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特開2024-109312撮像制御装置および撮像制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109312
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】撮像制御装置および撮像制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/73 20230101AFI20240806BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240806BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
H04N23/73
G03B15/00 Q
G03B15/00 V
G03B7/091
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014033
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 賢治
(72)【発明者】
【氏名】小林 和彦
【テーマコード(参考)】
2H002
5C122
【Fターム(参考)】
2H002CC01
2H002DB30
5C122DA03
5C122DA14
5C122EA06
5C122EA13
5C122FF09
5C122FH01
5C122FH02
5C122FH10
5C122FH11
5C122FH14
5C122HA13
5C122HA86
5C122HA88
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】カメラの撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカを抑制する撮像制御装置および撮像制御プログラムを提供する。
【解決手段】撮像制御装置40では、車載カメラ20の撮像画像に映る、点灯する第1物体の輝度よりも低い輝度で点灯する第2物体が検出されないとき、車載カメラ20の露光時間Teを、第1物体が検出されるときの露光時間Teである第1露光時間Te_TLにさせ、第2物体が検出されるとき、露光時間を、第1露光時間Te_TLよりも長い第2露光時間Te_ESにさせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ(20)の撮像画像に映る、点灯する第1物体(71)の輝度よりも低い輝度で点灯する第2物体(72)を検出する検出部(S104)と、
前記第2物体が検出されないとき、前記カメラの露光時間(Te)を、前記第1物体が検出されるときの前記露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、前記第2物体が検出されるとき、前記露光時間を、前記第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)と、
を備える撮像制御装置。
【請求項2】
前記第1物体は、信号機であり、
前記第2物体は、電光標識である請求項1に記載の撮像制御装置。
【請求項3】
前記第2物体の点灯周期は、前記第1物体の点灯周期よりも長くなっている請求項1または2に記載の撮像制御装置。
【請求項4】
前記変更部は、前記撮像画像に前記第1物体および前記第2物体が映るとき、前記露光時間を、前記第1露光時間にさせる請求項1または2に記載の撮像制御装置。
【請求項5】
車両(90)の位置情報を取得する取得部(S200)と、
前記車両の位置が高速道路以外であるとき、前記車両に搭載されるカメラ(20)の露光時間(Te)を、点灯する第1物体(72)の輝度よりも高い輝度で点灯する第2物体(71)が検出されるときの前記露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、前記車両の位置が高速道路であるとき、前記露光時間を、前記第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)と、
を備える撮像制御装置。
【請求項6】
撮像制御装置を、
カメラ(20)の撮像画像に映る、点灯する第1物体(71)の輝度よりも低い輝度で点灯する第2物体(72)を検出する検出部(S104)、および、
前記第2物体が検出されないとき、前記カメラの露光時間(Te)を、前記第1物体が検出されるときの前記露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、前記第2物体が検出されるとき、前記露光時間を、前記第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)として、機能させる撮像制御プログラム。
【請求項7】
撮像制御装置を、
車両(90)の位置情報を取得する取得部(S200)、および、
前記車両の位置が高速道路以外であるとき、前記車両に搭載されるカメラ(20)の露光時間(Te)を、点灯する第1物体(72)の輝度よりも高い輝度で点灯する第2物体(71)が検出されるときの前記露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、前記車両の位置が高速道路であるとき、前記露光時間を、前記第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)として、機能させる撮像制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像制御装置および撮像制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、第1設定手段と、検出手段と、第2設定手段と、を備える撮像制御装置が知られている。第1設定手段は、画像を分割した第1領域の輝度値に基づいて、前記第1領域に対応する撮像領域に第1露光条件を設定する。検出手段は、前記画像の少なくとも一部の領域から信号機または道路標識を検出する。第2設定手段は、信号機または道路標識の明滅情報に基づいて、信号機または道路標識を含む第2領域に対応する撮像領域に第2露光条件を設定する。また、第2設定手段は、信号機または道路標識の点灯期間よりも長い露光時間に設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-154347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、道路標識の種類は、比較的多いことから、道路標識の点灯周期が信号機の点灯周期よりも長い場合がある。このため、特許文献1に記載された撮像制御装置では、第2設定手段により露光時間が長くなることで、フリッカが抑制される。しかし、信号機の輝度は、電光標識としての道路標識等の輝度よりも高い。このため、特許文献1に記載された撮像制御装置では、第2設定手段により露光時間が長くなると、カメラに入射される光量が飽和露光量以上となることで、カメラの撮像画像に映る色が識別されなくなることがある。したがって、特許文献1に記載された撮像制御装置では、カメラの撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカの両方を抑制することが困難である。
【0005】
本開示は、カメラの撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカを抑制する撮像制御装置および撮像制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、カメラ(20)の撮像画像に映る、点灯する第1物体(71)の輝度よりも低い輝度で点灯する第2物体(72)を検出する検出部(S104)と、第2物体が検出されないとき、カメラの露光時間(Te)を、第1物体が検出されるときの露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、第2物体が検出されるとき、露光時間を、第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)と、を備える撮像制御装置である。
さらに、請求項6に記載の発明は、撮像制御装置を、撮像制御装置を、カメラ(20)の撮像画像に映る、点灯する第1物体(71)の輝度よりも低い輝度で点灯する第2物体(72)を検出する検出部(S104)、および、第2物体が検出されないとき、カメラの露光時間(Te)を、第1物体が検出されるときの露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、第2物体が検出されるとき、露光時間を、第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)として、機能させる撮像制御プログラムである。
【0007】
これにより、第2物体が検出されないとき、露光時間が第2露光時間よりも短くなることから、カメラに入射される光量が飽和露光量以上となりにくい。このため、カメラの撮像画像に映る色の識別不可が抑制される。また、輝度が低い第2物体が検出されると、露光時間が長くなるため、フリッカが抑制される。したがって、カメラの撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカが抑制される。
【0008】
また、請求項5に記載の発明は、車両(90)の位置情報を取得する取得部(S200)と、車両の位置が高速道路以外であるとき、車両に搭載されるカメラ(20)の露光時間(Te)を、点灯する第1物体(72)の輝度よりも高い輝度で点灯する第2物体(71)が検出されるときの露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、車両の位置が高速道路であるとき、露光時間を、第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)と、を備える撮像制御装置である。
さらに、請求項7に記載の発明は、撮像制御装置を、車両(90)の位置情報を取得する取得部(S200)、および、車両の位置が高速道路以外であるとき、車両に搭載されるカメラ(20)の露光時間(Te)を、点灯する第1物体(72)の輝度よりも高い輝度で点灯する第2物体(71)が検出されるときの露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、車両の位置が高速道路であるとき、露光時間を、第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)として、機能させる撮像制御プログラムである。
【0009】
ここで、高速道路では、輝度が高い第2物体が少なく、輝度が低い第1物体が多い。このため、上記処理により、高速道路では、露光時間が第1露光時間よりも長くなることから、フリッカが抑制される。また、高速道路以外では、輝度が高い第2物体が多く、輝度が低い第1物体が少ない。したがって、上記処理により、高速道路以外では、露光時間が第2露光時間よりも短くなることから、カメラに入射される光量が飽和露光量以上となりにくい。このため、カメラの撮像画像に映る色の識別不可が抑制される。よって、カメラの撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカが抑制される。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の撮像制御装置が用いられる車両システムの構成図。
図2】車載カメラの配置を示す模式図。
図3】第1物体および第2物体の例を示す模式図。
図4】撮像制御装置の画像処理部の処理を示すフローチャート。
図5】撮像制御装置の露光制御部の処理を示すフローチャート。
図6】変形例の露光制御部の処理を示すフローチャート。
図7】変形例の露光制御部の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
本実施形態の撮像制御装置は、車載カメラの撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカを抑制する。具体的には、撮像制御装置は、例えば、図1に示すような車両システム10に用いられる。まず、この車両システム10について説明する。
【0014】
車両システム10は、車載カメラ20、ナビゲーションシステム25、ディスプレイ30、運転支援装置35および撮像制御装置40を備える。
【0015】
車載カメラ20は、撮像素子としてのCMOSイメージセンサ等を有する。また、車載カメラ20は、例えば、図2に示すように、車両90の前方のウインドシールド92付近に配置されている。さらに、車載カメラ20は、車両90の前方における所定の範囲を撮像する。また、車載カメラ20は、予め設定された時間間隔、例えば、毎秒60回繰り返し撮像する。さらに、図1に戻って、車載カメラ20は、撮像した画像に応じた信号を、後述の撮像制御装置40に出力する。なお、CMOSは、Complementary Metal Oxide Semiconductorの略である。また、車載カメラ20の配置、撮像範囲および撮像周期は、任意に定められる。さらに、車載カメラ20の下方には、図2に示すように、フード94が配置されている。フード94は、例えば、黒色の反射防止材やプラスチック等で板状に形成されている。これにより、フード94は、車載カメラ20の下方または車両90の内部からの光が車載カメラ20に入射することを抑制する。なお、フード94の反射率がゼロとなることは、困難である。このため、太陽96からの光がフード94で反射し得る。したがって、車載カメラ20には、被写体Sからの入射光L1に加えて、フード94で反射した反射光L2も入射する。
【0016】
図1に戻って、ナビゲーションシステム25は、GNSS受信機等を有する。また、ナビゲーションシステム25は、図示しない複数の測位衛星からの信号を受信する。さらに、ナビゲーションシステム25は、この受信した信号に基づいて、車両90の位置情報を取得する。また、ナビゲーションシステム25は、この取得した車両90の位置情報に応じた信号を、後述の撮像制御装置40に出力する。なお、ナビゲーションシステム25に用いられる測位衛星は、例えば、GPS衛星、GLONASS衛星、Galileo衛星および準天頂衛星等である。
【0017】
ディスプレイ30は、車載カメラ20の撮像画像を表示する。また、ディスプレイ30は、車両90の運転者の視野範囲内、例えば、ウインドシールド92付近に配置されている。
【0018】
運転支援装置35は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路およびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、運転支援装置35は、運転支援装置35のROMに記憶されているプログラムを実行する。これにより、運転支援装置35は、後述の撮像制御装置40によって画像処理等された車載カメラ20の撮像画像に基づいて、例えば、車両90における警報出力制御や走行制御等の走行支援を実行する。なお、警報出力制御は、車両90が車線を逸脱しそうな場合に警報の出力を実行する制御である。走行制御は、車両90が車線内を走行するように車両90の操舵制御やブレーキ制御を実行する制御である。
【0019】
撮像制御装置40は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路およびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、撮像制御装置40は、車載カメラ20の撮像画像について画像処理を行うとともに、車載カメラ20の露光時間Teを制御する。具体的には、撮像制御装置40は、画像処理部45および露光制御部50を機能ブロックとして備える。
【0020】
画像処理部45は、画像処理部45のROMに記憶されているプログラムを実行することにより、車載カメラ20の撮像画像から、車両90に対するその画像に映る物体の相対位置等を算出する。また、画像処理部45は、車載カメラ20の撮像画像とともに、この算出した相対位置等に応じた信号を運転支援装置35に出力する。運転支援装置35では、この相対位置等が用いられて、車両90における警報出力制御や走行制御等の走行支援が実行される。
【0021】
また、画像処理部45は、画像処理部45のROMに記憶されているプログラムを実行することにより、車載カメラ20の撮像画像に映る、点灯する物体を検出する。さらに、画像処理部45は、画像認識、教師データおよび機械学習等を用いることで、車載カメラ20の撮像画像から、この検出した物体が第1物体71および第2物体72のどちらであるかを識別する。また、画像処理部45は、車載カメラ20の撮像画像、および、識別した物体の種類についての情報を後述の露光制御部50に出力する。なお、第1物体71は、例えば、図3に示すように、信号機である。第2物体72は、例えば、電光標識であって、第1物体71の輝度よりも低い輝度で点灯する。また、第2物体72の点灯周期は、第1物体71の点灯周期よりも長くなっている。さらに、点灯周期とは、点灯を開始してから消灯した後、再度点灯を開始するまでの時間である。また、電光標識とは、点灯する標識である。
【0022】
露光制御部50は、露光制御部50のROMに記憶されているプログラムを実行することにより、画像処理部45の識別結果およびナビゲーションシステム25からの車両90の位置情報に基づいて、車載カメラ20の露光時間Teを制御する。
【0023】
以上のように、車両システム10は、構成されている。この車両システム10の撮像制御装置40では、例えば、車両90のイグニッションがオンされると、画像処理部45および露光制御部50のプログラムが実行される。次に、画像処理部45のプログラムが実行されたときの処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
ステップS100において、画像処理部45は、情報を取得する。具体的には、画像処理部45は、車載カメラ20の撮像画像を車載カメラ20から取得する。
【0025】
続いて、ステップS102において、画像処理部45は、画像認識、教師データおよび機械学習等を用いることで、ステップS100にて取得した撮像画像に点灯する物体が映っているか否かを判定する。これにより、画像処理部45は、車両90の前方の点灯する物体を検出する。
【0026】
そして、撮像画像に点灯する物体が映っているとき、車両90の前方の点灯する物体が検出されることから、後述の物体識別を行うため、画像処理部45の処理は、ステップS104に移行する。また、撮像画像に点灯する物体が映っていないとき、車両90の前方の点灯する物体が検出されていないことから、画像処理部45の処理は、ステップS100に戻る。
【0027】
ステップS102に続くステップS104において、画像処理部45は、ステップS102にて検出した点灯する物体が第1物体71および第2物体72のどちらであるかを識別する。
【0028】
ここで、上記したように、第2物体72の輝度は、第1物体71の輝度よりも低い。このため、例えば、画像処理部45は、ステップS102にて検出した物体の輝度が輝度閾値以下であるか否かを判定する。これにより、画像処理部45は、上記識別を行う。なお、輝度閾値は、点灯する物体が第1物体71および第2物体72のどちらであるかを識別できるように、実験やシミュレーション等により設定される。
【0029】
そして、画像処理部45は、検出した物体の輝度が輝度閾値以下であるとき、その物体の輝度が低いことから、その物体が第2物体72であると判定する。また、画像処理部45は、検出した物体の輝度が輝度閾値よりも大きいとき、その物体の輝度が高いことから、その物体が第1物体71であると判定する。さらに、画像処理部45は、この識別結果に応じた信号を、露光制御部50に出力する。その後、画像処理部45の処理は、ステップS100に戻る。なお、上記識別は、上記処理によるものに限定されない。上記したように、第1物体71は、信号機等であって、第2物体72が電光標識等である。このため、例えば、画像処理部45は、画像認識、教師データおよび機械学習等を用いることで、上記識別を行ってもよい。
【0030】
以上のように、画像処理部45は、処理を行う。次に、露光制御部50のプログラムが実行されたときの処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0031】
ステップS200において、露光制御部50は、情報を取得する。具体的には、露光制御部50は、画像処理部45の識別結果を画像処理部45から取得する。また、露光制御部50は、車両90の位置情報をナビゲーションシステム25から取得する。なお、露光制御部50は、車両90の位置情報をナビゲーションシステム25から取得するところ、これに限定されない。例えば、露光制御部50は、車載カメラ20の撮像画像を車載カメラ20から取得する。また、露光制御部50は、この取得した撮像画像から、画像認識、教師データおよび機械学習等を用いることで、撮像画像に映る料金所ゲートや道路構造等を推定する。これにより、露光制御部50は、車両90の位置情報、例えば、車両90の位置が後述の高速道路であること等を推定してもよい。
【0032】
続いて、ステップS202において、露光制御部50は、ステップS200にて取得した識別結果により、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72であるか否かを判定する。また、露光制御部50は、ステップS200にて取得した車両90の位置が高速道路であるか否かを判定する。なお、高速道路は、大都市、産業都市、重要港湾、空港等、政治、経済、文化上、とくに重要な地域を連絡する幹線道路のうちで、自動車が高速かつ安全快適に走行できるよう、法律的および構造的に措置された道路である。日本においては、高速道路は、高速自動車国道および自動車専用道路をいう。
【0033】
そして、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72でないとき、かつ、車両90の位置が高速道路以外であるとき、露光制御部50の処理は、ステップS204に移行する。また、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72であるとき、かつ、車両90の位置が高速道路以外であるとき、露光制御部50の処理は、ステップS206に移行する。さらに、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72でないとき、かつ、車両90の位置が高速道路であるとき、露光制御部50の処理は、ステップS206に移行する。また、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72であるとき、かつ、車両90の位置が高速道路であるとき、露光制御部50の処理は、ステップS206に移行する。なお、露光制御部50の処理において、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が検出されないときは、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72でないときに含まれる。また、車載カメラ20の撮像画像に第1物体71および第2物体72の両方が映るときは、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第1物体71であるときに優先され、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72でないときに含まれる。
【0034】
ここで、上記したように、信号機等の第1物体71の輝度は、電光標識等の第2物体72の輝度よりも高い。このため、車載カメラ20の露光時間Teが長くなると、車載カメラ20に入射される光量が飽和露光量以上となりやすい。車載カメラ20に入射される光量が飽和露光量以上となると、車載カメラ20の撮像画像に映る色が識別されなくなる。
【0035】
また、ここで、高速道路では、信号機等の第1物体71が少なく、電光標識等の第2物体72が多い。さらに、高速道路以外の場所、例えば、一般道路等では、信号機等の第1物体71が多く、電光標識等の第2物体72が少ない。なお、一般道路とは、高速道路以外の道路をいう。
【0036】
また、ステップS202に続くステップS204は、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72でないとき、かつ、車両90の位置が高速道路でないときである。このとき、車載カメラ20の撮像画像に物体が映っていれば、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第1物体71である。または、車両90の位置が一般道路等であることから、車両90の位置が、信号機等の第1物体71が多い場所である。
【0037】
したがって、ステップS204において、露光制御部50は、露光時間Teを、信号機等の第1物体71に適した露光時間Teである第1露光時間Te_TLにさせる信号を車載カメラ20に出力する。これにより、車載カメラ20の露光時間Teは、第1露光時間Te_TLとなる。その後、露光制御部50の処理は、ステップS200に戻る。なお、第1露光時間Te_TLは、車載カメラ20の撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカが生じないように、実験やシミュレーション等により設定される。
【0038】
また、ここで、上記したように、電光標識等の第2物体72の輝度は、信号機等の第1物体71の輝度よりも低い。このため、車載カメラ20の露光時間Teが長くなっても、車載カメラ20に入射される光量が飽和露光量以上となりにくい。さらに、電光標識等の第2物体72の種類は、多いことから、電光標識等の第2物体72の点灯周期が信号機等の第1物体71の点灯周期よりも長い場合が多い。このため、フリッカが生じやすい。また、上記したように、高速道路では、信号機等の第1物体71が少なく、電光標識等の第2物体72が多い。
【0039】
さらに、ステップS202に続くステップS206は、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72であるとき、または、車両90の位置が、電光標識等の第2物体72が多い場所であるときである。
【0040】
よって、ステップS206において、露光制御部50は、露光時間Teを、第1露光時間Te_TLよりも長い時間である第2露光時間Te_ESにさせる信号を車載カメラ20に出力する。これにより、車載カメラ20の露光時間Teは、第2露光時間Te_ESとなる。また、第2露光時間Te_ESが第1露光時間Te_TLよりも長くなっていることから、フリッカが抑制される。なお、第2露光時間Te_ESは、第1露光時間Te_TLよりも長い時間であるが、電光標識等の第2物体72に適した露光時間Teでもある。また、第2露光時間Te_ESは、車載カメラ20の撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカが生じないように、実験やシミュレーション等により設定される。
【0041】
以上のように、露光制御部50は、処理を行う。次に、撮像制御装置40では、車載カメラ20の撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカが抑制されることについて説明する。
【0042】
撮像制御装置40の画像処理部45は、ステップS104において、点灯する第1物体71の輝度よりも低い輝度で点灯する第2物体72を検出する検出部としての役割を果たす。また、撮像制御装置40の露光制御部50は、第2物体72が検出されないとき、車載カメラ20の露光時間Teを、第1露光時間Te_TLにさせる。さらに、露光制御部50は、第2物体72が検出されるとき、露光時間Teを、第1露光時間Te_TLよりも長い第2露光時間Te_ESにさせる変更部としての役割を果たす。なお、第1露光時間Te_TLは、第1物体71が検出されるときの露光時間Teに相当する。また、第2露光時間Te_ESは、第2物体72が検出されるときの露光時間Teに相当する。
【0043】
これにより、輝度が高い第1物体71が検出されると、露光時間Teが第2露光時間Te_ESよりも短くなることから、車載カメラ20に入射される光量が飽和露光量以上となりにくい。このため、車載カメラ20の撮像画像に映る色の識別不可が抑制される。また、輝度が低い第2物体72が検出されると、露光時間Teが第1露光時間Te_TLよりも長くなるため、フリッカが抑制される。したがって、車載カメラ20の撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカが抑制される。
【0044】
また、撮像制御装置40では、下記に記載する効果も奏する。
【0045】
[1]露光制御部50は、車両90の位置情報を取得する取得部としての役割を果たす。また、露光制御部50は、車両90の位置が高速道路以外であるとき、車載カメラ20の露光時間Teを、第1露光時間Te_TLにさせる。さらに、露光制御部50は、車両90の位置が高速道路であるとき、露光時間Teを、第1露光時間Te_TLよりも長い第2露光時間Te_ESにさせる変更部としての役割を果たす。
【0046】
ここで、上記したように、高速道路では、信号機等の第1物体71が少なく、電光標識等の第2物体72が多い。このため、上記処理により、高速道路では、露光時間Teが第1露光時間Te_TLよりも長くなることから、フリッカが抑制される。また、高速道路以外では、輝度が高い第1物体71が多く、輝度が低い第2物体72が少ない。したがって、上記処理により、高速道路以外では、露光時間Teが第2露光時間Te_ESよりも短くなることから、車載カメラ20に入射される光量が飽和露光量以上となりにくい。このため、車載カメラ20の撮像画像に映る色の識別不可が抑制される。よって、車載カメラ20の撮像画像に映る色の識別不可およびフリッカが抑制される。
【0047】
[2]露光制御部50は、車載カメラ20の撮像画像に第1物体71および第2物体72が映るとき、露光時間Teを、第1露光時間Te_TLにさせる。
【0048】
これにより、輝度が高い第1物体71および輝度が低い第2物体72が撮像画像に映る場合に、露光時間Teが、第2露光時間Te_ESよりも短くなる。このため、輝度が高い第1物体71からの光により、車載カメラ20に入射される光量が飽和露光量以上となることが抑制される。よって、車載カメラ20の撮像画像に映る色の識別不可が抑制される。
【0049】
(変形例)
上記実施形態では、露光制御部50は、ステップS202にて、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72であるか否か、または、車両90の位置が高速道路であるか否かを判定する。これに対して、図6のフローチャートに示すように、露光制御部50は、ステップS202にて、車載カメラ20の撮像画像に映る物体が第2物体72であるか否かのみを判定してもよい。また、図7のフローチャートに示すように、露光制御部50は、ステップS202にて、車両90の位置が高速道路であるか否かのみを判定してもよい。
【0050】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0051】
本開示に記載の取得部、検出部、変更部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の取得部、検出部、変更部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の取得部、検出部、変更部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0052】
上記実施形態では、露光制御部50は、画像処理部45の識別結果を用いて、車載カメラ20の露光時間Teを制御する。これに対して、露光制御部50が用いる識別結果は、画像処理部45によるものに限定されない。露光制御部50が用いる識別結果は、例えば、撮像制御装置40の外部装置にて検出または識別された結果によるものでもよい。
【0053】
(本開示の観点)
上記の通りの実施形態および変形例についての説明から明らかなように、本明細書による開示は、少なくとも、以下の観点を含む。
[観点1]
カメラ(20)の撮像画像に映る、点灯する第1物体(71)の輝度よりも低い輝度で点灯する第2物体(72)を検出する検出部(S104)と、
前記第2物体が検出されないとき、前記カメラの露光時間(Te)を、前記第1物体が検出されるときの前記露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、前記第2物体が検出されるとき、前記露光時間を、前記第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)と、
を備える撮像制御装置。
[観点2]
前記第1物体は、信号機であり、
前記第2物体は、電光標識である観点1に記載の撮像制御装置。
[観点3]
前記第2物体の点灯周期は、前記第1物体の点灯周期よりも長くなっている観点1または2に記載の撮像制御装置。
[観点4]
前記変更部は、前記撮像画像に前記第1物体および前記第2物体が映るとき、前記露光時間を、前記第1露光時間にさせる観点1ないし3のいずれか1つに記載の撮像制御装置。
[観点5]
車両(90)の位置情報を取得する取得部(S200)と、
前記車両の位置が高速道路以外であるとき、前記車両に搭載されるカメラ(20)の露光時間(Te)を、点灯する第1物体(72)の輝度よりも高い輝度で点灯する第2物体(71)が検出されるときの前記露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、前記車両の位置が高速道路であるとき、前記露光時間を、前記第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)と、
を備える撮像制御装置。
[観点6]
撮像制御装置を、
カメラ(20)の撮像画像に映る、点灯する第1物体(71)の輝度よりも低い輝度で点灯する第2物体(72)を検出する検出部(S104)、および、
前記第2物体が検出されないとき、前記カメラの露光時間(Te)を、前記第1物体が検出されるときの前記露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、前記第2物体が検出されるとき、前記露光時間を、前記第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)として、機能させる撮像制御プログラム。
[観点7]
撮像制御装置を、
車両(90)の位置情報を取得する取得部(S200)、および、
前記車両の位置が高速道路以外であるとき、前記車両に搭載されるカメラ(20)の露光時間(Te)を、点灯する第1物体(72)の輝度よりも高い輝度で点灯する第2物体(71)が検出されるときの前記露光時間である第1露光時間(Te_TL)にさせ、前記車両の位置が高速道路であるとき、前記露光時間を、前記第1露光時間よりも長い第2露光時間(Te_ES)にさせる変更部(S202、S204、S206)として、機能させる撮像制御プログラム。
【符号の説明】
【0054】
10 車両システム
20 車載カメラ
25 ナビゲーションシステム
30 ディスプレイ
35 運転支援装置
40 撮像制御装置
45 画像処理部
50 露光制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7