(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109236
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】被供給材の供給方法及び供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 33/26 20060101AFI20240806BHJP
B65G 33/10 20060101ALI20240806BHJP
B65G 65/46 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B65G33/26
B65G33/10
B65G65/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013935
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】592029256
【氏名又は名称】福井県
(72)【発明者】
【氏名】替地 慎
(72)【発明者】
【氏名】川邊 和正
【テーマコード(参考)】
3F040
3F075
【Fターム(参考)】
3F040AA00
3F040BA06
3F040CA04
3F040CA05
3F040DA02
3F040EA01
3F075AA07
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA06
3F075CA09
3F075CC03
3F075CC05
3F075DA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】短繊維、樹脂ペレット、樹脂粉体、短冊形状の樹脂補強テープ材、リサイクル繊維などの被供給材を連続的に供給する被供給材の供給方法及び供給装置を提供する。
【解決手段】多数の被供給材を連続的に搬送して供給する供給方法及び供給装置であって、被供給材1が貯蔵された材料貯蔵部2内に配置されるとともに回転軸Lを中心として螺旋形状に形成された棒状の送給部材31を回転させて被供給材を送給部材の内部に取り込みながら回転軸の一方向に送り込み、材料貯蔵部に一端部が回動可能に接続されるとともに内周面に回転軸を中心として螺旋状の突起が形成された筒状の搬送部材41の一端部に送給部材から送り込まれる被供給材を連続搬入し、搬送部材を連続回転させながら被供給材を一端部から他端部に搬送して被供給材を他端部より連続搬出する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の被供給材を連続的に搬送して供給する供給方法であって、前記被供給材が貯蔵された材料貯蔵部内に配置されるとともに回転軸を中心として螺旋形状に形成された棒状の送給部材を回転させて前記被供給材を送給部材の内部に取り込みながら回転軸の一方向に送り込み、前記材料貯蔵部に一端部が回動可能に接続されるとともに内周面に回転軸を中心として螺旋状の突起が形成された筒状の搬送部材の前記一端部に前記送給部材から送り込まれる前記被供給材を連続搬入し、前記搬送部材を連続回転させながら前記被供給材を前記一端部から他端部に搬送して前記被供給材を前記他端部より連続搬出する被供給材の供給方法。
【請求項2】
前記搬送部材の回転軸と、前記送給部材の回転軸が一致している請求項1に記載の被供給材の供給方法。
【請求項3】
前記送給部材は、前記材料貯蔵部内において前記被供給材に埋没した状態で配置される請求項1に記載の被供給材の供給方法。
【請求項4】
前記送給部材には、外方に向かって棒状または板状の攪拌部材を複数本立設し、前記送給部材の回転により、前記攪拌部材が前記被供給材を攪拌しながら前記被供給材料を前記送給部材内に取り込む請求項1に記載の被供給材の供給方法。
【請求項5】
前記送給部材には、螺旋形状を支持する支持部材を複数設置する請求項1に記載の被供給材の供給方法。
【請求項6】
多数の被供給材を連続的に搬送して供給する供給装置であって、前記被供給材を貯蔵する材料貯蔵部と、前記材料貯蔵部内に配置されて回転軸を中心として螺旋形状に形成された棒状の送給部材を備えるとともに送給部材を回転させて前記被供給材を送給部材の内部に取り込みながら回転軸の一方向に送り込む材料送給部と、前記材料貯蔵部に一端部が回動可能に接続されて内周面に回転軸を中心として螺旋状の突起が形成された筒状の搬送部材を備えるとともに搬送部材の前記一端部に前記送給部材の内部に取り込まれた前記被供給材を連続搬入して、前記搬送部材を回転させて前記被供給材を前記一端部から他端部に搬送して前記他端部より連続搬出する材料搬送部とを備える被供給材の供給装置。
【請求項7】
前記搬送部材の前記突起の一端部と前記送給部材が接続し螺旋状に連続するように一体化した請求項6に記載の被供給材の供給装置。
【請求項8】
前記送給部材は、内面側に螺旋形状に沿って連続した溝が形成されている請求項6に記載の被供給材の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短繊維、樹脂ペレット、樹脂粉体、短冊形状の樹脂補強テープ材、リサイクル繊維などの被供給材を連続的に供給するための、被供給材の供給方法及び供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
短繊維状の炭素繊維などの被供給材を供給するための装置として、スクリューフィーダーが広く知られている。スクリューフィーダーは、外周に螺旋状に設けられる羽根部を有するスクリューシャフトを、円筒状をしたバレル内に水平方向に沿って配置した構成を備える。上記スクリューフィーダーは、スクリューシャフトを回転駆動することで、前記羽根部のピッチ間の隙間に被供給材を充填し、被供給材に対して排出口向きの推力を与えて搬送し、バレルの排出口より被供給材を排出する仕組みとなっている。
【0003】
スクリューフィーダーにはいろいろな方法、装置が提案されている。例えば、特許文献1では、外周に引掛かりがある棒材を螺旋状に曲成して成形し、回転駆動させることが出来るコイルスクリューを用いて短繊維を供給する方法が記載されている。コイルスクリューを回転させることにより、コイルスクリューを構成する棒材の外周の引掛かりにより短繊維が補足され、螺旋回転に沿って排出口方向へ定量的に搬送される方法が提案されている。
【0004】
特許文献2には、スクリューシャフトの上方に副スクリューシャフトを設け、スクリューシャフトと同期して回転させる方法、装置が提案されている。これは、一般的な単軸押出のスクリューフィーダーでは、被供給材がスクリューシャフトの外周で圧密化されブリッジを形成し、被供給材の供給速度及び供給量が低下する課題、すなわち、被供給材の定量供給が困難になる課題を解決するために提案されているものである。
【0005】
特許文献3では、繊維片を収容するケースと、前記ケース内部で回転して前記繊維片を撹拌する撹拌部と、内面に螺旋状の突起が配置された筒状の搬送路を前記ケースの側面に接続して前記繊維片を搬送する搬送装置を備えた繊維搬送装置が記載されている。そして、前記撹拌部には回転体を前記ケースの中心部に設け、前記回転体の外周部に形成される羽根によって前記繊維片を前記搬送路内に押し出すことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭52-140178号公報
【特許文献2】特開平5-24659号公報
【特許文献3】特開2020-204118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に述べられている、コイルスクリューを構成する棒材の外周の引掛かりに被供給材を補足し、螺旋回転に沿って被供給材を供給する方法及び装置では、コイルスクリューとバレル側壁との間に被供給材が堆積し、ブリッジが形成される課題がある。また、被供給材を排出口まで搬送する過程で、短繊維にせん断力がかかり毛羽立ちが発生し、短繊維同士の絡みによりブリッジを形成する原因にもなる。
【0008】
特許文献2に述べられている、被供給材の搬送に寄与しない副スクリューを回転させる方法及び装置では、スクリューシャフトとバレル側壁との間に被供給材が堆積して被供給材のブリッジを形成する課題がある。また、副スクリューの回転によって、被供給材に損傷を与える可能性がある。
【0009】
特許文献3では、攪拌部の回転によって繊維片が外へ押し出され、ケース外壁と回転体に形成される羽根の隙間に繊維片が堆積して、繊維片がブリッジする課題がある。また、被供給材の形状、材質によっては、回転体に形成される羽根の回転による押し込みでは搬送路に被供給材を押し出せず、定量的な被供給材の供給が難しい課題がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、短繊維、樹脂ペレット、樹脂粉体、短冊形状の樹脂補強テープ材、リサイクル繊維などの被供給材を、滞留することなくスムーズに連続して供給するための、被供給材の供給方法及び供給装置について提供することを目的とする。
【0011】
本発明に係る被供給材の供給方法は、多数の被供給材を連続的に搬送して供給する供給方法であって、前記被供給材が貯蔵された材料貯蔵部内に配置されるとともに回転軸を中心として螺旋形状に形成された棒状の送給部材を回転させて前記被供給材を送給部材の内部に取り込みながら回転軸の一方向に送り込み、前記材料貯蔵部に一端部が回動可能に接続されるとともに内周面に回転軸を中心として螺旋状の突起が形成された筒状の搬送部材の前記一端部に前記送給部材から送り込まれる前記被供給材を連続搬入し、前記搬送部材を連続回転させながら前記被供給材を前記一端部から他端部に搬送して前記被供給材を前記他端部より連続搬出させる。さらに、前記搬送部材の回転軸と、前記送給部材の回転軸が一致している。さらに、前記送給部材は、前記材料貯蔵部内において前記被供給材に埋没した状態で配置される。さらに、前記送給部材には、外方に向かって棒状または板状の攪拌部材を複数本立設し、前記送給部材の回転により、前記攪拌部材が前記被供給材を攪拌しながら前記被供給材料を前記送給部材内に取り込む。
【0012】
本発明に係る被供給材の供給装置は、多数の被供給材を連続的に搬送して供給する供給装置であって、前記被供給材を貯蔵する材料貯蔵部と、前記材料貯蔵部内に配置されて回転軸を中心として螺旋形状に形成された棒状の送給部材を備えるとともに送給部材を回転させて前記被供給材を送給部材の内部に取り込みながら回転軸の一方向に送り込む材料送給部と、前記材料貯蔵部に一端部が回動可能に接続されて内周面に回転軸を中心として螺旋状の突起が形成された筒状の搬送部材を備えるとともに搬送部材の前記一端部に前記送給部材の内部に取り込まれた前記被供給材を連続搬入して、前記搬送部材を回転させて前記被供給材を前記一端部から他端部に搬送して前記他端部より連続搬出する材料搬送部とを備えている。さらに、前記搬送部材の前記突起の一端部と前記送給部材が接続し螺旋状に連続するように一体化している。さらに、前記送給部材は、内面側に螺旋形状に沿って連続した溝が形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、材料貯蔵部内において螺旋形状の形成された送給部材を回転させながら被供給材を送給部材の内部に取り込んで搬送部材に搬入するようにしているので、搬送部材の搬入の際に被供給材が滞留して詰まることが防止される。また、搬送部材の内周面に螺旋状の突起が形成されているので、搬送部材の回転による突起の螺旋状の動きに追随して搬入された被供給材が移送されて順次搬出されるようになり、被供給材を滞留することなくスムーズに連続搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る被供給材の供給装置における側面からみた概略断面図である。
【
図2】本発明に係る材料送給部の送給部材に攪拌部材を配置した説明図である。
【
図3】本発明に係る材料送給部の送給部材に攪拌部材を配置した説明図である。
【
図4】本発明に係る材料送給部の送給部材に攪拌部材を配置した説明図である。
【
図5】本発明に係る材料送給部の送給部材に溝を施した説明図である。
【
図6】本発明に係る被供給材の別の供給装置における側面からみた概略断面図である。
【
図7】
図6に示す供給装置の送給部材及び搬送部材の説明図である。
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明に係る被供給材1の供給装置Ⅿ1における側面からみた断面概略図を示している。この例では、供給装置M1として、被供給材1を貯蔵しておく材料貯蔵部2、材料貯蔵部2に貯蔵された被供給材1を攪拌しながら回転軸の一方向に送り込む材料送給部3、回動し螺旋形状に沿って排出口まで被供給材1を搬送する材料搬送部4にて構成されている。
【0017】
被供給材1として、短繊維、樹脂粉体、短冊形状の樹脂補強テープ材などがあげられる。被供給材1として用いられる短繊維とは、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維、またはポリプロピレン繊維、ポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維などの熱可塑性樹脂繊維を長さ数mm~数十mmにカットした繊維などである。短繊維を供給させる場合、長さとしては1mm~10mm程度までが望ましい。繊維が長くなると繊維同士が絡み合い、定量供給することが難しくなる。なお、繊維が数本~数万本まで集束した状態の繊維束を短くカットしたものも短繊維として取り扱われる。繊維束であればカット長さが長くなっても繊維同士の絡み合いを防止できる。繊維束の場合、カット長さは5mm~50mm程度までが望ましい。
【0018】
被供給材1として用いられる樹脂粉体とは、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12など)、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂、またはこれらの熱可塑性樹脂を2種類以上混合したポリマーアロイ樹脂などを細かくした粉状のものである。粒径としては数μm~数百μmまでいろいろな粒径を用いることができる。なお、被供給材としてこれらの樹脂粉体を用いる場合、1種類の樹脂粉体を用いてもよいし、数種類を混ぜて用いることもできる。
【0019】
被供給材1として用いられる短冊形状の樹脂補強テープ材とは、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維を補強材としてポリアミド6樹脂などの熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含侵または半含侵させたプリプレグシート材を幅数mm~数十mm、長さ数mm~数十mmに短冊状にカットしたテープ状の材料である。定量供給させることから、形状は、幅5mm~50mm、長さ5mm~50mm、厚さ20μm~200μmの範囲にあるものが望ましい。
【0020】
被供給材1として用いられる短冊状のリサイクル繊維とは、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維を補強材としてポリアミド6樹脂などの熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含侵または半含侵させたプリプレグシート材を幅数mm~数十mm、長さ数mm~数十mmに短冊状にカットしたテープ状の材料及び前記テープ状の材料から作製された成形品を燃焼処理または化学処理によって樹脂を取り除いた短冊状の繊維材料である。定量供給させることから、形状は、幅5mm~50mm、長さ5mm~50mm、厚さ20μm~200μmの範囲にあるものが望ましい。
【0021】
なお、被供給材1として、短繊維、樹脂粉体、短冊形状の樹脂補強テープ材などを1種類用いてもよいし、これらを2種類以上、例えば、短繊維と樹脂粉体、または短冊形状の樹脂補強テープ材と樹脂粉体とした組み合わせを混ぜて用いてもよい。
【0022】
図1の供給装置M1を構成する材料貯蔵部2は、被供給材1を貯蔵する容器状のものである。例えば、材料貯蔵部2として、上方が開口されている逆錐体形状の容器を用いることができる。このような形状にすると、上方の開口部から被供給材1を内部に投入でき、そして逆錐体の形状の傾斜によって貯蔵している被供給材1を材料送給部3に送り込む機能を有することができる。
【0023】
材料貯蔵部2の逆錐体の傾斜角度は、被供給材1の流動が抑制されない範囲で任意に設定できる。また、被供給材1を貯蔵する量は任意に設定することができる。
【0024】
材料貯蔵部2に貯蔵された被供給材1を材料搬送部4に送り込むために、材料貯蔵部2の中に材料送給部3が備えられている。材料送給部3を構成する送給部材31は、棒状部材311を螺旋形状に形成した構造になっている。送給部材31は、送給部材31に沿った軸線を中心に回転する。なお、送給部材31に沿った軸線は送給部材31の回転軸になる。
図1に示す供給装置M1のように、棒状部材311を例えば、円板状の取り付け板34に固定し、取り付け板34をモーター32と接続し、モーター32の動力により棒状部材311を回転させることができる。
【0025】
送給部材31において、被供給材1は螺旋形状に形成された棒状部材311に沿って搬送される。送給部材31が送給部材31に沿った軸線を中心として回転することにより、螺旋形状に形成された棒状部材311に補足された被供給材1を螺旋形状の内部に取り込みながら押し出すようにして進め、材料搬送部4に向けて送り出されることになる。
【0026】
図2は、送給部材31の外側に飛び出すようにして埋め込まれて設置される攪拌部材33の説明図である。攪拌部材33としては、例えば、棒状部材311の外周面に細い棒状の部材が設置されたものがある。細い棒状の部材として、
図2に示すような細棒部材331があり、例えば、ストレートピンを複数本設置したものがある。また、棒状部材311の外周面に多数の植毛穴を形成しそれぞれの植毛穴に樹脂製または金属製の細い棒を多数植え込むことによって作られたブラシ状の部材を採用することもできる。そして、攪拌部材33が取り付けられた送給部材31を材料貯蔵部2の内部に設置し、送給部材31を回転させることで攪拌部材33も回転し、複数の被供給材1をばらけた状態にし、お互いに引っ付き合うなどして固まることを防止する。そして、攪拌部材33により、螺旋形状に形成された送給部材31の内部により効率良く被供給材1を取り込むことができる。
【0027】
送給部材31に設置される攪拌部材33は、被供給部材1により、その設置領域、設置間隔、設置本数などが変わる。被供給材1を傷つけることなく、棒状部材311の螺旋構造内により確実に取り込めるように設置することが望ましい。
【0028】
攪拌部材33として、細棒部材331の代わりに、
図3に示すような金属製のストレートピンの先端を平形状にした先端平部材332や、
図4に示すような平形状または扇形状の平形部材333を取り付けることもできる。このように、攪拌部材33に平形状または扇形状を先端もしくは全体に施すことにより、多くの被供給材1を攪拌し、より効率的にばらつかせることができるようになる。そして、被供給材1をより効率的に送給することが可能となる。
【0029】
攪拌部材33の先端は、材料貯蔵部2内部の壁面に接するもしくは被供給材1の形状にもよるが前記壁面から5mm以内になるようにして配置することで、材料貯蔵部2内で被供給材1を滞留させることなく攪拌させることができる。尚、攪拌部材33の先端は、送給部材31に沿った軸線を中心に回転するため、材料送給部3が設置される材料貯蔵部2の内部の形状は、円筒形であることが望ましい。
【0030】
図5は、
図1に示した供給装置M1に設置した送給部材31とは別の送給部材であって、棒状部材311の内面側に溝312を施した説明図である。ここで、内面側とは棒状部材311を螺旋形状に形成した際、棒状部材311において回転軸の方を向く面のことを指す。螺旋形状に形成した棒状部材311の内面側に溝312を設けることにより、被供給材1を補足しやすくなり、材料搬送部4内まで被供給材1を効率的に送り出すことができる。尚、溝は連続していても良いし、間欠的に設けられていても良い。
【0031】
供給された被供給材1を搬送する材料搬送部4は、例えば、搬送部材41、モーター42、プーリー43、44、駆動伝達ベルト45、ベアリング46を備えて構成できる。搬送部材41は、例えば以下のように構成される。筒状形状の部材、例えば中空ロール411などを用い、中空ロール411の内周面に螺旋状に形成された棒状部材412を一体化させて配置し、螺旋形状の溝413を形成して構成される。そして、中空ロール411と棒状部材412を一体化させることによって被供給材1が中空ロール411内にて、ブリッジが形成されることを防ぐ構造をとっている。
【0032】
搬送部材41の一方の端部は、被供給材1を貯蔵する材料貯蔵部2に接続される。材料貯蔵部2と搬送部材41の接続部には、例えば、ベアリング46が設けられ、搬送部材41の回転が可能な構造になっている。ここで、材料貯蔵部2に接続された搬送部41の端部を被供給材1が取り込まれることから供給口とする。そしてもう一方の端部を被供給材1が排出されることから排出口とする。
【0033】
中空ロール411にプーリー44が取り付けられ、プーリー44に駆動伝達ベルト45が取り付けられる。そして、モーター42に接続されたプーリー43を駆動伝達ベルト45に取り付け、モーター42を回転させるとプーリー43を介して駆動伝達ベルト45に動力が伝わり、プーリー44を介して中空ロール411を回転させることができる。中空ロール411の回転によって、棒状部材412で形成した螺旋形状の溝413も回転し、被供給材1は、螺旋形状の溝413に沿って排出口へ搬送される。
【0034】
材料貯蔵部2への搬送部材41の取付け角度は、被供給材1が中空ロール411に形成された溝413から飛びだして落下しない範囲で任意に設定することができる。傾斜角度を任意に設定することで、1回転あたりに排出口から供給される被供給材1の量を調整することもができる。
【0035】
搬送部材41の回転方向R及び回転速度は、モーター42の回転方向及び回転速度を調整することで変更できる。また、モーター42の回転速度を調整することで、被供給材1の搬送される量を調整することができる。
【0036】
駆動伝達ベルト45の材質としては特に限定されないが、耐久性、柔軟性に優れた材料が用いられ、例えばポリウレタンやクロロプレンゴムなどの材料が用いられる。
【0037】
材料貯蔵部2、送給部材31、棒状部材311、中空ロール411、棒状部材412の材料としては特に限定はないが、被供給材との接触摩耗による異物混入を防ぐために、強度のある金属材料が望ましい。また、錆びの発生による異物混入を防ぐためにステンレスを用いることがより望ましい。
【0038】
搬送部材41の別の構成として、中空ロール411の内周面に螺旋状の溝を彫って形成してもよい。中空ロール411の内周面に螺旋形状の溝413を形成する方法として、例えば、長さ方向に半分に縦割りした中空ロール411の内周面に溝413を螺旋状に彫った後、接着剤などで溝413が連続するように合わせて接合し一体化することで作製できる。
【0039】
搬送部材41において、被供給材1は中空ロール411の内周面に形成された螺旋形状の溝413に沿って搬送される。搬送部材41が搬送部材41に沿った軸線を中心として回転することにより、溝413に補足された被供給材1が持ち上げられ重力によって落下することを繰り返す。螺旋形状に形成された溝413が回転することにより被供給材1が落下する際に隣の溝413に移動するため、被供給材1を一方の方向に向けて搬送することができる。そのため、螺旋形状となる溝413は、中空ロール411の一方の端部からもう一方の端部まで形成されていることが望ましい。さらに、被供給材1が重力で落下することで、被供給材1がほぐされブリッジの形成を防ぐことができる。なお、搬送部材41に沿った軸線は、搬送部材41の回転軸になる。そして、搬送部材41の回転軸と送給部材31の回転軸はズレていても良いが平行であることが望ましい。そして、より望ましくは搬送部材41の回転軸の延長した位置に送給部材31の回転軸が一致していると良い。
【0040】
搬送部材41の螺旋形状の巻き数及び溝413の幅は、任意に変更してもよい。溝413については、被供給材1の長さより大きくする事が望ましい。溝413が被供給材1よりも小さい場合、被供給材1が溝413に補足されにくくなり、螺旋形状に沿って搬送できないため、定量な供給が難しくなる。
【0041】
図6は、本発明に係る被供給材1の別の供給装置M2における側面からみた断面概略図を示している。また、
図7は、供給装置M2における材料送給部3の説明図である。
図7の送給部材31では、棒状部材311と棒状部材412が一体化して螺旋形状を形成しているため、搬送部材41を回転させることで、棒状部材311も回転する。材料貯蔵部2内に設置された棒状部材311が回転稼働することにより、被供給材1がブリッジすることを防止しながら被供給材1を材料搬送部4内に送り込むことができる。
【0042】
図6の供給装置M2における棒状部材311の端部は、被供給材1を送り込む方向と反対側の材料貯蔵部2の壁面に支持してもよい。棒状部材311の剛性が低い場合に送給部材31を回転させると、材料貯蔵部2内に貯蔵されている被供給材1に力負けして、回転軸がズレる可能性がある。そのため、棒状部材311の端部を円板状の板材に固定し、前記板材を材料貯蔵部の壁部にベアリング等の機構を設けて回転できるように支持しておくことで、送給部材31を安定的に回転させることができる。
【0043】
棒状部材311によって螺旋形状に形成される送給部材31において、被供給材1を内部に取り込む際、被供給材1の形状によっては、螺旋形状の形態が歪むことがある。その場合は、棒状部材311によって形成される螺旋形状が歪まないよう螺旋の内部を所々棒状の支持部材により補強することが望ましい。更には、取り付け板34または前記板材に棒状の心棒を取り付け、前記心棒に前記支持部材を固定する等の方法も螺旋形状の歪みを防止するには有効である。
【0044】
[実施例1]
<使用材料>
繊維材料:炭素繊維束(東レ株式会社製:T700SC-60E-12000本/束、単糸直径:0.007mm)
熱可塑性樹脂材料:PA6製樹脂フィルム(三菱樹脂株式会社製:ダイアミロン 幅:180mm、厚さ:0.02mm)
【0045】
<熱可塑性薄層セミプリプレグシートの製造方法>
公知の熱可塑性薄層セミプリプレグシート製造装置(例えば、特許6718101号公報に記載の
図5及び
図6で説明した装置において、
図5に示す装置構成における押出成形装置部分を外し、熱可塑性樹脂フィルムを投入する機構を取り付けた装置)に、公知の開繊装置(例えば、特許5553074号公報に記載の
図15A及び
図15Bに示す開繊装置)を、前記熱可塑性薄層セミプリプレグシート製造装置の両側にそれぞれ取り付けた装置構成にて実施した。
【0046】
なお、特許6718101号公報に記載の
図5で説明した装置では加熱ロールが2連構成されているが、本実施例では加熱ロールを1連、冷却ロールを2連とした装置構成とした。
【0047】
搬送用ベルトとして、中興ベルト株式会社製フッ素ベルト(Gタイプベルト) を使用した。加熱ロールの設定温度を270℃、加熱ロール間での加圧力を線圧25kgf/cmに設定した。また、加熱ロールを駆動モーターにより加工速度20m/minになるよう回転駆動させ、冷却ロールはフリーで回転する機構とした。
【0048】
各開繊装置では、炭素繊維束5本をそれぞれ38mmに開繊し、幅190mm 、目付け約21g/m2の開繊糸シートとし、それぞれの開繊糸シートを、各開繊繊維束の端部が厚さ方向で重ならないように幅方向に少しずらして、特許6718101号公報に記載の
図5に示す加熱ロールに両側からそれぞれ連続して導入した。
【0049】
そして、特許6718101号公報の
図5に示す一連の加熱ロールの一方から、PA6樹脂フィルムを開繊糸シート上に添わせて導入し、PA6樹脂フィルムが溶融状態となったときに、一連の加熱ロールによって開繊糸シートで挟みながら加圧して、開繊糸シートにPA6樹脂フィルムを若干含浸させたセミプリプレグ状態にした。
【0050】
その後、冷却ロールを通過することで、シートを冷却して、搬送用ベルトから剥離後、両端部をスリットして、熱可塑性薄層セミプリプレグシートとして3インチ紙管に連続して巻き取った。
【0051】
本製造装置を約50分間稼働させ、幅160mm、長さ約1000mの熱可塑性薄層セミプリプレグシートを得た。得られた熱可塑性薄層セミプリプレグシートは、目付け65g/m2(繊維目付け約42g/m2)で、含浸状態における厚さは計算上約0.042mmとなり、繊維体積含有率は約54%であった。製造された熱可塑性薄層セミプリプレグシートの厚さは、最小表示目盛り0.001mmの外側マイクロメータ(株式会社ミツトヨ製)を用いて10カ所を測定し、測定結果の平均値が約0.063mmであった。
【0052】
<被供給材の製造方法>
本実施例では、被供給材1として短冊形状の樹脂補強テープ材を用いた。短冊形状の樹脂補強テープ材は、公知の擬似等方補強シート材製造装置(例えば、特許6638131号公報に記載の
図4に示す製造装置)におけるシート材供給機構、シート材切断機構を用いて、前記熱可塑性薄層セミプリプレグシートを、繊維方向に沿って幅5mm間隔に切断し、続けて繊維方向と直交する方向に長さ10mm間隔に切断して製造した。前記熱可塑性薄層セミプリプレグシートの供給速度は約30m/分に設定して行った。
【0053】
<供給装置>
本実施例では
図6に示す供給装置M2を用いた。材料貯蔵部2を構成する逆円錐形状のホッパーの上方の開口は78.5cm
2とした。送給部材31を構成する棒状部材311には、8mmのPLA製角材を螺旋形状に加工したものを使用し、攪拌部材33にはφ5mm、長さ20mmの金属製のストレートピンを使用した。螺旋の巻き数は4巻、溝の幅は15mmに設定した。搬送部材41を構成する中空ロール411には、内径76mm、長さ300mmのポリエチレン製パイプ(株式会社昭和丸筒製)を用いた。棒状部材412としては、8mmのPLA製角材を螺旋形状に加工したものを使用し、接着剤を用いて中空ロール411の内周面に一体化させた。螺旋の巻き数は16巻、溝413の幅は15mmに設定した。送給部材31を形成する棒状部材311と搬送部材41を形成する棒状部材412は接続している。
【0054】
<被供給材の供給状態>
供給装置M2の材料貯蔵部2に被供給材1である短冊形状の樹脂補強テープ材を供給し、内周面に螺旋構造が形成された中空ロール411を回転速度1rpmで回転させたところ、螺旋形状に沿って被供給材1が排出口まで搬送され、連続して被供給材1が中空ロール411の端部から排出された。10回転毎に排出口から供給された被供給材1の供給量を測定したところ、5.13g、5.18g、5.07g、5.28g、5.07g、5.05g、5.04g、5.38g、5.40g、5.32gであり、その平均は5.19gであった。重量のばらつきは、2.57%であり、5%以内の均一性で供給された。
[実施例2]
【0055】
実施例2では、実施例1と同じ供給装置M2を用いた。被供給材1としてはポリエチレンペレットを使用した。
【0056】
<使用材料>
ペレット:ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製:HJ360、形状:球状)
【0057】
<供給装置>
供給装置M2の構成、中空ロール411の回転速度及び送給部材の回転速度は、実施例1と同じ条件とした。
【0058】
<被供給材の供給状態>
供給装置M1の材料貯蔵部2に被供給材1であるペレット状のポリエチレンを供給し、内周面に螺旋構造が形成された中空ロール411を回転速度1rpmで回転させたところ、螺旋形状に沿って被供給材1が排出口まで搬送された。10回転毎に排出口から供給された被供給材1の供給量を測定したところ、55.47g、55.13g、56.69g、53.51g、53.06g、55.79g、54.95g、53.61g、53.77g、57.15gであり、その平均は54.91gであった。重量のばらつきは、2.73%であり、5%以内の均一性で供給された。
【符号の説明】
【0059】
1 被供給材
2 材料貯蔵部
3 材料送給部
31 送給部材
311 棒状部材
312 溝
32 モーター
33 攪拌部材
331 細棒部材
332 先端平部材
333 平形部材
34 取り付け板
4 材料搬送部
41 搬送部材
411 中空ロール
412 棒状部材
413 溝
42 モーター
43、44 プーリー
45 駆動伝達ベルト
46 ベアリング
M1、M2 供給装置
L 回転軸
R 回転方向