(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010913
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】環境試験装置
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112503
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】牧野 利明
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050DA03
2G050EA01
(57)【要約】
【課題】低温晒し時のテストエリア内における導入口近傍と導出口近傍との間で温度ムラが生ずることを抑制する。
【解決手段】環境試験装置10は、テストエリアTAを有する試験槽12と、高温槽14と、低温槽16と、低温槽16からテストエリアTAに冷却空気を導入する低温導入口22aから、テストエリアTAから低温槽16に空気を導出する低温導出口22bに向けて、テストエリアTAにおいて気流を生じさせる気流生成部33と、テストエリアTAを区画する壁面37aのうち、低温導入口22aよりも低温導出口22bに近い領域の方が、低温導出口22bよりも低温導入口22aに近い領域に比べて、より冷却されるように、冷却用ガスを流すガスジャケット35と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストエリアを有する試験槽と、
前記テストエリアを加熱するための空気を加熱する高温槽と、
前記テストエリアを冷却するための空気を冷却する低温槽と、
前記低温槽から前記テストエリアに冷却空気を導入する導入口から、前記テストエリアから前記低温槽に空気を導出する導出口に向けて、前記テストエリアにおいて気流を生じさせる気流生成部と、
前記テストエリアを区画する壁面のうち、前記導入口よりも前記導出口に近い領域の方が、前記導出口よりも前記導入口に近い領域に比べて、より冷却されるように、冷却用ガスを流す壁面冷却手段と、
を備える 環境試験装置。
【請求項2】
前記壁面冷却手段は、前記テストエリアを区画する前記壁面に沿って前記導出口から前記導入口に向かう方向に前記冷却用ガスを流すように構成されている、請求項1に記載の環境試験装置。
【請求項3】
前記壁面冷却手段は、少なくとも前記導入口よりも前記導出口に近い領域における前記テストエリアの周囲部に配置され、前記冷却用ガスを流通させるガスジャケットを備えている、請求項1又は2に記載の環境試験装置。
【請求項4】
前記ガスジャケットは、前記ガスジャケット内に前記冷却用ガスを流入させる流入口を有し、
前記流入口は、前記導入口よりも前記導出口の近くに位置している、請求項3に記載の環境試験装置。
【請求項5】
前記ガスジャケットは、前記ガスジャケット内から前記テストエリアへ前記冷却用ガスを流出させる流出口を有し、
前記流出口は、少なくとも前記導出口よりも前記導入口の近くに位置している、請求項4に記載の環境試験装置。
【請求項6】
前記壁面冷却手段は、前記壁面に沿って前記導出口から前記導入口に向かう方向に前記冷却用ガスを流す導風板を備える、請求項1又は2に記載の環境試験装置。
【請求項7】
前記壁面冷却手段は、少なくとも前記導入口よりも前記導出口に近い領域において前記壁面に熱的に接する又は前記壁面に沿うように配置され、前記冷却用ガスを流通させる伝熱管を備えている、請求項1又は2に記載の環境試験装置。
【請求項8】
前記テストエリアには、前記冷却用ガスによって前記テストエリア内の空気を外部に排出する排出口が設けられている、請求項1又は2に記載の環境試験装置。
【請求項9】
前記排出口は、前記高温槽で得られた加熱空気を前記テストエリアに導入させる高温晒しと、前記低温槽で得られた冷却空気を前記テストエリアに導入させる低温晒しとの間に開口される、請求項8に記載の環境試験装置。
【請求項10】
前記壁面冷却手段は、前記テストエリアを区画する前記壁面のうち、前記導入口よりも前記導出口に近い領域に前記冷却用ガスを吹きかける請求項1に記載の環境試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験槽と高温槽と低温槽とを備えた環境試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、テストエリアを有する試験槽と、熱風を生成する高温槽と、冷風を生成する低温槽とを備え、試料を高温環境に晒す高温晒しと、試料を低温環境に晒す低温晒しとを行うことが可能な環境試験装置が知られている。この種の環境試験装置では、
図9に示すように、試料を配置するテストエリアTAを有する試験槽91の一方側に高温槽92が隣接し、試験槽91の他方側に低温槽93が隣接している。そして、高温晒し時においては、高温槽92で空気を加熱しつつ、高温槽92内の空間とテストエリアTAとの間で加熱空気を循環させ、低温晒し時においては、低温槽93で空気を冷却しつつ、低温槽93内の空間とテストエリアTAとの間で冷却空気を循環させる。これにより、テストエリアTAに配置された試料を高温環境下と低温環境下に交互に置くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低温槽93と試験槽91とを仕切る断熱壁94には、低温槽93から低温空気を導入するための導入口94aと、テストエリアTAから低温槽93内に空気を導出させる導出口94bとが形成されており、低温晒し時においては、テストエリアTA内において、導入口94aから導出口94bに向かう気流が形成される。このため、低温晒し時のテストエリアTA内においては、導入口94a近傍と導出口94b近傍との間で温度ムラが生ずる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低温晒し時のテストエリア内における導入口近傍と導出口近傍との間で温度ムラが生ずることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係る環境試験装置は、テストエリアを有する試験槽と、前記テストエリアを加熱するための空気を加熱する高温槽と、前記テストエリアを冷却するための空気を冷却する低温槽と、前記低温槽から前記テストエリアに冷却空気を導入する導入口から、前記テストエリアから前記低温槽に空気を導出する導出口に向けて、前記テストエリアにおいて気流を生じさせる気流生成部と、前記テストエリアを区画する壁面のうち、前記導入口よりも前記導出口に近い領域の方が、前記導出口よりも前記導入口に近い領域に比べて、より冷却されるように、冷却用ガスを流す壁面冷却手段と、を備える。
【0007】
本発明に係る環境試験装置では、気流生成部によって生成された気流は、テストエリア内における導入口から導出口に向かう方向の気流である。したがって、低温槽からテストエリアに冷却空気が導入される低温晒し時には、導入口からテストエリア内に導入された冷却空気は、導入口から導出口に向かって流れる。このため、壁面冷却手段がなければ、テストエリア内において、導出口の近傍の領域に比べて導入口の近傍の領域が冷却されやすい。したがって、テストエリアを区画する壁面のうち、導入口よりも導出口に近い領域の方が、導出口よりも導入口に近い領域に比べてより冷却されるように冷却用ガスを流す壁面冷却手段が設けられることにより、テストエリア内において、導出口の近傍の領域と導入口の近傍の領域とで、冷却度合いに差が生ずることを抑制することができる。しかも、壁面冷却手段がテストエリアの壁面を冷却するため、壁面冷却に伴ってテストエリア内の空気もそれに応じて冷却される。したがって、低温晒し時にテストエリア内の空気の温度ムラが生ずることを抑制できる。
【0008】
前記壁面冷却手段は、前記テストエリアを区画する前記壁面に沿って前記導出口から前記導入口に向かう方向に前記冷却用ガスを流すように構成されていてもよい。
【0009】
この態様では、壁面冷却手段が、テストエリアを区画する壁面に沿って導出口から導入口に向かう方向に冷却用ガスを流すため、壁面のうち導出口近傍の領域を冷却した冷却用ガスが導入口近傍の領域を冷却する。したがって、低温晒し時に、導入口からテストエリア内に導入された冷却空気が、導入口から導出口に向かって流れるとしても、壁面のうち導入口近傍の領域よりも導出口近傍の領域をより冷却することができるため、低温晒し時にテストエリア内の空気の温度ムラが生ずることを抑制できる。
【0010】
前記壁面冷却手段は、少なくとも前記導入口よりも前記導出口に近い領域における前記テストエリアの周囲部に配置され、前記冷却用ガスを流通させるガスジャケットを備えていてもよい。
【0011】
この態様では、冷却用ガスがガスジャケット内を流れることにより、テストエリアを区画する壁面のうち、導入口よりも導出口に近い領域の方が、導出口よりも導入口に近い領域に比べてより冷却される。
【0012】
前記ガスジャケットは、前記ガスジャケット内に前記冷却用ガスを流入させる流入口を有してもよい。この場合、前記流入口は、前記導入口よりも前記導出口の近くに位置していてもよい。
【0013】
この態様では、壁面を冷却する前の冷却用ガスが導入口よりも導出口の近くの流入口を通してガスジャケット内に流入する。したがって、テストエリアを区画する壁面のうち、導入口よりも導出口に近い領域の方がより冷却される。
【0014】
前記ガスジャケットは、前記ガスジャケット内から前記テストエリアへ前記冷却用ガスを流出させる流出口を有してもよい。この場合、前記流出口は、少なくとも前記導出口よりも前記導入口の近くに位置していてもよい。
【0015】
この態様では、冷却用ガスがガスジャケット内を流入口から流出口に向けて流れるときには、冷却用ガスは導出口側から導入口側に向けて流れることになる。したがって、テストエリアを区画する壁面のうち、導入口よりも導出口に近い領域の方がより冷却される。
【0016】
前記壁面冷却手段は、前記壁面に沿って前記導出口から前記導入口に向かう方向に前記冷却用ガスを流す導風板を備えてもよい。
【0017】
この態様では、導風板の存在により、冷却用ガスが、テストエリアを区画する壁面に沿って導出口から導入口に向かう方向に流れるため、壁面のうち導出口近傍の領域を冷却した冷却用ガスが導入口近傍の領域を冷却する。したがって、壁面のうち導入口近傍の領域よりも導出口近傍の領域をより冷却することができるため、低温晒し時にテストエリア内の空気の温度ムラが生ずることを抑制できる。
【0018】
前記壁面冷却手段は、少なくとも前記導入口よりも前記導出口に近い領域において前記壁面に熱的に接する又は前記壁面に沿うように配置され、前記冷却用ガスを流通させる伝熱管を備えてもよい。
【0019】
この態様では、冷却用ガスが伝熱管内を流れることにより、テストエリアを区画する壁面のうち、導入口よりも導出口に近い領域の方が、導出口よりも導入口に近い領域に比べてより冷却される。
【0020】
前記テストエリアには、前記冷却用ガスによって前記テストエリア内の空気を外部に排出する排出口が設けられてもよい。
【0021】
この態様では、高温槽で得られた加熱空気をテストエリア内に導入させる高温晒しによってテストエリア内の空気温度が高い状態から、低温槽で得られた冷却空気をテストエリア内に導入させる低温晒しに移行する際に、冷却用ガスによって高温空気を排出口から排出できる。したがって、低温晒しを始めるときに高温の空気が低温槽に流れ込む構成に比べ、低温槽での冷却負荷を低減できる。
【0022】
前記排出口は、前記高温槽で得られた加熱空気を前記テストエリアに導入させる高温晒しと、前記低温槽で得られた冷却空気を前記テストエリアに導入させる低温晒しとの間に開口されてもよい。
【0023】
この態様では、低温晒しが行われる前に、高温晒し時のテストエリア内の高温空気が外部に排出されるため、高温晒しから低温晒しに移行する時間を短くできる。
【0024】
前記壁面冷却手段は、前記テストエリアを区画する前記壁面のうち、前記導入口よりも前記導出口に近い領域に前記冷却用ガスを吹きかけてもよい。
【0025】
この態様では、テストエリアを区画する壁面のうち導入口よりも導出口に近い領域に冷却用ガスが吹きかけられるため、当該領域が冷却用ガスによって冷却される。したがって、低温晒し時に、導入口からテストエリア内に導入された冷却空気が、導入口から導出口に向かって流れるとしても、壁面のうち導出口近傍の領域が冷え難いという事態を生じ難くできる。この結果、低温晒し時にテストエリア内の空気の温度ムラが生ずることを抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、低温晒し時のテストエリア内における導入口近傍と導出口近傍との間で温度ムラが生ずることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態に係る環境試験装置を概略的に示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る環境試験装置において冷却用ガスの流れを説明するための図である。
【
図3】第1実施形態の変形例に係る環境試験装置を概略的に示す図である。
【
図4】第2実施形態に係る環境試験装置を概略的に示す図である。
【
図5】第3実施形態に係る環境試験装置を概略的に示す図である。
【
図6】第4実施形態に係る環境試験装置を概略的に示す図である。
【
図7】第5実施形態に係る環境試験装置を概略的に示す図である。
【
図8】第6実施形態に係る環境試験装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態に係る環境試験装置10は、テストエリアTAを区画する試験槽12と、テストエリアTA内を高温にするための高温槽14と、テストエリアTA内を低温にするための低温槽16とを備えている。この環境試験装置10は、テストエリアTA内に配置された試料を低温空気と高温空気とに交互に晒し、試料に熱負荷を与える熱衝撃試験装置として構成されている。
【0030】
テストエリアTAの上側に高温槽14が隣接し、テストエリアTAの下側に低温槽16が隣接しているが、高温槽14、テストエリアTA、低温槽16の位置関係はこれに限られるものではない。要は、高温槽14及び低温槽16はテストエリアTAに隣接していればよい。
【0031】
試験槽12、高温槽14及び低温槽16は、断熱壁によって中空状に形成されている。断熱壁には、高温槽14と試験槽12との間を仕切る高温側仕切り壁21と、低温槽16と試験槽12との間を仕切る低温側仕切り壁22とが、含まれる。すなわち、高温側仕切り壁21は、試験槽12の一方の面(天面)を形成する断熱壁であり、低温側仕切り壁22は、前記一方の面に対向する試験槽12のもう一方の面(底面)を形成する断熱壁である。
【0032】
高温側仕切り壁21には、テストエリアTAと高温槽14内の空間とを互いに連通させるための導入口(高温導入口21a)及び導出口(高温導出口21b)が設けられている。高温導入口21a及び高温導出口21bはそれぞれ、ダンパー24によって開閉される。なお、
図1では、ダンパー24が高温槽14内に配置された構成が示されているが、ダンパー24はテストエリアTAに配置されていてもよい。
【0033】
低温側仕切り壁22には、テストエリアTAと低温槽16内の空間とを互いに連通させるための導入口(低温導入口22a)及び導出口(低温導出口22b)が設けられている。低温導入口22a及び低温導出口22bはそれぞれ、ダンパー24によって開閉される。なお、
図1では、ダンパー24が、低温槽16内に配置された構成が示されているが、ダンパー24は、テストエリアTAに配置されていてもよい。
【0034】
高温槽14内には、空気を加熱するための加熱器26と、加熱された空気を高温槽14内とテストエリアTAとの間で循環させるための送風機27とが、設けられている。低温槽16内には、空気を冷却するための冷却器28と、補助加熱器29と、除湿器30と、冷却された空気を低温槽16内とテストエリアTAとの間で循環させるための送風機31とが設けられている。低温槽16の送風機31が作動すると、低温槽16内の冷却空気が低温導入口22aからテストエリアTAに吹き出され、またテストエリアTA内においては、低温導入口22aから低温導出口22bに向かう気流が生ずる。すなわち、低温槽16に配置された送風機31は、テストエリアTA内において低温導入口22aから低温導出口22bに向けて流れる気流を生じさせる気流生成部33として機能する。
【0035】
テストエリアTAには、冷却用ガスを流通させる流通空間FSを形成するガスジャケット35が設けられている。ガスジャケット35は、テストエリアTAを区画する断熱壁37に沿うように、テストエリアTA内に配置されている。すなわち、ガスジャケット35は、テストエリアTAの周囲部に配置されている。
【0036】
ガスジャケット35は、断熱壁37との間に流通空間FSを形成している。すなわち、ガスジャケット35は、断熱壁37との間に所定の幅の間隙を形成するように配置されている。したがって、冷却用ガスが流通空間FSを流れる際には、冷却用ガスは断熱壁37に接触しながら流通空間FSを流れる。
【0037】
ガスジャケット35は、一面が開放された矩形箱状に形成されている。具体的に、ガスジャケット35は、テストエリアTAを区画する断熱壁37におけるテストエリアTAに面する壁面37aのうち、天面、底面、左右の側面及び背面側の側面に沿うように形成されている。一方、ガスジャケット35は、テストエリアTAを区画する壁面37aのうち、テストエリアTAを開閉する図略の扉が設けられた正面には沿っていない。すなわち、
図1の手前側となる正面には、試料の出し入れのためにテストエリアTAを開放する扉が設けられているため、ガスジャケット35は、試験槽12の正面側の側壁に沿う部分を有していない。なお、扉が正面の一部のみに設けられる場合には、ガスジャケット35は、正面側の側壁において扉以外の部位にも設けられていてもよい。
【0038】
ガスジャケット35には、高温導入口21a、高温導出口21b、低温導入口22a及び低温導出口22bに対応する位置に、これらを塞がないように連通孔35aが設けられている。高温導入口21aに対応する連通孔35aは、テストエリアTAと高温導入口21aとを互いに連通するように、ガスジャケット35を厚み方向に貫通している。その他の連通孔35aも同様にガスジャケット35を厚み方向に貫通するように形成されている。
【0039】
ガスジャケット35には、流通空間FSに冷却用ガスを導入させるためのガス源39が接続されている。ガス源39は、冷却用ガスが貯留されたタンク39aと、タンク39aに接続された配管39bと、配管39bに設けられたバルブ39cと、を有する。冷却用ガスとしては、例えば、液体窒素ガス、液体二酸化炭素ガスが用いられる。なお、高温槽14から高温空気を供給して試料を高温に晒す高温晒し時において、テストエリアTAが室温よりも非常に高い温度まで加熱されるような場合には、冷却用ガスとして、空気が用いられてもよい。この場合、ガス源39は、ガスジャケット35に接続された配管39bと、配管39b内に空気を送り込む送風機(図示省略)とを有していればよい。
【0040】
配管39bは、テストエリアTAを区画する断熱壁37を貫通しており、配管39bの先端は流通空間FS内に開口している。配管39bの先端が開口している部位は、ガスジャケット35内に冷却用ガスを流入させる流入口35bとなる。この流入口35bは、低温導入口22aよりも低温導出口22bの近くに位置している。より具体的には、流入口35bは、テストエリアTAの
図1における左側面を構成する断熱壁37に位置している。なお、ガスジャケット35内に冷却用ガスを流入させる流入口35bは、複数設けられていてもよい。また、流入口35bは、
図1における左側面を構成する断熱壁37に設けられていなくてもよい。すなわち、流入口35bは、ガスジャケッ35内に冷却用ガスが流通することにより、テストエリアTAを区画する壁面37aのうち、導入口21a,22aよりも導出口21b,22bに近い領域が、導出口21b,22bよりも導入口21a,22aに近い領域に優先して冷却されるように配置されていればよい。
【0041】
また、ガスジャケット35には、流通空間FSを流れた冷却用ガスをテストエリアTA内に流出させる流出口35cが設けられている。流出口35cは、低温導出口22bよりも低温導入口22aの近くに位置している。より具体的には、流出口35cは、テストエリアTAを区画する壁面37aのうちの
図1における右側面、すなわち、流入口35bが配置された側面に対向する側面に位置している。流通空間FS内においては、冷却用ガスは流入口35bから流出口35cに向かって流れる。
【0042】
なお、流出口35cは、壁面37aのうちの
図1における右側面に配置されるだけでなく、天面、底面及び奥側の側面にも形成されていてもよい。また、流出口35cは、低温導出口22bよりも低温導入口22aの近くに位置しているのであれば、右側面に位置しているのではなく、天面、底面及び奥側の側面に位置していてもよい。また、流出口35cは、1つに限られるものではなく、複数設けられていてもよい。また、流出口35cは、テストエリアTA内に開口している必要はなく、例えば、断熱壁37を通して冷却用ガスを試験槽12の外側に排出するように開口していてもよい。
【0043】
流通空間FS内への冷却用ガスの導入は、例えば、低温槽16で得られた冷却空気をテストエリアTAに導入させる低温晒し時に行われる。すなわち、ガス源39のバルブ39cは、低温晒し時に開放される。低温晒し時には、
図2に示すように、低温導入口22aと低温導出口22bがダンパー24によって開かれるとともに、高温導入口21aと高温導出口21bがダンパー24によって閉じられるため、低温槽16内の送風機31から吹き出された冷却空気は、低温導入口22aを通してテストエリアTA内に導入され、この冷却空気は、低温導入口22aが位置する図の右側の領域から低温導出口22bが位置する図の左側の領域に向かって流れる。したがって、低温側仕切り壁22及び高温側仕切り壁21においては、図の右側の部位よりも左側の部位の方が僅かに冷え難い傾向にある。
【0044】
一方、ガス源39からガスジャケット35内の流通空間FSに供給された冷却用ガスは、流通空間FS内を流入口35bから流出口35cに向かう方向に流れる。流入口35bが低温導出口22bの近くに位置し、流出口35cが低温導入口22aの近くに位置しているため、冷却用ガスは、テストエリアTAを区画する壁面37a(高温側仕切り壁21及び低温側仕切り壁22)に沿って、導出口21b,22bから導入口21a,22aに向かう方向に流れる。このとき、冷却用ガスは、壁面37aを冷却しながら流れるため、次第に昇温する。これにより、低温側仕切り壁22において、低温導入口22aよりも低温導出口22bに近い領域が、低温導出口22bよりも低温導入口22aに近い領域に比べて、より冷却される。また、低温導入口22aと低温導出口22bの位置関係が、高温導入口21aと高温導出口21bとの位置関係と同じになっているので、高温側仕切り壁21においても、高温導入口21aよりも高温導出口21bに近い領域が、高温導出口21bよりも高温導入口21aに近い領域に比べて、より冷却される。したがって、低温晒し時において、テストエリアTA内の空気の温度ムラが生ずることを抑制できる。すなわち、ガスジャケット35は、テストエリアTAを区画する壁面37aのうち、低温導入口22aよりも低温導出口22bに近い領域の方が、低温導出口22bよりも低温導入口22aに近い領域に比べて、より冷却されるように、冷却用ガスを流す壁面冷却手段41として機能する。
【0045】
なお、冷却用ガスの導入は、高温槽14で得られた加熱空気をテストエリアTAに導入する高温晒しから低温晒しに移行する段階で行ってもよい。この移行時には、何れのダンパー24も閉じられているため、テストエリアTA内において気流は生じていない。しかし、その後の低温晒し時においては、低温側仕切り壁22及び高温側仕切り壁21において、図の右側の部位よりも左側の部位の方が僅かに冷え難い傾向にあるため、導出口21b,22b側の領域を優先的に冷却しておくことにより、低温晒し時におけるテストエリアTA内の空気の温度ムラが生ずることを抑制できる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、低温槽16の送風機31によって生成された気流は、テストエリアTA内における導入口21a,22aから導出口21b,22bに向かう方向の気流となる。したがって、低温槽16からテストエリアTAに冷却空気が導入される低温晒し時において、低温導入口22aからテストエリアTA内に導入された冷却空気は、低温導入口22aから低温導出口22bに向かって流れる。このため、壁面冷却手段41がなければ、テストエリアTA内において、導出口21b,22bの近傍の領域に比べて導入口21a,22aの近傍の領域が冷却されやすい。したがって、壁面冷却手段41が設けられることにより、テストエリアTA内において、導出口21b,22bの近傍の領域と導入口21a,22aの近傍の領域とで、冷却度合いに差が生ずることを抑制することができる。しかも、壁面冷却手段41がテストエリアTAの壁面37aを冷却するため、壁面37aの冷却に伴ってテストエリアTA内の空気もそれに応じて冷却される。したがって、低温晒し時にテストエリアTA内の空気の温度ムラが生ずることを抑制できる。
【0047】
しかも、本実施形態では、壁面冷却手段41が、テストエリアTAを区画する壁面37aに沿って導出口21b,22bから導入口21a,22aに向かう方向に冷却用ガスを流すため、壁面37aのうち導出口21b,22b近傍の領域を冷却した冷却用ガスが導入口21a,22a近傍の領域を冷却する。したがって、低温晒し時に、低温導入口22aからテストエリアTA内に導入された冷却空気が、低温導入口22aから低温導出口22bに向かって流れるとしても、壁面37aのうち導入口21a,22a近傍の領域よりも導出口21b,22b近傍の領域をより冷却することができるため、低温晒し時にテストエリアTA内の空気の温度ムラが生ずることを抑制できる。
【0048】
また、本実施形態では、冷却用ガスがガスジャケット35内を流れることにより、テストエリアTAを区画する壁面37aのうち、導入口21a,22aよりも導出口21b,22bに近い領域の方が、導出口21b,22bよりも導入口21a,22aに近い領域に比べて、より冷却される。
【0049】
なお、本実施形態では、低温導入口22aと低温導出口22bの位置関係が、高温導入口21aと高温導出口21bとの位置関係と同じになっているが、低温導入口22aと低温導出口22bの位置関係が、高温導入口21aと高温導出口21bとの位置関係と逆の関係になっていてもよい。すなわち、高温導入口21aが
図1の左側で、高温導出口21bが
図1の右側に位置していてもよい。この場合でも、冷却用ガスがガスジャケット35内を低温導出口22b側から低温導入口22a側に向かって流れるため、低温側仕切り壁22及び高温側仕切り壁21における低温導出口22bの近傍の領域を、より冷却することができる。
【0050】
本実施形態では、ガスジャケット35が、低温側仕切り壁22及び高温側仕切り壁21の全体に亘る範囲に設けられているが、この構成に限られない。例えば、
図3に示すように、ガスジャケット35は、低温導出口22bの近傍に配置される一方で、低温導入口22aの近傍までは延出されない大きさに形成されていてもよい。この場合、流出口35cは、ガスジャケット35における低温導入口22a側の端部において、低温導入口22a側の試験槽12の側面に向けて開口している。したがって、ガスジャケット35内の流通空間FSを流れた冷却用ガスは、壁面37aに沿って低温導入口22aが位置する方向に流れる。この場合でも、低温側仕切り壁22及び高温側仕切り壁21における導出口21b,22bの近傍の領域を、導入口21a,22aの近傍の領域に比べて、より冷却することができる。なお、流出口35cは、低温導入口22a側の試験槽12の側面に向けて開口している必要はなく、ガスジャケット35における低温導入口22a側の端部において、テストエリアTAの中心に向けて開口していてもよい。
【0051】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0052】
第2実施形態の環境試験装置10では、試験槽12に排出口43が設けられている点において、第1実施形態と相違する。排出口43は、テストエリアTA内の空気を試験槽12の外部に排出するための開口であり、テストエリアTAを区画する断熱壁37のうち、ガスジャケット35における流出口35cと対向する側面を構成する断熱壁37に設けられている。このため、冷却用ガスがガスジャケット35からテストエリアTA内に流出すると、この冷却用ガスによって、テストエリアTA内の空気が外部に排出される。
【0053】
したがって、本実施形態では、高温槽14で得られた加熱空気をテストエリアTA内に導入させる高温晒しによってテストエリアTA内の温度が高い状態から、低温槽16で得られた冷却空気をテストエリアTA内に導入させる低温晒しに移行する際に、冷却用ガスによって高温空気を排出口43から外部に排出できる。したがって、低温晒しを始めるときに高温の空気が低温槽16に流れ込む構成に比べ、低温槽16での冷却負荷を低減できる。
【0054】
なお、
図4では、タンク39aに接続された配管39bが二股に分岐した構成となっているが、この構成に限られるものではなく、第1実施形態と同様に、配管39bが二股に分岐することなく、ガスジャケット35に接続された構成であってもよい。
【0055】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
【0056】
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0057】
第1実施形態では、低温槽16で得られた冷却空気とは別のガス源39から供給されるガスが冷却用ガスとして利用されるのに対し、第3実施形態では、低温槽16で得られた冷却空気が冷却用ガスとして利用される点で、第1実施形態と相違する。冷却空気が冷却用ガスとして利用されるため、ガスジャケット35の流通空間FSに冷却用ガスを流入させるタイミングは、高温晒しから低温晒しに移行する段階のときである。
【0058】
ガスジャケット35は、高温側仕切り壁21及び低温側仕切り壁22との間に空間(流通空間FS)を形成するように角筒状に形成されており、筒軸方向の一方の端部にガスジャケット35の流出口35cが開口している。流出口35cは、高温側仕切り壁21及び低温側仕切り壁22において、導出口21b,22bよりも導入口21a,22aに近い位置に配置されている。ガスジャケット35の流入口35bは、高温側仕切り壁21及び低温側仕切り壁22において、導入口21a,22aよりも導出口21b,22bに近い位置に配置されている。また、流入口35bを開閉するダンパー45も設けられている。なお、ガスジャケット35が試験槽12における低温導入口22a側の側面まで延出されている場合には、流出口35cは、
図1の構成と同様に、試験槽12の導入口21a,22a側の側面に隣接する位置に設けられていてもよい。また、流入口35bには、気流の流れを補助するための補助送風機46が設けられているが、補助送風機46は省略可能である。
【0059】
この構成では、低温槽16内の送風機31から送り出された冷却空気(冷却用ガス)は、低温導出口22bの近くに位置する流入口35bを通してガスジャケット35の流通空間FSに流入し、導入口21a,22aの近くに位置する流出口35cを通して、テストエリアTA内に流出する。これにより、テストエリアTAを区画する壁面37aのうち、導入口21a,22aよりも導出口21b,22bに近い領域を優先して冷却できる。しかも、第1実施形態と異なり、ガス源39が不要となる。
【0060】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1及び第2実施形態の説明を第3実施形態に援用することができる。
【0061】
(第4実施形態)
図6は本発明の第4実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0062】
第1実施形態では、壁面冷却手段41が、冷却用ガスを流通させる流通空間FSを形成するガスジャケット35を備えているのに対し、第4実施形態では、壁面冷却手段41が、明確な流通空間FSを形成するものではないが、冷却用ガスを所定の方向に案内する導風板48を備えている。導風板48は、断熱壁37において配管39bの先端が開口する流入口37bを通してテストエリアTA内に導入された冷却用ガスを案内する。
【0063】
導風板48は、所定の形状に折り曲げられた板状の部材からなり、ガス源39の配管39bからテストエリアTA内に冷却用ガスを導入させる流入口37bから、低温側仕切り壁22の低温導出口22bに向けて冷却用ガスを案内する低温側案内部48aを有する。また、導風板48は、流入口37bから、高温側仕切り壁21の高温導出口21bに向けて冷却用ガスを案内する高温側案内部48bを有する。
【0064】
低温側案内部48aの存在により、冷却用ガスの一部は、テストエリアTA内において、低温側仕切り壁22に沿って低温導出口22b側から低温導入口22a側に向かって流れる。また、高温側案内部48bの存在により、冷却用ガスの他部は、テストエリアTA内において、高温側仕切り壁21に沿って高温導出口21b側から高温導入口21a側に向かって流れる。
【0065】
なお、導風板48の低温側案内部48aには、低温晒し時にテストエリアTA内の空気が低温導出口22bに向かうのを阻害しないように孔が形成されていてもよい。また、導風板48の高温側案内部48bには、高温晒し時にテストエリアTA内の空気が高温導出口21bに向かうのを阻害しないように孔が形成されていてもよい。
【0066】
本実施形態では、導風板48の存在により、冷却用ガスが、テストエリアTAを区画する壁面37aに沿って導出口21b,22bから導入口21a,22aに向かう方向に流れるため、壁面37aのうち導出口21b,22b近傍の領域を冷却した冷却用ガスが導入口21a,22a近傍の領域を冷却する。したがって、壁面37aのうち導入口21a,22a近傍の領域よりも導出口21b,22b近傍の領域をより冷却することができるため、低温晒し時にテストエリアTA内の空気の温度ムラが生ずることを抑制できる。
【0067】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1~第3実施形態の説明を第4実施形態に援用することができる。
【0068】
(第5実施形態)
図7は本発明の第5実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0069】
第5実施形態では、壁面冷却手段41が、冷却用ガスを流通させる伝熱管50を備えている。伝熱管50は、テストエリアTAの天面、底面、背面側(
図7の奥側)の側面及び左右の側面(
図7の左右の側面)を区画する断熱壁37に配置されており、テストエリアTAを区画する壁面37aに熱的に接している。すなわち、伝熱管50は、断熱壁37の中において、テストエリアTAを区画する壁面37aに沿うように這わされている。なお、伝熱管50は、一部が壁面37aに熱的に接していなくてもよい。
【0070】
伝熱管50は、低温導出口22bに近い側の断熱壁37において配管39bに接続されるとともに、低温導入口22aに近い側の断熱壁37において、冷却用ガスをテストエリアTA内に流出させる流出口50aとして開口している。伝熱管50と配管39bとの接続口は、冷却用ガスを伝熱管50内に流入させる流入口50bとして機能する。なお、流出口50aは、テストエリアTA内に開口していなくてもよく、この場合、伝熱管50は、断熱壁37を通して試験槽12の外部に引き出されて、冷却用ガスを試験槽12の外側に排出するように構成されていてもよい。
【0071】
伝熱管50は、天面、底面及び背面側の側面においては、蛇行するように形成されている。このため、冷却用ガスは、
図7の手前側及び奥側に蛇行しながらも、導入口21a,22aよりも導出口21b,22bに近い領域から、導出口21b,22bよりも導入口21a,22aに近い領域に向けて伝熱管50内を流れる。したがって、冷却用ガスが伝熱管50内を流れることにより、テストエリアTAを区画する壁面37aのうち、導入口21a,22aよりも導出口21b,22bに近い領域が、導出口21b,22bよりも導入口21a,22aに近い領域に比べて、より冷却される。
【0072】
なお、伝熱管50は、
図7に示すように、正面側の側面を除く壁面37aに沿うように設けられているが、これらの全体に亘って設けられている必要はない。例えば、伝熱管50は、流入口50bが設けられた左側の側面に沿うとともに、天面、底面及び奥側の側面のうち導入口21a,22aよりも導出口21b,22bに近い領域の壁面37aに配置されていてもよい。つまり、伝熱管50は、テストエリアTAを区画する壁面37aのうち、少なくとも導入口21a,22aよりも導出口21b,22bに近い領域に配置されていればよい。伝熱管50は、蛇行していなくてもよい。例えば、流入口50bが設けられた左側の側面の上縁、下縁、奥側の縁において、複数に分岐し、複数の伝熱管50が天面、底面及び奥側の側面に沿って延びてもよい。
【0073】
また、伝熱管50は、断熱壁37内に設けられるのではなく、断熱壁37の外側(テストエリアTA内)において壁面37aに沿うように配置されてもよい。伝熱管50がテストエリアTA内に配置される場合、伝熱管50は、壁面37aに熱的に接していることが望ましいが、伝熱管50の一部または全部が壁面37aに熱的に接していなくてもよい。
【0074】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1~第4実施形態の説明を第5実施形態に援用することができる。
【0075】
(第6実施形態)
図8は本発明の第6実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0076】
第6実施形態では、壁面冷却手段41が、冷却用ガスを吹きかけるノズル52を有する構成となっている点で、第1~第5実施形態と異なっている。
【0077】
ガス源39の配管39bは、試験槽12の断熱壁37を貫通してテストエリアTA内にまで延出されている。この配管39bの先端にノズル52が設けられている。ノズル52は、低温側仕切り壁22のうち、低温導入口22aよりも低温導出口22bに近い領域に冷却用ガスを吹きかけるように配置されている。
【0078】
なお、ノズル52は、低温導出口22bに近い領域から低温導入口22aに近い領域に向けて冷却用ガスを吹き出すように配置されていてもよい。また、図には示されていないが、高温側仕切り壁21に対して冷却用ガスを吹きかけるノズル52が追加されていてもよい。
【0079】
本実施形態では、テストエリアTAを区画する壁面37aのうち低温導入口22aよりも低温導出口22bに近い領域に冷却用ガスが吹きかけられるため、当該領域が冷却用ガスによって冷却される。すなわち、壁面冷却手段41は、壁面37aのうち導入口21a,22aに近い領域よりも、導出口21b,22bに近い領域をより冷却するように構成されている。したがって、低温晒し時に、低温導入口22aからテストエリアTA内に導入された冷却空気が、低温導入口22aから低温導出口22bに向かって流れるとしても、壁面37aのうち低温導出口22b近傍の領域が冷え難いという事態を生じ難くできる。この結果、低温晒し時にテストエリアTA内の空気の温度ムラが生ずることを抑制できる。
【0080】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1~第5実施形態の説明を第6実施形態に援用することができる。第1~第5実施形態において、流入口35b、37b、50bが複数設けられていてもよい。この場合、各流入口35b、37b、50bへ流れる冷却用ガスの流量を制御するようにしてもよい。その場合、壁面37aの温度を検出する温度センサが設けられて、この温度センサの検出値に応じて流量を制御してもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 :環境試験装置
12 :試験槽
14 :高温槽
16 :低温槽
21a :高温導入口
21b :高温導出口
22a :低温導入口
22b :低温導出口
33 :気流生成部
35 :ガスジャケット
35b :流入口
35c :流出口
37 :断熱壁
37a :壁面
41 :壁面冷却手段
43 :排出口
48 :導風板
50 :伝熱管
TA :テストエリア