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特開2024-109178分散電源装置、分散電力システムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109178
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】分散電源装置、分散電力システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240806BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013826
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】奥村 俊明
(72)【発明者】
【氏名】綾井 直樹
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066AA10
5G066HA15
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、契約容量未満の条件を満たすようにできる分散電源装置、分散電力システムおよび制御方法を提供する。
【解決手段】分散電源装置は、他の分散電源装置と共に分散電力システムに用いられる分散電源装置であって、分散電源装置の出力電力を制御する制御部を含み、制御部は、電気配線上の所定ノードにおける電力が上限値以下に維持されるように分散電源装置の出力電力を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の分散電源装置と共に分散電力システムに用いられる分散電源装置であって、
前記分散電源装置の出力電力を制御する制御部を含み、
前記制御部は、電気配線上の所定ノードにおける電力が上限値以下に維持されるように前記分散電源装置の出力電力を制御する、分散電源装置。
【請求項2】
前記所定ノードは、前記分散電源装置の出力ノードであり、
前記上限値は、前記他の分散電源装置の定格出力電力に基づいて外部から設定される設定値であり、
前記制御部は、前記出力ノードの電力が前記設定値以下に維持されるように前記分散電源装置の前記出力電力を制御する請求項1に記載の分散電源装置。
【請求項3】
前記他の分散電源装置の出力電力を取得するためのセンサをさらに含み、
前記所定ノードは、前記分散電源装置の出力ノードであり、
前記上限値は、外部から設定される設定値から前記他の分散電源装置の前記出力電力を減算して算出され、
前記制御部は、前記分散電源装置の前記出力電力が前記上限値以下に維持されるように前記分散電源装置の前記出力電力を制御する、請求項1に記載の分散電源装置。
【請求項4】
前記分散電力システムが系統と接続される受電点の電力を取得するためのセンサをさらに含み、
前記所定ノードは、前記受電点であり、
前記上限値は、外部から設定される設定値であり、
前記制御部は、前記受電点における電力が前記設定値以下に維持されるように前記分散電源装置の前記出力電力を制御する、請求項1に記載の分散電源装置。
【請求項5】
前記他の分散電源装置の余剰電力を取得するためのセンサをさらに含み、
前記所定ノードは、前記分散電源装置の出力ノードであり、
前記上限値は、外部から設定される設定値から前記他の分散電源装置の前記余剰電力を減算して算出される値であり、
前記制御部は、前記分散電源装置の前記出力電力が前記上限値以下に維持されるように前記分散電源装置の前記出力電力を制御する、請求項1に記載の分散電源装置。
【請求項6】
蓄電池と発電装置とをさらに含み、
前記制御部は、前記発電装置の出力電力から前記分散電源装置の前記出力電力を除いた残りの電力により、前記蓄電池を充電させる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の分散電源装置。
【請求項7】
前記制御部は、系統から所定の要請を受信したことを受けて、前記蓄電池を放電させて前記系統に電力を供給する、請求項6に記載の分散電源装置。
【請求項8】
前記設定値は、リモコンにより設定される、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の分散電源装置。
【請求項9】
前記分散電力システムが系統と接続される受電点の電力を取得するためのセンサをさらに含み、
前記制御部は、前記系統から所定の要請を受信したことを受けて、
前記上限値を前記設定値に変更し、
前記受電点における電力が前記設定値以下に維持されるように前記分散電源装置の前記出力電力を制御する、請求項3に記載の分散電源装置。
【請求項10】
前記制御部は、系統から所定の要請を受信したことを受けて、
前記上限値を前記分散電源装置の定格出力電力に変更し、
前記分散電源装置の前記出力電力が前記上限値以下に維持されるように前記分散電源装置の前記出力電力を制御する、請求項3に記載の分散電源装置。
【請求項11】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の分散電源装置と、
他の分散電源装置とを含む、分散電力システム。
【請求項12】
他の分散電源装置と共に分散電力システムに用いられる分散電源装置の制御方法であって、
電気配線上の所定ノードにおける電力が上限値以下に維持されるように前記分散電源装置の出力電力を制御するステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分散電源装置、分散電力システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システム(例えば特許文献1参照)による発電電力の売電契約には、10kW未満と10kW以上とがある。各売電契約には、売電価格、固定価格による買取期間、固定資産税適用の有無の観点から、一長一短がある。そのため、例えば、住宅用太陽光発電においては、10kW以上を発電可能な量の太陽光パネルを積載できる広い屋根があっても少なく積載されることがある。また、太陽光パネルは10kW以上を発電可能な量を積載するが、発電された直流電力を交流電力に変換するPCS(Power Conditioning System)の出力電力を10kW未満に制限することもある。
【0003】
太陽光発電システムのPCSの製造会社は、上記の両方の売電契約に対応できるように、定格出力電力(以下、定格出力ともいう)が5.5kWおよび4.4kWの2種類のPCSを販売している。10kW未満の契約であれば、定格出力5.5kWのPCSおよび定格出力4.4kWのPCSを用いることにより、システムの最大出力電力を、5.5+4.4=9.9(kW)(即ち10kW未満)にできる。10kW以上の契約であれば、定格出力5.5kWのPCSを2台用いることにより、システムの最大出力電力を5.5×2=11(kW)(即ち10kW以上)にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-163631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、定格出力電力がより大きいPCSが要望されている。例えば、60A以上のオール電化住宅において、停電時にバックアップ可能な全負荷対応のPCSが設置されており、製造会社は、より定格出力電力が大きい(例えば6kW)PCSに集約すれば、低コスト化が可能になる。
【0006】
しかし、既設システムが、定格出力5.5kWのPCSまたは定格出力4.4kWのPCSにより構成され、売電契約が10kW未満である場合、例えば定格出力6kWのPCSを増設すると、契約容量(即ち10kW)以上になってしまう問題がある。売電契約が10kW未満であり、例えば定格出力5.5kWおよび定格出力4.4kWの2台のPCSにより構成されている既設システムの1台のPCSを、より定格容量の大きいPCS(例えば、定格出力6kW)により代替する場合にも、契約容量以上になってしまう問題がある。
【0007】
したがって、本開示は、既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、契約容量未満の条件を満たすようにできる分散電源装置、分散電力システムおよび制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に係る分散電源装置は、他の分散電源装置と共に分散電力システムに用いられる分散電源装置であって、分散電源装置の出力電力を制御する制御部を含み、制御部は、電気配線上の所定ノードにおける電力が上限値以下に維持されるように分散電源装置の出力電力を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、契約容量未満の条件を満たすようにできる分散電源装置、分散電力システムおよび制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る分散電力システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、変形例に係る分散電力システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、第2実施形態に係る分散電力システムの構成を示すブロック図である。
図4図4は、図3に示した制御部の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、第3実施形態に係る分散電力システムの構成を示すブロック図である。
図6図6は、図5に示した制御部の動作を示すフローチャートである。
図7図7は、第4実施形態に係る分散電力システムの構成を示すブロック図である。
図8図8は、図7に示した制御部の動作を示すフローチャートである。
図9図9は、第5実施形態に係る分散電力システムの構成を示すブロック図である。
図10図10は、図9に示した制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組合せてもよい。
【0012】
(1)本開示の第1の局面に係る分散電源装置は、他の分散電源装置と共に分散電力システムに用いられる分散電源装置であって、分散電源装置の出力電力を制御する制御部を含み、制御部は、電気配線上の所定ノードにおける電力が上限値以下に維持されるように分散電源装置の出力電力を制御する。これにより、既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、契約容量(例えば10kW)未満の条件を満たすようにできる。
【0013】
(2)上記(1)において、所定ノードは、分散電源装置の出力ノードであることができ、上限値は、他の分散電源装置の定格出力電力に基づいて外部から設定される設定値であることができ、制御部は、出力ノードの電力が設定値以下に維持されるように分散電源装置の出力電力を制御することができる。これにより、既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、確実に契約容量未満の条件を満たすようにできる。
【0014】
(3)上記(1)において、分散電源装置は、他の分散電源装置の出力電力を取得するためのセンサをさらに含んでいてもよく、所定ノードは、分散電源装置の出力ノードであってもよく、上限値は、外部から設定される設定値から他の分散電源装置の出力電力を減算して算出されてもよく、制御部は、分散電源装置の出力電力が上限値以下に維持されるように分散電源装置の出力電力を制御してもよい。これにより、既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、確実に契約容量未満の条件を満たすようにできる。
【0015】
(4)上記(1)において、分散電源装置は、分散電力システムが系統と接続される受電点の電力を取得するためのセンサをさらに含んでいてもよく、所定ノードは、受電点であってもよく、上限値は、外部から設定される設定値であってもよく、制御部は、受電点における電力が設定値以下に維持されるように分散電源装置の出力電力を制御してもよい。これにより、負荷消費分を系統に供給可能になる。
【0016】
(5)上記(1)において、分散電源装置は、他の分散電源装置の余剰電力を取得するためのセンサをさらに含んでいてもよく、所定ノードは、分散電源装置の出力ノードであってもよく、上限値は、外部から設定される設定値から他の分散電源装置の余剰電力を減算して算出される値であってもよく、制御部は、分散電源装置の出力電力が上限値以下に維持されるように分散電源装置の出力電力を制御してもよい。これにより、負荷消費分を系統に供給可能になる。
【0017】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、分散電源装置は、蓄電池と発電装置とをさらに含んでいてもよく、制御部は、発電装置の出力電力から分散電源装置の出力電力を除いた残りの電力により、蓄電池を充電させてもよい。これにより、分散電源装置の出力電力を抑制する場合に、分散電源装置を構成する発電装置、例えばPV(Photovoltaic)パネルの余剰電力が無駄になることを抑制できる。
【0018】
(7)上記(6)において、制御部は、系統から所定の要請を受信したことを受けて、蓄電池を放電させて系統に電力を供給してもよい。これにより、系統において電力不足が発生した場合等に、より一層電力を系統に供給できる。
【0019】
(8)上記(2)から(5)のいずれか1つにおいて、設定値は、リモコンにより設定されてもよい。これにより、増設または代替した新たな分散電源装置に対して、出力電力の制限を容易に設定できる。
【0020】
(9)上記(3)において、分散電源装置は、分散電力システムが系統と接続される受電点の電力を取得するためのセンサをさらに含んでいてもよく、制御部は、系統から所定の要請を受信したことを受けて、上限値を設定値に変更してもよく、受電点における電力が設定値以下に維持されるように分散電源装置の出力電力を制御してもよい。これにより、系統において電力不足が発生した場合等に、系統に、負荷消費分の電力を供給できる。
【0021】
(10)上記(3)において、制御部は、系統から所定の要請を受信したことを受けて、上限値を分散電源装置の定格出力電力に変更してもよく、分散電源装置の出力電力が上限値以下に維持されるように分散電源装置の出力電力を制御してもよい。これにより、系統において電力不足が発生した場合等に、より一層電力を系統に供給できる。
【0022】
(11)本開示の第2の局面に係る分散電力システムは、上記(1)から(10)のいずれか1項に記載の分散電源装置と、他の分散電源装置とを含む。これにより、既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、契約容量(例えば10kW)未満の条件を満たすようにできる。
【0023】
(12)本開示の第3の局面に係る制御方法は、他の分散電源装置と共に分散電力システムに用いられる分散電源装置の制御方法であって、
電気配線上の所定ノードにおける電力が上限値以下に維持されるように分散電源装置の出力電力を制御するステップを含む。これにより、既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、契約容量(例えば10kW)未満の条件を満たすようにできる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
以下の実施形態においては、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0025】
(第1実施形態)
図1を参照して、本開示の第1実施形態に係る分散電力システム100は、第1分散電源装置102、第2分散電源装置104およびリモコン106を含む。分散電力システム100は、例えば、住宅に設定される。第1分散電源装置102は、第1PCS110および太陽光発電部112を含む。第1PCS110は、電力変換器(図示せず)と制御部114とを含む。太陽光発電部112は、複数のPVパネルを含む。第1PCS110は、制御部114の制御を受けて電力変換器(例えばDC/ACコンバータ)により、太陽光発電部112のPVパネルにより発電された直流電力を交流電力に変換して出力する。第1分散電源装置102の定格出力は、例えば、5kW以上10kW未満である。制御部114は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含む。制御部114の機能は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
【0026】
第2分散電源装置104は、第2PCS120と、複数のPVパネルを含む太陽光発電部122とを含む。第2PCS120は、第1分散電源装置102と同様に、電力変換器および制御部(いずれも図示せず)を含み、太陽光発電部122のPVパネルにより発電された直流電力を交流電力に変換して出力する。第2分散電源装置104は、例えば、4.4kWの電力を出力可能である(即ち、定格出力4.4kW)。第1分散電源装置102および第2分散電源装置104から出力される電力は、屋内に配置された負荷902に供給される。負荷902は、家電機器等である。第1分散電源装置102および第2分散電源装置104から供給される電力は、電力会社との売電契約に応じて系統900にも供給(即ち売電)される。売電電力は、ELB(Earth Leakage circuit Breaker:漏電遮断器)130、CB(Circuit Breaker:遮断器)132およびWH(Watt hour Meter:電力量計)134を介して、系統900に供給される。なお、第1分散電源装置102は、第2分散電源装置104よりも多くのPVパネルを有し、第2分散電源装置104よりも大きい電力を出力可能である。
【0027】
リモコン106は、第1PCS110に接続されており、第1PCS110の制御部114に対する設定を行うための操作装置を含む。リモコン106は、第1分散電源装置102における電力に関する情報(太陽光発電部112による発電状態等)を表示するための表示装置を有していてもよい。リモコン106は、第2分散電源装置104にも接続されていてもよい。その場合、リモコン106は、第2PCS120の制御部に対する設定を行い、第2分散電源装置104における電力に関する情報(太陽光発電部122による発電状態等)を表示してもよい。
【0028】
リモコン106は、人(例えばユーザ)の操作を受けて、第1分散電源装置102の出力電力(即ち、第1分散電源装置102の出力ノードの電力)P1の上限値を変更可能に設定する。第1分散電源装置102の最大出力電力は、太陽光発電部112を構成するPVパネルの数に依存する。実際の出力電力は、天候に依存する。制御部114は、第1PCS110の出力電力P1が、リモコン106から指示された上限値を越えないように第1PCS110の電力変換器を制御する。
【0029】
第1分散電源装置102の出力電力P1の上限値は、第2分散電源装置104の定格出力と、電力契約に応じて設定される。例えば、分散電力システム100に適用される売電契約が10kW未満であり、定格出力4.4kWの第2分散電源装置104が既に設置されている状態で、6kW出力可能な(即ち、定格出力6kW)第1分散電源装置102が新たに設置されるとする(代替設置の場合を含む)。その場合、第1分散電源装置102の出力電力P1の上限値は、リモコン106により5.5kWに設定される。例えば、第1分散電源装置102の出力電力の上限値が5.5kWに設定されると、第1分散電源装置102は、6kWの電力を出力できるが、その出力電力P1は5.5kW以下に制限される。したがって、第1分散電源装置102の出力電力P1(kW単位)および第2分散電源装置104の出力電力P2(kW単位)の合計値(即ち、P1+P2≦9.9(kW))が契約容量(即ち10kW)未満の条件を満たすようにできる。
【0030】
例えば、分散電力システム100に適用される売電契約が10kW未満であり、既に設置されている第2分散電源装置104が定格出力5.5kWであり、定格出力6kWの第1分散電源装置102が新たに設置されるとする(代替設置の場合を含む)。その場合、第1分散電源装置102の出力電力P1の上限値は、リモコン106により4.4kWに設定される。例えば、第1分散電源装置102の出力電力の上限値が4.4kWに設定されると、第1分散電源装置102は、6kWの電力を出力できるが、その出力電力は4.4kW以下に制限される。したがって、第1分散電源装置102の出力電力P1および第2分散電源装置104の出力電力P2の合計値(即ち、P1+P2≦9.9(kW))が契約容量(即ち10kW)未満の条件を満たすようにできる。
【0031】
なお、第1分散電源装置102の定格出力は6kWでなくてもよい。第1分散電源装置102の定格出力は、5kW以上10kW未満であればよい。いずれの場合にも、リモコン106により、第1分散電源装置102の第1分散電源装置102の出力電力P1の上限値は、第1分散電源装置102の出力電力P1および第2分散電源装置104の出力電力P2の合計値が契約容量(即ちの10kW)未満の条件を満たすように設定され得る(即ち、P1+P2≦9.9(kW))。
【0032】
リモコン106を用いて、第1分散電源装置102の出力電力の上限値を設定することにより、分散電力システム100の出力電力の制限を容易に設定できる。
【0033】
上記においては、分散電源装置が2台である場合を説明したが、これに限定されない。3台以上の分散電源装置により分散電力システムが構成されていてもよい。その場合においても、特定の1台の分散電源装置に対して、全体の出力電力の合計値が契約容量未満の条件を満たすように、出力電力の上限値を設定すればよい。即ち、契約容量から、特定の1台を除いた分散電源の定格出力の合計値を減算して得られた値よりも小さい値を、特定の1台の分散電源に対して、出力電力の上限値として設定すればよい。
【0034】
(変形例)
分散電力システム100において、第1分散電源装置102の出力電力が制限されることにより、太陽光発電部112の発電電力が無駄になることがある。例えば、第1分散電源装置102(即ち太陽光発電部112)が6kW出力可能である場合、第1分散電源装置102の出力電力の上限値が例えば5.5kWに設定されると、天候が良好であり太陽光発電部112の発電電力が最大(即ち6kW)になった場合には、その差(即ち0.5kW)が無駄になる。変形例に係る分散電力システムは、このように太陽光発電部112の発電電力が無駄になることを抑制できる。
【0035】
図2を参照して、変形例に係る分散電力システム150は、第1分散電源装置152、第2分散電源装置104およびリモコン106を含む。分散電力システム150は、例えば、住宅に設定される。分散電力システム150は、分散電力システム100において、第1分散電源装置102を第1分散電源装置152により代替したものである。したがって以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0036】
第1分散電源装置152は、第1PCS154および太陽光発電部112を含む。第1PCS154は、電力変換器(図示せず)と、蓄電池156と、制御部158とを含む。太陽光発電部112は、複数のPVパネルを含む。第1PCS154は、制御部158の制御を受けて電力変換器(例えばDC/ACコンバータ)により、太陽光発電部112のPVパネルにより発電された直流電力を交流電力に変換して出力する。第1分散電源装置152の定格出力は、例えば、5kW以上10kW未満である。制御部158は、例えば、CPUおよびメモリを含む。制御部158の機能は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
【0037】
蓄電池156は、充放電可能なリチウムイオン二次電池等の充放電可能な蓄電池である。蓄電池156は、直流電源として機能する。蓄電池156は太陽光発電部112および電力変換器に接続されている。蓄電池156は、制御部158による制御を受けて、太陽光発電部112から供給される電力により充電される。
【0038】
リモコン106は、第1PCS154に接続されており、第1PCS154の制御部158に対する設定を行うための操作装置を含む。リモコン106は、人の操作を受けて、第1分散電源装置152(即ち第1PCS154)の出力電力(即ち、第1分散電源装置152の出力ノードの電力)P1の上限値を変更可能に設定する。制御部158は、第1PCS154の出力電力P1が、リモコン106から指示された上限値を越えないように第1PCS154の電力変換器を制御する。
【0039】
第1分散電源装置152の出力電力P1の上限値は、図1に示した第1分散電源装置102と同様に、第2分散電源装置104の最大出力電力と、電力契約に応じて設定される。例えば、分散電力システム150に適用される売電契約が10kW未満であり、定格出力4.4kWの第2分散電源装置104が既に設置されている状態で、定格出力6kWの第1分散電源装置152が新たに設置されるとする(代替設置の場合を含む)。その場合、第1分散電源装置152の出力電力P1の上限値は、リモコン106により5.5kWに設定される。これにより、分散電力システム150において、第1分散電源装置152の出力電力P1および第2分散電源装置104の出力電力P2の合計値(即ち、P1+P2≦9.9kW)が契約容量(即ち10kW)未満の条件を満たすようにできる。
【0040】
太陽光発電部112が6kWを出力していても、第1PCS154からは5.5kWまでしか出力されない。その場合、制御部158は、太陽光発電部112よる発電電力の一部により蓄電池156を充電させる。また、太陽光発電部112の発電電力が5.5kW未満に低下した場合、制御部158は、蓄電池156に放電させる。蓄電池156の放電電力は、太陽光発電部112による発電電力と共に、電力変換器により交流電力に変換されて第1PCS154から出力され、負荷902および系統900に供給される。これにより、太陽光発電部112の発電電力が無駄になることを抑制できる。
【0041】
例えば、分散電力システム100に適用される売電契約が10kW未満であり、既に設置されている第2分散電源装置104が定格出力5.5kWであり、定格出力6kWの第1分散電源装置152が新たに設置されるとする(代替設置の場合を含む)。その場合、第1分散電源装置152の出力電力P1の上限値は、リモコン106により4.4kWに設定される。これにより、分散電力システム150において、第1分散電源装置152の出力電力P1および第2分散電源装置104の出力電力P2の合計値(即ち、P1+P2≦9.9(kW))が契約容量(即ち10kW)未満の条件を満たすようにできる。
【0042】
この場合にも、太陽光発電部112の発電電力が無駄になることを抑制できる。例えば、太陽光発電部112が6kWを出力していても、第1PCS154からは4.4kWまでしか出力されない。その場合、上記したように、制御部158は、太陽光発電部112よる発電電力の一部により蓄電池156を充電させる。また、太陽光発電部112の発電電力が4.4kW未満に低下した場合、制御部158は、蓄電池156に放電させる。蓄電池156の放電電力は、太陽光発電部112による発電電力と共に、電力変換器により交流電力に変換されて第1PCS154から出力され、負荷902および系統900に供給される。したがって、太陽光発電部112の発電電力が無駄になることを抑制できる。
【0043】
(第2実施形態)
上記において、第1分散電源装置102または第1分散電源装置152は、設定された上限値を越えないように電力を出力する。しかし、2台の分散電源装置の出力電力の合計値が契約容量未満であればよいので、例えば第2分散電源装置104の出力電力が低下した場合、第1分散電源装置102または第1分散電源装置152から上記の上限値以上の電力を出力してもよい。第2実施形態においては、第2分散電源装置104とは別の分散電源装置から、上限値を越えて電力を出力できる。
【0044】
図3を参照して、第2実施形態に係る分散電力システム200は、第1分散電源装置202、第2分散電源装置104、リモコン106およびセンサ204を含む。分散電力システム200は、例えば、住宅に設定される。分散電力システム200は、分散電力システム100において、第1分散電源装置102を第1分散電源装置202により代替し、センサ204を追加したものである。したがって以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0045】
第1分散電源装置202は、第1PCS206および太陽光発電部112を含む。第1PCS206は、電力変換器(図示せず)と、制御部208とを含む。太陽光発電部112は、複数のPVパネルを含む。第1PCS206は、制御部208の制御を受けて電力変換器(例えばDC/ACコンバータ)により、太陽光発電部112のPVパネルにより発電された直流電力を交流電力に変換して出力する。第1分散電源装置202の定格出力は、例えば、5kW以上10kW未満である。制御部208は、例えば、CPUおよびメモリを含む。制御部208の機能は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
【0046】
センサ204は、第2分散電源装置104(即ち第2PCS120)の出力電力を検出するためのセンサである。センサ204は、例えば電流センサであり、センサ204の検出値(即ち電流値)が制御部208に入力される。制御部208は、入力される電流値から電力(図3において(P2)により示す)を算出する。
【0047】
リモコン106は、制御部208に接続されており、第1PCS206の制御部208に対する設定を行うための操作装置を含む。本実施形態においては、第1実施形態とは異なり、リモコン106は制御部208に出力電力の上限値を設定しない。その代わりに、リモコン106は制御部208に、例えば契約容量未満の設定値(例えば、9.9kW)を出力する。制御部208は、受信した設定値を制御部208内部のメモリに記憶する。
【0048】
(動作)
図4を参照して、第1分散電源装置202(即ち第1PCS206)の動作に関して説明する。図4に示した処理は、制御部208により実行される。即ち、図4に示した処理は、制御部208内部のCPUが、制御部208内部のメモリに記憶されているプログラムを読出し、実行することにより実現される。図4に示した処理は、例えば、第1PCS206の電源がオンされ、リモコン106の操作により電力出力が指示されたことにより開始する。
【0049】
ステップ300において、制御部208は、センサ204により検出される電流値から第2分散電源装置104の出力電力P2を取得する。例えば、制御部208は、センサ204の電流値から出力電力P2を算出する。
【0050】
ステップ302において、制御部208は、P1≦9.9-P2となるように、第1分散電源装置202の出力電力(即ち、第1分散電源装置202の出力ノードの電力)P1を調整する。即ち、制御部208は、内部に配置されたセンサにより第1分散電源装置202(即ち第1PCS206)の出力電力P1を算出し、P1+P2が9.9kW以下(P1+P2≦9.9(kW))になるように、第1PCS206の電力変換器を制御する。つまり、第1分散電源装置202の出力電力(即ち、第1分散電源装置202の出力ノードの電力)の上限値が(9.9-P2)に設定されたことになる。例えば、太陽光発電部122の発電状態が、P2=4.4(kW)である状態であれば、制御部208は、P1≦5.5kWとなるように電力変換装置を制御する。例えば、太陽光発電部122の発電状態が、P2≦3.9kWである状態であれば、制御部208は、P1=6(kW)(第1分散電源装置202の最大出力)となるように電力変換装置を制御する。
【0051】
ステップ304において、制御部208は、終了が指示されたか否かを判定する。終了が指示されたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ300に戻り、上記した処理を繰返す。終了の指示は、例えば、リモコン106の操作によりなされる。
【0052】
これにより、第1分散電源装置202の出力電力P1および第2分散電源装置104の出力電力P2の合計値を、契約容量(即ち10kW)未満にできる(即ち、P1+P2≦9.9kW)。したがって、既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、確実に契約容量未満の条件を満たすようにできる。また、第1分散電源装置202は、第2分散電源装置104の出力電力が低下した場合には、最大電力を出力できるようになり、発電電力の大きい第1分散電源装置202を有効に利用できる。
【0053】
変形例として上記したように、第1PCS206は、蓄電池を含み、太陽光発電部112による発電電力の一部により蓄電池を充電してもよい。また、太陽光発電部112の発電電力が低下した場合、蓄電池を放電させ、蓄電池の直流電力を電力変換器により交流電力に変換して、系統900または負荷902に供給してもよい。これにより、太陽光発電部112の発電電力が無駄になることを抑制できる。
【0054】
(第3実施形態)
上記においては、売電契約が、2台の分散電源装置の出力電力の合計値が契約容量(即ち10kW)未満である場合を説明したが、これに限定されない。第3実施形態においては、分散電力システムが系統に接続される受電点における電力を契約容量(即ち10kW)未満とする。
【0055】
図5を参照して、第3実施形態に係る分散電力システム220は、第1分散電源装置222、第2分散電源装置104、リモコン106およびセンサ224を含む。分散電力システム220は、例えば、住宅に設定される。分散電力システム220は、分散電力システム100において、第1分散電源装置102を第1分散電源装置222により代替し、センサ224を追加したものである。したがって以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0056】
第1分散電源装置222は、第1PCS226および太陽光発電部112を含む。第1PCS226は、電力変換器(図示せず)と、制御部228とを含む。太陽光発電部112は、複数のPVパネルを含む。第1PCS226は、制御部228の制御を受けて電力変換器(例えばDC/ACコンバータ)により、太陽光発電部112のPVパネルにより発電された直流電力を交流電力に変換して出力する。第1分散電源装置222の定格出力は、例えば、5kW以上10kW未満である。制御部228は、例えば、CPUおよびメモリを含む。制御部228の機能は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
【0057】
センサ224は、受電点の電力を検出するためのセンサである。センサ224は、例えば電流センサであり、センサ224の検出値(即ち電流値)が制御部228に入力される。制御部228は、入力される電流値から電力(図5において(P3)により示す)を算出する。
【0058】
リモコン106は、第1PCS226に接続されており、第1PCS226の制御部228に対する設定を行うための操作装置を含む。本実施形態においては、リモコン106は第1PCS226(即ち制御部228)に、例えば契約容量未満の設定値(例えば、9.9kW)を出力する。制御部228は、受信した設定値を制御部228内部のメモリに記憶する。
【0059】
(動作)
図6を参照して、第1分散電源装置222(即ち第1PCS226)の動作に関して説明する。図6に示した処理は、制御部228により実行される。即ち、図6に示した処理は、制御部228内部のCPUが、制御部228内部のメモリに記憶されているプログラムを読出し、実行することにより実現される。図6に示した処理は、例えば、第1PCS226の電源がオンされ、リモコン106の操作により電力出力が指示されたことにより開始する。
【0060】
ステップ320において、制御部228は、センサ224により検出される電流値から受電点の電力P3(kW単位)を取得する。例えば、制御部228は、センサ224の電流値から受電点の電力P3を算出する。
【0061】
ステップ322において、制御部228は、P3≦9.9となるように、第1分散電源装置222の出力電力(即ち、第1分散電源装置222の出力ノードの電力)P1を調整する。即ち、制御部228は、内部に配置されたセンサにより第1分散電源装置222(即ち第1PCS226)の出力電力P1を算出し、P3が契約容量、即ち10kW未満になるように、第1PCS226の電力変換器を制御する。この結果、分散電力システム220の受電点における電力の上限値が9.9kWに設定されたことになる。
【0062】
ステップ324において、制御部228は、終了が指示されたか否かを判定する。終了が指示されたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ320に戻り、上記した処理を繰返す。終了の指示は、例えば、リモコン106の操作によりなされる。
【0063】
例えば、太陽光発電部122の発電状態が、P2=4.4(kW)である状態であり、負荷902の消費電力が0kWであれば、P3=P1+4.4-0≦9.9(kW)、即ち、P1≦9.9-4.4=5.5(kW)となるように電力変換装置を制御する。例えば、太陽光発電部122の発電状態が、P2=4.4(kW)である状態であっても、負荷902の消費電力が0.5kW以上であれば、P3=P1+4.4-0.5≦9.9(kW)、即ち、P1≦9.9-3.9=6(kW)(即ち、第1分散電源装置202の最大出力)となるように電力変換装置を制御する。
【0064】
これにより、既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、契約容量未満の条件を満たすようにできる。また、負荷902による消費電力分を系統900に供給可能になる。
【0065】
変形例として上記したように、第1PCS226は、蓄電池を含み、太陽光発電部112による発電電力の一部により蓄電池を充電してもよい。また、太陽光発電部112の発電電力が低下した場合、蓄電池を放電させ、蓄電池の直流電力を電力変換器により交流電力に変換して、系統900または負荷902に供給してもよい。これにより、太陽光発電部112の発電電力が無駄になることを抑制できる。
【0066】
(第4実施形態)
第3実施形態においては、分散電力システムが系統に接続される受電点における電力を契約対象とし、受電点における電力を監視する場合を説明したが、これに限定されない。第4実施形態においては、同様に、分散電力システムが系統に接続される受電点における電力を契約対象とするが、受電点以外のノードの電力を監視する。
【0067】
図7を参照して、第4実施形態に係る分散電力システム240は、第1分散電源装置242、第2分散電源装置104、リモコン106およびセンサ244を含む。分散電力システム240は、例えば、住宅に設定される。分散電力システム240は、第3実施形態に係る分散電力システム220において、第1分散電源装置222およびセンサ224を、それぞれ第1分散電源装置242およびセンサ244により代替したものである。したがって以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0068】
第1分散電源装置242は、第1PCS246および太陽光発電部112を含む。第1PCS246は、電力変換器(図示せず)と、制御部248とを含む。太陽光発電部112は、複数のPVパネルを含む。第1PCS246は、制御部248の制御を受けて電力変換器(例えばDC/ACコンバータ)により、太陽光発電部112のPVパネルにより発電された直流電力を交流電力に変換して出力する。第1分散電源装置242の定格出力は、例えば、5kW以上10kW未満である。制御部248は、例えば、CPUおよびメモリを含む。制御部248の機能は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
【0069】
センサ244は、第2分散電源装置104の余剰電力を監視するためのセンサである。そのために、センサ244は、ELB130と負荷902とを接続する電気配線上において、第2分散電源装置104の出力端子の接続位置と、第1分散電源装置242の出力端子の接続位置との間に配置されている。センサ244は、例えば電流センサであり、センサ244の検出値(即ち電流値)が制御部248に入力される。制御部248は、入力される電流値から、センサ244が設置されたノードにおける電力(図7において(P4)により示す)を算出する。
【0070】
リモコン106は、第1PCS246に接続されており、第1PCS246の制御部248に対する設定を行うための操作装置を含む。本実施形態においては、リモコン106は第1PCS246(即ち制御部248)に、例えば契約容量未満の設定値(例えば、9.9kW)を出力する。制御部248は、受信した設定値を制御部248内部のメモリに記憶する。
【0071】
(動作)
図8を参照して、第1分散電源装置242(即ち第1PCS246)の動作に関して説明する。図8に示した処理は、制御部248により実行される。即ち、図8に示した処理は、制御部248内部のCPUが、制御部248内部のメモリに記憶されているプログラムを読出し、実行することにより実現される。図8に示した処理は、例えば、第1PCS246の電源がオンされ、リモコン106の操作により電力出力が指示されたことにより開始する。
【0072】
ステップ340において、制御部248は、第2分散電源装置104の余剰電力P4を取得する。例えば、制御部248は、センサ244の電流値から電力P4を算出する。
【0073】
ステップ342において、制御部248は、内部に配置されたセンサにより第1分散電源装置242(即ち第1PCS246)の出力電力P1を算出し、ステップ340により得られたP4を用いて、P1≦9.9-P4(kW)を満たすように、第1PCS246の電力変換器を制御する。即ち、第1分散電源装置242(即ち第1PCS246)の出力ノードにおける電力の上限値が(9.9-P4)kWに設定されたことになる。
【0074】
P1≦9.9-P4を変形すると、P1+P4≦9.9kWとなり、これは、第1分散電源装置242の出力電力P1と第2分散電源装置104の余剰電力P4との合計値、即ち、受電点における電力が、契約容量である10kW未満であることを表す。即ち、ステップ342により、分散電力システム240は売電契約を満たすことができる。
【0075】
ステップ344において、制御部248は、終了が指示されたか否かを判定する。終了が指示されたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ340に戻り、上記した処理を繰返す。終了の指示は、例えば、リモコン106の操作によりなされる。
【0076】
例えば、太陽光発電部122の発電状態が、P2=4.4(kW)である状態であり、負荷902の消費電力が0kWであれば、P4=P2であり、P1≦9.9-P4=9.9-4.4=5.5(kW)となるように電力変換装置を制御する。例えば、太陽光発電部122の発電状態が、P2=4.4(kW)である状態であっても、負荷902の消費電力が0.5kW以上であれば、P4=P2-(負荷902の消費電力)≦4.4-0.5=3.9(kW)であり、0.9-P4≧9.9-3.9=6(kW)となる。したがって、第1分散電源装置242は、最大出力である6kWまで出力可能となる。
【0077】
これにより、既設の分散電力システムにおいて、増設または一部の分散電源装置を新たな分散電源装置により代替する際に、契約容量未満の条件を満たすようにできる。また、負荷902による消費電力分を系統900に供給可能になる。
【0078】
変形例として上記したように、第1PCS246は、蓄電池を含み、太陽光発電部112による発電電力の一部により蓄電池を充電してもよい。また、太陽光発電部112の発電電力が低下した場合、蓄電池を放電させ、蓄電池の直流電力を電力変換器により交流電力に変換して、系統900または負荷902に供給してもよい。これにより、太陽光発電部112の発電電力が無駄になることを抑制できる。
【0079】
(第5実施形態)
上記においては、第1実施形態および第2実施形態においては、分散電力システムを構成する分散電源装置の出力電力の合計値が契約容量(例えば10kW)未満の条件を満たすように、分散電源装置を制御する(以下第1契約という)。一方、第3実施形態および第4実施形態においては、受電点における電力(即ち売電電力)が契約容量(例えば10kW)未満の条件を満たすように、分散電源装置を制御する(以下第2契約という)。しかし、これらに限定されない。第5実施形態に係る分散電力システムにおいては、通常時には第1契約に従って動作し、系統において電力不足が発生した場合に、系統からの要請を受けて、第2契約に従って動作する。
【0080】
図9を参照して、第5実施形態に係る分散電力システム260は、第1分散電源装置262、第2分散電源装置104、リモコン106、センサ204および264を含む。分散電力システム260は、例えば、住宅に設定される。分散電力システム260は、第2実施形態に係る分散電力システム200(図3参照)において、第1分散電源装置202を第1分散電源装置262により代替し、センサ224を追加したものである。センサ224は、第3実施形態(図5参照)と同様に、受電点に配置されている。したがって以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0081】
第1分散電源装置262は、第1PCS266および太陽光発電部112を含む。第1PCS266は、電力変換器(図示せず)と、制御部268とを含む。太陽光発電部112は、複数のPVパネルを含む。第1PCS266は、制御部268の制御を受けて電力変換器(例えばDC/ACコンバータ)により、太陽光発電部112のPVパネルにより発電された直流電力を交流電力に変換して出力する。第1分散電源装置262の定格出力は、例えば、5kW以上10kW未満である。制御部268は、例えば、CPUおよびメモリを含む。制御部268の機能は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
【0082】
制御部268には、センサ204の検出値(即ち電流値)が入力される。制御部268は、入力される電流値から電力(図9において(P2)により示す)を算出する。また、制御部268には、センサ224の検出値(即ち電流値)も入力される。制御部228は、入力される電流値から電力(図9において(P3)により示す)を算出する。
【0083】
制御部268には、系統900から所定の電気信号(後述する要請Rおよび要請解除)が入力される。制御部268は、所定の電気信号が入力されると、後述するように制御動作を切替える。
【0084】
リモコン106は、第1PCS266に接続されており、第1PCS266の制御部268に対する設定を行うための操作装置を含む。本実施形態においては、リモコン106は第1PCS266(即ち制御部268)に、例えば契約容量未満の設定値(例えば、9.9kW)を出力する。制御部268は、受信した設定値を制御部268内部のメモリに記憶する。
【0085】
(動作)
図10を参照して、第1分散電源装置262(即ち第1PCS266)の動作に関して説明する。図10に示した処理は、制御部268により実行される。即ち、図10に示した処理は、制御部268内部のCPUが、制御部268内部のメモリに記憶されているプログラムを読出し、実行することにより実現される。図10に示した処理は、例えば、第1PCS266の電源がオンされ、リモコン106の操作により電力出力が指示されたことにより開始する。図10は、図4に示したフローチャートに、図6に示したステップ320、ステップ322およびステップ324と、新たなステップ360およびステップ362とを追加したものである。したがって以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0086】
ステップ360において、制御部268は、電力供給の要請を受信したか否かを判定する。具体的には、368は、系統900から所定レベル以上(例えばハイレベル)の信号(即ち要請R)を受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ320に移行する。そうでなければ、制御はステップ300に移行し、第2実施形態として上記したように、ステップ300、ステップ302およびステップ304を実行する。ステップ304による判定結果がNOであれば、制御はステップ360に戻る。ステップ304による判定結果がYESであれば、本プログラムは終了する。
【0087】
これにより、制御部268が要請Rまたは終了の指示を受信するまでは、即ち、ステップ360およびステップ304による判定結果が共にNOである間は、第2実施形態と同様の制御が実行される。即ち、第1分散電源装置262は、第1PCS266の出力電力P1と第2分散電源装置104の出力電力P2の合計値が、契約容量(即ち10kW)未満になるように、第1PCS266の電力変換器を制御する。したがって、第1分散電源装置262は、第2分散電源装置104の出力電力が低下した場合には、最大電力を出力できるようになり、発電電力の大きい第1分散電源装置262を有効に利用できる。
【0088】
一方、ステップ360による判定結果がYESであれば、第3実施形態と同様に、ステップ320およびステップ322が実行される。
【0089】
その後、ステップ362において、制御部268は、ステップ360により受信した要請の解除を受信したか否かを判定する。具体的には、制御部268は、系統900から要請Rが伝達されるラインの電位が所定レベル未満(例えばローレベル)になったか否かを判定する。要請解除を受信したと判定された場合、制御はステップ304に移行する。そうでなければ、制御はステップ324に移行し、ステップ324による判定結果がNOであれば、制御はステップ320に戻る。ステップ324による判定結果がYESであれば、本プログラムは終了する。
【0090】
これにより、制御部268が要請解除または終了の指示を受信するまでは、即ち、ステップ362およびステップ324による判定結果が共にNOである間は、第3実施形態と同様の制御が実行される。即ち、第1分散電源装置262は、受電点における電力P3が、契約容量、即ち10kW未満になるように、第1PCS266の電力変換器を制御する。したがって、分散電力システム260は、負荷902による消費電力分を系統900に供給可能になる。
【0091】
変形例として上記したように、第1PCS266は、蓄電池を含み、太陽光発電部112による発電電力の一部により蓄電池を充電してもよい。また、太陽光発電部112の発電電力が低下した場合、蓄電池を放電させ、蓄電池の直流電力を電力変換器により交流電力に変換して、系統900または負荷902に供給してもよい。これにより、太陽光発電部112の発電電力が無駄になることを抑制できる。
【0092】
なお、系統900からの要請Rおよび要請解除は、直接制御部268に入力される代わりに、リモコン106に入力され、リモコン106から制御部268に伝送されてもよい。
【0093】
上記においては、受電点における電力を契約容量未満に制限する場合を説明したが、系統から要請を受けた場合には、第1分散電源装置は、契約電力を考慮せず(例えば、第2分散電源装置の出力電力P2を考慮せず)、定格出力(例えば、6kW)を出力してもよい。これにより、系統において電力不足が発生した場合等に、より一層電力を系統に供給できる。
【0094】
また、第1分散電源装置が蓄電池を有する場合、第1分散電源装置は、系統からの要請を受けて、蓄電池を放電させ、電力変換器により交流電力に変換して、系統に供給してもよい。これにより、系統において電力不足が発生した場合等に、より一層電力を系統に供給できる。
【0095】
以上、実施の形態を説明することにより本開示を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本開示は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本開示の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0096】
100、150、200、220、240、260 分散電力システム
102、152、202、222、242、262 第1分散電源装置
104 第2分散電源装置
106 リモコン
110、154、206、226、246、266 第1PCS
112、122 太陽光発電部
114、158、208、228、248、268 制御部
120 第2PCS
130 ELB
132 CB
134 WH
156 蓄電池
204、224、244 センサ
300、302、304、320、322、324、340、342、344、360、362 ステップ
900 系統
902 負荷
P1、P2、P3、P4 電力
R 要請
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10