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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010933
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】カバーフィルム付き粘着剤層
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/40 20180101AFI20240118BHJP
【FI】
C09J7/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112539
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】道下 そら
(72)【発明者】
【氏名】竹田 覚
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】堤 清貴
【テーマコード(参考)】
4J004
【Fターム(参考)】
4J004AA03
4J004AA10
4J004AA14
4J004AA16
4J004AB01
4J004CA01
4J004CB03
4J004CC03
4J004CC04
4J004CE01
4J004DA01
4J004DB02
4J004EA03
4J004FA04
(57)【要約】
【課題】端部ブロッキングおよび糊汚れを抑制するのに適したカバーフィルム付き粘着剤層を提供する。
【解決手段】カバーフィルム付き粘着剤層Xは、カバーフィルム10と、粘着剤層30と、カバーフィルム20とを厚さ方向Hにこの順で備える。カバーフィルム10は、粘着剤層30の側に第1面11を有し、且つ、第1面11と鋭角を形成するフィルム端面12を有する。カバーフィルム20は延出端部20Aを有する。延出端部20Aは、厚さ方向Hと直交する面方向Dにおいて、粘着剤層30の端部30Aよりも外方に延出する。フィルム端面12、および当該フィルム端面12の延長面12'からの、粘着剤層30の端部30Aの位置ずれ長さdは、5μm以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カバーフィルムと、粘着剤層と、第2カバーフィルムとを厚さ方向にこの順で備えるカバーフィルム付き粘着剤層であって、
前記第1カバーフィルムが、前記粘着剤層の側に第1面を有し、且つ当該第1面と鋭角を形成するフィルム端面を有し、
前記第2カバーフィルムが延出端部を有し、当該延出端部は、前記厚さ方向と直交する面方向において前記粘着剤層の端部よりも外方に延出し、
前記フィルム端面、および当該フィルム端面の延長面からの、前記粘着剤層の端部の位置ずれ長さが、5μm以下である、カバーフィルム付き粘着剤層。
【請求項2】
前記粘着剤層のゲル分率が80%以下である、請求項1に記載のカバーフィルム付き粘着剤層。
【請求項3】
前記粘着剤層が5μm以上50μm以下の厚さを有する、請求項1に記載のカバーフィルム付き粘着剤層
【請求項4】
前記第1カバーフィルムにおける前記鋭角の角度が40°以上85°以下である、請求項1に記載のカバーフィルム付き粘着剤層。
【請求項5】
前記粘着剤層が、前記第2カバーフィルムの側に粘着面を有し、且つ当該粘着面と鋭角を形成する粘着剤層端面を有し、当該粘着剤層の前記鋭角の角度に対する前記第1カバーフィルムの前記鋭角の角度の比率が0.9以上1.5以下である、請求項4に記載のカバーフィルム付き粘着剤層。
【請求項6】
平面視において前記第1カバーフィルムの縁端を示すエッジのエッジ幅の最大値と最小値との差が10μm以下である、請求項1から5のいずれか一つに記載のカバーフィルム付き粘着剤層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーフィルム付き粘着剤層に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイパネルは、例えば、画素パネル、偏光フィルム、タッチパネルおよびカバーフィルムなどの要素を含む積層構造を有する。そのようなディスプレイパネルの製造過程では、積層構造に含まれる要素どうしの接合のために、例えば、透明な粘着剤が用いられる。
【0003】
一方、例えばスマートフォン用およびタブレット端末用に、繰り返し折り曲げ可能(フォルダブル)なディスプレイパネルの開発が進んでいる。フォルダブルディスプレイパネルは、具体的には、屈曲形状とフラットな非屈曲形状との間で、繰り返し変形可能である。このようなフォルダブルディスプレイパネルでは、積層構造中の各要素が、繰り返し折り曲げ可能に作製されており、そのような要素間の接合に軟質の粘着剤が用いられている。フォルダブルディスプレイパネルなどフレキシブルデバイス用のシート状の粘着剤(粘着シート)については、例えば下記の特許文献1に記載されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-111754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フレキシブルデバイス用の粘着シートは、従来、例えば次のようにして製造される。
【0006】
まず、図6Aに示すように、長尺の原材シートとしての積層シート60を作製する。積層シート60は、はく離ライナー61と、粘着剤層62と、はく離ライナー63とを厚さ方向Hに順に含む。はく離ライナー61は、粘着剤層62の一方面に剥離可能に接している。はく離ライナー63は、粘着剤層62の他方面に剥離可能に接している。
【0007】
次に、図6Bに示すように、積層シート60における粘着剤層62に対する打抜き加工により、枚葉状の粘着シートとしての粘着剤層62Aを形成する(打抜き加工工程)。具体的には、はく離ライナー61上の粘着剤層62に対し、はく離ライナー63側からはく離ライナー61に至るまで加工刃(図示略)を突入させることにより、所定の平面視形状の粘着剤層62Aを形成する(加工刃による切断箇所65を模式的に太線で表す)。粘着剤層62Aまわりには、周囲部62aが生ずる。本工程では、はく離ライナー63も打抜き加工されて、粘着剤層62Aと同一の平面視形状のはく離ライナー63Aが形成され、はく離ライナー63Aまわりに周囲部63aが生ずる。
【0008】
次に、図6Cに示すように、はく離ライナー61上から周囲部62a,63aを除去する。
【0009】
この後、図6Dに示すように、長尺のはく離ライナー61が枚葉状のはく離ライナー61Aに切断される。これにより、枚葉状のカバーフィルム付き粘着剤層60'(はく離ライナー61A/粘着剤層62A/はく離ライナー63A)が、両面はく離ライナー付き粘着シートとして得られる。
【0010】
フレキシブルデバイス用の粘着シート(粘着剤層)には、デバイス屈曲時の被着体への充分な追従性と、優れた応力緩和性とを有するように、高度に軟質であることが求められる。しかしながら、上述の製造方法では、粘着剤層62が軟質なほど、打抜き加工工程(図6B)において、粘着剤層62が、加工刃に付着しやすく、当該加工刃によって引っ張られやすい。そのため、図7に示すように、打抜き加工後の粘着剤層62Aにおいて、はみ出し部62Eが形成されやすい。はみ出し部62Eは、粘着剤層62Aの端部62eが、はく離ライナー63Aの端部63eよりも、外方に延出した部分である。打抜き加工工程後のはみ出し部62Eの延出長さd'は、従来、6μm以上であり、長い。
【0011】
はみ出し部62Eは、カバーフィルム付き粘着剤層60'を積み重ねた場合に、隣り合うカバーフィルム付き粘着剤層60'の端部どうしが付着すること(端部ブロッキング)の原因となる。端部ブロッキングは、カバーフィルム付き粘着剤層60'の取り扱い性を低下させる。また、はみ出し部62Eは、カバーフィルム付き粘着剤層60'の糊汚れの原因となる。これらの不具合は、はく離ライナー61A上に、粘着剤層62Aおよびはく離ライナー63Aに代えて粘着剤層付き表面保護フィルム(粘着剤層側にはく離ライナー61Aが貼着している)を形成する場合にも、生じる。
【0012】
本発明は、端部ブロッキングおよび糊汚れを抑制するのに適したカバーフィルム付き粘着剤層を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明[1]は、第1カバーフィルムと、粘着剤層と、第2カバーフィルムとを厚さ方向にこの順で備えるカバーフィルム付き粘着剤層であって、前記第1カバーフィルムが、前記粘着剤層の側に第1面を有し、且つ当該第1面と鋭角を形成するフィルム端面を有し、前記第2カバーフィルムが延出端部を有し、当該延出端部は、前記厚さ方向と直交する面方向において前記粘着剤層の端部よりも外方に延出し、前記フィルム端面、および当該フィルム端面の延長面からの、前記粘着剤層の端部の位置ずれ長さが、5μm以下である、カバーフィルム付き粘着剤層を含む。
【0014】
本発明[2]は、前記粘着剤層のゲル分率が80%以下である、上記[1]に記載のカバーフィルム付き粘着剤層を含む。
【0015】
本発明[3]は、前記粘着剤層が5μm以上50μm以下の厚さを有する、上記[1]または[2]に記載のカバーフィルム付き粘着剤層を含む。
【0016】
本発明[4]は、前記第1カバーフィルムにおける前記鋭角の角度が40°以上85°以下である、上記[1]から[3]のいずれか一つに記載のカバーフィルム付き粘着剤層を含む。
【0017】
本発明[5]は、前記粘着剤層が、前記第2カバーフィルムの側に粘着面を有し、且つ当該粘着面と鋭角を形成する粘着剤層端面を有し、当該粘着剤層の前記鋭角の角度に対する前記第1カバーフィルムの前記鋭角の角度の比率が0.9以上1.5以下である、上記[4]に記載のカバーフィルム付き粘着剤層を含む。
【0018】
本発明[6]は、平面視において前記第1カバーフィルムの縁端を示すエッジのエッジ幅の最大値と最小値との差が10μm以下である、上記[1]から[5]のいずれか一つに記載のカバーフィルム付き粘着剤層を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明のカバーフィルム付き粘着剤層においては、上記のように、フィルム端面および同端面の延長面からの、粘着剤層の端部の位置ずれ長さ(はみ出し量)が、5μm以下であり、小さい。このようなカバーフィルム付き粘着剤層は、上述の端部ブロッキングおよび糊汚れを抑制するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のカバーフィルム付き粘着剤層の一実施形態の断面模式図である。
図2図1に示すカバーフィルム付き粘着剤層の端部の部分拡大断面図である。
図3図1に示すカバーフィルム付き粘着剤層の一の変形例における端部の部分拡大断面図である。
図4図1に示すカバーフィルム付き粘着剤層の他の変形例における端部の部分拡大断面図である。
図5図1に示すカバーフィルム付き粘着剤層の製造方法を表す。図5Aは積層シート作製工程を表し、図5Bは第1外形加工工程を表し、図5Cは除去工程を表し、図5Dは第2外形加工工程を表す。
図6】従来のカバーフィルム付き粘着剤層の製造方法の一例を表す。図6Aは積層シート作製工程を表し、図6Bは打抜き加工工程を表し、図6Cは除去工程を表し、図6Dは切断工程を表す。
図7】従来のカバーフィルム付き粘着剤層の端部の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のカバーフィルム付き粘着剤層の一実施形態としてのカバーフィルム付き粘着剤層Xは、図1および図2に示すように、カバーフィルム10,20と、粘着剤層30とを備える。カバーフィルム付き粘着剤層Xは、具体的には、カバーフィルム10(第1カバーフィルム)と、粘着剤層30と、カバーフィルム20(第2カバーフィルム)とを、厚さ方向Hにこの順で備える。カバーフィルム付き粘着剤層Xは、厚さ方向Hと直交する面方向Dに広がる。
【0022】
カバーフィルム10は、例えば、フレキシブルデバイス用の透明な表面保護フィルムである。カバーフィルム10は、粘着剤層30側に第1面11を有し、且つ、フィルム端面12を有する。第1面11とフィルム端面12とは、鋭角を形成する。すなわち、フィルム端面12は、第1面11と鋭角を形成するように傾斜している傾斜端面である。粘着剤層30は、第1面11に接合している。粘着剤層30は、カバーフィルム20側に粘着面31を有する。このようなカバーフィルム10および粘着剤層30は、粘着剤層付き表面保護フィルムYを形成する。
【0023】
カバーフィルム10のフィルム端面12および当該フィルム端面12の延長面12’(図2図4において仮想線で示す)からの、粘着剤層30の端部30Aの位置ずれ長さd(はみ出し量)は、5μm以下である。位置ずれ長さdは、フィルム端面12および延長面12’に対して直交する方向の最大長さである。図2は、位置ずれ長さdが0μmである場合を例示的に示す。図3は、位置ずれ長さdが正の値である場合を例示的に示す。位置ずれ長さdが正の値であることは、粘着剤層30の端部30Aが、フィルム端面12および延長面12’よりも外方にはみ出している部分を有することを意味する。図4は、位置ずれ長さdが負の値である場合を例示的に示す。位置ずれ長さdが負の値であることは、粘着剤層30の端部30Aが延長面12’よりも内方に凹んでいること又は退避していることを、意味する。位置ずれ長さdの測定方法は、具体的には、実施例に関して後述するとおりである。
【0024】
カバーフィルム20は、はく離ライナーである。カバーフィルム20は、剥離面21を有する。カバーフィルム20は、剥離面21側で、粘着剤層30に剥離可能に接する。また、カバーフィルム20は、延出端部20Aを有する。延出端部20Aは、面方向Dにおいて、粘着剤層30の端部30Aよりも外方に延出している。このようなカバーフィルム20は、粘着剤層付き表面保護フィルムYを使用する際に粘着剤層30から剥がされる。
【0025】
このようなカバーフィルム付き粘着剤層Xは、例えば、フレキシブルデバイスの製造過程において、同デバイスの積層構造に組み込まれる粘着剤層付き表面保護フィルムYの供給材として用いられる。フレキシブルデバイスとしては、例えば、フレキシブルディスプレイパネルが挙げられる。フレキシブルディスプレイパネルは、例えば、画素パネル、偏光フィルム、タッチパネルおよびカバーフィルム(表面保護フィルム)などの要素を含む積層構造を有する。
【0026】
カバーフィルム付き粘着剤層Xにおいては、上述のように、フィルム端面12および当該フィルム端面12の延長面12’からの、粘着剤層30の端部30Aの位置ずれ長さd(はみ出し量)が、5μm以下であり、小さい。このようなカバーフィルム付き粘着剤層Xは、上述の端部ブロッキングおよび糊汚れを抑制するのに適する。具体的には、後記の実施例および比較例をもって示すとおりである。
【0027】
位置ずれ長さdは、端部ブロッキングの抑制および糊汚れの抑制の観点から、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは2μm以下、一層好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。位置ずれ長さdは、カバーフィルム10の端部に対する粘着剤層30による保護機能を確保する観点から、好ましくは-10μm以上、より好ましくは-5μm以上、更に好ましくは-3μm以上、特に好ましくは-0.5μm以上である。上述の端部ブロッキングおよび糊汚れの抑制と上述の保護機能確保との両立の観点から、位置ずれ長さdは、最も好ましくは0μmである。
【0028】
カバーフィルム10の第1面11とフィルム端面12とが形成する上記鋭角の角度αは、後述のエッジ幅Wの確保の観点から、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上、更に好ましくは48°以上である。角度αは、カバーフィルム付き粘着剤層Xがデバイス製造ラインを搬送される時にライン汚染を防止する観点から、好ましくは85°以下、より好ましくは80°以下、更に好ましくは75°以下である。角度αの調整方法としては、例えば、後述のレーザー加工におけるレーザー照射条件の調整が挙げられる。レーザー照射条件としては、例えば、レーザー光の波長、レーザー光のパルス幅、当該パルスの周波数、レーザー出力、および、レーザー光のビームスポット径が挙げられる。
【0029】
粘着剤層30の厚さは、粘着剤層付き表面保護フィルムYにとっての粘着力の確保の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは12μm以上である。粘着剤層30の厚さは、粘着剤層付き表面保護フィルムYの薄型化の観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは25μm以下である。
【0030】
粘着剤層30のゲル分率は、粘着剤層30の軟質性の確保の観点から、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下、更に好ましくは70%以下である。粘着剤層30のゲル分率は、粘着剤層30の凝集力の確保の観点から、好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上、更に好ましくは50%以上である。ゲル分率の調整方法としては、例えば、粘着剤層30におけるベースポリマーの種類の選択、分子量の調整、および配合量の調整が挙げられる。ゲル分率の測定方法は、実施例に関して後述するとおりである。
【0031】
粘着剤層30の25℃でのせん断貯蔵弾性率は、粘着剤層30の軟質性の確保の観点から、好ましくは200kPa以下、より好ましくは100kPa以下、更に好ましくは70kPa以下である。粘着剤層30の25℃でのせん断貯蔵弾性率は、粘着剤層30の粘着力の確保の観点から、好ましくは10kPa以上、より好ましくは15kPa以上、更に好ましくは20kPa以上、特に好ましくは25kPa以上である。せん断貯蔵弾性率の調整方法としては、例えば、粘着剤層30におけるベースポリマーの種類の選択、分子量の調整、および配合量の調整が挙げられる。せん断貯蔵弾性率の測定方法は、実施例に関して後述するとおりである。
【0032】
粘着剤層30は、好ましくは、粘着面31と鋭角を形成する端面32を有する。この鋭角の角度βは、後述のエッジ幅Wの確保から、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上、更に好ましくは48°以上である。角度βは、カバーフィルム付き粘着剤層Xがデバイス製造ラインを搬送される時にライン汚染を防止する観点から、好ましくは85°以下、より好ましくは80°以下、更に好ましくは75°以下である。角度βの調整方法としては、例えば、後述のレーザー加工におけるレーザー照射条件の調整が挙げられる。
【0033】
カバーフィルム10における角度αに対する粘着剤層30における上記角度βの比率(β/α)は、好ましくは0.9以上、より好ましくは1.00以上、更に好ましくは1.01以上、一層好ましくは1.05以上、より一層好ましくは1.10以上、殊更に好ましくは1.15以上、特に好ましくは1.20以上である。比率(β/α)は、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下、更に好ましくは1.3以下である。これら構成は、後述のエッジ幅Wの領域をエッジ検知用アライメントマークとして利用する場合の、検出用カメラによる誤検知を、抑制するのに好ましく、また、エッジ幅Wの領域を利用してカバーフィルム付き粘着剤層Xを寸法測定する場合の測定誤差を抑制するのに好ましい。
【0034】
カバーフィルム10(表面保護フィルム)の材料としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリカーボネートが挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびシクロオレフィンポリマー(COP)が挙げられる。
【0035】
カバーフィルム10の厚さは、表面保護フィルムとしての保護機能の確保の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、更に好ましくは20μm以上である。カバーフィルム10の厚さは、粘着剤層付き表面保護フィルムYの薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは50μm以下である。
【0036】
カバーフィルム10は、本実施形態では、粘着剤層30とは反対側に突条部13を有する。突条部13は、カバーフィルム10における第1面11とは反対側の面(第2面)において、粘着剤層30とは反対側に突出している。突条部13の突出高さは、例えば0.1μm以上であり、また、例えば20μm以下である。また、突条部13は、フィルム端面12に沿って配置されている。このような突条部13は、レーザー加工による後述の第1外形加工工程(図5B)において、カバーフィルム101がレーザー照射による溶断を経ることによって、カバーフィルム10のフィルム端面12に沿って形成される。
【0037】
カバーフィルム20(はく離ライナー)の材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、およびポリイミドが挙げられる。カバーフィルム20の材料としては、具体的には、カバーフィルム10に関して上記した材料が挙げられる。
【0038】
カバーフィルム20の剥離面21は、好ましくは剥離処理されている。剥離処理としては、例えば、シリコーン剥離処理およびフッ素剥離処理が挙げられる。
【0039】
カバーフィルム20の厚さは、カバーフィルム20による粘着剤層30の保護機能の確保の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは15μm以上である。カバーフィルム20の厚さは、カバーフィルム20を粘着剤層30から剥離する時の剥離エラー防止の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
【0040】
面方向Dにおける、カバーフィルム10に対する延出端部20Aの延出長さ(フィルム端面12からの延出長さ)は、カバーフィルム20による粘着剤層30の保護機能の確保の観点から、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは1mm以上、特に好ましくは1.5mm以上である。カバーフィルム付き粘着剤層Xの効率的製造の観点から、当該延出長さは、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下、更に好ましくは30mm以下である。
【0041】
図2~4に示すように、カバーフィルム付き粘着剤層Xにおいて、カバーフィルム10の突条部13の面方向Dにおける内方端と、カバーフィルム20の面方向Dにおける外方端との間の距離を、縁端長さLとする。縁端長さLは、延出端部20Aの上述の延出長さを含む。このような縁端長さLは、カバーフィルム20による粘着剤層30の保護機能の確保の観点から、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは1mm以上、特に好ましくは1.5mm以上である。カバーフィルム付き粘着剤層Xの効率的製造の観点から、縁端長さLは、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下、更に好ましくは30mm以下である。
【0042】
カバーフィルム20は、本実施形態では、剥離面21側に、粘着剤層30の端面32に沿ってハーフカット溝22を有する。ハーフカット溝22は、厚さ方向Hに深さを有する。ハーフカット溝22は、図2に示すように、内壁面22a(第1内壁面)と、内壁面22b(第2内壁面)と、丸底22cとを有する。内壁面22aは、ハーフカット溝22における面方向Dの内側(粘着剤層30側)に配置されている。内壁面22aは、粘着剤層30の端面32と面一である。内壁面22bは、ハーフカット溝22における面方向Dの外側に配置されている。内壁面22bは、面方向Dに内壁面22aから離れており、面方向Dにおいて内壁面22aと対向する。丸底22cは、面方向Dにおける内壁面22a,22b間に配置されている。平面視において端面32に沿って延びるハーフカット溝22の延び方向と直交する方向の断面(図2)において、丸底22cは、膨らむ湾曲形状を有し、例えば1μm以上の曲率半径を有する。
【0043】
平面視においてカバーフィルム10の縁端を示すエッジのエッジ幅Wは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、更に好ましくは20μm以上、特に好ましくは25μm以上である(エッジ幅Wは、本実施形態では、カバーフィルム10の突条部13の面方向Dにおける内方端と、カバーフィルム20のハーフカット溝22の面方向Dにおける外方端との間の距離である)。エッジ幅Wに関する当該構成は、エッジ幅Wの領域(本実施形態では、突条部13の前記内方端とハーフカット溝22の前記外方端との間の領域)をエッジ検知用アライメントマークとして利用する場合に当該マークを検出用カメラで適切に検出するのに好ましく、また、エッジ幅Wの領域を利用してカバーフィルム付き粘着剤層Xを精度よく寸法測定するのに好ましい(エッジ幅の領域は、検出用カメラによって濃色領域として確認できる部分である)。エッジ幅Wは、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、更に好ましくは200μm以下、特に好ましくは150μm以下である。このような構成は、エッジ幅Wの領域をエッジ検知用アライメントマークとして利用する場合の、検出用カメラによる誤検知を、抑制するのに好ましく、また、エッジ幅Wの領域を利用してカバーフィルム付き粘着剤層Xを寸法測定する場合の測定誤差を抑制するのに好ましい。カバーフィルム10が突条部13を有しない場合、エッジ幅Wは、カバーフィルム10のフィルム端面12の面方向Dにおける内方端と、カバーフィルム20のハーフカット溝22の面方向Dにおける外方端との間の距離であってもよい。カバーフィルム20がハーフカット溝22を有しない場合、エッジ幅Wは、カバーフィルム10の突条部13の面方向Dにおける内方端と、粘着剤層30端面32の面方向Dにおける外方端との間の距離であってもよい。カバーフィルム10が突条部13を有せず、且つカバーフィルム20がハーフカット溝22を有しない場合、エッジ幅Wは、カバーフィルム10のフィルム端面12の面方向Dにおける内方端と、粘着剤層30端面32の面方向Dにおける外方端との間の距離であってもよい。
【0044】
エッジ幅Wの最大値と最小値との差は、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。このような構成は、エッジ幅Wの領域をエッジ検知用アライメントマークとして利用する場合に当該マークを検出用カメラで適切に検出するのに好ましく、また、エッジ幅Wの領域を利用してカバーフィルム付き粘着剤層Xを精度よく寸法測定するのに好ましい。エッジ幅Wの最大値と最小値との差とは、カバーフィルム10の平面視における周端縁の周方向の長さ(切断長さ)1mmの範囲内での、エッジ幅Wの最大値と最小値との差とする。エッジ幅Wの最大値と最小値との差の測定方法は、具体的には、実施例に関して後述するとおりである。
【0045】
粘着剤層30は、粘着剤組成物から形成されている。粘着剤組成物は、ベースポリマーを含む。ベースポリマーは、粘着性を発現させる粘着成分である。ベースポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリアミドポリマー、およびポリビニルエーテルポリマーが挙げられる。ベースポリマーは、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。粘着剤層30における良好な透明性および粘着性を確保する観点から、ベースポリマーとしては、好ましくはアクリルポリマーが用いられる。
【0046】
アクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを50質量%以上の割合で含むモノマー成分の共重合体である。「(メタ)アクリル」は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。(メタ)アクリル酸エステルとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられ、より好ましくは、アルキル基の炭素数が1~20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。
【0047】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル(即ちラウリルアクリレート)、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、および(メタ)アクリル酸テトラデシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、好ましくは、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)と、ラウリルアクリレート(LA)と、アクリル酸n-ブチルとからなる群より選択される少なくとも一つである。モノマー成分における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、粘着剤層30において粘着性等の基本特性を適切に発現させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、例えば99質量%以下である。
【0048】
モノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性モノマーを含んでもよい。共重合性モノマーとしては、例えば、極性基を有するモノマーが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、および窒素原子含有環を有するモノマーが挙げられる。極性基含有モノマーは、アクリルポリマーへの架橋点の導入、アクリルポリマーの凝集力の確保など、アクリルポリマーの改質に役立つ。
【0049】
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、および(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチルが挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチルからなる群より選択される少なくとも一つが用いられる。モノマー成分におけるヒドロキシ基含有モノマーの割合は、アクリルポリマーへの架橋構造の導入、および、粘着剤層30における凝集力の確保の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーの極性(粘着剤層30における各種添加剤成分とアクリルポリマーとの相溶性に関わる)の調整の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0050】
窒素原子含有環を有するモノマーとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、およびN-(メタ)アクリロイル-2-ピロリドンが挙げられる。窒素原子含有環を有するモノマーとしては、好ましくは、N-ビニル-2-ピロリドンが用いられる。モノマー成分における、窒素原子含有環を有するモノマーの割合は、粘着剤層30における凝集力の確保、および、粘着剤層30における対被着体密着力の確保の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーのガラス転移温度の調整、および、アクリルポリマーの極性(粘着剤層30における各種添加剤成分とアクリルポリマーとの相溶性に関わる)の調整の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0051】
ベースポリマーは、好ましくは、架橋構造を有する。ベースポリマーへの架橋構造の導入方法としては、架橋剤と反応可能な官能基を有するベースポリマーと架橋剤とを粘着剤組成物に配合し、ベースポリマーと架橋剤とを粘着剤層中で反応させる方法(第1の方法)、および、ベースポリマーを形成するモノマー成分に架橋剤としての多官能モノマーを含め、当該モノマー成分の重合により、ポリマー鎖に分枝構造(架橋構造)が導入されたベースポリマーを形成する方法(第2の方法)が、挙げられる。これら方法は、併用されてもよい。
【0052】
上記第1の方法で用いられる架橋剤としては、例えば、ベースポリマーに含まれる官能基(ヒドロキシ基およびカルボキシ基など)と反応する化合物が挙げられる。そのような架橋剤としては、例えば、イソシアネート架橋剤、過酸化物架橋剤、およびエポキシ架橋剤が挙げられる。架橋剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0053】
上記第2の方法では、モノマー成分(架橋構造を導入するための多官能モノマーと他のモノマーとを含む)は、一度で重合させてもよいし、多段階で重合させてもよい。多段階重合の方法では、まず、ベースポリマーを形成するための単官能モノマーを重合させ(予備重合)、これによって部分重合物(低重合度の重合物と未反応のモノマーとの混合物)を含有するプレポリマー組成物を調製する。次に、プレポリマー組成物に架橋剤としての多官能モノマーを添加した後、部分重合物と多官能モノマーとを重合させる(本重合)。多官能モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を1分子中に2個以上含有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーとしては、活性エネルギー線重合(光重合)によって架橋構造を導入可能な観点から、多官能アクリレートが好ましい。多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、および、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能(メタ)アクリレートとしては、好ましくは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)が用いられる。
【0054】
アクリルポリマーは、上述のモノマー成分を重合させることによって形成できる。重合方法としては、例えば、溶液重合、無溶剤での光重合(例えばUV重合)、塊状重合、および乳化重合が挙げられる。溶液重合の溶媒としては、例えば、酢酸エチルおよびトルエンが用いられる。また、重合の開始剤としては、例えば、熱重合開始剤および光重合開始剤が用いられる。
【0055】
ベースポリマーの重量平均分子量は、粘着剤層30における凝集力の確保の観点から、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、更に好ましくは50万以上である。同重量平均分子量は、好ましくは500万以下、より好ましくは300万以下、更に好ましくは200万以下である。ベースポリマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)によって測定してポリスチレン換算により算出される。
【0056】
ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)は、粘着剤層30の柔らかさを確保する観点から、好ましくは0℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-20℃以下である。同ガラス転移温度は、例えば-80℃以上である。
【0057】
ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)については、下記のFoxの式に基づき求められるガラス転移温度(理論値)を用いることができる。Foxの式は、ポリマーのガラス転移温度Tgと、当該ポリマーを構成するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。下記のFoxの式において、Tgはポリマーのガラス転移温度(℃)を表し、Wiは当該ポリマーを構成するモノマーiの重量分率を表し、Tgiは、モノマーiから形成されるホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。ホモポリマーのガラス転移温度については文献値を用いることができる。例えば、「Polymer Handbook」(第4版,John Wiley & Sons, Inc., 1999年)および「新高分子文庫7 塗料用合成樹脂入門」(北岡協三著,高分子刊行会,1995年)には、各種のホモポリマーのガラス転移温度が挙げられている。一方、モノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、特開2007-51271号公報に具体的に記載されている方法によって求めることも可能である。
【0058】
Foxの式 1/(273+Tg)=Σ[Wi/(273+Tgi)]
【0059】
粘着剤組成物は、必要に応じて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、溶剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、軟化剤、および酸化防止剤が挙げられる。溶剤としては、例えば、アクリルポリマーの重合時に必要に応じて用いられる重合溶媒、および、重合後に重合反応溶液に添加される溶剤が、挙げられる。当該溶剤としては、例えば、酢酸エチルおよびトルエンが用いられる。
【0060】
粘着剤層30のヘイズは、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下である。粘着剤層30のヘイズは、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘイズメーターを使用して測定できる。ヘイズメーターとしては、例えば、日本電色工業社製の「NDH2000」、および、村上色彩技術研究所社製の「HM-150型」が挙げられる。
【0061】
カバーフィルム付き粘着剤層Xは、例えば以下のようにして、製造できる。
【0062】
まず、図5Aに示すように、長尺の積層シートZを作製する(積層シート作製工程)。積層シートZは、長尺のカバーフィルム102と、粘着剤層103と、長尺のカバーフィルム101とを、厚さ方向Hにこの順で備える。積層シートZは、例えば、上述の粘着剤組成物をカバーフィルム102上に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜の上にカバーフィルム101を貼り合わせ、当該塗膜を乾燥させ且つ必要に応じて光照射することによって、製造できる。粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、およびダイコートが挙げられる。塗膜の乾燥温度は、例えば50℃~200℃である。乾燥時間は、例えば5秒~20分である。
【0063】
次に、図5Bに示すように、カバーフィルム102上の粘着剤層103に対するレーザー加工により、所定の平面視形状の粘着剤層30を形成する(第1外形加工工程)。具体的には、積層シートZの切断予定ラインに沿って、積層シートZに対してカバーフィルム101側から厚さ方向Hにレーザー光を照射することにより、カバーフィルム102上の粘着剤層103およびカバーフィルム101を切断する。これにより、粘着剤層103において、所定の平面視形状の粘着剤層30が形成され且つ粘着剤層30まわりに周囲部103a(第1周囲部)が生じ、カバーフィルム101において、カバーフィルム10が形成され且つカバーフィルム10まわりに周囲部101a(第2周囲部)が生ずる。
【0064】
レーザー加工用のレーザー光としては、例えば、気体レーザー、固体レーザー、および半導体レーザーが挙げられる。気体レーザーとしては、例えば、エキシマレーザーおよびCOレーザー(9.4μm)が挙げられる(括弧内の数値はレーザー光の波長を表す。レーザーに関して以下同じ)。エキシマレーザーとしては、例えば、Fエキシマレーザー(157nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、およびXeClエキシマレーザー(308nm)が挙げられる。固体レーザーとしては、例えば、Nd:YAGレーザー(1064nm)、Nd:YAGレーザーの第2高調波(532nm)、Nd:YAGレーザーの第3高調波(355nm)、およびNd:YAGレーザーの第4高調波(266nm)が挙げられる。半導体レーザーとしては、例えば、波長405nmの半導体レーザーが挙げられる。レーザー加工において、照射レーザー光のパルス幅は例えば0.5~50μ秒であり、パルスの周波数は例えば1~200kHzであり、レーザー出力は例えば2~250Wであり、レーザー光のビームスポット径は例えば50~500μmである。
【0065】
本工程で形成されるカバーフィルム10の第1面11のフィルム端面12とが形成する上記角度αは、上述のように、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上、更に好ましくは48°以上であり、また、好ましくは85°以下、より好ましくは80°以下、更に好ましくは75°以下である。角度αの調整方法としては、例えば、レーザー加工におけるレーザー照射条件の調整が挙げられる。レーザー照射条件としては、例えば、レーザー光のパルス幅、パルスの周波数、レーザー出力、および、レーザー光のビームスポット径が挙げられる。
【0066】
次に、図5Cに示すように、カバーフィルム102上から周囲部101a,103aを除去する(除去工程)。
【0067】
次に、図5Dに示すように、長尺のカバーフィルム102が枚葉状のカバーフィルム20に切断される(第2外形加工工程)。切断方法としては、例えば、レーザー光の照射による切断、および、打抜き加工による切断が挙げられる。
【0068】
以上のようにして、カバーフィルム付き粘着剤層Xを製造できる。
【0069】
カバーフィルム付き粘着剤層Xは、両面はく離ライナー付き粘着シートであってもよい。具体的には、カバーフィルム付き粘着剤層Xは、粘着剤層30が長尺の粘着シートであり、且つ、カバーフィルム10が当該粘着シートに剥離可能に接するはく離ライナーであってもよい。その場合、カバーフィルム10の第1面11は、好ましくは、剥離処理された剥離面である。このようなカバーフィルム付き粘着剤層Xにおいて、カバーフィルム10,20は、粘着シートとしての粘着剤層30を使用する際に粘着剤層30から剥がされる。
【実施例0070】
本発明について、以下に実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。また、以下に記載されている配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上述の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの上限(「以下」または「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」または「超える」として定義されている数値)に代替できる。
【0071】
〔実施例1〕
〈粘着剤組成物の調製〉
まず、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)50質量部と、ラウリルアクリレート(LA)40質量部と、アクリル酸n-ブチル(BA)2質量部と、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)6質量部と、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)2質量部と、光重合開始剤(品名「Omnirad 184」,IGM Resins社製)0.015質量部とを含む混合物に対して紫外線を照射し(重合反応)、プレポリマー組成物(重合率は約10%)を得た(プレポリマー組成物は、重合反応を経ていないモノマー成分を含有する)。次に、プレポリマー組成物100質量部と、多官能アクリレートモノマーとしてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)0.08質量部と、シランカップリング剤(品名「KBM-403」,3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,信越化学工業社製)0.3質量部とを混合し、粘着剤組成物C1を得た。
【0072】
〈はく離ライナーの作製〉
まず、シリコーン系剥離処理剤(品名「KE-3703」,分子中にヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサンと、分子中にヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン架橋剤とを含有する、付加型シリコーン系剥離処理剤の28.5質量%トルエン溶液,信越化学工業社製)90質量部と、シリコーン系剥離コントロール剤(品名「KS-3800」,信越工業化学社製)0.9質量部と、シリコーン硬化用白金触媒(品名「CAT-PL-50T」,信越工業化学社製)0.3質量部と、溶媒とを混合して、シリコーン固形分濃度0.7質量%の剥離処理剤溶液を調製した。溶媒は、トルエンとヘキサンとの体積比1:1の混合溶媒である。次に、二軸延伸ポリエステルフィルム(品名「ルミラー XD500P」,厚さ75μm,東レアドバンストマテリアルズコリア製)を剥離処理した。具体的には、まず、当該ポリエステルフィルムの片面に、上述の剥離処理剤溶液を塗布して塗膜を形成した。塗布には、ワイヤーバー#9を使用した。次に、熱風乾燥機により、フィルム上の塗膜を、130℃で1分間、加熱して乾燥させた。これより、ポリエステルフィルム上に、厚さ0.1μmのシリコーン剥離層を形成した(剥離処理)。以上のようにして、片面に剥離処理面を有するはく離ライナーを作製した。
【0073】
〈積層シートの作製〉
まず、上述のはく離ライナー(第2カバーフィルム)の剥離処理面上に、粘着剤組成物C1を塗布して塗膜を形成した。次に、はく離ライナー上の塗膜に、片面がプラズマ処理された表面保護フィルム(第1カバーフィルム)のプラズマ処理面を貼り合わせた。表面保護フィルムは、厚さ49μmの透明ポリイミド(PI)フィルムである。プラズマ処理では、プラズマ照射装置(品名「AP-TO5」,積水工業社製)を使用し、電圧を160Vとし、周波数を10kHzとし、処理速度を5000mm/分とした。次に、塗膜に対して表面保護フィルム側から紫外線を照射して塗膜を紫外線硬化させ、厚さ25μmの粘着剤層(粘着剤A1)を形成した。これにより、カバーフィルム付き粘着剤層の原材シートとしての積層シート(はく離ライナー/粘着剤層/表面保護フィルム)を得た。紫外線照射では、照射光源としてブラックライトを用い、照射強度を5mW/cmとした(後記の紫外線照射においても同様である)。
【0074】
〈第1外形加工〉
次に、積層シートの粘着剤層を外形加工した(第1外形加工工程)。具体的には、積層シートの第1切断予定ラインに沿って、積層シートに対して表面保護フィルム側から厚さ方向にCOレーザー光(波長9.4μm)を照射することにより、はく離ライナー上の粘着剤層および表面保護フィルムを厚さ方向に切断した(レーザー加工)。レーザー照射では、第1レーザー加工装置(品名「LC500」,武井電機工業製)を使用し、照射レーザー光のパルス幅を3.3μ秒とし、レーザー出力を23Wとし、パルスの周波数を15kHzとした。本工程では、粘着剤層において、所定の平面視形状の粘着剤層とその周りの第1周囲部が生じ、表面保護フィルムにおいて、第1周囲部上に第2周囲部が生じた。
【0075】
〈周囲部の除去,第2外形加工〉
第1外形加工工程の後、はく離ライナー上から第1および第2周囲部を除去した。その後、はく離ライナーを外形加工した(第2外形加工工程)。具体的には、はく離ライナーの第2切断予定ラインに沿って、はく離ライナーに対して厚さ方向にCOレーザーを照射することにより、はく離ライナーを所定の平面視形状に切断した。第2切断予定ラインは、上述の第1切断予定ラインよりも面方向外側に3mm離れている。また、本工程のレーザー照射では、第1レーザー加工装置(品名「LC500」,武井電機工業製)を使用し、照射レーザー光のパルス幅を3.3μ秒とし、レーザー出力を40Wとし、パルスの周波数を15kHzとした。
【0076】
以上のようにして、実施例1のカバーフィルム付き粘着剤層(表面保護フィルム/粘着剤層/はく離ライナー)を作製した。実施例1のカバーフィルム付き粘着剤層は、粘着剤層(厚さ25μm)付き表面保護フィルムと、当該フィルムの粘着剤層側を被覆するはく離ライナーとを備える。
【0077】
〔実施例2〕
まず、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)45質量部と、ラウリルアクリレート(LA)42質量部と、アクリル酸n-ブチル(BA)2質量部と、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)4質量部と、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)7質量部と、光重合開始剤(Omnirad 184)0.015質量部とを含む混合物に対して紫外線を照射し(重合反応)、プレポリマー組成物(重合率は約10%)を得た。次に、プレポリマー組成物100質量部と、多官能アクリレートモノマーとしてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)0.08質量部と、シランカップリング剤(品名「KBM-403」,3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,信越化学工業社製)0.3質量部とを混合し、粘着剤組成物C2を得た。この粘着剤組成物C2を粘着剤組成物C1の代わりに用いて厚さ15μmの粘着剤層(粘着剤A2)を形成したこと以外は、実施例1のカバーフィルム付き粘着剤層と同様にして、実施例2のカバーフィルム付き粘着剤層(表面保護フィルム/粘着剤層/はく離ライナー)を作製した。
【0078】
〔実施例3〕
次のこと以外は実施例1のカバーフィルム付き粘着剤層と同様にして、実施例3のカバーフィルム付き粘着剤層を作製した。積層シート作製工程において、形成する粘着剤層の厚さを15μmとした。第1外形加工工程において、照射レーザー光のパルスの周波数を30kHzとした。
【0079】
〔実施例4〕
次のこと以外は実施例1のカバーフィルム付き粘着剤層と同様にして、実施例4のカバーフィルム付き粘着剤層を作製した。第1外形加工工程において、第1レーザー加工装置の代わりに第2レーザー加工装置(品名「LC750」,武井電機工業製)を使用し、照射レーザー光のパルス幅を0.83μ秒とし、パルスの周波数を30kHzとし、レーザー出力を23Wとした。
【0080】
〔実施例5〕
次のこと以外は実施例1のカバーフィルム付き粘着剤層と同様にして、実施例5のカバーフィルム付き粘着剤層を作製した。第1外形加工工程において、照射レーザー光のパルスの周波数を30kHzとした。
【0081】
〔実施例6〕
次のこと以外は実施例1のカバーフィルム付き粘着剤層と同様にして、実施例6のカバーフィルム付き粘着剤層を作製した。第1外形加工工程において、照射レーザー光のパルスの周波数を5kHzとした。
【0082】
〔比較例1〕
次のこと以外は実施例1のカバーフィルム付き粘着剤層と同様にして、比較例1のカバーフィルム付き粘着剤層を作製した。積層シート作製工程において、形成する粘着剤層の厚さを15μmとした。第1外形加工工程において、レーザー加工に代えてプレス加工を実施した。具体的には、はく離ライナー上の粘着剤層に対し、表面保護フィルム側からはく離ライナーに至るまで厚さ方向に第1プレス加工刃を突入させることにより、所定の平面視形状の粘着剤層を形成した。第1プレス加工刃は、刃物角80度の刃先を有する。
【0083】
〔比較例2〕
次のこと以外は実施例2のカバーフィルム付き粘着剤層と同様にして、比較例2のカバーフィルム付き粘着剤層を作製した。第1外形加工工程において、レーザー加工に代えてプレス加工を実施した。具体的には、はく離ライナー上の粘着剤層に対し、表面保護フィルム側からはく離ライナーに至るまで厚さ方向に第2プレス加工刃を突入させることにより、所定の平面視形状の粘着剤層を形成した。第2プレス加工刃は、刃物角30度の刃先を有する。
【0084】
〔比較例3〕
次のこと以外は実施例1のカバーフィルム付き粘着剤層と同様にして、比較例3のカバーフィルム付き粘着剤層を作製した。積層シート作製工程において、形成する粘着剤層の厚さを15μmとした。第1外形加工工程において、レーザー加工に代えてプレス加工を実施した。具体的には、はく離ライナー上の粘着剤層に対し、表面保護フィルム側からはく離ライナーに至るまで厚さ方向に第2プレス加工刃(刃物角30度の刃先を有する)を突入させることにより、所定の平面視形状の粘着剤層を形成した。
【0085】
〈ゲル分率〉
実施例1~6および比較例1~3における各粘着剤層のゲル分率を測定した。具体的には、次のとおりである。
【0086】
まず、粘着剤層から約0.1g(質量:Wmg)の粘着剤サンプルを採取した。次に、粘着剤サンプルを、平均孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜(質量:Wmg)で巾着状に包み、口を凧糸(質量:Wmg)で縛り、包みを得た。テトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜としては、日東電工株式会社製の多孔質膜(品名「ニトフロンNTF1122」)を使用した。次に、粘着剤サンプル入りの包みを、容積50mLの容器に入れた後、当該容器に酢酸エチルを満たした(包みごとに一つの容器を使用した)。これを23℃で7日間静置した後、包みを容器から取り出して130℃で2時間乾燥させた。その後に当該包みの質量(Wmg)を測定した。そして、W~Wの値を下記式に代入することにより、粘着剤層のゲル分率を算出した。その値を表1,2に示す。
【0087】
ゲル分率(%)=[(W-W-W)/W]×100
【0088】
〈せん断貯蔵弾性率〉
実施例1~6および比較例1~3の各粘着剤層について、動的粘弾性を測定した。
【0089】
まず、粘着剤層ごとに、必要数の測定用のサンプルを作製した。具体的には、まず、粘着剤層から切り出した複数の粘着剤層片を貼り合わせて、約1.5mmの厚さのサンプルシートを作製した。次に、このシートを打抜いて、測定用サンプルである円柱状のペレット(直径7.9mm)を得た。
【0090】
そして、測定用サンプルについて、動的粘弾性測定装置(品名「Advanced Rheometric Expansion System (ARES)」,Rheometric Scientific社製)によって動的粘弾性測定を実施した。具体的には、測定用サンプルを、同装置の直径7.9mmのパラレルプレートの治具に固定した後、測定を実施した。本測定において、測定モードをせん断モードとし、測定温度範囲を-40℃~100℃とし、昇温速度を5℃/分とし、周波数を1Hzとした。測定結果から25℃におけるせん断貯蔵弾性率と、測定温度範囲内で最大のせん断貯蔵弾性率とを読み取った。その値を表1,2に示す。
【0091】
〈形状解析〉
実施例1~6および比較例1~3における各粘着剤層について、形状解析レーザー顕微鏡(品名「VK-X1000」,KEYENCE製)によって形状を解析した。具体的には、同顕微鏡により、粘着剤層の端部の位置ずれ長さd(図2図4)、表面保護フィルム(第1カバーフィルム)端部における角度α(図2図4)、粘着剤層端部における角度β(図2,図4)、および、表面保護フィルムのエッジ幅W(図2図4)の最大値と最小値との差を、測定した。その結果を表1,2に示す。角度αに対する角度βの比率(β/α)も、表1,2に示す。位置ずれ長さdは、フィルム端面(図2図4ではフィルム端面12)および当該フィルム端面の延長面(図2図4では延長面12’)に対して直交する方向の長さである。また、エッジ幅Wの最大値と最小値との差は、表面保護フィルムの平面視における周端縁の周方向の長さ(切断長さ)1mmの範囲内での、エッジ幅Wの最大値と最小値と差である。
【0092】
〈端部ブロッキング〉
実施例1~6および比較例1~3の各カバーフィルム付き粘着剤層について、端部ブロッキングのしにくさを調べた。具体的には、まず、カバーフィルム付き粘着剤層ごとに、実質的に同じサイズの10枚の評価サンプルを作製し、10枚の評価サンプルを積み重ねてフィルム束を形成した(第1工程)。次に、フィルム束において一番上に位置するカバーフィルム付き粘着剤層に対し、先端に粘着面を有する円柱のロッド(直径10mm)の先端粘着面を上方から押し付けた後、当該ロッドを上方に引き上げて、ロッドに伴って持ち上がったカバーフィルム付き粘着剤層の枚数を数えた(第2工程)。第1工程とその後の第2工程とからなる試行を、フィルム束ごとに10回行った。10回の試行において、ロッドに伴って持ち上がったカバーフィルム付き粘着剤層が1枚のみであった試行の数が10である場合を“優”と評価し、6~9である場合を“良”と評価し、5以下である場合を“不良”と評価した。その評価結果を表1に示す。
【0093】
〈糊汚れ〉
実施例1~6および比較例1~3の各カバーフィルム付き粘着剤層について、次のようにして、糊汚れの有無・程度を調べた。
【0094】
まず、カバーフィルム付き粘着剤層から、裁断機により、50枚のサンプルフィルム(100mm×50mm)を切り出した。次に、各サンプルフィルムの切断端面を、目視および光学顕微鏡により観察した。そして、切断端面において糊汚れが生じているサンプルフィルム(糊汚れフィルム)の数の、サンプルフィルムの総数50に対する割合(%)を、算出した。糊汚れとは、粘着剤層からはみ出した粘着剤がカバーフィルム(表面保護フィルム,はく離ライナー)の外表面に付着してしまった状態をいうものとする。そして、糊汚れの抑制について、糊汚れフィルムの割合が10%未満である場合を“優”と評価し、糊汚れフィルムの割合が10%以上20%未満である場合を“良”と評価し、糊汚れフィルムの割合が20%以上である場合を“不良”と評価した。これらの結果を表1,2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【符号の説明】
【0097】
X カバーフィルム付き粘着剤層
Y 粘着剤層付き表面保護フィルム
H 厚さ方向
D 面方向
10 カバーフィルム(第1カバーフィルム)
11 第1面
12 フィルム端面
12’ 延長面
20 カバーフィルム(第2カバーフィルム)
20A 延出端部
21 剥離面
22 ハーフカット溝
30 粘着剤層
30A 端部
31 粘着面
32 端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カバーフィルムと、粘着剤層と、第2カバーフィルムとを厚さ方向にこの順で備えるカバーフィルム付き粘着剤層であって、
前記第1カバーフィルムが、前記粘着剤層の側に第1面を有し、且つ当該第1面と鋭角を形成するフィルム端面を有し、
前記第2カバーフィルムが延出端部を有し、当該延出端部は、前記厚さ方向と直交する面方向において前記粘着剤層の端部よりも外方に延出し、
前記フィルム端面、および当該フィルム端面の延長面からの、前記粘着剤層の端部の位置ずれ長さが、5μm以下である、カバーフィルム付き粘着剤層。
【請求項2】
前記粘着剤層のゲル分率が80%以下である、請求項1に記載のカバーフィルム付き粘着剤層。
【請求項3】
前記粘着剤層が5μm以上50μm以下の厚さを有する、請求項1に記載のカバーフィルム付き粘着剤層
【請求項4】
前記第1カバーフィルムにおける前記鋭角の角度が40°以上85°以下である、請求項1に記載のカバーフィルム付き粘着剤層。
【請求項5】
前記粘着剤層が、前記第2カバーフィルムの側に粘着面を有し、且つ当該粘着面と鋭角を形成する粘着剤層端面を有し、前記第1カバーフィルムの前記鋭角の角度に対する前記粘着剤層の前記鋭角の角度の比率が0.9以上1.5以下である、請求項4に記載のカバーフィルム付き粘着剤層。
【請求項6】
平面視において前記第1カバーフィルムの縁端を示すエッジのエッジ幅の最大値と最小値との差が10μm以下である、請求項1から5のいずれか一つに記載のカバーフィルム付き粘着剤層。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明[5]は、前記粘着剤層が、前記第2カバーフィルムの側に粘着面を有し、且つ当該粘着面と鋭角を形成する粘着剤層端面を有し、前記第1カバーフィルムの前記鋭角の角度に対する前記粘着剤層の前記鋭角の角度の比率が0.9以上1.5以下である、上記[4]に記載のカバーフィルム付き粘着剤層を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
粘着剤層30は、好ましくは、粘着面31と鋭角を形成する端面32を有する。この鋭角の角度βは、後述のエッジ幅Wの確保の観点から、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上、更に好ましくは48°以上である。角度βは、カバーフィルム付き粘着剤層Xがデバイス製造ラインを搬送される時にライン汚染を防止する観点から、好ましくは85°以下、より好ましくは80°以下、更に好ましくは75°以下である。角度βの調整方法としては、例えば、後述のレーザー加工におけるレーザー照射条件の調整が挙げられる。