(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109114
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】緩衝材用不織布およびその製造方法、ならびに緩衝材
(51)【国際特許分類】
D04H 1/485 20120101AFI20240805BHJP
D04H 1/4382 20120101ALI20240805BHJP
D04H 1/425 20120101ALI20240805BHJP
B65D 81/03 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
D04H1/485
D04H1/4382
D04H1/425
B65D81/03 100Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013540
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2023013343
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519354108
【氏名又は名称】大和紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100107180
【弁理士】
【氏名又は名称】玄番 佐奈恵
(74)【代理人】
【識別番号】100190713
【弁理士】
【氏名又は名称】津村 祐子
(72)【発明者】
【氏名】中村 保紀
(72)【発明者】
【氏名】安福 文香
【テーマコード(参考)】
3E066
4L047
【Fターム(参考)】
3E066AA21
3E066CA09
3E066CB03
3E066JA23
4L047AA08
4L047AA12
4L047AA13
4L047AA19
4L047AA27
4L047AA28
4L047BA03
4L047BA09
4L047BA24
4L047BB06
4L047BB09
4L047CB01
4L047CB02
4L047CC16
(57)【要約】
【課題】ドレープ性および低反発性を兼ね備える緩衝材用不織布およびその製造方法、ならびに緩衝材を提供する。
【解決手段】第一繊維群と、前記第一繊維群とは異なる第二繊維群と、を含むニードルパンチ不織布であって、前記第一繊維群はセルロース繊維であり、前記第二繊維群は合成繊維であり、前記第一繊維群の含有量は、前記ニードルパンチ不織布の質量の30質量%以上90質量%以下であり、前記第二繊維群の含有量は、前記ニードルパンチ不織布の質量の10質量%以上70質量%以下であり、前記第二繊維群は、接着性合成繊維を含み、前記ニードルパンチ不織布に含まれる少なくとも一部の繊維同士は、前記接着性合成繊維によって接着している、緩衝材用不織布。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一繊維群と、前記第一繊維群とは異なる第二繊維群と、を含むニードルパンチ不織布であって、
前記第一繊維群はセルロース繊維であり、
前記第二繊維群は合成繊維であり、
前記第一繊維群の含有量は、前記ニードルパンチ不織布の質量の30質量%以上90質量%以下であり、
前記第二繊維群の含有量は、前記ニードルパンチ不織布の質量の10質量%以上70質量%以下であり、
前記第二繊維群は、接着性合成繊維を含み、
前記ニードルパンチ不織布に含まれる少なくとも一部の繊維同士は、前記接着性合成繊維によって接着している、緩衝材用不織布。
【請求項2】
前記第一繊維群は、撥水性セルロース繊維を含む、請求項1に記載の緩衝材用不織布。
【請求項3】
前記接着性合成繊維は、繊維断面が複数のセクションを有する複合繊維であって、
少なくとも1つの前記セクションにより、前記ニードルパンチ不織布に含まれる少なくとも一部の繊維同士が接着している、請求項1または2に記載の緩衝材用不織布。
【請求項4】
KES法による下記の条件下での圧縮試験における荷重0.5gf/cm2から50gf/cm2までの圧縮仕事量WCと回復仕事量BCとの差が、0.3gf・cm/cm2以上2.0gf・cm/cm2以下である、請求項1または2に記載の緩衝材用不織布。
(圧縮試験条件)
押し込みスピード:50秒/mm
加圧面積:2cm2
【請求項5】
KES法による下記の条件下での圧縮試験における荷重0.5gf/cm2から50gf/cm2までの圧縮仕事量WCが、0.7gf・cm/cm2以上4.0gf・cm/cm2以下である、請求項1または2に記載の緩衝材用不織布。
(圧縮試験条件)
押し込みスピード:50秒/mm
加圧面積:2cm2
【請求項6】
KES法による下記の条件下での圧縮試験における荷重0.5gf/cm2から50gf/cm2までの圧縮回復性RCが、35%以上90%以下である、請求項1または2に記載の緩衝材用不織布。
(圧縮試験条件)
押し込みスピード:50秒/mm
加圧面積:2cm2
【請求項7】
機械方向の10%伸長時応力が、2N/5cm以上40N/5cm以下である、請求項1または2に記載の緩衝材用不織布。
【請求項8】
単位面積当たりの質量が50g/m2以上300g/m2以下であり、
乾燥状態でのハンドルオメーター法による剛軟度が、0.8N以上8N以下である、請求項1または2に記載の緩衝材用不織布。
【請求項9】
荷重1.96kPaをかけたときの比容積が、10cm3/g以上50cm3/g以下である、請求項1または2に記載の緩衝材用不織布。
【請求項10】
機械方向に0%から30%まで伸長させたときの仕事量が、150N・%/5cm以上1600N・%/5cm以下である、請求項1または2に記載の緩衝材用不織布。
【請求項11】
前記第二繊維群は、バイオマス原料を含む合成繊維、生分解性合成繊維およびリサイクル原料を含む合成繊維よりなる群から選択される少なくとも1種の合成繊維を含む、請求項1または2に記載の緩衝材用不織布。
【請求項12】
前記ニードルパンチ不織布は、厚さ方向に配向した部分を有する5本以上の繊維の束を備え、
前記5本以上の繊維の前記厚さ方向に配向した部分は、前記ニードルパンチ不織布を水平面に置いて厚さ方向の断面を見たとき、前記水平面との間で平均値で52°以上85°以下の鋭角を成す、請求項2に記載の緩衝材用不織布。
【請求項13】
前記ニードルパンチ不織布は、厚さ方向に配向した部分を有する5本以上の繊維の束を備え、
前記5本以上の繊維の束は、水平方向における前記ニードルパンチ不織布の単位長さ当たり1.0個/cm以上10個/cm以下で配置されている、請求項2に記載の緩衝材用不織布。
【請求項14】
セルロース繊維である第一繊維群を30質量%以上90質量%以下、および、前記第一繊維群とは異なり、接着性合成繊維を含む合成繊維である第二繊維群を10質量%以上70質量%以下含む、ウェブを準備すること、
前記ウェブにニードルパンチ処理を施して、前記ウェブに含まれる繊維同士を交絡させること、および、
加熱処理によって、ニードルパンチ処理された前記ウェブに含まれる少なくとも一部の繊維同士を前記接着性合成繊維によって接着すること、を含む、緩衝材用不織布の製造方法。
【請求項15】
前記第一繊維群は、撥水性セルロース繊維を含む、請求項14に記載の緩衝材用不織布の製造方法。
【請求項16】
前記加熱処理が、無荷重または線圧5kg/cm以下の荷重下で行われる、請求項14または15に記載の緩衝材用不織布の製造方法。
【請求項17】
前記ニードルパンチ処理におけるペネ数が、80本/cm2以上250本/cm2以下である、請求項15に記載の緩衝材用不織布の製造方法。
【請求項18】
請求項1または2に記載の緩衝材用不織布を含む、緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、緩衝材用不織布およびその製造方法、ならびに緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緩衝材として発泡シートが多く利用されている。しかし、発泡シートは一般に高反発性であるため、包装材として使用するには扱い難い。そこで、特許文献1および2には、不織布からなる包装材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-184896号公報
【特許文献2】特開2017-193366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、木綿繊維またはその他のセルロース繊維から成ることを特徴とする天然材から成る素材ウェブを開示している。しかしながら、この素材ウェブはモジュラスが低く、衝撃緩和機能に劣る。特許文献2は、レーヨンおよびポリエチレンテレフタレートから得られ、引張縦強度が80N/50mm以上160N/50mm以下であって、かつ厚さが0.4mm程度の不織布を開示している。このような高強度で薄い不織布もまた、衝撃緩和機能に劣る。
【0005】
本開示は、ドレープ性および低反発性を兼ね備える緩衝材用不織布およびその製造方法、ならびに緩衝材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、第一繊維群と、前記第一繊維群とは異なる第二繊維群と、を含むニードルパンチ不織布であって、
前記第一繊維群はセルロース繊維であり、
前記第二繊維群は合成繊維であり、
前記第一繊維群の含有量は、前記ニードルパンチ不織布の質量の30質量%以上90質量%以下であり、
前記第二繊維群の含有量は、前記ニードルパンチ不織布の質量の10質量%以上70質量%以下であり、
前記第二繊維群は、接着性合成繊維を含み、
前記ニードルパンチ不織布に含まれる少なくとも一部の繊維同士は、前記接着性合成繊維によって接着している、緩衝材用不織布を提供する。
【0007】
本開示はまた、セルロース繊維である第一繊維群を30質量%以上90質量%以下、および、前記第一繊維群とは異なり、接着性合成繊維を含む合成繊維である第二繊維群を10質量%以上70質量%以下含む、ウェブを準備すること、
前記ウェブにニードルパンチ処理を施して、前記ウェブに含まれる繊維同士を交絡させること、および、
加熱処理によって、ニードルパンチ処理された前記ウェブに含まれる少なくとも一部の繊維同士を前記接着性合成繊維によって接着すること、を含む、緩衝材用不織布の製造方法を提供する。
【0008】
本開示は、上記緩衝材用不織布を含む、緩衝材を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ドレープ性および低反発性を兼ね備える緩衝材用不織布およびその製造方法、ならびに緩衝材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】緩衝材用不織布の一実施形態に係る厚さ方向の断面を示す、断面模式図である。
【
図2】緩衝材用不織布の一実施形態に係る圧縮仕事量WCおよび回復仕事量BCを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<緩衝材用不織布>
本開示に係る緩衝材用不織布は、第一繊維群と、第一繊維群とは異なる第二繊維群と、を含むニードルパンチ不織布である。第一繊維群はセルロース繊維である。第二繊維群は合成繊維である。第一繊維群の含有量は、ニードルパンチ不織布の質量の30質量%以上90質量%以下である。第二繊維群の含有量は、ニードルパンチ不織布の質量の10質量%以上70質量%以下である。第二繊維群は、接着性合成繊維を含み、ニードルパンチ不織布に含まれる少なくとも一部の繊維同士は、接着性合成繊維によって接着している。
【0012】
不織布は、JIS L 0222に「繊維シート、ウェブ又はバットで、繊維が一方向又はランダムに配向しており、交絡、及び/又は融着、及び/又は接着によって繊維間が結合されたもの。ただし、紙、織物、編物、タフト及び縮じゅう(絨)フェルトを除く。」と定義されている。
【0013】
「緩衝材用不織布」とは、緩衝材として利用される不織布を意味する。緩衝材とは、物同士、あるいは物と人とがぶつかり合う際の衝撃を緩和するために用いられる部材である。本開示において、緩衝材の形状および形態は特に限定されない。緩衝材用不織布は、細かく裁断されて、例えば隙間を埋める詰め物として使用されてよく、適当な大きさを有するシート状に裁断されて、例えば保護対象の物品(対象物品)の包装材として使用されてよく、対象物品あるいは保護対象の人(以下、「対象物」と総称する。)に貼り付けて使用されてよい。
【0014】
衝撃緩和機能は、緩衝材の高反発性あるいは低反発性により発揮される。高反発性の緩衝材は、押し返すことにより衝撃を緩和し、対象物を保護する。低反発性の緩衝材は、吸収することにより衝撃を緩和し、対象物を保護する。低反発性の緩衝材は、通常、対象物の表面に沿うように配置される。そのため、対象物と緩衝材とがズレたり、離間したりし難く、対象物同士のぶつかり合いも抑制され易い。
【0015】
本開示に係る緩衝材用不織布(以下、単に「不織布」と称する場合がある)は、低反発性である。低反発性の不織布は、負荷がかかると圧縮されて、これにより衝撃が緩和される。負荷から解放されると、低反発性の不織布は徐々に元の形状(厚さ)に戻ろうとする。
【0016】
本開示に係る不織布は、セルロース繊維である第一繊維群を含む。これにより、不織布は優れた柔軟性を有する。柔軟性を有する不織布はまた、ドレープ性を発揮し得る。ドレープ性とは、物品の形状に沿って変形する性質である。高いドレープ性によって、低反発性はより効果的に発揮される。
【0017】
本開示に係る不織布はさらに、合成繊維である第二繊維群を含む。第二繊維群は、接着性合成繊維を含み、不織布の一部の繊維同士は、この接着性合成繊維によって接着されている。これにより、不織布には適度なコシが発揮される。適度なコシがあることにより、不織布の低反発性が発揮され易くなる。さらに、コシによって、不織布の加工性および取り扱い性が向上する。
【0018】
低反発性は、本開示に係る不織布が、ニードルパンチ不織布であることにより得られる。ニードルパンチ不織布は、ニードルパンチ処理により繊維を交絡して得られた不織布を意味する。ニードルパンチ処理では、シート状に成形された繊維の集合体(ウェブ)に、その主面と交差する方向(典型的には、主面の法線方向。以下、「厚さ方向」と称する。)から複数のニードルを刺し込み、繊維同士が交絡される。
【0019】
ウェブに、厚さ方向からニードルが刺し込まれることにより、ニードルの周囲にある複数の繊維の少なくとも一部は、ニードルの動きに伴って厚さ方向に配向する。この厚さ方向に配向した部分(以下、「縦配向部分」と称する。)を有する複数の繊維の束(以下、「縦配向の繊維束」と称する。)によって、不織布の主面にかかる負荷、すなわち厚さ方向の負荷が吸収される。さらに、縦配向の繊維束は、圧縮された後、元の形状に戻ろうとする。これにより、不織布は元の厚さまで回復され得る。一方、不織布は、縦配向部分を有さない繊維(以下、「面内配向の繊維」と称する。)の集合も備える。そのため、不織布を元の厚さにまで回復させる作用は、ゆっくりと発揮される。これにより、不織布は低反発性となる。
【0020】
縦配向の繊維束はまた、不織布を嵩高くし、かつ、これを維持することができる。接着性合成繊維によって、縦配向の繊維束自体も維持され易い。不織布が嵩高いと、衝撃を吸収する能力はより高まる。本開示に係る不織布は、長期間あるいは繰り返し負荷がかけられた場合であっても、緩衝材として優れた機能を発揮することができる。
【0021】
縦配向の繊維束は、縦配向部分を有する繊維(以下、「縦配向の繊維」と称する。)の、5本以上(典型的には8本以上)の集合である。縦配向の繊維束を構成する5本以上の繊維は、互いに近接している。近接しているとは、例えば、隣り合って存在しており、互いに接触していてよく、接触していなくてよい。
【0022】
縦配向部分とは、不織布を水平面に置いてその断面を見たとき、当該水平面との成す鋭角(以下、「配向角度」と称する。)が50°から90°である部分をいう。加えて、縦配向部分は、後述の線分Lの長さが、不織布の厚さの10%以上であることを要する。言い換えれば、線分Lの長さが不織布の厚さの10%に満たない場合、配向角度が50°から90°であっても、その繊維は、縦配向部分を有さず、縦配向の繊維束を構成していないとみなす。一方、上記の線分の長さの上限値は特に限定されず、不織布の厚さの100%であってよい。後述するように、配向角度を求める際に、縦配向部分の両端を、水平面からの距離として、不織布の厚さ(レベル100)の40%以上85%以下の領域内(レベル40からレベル85までの領域)に置くのは、便宜上の観点からである。実際には、縦配向部分は、不織布の一方の主面から他方の主面までを貫くように存在していてよい。
【0023】
縦配向の繊維束を構成する繊維の平均の配向角度は、コシ(あるいは弾力)が高くなり易い点で、52°以上であってよく、55°以上であってよく、58°以上であってよく、60°以上であってよい。上記の平均の配向角度は、低反発性が発揮され易い点で、89°以下であってよく、88°以下であってよい。
【0024】
配向角度は、例えば、ニードルパンチ処理におけるテンション、および繊維種により変化し得る。ニードルパンチ処理においてウェブにかかるテンションが低いほど、配向角度は小さくなり易い。親水性繊維によって、配向角度は90°に近づく傾向にある。第一繊維群が通常のセルロース繊維(親水性セルロース繊維)を含む場合、平均の配向角度は62°以上90°以下になり易い。第一繊維群が撥水性セルロース繊維を含む場合、平均の配向角度は52°以上85°以下になり易い。
【0025】
配向角度は、不織布を水平面に置いて、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、決定できる。SEMの観察視野は、不織布の両方の主面が確認できるように、かつ、不織布の水平方向における長さが2cm以上になるように、設定する。SEMの倍率は、例えば、20倍から100倍であればよい。
【0026】
まず、上記の観察視野において、任意の1つの繊維に着目する。観察視野のうち、水平面から、不織布の厚さの40%以上85%以下の領域内において、着目繊維について明確に観察できる両端部を特定し、両者を直線で繋ぐ線分Lを引く。この線分Lと水平面との成す角度が、当該着目繊維の一部の配向角度である。着目繊維の一部が50°から90°の配向角度を有する場合、着目繊維は縦配向部分を有する繊維である。
【0027】
着目繊維に近接する4本以上の繊維についても同様に線分Lを引く。同様にして、各近接繊維の一部の配向角度を測定し、当該近接繊維が縦配向部分を有する繊維であるか否かを決定する。当該近接繊維のうち4本以上が縦配向部分を有する繊維である場合、不織布は縦配向の繊維束を有する。他の任意の繊維を着目繊維として、上記と同様にして、他の縦配向の繊維束の有無を決定する。
【0028】
不織布の水平面に接触させる主面は、特に限定されない。不織布の一方の主面を水平面に接触するように載置し、水平面から、不織布の厚さ(レベル100)の40%以上85%以下の領域内(レベル40からレベル85までの領域)を観察して、配向角度を決定してよく、あるいは、不織布の他方の主面を水平面に接触するように載置し、水平面から、不織布の厚さの40%以上85%以下の他の領域内を観察して、配向角度を決定してよい。縦配向部分を有する繊維は、上記の両方の領域内を観察して見つけることが望ましい。
【0029】
配向角度および縦配向部分を決定する際に用いる不織布の厚さは、当該SEM画像から求められる。まず、当該SEM画像に、水平面と垂直な複数(典型的には5本以上)の直線を引く。次いで、当該それぞれの直線と不織布の最も外側にある繊維との交点(2つ)をそれぞれ決定し、この2つの交点を繋ぐ複数の線分の長さを求める。これら線分の長さの平均値を、上記の不織布の厚さとする。
【0030】
ニードルパンチ不織布は、縦配向の繊維束を、上記のSEM画像の水平方向における不織布の単位長さ(cm)当たり1個以上20個以下で有し得る。縦配向の繊維束は、上記のSEM画像の水平方向における不織布の単位長さ(cm)当たり、1.5個以上であってよく、2個以上あってよい。縦配向の繊維束は、上記のSEM画像の水平方向における不織布の単位長さ(cm)当たり、18個以下あってよく、15個以下あってよく、10個以下であってよく、8個以下であってよく、5個以下であってよい。
【0031】
縦配向の繊維束の単位長さ当たりの数は、例えば、ニードルパンチ処理におけるペネ数(本/cm2。単位面積(cm2)当たりのニードルの数)、繊維長および繊維種により制御される。ペネ数が多いほど、縦配向の繊維束の数も多くなる。第一繊維群が撥水性セルロース繊維を含む場合、縦配向の繊維束の数が少なくなる傾向にある。
【0032】
第一繊維群が撥水性セルロース繊維を含む場合、縦配向の繊維束の数は1.0個/cm以上10個/cm以下になり得る。第一繊維群が天然繊維以外の撥水性セルロース繊維を含む場合、縦配向の繊維束の数は1.5個/cm以上10個/cm以下になり得る。第一繊維群が親水性セルロース繊維を含む場合、縦配向の繊維束の数は3個/cm以上18個/cm以下になり得る。
【0033】
すなわち、ニードルパンチ不織布において、当該不織布を水平面に置いて厚さ方向の断面を見たとき、当該水平面との成す鋭角(配向角度)が50°以上90°以下であり、かつ、不織布の厚さの10%以上の長さを有する、厚さ方向に配向した部分を含む繊維が、5本以上近接して束を成形しており、当該束は、水平方向における当該不織布の単位長さ(cm)当たり1個以上20個以下で配置されている。
【0034】
緩衝材用不織布は、第一繊維群が撥水性セルロース繊維を含むニードルパンチ不織布であって、上記配向角度が平均で52°以上85°以下であってよい。緩衝材用不織布は、第一繊維群が撥水性セルロース繊維を含むニードルパンチ不織布であって、上記縦配向の繊維束の数が1.5個/cm以上10個/cm以下であってよい。このような不織布は、緩衝材に適したドレープ性および低反発性をより発揮できる。緩衝材用不織布は、第一繊維群が撥水性セルロース繊維を含むニードルパンチ不織布であって、上記配向角度が平均で52°以上85°以下であって、かつ、縦配向の繊維束の数が1.5個/cm以上10個/cm以下であってよい。
【0035】
ニードルパンチ不織布の主面には、ニードルが貫通した微小な痕(ニードルマークあるいはパンチマークとも呼ばれる。)を確認することができる。上記の微小痕は、不織布の主面の凹み、逆に繊維の毛羽状の突出、貫通孔、あるいはこれらの複合体として確認できる。言い換えれば、不織布の主面に、上記の微小痕が観察できる場合、ニードルパンチ処理により繊維を交絡して得られた不織布であるとみなすことができる。微小痕を、不織布の一方の主面の法線方向から見たときの直径(例えば、凹み部分の直径)は、使用されたニードルの太さに依存する。36番手以上42番手以下のニードルを用いた場合、上記直径は、0.1mm~0.5mm程度であり得る。上記直径は、任意の10箇所の微小痕の面積と同じ面積を有する円(相当円)の直径の平均値として求められる。
【0036】
微小痕は、通常、規則的に形成されている。微小痕の数は、通常、ニードルパンチ処理におけるペネ数に対応し、例えば、1個/cm2以上400個/cm2以下程度であり得る。微小痕が形成されている場所は、縦配向の繊維束が存在している場所によく対応している。微小痕は、不織布に4個/cm2以上あってよく、50個/cm2以上あってよい。微小痕は、不織布に324個/cm2以下あってよく、225個/cm2以下あってよく、150個/cm2以下あってよい。
【0037】
図1は、不織布の一実施形態に係る厚さ方向の断面を示す、断面模式図である。不織布10は、水平面20に載置されている。不織布10は、縦配向の繊維束1を備えている。縦配向の繊維束1は、近接して配置された複数の繊維1a~1eの厚さ方向に配向した部分の束である。例えば、繊維1bは、水平面20から、不織布の厚さの15%以上85%以下の領域内において、明確に確認できる端部E1,E2を有している。端部E1と端部E2とを繋ぐ線分Lの長さT1は、不織布10の厚さTの10%以上である。線分Lと水平面20との成す角度θは、約87°である。図示されていないが、不織布10は、当該断面において、縦配向の繊維束1を2.5個/cm備えている。不織布10はまた、当該断面において、厚さ方向に配向した部分を有する繊維1a~1e以外の複数の繊維2を備える。繊維2は、面内方向に配向している。便宜上、符号2は、面内方向に配向した繊維の一部にのみ付されている。
【0038】
(比容積)
不織布の嵩高さは、例えば、比容積で表すことができる。不織布に単位面積当たり20gの荷重をかけたとき(荷重1.96kPa時)の比容積は、10cm3/g以上50cm3/g以下であってよい。上記の比容積が10cm3/g以上であるということは、不織布は、荷重がかけられた状態においても嵩高いことを示している。上記の比容積が50cm3/g以下であるということは、不織布は過度に緻密ではないことを示している。上記範囲の比容積を有する不織布には、高い緩衝緩和機能が期待できる。上記の比容積は、単位面積当たり20gの荷重がかけられた状態での厚さを、不織布の単位面積当たりの質量(目付)で除すことにより求められる。
【0039】
比容積は、例えば、不織布における第二繊維群の含有量、ニードルパンチ処理におけるペネ数、接着性合成繊維の種類、セルロース繊維の種類により変化し得る。比容積は、不織布における第二繊維群の含有量が多いほど大きくなる傾向にある。比容積は、ペネ数が少ないほど大きくなる傾向にある。比容積は、接着性合成繊維に含まれる融点のより低い熱可塑性樹脂(以下、接着成分と称する場合がある。)の融点と不織布の加工温度との差が小さい場合、より大きくなる傾向にある。比容積は、セルロース繊維が撥水性である場合、より大きくなる傾向にある。撥水性セルロース繊維は、繊維表面が撥水性であるため、内部に空気中の水分を含み難い。そのため、ニードルパンチ処理の際、撥水性セルロース繊維とニードルとの間で摩擦が生じにくく、繊維同士の絡まり合いが抑制されて、交絡が緩やかになると考えられる。
【0040】
荷重1.96kPa時の不織布の厚さは、JIS L 1913:2010 一般不織布試験方法に準じて、荷重を1.96kPa(約20g/cm2)に変更して、測定することができる。測定には、例えば、(株)大栄科学精器製作所製のTHICKNESS GAUGE モデル CR-60A(商品名)を用いることができる。
【0041】
不織布の荷重1.96kPa時の比容積は、12cm3/g以上であってよく、13cm3/g以上であってよく、17cm3/g以上であってよい。不織布の荷重1.96kPa時の比容積は、40cm3/g以下であってよく、30cm3/g以下であってよく、25cm3/g以下であってよく、20cm3/g以下であってよい。
【0042】
(目付)
不織布の目付は、50g/m2以上300g/m2以下であってよい。不織布の目付は、60g/m2以上であってよく、80g/m2以上であってよい。不織布の目付は、250g/m2以下であってよく、150g/m2以下であってよい。
【0043】
(圧縮仕事量WC)
不織布の、KES法による下記の条件下での圧縮試験における荷重0.5gf/cm2から50gf/cm2までの圧縮仕事量WCは、0.7gf・cm/cm2以上4.0gf・cm/cm2以下であってよい。
(圧縮試験条件)
押し込みスピード:50秒/mm
加圧面積:2cm2
【0044】
圧縮仕事量は、単位面積当たりの荷重を縦軸、このときの厚さを横軸に取ったグラフにおける、上記荷重と厚さとの積分値として表される。圧縮仕事量は、圧縮され易さを示す指標の一つであり、圧縮仕事量が大きい(グラフの傾きが大きい)ほど、圧縮され易いことを示す。
【0045】
圧縮仕事量WCが0.7gf・cm/cm2以上であると、衝撃が吸収され易い。圧縮仕事量WCが4.0gf・cm/cm2以下であると、不織布はコシ(あるいは弾力)があると言える。圧縮仕事量WCは、1.0gf・cm/cm2以上であってよく、1.2gf・cm/cm2以上であってよく、1.5gf・cm/cm2以上であってよい。圧縮仕事量WCは、3.5gf・cm/cm2以下であってよく、3.0gf・cm/cm2以下であってよく、2.7gf・cm/cm2以下であってよく、2.5gf・cm/cm2以下であってよい。
【0046】
(回復仕事量BC)
不織布の、KES法による上記と同じ条件下での圧縮試験における荷重50gf/cm2から0.5gf/cm2までの回復仕事量BCは、0.4gf・cm/cm2以上2.5gf・cm/cm2以下であってよい。
【0047】
回復仕事量もまた、単位面積あたりの荷重を縦軸、この荷重時の厚さを横軸に取ったグラフにおける、上記荷重と厚さとの積分値として表される。ただし、回復仕事量は、圧縮状態からの回復し易さを示す指標の一つである点で、圧縮仕事量とは異なる。圧縮仕事量は、加圧され始めてから(この場合、0.5gf/cm2の荷重から)、最大値(この場合、50gf/cm2)まで加圧される間の往路の仕事量であるのに対し、回復仕事量は、最大値まで加圧されてから、荷重が0.5gf/cm2になるまでの復路の仕事量である。回復仕事量が大きい(グラフの傾きが大きい)ほど、回復し易いことを示す。
【0048】
本開示に係る不織布において、上記の往路の始点と復路の終点とは一致し得る。言い換えれば、本開示に係る不織布は、荷重が除去されると、元の厚さにまで回復し得る。そのため、衝撃緩和機能が維持され易い。
【0049】
回復仕事量BCは、0.7gf・cm/cm2以上であってよく、0.8gf・cm/cm2以上であってよく、1.0gf・cm/cm2以上であってよい。回復仕事量BCは、2.3gf・cm/cm2以下であってよく、2.0gf・cm/cm2以下であってよく、1.8gf・cm/cm2以下であってよい。
【0050】
(圧縮仕事量WCと回復仕事量BCとの差)
不織布の、圧縮仕事量WCと回復仕事量BCとの差(WC-BC)は、0.3gf・cm/cm2以上2.0gf・cm/cm2以下であってよい。通常、WC≧BCの関係を満たす。WC-BCが0.3gf・cm/cm2以上である場合、圧縮仕事量WCと回復仕事量BCとの差が比較的大きいと言える。これは、不織布が、圧縮され易い一方、徐々に厚さが回復する性質(すなわち、低反発性)に優れていることを示す。WC-BCが2.0gf・cm/cm2以下である場合、不織布は、圧縮後、元の厚さにまで回復し易いと言える。
【0051】
WC-BCは、0.4gf・cm/cm2以上であってよく、0.5gf・cm/cm2以上であってよく、0.6gf・cm/cm2以上であってよい。WC-BCは、1.3gf・cm/cm2以下であってよく、1.1gf・cm/cm2以下であってよく、0.9gf・cm/cm2以下であってよい。
【0052】
(圧縮回復性RC)
不織布の、KES法による上記と同じ条件下での圧縮試験における荷重50gf/cm2から0.5gf/cm2までの圧縮回復性RCは、35%以上90%以下であってよい。
【0053】
圧縮回復性RC(%)は、100×(回復仕事量BC/圧縮仕事量WC)により求められる。圧縮回復性RC(%)が100に近いということは、圧縮したときと同じように回復することを意味する。圧縮回復性RCが90%以下であると、不織布は、意図する低反発性を有していると言える。圧縮回復性RCが35%以上であると、不織布は、圧縮後、元の厚さにまで回復し易いと言える。
【0054】
圧縮回復性RCは、40%以上であってよく、45%以上であってよく、48%以上であってよく、50%以上であってよい。圧縮回復性RCは、85%以下であってよく、80%以下であってよく、75%以下であってよい。
【0055】
本開示に係る不織布は低反発性であるため、復路において、荷重が小さくなり始めた直後は、厚さの変化は小さく、ある程度まで荷重が小さくなると、厚さの変化が大きくなる傾向にある。そのため、高反発性の不織布と比較して、回復仕事量BCはより小さくなり得る。これにより、WC-BCはより大きくなり易く、圧縮回復性RCは小さくなり易い。
【0056】
圧縮仕事量WC、回復仕事量BCまたは圧縮回復性RC(以下、圧縮特性と総称する場合がある。)は、例えば、ニードルパンチ処理におけるペネ数、接着性合成繊維の種類、セルロース繊維の種類により変化し得る。ペネ数が100本/cm2以上200本/cm2以下であると、圧縮特性が所定の範囲に制御され易い。接着性合成繊維に含まれる接着成分の融点と不織布の加工温度との差が小さい場合、圧縮特性が所定の範囲に制御され易い。セルロース繊維が撥水性である場合、圧縮特性が所定の範囲に制御され易い。
【0057】
KES法(KAWABATA EVALUATION SYSTEM)による圧縮試験は、例えば、カトーテック株式会社製の圧縮試験機KES-FB3により行うことができる。圧縮試験では、先端の面積(加圧面積)が2cm2の加圧子を、50秒/mmのスピードでサンプルに押し込みながら、荷重が0.5gf/cm2から50gf/cm2になるまで加圧して、その時のサンプルにかかる単位面積あたりの荷重および厚さ(mm)を測定する。測定された荷重を縦軸、この荷重時の厚さを横軸に取ったグラフから、圧縮仕事量WCおよび回復仕事量BCが求められる。
【0058】
図2は、不織布の一実施形態に係る圧縮仕事量WCおよび回復仕事量BCを示すグラフである。このグラフにおいて、縦軸は、単位面積あたりの荷重(gf/cm
2)であり、横軸は、不織布の厚さ(mm)であり、右に行くほど小さくなる。縦軸と横軸との交点における「0.5」は、荷重(gf/cm
2)の最小値を表わしている。WC≧BCの関係が満たされている。
【0059】
上記の通り、往路の初期段階でのグラフの傾きは緩やかである。これは、荷重がかけられても、初期段階では厚みの変化が小さいことを示している。復路の初期段階でのグラフの傾きは、往路の最終段階でのグラフの傾きよりも緩やかである。これは、荷重が除去されても、初期段階では厚みの変化が小さいことを示している。最終的に、復路において、厚みは往路の始点に一致するまで回復している。このようなグラフの傾きは、低反発性の不織布に特徴的である。WC-BCの形状は、中央が膨らんだ三日月型であり、これもまた低反発性であることを示している。
【0060】
(剛軟度)
不織布の目付が50g/m2以上300g/m2以下であるとき、ハンドルオメーター法による剛軟度は、0.8N以上8N以下であってよい。剛軟度が0.8N以上であると、取り扱い性が向上する。剛軟度が8N以下であると、ドレープ性が発現し易くなる。
【0061】
剛軟度は、1.0N以上であってよく、2.0N以上であってよい。剛軟度は、7.5N以下であってよく、6.0N以下であってよく、4.0N以下であってよい。
【0062】
剛軟度は、JIS L 1913:2010 6.7.5 ハンドルオメーター法(スロット幅20mm)に準じて測定される。剛軟度は、不織布の四辺について測定した値の和として算出される。
【0063】
(10%伸長時応力)
不織布の機械方向(MD方向)の10%伸長時応力は、2N/5cm以上40N/5cm以下であってよい。MD方向の10%伸長時応力が2N/5cm以上であると、不織布の加工性および取り扱い性が向上し得る。MD方向の10%伸長時応力が40N/5cm以下であると、不織布はより柔軟になり得る。機械方向(MD方向)は、製造時における不織布の進行方向である。
【0064】
MD方向の10%伸長時応力は、3N/5cm以上であってよく、4N/5cm以上であってよく、5N/5cm以上であってよく、10N/5cm以上であってよい。MD方向の10%伸長時応力は、35N/5cm以下であってよく、30N/5cm以下であってよい。
【0065】
(30%伸長時仕事量)
不織布をMD方向に0%から30%まで伸長させたときの仕事量(以下、「30%伸長時仕事量」と称する。)は、150N・%/5cm以上1600N・%/5cm以下であってよい。30%伸長時仕事量は、不織布を0%から30%まで伸長させたときの応力と、その伸長割合との積分値であり、伸長の初期段階における仕事量を表わしている。30%伸長時仕事量が150N・%/5cm以上であると、不織布はコシがあると言える。30%伸長時仕事量が1600N・%/5cm以下であると、不織布はより柔軟になり得る。30%伸長時仕事量が上記の範囲であると、コシがありながらも柔軟であるため、不織布は緩衝材としてより適する。
【0066】
30%伸長時仕事量は、180N・%/5cm以上であってよく、200N・%/5cm以上であってよく、250N・%/5cm以上であってよい。30%伸長時仕事量は、1400N・%/5cm以下であってよく、1200N・%/5cm以下であってよく、1100N・%/5cm以下であってよい。
【0067】
伸長時応力は、JIS L 1913:2010 6.3(引張強さ及び伸び率(ISO法))に準じて測定される。測定には、例えば、定速緊張形引張試験機が用いられる。
【0068】
(破断強力)
不織布のMD方向の破断強力は、20N/5cm以上150N/5cm以下であってよい。MD方向の破断強力が20N/5cm以上であると、加工性および取り扱い性が向上し易い。MD方向の破断強力が150N/5cm以下であると、低反発性が発揮され易い。
【0069】
MD方向の破断強力は、25N/5cm以上であってよく、30N/5cm以上であってよく、40N/5cm以上であってよい。MD方向の破断強力は、130N/5cm以下であってよく、100N/5cm以下であってよく、85N/5cm以下であってよい。
【0070】
破断強力は、伸長時応力と同様、JIS L 1913:2010 6.3(引張強さ及び伸び率(ISO法))に準じて測定される。
【0071】
上記の物性値はいずれも、乾燥状態における不織布を用いて測定される。
【0072】
(第一繊維群)
第一繊維群はセルロース繊維である。言い換えれば、不織布に含まれるセルロース繊維は、第一繊維群を構成している。第一繊維群は、1種以上のセルロース繊維からなる。
【0073】
第一繊維群の含有量は、不織布の質量の30質量%以上90質量%以下である。第一繊維群の含有量が30質量%以上であると、不織布の柔軟性が高くなる。第一繊維群の含有量が90質量%以下であると、不織布にコシが生じ易くなる。第一繊維群の含有量は、不織布の質量の50質量%以上であってよく、60質量%以上であってよい。第一繊維群の含有量は、不織布の質量の85質量%以下であってよく、80質量%以下であってよい。
【0074】
(第二繊維群)
第二繊維群は合成繊維である。言い換えれば、不織布に含まれる合成繊維は、第二繊維群を構成している。第二繊維群は、1種以上の合成繊維からなる。
【0075】
第二繊維群の含有量は、不織布の質量の10質量%以上70質量%以下である。第二繊維群の含有量が10質量%以上であると、不織布にコシがでる。第二繊維群の含有量が70質量%以下であると、不織布の柔軟性が高くなり易い。第二繊維群の含有量は、不織布の質量の20質量%以上であってよく、25質量%以上であってよい。第二繊維群の含有量は、不織布の質量の50質量%以下であってよく、40質量%以下であってよい。
【0076】
(その他の繊維群)
不織布は、セルロース繊維および合成繊維以外であるその他の繊維群を含み得る。その他の繊維群は、例えば、セルロース繊維以外の、天然繊維(例えば、羊毛)および半合成繊維(例えば、タンパク質繊維)により構成される。コストおよび用途等を考慮すると、その他の繊維群の含有量は少なくてよい。その他の繊維群の含有量は、例えば、不織布の質量の20質量%以下であってよく、10質量%以下であってよく、5質量%以下であってよい。不織布は、第一繊維群(セルロース繊維)および第二繊維群(合成繊維)のみで構成されてよい。
【0077】
次に、使用される繊維を説明する。
「撥水性」という用語は、水となじみ難い性質を示す。「親水性」という用語は、水となじみ易い性質を示す。繊維の水とのなじみ易さは、例えば薬食機発第0630001号の医療ガーゼ・医療脱脂綿の基準に従い、以下の方法で測定される沈降速度(6(1)カ)により評価できる。
【0078】
不織布製造前の繊維あるいは不織布から採取した繊維を、温水(約40℃)で3回×2分間もみ洗い洗浄した後、乾燥させて、付着している油分等を除去する。次いで、この繊維をカード機で解繊し、繊維集合体を準備する。この繊維集合体0.3gを直径2cm以下に丸めて、水温24~26℃の水面上12mmの高さから、深さ200mmの水の中に静かに落とす。繊維集合体を落としてから水面下に沈むまでの時間を、当該繊維の沈降速度とする。
【0079】
繊維をカード機で解繊できない場合(例えば、繊維長が短い場合等)、採取された繊維0.3gを、そのまま丸めて水中に落としてよい。あるいは、繊維が繊維集合体(例えば、湿式不織布またはエアレイド不織布)の形態を既にとっており、これをカード機で解繊することが難しい場合には、1cm×1cmの大きさに切断した不織布片0.3g分を、水中に落としてよい。
【0080】
沈降速度が1分以上である場合、当該繊維は「撥水性」であると言える。沈降速度が1分未満である場合、当該繊維は「親水性」であると言える。
【0081】
(セルロース繊維)
不織布は、セルロース繊維である第一繊維群を含む。これにより、不織布は優れた柔軟性を有する。セルロース繊維は生分解可能であるため、環境保全の観点からも理想的な素材である。
【0082】
セルロース繊維の種類は特に限定されない。セルロース繊維は、以下を含む。
(1)綿(コットン)、麻、亜麻(リネン)、ラミー、ジュート、バナナ、竹、ケナフ、月桃、ヘンプおよびカポック等の植物に由来する天然繊維;
(2)ビスコース法で得られるレーヨンおよびポリノジック、銅アンモニア法で得られるキュプラ、ならびに溶剤紡糸法で得られるテンセル(登録商標)およびリヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維、ならびにその他の再生繊維;
(3)溶融紡糸法で得られるセルロース繊維;
(4)アセテート繊維等の半合成繊維;および
(5)機械パルプ、再生パルプおよび化学パルプ等のパルプ
【0083】
第一繊維群は、素材、繊維長および繊度のうち一つまたは複数が異なるセルロース繊維を、複数含み得る。不織布の柔軟性がより高くなり得る点で、第一繊維群はレーヨンを含んでよい。
【0084】
セルロース繊維の繊度は、0.6dtex以上であってよく、1.0dtex以上であってよく、1.4dtex以上であってよい。セルロース繊維の繊度は、6.0dtex以下であってよく、5.0dtex以下であってよく、4.0dtex以下であってよく、3.0dtex以下であってよい。一態様において、セルロース繊維の繊度は、0.6dtex以上6.0dtex以下である。セルロース繊維の繊度が上記範囲であると、不織布に適度な空隙が形成されて、衝撃緩和機能がより向上し得る。セルロース繊維の繊度は上記範囲に限定されない。特に天然繊維は繊度の調整が難しいため、セルロース繊維として上記範囲外の繊度のものを使用してよい。一般的に、パルプの繊度は1.0dtex以上4.0dtex以下程度であり、その繊維長は0.8mm以上4.5mm以下程度である。
【0085】
セルロース繊維の繊維長は特に限定されず、素材、その製造方法、ウェブの作製方法等に応じて適宜選択してよい。セルロース繊維は、例えば、短繊維である。繊維層がカードウェブから作製される場合、セルロース繊維の繊維長は、100mm以下であってよく、75mm以下であってよく、65mm以下であってよい。上記の短繊維のセルロース繊維の繊維長は、10mm以上であってよく、20mm以上であってよく、30mm以上であってよい。上記の場合、一態様において、セルロース繊維の繊維長は、10mm以上100mm以下であってよい。ウェブがエアレイド法により作製される場合、セルロース繊維の繊維長は、2mm以上20mm以下であってよい。
【0086】
(撥水性セルロース繊維)
第一繊維群は撥水性セルロース繊維を含んでいてよい。撥水性セルロース繊維は、不織布の耐水性を高める。よって、防汚性の向上が期待できる。また、撥水性セルロース繊維は、通常のセルロース繊維(親水性セルロース繊維)と比べて水分によって膨潤し難いため、液体と接触した場合にも、不織布の通気性の維持が期待できる。さらに、膨潤が抑制されることで、接着性合成繊維による繊維同士の接着が解けてしまうことが回避できて、低反発性の維持が一層期待できる。
【0087】
撥水性セルロース繊維の含有量は、第一繊維群の50質量%以上であってよく、80質量%以上であってよく、100質量%であってよい。
【0088】
セルロース繊維は本来親水性を有するものであるが、本開示では人為的に撥水性を付与したセルロース繊維を「撥水性セルロース繊維」と称する。
【0089】
撥水性セルロース繊維は、上記のセルロース繊維(代表的には、レーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維)に撥水剤を付着させることで撥水性を付与したものであってよい。撥水剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、ジメチルシリコン乳化物が挙げられる。撥水剤は、セルロース繊維に撥水性を付与できる限り、特に制限されない。あるいは、撥水性セルロース繊維は、カルボキシル基および/またはスルホン酸基を有するセルロース繊維を、イソシアネート系化合物および非フッ素系撥水剤を含む処理液で処理する方法で得られたものであってよい。かかる方法で得られる撥水性セルロース繊維は、例えば、特開2019-65443号に開示されている。
【0090】
第一繊維群は、撥水性セルロース繊維として撥水性レーヨンを含んでよい。レーヨンは、その断面形状が菊花状であるため、撥水性が効果的に発揮され易い点でも好ましい。
【0091】
撥水性レーヨンとしては、例えば、ダイワボウレーヨン(株)製のエコリペラス(商品名、撥水性ビスコースレーヨン)、Kelheim Fibres GmbH製のOlea(商品名、撥水性ビスコースレーヨン)等が上市されている。特に、エコリペラス(商品名)は高い撥水性を示し、また、耐久性の高い撥水性を有していることから好ましく用いられる。
【0092】
撥水性セルロース繊維の繊度は、0.6dtex以上であってよく、1.0dtex以上であってよく、1.4dtex以上であってよい。撥水性セルロース繊維の繊度は、6dtex以下であってよく、5.0dtex以下であってよく、4.0dtex以下であってよく、3.0dtex以下であってよい。一態様において、撥水性セルロース繊維の繊度は、0.6dtex以上6.0dtex以下である。撥水性セルロース繊維の繊度が上記範囲であると、不織布の内部に、撥水のためのネットワークが形成され易くなり、水分の浸入がさらに抑制され易くなる。加えて、撥水性セルロース繊維の水分による膨潤が一層抑制されて、接着性合成繊維と他の繊維との接着点が保たれやすくなるとともに、通気性が維持され易くなる。
【0093】
撥水性セルロース繊維の沈降速度は、1分以上であり、5分以上であってよく、10分以上であってよい。なかでも、撥水性セルロース繊維を水中に落としてから10分経過した時点で、少なくとも一部の撥水性セルロース繊維が水面下に沈降してないことが好ましい。特に、1分経過した時点で、撥水性セルロース繊維の一部ないし全部が水面に浮いていることが好ましい。このとき、撥水性セルロース繊維は吸水していてもよい。
【0094】
(合成繊維)
不織布はさらに、合成繊維である第二繊維群を含む。第二繊維群は、接着性合成繊維(以下、単に接着性繊維と称する場合がある。)を含む。不織布の一部の繊維同士は、この接着性繊維によって接着されている。接着される繊維としては、例えば、接着性繊維同士、接着性繊維とセルロース繊維、接着性繊維と他の合成繊維、接着性繊維とその他の繊維群が挙げられる。これにより、不織布には適度なコシが発揮される一方で、第一繊維群による柔軟性が損なわれ難い。
【0095】
合成繊維は、一般に、熱可塑性樹脂から形成される。熱可塑性樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン-1、プロピレンを主たる成分とするプロピレン共重合体(プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1-エチレン共重合体を含む)、エチレン-ビニルアルコール共重合体、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66のようなポリアミド系樹脂;アクリル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリフェニレンスルファイドおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック;ならびにそれらのエラストマーよりなる群から選択される少なくとも1つであってよい。
【0096】
第二繊維群は、環境保全の観点から、バイオマス原料を含む合成繊維、生分解性合成繊維およびリサイクル原料を含む合成繊維よりなる群から選択される少なくとも1種の合成繊維を含んでよい。特に、第二繊維群が、バイオマス原料を含む合成繊維および生分解性合成繊維の少なくとも一方からなる場合、不織布の生分解可能な部分が多くなるため、サステナブルな材料として有用である。
【0097】
バイオマス原料とは、植物由来の原料を意味する。バイオマス原料を含む合成繊維は、バイオ繊維とも言われる。バイオマス原料としては、例えば、バイオポリエステル、バイオポリエチレン、バイオポリプロピレンが挙げられる。合成繊維は、バイオマス原料からなる繊維であってよい。
【0098】
生分解性合成繊維は、生分解可能な熱可塑性樹脂からなる繊維である。生分解可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートが挙げられる。
【0099】
リサイクル原料とは、再利用し易い原料を意味する。リサイクル原料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。合成繊維は、リサイクル原料からなる繊維であってよい。
【0100】
合成繊維は、単一繊維であってよく、および/または複合繊維であってよい。単一繊維は、繊維断面が1つのセクションからなる。複合繊維は、その繊維断面が複数のセクションを有する。複合繊維は、例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、または分割型複合繊維等であってよい。繊維の断面は円形であっても非円形であってもよい。非円形の形状としては、楕円形、Y形、X形、井形、多葉形、多角形、星形等が挙げられる。合成繊維は、中空断面を有していてもよい。単一繊維および複合繊維のいずれの場合も、複合繊維を構成する各セクションは、一種類の樹脂からなっていてよく、あるいは二種以上の樹脂が混合されたものであってよい。
【0101】
合成繊維の繊度は、例えば、1.0dtex以上であってよく、1.3dtex以上であってよく、1.5dtex以上であってよく、1.6dtex以上であってよい。合成繊維の繊度は、例えば、8.0dtex以下であってよく、4.0dtex以下であってよく、3.5dtex以下であってよく、3.0dtex以下であってよい。一態様において、合成繊維の繊度は、1.0dtex以上8.0dtex以下である。
【0102】
分割型複合繊維の分割数(即ち、複合繊維におけるセクションの数)は、例えば、4以上、32以下であってよく、特に4以上、20以下であってよく、より特には6以上、10以下であってよい。分割型複合繊維の分割後の繊度は、例えば、0.1dtex以上1.0dtexであってよい。
【0103】
合成繊維の繊維長は特に限定されず、上記の通り、素材、その製造方法、ウェブの作製方法等に応じて適宜選択される。合成繊維の繊維長は、セルロース繊維と同様であってよい。
【0104】
(接着性合成繊維)
「接着性繊維」とは、接着処理(例えば、熱接着処理、電子線照射、および超音波溶着(超音波ウェルダー)等)により接着性を示し、繊維同士を接着させて、接着箇所を形成することができる繊維を言う。接着性は、例えば、繊維の少なくとも一部が溶融あるいは軟化することにより発揮され得る。
【0105】
接着性繊維は、少なくとも一部に、例えば、共重合ポリエステル系樹脂およびポリオレフィン系樹脂といった、接着成分を含む。
【0106】
第二繊維群は、接着性繊維以外の合成繊維を1種以上含んでいてよい。接着性繊維の含有量は、第二繊維群の50質量%以上であってよく、80質量%以上であってよく、100質量%であってよい。
【0107】
接着性繊維は、複合繊維であってよい。接着性の複合繊維において、例えば、接着成分を含むセクション(低融点セクション)が繊維表面の一部を構成するように、二以上のセクションが配置される。接着性繊維が、低融点セクションと、溶融あるいは軟化し難い部分(高融点セクション)とを備えることにより、接着性繊維によって、不織布に接着性とコシとを生じさせることができる。そのため、第二繊維群を、接着性の複合繊維のみから構成することができる。
【0108】
接着性繊維は、低融点セクションが鞘部を構成する、芯鞘型複合繊維であってよい。この場合、芯と鞘の複合比(体積比、芯/鞘)は、例えば80/20~20/80であってよく、特に60/40~40/60であってよい。芯が20体積%以上であると、接着性繊維の形状が維持され易いため、コシが生じ易い。鞘が20体積%以上であると、接着性が向上し易い。
【0109】
高融点セクションおよび低融点セクションはいずれも、リサイクル原料であってよい。具体的には、高融点セクション/低融点セクションは、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、およびポリエチレンテレフタレート/プロピレン共重合体等のポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との組み合わせ、ならびにポリプロピレン/ポリエチレン、およびポリプロピレン/プロピレン共重合体等の二種類のポリオレフィン系の熱可塑性樹脂の組み合わせ、および融点の異なる二種類のポリエステル系樹脂の組み合わせであってよい。これにより、リサイクル可能な接着性合成繊維が得られる。第二繊維群は、接着性合成繊維として、リサイクル原料からなる合成繊維を含んでいてよい。
【0110】
高融点セクションおよび低融点セクションはいずれも、生分解性を有する熱可塑性樹脂であってよい。具体的には、高融点セクションがポリ乳酸、低融点セクションがポリブチレンサクシネートであってよい。これにより、生分解可能な接着性合成繊維が得られる。第二繊維群は、接着性合成繊維として、生分解性の合成繊維を含んでいてよい。
【0111】
高融点セクションおよび低融点セクションはいずれも、バイオマス原料を用いた熱可塑性樹脂であってもよい。具体的には、高融点セクション/低融点セクションは、バイオポリエステル/バイオポリエチレン、バイオポリエステル/バイオポリプロピレン、バイオポリプロピレン/バイオポリエチレンの組み合わせであってよい。これにより、バイオマス原料を含む接着性合成繊維が得られる。第二繊維群は、接着性合成繊維として、バイオマス原料からなる合成繊維を含んでいてよい。
【0112】
<緩衝材用不織布の製造方法>
本開示に係る緩衝材用不織布は、セルロース繊維である第一繊維群を30質量%以上90質量%以下、および、第一繊維群とは異なり、接着性合成繊維を含む合成繊維である第二繊維群を10質量%以上70質量%以下含む、ウェブを準備すること、ウェブにニードルパンチ処理を施して、ウェブに含まれる繊維同士を交絡させること、および、加熱処理によって、ニードルパンチ処理されたウェブに含まれる少なくとも一部の繊維同士を接着性合成繊維によって接着すること、を含む方法によって製造することができる。
【0113】
(1)ウェブの準備
セルロース繊維である第一繊維群を30質量%以上90質量%以下、および、接着性合成繊維を含む合成繊維である第二繊維群を10質量%以上70質量%以下含む、ウェブを準備する。
【0114】
ウェブは、第一繊維群および第二繊維群をそれぞれ構成する複数種の繊維の混合物を用いて、カード式法、エアレイド法または湿式法等により作製される。
【0115】
ウェブとしては、例えば、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、および湿式抄紙ウェブが挙げられる。ウェブは、カードウェブであってよい。カードウェブは、カード機を用いて、繊維を一定方向またはランダムに並べることにより形成される。なかでも、柔軟性の観点から、ウェブは、カード式法、エアレイド法または湿式法等により作製されてよい。
【0116】
(2)交絡処理
ウェブにニードルパンチ処理を施して、ウェブに含まれる繊維同士を交絡させる。これにより、第一繊維群および第二繊維群をそれぞれ構成する複数種の繊維が一体化され、ニードルパンチ不織布が得られる。
【0117】
ニードルパンチ処理は、不織布の密度を調整し易い。ニードルパンチ処理により、荷重1.96kPa時の比容積が10cm3/g以上50cm3/g以下である不織布を、容易に得ることができる。
【0118】
ニードルパンチ処理は、通常のニードルパンチ機を用いて実施することができる。ニードルパンチ処理において、ペネ数(単位面積(cm2)当たりのニードルの数)は、70本/cm2以上500本/cm2以下であってよい。ペネ数によって、縦配向の繊維束および上記微小痕の数が制御される。ペネ数は、80本/cm2以上であってよく、85本/cm2以上であってよく、90本/cm2以上であってよく、100本/cm2以上であってよい。ペネ数は、300本/cm2以下であってよく、250本/cm2以下であってよく、200本/cm2以下であってよく、150本/cm2以下であってよい。
【0119】
第一繊維群が撥水性セルロース繊維(特に、天然繊維以外の撥水性セルロース繊維)を含む場合、ペネ数は80本/cm2以上250本/cm2以下であってよい。これにより、得られる不織布において、縦配向部分の配向角度が平均で52°以上85°以下になり易く、また、縦配向の繊維束の数が1.5個/cm以上10個以下/cmになり易い
【0120】
ニードルは、例えば、3個以上12個以下のバーブ(突起)を有していてよい。ニードルの太さは、36番手以上42番手以下であってよい。針深度は、例えば、3mm以上20mm以下であってよい。
【0121】
(3)加熱処理
交絡処理の後、加熱処理を行う。これにより、ウェブに含まれた少なくとも一部の繊維同士が接着性繊維によって接着されて、不織布のコシが向上する。
【0122】
加熱処理は、水分を使用しない乾熱処理であってよい。加熱は、熱風の吹き付け、熱ロール加工(カレンダー加工、熱エンボスロール加工)、または赤外線を使用して行われてよい。なかでも、嵩高い不織布が得られ易い点で、加熱処理は、無荷重または線圧5kg/cm以下の荷重下で行われてよい。この場合、ニードルパンチ不織布の特徴である嵩高さを損なうことなく、不織布にコシを付与することができる。具体的には、加熱処理は、熱風の吹き付けにより行われてよい。
【0123】
加熱処理が無荷重または線圧5kg/cmの荷重下で行われる場合、厚さが全体にわたって略一定である一方で、表面に適度な凹凸を有する不織布が得られる。これにより、不織布と対象物との間に適度な摩擦が生じて、不織布が対象物の表面から離間し難くなるため、衝撃緩和機能がより効果的に発揮され得る。
【0124】
「厚さが全体にわたって略一定」とは、不織布の表面に、上記の微小痕以外の凹凸模様が付されていないことをいう。凹凸模様は、例えば、エンボスロールに付された凹凸が転写されることにより形成され、通常、規則的に配置される。微小痕に対応する不織布の内部には、通常、縦配向の繊維束が存在しているのに対して、上記の凹凸模様に対応する不織布の内部には、このような縦配向の繊維束は見られないため、両者は容易に区別できる。「適度な凹凸」とは、光沢が感じられるほどに、不織布の表面が過度に平滑でないことをいう。過度に平滑な表面は、例えば、カレンダー加工により形成される。
【0125】
加熱温度は、接着性繊維に含まれる接着成分の少なくとも一部が軟化または溶融する温度であってよい。具体的には、加熱温度は、70℃以上190℃以下であってよい。加熱温度は、90℃以上であってよく、110℃以上であってよい。加熱温度と接着性繊維に含まれる接着成分の融点との差は、55℃以下であってよく、48℃以下であってよく、41℃以下であってよい。
【0126】
加熱処理の後、冷却処理を行ってよい。冷却処理は、例えば、加熱しないか、あるいは、70℃未満の温度に設定されたカレンダーロールを用いて実施される。この場合、望ましくはフラットなカレンダーロールが使用される。
【0127】
<緩衝材>
本開示は、本開示に係る不織布を含む緩衝材を包含する。本開示に係る不織布は、コシがあり、ドレープ性と低反発性とを兼ね備える。そのため、本開示に係る不織布を単独で、緩衝材として使用することができる。緩衝材は、上記不織布と他の部材(例えば、補強材、接着あるいは粘着シート、衛生用品(包帯、洗浄綿、絆創膏等))との積層体であってよい。
【0128】
緩衝材は、特に、緩衝用の包装材として適している。緩衝材は、なかでも、大型の物品(例えば、工業製品、自動車部品、家具、電化製品)の包装材として適している。
【実施例0129】
以下、本実施形態を、実施例により説明する。
本実施例で使用する繊維として以下のものを用意した。
【0130】
(セルロース繊維)
・セルロースA(撥水性)
非フッ素系撥水剤により繊維表面が撥水処理されたビスコースレーヨン、繊度1.7dtex、繊維長40mm、商品名「エコリペラス」、ダイワボウレーヨン(株)製、沈降速度10分以上
・セルロースB(撥水性)
撥水性コットン、繊度1.0~5.0dtex、繊維長10~60mm、商品名「Hydri」、バーンハート社製、沈降速度10分以上
・セルロースC(撥水性)
撥水性テンセル、繊度1.7dtex、繊維長38mm、商品名「Lyocell Dry」、レンチング社製、沈降速度10分以上
・セルロースD(親水性)
親水性溶剤紡糸セルロース、繊度1.7dtex、繊維長40mm、商品名「Lyocell」、レンチング社製、沈降速度1分未満
・セルロースE(親水性)
ビスコースレーヨン、繊度1.7dtex、繊維長40mm、商品名「コロナCD」、ダイワボウレーヨン(株)製、沈降速度約3秒
・セルロースF(撥水性)
撥水剤処理したビスコースレーヨン、沈降速度10分以上
ビスコースレーヨン:繊度1.7dtex、繊維長40mm、商品名「コロナCD」、ダイワボウレーヨン(株)製
撥水剤:陰イオン界面活性剤、商品名「ウーポール1800S」、松本油脂製薬(株)製
・セルロースG(撥水性)
非フッ素系撥水剤により繊維表面が撥水処理されたビスコースレーヨン、繊度3.3dtex、繊維長40mm、商品名「エコリペラス」、ダイワボウレーヨン(株)製、沈降速度10分以上
・セルロースH(親水性)
ビスコースレーヨン、繊度3.3dtex、繊維長40mm、商品名「コロナCD」、ダイワボウレーヨン(株)製、沈降速度約3秒
【0131】
(接着性繊維)
・接着性繊維X
芯成分がポリ乳酸(融点約175℃)、鞘成分がポリブチレンサクシネート(融点:約115℃)、芯鞘比52:48の同心芯鞘型複合繊維、繊度2.4dtex、繊維長51mm、商品名「NBF(KK)PL」、大和紡績(株)製
・接着性繊維Y
芯成分がポリプロピレン(融点163℃)、鞘成分が高密度ポリエチレン(融点133℃)、芯鞘比50:50の同心芯鞘型複合繊維、繊度1.7dtex、繊維長51mm、商品名「NBF(H)P」、大和紡績(株)製
・接着性繊維Z
芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘成分が低融点ポリエチレンテレフタレート(融点110℃)、芯鞘比50:50の同心芯鞘型複合繊維、繊度2.4dtex、繊維長51mm、商品名「サフメットT9611」、東レ(株)製
【0132】
[実施例1]
(i)ウェブの準備
表1に記載されているセルロース繊維および接着性繊維をパラレルカードで解繊して、所定の目付のカードウェブを作製した。表中の混率は、カードウェブの質量(100質量%)を基準としている。
【0133】
(ii)交絡処理
次いで、一角3個のバーブを有する三角形の形状のニードルを用い、ペネ数(単位面積当たりの針の打ち込み本数)61.5本/cm2、針深度:9.5mmの条件で、カードウェブの両面に1回ずつ、ニードルパンチ処理を行った。
【0134】
(iii)加熱処理
ニードルパンチ処理の後、145℃、風速1.6m/sの熱風で9秒間、乾熱処理を行った。このようにして、緩衝材用不織布を得た。
【0135】
[実施例2~16、比較例1~5]
繊維ウェブを構成する繊維の種類および割合、交絡処理の方法および条件等を、表1に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で、不織布をそれぞれ得た。
【0136】
比較例3および5では、ニードルパンチ処理(NP)に替えて、水流交絡処理(WJ)により交絡処理を行った。交絡処理は、ウェブを支持体(90メッシュの平織)に載置して、4m/分の速度で搬送しながら、両方の主面に4.0MPaの水圧の水流を1回ずつ噴射することにより行った。その後、80℃で乾燥させ、さらに、上記の乾熱処理を行った。
【0137】
[評価]
評価方法は、以下の通りである。評価結果を表1および表2に示す。表1および表2において、「混率」は、不織布の質量に対する各繊維の質量割合を示す。表1および表2において、「-」は測定していないことを示す。表1および表2において、「N.D」は縦配向の繊維側が観察されなかったことを示す。
【0138】
(縦配向の繊維束の単位長さ当たりの数)
不織布(試料)を厚さ方向に切断し、上記の通りに、その断面をSEM(倍率30倍)で観察した。観察視野内の任意の繊維の一部の配向角度を、上記の通りにして測定して、縦配向部分を有する繊維を決定した。当該繊維に近接し、かつ縦配向部分を有する繊維が4本以上有るか否かを確認し、有る場合、縦配向の繊維束が有るとした。観察視野内の他の繊維の配向角度を同様にして確認し、他の縦配向の繊維束の有無を決定した。最後に観察視野内の縦配向の繊維束の総数をカウントし、単位長さ(cm)当たりの数を求めた。
【0139】
(配向角度)
上記で決定された観察視野内の縦配向の繊維束を構成する繊維の配向角度を平均化し、平均の配向角度を求めた。
【0140】
(1.96kPa荷重時厚さ)
厚み測定機((株)大栄科学精器製作所製のTHICKNESS GAUGE モデル CR-60A(商品名))を用い、試料に1.96kPa(約20g/cm2)の荷重を加えた状態で、厚さを測定した。
【0141】
(伸長時応力、破断強力)
JIS L 1913:2010 6.3(引張強さ及び伸び率(ISO法))に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、幅50mm×長さ150mmの試料片に対して、つかみ間隔100mm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験を行い、0%から30%まで伸長させたときの応力を測定した。1水準あたり3点の試料を準備し、測定した値を平均化した。引張試験において、試料の機械方向(MD方向)を引張方向とした。試料片を0%から30%まで伸長させたときの応力(N/5cm)と、その伸長量(%)との積分値を、仕事量(N・%/5cm)とした。また、10%伸長時の応力(N/5cm)および試料が破断した時の荷重値(破断強力)を得た。
【0142】
(剛軟度)
剛軟度を、JIS L 1913:2010 6.7.5 ハンドルオメーター法に準じて測定した。具体的には、次の手順で測定した。
【0143】
試料台の上に、幅20cm×長さ20cm試料片を、測定方向がスロット(隙間幅20mm)と直角になるように置いた。次に、試料台の表面から8mmまで下がるように調整されたペネトレータのブレードを下降させ、試料片を押し込んだ。測定は、いずれか一方の辺から6.7cm(試料片の幅の1/3)の位置で、縦方向および横方向それぞれ表裏異なる個所について行い、押し込みに対する抵抗値を読み取った。抵抗値として、マイクロアンメータの示す最高値(N)を読み取った。4辺それぞれについて読み取った抵抗値の合計値を求めた。この合計値を求める操作を同一の不織布から採取した3つの試料片について実施し、合計値の平均値を算出して、当該試料の剛軟度(N)とした。
【0144】
(圧縮仕事量WC、回復仕事量BC)
幅200mm×長さ200mmの試料片を準備した。この試料片に、ハンディー圧縮試験機(カトーテック社製、KES-FB3)を用いて、直径2cm2の円盤を、50秒/mmのスピードでサンプルに押し込みながら、荷重が0.5gf/cm2から50gf/cm2になるまで加圧して、試料片の厚さを測定した。この測定を、同一の不織布から採取した3つの試料片について実施し、合計値の平均値を算出して、当該試料片の厚さとして、グラフ化した。得られたグラフから、圧縮仕事量WCおよび回復仕事量BCを得た。
【0145】
【0146】
【0147】
実施例1~16の不織布は、柔軟性と低反発性とを兼ね備えており、コシも有していた。これは、セルロース繊維を含む一方、ニードルパンチ処理により縦配向の繊維束が形成されたこと、さらに、接着性合成繊維により、この縦配向の繊維束が維持されたためと考えられる。
【0148】
実施例1~16の不織布は緩衝性が高かった。例えば、当該不織布で物品を包装したり、当該不織布を物品に貼付して物品に軽い衝撃を与えても、物品は十分に保護されており、傷が付くこともなかった。
【0149】
比較例1の不織布は、セルロース繊維を含まず、合成繊維のみから形成されているため、十分な厚さを有する一方、30%伸長時仕事量が過度に大きい。そのため、この不織布は、高反発性であると考えられる。
【0150】
比較例2、4の不織布は、縦方向の繊維束を備えるものの、合成繊維を含まず、セルロース繊維のみから形成されている。そのため、30%伸長時仕事量が過度に小さく、衝撃緩和機能に劣ると考えられる。
【0151】
比較例3、5の不織布は、ニードルパンチ処理ではなく水流交絡処理により交絡されている。縦方向の繊維束は確認できず、加えて、比容積およびWC-BCが過度に小さかった。よって、衝撃緩和機能に劣ると考えられる。
【0152】
本開示は以下の態様を含む。
(態様1)
第一繊維群と、前記第一繊維群とは異なる第二繊維群と、を含むニードルパンチ不織布であって、
前記第一繊維群はセルロース繊維であり、
前記第二繊維群は合成繊維であり、
前記第一繊維群の含有量は、前記ニードルパンチ不織布の質量の30質量%以上90質量%以下であり、
前記第二繊維群の含有量は、前記ニードルパンチ不織布の質量の10質量%以上70質量%以下であり、
前記第二繊維群は、接着性合成繊維を含み、
前記ニードルパンチ不織布に含まれる少なくとも一部の繊維同士は、前記接着性合成繊維によって接着している、緩衝材用不織布。
(態様2)
前記第一繊維群は、撥水性セルロース繊維を含む、態様1の緩衝材用不織布。
(態様3)
前記接着性合成繊維は、繊維断面が複数のセクションを有する複合繊維であって、
少なくとも1つの前記セクションにより、前記ニードルパンチ不織布に含まれる少なくとも一部の繊維同士が接着している、態様1または2の緩衝材用不織布。
(態様4)
KES法による下記の条件下での圧縮試験における荷重0.5gf/cm2から50gf/cm2までの圧縮仕事量WCと回復仕事量BCとの差が、0.3gf・cm/cm2以上2.0gf・cm/cm2以下である、態様1~3いずれかの緩衝材用不織布。
(圧縮試験条件)
押し込みスピード:50秒/mm
加圧面積:2cm2
(態様5)
KES法による下記の条件下での圧縮試験における荷重0.5gf/cm2から50gf/cm2までの圧縮仕事量WCが、0.7gf・cm/cm2以上4.0gf・cm/cm2以下である、態様1~4いずれかの緩衝材用不織布。
(圧縮試験条件)
押し込みスピード:50秒/mm
加圧面積:2cm2
(態様6)
KES法による下記の条件下での圧縮試験における荷重0.5gf/cm2から50gf/cm2までの圧縮回復性RCが、35%以上90%以下である、態様1~5いずれかの緩衝材用不織布。
(圧縮試験条件)
押し込みスピード:50秒/mm
加圧面積:2cm2
(態様7)
機械方向の10%伸長時応力が、2N/5cm以上40N/5cm以下である、態様1~6いずれかの緩衝材用不織布。
(態様8)
単位面積当たりの質量が50g/m2以上300g/m2以下であり、
乾燥状態でのハンドルオメーター法による剛軟度が、0.8N以上8N以下である、態様1~7いずれかの緩衝材用不織布。
(態様9)
荷重1.96kPaをかけたときの比容積が、10cm3/g以上50cm3/g以下である、態様1~8いずれかの緩衝材用不織布。
(態様10)
機械方向に0%から30%まで伸長させたときの仕事量が、150N・%/5cm以上1600N・%/5cm以下である、態様1~9いずれかの緩衝材用不織布。
(態様11)
前記第二繊維群は、バイオマス原料を含む合成繊維、生分解性合成繊維およびリサイクル原料を含む合成繊維よりなる群から選択される少なくとも1種の合成繊維を含む、態様1~10いずれかの緩衝材用不織布。
(態様12)
前記ニードルパンチ不織布は、厚さ方向に配向した部分を有する5本以上の繊維の束を備え、
前記5本以上の繊維の前記厚さ方向に配向した部分は、前記ニードルパンチ不織布を水平面に置いて厚さ方向の断面を見たとき、前記水平面との間で平均値で52°以上85°以下の鋭角を成す、態様2の緩衝材用不織布。
(態様13)
前記ニードルパンチ不織布は、厚さ方向に配向した部分を有する5本以上の繊維の束を備え、
前記5本以上の繊維の束は、水平方向における前記ニードルパンチ不織布の単位長さ当たり1.0個/cm以上10個/cm以下で配置されている、態様2の緩衝材用不織布。
(態様14)
セルロース繊維である第一繊維群を30質量%以上90質量%以下、および、前記第一繊維群とは異なり、接着性合成繊維を含む合成繊維である第二繊維群を10質量%以上70質量%以下含む、ウェブを準備すること、
前記ウェブにニードルパンチ処理を施して、前記ウェブに含まれる繊維同士を交絡させること、および、
加熱処理によって、ニードルパンチ処理された前記ウェブに含まれる少なくとも一部の繊維同士を前記接着性合成繊維によって接着すること、を含む、緩衝材用不織布の製造方法。
(態様15)
前記第一繊維群は、撥水性セルロース繊維を含む、態様14の緩衝材用不織布の製造方法。
(態様16)
前記加熱処理が、無荷重または線圧5kg/cm以下の荷重下で行われる、態様14または15の緩衝材用不織布の製造方法。
(態様17)
前記ニードルパンチ処理におけるペネ数が、80本/cm2以上250本/cm2以下である、態様15に記載の緩衝材用不織布の製造方法。
(態様18)
態様1~13いずれかの緩衝材用不織布を含む、緩衝材。
本開示にかかる不織布は、柔軟性と低反発性とを兼ね備える。本開示にかかる不織布は、例えば、電子機器、精密機器、ガラス製品、陶器類、金属製品等の強硬な物品、あるいは食品、生活資材、衛生資材、医療資材等の柔軟な物品等の緩衝材、特に緩衝用の包装材として好適に用いられる。