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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109321
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014050
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】張 松
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 晃久
(72)【発明者】
【氏名】安田 周一
(72)【発明者】
【氏名】田中 友耶
(72)【発明者】
【氏名】塚原 隆太
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA73
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AC01
5F157AC26
5F157BB23
5F157BB38
5F157BB45
5F157CE10
5F157CE33
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB18
(57)【要約】
【課題】より適切にパーティクルを除去することができる技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、第1基板保持部2と、少なくとも一つのノズル3と、混合部30と、給液管42と、制御部90とを備える。ノズル3は、第1基板保持部2によって保持された基板Wの主面に処理液を吐出する。混合部30は、ポリマーおよび有機溶剤を混合して得られた保持液を少なくとも一つのノズル3に供給して、少なくとも一つのノズル3から保持液を基板Wの主面に向かって吐出させ、基板Wの主面上に保持液の液膜を形成する。制御部90は、基板Wの主面上のパーティクルのサイズまたは数であるパラメータに基づいて、保持液における有機溶剤に対するポリマーの第1目標混合比を決定し、第1目標混合比に基づいて混合部を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する第1基板保持部と、
前記第1基板保持部によって保持された前記基板の主面に処理液を吐出する少なくとも一つのノズルと、
ポリマーおよび有機溶剤を混合して得られた保持液を前記少なくとも一つのノズルに供給して、前記少なくとも一つのノズルから前記保持液を前記基板の前記主面に向かって吐出させ、前記基板の前記主面上に前記保持液の液膜を形成する混合部と、
前記少なくとも一つのノズルに接続され、前記保持液の前記液膜が固化または硬化した保持膜を剥離する剥離液を、前記少なくとも一つのノズルに供給して、前記少なくとも一つのノズルから前記剥離液を前記基板の前記主面に向かって吐出させる給液管と、
前記基板の前記主面上のパーティクルのサイズまたは数であるパラメータに基づいて、前記保持液における前記有機溶剤に対する前記ポリマーの第1目標混合比を決定し、前記第1目標混合比に基づいて前記混合部を制御する制御部と
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記基板の前記主面上の前記パーティクルの前記パラメータを測定するセンサをさらに備える、基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記第1基板保持部、前記少なくとも一つのノズルおよび前記センサを収容するチャンバを備え、
前記センサは、前記第1基板保持部によって保持された前記基板の前記主面上の前記パーティクルの前記パラメータを測定する、基板処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記第1基板保持部および前記少なくとも一つのノズルを収容するチャンバと、
前記チャンバの外部に設けられ、前記基板を保持する第2基板保持部と
を備え、
前記センサは、前記チャンバの外部に設けられ、前記第2基板保持部によって保持された前記基板の前記主面上の前記パーティクルの前記パラメータを測定する、基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記制御部は、前記パラメータが第1値であるときの前記第1目標混合比を、前記パラメータが前記第1値よりも小さい第2値となるときの前記第1目標混合比よりも大きく決定する、基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記パラメータは、前記パーティクルのサイズであり、
前記制御部は、前記基板の前記主面上の前記パーティクルのうち最も大きなサイズに基づいて、前記第1目標混合比を決定する、基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置であって、
前記パーティクルの前記パラメータと前記第1目標混合比との対応関係を示す第1対応関係データを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記パラメータおよび前記第1対応関係データに基づいて、前記第1目標混合比を決定する、基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置であって、
前記制御部は、前記パラメータ、前記第1目標混合比、および、前記剥離液を供給した後の前記基板の前記主面上の前記パーティクルの数に基づく処理の結果を入力データとした学習済みモデルに基づいて、前記第1対応関係データを更新する、基板処理装置。
【請求項9】
請求項6に記載の基板処理装置であって、
前記制御部は、前記基板の前記主面上の前記パーティクルの前記パラメータを入力データとした学習済みモデルに基づいて、前記第1目標混合比を決定する、基板処理装置。
【請求項10】
請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記保持液は、前記ポリマーとして、第1ポリマーと、前記第1ポリマーよりも前記剥離液に溶解しやすい第2ポリマーとを含み、
前記制御部は、前記パラメータが前記第1値であるときの、前記第1ポリマーに対する前記第2ポリマーの第2目標混合比を、前記パラメータが前記第2値であるときの前記第2目標混合比よりも大きく決定する、基板処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記制御部は、順次に搬入される同一ロット内の複数の前記基板に対して共通に、前記第1目標混合比を決定する、基板処理装置。
【請求項12】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記基板の前記主面には、平坦化処理が行われている、基板処理装置。
【請求項13】
平坦化処理が行われた主面を有する基板を保持する保持工程と、
前記基板の前記主面上のパーティクルのサイズまたは数であるパラメータに基づいて、ポリマーおよび有機溶剤の混合液である保持液における、前記有機溶剤に対する前記ポリマーの第1目標混合比を決定する混合比決定工程と、
前記第1目標混合比で混合された前記保持液を前記基板の前記主面に供給して、前記基板の前記主面に前記保持液の液膜を形成する液膜形成工程と、
前記基板の前記主面上の前記保持液の前記液膜を固化または硬化させて、前記基板の前記主面上に保持膜を形成する保持膜形成工程と、
前記保持膜を剥離させる剥離液を前記基板の前記主面に供給する剥離工程と
を備える、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板の主面上のパーティクルを除去する基板処理装置が提案されている(例えば特許文献1から特許文献4)。特許文献1から特許文献4では、基板処理装置は基板の主面の全面にポリマー液を塗布して、基板の主面上にポリマー液に液膜を形成する。そして、基板処理装置はポリマー液を乾燥させ、基板の主面上にポリマー膜を形成する。これにより、基板の主面上のパーティクルがポリマー膜に密着し、ポリマー膜によって保持される。そして、基板処理装置は、ポリマー膜を剥離させる剥離液を、基板の主面に供給する。これにより、ポリマー膜がパーティクルを保持した状態で剥離され、基板の主面上からパーティクルが除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-161525号公報
【特許文献2】特開2018-110220号公報
【特許文献3】特開2022-23730号公報
【特許文献4】特開2022-18883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板の主面上のパーティクルを除去するには、ポリマー膜(以下、保持膜とも呼ぶ)の膜厚が重要である。例えば、保持膜が薄い場合、パーティクルの分布によっては、パーティクルの除去率が低下するおそれがある。例えば、保持膜が薄い場合には、保持膜の強度が不足してしまい、結果として、サイズの大きいパーティクルに対する除去率が低下し得る。
【0005】
一方で、パーティクルの分布によらず、常に保持膜の膜厚を大きくすれば、ポリマー液の使用量が不要に大きくなる。
【0006】
そこで、本開示は、より適切にパーティクルを除去することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、基板処理装置であって、基板を保持する第1基板保持部と、前記第1基板保持部によって保持された前記基板の主面に処理液を吐出する少なくとも一つのノズルと、ポリマーおよび有機溶剤を混合して得られた保持液を前記少なくとも一つのノズルに供給して、前記少なくとも一つのノズルから前記保持液を前記基板の前記主面に向かって吐出させ、前記基板の前記主面上に前記保持液の液膜を形成する混合部と、前記少なくとも一つのノズルに接続され、前記保持液の前記液膜が固化または硬化した保持膜を剥離する剥離液を、前記少なくとも一つのノズルに供給して、前記少なくとも一つのノズルから前記剥離液を前記基板の前記主面に向かって吐出させる給液管と、前記基板の前記主面上のパーティクルのサイズまたは数であるパラメータに基づいて、前記保持液における前記有機溶剤に対する前記ポリマーの第1目標混合比を決定し、前記第1目標混合比に基づいて前記混合部を制御する制御部とを備える。
【0008】
第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理装置であって、前記基板の前記主面上の前記パーティクルの前記パラメータを測定するセンサをさらに備える。
【0009】
第3の態様は、第2の態様にかかる基板処理装置であって、前記第1基板保持部、前記少なくとも一つのノズルおよび前記センサを収容するチャンバを備え、前記センサは、前記第1基板保持部によって保持された前記基板の前記主面上の前記パーティクルの前記パラメータを測定する。
【0010】
第4の態様は、第2の態様にかかる基板処理装置であって、前記第1基板保持部および前記少なくとも一つのノズルを収容するチャンバと、前記チャンバの外部に設けられ、前記基板を保持する第2基板保持部とを備え、前記センサは、前記チャンバの外部に設けられ、前記第2基板保持部によって保持された前記基板の前記主面上の前記パーティクルの前記パラメータを測定する。
【0011】
第5の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記制御部は、前記パラメータが第1値であるときの前記第1目標混合比を、前記パラメータが前記第1値よりも小さい第2値となるときの前記第1目標混合比よりも大きく決定する。
【0012】
第6の態様は、第5の態様にかかる基板処理装置であって、前記パラメータは、前記パーティクルのサイズであり、前記制御部は、前記基板の前記主面上の前記パーティクルのうち最も大きなサイズに基づいて、前記第1目標混合比を決定する。
【0013】
第7の態様は、第6の態様にかかる基板処理装置であって、前記パーティクルの前記パラメータと前記第1目標混合比との対応関係を示す第1対応関係データを記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記パラメータおよび前記第1対応関係データに基づいて、前記第1目標混合比を決定する。
【0014】
第8の態様は、第7の態様にかかる基板処理装置であって、前記制御部は、前記パラメータ、前記第1目標混合比、および、前記剥離液を供給した後の前記基板の前記主面上の前記パーティクルの数に基づく処理の結果を入力データとした学習済みモデルに基づいて、前記第1対応関係データを更新する。
【0015】
第9の態様は、第6の態様にかかる基板処理装置であって、前記制御部は、前記基板の前記主面上の前記パーティクルの前記パラメータを入力データとした学習済みモデルに基づいて、前記第1目標混合比を決定する。
【0016】
第10の態様は、第5から第9のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記保持液は、前記ポリマーとして、第1ポリマーと、前記第1ポリマーよりも前記剥離液に溶解しやすい第2ポリマーとを含み、前記制御部は、前記パラメータが前記第1値であるときの、前記第1ポリマーに対する前記第2ポリマーの第2目標混合比を、前記パラメータが前記第2値であるときの前記第2目標混合比よりも大きく決定する。
【0017】
第11の態様は、第1から第10のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記制御部は、順次に搬入される同一ロット内の複数の前記基板に対して共通に、前記第1目標混合比を決定する。
【0018】
第12の態様は、第1から第11のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記基板の前記主面には、平坦化処理が行われている。
【0019】
第13の態様は、基板処理方法であって、平坦化処理が行われた主面を有する基板を保持する保持工程と、前記基板の前記主面上のパーティクルのサイズまたは数であるパラメータに基づいて、ポリマーおよび有機溶剤の混合液である保持液における、前記有機溶剤に対する前記ポリマーの第1目標混合比を決定する混合比決定工程と、前記第1目標混合比で混合された前記保持液を前記基板の前記主面に供給して、前記基板の前記主面に前記保持液の液膜を形成する液膜形成工程と、前記基板の前記主面上の前記保持液の前記液膜を固化または硬化させて、前記基板の前記主面上に保持膜を形成する保持膜形成工程と、前記保持膜を剥離させる剥離液を前記基板の前記主面に供給する剥離工程とを備える。
【発明の効果】
【0020】
第1および第13の態様によれば、パーティクルに基づいて第1目標混合比を決定するので、パーティクルに応じた膜厚を有する保持膜を形成することができる。このため、より適切にパーティクルを除去することができる。
【0021】
第2の態様によれば、センサがパーティクルのパラメータを測定するので、制御部は、実際のパーティクルのパラメータに基づいて第1目標混合比を決定できる。
【0022】
第3の態様によれば、基板に対する洗浄処理を行うための構成(第1基板保持部およびノズル)およびセンサが同じチャンバ内に設けられる。このため、センサは洗浄処理の直前で基板の主面上のパーティクルのパラメータを測定することができる。
【0023】
第4の態様によれば、センサは、基板に対する洗浄処理を行うための構成(第1基板保持部およびノズル)を収容するチャンバの外部に設けられる。このため、センサが、処理液の雰囲気に曝されることを抑制できる。
【0024】
第5の態様によれば、パーティクルのサイズまたは数が大きいときに、ポリマーの第1目標混合比を高くする。このため、保持膜の膜厚をより簡単に大きくすることができる。したがって、保持膜がより適切にパーティクルを保持することができ、剥離液によってパーティクルとともに保持膜を基板の主面から剥離することができる。
【0025】
逆にパーティクルのサイズまたは数が小さいときには、ポリマーの第1目標混合比を低くすることができる。このため、保持膜の膜厚をより簡単に小さくすることができる。これによれば、剥離液によってパーティクルとともに保持膜を基板の主面から剥離することができつつ、ポリマーの使用量を低減させることができる。
【0026】
第6の態様によれば、制御部は、最も大きいサイズに対応した第1目標混合比を決定する。このため、保持膜は、最も大きいサイズに対応した膜厚で形成される。したがって、基板処理装置はより確実にパーティクルを除去することができる。
【0027】
第7の態様によれば、制御部は簡易な処理で第1目標混合比を決定することができる。
【0028】
第8の態様によれば、基板に対する処理の結果に基づいた学習済みモデルに基づいて、第1対応関係データを更新する。このため、制御部は、以後の基板に対して、より適切な第1目標混合比を決定することができる。
【0029】
第9の態様によれば、制御部は、より適切な第1目標混合比を決定することができる。
【0030】
第10の態様によれば、保持液は第1ポリマーおよび第2ポリマーを含むので、保持膜は、第1ポリマーからなる第1部分と、第2ポリマーからなる第2部分が偏在した状態となる。第2部分は剥離液に溶解しやすいところ、第2部分が溶解すると、第1部分が第2部分を境界として分離して基板の主面から剥離される。
【0031】
第10の態様では、パーティクルのサイズまたは数が大きいときに、ポリマーの第1目標混合比および第2目標混合比を高くする。このため、基板処理装置は、膜厚が大きく、かつ、第2部分の割合が高い保持膜を基板の主面上に形成することができる。したがって、保持膜の膜厚が大きくても、厚み方向に長い第2部分が形成されやすく、第1部分がある程度のサイズを保持したまま第2部分を境界として適切に分離される。これにより、第1部分はパーティクルを保持した状態で剥離される。
【0032】
逆にパーティクルのサイズまたは数が小さいときには、ポリマーの第1目標混合比および第2目標混合比は低い。このため、膜厚が小さく、かつ、第2部分の割合が低い保持膜を基板の主面上に形成することができる。もしも、保持膜の膜厚が小さい場合に第2部分の割合が高すぎると、第1部分が剥離液によって細かく分離してしまい、第1部分がパーティクルを保持できなくなるおそれがある。第10の態様では、第2部分の割合が低いので、第1部分がある程度のサイズを保持したまま第2部分を境界として適切に分離される。これにより、第1部分はパーティクルを保持した状態で剥離される。
【0033】
第11の態様によれば、制御部の処理負荷を軽減することができる。
【0034】
第12の態様によれば、基板処理装置は、平坦化処理によって基板の主面上に生じたパーティクルを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
図2】制御部の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3】処理ユニットの構成の一例を概略的に示す縦断面図である。
図4】処理ユニットの動作の一例を示すフローチャートである。
図5】パーティクルのサイズと第1目標混合比との第1対応関係の一例を示すグラフである。
図6】各ステップにおける処理ユニットの様子の一例を概略的に示す図である。
図7】基板の一部の構成の一例を概略的に示す断面図である。
図8】剥離工程における基板の主面上の様子の一例を概略的に示す断面図である。
図9】比較例にかかる基板の一部の構成の一例を示す図である。
図10】パーティクルのサイズと第2目標混合比との第2対応関係の一例を示すグラフである。
図11】混合部の別の第1例を概略的に示す図である。
図12】混合部の別の第2例を概略的に示す図である。
図13】基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
図14】基板処理装置の電気的な構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
図15】学習用データの一例を概略的に示す図である。
図16】基板処理装置の電気的な構成の別の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
図17】処理ユニットの構成の一例を示す図である。
図18】基板処理システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しつつ実施の形態について詳細に説明する。なお図面においては、理解容易の目的で、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。また同様な構成及び機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。
【0037】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0038】
また、以下に記載される説明において、「第1」または「第2」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序に限定されるものではない。
【0039】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現が用いられる場合、該表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現が用いられる場合、該表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
【0040】
<基板処理装置の全体構成>
図1は、基板処理装置100の構成の一例を概略的に示す平面図である。基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置である。
【0041】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。基板Wは、薄い平板形状を有する。以下では、基板Wが半導体ウエハであるものとする。基板Wは例えば円板形状を有している。基板Wの直径は例えば300mm程度であり、基板Wの膜厚は例えば0.5mm程度以上かつ3mm程度以下である。
【0042】
基板Wには、基板処理装置100よりも前工程において、平坦化処理が行われている。平坦化処理は、基板Wの主面を平坦化させる処理である。平坦化処理は、化学的研磨(CP)によって行われてもよく、機械的研磨(MP)によって行われてもよく、化学機械研磨(CMP)によって行われてもよい。平坦化処理によって基板Wの主面は平坦化される一方で、基板Wの主面には複数のパーティクルが残留する。パーティクルは、例えば、スラリーの残渣およびパターン膜の残渣(例えば銅などの金属残渣)の少なくともいずれか一方を含む。このようなパーティクルのサイズは比較的に大きく、複数のパーティクルのうちの最も大きいサイズ(最大値)は、例えば、0.8μm程度以上である。あるいは、当該最大値は例えば1μm程度以上である。基板処理装置100は、後述のように、サイズの大きなパーティクルも基板Wの主面から取り除くことができる。
【0043】
図1の例では、基板処理装置100は、インデクサブロック110と、処理ブロック120と、制御部90とを含んでいる。処理ブロック120は、主として基板Wの処理を行う部分であり、インデクサブロック110は、主として、基板処理装置100の外部と処理ブロック120との間での基板Wの搬送を行う部分である。
【0044】
インデクサブロック110は、ロードポート111と、第1搬送部112とを含んでいる。ロードポート111には、外部から搬入されたキャリアCが載置される。つまり、ロードポート111は、キャリアCを載置する載置台を含む。キャリアCには、複数の基板Wが収容されている。例えば複数の基板Wは鉛直方向において互いに間隔を空けて並んだ状態で、キャリアCに収容される。図1の例では、複数のロードポート111が配列されており、各ロードポート111に1つのキャリアCが載置される。
【0045】
第1搬送部112は搬送ロボットであって、各ロードポート111に載置されたキャリアCから未処理の基板Wを取り出すことができる。第1搬送部112はインデクサロボットとも呼ばれ得る。第1搬送部112は、キャリアCから取り出した未処理の基板Wを処理ブロック120に搬送する。処理ブロック120は該未処理の基板Wに処理を行うことができる。また、第1搬送部112は、処理済みの基板Wを処理ブロック120から受け取り、処理済みの基板Wをロードポート111のキャリアCに搬送することができる。
【0046】
図1の例では、処理ブロック120は、複数の処理ユニット1と、第2搬送部122とを含んでいる。第2搬送部122は搬送ロボットであって、第1搬送部112と複数の処理ユニット1との間で基板Wを搬送することができる。図1の例では、処理ブロック120は載置部123も含んでいる。載置部123は第1搬送部112と第2搬送部122とに間に設けられている。載置部123は、例えば、複数の基板Wを鉛直方向に並べた状態で載置することができる棚である。第1搬送部112は未処理の基板Wを載置部123に載置する。第2搬送部122は載置部123から未処理の基板Wを取り出し、未処理の基板Wを処理ユニット1に搬送する。処理ユニット1は基板Wを処理する。処理ユニット1の構成については後に述べる。第2搬送部122は処理済みの基板Wを処理ユニット1から取り出し、処理済みの基板Wを載置部123に搬送する。第1搬送部112は載置部123から処理済みの基板Wを取り出し、処理済みの基板Wをロードポート111のキャリアCに搬送する。
【0047】
第2搬送部122は必要に応じて複数の処理ユニット1間で基板Wを搬送してもよい。例えば、第2搬送部122は、ある処理ユニット1で処理された基板Wを別の処理ユニット1に搬送し、該別の処理ユニット1で処理された基板Wを載置部123に搬送してもよい。
【0048】
図1の例では、複数の処理ユニット1は平面視において第2搬送部122の周りを囲むように設けられている。この第2搬送部122はセンターロボットとも呼ばれ得る。図1の例では、4つの処理ユニット1が第2搬送部122を囲んでいる。各処理ユニット1が設けられた平面視上の各位置において、複数の処理ユニット1が鉛直方向に積層されていてもよい。つまり、鉛直方向に積層された複数の処理ユニット1によって構成されるタワーの複数(図では4つ)が、平面視において、第2搬送部122を囲むように設けられてもよい。
【0049】
制御部90は、基板処理装置100を統括的に制御する。具体的には、制御部90は第1搬送部112、第2搬送部122および処理ユニット1を制御する。図2は、制御部90の構成の一例を概略的に示すブロック図である。制御部90は電子回路であって、例えばデータ処理部91および記憶部92を有している。図2の具体例では、データ処理部91と記憶部92とはバス93を介して相互に接続されている。データ処理部91は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶部92は非一時的な記憶部(例えばROM(Read Only Memory))921および一時的な記憶部(例えばRAM(Random Access Memory))922を有していてもよい。非一時的な記憶部921には、例えば制御部90が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。データ処理部91がこのプログラムを実行することにより、制御部90が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部90が実行する処理の一部または全部が専用の論理回路などのハードウェアによって実行されてもよい。
【0050】
図2に示されるように、制御部90は記憶部94に電気的に接続されていてもよい。記憶部94は非一時的な記憶部であり、例えば、メモリまたはハードディスクであってもよい。
【0051】
<処理ユニットの概要>
図3は、処理ユニット1の構成の一例を概略的に示す縦断面図である。なお、基板処理装置100に属する全ての処理ユニット1が、図3に例示された構成を有している必要はない。基板処理装置100の少なくとも一つの処理ユニット1が、図3に例示された構成を有していればよい。
【0052】
処理ユニット1は、基板Wの主面上のパーティクルの一部または全部を取り除く洗浄処理を行うことができる。洗浄処理は、後に詳述するように、基板Wの主面上に保持膜を形成させてパーティクルを保持膜に密着固定させる成膜処理と、保持膜をパーティクルとともに基板Wの主面から剥離する剥離処理とを含む。
【0053】
処理ユニット1は、基板保持部2(第1基板保持部に相当)と、少なくとも一つのノズル3と、センサ6とを含んでいる。
【0054】
図3の例では、処理ユニット1にはチャンバ10も設けられている。チャンバ10は箱形の形状を有し、その内部空間は、基板Wを処理する処理空間に相当する。チャンバ10には、開閉可能な搬出入口(不図示)が設けられる。第2搬送部122は搬出入口を通じて未処理の基板Wをチャンバ10内に搬入し、また、搬出入口を通じて処理済みの基板Wをチャンバ10から搬出する。
【0055】
基板保持部2はチャンバ10内に設けられており、基板Wを水平姿勢で保持しつつ、基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させる。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢である。回転軸線Q1は、基板Wの中心を通り、かつ、鉛直方向に沿う軸である。このような基板保持部2はスピンチャックとも呼ばれ得る。
【0056】
図3の例では、基板保持部2は、スピンベース21と、チャックピン22と、回転駆動部23とを含んでいる。スピンベース21は板状の形状(例えば円板形状)を有し、その厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢で設けられる。スピンベース21の上面には複数のチャックピン22が設けられている。複数のチャックピン22は、回転軸線Q1についての周方向に沿って等間隔に設けられる。複数のチャックピン22は、次に説明する保持位置と解除位置との間で変位可能に設けられている。保持位置とは、チャックピン22が基板Wの周縁に当接する位置である。複数のチャックピン22がそれぞれの保持位置で停止することにより、複数のチャックピン22が基板Wを保持する。図2では、保持位置で停止したチャックピン22が示されている。解除位置とは、各チャックピン22が基板Wから離れた位置である。複数のチャックピン22がそれぞれの解除位置で停止することにより、複数のチャックピン22による基板Wの保持が解除される。基板保持部2は、チャックピン22を変位させるピン駆動部(不図示)も含む。ピン駆動部は、例えば、モータまたはエアシリンダ等の駆動源を含み、制御部90によって制御される。
【0057】
回転駆動部23はシャフト231とモータ232とを含んでいる。シャフト231の上端はスピンベース21の下面に接続されており、シャフト231はスピンベース21の下面から回転軸線Q1に沿って延びている。モータ232は制御部90によって制御され、シャフト231を回転軸線Q1のまわりで回転させる。これにより、スピンベース21、チャックピン22および基板Wが回転軸線Q1のまわりで一体に回転する。
【0058】
なお、基板保持部2は必ずしもチャックピン22を有している必要はない。例えば、基板保持部2は、真空チャック、静電チャックおよびベルヌーイチャック等のチャック方式により、基板Wを保持してもよい。
【0059】
センサ6は基板Wの主面上の複数のパーティクルを検出して、当該パーティクルのパラメータ(例えばサイズ)を測定する。図3の例では、センサ6はチャンバ10内に設けられており、光源61と受光部62とを含んでいる。図3の例では、光源61は、回転軸線Q1についての径方向に沿って延びた長尺状の形状を有している。光源61は測定光を基板Wの主面に向かって出射する。なお、図3の例では、センサ6と基板Wとの間にノズル3が位置しているものの、センサ6による測定時には、ノズル3は基板Wの直上の領域とは別の位置に移動している。このため、測定光は、基板保持部2によって保持された基板Wの主面(ここでは上面)に照射される。具体的には、測定光は、径方向に延びる帯状の領域で基板Wの主面に照射される。当該領域は基板Wの中心から基板Wの周縁までの領域を含み得る。
【0060】
図3の例では、受光部62は、基板Wの径方向に沿って延びた長尺状の形状を有する。つまり、図3の例では、センサ6はいわゆるラインセンサである。受光部62は、基板Wの主面で反射した光を受光し、その反射光の強度に応じた信号を例えば制御部90に出力する。基板Wの主面で反射した反射光の強度は、基板Wの主面上のパーティクルに依存して変化する。例えば、光はパーティクルによって散乱するので、反射光の強度分布は、基板Wの主面上のパーティクルの分布(サイズおよび数)に応じた分布をとる。そこで、制御部90は、受光部62からの信号(反射光の強度分布)に基づいて、各位置におけるパーティクルを検出する。この場合、制御部90の一部の機能は、センサ6に属しているともいえる。具体的な一例として、センサ6(制御部90)は、基板Wの主面上の各位置における各パーティクルのサイズを求める。
【0061】
センサ6の光源61が測定光を出射した状態で、基板保持部2が基板Wを回転させることにより、センサ6の光源61は基板Wの主面の全面に測定光を出射する。このため、センサ6は基板Wの主面の全面を走査することができる。センサ6によって測定されたパーティクルのパラメータ(例えばサイズ)は、後に詳述するように、保持液における混合比の決定に用いられる。
【0062】
図3に示されるように、処理ユニット1には、センサ6を測定位置と待機位置との間で移動させるセンサ移動駆動部63が設けられてもよい。測定位置は、センサ6が基板Wの主面上のパーティクルのパラメータを測定するための位置であり、例えば、センサ6が、基板保持部2によって保持された基板Wの主面と鉛直方向において対向する位置である。測定位置は、例えば、センサ6の長手方向が径方向に沿う位置でもある。待機位置は、センサ6が基板Wの主面上のパーティクルのパラメータを測定しない位置であり、例えば、基板Wよりも径方向外側の位置である。センサ移動駆動部63の具体的な構造の一例は、後述のノズル移動駆動部37と同様であってもよい。
【0063】
なお、センサ6は、必ずしも長尺状のラインセンサでなくてもよい。例えば、センサ6の光源61および受光部62の径方向の長さは、基板Wの半径よりも十分に小さくてもよい。言い換えれば、センサ6はポイントセンサであってもよい。この場合、センサ移動駆動部63は、測定中に、センサ6を基板Wの中心と周縁との間で水平に往復移動させればよい。これにより、センサ6は基板Wの主面の全面を走査することができる。
【0064】
少なくとも一つのノズル3はチャンバ10内に設けられており、基板保持部2によって保持された基板Wの主面(ここでは上面)に向かって処理液を吐出する。ここでいう処理液は、保持液、剥離液およびリンス液の総称である。これらの液の具体例は後述する。図3の例では、少なくとも一つのノズル3として、第1ノズル31、第2ノズル41および第3ノズル51が示されている。
【0065】
第1ノズル31はチャンバ10内に設けられており、基板保持部2によって保持された基板Wの主面に向かって保持液を吐出する。図3の例では、第1ノズル31は、基板保持部2によって保持された基板Wよりも鉛直上方に設けられる。保持液は、ポリマーおよび有機溶剤を混合して得られる混合液である。後に詳述するように、有機溶剤に対するポリマーの第1目標混合比は、基板Wの主面上のパーティクルに基づいて決定される。第1ノズル31は、例えば、連続流の状態で保持液を吐出するストレートノズルである。第1ノズル31が基板Wの主面に向かって保持液を吐出し、基板保持部2が基板Wを回転させると、基板Wの主面上に保持液の液膜が形成される。この保持液の液膜が固化または硬化することにより、基板Wの主面上で保持膜が形成される。
【0066】
ここで、「固化」とは、例えば、溶剤の揮発に伴い、分子間または原子間に作用する力等によって溶質が固まることを指す。「硬化」とは、例えば、重合または架橋等の化学的な変化によって、物質が固まることを指す。したがって、「固化または硬化」とは、様々な要因によって物質が「固まる」ことを表している。
【0067】
保持液の液膜は、基板Wの主面上のパーティクルを覆って密着するので、該液膜が固まった保持膜もパーティクルに密着して覆う。このため、パーティクルは保持膜に密着固定される。言い換えれば、保持膜がパーティクルを保持することができる。なお、第1ノズル31に保持液を供給するための構造については後に詳述する。
【0068】
第2ノズル41はチャンバ10内に設けられており、基板保持部2によって保持された基板Wの主面に向かって剥離液を吐出することができる。図3の例では、第2ノズル41は、基板保持部2によって保持された基板Wよりも鉛直上方に設けられる。剥離液は、基板Wの主面上の保持膜を剥離するための液体である。第2ノズル41は、連続流の状態で剥離液を吐出するストレートノズルであってもよく、あるいは、液滴状態で剥離液を吐出するミストノズルあるいはスプレーノズルであってもよい。剥離液が基板Wの主面に供給されることにより、基板Wの主面上の保持膜が剥離される。これにより、パーティクルが保持膜とともに剥離され、パーティクルが基板Wの主面から取り除かれる。なお、第2ノズル41に剥離液を供給するための構造については後に詳述する。
【0069】
図3の例では、処理ユニット1には、第3ノズル51も設けられている。第3ノズル51はチャンバ10内に設けられており、基板保持部2によって保持された基板Wの主面に向かってリンス液を吐出することができる。図3の例では、第3ノズル51は、基板保持部2によって保持された基板Wよりも鉛直上方に設けられる。第3ノズル51は、例えば、連続流の状態でリンス液を吐出するストレートノズルである。第3ノズル51は、例えば、剥離液が基板Wの主面に供給された後に、リンス液を基板Wの主面に向かって吐出する。これにより、リンス液が基板Wの主面上の剥離液を押し流すことができる。つまり、基板Wの主面上の剥離液がリンス液に置換される。なお、第3ノズル51にリンス液を供給するための構造については後に詳述する。
【0070】
図3の例では、第1ノズル31には給液管32の下流端が接続されている。給液管32の上流端は第1給液管33aの下流端、第2給液管33bの下流端および第3給液管33cの下流端に接続されている。第1給液管33aの上流端は第1液供給源に接続され、第2給液管33bの上流端は第2液供給源に接続され、第3給液管33cの上流端は第3液供給源に接続される。
【0071】
第1液供給源は第1液を第1給液管33aの下流端に供給する。第1液は、第1ポリマーを含む液体であり、例えば、第1ポリマーおよび有機溶剤の両方を含む液体である。第1ポリマーは、例えば、有機溶剤に溶けた状態にある。第1液における第1ポリマーの混合比(濃度)は比較的に高く、例えば飽和濃度である。
【0072】
第1ポリマーは、例えば、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリマーレイン酸誘導体、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、およびこれらの組合せの共重合体、の少なくとも1つを含む。好ましくは、第1ポリマーは、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸誘導体、およびこれらの組合せの共重合体、の少なくとも1つを含んでいてもよい。さらに好ましくは、第1ポリマーは、ノボラック、ポリヒドロスチレン、ポリカーボネート、およびこれらの組合せの共重合体、の少なくとも1つを含んでいてもよい。ノボラックはフェノールノボラックであってもよい。上述の共重合には、ランダム共重合もしくはブロック共重合を適用することが好ましい。
【0073】
第1ポリマーは、上記の好適例を1または2以上組み合わせて含んでもよい。例えば、第1ポリマーはノボラックとポリヒドロキシスチレンの双方を含んでもよい。好ましくは、第1ポリマーはフッ素および/またはケイ素を含有せず、より好ましくは両方を含有しない。
【0074】
有機溶剤としては、イソプロパノール(IPA)等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)等の乳酸エステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0075】
第2液供給源は、第2液を第2給液管33bの下流端に供給する。第2液は、第2ポリマーを含む液体であり、例えば、第2ポリマーおよび有機溶剤の両方を含む液体である。第2ポリマーは、例えば、有機溶剤に溶けた状態である。
【0076】
第2ポリマーは、第1ポリマーに比べて、剥離液に溶けやすい性質を有する。例えば、剥離液に対する第2ポリマーの溶解度は、剥離液に対する第1ポリマーの溶解度よりも高い。第2ポリマーは、例えば2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンである。
【0077】
有機溶剤の例は上述の通りであり、第1液における有機溶剤と同種の有機溶剤であってもよい。第2液における第2ポリマーの混合比(濃度)は比較的に高く、例えば飽和濃度である。
【0078】
第3液供給源は、第3液を第3給液管33cの下流端に供給する。第3液は例えば有機溶剤である。有機溶剤の例は上述の通りである。第3液は、第1液および第2液の有機溶剤と同種の有機溶剤であってもよい。
【0079】
図3の例では、第1給液管33aには、供給弁34aおよび流量調整弁35aが介挿されており、第2給液管33bには、供給弁34bおよび流量調整弁35bが介挿されており、第3給液管33cには、供給弁34cおよび流量調整弁35cが介挿されている。これらの弁は制御部90によって制御される。
【0080】
供給弁34aは第1給液管33aの開閉を切り換え、供給弁34bは第2給液管33bの開閉を切り換え、供給弁34cは第3給液管33cの開閉を切り換える。流量調整弁35aは、第1給液管33aを流れる第1液の流量を調整し、流量調整弁35bは、第2給液管33bを流れる第2液の流量を調整し、流量調整弁35cは、第3給液管33cを流れる第3液の流量を調整する。流量調整弁35a、流量調整弁35bおよび流量調整弁35cの各々は、マスフローコントローラであってもよい。
【0081】
供給弁34a、供給弁34bおよび供給弁34cが開くことにより、第1液、第2液および第3液がそれぞれ第1給液管33a、第2給液管33bおよび第3給液管33cを通じて給液管32の上流端に供給される。このため、給液管32には、第1液、第2液および第3液の混合液である保持液が流れる。つまり、ここでは、保持液は、第1ポリマー、第2ポリマーおよび有機溶剤の全てを含む液体である。保持液は給液管32を通じて第1ノズル31に供給され、第1ノズル31から吐出される。
【0082】
このような構造において、給液管32、第1給液管33a、第2給液管33bおよび第3給液管33cは、ポリマーと有機溶剤とを混合させた保持液を第1ノズル31に供給する混合部30として機能する。混合部30は可変の混合比でポリマーおよび有機溶剤を混合させることができる。図3の例では、混合部30は、流量調整弁35a、流量調整弁35bおよび流量調整弁35cを含む。流量調整弁35a、流量調整弁35bおよび流量調整弁35cがそれぞれ第1液、第2液および第3液の流量を調整することにより、混合比を調整することができる。
【0083】
制御部90は、保持液における有機溶剤に対するポリマーの第1目標混合比を、基板Wの主面上のパーティクルのパラメータ(例えばサイズ)に基づいて決定する。第1目標混合比は、有機溶剤に対するポリマー(第1ポリマーおよび第2ポリマーの和)の第1混合比の目標値である。そして、制御部90は、当該第1目標混合比に基づいて混合部30を制御する。具体的な一例として、制御部90は、パーティクルのサイズが大きいほど、第1目標混合比をより高く決定し、保持液における第1混合比と第1目標混合比との差が基準値以下となるように、混合部30の流量調整弁35a、流量調整弁35bおよび流量調整弁35cを制御する。
【0084】
図3の例では、処理ユニット1は、第1ノズル31を移動させるノズル移動駆動部37を含んでいる。ノズル移動駆動部37は第1ノズル31を、次に説明する第1処理位置と第1待機位置との間で移動させる。第1処理位置とは、第1ノズル31が、基板保持部2によって保持された基板Wの主面の中央部に向かって保持液を吐出する位置であり、例えば、基板Wの中央部と鉛直方向において対向する位置である。図3の例では、第1処理位置に位置する第1ノズル31が示されている。第1待機位置とは、第1ノズル31が保持液を基板Wの主面に向かって吐出しない位置であり、例えば、基板Wよりも径方向外側の位置である。
【0085】
図3の例では、ノズル移動駆動部37は、アーム371と、支持柱372と、駆動源373とを含んでいる。支持柱372は、後述のガード71よりも径方向外側に設けられており、鉛直方向に沿って延びている。アーム371は水平方向に沿って延びており、その先端が第1ノズル31に接続され、その基端が支持柱372に接続されている。駆動源373は制御部90によって制御され、支持柱372をその中心軸Q2のまわりで回動させる。駆動源373は例えばモータを含む。支持柱372が中心軸Q2のまわりで回動すると、第1ノズル31は、中心軸Q2についての周方向に沿って移動する。支持柱372は、第1ノズル31の移動軌跡上に第1処理位置および第1待機位置が位置するように、設置される。なお、ノズル移動駆動部37は必ずしも図3の態様に限らず、例えばリニアモータ等の直動機構を含んでいてもよい。
【0086】
図3の例では、第2ノズル41には給液管42の下流端が接続されている。給液管42の上流端は、剥離液供給源に接続される。剥離液供給源は剥離液を給液管42の下流端に供給する。剥離液は、基板Wの主面上の保持膜を剥離するための液体である。剥離液は、例えば、純水(言い換えれば、脱イオン水)、アルカリ性水溶液(アルカリ性液体)、中性および酸性のいずれかの水溶液(非アルカリ性水溶液)であってもよい。アルカリ性水溶液の具体例として、アンモニア水、SC1液、TMAH水溶液、および、コリン水溶液、ならびに、これらのいずれかの組合せが適用され得る。
【0087】
図3の例では、給液管42には、供給弁44および流量調整弁45が介挿されている。供給弁44は給液管42の開閉を切り換え、流量調整弁45は、給液管42を流れる剥離液の流量を調整する。流量調整弁45は、マスフローコントローラであってもよい。これらの弁は制御部90によって制御される。
【0088】
図3の例では、処理ユニット1には、第2ノズル41を移動させるノズル移動駆動部47が設けられている。ノズル移動駆動部47は制御部90によって制御され、第2ノズル41を、次に説明する第2処理位置と第2待機位置との間で移動させる。第2処理位置とは、第2ノズル41が、基板保持部2によって保持された基板Wの主面の中央部に向かって剥離液を吐出する位置であり、例えば、基板Wの中央部と鉛直方向において対向する位置である。第2待機位置とは、第2ノズル41が剥離液を基板Wの主面に向かって吐出しない位置であり、例えば、基板Wよりも径方向外側の位置である。図3の例では、第2待機位置に位置する第2ノズル41が模式的に示されている。ノズル移動駆動部47の具体的な構成の一例は、ノズル移動駆動部37と同様である。
【0089】
図3の例では、第3ノズル51には給液管52の下流端が接続されている。給液管52の上流端は、リンス液供給源に接続される。リンス液供給源はリンス液を給液管52の下流端に供給する。リンス液は、例えば、純水(言い換えれば、脱イオン水)、および、有機溶剤の少なくともいずれか一方を含む。
【0090】
図3の例では、給液管52には、供給弁54および流量調整弁55が介挿されている。供給弁54は給液管52の開閉を切り換え、流量調整弁55は、給液管52を流れるリンス液の流量を調整する。流量調整弁55は、マスフローコントローラであってもよい。これらの弁は制御部90によって制御される。
【0091】
図3の例では、処理ユニット1には、第3ノズル51を移動させるノズル移動駆動部57が設けられている。ノズル移動駆動部57は制御部90によって制御され、第3ノズル51を、次に説明する第3処理位置と第3待機位置との間で移動させる。第3処理位置とは、第3ノズル51が、基板保持部2によって保持された基板Wの主面の中央部に向かってリンス液を吐出する位置であり、例えば、基板Wの中央部と鉛直方向において対向する位置である。第3待機位置とは、第3ノズル51がリンス液を基板Wの主面に向かって吐出しない位置であり、例えば、基板Wよりも径方向外側の位置である。図3の例では、第3待機位置に位置する第3ノズル51が模式的に示されている。ノズル移動駆動部57の具体的な構成の一例は、ノズル移動駆動部37と同様である。
【0092】
図3の例では、処理ユニット1には、基板Wの周縁から飛散した各種の処理液を受け止めるガード71が設けられている。ガード71はガード昇降駆動部73によって、次に説明するガード処理位置とガード待機位置との間で昇降する。ガード処理位置は、ガード71の上端が、基板保持部2によって保持された基板Wの上面よりも鉛直上方となる位置である。ガード71がガード処理位置で停止した状態では、基板Wの周縁から飛散した処理液はガード71の内周面で受け止められる。ガード待機位置は、ガード処理位置よりも低い位置であり、例えば、ガード71の上端がスピンベース21の上面よりも下方となる位置である。ガード昇降駆動部73は、例えば、駆動源としてのモータと、駆動機構としてのボールねじ機構とを含んでいてもよい。あるいは、ガード昇降駆動部73はエアシリンダを含んでいてもよい。ガード昇降駆動部73は制御部90によって制御される。
【0093】
図3の例では、ガード71に対応した排液槽72が設けられている。各排液槽72は、対応するガード71の内周面に沿って流下した処理液を受け止める。各排液槽72の底面には、排液管74の上流端が接続されている。該処理液は排液槽72から排液管74を通じて回収される。
【0094】
処理ユニット1には、基板保持部2によって保持された基板Wを加熱する加熱部8が設けられてもよい。図3の例では、加熱部8は下面ノズル81を含む。下面ノズル81は、基板Wの下面に向かって高温の熱媒体を吐出する。図3の例では、スピンベース21の中央部には貫通穴が形成され、シャフト231は中空シャフトであり、下面ノズル81はスピンベース21の貫通穴およびシャフト231の中空部を鉛直方向に貫通している。下面ノズル81の上端(つまり吐出口)は鉛直方向において基板Wの下面に対向している。下面ノズル81は配管82の下流端に接続され、配管82の上流端は熱媒体供給源に接続される。熱媒体供給源は配管82の上流端に高温の熱媒体を供給する。熱媒体は、高温のガス(例えば不活性ガス)または液体(例えば水)である。配管82には供給弁83が介挿されている。供給弁83は制御部90によって制御され、配管82の開閉を切り換える。
【0095】
なお、加熱部8は必ずしも基板Wの下面に熱媒体を供給する必要はない。例えば、加熱部8は、基板Wの上面に高温のガスを供給してもよい。また、加熱部8は必ずしも熱媒体を基板Wに供給する必要はない。加熱部8は、例えば、電熱線を有する電気抵抗式のヒータであってもよく、赤外線などを出射する光源を有する光学式のヒータであってもよい。該ヒータは、例えば、基板Wとスピンベース21との間に設けられる。
【0096】
<基板処理装置の動作の一例>
次に処理ユニット1の動作の一例について説明する。つまり、基板Wの主面上のパーティクルの一部または全部を除去する洗浄処理の一例について説明する。図4は、処理ユニット1の動作の一例を示すフローチャートである。制御部90は、予め設定された処理手順(レシピ)にしたがって、ステップS1からステップS9の処理を基板処理装置100に実行させる。
【0097】
まず、第2搬送部122が基板Wを処理ユニット1に搬送し、基板保持部2が、第2搬送部122から受け取った基板Wを保持する(ステップS1:保持工程)。具体的な一例として、基板保持部2は複数のチャックピン22をそれぞれの解除位置から保持位置に変位させる。これにより、複数のチャックピン22が基板Wを保持する。基板保持部2は、基板Wに対する処理の終了まで基板Wを保持し続ける。基板Wの主面(ここでは上面)は平坦であり、基板Wの主面上には複数のパーティクルが付着している。
【0098】
次に、センサ6は基板Wの主面上のパーティクルを検出し、該パーティクルのパラメータを測定する(ステップS2:測定工程)。具体的には、まず、センサ移動駆動部63はセンサ6を測定位置に移動させる。そして、基板保持部2が基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させつつ、センサ6の光源61が測定光を基板Wの主面に向かって出射する。センサ6の受光部62が基板Wの主面で反射された測定光を受光することで、基板Wの主面の全面での反射光を得ることができる。センサ6は、反射光の強度分布に基づいて、基板Wの主面上の各位置におけるパーティクルのサイズを算出する。そして、センサ移動駆動部63はセンサ6を待機位置に移動させる。
【0099】
次に、制御部90は、センサ6によって測定されたパーティクルのサイズに基づいて、第1目標混合比を決定する(ステップS3:混合比決定工程)。第1目標混合比は、有機溶剤に対するポリマーの第1混合比についての目標値である。ここでいう第1混合比は、有機溶剤に対するポリマー(第1ポリマーおよび第2ポリマー)の割合(例えば、質量濃度)を示す。このような割合は、流量調整弁35a、流量調整弁35bおよび流量調整弁35cによって調整可能である。例えば、流量調整弁35cが有機溶剤の流量を低減させることにより、第1混合比を高めることができる。また、流量調整弁35aおよび流量調整弁35bがそれぞれ第1液および第2液の流量を増加させることによっても、第1混合比を高めることができる。なお、第1ポリマーに対する第2ポリマーの第2混合比(以下、第2混合比と呼ぶ)は一定であってもよい。言い換えれば、第1液および第2液の流量比は一定であってもよい。
【0100】
制御部90は、パーティクルのサイズが第1値であるときの第1目標混合比を、パーティクルのサイズが第1値よりも小さな第2値であるときの第1目標混合比よりも大きく決定する。要するに、制御部90は、パーティクルのサイズと正の相関関係で、第1目標混合比を決定する。制御部90は、基板Wの主面上のパーティクルのうち最も大きいパーティクルのサイズに基づいて、第1目標混合比を決定してもよい。つまり、制御部90は、パーティクルのサイズの最大値が第1値であるときの第1目標混合比を、パーティクルのサイズの最大値が第2値であるときの第1目標混合比よりも大きく決定する。
【0101】
図5は、パーティクルのサイズと第1目標混合比との第1対応関係の一例を示すグラフである。図5の実線で示されるように、制御部90は、パーティクルのサイズ(最大値)の増加に対して、第1目標混合比が階段状に増加するように、第1目標混合比を決定してもよい。あるいは、図5の破線で示されるように、制御部90は、パーティクルのサイズの増加に対して連続的に第1目標混合比が増加するように、第1目標混合比を決定してもよい。要するに、制御部90は、第1目標混合比がパーティクルのサイズに対して単調非減少で増加するように、第1目標混合比を決定してもよい。
【0102】
パーティクルのサイズと第1目標混合比との第1対応関係は、予め設定されてもよい。例えば、第1対応関係を示す第1対応関係データD1が記憶部94に記憶されていてもよい(図2,3も参照)。第1対応関係データD1はテーブルであってもよく、あるいは、関数式であってもよい。第1対応関係は、例えばシミュレーションまたは実験等により、予め設定される。
【0103】
制御部90は、センサ6によって測定されたパーティクルのサイズと、記憶部94に記憶された第1対応関係データD1とに基づいて、第1目標混合比を決定する。
【0104】
上述のように、第1ポリマーに対する第2ポリマーの第2混合比は一定であってもよい。この場合には、有機溶剤に対する第1ポリマーの混合比、および、有機溶剤に対する第2ポリマーの混合比は、パーティクルのサイズが大きいほど、より高く決定される。
【0105】
次に、処理ユニット1は、基板Wの主面に保持液を供給する(ステップS4:液膜工程)。図6は、ステップS4からステップS5における処理ユニット1の様子の一例を概略的に示す図である。具体的には、まず、ガード昇降駆動部73はガード71をガード処理位置に移動させ、ノズル移動駆動部37は第1ノズル31を第1処理位置に移動させる。そして、基板保持部2が基板Wを回転させつつ、制御部90は、供給弁34a、供給弁34bおよび供給弁34cを開き、ステップS3で決定した第1目標混合比に基づいて、混合部30における混合比を調整する。
【0106】
これにより、第1ノズル31は、パーティクルのサイズに応じた第1混合比を有する保持液を、回転中の基板Wの主面に向かって保持液を吐出する(図6(a)も参照)。基板Wの主面に着液した保持液は、基板Wの回転に伴って基板Wの主面上で広がり、基板Wの周縁から外側に飛散する。これにより、基板Wの主面上に保持液の液膜が形成される。
【0107】
所定量の保持液が供給されると、制御部90は供給弁34a、供給弁34bおよび供給弁34cを閉じる。そして、ノズル移動駆動部37は第1ノズル31を第1待機位置に移動させる。
【0108】
保持液の液膜の膜厚は、ステップS4における基板Wの回転速度によって調整可能である。基板Wの回転速度は、例えば、300rpm以上かつ1500rpm以下の範囲内で設定される。これにより、基板Wの主面上に所定の膜厚で保持液の液膜が形成される。液膜の膜厚は、パーティクルのサイズが大きいほど大きく設定されてもよい。つまり、基板Wの回転速度は、パーティクルのサイズが大きいほど低く設定されてもよい。
【0109】
次に、処理ユニット1は保持液の液膜を固化または硬化させる(ステップS5:保持膜形成工程)。例えば、処理ユニット1は所定の処理時間にわたって基板Wを放置してもよい。この処理時間において、基板W上の液膜中の有機溶剤の少なくとも一部が蒸発することにより、保持膜を形成することができる。有機溶剤の蒸発を促進させるために、処理ユニット1は基板Wを加熱してもよい。例えば、加熱部8は基板Wの下面を加熱してもよい(図6(b)も参照)。具体的には、制御部90は供給弁83を開く。これにより、下面ノズル81から基板Wの下面に向かって高温の熱媒体が吐出される。熱媒体は基板Wの下面を径方向外側に流れて、基板Wの周縁から外側に飛散される。熱媒体は基板Wと熱交換して基板Wを加熱するので、基板Wの主面上の保持液の液膜を加熱することができる。
【0110】
図7は、基板Wの一部の構成の一例を概略的に示す断面図である。基板Wの主面には、保持膜200が形成されている。図7に示されるように、保持膜200は、基板Wの主面上のパーティクル300に密着して覆っている。つまり、保持膜200はパーティクル300を保持することができる。保持膜200は、第1ポリマーによって形成される第1部分201と、第2ポリマーによって形成される第2部分202とに分けられる。第2部分202は保持膜200において偏在している。図7の例では、第1部分201がパーティクル300に密着して覆っているので、第1部分201がパーティクル300を保持している。図7から理解できるように、第1ポリマーに対する第2ポリマーの第2混合比は1よりも小さい。第2混合比は0.5よりも小さくてもよい。
【0111】
さて、ステップS5では、保持液の液膜から有機溶剤が蒸発して保持膜200が形成される。このため、保持膜200の膜厚は保持液の液膜の膜厚よりも小さくなる。簡単に考えれば、保持膜200の膜厚は、保持液の液膜から有機溶剤を取り除いたときの膜厚である。このため、保持液の液膜における有機溶剤の割合が低いほど、保持膜200の膜厚は大きくなる。つまり、有機溶剤に対するポリマーの第1混合比(=ポリマーの量/有機溶剤の量)が低いほど、保持膜200の膜厚は大きくなる。
【0112】
本実施の形態では、パーティクル300のサイズが大きいほど、保持液における第1混合比が高い。このため、パーティクル300のサイズが大きいほど、保持膜200はより厚く形成される。
【0113】
また、ここでは、ポリマーの第1混合比が高いほど、保持液の粘度が高くなる。このため、ステップS4において、処理ユニット1は保持液の液膜をより簡単に厚く形成することができる。したがって、処理ユニット1は保持膜200をさらに厚く形成しやすい。
【0114】
逆に、パーティクル300のサイズが小さいほど、保持液における第1混合比は低い。換言すれば、保持液における有機溶剤の割合が高い。保持膜200の膜厚は、保持液の液膜から有機溶剤を取り除いたときの膜厚であると考えることができるので、有機溶剤の割合が高いほど、より多くの有機溶剤が蒸発する。したがって、ステップS5において保持膜200の膜厚は小さくなる。つまり、処理ユニット1は薄い保持膜200を形成しやすい。
【0115】
また、ここでは、ポリマーの第1混合比が低いほど、保持液の粘度が低くなる。このため、ステップS4において、処理ユニット1は保持液の液膜をより簡単に薄く形成することができる。したがって、処理ユニット1は保持膜200をさらに薄く形成しやすい。
【0116】
なお、ステップS4およびステップS5は、基板Wの主面上に保持膜を形成させてパーティクルを保持膜に密着固定させる成膜処理であるといえる。
【0117】
次に、処理ユニット1は基板Wの主面に剥離液を供給する(ステップS6:剥離工程)。具体的には、まず、ノズル移動駆動部47は第2ノズル41を第2処理位置に移動させる。そして、基板保持部2が基板Wを回転させつつ、制御部90が供給弁44を開く。これにより、第2ノズル41は回転中の基板Wの主面に向かって剥離液を吐出する(図6(c)も参照)。基板Wの主面に着液した剥離液は、基板Wの回転に伴って基板Wの主面で広がり、基板Wの周縁から外側に飛散する。これにより、剥離液が基板Wの主面上の保持膜200に作用する。
【0118】
図8は、ステップS6における基板Wの主面上の様子の一例を概略的に示す断面図である。第2部分202を形成する第2ポリマーは、第1部分201を形成する第1ポリマーに比べて剥離液に溶解しやすいので、第2部分202が第1部分201よりも速やかに除去される。このため、第2部分で第1部分201が分離されやすくなり、第1部分201がある程度のサイズの塊を保ったまま、基板Wの主面から剥離される。図8の例では、第1部分201がパーティクル300を保持しているので、パーティクル300は第1部分201に固定された状態で、基板Wの主面から離れる。
【0119】
比較のために、パーティクル300のサイズに対して、保持膜200の膜厚が薄い場合について説明する。図9は、比較例にかかる基板Wの一部の構成の一例を示す図である。図9の例では、パーティクル300のサイズに比べて、保持膜200は薄い。このため、保持膜200の強度が不足し、パーティクル300と離れて保持膜200のみが剥離し得る。言い換えれば、パーティクル300を適切に除去できないおそれがある。
【0120】
これに対して、本実施の形態では、パーティクル300のサイズが大きいほど、保持液におけるポリマーの第1混合比が高くなるので、保持膜200をより簡単に厚く形成することができる。したがって、パーティクル300のサイズが大きくても、保持膜200の強度は不足しにくく、保持膜200はパーティクル300とともに剥離することができる。言い換えれば、保持膜200の膜厚が、サイズの大きなパーティクル300を除去可能な程度の値以上となるように、第1対応関係データD1が事前に設定される。
【0121】
また、パーティクル300のサイズが小さい場合には、保持液におけるポリマーの第1混合比が低くなる。このため、有機溶剤の蒸発によって、保持膜200を薄く形成することができる。このため、パーティクル300のサイズが小さいときに、不要に保持膜200を厚く形成することを抑制することができる。また、ポリマーの使用量を低減させることができる。
【0122】
なお、ステップS6は、保持膜をパーティクルとともに基板Wの主面から剥離する剥離処理であるといえる。
【0123】
保持膜200が十分に除去されると、処理ユニット1は剥離液の供給を停止する。具体的な一例として、剥離液の供給から所定の剥離時間が経過したときに、制御部90は供給弁44を閉じる。時間の測定は、例えば、制御部90に属する不図示のタイマ回路によって行われる。そして、ノズル移動駆動部47は第2ノズル41を第2待機位置に移動させる。
【0124】
次に、処理ユニット1はリンス液を基板Wの主面に供給する(ステップS7:リンス工程)。具体的には、まず、ノズル移動駆動部57は第3ノズル51を第3処理位置に移動させる。そして、基板保持部2が基板Wを回転させつつ、制御部90が供給弁54を開く。これにより、第3ノズル51は、回転中の基板Wの主面の中央部に向かってリンス液を吐出する。リンス液は基板Wの主面の中央部に着液し、基板Wの主面上で広がって基板Wの周縁から外側に飛散する。基板Wの主面の中央部に着液したリンス液は基板Wの主面上の剥離液を径方向外側に押し流すので、基板Wの主面の剥離液をリンス液に置換することができる。
【0125】
基板Wの主面上の剥離液が十分にリンス液に置換されると、処理ユニット1はリンス液の供給を停止する。具体的には、リンス液の供給開始から所定のリンス処理時間が経過したときに、制御部90は供給弁54を閉じる。そして、ノズル移動駆動部57が第3ノズル51を第3待機位置に移動させる。
【0126】
次に、処理ユニット1は乾燥処理を行う(ステップS8:乾燥工程)。具体的には、基板保持部2が基板Wの回転速度を増加させる(いわゆるスピンドライ)。
【0127】
基板Wが十分に乾燥すると、処理ユニット1は乾燥処理を終了する。具体的には、乾燥処理の開始から所定の乾燥時間が経過したときに、基板保持部2は基板Wの回転を停止させる。これにより、乾燥処理が実質的に終了し、基板Wに対する一連の処理が実質的に終了する。
【0128】
次に、基板保持部2は基板Wに対する保持を解除する(ステップS9:保持解除工程)。具体的な一例として、基板保持部2は複数のチャックピン22をそれぞれの保持位置から解除位置に変位させる。これにより、複数のチャックピン22による基板Wの保持が解除される。そして、第2搬送部122が処理済みの基板Wを処理ユニット1から搬出する。
【0129】
<効果>
以上のように、本基板処理方法によれば、パーティクル300のサイズが大きいほど、保持液における第1目標混合比は高い。このため、ステップS6(保持膜形成工程)において、保持液の液膜からの比較的少量の有機溶剤の蒸発を伴って、保持液の液膜が固まって保持膜が形成される。したがって、処理ユニット1は保持膜200をより簡単に厚く形成することができる。保持膜200の膜厚が大きければ、パーティクル300が大きくても、パーティクル300をより適切に除去することができる。
【0130】
逆に言えば、パーティクル300のサイズが小さいほど、保持液における第1目標混合比が低い。このため、ステップS6において、保持液の液膜からの比較的大量の有機溶剤の蒸発を伴って、保持液の液膜が固まって保持膜が形成される。したがって、処理ユニット1は保持膜200をより簡単に薄く形成することができる。保持膜200の膜厚が薄くても、サイズの小さいパーティクル300をより適切に除去することができる。しかも、ポリマーの使用量を低減させることができる。
【0131】
またここでは、第1混合比が高いほど、保持液の粘度は高い。このため、パーティクル300のサイズが大きければ、保持液の粘度は比較的に高くなる。したがって、ステップS4(液膜形成工程)において、処理ユニット1は保持液の液膜をより簡単に厚く形成することができる。ひいては、処理ユニット1は、ステップS6において、膜厚の大きな保持膜をより簡単に形成することができる。逆に、パーティクル300のサイズが小さければ、保持液の粘度は比較的に低くなる。このため、ステップS4において、処理ユニット1は保持液の液膜をより簡単に薄く形成することができる。ひいては、処理ユニット1は、ステップS6において、膜厚の小さな保持膜をより簡単に形成することができる。
【0132】
また上述の例では、制御部90は、パーティクル300のうちの最も大きなサイズに基づいて第1目標混合比を決定する。このため、保持膜200は、最も大きいサイズに対応した膜厚で形成される。最も大きいサイズに対応した膜厚を有する保持膜200は、最も大きいサイズのパーティクルのみにならず、より小さいパーティクルも適切に保持することができる。したがって、処理ユニット1はより確実にパーティクル300を除去することができる。
【0133】
また上述の例では、パーティクル300のサイズと第1目標混合比との第1対応関係を示す第1対応関係データD1が記憶部94に記憶されており、制御部90は第1対応関係データD1に基づいて第1目標混合比を決定する。このため、制御部90はより簡易な処理で第1目標混合比を決定することができる。言い換えれば、制御部90の処理負荷を軽減することができ、制御部90の消費電力を低減させることができる。
【0134】
また上述の例では、センサ6が設けられている。このため、基板Wの主面上のパーティクル300のパラメータ(サイズ)を測定することができる。制御部90は実際のパーティクル300のサイズに基づいて第1目標混合比を決定することができるので、より適切に第1目標混合比を決定することができる。
【0135】
また上述の例では、センサ6は、基板Wに保持液、剥離液およびリンス液を供給する部材と同じチャンバ10内に設けられている。このため、センサ6は洗浄処理の直前で基板Wの主面上のパーティクル300を検出することができる。つまり、センサ6による測定から実質的な洗浄処理の開始(保持液の供給開始)までの期間は非常に短い。よって、当該期間内に基板Wの主面上に新たなパーティクルが付着する可能性は非常に低い。このため、制御部90はより確度の高い測定値に基づいて、より適切な第1目標混合比を決定することができる。
【0136】
<第1ポリマーに対する第2ポリマーの混合比>
図7および図8から理解できるように、第1部分201が第2部分202で分離するためには、保持膜200の厚み方向に長い第2部分202が存在することが望ましい。しかるに、特に保持膜200の膜厚が大きい場合、保持液における第2ポリマーの割合が低ければ、保持膜200の膜厚に対して十分に長い第2部分202を形成することは難しい。一方で、保持膜200の膜厚が小さい場合、保持液における第2ポリマーの割合が大きすぎると、第1部分201に対して第2部分202が多く偏在する。このため、第2部分202で切り離される第1部分201のサイズが小さくなりすぎてしまい、パーティクル300の剥離不足を招き得る。
【0137】
そこで、制御部90は、基板Wの主面上のパーティクル300のパラメータ(例えばサイズ)に基づいて、第1ポリマーに対する第2ポリマーの第2目標混合比を決定してもよい。第2目標混合比は、保持液における第1ポリマーに対する第2ポリマーの第2混合比についての目標値である。制御部90は、パーティクルのサイズが第1値であるときの第2目標混合比を、パーティクルのサイズが第1値よりも小さな第2値であるときの第2目標混合比よりも大きく決定する。要するに、制御部90は、パーティクルのサイズと正の相関関係で、第2目標混合比を決定する。制御部90は、基板Wの主面上のパーティクルのうち最も大きいパーティクルのサイズに基づいて、第2目標混合比を決定してもよい。つまり、制御部90は、パーティクルのサイズの最大値が第1値であるときの第2目標混合比を、パーティクルのサイズの最大値が第2値であるときの第2目標混合比よりも大きく決定する。
【0138】
図10は、パーティクル300のサイズと第2目標混合比との第2対応関係の一例を示すグラフである。図10の実線で示されるように、制御部90は、パーティクル300のサイズの最大値の増加に対して、第2目標混合比が階段状に増加するように、第2目標混合比を決定してもよい。あるいは、図10の破線で示されるように、制御部90は、パーティクルのサイズの最大値の増加に対して連続的に第2目標混合比が増加するように、第2目標混合比を決定してもよい。言い換えれば、制御部90は、第2目標混合比がパーティクルのサイズに対して単調非減少で増加するように、第2目標混合比を決定してもよい。
【0139】
パーティクルのサイズと第2目標混合比との第2対応関係は、予め設定されてもよい。例えば、第2対応関係を示す第2対応関係データD2が記憶部94に記憶されていてもよい(図2,3も参照)。第2対応関係データD2はテーブルであってもよく、あるいは、関数式であってもよい。第2対応関係は、例えばシミュレーションまたは実験等により、予め設定される。
【0140】
制御部90は、センサ6によって測定されたパーティクルのサイズと、記憶部94に記憶された第2対応関係データD2とに基づいて、第2目標混合比を決定する。
【0141】
基板処理方法の一例は、図4と同様である。ただし、ステップS3(混合比決定工程)において、制御部90はパーティクル300のパラメータ(例えばサイズ)に基づいて、第1目標混合比および第2目標混合比の両方を決定する。そして、ステップS4(液膜形成工程)において、制御部90は第1目標混合比および第2目標混合比に基づいて、混合部30を制御する。具体的には、制御部90は、第1混合比と第1目標混合比との差および第2混合比と第2目標混合比の差がそれぞれの基準値以下となるように、混合部30の流量調整弁35a、流量調整弁35bおよび流量調整弁35cを制御する。
【0142】
このような基板処理方法によっても、基板Wの主面上のパーティクル300のサイズが大きいほど、第1目標混合比が高い。このため、パーティクル300のサイズが大きい場合には、処理ユニット1はより厚い保持膜200をより簡単に形成することができる。また、この基板処理方法によれば、パーティクル300のサイズが大きいほど、第2目標混合比が高い。このため、保持膜200の膜厚が大きくても、処理ユニット1は、保持膜200の膜厚に対して十分に厚み方向に長い第2部分202をより多く形成することができる。したがって、ステップS6(剥離工程)において、第1部分201をある程度のサイズで剥離させることができ、パーティクル300をより適切に除去することができる。
【0143】
逆に、基板Wの主面上のパーティクル300のサイズが小さい場合には、第1目標混合比は低いので、処理ユニット1はより薄い保持膜200をより簡単に形成することができる。また、この基板処理方法によれば、パーティクル300のサイズが小さいほど、第2目標混合比が低い。このため、保持膜200の膜厚が小さい場合、処理ユニット1は、保持膜200の膜厚に対して十分に厚み方向に長い第2部分202が過剰に形成されることを抑制することができる。したがって、ステップS6(剥離工程)において、第1部分201をある程度のサイズで剥離させることができ、パーティクル300をより適切に除去することができる。
【0144】
言い換えれば、パーティクル300のサイズと第2目標混合比との第2対応関係は、パーティクル300が適切に除去されるように、事前に設定される。
【0145】
<混合部>
図11は、混合部30の別の第1例を概略的に示す図である。図11の例では、混合部30はタンク38を含んでいる。タンク38には、保持液が貯留される。図11に示されるように、第1給液管33a、第2給液管33bおよび第3給液管33cの下流部はタンク38に接続される。タンク38には、それぞれ、第1給液管33a、第2給液管33bおよび第3給液管33cを通じて、第1液、第2液および第3液が供給される。第1液、第2液および第3液はタンク38の内部で混合され、保持液としてタンク38に貯留される。
【0146】
図11に示されるように、給液管32の上流端はタンク38の例えば底部に接続されている。図11の例では、給液管32には供給弁361および流量調整弁362が介挿されている。供給弁361は制御部90によって制御され、給液管32の開閉を切り換える。流量調整弁362は制御部90によって制御され、給液管32を流れる保持液の流量を調整する。流量調整弁362はマスフローコントローラであってもよい。
【0147】
制御部90は第1目標混合比に基づいて混合部30の供給弁34a、供給弁34b、供給弁34c、流量調整弁35a、流量調整弁35bおよび流量調整弁35cを制御する。これにより、タンク38には、第1目標混合比に基づいた第1混合比で混合された保持液が貯留される。
【0148】
図11に示されるように、タンク38には循環部39が設けられてもよい。循環部39は、循環配管391と、ポンプ392とを含んでいる。循環配管391の上流端はタンク38の例えば底部に接続され、循環配管391の下流端はタンク38の例えば上部に接続される。ポンプ392は循環配管391に介挿されており、循環配管391の上流端から下流端に向かって保持液を送る。これにより、タンク38内の保持液が循環配管391を通じて再びタンク38に流入する。この循環により、タンク38内の保持液が常に流動するので、タンク38内の保持液の濃度分布をより均一にすることができる。
【0149】
図12は、混合部30の別の第2例を概略的に示す図である。混合部30は複数のタンク38を含んでいる。複数のタンク38には、互いに第1混合比が異なる保持液が貯留されている。第1対応関係データD1において、第1目標混合比がパーティクル300のパラメータの増加に対して階段状に設定されている場合、各タンク38内に貯留された保持液の第1混合比は、第1対応関係データD1で規定された各第1目標混合比と同様であってもよい。つまり、第1対応関係データで規定された複数の第1目標混合比と同じまたは同程度の第1混合比の保持液が、それぞれ、複数のタンク38内に貯留されてもよい。
【0150】
図12の例では、図11で示された構成301が複数設けられている。各タンク38に貯留された保持液は、対応する給液管32を通じて、処理ユニット1の第1ノズル31に供給可能である。各給液管32に介挿された供給弁361を開くことにより、各タンク38から第1ノズル31に保持液が供給される。
【0151】
基板処理方法の一例は、図4と同様である。ただし、ステップS4(液膜形成工程)において、制御部90は、ステップS3(混合比決定工程)で決定した第1目標混合比に対応する供給弁361を開く。これにより、第1目標混合比に対応した第1混合比を有する保持液がタンク38から給液管32を通じて、第1ノズル31に供給され、第1ノズル31から基板Wの主面に吐出される。
【0152】
複数のタンク38には、第1対応関係データで規定された複数の第1目標混合比と、第2対応関係データで規定された複数の第2目標混合比との組み合わせで決定される複数の保持液がそれぞれ貯留されていてもよい。この場合、ステップS4において、制御部90は、ステップS3で決定した第1目標混合比および第2目標混合比に対応する供給弁361を開く。これにより、第1目標混合比に対応した第1混合比および第2目標混合比に対応した第2混合比を有する保持液がタンク38から給液管32を通じて、第1ノズル31に供給され、第1ノズル31から基板Wの主面に吐出される。
【0153】
<目標混合比の決定タイミング>
制御部90は、基板Wごとに第1目標混合比(さらには第2目標混合比、以下、同様)を決定してもよいものの、複数の基板Wに共通に第1目標混合比を決定してもよい。
【0154】
例えば、基板処理装置100よりも上流側の工程によって、基板Wには平坦化処理が行われる。複数の基板Wに対して、同じ平坦化装置によって同じ処理条件で平坦化処理が行われると、パーティクル300の分布は複数の基板Wの間で同程度となる。例えば、同一ロット内の複数の基板Wには同じ処理条件で平坦化処理が行われ得る。
【0155】
このような場合、複数の基板Wのうち最初に搬入された1枚のみに対して、センサ6がパーティクル300を検出してパーティクル300のパラメータ(例えばサイズ)を測定してもよい。制御部90はセンサ6の測定結果に基づいて第1目標混合比を決定し、処理ユニット1は第1目標混合比と同じまたは同程度の第1混合比を有する保持液を1枚目の基板Wに対して供給し、洗浄処理を行う。そして、処理ユニット1は、2枚目以降の基板Wについて、1枚目の基板Wの第1目標混合比を採用し、同第1混合比を有する保持液を基板Wに供給し、洗浄処理を行う。
【0156】
図13は、上述の基板処理方法の一例を示すフローチャートである。図13の例は、図4に比べて、ステップS20がさらに実行される。図13の例では、ステップS20は、ステップS1とステップS2との間で実行される。
【0157】
ステップS20においては、制御部90は、処理対象となる基板Wが所定ロットの1枚目の基板Wであるか否かを判定する。同一ロットの複数の基板Wが同一のキャリアC内に収容される場合には、制御部90は、処理対象となる基板Wが、キャリアCから最初に取り出した基板Wであるか否かを判定する。あるいは、基板Wの種々の情報を規定した基板データが上流側の装置から制御部90に送信される場合、制御部90は基板データに基づいて判定を行ってもよい。基板データには、対応する基板Wのロット番号およびロット内の基板番号が規定され得る。ロット番号は、複数のロットを識別するための番号であり、基板番号は、同一ロット内の複数の基板Wを識別するための番号である。
【0158】
処理対象となる基板Wが1枚目の基板Wであるときには、処理ユニット1はステップS2からステップS9を行う。一方で、処理対象となる基板Wが2枚目以降の基板Wであるときには、処理ユニット1はステップS2(測定工程)を行わない。制御部90は、1枚目の基板Wで決定した第1目標混合比を、2枚目以降の基板Wに対する第1目標混合比として決定する(ステップS3:混合比決定工程)。そして、処理ユニット1は、ステップS4からステップS9を行う。
【0159】
以上のように、制御部90は、複数の基板Wに対して共通の第1目標混合比を用いる。つまり、センサ6は複数の基板Wのうちの1枚の基板Wに対してパーティクル300を検出してパーティクル300のパラメータを測定し、制御部90は、その測定結果に基づいて、複数の基板Wに対する第1目標混合比を決定する。具体的には、制御部90は、同一の処理条件で平坦化処理を受けた複数の基板Wに対して共通の第1目標混合比を決定する。このため、基板Wのそれぞれについて第1目標混合比を決定する場合に比べて、制御部90の処理負荷を軽減させることができる。また、2枚目以降の基板WについてのステップS2を省略できるので、複数の基板Wに対する洗浄処理のスループットを向上させることができる。
【0160】
処理ユニット1は、第2目標混合比についても同様に、複数の基板Wに対して共通の第2目標混合比を決定してもよい。
【0161】
制御部90が複数の基板Wに対して共通の第1目標混合比を決定する場合、混合部30として図11または図12に示された構成を採用するとよい。これによれば、複数の基板Wに対して使用される保持液を一度に生成して、タンク38に貯留することができる。言い換えれば、タンク38の容量は、複数の基板Wの処理に使用される保持液の総量以上に設定されるとよい。
【0162】
<目標混合比の決定の元になるパラメータ>
上述の例では、制御部90はパーティクル300のサイズに基づいて第1目標混合比を決定した。しかしながら、制御部90はパーティクル300の数に基づいて第1目標混合比を決定してもよい。
【0163】
センサ6は基板Wの主面上のパーティクル300の数を測定する。制御部90は、センサ6によって測定されたパーティクル300の数が多いほど、第1目標混合比を高く決定してもよい。パーティクル300の数と第1目標混合比との第1対応関係の例は、図5に示される通りである。ただし、この場合、横軸はパーティクル300の数を示す。
【0164】
これによれば、基板Wの主面上のパーティクル300の数が多い場合に、処理ユニット1はより膜厚の大きな保持膜200をより簡単に形成することができる。このため、処理ユニット1はパーティクル300をより確実に取り除くことができる。
【0165】
また、制御部90は、センサ6によって測定されたパーティクル300の数が多いほど、第2目標混合比を高く決定してもよい。パーティクル300の数と第2目標混合比との第2対応関係の例は、図10に示される通りである。ただし、この場合、横軸はパーティクル300の数を示す。
【0166】
<機械学習による対応関係データの更新>
第1対応関係データD1および第2対応関係データD2の少なくともいずれか一方は、基板Wに対する処理の結果に基づく機械学習によって、更新されてもよい。以下では、具体的な一例として、処理ユニット1は第1対応関係データD1および第2対応関係データD2の両方を更新する。
【0167】
図14は、基板処理装置100の電気的な構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。図14の例では、記憶部94には、第1対応関係データD1、第2対応関係データD2および学習済みモデルLM1が記憶される。制御部90は、基板Wに対する処理の情報および処理の結果を入力データとした学習済みモデルLM1に基づいて、第1対応関係データD1および第2対応関係データD2を更新する。
【0168】
学習済みモデルLM1は、事前に取得された複数の学習用データを用いた機械学習(訓練)によって構築される。学習済みモデルLM1を構築するための機械学習アルゴリズムは、教師あり学習であれば、特に限定されないものの、例えば、決定木、最近傍法、単純ベイズ分類器、サポートベクターマシンまたはニューラルネットワークを適用することができる。したがって、学習済みモデルLM1は、決定木、最近傍法、単純ベイズ分類器、サポートベクターマシンまたはニューラルネットワークを含む。機械学習に、誤差逆伝搬法が利用されてもよい。
【0169】
ニューラルネットワークは、例えば、入力層、中間層(つまり、隠れ層)および出力層を含む。ニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワークまたは畳み込みニューラルネットワークである。ニューラルネットワークは、ディープラーニングを含む。
【0170】
学習用データは、例えば、複数の実験結果を含む。具体的には、学習用データは、複数の基板Wに対して第1混合比および第2混合比を変えつつ洗浄処理を行ったときの、処理の条件および処理の結果を含む。図15は、学習用データの一例を概略的に示す図である。図15の例では、処理の条件は、基板Wの主面上のパーティクル300のサイズ(最大値)および保持液の第1混合比および第2混合比を含んでいる。処理の条件には、これらの他、基板Wの回転速度などの諸条件が含まれてもよい。
【0171】
処理の結果は、洗浄処理後の基板Wの良否の情報を含む。図15の例では、処理の結果は、洗浄処理後の基板Wのパーティクル300の除去率を含む。除去率は、洗浄処理によってどの程度のパーティクル300が除去されたかを示す指標である。除去率は、センサ6が洗浄処理後の基板Wの主面上のパーティクル300を検出することで算出される。除去率は、例えば、洗浄処理後のパーティクル300の数を洗浄処理前のパーティクル300の数で除算した値を1から減算したものである。なお、処理の結果(ここでは除去率)は、洗浄処理後の基板Wの主面上のパーティクル300の数に基づいた値である、といえる。
【0172】
図15の例では、除去率は、パーティクル300のサイズ範囲ごとに算出されており、その良否もサイズ範囲ごとに示されている。ここでは、除去率が所定の許容値以上であるときに、処理の結果は「良」となり、除去率が所定の許容値未満であるときに、処理の結果は「否」となる。
【0173】
なお、処理の結果は、基板Wに対する単一の良否情報のみを含んでいてもよい。すなわち、全てのサイズ範囲で除去率が許容値以上であるときに、基板Wの処理の結果が「良」となり、いずれか一つのサイズ範囲で除去率が許容値未満であるときに、基板Wの処理の結果が「否」となってもよい。
【0174】
処理ユニット1は、洗浄処理後(つまり、ステップS8の後)の基板Wに対してセンサ6を用いてパーティクル300を検出する。制御部90は、洗浄処理の前後の検出結果に基づいて除去率を算出し、洗浄処理の良否判定を行う。そして、制御部90は、洗浄処理前のパーティクル300のサイズ(最大値)と、第1目標混合比と、第2目標混合比と、処理の結果の情報を入力データとし、学習済みモデルLM1を用いて、当該パーティクル300のサイズに対して、より適切な第1目標混合比および第2目標混合比の値を算出する。制御部90は、算出した値で、第1対応関係データD1および第2対応関係データD2を更新する。なお、ここでいうより適切な第1目標混合比および第2目標混合比の値とは、更新前の値よりも除去率を向上させる値であり得る。
【0175】
以上のように、制御部90は、基板Wに対する処理の結果に基づいた機械学習により、第1対応関係データD1および第2対応関係データD2を更新する。このため、制御部90は、以後の基板Wに対して、より適切な第1目標混合比および第2目標混合比を決定することができる。
【0176】
なお、機械学習による更新処理は、複数の基板Wに対する処理が終了したときに行われてもよい。つまり、更新処理は基板Wの処理ごとに行われる必要はない。
【0177】
<機械学習による目標混合比の決定>
上述の例では、制御部90はセンサ6の測定結果および第1対応関係データD1に基づいて第1目標混合比を決定した。しかしながら、必ずしもこれに限らない。制御部90は、センサ6の測定結果を入力データとした学習済みモデルLM2に基づいて第1目標混合比(あるいはさらに第2目標混合比)を決定してもよい。
【0178】
図16は、基板処理装置100の電気的な構成の別の一例を概略的に示す機能ブロック図である。図16の例では、記憶部94には、学習済みモデルLM2が記憶される。制御部90は、センサ6の測定結果を入力データとし、学習済みモデルLM2に基づいて、第1目標混合比を決定する。このような学習済みモデルLM2も、例えば、図15に示された学習用データに基づいて構築され得る。
【0179】
基板処理方法の一例は、図4または図13と同様である。ただし、ステップS3(混合比決定工程)において、制御部90はセンサ6の測定結果(例えばパーティクル300のサイズの最大値)を入力データとし、記憶部94に記憶された学習済みモデルLM2に基づいて、第1目標混合比(あるいはさらに第2目標混合比)を決定する。
【0180】
これによれば、制御部90は機械学習によって第1目標混合比を決定するので、より適切な第1目標混合比を決定することができる。第2目標混合比も同様である。
【0181】
<センサの設置場所>
<別のチャンバ>
上述の例では、基板Wに保持液、剥離液およびリンス液を供給するための各種構成と、センサ6とが同一のチャンバ10内に設けられている。具体的には、基板保持部2、ノズル3およびセンサ6が同一のチャンバ10に設けられている。しかしながら、必ずしもこれに限らない。センサ6は、基板保持部2およびノズル3を収容するチャンバ10の外部に設けられてもよい。例えば、センサ6は、基板保持部2およびノズル3を含む処理ユニット1とは異なる処理ユニット1に設けられてもよい。
【0182】
図17は、処理ユニット1の構成の一例を示す図である。図17の例では、処理ユニット1として処理ユニット1Aおよび処理ユニット1Bが示されている。処理ユニット1Aはチャンバ10(以下、チャンバ10Aと呼ぶ)と、基板保持部2(第2基板保持部に相当。以下、基板保持部2Aと呼ぶ)と、センサ6とを含んでいる。
【0183】
基板保持部2Aはチャンバ10A内に設けられている。基板保持部2Aは基板Wを水平姿勢で保持しつつ、回転軸線Q1のまわりで基板Wを回転させる。
【0184】
センサ6はチャンバ10A内に設けられている。センサ6は、基板保持部2Aによって保持された基板Wの主面(ここでは上面)上のパーティクルを検出し、パーティクルのパラメータを測定する。センサ6はその測定結果を示す電気信号を制御部90に出力する。図17に示されるように、処理ユニット1Aは、センサ6を移動させるセンサ移動駆動部63を含んでいてもよい。
【0185】
また、チャンバ10Aには、ノズルが含まれていなくてもよい。つまり、処理ユニット1Aは、パーティクル測定用の専用ユニットであってもよい。
【0186】
処理ユニット1Bは、チャンバ10(以下、チャンバ10Bと呼ぶ)と、基板保持部2(第1基板保持部に相当。以下、基板保持部2Bとも呼ぶ)と、ノズル3(第1ノズル31、第2ノズル41および第3ノズル51)とを含んでいる。図17の例では、処理ユニット1Bは、図3の処理ユニット1からセンサ6およびセンサ移動駆動部63を取り除いた構成を有している。
【0187】
第2搬送部122は、まず、未処理の基板Wを処理ユニット1Aに搬送する。基板保持部2Aは、搬入された基板Wを保持する。そして、センサ6は、基板保持部2Aによって保持された基板Wの主面上のパーティクルを検出し、パーティクルのパラメータを測定する。そして、センサ6はその測定結果を示す電気信号を制御部90に出力する。
【0188】
次に、第2搬送部122は測定済みの基板Wを処理ユニット1Aから取り出し、該基板Wを処理ユニット1Bへ搬送する。基板保持部2Bは、搬入された基板Wを保持する。そして、処理ユニット1BはステップS3からステップS9をこの順に実行して、基板Wに対する洗浄処理を行う。なお、ステップS3(混合比決定工程)では、制御部90は、処理ユニット1Aのセンサ6によって測定されたパーティクルのパラメータに基づいて、第1目標混合比(あるいは、さらに第2目標混合比)を決定する。
【0189】
この例によれば、センサ6がチャンバ10A内に設けられ、洗浄処理に関する構成がチャンバ10B内に設けられる。このため、センサ6が処理液雰囲気(処理液の揮発成分またはミストを含む)に曝される可能性を低減させることができる。よって、処理液耐性が低いセンサ6を適用することができ、より安価なセンサ6を適用することができる。
【0190】
<外部装置>
センサ6は、基板処理装置100の外部に設けられてもよい。図18は、基板処理システム1000の構成の一例を概略的に示す図である。図18の例では、基板処理システム1000は、基板処理装置100と、キャリア搬送装置400と、測定装置500とを含む。
【0191】
基板処理装置100は図1と同様である。ただし、各処理ユニット1にはセンサ6が設けられていなくてもよい。
【0192】
測定装置500は、基板Wの主面上のパーティクル300を測定する装置である。図18の例では、測定装置500は、ロードポート501と、搬送部502と、測定部503と、制御部504とを含んでいる。ロードポート501はロードポート111と同様であり、複数の基板Wを収容したキャリアCがロードポート501に載置される。搬送部502は搬送ロボットであって、ロードポート501に載置されたキャリアCと、測定部503との間で基板Wを搬送する。
【0193】
測定部503は基板保持部2Cおよびセンサ6を含んでいる。基板保持部2Cは、搬送部502によって搬入された基板Wを水平姿勢で保持する。基板保持部2Cは基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させてもよい。基板保持部2Cの構成の一例は基板保持部2と同様である。センサ6は、基板保持部2Cによって保持された基板Wの主面上のパーティクルを検出し、パーティクルのパラメータを測定する。
【0194】
制御部504は測定装置500を制御する。具体的には、制御部504は、搬送部502、基板保持部2Cおよびセンサ6を制御する。制御部504は、センサ6によって検出されたパーティクルのパラメータをキャリアC内の基板Wに対応付けて測定結果データを生成し、当該測定結果データを不図示の通信部を通じて、制御部90に送信する。
【0195】
キャリア搬送装置400はキャリアCを測定装置500に搬送するとともに、測定装置500によって測定済みの複数の基板Wを収容したキャリアCを測定装置500から取り出し、該キャリアCを基板処理装置100に搬送する。
【0196】
制御部90は、外部(測定装置500)から受け取った測定結果データに基づいて、キャリアC内の各基板Wに対する第1目標混合比(あるいはさらに第2目標混合比)を決定する。
【0197】
この例によっても、センサ6は、洗浄処理が行われるチャンバ10の外部に設けられる。このため、センサ6が処理液雰囲気に曝される可能性を低減させることができる。よって、処理液耐性が低いセンサ6を適用することができ、より安価なセンサ6を適用することができる。
【0198】
以上のように、基板処理装置100および基板処理方法は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない多数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0199】
第1ポリマーには、熱硬化性樹脂が含まれてもよい。この場合、第1ポリマーは、ステップS5での加熱部8による加熱によって硬化する。また、第1ポリマーには、光硬化性樹脂が含まれていてもよい。この場合、処理ユニット1には、光硬化性樹脂を硬化させるための光源(不図示)が含まれる。処理ユニット1は、ステップS5において、当該光源を保持液の液膜に照射する。これにより、第1ポリマーは硬化する。
【0200】
また上述の例では、ノズル3として、保持液用の第1ノズル31、剥離液用の第2ノズル41およびリンス液用の第3ノズル51が設けられているものの、必ずしもこれに限らない。これら3つのノズル3のうち少なくとも2つが一つのノズル3で共用されてもよい。
【符号の説明】
【0201】
10 チャンバ
100 基板処理装置
2,2B 第1基板保持部(基板保持部)
2A 第2基板保持部(基板保持部)
3 ノズル
30 混合部
42 給液管
6 センサ
90 制御部
94 記憶部
D1 第1対応関係データ
LM1,LM2 学習済みモデル
S1 保持工程(ステップ)
S3 混合比決定工程(ステップ)
S4 液膜形成工程(ステップ)
S5 保持膜形成工程(ステップ)
S6 剥離工程(ステップ)
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18