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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109151
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電子機器、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/02 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
G06F15/02 335E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013763
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 博明
【テーマコード(参考)】
5B019
【Fターム(参考)】
5B019GA10
5B019HB04
5B019HF07
(57)【要約】
【課題】電卓機能とテンキー機能を備える電子機器であって無線通信により外部機器と接続する電子機器における消費電力を低減する。
【解決手段】関数電卓のCPUは、関数電卓の電源がONとなった場合に、無線通信部に電力を供給せずに電卓モードで動作するよう制御し、Connectキーの長押しがあった場合に、無線通信部に電力を供給して外部機器への接続を実行させ、ワイヤレステンキーモードで動作するよう制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信部と、操作部と、制御部と、
を備える電子機器であって、
前記制御部は、前記電子機器の電源がオンとなった場合に、前記無線通信部に電力を供給せずに、前記操作部への操作に基づいて計算を実行する電卓モードで動作するよう制御し、
前記操作部への所定の操作があった場合に、前記無線通信部に電力を供給して外部機器への接続を実行させ、前記操作部への操作により入力された情報を前記無線通信部により前記外部機器に送信するワイヤレステンキーモードで動作するよう制御する、電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記ワイヤレステンキーモードでの動作中に、前記操作部において前記電卓モードへの切り替えを指示する操作が検出された場合に、前記外部機器との接続を維持したまま前記電卓モードに切り替える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記ワイヤレステンキーモードでの動作中に、前記操作部において前記電卓モードへの切り替えを指示する操作が検出された場合に、前記無線通信部への電力供給をオフにして前記電卓モードに切り替える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
表示部を備え、
前記制御部は、現在動作中のモード及び前記無線通信部による前記外部機器との接続状態を示す情報を前記表示部に表示させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
無線通信部と、操作部と、を備える電子機器における制御方法であって、
前記電子機器の電源がオンとなった場合に、前記無線通信部に電力を供給せずに、前記操作部への操作に基づいて計算を実行する電卓モードで動作するよう制御し、
前記操作部への所定の操作があった場合に、前記無線通信部に電力を供給して外部機器への接続を実行させ、前記操作部への操作により入力された情報を前記無線通信部により前記外部機器に送信するワイヤレステンキーモードで動作するよう制御する、制御方法。
【請求項6】
無線通信部と、操作部と、を備える電子機器のコンピュータに、
前記電子機器の電源がオンとなった場合に、前記無線通信部に電力を供給せずに、前記操作部への操作に基づいて計算を実行する電卓モードで動作するよう制御し、
前記操作部への所定の操作があった場合に、前記無線通信部に電力を供給して外部機器への接続を実行させ、前記操作部への操作により入力された情報を前記無線通信部により前記外部機器に送信するワイヤレステンキーモードで動作するよう制御する、
処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パソコン等のコンピュータ本体とケーブルで接続され、テンキーや関数キーを有し、コンピュータ本体への数値データの入力や電卓としての数値計算が可能な装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-257323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、コンピュータ本体との接続をケーブルで行っているため、コンピュータ本体から電力の供給を受けることができる。そのため、コンピュータ本体との通信による消費電力について特に考慮されていない。
しかし、電卓機能とテンキー機能を備える電子機器であって無線通信により外部機器と接続する電子機器の場合、電子機器の電源がオンとなっている間に常に無線通信モジュールに電力を供給すると、電子機器の電力消費が大きくなり、電池の消耗が激しくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、電卓機能とテンキー機能を備える電子機器であって無線通信により外部機器と接続する電子機器における消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明の電子機器は、
無線通信部と、操作部と、制御部と、
を備える電子機器であって、
前記制御部は、前記電子機器の電源がオンとなった場合に、前記無線通信部に電力を供給せずに、前記操作部への操作に基づいて計算を実行する電卓モードで動作するよう制御し、
前記操作部への所定の操作があった場合に、前記無線通信部に電力を供給して外部機器への接続を実行させ、前記操作部への操作により入力された情報を前記無線通信部により前記外部機器に送信するワイヤレステンキーモードで動作するよう制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電卓機能とテンキー機能を備える電子機器であって無線通信により外部機器と接続する電子機器における消費電力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子機器の一例としての関数電卓の概観を示す平面図である。
図2】関数電卓の機能的構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態において図2のCPUにより実行される電卓制御処理Aの流れを示すフローチャートである。
図4図3のステップS5において実行されるConnectキー処理Aの流れを示すフローチャートである。
図5図3のステップS7において実行されるCALキー処理Aの流れを示すフローチャートである。
図6】関数電卓の電源がONとなり、電卓モードでの動作が開始された際のディスプレイの表示例を示す図である。
図7】(a)は、Connectキー長押しが開始された際のディスプレイの表示例を示す図、(b)は、Connectキーの長押しが終了し、アドバタイズが開始された際のディスプレイの表示例を示す図、(c)は、外部機器との接続が確立してワイヤレステンキーモードに移行した際のディスプレイの表示例を示す図である。
図8】ワイヤレステンキーモード中にCALキーが押下され、電卓モードに切り替えられた際のディスプレイの表示例を示す図である。
図9】外部機器と接続中の電卓モードでConnectキーが短押しされ、ワイヤレステンキーモードに移行した際のディスプレイの表示例を示す図である。
図10】第2の実施形態において図2のCPUにより実行される電卓制御処理Bの流れを示すフローチャートである。
図11図10のステップS25において実行されるConnectキー処理Bの流れを示すフローチャートである。
図12図10のステップS27において実行されるCALキー処理Bの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
<第1の実施形態>
[関数電卓1の構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子機器の例としての関数電卓1の平面図である。図1に示すように、関数電卓1は、各種キー群を有する入力キー群2と、ディスプレイ10とを備えている。
【0011】
入力キー群2は、ユーザから数値や計算記号等の数式構成要素の入力操作を受けたり、各種処理の指示操作を受けたりするためのキー群であり、それぞれ固有の機能を割り当てられた複数のキーを備えている。本実施形態において、入力キー群2は、テンキー20、ACキー21、CALキー22、Connectキー23等を含んでいる。
【0012】
このうち、テンキー20は数値の入力操作を受けるキーである。ACキー21は、関数電卓1の電源OFF(オフ)時には、関数電卓1への電源ON(オン)を指示し、関数電卓1の電源ON時には、それまでに行った計算を全てクリアしたり、処理中の処理をクリアしたりすることを指示するためのキーである。CALキー22は、電卓モードへの切り替えを指示するためのキーである。電卓モードは、入力キー群2への操作に基づいて計算を実行するモードである。電卓モードでは、入力キー群2への操作により入力された情報の外部機器3への送信は行わない。Connectキー23は、無線通信部14により外部機器3と接続し、ワイヤレステンキーモード(PCモード)への切り替えを指示するためのキーである。ワイヤレステンキーモードは、入力キー群2への操作により入力された情報を無線通信部14により外部機器3に送信するモードである。
ここで、外部機器3は、無線通信部14で通信可能な距離に存在する、PC(Personal Computer)等の電子機器である。
【0013】
ディスプレイ10は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)等により構成されており、入力キー群2などの操作よって入力された文字や符号、記号、数式、演算結果等の各種データを表示する表示部である。
【0014】
次に、関数電卓1の機能的構成について説明する。図2は、関数電卓1の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、関数電卓1は、CPU(Central Processing Unit)11と、表示駆動部12と、操作部13と、無線通信部14と、記憶部15と、電源部16と、を備えて構成されている。関数電卓1の各部はバス17により接続されている。
【0015】
CPU11は、関数電卓1の各部を制御する。具体的に、CPU11は、記憶部15の記憶領域に記憶されているシステムプログラムや各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出して記憶部15の作業領域に展開し、記憶部15に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。また、CPU11は、表示駆動部12を制御して、ディスプレイ10上に必要な表示を行わせる。CPU11は、本発明の制御部として機能する。
【0016】
表示駆動部12は、CPU11からの制御に従って、前述したディスプレイ10上に各種情報を表示するように駆動制御する。
【0017】
操作部13は、前述した入力キー群2を備えており、ユーザにより操作されたキーに対応する操作信号をCPU11に出力する。
【0018】
無線通信部14は、外部機器3と無線接続し、外部機器3とデータの送受信を行うための無線通信モジュールである。本実施形態において、無線通信部14は、Bluetooth(BLE:登録商標)により外部機器3と接続し、データ送受信を行う。
【0019】
記憶部15は、プログラムや各種データ等を記憶するメモリ(例えば、半導体メモリ)である。本実施形態では、記憶部15は、各種の記憶領域を備えており、CPU11が関数電卓1の各種機能を実行するためのプログラムを実行するためのプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、記憶部15は、CPU11が記憶領域に記憶されているプログラムやデータを読み出して展開するための作業領域を備えている。
【0020】
電源部16は、電池等により構成され、関数電卓1の各部に電力を供給する。
【0021】
[関数電卓1の動作]
次に、関数電卓1における動作について説明する。
図3は、関数電卓1により実行される電卓制御処理Aの流れを示すフローチャートである。電卓制御処理Aは、関数電卓1の電源がOFFである場合にACキー21が押下された際に、CPU11と記憶部15に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0022】
電卓制御処理Aにおいて、まず、CPU11は、関数電卓1の電源をONにする(ステップS1)。
ステップS1において、CPU11は、電源部16に、関数電卓1における無線通信部14以外の各部への電力の供給を開始させ、無線通信部14には電力を供給しないように制御する。すなわち、無線通信部14の電源はOFFのままである。
【0023】
次いで、CPU11は、Connect済みフラグをOFFに設定する(ステップS2)。
Connect済みフラグは、関数電卓1の電源がONとなった後、無線通信部14が外部機器3に接続されたか否かを示すフラグを格納するための変数である。
【0024】
次いで、CPU11は、関数電卓1の動作モードを電卓モードに設定する(ステップS3)。
【0025】
次いで、CPU11は、Connectキー23が押下されたか否かを判断する(ステップS4)。
Connectキー23が押下されたと判断した場合(ステップS4;YES)、CPU11は、Connectキー処理Aを実行する(ステップS5)。
【0026】
図4は、Connectキー処理Aの流れを示すフローチャートである。Connectキー処理Aは、CPU11と記憶部15に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0027】
まず、CPU11は、Connect済みフラグがONに設定されているか否かを判断する(ステップS501)。
Connect済みフラグがONに設定されていないと判断した場合(ステップS501;NO)、CPU11は、Connectキー23が長押しされたか否かを判断する(ステップS502)。
ここで、連続して所定時間以上(例えば、2秒以上)押下されることを長押し、所定時間未満の押下を短押しという。
【0028】
Connectキー23が長押しされていないと判断した場合(ステップS502;NO)、CPU11は、図3のステップS6に移行する。
【0029】
Connectキー23が長押しされたと判断した場合(ステップS502;YES)、CPU11は、無線通信部14の電源をONにする(ステップS503)。
すなわち、電源部16から無線通信部14に電力を供給させる。
【0030】
次いで、CPU11は、アドバタイズを開始する(ステップS504)。
次いで、CPU11は、無線通信部14により外部機器3からの接続要求が受信されたか否かを判断する(ステップS505)。
外部機器3からの接続要求を受信していないと判断した場合(ステップS505;NO)、CPU11は、ACキー21が押下されたか否かを判断する(ステップS506)。
ACキー21が押下されていないと判断した場合(ステップS506;NO)、CPU11は、所定時間待機し(ステップS507)、ステップS505に戻る。
ACキー21が押下されたと判断した場合(ステップS506;YES)、CPU11は、アドバタイズを終了し(ステップS508)、図3のステップS6に移行する。
【0031】
一方、無線通信部14により外部機器3からの接続要求が受信されたと判断した場合(ステップS505;YES)、CPU11は、アドバタイズを終了し(ステップS509)、接続要求してきた外部機器3とペアリング済み(ボンディング状態)であるか否かを判断する(ステップS510)。
接続要求してきた外部機器3とペアリング済みではないと判断した場合(ステップS510;NO)、CPU11は、外部機器3からのペアリング要求に従って、無線通信部14によりペアリングを実施させ(ステップS511)、ペアリング情報を記憶部15に保存(ボンディング)し(ステップS512)、ステップS513に移行する。
【0032】
一方、ステップS510において、接続要求してきた外部機器3とペアリング済みであると判断した場合(ステップS510;YES)、CPU11は、ステップS513に移行する。
【0033】
ステップS513において、CPU11は、無線通信部14により外部機器3との接続を確立させ(ステップS513)、Connect済みフラグをONに設定する(ステップS514)。そして、CPU11は、動作モードをワイヤレステンキーモードに切り替え(ステップS515)、図3のステップS6に移行する。
【0034】
一方、ステップS501において、Connect済みフラグがONに設定されていると判断した場合(ステップS501;YES)、CPU11は、ワイヤレステンキーモードで動作中であるか否かを判断する(ステップS516)。
ワイヤレステンキーモードで動作中ではない(電卓モードで動作中)と判断した場合(ステップS516;NO)、CPU11は、動作モードをワイヤレステンキーモードに切り替え(ステップS517)、図3のステップS6に移行する。なお、ステップS517における電卓モードからワイヤレステンキーモードへの切り替え(Connect済みフラグがONに設定されているときのConnectキー23の押下)は、短押しで可能である。
ここで、後述するCALキー処理Aにおいては、ワイヤレステンキーモードから電卓モードに切り替える際に無線通信部14による外部機器3との接続は切断されない(維持される)。よって、一度ワイヤレステンキーモードに切り替えた後は、電卓モードから再度ワイヤレステンキーモードに切り替える際に再接続の必要がなく、迅速に切り替えることが可能となる。
ワイヤレステンキーモードで動作中であると判断した場合(ステップS516;YES)、CPU11は、図3のステップS6に移行する。
【0035】
図3のステップS6において、CPU11は、CALキー22が押下されたか否かを判断する(ステップS6)。
CALキー22が押下されたと判断した場合(ステップS6;YES)、CPU11は、CALキー処理Aを実行する(ステップS7)。
図5は、CALキー処理Aの流れを示すフローチャートである。CALキー処理Aは、CPU11と記憶部15に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0036】
CALキー処理Aにおいて、CPU11は、電卓モードで動作中であるか否かを判断する(ステップS701)。
電卓モードで動作中ではない(ワイヤレステンキーモードで動作中)と判断した場合(ステップS701;NO)、CPU11は、無線通信部14により外部機器3との接続を維持したまま、動作モードを電卓モードに切り替え(ステップS702)、図3のステップS8に移行する。
電卓モードで動作中であると判断した場合(ステップS701;YES)、CPU11は、図3のステップS8に移行する。
【0037】
図3のステップS8において、CPU11は、操作部13におけるCALキー22及びConnectキー23以外の他のキーが操作されたか否かを判断する(ステップS8)。
CALキー22及びConnectキー23以外の他のキーが操作されたと判断した場合(ステップS8;YES)、CPU11は、現在の動作モードに応じて、操作されたキーに対応する処理を実行し(ステップS9)、ステップS10に移行する。
CALキー22及びConnectキー23以外の他のキーが操作されていないと判断した場合(ステップS8;NO)、CPU11は、ステップS10に移行する。
【0038】
ステップS10において、CPU11は、操作部13が操作されることなく所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS10)。
キー入力部が操作されることなく所定時間が経過していないと判断した場合(ステップS10;NO)、CPU11は、ステップS4に戻る。
【0039】
操作部13が操作されることなく所定時間が経過したと判断した場合(ステップS10;YES)、CPU11は、無線通信部14の電源をOFFにする(ステップS11)。すなわち、電源部16から無線通信部14への電力供給を停止させる(オフにする)。そして、CPU11は、関数電卓1の電源をOFFする処理を実行して電源部16からの電力供給を停止させ(ステップS12)、電卓制御処理Aを終了する。
【0040】
このように、電卓制御処理Aにおいて、CPU11は、関数電卓1の電源がONとなった場合に、無線通信部14に電力を供給せずに、電卓モードで動作するよう制御する。Connectキー23の長押しがあった場合、CPU11は、電源部16により無線通信部14に電力を供給して外部機器3への接続を実行させ、ワイヤレステンキーモードで動作するよう制御する。
したがって、関数電卓1の電源がONになっても、Connectキー23が長押しされることによって外部機器3との接続が指示されるまで無線通信部14に電力は供給されないので、関数電卓1の消費電力を抑えることができる。例えば、関数電卓1の電源をONにした後、一度もConnectキー23が長押しされず、電卓モードのみで使用された場合は、無線通信部14に電力が供給されることはないため、関数電卓1の消費電力を抑えることができる。
【0041】
また、CPU11は、ワイヤレステンキーモードでの動作中に、Connectキー23が短押しされて電卓モードへの切り替えが指示された場合に、外部機器3との接続を維持したまま電卓モードに切り替える。
したがって、電卓モードから再度ワイヤレステンキーモードに移行する際に外部機器3と接続するための処理(例えば、図4のステップS503~S513)を行う必要がなくなり、ワイヤレステンキーモードへの切り替えを迅速に行うことが可能となる。
【0042】
ここで、CPU11は、記憶部15に記憶されているプログラムとの協働により、キー操作に応じてディスプレイ10の数値・文字表示欄101a、無線アイコン101b及びConnectedマーク101cの表示を制御して、現在動作中のモード及び無線通信部14による外部機器3との接続状態を示す情報をディスプレイ10に表示させる。なお、無線アイコン101bのデザインは、図示例に限定されない。
【0043】
関数電卓1の電源がONとなり、電卓モードでの動作を開始すると、CPU11は、図6に示すように、ディスプレイ10の数値・文字表示欄101aに「0」を初期表示させる。無線アイコン101b及びConnectedマーク101cは表示しない。これにより、電卓モードで動作中であり、外部機器3とは接続されていないことを示す。
【0044】
ユーザが外部機器3に接続しようとしてConnectキー23の長押しを開始すると、CPU11は、図7(a)に示すように、数値・文字表示欄101aを消灯する(表示を消す)。
Connectキー23の長押しが終了(長押し開始後所定時間以上経過)し、アドバタイズが開始されると、CPU11は、図7(b)に示すように、数値・文字表示欄101aに「0」を表示するとともに、無線アイコン101bを点滅させる。これにより、アドバタイズ中(接続待機中)であることを示す。
外部機器3との接続が確立して外部機器3と接続状態となり、ワイヤレステンキーモードに移行すると、CPU11は、図7(c)に示すように、数値・文字表示欄101aに「PC」を表示する。これにより、ワイヤレステンキーモード(PCモード)に移行したことを示す。また、無線アイコン101bを点灯させる(表示させる)。これにより、外部機器3と接続中であることを示す。
【0045】
ワイヤレステンキーモード中にCALキー22が押下され、電卓モードに切り替えられると、CPU11は、図8に示すように、数値・文字表示欄101aに「0」を表示させる。これにより、電卓モードに移行し、電卓として数値の入力が可能であることを示す。また、無線アイコン101b及びConnectedマーク101cを点灯させる。これにより、外部機器3と接続中であり、Connectキー23の短押しですぐにワイヤレステンキーモードに移行可能であることを示す。
【0046】
外部機器3と接続中の電卓モードでConnectキー23が短押しされ、ワイヤレステンキーモードに移行すると、CPU11は、図9に示すように、数値・文字表示欄101aに「PC」を表示する。これにより、ワイヤレステンキーモード(PCモード)に移行したことを示す。また、無線アイコン101bを点灯させ(点灯を継続し)、Connectedマーク101cは消灯する。これにより、これにより、ワイヤレステンキーモードで外部機器3と接続中であることを示す。
【0047】
このように、CPU11は、ディスプレイ10の数値・文字表示欄101a、無線アイコン101b及びConnectedマーク101cの表示を、現在の動作モード及び外部機器3との接続状態に応じて変更する。したがって、ユーザは、現在の動作モード及び外部機器3との接続状態を認識することが可能となる。
なお、図6図9の表示は一例であり、ユーザが現在の動作モード及び外部機器3との接続状態を認識できるものであれば特に限定されない。
【0048】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態における関数電卓1の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明を援用し、以下、第2の実施形態における関数電卓1の動作について説明する。
【0049】
図10は、第2の実施形態においてCPU11により実行される電卓制御処理Bの流れを示すフローチャートである。電卓制御処理Bは、関数電卓1の電源がOFFである場合にACキー21が押下された際に、CPU11と記憶部15に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0050】
図10に示すように、電卓制御処理BにおけるステップS21~S24、S26、S28~S32の処理は、第1の実施形態で説明した電卓制御処理AにおけるステップS1~S4、S6、S8~S12の処理と同じであるので説明を援用し、以下、ステップS25におけるConnectキー処理B及びステップS27におけるCALキー処理Bについて説明する。
【0051】
図11は、Connectキー23が押下された際に図10のステップS25において実行されるConnectキー処理Bの流れを示すフローチャートである。図12は、CALキー22が押下された際に図10のステップS27において実行されるCALキー処理Bの流れを示すフローチャートである。
【0052】
Connectキー処理Bにおいて、CPU11は、まず、Connect済みフラグがONであるか否かを判断する(ステップS5011)。
Connect済みフラグがONではないと判断した場合(ステップS5011;NO)、CPU11は、ステップS5012~S5025の処理を実行する。ステップS5012~S5025の処理は、第1の実施形態で説明したConnectキー処理AのステップS501~S515の処理と同様であるので説明を援用する。
【0053】
ここで、Connectキー23が長押しされ、外部機器3の接続が確立すると、ステップS5024でConnect済みフラグがONに設定され、ワイヤレステンキーモードに切り替えられる。この状態でCALキー22が押下されると、図10のステップS27においてCALキー処理Bが実行される。
【0054】
CALキー処理Bにおいて、CPU11は、電卓モードで動作中であるか否かを判断する(ステップS7011)。
電卓モードで動作中ではない(すなわち、ワイヤレステンキーモードで動作中である)と判断した場合(ステップS7011;NO)、CPU11は、無線通信部14の電源をOFFにする(ステップS7012)。すなわち、CPU11は、電源部16に、無線通信部14への電力供給を停止させる(オフにする)。
そして、CPU11は、電卓モードに切り替え(ステップS7013)、図10のステップS28に移行する。
【0055】
電卓モードで動作中であると判断した場合(ステップS7011;NO)、CPU11は、図10のステップS28に移行する。
【0056】
このように、ワイヤレステンキーモードで動作中にCALキー22が押下された場合、CPU11は、無線通信部14への電力供給をオフにして電卓モードに切り替える。したがって、無線通信部14への電力供給が必要ない電卓モードでは、無線通信部14への電力供給をOFFにするので、関数電卓1の消費電力をより一層低減させることができる。
【0057】
一方、図11に示すConnectキー処理BのステップS5011において、Connect済みフラグがONであると判断した場合(ステップS5011;YES)、CPU11は、ワイヤレステンキーモードで動作中であるか否かを判断する(ステップS5026)。
ワイヤレステンキーモードで動作中ではないと判断した場合(ステップS5026;NO)、CPU11は、無線通信部14の電源をONにし(ステップS5027)、無線通信部14に外部機器3と再接続させる(ステップS5028)。
すなわち、ワイヤレステンキーモードで動作中ではないと判断した場合、CPU11は、電源部16により無線通信部14に電力を供給させ、無線通信部14によりアドバタイズを開始させ、外部機器3から接続要求がきたら接続を確立する。
【0058】
そして、CPU11は、動作モードをワイヤレステンキーモードに切り替え(ステップS5029)、図10のステップS26に移行する。
【0059】
このように、第2の実施形態では、電卓モードでは外部機器3との接続が切れた状態となるので、ワイヤレステンキーモードに切り替える場合には、その都度無線通信部14の電源をONにして外部機器3との再接続を行う必要があるが、電卓モードでは無線通信部14の電源をOFFにするので、関数電卓1の消費電力をより一層低減させることができる。
【0060】
なお、第1の実施形態と同様に、CPU11は、記憶部15に記憶されているプログラムとの協働により、キー操作に応じてディスプレイ10の数値・文字表示欄101a、無線アイコン101b及びConnectedマーク101cの表示を制御する。
この表示制御において、ワイヤレステンキーモード中にCALキー22が押下され、電卓モードに切り替えられると、CPU11は、数値・文字表示欄101aに「0」を表示させるが、第1の実施形態とは異なり、無線アイコン101b及びConnectedマーク101cを点灯させない。第2の実施形態の電卓制御処理Bでは、電卓モードにおいて無線通信部14の電源はOFFとなり、外部機器3との接続は切断されているためである。
その他のキー操作における表示制御は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0061】
以上説明したように、関数電卓1のCPU11は、関数電卓1の電源がONとなった場合に、無線通信部14に電力を供給せずに、電卓モードで動作するよう制御し、操作部13のConnectキー23の長押しがあった場合に、無線通信部14に電力を供給して外部機器3への接続を実行させ、ワイヤレステンキーモードで動作するよう制御する。
したがって、関数電卓1の電源がONになっても、Connectキー23が長押しされることによって外部機器3との接続が指示されるまで無線通信部14に電力を供給しないので、関数電卓1の消費電力を抑えることができる。例えば、関数電卓1の電源をONにした後、一度もConnectキー23が長押しされず、電卓モードのみで使用された場合は、無線通信部14に電力が供給されることはないため、関数電卓1の消費電力を抑えることができる。
【0062】
また、CPU11は、ワイヤレステンキーモードでの動作中に、Connectキー23が短押しされて電卓モードへの切り替えが指示された場合に、外部機器3との接続を維持したまま電卓モードに切り替える。
したがって、電卓モードから再度ワイヤレステンキーモードに移行する際に外部機器3に再接続するための処理を行う必要がなくなり、ワイヤレステンキーモードへの切り替えを迅速に行うことが可能となる。
【0063】
また、CPU11は、ワイヤレステンキーモードでの動作中に、CALキー22が押下された場合に、無線通信部14への電力供給をオフにして電卓モードに切り替える。
したがって、無線通信部14への電力供給が必要ない電卓モードでは、無線通信部14への電力供給をOFFにするので、関数電卓1の消費電力をより一層低減させることができる。
【0064】
また、CPU11は、現在動作中のモード及び無線通信部14による外部機器3との接続状態を示す情報をディスプレイ10に表示させる。
したがって、ユーザが現在動作中のモード及び無線通信部14による外部機器3との接続状態を認識することが可能となる。
【0065】
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明に係る電子機器、制御方法及びプログラムの好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0066】
例えば、上記実施形態では、電子機器が関数電卓である場合を例にとり説明したが、電子機器は関数電卓等の電子計算機に限定されない。
【0067】
また、上記実施形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として半導体メモリを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、ハードディスク、SSDや、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0068】
以上に本発明の実施形態及び変形例を説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施形態及び変形例に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載に基づいて定められる。更に、特許請求の範囲の記載から本発明の本質とは関係のない変更を加えた均等な範囲も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0069】
1 関数電卓(電子機器)
10 ディスプレイ(表示部)
11 CPU(制御部)
12 表示駆動部
13 操作部
14 無線通信部
15 記憶部
16 電源部
21 ACキー
22 CALキー
23 Connectキー
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