(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109256
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】保持部材
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240806BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240806BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240806BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
C23C16/458
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013965
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉原 一貴
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030GA02
4K030KA45
4K030KA46
5F004AA16
5F004BB22
5F004BB29
5F045AA08
5F045EM05
5F045EM09
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131BA23
5F131CA12
5F131CA17
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】耐電圧を向上させることができる保持部材を提供すること。
【解決手段】半導体ウエハWを保持する静電チャック1は、上面21と、上面21とは反対側に設けられる下面22と、上面21と下面22とを繋げる側面23と、を有する金属製のベース部材20を備え、ベース部材20の側面23に対して、径方向内側に凹んだ環状の段差部25であって、段差部25はベース部材20の下面21に形成され、段差部25には環状のシール部材26が配置されており、段差部25は、下面22に繋がる段差部側面25aと、段差部側面25aとベース部材20の側面23とに繋がる段差部平面25bとを備え、ベース部材20の側面23と段差部平面25bに、絶縁膜28が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を保持する保持部材であって、
前記保持部材は、第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを繋げる側面と、を有する金属製のベース部材を備え、
前記ベース部材の前記側面に対して、径方向内側に凹んだ環状の段差部であって、前記段差部は前記ベース部材の前記第2の面に形成され、前記段差部には環状のシール部材が配置されており、
前記段差部は、前記第2の面に繋がる段差部側面と、前記段差部側面と前記ベース部材の前記側面とに繋がる段差部平面とを備え、
前記ベース部材の前記側面と前記段差部平面に、絶縁膜が設けられている
ことを特徴とする保持部材。
【請求項2】
請求項1に記載する保持部材において、
前記段差部側面のうち少なくとも前記シール部材との接触面は、鏡面加工されている
ことを特徴とする保持部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する保持部材において、
前記段差部平面と前記ベース部材の側面とは、面取り部を介して接続している
ことを特徴とする保持部材。
【請求項4】
対象物を保持する保持部材であって、
前記保持部材は、第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを繋げる側面と、を有する金属製のベース部材を備え、
前記ベース部材は、前記ベース部材の前記側面に対して、径方向内側に凹んだ環状の段差部であって、当該ベース部材の前記第2の面側に形成され、環状のシール部材を配置可能な段差部を備え、
前記段差部は、前記第2の面に繋がる段差部側面と、前記段差部側面と前記ベース部材の前記側面とに繋がる段差部平面とを備え、
前記ベース部材の前記側面と前記段差部平面に、絶縁膜が設けられている
ことを特徴とする保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象物を保持する保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
保持部材に関する従来技術として、例えば、特許文献1に、対象物を保持面に保持する誘電体基板(板状部材)と、金属プレート(ベース部材)と、誘電体基板と金属プレートとを接合する絶縁性接着材(接合層)とを備える静電チャック(保持装置)が開示されている。この静電チャックでは、耐電圧を高めるために、金属プレートの表面(保持面)に、溶射によって絶縁体膜(絶縁膜)を形成している。そして、このような静電チャックは、例えば、半導体製造装置側の取付台座(ファシリティプレート)に対して、環状のシール部材を用いて気密に取り付けられている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-243139号公報
【特許文献2】特開2004-55779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように、保持部材を取付台座に対して、環状のシール部材を用いて気密に取り付ける場合、シール部材を配置するための溝が形成された部分(ベース部材の外周部分)が局所的な突起部となってしまい、アーキング(異常放電)が発生しやすくなり耐電圧が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した問題点を解決するためになされたものであり、耐電圧を向上させることができる保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、
対象物を保持する保持部材であって、
前記保持部材は、第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、前記第1の面と前記2の面とを繋げる側面と、を有する金属製のベース部材を備え、
前記ベース部材の前記側面に対して、径方向内側に凹んだ環状の段差部であって、前記段差部は前記ベース部材の前記第2の面に形成され、前記段差部には環状のシール部材が配置されており、
前記段差部は、前記第2の面に繋がる段差部側面と、前記段差部側面と前記ベース部材の前記側面とに繋がる段差部平面とを備え、
前記ベース部材の前記側面と前記段差部平面に、絶縁膜が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この保持部材では、ベース部材の第2の面に径方向内側に凹んだ環状の段差部を設けて、この段差部に環状のシール部材を配置している。そして、ベース部材の側面及び段差部平面に絶縁膜を設けている。これにより、ベース部材のうちプラズマ環境下に晒される部分を絶縁膜及びシール部材で覆うことができるため、保持部材の耐電圧を向上させることができる。
【0008】
また、シール部材を配置する部分が従来のように溝ではなく段差部となっているため、ベース部材の外周部分に局所的な突起部が形成されない。そのため、アーキング(異常放電)が発生し難いので、保持部材の耐電圧が向上する。
【0009】
なお、段差部平面に設ける絶縁膜は、段差部側面との接点まで設けないことが好ましい。こうすることにより、ベース部材が熱変形した際、絶縁膜にクラックが発生することを抑制することができる。
【0010】
上記した保持部材において、
前記段差部側面のうち少なくとも前記シール部材との接触面は、鏡面加工されていることが好ましい。
【0011】
保持部材が取り付けられる取付台座(ファシリティプレート:FP)に取り付けられた状態において、シール部材は、段差部平面と取付台座とに挟まれて弾性域で潰されるように変形する。その結果、シール部材が、段差部平面と取付台座、及び段差部側面に接触することにより、保持部材からのガスリークを防止している。
【0012】
ここで、保持部材の耐電圧を高めるために、シール部材を配置する段差部の段差部平面に絶縁膜を設けると、絶縁膜には多数のポア(気孔)が形成されているため、シール部材によるシール性能が低下して、保持部材からのガスリークが発生するおそれがある。
【0013】
そこで、段差部側面のうち少なくともシール部材との接触面を鏡面加工することにより、段差部側面に対してシール部材を密着させることができるため、段差部側面においてシール部材によるシール性能を向上させることができる。そのため、段差部平面におけるシール部材のシール性能が低下しても、段差部側面にてシール部材に要求されるシール性能を確保することができ、保持部材からのガスリークを防止することができる。
【0014】
そして、保持部材が取り付けられる取付台座は、通常、シール部材との接触面が鏡面加工されているため、シール部材によって保持部材(ベース部材)を取付台座に対して気密に取り付けることができる。そのため、ベース部材と取付台座との間からのガスリークの発生を防止することができる。
【0015】
上記したいずれかの保持部材において、
前記段差部平面と前記ベース部材の側面とは、面取り部を介して接続していることが好ましい。
【0016】
段差部の段差部平面とベース部材の側面とが接する部分はアーキング(異常放電)が生じやすいが、このように段差部平面とベース部材の側面とを面取り部を介して接続することにより、この部分でのアーキングの発生を効果的に防止することができる。また、この部分における絶縁膜のクラック等の損傷の発生を抑制することもできる。従って、保持部材における耐電圧をさらに向上させることができる。
【0017】
また、上記課題を解決するためになされた本開示の別形態としては、
対象物を保持する保持部材であって、
前記保持部材は、第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを繋げる側面と、を有する金属製のベース部材を備え、
前記ベース部材は、前記ベース部材の前記側面に対して、径方向内側に凹んだ環状の段差部であって、当該ベース部材の前記第2の面側に形成され、環状のシール部材を配置可能な段差部を備え、
前記段差部は、前記第2の面に繋がる段差部側面と、前記段差部側面と前記ベース部材の前記側面とに繋がる段差部平面とを備え、
前記ベース部材の前記側面と前記段差部平面に、絶縁膜が設けられていることを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、耐電圧を向上させることができる保持部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態の静電チャックの概略斜視図である。
【
図2】静電チャックをファシリティプレートに取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示に係る実施形態である保持部材について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、例えば、成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置など)やエッチング装置(プラズマエッチング装置など)といった半導体製造装置に使用される静電チャックを例示する。
【0021】
本実施形態の静電チャック1について、
図1~
図3を参照しながら説明する。本実施形態の静電チャック1は、半導体ウエハW(対象物)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば、半導体製造装置の真空チャンバー内で半導体ウエハWを固定するために使用される。
図1に示すように、静電チャック1は、板状部材10と、ベース部材20と、板状部材10とベース部材20とを接合する接合層30とを有し、
図2に示すように、半導体製造装置側に備わる取付台座100(ファシリティプレート:FP)に取り付けられている。
【0022】
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、
図1に示すようにXYZ軸を定義する。ここで、Z軸は、静電チャック1の軸線方向(
図1において上下方向)の軸であり、X軸とY軸は、静電チャック1の径方向の軸である。
【0023】
板状部材10は、
図1に示すように、円盤状の部材であり、セラミックスにより形成されている。セラミックスとしては、様々なセラミックスが用いられるが、強度や耐摩耗性、耐プラズマ性等の観点から、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、Al
2O
3)または窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックスが用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合の最も多い成分(例えば、体積含有率が90vol%以上の成分)を意味する。
【0024】
また、板状部材10の直径は、例えば150mm~350mm程度である。板状部材10の厚さは、例えば2mm~6mm程度である。なお、板状部材10の熱伝導率は、10W/mK~50W/mK(より好ましくは、18W/mK~30W/mK)の範囲内が望ましい。
【0025】
図1、
図2に示すように、板状部材10は、保持面11と、板状部材10の厚み方向(Z軸方向に一致する方向、上下方向)について保持面11とは反対側に設けられる下面12とを備えている。
【0026】
そして、板状部材10の保持面11に、半導体ウエハWが保持されるようになっている。半導体ウエハWが保持面11に保持された状態では、半導体ウエハWの表面(下面)と、板状部材10の保持面11との間に形成される微小空間に、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス等)が供給されるようになっている。
【0027】
ベース部材20は、
図1、
図2に示すように、上面21と、ベース部材20の厚さ方向(Z軸方向)について上面21とは反対側に設けられる下面22と、上面21と下面22とを繋げる側面23とを備え、円柱状に形成されている。なお、上面21は本開示の「第1の面」の一例であり、下面22は本開示の「第2の面」の一例である。このベース部材20は、金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、チタン等)により形成されている。
【0028】
このベース部材20の直径は、例えば220mm~550mm程度(通常は220mm~350mm程度)であり、ベース部材20の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば20mm~40mm程度である。
【0029】
そして、ベース部材20の側面23には、径方向内側に凹んだ環状の段差部25が設けられている。段差部25は、ベース部材20の下面22側に形成されている。この段差部25は、
図3に示すように、下面22に繋がる段差部側面25aと、段差部側面25aとベース部材20の側面23とに繋がる段差部平面25bとを備えている。そして、段差部平面25bと側面23とは、面取り部24を介して接続している。つまり、段差部平面25bと側面23とが接する角部に対して、面取り加工が行われている。この面取り加工としては、R面取り加工(R0.3mm~3.0mm)が好ましい。
【0030】
そして、段差部側面25aは、鏡面加工されている。このような段差部25に、環状のシール部材26が配置されている。なお、段差部側面25aに対する鏡面加工は、段差部側面25aの全域に行う必要はなく、段差部側面25aのうち少なくともシール部材26との接触面に施されていればよい。また、段差部側面25aに対する鏡面加工としては、表面粗さがRa0.05μm~1.0μmになることが好ましい。
【0031】
ここで、シール部材26の内径は、段差部25に組付ける前の状態では、段差部側面25aの外径よりも小さい。そのため、シール部材26が段差部25に組付けられた状態では、シール部材26の内側が段差部側面25aに密着するようになっている。これにより、段差部側面25aにおいて、上記の鏡面加工と相まって、段差部側周面に対するシール部材の密着度を向上させることができる。
【0032】
シール部材26は、取付台座100と段差部平面25bとに挟まれるようにして段差部25に配置されている。すなわち、シール部材26は段差部25において、弾性域で押し潰されるように変形している。そのため、シール部材26は、段差部平面25bと取付台座100、及び段差部側面25aに密着するようになっている。
【0033】
また、静電チャック1の絶縁信頼性(耐電圧)を高めるために、静電チャック1の使用中にプラズマに晒される金属部分、つまりベース部材20の側面23及び段差部平面25bには、溶射によって形成したセラミックス(例えば、アルミナやイットリア等)の絶縁膜(溶射被膜)28が設けられている。この絶縁膜28には、多数の微小な気孔(溶射ポア)が形成されている。なお、ベース部材20の上面21には、板状部材10及び装置使用時に板状部材10を包囲するように設置される環状リング(不図示)が配置されているため、上面21がプラズマに晒されることはないが、上面21にも絶縁膜28を設けてもよい。また、側面23に形成された絶縁膜28の表面粗さはRa1.0μm以下であることが好ましい。
【0034】
ここで、段差部平面25bにおいて、絶縁膜28を全域に形成しても良いが、絶縁膜28は、段差部側面25aとの接点までは設けないことが好ましい。こうすることにより、ベース部材20が熱変形した際、絶縁膜28にクラックが発生することを抑制することができる。
【0035】
なお、ベース部材20には、冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)を流すための冷媒流路(不図示)が形成されており、冷媒流路内に冷媒を流すことにより、ベース部材20が冷却され、これにより、接合層30を介して板状部材10が冷却されるようになっている。
【0036】
接合層30は、板状部材10の下面12とベース部材20の上面21との間に配置され、板状部材10とベース部材20とを接合している。この接合層30を介して、板状部材10の下面12とベース部材20の上面21とが熱的に接続されている。接合層30は、例えばシリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性接着材により構成されている。
【0037】
接合層30の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば0.1~5.0mm程度である。また、接合層30の熱伝導率は、例えば1.0W/mKである。なお、接合層30(シリコーン系樹脂を想定)の熱伝導率は、0.1~2.0W/mK(好ましくは、0.5~1.5W/mK)の範囲内が望ましい。
【0038】
このような構成を有する静電チャック1は、
図2に示すように、半導体製造装置側に備わる取付台座100(ファシリティプレート:FP)に取り付けられて固定された状態で使用される。なお、取付台座100の取付面(静電チャック1を取り付ける面)は鏡面加工されている。この静電チャック1の使用状態では、シール部材26が、段差部25において、押し潰されるように弾性変形している。これにより、シール部材26は、段差部平面25bと取付台座100に密着しているとともに、段差部側面25aにも密着している。
【0039】
そして、静電チャック1において、半導体ウエハWに対するプロセス処理中に、プラズマに晒される金属部分、つまりベース部材20の側面23と段差部25の段差部平面25bには、絶縁膜28が設けられている。また、段差部25には、シール部材26が配置され、シール部材26が、段差部平面25bと取付台座100、及び段差部側面25aに密着している。これにより、ベース部材20のうちプラズマに晒される部分を、絶縁膜28及びシール部材26で覆うことができる。従って、静電チャック1の耐電圧を向上させることができる。
【0040】
また、シール部材26を配置する部分が従来のように溝ではなく段差部25となっているため、ベース部材20の外周部分に局所的な突起部が形成されない。さらに、段差部平面25bとベース部材20の側面23とは、面取り部24を介して接続されている。そのため、ベース部材20にてアーキング(異常放電)が発生し難くなるので、静電チャック1の耐電圧をより向上させることができる。
【0041】
そして、段差部平面25bとベース部材20の側面23とが、面取り部24を介して接続されているため、ベース部材20が熱変形した際に、絶縁膜28にクラックが発生することを抑制することができる。このことも静電チャック1の耐電圧の向上に寄与する。
【0042】
ここで、段差部25の段差部平面25bに絶縁膜28を設けているため、絶縁膜28に存在する多数のポア(気孔)により、シール部材26によるシール性能が低下してガスリークが発生するおそれがある。すなわち、段差部平面25bとシール部材26との間からガスがリークするおそれがある。
【0043】
そこで、静電チャック1では、段差部側面25aのうち少なくともシール部材26との接触面を鏡面加工して、段差部側面25aに対するシール部材26の密着度を高めている。これにより、段差部側面25aにおいて、シール部材26によるシール性能を向上させることができる。従って、段差部平面25bにおけるシール部材26のシール性能が低下しても、段差部側面25aにてシール部材26に要求されるシール性能を確保することができる。また、取付台座100に対するシール部材26の密着度も高められているため、取付台座100の取付面においても必要十分なシール性能を確保することができる。
【0044】
従って、静電チャック1では、鏡面加工された、段差部側面25aと取付台座100の取付面とにおいて、シール部材26によるシールが行われる。よって、段差部平面25bに絶縁膜28を設けても、静電チャック1から外部へのガスリークの発生を防止することができる。これにより、半導体ウエハWに対する各種プロセス処理を精度良く行うことができる。
【0045】
以上のように、本実施形態の静電チャック1によれば、ベース部材20の下面22側の側面23に、径方向内側に凹んだ環状の段差部25を設けて、段差部25に環状のシール部材26を配置している。そして、ベース部材20の側面23及び段差部平面25bに絶縁膜28を設けている。これにより、ベース部材20のうちプラズマに晒される部分を絶縁膜28及びシール部材26で覆うことができるため、静電チャック1の耐電圧を向上させることができる。
【0046】
そして、本実施形態の静電チャック1では、段差部側面25aのうち少なくともシール部材26との接触面を鏡面加工している。そのため、段差部側面25aに対してシール部材26を密着させることができるので、段差部側面25aにおいてシール部材26によるシール性能を向上させることができる。これにより、段差部平面25bに絶縁膜28を設けたことで、段差部平面25bにおいてシール部材26のシール性能が低下しても、段差部側面25aにてシール部材26に要求されるシール性能を確保することができ、静電チャック1から外部へのガスリークを防止することができる。
【0047】
なお、上記の実施形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記の実施形態では、ベース部材20の上面21に絶縁膜28を設けていない場合を例示したが、上面21に絶縁膜28を設けることもできる。また、上記の実施形態では、絶縁膜28の表面が平坦な場合を例示しているが、段差部平面25bに形成された絶縁膜28の表面は数~数10μm程度の凹凸があってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 静電チャック
10 板状部材
20 ベース部材
21 上面
22 下面
23 側面
24 面取り部
25 段差部
25a 段差部側面
25b 段差部平面
26 シール部材
28 絶縁膜
W 半導体ウエハ