(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109133
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】カメラ補助具のホットシュー取付構造
(51)【国際特許分類】
G03B 17/02 20210101AFI20240806BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B15/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013722
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】516370235
【氏名又は名称】株式会社REIZ
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】石田 晋士
【テーマコード(参考)】
2H053
2H100
【Fターム(参考)】
2H053CA22
2H053CA23
2H053CA24
2H053CA25
2H053CA26
2H100DD11
(57)【要約】
【課題】 カメラボディのホットシューに取り付けたカメラ補助具のぐらつき、がたつきを防止する。
【解決手段】 カメラボディ上面に設けたホットシューの挿入溝に挿入板を挿入し、カメラ補助具を取り付ける。挿入溝は左右側壁および奧壁で大略コの字形状とされている。挿入板は矩形板材であって上記挿入溝の左右側壁に摺接して挿入される。この挿入板の前端面に一対の突起部を離間して配置する。これら突起部の前端面からの前方への突出量は同じとする。この結果、挿入板の挿入溝への挿入時、直立して平坦な奥端面に対して両突起部の先端部分が同時に当接する。そして、これらの突起部分を湾曲凸面で形成してあることにより、点接触となり、確実に両突起部が挿入溝の奥端面に当接することで、確実に挿入板、すなわちカメラ補助具をカメラボディ上面において取り付け、固定することができる。また、着脱も自在とされる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ補助具の底部に設けた矩形の挿入板を、ホットシューに挿入することにより、このカメラ補助具をカメラボディの上部に取り付けるカメラ補助具のホットシュー取付構造において、
上記ホットシューは、平行に立設された一対の左右側壁材と、これら左右側壁材の間に形成される挿入溝と、この挿入溝の奧端に立設される奧壁材とを有し、
上記挿入板には、その前端面に前方に突出する突起部を挿入溝の幅方向に離間して複数設けるとともに、これら複数の突起部の突出量を同一とし、
この挿入板を上記左右側壁材にガイドされて挿入溝内に挿入したとき、これら複数の突起部が上記奧壁材に当接する構成としたカメラ補助具のホットシュー取付構造。
【請求項2】
上記複数の突起部はその先端部分が湾曲面で構成されており、複数の突起部は上記奥壁材に点接触する構成とした請求項2に記載のカメラ補助具のホットシュー取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はカメラ補助具のホットシュー取付構造、詳しくはストロボなどのカメラ補助具をホットシューによりカメラボディに取付ける場合の取付構造における補助具取付板の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラにはそのカメラ本体の上面にホットシューが配設されており、このホットシューにカメラの補助具、例えばアクセサリ、照準器、ストロボなどが着脱自在に取り付けられることとなる。
このホットシューでは、左右両側にコの字状に屈曲したガイド部が形成され、先端部にストッパ用突片が設けられている。
このカメラのホットシュー(ホットシューマウント)に照準器やアクセサリを装着した場合、ぐらつきが発生する。ホットシューマウントへの挿入矩形板の前端面がマウントを構成する奧壁に当接するが、面同士の当接のため凹凸によるぐらつきである。
そこで従来から特許文献1に示すように、ホットシュー係止金具(弾性部材)を付属品のホットシューへの挿入部に取り付けることでぐらつきをなくす技術が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなホットシュー係止金具については、板バネを固定ナットで押圧して変形させその先端爪で、挿入部をホットシューガイド部に固定するものであり、部品数が増加し、かつ長期の使用により係止金具が変形、脱落の可能性が残るという問題点を有していた。
【0005】
そこで、本願出願人は、カメラ補助具の挿入板の前部の形状変更で挿入板をホットシューの挿入溝の奧壁に確実に当接させることにより、すなわち簡易な形状変更のみにより、上記問題点を解決・克服することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、カメラ補助具の底部に設けた矩形の挿入板を、ホットシューに挿入することにより、このカメラ補助具をカメラボディの上部に取り付けるカメラ補助具のホットシュー取付構造において、上記ホットシューは、平行に立設された一対の左右側壁材と、これら左右側壁材の間に形成される挿入溝と、この挿入溝の奧端に立設される奧壁材とを有し、上記挿入板には、その前端面に前方に突出する突起部を挿入溝の幅方向に離間して複数設けるとともに、これら複数の突起部の突出量を同一とし、この挿入板を上記左右側壁材にガイドされて挿入溝内に挿入したとき、これら複数の突起部が上記奧壁材に当接する構成としたカメラ補助具の取付構造カメラ補助具のホットシュー取付構造である。
カメラ補助具としては、ストロボ、ストロボ取付具、照準器、アクセサリの他にも、スマホやスマホ固定具などが予定される。また、突起部についてはその先端面を曲面または平面とすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記複数の突起部はその先端部分が湾曲面で構成されており、複数の突起部は上記奥壁材に点接触する構成とした請求項2に記載のカメラ補助具のホットシュー取付構造である。
【0008】
すなわち、カメラボディの上面にはホットシューが設けられている。ホットシューは、開口側から正面視してその左右両側にコの字形状に屈曲した一対のガイド壁材(左右側壁材)を有してこれらの間に挿入溝を形成してある。挿入溝の奥端は平坦面を有する奧壁材がカメラボディ上面から垂直に起立して設けられており、この奧壁材の平坦面が挿入板のストッパとして機能する(挿入板をホットシュー内で位置決めする)構成となる。ホットシューは底面部(カメラ上面)の三方を枠部(左右側壁、奧壁)で囲む形状(平面視するとコノ字形状の枠)としてある。
挿入板は平面視(底面視)して矩形の所定厚さの板材であって、カメラ補助具(ストロボ、ストロボ取付具など)の底部に一体的に設けられ、上記挿入溝に挿入されることとなる。
詳しくは、ホットシューは、ボディ上面に設けられた枠部であって、一対の左右側壁材および奧壁材にて前端が開口した平面視コの字形状の挿入溝を有する。
そして、上記付属品底部に配設される矩形の挿入板はその挿入方向の前端面に一対の突起部が突設されている。これらの突起部は矩形挿入板の幅方向ではそれらの両端部に位置して設けられ、かつ、その挿入方向の前方への突出量は同一量としてある。また、突起部におけるその突出端(突出部分)は、例えば平坦面または凸曲面で構成されている。
挿入板がホットシューの挿入溝に(その左右側壁材にガイドされて)挿入されたとき、挿入板の前端から突出した複数の突起部が奧壁材に同時に当接して面接触または点接触することとなる。挿入板は(その左右端面、前端面が各壁材に当接することで)挿入溝内で確実に位置決めされることとなる。よって、挿入板およびこれに立設されたカメラ補助具はホットシューにおいてカメラ本体(カメラボディ)の上面に確実に固定されることとなる。
なお、カメラボディの上面に配設されるホットシューは形状、端子の配置などは各種のカメラにおいて異なることがあるが、左右の側壁でレール状の枠形状を呈し(挿入溝を正面視してコの字形状の両側壁材でレール状としてある)、かつ、左右側壁の間に形成される挿入溝の奥端に奧壁材による垂直な平坦面によるストッパ壁が形成されていれば、この発明において適用されるものとする。奧壁材はそれ自体が着脱されることも、カメラボディの一部として形成されることもある。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、カメラ補助具のホットシュー取付構造にあっては、カメラ補助具の底部に設けた矩形の挿入板を、ホットシューの挿入溝に挿入することにより、このカメラ補助具をカメラボディの上部に取り付ける。この際、挿入板はその前端の複数の突起部が挿入溝の奧端の奧壁材に当接して点接触することとなる。
この結果、挿入板は挿入溝内に確実に固定されることとなり、カメラ補助具はホットシューにより、特にその複数の突起部において、そのカメラボディの上面でぐらつきなく立設・保持されることとなる。すなわち、補助具本来の機能を正確に発揮することができる。例えば従来必要であった、照準器でのレティクル(ドット)の調整は不要とされる。
請求項2に記載の発明にあっても、各突起部の機能は上記発明と同等となり、複数の突起部が奧壁材(平坦面)に対して点接触することにより、単一の場合よりも確実にその位置決め、固定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明の一実施例に係るカメラ補助具のホットシュー取付構造を示すもので、一眼レフカメラでのホットシューの配置を示す斜視図である。
【
図2】この発明の一実施例に係るカメラ補助具のホットシュー取付構造における挿入板と挿入溝との連結関係を示すその分解斜視図である。
【
図3】この発明の一実施例に係るカメラ補助具のホットシュー取付構造に使用される補助具(装着部材)の斜視図である。
【
図4】この発明の一実施例に係るカメラ補助具のホットシュー取付構造に使用される補助具の底面図である。
【
図5】この発明の一実施例に係るカメラ補助具のホットシュー取付構造に使用される補助具の正面図である。
【
図6】この発明の一実施例に係るカメラ補助具のホットシュー取付構造に使用される補助具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施例を、図面を参照して具体的に説明する。
【実施例0012】
図1は、この発明の一実施例に係る1眼レフカメラのボディ11の上部(上面)に形成されたホットシュー12を示す。
図2は、このホットシュー12へのカメラ補助具の取付構造を示す分解斜視図である。
これらの図に示すように、カメラ(一眼レフ)のボディ(箱型)11の上面のほぼ中央部にはカメラの前後方向に向かって延びる溝を有するホットシュー12が配設されている。
ホットシュー12は平面視してコの字形状の凹所からなり、この凹所を形成する3壁(3つの枠)のうち左右の側壁を形成する一対の平行に直立した左側壁材14および右側壁材15と、これら左右側壁材の奥側にこれら左右の側壁材同士を連続する奧壁材16とで構成されている。この奧壁材16は凹所の奧に直立した平坦面である奧壁を形成する。すなわち、一対の左右側壁材14,15の間にはカメラの前後方向に延びる挿入溝(凹所)21が形成されることとなる。
なお、この挿入溝21は底面に例えば電気端子22が配設されている。左右の側壁材14,15は内側に向かって所定幅だけ突出した上片14A,15Aを有してそれぞれがコの字形状の断面を形成している(レール状の補助具取付座金)。所定隙間を有して対向する上片14A,15A同士は、後述する挿入板(補助具の板状の取付足:シューフット)31の上方への抜け止めとされる。
図2においては、この挿入溝21に嵌合・挿入される矩形の挿入板31が開示されている。この挿入板31は上記挿入溝21にほぼ隙間なく挿入されるため、矩形の板材で構成され、その厚みは上記左右の側壁材14,15の各上片14A,15Aと底面との間の高さ寸法と同じとされ、その横幅、縦幅もこの挿入溝21の縦横の寸法とほぼ同じ長さとされている。
挿入板(シューフット)31は取付ネジ32によりストロボなどのカメラ補助具41の底部に取り付けられている。すなわち、カメラ補助具41の底部に矩形の一定厚さの挿入板31が水平に固定されている。よって、挿入板31を挿入溝21に水平方向に挿入することにより、補助具41はカメラボディ11の上部(上面の所定位置)に固定されることとなり、カメラ機能の一部を補助・保持させることができる。
【0013】
ここで、カメラ補助具(スライドレール)41は、
図3~
図6に示すように、その底部に矩形の挿入板(補助具の装着部材)31を有しており、この挿入板31の前端部(前端面)にはその左右端に離間して一対の突起部51,52を形成してある。一対の突起部51,52はそれぞれが平面視して半円形の湾曲した先端部分をそれぞれ有しており、前端面からこの先端部分までの突出量a(
図4参照)は左右で同じとされている。
なお、この挿入板31はスライドレール本体41Aの底面部にネジ止めされている。スライドレール41上には例えば照準器やスマホなどを取り付け・固定できる構成である。ロックリング32はこのスライドレール41Aを固定するものでもある。なお、これらホットシュー12、挿入板31などの素材は電気絶縁性などを考慮して例えば硬質樹脂素材などを適用するものとする。
【0014】
カメラ補助具41をカメラボディ11上面に取り付ける場合、カメラボディ11の上面にて前後方向に延びるホットシュー12の挿入溝21にカメラ補助具(スライドレール)41の挿入板31を挿入する。このとき、挿入板31の左右側面はホットシュー12の左右の側壁材14,15の平坦な側面にそれぞれ摺接するとともに、その前端面は一対の突起部51,52の先端部分がホットシュー12の奧壁材16表面に同時的に当接することとなる。この結果として、挿入板31の両突起部51,52の先端部分はいずれも奧壁平面に点接触している。左右一対の突起部51,52の前端面からの前方への突出量が同じだからである。
よって、スライドレール41はカメラボディ11の上面に確実に固定されることとなり、その補助具としての機能を確実に果たすことができる。
なお、カメラ補助具41のホットシュー12からの取り外しは、挿入板31を挿入溝21から抜き取ることにより、簡単に行うことができる。
すなわち、ホットシュー12の左側壁材14および右側壁材15の間に、矩形薄板からなる補助具装着用の挿入板31が挿入されることによりカメラボディ11にカメラ補助具41が固定される。このとき、挿入板31の前端部分は両突起部51,52を奧壁材16の垂直平面(奧壁面)に点接触させているため、また、両側面は両側壁材14,15に、その底面および上面は、挿入溝21の底面および各上片14A,15Aにそれぞれ接しているため、挿入板31の挿入後のぐらつき、がたつきは防止されている。なお、挿入板31の底面に端子を設けており、これと挿入溝21底面に配置した端子22との接続は当然確実になされている。