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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109297
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20240806BHJP
   H01G 4/40 20060101ALI20240806BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20240806BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240806BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H03H7/01 A
H01G4/40 321A
H01G4/38 A
H01F17/00 A
H01F27/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014009
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】戸田 慎一郎
【テーマコード(参考)】
5E070
5E082
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070AB03
5E070CB01
5E070CB13
5E082AA01
5E082AB03
5E082BB01
5E082BC30
5E082CC03
5E082DD08
5E082FF05
5E082LL13
5J024AA01
5J024CA04
5J024CA09
5J024DA04
5J024DA29
5J024DA31
5J024DA33
5J024DA35
5J024EA03
5J024KA02
5J024KA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】挿入損失の低減を図ることができる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品は、素体と、素体内に配置されており、互いに対向して配置されている第一キャパシタパターン20B,21B及び第二キャパシタパターン24,25を含んで構成されているキャパシタと、を備え、キャパシタは、第一キャパシタパターン20B,21Bと第二キャパシタパターン24,25との対向方向において、第一キャパシタパターン20B,21B又は第二キャパシタパターン24,25と重なる位置に配置されている補助キャパシタパターン29B,28B,36B,35B,37D,37Eを含み、第一キャパシタパターン20B,21B又は第二キャパシタパターン24,25と補助キャパシタパターン29B,28B,36B,35B,37D,37Eとが電気的に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
前記素体内に配置されており、互いに対向して配置されている第一キャパシタパターン及び第二キャパシタパターンを含んで構成されているキャパシタと、を備え、
前記キャパシタは、前記第一キャパシタパターンと前記第二キャパシタパターンとの対向方向において、前記第一キャパシタパターン又は前記第二キャパシタパターンと重なる位置に配置されている補助キャパシタパターンを含み、
前記第一キャパシタパターン又は前記第二キャパシタパターンと前記補助キャパシタパターンとが電気的に接続されている、電子部品。
【請求項2】
前記素体内に配置されており、インダクタパターンを含んで構成されているインダクタを更に備え、
前記インダクタと前記キャパシタとは、共振器を構成している、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第一キャパシタパターン又は前記第二キャパシタパターンと前記補助キャパシタパターンとは、接続導体によって電気的に接続されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第一キャパシタパターン又は前記第二キャパシタパターンと前記補助キャパシタパターンとは、複数の前記接続導体によって電気的に接続されている、請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記補助キャパシタパターンは、複数設けられており、
複数の前記補助キャパシタパターンは、接続導体によって電気的に接続されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項6】
複数の前記キャパシタパターンは、複数の前記接続導体によって電気的に接続されている、請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記対向方向から見て、前記補助キャパシタパターンは、前記第一キャパシタパターン又は前記第二キャパシタパターンの全域と重なる、請求項1又は2に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品として、たとえば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の電子部品は、素体と、素体内に配置されているインダクタパターン及びキャパシタパターンと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-6847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示では、挿入損失の低減が図れる電子部品が説明される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る電子部品は、素体と、素体内に配置されており、互いに対向して配置されている第一キャパシタパターン及び第二キャパシタパターンを含んで構成されているキャパシタと、を備え、キャパシタは、第一キャパシタパターンと第二キャパシタパターンとの対向方向において、第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンと重なる位置に配置されている補助キャパシタパターンを含み、第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンと補助キャパシタパターンとが電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示の各側面及び各実施形態によれば、挿入損失の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図2図2は、LCフィルタ部を構成する導体パターンを示す図である。
図3図3は、電子部品の等価回路図である。
図4図4は、電子部品のフィルタ特性を示す図である。
図5図5は、電子部品の減衰特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1]実施形態の概要
(1)本開示の一側面に係る電子部品は、素体と、素体内に配置されており、互いに対向して配置されている第一キャパシタパターン及び第二キャパシタパターンを含んで構成されているキャパシタと、を備え、キャパシタは、第一キャパシタパターンと第二キャパシタパターンとの対向方向において、第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンと重なる位置に配置されている補助キャパシタパターンを含み、第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンと補助キャパシタパターンとが電気的に接続されている。
【0009】
本開示の一側面に係る電子部品では、キャパシタは、第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンと重なる位置に配置されている補助キャパシタパターンを含む。第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンと補助キャパシタパターンとが電気的に接続されている。これにより、電子部品では、補助キャパシタパターンによって、第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンの見かけの厚みが増す(断面積が増大する)。そのため、電子部品では、キャパシタパターンにおいて電流が流れる断面積が大きくなる。したがって、電子部品では、挿入損失の低減が図れる。
【0010】
(2)素体内に配置されており、インダクタパターンを含んで構成されているインダクタを更に備え、インダクタとキャパシタとは、共振器を構成している、(1)に記載の電子部品。この構成では、電子部品を共振器として構成することができる。
【0011】
(3)第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンと補助キャパシタパターンとは、接続導体によって電気的に接続されている、(1)又は(2)に記載の電子部品。この構成では、第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンと補助キャパシタパターンとを電気的に確実に接続することができる。
【0012】
(4)第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンと補助キャパシタパターンとは、複数の接続導体によって電気的に接続されている、(3)に記載の電子部品。この構成では、複数の接続導体を電流が流れるため、第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンと補助キャパシタパターンとの間において電流が流れる断面積が大きくなる。そのため、挿入損失の低減をより一層図れる。
【0013】
(5)補助キャパシタパターンは、複数設けられており、複数の補助キャパシタパターンは、接続導体によって電気的に接続されている、(1)から(4)のいずれか一つに記載の電子部品。この構成では、第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンの見かけの厚みが更に増すため、キャパシタパターンにおいて電流が流れる断面積を更に大きくすることができる。そのため、電子部品では、挿入損失の低減をより一層図れる。
【0014】
(6)複数のキャパシタパターンは、複数の接続導体によって電気的に接続されている、(5)に記載の電子部品。この構成では、複数の接続導体を電流が流れるため、複数の補助キャパシタパターンの間において電流が流れる断面積が大きくなる。そのため、挿入損失の低減をより一層図れる。
【0015】
(7)対向方向から見て、補助キャパシタパターンは、第一キャパシタパターン又は第二キャパシタパターンの全域と重なっている、(1)~(6)のいずれか一つに記載の電子部品。
【0016】
[2]実施形態の例示
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。
【0017】
図1は、一実施形態に係る電子部品の斜視図である。図1に示される電子部品1は、LCフィルタである。電子部品1は、いわゆる薄膜LCフィルタである。LCフィルタは、バンドパスフィルタであり得る。図1及び図2に示されるように、電子部品1は、基板2と、絶縁体(素体)3と、絶縁体3に配置された第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9と、を備えている。
【0018】
基板2は、例えば、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれ得る。図1図3及び図4に示されるように、基板2は、その外表面として、互いに対向している一対の端面2a,2bと、互いに対向している一対の主面2c,2dと、互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有している。
【0019】
一対の端面2a,2bが対向している対向方向が第一方向D1である。一対の主面2c,2dが対向している対向方向が第二方向D2である。一対の側面2e,2fが対向している対向方向が第三方向D3である。本実施形態では、第一方向D1は、基板2の長手方向である。第二方向D2は、基板2の高さ方向であり、第一方向D1と直交している。第三方向D3は、基板2の幅方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。第二方向D2から見ることは、平面視に相当する。
【0020】
一対の端面2a,2bは、一対の主面2c,2dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の端面2a,2bは、第三方向D3にも延びている。一対の側面2e,2fは、一対の主面2c,2dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の側面2e,2fは、第一方向D1にも延びている。
【0021】
基板2は、化学的・熱的に安定で応力発生が少なく、表面の平滑性を保つことができる材料で形成することができる。当該材料としては、特に限定されるものではないが、シリコン単結晶、アルミナ、サファイア、窒化アルミ、MgO単結晶、SrTiO単結晶、表面酸化シリコン、ガラス、石英、フェライトなどを用いることができる。
【0022】
絶縁体3は、直方体形状を呈している。図1図4に示されるように、絶縁体3は、その外表面として、互いに対向している一対の端面3a,3bと、互いに対向している一対の主面3c,3dと、互いに対向している一対の側面3e,3fと、を有している。一対の端面3a,3bは、第一方向D1において対向している。一対の主面3c,3dは、第二方向D2において対向している。一対の側面3e,3fは、第三方向D3において対向している。
【0023】
一対の端面3a,3bは、一対の主面3c,3dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の端面3a,3bは、第三方向D3にも延びている。一対の側面3e,3fは、一対の主面3c,3dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の側面3e,3fは、第一方向D1にも延びている。絶縁体3の第一方向D1の寸法は、基板2の第一方向D1の寸法と同等である。絶縁体3の第三方向D3の寸法は、基板2の第三方向D3の寸法と同等である。
【0024】
なお、本実施形態で「同等」とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
【0025】
絶縁体3は、複数の絶縁体層が積層されることによって構成されている。絶縁体層は、ポリイミドなどの有機絶縁材料で構成されてもよい。絶縁体層は、第二方向D2に積層されている。すなわち、第二方向D2が積層方向である。実際の絶縁体3では、複数の絶縁体層は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0026】
基板2と絶縁体3とは、一体に設けられている。基板2と絶縁体3とは、主面2cと主面3dとが対向するように配置されている。基板2と絶縁体3との間には、平坦化層10が配置されている。平坦化層10は、基板2の主面2cと絶縁体3の主面3dとの間に配置されている。平坦化層10としては、アルミナ、酸化シリコンなどを用いることができる。
【0027】
図1及び図2に示されるように、第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9は、絶縁体3の主面3cに配置されている。第一端子電極4及び第二端子電極5、第五端子電極8及び第六端子電極9は、グラウンド端子であり得る。第三端子電極6及び第四端子電極7は、信号の入出力端子であり得る。
【0028】
第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9は、平面視において、略長方形状を呈している。長方形状には、角部及び稜線部が面取りされている形状、及び、角部及び稜線部が丸められている形状が含まれ得る。第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6及び第四端子電極7のそれぞれは、絶縁体3の角部に配置されている。
【0029】
第一端子電極4は、端面3a寄りで且つ側面3e寄りの位置に配置されている。第二端子電極5は、端面3aと端面3bとの間で且つ側面3e寄りの位置に配置されている。第三端子電極6は、端面3b寄りで且つ側面3e寄りの位置に配置されている。第四端子電極7は、端面3a寄りで且つ側面3f寄りの位置に配置されている。第五端子電極8は、端面3aと端面3bとの間で且つ側面3f寄りの位置に配置されている。第六端子電極9は、端面3b寄りで且つ側面3f寄りの位置に配置されている。
【0030】
第一端子電極4、第二端子電極5及び第三端子電極6は、第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9は、第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。第一端子電極4と第四端子電極7とは、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。第二端子電極5と第五端子電極8とは、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。第三端子電極6と第六端子電極9とは、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。
【0031】
第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9は、たとえば、金、ニッケル、銅、銀などで形成することができる。
【0032】
電子部品1は、絶縁体3内にLCフィルタ部11が配置されている。図2は、図1に示す電子部品1が備えるLCフィルタ部11を構成する導体パターンを示す図である。電子部品1では、基板2側(絶縁体3の主面3d側)から、図2のレイヤーE、レイヤーD、レイヤーC、レイヤーB及びレイヤーAに示される順に導体パターンが配置されている。導体パターンには、インダクタパターン、キャパシタパターン、スルーホールパターン及びビアパターンなどが含まれ得る。導体パターンは、たとえば、銅で形成することができる。
【0033】
図2のレイヤーEに示されるように、LCフィルタ部11は、導体パターン20、導体パターン21、導体パターン22及び導体パターン23を有している。導体パターン20~23は、平坦化層10上に配置されている。
【0034】
導体パターン20は、インダクタパターン20A、キャパシタパターン20B、接続パターン20C、接続パターン20D及び接続パターン20Eを含んでいる。導体パターン21は、インダクタパターン21A、キャパシタパターン21B、接続パターン21C、接続パターン21D及び接続パターン21Eを含んでいる。
【0035】
図2のレイヤーDに示されるように、LCフィルタ部11は、キャパシタパターン24、キャパシタパターン25、導体パターン26及び導体パターン27を有している。
【0036】
図2のレイヤーCに示されるように、LCフィルタ部11は、導体パターン28、導体パターン29、キャパシタパターン30、導体パターン31、導体パターン32、導体パターン33及び導体パターン34を有している。導体パターン28は、インダクタパターン28A、キャパシタパターン(補助キャパシタパターン)28B及び接続パターン28Cを含んでいる。導体パターン29は、インダクタパターン29A、キャパシタパターン(補助キャパシタパターン)29B及び接続パターン29Cを含んでいる。
【0037】
図2のレイヤーBに示されるように、LCフィルタ部11は、導体パターン35及び導体パターン36を有している。導体パターン35は、インダクタパターン35A、キャパシタパターン(補助キャパシタパターン)35B及び接続パターン35Cを含んでいる。導体パターン36は、インダクタパターン36A、キャパシタパターン(補助キャパシタパターン)36B及び接続パターン36Cを含んでいる。
【0038】
図2のレイヤーAに示されるように、LCフィルタ部11は、導体パターン37を有している。導体パターン37は、インダクタパターン37A、インダクタパターン37B、キャパシタパターン37C、キャパシタパターン(補助キャパシタパターン)37D、キャパシタパターン(補助キャパシタパターン)37E、接続パターン37F及び接続パターン37Gを含んでいる。キャパシタパターン37Cは、インダクタパターン37Aとインダクタパターン37Bとを接続している。
【0039】
インダクタパターン20A、インダクタパターン28A、インダクタパターン35A及びインダクタパターン37Aは、接続導体40,41,42によって電気的に接続されている。インダクタパターン21A、インダクタパターン29A、インダクタパターン36A及びインダクタパターン37Bは、接続導体43,44,45によって電気的に接続されている。接続パターン20C、導体パターン26及びキャパシタパターン30は、接続導体46によって電気的に接続されている。接続パターン21C、導体パターン27及びキャパシタパターン30は、接続導体47によって電気的に接続されている。
【0040】
キャパシタパターン20Bとキャパシタパターン24とは、第二方向D2において重なる位置に配置されている。キャパシタパターン20Bとキャパシタパターン24は、第二方向D2において対向して配置されている。キャパシタパターン20Bとキャパシタパターン24との間には、誘電体層(図示省略)が配置されている。キャパシタパターン21Bとキャパシタパターン25とは、第二方向D2において重なる位置に配置されている。キャパシタパターン21Bとキャパシタパターン25とは、第二方向D2において対向して配置されている。キャパシタパターン21Bとキャパシタパターン25との間には、誘電体層(図示省略)が配置されている。誘電体層は、たとえば、窒化シリコン、酸化シリコンなどの常誘電体材料、強誘電体材料などからなる無機絶縁材料で形成することができる。
【0041】
キャパシタパターン20B、キャパシタパターン24、キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37Dは、第二方向D2から見て、第四端子電極7と第五端子電極8との間の領域に配置されている。キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37Dは、第二方向D2において、キャパシタパターン24と重なる位置に配置されている。第二方向D2から見て、キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37Dの面積は、キャパシタパターン24の面積よりも大きい。第二方向D2から見て、キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37Dは、キャパシタパターン24の全域を覆う。
【0042】
キャパシタパターン24とキャパシタパターン29Bとは、接続導体48によって電気的に接続されている。キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37Dは、接続導体50及び接続導体51によって互いに電気的に接続されている。すなわち、本実施形態では、キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37Dは、複数の接続導体50,51によって電気的に接続されている。
【0043】
キャパシタパターン21B、キャパシタパターン25、キャパシタパターン28B、キャパシタパターン35B及びキャパシタパターン37Eは、第二方向D2から見て、第二端子電極5と第三端子電極6との間の領域に配置されている。キャパシタパターン28B、キャパシタパターン35B及びキャパシタパターン37Eは、第二方向D2において、キャパシタパターン25と重なる位置に配置されている。第二方向D2から見て、キャパシタパターン28B、キャパシタパターン35B及びキャパシタパターン37Eの面積は、キャパシタパターン25の面積よりも大きい。第二方向D2から見て、キャパシタパターン28B、キャパシタパターン35B及びキャパシタパターン37Eは、キャパシタパターン25の全域を覆う。
【0044】
キャパシタパターン25とキャパシタパターン28Bとは、接続導体49によって電気的に接続されている。キャパシタパターン28B、キャパシタパターン35B及びキャパシタパターン37Eは、接続導体52及び接続導体53によって互いに電気的に接続されている。すなわち、本実施形態では、キャパシタパターン28B、キャパシタパターン35B及びキャパシタパターン37Eは、複数の接続導体52,53によって電気的に接続されている。
【0045】
導体パターン22、導体パターン31及び第一端子電極4は、接続導体55によって電気的に接続されている。接続パターン20D、接続パターン28C、接続パターン35C、接続パターン37F及び第二端子電極5は、接続導体56によって電気的に接続されている。接続パターン21D、導体パターン32及び第三端子電極6は、接続導体57によって電気的に接続されている。接続パターン20E、導体パターン33及び第四端子電極7は、接続導体58によって電気的に接続されている。接続パターン21E、接続パターン29C、接続パターン36C、接続パターン37G及び第五端子電極8は、接続導体59によって電気的に接続されている。導体パターン23、導体パターン34及び第六端子電極9は、接続導体60によって電気的に接続されている。
【0046】
図3は、電子部品1の等価回路図である。図3に示されるように、電子部品1は、第一インダクタL1と、第二インダクタL2と、第一キャパシタC1と、第二キャパシタC2と、第三キャパシタC3と、を備えている。
【0047】
第一インダクタL1は、インダクタパターン20Aと、インダクタパターン28Aと、インダクタパターン35Aと、インダクタパターン37Aと、を含んで構成されている。第二インダクタL2は、インダクタパターン21Aと、インダクタパターン29Aと、インダクタパターン36Aと、インダクタパターン37Bと、を含んで構成されている。
【0048】
第一キャパシタC1は、キャパシタパターン20Bと、キャパシタパターン24と、キャパシタパターン29Bと、キャパシタパターン36Bと、キャパシタパターン37Dと、を含んで構成されている。第二キャパシタC2は、キャパシタパターン21Bと、キャパシタパターン25と、キャパシタパターン28Bと、キャパシタパターン35Bと、キャパシタパターン37Eと、を含んで構成されている。第三キャパシタC3は、キャパシタパターン30と、キャパシタパターン37Cと、を含んで構成されている。
【0049】
第一インダクタL1及び第一キャパシタC1は、第一LC共振器を構成している。第二インダクタL2及び第二キャパシタC2は、第二LC共振器を構成している。
【0050】
図4は、電子部品のフィルタ特性を示す図である。図4は、第三端子電極6から信号を入力して、第四端子電極7から信号を出力した場合のフィルタ特性を示している。図4では、横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸はS21パラメータ[dB]を示している。図4では、電子部品1の特性を実線で示し、比較例に係る電子部品の特性を破線で示している。比較例に係る電子部品は、補助キャパシタパターンを有していない。図4に示されるように、本実施形態に係る電子部品1は、比較例に電子部品に比べて、フィルタ特性が向上している。
【0051】
図5は、電子部品の減衰特性を示す図である。図5は、第三端子電極6から信号を入力して、第四端子電極7から信号を出力した場合の減衰特性を示している。図5では、横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸はS21パラメータ[dB]を示している。図5では、電子部品1の特性を実線で示し、比較例に係る電子部品の特性を破線で示している。比較例に係る電子部品は、補助キャパシタパターンを有していない。図5に示されるように、本実施形態に係る電子部品1は、比較例に電子部品に比べて、減衰特性が向上している。特に、電子部品1は、高周波帯域における減衰特性が向上している。図4及び図5に例示される特性は、シミュレーションにより得られた結果である。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1では、第一キャパシタC1は、キャパシタパターン24と重なる位置に配置されている補助キャパシタパターン(キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37D)を含む。キャパシタパターン24と補助キャパシタパターンとが電気的に接続されている。第二キャパシタC2は、キャパシタパターン25と重なる位置に配置されている補助キャパシタパターン(キャパシタパターン28B、キャパシタパターン35B及びキャパシタパターン37E)を含む。これにより、電子部品1では、補助キャパシタパターンによって、キャパシタパターン24,25の見かけの厚みが増す(断面積が増大する)。そのため、電子部品1では、キャパシタパターンにおいて電流が流れる断面積が大きくなる。したがって、電子部品1では、挿入損失の低減が図れる。
【0053】
本実施形態に係る電子部品1では、補助キャパシタパターンとして、三つのキャパシタパターン29B,36B,37D及び三つのキャパシタパターン28B,35B,37Eを設けている。この構成では、キャパシタパターン24,25の見かけの厚みが更に増すため、キャパシタパターンにおいて電流が流れる断面積を更に大きくすることができる。そのため、電子部品1では、挿入損失の低減をより一層図れる。
【0054】
本実施形態に係る電子部品1では、キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37Dが二つの接続導体50,51によって電気的に接続されており、キャパシタパターン28B、キャパシタパターン35B及びキャパシタパターン37Eが接続導体52,53によって電気的に接続されている。この構成では、複数の接続導体50,51,52,53を電流が流れるため、複数の補助キャパシタパターンの間において電流が流れる断面積が大きくなる。そのため、挿入損失の低減をより一層図れる。
【0055】
以上、本開示の実施形態について説明してきたが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0056】
上記実施形態では、電子部品1がバンドパスフィルタである形態を一例に説明した。しかし、電子部品は、バンドストップフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタであってもよいし、これらを組み合わせたフィルタ(ダイプレクサ、デュプレクサ、トリプレクサなど)であってもよい。
【0057】
上記実施形態では、キャパシタパターン24と第二方向D2において重なる位置に、三つの補助キャパシタパターン(キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37D)が配置される形態を一例に説明した。しかし、補助キャパシタパターンは、少なくとも一つ配置されればよい。同様に、キャパシタパターン25と第二方向D2において重なる位置に、少なくとも一つの補助キャパシタパターンが配置されればよい。なお、キャパシタパターンと、補助キャパシタパターンとは、第二方向D2において、少なくとも一部が重なっていてもよく、全体が重なっていてもよい。
【0058】
上記実施形態に加えて、キャパシタパターン20B,21Bと第二方向D2において重なる位置に、補助キャパシタパターンが配置されてもよい。
【0059】
上記実施形態では、キャパシタパターン24とキャパシタパターン29Bとを接続導体48によって接続する形態を一例に説明した。しかし、キャパシタパターン24とキャパシタパターン29Bとは、複数の接続導体によって接続してもよい。キャパシタパターン25とキャパシタパターン25Bとの接続についても同様である。
【0060】
上記実施形態では、キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37Dが二つの接続導体50,51によって電気的に接続される形態を一例に説明した。しかし、キャパシタパターン29B、キャパシタパターン36B及びキャパシタパターン37Dは、一つの接続導体によって接続されてもよいし、三以上の接続導体によって接続されてもよい。キャパシタパターン28B、キャパシタパターン35B及びキャパシタパターン37Eについても同様である。
【符号の説明】
【0061】
1…電子部品、3…絶縁体(素体)、20A,21A,28A,29A,35A,36A,37A,37B…インダクタパターン、20B,21B,24,25,30,37C…キャパシタパターン、28B,29B,35B,36B,37D,37E…キャパシタパターン(補助キャパシタパターン)、48,49,50,51,52,53…接続導体。
図1
図2
図3
図4
図5