に近い低位置にあり、筐体排気口50からの空気が第2筐体12の一縁部12a及びヒンジ筐体14aとデスク上面66との間の隙間に向かって円滑に流れる。その結果、実施例では、底面11bとデスク上面66との隙間を前方に流れる空気A3が発生しにくく、且つこの隙間が脚部52及びゴムプレート60によって塞がれており、これにより空気A3の発生自体がブロックされていたこと等が考えられる。
【0070】
【表1】
【0071】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
10,70 電子機器
11 第1筐体
12 第2筐体
14 ヒンジ
14a ヒンジ筐体
18 第1カバー部材
19 第2カバー部材
19a 内面
19b 傾斜面
19c 平坦面
22 冷却モジュール
30 発熱体
34,35 ファン
36,37,68 ヒートシンク
50 筐体排気口
52 脚部
58a 端部
58b 第1プレート部
58c 第2プレート部
60 ゴムプレート
62 突出部
62a 傾斜形状部
62b 平坦形状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7