(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109299
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】モジュール挿入補助具およびモジュール挿入構造
(51)【国際特許分類】
H01R 43/00 20060101AFI20240806BHJP
H01R 13/516 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01R43/00 B
H01R13/516
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014012
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 曜史
【テーマコード(参考)】
5E051
5E087
【Fターム(参考)】
5E051BA06
5E051BB04
5E087JJ09
5E087MM06
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】モジュールの挿入作業を容易に行うことが可能なモジュール挿入補助具およびモジュール挿入構造を提供する。
【解決手段】モジュール挿入補助具10は、ケーブル100の端末部に設けられたモジュール60に着脱可能であって、モジュール60をコネクタハウジング80の挿入孔81に挿入させる際に用いられる。モジュール挿入補助具10は、モジュール60を受容可能な開口部15を備える。開口部15は、互いに対向する対向面14を有し、対向面14間にモジュール60を圧入して挟み込むことが可能な形状になっている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの端末部に設けられたモジュールに着脱可能なモジュール挿入補助具であって、
前記モジュールを受容可能な開口部を備え、
前記開口部は、互いに対向する対向面間に前記モジュールを圧入して挟み込むことが可能な形状になっている、モジュール挿入補助具。
【請求項2】
前記開口部は、前記対向面に、前記開口部における前記モジュールの取付位置を規定する規定部を有している、請求項1に記載のモジュール挿入補助具。
【請求項3】
把持可能な形状の基部と、
前記基部から互いに対向して突出する一対のフォーク部と、を備え、
前記開口部は、前記一対のフォーク部と前記基部とによって区画され、
前記対向面は、前記一対のフォーク部の内面に形成されている、請求項1に記載のモジュール挿入補助具。
【請求項4】
前記基部は、前記一対のフォーク部が突出している一面に、前記ケーブルに面することが可能なガイド部を突設させており、
前記一対のフォーク部のうち、前記ガイド部からより離れている一方の前記フォーク部は、前記モジュールのケーブル引出面に隣接する一端部に、前記ケーブルの引出部分を曲げ状態に支持可能な曲げ支点部を有している、請求項3に記載のモジュール挿入補助具。
【請求項5】
前記一方の前記フォーク部は、前記一端部から他端部までの長さを、他方の前記フォーク部の同長さよりも長くしてある、請求項4に記載のモジュール挿入補助具。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のモジュール挿入補助具と、
前記モジュールと、
挿入孔を有するコネクタハウジングと、を備えたモジュール挿入構造であって、
前記モジュールは、前記コネクタハウジングに対し、前記挿入孔に挿入される半挿入位置から前記挿入孔に前記半挿入位置よりも深く挿入される正規挿入位置へと移動して挿入され、
前記モジュール挿入補助具は、前記モジュールが前記半挿入位置に至るまで前記モジュールを前記対向面間に圧入して挟み込み、前記モジュールが前記半挿入位置で前記コネクタハウジングに仮保持された状態で、前記モジュールから離脱可能に構成される、モジュール挿入構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モジュール挿入補助具およびモジュール挿入構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルの端末部に設けられたモジュールをコネクタハウジングに装着する際には、モジュールを手で摘まみながらコネクタハウジングの挿入孔に挿入している。しかし、小型のモジュールを手で摘まむのは難しく、ケーブルの取り回しにも難渋するという事情がある。そこで、例えば、特許文献1に開示されたコネクタ嵌合治具等をモジュールの挿入を補助するツールとして用いることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたコネクタ嵌合治具等の従来技術は、モジュールの挿入を補助するツールとして適していないという問題があった。
そこで、本開示は、モジュールの挿入作業を容易に行うことが可能なモジュール挿入補助具およびモジュール挿入構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のモジュール挿入補助具は、ケーブルの端末部に設けられたモジュールに着脱可能なモジュール挿入補助具であって、前記モジュールを受容可能な開口部を備え、前記開口部は、互いに対向する対向面間に前記モジュールを圧入して挟み込むことが可能な形状になっている、モジュール挿入補助具である。
【0006】
本開示のモジュール挿入構造は、前記モジュール挿入補助具と、前記モジュールと、挿入孔を有するコネクタハウジングと、を備えたモジュール挿入構造であって、前記モジュールは、前記コネクタハウジングに対し、前記挿入孔に挿入される半挿入位置から前記挿入孔に前記半挿入位置よりも深く挿入される正規挿入位置へと移動して挿入され、前記モジュール挿入補助具は、前記モジュールが前記半挿入位置に至るまで前記モジュールを前記対向面間に圧入して挟み込み、前記モジュールが前記半挿入位置で前記コネクタハウジングに仮保持された状態で、前記モジュールから離脱可能に構成される、モジュール挿入構造である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、モジュールの挿入作業を容易に行うことが可能なモジュール挿入補助具およびモジュール挿入構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係るモジュール挿入補助具の斜視図である。
【
図2】
図2は、コネクタハウジングの通し孔にケーブルを通した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の状態からモジュールにモジュール挿入補助具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の状態からモジュール挿入補助具を回転させ、ケーブルの引出部分を曲げ支点部に支持させた状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の状態からコネクタハウジングの挿入孔にモジュールを挿入し、コネクタハウジングに対してモジュールを半挿入位置に仮保持させた状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5の状態からモジュール挿入補助具を離脱させた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図5の状態において、モジュール挿入補助具の一部を破断した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のモジュール挿入補助具は、
(1)ケーブルの端末部に設けられたモジュールに着脱可能なモジュール挿入補助具であって、前記モジュールを受容可能な開口部を備え、前記開口部は、互いに対向する対向面間に前記モジュールを圧入して挟み込むことが可能な形状になっている。
【0010】
例えば、小型のモジュールの場合、モジュールを手で摘まみ取ることが難しく、モジュールをコネクタハウジングの挿入孔に挿入可能な位置まで容易に移動させることができない。
これに対し、上記構成によれば、モジュールを、開口部の対向面間に圧入して挟み込んだ状態で、モジュール挿入補助具とともに、上記挿入可能な位置まで容易に移動させることができる。また、モジュールからモジュール挿入補助具を離脱させ、モジュールを押し込んで正規挿入位置へと容易に至らすことができる。
【0011】
(2)上記(1)において、前記開口部は、前記対向面に、前記開口部における前記モジュールの取付位置を規定する規定部を有していることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、モジュールが開口部の対向面間に挟まれた状態でモジュール挿入補助具に対して位置ずれするのを、規定部によって防止することができる。
【0013】
(3)上記(1)または(2)において、把持可能な形状の基部と、前記基部から互いに対向して突出する一対のフォーク部と、を備え、前記開口部は、前記一対のフォーク部と前記基部とによって区画され、前記対向面は、前記一対のフォーク部の内面に形成されていることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、モジュールの挿入作業を行う際に、形状の自由度が高い基部を把持することができるので、モジュール挿入補助具の操作性に優れる。また、例えば、一対のフォーク部が弾性変形することにより、モジュールが一対のフォーク部の対向面間に圧入される状態を容易に実現することができる。
【0015】
(4)上記(3)において、前記基部は、前記一対のフォーク部が突出している一面に、前記ケーブルに面することが可能なガイド部を突設させており、前記一対のフォーク部のうち、前記ガイド部からより離れている一方の前記フォーク部は、前記モジュールのケーブル引出面に隣接する一端部に、前記ケーブルの引出部分を曲げ状態に支持可能な曲げ支点部を有していることが好ましい。
【0016】
モジュールをコネクタハウジングの挿入孔に挿入する際に、モジュール挿入補助具を回転させて、モジュールの向きを変更することがある。この場合に、ケーブル引出面から引き出されたケーブルの引出部分が屈曲してモジュールの外面部分と干渉し、モジュールに不具合を生じさせる懸念がある。
これに対し、上記構成によれば、ケーブルの引出部分は、一方のフォーク部の一端部における曲げ支点部に曲げ状態に支持される。このため、ケーブルの引出部分は、モジュールの外面部分と干渉するのを防止できる。
また、モジュール挿入補助具の回転方向をケーブルからガイド部が離れる側に規定できる。したがって、モジュール挿入補助具が誤った方向に回転されるのを防止できるため、ケーブルの引出部分が一方のフォーク部の曲げ支点部に支持される状態を適正に実現することができる。
【0017】
(5)上記(4)において、前記一方の前記フォーク部は、前記一端部から他端部までの長さを、他方の前記フォーク部の同長さよりも長くしてあることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、一方のフォーク部と他方のフォーク部とを視覚的、触覚的に識別できるので、作業者が一方のフォーク部を認識して、モジュール挿入補助具をモジュールに正しく取り付けることができる。
【0019】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載のモジュール挿入補助具と、前記モジュールと、挿入孔を有するコネクタハウジングと、を備えたモジュール挿入構造であって、前記モジュールは、前記コネクタハウジングに対し、前記挿入孔に挿入される半挿入位置から前記挿入孔に前記半挿入位置よりも深く挿入される正規挿入位置へと移動して挿入され、前記モジュール挿入補助具は、前記モジュールが前記半挿入位置に至るまで前記モジュールを前記対向面間に圧入して挟み込み、前記モジュールが前記半挿入位置で前記コネクタハウジングに仮保持された状態で、前記モジュールから離脱可能に構成される。
【0020】
上記構成によれば、モジュールがコネクタハウジングに対して半挿入位置に仮保持された状態で、モジュール挿入補助具をモジュールから離脱させることができる。このため、モジュール挿入補助具をモジュールから離脱させるための特別な作業を行う必要がなく、作業性に優れる。また、モジュール挿入補助具をモジュールから離脱させた後にモジュールを挿入孔にさらに押し込むことにより、モジュールを正規挿入位置に容易に配置できる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<実施形態1>
本開示の実施形態1に係るモジュール挿入補助具10は、モジュール60をコネクタハウジング80の挿入孔81に挿入する作業を補助するツールとして構成される。なお、以下の説明において、上下方向および左右方向は、それぞれ
図7の上下方向および左右方向を基準とする。前後方向は、
図7の紙面手前側を前側とする。これら方向の基準は、便宜的なものであり、上側および下側は、必ずしも重力方向における上側および下側と一致しているとは限らない。各図において、前側、右側および上側を、それぞれ矢印X、矢印Yおよび矢印Zで示す。
【0023】
(モジュール、コネクタハウジング)
図2に示すように、モジュール60は、ケーブル100の端末部に設けられている。モジュール60は、合成樹脂製のモジュールハウジング61と、図示しない複数の金属製の端子と、を有している。
【0024】
モジュールハウジング61は、角ブロック状をなし、左右側面に、それぞれ前後方向に延びる溝状の被規定部62を有している。各端子は、モジュールハウジング61の内側に収容されている。各端子は、被覆電線等の電線110の端末部に接続されている。各端子に接続された電線110は、モジュールハウジング61の上面におけるケーブル引出面63から引き出され、モジュール60の外部において、絶縁樹脂からなるシース120により包囲される。なお、ケーブル100は、電線110とシース120とを含む概念である。
【0025】
コネクタハウジング80は、合成樹脂製であって、上下方向に延びる挿入孔81と、左右方向に延びてコネクタハウジング80の上面に開放される開放孔82と、を有している。
図7に示すように、挿入孔81の上端及び下端は、それぞれコネクタハウジング80の上面及び下面に開口している。モジュール60は、コネクタハウジング80の上側から挿入孔81に挿入される。
図2に示すように、ケーブル100は、開放孔82に挿通される。モジュール60の嵌合相手となる図示しない相手コネクタは、コネクタハウジング80の下面側から嵌合される。
【0026】
開放孔82の右端は、コネクタハウジング80の右側の側面に開口している。開放孔82の左端は、挿入孔81と交差して連通している。コネクタハウジング80は、このコネクタハウジング80の右端部に、開放孔82の右端部を全周に亘って包囲する通し部83を有している。モジュール60は、コネクタハウジング80の右側から通し部83内を通してコネクタハウジング80の上側に抜け出ることができる。
【0027】
(モジュール挿入補助具)
モジュール挿入補助具10は、例えば、合成樹脂製であって、上下方向に長い角ブロック状の基部11を備えている。基部11の左右側面は、上下方向および前後方向に沿って段差無く配置されている。基部11の上下面は、左右方向および前後方向に沿って段差無く配置されている。
図7に示すように、基部11における左右側面と上面との交差部分である左右上角部は、テーパ状に面取りされている。基部11の前後面は、上下方向および左右方向に沿って平坦に配置されている。端的には、基部11は、作業者が手で持つのに適した形状および大きさに形成されている。
【0028】
図1に示すように、モジュール挿入補助具10は、基部11の前面の下端部から前方に突出する2つのフォーク部12,13を有している。両フォーク部12,13は、板状をなし、基部11の前面における左右両側の端部に対をなして配置されている。
図7に示すように、両フォーク部12,13の内側の板面は、左右方向で互いに平行に対向する対向面14として構成される。モジュール挿入補助具10は、両フォーク部12,13の対向面14と基部11の前面とによって区画される開口部15に、モジュール60を受容する。開口部15は、モジュール挿入補助具10において、前方および上下方向に開放されている。
【0029】
モジュール挿入補助具10がモジュール60に取り付けられる前の状態において、両フォーク部12,13の対向面14間の距離は、モジュールハウジング61の上端部における左右側面間の距離よりも少し小さい。例えば、一対のフォーク部12,13は、互いに対向する対向面14間の距離を変化させるように弾性変形可能である。モジュールハウジング61の上端部は、モジュール60がモジュール挿入補助具10に受容された状態で、開口部15の両フォーク部12,13の対向面14間に圧入状態に挟まれて保持される。
図1に示すように、両フォーク部12,13は、対向面14に、前後方向に延びるリブ状の規定部16を突設させている。
図3に示すように、規定部16は、モジュールハウジング61の被規定部62に嵌合される。
【0030】
図7に示すように、両フォーク部12,13のうち、右側に配置される一方のフォーク部12は、左側に配置される他方のフォーク部13よりも上下方向に長く形成されている。
図5に示すように、一方のフォーク部12の前後寸法は、モジュールハウジング61のケーブル引出面63から引き出された各電線110の引出部分111の前後寸法よりも大きい。
【0031】
一方のフォーク部12の右側面(対向面14の反対側面)は、基部11の右側面に段差無く連続し、他方のフォーク部13の左側面(対向面14の反対側面)は、基部11の左側面に段差無く連続している。両フォーク部12,13の下端面は、基部11の下端面と段差無く連続している。
【0032】
両フォーク部12,13における前端面と上端面との交差部分である前上角部は、曲面状に面取りされている。一方のフォーク部12の上端面は、他方のフォーク部13の上端面よりも上側に、前後方向に沿って配置されている。この一方のフォーク部12の上端面は、モジュール60をコネクタハウジング80の挿入孔81に挿入する際にモジュールハウジング61のケーブル引出面63から引き出された各電線110の引出部分111を曲げ状態に支持する曲げ支点部17として構成される。
【0033】
図1に示すように、モジュール挿入補助具10は、一対のフォーク部12,13が突出している一面から突出するガイド部18を有していても良い。例えば、ガイド部18は、基部11の前面の左端部から前方に突出している。ガイド部18は、板状をなし、両フォーク部12,13よりも上下方向に長く延びるように形成されている。ガイド部18の左右方向の厚みは、両フォーク部12,13の左右方向の厚みよりも大きい。
【0034】
ガイド部18は、他方のフォーク部13よりも上側において他方のフォーク部13と上下方向に並んで配置されている。ガイド部18の下端面は、他方のフォーク部13の上端面との間に間隔を置いて配置されている。ガイド部18の上端面は、基部11の上端面に段差無く連続している。ガイド部18の左側面は、基部11の左側面に段差無く連続している。ガイド部18における左側面と上端面との交差部分である左上角部は、テーパ状に面取りされ、対応する基部11の左上角部に段差無く連続している。
【0035】
ガイド部18の右側面は、基部11の前面と直角に交差し、上下方向および前後方向に沿って段差無く配置されている。モジュール挿入補助具10は、ガイド部18の右側面よりも右側で且つ一方のフォーク部12よりも左側に、前方からケーブル100を通すことが可能なガイド空間19を有している。ガイド空間19は、モジュール挿入補助具10の下端部で開口部15と連通している。ガイド部18は、ガイド空間19に配置されるケーブル100に面することが可能である。
【0036】
(モジュール挿入方法および挿入構造)
図2に示すように、モジュール挿入補助具10をモジュール60に取り付けるのに先立ち、作業者は、ケーブル100の端末部に設けられたモジュール60を、コネクタハウジング80の右側から通し部83内に通し、コネクタハウジング80の開放孔82から上側に引き出す。
【0037】
続いて、作業者は、基部11を把持しながら、
図3に示すように、モジュール挿入補助具10をモジュール60に後方から取り付ける。このとき、作業者は、モジュール挿入補助具10を、基部11の長手が左右方向または左右方向から傾斜する方向を向く横向きの姿勢として、モジュール60に取り付ける。具体的には、作業者は、ガイド部18をコネクタハウジング80から離れた上側とし、一方のフォーク部12をコネクタハウジング80に近い下側として、開口部15にモジュール60を挿入させ、且つガイド空間19にモジュール60から延びるケーブル100を差し入れるようにする。規定部16が対応する被規定部62に嵌合することにより、モジュール挿入補助具10がモジュール60に対して被規定部62に沿ってスライド装着される。両フォーク部12,13は、弾性変形して互いに拡開した状態で、対向面14間にモジュールハウジング61の後端部を圧入状態に挟み込む。これにより、モジュール60は、モジュール挿入補助具10の開口部15に脱落を規制された状態に保持される。なお、作業者は、基部11からガイド部18に亘ってモジュール挿入補助具10を把持することができる。
【0038】
続いて、作業者は、
図4に示すように、モジュール挿入補助具10を横向きから縦向きに回転させ、コネクタハウジング80の挿入孔81の上側にモジュール60の下端部を位置させる。モジュール60は、モジュール挿入補助具10とともに横向きから縦向きの姿勢に変換させられる。ケーブル100は、モジュール60の姿勢変換に伴って、一方のフォーク部12の曲げ支点部17に引出部分111を曲げ状態に支持させ、引出部分111を頂点として、ケーブル引出面63と通し部83との間に山型に配索される。すなわち、ケーブル100は、モジュール60の姿勢変更に伴って、曲げ支点部17を支点として曲げられる。そして、ケーブル100におけるケーブル引出面63と通し部83との間の部分は、曲げ支点部17によって上側に突出する山型に曲がった状態に維持される。
【0039】
次いで、作業者は、基部11を摘まみつつ、モジュール挿入補助具10を引き下げ、
図5に示すように、モジュール60の下端部をコネクタハウジング80の挿入孔81に挿入させる。
図7に示すように、両フォーク部12,13の下端面がコネクタハウジング80の上面に突き当たることにより、モジュール挿入補助具10の引き下げ動作が停止される。モジュール60は、上記山型に配索されたケーブル100からの反力を受けて、コネクタハウジング80の挿入孔81の内周面に押し付けられ、コネクタハウジング80に対して半挿入位置に仮保持される。その状態で、モジュール挿入補助具10は、後方にスライドさせられ、
図6に示すように、モジュール60から離脱させられる。モジュール60がコネクタハウジング80に対して半挿入位置に仮保持されているので、作業者は、基部11を後方に引っ張るだけで、モジュール挿入補助具10をモジュール60から容易に離脱させることができる。
図7に示すように、モジュール60が半挿入位置にあるときには、ケーブル100の引出部分111が一方のフォーク部12の曲げ支点部17に支持される状態が維持され、モジュール60の外面部分にケーブル100の引出部分111が干渉するのを回避できる。
【0040】
モジュール挿入補助具10の離脱後、モジュール60が押し込まれてコネクタハウジング80の挿入孔81に深く挿入される。モジュール60は、図示しないロック部に係止され、コネクタハウジング80に対して正規挿入位置に本係止される。
【0041】
以上説明したように、本実施形態1によれば、作業者は、モジュール60を、開口部15の両フォーク部12,13の対向面14間に圧入して挟み込んだ状態で、モジュール挿入補助具10とともに、コネクタハウジング80の挿入孔81に挿入可能な位置まで容易に移動させることができる。また、モジュール60がコネクタハウジング80に対して半挿入位置に仮保持された状態で、モジュール挿入補助具10をモジュール60から容易に離脱させることができる。したがって、本実施形態1に係るモジュール挿入補助具10を用いることにより、モジュール60の挿入作業を容易に行うことが可能となる。
【0042】
また、モジュール挿入補助具10が、両フォーク部12,13の対向面14に、開口部15におけるモジュール60の取付位置を規定する規定部16を有しているため、両フォーク部12,13の対向面14間に挟まれたモジュール60がモジュール挿入補助具10に対して位置ずれするのを防止することができる。
【0043】
また、本実施形態1の場合、モジュール60の挿入作業を行う際に、形状の自由度が高い基部11を把持することができるので、モジュール挿入補助具10の操作性に優れる。また、両フォーク部12,13が弾性変形することにより、モジュール60が両フォーク部12,13の対向面14間に圧入される状態を容易に実現することができる。
【0044】
さらに、モジュール挿入補助具10を回転させ、モジュール60の向きを変更する際には、ケーブル100の引出部分111が一方のフォーク部12の曲げ支点部17に曲げ状態に支持されるので、ケーブル100の引出部分111がモジュール60の外面部分と干渉し、モジュール60に不具合が生じる事態を回避できる。また、モジュール挿入補助具10の回転方向をケーブル100からガイド部18が離れる側に規定できるので、モジュール挿入補助具10が誤った方向に回転されるのを防止でき、ケーブル100の引出部分111が一方のフォーク部12の曲げ支点部17に支持される状態を適正に実現することができる。
【0045】
さらに、一方のフォーク部12の上下方向の長さが他方のフォーク部13の上下方向の長さよりも長いので、一方のフォーク部12と他方のフォーク部13とを視覚的、触覚的に識別できる。このため、作業者が一方のフォーク部12を認識して、ケーブル100がガイド空間19に配索されるように、モジュール挿入補助具10をモジュール60に正しく取り付けることができる。
【0046】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1の場合、モジュール挿入補助具は、合成樹脂製であった。これに対し、他の実施形態によれば、モジュール挿入補助具は、金属製であっても良い。
上記実施形態1の場合、規定部がモジュール挿入補助具の開口部の対向面に凸設され、被規定部がモジュールハウジングの外面に凹設されていた。これに対し、他の実施形態によれば、規定部がモジュール挿入補助具の開口部の対向面に凹設され、被規定部がモジュールハウジングの外面に凸設されていた。
上記実施形態1の場合、モジュール挿入補助具において、他方のフォーク部とガイド部との間には、間隔が形成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、モジュール挿入補助具において、他方のフォーク部とガイド部とは一体に連続して形成されていても良い。
【符号の説明】
【0047】
10…モジュール挿入補助具
11…基部
12…一方のフォーク部
13…他方のフォーク部
14…対向面
15…開口部
16…規定部
17…曲げ支点部
18…ガイド部
19…ガイド空間
60…モジュール
61…モジュールハウジング
62…被規定部
63…ケーブル引出面
80…コネクタハウジング
81…挿入孔
82…開放孔
83…通し部
100…ケーブル
110…電線
111…引出部分
120…シース