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特開2024-109225チャック付き包装袋およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109225
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】チャック付き包装袋およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/25 20060101AFI20240806BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240806BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240806BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B65D33/25 A
B32B27/00 H ZAB
B32B27/32 E
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013916
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡野 哲也
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064AA09
3E064AA11
3E064AB23
3E064BA26
3E064BB03
3E064BC08
3E064EA04
3E064EA18
3E064EA30
3E064GA01
3E064HM01
3E064HN13
3E064HP01
3E086AA23
3E086AD01
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BA33
3E086BA35
3E086BB01
3E086BB51
3E086BB62
3E086CA01
3E086DA08
4F100AK04A
4F100AK04C
4F100AK04E
4F100AK05A
4F100AK05C
4F100AK06E
4F100AT00A
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB00B
4F100CB00D
4F100CB03E
4F100GB16
4F100GB23
4F100JA04A
4F100JD01C
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、単一の樹脂系材料を用いながら、安定して生産することが可能であり、なおかつガスバリア性を備えたチャック付き包装袋ならびにその製造方法を提案するものである。
【解決手段】チャックテープ3が取り付けられた積層フィルム製の包装袋であって、前記積層フィルム4は、外側から順に基材層10、接着層15、ガスバリア性フィルム層20、接着層25、シーラント層30が積層されており、前記基材層、ガスバリア性フィルム層、シーラント層、チャックテープはいずれもポリエチレン樹脂系であり、DSC(示差走査熱量測定)によって測定される最小融点において、基材層の方がチャックテープよりも20℃以上高いことを特徴とするチャック付き包装袋である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックテープが取り付けられた積層フィルム製の包装袋であって、
前記積層フィルムは、外側から順に基材層、接着層、ガスバリア性フィルム層、接着層、シーラント層が積層されており、
前記基材層、ガスバリア性フィルム層、シーラント層、チャックテープはいずれもポリエチレン樹脂系であり、
DSC(示差走査熱量測定)によって測定される最小融点において、基材層の方がチャックテープよりも20℃以上高いことを特徴とするチャック付き包装袋。
【請求項2】
前記基材層およびガスバリア性フィルム層が高密度ポリエチレン樹脂であり、前記シーラント層およびチャックテープが直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のチャック付き包装袋。
【請求項3】
以下の工程よりなる請求項2に記載のチャック付き包装袋の製造方法。
高密度ポリエチレン樹脂フィルムの表面にアンカーコートを塗布した後、酸化ケイ素を蒸着してガスバリア性フィルムを作成する第1工程。
前記ガスバリア性フィルムの酸化ケイ素蒸着面にバリア性接着剤を塗布し、ドライラミネート法によって直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムからなるシーラント層と貼り合わせる第2工程。
高密度ポリエチレン樹脂フィルムからなる基材層に印刷層を設ける第3工程。
前記第2工程で得られた積層フィルムの高密度ポリエチレン樹脂フィルム層側にノンソルベントラミネート用接着剤を塗布し、前記基材層と貼り合わせる第4工程。
前記1~4の工程によって得られた積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレン樹脂製チャックテープを用いてチャック付き包装袋を製袋する第5工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装袋に関し、特に単一の樹脂材料から構成され、ガスバリア機能を有するチャック付き包装袋およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品やトイレタリー等の分野において、内容物を1回だけの使い切りではなく、継続的に使用するために、再封止が可能な包装袋としてチャック付きの三方袋や自立性包装袋が広く用いられている。
【0003】
特許文献1に記載されたチャックテープ付き袋は、一端に開閉自在なチャックテープが取り付けられた透明な積層フィルム製の袋であって、該積層フィルムが、少なくとも透明な基材フィルムとその内側の面に積層されたシーラント層とで形成され、更に、前記透明な基材フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムであり、且つ前記シーラント層が、多層共押し出し成形法で形成された、ポリプロピレンのホモポリマー層と、ポリプロピレン共重合体層と、その内側の面に積層された厚みが1~8μmの低密度ポリエチレン層または直鎖状低密度ポリエチレン層を最内層とする3層構成の積層体で形成され、更に、前記ポリプロピレン共重合体層がプロピレンとエチレンおよびブテン-1の三元共重合体であり、前記チャックテープが低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンで形成されていることを特徴とするチャックテープ付き袋である。
【0004】
チャック付き包装袋は、予め準備したチャックテープを袋の内面側に熱シールすることによって製造されるが、シール時に包装袋の積層フィルムが損傷することを避けるため、特許文献1に記載されたチャックテープ付き袋のように、シール時の熱に耐えられる耐熱性の高い基材フィルムを使用することが一般的に行われてきた。
【0005】
すなわち基材フィルムとしては、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ナイロン樹脂等の耐熱性の高い材料を用い、シーラント層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂等の比較的低温で熱シール可能な材料を用いた積層体フィルムを袋の材料として使用するのである。
【0006】
しかし、これらの異種素材を組み合わせた軟包装材料は、廃棄後に分別するのが困難であるため、素材としてリサイクル使用することができないか、あるいは機械的に分別したとしても回収材料の純度を落とす結果となるため、処理方法としては、埋め立てるか焼却処理して熱エネルギーとして回収する方法が主流であった。
【0007】
しかし近年、地球環境保護の必要性から、焼却処理(サーマルリサイクル)から素材としてのリサイクル(マテリアルリサイクル)への気運が高まるにつれて、異種素材の組み合わせではなく、単一素材の組み合わせからなるモノマテリアル包装材料が注目を浴びるようになってきた。
【0008】
一方、内容物を長期間安定的に保存する立場から、内容物を劣化させる要因である酸素や水蒸気を遮断するガスバリア性の包装材料が求められている。
【0009】
ガスバリア性の包装材料としては、アルミニウム箔を用いた積層体フィルムが最も古くから用いられてきた。しかしアルミニウム箔を用いた積層体フィルムは、内容物を外側から視認できないという基本的な問題に加えて、リサイクル性の点でも問題を抱えている。
【0010】
そこで、アルミニウム箔に替えて透明な基材フィルムに無機酸化物を蒸着した透明ガスバリアフィルムが用いられるようになってきた。透明ガスバリアフィルムを用いた包装袋は、内容物の長期保存が可能であるばかりでなく、電子レンジによる直接加熱が可能であることから、食品用包装袋として広く普及しつつある。
【0011】
従来のガスバリア性包装袋は、耐熱性を有する基材フィルムと低温融着性を有するシーラント層とを少なくとも有する積層体を用いて製造されていた。耐熱性を有する基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムや、延伸ポリプロピレン(OPP)樹脂フィルム、延伸ナイロン(ONy)樹脂フィルム等が用いられ、シーラント層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂等のポリオレフィン系樹脂が多く用いられていた。
【0012】
ガスバリア性については、近年PETフィルムを基材として用いた無機酸化物蒸着フィルムが広く用いられているが、仮に包装材をすべてPET樹脂系で統一しようとすると、シール温度が高くなり、製袋適性に問題が生じる。
【0013】
特許文献2に記載された積層構造体及びそれから作製されるスタンドアップパウチは、PE樹脂系材料を組み合わせて構成された積層構造体と、これを用いて作製されたスタンディングパウチである。特許文献2に記載されたスタンディングパウチは、単一のPE樹脂系材料から構成されているため、特許文献1に記載のチャックテープ付き袋と異なり、マテリアルリサイクルが可能であるが、バリア性や再封止性については、一切考慮されていない。
【0014】
一方、包装材料として必要とされる性質としては、既に述べたガスバリア性、再封止性の他に製袋適性が挙げられる。製袋適性の中でも、ヒートシール適性は重要であり、安定したヒートシールを可能とするためには、従来は基材層とシーラント層の溶融温度差が30℃以上あることが望ましいとされてきた。
【0015】
従来の包装袋は、胴部基材として例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用い、胴部シーラントとして例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂を用いていたので、同じくLLDPE製のチャックテープを胴部シーラントに熱融着する加工を何の問題もなく実施することが可能であった。
【0016】
しかし、包装袋をモノマテリアル化しようとすると、胴部基材、シーラント、チャックテープのすべてを同一系統の素材、すなわち実際上はポリエチレン樹脂系素材で構成する必要があり、融点の差が小さくならざるを得ない。
【0017】
このため、製袋加工時に胴部シーラントとチャックテープが熱融着する程の熱を掛けた際に、胴部基材の外観上のトラブル(熱収縮、穴あき等)が発生しやすいという課題があった。
【0018】
これに加えて、ガスバリア性を付加しようとすると、基材層、シーラント層に加えてガスバリア層となる中間層を加える必要があり、3層構成となるため積層体の総厚も厚くなる。
【0019】
積層体の総厚が厚くなると、胴部シーラントとチャックテープの融着に要する熱量も増え、加工難度はさらに上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特許第4028206号公報
【特許文献2】特表2018-511504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の解決しようとする課題は、単一の樹脂系材料を用いながら、安定して生産することが可能であり、なおかつガスバリア性を備えたチャック付き包装袋ならびにその製造方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、チャックテープが取り付けられた積層フィルム製の包装袋であって、積層フィルムは、外側から順に基材層、接着層、ガスバリア性フィルム層、接着層、シーラント層が積層されており、基材層、ガスバリア性フィルム層、シーラント層、チャックテープはいずれもポリエチレン樹脂系であり、DSC(示差走査熱量測定)によって測定される最小融点において、基材層の方がチャックテープよりも20℃以上高いことを特徴とするチャック付き包装袋である。
【0023】
本発明に係るチャック付き包装袋は、基材層とチャックテープの融点温度差を20℃以上とすることで、ポリエチレン樹脂系単一素材からなるガスバリア性チャック付き包装袋を実現することができた。
【0024】
請求項2に記載の発明は、前記基材層およびガスバリア性フィルム層が高密度ポリエチレン樹脂であり、前記シーラント層およびチャックテープが直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のチャック付き包装袋である。
【0025】
また、請求項3に記載の発明は、以下の工程よりなる請求項2に記載のチャック付き包装袋の製造方法である。
高密度ポリエチレン樹脂フィルムの表面にアンカーコートを塗布した後、酸化ケイ素を蒸着してガスバリア性フィルムを作成する第1工程。
前記ガスバリア性フィルムの酸化ケイ素蒸着面にバリア性接着剤を塗布し、ドライラミネート法によって直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムからなるシーラント層と貼り合わせる第2工程。
高密度ポリエチレン樹脂フィルムからなる基材層に印刷層を設ける第3工程。
前記第2工程で得られた積層フィルムの高密度ポリエチレン樹脂フィルム層側にノンソルベントラミネート用接着剤を塗布し、前記基材層と貼り合わせる第4工程。
前記1~4の工程によって得られた積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレン樹脂製チャックテープを用いてチャック付き包装袋を製袋する第5工程。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るチャック付き包装袋は、主要材料をすべてポリエチレン樹脂系としたので、使用後はポリエチレン樹脂としてマテリアルリサイクルすることが可能である。
【0027】
基材層とチャックテープの融点差を20℃以上とすることにより、安定した生産が可能となることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明に係るチャック付き包装袋の一実施態様を示した平面模式図である。
図2図2は、本発明に係るチャック付き包装袋に用いる積層フィルムの一実施態様を示した断面模式図である。
図3図3は、本発明に係るチャック付き包装袋におけるチャック部分の断面説明図である。
図4図4は、本発明に係るチャック付き包装袋の他の実施態様を示した平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下図面を参照しながら、本発明に係るチャック付き包装袋について詳細に説明する。図1は、本発明に係るチャック付き包装袋1の一実施態様を示した平面模式図である。図2は、本発明に係るチャック付き包装袋1に用いる積層フィルム4の一実施態様を示した断面模式図である。図3は、本発明に係るチャック付き包装袋1におけるチャック部分の断面説明図である。
【0030】
本発明に係るチャック付き包装袋1は、チャックテープ3が取り付けられた積層フィルム製の包装袋である。図2に示した積層フィルム4の例では、袋の外側から順に基材層10、印刷層11、接着層(ノンソルベント用接着剤層)15、ガスバリア性フィルム層20、接着層(ドライラミネート接着剤層)25、シーラント層30が順に積層されている。なお印刷層11は、必要がなければ無くてもよい。
【0031】
本発明に係るチャック付き包装袋1においては、基材層10、ガスバリア性フィルム層20、シーラント層30、チャックテープ3はいずれもポリエチレン樹脂系であり、DSC(示差走査熱量測定)によって測定される最小融点において、基材層10の方がチャックテープ3よりも20℃以上高いことを特徴とする。
【0032】
図1に示した例は、四方袋であるが、本発明に係るチャック付き包装袋は、袋の形状については特に限定されず、図4に示したようなスタンディングパウチの他、三方袋やピロー袋、ガセット袋等に応用することができる。
【0033】
本発明に係るチャック付き包装袋1は、主たる構成フィルムである基材層10、ガスバリア性フィルム層20、シーラント層30の3層がいずれもポリエチレン樹脂系フィルムであるため、単一樹脂系フィルムから構成されるモノマテリアル包装袋となる。従って使用後には、ポリエチレン樹脂系材料としてマテリアルリサイクルが可能であり、従来の複数種類の合成樹脂材料を用いた包装袋と比較して、地球環境に対する負荷を低減することができる。
【0034】
単なるチャック付き包装袋であれば、すべての材料をポリエチレン樹脂系とすることは比較的容易であるが、ガスバリア機能を付加しようとすると、いくつかの解決しなければならない問題が発生する。
【0035】
最大の問題はポリエチレン樹脂系のガスバリア性フィルムと、包装袋として必須な印刷表現性をいかに両立するかである。本発明に係るチャック付き包装袋においては、ガスバリア性機能と、印刷表現性を別のポリエチレン樹脂系フィルムに分離することで、この問題を解決することができた。
【0036】
すなわち、印刷を伴う基材層10と、ガスバリア性フィルム層20と、シーラント層30をいずれもポリエチレン樹脂系フィルムで構成し、さらにシーラント層と同様の素材からなるチャックテープ3の融点と基材層10の融点の差を20℃以上とすることにより安定した加工適性を実現することが可能となったのである。
【0037】
本発明に係るチャック付き包装袋1の製造方法について説明する。まずガスバリア性フィルム層20の基材として、高密度ポリエチレン樹脂フィルムの表面にアンカーコート層22を塗布した後、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の金属酸化物を蒸着して蒸着層23を形成する。
【0038】
この時、ガスバリア性フィルム単体として安定して機能させるためには、蒸着面にガスバリアコーティング層を設けることが望ましいが、本発明においては、次工程でシーラント層との貼り合わせに用いるドライラミネート接着剤にその機能を持たせたバリア性接着剤を用いることにより、バリアコーティング層を省略することができる。
【0039】
バリア性接着剤としては、水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜や金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜からなる樹脂層などを形成する接着剤を用いることができる。
【0040】
すなわち、前記ガスバリア性フィルム20の金属酸化物蒸着面にバリア性接着剤を塗布し、ドライラミネート法によって直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムからなるシーラント層30と貼り合わせて積層フィルムとする。
【0041】
一方、高密度ポリエチレン樹脂フィルムからなる基材層10に印刷層11を設けた後、前記積層フィルムの高密度ポリエチレン樹脂フィルム層側にノンソルベントラミネート用接着剤15を塗布し、基材層10と貼り合わせる。印刷層11は、基材層10の表面側でも裏面側でも良いが、印刷層保護の観点から裏面側に印刷することが望ましい。
【0042】
前記工程によって得られた積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレン樹脂製チャックテープを用いてチャック付き包装袋を製袋する。チャックテープ3は、シーラント層30の内面に熱シールすることによって取り付けられるが、シールバーは、基材層10に接触するため、チャックテープ3とシーラント層30が融着する際に基材層10がシールバーの熱によって損傷されない条件が安定して実現可能であるかどうかが重要となる。
【0043】
そこで、融点や形状の異なる3種類のチャックテープを準備し、シールバーの温度を低温から高温まで変化させて加工安定性を確認した。積層フィルムの構成としては共通のものを使用した。
<積層フィルムの構成>
基材層:高密度ポリエチレン樹脂フィルム(厚さ30μm、融点130℃)
印刷層:水性フレキソインキ
ガスバリア性フィルム:高密度ポリエチレン樹脂フィルム/アンカーコート/酸化ケイ素蒸着層(総厚32μm)
シーラント層:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルム(厚さ100μm、融点104℃)
【0044】
融点の測定方法としては、以下の方法を用い、最小値を融点とする。
<融点の測定方法>
測定機器:PerkinElmer社製 示差走査熱量計 DSC8000
測定条件:測定温度範囲0~250℃、昇温速度10℃/分
【0045】
製袋条件としては、以下の条件に統一した。
製袋機:トタニ技研社製 製袋機
シール時間:400(msec)
待ち時間:1000(msec)
加速度:0.4(g)
【0046】
評価方法としては、以下の内容で評価した。
シールチェック:パウチ胴部とチャックテープ間がシールされているか確認(手で剥けないこと)
外観チェック:胴部表面に熱収縮シワ、穴あき等の外観不良がないか確認
総合判定:シール、外観の両方が〇の場合OKとする。どちらかが×の場合NGとする。
【0047】
以下結果を表1(シールチェック)、表2(外観チェック)、表3(総合判定)に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
以上の結果から、実施例1、2(チャック融点 106℃)はシール、外観を両立する加工条件(シールバー温度160℃±5℃)が見出せた。
比較例1(チャック融点111℃)ではシール、外観を両立する加工条件はなかった。
胴部基材とチャックテープの融点差が24℃(実施例1、2)はOK、一方で、融点差が19℃(比較例1)はNGであった。
【符号の説明】
【0052】
1・・・チャック付き包装袋
2・・・胴部
3・・・チャックテープ
4・・・積層フィルム
5・・・開封開始部
10・・・基材層
11・・・印刷層
15・・・ノンソルベントラミネート用接着剤層
20・・・ガスバリア性フィルム層
21・・・蒸着基材層
22・・・アンカーコート層
23・・・蒸着層
30・・・シーラント層
図1
図2
図3
図4