(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109196
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】搬送設備
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240806BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20240806BHJP
H04W 4/029 20180101ALI20240806BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240806BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H04W64/00 110
H04W4/029
H04W84/10 110
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013858
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中江 哲史
【テーマコード(参考)】
3F022
5F131
5K067
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022EE05
3F022JJ08
3F022KK11
3F022MM08
5F131AA02
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA35
5F131DA05
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5F131DA43
5F131DC06
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5F131DD56
5F131DD57
5F131DD59
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5F131DD73
5F131DD74
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5F131DD82
5F131DD83
5F131DD84
5F131DD85
5F131GA14
5F131GA33
5K067AA21
5K067DD20
5K067EE25
5K067FF23
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】通信状態が安定しない搬送車に対して適切に指令を出力できる端末装置を備えた搬送設備が望まれる。
【解決手段】複数台の搬送車と、作業者により操作されて搬送車に対する指令を出力する端末装置と、を備えた搬送設備であって、端末装置は、無線通信を行う通信部と、搬送車の識別情報のリストを表示する表示部と、演算処理を行う演算処理部と、を備え、演算処理部は、搬送車を検出する検出処理と、新たに検出された搬送車の識別情報をリストに追加するリスト追加処理とを実行すると共に、基準周期T毎にリストに表示する識別情報を更新するリスト更新処理を実行し、演算処理部は、1度の検出処理で検出されてリストに表示した識別情報を、基準周期よりも長く設定された猶予期間Sが経過した以後の最初のリスト更新処理を実行するまでは、リストへの表示を継続する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の搬送車と、前記搬送車と無線通信により接続可能であると共に、作業者により操作されて前記搬送車に対する指令を出力する端末装置と、を備えた搬送設備であって、
前記端末装置は、前記無線通信を行う通信部と、前記搬送車の識別情報のリストを表示する表示部と、演算処理を行う演算処理部と、を備え、
前記演算処理部は、前記通信部を介して接続可能な前記搬送車を検出する検出処理と、前記検出処理により新たに検出された前記搬送車の前記識別情報を前記リストに追加するリスト追加処理とを実行すると共に、予め定められた基準周期毎に前記リストに表示する前記識別情報を更新するリスト更新処理を実行し、
前記演算処理部は、1度の前記検出処理で検出されて前記リストに表示した前記搬送車の前記識別情報を、前記基準周期よりも長く設定された猶予期間が経過した以後の最初の前記リスト更新処理を実行するまでは、前記検出処理により検出されなくても前記リストへの表示を継続する、搬送設備。
【請求項2】
前記演算処理部は、最後に前記検出処理で検出されてから前記猶予期間が経過した以後の最初の前記リスト更新処理を実行するまでの間、連続して前記検出処理により検出されなかった前記搬送車の前記識別情報を、前記リスト更新処理により前記リストから削除する、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項3】
前記演算処理部は、前記検出処理により検出された前記搬送車のそれぞれとの前記通信部を介した前記無線通信での電波強度を検出する電波強度検出処理を実行し、前記電波強度検出処理により検出された前記電波強度が強い前記搬送車から順に前記リストの上位となるように、前記電波強度検出処理を実行する毎に、前記リストに表示される複数の前記識別情報の並び順を入れ替える、請求項1又は2に記載の搬送設備。
【請求項4】
前記猶予期間は、前記基準周期のN倍(Nは1以上の整数)の期間である、請求項1又は2に記載の搬送設備。
【請求項5】
前記猶予期間の始期は、前記検出処理の実行時点より前の最後の前記リスト更新処理の実行時点、又は、前記検出処理の実行時点より後の最初の前記リスト更新処理の実行時点である、請求項4に記載の搬送設備。
【請求項6】
前記演算処理部は、前記無線通信による接続対象となる前記搬送車の前記識別情報を、予め設定された登録上限数まで登録可能な接続対象リストを記憶しており、未登録の前記搬送車の前記識別情報を新たに前記接続対象リストに登録することによって前記登録上限数を超えることになる場合には、既に登録された前記搬送車の前記識別情報のうち、最後に前記検出処理で検出されてからの経過時間が最も長い前記搬送車の前記識別情報を前記接続対象リストから削除する削除処理を実行する、請求項1又は2に記載の搬送設備。
【請求項7】
前記演算処理部は、前記無線通信による前記搬送車からの電波を受信した場合に、当該搬送車の前記識別情報が前記接続対象リストに登録されていない場合には、その識別情報を前記接続対象リストに登録する新規登録処理を行い、前記新規登録処理によって前記接続対象リストに登録された前記識別情報の数が前記登録上限数を超える場合に、前記削除処理を実行する、請求項6に記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の搬送車と、前記搬送車と無線通信により接続可能であると共に、作業者により操作されて前記搬送車に対する指令を出力する端末装置と、を備えた搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2015-198347号公報(特許文献1)には、端末装置に関する技術が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す記号は特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1の端末装置(無線端末識別装置10)は、近距離無線通信機能を有しており、複数の無線端末(50)と通信可能に構成されている。端末装置は、通信履歴記憶部(21)と、近距離無線通信部(11)と、端末検出部(12)と、表示制御部(14)と、表示部(40)とを備えている。近距離無線通信部(11)は、無線端末(50)と近距離無線通信を行うための無線通信プロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標)等)を有している。端末検出部12は、無線端末(50)を探索するための探索メッセージを一定期間毎に送信し、探索メッセージを受信した無線端末(50)から応答メッセージを受信することによって無線端末(50)を検出する。無線端末(50)から受信した応答メッセージは、通信履歴記憶部(21)に記憶される。そして、表示制御部(14)は、通信履歴記憶部(21)に記憶された履歴情報に基づいて、検出した無線端末(50)の識別情報を表示部(40)に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の端末装置のように、一定期間毎に無線端末の検出処理が行われる場合、表示部に表示される無線端末の識別情報も、検出処理の結果に伴い、一定期間毎に更新される。そのため、端末装置と無線端末との距離が離れてしまった場合には、表示部に表示されていた当該無線端末の識別情報は、表示部に表示されなくなる。そのため、このような端末装置の技術を、複数台の搬送車を備えた搬送設備に適用しようとした場合には、以下のような課題が生じる。
【0006】
すなわち、端末装置と複数台の搬送車のいずれかの間で無線通信を行い、端末装置により特定の対象搬送車を操作する場合、端末装置と対象搬送車との位置関係や周囲の状況によっては、電波の干渉や障害物等の影響により通信状態が安定せず、端末装置が、対象搬送車を一時的に検出できないことがあった。例えば、端末装置が対象搬送車を検出できたり検出できなかったりを繰り返すような場合に、表示部の更新のタイミングによっては、実際には端末装置と対象搬送車とが通信可能な状態であっても表示部に対象搬送車の識別情報が表示されておらず、当該対象搬送車に対する操作を行うことができない状態となる場合があった。
【0007】
そこで、通信状態が安定しない搬送車に対して適切に指令を出力できる端末装置を備えた搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る搬送設備は、複数台の搬送車と、前記搬送車と無線通信により接続可能であると共に、作業者により操作されて前記搬送車に対する指令を出力する端末装置と、を備えた搬送設備であって、
前記端末装置は、前記無線通信を行う通信部と、前記搬送車の識別情報のリストを表示する表示部と、演算処理を行う演算処理部と、を備え、
前記演算処理部は、前記通信部を介して接続可能な前記搬送車を検出する検出処理と、前記検出処理により新たに検出された前記搬送車の前記識別情報を前記リストに追加するリスト追加処理とを実行すると共に、予め定められた基準周期毎に前記リストに表示する前記識別情報を更新するリスト更新処理を実行し、
前記演算処理部は、1度の前記検出処理で検出されて前記リストに表示した前記搬送車の前記識別情報を、前記基準周期よりも長く設定された猶予期間が経過した以後の最初の前記リスト更新処理を実行するまでは、前記検出処理により検出されなくても前記リストへの表示を継続する。
【0009】
本構成によれば、いずれかの搬送車である対象搬送車と端末装置との通信状態が安定しないために、検出処理によって対象搬送車が検出されたり検出されなかったりする場合であっても、一度検出されてから猶予期間が経過した以後の最初のリスト更新処理を実行するまでの間は、当該対象搬送車の識別情報がリストから削除されることなく表示部に表示される。すなわち、検出処理によって対象搬送車が検出されたり検出されなかったりする場合に、対象搬送車がリストから削除されて当該対象搬送車に対する指令を出力できない状態となる期間を少なくすることができる。従って、作業者は、通信状態が安定しない搬送車に対しても、迅速に指令を出力することが可能となる。
このように、本構成によれば、通信状態が安定しない搬送車に対して適切に指令を出力できる端末装置を備えた搬送設備を実現することができる。
【0010】
搬送設備のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図10】別実施形態における基準周期を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、搬送設備の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、搬送設備1は、複数台の搬送車2と、搬送車2と無線通信により接続可能であると共に、作業者Pにより操作されて搬送車2に対する指令を出力する端末装置3と、を備えている。本実施形態では、
図6に示すように、搬送設備1は、複数台の搬送車2を制御する制御装置90を更に備えている。具体的には、制御装置90の搬送車制御部91が、各搬送車2を制御する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、搬送車2は、物品Wを搬送する。本実施形態では、搬送車2は、搬送経路4に沿って移動して物品Wを搬送する。本例では、搬送経路4は、天井に沿って配置されており、搬送経路4に沿ってレールRが設けられている。すなわち、搬送車2は、レールRに案内されて搬送経路4を走行する。具体的には、
図2に示すように、レールRは、天井から吊り下げ支持された状態で天井に固定されている。本例では、搬送経路4に沿って一対のレールRが設けられている。このように、搬送車2は、天井から吊り下げ支持された一対のレールRに案内されて走行する天井搬送車である。なお、搬送車2は、天井搬送車に限定されない。搬送車2は、床面を走行する無人搬送車(AGV)等とされていてもよい。
【0015】
図6に示すように、搬送車2は、搬送車通信部21を備えている。各搬送車2は、搬送車通信部21を介して、制御装置90及び端末装置3と通信可能になっている。本例では、搬送車2は、搬送車制御部91から搬送指令を受信すると、搬送経路4を走行して物品Wを搬送する。
図1及び
図2の例では、搬送設備1には、搬送経路4に沿って複数の処理装置5が配置されている。搬送車2は、搬送経路4を走行して、処理装置5との間で物品Wの受け渡しを行う。搬送車2は、レールRに案内されて走行する走行部22と、走行部22に上方から支持されている収容部23と、物品Wを保持する保持部24と、を備えている。物品Wは、収容部23に収容された状態で搬送される。保持部24は、収容部23に対して昇降可能に支持されており、保持部24の昇降により処理装置5との間で物品Wの受け渡しが行われる。なお、物品Wは、半導体基板を収容する容器(例えば、FOUP:Front Opening Unified Pod)である。そして、処理装置5では、物品Wに収納されている半導体基板に対して処理が行われる。なお、物品Wは、半導体基板を収容する容器以外にも、例えばレチクルを収容するレチクル収納容器(いわゆるレチクルポッド)等であっても良い。
【0016】
本例では、搬送車通信部21は、端末装置3に対して識別情報81を含んだ電波(ビーコン信号)を発信する発信機を有している。ここでは、発信機は、Bluetooth(登録商標)を使用したビーコン発信機とされている。識別情報81は、複数台の搬送車2のそれぞれが有している情報であり、搬送車2の機種や識別番号、ビーコンID等を示す情報とすることができる。
図3の例では、後述する表示部32に、識別情報81として搬送車2の機種及び識別番号が表示されている。このように、本例では、搬送車2と端末装置3との近距離無線通信として、Bluetooth(登録商標)が採用されているが、これには限定されない。例えば、近距離無線通信として、Wi-Fi等が採用されていてもよい。また、搬送車2と端末装置3との通信手段として、複数種類の近距離無線通信の組合せを採用してもよい。
【0017】
図2に示すように、作業者Pは、端末装置3を操作して、搬送車2に指令を送信することができる。本例では、作業者Pは、端末装置3を操作して、メンテナンスが必要な搬送車2に対して指令を行う。
図1の例では、搬送経路4に、メンテナンス用経路41が接続されている。作業者Pは、端末装置3を操作して、メンテナンスが必要な搬送車2に対して、メンテナンス用経路41に移動させる。端末装置3は、搬送経路4に存在する複数の搬送車2から1つ又は複数の搬送車2を選択可能に構成されている。そして、選択された搬送車2に対して、作業者Pにより入力された指令を送信する。以下では、端末装置3の構成について説明する。
【0018】
図6に示すように、端末装置3は、無線通信を行う通信部31と、搬送車2の識別情報81のリストを表示する表示部32と、演算処理を行う演算処理部33と、を備えている。また、端末装置3は、情報を記憶する記憶部34を更に備えている。なお、本例では、端末装置3は、タブレット端末であり、作業者Pがタブレット端末をハンディターミナルとして使用する(
図2)。
【0019】
本実施形態では、通信部31は、複数台の搬送車2のそれぞれと無線通信を行う。具体的には、通信部31は、各搬送車2が備える搬送車通信部21から、各搬送車2の識別情報81を受信することができる。また、通信部31は、各搬送車2に対して指令情報82を送信することができる。本例では、指令情報82は、搬送車2を特定の場所(例えば、
図1に示すメンテナンス用経路41等)に向けて走行させたり、走行中の搬送車2を停止させたりするような指令を含む情報とされている。通信部31は、通信機能として、近距離通信機能(ここでは、Bluetooth(登録商標)による通信機能)を備えている。そして通信部31は、この近距離通信機能がオンの状態に設定されることで、搬送車通信部21の発信機から送信される電波(ビーコン信号)を受信することができる。
【0020】
表示部32は、通信部31において信号を受信した搬送車2の識別情報81を表示する。
図3の例では、表示部32には、複数の搬送車2から受信した識別情報81のうちの、機種及び識別番号が表示されている。また、表示部32には、複数の搬送車2から受信した電波強度80も表示されている。ここでは、表示部32は、タブレット端末の表示画面とされている。
【0021】
図7及び
図8に示すように、演算処理部33は、通信部31を介して接続可能な搬送車2を検出する検出処理と、検出処理により新たに検出された搬送車2の識別情報81をリストに追加するリスト追加処理とを実行すると共に、予め定められた基準周期T毎にリストに表示する識別情報81を更新するリスト更新処理を実行する。演算処理部33は、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、これにより上記のような処理が実行される。また、本例では、演算処理部33は、記憶部34を含んでいる。つまり、演算処理部33は、各処理に関する情報を記憶するように構成されている。
【0022】
検出処理は、通信部31が備える通信機能がオンの状態に設定されることで実行される。本例では、検出処理は、通信部31の上記通信機能がオン状態から、オフ状態に切り替わるまで、継続的に実行される。本例では、端末装置3の周囲の一定範囲を検出エリアとして、検出エリア内に存在する搬送車2を検出する。演算処理部33は、搬送車2を新たに検出すると、当該搬送車2の識別情報81を搬送車2から受信してリストに追加する(リスト追加処理)。新たな識別情報81がリストに追加されると、表示部32に、追加された識別情報81が表示される。このように、本例では、演算処理部33は、検出処理及びリスト追加処理をリアルタイムに実行する。そのため、検出された搬送車2の識別情報81は、リアルタイムに表示部32に表示される。
【0023】
図2の例では、搬送経路4の一部に搬送車2が通過するトンネル18が設けられている。また、この搬送設備1では、搬送経路4の一部において、上側のレールRに対して下側にレールRが配置されている。上述したように、本例では、近距離無線通信としてBluetooth(登録商標)を採用している。よって、赤外線通信を採用する場合に比べて、トンネル18や下側のレールRが通信の障害となることは回避しやすいが、同じ周波数帯の他の電波との電波干渉が起こりやすく、電波干渉によって通信状態が不安定となり得る。そのため、端末装置3は、搬送経路4を走行中の特定の搬送車2との通信状態が安定せず、当該搬送車2を検出できたり検出できなかったりすることがあり得る。
【0024】
図5(a)では、予め定められた基準周期T毎に、リストに表示される識別情報81を更新する従来例について示している。「t1」から「t6」は、それぞれ時刻を表している。端末装置3が、特定の搬送車2を、「t1」と「t2」との間で最初に検出し、その後、「t2」の直前で検出しなくなった場合、当該搬送車2の識別情報81は、当該搬送車2が最初に検出されてから「t2」まで、すなわち1回目の基準周期Tが経過するまで、リストに表示される。1回目の基準周期Tを経過すると、この識別情報81は、リストから削除される。基準周期Tが10秒であると仮定すると、この搬送車2の識別情報81は、1回目の基準周期Tにおいて、数秒しか表示部32に表示されないため、作業者Pが端末装置3を操作して当該搬送車2に指令を送信することが難しくなり得る。そこで、演算処理部33は、以下で説明するリスト更新処理を実行する。なお、「t3」では、端末装置3が特定の搬送車2を再度検出している。同様に、「t6」でも、端末装置3が当該搬送車2を検出している。
【0025】
図5(b)及び
図8に示すように、演算処理部33は、1度の検出処理で検出されてリストに表示した搬送車2の識別情報81を、基準周期Tよりも長く設定された猶予期間Sが経過した以後の最初のリスト更新処理を実行するまでは、検出処理により検出されなくてもリストへの表示を継続する。また、演算処理部33は、最後に検出処理で検出されてから猶予期間Sが経過した以後の最初のリスト更新処理を実行するまでの間、連続して検出処理により検出されなかった搬送車2の識別情報81を、リスト更新処理によりリストから削除する。これにより、特定の搬送車2が検出されたり検出されなかったりする場合でも、一度検出されてから猶予期間Sが経過するまでの間は、当該搬送車2の識別情報81はリストから削除されることなく表示部32に表示される。本実施形態では、一度検出された特定の搬送車2が、猶予期間Sが経過するまでに再度検出されると、再度検出されてから更に、猶予期間Sが経過した以後の最初のリスト更新処理を実行するまでは、検出処理により検出されなくてもリストへの表示が継続される。このように、猶予期間Sが経過するまでに特定の搬送車2が再検出されれば、当該搬送車2の識別情報81はリストから削除されることなく表示部32に表示され続ける。従って、通信状態が安定しない搬送車2に対して、作業者Pが端末装置3を操作して指令を出力する期間を確保し易くなる。本実施形態では、猶予期間Sは、基準周期TのN倍(Nは1以上の整数)の期間である。本例では、猶予期間Sは、基準周期Tの3倍とされているが、この猶予期間Sは、適宜設定変更可能である。なお、「以後」には、その時点と、それより後の時点との双方が含まれる。
【0026】
本実施形態では、猶予期間Sの始期は、検出処理の実行時点より前の最後のリスト更新処理の実行時点である。そして、演算処理部33は、猶予期間Sが経過した時点までは、検出処理により検出されなくてもリストへの表示を継続する。
図5(b)では、このような猶予期間Sが設定される例を示している。この一例では、端末装置3が、特定の搬送車2を「t1」と「t2」との間で最初に検出すると、猶予期間Sが、「t1」を始期として設定される。ここでは、猶予期間Sは、基準周期Tの3倍とされているため、猶予期間Sの終期は、「t4」に設定される。上記のとおり、リスト更新処理は、基準周期T毎に実行される。従って、猶予期間Sの始期及び終期が、リスト更新処理が実行される時期と同じになっている。また、この一例では、「t3」で、端末装置3が特定の搬送車2を再度検出しているため、猶予期間Sが、「t3」を始期として設定される。同様に、「t6」でも、端末装置3が当該搬送車2を更に再検出しているため、猶予期間Sが、「t6」を始期として設定される。このように、
図5(b)の例では、複数の猶予期間Sが「t1」から絶え間なく設定されているため、この搬送車2の識別情報81は、最初に検出処理により検出されてからリストへの表示が継続されている。従って、作業者Pが端末装置3を操作して、この搬送車2に指令を送信するための十分な期間を確保することができる。また、演算処理部33は、最後に検出処理で検出されてから猶予期間Sが経過した時点までに連続して検出処理により検出されなかった搬送車2の識別情報81を、リスト更新処理によりリストから削除する。本例では、演算処理部33は、最後に検出されてから猶予期間Sが経過した時点のリスト更新処理により、当該搬送車2の識別情報81を削除する。このように、長期間検出されなかった搬送車2の識別情報81を削除することで、表示部32に表示される識別情報81の数が不必要に増加することを抑制できるため、作業者Pによる端末装置3の操作性の向上を図ることができる。なお、作業者Pが、端末装置3を操作して、この搬送車2に指令を行った場合には、当該搬送車2の検出の有無に拘らず、演算処理部33は、当該搬送車2に対して指令情報82を送信する。ここで、指令情報82が当該搬送車2に到達しない場合には、演算処理部33は、指令情報82の送信を繰り返すようにしてもよく、規定の回数を繰り返しても指令情報82が当該搬送車2に到達しない場合には、エラー情報を端末装置3に表示してもよい。また、指令情報82の送信を、搬送車2の検出に関連付けて行うようにすることもできる。
【0027】
本実施形態では、
図7に示すように、演算処理部33は、検出処理により検出された搬送車2のそれぞれとの通信部31を介した無線通信での電波強度80を検出する電波強度検出処理を実行する。また、演算処理部33は、電波強度検出処理により検出された電波強度80が強い搬送車2から順にリストの上位となるように、電波強度検出処理を実行する毎に、リストに表示される複数の識別情報81の並び順を入れ替える。本例では、検出処理により搬送車2が検出される毎に、電波強度検出処理を実行し、電波強度80が強い搬送車2から順にリストの上位となるように、リストに表示される複数の識別情報81の並び順を入れ替える(以下では、単に並び替え処理と称することがある。)。そのため、表示部32に表示される複数の識別情報81は、リアルタイムに電波強度80に基づいて並び替えられる。また、リストには、各識別情報81に対応する電波強度80も表示される。
図3の例では、表示部32に、識別情報81に加えて電波強度80が表示されている。これにより、作業者Pは、リストの上位に表示される搬送車2が、リストの下位に表示される搬送車2と比較して、端末装置3の近くに存在していることを把握できる。なお、上記の並び替え処理は、基準周期T毎に行われるようにすることもできる。
【0028】
本実施形態では、
図4に示すように、演算処理部33は、無線通信による接続対象となる搬送車2の識別情報81を、予め設定された登録上限数まで登録可能な接続対象リスト83を記憶している。接続対象リスト83に登録上限数を設定しておくことで、登録上限数を大幅に超える搬送車2が端末装置3とペアリングし、例えば、端末装置3に過剰な負荷が掛かり、端末装置3が操作不能な状態(フリーズ状態)となることを回避し易くできる。接続対象リスト83には、端末装置3の通信部31と接続可能な搬送車2の識別情報81が予め登録されている。具体的には、通信部31と搬送車通信部21(ここでは、ビーコン発信機)とが接続可能とされる搬送車2の識別情報81が登録されている。演算処理部33は、無線通信による搬送車2からの電波を受信した場合に、当該搬送車2の識別情報81が接続対象リスト83に登録されていない場合には、その識別情報81を接続対象リスト83に登録する新規登録処理を行う。仮に、新規の搬送車2を搬送経路4に導入する場合でも、端末装置3が搬送経路4上の当該搬送車2を検出すると、自動的に当該搬送車2の識別情報81が接続対象リスト83に登録される。そのため、作業者Pが新しく搬送経路4に導入された搬送車2の識別情報81を、予め接続対象リスト83に入力する必要がなくなる。
【0029】
また、
図4に示すように、演算処理部33は、未登録の搬送車2の識別情報81を新たに接続対象リスト83に登録することによって登録上限数を超えることになる場合には、既に登録された搬送車2の識別情報81のうち、最後に検出処理で検出されてからの経過時間が最も長い搬送車2の識別情報81を接続対象リスト83から削除する削除処理を実行する。演算処理部33は、接続対象リスト83の登録上限を超えると判断した場合には、すでに登録されている複数の識別情報81から、最後に検出処理で検出されてからの経過時間が最も長い搬送車2の識別情報81を選択して削除する。本実施形態では、新規登録処理によって接続対象リスト83に登録された識別情報81の数が登録上限数を超える場合に、削除処理を実行する。このように、新規登録処理を行う場合に、既に登録上限数の識別情報81が接続対象リスト83に登録されていると、自動的に、無線接続できる可能性が低いと考えられる搬送車2の識別情報81を削除する。
【0030】
以下では、
図7から
図9のフローチャートに基づいて、演算処理部33による処理について説明する。
【0031】
本例では、上記のように、演算処理部33は、検出処理を継続的に実行する。
図7に示すように、演算処理部33は、検出エリア内の搬送車2を検出したかを判定する(S01)。演算処理部33は、搬送車2を検出した場合(S01:Yes)、電波強度検出処理(S02)を実行する。そして、演算処理部33は、リスト追加処理(S03)を実行してから、並び替え処理(04)を行う。その後、演算処理部33は、基準周期Tが経過したかを判定し(S05)、基準周期Tが経過している場合(S05:Yes)、リスト更新処理(S06)を実行する。
【0032】
図8に示すように、リスト更新処理では、演算処理部33は、最後に検出処理で検出されてから猶予期間Sが経過した後の最初のリスト更新処理を実行するまでの間に、連続して検出処理により検出されなかった搬送車2がある場合には(S21:Yes)、当該搬送車2の識別情報81を、リストから削除し(S22)、表示部32の表示を更新する(S23)。
【0033】
図9に示すように、演算処理部33は、検出処理において、搬送車2からの電波を受信すると(S31)、受信した搬送車2の識別情報81が接続対象リスト83に登録されているかの判定を行う(S32)。演算処理部33は、当該識別情報81が接続対象リスト83に登録されていないと判定した場合(S32:Nо)、当該識別情報81を接続対象リスト83に登録する(S33)。その後、演算処理部33は、接続対象リスト83に登録される識別情報81の数が登録上限数を超えている場合(S34:Yes)には、削除処理を実行する(S35)。
【0034】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0035】
(1)上記の実施形態では、演算処理部33は、検出処理を通信部31の通信機能がオン状態からオフ状態に切り替わるまで、継続的に実行する構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、演算処理部33は、検出処理を基準周期毎に実行してもよい。この場合、演算処理部33は、リスト追加処理も基準周期毎に実行すると好適である。
【0036】
(2)上記の実施形態では、演算処理部33は、1度の検出処理で検出されてリストに表示した搬送車2の識別情報81を、基準周期Tよりも長く設定された猶予期間Sが経過した時点までは、検出処理により検出されなくてもリストへの表示を継続する構成を例として説明した。しかしこのような構成に限定されることなく、演算処理部33は、1度の検出処理で検出されてリストに表示した搬送車2の識別情報81を、基準周期Tよりも長く設定された猶予期間Sが経過した後の最初のリスト更新処理を実行するまでは、検出処理により検出されなくてもリストへの表示を継続することもできる。
図10では、そのような一例を示している。
図10(a)については、
図5(a)と同じであるため、説明を省略する。
図10(b)では、端末装置3が、特定の搬送車2を「t1」と「t2」との間で最初に検出した場合に、猶予期間Sが、検出した時点を始期として設定されている。ここでは、猶予期間Sが、基準周期Tの3倍であるため、上記猶予期間Sの終期は、「t4」と「t5」との間に設定されている。そして、当該搬送車2の識別情報81は、上記猶予期間Sが経過してから最初のリスト更新処理が実行される時点である「t5」までは、当該搬送車2が再検出されなくても、リストへの表示が継続される。図示の例では、「t3」で当該搬送車2が再検出されるため、「t3」から猶予期間Sが新たに設定される。同様に、「t6」で当該搬送車2が更に際検出されているため、「t6」から猶予期間Sが更に設定される。このように、
図10(b)の例では、複数の猶予期間Sが「t1」から絶え間なく設定されているため、この搬送車2の識別情報81は、最初に検出処理により検出されてからリストへの表示が継続されている。
【0037】
(3)上記の実施形態では、演算処理部33は、最後に検出処理で検出されてから猶予期間Sが経過した時点までの間、連続して検出処理により検出されなかった搬送車2の識別情報81を、リスト更新処理によりリストから削除する構成を例として説明した。しかしこのような構成に限定されることなく、演算処理部33は、最後に検出処理で検出されてから猶予期間Sが経過した後の最初のリスト更新処理を実行するまでの間、連続して検出処理により検出されなかった搬送車2の識別情報81を、リスト更新処理によりリストから削除することもできる。
図10(b)では、そのような一例を示している。
図10(b)では、上記のとおり、端末装置3が、特定の搬送車2を「t1」と「t2」との間で最初に検出した場合に、猶予期間Sの終期は、「t4」と「t5」との間に設定されている。そして、当該搬送車2の識別情報81は、上記猶予期間Sが経過してから最初のリスト更新処理が実行される時点である「t5」まで表示が継続されると共に、当該搬送車2が「t5」までに再検出されなければ、「t5」の時点において、リスト更新処理により、この搬送車2の識別情報81は、リストから削除される。
【0038】
(4)上記の実施形態では、演算処理部33は、電波強度検出処理により検出された電波強度80が強い搬送車2から順にリストの上位となるように、電波強度検出処理を実行する毎に、リストに表示される複数の識別情報81の並び順を入れ替える並び替え処理を行う構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、演算処理部33は、検出された搬送車2の識別番号順に並べてもよく、また、検出処理により検出された順に並べてもよい。このように、並び替えの方法は適宜変更することができる。
【0039】
(5)上記の実施形態では、猶予期間Sは、基準周期TのN倍(Nは1以上の整数)の期間である構成を例として説明した。しかしこのような構成に限定されることなく、例えば、猶予期間Sを、基準周期Tとは無関係に設定することもできる。例えば、猶予期間Sを、演算処理部33が特定の搬送車2について最後に電波を受信してから一定期間に設定してもよい。また、猶予期間Sを、演算処理部33が特定の搬送車2について最後に電波を受信した基準周期Tの終わりから一定期間に設定してもよい。
【0040】
(6)上記の実施形態では、猶予期間Sの始期は、検出処理の実行時点より前の最後のリスト更新処理の実行時点である構成を例として説明した。しかしこのような構成に限定されることなく、猶予期間Sの始期は、検出処理の実行時点より後の最初の前記リスト更新処理の実行時点としてもよい。例えば、
図5(b)において、端末装置3が、特定の搬送車2を「t1」と「t2」との間で最初に検出した場合に、猶予期間Sの始期を、検出前の時点である「t1」ではなく、検出後の時点である「t2」に設定するようにしてもよい。
【0041】
(7)上記の実施形態では、演算処理部33は、無線通信による接続対象となる搬送車2の識別情報81を、予め設定された登録上限数まで登録可能な接続対象リスト83を記憶している構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、演算処理部33は、登録上限数が設定されていない接続対象リスト83を記憶することもできる。
【0042】
(8)上記の実施形態では、演算処理部33は、無線通信による搬送車2からの電波を受信した場合に、当該搬送車2の識別情報81が接続対象リスト83に登録されていない場合には、その識別情報81を接続対象リスト83に登録する新規登録処理を行う構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、演算処理部33は、無線通信による搬送車2からの電波を受信していない場合でも、作業者Pによる入力や制御装置90から新規の搬送車2のデータを取得すること等により、新規登録処理を行ってもよい。
【0043】
(9)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0044】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送設備の概要について説明する。
【0045】
本開示に係る搬送設備は、複数台の搬送車と、前記搬送車と無線通信により接続可能であると共に、作業者により操作されて前記搬送車に対する指令を出力する端末装置と、を備えた搬送設備であって、
前記端末装置は、前記無線通信を行う通信部と、前記搬送車の識別情報のリストを表示する表示部と、演算処理を行う演算処理部と、を備え、
前記演算処理部は、前記通信部を介して接続可能な前記搬送車を検出する検出処理と、前記検出処理により新たに検出された前記搬送車の前記識別情報を前記リストに追加するリスト追加処理とを実行すると共に、予め定められた基準周期毎に前記リストに表示する前記識別情報を更新するリスト更新処理を実行し、
前記演算処理部は、1度の前記検出処理で検出されて前記リストに表示した前記搬送車の前記識別情報を、前記基準周期よりも長く設定された猶予期間が経過した以後の最初の前記リスト更新処理を実行するまでは、前記検出処理により検出されなくても前記リストへの表示を継続する。
【0046】
本構成によれば、いずれかの搬送車である対象搬送車と端末装置との通信状態が安定しないために、検出処理によって対象搬送車が検出されたり検出されなかったりする場合であっても、一度検出されてから猶予期間が経過した以後の最初のリスト更新処理を実行するまでの間は、当該対象搬送車の識別情報がリストから削除されることなく表示部に表示される。すなわち、検出処理によって対象搬送車が検出されたり検出されなかったりする場合に、対象搬送車がリストから削除されて当該対象搬送車に対する指令を出力できない状態となる期間を少なくすることができる。従って、作業者は、通信状態が安定しない搬送車に対しても、迅速に指令を出力することが可能となる。
このように、本構成によれば、通信状態が安定しない搬送車に対して適切に指令を出力できる端末装置を備えた搬送設備を実現することができる。
【0047】
ここで、前記演算処理部は、最後に前記検出処理で検出されてから前記猶予期間が経過した時点まで又は経過した後の最初の前記リスト更新処理を実行するまでの間、連続して前記検出処理により検出されなかった前記搬送車の前記識別情報を、前記リスト更新処理により前記リストから削除すると好適である。
【0048】
本構成によれば、検出処理によって対象搬送車が検出されたり検出されなかったりする場合であっても、最初のリスト更新処理を実行するまでに対象搬送車が再度検出されれば、当該対象搬送車の識別情報が表示部に表示された状態が維持される。従って、対象搬送車がリストから削除されて当該対象搬送車に対する指令を出力できない状態となる期間をより効果的に少なくすることが可能となる。
【0049】
また、前記演算処理部は、前記検出処理により検出された前記搬送車のそれぞれとの前記通信部を介した前記無線通信での電波強度を検出する電波強度検出処理を実行し、前記電波強度検出処理により検出された前記電波強度が強い前記搬送車から順に前記リストの上位となるように、前記電波強度検出処理を実行する毎に、前記リストに表示される複数の前記識別情報の並び順を入れ替える。
【0050】
一般的に、端末装置からの距離が近い搬送車の電波強度が強くなる傾向が高い。従って、本構成によれば、端末装置から近い搬送車に対する指令を出力する場合に、当該搬送車の識別情報を選択することが容易となる。すなわち、作業者が特定の搬送車に対する指令を出力する場合に、当該搬送車の識別情報をリストから選択することが容易となり、延いては、搬送車に対する指令を迅速に行うことが容易となる。
【0051】
また、前記猶予期間は、前記基準周期のN倍(Nは1以上の整数)の期間であると好適である。
【0052】
本構成によれば、検出処理によって対象搬送車が検出されたり検出されなかったりする場合であっても、対象搬送車の識別情報がリストから削除される期間が基準周期未満となることが回避され、当該識別情報がリストから削除される期間を、基準周期を単位とした期間とすることができる。すなわち、検出処理が基準周期で繰り返し実行されることに合わせて、猶予期間を適切に設定することができる。
【0053】
また、前記猶予期間の始期は、前記検出処理の実行時点より前の最後の前記リスト更新処理の実行時点、又は、前記検出処理の実行時点より後の最初の前記リスト更新処理の実行時点であると好適である。
【0054】
本構成によれば、猶予期間の始期が、基準周期毎に実行されるリスト更新処理の時点に一律に設定される。そのため、複数台の搬送車の猶予期間を設定する場合等において、猶予期間の始期がリスト更新処理の時点以外にも設定される場合に比べて、猶予期間の設定処理に係る負荷を少なくすることができる。
【0055】
また、前記演算処理部は、前記無線通信による接続対象となる前記搬送車の前記識別情報を、予め設定された登録上限数まで登録可能な接続対象リストを記憶しており、未登録の前記搬送車の前記識別情報を新たに前記接続対象リストに登録することによって前記登録上限数を超えることになる場合には、既に登録された前記搬送車の前記識別情報のうち、最後に前記検出処理で検出されてからの経過時間が最も長い前記搬送車の前記識別情報を前記接続対象リストから削除する削除処理を実行すると好適である。
【0056】
本構成によれば、接続対象リストに登録可能な識別情報の数の上限がある場合であっても、無線接続できる可能性が高い搬送車の識別情報を優先して接続対象リストに残すことができる。従って、接続対象リストを有用なものとし易い。
【0057】
また、前記演算処理部は、前記無線通信による前記搬送車からの電波を受信した場合に、当該搬送車の前記識別情報が前記接続対象リストに登録されていない場合には、その識別情報を前記接続対象リストに登録する新規登録処理を行い、前記新規登録処理によって前記接続対象リストに登録された前記識別情報の数が前記登録上限数を超える場合に、前記削除処理を実行すると好適である。
【0058】
本構成によれば、接続対象リストに未登録の搬送車が端末装置と通信可能な状態であれば、自動的に当該搬送車の識別情報を接続対象リストに新規登録することができる。そして、新規登録によって接続対象リストに登録された識別情報の数が登録上限数を超える場合には、削除処理が実行される。そのため、登録される識別情報の数を登録上限数以下にしつつ、通信可能な搬送車が接続対象リストに登録された状態を維持し易い。
【0059】
本開示に係る搬送設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0060】
1 :搬送設備
2 :搬送車
3 :端末装置
31 :通信部
32 :表示部
33 :演算処理部
80 :電波強度
81 :識別情報
83 :接続対象リスト
P :作業者
S :猶予期間
T :基準周期