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特開2024-109104温度依存型のスイッチング機構及び温度依存型スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109104
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】温度依存型のスイッチング機構及び温度依存型スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 37/54 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H01H37/54 C
H01H37/54 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024012304
(22)【出願日】2024-01-30
(31)【優先権主張番号】10 2023 102 304.7
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523245171
【氏名又は名称】ホフセス, マルセル ペー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホフセス, マルセル ペー.
【テーマコード(参考)】
5G041
【Fターム(参考)】
5G041AA13
5G041AA20
5G041DA11
5G041DA14
5G041DB01
5G041DC17
(57)【要約】
【課題】予め半製品として製造し、バルク材として格納することができ、スイッチング機構に欠陥を生じさせるような損傷を受けにくい温度依存型のスイッチング機構を提供する。
【解決手段】温度依存型スイッチ(10)のための温度依存型のスイッチング機構(12)は、温度依存型のバイメタルディスク(18)と、温度に依存しないばねディスク(20)と、バイメタルディスク(18)とばねディスク(20)が固定されている導電性の接触部(22)と、導電性材料からなる本体(34)を有し、且つばねディスク(20)の周縁部(32)を包囲し、その結果、ばねディスク(20)を捕捉的に保持する保持リング(24)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度依存型スイッチ(10)のための温度依存型のスイッチング機構(12)であって、
温度依存型のバイメタルディスク(18)と、
温度に依存しないばねディスク(20)と、
バイメタルディスク(18)とばねディスク(20)が固定されている導電性の接触部(22)と、
導電性材料からなる本体(34)を有し、且つ前記ばねディスク(20)の周縁部(32)を包囲し、その結果、ばねディスク(20)を捕捉的に保持する保持リング(24)とを備える、温度依存型のスイッチング機構(12)。
【請求項2】
前記保持リング(24)は、前記バイメタルディスク(18)と接触せず、少なくとも前記バイメタルディスク(18)の上側から、バイメタルディスク(18)の周縁部(44)に自由にアクセスすることができる、請求項1に記載の温度依存型のスイッチング機構。
【請求項3】
前記保持リング(24)は、ばねディスク(20)の周縁側(48)、周縁側(48)に対して横方向に延びるばねディスク(20)の上側(50)、及び上側(50)とは反対側にあるばねディスク(20)の下側(52)から、夫々ばねディスク(20)の周縁部(32)を少なくとも部分的に取り囲む、請求項1に記載の温度依存型のスイッチング機構。
【請求項4】
前記ばねディスク(20)の周縁部(32)が、前記保持リング(24)にクランプされるように配置される、請求項1に記載の温度依存型のスイッチング機構。
【請求項5】
クランプ要素(36)が本体(34)に配置され、ばねディスク(20)の周縁部(32)がクランプ要素(36)と本体(34)との間に配置されている、請求項1に記載の温度依存型のスイッチング機構。
【請求項6】
前記保持リング(24)の前記本体(34)は、中心軸(38)の周りに延びて、受け入れポケット(40)を画定し、該受け入れポケットは中心軸(38)に向かって開口し、かつ該受け入れポケット内に前記ばねディスク(20)のクランプ要素(36)と周縁部(32)が配置されている、請求項5に記載の温度依存型のスイッチング機構。
【請求項7】
前記本体(34)は一体に構成されている、請求項1に記載の温度依存型のスイッチング機構。
【請求項8】
バイメタルディスク(18)とばねディスク(20)は、高さ方向(h)に互いに重なって配置され、高さ方向(h)にて測定された接触部(22)の高さ(H1)は、高さ方向(h)にて測定された保持リング(24)の高さ(H2)よりも大きい、請求項1に記載の温度依存型のスイッチング機構。
【請求項9】
接触部(22)は、保持リング(24)に対して中心となるように配置され、保持リング(24)から少なくとも第1の側に突出する、請求項1に記載の温度依存型のスイッチング機構。
【請求項10】
前記保持リング(24)の前記本体(34)の内径(d1)が、前記ばねディスク(20)の外径(D1)よりも小さいが、前記バイメタルディスク(18)の外径(D2)よりも大きい、請求項1に記載の温度依存型のスイッチング機構。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の温度依存型のスイッチング機構(12)と、前記スイッチング機構(12)を取り囲むスイッチハウジング(46)とを有する温度依存型スイッチ(10)であって、
前記温度依存型のスイッチング機構(12)は、その温度に応じて、前記スイッチング機構(12)が第1の外部端子(14)と第2の外部端子(16)との間の導電性接続を確立する閉塞位置と、前記温度依存型のスイッチング機構(12)が前記導電性接続を遮断する開放位置との間を切り換えるように構成される、ことを特徴とする温度依存型スイッチ(10)。
【請求項12】
スイッチハウジング(46)は、下部(62)と、該下部(62)に締結され、該下部(62)を塞ぐカバー部(64)とを有し、該下部(62)とカバー部(64)は、電気的に絶縁した材料からなる、請求項11に記載の温度依存型スイッチ。
【請求項13】
保持リング(24)が第1の電極(68)を形成し、かつ、下部(62)が第1の電極(68)及び第2の外部端子(16)に電気的に接続された第2の電極(70)を支持し、高さ方向(h)に沿って相互に間隔を空けて間隔で2つの電極(68、70)を保持し、第1の電極(68)は、2つの電極(68、70)に対して横に並び、下部(62)に配置されたライン接続要素(74)を介して第1の外部端子(14)に電気的に接続され、第1の外部端子と第2の外部端子(14、16)が高さ方向(h)に関して同じ高さで下部(62)を通って導出される、請求項11に記載の温度依存型スイッチ。
【請求項14】
前記保持リング(24)が、前記ライン接続要素(74)上に支承されている、請求項13に記載の温度依存型スイッチ。
【請求項15】
バイメタルディスク(18)は、その温度に応じて、その開放位置と閉鎖位置との間でその形状を変化させて、スイッチング機構(12)を切り換えるように構成され、スイッチング機構(12)の閉鎖位置において、ばねディスク(20)は、導電性接続を確立するように構成されており、その際、前記ばねディスク(20)は保持リング(24)上に支持され、接触部(22)が固定の嵌合接触部(76)に対して押圧されることにより機械的な接触圧力を発生する、請求項11に記載の温度依存型スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度依存型スイッチに関する温度依存型のスイッチング機構に関する。本発明はさらに、このような温度依存型のスイッチング機構を有する温度依存型スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の温度依存型スイッチが、原則として既に知られている。例示的な温度依存型スイッチは、ドイツ特許公開公報10 2013 102 089号に開示されている。
【0003】
それ自体が既知の方法では、このタイプの温度依存型スイッチは、装置の温度を監視するのに役立つ。この目的のために、スイッチは、例えばその外面の1つによって、保護される機器と熱的に接触させられて、保護される機器の温度がスイッチの内部に配置されたスイッチング機構の温度に影響する。
【0004】
典型的には、ここでのスイッチは、接続ラインを介して保護される装置の供給電流の回路に直列に配置されており、そのため、温度がスイッチの応答温度以下であるときには、保護される装置の供給電流がスイッチを通るようになっている。
【0005】
ドイツ特許公開公報10 2013 102 089号から既知のスイッチでは、スイッチング機構は、スイッチハウジングの内部に配置される。スイッチハウジングは2つの部品からなる構造になっている。スイッチハウジングは、導電性材料(例えば、金属)で作られた下部を有し、該下部は、同様に、導電性材料(例えば、金属)で作られたカバー部に、介在する絶縁フィルム/箔を使用しながら、固定的に接続される。スイッチハウジング内に配置された温度依存型のスイッチング機構は、可動の接触部が固定されたばねディスクと、可動の接触部上に挿入されたバイメタルディスクとを有する。
ばねディスクは、可動の接触部を、スイッチハウジングの内側のカバー部に配置された固定の嵌合接触部に対して押圧する。ばねディスクは、その外縁によって、スイッチハウジングの下部に支持され、電流は下側部分からばねディスクと可動の接触部を通って固定の嵌合接触部に流れ、固定の嵌合接触部からカバー部に流れる。
【0006】
スイッチの温度依存型のスイッチング動作に対する責務は、かなりの程度、温度依存型のバイメタルディスクにある。温度依存型のバイメタルディスクは、ほとんどの場合、多層の、活性のある金属シート金属状の構成要素として構成されて、異種の熱膨張係数を有し、互いに接続された2つ、3つ、または4つの構成要素からなる。このタイプのバイメタルディスクにおける金属または金属合金の個々の層の接続は、ほとんどの場合、材料一体型または形状嵌合であり、例えば、圧延によって達成される。
【0007】
この種のバイメタルディスクは、バイメタルディスクの応答温度以下の低温では、第1の安定した幾何学的構成(低温構成)を有し、高温では、バイメタルディスクの応答温度以上では、第2の安定した幾何学的構成(高温構成)を有している。温度に依存して、バイメタルディスクは、ヒステリシスの様式で、その低温構成からその高温構成にジャンプする。
【0008】
したがって、保護される装置の温度上昇の結果として、バイメタルディスクの温度がバイメタルディスクの応答温度を超えて上昇すると、バイメタルディスクは、その低温構成からその高温構成に向かって跳ぶ。過程において、バイメタルディスクは、スイッチが開き、保護すべき装置がスイッチオフされ、それ以上加熱することができないように、バイメタルディスクが可動の接触部を固定の嵌合接触部から持ち上げるように、ばねディスクに対して作用する。
【0009】
リセット防止装置が設けられていない限り、バイメタルディスクは低温状態にスプリングバックし、保護されるべき装置の冷却の結果、バイメタルディスクの温度がいわゆるスプリングバック温度以下に低下すると直ぐに、スイッチは再び閉じられる。
【0010】
ドイツ特許公開公報10 2013 102 089号から知られているスイッチでは、その低温構成におけるバイメタルディスクは、スイッチハウジングに作用する機械的な力なしに取り付けられ、それによって、バイメタルディスクは、電流を導通するためにも使用されない。これは、バイメタルディスクの耐用年数が長く、スイッチングポイント、すなわちバイメタルディスクの応答温度が多くのスイッチングサイクル後も変化しないという利点がある。
【0011】
従って、多くの温度依存型スイッチにおいて、スイッチの製造中に、バイメタルディスクは、好ましくは、自由な個々の部品としてスイッチハウジング内に配置され、それによって、バイメタルディスクは、例えば、バイメタルディスクに設けられた中心的な貫通孔によって、ばねディスクに固定された接触部の上に挿入される。この例において、バイメタル部品は、その位置に関して、また、スイッチング機構の他の構成要素に対するその位置に関して、スイッチハウジングを閉じるだけで固定される。しかし、バイメタルディスクが個々に挿入されるこのタイプのスイッチの製造は、スイッチハウジング内にスイッチング機構を挿入するための複数の工程が必要とされるために、面倒であることが判明している。
【0012】
従って、ドイツ特許10 2011 119 632号から既知のスイッチでは、バイメタルディスクは、ばねディスクに固定された接触部に、前もって(ハウジングの外側に)接続されている。この目的のために、バイメタルディスクを接触部の上に挿入し、その後、接触部の上側カラーを折りたたむ。その結果、ばねディスクは、接触部に固定されるだけでなく、バイメタルディスクもまた、接触部に捕捉的に保持される。
【0013】
このように、バイメタルディスク、ばねディスク、接触部からなるスイッチング機構は、捕捉ユニットを形成し、バルク材として別々に保管することができる半製品として、予め生産することができる。スイッチの生産中に、スイッチング機構は、たった1回の操作工程で、捕捉ユニットとしてスイッチハウジングに挿入することができる。これにより、スイッチの製造が何倍も簡単になる。
【0014】
ドイツ特許10 2011 119 632号から既知のスイッチでは、ばねディスクは、2つの構成要素間に良好な電気的接触を理想的に確立するように、接触部に溶接されるか、または半田付けされる/ろう付けされる。しかし、特に半製品として予め生産されたスイッチング機構をバルク材として格納する場合、接触部とばねディスクとの溶接及び半田付け/ろう付け接続が破断する可能性があることが実証されている。このタイプの不具合があるスイッチは、もはや使用できない。スイッチング機構の機能テストはこの時点でのみ可能であるため、このような欠陥が、スイッチが組み立てられた後にのみ検出されることは、ここでは特に問題となる。
【0015】
また、ドイツ特許公開公報199 19 648号でも、温度依存型スイッチが提案されており、そのスイッチング機構は半製品として事前に製造可能である。また、このスイッチング機構では、バイメタルディスク、ばねディスク、及び接触部もまた、スイッチハウジング内に設置される前に既に捕捉ユニットを形成し、スイッチの生産中にその全体がスイッチハウジング内に挿入され、バルク材として前もって格納され得る。このスイッチング機構では、接触部は、より柔らかい金属からなるケーシングと、導電性のより硬い金属からなるコアとを有する。バイメタルディスクとばねディスクは、ケーシングに取り付けられ、より柔らかい金属のケーシングに成形されている。しかしながら、このタイプの接続は、しばしば、スイッチング機構の格納中に、バイメタルディスク及び/又はばねディスクが、不注意に接触部から放たれることを導くことが実証されている。
【0016】
予め半製品としてスイッチング機構を製造するさらなる可能性は、ドイツ特許公開公報29 17 482号及びドイツ特許公開公報10 2007 014 237号から知られている。ここでのスイッチング機構の捕捉ユニットは、バイメタルディスクとばねディスクが、リベットによって互いに接続されているという点で達成される。スイッチの構成モードによっては、このリベットは、スイッチング機構の可動の接触部を形成することもある。リベットは2つの部品からなる構造で、中空リベットと相互作用するリベットボルトを有するか、または、かみ合いホルダが固定されたリベットボルトを有する。ばねディスクとバイメタルディスクとの間のこのタイプのリベット接続は、機械的に耐久性のある接続であることが証明されているが、しかし、リベット接続は、他の不利な点を引き起こす。ほとんどの場合、これは、バイメタルディスクが固定的にリベットにクランプされることにつながり、変形を引き起こし、従ってバイメタルディスクの機能不全を引き起こす可能性がある。このように、全体的に見て、スイッチング機構をバルク材の形で格納することも、原則として可能である。しかしながら、バルク材の格納中のスイッチング機構に対する損傷も、ここでは排除できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の目的は、予め半製品として製造し、バルク材として格納することができ、スイッチング機構に欠陥を生じさせるような損傷を受けにくい温度依存型のスイッチング機構を提供することにある。また、本例において半製品として予め製造することができるスイッチング機構は、温度依存型スイッチにおいて理想的に簡単な方法で使用することができ、かつ、当該スイッチング機構の製造を可能な限り少数の操作工程を用いて行うことができる。更に、スイッチの外部端子によるスイッチング機構の電気的接触が改善される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、この目的は、温度依存型スイッチのための温度依存型のスイッチング機構を有していることにより達成され、温度依存型のスイッチング機構は、
温度依存型のバイメタルディスクと、
温度に依存しないばねディスクと、
バイメタルディスクとばねディスクが捕捉的に保持されている導電性の接触部と、
導電性材料からなる本体を有し、ばねディスクの周縁を包囲し、その結果、ばねディスクを捕捉的に保持する保持リングを有する。
【0019】
本発明によれば、スイッチング機構は、更なる保持リングを備え、該保持リングはばねディスクを円周方向に囲む一種のスイッチング機構ハウジングとして、ばねディスクを捕捉的に保持する。
ばねディスク及びバイメタルディスクもまた、導電性接触部上に捕捉的に保持されるので、言及されたスイッチング機構の構成要素、即ちバイメタルディスク、ばねディスク及び接触部は全て、保持リング上に捕捉的に(直接的または間接的に)保持される。このように、スイッチング機構は、捕捉ユニットとして事前に生産可能であり、バルク材としての格納に適している。
【0020】
保持リングは、ばねディスクの周縁部を取り囲み、ばねディスクを捕捉的に保持するので、保持リングはばねディスクの自由な周縁部を保護する。これは、スイッチング機構をバルク材として格納する際に特に有利である。
【0021】
保持リングはさらに導電性材料(例えば、金属)で作られているので、スイッチング機構の電気的接触は、保持リングによってさらに簡素化することができる。具体的には、保持リング自体が電気的な接触部として機能することができる。
【0022】
製造時には、温度依存型のスイッチング機構は、スイッチハウジング内に挿入されるだけでよく、保持リングは、スイッチの2つの外部端子のうちの1つと電気的に接触させる必要がある。最も簡単なケースでは、面接触の方法によって実行されることができ、面接触では、本発明のスイッチング機構が、保持リングと結合して、スイッチハウジングに配置された接触面上に配置される。
【0023】
温度依存型スイッチの製造時には、本発明のスイッチング機構は、保持リングと結合して、まず半製品として予め製造され、次いで、全体としてスイッチハウジングに挿入される。その結果、スイッチング機構の格納だけでなく、温度依存型スイッチの製造及びスイッチング機構の電気的接触も、何倍も簡略化される。
【0024】
スイッチング機構上に更に設けられた保持リングのために、温度依存型スイッチのハウジングは、これまでよりもかなり簡単な構造とすることができる。原則として、スイッチハウジングには2つの外部端子のみを設ける必要があり、これらの外部端子は、本発明によるスイッチング機構によって互いに電気的に接続される。
【0025】
従って、本発明によれば、温度依存型のスイッチング機構と、このスイッチング機構を取り囲むスイッチングハウジングとを備えた温度依存型スイッチが提供され、温度依存型のスイッチング機構は、その温度に応じて、第1の外部端子と第2の外部端子との間に電気的に導通する接続を確立する閉塞位置と、この温度に依存するスイッチング機構が、導通する接続を遮断する開放位置との間で切り換えるように構成される。
【0026】
このようにして、上記の目的は完全に達成される。
【0027】
改良例によると、保持リングはバイメタルディスクには接触しない。その代わりに、保持リングにより、少なくともバイメタルディスクの上側からバイメタルディスクの周縁部に自由にアクセスできるようになる。
【0028】
このように、バイメタルディスクは、接触部を介して間接的にのみ保持されるが、接触部とは直接接していない。これは、バイメタルディスクの周縁部が自由に移動可能であり、スイッチの閉鎖位置(低温位置)にて、バイメタルディスクの上に作用する力なしに取り付けることができるという特別な利点を有する。バイメタルディスクの移動は、スイッチの閉塞位置でも開放位置でも保持リングによって制限されるのが好ましい。
【0029】
更なる改良例によれば、保持リングは、各場合において、ばねディスクの円周方向側、円周方向側に対して横方向に延びるばねディスクの上側、および上側に対向するばねディスクの下側から、ばねディスクの周縁部を少なくとも部分的に囲む。
【0030】
保持リングは、ばねディスクの上側及び下側、特にばねディスクの周縁部の領域を部分的にのみ取り囲む一方で、ばねディスクの円周側を特に完全に取り囲むことが好ましい。それにもかかわらず、保持リングは比較的コンパクトな構成であり、そのため、前記保持リングは、市販されているこの種の温度依存型のスイッチング機構と比較して、スイッチング機構自体のサイズをほとんど増加させない。既に述べたように、スイッチハウジングの構成部品が不要になるか、あるいは、追加で提供される保持リングによって、スイッチハウジングをより単純な構造にすることができるので、スイッチ全体の設置サイズも、保持リングによって大きくなることはない。
【0031】
更なる改良例によれば、ばねディスクの周縁部は、保持リングにクランプされるように配置される。
【0032】
このようにして、ばねディスクの保持リングへの固定は、かなり簡単になる。
同時に、保持リングとばねディスクとの間のクランプ接続部は、バイメタルディスク、ばねディスク、接触部及び保持リングによって捕捉的に一緒に保持されたスイッチング機構ユニットの機械的に安定した結合力を確保する。
【0033】
更なる改良例によれば、クランプ要素が本体に配置され、ばねディスクの周縁部がクランプ要素と本体との間に配置される。
【0034】
クランプ要素は、ばねディスクの周縁部に全周に沿って接触し、クランプ要素と保持リングの本体との間で前記周縁部をクランプする環状のクランプ要素であることが好ましい。クランプ要素によって発生するクランプ接続による高い接触圧力はないのが好ましいが、前記クランプ接続は、スプリングディスクの(遊びのある)緩いクランプ、または少なくとも比較的低いクランプ力によるスプリングディスクのクランプを保証するのが好ましい。具体的には、ばねディスクが保持リングに捕捉的に保持され、保持リングとばねディスクとの間に電気的接触が確立されることのみが重要である。対照的に、ばねディスクの変形を避けるために、過度に高い締め付け力を持つクランプ構成は避けるべきである。
【0035】
更なる改良例によれば、保持リングの本体は中心軸を中心に延び、中心軸に向かって開放され、かつその中にクランプ要素とばねディスクの周縁部が配置される受け入れポケットを画定する。
【0036】
この受け入れポケットは、少なくとも保持リングの周縁部分に沿って延びることが望ましい。このように、受け入れポケットは、保持リングの本体の中心軸の周りに少なくとも部分的に延びる。
保持ポケットはまた、中心軸の周りに完全に、つまり中心軸の周りの全周に沿って延びることもできる。
【0037】
受け入れポケットは、断面において実質的にU字型またはJ字型であることが好ましい。U字型とは、特に、受け入れポケットが、横断面内で見たときに、2つの平行または実質的に平行な脚部にて形成され、その脚部が、横方向の脚部によって相互接続されることを意味する。互いに平行に、または実質的に平行に配列された2本の脚部は、必ずしも同じ長さである必要はない(したがって、J字形でもある)。さらに、これは、保持リングの本体によって形成された受け入れポケットの「角度付された」または「丸い」U字型またはJ字型の断面であってもよい。
【0038】
保持リングの本体により形成された受け入れポケットにより、スイッチング機構の非常に容易な組立が可能となる。例えば、本体は、クランプ要素の周りに曲げることができ、ばねディスクは、続いてクランプ要素と保持リングの本体との間に配置することができる。これに代えて、本体を最初に製造し、クランプ要素及びばねディスクを該本体内に一緒にまたは連続して挿入することもできる。
【0039】
保持リングの本体は、回転的に対称性の構成であることが望ましい。保持リングの本体は、回転的に固体であることが望ましい。また、本体は、さらに一体に構成される、すなわち一体部品から作られるのが好ましい。
【0040】
保持リングの本体は、導電性材料、望ましくは金属で作られるが、クランプ要素は、例えばプラスチック材料などの電気的に絶縁された材料で作られることが好ましい。
【0041】
更なる改良例では、バイメタルディスクとばねディスクは、高さ方向に互いに上部に配置され、高さ方向で測定された接触部の高さは、高さ方向で測定された保持リングの高さよりも高い。
【0042】
このように、保持リングは非常に平坦な構成であり、従って、スイッチの全体的な高さを高めることに寄与しないか、あるいは寄与したとしても僅かな程度である。
【0043】
更なる改良例によれば、接触部は、保持リングに対して中心となるように配置され、少なくとも第1の側において保持リングから突出する。
【0044】
従って、保持リングは、保持リングの本体が延び、スイッチング機構の他の構成部品(バイメタルディスク、ばねディスク、接触部)が配置される中心貫通孔を画定する。保持リングの高さが低いため、接触部は、少なくとも第1の側では保持リングから突出しており、多くの場合、反対の第2の側でも逆に突出している。
【0045】
このように、保持リングは、空間的には接触部のアクセス性を制限しない。従って、保持リングによる接触部の電気的接触も制限されない。接触部は、両方の側からアクセス可能であり、したがって、その上側及び下側からアクセス可能であり、これらの側上にて保持リングによって囲まれないのが好ましい。
【0046】
更なる改良例によれば、保持リングの本体の内径は、ばねディスクの外径より小さいが、バイメタルディスクの外径より大きい。
【0047】
これにより、ばねディスクが保持リングの本体に捕捉的に保持される一方、バイメタルディスクの外縁がバイメタルディスクの移動時に保持リングと衝突しないことが保証される。
【0048】
上記の内径または外径は、いずれの場合も、高さ方向に対して横方向、好ましくは垂直方向に測定される保持リング、又はバイメタルディスク、または、ばねディスクの寸法に言及するものと理解される。
【0049】
更なる改良例によれば、接触部は、第1の構成要素と、第1の構成要素に固定された第2の構成要素を有し、ここで、中心となるように配置されたばねディスクの内縁は、第1の構成要素と第2の構成要素との間にクランプされ、ここで、中心となるように配置されたバイメタルディスクの内縁は、第2の構成要素とばねディスクとの間に配置される。
【0050】
よって、接触部は2つの部分から構成されることが望ましい。ばねディスクはその内縁を接触部の2つの構成要素の間にクランプされているが、バイメタルディスクの内縁は、ばねディスクの内縁と第2の構成要素との間に配置されており、何らかの遊びを有している。これは、バイメタルディスクの寿命にプラスの影響を与える。なぜなら、バイメタルディスクは、スイッチの閉塞位置にてスイッチに作用する力なしに、このようにして取り付けることができるからである。
【0051】
本発明は、冒頭に述べたように、温度依存型のスイッチング機構だけでなく、本発明に係る温度依存型のスイッチング機構を用いた温度依存型スイッチに関するものである。したがって、上記の改良の特徴は、温度依存型のスイッチング機構に係る従属請求項で定義された特徴と同様または同等の方法で、本発明による温度依存型スイッチにも関連することが理解される。
【0052】
本発明に係る温度依存型スイッチの改良によれば、スイッチハウジングは下部と、下部に締結され下部を閉塞するカバー部を有し、下部及びカバー部は、電気的に絶縁された材料で構成されている。
【0053】
例えば、カバー部と下部は、夫々プラスチック素材でできている。これは、金属製のスイッチハウジングの構成要素と比較して、かなりのコスト優位性を提供する。
【0054】
スイッチング機構の保持リングが、導電性材料から製造され、したがって、夫々スイッチの電極又はスイッチング機構の電極の機能を果たすことができるので、電気的に絶縁性の材料からのスイッチハウジングの製造は、とりわけ可能である。このような保持リングなしで構成された従来のスイッチング機構では、スイッチハウジングの少なくとも1つの部分、あるいはスイッチハウジングの両方の部分(下部とカバー部)が電極として機能するため、スイッチハウジングの対応する部分を導電性材料で形成しなければならない。
【0055】
更なる改良例では、保持リングは、第1の電極を形成し、下部は第1の電極及び第1の電極と電気的に接続された第2の電極を支持し、2つの電極を高さ方向に沿って相互に間隔を空けて保持し、第1の電極は、2つの電極に横方向に配列され下部に配置されたライン接続要素を介して第1の外部端子に電気的に接続され、第1の外部端子および第2の外部端子は、高さ方向において同じ高さで下部を通って導出される。
【0056】
この改良例により、スイッチハウジングの内部に設けられ、スイッチ内部で第1の電極として機能する保持リングと第1の外部端子とを電気的に接続するライン接続要素により、2つの電極が、スイッチ内部で高さがずれているにもかかわらず、下部を通して2つの外部端子を同じ高さで送り出すことが可能になる、スイッチの電気的接続は、2つの外部端子を同じ高さに配置することにより著しく簡略化される。
【0057】
前記ライン接続素子は、前記第1の電極と前記第1の外部端子との間にて電気的リードホルダとして機能する別部品であることが好ましく、前記スイッチの内部において、前記第1の電極、ひいては保持リングに電気的に接続され、他方において、前記第1の外部端子に接続される。例えば、ここではライン接続素子は、スイッチハウジングの下部に配置され、第1の電極と第1の外部端子との間に配置される金属シート状の導電体であってもよい。
【0058】
改良例によれば、保持リングはライン接続要素上に支承される。
【0059】
このように、スイッチング機構の電気的接続は、スイッチング機構が、スイッチングハウジングの下部に挿入されて、保持リングがライン接続要素上に支承されるとの点で、きわめて単純に管理される。保持リングとライン接続要素との間の表面接触は、この支承動作によって達成され、これは、スイッチング機構の良好で持続可能な接触をもたらす。
【0060】
更なる改良例によれば、バイメタルディスクは、その温度に応じて、その形状を変化させて、閉塞位置と開放位置との間でスイッチング機構を切り換えるように構成され、スイッチング機構の閉塞位置におけるばねディスクは、ばねディスクが保持リングに支持され、接触部が固定の嵌合接触部に押し付けられることによって機械的接触圧力を発生させ、導電性接続を確立するように構成されている。
【0061】
このように、保持リングは、スイッチング機構の第1の電極として機能する。固定の嵌合接触ン部は、スイッチング機構の第2の電極として機能するか、又はスイッチング機構の第2の電極上に配置される。閉塞位置における電流流れは、保持リング、ばねディスク、接触部、固定の嵌合接触部によって行われる。対照的に、バイメタルディスクは、スイッチの閉塞位置では非通電である。また、このことは、バイメタルディスクの耐用年数、ひいてはスイッチング機構の耐用年数にも正の影響を与える。
【0062】
上述した、また、本明細書において説明されていない特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した各々の組合せにおいてだけでなく、他の組合せにおいても、あるいは個別に使用することができることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明の例示的な実施形態は、図面に図示されており、以下の説明においてより詳細に説明されるであろう。
図1】本発明による温度依存型のスイッチング機構を有する、本発明による温度依存型スイッチの例示的実施形態の概略断面図を示し、スイッチの温度依存型のスイッチング機構は、その閉塞位置にある。
図2図1に示す本発明によるスイッチの例示的な実施形態の概略断面図を示し、スイッチの温度依存型のスイッチング機構は、その開放位置にある。
図3図1及び図2に示すスイッチを上方から見た概略図であって、スイッチの内部の構成要素は破線で示されている。
図4】本発明に係る及び例示的な実施形態に係るスイッチング機構の上方からの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1及び図2は、各場合において、本発明に係る温度依存型スイッチの例示的な実施形態の概略断面図であり、ここでは、本発明に係るスイッチング機構が用いられている。その全体のスイッチは符号10で表される。
【0065】
図1は、スイッチ10の閉塞位置を示す。図2は、スイッチ10の開放位置を示す。
【0066】
スイッチ10は、本発明に係る温度依存型のスイッチング機構12を備えている。スイッチング機構12は、その温度に応じて、スイッチ10をその閉塞位置からその開放位置に、及びその開放位置から閉塞位置に切り換えるように構成される。
【0067】
図1に示されたスイッチ10の閉塞位置において、スイッチング機構12は、スイッチ10の2つの外部端子14、16間を導電する接続を確立する。これに対し、図2に示すスイッチ10の開放位置では、スイッチング機構12は、第1の外部端子14と第2の外部端子16との導電性接続を遮断する。
【0068】
温度依存型のスイッチング機構12は、温度依存型のバイメタルディスク18、温度に依存しない(非依存型の)ばねディスク20、可動の接触部22、及び保持リング24を備えている。スイッチング機構12の言及された構成要素18-24は、互いに捕捉的に接続される。
【0069】
ばねディスク20は、接触部22が案内される中央の孔を有している。ばねディスク20の内縁26は接触部22に固定的にクランプされる。より具体的には、接触部22は、2つの部品から構成され、接触部22の主体を形成する第1の構成要素28と、一種の包囲肩部として構成され、接触部22の第1の構成要素28に固定的に接続される第2の構成要素30とを有している。ばねディスク20は、その内縁26を介して、接触部22の第1の構成要素28と第2の構成要素30との間にクランプされている。
【0070】
ばねディスク20の周縁部32は、保持リング24上に捕捉的に保持される。保持リング24は、本体34と、本体34内に配置されたクランプ要素36とを有する。保持リング24の本体34は、金属または他の任意の電気伝導性材料から形成される。この本体34は、中心軸38の周りに延びる回転対称体であり、クランプ要素36とばねディスク20の包囲外縁32が配置される一種の受け入れポケット40を形成する。
【0071】
図1及び図2に示されるように、保持リング24の本体34によって形成された受け入れポケット40は、中心軸38に向かって開口し、断面にて、実質的にU字型又はJ字型となっている。保持リング24の本体34によって形成された受け入れポケット40は、保持リング24に沿って少なくとも部分的に延在する。前記受け入れポケット40は、以下により詳細に説明されるように、保持リング24の全周に沿って延ばすことができるが、必然的にそうではない。
【0072】
クランプ要素36は、好ましくは、回転固体として構成され、保持リングの形状、または本体34によって形成された受け入れポケット40の形状に夫々適合するスペーサリングである。このスペーサリングは、正確に適合するように、受け入れポケット40内に設置されることが好ましい。スペーサリングまたはクランプ要素36は、例えばプラスチック材料である電気的に絶縁した材料で夫々作られることが好ましい。
【0073】
ばねディスク20は、その周縁部32によって、本体34と保持リング24のクランプ要素36との間にクランプされ、その内縁26をクランプするように接触部22に固定されているが、図1に示すスイッチング機構12の閉鎖位置にあるバイメタルディスク18は、その上に作用する力が殆どないように取り付けられている。バイメタルディスク18は、その内縁42によって、接触部22の第2の構成要素30とばねディスク20との間に配置され、前記第2の構成要素30は、包囲肩として構成されている。この種の配置の結果、バイメタルディスク18は、接触部22上では捕捉的に保持されているが、遊びを伴っている。スイッチング機構12の閉塞位置では、周縁44は、スイッチの内部に突出し、保持リング24に接触せず、また、スイッチング機構12が配置されたスイッチハウジング46にも接触しない。バイメタルディスク18の周縁44は、少なくとも上側から自由にアクセスでき、この側からは保持リング24によって隠されることはない。
【0074】
対照的に、保持リング24は、ばねディスク20の周縁部32を、周縁側48から、またばねディスク20の上側50および下側52から取り囲む。
【0075】
バイメタルディスク18とばねディスク20は、高さ方向hにおいて互いに重なって配置されている。高さ方向hで測定される接触部22の高さH1は、高さ方向hで測定される保持リング24の高さH2よりも大きい。したがって、図1に示すスイッチング機構12の閉塞位置では、接触部22が保持リング24から下方に突出する。図2に示す閉塞位置では、接触部22は、保持リング24から両側(下方及び上方)に突出する。
【0076】
図4に示されたスイッチング機構12の上方から見た図から導かれるように、保持リング24の本体34の内径d1は、ばねディスク20の外径D1よりも小さいが、バイメタルディスク18の外径D2よりも大きい。結果として、ばねディスク20は、保持リング24上に捕捉的に保持され、保持リング24から不注意に放たれないようにされる。一方、バイメタルディスク18が温度に依存して移動する際、バイメタルディスク18が保持リング24と衝突しないことが保証される。
【0077】
保持リング24の本体34は一体に構成されている。本体34は、上壁54と、この上壁54に一体に連結され上壁54と平行に延びるベース壁56と、この上壁54及びベース壁56に対して横に延びる側壁58とを有している。側壁58は、上壁54をベース壁56に接続し、上壁54とベース壁56に一体的に接続される。
【0078】
側壁58は保持リング24の本体34の全周に沿って延びるが、保持リング24の本体34の上壁54およびベース壁56は必ずしも取り囲むように延びる必要はない。上壁54が保持リング24の本体34の全周に沿って延びることは、確かに可能である。しかし、折目が形成されることを避けるためには、保持リング24の本体34の上壁54が、図4にて上から見たように、円周方向に分布するように折り返されて配置された複数の別個のセグメント60を有することが有利である。
【0079】
このスイッチ10の製造においては、スイッチング機構12は、全体としてスイッチハウジング46内に挿入される。このスイッチハウジング46は、ポットのように構成された下部62を有し、このスイッチハウジング46とは別個に構成されたカバー部64によって閉鎖される。本発明によるスイッチの下部62及びカバー部64は、例えばプラスチック材料である電気的に絶縁性の材料から製造される。下部62の上縁部66は、圧縮により、真空気密方式でカバー部にシールされる。例えば、スイッチ10の製造において、下部62の上縁部66は、下部62がカバー部64に固定的に接続されるように、熱間成形することによって半径方向内側に形成され、スイッチの内部は、特に、スイッチの内部に侵入する湿気または他の汚染物の侵入に対してスイッチング機構12を保護するようにシールされる。
【0080】
下部62及びカバー部64が電気的に絶縁された材料から形成されることにより、スイッチハウジング46自体は、スイッチング機構12の電気的接続としては役に立たない。その代わりに、導電性材料から形成された保持リング24の本体34は、第1の電極68として機能する。第2の電極70は、スイッチハウジング46の下部62に埋め込まれる。この第2の電極70は、第2の外部端子16に一体的に接続される。第2の電極70は、例えば、スイッチハウジング46の下部62に直接に一体化されるシート状の金属板とすることができる。例えば、スイッチ10の製造においては、下部62は、第2の電極70をオーバーモールドすることによってプラスチックの射出成形部品として製造される。
【0081】
スイッチング機構12の2つの電極68、70は、スイッチハウジング46の下部62によって高さ方向hに互いに離間されている。ここでの保持リング23は、下部の内部に形成された肩部72の頂部に支承され、同時に第1の外部端子14に電気的に接続されたライン接続要素74と平面的に接触している。このライン接続要素74は、例えば、スイッチハウジング46の下部62に一体化されたシート状の金属導電体又は任意の他の電気導体とすることができる。
【0082】
ライン接続要素74は、スイッチング機構12の第1の電極68として機能する保持リング24の本体34を第1の外部端子14に電気的に接続する。このようにすると、2つの電極68,70が高さ方向hにオフセットするように配置されているにもかかわらず、2つの外部端子14、16をスイッチハウジング46の下部62を介して内側から外側に同じ高さで引き回すことが可能となる。したがって、図1及び図2に示す断面図では、第1の外部端子14は第2の外部端子16と同じ高さで第2の外部端子16と平行に配置されているため、第1の外部端子14は第2の外部端子16の「後方」に配置されている。後者は、特に図3に示すスイッチ10の上方から見た場合と併せて見ると分かる。
【0083】
図3に示されるように、2つの外部端子14、16は、スイッチハウジング46の外側で互いに平行に延び、ライン接続要素74により、図1及び図2に破線で示される共通の接続面Eに配置することができる。
【0084】
ライン接続要素74は、更に、スイッチ10の製造において、スイッチング機構12が下部62に挿入されればよく、保持リング24の本体34と第1の外部端子14との間の電気的接触が自動的に確立されるとの利点を提供する。
【0085】
図3が、スイッチ10を上方から見た図であり、スイッチハウジング46の内部に配置されるいくつかの構成要素(例えば、構成要素18、20及び34)が破線で示されていることが指摘される、何故なら構成要素は実際には外側から見えないからである。破線は、夫々の場合に、構成要素の輪郭、あるいは外周を夫々示している。第2の電極70は、同様に図3にて点線で示され、第2の外部端子16に対して斜めに、または角度を持って延びるが、第2の外部端子16と共同して、既に述べたように、接続面E内に存在する。したがって、図1及び図2は、A-A線に沿った部分を示している。
【0086】
さらに、この種の断面線A-Aの場合、及び図3に示されるような配置の場合には、ライン接続要素74は、実際には図1及び図2では見えないが、ハウジングの下部62の一部によって隠されることが理解される。しかしながら、図1及び図2に示された図は、本来のスケール及び本当の詳細な断面図ではなく、ライン接続要素74を模式的に示した模式的な断面図であり、ライン接続要素74の構成をより良く説明することを目的としている。
【0087】
さらに、図3に示されるように、第2の電極70は、第2の外部端子16に対して、必ずしも角度を持って、または斜めに走行しなければならないわけではないことが理解される。また、原理的には、第2の電極70を第2の外部端子16と同一直線上に並べることができる。このような場合には、第2の外部端子16について、第2の電極70と共同して、スイッチハウジング46の径方向に延びることが好ましい。第2の外部端子16が中心になるように配置すれば、図3に示す位置と比較して、第1の外部端子14の向きに平行に上向きにオフセットし、この例では2つの外部端子14、16を平行に並べることも可能である。図3を参照すると、この場合の第2の外部端子16及び第2の電極70は、スイッチハウジング46の中央に配置され、第1の外部端子14と平行な線状に配置される。
【0088】
ここでは、温度依存型のスイッチング機構12に起因するスイッチ10の温度依存型のスイッチング機能について、図1及び図2により説明する。
【0089】
既に述べたように、図1は、温度依存型のスイッチング機構12がスイッチ内部にて2つの外部端子14、16間に電気的接触を確立するスイッチ10の閉塞位置を示す。この閉塞位置では、ばねディスク20は、第2の電極70に固定された嵌合接触部76に対して接触部22を押し付ける。スイッチ10の閉塞位置では、バイメタルディスク18は通電されておらず、バイメタルディスク18に力が作用しないように取り付けられている。接触圧力は、電流の流れと同様に、ばねディスク20によってのみ引き起こされる。このために、ばねディスク20はその周縁部32を介してクランプ要素36に支持され、中心に配置された接触部22を嵌合接触部76に対して押し付ける。電流は、第1の外部端子14からライン接続要素74、保持リング24、ばねディスク20、可動の接触部22、固定の嵌合接触部76及び第2の電極70を経由して第2の外部端子16に(又は逆方向に)流入する。
【0090】
このように、図1に示されたスイッチ10の閉塞位置、すなわち低温位置においては、ばねディスク20はその第1の構成であり、バイメタルディスク18はその低温構成である。この状態から進行して、保護される装置の温度、すなわち、スイッチ10の温度、およびバイメタルディスク18の温度が、バイメタルディスク18の応答温度まで上昇し、またはこの応答温度を超えて上昇した場合、図1に示されるその凸状の低温位置から、図2に示されるその凹状の高温位置に向けて、バイメタルディスク18は跳ぶ。このばね動作において、バイメタルディスク18は、その外縁44を介して、ばねディスク20上に支持される。その結果、ばねディスク20は、同時にその中央で上方に曲がり、その結果、ばねディスク20は、図1に示されるその第1の安定した幾何学的構成から、図2に示されるその第2の安定した幾何学的構成に跳ぶ。その結果、接触部22が嵌合接触部76から持ち上げられ、2つの外部端子14、16間の導電的接続が中断される。
【0091】
従って、保護される装置は、再び冷えることができるように非通電にされる。その後に温度が、いわゆるバイメタルディスク18のスプリングバック温度よりも低い温度まで低下すると、バイメタルディスク18は、図2に示す高温位置から、図1に示す低温位置まで跳び戻り、その結果、2つの外部端子14、16間の導電性接続が再び閉じる。特定の用途に応じて、このようなリセットは、リセット防止ロック、またはスイッチング機構12と電気的に並列に配線され、いわゆる自己維持機能を引き起こす加熱性の抵抗部品によって防止することができる。
【0092】
図面に示された例示的実施形態の様々な他の潜在的改変が、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に係るスイッチ10で可能であることが理解される。例えば、スイッチハウジング46は、長手方向の断面において円形の構成である必要は全くなく、楕円形又は角度付きの構成であってもよい。したがって、2つのディスク18、20も同様に、円形ディスクとして構成される必要はない。保持リング24の形状及び接触部22の形状も同様にやや異なる構成であり得、必ずしもここに示す図面に示されているとおりの正確な形状を有する必要はない。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】