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特開2024-109108報知情報を放送する非常放送設備、非常放送設備の状態を検出する検出装置、および、非常放送設備に接続されるサーバ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109108
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】報知情報を放送する非常放送設備、非常放送設備の状態を検出する検出装置、および、非常放送設備に接続されるサーバ
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20240805BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20240805BHJP
   G08B 29/00 20060101ALI20240805BHJP
   H04R 27/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H04R29/00 310
G08B27/00 B
G08B29/00 Z
H04R27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012680
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2023013093
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163979
【弁理士】
【氏名又は名称】濱名 哲也
(72)【発明者】
【氏名】阪上 光弘
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄三
(72)【発明者】
【氏名】西尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】浅田 和磨
(72)【発明者】
【氏名】小川 剛
(72)【発明者】
【氏名】荒川 稜太
【テーマコード(参考)】
5C087
【Fターム(参考)】
5C087AA37
5C087CC04
5C087DD02
5C087DD04
5C087DD23
5C087DD27
5C087DD31
5C087EE02
5C087FF01
5C087FF02
(57)【要約】
【課題】非常放送設備の点検を省力化できる非常放送設備、非常放送設備の状態を検出する検出装置、および、非常放送設備に接続されるサーバを提供する。
【解決手段】サーバ60は、報知情報を放送する非常放送設備10に接続されるサーバ60であって、非常放送設備10とネットワークを介して接続され、非常放送設備10の状態を検出する検出装置30から、非常放送設備10の状態に関する設備状態情報を、ネットワークを介して取得し、設備状態情報を、非常放送設備10の点検に関する点検項目と対応付けて保持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知情報を放送する非常放送設備に接続されるサーバであって、
前記非常放送設備とネットワークを介して接続され、
前記非常放送設備の状態を検出する検出装置から、前記非常放送設備の状態に関する設備状態情報を、ネットワークを介して取得し、
前記設備状態情報を、前記非常放送設備の点検に関する点検項目と対応付けて保持する
サーバ。
【請求項2】
前記点検項目ごとに、前記点検項目に対応する前記設備状態情報に基づいて、前記非常放送設備の状態の合否を判定し、前記点検項目の合否判定に関する判定情報を保持する
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記点検項目と、前記点検項目の合否を判定するための判定方法とを保持する点検項目保持部を備える
請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記点検項目、前記設備状態情報および前記判定情報に基づいて報告書情報を生成する
請求項2に記載のサーバ。
【請求項5】
点検予定を保持する定期点検スケジュール保持部を備え、
前記点検予定に応じて、前記設備状態情報を取得する
請求項1に記載のサーバ。
【請求項6】
前記定期点検スケジュール保持部は、前記点検予定を変更可能に保持する
請求項5に記載のサーバ。
【請求項7】
前記検出装置は、前記非常放送設備、および、前記非常放送設備を遠隔から操作できる遠隔操作器の少なくとも1つの内部状態を検出する内部状態検出部を含み、
前記設備状態情報は、前記非常放送設備および前記遠隔操作器の少なくとも1つの内部状態に関する第1状態情報を含み、
前記第1状態情報は、前記非常放送設備の主電源または主回路電源に関する情報、前記非常放送設備の短絡検出情報、前記非常放送設備を構成する複数のユニットの接続状態に関する情報、前記非常放送設備に接続される自動火災報知機の起動履歴に関する情報、前記非常放送設備のインピーダンス測定結果および地絡検出結果に関する情報、前記遠隔操作器の電源に関する情報、前記遠隔操作器と前記非常放送設備との通信状態に関する情報、前記遠隔操作器を構成する複数のユニットの接続状態に関する情報、および、非常用電源に関する情報の少なくとも1つを含む
請求項1に記載のサーバ。
【請求項8】
前記点検項目は、前記非常用電源の端子電圧に関する項目、および、前記非常用電源の切替装置に関する項目の少なくとも1つを含み、
前記第1状態情報を、前記非常用電源の端子電圧に関する項目、および、前記非常用電源の切替装置に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する
請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
前記非常放送設備は、前記報知情報を出力する本体部と、前記本体部と配線によって電気的に接続され、前記本体部が出力する前記報知情報を出力するスピーカー部と、を含み、
前記検出装置は、前記配線の接続状態を検出する接続状態検出部を含み、
前記設備状態情報は、前記配線の接続状態に関する第2状態情報を含み、
前記第2状態情報は、前記配線のインピーダンス測定に関する情報、および、前記配線の地絡検出に関する情報の少なくとも1つを含む
請求項1に記載のサーバ。
【請求項10】
前記点検項目は、前記配線の絶縁抵抗に関する項目を含み、
前記第2状態情報を、前記配線の絶縁抵抗に関する項目と対応付けて保持する
請求項9に記載のサーバ。
【請求項11】
前記非常放送設備は、前記報知情報を出力する本体部と、前記本体部と配線によって電気的に接続され、前記本体部が出力する前記報知情報を出力するスピーカー部と、を含み、
前記検出装置は、前記スピーカー部の状態を検出するマイク部を含み、
前記設備状態情報は、前記スピーカー部の状態に関する第3状態情報を含み、
前記第3状態情報は、前記スピーカー部の放送状態に関する情報を含む
請求項1に記載のサーバ。
【請求項12】
前記点検項目は、前記スピーカー部の鳴動に関する項目、および、前記スピーカー部の音圧に関する項目の少なくとも1つを含み、
前記第3状態情報を、前記スピーカー部の鳴動に関する項目、および、前記スピーカー部の音圧に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する
請求項11に記載のサーバ。
【請求項13】
前記検出装置は、前記非常放送設備とは異なる位置に設けられ、前記非常放送設備の外観に関する情報を検出するカメラ部を含み、
前記設備状態情報は、前記非常放送設備の外観に関する第4状態情報を含み、
前記第4状態情報は、前記非常放送設備の操作部の外観に関する情報を含む
請求項1に記載のサーバ。
【請求項14】
前記点検項目は、前記操作部の外形に関する項目、および、前記操作部の表示に関する項目の少なくとも1つを含み、
前記第4状態情報を、前記操作部の外形に関する項目、および、前記操作部の表示に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する
請求項13に記載のサーバ。
【請求項15】
報知情報を放送する非常放送設備であって、
前記非常放送設備の状態に関する情報であって、前記非常放送設備の点検に使用される設備状態情報を取得し、
前記設備状態情報を前記非常放送設備の点検に関する点検項目と対応付けて保持するサーバに、前記設備状態情報を送信し、
前記サーバにネットワークを介して接続される
非常放送設備。
【請求項16】
報知情報を放送する非常放送設備の状態を検出する検出装置であって、
前記非常放送設備の状態に関する情報であって、前記非常放送設備の点検に使用される設備状態情報を検出し、
前記設備状態情報を前記非常放送設備の点検に関する点検項目と対応付けて保持するサーバに、前記設備状態情報を送信し、
前記サーバにネットワークを介して接続される
検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、報知情報を放送する非常放送設備、非常放送設備の状態を検出する検出装置、および、非常放送設備に接続されるサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
非常放送設備は、火災等の非常事態の発生時に安全に避難誘導を行うための電気設備である。非常放送設備は、例えば、安全に避難誘導を行うために、非常時に報知情報を放送する。特許文献1は、例えば、非常放送設備の一例を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-059999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非常放送設備の点検では、従来、複数人の作業者が、非常放送設備が設置されている現場に赴き、現場で非常放送設備の点検を行う。非常放送設備の点検の完了後、作業者は、点検結果に基づいて所定の報告書を作成する。
【0005】
非常放送設備の点検を省力化できる非常放送設備、非常放送設備の状態を検出する検出装置、および、非常放送設備に接続されるサーバを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)サーバは、報知情報を放送する非常放送設備に接続されるサーバであって、前記非常放送設備とネットワークを介して接続され、前記非常放送設備の状態を検出する検出装置から、前記非常放送設備の状態に関する設備状態情報を、ネットワークを介して取得し、前記設備状態情報を、前記非常放送設備の点検に関する点検項目と対応付けて保持する。
【0007】
この構成によれば、サーバがネットワークを介して設備状態情報を取得するため、非常放送設備が設置されている現場とは異なる場所から非常放送設備の状態を確認できる。サーバでは、設備状態情報が点検項目と対応付けられて保持されるため、非常放送設備の状態を項目ごとに点検し易い。したがって、本構成のサーバによれば、非常放送設備の点検を省力化できる。
【0008】
(2)上記(1)に記載のサーバにおいて、サーバは、前記点検項目ごとに、前記点検項目に対応する前記設備状態情報に基づいて、前記非常放送設備の状態の合否を判定し、前記点検項目の合否判定に関する判定情報を保持する。この構成によれば、サーバは、点検項目ごとに、非常放送設備の状態の合否を判定できる。
【0009】
(3)上記(2)に記載のサーバにおいて、前記点検項目と、前記点検項目の合否を判定するための判定方法とを保持する点検項目保持部を備える。この構成によれば、点検項目ごとに判定方法がサーバに保持されるため、設備状態情報に応じて、サーバ自身が、点検項目ごとに、非常放送設備の状態の合否を好適に判定できる。
【0010】
(4)上記(2)または(3)に記載のサーバにおいて、前記点検項目、前記設備状態情報および前記判定情報に基づいて報告書情報を生成する。この構成によれば、報告書情報に基づいて、報告書を作成できる。
【0011】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載のサーバにおいて、点検予定を保持する定期点検スケジュール保持部を備え、サーバは、前記点検予定に応じて、前記設備状態情報を取得する。この構成によれば、サーバは、点検予定のスケジュールに基づいて、定期的に設備状態情報を取得できる。
【0012】
(6)上記(5)に記載のサーバにおいて、前記定期点検スケジュール保持部は、前記点検予定を変更可能に保持する。この構成によれば、点検予定を変更することによって、設備状態情報を取得する期間を変更できる。
【0013】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つに記載のサーバにおいて、前記検出装置は、前記非常放送設備、および、前記非常放送設備を遠隔から操作できる遠隔操作器の少なくとも1つの内部状態を検出する内部状態検出部を含み、前記設備状態情報は、前記非常放送設備および前記遠隔操作器の少なくとも1つの内部状態に関する第1状態情報を含み、前記第1状態情報は、前記非常放送設備の主電源または主回路電源に関する情報、前記非常放送設備の短絡検出情報、前記非常放送設備を構成する複数のユニットの接続状態に関する情報、前記非常放送設備に接続される自動火災報知機の起動履歴に関する情報、前記非常放送設備のインピーダンス測定結果および地絡検出結果に関する情報、前記遠隔操作器の電源に関する情報、前記遠隔操作器と前記非常放送設備との通信状態に関する情報、前記遠隔操作器を構成する複数のユニットの接続状態に関する情報、および、非常用電源に関する情報の少なくとも1つを含む。この構成によれば、サーバは、第1状態情報から、非常放送設備および遠隔操作器の少なくとも1つの内部状態を好適に取得できる。
【0014】
(8)上記(7)に記載のサーバにおいて、前記点検項目は、前記非常用電源の端子電圧に関する項目、および、前記非常用電源の切替装置に関する項目の少なくとも1つを含み、サーバは、前記第1状態情報を、前記非常用電源の端子電圧に関する項目、および、前記非常用電源の切替装置に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する。この構成によれば、サーバによって、作業者は、非常用電源の端子電圧に関する項目、および、非常用電源の切替装置に関する項目の少なくとも1つを好適に点検できる。
【0015】
(9)上記(1)から(8)のいずれか1つに記載のサーバにおいて、前記非常放送設備は、前記報知情報を出力する本体部と、前記本体部と配線によって電気的に接続され、前記本体部が出力する前記報知情報を出力するスピーカー部と、を含み、前記検出装置は、前記配線の接続状態を検出する接続状態検出部を含み、前記設備状態情報は、前記配線の接続状態に関する第2状態情報を含み、前記第2状態情報は、前記配線のインピーダンス測定に関する情報、および、前記配線の地絡検出に関する情報の少なくとも1つを含む。この構成によれば、サーバは、第2状態情報から、本体部およびスピーカー部の接続状態を好適に取得できる。
【0016】
(10)上記(9)に記載のサーバにおいて、前記点検項目は、前記配線の絶縁抵抗に関する項目を含み、サーバは、前記第2状態情報を、前記配線の絶縁抵抗に関する項目と対応付けて保持する。この構成によれば、サーバによって、作業者は、配線の絶縁抵抗に関する項目を好適に点検できる。
【0017】
(11)上記(1)から(10)のいずれか1つに記載のサーバにおいて、前記非常放送設備は、前記報知情報を出力する本体部と、前記本体部と配線によって電気的に接続され、前記本体部が出力する前記報知情報を出力するスピーカー部と、を含み、前記検出装置は、前記スピーカー部の状態を検出するマイク部を含み、前記設備状態情報は、前記スピーカー部の状態に関する第3状態情報を含み、前記第3状態情報は、前記スピーカー部の放送状態に関する情報を含む。この構成によれば、サーバは、第3状態情報から、スピーカー部の状態を好適に取得できる。
【0018】
(12)上記(11)に記載のサーバにおいて、前記点検項目は、スピーカー部の鳴動に関する項目、および、スピーカー部の音圧に関する項目の少なくとも1つを含み、サーバは、前記第3状態情報を、前記スピーカー部の鳴動に関する項目、および、前記スピーカー部の音圧に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する。この構成によれば、サーバによって、作業者は、スピーカー部の鳴動に関する項目、および、スピーカー部の音圧に関する項目の少なくとも1つを好適に点検できる。
【0019】
(13)上記(1)から(12)のいずれか1つに記載のサーバにおいて、前記検出装置は、前記非常放送設備とは異なる位置に設けられ、前記非常放送設備の外観に関する情報を検出するカメラ部を含み、前記設備状態情報は、前記非常放送設備の外観に関する第4状態情報を含み、前記第4状態情報は、前記非常放送設備の操作部の外観に関する情報を含む。この構成によれば、サーバは、第4状態情報から、非常放送設備の外観に関する情報を好適に取得できる。
【0020】
(14)上記(13)に記載のサーバにおいて、前記点検項目は、前記操作部の外形に関する項目、および、前記操作部の表示に関する項目の少なくとも1つを含み、サーバは、前記第4状態情報を、前記操作部の外形に関する項目、および、前記操作部の表示に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する。この構成によれば、サーバによって、作業者が、操作部の外形に関する項目、および、操作部の表示に関する項目の少なくとも1つを好適に点検できる。
【0021】
(15)非常放送設備は、報知情報を放送する非常放送設備であって、前記非常放送設備の状態に関する情報であって、前記非常放送設備の点検に使用される設備状態情報を取得し、前記設備状態情報を前記非常放送設備の点検に関する点検項目と対応付けて保持するサーバに、前記設備状態情報を送信し、前記サーバにネットワークを介して接続される。この構成によれば、非常放送設備が、ネットワークを介してサーバに設備状態情報を送信するため、非常放送設備が設置されている現場とは異なる場所から非常放送設備の状態を確認できる。したがって、本構成の非常放送設備は、非常放送設備の点検を省力化できる。
【0022】
(16)検出装置は、報知情報を放送する非常放送設備の状態を検出する検出装置であって、前記非常放送設備の状態に関する情報であって、前記非常放送設備の点検に使用される設備状態情報を検出し、前記設備状態情報を前記非常放送設備の点検に関する点検項目と対応付けて保持するサーバに、前記設備状態情報を送信し、前記サーバにネットワークを介して接続される。この構成によれば、検出装置が、ネットワークを介してサーバに設備状態情報を送信するため、非常放送設備が設置されている現場とは異なる場所から非常放送設備の状態を確認できる。したがって、本構成の検出装置は、非常放送設備の点検を省力化できる。
【発明の効果】
【0023】
非常放送設備、非常放送設備の状態を検出する検出装置、および、非常放送設備に接続されるサーバによれば、非常放送設備の点検を省力化できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る非常放送設備、検出装置およびサーバの構成を示す図である。
図2】非常放送設備の本体部の正面図である。
図3】本体部の操作ユニットの正面図である。
図4】遠隔操作器の正面図である。
図5】非常放送設備の構成例を示す図である。
図6】非常放送設備および遠隔操作器の構成例を示す図である。
図7】非常放送設備、検出装置およびサーバの構成を示すブロック図である。
図8】スピーカー部の正面図である。
図9】カメラ部が撮影する映像データの一例を示す図である。
図10図3の操作ユニットから、一部が変化した状態を示す図である。
図11】携帯通信端末の正面図である。
図12】カメラ部による非常放送設備の撮影例を示す図である。
図13】非常放送設備の自主点検の動作フローを示すフローチャートである。
図14】点検項目、時間情報、識別情報、設備状態情報、判定情報および判定方法の一例を示す図である。
図15】報告書のフォーマットの一例を示す図である。
図16】報告書のフォーマットの一例を示す図である。
図17】報告書のフォーマットの一例を示す図である。
図18】実施形態に係る非常放送設備の点検の動作シーケンスを示すシーケンス図である。
図19】第1の変形例に係る非常放送設備、検出装置およびサーバの構成を示す図である。
図20】ビューアソフトによる放送状態表示画面の一例を示す図である。
図21】第4の変形例の第1例に係るマイク部による第3状態情報を検出する動作フローを示すフローチャートである。
図22】第4の変形例の第2例に係るマイク部による第3状態情報を検出する動作フローを示すフローチャートである。
図23】第4の変形例の第3例に係るマイク部による第3状態情報を検出する動作フローを示すフローチャートである。
図24】第4の変形例の第4例に係るマイク部による第3状態情報を検出する動作フローを示すフローチャートである。
図25】その他の変形例に係る非常放送設備、検出装置およびサーバの構成を示す図である。
図26】その他の変形例に係る非常放送設備、検出装置およびサーバの構成を示す図である。
図27】その他の変形例に係る非常放送設備、検出装置およびサーバの構成を示す図である。
図28】その他の変形例に係る非常放送設備、検出装置およびサーバの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態>
図1から図18を参照して、実施形態に係る非常放送設備10、検出装置30およびサーバ60を説明する。図1は、非常放送設備10、検出装置30およびサーバ60の全体を示す模式図である。
【0026】
<非常放送設備10>
非常放送設備10は、施設1に配置される。非常放送設備10は、報知情報を放送する。施設1は、例えば、屋内空間を有する建物である。施設1の一例は、ショッピングモール、オフィスビル、学校、研究機関、官公庁舎、工場、競技場等である。施設1は、例えば、公園、広場、交差点等、屋外施設であってもよい。
【0027】
非常放送設備10は、非常時に報知情報を放送する。非常放送設備10は、報知情報を放送することによって、施設1内の人々に非常時であることを伝える目的で使用される。非常時は、例えば、自然災害および人に起因する災害の少なくとも1つの発生時である。自然災害および人に起因する災害の一例は、地震による災害、津波による災害、火山の噴火による災害、土砂災害、河川の増水による氾濫、建物または山の火災、化学工場の火災、ミサイル発射による災害、原子力事故による災害等である。
【0028】
報知情報には、災害の発生情報、災害が生じる可能性があることを知らせる予報、災害に関する警戒情報、災害に起因する危険を知らせる情報、避難指示、避難勧告、避難所の開設情報、災害に伴う交通情報等の少なくとも1つが含まれる。報知情報は、災害以外の事項に関する情報であってもよい。災害以外の事項に関する情報の一例は、気候による熱中症に関する情報、インフラ情報、警察から出される行方不明者に関する情報等である。インフラ情報は、停電・ガスまたは水道の停止、および、給水所に関する情報である。警察から出される行方不明者に関する情報は、情報提供依頼および行方不明者の発見情報である。
【0029】
非常放送設備10には、例えば、自動火災報知機2が接続される。自動火災報知機2は、例えば火災等の発生時に、非常放送設備10に発報信号を出力する。非常放送設備10は、自動火災報知機2の一部として構成されてもよい。非常放送設備10は、発報信号を受信したことに応答して報知情報を放送する。報知情報は、例えば、音声信号を含む。
【0030】
<本体部11>
図1に示されるように、非常放送設備10は、報知情報を出力する本体部11と、本体部11が出力する報知情報を出力するスピーカー部12と、を含む。本体部11は、例えば、CD(Compact Disc)、SD(Security Digital)メモリーカード、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記録媒体に保持されている音源データを再生して報知情報を生成する。本体部11は、マイクから入力された音声に基づいて報知情報を生成する。本体部11は、ネットワークを介して取得した音声データを再生して報知情報を生成してもよい。本体部11は、生成した報知情報である音声信号をスピーカー部12に出力する。
【0031】
図2および図3に示されるように、本体部11は、例えば、複数のユニット13によって構成される。複数のユニット13は、例えば、操作ユニット14、アンプユニット15および電源ユニット16を含む。複数のユニット13の組み合わせは、非常放送設備10が設置される現場に応じて任意に設定される。非常放送設備10が含むアンプユニット15の数が図2の例と異なってもよく、非常放送設備10が含む電源ユニット16の数が図2の例と異なっていてもよい。複数のユニット13は、例えば、ハーネスによって電気的に接続される。複数のユニット13は、例えば、キャビネットラック17に取り付けられる。
【0032】
操作ユニット14は、非常放送設備10を操作するために設けられる。操作ユニット14は、報知情報を生成する。操作ユニット14には、操作パネル141が設けられる。操作パネル141には、フロントマイク142、表示灯143、操作用スイッチ部144、設定操作部145および放送箇所選択スイッチ部146が設けられる。
【0033】
フロントマイク142は、トークスイッチが操作されることによってマイク放送を行う。表示灯143は、非常時に点灯して、非常時であることを表示する。図3の表示灯143は、火災発生時の点灯例を示す。操作用スイッチ部144には、非常放送設備10による放送時の音量調整、放送内容の切替、緊急放送、地震放送等を行うためのスイッチが設けられる。設定操作部145には、放送状態、異常状態等が表示される液晶画面が設けられる。設定操作部145には、さらに、開閉式のカバー内に、非常放送設備10の動作状態、液晶画面の表示、フロントマイク142の音量調整等を行うためのスイッチが設けられる。放送箇所選択スイッチ部146には、報知情報を放送する回線を選択するためのスイッチが設けられる。放送箇所選択スイッチ部146のスイッチは、例えば、施設1のいずれかの箇所に対応する。報知情報を放送する回線が選択されることによって、施設1のどこに報知情報を放送するかを選択できる。
【0034】
アンプユニット15は、操作ユニット14が生成した報知情報である音声信号を増幅するアンプを有する。電源ユニット16は、操作ユニット14およびアンプユニット15に電力を供給する。電源ユニット16は、例えば、蓄電池を含む。
【0035】
<スピーカー部12>
図1に示されるように、スピーカー部12は、本体部11と配線18によって電気的に接続される。スピーカー部12は、配線18を介して報知情報である音声信号を受信して、報知情報を出力する。スピーカー部12は、施設1内で共通の一本の配線18に接続されていてもよく、施設1内のエリアごとに分けられた複数の配線18それぞれに接続されていてもよい。
【0036】
スピーカー部12は、例えば、施設1の屋内空間の天井および壁の少なくとも1つに設けられる。スピーカー部12は、例えば、天井スピーカーおよび壁掛けスピーカーの少なくとも1つを含む。施設1が屋外空間を含む場合、スピーカー部12はホーンスピーカーを含んでもよい。
【0037】
スピーカー部12は、例えば、複数のスピーカー部12を含む。複数のスピーカー部12のそれぞれは、施設1内に音声をくまなく放送するため、施設1の複数の階層、部屋、廊下、階段等に配置される。複数のスピーカー部12の数は、施設1の構造等によって決定される。スピーカー部12は、スピーカー部12を1つのみ含んでもよい。
【0038】
<遠隔操作器19>
図1および図4に示されるように、非常放送設備10は、例えば、遠隔操作器19を含む。遠隔操作器19は、非常放送設備10を遠隔から操作できる。遠隔操作器19は、施設1内において、本体部11とは異なる位置に配置される。遠隔操作器19は、複数の遠隔操作器19を含む。複数の遠隔操作器19は、施設1内において、異なる位置に配置される。複数の遠隔操作器19の数は、施設1の構造等によって決定される。遠隔操作器19は、遠隔操作器19を1つのみ含んでもよい。
【0039】
遠隔操作器19は、複数の遠隔ユニットを含む。複数の遠隔ユニットは、例えば、遠隔操作ユニット20、遠隔アンプユニットおよび遠隔電源ユニットを含む。遠隔操作ユニット20は、本体部11とは異なる位置から、非常放送設備10を操作するために設けられる。遠隔操作ユニット20には、遠隔操作パネル201が設けられる。遠隔操作パネル201には、遠隔フロントマイク202、遠隔表示灯203、遠隔操作用スイッチ部204および遠隔設定操作部205が設けられる。
【0040】
遠隔操作ユニット20は、遠隔フロントマイク202に入力される音声から、報知情報を生成して、操作ユニット14に送信する。遠隔フロントマイク202は、トークスイッチが操作されることによってマイク放送を行う。遠隔フロントマイク202は、フロントマイク142を使用する人と通話するために使用されてもよい。遠隔表示灯203は、非常時に点灯して、非常時であることを表示する。遠隔表示灯203は、例えば、表示灯143と同じ内容が表示される。図4の遠隔表示灯203は、火災発生時の点灯例を示す。遠隔操作用スイッチ部204には、放送時の音量調整、放送内容の切替、緊急放送、地震放送等を行うためのスイッチが設けられる。遠隔設定操作部205には、放送状態、異常状態等が表示される液晶画面が設けられる。遠隔設定操作部205には、非常放送設備10の動作状態、液晶画面の表示、遠隔フロントマイク202の音量調整等を行うためのスイッチが設けられる。
【0041】
遠隔アンプユニットは、遠隔操作ユニット20が生成した報知情報である音声信号を増幅するアンプを有する。遠隔電源ユニットは、遠隔操作ユニット20および遠隔アンプユニットに電力を供給する。遠隔電源ユニットは、例えば、蓄電池を含む。
【0042】
<電気的な非常放送設備10の構成>
図5に示されるように、本体部11は、例えば、電源部21、操作部22、回線制御部23およびアンプ部24を含む。電源部21は、例えば、電源ユニット16に設けられる。電源部21は、施設1のAC電源から給電される。電源部21は、例えば、AC/DCコンバータ211、非常用電源212、充電回路213および給電切替部214を有する。
【0043】
施設1のAC電源から給電された電気は、AC/DCコンバータ211を経由して、操作部22、回線制御部23、アンプ部24および充電回路213に出力される。非常用電源212は、蓄電池を含む。充電回路213は、非常用電源212の蓄電池の状態に応じて、電気を非常用電源212に出力することによって、非常用電源212を充電する。
【0044】
給電切替部214は、操作部22、回線制御部23およびアンプ部24にAC電源から給電する第1給電状態と、操作部22、回線制御部23およびアンプ部24に非常用電源212から給電する第2給電状態とを切り替える。電源部21は、施設1のAC電源から給電されている場合に第1給電状態となり、施設1のAC電源から給電されていない場合に第2給電状態となるように、給電切替部214を制御する。電源部21は、例えば施設1が停電の場合に、給電切替部214を第1給電状態から第2給電状態に切り替えることによって、施設1の停電状態においても操作部22、回線制御部23およびアンプ部24に電力を供給できる。
【0045】
操作部22は、例えば、操作ユニット14に設けられる。操作部22は、例えば、音声が入力される第1入力部221aと、音声信号が入力される第2入力部221bと、自動火災報知機信号が入力される第3入力部221cとを含む。第1入力部221aは、例えば、フロントマイク142である。第1入力部221aは、例えば、コネクタ222によって操作部22に取り外し可能なように接続される。第2入力部221bには、CD、SDメモリーカード、HDD、SSD等の記録媒体に保持されている音声信号が入力される。第2入力部221bは、例えば、遠隔操作器19に接続される。第3入力部221cは、例えば、自動火災報知機2に接続される。例えば、自動火災報知機2が作動した場合に、自動火災報知機2から第3入力部221cに発報信号が入力される。
【0046】
操作部22は、例えば、ADC(Analog Digital Converter)回路223、DSP(Digital Signal Processor)回路224およびDAC(Digital Analog Converter)回路225を含む。第1入力部221aに入力される音声または第2入力部221bに入力される音声信号は、ADC回路223、DSP回路224およびDAC回路225を介して、スピーカー部12に出力される。ADC回路223はアナログ信号をデジタル信号に変換し、DSP回路224はデジタル信号をデジタル処理し、DAC回路225はデジタル信号をアナログ信号に再変換する。第1入力部221aに入力される音声、および、第2入力部221bに入力される音声信号がDSP回路224においてデジタル処理された後に、DAC回路225でアナログ化されることによって、報知情報が生成される。DSP回路224によるデジタル処理としては、例えば、音量調整や周波数調整(イコライズ)がある。
【0047】
操作部22は、例えば、制御部226および記憶部227を含む。制御部226は、予め定める制御プログラムおよび制御処理を実行する演算処理部を含む。演算処理部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部226は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部226は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。
【0048】
記憶部227は、例えば、制御部226の制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報を記憶する。記憶部227は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリの少なくとも1つを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0049】
記憶部227は、例えば、音源記憶部227a、設定記憶部227bおよび履歴記憶部227cを含む。音源記憶部227aは、報知情報を生成するための音源データを変更可能に記憶する。音源データの一例は、火災発生を知らせるメッセージ、避難誘導を促すメッセージ等である。DSP回路224が音源データを再生し、上記したデジタル処理を行った後に、DAC回路225に出力することにより、報知情報が生成される。設定記憶部227bは、非常放送設備10の設定データを記憶する。設定データの一例は、時刻設定、暗証番号、ネットワーク設定、本体設定、スイッチの設定、音声の設定、放送時の音量設定、後述する回線制御部23により制御されて決定された放送先の情報等である。履歴記憶部227cは、非常放送設備10の動作履歴および故障履歴の少なくとも1つを記憶する。
【0050】
制御部226および記憶部227は、バス228によってDSP回路224と接続される。制御部226は、バス228を介して、記憶部227にアクセスする。操作部22は、スイッチ部229を含む。スイッチ部229は、操作用スイッチ部144、設定操作部145および放送箇所選択スイッチ部146のスイッチと対応する。制御部226は、スイッチ部229に入力される操作に応じて、バス228を介してDSP回路224におけるデジタル処理を制御する。
【0051】
非常放送設備10は、設備通信部22aを含む。設備通信部22aは、LAN(Local Area Network)によって、ネットワークと接続する。ネットワークの一例は、インターネットである。非常放送設備10は、設備通信部22aによって、インターネット通信する。制御部226は、設備通信部22aを介してネットワークから取得した音源データから報知情報を生成するように、DSP回路224を制御してもよい。
【0052】
回線制御部23は、例えば、操作ユニット14に設けられる。回線制御部23は、スピーカー部12に接続される。回線制御部23は、追加制御部231および放送切替部232を含む。追加制御部231は、予め定める制御プログラムおよび制御処理を実行する演算処理部を含む。演算処理部は、例えば、CPUまたはMPUを含む。追加制御部231は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。追加制御部231は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。追加制御部231は、制御部226と通信できるように制御部226に接続される。
【0053】
操作部22から出力される報知情報は、アンプ部24及び放送切替部232を介してスピーカー部12に出力される。放送切替部232は、スピーカー部12が操作部22と通信可能に接続されて、報知情報がスピーカー部12から放送される放送可能状態と、スピーカー部12が操作部22と通信不能である放送不能状態とを切り替える。放送切替部232は、複数の放送切替部232を含む。複数の放送切替部232は、複数のスピーカー部12のそれぞれに対応する配線18ごとに、1つの放送切替部232が対応するように、制御部226とスピーカー部12とを接続する。
【0054】
追加制御部231は、例えば、放送箇所選択スイッチ部146のスイッチによって選択された箇所のスピーカー部12に対応する放送切替部232が放送可能状態となるように、放送切替部232を制御する。放送切替部232の制御によりどの配線18に対して放送可能状態とされているかを示す情報、すなわち、スピーカー部12が配設されている施設1内のどのエリアを放送先としているかを示す情報が、設定データとして設定記憶部227bに記憶される。
【0055】
アンプ部24は、アンプユニット15に設けられる。アンプ部24は、増幅回路241を含む。操作部22が出力する報知情報である音声信号は、増幅回路241を介して回線制御部23に出力される。増幅回路241は、報知情報である音声信号を増幅する。増幅回路241の一例は、例えば、パワーアンプである。
【0056】
図6に示されるように、遠隔操作器19は、例えば、遠隔電源部25および遠隔操作部26を含む。遠隔電源部25は、例えば、遠隔電源ユニットに設けられる。遠隔電源部25は、施設1のAC電源から給電される。遠隔電源部25は、遠隔AC/DCコンバータ251、遠隔充電回路252、遠隔非常用電源253および遠隔給電切替部254を有する。
【0057】
施設1のAC電源から給電された電気は、遠隔AC/DCコンバータ251を経由して、遠隔操作部26および遠隔充電回路252に出力される。遠隔非常用電源253は、蓄電池を含む。遠隔充電回路252は、遠隔非常用電源253の蓄電池の状態に応じて、電気を遠隔非常用電源253に出力することによって、遠隔非常用電源253を充電する。
【0058】
遠隔給電切替部254は、遠隔操作部26にAC電源から給電する第1遠隔給電状態と、遠隔操作部26に遠隔非常用電源253から給電する第2遠隔給電状態とを切り替える。遠隔電源部25は、施設1のAC電源から給電されている場合に第1遠隔給電状態となり、施設1のAC電源から給電されていない場合に第2遠隔給電状態となるように、給電切替部214を制御する。遠隔電源部25は、例えば施設1が停電の場合に第1遠隔給電状態から第2遠隔給電状態に切り替えられることによって、施設1の停電状態においても遠隔操作部26に電力を供給できる。
【0059】
遠隔操作部26は、例えば、遠隔操作ユニット20に設けられる。遠隔操作部26は、例えば、音声が入力される第1遠隔入力部261aと、音声信号が入力される第2遠隔入力部261bとを含む。第1遠隔入力部261aの一例は、遠隔フロントマイク202である。第2遠隔入力部261bには、CD、SDメモリーカード、HDD、SSD等の記録媒体に保持されている音声信号が入力される。
【0060】
遠隔操作部26は、例えば、遠隔ADC回路262、遠隔DSP回路263および遠隔DAC回路264を含む。第1遠隔入力部261aに入力される音声、および、第2遠隔入力部261bに入力される音声信号は、遠隔ADC回路262、遠隔DSP回路263および遠隔DAC回路264を介して、操作部22に出力される。第1遠隔入力部261aに入力される音声、および、第2遠隔入力部261bに入力される音声信号は、操作部22の第2入力部221bに入力されてもよく、直接、ADC回路223に出力されてもよい。
【0061】
遠隔操作部26は、例えば、遠隔制御部265を含む。遠隔制御部265は、予め定める制御プログラムおよび制御処理を実行する演算処理部を含む。演算処理部は、例えば、CPUまたはMPUを含む。遠隔制御部265は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。遠隔制御部265は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。
【0062】
遠隔制御部265は、遠隔バス266によって遠隔DSP回路263と接続される。遠隔操作部26は、遠隔スイッチ部267を含む。遠隔スイッチ部267は、遠隔操作用スイッチ部204および遠隔設定操作部205のスイッチと対応する。遠隔制御部265は、遠隔スイッチ部267に入力される操作に応じて、遠隔バス266を介して遠隔DSP回路263におけるデジタル処理を制御する。
【0063】
遠隔操作部26は、操作部22と電気的に接続する。本体部11によって遠隔操作器19が制御されてもよく、遠隔操作器19によって本体部11が制御されてもよい。遠隔制御部265は、制御部226に遠隔スイッチ部267に入力された操作を送信するように構成されてもよい。
【0064】
非常放送設備10は、設備状態情報を取得する。設備状態情報は、非常放送設備10の状態に関する情報であって、非常放送設備10の点検に使用される。非常放送設備10の点検の一例は、例えば、消防法において定められる法定点検である。非常放送設備10は、検出装置30によって設備状態情報を取得する。
【0065】
<検出装置30>
図1に示されるように、検出装置30は、施設1に配置される。検出装置30は、非常放送設備10の状態を検出する。検出装置30は、設備状態情報を検出する。設備状態情報は、非常放送設備10の状態の一例である。検出装置30は、非常放送設備10の内部に設けられてもよく、非常放送設備10とは別に設けられてもよい。検出装置30の形態は、その検出装置30が検出する設備状態情報に応じた形態となる。
【0066】
<内部状態検出部31>
図7に示されるように、検出装置30は、内部状態検出部31を含む。内部状態検出部31は、非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態を検出する。非常放送設備10の内部状態は、例えば、本体部11の電気的な状態である。遠隔操作器19の内部状態は、例えば、遠隔操作器19の電気的な状態である。
【0067】
図5および図6に示されるように、非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態は、非常放送設備10への給電状態、充電回路213の状態、AC/DCコンバータ211の状態および非常用電源212の状態を含む。内部状態検出部31は、第1検出部311、第2検出部312、第3検出部313および第4検出部314を含む。電源部21は、第1検出部311、第2検出部312、第3検出部313および第4検出部314の検出結果から、非常放送設備10への給電状態、充電回路213の状態、AC/DCコンバータ211の状態および非常用電源212の状態を判定する。
【0068】
第1検出部311、第2検出部312、第3検出部313および第4検出部314の一例は、電圧検出器である。電圧検出器は、設置された箇所の電圧を検出して、検出した電圧を出力してもよく、検出した電圧が所定電圧よりも低い、又は高い場合に、所定信号を出力してもよい。
【0069】
第1検出部311は、施設1のAC電源からAC/DCコンバータ211への電圧を検出する。電源部21は、施設1のAC電源からの電圧が所定電圧よりも低い場合、施設1が停電していると判定する。施設1が停電している場合、電源部21は、非常放送設備10への給電状態が異常であると判定する。
【0070】
第2検出部312は、充電回路213から非常用電源212への電圧を検出する。施設1のAC電源からの電圧が所定電圧以上であるにも拘らず、充電回路213から非常用電源212への電圧が所定電圧よりも低い場合、充電回路213から非常用電源212に所定量の電力が出力されていない。この場合、電源部21は、充電回路213が異常であると判定する。
【0071】
第3検出部313は、AC/DCコンバータ211から給電切替部214までの電圧を検出する。施設1のAC電源からの電圧が所定電圧以上であるにも拘らず、AC/DCコンバータ211から給電切替部214までの電圧が所定電圧よりも低い場合、AC/DCコンバータ211から所定量の電力が出力されていない。この場合、電源部21は、AC/DCコンバータ211が異常であると判定する。
【0072】
第4検出部314は、非常用電源212から給電切替部214までの電圧を検出する。施設1のAC電源からの電圧が所定電圧以上であるにも拘らず、非常用電源212から給電切替部214までの電圧が所定電圧よりも低い場合、非常用電源212から所定量の電力が出力されていない。この場合、電源部21は、非常用電源212の給電回路が異常であると判定する。
【0073】
電源部21は、非常放送設備10への給電状態、充電回路213の状態、AC/DCコンバータ211の状態および非常用電源212の状態の少なくとも1つが異常であると判定した場合、その判定結果を制御部226に出力する。電源部21は、第1検出部311、第2検出部312、第3検出部313および第4検出部314の検出結果を制御部226に出力してもよい。制御部226は、第1検出部311、第2検出部312、第3検出部313および第4検出部314の検出結果から、非常放送設備10への給電状態、充電回路213の状態、AC/DCコンバータ211の状態および非常用電源212の状態の異常を判定してもよい。
【0074】
非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態は、電源部21からの給電回路の状態を含む。内部状態検出部31は、第5検出部315、第6検出部316および第7検出部317を含む。第5検出部315、第6検出部316および第7検出部317、電源部21からの給電回路の状態における異常の有無が判定される。給電回路の異常の一例は、過電流の発生による、給電回路の断線である。第5検出部315、第6検出部316および第7検出部317の一例は、電圧検出器である。
【0075】
第5検出部315は、電源部21から操作部22への電圧を検出するように、操作部22に設けられる。操作部22は、施設1のAC電源からの電圧が所定電圧以上であるのに、電源部21から操作部22への電圧が所定電圧よりも低い場合、電源部21から操作部22の給電回路が異常であると判定する。操作部22は、例えば、電源部21から施設1のAC電源からの電圧が所定電圧以上であるか否かに関する情報を取得する。
【0076】
第6検出部316は、電源部21から回線制御部23への電圧を検出するように、回線制御部23に設けられる。回線制御部23は、施設1のAC電源からの電圧が所定電圧以上であるのに、電源部21から回線制御部23への電圧が所定電圧よりも低い場合、電源部21から回線制御部23への給電回路が異常であると判定する。回線制御部23は、例えば、電源部21から施設1のAC電源からの電圧が所定電圧以上であるか否かに関する情報を取得する。回線制御部23は、電源部21から回線制御部23への給電回路が異常と判定した場合、その判定結果を制御部226に出力する。回線制御部23は、第6検出部316の検出結果を制御部226に出力してもよい。制御部226は、第6検出部316の検出結果から、電源部21から回線制御部23の給電回路の異常を判定してもよい。
【0077】
第7検出部317は、電源部21からアンプ部24への電圧を検出するように、アンプ部24に設けられる。アンプ部24は、施設1のAC電源からの電圧が所定電圧以上であるのに、電源部21からアンプ部24への電圧が所定電圧よりも低い場合、電源部21からアンプ部24への給電回路が異常であると判定する。アンプ部24は、例えば、電源部21から施設1のAC電源からの電圧が所定電圧以上であるか否かに関する情報を取得する。アンプ部24は、電源部21からアンプ部24への給電回路が異常と判定した場合、その判定結果を制御部226に出力する。アンプ部24は、第7検出部317の検出結果を制御部226に出力してもよい。制御部226は、第7検出部317の検出結果から、電源部21から回線制御部23への給電回路の異常を判定してもよい。
【0078】
非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態は、アンプ部24の状態を含む。内部状態検出部31は、第8検出部318および信号生成部319を含む。信号生成部319は、操作部22に設けられる。信号生成部319は、例えば、DSP回路224に設けられて、検査用音声信号を増幅回路241に出力する。
【0079】
第8検出部318は、アンプ部24に設けられる。第8検出部318は、増幅回路241によって増幅された検査用音声信号の電圧を検出する。第8検出部318が検出した検査用音声信号の電圧は制御部226に出力される。検査用音声信号の電圧が所定電圧よりも小さい場合、制御部226は、アンプ部24およびアンプ部24と操作部22との接続状態の少なくとも1つが異常と判定する。制御部226は、第2受信信号を受信して、アンプ部24と操作部22との接続状態に異常がないと判定した場合に、検査用音声信号の電圧が所定電圧よりも小さいと、アンプ部24の異常と判定する。
【0080】
信号生成部319および第8検出部318によるアンプ部24の異常の判定は、非常放送設備10による放送が行われない場合に行われる。非常放送設備10による放送が行われない場合にアンプ部24の異常の判定が行われるため、アンプ部24の異常の判定による放送への影響が抑制される。
【0081】
非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態は、操作部22と、電源部21、回線制御部23およびアンプ部24との接続状態を含む。
【0082】
内部状態検出部31は、第1送信部320および第1受信部321を含む。第1送信部320と第1受信部321との間の通信によって、操作部22が、電源部21との接続状態に関する情報を、電源部21から取得する。第1送信部320は、操作部22に設けられ、第1受信部321は、電源部21に設けられる。制御部226は、第1送信部320に、第1受信部321へ第1確認信号を出力させる。第1受信部321は、第1確認信号を受信すると、制御部226へ第1受信信号を出力する。制御部226は、第1受信信号を受信すると、操作部22と電源部21との接続状態に異常がないと判定する。第1送信部320は、電源部21に設けられ、第1受信部321は、操作部22に設けられてもよい。
【0083】
内部状態検出部31は、第2送信部322および第2受信部323を含む。第2送信部322と第2受信部323との間の通信によって、操作部22が、アンプ部24との接続状態に関する情報を、アンプ部24から取得する。第2送信部322は、アンプ部24に設けられ、第2受信部323は、操作部22に設けられる。制御部226は、第2送信部322に、第2受信部323へ第2確認信号を出力させる。第2受信部323は、第2確認信号を受信すると、制御部226へ第2受信信号を出力する。制御部226は、第2受信信号を受信すると、アンプ部24と操作部22との接続状態に異常がないと判定する。第2送信部322は、操作部22に設けられ、第2受信部323は、アンプ部24に設けられてもよい。
【0084】
内部状態検出部31は、第3送信部324および第3受信部325を含む。第3送信部324と第3受信部325との間の通信によって、操作部22が、回線制御部23とアンプ部24との接続状態に関する情報を、回線制御部23またはアンプ部24から取得する。第3送信部324は、回線制御部23に設けられ、第3受信部325は、アンプ部24に設けられる。制御部226は、第3送信部324に、第3受信部325へ第3確認信号を出力させる。第3受信部325は、第3確認信号を受信すると、追加制御部231へ第3受信信号を出力する。追加制御部231は、第3受信信号を受信すると、制御部226へ第3受信信号を出力する。制御部226は、第3受信信号を受信すると、回線制御部23とアンプ部24の接続状態に異常がないと判定する。第3送信部324は、アンプ部24に設けられ、第3受信部325は、回線制御部23に設けられてもよい。第3受信部325は、第3確認信号を受信すると、制御部226へ第3受信信号を出力してもよい。
【0085】
非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態は、本体部11と遠隔操作器19との接続状態を含む。内部状態検出部31は、第4送信部326および第4受信部327を含む。第4送信部326は、操作部22に設けられ、第4受信部327は、遠隔操作器19に設けられる。制御部226は、第4送信部326に、第4受信部327へ第4確認信号を出力させる。第4受信部327は、第4確認信号を受信すると、制御部226へ第4受信信号を出力する。制御部226は、第4受信信号を受信すると、操作部22と遠隔操作部26との接続状態に異常がないと判定する。第4送信部326は、遠隔操作器19に設けられ、第4受信部327は、操作部22に設けられてもよい。
【0086】
第1確認信号、第2確認信号、第3確認信号および第4確認信号の一例は、常時印加される3.3Vの電圧である。操作部22と電源部21との接続状態の異常、アンプ部24と操作部22との接続状態の異常、および、アンプ部24と回線制御部23との接続状態の異常の一例は、例えば、複数のユニット13を接続するハーネスの断線である。本体部11と遠隔操作器19との接続状態の異常の一例は、本体部11と遠隔操作器19とを接続する有線の断線である。
【0087】
非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態は、自動火災報知機2の履歴情報を含む。内部状態検出部31は、自火報起動検出部328を含む。自火報起動検出部328は、操作部22に設けられる。自火報起動検出部328は、第3入力部221cに自動火災報知機2から入力される信号を検出する。自動火災報知機2から入力される信号の一例は、発報信号である。自火報起動検出部328は、例えば、自動火災報知機2から信号が入力されると、入力された時刻と、信号の内容を制御部226に出力する。制御部226は、自火報起動検出部328から出力された時刻および内容に応じて、記憶部227に自動火災報知機2の起動履歴を保持するように構成される。
【0088】
非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態は、遠隔操作器19への給電状態、遠隔充電回路252の状態、遠隔AC/DCコンバータ251の状態および遠隔非常用電源253の状態を含む。内部状態検出部31は、第1遠隔検出部329、第2遠隔検出部330、第3遠隔検出部331および第4遠隔検出部332を含む。遠隔電源部25は、第1遠隔検出部329、第2遠隔検出部330、第3遠隔検出部331および第4遠隔検出部332の検出結果から、遠隔操作器19への給電状態、遠隔充電回路252の状態、遠隔AC/DCコンバータ251の状態および遠隔非常用電源253の状態を判定する。
【0089】
第1遠隔検出部329、第2遠隔検出部330、第3遠隔検出部331および第4遠隔検出部332の一例は、電圧検出器である。
【0090】
遠隔電源部25は、遠隔操作器19への給電状態、遠隔充電回路252の状態、遠隔AC/DCコンバータ251の状態および遠隔非常用電源253の状態の少なくとも1つにおいて異常と判定した場合、その判定結果を遠隔制御部265に出力する。遠隔制御部265は、遠隔電源部25による判定結果を、制御部226に出力する。遠隔電源部25が第1遠隔検出部329、第2遠隔検出部330、第3遠隔検出部331および第4遠隔検出部332の検出結果を遠隔制御部265に出力してもよい。遠隔制御部265は、第1遠隔検出部329、第2遠隔検出部330、第3遠隔検出部331および第4遠隔検出部332の検出結果から、遠隔操作器19への給電状態、遠隔充電回路252の状態、遠隔AC/DCコンバータ251の状態および遠隔非常用電源253の状態を判定してもよい。
【0091】
第1遠隔検出部329は、施設1のAC電源から遠隔AC/DCコンバータ251への出力を検出する。遠隔電源部25は、施設1のAC電源からの出力が所定出力よりも低い場合、施設1が停電していると判定する。施設1が停電している場合、遠隔電源部25は、遠隔操作器19への給電状態が異常であると判定する。
【0092】
第2遠隔検出部330は、遠隔充電回路252から遠隔非常用電源253への出力を検出する。遠隔電源部25は、施設1のAC電源からの出力が所定出力以上であるのに、遠隔充電回路252から遠隔非常用電源253への出力が所定出力よりも低い場合、遠隔充電回路252から遠隔非常用電源253に所定量の電力が出力されていない。この場合、遠隔電源部25は、遠隔充電回路252が異常であると判定する。
【0093】
第3遠隔検出部331は、遠隔AC/DCコンバータ251からの出力を検出する。遠隔電源部25は、施設1のAC電源からの出力が所定出力以上であるのに、遠隔AC/DCコンバータ251からの出力が所定出力よりも低い場合、遠隔AC/DCコンバータ251から所定量の電力が出力されていない。この場合、遠隔電源部25は、遠隔AC/DCコンバータ251が異常であると判定する。
【0094】
第4遠隔検出部332は、遠隔非常用電源253からの出力を検出する。遠隔電源部25は、施設1のAC電源からの出力が所定出力以上であるのに、遠隔非常用電源253からの出力が所定出力よりも低い場合、遠隔非常用電源253から所定量の電力が出力されていない。この場合、遠隔電源部25は、遠隔非常用電源253の給電回路が異常であると判定する。
【0095】
非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態は、遠隔電源部25からの給電回路の状態を含む。内部状態検出部31は、第5遠隔検出部333を含む。第5遠隔検出部333によって、遠隔電源部25からの給電回路状態が判定される。給電回路の異常の一例は、過電流の発生による、給電回路の断線である。第5遠隔検出部333の一例は、電圧検出器である。
【0096】
第5遠隔検出部333は、遠隔電源部25から遠隔操作部26への電圧を検出するように、遠隔操作部26に設けられる。遠隔操作部26は、施設1のAC電源からの出力が所定出力以上であるのに、遠隔電源部25から遠隔操作部26への出力が所定出力よりも低い場合、遠隔電源部25から遠隔操作部26の給電回路が異常であると判定する。遠隔操作部26は、例えば、遠隔電源部25から施設1のAC電源からの出力が所定出力以上であるか否かに関する情報を取得する。
【0097】
非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態は、遠隔操作部26と遠隔電源部25との接続状態を含む。内部状態検出部31は、遠隔送信部334および遠隔受信部335を含む。遠隔送信部334は、遠隔操作部26に設けられ、遠隔受信部335は、遠隔電源部25に設けられる。遠隔制御部265は、遠隔送信部334に、遠隔受信部335へ遠隔確認信号を出力させる。遠隔受信部335は、遠隔確認信号を受信すると、遠隔制御部265へ遠隔受信信号を出力する。遠隔確認信号の一例は、常時印加される3.3Vの電圧である。
【0098】
遠隔制御部265は、遠隔受信信号を受信すると、遠隔操作部26と遠隔電源部25との接続状態に異常がないと判定する。遠隔制御部265は、遠隔操作部26と遠隔電源部25との接続状態に関する判定結果を、制御部226に出力する。遠隔送信部334は、遠隔電源部25に設けられ、遠隔受信部335は、遠隔操作部26に設けられてもよい。
【0099】
設備状態情報は、非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態に関する第1状態情報を含む。内部状態検出部31は、例えば、第1状態情報を検出する。第1状態情報は、非常放送設備10の主電源または主回路電源に関する情報、非常放送設備10の短絡検出情報、非常放送設備10を構成する複数のユニット13の接続状態に関する情報、非常放送設備10に接続される自動火災報知機2の起動履歴に関する情報、非常放送設備10のインピーダンス測定結果および地絡検出結果に関する情報、遠隔操作器19の電源に関する情報、遠隔操作器19と非常放送設備10との通信状態に関する情報、遠隔操作器19を構成する複数の遠隔ユニットの接続状態に関する情報、および、非常用電源212に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0100】
非常放送設備10の主電源または主回路電源に関する情報は、例えば、第1検出部311、第2検出部312、第3検出部313および第4検出部314の検出結果に対応する。非常放送設備10の短絡検出情報は、例えば、第5検出部315、第6検出部316および第7検出部317の検出結果に対応する。非常放送設備10を構成する複数のユニット13の接続状態に関する情報は、例えば、第1送信部320および第1受信部321によって検出される操作部22と電源部21との接続状態、第2送信部322および第2受信部323によって検出されるアンプ部24と操作部22との接続状態、および、第3送信部324および第3受信部325によって検出される回線制御部23とアンプ部24との接続状態の少なくとも1つに対応する。非常放送設備10に接続される自動火災報知機2の起動履歴に関する情報は、例えば、自火報起動検出部328の検出結果に対応する。非常放送設備10のインピーダンス測定結果および地絡検出結果に関する情報は、例えば、第4送信部326および第4受信部327によって検出される操作部22と遠隔操作部26との接続状態に対応する。
【0101】
遠隔操作器19の電源に関する情報は、例えば、第1遠隔検出部329、第2遠隔検出部330、第3遠隔検出部331および第4遠隔検出部332の検出結果に対応する。遠隔操作器19と非常放送設備10との通信状態に関する情報は、例えば、第4送信部326および第4受信部327によって検出される操作部22と遠隔操作部26との接続状態に対応する。遠隔操作器19を構成する複数の遠隔ユニットの接続状態に関する情報は、例えば、遠隔送信部334および遠隔受信部335によって検出される遠隔操作部26と遠隔電源部25との接続状態に対応する。非常用電源212に関する情報は、例えば、第4検出部314によって検出される非常用電源212の電圧、および、第4遠隔検出部332によって検出される遠隔非常用電源253の電圧に対応する。
【0102】
<接続状態検出部34>
図7に示されるように、検出装置30は、接続状態検出部34を含む。接続状態検出部34は、配線18の接続状態を検出する。配線18の接続状態は、配線18のインピーダンス、短絡、地絡および断線の少なくとも1つに関する状態を含む。
【0103】
図5に示されるように、接続状態検出部34は、第9検出部341を含む。第9検出部341は、回線制御部23に設けられる。第9検出部341は、複数の第9検出部341を含む。複数の第9検出部341は、1つの第9検出部341が1本の配線18に対応するように、複数のスピーカー部12の配線18に配置される。第9検出部341は、増幅回路241と、対応するスピーカー部12との間に設けられる。報知情報である音声信号は、増幅回路241から第9検出部341を介して、スピーカー部12に出力される。
【0104】
第9検出部341は、報知情報である音声信号の電圧および電流を検出して、追加制御部231に出力する。第9検出部341は、例えば、電圧検出器および電流検出器を含む。電流検出器は、設置された箇所の電流を検出して、検出した電流を出力する。
【0105】
追加制御部231は、報知情報である音声信号の電圧および電流から、音声インピーダンスを算出する。追加制御部231は、音声インピーダンスを制御部226に出力する。追加制御部231は、報知情報である音声信号の電圧および電流を制御部226に出力し、制御部226が音声インピーダンスを算出してもよい。第9検出部341が、音声インピーダンスを算出して、追加制御部231または制御部226に出力してもよい。
【0106】
制御部226は、音声インピーダンスが所定値よりも低い場合、配線18の接続状態に異常があると判定する。制御部226は、所定値よりも低い音声インピーダンスが検出された第9検出部341が配置される配線18に異常があると判定する。音声インピーダンスの所定値は、例えば、非常放送設備10が施設1に設置された時点での音声信号のインピーダンスの値が設定される。配線18の接続状態の異常の一例は、配線18の断線、短絡および地絡である。
【0107】
設備状態情報は、配線18の接続状態に関する第2状態情報を含む。接続状態検出部34は、例えば、第2状態情報を検出する。第2状態情報は、配線18のインピーダンス測定に関する情報、および、配線18の地絡検出に関する情報の少なくとも1つを含む。配線18のインピーダンス測定に関する情報および配線18の地絡検出に関する情報は、例えば、第9検出部341によって検出される音声信号のインピーダンスの値に対応する。
【0108】
<マイク部35>
図7に示されるように、検出装置30は、マイク部35を含む。マイク部35は、スピーカー部12の状態を検出する。スピーカー部12の状態は、例えば、スピーカー部12の鳴動状態、音圧、および、音色の少なくとも1つを含む。マイク部35は、スピーカー部12に設けられる。
【0109】
図8に示されるように、マイク部35は、複数のセンサマイク35aを含む。センサマイク35aの一例は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical System)音響センサである。複数のセンサマイク35aは、スピーカー部12のスピーカーパネルに配置される。複数のセンサマイク35aは、スピーカー部12による放送を、スピーカー部12による放送以外の音(典型的には、周囲の暗騒音)と区別できるように、指向性をもって配置される。複数のセンサマイク35aの配置の一例として、スピーカー部12の放音面12aの周囲に4つのセンサマイク35aが配置される。
【0110】
複数のセンサマイク35aは、スピーカー部12の音圧および音色に影響しないように、スピーカー部12の放音面12aを覆わないように配置される。マイク部35は、スピーカー部12の音圧および音色を検出できれば、1つのみのセンサマイク35aを含んでもよい。マイク部35は、スピーカー部12の音圧および音色を検出できれば、スピーカー部12とは異なる位置に設けられてもよい。
【0111】
図7に示されるように、マイク部35は、例えば、検査用音源保持部35bを含む。検査用音源保持部35bには、マイク部35がスピーカー部12の状態を検出するための検査音源が保持される。検査用音源保持部35bは、例えば、HDDおよびSSDの少なくとも1つから成る記録媒体を含む。マイク部35は、検査音源を音声としてスピーカー部12から出力させる。
【0112】
設備状態情報は、スピーカー部12の状態に関する第3状態情報を含む。第3状態情報は、スピーカー部12の放送状態に関する情報を含む。マイク部35は、例えば、第3状態情報を検出する。スピーカー部12の放送状態に関する情報は、例えば、スピーカー部12の鳴動状態、スピーカー部12の音圧、および、スピーカー部12の音色の少なくとも1つに対応する。
【0113】
マイク部35は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、5G等のセルラー通信、および、Wi-Fi等のLAN通信を通じてネットワークに接続可能である。マイク部35は、取得した第3状態情報を、ネットワークを介して施設1外に出力する。マイク部35は、第3状態情報を常時出力してもよく、第3状態情報を定期的に出力してもよい。または、マイク部35は、非常放送設備10からの要求に応じて第3状態情報を出力してもよく、施設1外からの要求に応じて第3状態情報を出力してもよい。マイク部35は、第3状態情報を本体部11に出力してもよい。
【0114】
<カメラ部36>
図1図2および図7に示されるように、検出装置30は、カメラ部36を含む。カメラ部36は、非常放送設備10とは異なる位置に設けられ、非常放送設備10の外観に関する情報を検出する。カメラ部36は、操作部22、アンプ部24、電源部21および遠隔操作器19の少なくとも1つの外観を撮影する。カメラ部36は、複数のカメラ部36を含む。複数のカメラ部36は、本体部11および遠隔操作器19を同時に撮影できるように施設1内に配置される。
【0115】
カメラ部36は、例えば、施設1に設けられるカメラを含む。施設1がショッピングモールのような屋内空間を含む建物であるとき、カメラ部36は建物の天井等に設置された監視カメラであってもよく、監視カメラとは別に設けられてもよい。施設1が屋外施設である場合、カメラ部36は、施設1内を飛行するようにプログラムされているUAV(Unmanned Aerial Vehicle)やドローンといった無人飛翔体に搭載されているカメラであってもよい。例えば、施設1が交差点であるとき、カメラ部36は交差点を監視するよう道路上のポール等に設置された監視カメラであってもよい。
【0116】
カメラ部36は、CCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサー等の撮像素子を含む撮像装置を含む。カメラ部36は、1台ずつ個別にパン、チルト、ズームといった撮影のための駆動を行い、施設1内の被写体を撮影して映像データを生成して内部の記録媒体に保持することや外部に送信することができる。カメラ部36が生成する映像データは、静止画であってもよく、動画であってもよい。カメラ部36は、非常放送設備10の一部または全体が映る方向に撮像方向が向けられている。
【0117】
カメラ部36は、例えば、LTE、5G等のセルラー通信、および、Wi-Fi等のLAN通信を通じてネットワークに接続可能である。カメラ部36は、取得した第4状態情報を、ネットワークを介して施設1外に出力する。カメラ部36は、第4状態情報を常時出力してもよく、第4状態情報を定期的に出力してもよい。または、カメラ部36は、非常放送設備10からの要求に応じて第4状態情報を出力してもよく、施設1外からの要求に応じて第4状態情報を出力してもよい。カメラ部36は、第4状態情報を本体部11に出力してもよい。
【0118】
図2から図4、および、図9に示されるように、設備状態情報は、非常放送設備10の外観に関する第4状態情報を含む。カメラ部36は、例えば、第4状態情報を検出する。第4状態情報は、非常放送設備10の操作部22の外観に関する情報を含む。非常放送設備10の操作部22の外観に関する情報は、操作部22の外観の映像データに対応する。第4状態情報は、例えば、電源部21の外観に関する情報、および、遠隔操作器19の外観に関する情報の少なくとも1つを含む。電源部21の外観に関する情報は、電源部21の外観の映像データに対応する。遠隔操作器19の外観に関する情報は、遠隔操作器19の外観の映像データに対応する。
【0119】
図9は、カメラ部36が被写体として操作部22(操作ユニット14)及び電源部21(電源ユニット16)を含む本体部11全体を撮影することにより生成された映像データの一例を示す。映像データに係る映像は、被写体である本体部11と背景BGとを含む。カメラ部36は、第4状態情報として本体部11と背景BGとを含む映像の映像データをそのままサーバ60に送信してもよい。また、カメラ部36は、画像センシングにより映像から被写体である本体部11を切り出して、切り出した本体部11に係る映像の映像データを第4状態情報としてサーバ60に送信してもよい。
【0120】
図10に示されるように、第4状態情報は、画像情報の変化に関する情報であってもよい。画像情報の変化の一例として、図10の操作パネル141は、図3の操作パネル141と対比して、腐食部分22Xを有する。腐食部分22Xの一例は、変形、損傷、脱落、著しい腐食等である。カメラ部36は、撮影データから画像情報の変化に関する情報を検出して、検出した画像情報の変化に関する情報を出力してもよい。画像情報の変化の検出は、サーバ60において行われてもよい。
【0121】
図11に示されるように、カメラ部36は、例えば、携帯通信端末37を含んでもよい。携帯通信端末37の一例は、LTE、5G等のセルラー通信、および、Wi-Fi等のLAN通信を通じてネットワークに接続可能な携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ等の端末である。携帯通信端末37は、OS(Operating System)とアプリがインストールされている。アプリは、例えば、Webブラウザーを含む。アプリは、サーバ60と通信するための機能を有する。
【0122】
携帯通信端末37は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ等を含むディスプレイ37aを備える。携帯通信端末37は、ボタン、キーパッド、キーボード、マウス等を含むユーザ入力部37bを備える。携帯通信端末37は、ディスプレイ37aとユーザ入力部37bとが統合され、情報の表示を行うとともにタッチ入力操作を受け付けるタッチスクリーンを備えてもよい。携帯通信端末37は、LTE、5G等のセルラー通信、および、Wi-Fi等のLAN通信を通じてネットワークに接続する。
【0123】
カメラ部36は、撮影時に表示枠のアシスト表示を行う。アシスト表示の一例として、携帯通信端末37のディスプレイ37aには、アシスト枠AFが表示される。例えば、携帯通信端末37によって本体部11を撮影する場合に、本体部11がアシスト枠AFに収まるように撮影することによって、撮影データから、非常放送設備10の外観に関する情報を抽出し易くなる。
【0124】
図12を参照して、カメラ部36の傾き自動補正機能について説明する。カメラ部36は、傾き自動補正機能を有する。例えば、カメラ部36によって本体部11を撮影する場合に、カメラ部36は、画像情報の画像Pから本体部11を抽出する。補正枠CFは、画像Pから抽出した本体部11を表示する。カメラ部36は、傾き自動補正機能によって補正枠CFが長方形となるように画像Pを補正することによって、図2のように本体部11を正面から撮影した画像情報に補正する。傾き自動補正機能によって、カメラ部36が被写体に対して正対していなくても、第4状態情報から、非常放送設備10の外観に関する情報を抽出し易くなる。
【0125】
図7に示されるように、検出装置30は、設備状態情報を、ネットワークを介して送信する。内部状態検出部31および接続状態検出部34は、設備通信部22aを介してネットワークに接続する。設備通信部22aは、第1状態情報および第2状態情報を送信する。
【0126】
マイク部35は、例えば、マイク通信部38を含む。マイク部35は、マイク通信部38によってネットワークに接続して、第3状態情報を送信する。マイク通信部38は、例えば、LTE、5G等のセルラー通信、および、Wi-Fi等のLAN通信を通じてネットワークに接続する。
【0127】
カメラ部36は、例えば、カメラ通信部39を含む。カメラ部36は、カメラ通信部39によってネットワークに接続して、第4状態情報を送信する。カメラ通信部39は、例えば、LTE、5G等のセルラー通信、および、Wi-Fi等のLAN通信を通じてネットワークに接続する。
【0128】
検出装置30は、設備状態情報を、時間情報および識別情報と対応付けて、ネットワークを介して送信する。時間情報は、設備状態情報を取得した時期を識別する情報である。時期の一例は、年、月、日、時刻等である。識別情報は、設備状態情報を、いずれの検出部が検出したかを識別する情報である。識別情報は、例えば、設備状態情報が第1状態情報、第2状態情報、第3状態情報および第4状態情報のいずれであるかを識別するための情報を含む。
【0129】
設備状態情報が第1状態情報である場合、識別情報は、その第1状態情報を取得した内部状態検出部31が、いずれの検出部であるかを識別するための情報を含む。設備状態情報が第2状態情報である場合、識別情報は、その第2状態情報を取得した接続状態検出部34が、いずれの検出部であるかを識別するための情報を含む。設備状態情報が第3状態情報である場合、識別情報は、第3状態情報を取得したマイク部35が、いずれのスピーカー部12に対応するものであるかを識別するための情報を含む。設備状態情報が第4状態情報である場合、識別情報は、第4状態情報を取得したカメラ部36が、いずれのカメラ部36であるかを識別するための情報を含む。時間情報および識別情報によって、設備状態情報が、いつの非常放送設備10の状態であって、非常放送設備10のどこの状態であるかを識別できる。
【0130】
図5に示されるように、検出装置30は、第10検出部40を含む。第10検出部40は、操作部22に設けられる。第10検出部40は、第1入力部221aとADC回路223との接続状態を検出する。第10検出部40は、例えば、第1入力部221aからADC回路223への音声の入力の有無を検出して、検出結果を制御部226に出力する。制御部226は、例えば、第1入力部221aからADC回路223への音声信号が所定期間にわたり検出されない場合、第1入力部221aのコネクタ222が接続されていないと判定する。
【0131】
<非常放送設備10の自主点検>
図5に示されるように非常放送設備10は、自主点検予定に応じて自主点検を行う。非常放送設備10は、自主点検を行うことによって、設備状態情報を取得する。自主点検予定は、自主点検の点検時期が定められるスケジュールである。非常放送設備10は、自主点検予定に関わらず、外部からの要求に応じて自主点検を行ってもよい。非常放送設備10は、ネットワークを介して施設1内または施設1外から、自主点検の要求を受けてもよい。
【0132】
自主点検予定は記憶部227に記憶され、制御部226は、自主点検予定に応じて自主点検を行う。制御部226は、自主点検において内部状態検出部31および接続状態検出部34に設備状態情報を検出させ、その検出結果を制御部226に出力させる。制御部226は、自主点検において第10検出部40に検出結果を出力させてもよい。
【0133】
図7に示されるように、本体部11は、例えば、自主点検結果保持部41を含む。自主点検結果保持部41は、例えば、HDDおよびSSDの少なくとも1つから成る記録媒体を含む。自主点検結果保持部41は、例えば、記憶部227に設けられる。自主点検結果保持部41には、非常放送設備10の自主点検の自主点検結果が蓄積される。自主点検結果保持部41は、最新の自主点検結果のみを保持してもよい。自主点検結果には、設備状態情報、時間情報および識別情報が含まれる。
【0134】
図13は、非常放送設備10の自主点検の動作フローの一例を示す。制御部226は、内部状態検出部31および接続状態検出部34に検出指令を送信する(S11)。検出指令は、内部状態検出部31のそれぞれに、非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態を検出させ、接続状態検出部34のそれぞれに、配線18の接続状態を検出させる信号である。
【0135】
制御部226は、内部状態検出部31および接続状態検出部34から検出結果を受信したか否かを判定する(S12)。制御部226は、内部状態検出部31の全て、および、接続状態検出部34の全てから検出結果を受信した場合に、内部状態検出部31および接続状態検出部34から検出結果を受信したと判定する。制御部226は、内部状態検出部31および接続状態検出部34から検出結果を受信すると、S13に移行する。制御部226は、内部状態検出部31および接続状態検出部34から検出結果を受信するまで、S12の処理を繰り返す。S12において、所定期間が経過した場合、制御部226は、内部状態検出部31の全て、および、接続状態検出部34の全てから検出結果を受信していなくても、S13に移行してもよい。
【0136】
制御部226は、自主点検結果を、自主点検結果保持部41に記録する(S13)。自主点検結果は、内部状態検出部31および接続状態検出部34が検出した第1状態情報および第2状態情報である。制御部226は、第1状態情報および第2状態情報を、時間情報および識別情報と対応付けて自主点検結果保持部41に記録する。
【0137】
制御部226は、S11において、マイク部35およびカメラ部36の少なくとも1つに検出指令を送信して、S12において、マイク部35およびカメラ部36の少なくとも1つから検出結果を受信してもよい。マイク部35の検出結果は、第3状態情報であり、カメラ部36の検出結果は、第4状態情報である。この場合、制御部226は、S13において、第3状態情報および第4状態情報を、時間情報および識別情報と対応付けて自主点検結果保持部41に記録する。
【0138】
非常放送設備10は、自主点検予定に応じて自主点検を自ら行うため、作業者は、ネットワークを介して最新の設備取得情報を取得できる。非常放送設備10が設置されている現場で行う点検の少なくとも一部が省略されるため、非常放送設備10は、非常放送設備10の点検を省力化できる。
【0139】
<点検システム50>
図1に示されるように、点検システム50は、サーバ60およびユーザ端末70を有する。点検システム50は、非常放送設備10を点検するために使用されるシステムである。サーバ60およびユーザ端末70は、有線通信または無線通信によって接続される。点検システム50は、非常放送設備10および検出装置30から設備状態情報を取得する。点検システム50は、設備状態情報に基づいて、非常放送設備10の点検が行えるように構成される。
【0140】
図7に示されるように、非常放送設備10は、サーバ60にネットワークを介して接続される。非常放送設備10は、サーバ60に、設備状態情報を送信する。非常放送設備10がサーバ60に送信する設備状態情報は、例えば、自主点検結果である。
【0141】
非常放送設備10は、自主点検結果保持部41から、前回送信時以降の自主点検結果をサーバ60に送信してもよく、時間情報が最も新しい自主点検結果のみをサーバ60に送信してもよい。
【0142】
検出装置30は、サーバ60にネットワークを介して接続される。検出装置30は、サーバ60に、設備状態情報を送信する。本実施形態では、内部状態検出部31および接続状態検出部34は、制御部226を介してサーバ60に接続し、マイク部35およびカメラ部36は、ネットワークに直接接続されて、サーバ60に接続する。
【0143】
マイク部35は、Wi-Fi等のLANを通じて、又はセルラー通信を通じてネットワークに接続し、取得した第3状態情報をサーバ60に送信する。カメラ部36は、Wi-Fi等のLANを通じて、又はセルラー通信を通じてネットワークに接続し、取得した第4状態情報をサーバ60に送信する。非常放送設備10、マイク部35およびカメラ部36は、サーバ60から受信したデータに基づいて、サーバ60への設備状態情報の送信を行ってもよい。
【0144】
マイク部35がサーバ60に送信する第3状態情報には、時間情報および識別情報が対応付けられていなくてもよい。例えば、マイク部35は、取得した音声データを、サーバ60に送信する。カメラ部36がサーバ60に送信する第4状態情報には、時間情報および識別情報が対応付けられていなくてもよい。例えば、カメラ部36は、取得した映像データを、サーバ60に送信する。設備状態情報に時間情報および識別情報が対応付けられていない場合、サーバ60側において、設備状態情報に時間情報および識別情報が対応付けられる。
【0145】
<サーバ60>
図1に示されるように、サーバ60は、非常放送設備10に接続される。サーバ60は、非常放送設備10とは異なる場所に配置される1または2以上のサーバ装置である。サーバ60のサーバ装置は、施設1内に設けられてもよく、施設1外に設けられてもよい。サーバ60には、施設1内外を問わず、非常放送設備10の点検を行う作業者がユーザ端末70を介してアクセス可能である。
【0146】
図7に示されるように、サーバ60は、非常放送設備10とネットワークを介して接続される。サーバ60は、例えば、ネットワークに接続するサーバ通信部61を含む。サーバ通信部61は、例えば、LANによって、ネットワークと接続する。
【0147】
図7および図14に示されるように、サーバ60は、検出装置30から、非常放送設備10の状態に関する設備状態情報を、ネットワークを介して取得する。サーバ60は、設備状態情報を、点検項目と対応付けて保持する。点検項目は、非常放送設備10の点検に関する項目である。点検項目は、例えば、消防法に定められる法定点検の項目に対応する。点検項目は、例えば非常放送設備10が非常時に動作できるように、非常放送設備10の構成に応じて、適宜設定される。点検項目は、法定点検の項目から、非常放送設備10とは異なる部分の項目が省略されてもよく、法定点検の項目以外の項目が設定されてもよい。
【0148】
図14は、サーバ60に保持される設備状態情報の一例を示す。サーバ60は、設備状態情報を取得すると、識別情報に基づいて、設備状態情報に対応付けられる点検項目を判定する。識別情報は、例えば、設備状態情報を取得した検出装置30に関する情報である。サーバ60は、点検項目ごとに、時間情報、識別情報および設備状態情報を保持する。
【0149】
図14は、点検項目の一例を示す。点検項目は、図14の例とは異なる点検項目を含んでもよい。点検項目は、例えば、大項目と小項目からなる。大項目は、点検の対象となる箇所であり、小項目は、点検の内容を示す。点検項目は、1つまたは2以上の大項目を有し、1つの大項目は、1または2以上の小項目を有する。
【0150】
点検項目は、例えば、非常用電源212の端子電圧に関する項目、および、非常用電源212の切替装置に関する項目の少なくとも1つを含む。サーバ60は、第1状態情報を、非常用電源212の端子電圧に関する項目、および、非常用電源212の切替装置に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する。非常電源の端子電圧に関する項目は、例えば、非常放送設備10への給電状態、電源部21からの給電状態、および、遠隔電源部25からの給電状態に関する項目である。非常電源の切替装置に関する項目は、例えば、非常用電源212の状態、および、遠隔非常用電源253の状態に関する項目である。
【0151】
点検項目は、例えば、配線18の絶縁抵抗に関する項目を含む。サーバ60は、第2状態情報を、配線18の絶縁抵抗に関する項目と対応付けて保持する。配線18の絶縁抵抗に関する項目は、例えば、配線18の接続状態に関する項目である。
【0152】
点検項目は、例えば、スピーカー部12の鳴動に関する項目、および、スピーカー部12の音圧に関する項目の少なくとも1つを含む。サーバ60は、第3状態情報を、スピーカー部12の鳴動に関する項目、および、スピーカー部12の音圧に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する。スピーカー部12の鳴動に関する項目は、例えば、スピーカー部12の鳴動状態に関する項目である。スピーカー部12の音圧に関する項目は、例えば、スピーカー部12の音圧および音色の少なくとも1つに関する項目である。
【0153】
点検項目は、例えば、操作部22の外形に関する項目、および、操作部22の表示に関する項目の少なくとも1つを含む。サーバ60は、第4状態情報を、操作部22の外形に関する項目、および、操作部22の表示に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する。操作部22の外形に関する項目、および、操作部22の表示は、例えば、操作部22、アンプ部24、電源部21および遠隔操作器19の少なくとも1つの外観に対応する。
【0154】
サーバ60は、点検項目ごとに、点検項目に対応する設備状態情報に基づいて、非常放送設備10の状態の合否を判定する。サーバ60は、点検項目の合否判定に関する判定情報を保持する。判定情報は、例えば、非常放送設備10の状態が、点検項目ごとに設定される基準を満たしているか否かの判定結果である。基準は、例えば、法定点検の項目に基づいて設定される。図14では、サーバ60が点検項目ごとに、非常放送設備10の状態が基準を満たしていると判定した場合には、その点検項目に対応する欄に「合」が表示され、満たされていないと判定した場合には、「否」が表示されている。
【0155】
サーバ60が判定した判定情報は、作業者によって修正可能である。例えば、サーバ60の判定が「否」であっても、作業者が、非常放送設備10を点検すると基準を満たしていると判断される場合に、作業者によって「合」に修正される。サーバ60の判定が「合」である場合に、作業者によって「否」に修正されてもよい。サーバ60は、ある点検項目について、非常放送設備10の状態が基準を満たしているか否かを、設備状態情報から判定できない場合に、その点検項目の判定を省略してもよい。サーバ60が非常放送設備10の状態が基準を満たしているか否かを判定できない点検項目の一例は、非常放送設備10が設置される現場において実際の操作を伴う作業である。
【0156】
サーバ60は、例えば、点検項目保持部62を備える。点検項目保持部62は、点検項目と、判定方法とを保持する。判定方法は、点検項目の合否を判定するための方法である。判定方法は、非常放送設備10の状態が基準を満たしてるか否かを判定する方法である。判定方法は、例えば、点検項目ごとに設定される。判定方法は、例えば、法定点検の項目の点検方法に基づいて設定される。判定方法は、例えば、設備状態情報に基づいて、判定方法によって、非常放送設備10の状態が基準を満たしてるか否かを判定できるように設定される。
【0157】
図2から図8を参照して、サーバ60による、非常放送設備10の状態が基準を満たしているか否かを、判定方法に基づいて判定する手順を説明する。
サーバ60は、例えば、非常電源の端子電圧に関する項目を、第1状態情報に基づいて判定する。非常電源の端子電圧に関する項目は、例えば、非常用電源212の端子電圧に関する項目である。非常電源の端子電圧に関する項目は、給電切替部214が第2給電状態に切り替えられた場合における、内部状態検出部31の検出結果に基づいて判定される。第1状態情報は、例えば、給電切替部214が第2給電状態である場合における、第4検出部314の検出結果に関する情報を含む。サーバ60は、給電切替部214が第2給電状態である場合に、第4検出部314が検出した電圧が所定電圧以上であると、非常放送設備10の状態が基準を満たしていると判定する。
【0158】
サーバ60は、例えば、非常電源の切替装置に関する項目を、第1状態情報に基づいて判定する。非常電源の切替装置に関する項目は、例えば、施設1の停電時に、非常放送設備10に電力が供給されるか否かに関する項目である。第1状態情報は、例えば、施設1のAC電源からの給電を遮断して、給電切替部214が第1給電状態から第2給電状態に切り替えられた場合における、第5検出部315、第6検出部316および第7検出部317の検出結果に関する情報を含む。サーバ60は、施設1のAC電源からの給電が遮断された場合に、給電切替部214が第1給電状態から第2給電状態に切り替えられるか否かを判定する。また、サーバ60は、施設1のAC電源からの給電が遮断された場合に、第5検出部315、第6検出部316および第7検出部317が検出した電圧が所定電圧以上であると、基準を満たしていると判定する。
【0159】
サーバ60は、例えば、配線18の絶縁抵抗に関する項目を、第2状態情報に基づいて判定する。配線18の絶縁抵抗に関する項目は、本体部11とスピーカー部12との間に絶縁箇所があるか否かに関する項目である。配線18は、例えば、配線18の切断、地絡、短絡等によって絶縁箇所が生じる。第2状態情報は、例えば、第9検出部341によって検出された音声インピーダンスに関する情報を含む。サーバ60は、第9検出部341によって検出された音声インピーダンスが所定値以上である場合に、基準を満たしていると判定する。
【0160】
サーバ60は、例えば、スピーカー部12の鳴動に関する項目を、第3状態情報に基づいて判定する。第3状態情報は、例えば、1つ以上のスピーカー部12のうち、どのスピーカー部12が鳴動しているかに関する音声情報を含む。サーバ60は、複数のスピーカー部12が一斉に鳴動する場合、一部のスピーカー部12だけが鳴動する場合等、非常放送設備10の設定通りにスピーカー部12が鳴動している場合に、基準を満たしていると判定する。
【0161】
サーバ60は、例えば、スピーカー部12の音圧に関する項目を、第3状態情報に基づいて判定する。第3状態情報は、例えば、スピーカー部12の音圧および音色に関する音声情報を含む。サーバ60は、スピーカー部12の音圧および音色が、所定の音圧および音色である場合に、基準を満たしていると判定する。所定の音圧および音色は、例えば、スピーカー部12の放送を、施設1の他の機械音と区別して聞き取れる音圧および音色である。
【0162】
サーバ60は、例えば、操作部22の外形に関する項目を、第4状態情報に基づいて判定する。第4状態情報は、例えば、操作部22の外形の変形、損傷、脱落、著しい腐食等の有無に関する画像情報を含む。サーバ60は、例えば、操作部22の外形に変形、損傷、脱落、著しい腐食等が無い場合に、基準を満たしていると判定する。サーバ60は、例えば、操作部22の画像情報に変化がある場合に、基準を満たしていないと判定してもよい。変化がある場合の一例は、例えば、図10の腐食部分22Xのような変化がある場合である。
【0163】
サーバ60は、例えば、操作部22の表示に関する項目を、第4状態情報に基づいて判定する。第4状態情報は、例えば、操作パネル141の外観に関する画像情報を含む。サーバ60は、例えば、操作パネル141の表示に欠落が無い場合に、基準を満たしていると判定する。サーバ60は、例えば、操作パネル141のスイッチ等の名称等に汚損がある場合、不鮮明な部分がある場合、銘板が剥がれている場合に、操作パネル141のスイッチの表示に欠落があると判定する。
【0164】
サーバ60は、例えば、画像センシングにより、第4状態情報として受信した映像データの映像から操作部22の画像を抽出し、その画像と、リファレンスとなる画像と比較することで基準を満たしているか否かを判定する。サーバ60上での画像センシングでは、背景BGと区別して操作部22の外観部分が映像から切り出される。サーバ60は、例えば、画像センシングにより、第4状態情報として受信した操作部22のうち外観が切り出された画像と、リファレンスとなる画像とを比較することで基準を満たしているか否かを判定する。リファレンスとなる画像は、例えば、基準を満たした状態の操作部22の外観を予め撮影した画像である。比較の結果、切り出された操作部22の画像とリファレンスとなる画像との一致度が所定以上であれば基準を満たしていると判定し、一致度が所定未満である場合は操作部22の外形に変形、損傷、脱落、著しい腐食等が発生したため基準を満たさないと判定するとよい。
【0165】
図14に示される判定方法は、対応する点検項目を判定するための一例である。判定方法は、図14の例とは異なる判定方法であってもよい。判定方法は、検出装置30が検出する設備取得情報のいずれの情報によって行われてもよい。
【0166】
サーバ60は、設備状態情報を取得すると、毎回判定方法に基づく点検項目の判定を行ってもよく、予め決められる予定に従って判定を行ってもよい。判定方法は、作業者によって変更可能なように、点検項目保持部62に保持される。非常放送設備10の法定点検の点検方法が変更となっても、変更後の点検方法に基づいて、非常放送設備10の状態を点検できる。
【0167】
図7に示されるように、サーバ60は、設備状態情報を保持するデータベース部63を有する。データベース部63には、非常放送設備10の状態に関する履歴が保存される。データベース部63は、例えば、HDDおよびSSDの少なくとも1つから成る記録媒体を含む。サーバ60は、点検項目と対応付けられた設備状態情報を、時間情報および識別情報ごとに、データベース部63に蓄積する。データベース部63は、点検項目ごとの判定情報を保持する。
【0168】
図7、および図15から図17に示されるように、サーバ60は、点検項目、設備状態情報および判定情報に基づいて報告書情報を生成する。報告書情報は、例えば、非常放送設備10の点検の法令に基づく報告書のフォーマットである。図15から図17は、報告書情報の一例を示す。
【0169】
報告書情報は、施設等情報欄C1、項目欄C2および結果欄C3を有する。サーバ60は、事前情報に基づいて、施設等情報欄C1を入力する。施設等情報欄C1は、施設1の名称、点検年月日、作業者等に関する欄である。事前情報は、ユーザ端末70から入力され、サーバ60に記録される。項目欄C2は、法定点検の項目である。サーバ60は、法定点検の項目に対応する設備状態情報および判定情報を、結果欄C3に入力する。
【0170】
図7に示されるように、サーバ60は、定期点検スケジュール保持部64を備える。定期点検スケジュール保持部64は、点検予定を保持する。サーバ60は、点検予定に応じて、設備状態情報を取得する。点検予定は、例えば、法令に定められる点検期間に対応する。点検予定には、法令に定められる点検期間に基づいて、非常放送設備10の自主点検の実施時期が設定される。点検予定は、例えば、作業者によって設定される。サーバ60は、点検予定の実施時期に最新の設備状態情報に基づいて非常放送設備10の状態を判定できるように、非常放送設備10から設備状態情報を取得する。
【0171】
点検予定は、第1点検予定、および、第1点検予定とは異なる第2点検予定を含む。第2点検予定は、第1点検予定とは異なる周期で、自主点検の実施時期が設定される。例えば、第1点検予定は、毎日、予め定められた時刻に行われる日々点検の予定である。第2点検予定は、法定点検の予定である。
【0172】
サーバ60は、点検予定を非常放送設備10に送信する。非常放送設備10は、点検予定に基づいて、自主点検予定を設定する。本実施形態では、サーバ60は、第1点検予定を非常放送設備10に送信して、非常放送設備10は、第1点検予定に応じて、毎日、自主点検を実施する。非常放送設備10は、毎日、自主点検結果をサーバ60に送信して、サーバ60は、自主点結果から設備状態情報を取得する。サーバ60は、第2点検予定に応じて、報告書情報をユーザ端末70に送信する。
【0173】
定期点検スケジュール保持部64は、点検予定を変更可能に保持する。したがって、非常放送設備10の法定点検に定められる点検期間が、法令によって変更となっても、変更後の法定点検に定められる点検期間に対応できる。
【0174】
<ユーザ端末70>
ユーザ端末70は、例えば、CPUまたはMPUを有する情報処理装置である。ユーザ端末70の一例は、パーソナルコンピュータである。ユーザ端末70は、携帯電話、スマートフォンまたはタブレット型コンピュータ等の端末であってもよい。ユーザ端末70は、2つ以上の端末から構成されてもよい。
【0175】
ユーザ端末70は、作業者が非常放送設備10の点検に関する情報を入力可能な点検入力部と、作業者に情報を表示する表示部とを有する。ユーザ端末70は、点検入力部に入力される点検予定、点検方法等をサーバ60に送信する。ユーザ端末70は、例えばデータベース部63に保持される情報を、表示部に表示する。ユーザ端末70は、例えば報告書情報を印刷するプリンタを有してもよい。
【0176】
<非常放送設備10の点検>
図18は、非常放送設備10の点検における動作シーケンスを示す。
ユーザ端末70は、サーバ60に点検予定を送信する(S21)。サーバ60は、非常放送設備10に点検予定を送信する(S22)。非常放送設備10は、点検予定に基づいて自主点検予定を設定する(S23)。非常放送設備10は、自主点検予定に応じて自主点検を実施する(S24)。非常放送設備10は、自主点検結果をサーバ60に送信する(S25)。マイク部35は、検出結果をサーバ60に送信する(S26)。カメラ部36は、検出結果をサーバ60に送信する(S27)。マイク部35およびカメラ部36は、自主点検予定によらずに、検出結果を定期的にサーバ60に送信する。マイク部35およびカメラ部36は、非常放送設備10またはサーバ60から、自主点検予定に基づく送信指令を受信した場合に、検出結果をサーバ60に送信してもよい。サーバ60は、自主点検結果に基づいて設備状態情報を更新する(S28)。S28において、サーバ60は、自主点検結果に基づいた設備状態情報をデータベース部63に蓄積する。サーバ60は、非常放送設備10の状態を判定する(S29)。サーバ60は、報告書情報をユーザ端末70に送信する(S30)。ユーザ端末70は、作業者の要求に応じて報告書情報を表示する(S31)。
【0177】
<本実施形態の作用>
非常放送設備10は、電気設備として技術基準が定められている。さらに、非常時に確実に動作することを担保するため、定期的に非常放送設備10を点検することが、消防法で定められている。消防法で定められる法定点検の項目には、例えば、非常放送設備10の操作部22の外観を目視で点検する項目、二次電池の状態を点検する項目、非常放送設備10の端子部、コネクタ等の外観、機能等を点検する項目が含まれる。消防法で定められる法定点検では、従来、複数人の作業者が、非常放送設備10が設置される現場に行き、現場において非常放送設備10の点検を行っている。法定点検の点検結果は、所定の報告様式によって報告される。非常放送設備10の法定点検の完了後、作業者は、法定点検の点検結果に基づいて、報告様式に従った報告書を作成している。
【0178】
本実施形態のサーバ60は、ネットワークを介して設備状態情報を取得できるため、作業者は、サーバ60が保持する非常放送設備10の状態に基づいて、非常放送設備10を点検できる。したがって、サーバ60によって、非常放送設備10が設置される現場に、作業者が行く頻度、又は人数を減らすことができる。
【0179】
本実施形態のサーバ60は、点検予定に応じて設備状態情報を取得するため、サーバ60には、点検予定に基づいた最新の非常放送設備10の状態が保持される。したがって、作業者は、非常放送設備10が設置される現場に行かずとも、点検予定に基づいた最新の非常放送設備10の状態を取得できる。
【0180】
本実施形態のサーバ60は、設備状態情報に基づいて、非常放送設備10の状態を判定して、報告書情報を作成するため、作業者が点検すべき項目を減らすことができる。したがって、サーバ60は、作業者が報告書作成に要する所要を削減できる。
【0181】
<本実施形態の効果>
(1)サーバ60は、非常放送設備10とネットワークを介して接続される。サーバ60は、検出装置30から、設備状態情報を、ネットワークを介して取得する。サーバ60は、設備状態情報を、点検項目と対応付けて保持する。この構成によれば、サーバ60がネットワークを介して設備状態情報を取得するため、非常放送設備10が設置されている現場とは異なる場所から非常放送設備10の状態を確認できる。作業者は、非常放送設備10が設置されている現場とは異なる場所からサーバ60の設備取得情報に基づいて、点検項目ごとに非常放送設備10の状態を把握できる。サーバ60では、設備状態情報が点検項目と対応付けられて保持されるため、作業者は、点検項目ごとに非常放送設備10の状態を点検し易い。したがって、本構成のサーバ60によれば、非常放送設備10の点検を省力化できる。
【0182】
(2)サーバ60は、点検項目ごとに、点検項目に対応する設備状態情報に基づいて、非常放送設備10の状態の合否を判定する。サーバ60は、点検項目の合否判定に関する判定情報を保持する。この構成によれば、サーバ60は、点検項目ごとに、非常放送設備10の状態の合否が判定できる。作業者は、判定情報に基づいて、非常放送設備10の状態が基準を満たしていない箇所を好適に把握できる。
【0183】
(3)サーバ60は、点検項目と、判定方法とを保持する点検項目保持部62を備える。この構成によれば、点検項目ごとに判定方法がサーバ60に保持されるため、設備状態情報に応じて、サーバ自身が、点検項目ごとに、非常放送設備10の状態の合否を好適に判定できる。
【0184】
(4)サーバ60は、点検項目、設備状態情報および判定情報に基づいて報告書情報を生成する。この構成によれば、報告書情報に基づいて、報告書を作成できる。したがって、作業者の報告書作成の所要を削減できるため、報告書作成を省力化できる。
【0185】
(5)サーバ60は、定期点検スケジュール保持部64を備える。サーバ60は、点検予定に応じて、設備状態情報を取得する。この構成によれば、サーバ60は、点検予定のスケジュールに基づいて、定期的に設備状態情報を取得できる。点検予定に基づいて設備状態情報が更新されるため、作業者は、定期的に最新の非常放送設備10の状態を取得できる。
【0186】
(6)定期点検スケジュール保持部64は、点検予定を変更可能に保持する。この構成によれば、点検予定を変更することによって、設備状態情報を取得する期間を変更できる。作業者は、法令で定められる点検期間に基づいて、非常放送設備10の状態を取得できる。
【0187】
(7)検出装置30は、非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態を検出する内部状態検出部31を含む。設備状態情報は、非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態に関する第1状態情報を含む。この構成によれば、サーバ60は、第1状態情報から、非常放送設備10および遠隔操作器19の少なくとも1つの内部状態を好適に取得できる。
【0188】
(8)点検項目は、非常用電源212の端子電圧に関する項目、および、非常用電源212の切替装置に関する項目の少なくとも1つを含む。サーバ60は、第1状態情報を、非常用電源212の端子電圧に関する項目、および、非常用電源212の切替装置に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する。この構成によれば、サーバ60によって、作業者は、非常用電源212の端子電圧に関する項目、および、非常用電源212の切替装置に関する項目の少なくとも1つを好適に点検できる。
【0189】
(9)検出装置30は、配線18の接続状態を検出する接続状態検出部34を含む。設備状態情報は、配線18の接続状態に関する第2状態情報を含む。この構成によれば、サーバ60は、第2状態情報から、本体部11およびスピーカー部12の接続状態を好適に取得できる。
【0190】
(10)点検項目は、配線18の絶縁抵抗に関する項目を含む。サーバ60は、第2状態情報を、配線18の絶縁抵抗に関する項目と対応付けて保持する。この構成によれば、サーバ60によって、作業者は、配線18の絶縁抵抗に関する項目を好適に点検できる。
【0191】
(11)検出装置30は、マイク部35を含む。設備状態情報は、スピーカー部12の状態に関する第3状態情報を含む。この構成によれば、サーバ60は、第3状態情報から、スピーカー部12の状態を好適に取得できる。
【0192】
(12)点検項目は、スピーカー部12の鳴動に関する項目、および、スピーカー部12の音圧に関する項目の少なくとも1つを含む。サーバ60は、第3状態情報を、スピーカー部12の鳴動に関する項目、および、スピーカー部12の音圧に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する。この構成によれば、サーバ60によって、作業者は、スピーカー部12の鳴動に関する項目、および、スピーカー部12の音圧に関する項目の少なくとも1つを好適に点検できる。
【0193】
(13)検出装置30は、カメラ部36を含む。設備状態情報は、非常放送設備10の外観に関する第4状態情報を含む。この構成によれば、サーバ60は、第4状態情報から、非常放送設備10の外観に関する情報を好適に取得できる。
【0194】
(14)点検項目は、操作部22の外形に関する項目、および、操作部22の表示に関する項目の少なくとも1つを含む。サーバ60は、第4状態情報を、操作部22の外形に関する項目、および、操作部22の表示に関する項目の少なくとも1つと対応付けて保持する。この構成によれば、サーバ60によって、作業者が、操作部22の外形に関する項目、および、操作部22の表示に関する項目の少なくとも1つを好適に点検できる。
【0195】
(15)非常放送設備10は、設備状態情報を取得する。非常放送設備10は、サーバ60に、設備状態情報を送信する。非常放送設備10は、サーバ60にネットワークを介して接続される。この構成によれば、非常放送設備10が、ネットワークを介してサーバ60に設備状態情報を送信するため、非常放送設備10が設置されている現場とは異なる場所から非常放送設備10の状態を確認できる。作業者は、非常放送設備10が設置されている現場とは異なる場所から点検項目ごとに非常放送設備10の状態を把握できる。したがって、本構成の非常放送設備10は、非常放送設備10の点検を省力化できる。
【0196】
(16)検出装置30は、設備状態情報を検出する。検出装置30は、サーバ60に、設備状態情報を送信する。検出装置30は、サーバ60にネットワークを介して接続される。この構成によれば、検出装置30が、ネットワークを介してサーバ60に設備状態情報を送信するため、作業者は、非常放送設備10が設置されている現場とは異なる場所から非常放送設備10の状態を確認できる。作業者は、非常放送設備10が設置されている現場とは異なる場所から点検項目ごとに非常放送設備10の状態を把握できる。したがって、本構成の検出装置30は、非常放送設備10の点検を省力化できる。
【0197】
<変形例>
上記実施形態は、非常放送設備10、検出装置30およびサーバ60が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。非常放送設備10、検出装置30およびサーバ60は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0198】
<第1の変形例>
図19に示すように、ユーザ端末70は、設備通信部22aと接続されるユーザ端末70を含んでもよい。第1の変形例では、設備通信部22aと接続されるユーザ端末70によって、非常放送設備10の動作状況を確認できるように構成される。第1の変形例では、ユーザ端末70は、例えば、施設1内において使用される。施設1内において、作業者は、ユーザ端末70を通じて非常放送設備10の記憶部227内の情報を閲覧、確認することができる。非常放送設備10は、設備通信部22aを通じて、記憶部227に保持されている情報を、ユーザ端末70に出力することができる。ユーザ端末70は、設備通信部22aに接続され、設備通信部22aを介して非常放送設備10から非常放送設備10の記憶部227内の情報を受信し、その情報を表示することができる。
【0199】
一例として、設備通信部22aは、ルーター機能を有し、設備通信部22aに接続された非常放送設備10とユーザ端末70とは同一のLAN上で接続される。ユーザ端末70には、例えば、非常放送設備10の記憶部227に記憶されている情報を閲覧するためのソフトウェアがインストールされている。ソフトウェアの一例は、ビューアソフトである。ビューアソフトは、非常放送設備10と通信することによって、記憶部227内の情報を呼び出し、ユーザ端末70の表示部に表示する。これにより、施設1内に所在する作業者が、手持ちのユーザ端末70を用いてローカルで非常放送設備10の動作状況を確認することができる。施設1内に所在する作業者は、非常放送設備10が設置される現場に所在する作業者である。
【0200】
一例として、ビューアソフトは、記憶部227の自主点検結果保持部41に保持されている自主点検結果を呼び出し、表示する。
【0201】
また、一例として、施設1内において、作業者は、ユーザ端末70を通じて非常放送設備10の放送状態を確認することができる。非常放送設備10の放送状態は、例えば、放送種別および放送先の少なくとも1つを有する。放送種別は、例えば、感知器発報放送、火災放送および業務放送である。音源記憶部227aは、報知情報に関する複数種類の音源データを記憶している。音源記憶部227aは、例えば、非常事態の段階に応じて段階的に放送される複数種類の報知情報に対応する複数の音源データを記憶している。例えば、自動火災報知機2からの発報信号に応じて第1報として放送される感知器発報放送(例えば「ただいま火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので、次の放送にご注意ください。」)に対応する音源データと、第1報の後係員が火災確定させたときに放送される火災放送(例えば「火事です。火事です。火災が発生しました。落ち着いて避難してください。」)に対応する音源データとを記憶している。また、音源記憶部227aは、非常時以外に施設1内に放送する業務放送やBGM放送用の音源データも記憶している。業務放送やBGM放送用の音源データの一例は、1つ以上の種類のチャイム音、時間を示すメッセージ、開店または閉店を示すメッセージ、省エネを促すメッセージ等である。非常放送設備10は、非常時以外、すなわち、発報信号を受信していない間は、報知情報と同じように、業務放送やBGM放送用の音源データを再生して得た音声信号をスピーカー部12に出力することで、業務放送やBGMを放送する。非常放送設備10は、業務放送やBGMを放送中、発報信号を受信すると、これに応答して、業務放送やBGM放送を停止し、報知情報の放送に移行する。制御部226は、この放送の切換処理を実行し、現在どの放送を行っているか、すなわち放送種別を示す情報を、設定データとして設定記憶部227bに記憶する。
【0202】
図20に示されるように、ビューアソフトは、現在、非常放送設備10がどの放送先に対してどの放送を行っているかを表示する。例えば、ビューアソフトは、設定記憶部227bに記憶されている放送先に関する設定データと、放送種別に関する設定データとを呼び出し、表示する。放送先に関する設定データは、例えば、放送切替部232の制御によりどの配線18に対して放送可能状態とされているかを示す情報である。放送種別に関する設定データは、例えば、現在、非常放送設備10が放送している放送種別を示す情報である。図20は、ビューアソフトにおける放送状態表示画面400の一例を示す図である。ビューアソフトは、放送状態表示画面400を表示する。例えば、放送状態表示画面400は、ユーザ端末70の表示部に表示される。放送状態表示画面400は、放送種別表示401と、放送先表示402とを含む。放送種別表示401は、放送種別に関する設定データに基づき、現在、非常放送設備10で放送中の放送の種別を表示する。放送先表示402は、設定記憶部227bに記憶されている放送先に関する設定データに基づき、放送先を表示する。放送先表示402は、放送先エリア表示402aと放送先スピーカー表示402bとを含む。図20に示す例では、施設2Fのエリアの中の6つのスピーカー(SPK01~SPK06)が接続された配線18に対して業務放送が行われている状態を示している。
【0203】
<第2の変形例>
マイク部35およびカメラ部36の少なくとも1つは、点検項目のうち一部の項目に対応する非常放送設備10の状態の合否の判定を行ってもよい。本変形例では、設備状態情報に、マイク部35およびカメラ部36のそれぞれが行った判定結果が含まれてもよい。例えば、マイク部35は、検出した第3状態情報に基づいて、スピーカー部12の鳴動に関する項目、および、スピーカー部12の音圧に関する項目の少なくとも1つを判定する。マイク部35は、第3状態情報に代えて、判定した合否に関する判定結果をサーバ60に送信する。例えば、マイク部35は、検出した音圧や音色が基準を満たしているか否かを判定し、判定結果をサーバ60に送信する(S26)。本変形例では、サーバ60は、スピーカー部12の鳴動に関する項目、および、スピーカー部12の音圧に関する項目の少なくとも1つを判定する判定処理(S29)は行わず、マイク部35から受信した判定結果を用いて、スピーカー部12の鳴動に関する項目、および、スピーカー部12の音圧に関する項目の少なくとも1つの報告書情報を生成する(S30)。
【0204】
例えば、カメラ部36は、検出した第4状態情報に基づいて、操作部22の外形に関する項目、および、操作部22の表示に関する項目の少なくとも1つを判定する。カメラ部36は、第4状態情報に代えて、判定した合否に関する判定結果をサーバ60に送信する。例えば、カメラ部36は、撮影して生成した映像データに基づき操作部22の外観や表示が基準を満たしているか否かを判定し、判定結果をサーバ60に送信する(S27)。本変形例では、サーバ60は、操作部22の外観に関する項目、および、操作部22の表示に関する項目の少なくとも1つを判定する判定処理(S29)は行わず、カメラ部36から受信した判定結果を用いて、操作部22の外観に関する項目、および、操作部22の表示に関する法目の少なくとも1つの報告書情報を生成する(S30)。
【0205】
マイク部35およびカメラ部36のそれぞれは、それぞれが行った判定結果を本体部11に送信する。そのため、マイク部35は、検出した音声に係る音圧や音色のデータを本体部11に送信する必要がなく、カメラ部36は、撮影して生成した映像データを本体部11に送信する必要がない。非常放送設備10は、自主点検結果と合わせて、サーバ60にマイク部35およびカメラ部36のそれぞれの判定結果を送信してもよい。
【0206】
マイク部35が検出する音声には、スピーカー部12の周囲の人物の会話など、スピーカー部12の放送以外の音を含む可能性がある。また、カメラ部36が検出する映像には、非常放送設備10の周囲の通行人など、不特定多数の人物が映り込む可能性がある。本変形例では、非常放送設備10の周辺の音声および画像をサーバ60に送信しないことによりサーバ60にこれらの情報が保持されないため、非常放送設備10の周辺におけるプライバシーに配慮できる。
【0207】
さらに、第2の変形例において、カメラ部36は、撮影した画像情報から非常放送設備10以外の映り込みを判定するように構成されてもよい。カメラ部36は、撮影した画像に基づき画像センシングを行うことにより、画像情報における非常放送設備10以外の映り込みを判定する。画像情報への映り込みの例として、人物または障害物が挙げられる。
【0208】
カメラ部36は、画像情報に人物が映り込んでいる場合に、サーバ60への第4状態情報の送信を中止するように構成される。カメラ部36は、画像情報に人物が映り込んでいる場合に、第4状態情報の代わりに人物に関するエラー情報をサーバ60に送信してもよい。これによりサーバ60へ人物が映り込んだ画像情報が送信されないため、非常放送設備10の周辺におけるプライバシーに配慮できる。図9を参照すると、カメラ部36は、映像データの映像において切り出した被写体の画像以外の背景BG部分に、人物が映っているか否かを判定する。人物が映っているか否かの判定は、顔検出(フェイスリコグニション)や人物検出といった画像センシング技術により行うことができる。
【0209】
<第3の変形例>
実施形態において、サーバ60は、判定処理(S29)の際、カメラ部36から受信した映像データの映像(第4状態情報)に障害物が映りこんでいる場合、障害物に関するエラー判定を行い、エラー情報を出力する。画像情報に映り込む障害物の例は、画像情報において非常放送設備10の手前にあることにより非常放送設備10の外観が確認できない状態となるものや、非常放送設備10の周囲にあって非常時に操作部22の操作を妨げる虞がある状態となるものである。このような障害物の例として、箱、棚などが挙げられる。図9を参照すると、サーバ60は、映像データの映像において被写体である本体部11に重なるように障害物が映っているか否か、または背景BG部分に所定の大きさ以上の障害物が映っているか否かを判定する。当該判定は、物体検出といった画像センシング技術により行うことができる。障害物に関するエラー情報は、非常放送設備10の管理者に障害物を動かすことを指示するメッセージであってもよい。
【0210】
また、サーバ60は、判定処理(S29)の際、カメラ部36から受信した映像データの映像(第4状態情報)に基づき、点検項目のうち操作部22の「外形」に関する項目とともに、操作部22の「周囲の状況」に関する項目を判定してもよい。すなわち、サーバ60は、カメラ部36から受信した映像データの映像(第4状態情報)に障害物が映っているか否かを判定し、障害物が映っていなければ「周囲の状況」に関する項目が基準を満たしていると判定する。一方で、障害物が映っていれば、「周囲の状況」に関する項目が基準を満たしていないと判定する。
【0211】
本変形例では、サーバ60は、カメラ部36から受信した映像データの映像に基づき2段階で判定を行うとよい。すなわち、サーバ60は、カメラ部36から、本体部11と背景BGとを含む映像の映像データ(図9参照)を受信し、まず、当該映像全体に対して上記画像センシングを行って「周囲の状況」に関する項目を判定する。次に、サーバ60は、当該映像のうち操作部22(操作ユニット14)部分に対して画像センシングを行って「外形」に関する項目を判定する。なお、両項目の判定順序は一例であり、「外形」に関する項目を先に判定し、その後「周囲の状況」に関する項目を判定してもよい。このように段階的に判定することで、非常放送設備10及びその周囲を含む広角の映像1枚から「外形」及び「周囲の状況」に関する項目を判定することができる。
【0212】
また、本変形例の更に変形として、サーバ60は、カメラ部36から異なる2種類の画角により撮影された映像それぞれの映像データを受信し、第1の画角により撮影された映像の映像データに基づき「周囲の状況」に関する項目を判定するとともに、第2の画角により撮影された映像の映像データに基づき「外形」に関する項目を判定してもよい。第1の画角は、図9に示すように、本体部11の全体的な外観と背景BGとが収まる比較的広角の画角である。第2の画角は、第1の画角よりも狭く本体部11が収まる画角である。第2の画角は、本体部11のうち特に外観の判定対象である操作部22が中心に収まる画角であるとよい。第1の画角と第2の画角との間の変更は、カメラ部36のズーム機能により行うことができる。本変形例では、カメラ部36に対する検出指令(S11)には、第1画角および第2の画角により撮影した映像それぞれの映像データを要求する指令が含まれる。そして、カメラ部36は、検出指令に応じて、まず第1の画角と第2の画角とのうち一方の画角により撮影して映像データを生成し、次にズーム機能により画角を変更して他方の画角により撮影した映像データを生成し、両映像データを同時に又は順次送信する(S27)。
【0213】
また、上記第2の変形例において、カメラ部36は、画像情報に障害物が映り込んでいる場合に、第4状態情報に代えて、または第4状態情報と合わせて障害物に関するエラー情報をサーバ60に送信するように構成されてもよい。カメラ部36は、画像情報に障害物が映り込んでいる場合に、判定結果として障害物に関するエラー情報をサーバ60に送信してもよい。
【0214】
<第4の変形例>
マイク部35は、スピーカー部12による放送以外の音に応じて第3状態情報を検出してもよい。スピーカー部12による放送以外の音の例として、スピーカー部12の周囲の暗騒音が挙げられる。暗騒音が大きい場合、センサマイク35aにより、スピーカー部12による検査音源の出力を検出できずに第3状態情報の信頼性が低下する虞がある。本変形例のマイク部35は、第3状態情報を検出する前に、センサマイク35aによりスピーカー部12の周囲の暗騒音を検出する。以下では、マイク部35が、暗騒音に応じて第3状態情報を検出する第1例から第5例を説明する。
【0215】
図21は、第1例のマイク部35が第3状態情報を検出するときの動作フローの一例を示す。第1例では、マイク部35は、検出した暗騒音が所定レベルよりも大きい場合に、第3状態情報の検出を中止する。
【0216】
マイク部35は、音声の検出を開始する(S41)。マイク部35は、スピーカー部12の周囲の暗騒音が所定レベル以下である場合(S42:YES)に、検査音源を音声としてスピーカー部12から出力させる(S43)。マイク部35は、センサマイク35aにより第3状態情報を検出(S44)した後に、音声の検出を終了し(S45)、図21の処理を終了する。
【0217】
マイク部35は、スピーカー部12の周囲の暗騒音が所定レベルよりも大きい場合(S42:NO)、音声の検出を終了し(S45)、図21の処理を終了する。暗騒音の所定レベルは、例えば、スピーカー部12から出力される検査音源の音圧よりも大きな音圧が設定される。
【0218】
図22は、第2例のマイク部35が第3状態情報を検出するときの動作フローの一例を示す。第2例では、マイク部35は、検出した暗騒音が所定レベルよりも大きい場合に、第3状態情報の検出を中止するとともに、所定時間経過後に第3状態情報の検出を再開する。本変形例のマイク部35は、例えば、時間を計測するタイマー機能を有する。
【0219】
第2例の動作フローは、図21に示される第1例の動作フローにS51が追加されている。ここでは第1例の動作フローと共通する処理の説明を省略する。マイク部35は、スピーカー部12の周囲の暗騒音が所定レベルよりも大きい場合(S42:NO)、タイマーによる時間計測を開始(S51)した後に、音声の検出を終了し(S45)、図22の処理を終了する。マイク部35は、図22の処理を終了した後に、S51において時間計測を開始した時刻からの経過時間が所定時間となると、図22の処理を再び実行する。
【0220】
図23は、第3例のマイク部35が第3状態情報を検出するときの動作フローの一例を示す。第3例では、マイク部35は、検出した暗騒音が所定レベルよりも大きい場合に、出力条件を変更した後に、第3状態情報の検出を行う。出力条件は、例えば、スピーカー部12から出力される検査音源のボリュームである。マイク部35は、暗騒音が所定レベルよりも大きい場合に、スピーカー部12に対するマイク部35の指令によって、スピーカー部12から出力される検査音源のボリュームを大きくする。マイク部35は、例えば、検査音源のボリュームを暗騒音よりも大きくする。出力条件は、例えば、検査音源の音色であってもよい。マイク部35は、暗騒音が所定レベルよりも大きい場合に、出力する検査音源の音色を、暗騒音下でも聞き取りやすい音色に変更する。
【0221】
出力条件には、点検項目のうちスピーカー部12の音圧に関する項目を判定するための所定の音圧および音色が含まれてもよい。マイク部35は、検査音源のボリュームまたは音色に応じて、スピーカー部12の音圧に関する項目を判定するための所定の音圧および音色を設定する。マイク部35は、出力条件を変更した場合に、その変更した出力条件をサーバ60に送信する。マイク部35は、変更した出力条件を、検出した第3状態情報と合わせてサーバ60に送信してもよい。サーバ60は、変更された出力条件に応じた所定の音圧および音色に基づいて、スピーカー部12の音圧に関する項目を判定する。なお、上述した第2の変形例のように、マイク部35が、変更された出力条件、および、検出した第3状態情報に基づいて、スピーカー部12の鳴動に関する項目、および、スピーカー部12の音圧に関する項目の少なくとも1つを判定してもよい。
【0222】
第3例の動作フローは、図21に示される第1例の動作フローにS61が追加されている。ここでは第1例の動作フローと共通する処理の説明を省略する。マイク部35は、スピーカー部12の周囲の暗騒音が所定レベルよりも大きい場合(S42:NO)、出力条件を変更(S61)する。出力条件の変更後に、検査音源を音声としてスピーカー部12から出力させる(S43)。
【0223】
図24は、第4例のマイク部35が第3状態情報を検出するときの動作フローの一例を示す。第4例では、マイク部35は、第3状態情報の検出前の暗騒音の検出に加えて、第3状態情報の検出後にも暗騒音の検出を行う。マイク部35は、第3状態情報の検出後に検出した暗騒音が所定レベルよりも大きい場合に、第3状態情報を再検出する。第3状態情報の検出前の暗騒音が小さくても、第3状態情報の検出後の暗騒音が大きければ、検査音源の出力中に、第3状態情報に影響を及ぼすような大きな暗騒音が発生していた虞がある。第3状態情報の検出後の暗騒音が所定レベルよりも大きい場合に、第3状態情報を再検出することにより、マイク部35が検出する第3状態情報の信頼性を向上できる。第3状態情報の検出後における暗騒音に関する所定レベルは、第3状態情報の検出前における暗騒音に関する所定レベルと異なっていてもよい。
【0224】
第4例の動作フローは、図21に示される第1例の動作フローにS71およびS72が追加されている。ここでは第1例の動作フローと共通する処理の説明を省略する。マイク部35は、S44において第3状態情報を検出した後に、再びスピーカー部12の周囲の暗騒音を検出する(S71)。マイク部35は、スピーカー部12の周囲の暗騒音が所定レベル以下である場合(S72:YES)、センサマイク35aによる音声の検出を終了し(S45)、図24の処理を終了する。マイク部35は、スピーカー部12の周囲の暗騒音が所定レベルより大きい場合(S72:NO)、第3状態情報を再検出する(S43、S44)。
【0225】
マイク部35は、第3状態情報の検出後にスピーカー部12の周囲の暗騒音が所定レベルより大きい場合(S72:NO)、検出した第3状態情報を破棄するとともに、第3状態情報の検出を中止してもよい。マイク部35は、第3状態情報の検出後にスピーカー部12の周囲の暗騒音が所定レベルより大きい場合(S72:NO)、検出した第3状態情報を破棄するとともに、所定時間後に第3状態情報の検出を再開してもよい。第4例のS71およびS72に対応する処理が、第1例から第3例において行われてもよい。
【0226】
第5例では、マイク部35は、定期的にセンサマイク35aによりスピーカー部12の周囲の暗騒音を検出する。マイク部35は、定期的に検出しているスピーカー部12の周囲の暗騒音が所定レベル以下である場合に、第3状態情報の検出を行う。定期的に暗騒音を検出することにより暗騒音が所定レベル以下である静かなときに第3状態情報を検出できる。
【0227】
<その他の変形例>
図25に示されるように、マイク部35が、本体部11と接続されてもよい。マイク部35のマイク通信部38は、有線通信または無線通信によって、本体部11と通信する。有線通信の一例は、LAN通信であり、無線通信の一例は、WLAN通信である。マイク部35は、第3状態情報を本体部11に送信して、非常放送設備10は、自主点検結果と合わせて、サーバ60に第3状態情報を送信する。
【0228】
・上記実施形態では、マイク部35は、マイク通信部38により第3状態情報をサーバ60に送信するとしたが、第3状態情報はいったん本体部11に集約され、その後本体部11からサーバ60に送信されるように構成されてもよい。図25に示される構成において、マイク部35のマイク通信部38は、近距離無線通信により本体部11と通信する。マイク部35が本体部11と近距離無線通信によって直接通信してもよいし、近距離無線通信可能に構成された設備通信部22aを介して本体部11と通信してもよい。近距離無線通信の一例は、Bluetooth(登録商標)である。本体部11は、近距離無線通信により各マイク部35から受信した第3状態情報を集約してサーバ60に送信するとよい。
また、近距離無線通信の一例としてBluetoothを用いる場合、複数のマイク部35がBluetoothメッシュ方式により通信を行ってもよい。Bluetoothメッシュは、バケツリレー方式でデータを中継できる方式である。この方式によれば、各マイク部35は、自己の第3状態情報を他のマイク部35へブロードキャストする。また、各マイク部35は、他のマイク部35からブロードキャストされた第3状態情報を受信するとともに、さらに他のマイク部35へブロードキャストする。このようにマイク部35間で第3状態情報が中継されることによって第3状態情報が本体部11(設備通信部22a)に受信される。本変形例の非常放送設備10は、自主点検結果と合わせて、各マイク部35から受信して集約した第3状態情報をサーバ60に送信する。
【0229】
図26に示されるように、マイク通信部38が設備通信部22aと、有線通信または無線通信によって接続されてもよい。マイク部35は、第3状態情報を、設備通信部22aを介してサーバ60に送信する。
【0230】
図27に示されるように、カメラ部36が、本体部11と接続されてもよい。カメラ部36のカメラ通信部39は、有線通信または無線通信によって、本体部11と通信する。カメラ部36は、第4状態情報を本体部11に送信して、非常放送設備10は、自主点検結果と合わせて、サーバ60に第4状態情報を送信する。カメラ部36が、本体部11と接続される場合、カメラ部36は、非常放送設備10から送信される検出指令に応じて、第4状態情報を検出する。
【0231】
・上記実施形態では、カメラ部36は、カメラ通信部39により第4状態情報をサーバ60に送信するとしたが、第4状態情報はいったん本体部11に集約され、その後本体部11からサーバ60に送信されるように構成されてもよい。図27に示される構成例において、カメラ部36のカメラ通信部39は、近距離無線通信により本体部11と通信する。カメラ部36が本体部11と近距離無線通信によって直接通信してもよいし、近距離無線通信可能に構成された設備通信部22aを介して本体部11と通信してもよい。近距離無線通信の一例は、Bluetoothである。カメラ部36が複数ある場合、本体部11は、近距離無線通信により各カメラ部36から受信した第4状態情報を集約してサーバ60に送信するとよい。
また、カメラ部36が複数ある場合、Bluetoothメッシュ方式により通信を行ってもよい。この方式によれば、各カメラ部36は、自己の第4状態情報を他のカメラ部36へブロードキャストする。また、各カメラ部36は、他のカメラ部36からブロードキャストされた第4状態情報を受信するとともに、さらに他のカメラ部36へブロードキャストする。このようにカメラ部36間で第4状態情報が中継されることによって第4状態情報が本体部11(設備通信部22a)に受信される。本変形例の非常放送設備10は、自主点検結果と合わせて、各カメラ部36から受信して集約した第4状態情報をサーバ60に送信する。
【0232】
・マイク部35のマイク通信部38、および、カメラ部36のカメラ通信部39の両方が、Bluetoothによって本体部11と近距離無線通信してもよい。本変形例のマイク部35は、第3状態情報を本体部11に送信し、かつ、本変形例のカメラ部36は、第4状態情報を本体部11に送信する。本変形例の非常放送設備10は、自主点検結果と合わせて、サーバ60に第3状態情報および第4状態情報を送信する。
【0233】
図28に示されるように、カメラ通信部39が設備通信部22aと、有線通信または無線通信によって接続されてもよい。カメラ部36は、第4状態情報を、設備通信部22aを介してサーバ60に送信する。
【0234】
・上記実施形態では、マイク部35は、非常放送設備10から発せられる検出指令に応じて収音して第3状態情報をサーバ60に送信している(S11、S26)。本発明はこれに限られず、サーバ60が検出指令を直接マイク部35に送信し、これに応じてマイク部35が収音を行って第3状態情報をサーバ60に送信してもよい。または、本変形例のマイク部35は、第3状態情報を本体部11に送信し、非常放送設備10が自主点検結果と合わせて、サーバ60に第3状態情報を送信してもよい。
同様に、上記実施形態では、カメラ部36は、非常放送設備10から発せられる検出指令に応じて撮影して第4状態情報をサーバ60に送信している(S11、S27)。本発明はこれに限られず、サーバ60が検出指令を直接カメラ部36に送信し、これに応じてカメラ部36が撮影を行って第4状態情報をサーバ60に送信してもよい。または、本変形例のカメラ部36は、第4状態情報を本体部11に送信し、非常放送設備10が自主点検結果と合わせて、サーバ60に第4状態情報を送信してもよい。
【0235】
・検出装置30は、内部状態検出部31、接続状態検出部34、マイク部35およびカメラ部36の少なくとも1つを含めば、その他の検出部が省略されてもよい。
【0236】
・カメラ部36は、スピーカー部12の外観を撮影してもよい。第4状態情報は、例えば、スピーカー部12の外観に関する情報を含んでもよい。
【0237】
・非常放送設備10が点検項目保持部62を含んでもよい。この場合、非常放送設備10は、点検項目に基づいて非常放送設備10の状態を判定して、設備状態情報に判定情報を合わせて、サーバ60に送信する。
【0238】
・非常放送設備10は、点検予定とは異なる自主点検予定に応じて、自主点検を実施してもよい。
【0239】
・サーバ60は、点検予定に応じて、点検を実行する旨の指令を非常放送設備10に送信してもよい。非常放送設備10は、点検を実行する旨の指令をサーバ60から受信すると、自主点検を実施して、その自主点検結果をサーバ60に送信する。
【符号の説明】
【0240】
10…非常放送設備、11…本体部、12…スピーカー部、13…ユニット、18…配線、19…遠隔操作器、22…操作部、30…検出装置、31…内部状態検出部、34…接続状態検出部、35…マイク部、36…カメラ部、60…サーバ、62…点検項目保持部、64…定期点検スケジュール保持部、212…非常用電源。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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