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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109195
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】端子構造体
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/593 20210101AFI20240806BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/516 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/557
H01M50/55 101
H01M50/588
H01M50/516
H01M50/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013857
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】村松 大輔
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011BB03
5H043AA02
5H043AA13
5H043BA16
5H043BA19
5H043DA09
5H043FA40
5H043GA23
5H043GA26
5H043JA01D
5H043JA04D
5H043LA02D
5H043LA33D
(57)【要約】
【課題】落下時に端子本体が落下地点に最初に接触した場合に生じる問題の発生を抑えられる端子構造体を提供する。
【解決手段】電池ケースを備えた二次電池に用いられる端子構造体PSであって、少なくとも平面部51を有する端子本体50と、端子本体50と電池ケース12との間を絶縁する絶縁部材31と、を備え、端子本体50の平面部51は、電池ケース12の外部に配設される部位であって、表面51aがバスバ溶接面であり、絶縁部材31は、端子本体50の平面部51の裏面51bと電池ケース12との間に配設される基部32と、端子本体50の平面部51の側面52に沿って基部32から延設される側壁部33と、を有しており、側壁部33は、延設方向下流側の端面34が平面部51の表面51aよりも突出するように形成されており、延設方向下流側の端面34に開口するように形成された切欠き部を有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ケースを備えた二次電池に用いられる端子構造体であって、
少なくとも平面部を有する端子本体と、
前記端子本体と前記電池ケースとの間を絶縁する絶縁部材と、を備え、
前記端子本体の前記平面部は、前記電池ケースの外部に配設される部位であって、表面がバスバ溶接面であり、
前記絶縁部材は、
前記端子本体の前記平面部の裏面と前記電池ケースとの間に配設される基部と、
前記端子本体の前記平面部の側面に沿って前記基部から延設される側壁部と、を有しており、
前記側壁部は、
延設方向下流側の端面が前記平面部の表面よりも突出するように形成されており、
前記延設方向下流側の端面に開口するように形成された切欠き部を有している端子構造体。
【請求項2】
前記絶縁部材は、歪み率10%での圧縮応力が15MPa以上の材料からなり、
前記側壁部の突出長さは、前記延設方向における前記側壁部の長さの10%以上である請求項1に記載の端子構造体。
【請求項3】
前記端子本体の前記平面部は、表面に直交する方向視で略矩形状であり、
前記絶縁部材の前記側壁部のうち少なくとも前記平面部の長手方向と平行な部分は、前記延設方向下流側の端面が前記平面部の表面よりも突出している請求項1又は2に記載の端子構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ケースを備えた二次電池に用いられる端子構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド自動車などのモータを駆動源とする電動車両では、ニッケル水素蓄電池やリチウムイオン蓄電池などの二次電池が電源として用いられている。この種の二次電池としては、電池ケース内に電極体や電解液、電極体に電気的に接続される集電端子などの各種電池要素が収容され、電池ケースの外側に配設される外部接続用の端子と集電端子とが電気的に接続された構成を有したものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、容器や電極端子を備えた蓄電素子が開示されている。当該蓄電素子は、板状の端子本体及び端子本体に接続された軸部を有する電極端子や、端子本体と容器との間に配設され、電極端子の軸部が貫通する貫通孔が形成された絶縁部材を備えている。また、当該蓄電素子において、絶縁部材は、端子本体の端面に沿って配置された側壁部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-61740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の蓄電素子では、絶縁部材の側壁部の上端面が板状の端子本体の上面よりも下側に位置する状態、換言すれば、端子本体の端面の上面側が絶縁部材に囲まれていない状態になっている。このように、端子本体の端面の上面側が絶縁部材に囲まれていない状態となっている場合、蓄電素子が落下した際に、端子本体が落下地点に最初に接触し易い。
【0006】
ここで、端子本体が落下地点に最初に接触した場合、端子本体に強い衝撃が加わることになる。そして、端子本体に強い衝撃が加わることにより、電池ケースの変形や、端子自体或いは端子と電極体との接合箇所の破損といった問題が発生する虞がある。
【0007】
つまり、特許文献1記載の蓄電素子では、落下時に端子本体が落下地点に最初に接触し易いことで、端子本体が落下地点に最初に接触した場合に生じる問題が発生し易い。
【0008】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、落下時に端子本体が落下地点に最初に接触した場合に生じる問題の発生を抑えられる端子構造体の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る端子構造体の特徴構成は、
電池ケースを備えた二次電池に用いられる端子構造体であって、
少なくとも平面部を有する端子本体と、
前記端子本体と前記電池ケースとの間を絶縁する絶縁部材と、を備え、
前記端子本体の前記平面部は、前記電池ケースの外部に配設される部位であって、表面がバスバ溶接面であり、
前記絶縁部材は、
前記端子本体の前記平面部の裏面と前記電池ケースとの間に配設される基部と、
前記端子本体の前記平面部の側面に沿って前記基部から延設される側壁部と、を有しており、
前記側壁部は、
延設方向下流側の端面が前記平面部の表面よりも突出するように形成されており、
前記延設方向下流側の端面に開口するように形成された切欠き部を有している点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、絶縁部材が延設方向下流側の端面が平面部の表面よりも突出している側壁部を有していることで、端子構造体を用いた二次電池が落下した際に、絶縁部材が落下地点に最初に接触し易くなる。したがって、端子本体が落下地点に最初に接触した場合に生じる問題の発生を抑制できる。
また、絶縁部材が上記側壁部を有していることで、端子本体と電池ケースとの絶縁距離を確保し易くなる。
【0011】
また、上記特徴構成によれば、側壁部が切欠き部を有していることで、例えば、隣接する二次電池の外部端子間を電気的に接続するセル間接続部材などが取付可能な構造となり、また、当該セル間接続部材を取り付ける際の位置決めも容易になる。
【0012】
また、本発明に係る端子構造体の更なる特徴構成は、
前記絶縁部材は、歪み率10%での圧縮応力が15MPa以上の材料からなり、
前記側壁部の突出長さは、前記延設方向における前記側壁部の長さの10%以上である点にある。
【0013】
落下時に絶縁部材が最初に落下地点に接触する場合、端子本体が最初に落下地点に接触する場合と比較して、端子本体への衝撃が軽減されるため、電池ケース内で電極体から端子が外れるなどの問題は生じ難くなる。しかしながら、絶縁部材が最初に落下地点に接触る場合でも二次電池への衝撃は避けられない。
上記特徴構成によれば、落下時の衝撃を絶縁部材によって吸収することができ、落下時における二次電池への衝撃を軽減できる。したがって、上記特徴構成によれば、落下時の衝撃によって二次電池に生じ得る問題の発生を抑制できる。
【0014】
また、本発明に係る端子構造体の更なる特徴構成は、
前記端子本体の前記平面部は、表面に直交する方向視で略矩形状であり、
前記絶縁部材の前記側壁部のうち少なくとも前記平面部の長手方向と平行な部分は、前記延設方向下流側の端面が前記平面部の表面よりも突出している点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、延設方向下流側の端面が端子本体の平面部の表面よりも突出する部分が多くなり、落下時により絶縁部材が最初に落下地点に接触し易くなる。したがって、上記特徴構成によれば、端子本体が最初に落下地点に接触した場合に生じる問題の発生をより抑制し易くなる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係る端子構造体によれば、落下時に端子本体が落下地点に最初に接触した場合に生じる問題の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る二次電池の分解斜視図である。
図2】一実施形態に係る二次電池の概略構成を示す断面図である。
図3図2のIII-III部分の拡大断面図である。
図4図3のIV-IV部分の断面図である。
図5】本実施形態の正極端子構造体を示す分解斜視図である。
図6】隣接する二次電池の外部端子の間をバスバで電気的に接続した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る端子構造体について説明する。なお、以下においては、端子構造体をリチウムイオン二次電池に用いる態様を例にとって説明する。また、以下では、説明を明確にするために、各記載や各図面を適宜簡略化している。
【0019】
〔二次電池1の概要〕
図1及び図2を参照して、本実施形態の端子構造体PS,NSを備えた二次電池1の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る二次電池1の分解斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る二次電池1の概略構成を示す断面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態の二次電池1は、ケース本体11及び封口板12からなる電池ケース10や、端子構造体PS,NS、集電端子27,28、電極体20、電解液(図示せず)などを備えている。二次電池1は、ケース本体11の内部に電極体20や集電端子27,28などを収容して開口を封口板12で封止した上で、ケース本体11の内部に電解液を注入した密閉型の二次電池である。
【0021】
〔電池ケース10の構成〕
本実施形態において、電池ケース10は、上部が開口した略直方体形状のケース本体11と、ケース本体11の開口を封止する封口板12とから構成されており、これらはいずれもアルミニウム製である。本実施形態において、封口板12は、上面視略矩形状の平板部材からなり、長手方向一端側に正極端子が配設され、長手方向他端側に負極端子が配設されている。
【0022】
〔電極体20の構成〕
本実施形態の電極体20は、長尺な帯状の正極材及び負極材を同じく帯状のセパレータを介して積層した状態で捲回して扁平形状に圧縮した捲回体で構成される。本実施形態の電極体20は、厚み方向視において略矩形状であり、厚み方向視における長手方向の一方端側には、正極材が集箔された正極端子接合部21が形成され、他方端側には、負極材が集箔された負極端子接合部22が形成されている。なお、電極体20の構造は特に限定されるものではなく、一般的な密閉型二次電池に用いられる種々の構造を採用できる。また、正極材及び負極材に用いる材料は、特に限定されるものではないが、本実施形態において、正極材にはアルミニウム、負極材には銅を用いている。
【0023】
本実施形態において、電極体20は、絶縁性を有するフィルムに覆われた状態で、厚み方向及び長手方向が水平方向と平行になる姿勢でケース本体11の内部に収容されており、電極体20とケース本体11とがフィルムによって絶縁されている。
【0024】
〔正極側及び負極側の構成〕
本実施形態において、二次電池1は、端子構造体としての正極端子構造体PS及び負極端子構造体NSを備えている。詳細については後述するが、正極端子構造体PSは、正極外部端子50及び正極ガスケット31で構成され、負極端子構造体NSは、負極外部端子60及び負極ガスケット37で構成されている。また、二次電池1は、集電端子としての正極集電端子27及び負極集電端子28を備えている。正極端子は、正極外部端子50及び正極集電端子27からなり、負極端子は、負極外部端子60及び負極集電端子28からなる。本実施形態では、正極外部端子50及び負極外部端子60が「端子本体」に相当し、正極ガスケット31及び負極ガスケット37が「絶縁部材」に相当する。
【0025】
本実施形態において、正極側と負極側とでは、外部端子50,60及び集電端子27,28を構成する材料が異なる点を除き、両者は同様の構成を有している。したがって、以下においては、正極側を例にとって、その構成について、図3図6を参照しつつ説明する。図3は、図2のIII-III部分の拡大断面図である。図4は、図3のIV-IV部分の断面図である。図5は、正極端子構造体PSを示す分解斜視図である。図6は、隣接する二次電池の外部端子50,60の間をバスバBで電気的に接続した状態を示す模式図である。
【0026】
図3図5に示すように、正極端子構造体PSは、正極外部端子50と正極ガスケット31とを備えている。正極外部端子50は、外部接続用の端子であり、正極ガスケット31は、正極外部端子50と封口板12とを絶縁するとともに、正極外部端子50と封口板12との間の気密を維持するための部材である。
【0027】
本実施形態において、正極外部端子50は、上面視(換言すれば、表面51aに直交する方向視)略矩形状の板状部51と円柱形状の軸部53とを有している。板状部51は、表面51a(上面)がバスバ溶接面になっており、表面51aと裏面51bとの周縁部を連結し、厚み方向と平行な側面52を有している。側面52は、短手方向と平行な一対の短側面52a,52bと、長手方向と平行な一対の長側面52c,52dと有している。また、軸部53は、板状部51の裏面51bから下方に向けて延設されており、その下端側には加締め部54が形成されている。本実施形態において、正極外部端子50はアルミニウム製であるが、正極外部端子50の材料は特に限定されるものでなく、導電性の良好な各種金属や合金を用いることができる。本実施形態では、板状部51が「平面部」に相当する。
【0028】
正極ガスケット31は、絶縁性を有する材料からなる部材である。後述するように、正極ガスケット31では、二次電池1の落下時に正極外部端子50よりも先に落下地点に接触し易い構成を採用しているため、落下時の衝撃を可能な限り吸収できる材料からなることが望ましい。そこで、本実施形態において、正極ガスケット31には、23℃における歪み率10%での圧縮応力が15MPa以上の材料を用いている。このような性質を有するものとしては、PFA樹脂やFEP樹脂、PTFE樹脂等を例示できる。本実施形態の正極ガスケット31には、PFA樹脂を用いている。
【0029】
正極ガスケット31は、基部32及び側壁部33を有するとともに筒部35を有している。
【0030】
本実施形態において、基部32は、上面視矩形状の板状の部位である。基部32には、上面視における中央部に、正極外部端子50の軸部53を挿通するための貫通孔32cが上下面(表裏面)に貫通して形成されている。
【0031】
筒部35は、基部32の裏面32bにおける貫通孔32cの開口縁部から下方に向けて延設された円筒形状の部位である。筒部35は、筒内が基部32の貫通孔32cと連通しており、当該筒内に正極外部端子50の軸部53が挿通される。
【0032】
側壁部33は、基部32の表面32aの外縁部から上方に向けて延設された上面視矩形状の枠状の部位である。側壁部33は、上面視短手方向と平行な一対の短側壁部33a,33bと、上面視長手方向と平行な一対の長側壁部33c,33dとを有している。
【0033】
本実施形態の正極端子構造体PSは、正極外部端子50の軸部53が正極ガスケット31における基部32の貫通孔32cに挿通するとともに、正極外部端子50の板状部51の裏面51bが正極ガスケット31の基部32の表面32aに当接した状態で、正極ガスケット31の4つの側壁部33に囲まれた空間内に配設された構造を有している。この状態において、正極外部端子50の板状部51の4つの側面52と、正極ガスケット31の4つの側壁部33の内壁面とは平行である。つまり、側壁部33は、正極外部端子50の板状部51の側面52に沿って基部32から延設されている。
【0034】
ここで、端子構造体PS,NSを用いた二次電池1において、当該二次電池1が落下した際に、端子構造体PS,NSが落下地点に最初に接触する可能性が高い。そして、端子構造体PS,NSが落下地点に最初に接触する際に、端子構造体PS,NSを構成する外部端子50,60が最初に接触すると、当該外部端子50,60に強い衝撃が加わることで、電池ケース10の変形や、正極端子及び負極端子自体の破損、後述する集電端子27,28と電極体20の端子接合部21,22との接合箇所の破損といった問題が発生する虞がある。
【0035】
そこで、本実施形態においては、二次電池1の落下時に外部端子50,60が最初に落下地点に接触するのを抑制するための措置を各端子構造体PS,NSに講じている。すなわち、本実施形態の正極端子構造体PSでは、正極ガスケット31の側壁部33の上端面34が正極外部端子50の表面51aよりも突出するように形成されている。本実施形態において、上端面34が「延設方向下流側の端面」に相当する。詳細な説明については省略するが、負極端子構造体NSも同様の構成を有している。
【0036】
具体的に、本実施形態においては、正極ガスケット31における一対の長側壁部33c,33dを、その上端面34c,34dが正極外部端子50の表面51aよりも突出するように形成している。より具体的には、本実施形態の一対の長側壁部33c,33dは、その上端面34c,34dと正極外部端子50の表面51aとの間の上下方向の距離を突出長さH1とし、基部32の裏面32bから長側壁部33c,33dの上端面34c,34dまでの上下方向の距離を長側壁部33c,33dの長さH2としたときに、突出長さH1が長側壁部33c,33dの長さH2の10%以上となるように形成されている。
【0037】
なお、正極外部端子50の板状部51の表面51aには、バスバの位置決め用の突部や凹部が形成されている場合がある。この場合、表面51aとは、これら突部や凹部を構成する面を含む表面である。したがって、例えば、表面51aに突部が形成されている場合に、一対の長側壁部33c,33dの上端面34c,34dは、突部の上端面よりも突出するように形成される。
【0038】
このように、正極ガスケット31の一対の長側壁部33c,33dの上端面34c,34dが正極外部端子50の表面51aよりも突出していることで、二次電池1が落下した際に、正極外部端子50よりも正極ガスケット31(より具体的には、長側壁部33c,33d)が先に落下地点に接触し易くなる。また、23℃における歪み率10%での圧縮応力が15MPa以上の材料を正極ガスケット31に用いた場合、例えば、質量0.2kgの二次電池が高さ0.15mの位置から落下した際に、長側壁部33c,33dの上端面34c,34dから落下地点に接触しても、正極ガスケット31によって落下時の衝撃を吸収でき、且つ、長側壁部33c,33dの延設方向における変形量を長さH2の10%未満に抑え易い。そのため、正極ガスケット31が、23℃における歪み率10%での圧縮応力が15MPa以上の材料からなり、且つ、突出長さH1が長側壁部33c,33dの長さH2の10%以上であれば、当該正極ガスケット31によって落下時の衝撃を吸収しつつ、落下地点に対する正極外部端子50の接触を抑制できる。
【0039】
一方で、正極ガスケット31の側壁部33の上端面34を正極外部端子50の表面51aよりも突出させた場合、当該側壁部33が障害となって、正極外部端子50の表面51aへのバスバの取付に支障を来たす虞がある。
【0040】
そこで、本実施形態の正極端子構造体PSにおいて、正極ガスケット31の側壁部33は、その上端面34に開口するように形成された切欠き部36を有している。具体的に、本実施形態では、正極ガスケット31の一対の短側壁部33a,33bが、その上端面34a,34bが正極外部端子50の表面51aよりも下方に位置するように形成されている。つまり、側壁部33の一対の短側壁部33a,33bは、切欠き部36として機能する。
【0041】
このように、正極ガスケット31が、上端面34a,34bが正極外部端子50の表面51aよりも下方に位置する短側壁部33a,33b(切欠き部36)を有していることにより、図6に示すように、当該切欠き部36を通してバスバBを取り付けることが可能となる。つまり、切欠き部36は、バスバBを取り付けるために形成された部位である。また、切欠き部36が位置決め部として機能するため、バスバBを取り付ける際のバスバBの位置決めが容易である。
【0042】
正極集電端子27は、電極体20から電力を出入力するための端子であり、封口板12の下面側、換言すれば、ケース本体11の内部に配設されている。本実施形態において、正極集電端子27はアルミニウム製であるが、正極集電端子27の材料は特に限定されるものでなく、導電性の良好な各種金属や合金を用いることができる。
【0043】
また、正極集電端子27は、二次電池1の高さ方向(電極体20の短手方向)に沿って延びる長尺な板状の部材である。本実施形態の正極集電端子27は、その下端側に、電極体20の正極端子接合部21に接合される電極接続部27aを有している(図1及び図2参照)。また、図3及び図4に示すように、上端側には、正極外部端子50の軸部53を挿通するための貫通孔27cが上下面を貫通して形成された端子接続部27bを有している。
【0044】
正極絶縁部材29は、絶縁性を有する材料からなる板状の部材であり、本実施形態においてはPFA樹脂からなる部材である。図3及び図4に示すように、本実施形態の正極絶縁部材29は、正極外部端子50の軸部53を挿通するための貫通孔29aが上下面を貫通して形成されている。
【0045】
本実施形態の正極側においては、正極端子構造体PSが、正極ガスケット31の筒部35及び当該筒部35に挿通した正極外部端子50の軸部53が貫通孔12aに挿通するとともに、正極ガスケット31の基部32の裏面32bが封口板12の上面に当接した状態で、当該封口板12の長手方向一端側に配設されている。すなわち、正極外部端子50の板状部51は、電池ケース10の外部に配設され、正極ガスケット31の基部32は、正極外部端子50の板状部51の裏面51bと電池ケース10との間に配設されている。また、正極集電端子27は、封口板12の長手方向一端側の下面の側に配設された正極絶縁部材29の下側に配置されている。本実施形態において、正極絶縁部材29の貫通孔29a及び正極集電端子27の貫通孔27cには、正極外部端子50の軸部53が挿通しており、端子接続部27bから突出した加締め部54が加締め加工されることで、正極外部端子50と正極集電端子27とが接合されている。また、正極集電端子27の電極接続部27aは、正極端子接合部21に接合されている。本実施形態では、正極外部端子50と封口板12とが正極ガスケット31によって絶縁され、正極集電端子27と封口板12とが正極絶縁部材29によって絶縁されており、また、正極ガスケット31(具体的には筒部35)によって、封口板12の貫通孔12aと正極外部端子50の軸部53との気密が維持されている。
【0046】
上記のように、本実施形態の負極側は、正極側と略同様の構成を備えている。すなわち、本実施形態において、負極側は、負極外部端子60及び負極ガスケット37からなる負極端子構造体NS、負極集電端子28及び負極絶縁部材30を備えている。なお、本実施形態において、負極外部端子60及び負極集電端子28は銅製であるが、これに限られるものではなく、負極外部端子60及び負極集電端子28には、導電性の良好な各種金属や合金を用いることができる。
【0047】
したがって、負極側においても正極側と同様に、二次電池1が落下した際に、負極外部端子60よりも負極ガスケット37が先に落下地点に接触し易くなる。また、23℃における歪み率10%での圧縮応力が15MPa以上の材料を負極ガスケット37に用いた場合、例えば、質量0.2kgの二次電池が高さ0.15mの位置から落下した際に、長側壁部の上端面から落下地点に接触しても、負極ガスケット37によって落下時の衝撃を吸収でき、且つ、長側壁部の延設方向における変形量を当該長側壁部の長さの10%未満に抑え易い。そのため、負極ガスケット37が、23℃における歪み率10%での圧縮応力が15MPa以上の材料からなり、且つ、突出長さが長側壁部の長さの10%以上であれば、当該負極ガスケット37によって落下時の衝撃を吸収しつつ、落下地点に対する負極外部端子60の接触を抑制できる。
【0048】
また、負極ガスケット37が、上端面が負極外部端子60の表面よりも下方に位置する短側壁部(切欠き部)を有していることにより、切欠き部を通してバスバを取り付けることが可能となる。更に、切欠き部が位置決め部として機能するため、バスバを取り付ける際のバスバの位置決めが容易である。
【0049】
詳細な説明については省略するが、本実施形態の負極側においては、封口板12の長手方向他端側の上面側に、負極端子構造体NSが配設され、下面側に、負極集電端子28及び負極絶縁部材30が配設されており、端子接続部から突出した加締め部が加締め加工されることで、負極外部端子60と負極集電端子28とが接合されている。また、負極集電端子28の電極接続部28aは、負極端子接合部22に溶接されている。なお、負極外部端子60と封口板12とが負極ガスケット37によって絶縁され、負極集電端子28と封口板12とが負極絶縁部材30によって絶縁されており、また、負極ガスケット37(具体的には筒部)によって、封口板12の貫通孔と負極外部端子60の軸部との気密が維持されている。
【0050】
〔別実施形態〕
〔1〕上記実施形態では、正極外部端子50の板状部51が表面51aに直交する方向視で略矩形状であり、側壁部33のうち、一対の長側壁部33c,33dを、その上端面34c,34dが正極外部端子50の表面51aよりも突出するように形成している態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。側壁部33の上端面34の少なくとも一部が正極外部端子50の表面51aよりも突出するように形成されている態様であれば、側壁部33の上端面34の全体が正極外部端子50の表面51aよりも下方に位置する場合と比較して、二次電池1の落下時に、正極外部端子50よりも正極ガスケット31が先に落下地点に接触し易くなる。例えば、一対の長側壁部33c,33dの代わりに、一対の短側壁部33a,33bの上端面34a,34bが正極外部端子50の表面51aよりも突出する態様であってもよい。なお、外部端子50,60よりもガスケット31,37が先に落下地点に接触し易くするという点からすれば、側壁部33の上端面34のうち、バスバBが取り付け可能な程度の大きさに形成した切欠き部36を除く全体が、正極外部端子50の表面51aよりも突出するように形成されていることが好ましい。また、各外部端子50,60は、表面がバスバ溶接面となる平面部を有していれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0051】
〔2〕上記実施形態では、正極ガスケット31が、23℃における歪み率10%での圧縮応力が15MPa以上である材料を用いたものであり、突出長さH1が長側壁部33c,33dの長さH2の10%以上である態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。各ガスケット31,37に用いる材料及び側壁部33の突出長さH1は、二次電池1の質量や想定される落下距離から予測される衝撃、使用時の環境温度を考慮して、ガスケット31,37が変形しても外部端子50,60が落下地点に接触し難くなるように、適宜選択、設計すればよい。
【0052】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 :電池ケース
11 :ケース本体(電池ケース)
12 :封口板(電池ケース)
31 :正極ガスケット(絶縁部材)
32 :基部
33 :側壁部
34 :上端面(延設方向下流側の端面)
33a,33b:短側壁部
34a,34b:上端面
33c,33d:長側壁部
34c,34d:上端面
36 :切欠き部
37 :負極ガスケット(絶縁部材)
50 :正極外部端子(端子本体)
51 :板状部(平面部)
51a :表面(バスバ溶接面)
51b :裏面
52 :側面
60 :負極外部端子(端子本体)
PS :正極端子構造体(端子構造体)
NS :負極端子構造体(端子構造体)
H1 :突出長さ
H2 :長側壁部の長さ(側壁部の長さ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6