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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109330
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】バッテリの着脱構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240806BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
B60K1/04 A
H01M50/244 Z
H01M50/249
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014065
(22)【出願日】2023-02-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水城 崇
【テーマコード(参考)】
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB24
5H040AA12
5H040AS07
5H040AT06
5H040CC12
5H040CC42
5H040CC58
(57)【要約】
【課題】バッテリを着脱する際の操作性を向上することが可能なバッテリ着脱構造を提供する。
【解決手段】バッテリ着脱構造は、車両に固定され、車両内側位置から略水平方向の車両外側位置に延在するガイド部と、車両走行用のバッテリが載置され、ガイド部により、車両内側位置と車両外側位置との間で移動するように案内される載置台と、載置台にバッテリを拘束する拘束部と、載置台が車両外側位置から車両内側位置に移動操作される場合、バッテリを拘束するように拘束部を操作し、載置台が車両内側位置から車両外側位置に移動操作される場合、バッテリの拘束を解除するように拘束部を操作する操作ケーブルと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に固定され、車両内側位置から略水平方向の車両外側位置に延在するガイド部と、
車両走行用のバッテリが載置され、前記ガイド部により、前記車両内側位置と前記車両外側位置との間で移動するように案内される載置台と、
前記載置台に前記バッテリを拘束する拘束部と、
前記載置台が前記車両外側位置から前記車両内側位置に移動操作される場合、前記バッテリを拘束するように前記拘束部を操作し、前記載置台が前記車両内側位置から前記車両外側位置に移動操作される場合、前記バッテリの拘束を解除するように前記拘束部を操作する操作ケーブルと、
を備える、
バッテリ着脱構造。
【請求項2】
前記操作ケーブルの長さを調整可能な調整機構をさらに備える、
請求項1に記載のバッテリ着脱構造。
【請求項3】
前記操作ケーブルは、前記載置台が前記車両外側位置から前記車両内側位置に移動操作される場合、車両水平方向に撓む、
請求項1または2に記載のバッテリ着脱構造。
【請求項4】
前記拘束部は、前記載置台における車両内外方向の中央位置よりも車両外側の位置に配置されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリ着脱構造。
【請求項5】
前記拘束部は、前記バッテリに固定されるストライカに係合する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリ着脱構造。
【請求項6】
前記ガイド部は、折り返し部を有し、
前記操作ケーブルの長さ方向の一端部は、前記ガイド部に連結され、
前記操作ケーブルの長さ方向の他端部は、前記拘束部に連結され、
前記操作ケーブルの長さ方向の中央部は、前記折り返し部に巻き掛けられるように配置されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリ着脱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリの着脱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリと、バッテリから供給された電力で駆動される電動モータとが搭載される電動車両(Electric Vehicle:EV)において、バッテリをEVに着脱するためのバッテリの着脱構造が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、バッテリを載置する台と、台に載置されたバッテリをカバーするカバー部材と、サービスプラグとを備えるバッテリの着脱構造が記載されている。
【0004】
上記のバッテリの着脱構造において、台は軸部を有する。また、カバーは切欠き部およびストッパ片を有する。また、切欠き部は、車両前後方向を長手方向とした長孔である第1孔部と、カバーの下縁から第1孔部の車両前端部に通じる第2孔部とを有する。軸部は車両前後方向に移動するように、かつ、車両上方向に移動できないように第1孔部に挿通する。軸部が第1孔部の車両後端部の位置から車両前端部の位置に移動することで、軸部が第2孔部を通って切欠き部から離脱することができる。これにより、カバーを台から外すことができるため、バッテリを台から取り出すことが可能となる。軸部が車両上方向に移動できないように第1孔部に挿通することで、カバーが台に対して固定される。サービスプラグは、ストッパ片に当接する位置に差し込まれている。サービスプラグがストッパ片に当接することで、軸部を第1孔部の車両後端部の位置に拘束する。これにより、カバーを台から取り出すことができないようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-154398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のバッテリの着脱構造では、バッテリを台から取り出すために、ユーザは、サービスプラグを引き抜き、軸部を第1孔部の車両後端部の位置から車両前端部の位置に移動できるようにする。また、バッテリを台に装着するために、カバーを台に固定する際に、サービスプラグを差し込み、軸部を第1孔部の車両後端部の位置に拘束する。つまり、バッテリを着脱する際に、ユーザは、バッテリを台に固定または取り出すためには、サービスプラグの抜き差しの操作を個別に行う必要があるため、操作者の負担となっている。
【0007】
本開示の目的は、バッテリを着脱する際の操作性を向上することが可能なバッテリ着脱構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本開示におけるバッテリの着脱構造は、
車両に固定され、車両内側位置から略水平方向の車両外側位置に延在するガイド部と、
車両走行用のバッテリが載置され、前記ガイド部により、前記車両内側位置と前記車両外側位置との間で移動するように案内される載置台と、
前記載置台に前記バッテリを拘束する拘束部と、
前記載置台が前記車両外側位置から前記車両内側位置に移動操作される場合、前記バッテリを拘束するように前記拘束部を操作し、前記載置台が前記車両内側位置から前記車両外側位置に移動操作される場合、前記バッテリの拘束を解除するように前記拘束部を操作する操作ケーブルと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、バッテリを着脱する際の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施の形態におけるバッテリの着脱構造の一例を示す斜視図である。
図2図2は、本開示の実施の形態におけるバッテリの着脱構造の一例を示す側面図である。
図3図3は、載置台が車幅内側位置に移動された場合のバッテリの着脱構造の一例を示す側面図である。
図4図4は、本開示の実施の形態におけるバッテリの着脱構造の一例を示す正面図である。
図5図5は、載置台が車幅内側位置に移動された場合の拘束部の一例を示す側面図である。
図6図6は、載置台が車幅外側位置に移動された場合の拘束部の一例を示す側面図である。
図7図7は、載置台が車幅外側位置に移動された場合の操作ケーブルの一例を示す平面図である。
図8図8は、載置台が車幅内側位置に移動された場合の操作ケーブルの一例を示す平面図である。
図9図9は、載置台が車幅内側位置に移動された場合の操作ケーブルの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本開示の実施の形態におけるバッテリの着脱構造について、図1を参照して説明する。図1は、本開示の実施の形態におけるバッテリの着脱構造の一例を示す斜視図である。図2は、本開示の実施の形態におけるバッテリの着脱構造の一例を示す側面図である。図1には、BL軸、TL軸、WL軸が描かれている。図1において、車幅方向を「BL方向」といい、右上から左下に向かう方向を車幅外側、車幅外方向または「+BL方向」、左下から右上に向かう方向を車幅内側、車幅内方向または「-BL方向」という。また、車両前後方向を「TL方向」といい、左上から右下に向かう方向を車両後側、車両後方向または「+TL方向」、右下から左上に向かう方向を車両前側、車両前方向または「-TL方向」という。また、車両上下方向を「WL方向」といい、上方向を車両上側、車両上方向または「+WL」、下方向を車両下側、車両下方向または「-WL」という。
【0012】
(車両1)
本開示の実施の形態に係るバッテリの着脱構造は、駆動モータに電力を供給するバッテリが搭載される電動車両(Electric Vehicle:EV)に適用される。また、本開示の実施の形態に係るバッテリの着脱構造が適用されるEVは、例えば、トラックや、バスなどの商用車であるが、これに限らず、例えば、建設車両、工事車両、作業車両などの車両でもよい。図2に示すように、車両のフレームは、車両前後方向(TL方向)に互いに離間して配置される一対のサイドメンバー2を有する。
【0013】
(バッテリ3)
図1及び図2に、模式的に描かれた外形形状を有するバッテリ3を示す。バッテリ3は、二次電池であって、略直方体の外形形状を有している。バッテリ3は、第1ストライカ4および第2ストライカ5を有している。第1ストライカ4は、バッテリ3の車幅内側(-BL方向)の壁面から車幅内側に延ばされている。第2ストライカ5は、バッテリ3の車両下側(-WL方向)の壁面(底面)から車両下側に延ばされている。
【0014】
着脱構造100は、ガイド部10と、被ガイド部20と、載置台30と、メインラッチ機構40と、サブラッチ機構50(本開示の「拘束部」に対応する)と、操作ケーブル60と、ガイドレール70と、折り返し部80と、調整機構90とを備えている。
【0015】
(ガイド部10)
ガイド部10は、サイドメンバー2に固定される一対の固定部11,11と、一対の固定部11,11のそれぞれの車両下側(-WL方向)の端部から車幅外側(+BL方向)に延在する一対の延在部12,12とを有する。一対の延在部12,12にベース13(図7を参照)が架設されている。
【0016】
図3は、載置台30が車幅内側位置に移動された場合のバッテリの着脱構造の一例を示す側面図である。また、図4は、本開示の実施の形態におけるバッテリの着脱構造の一例を示す正面図である。
【0017】
一対の延在部12のそれぞれは、Lアングル部材であって、車両前後方向(TL方向)に互いに離れて配置されている。車両前側(-TL方向)に配置された延在部12は、その角部から車両前側に(-TL方向)延ばされた平板部12aと、角部から車両下側(-WL方向)に延ばされた立壁部12bとを有している。車両後側(+TL方向)に配置された延在部12は、その角部から車両後側に延ばされた平板部12aと、角部から車両下側に延ばされた立壁部12bとを有している。
【0018】
(被ガイド部20)
被ガイド部20は、車幅方向(BL方向)を長手方向とし、車両前後方向(TL方向)を短手方向とする矩形状の底部21と、底部21の短手方向の両端のそれぞれから車両上側(+WL方向)に立ち上がる両壁部22,22と、両壁部22,22のそれぞれの車両上側の端から車両前側(-TL方向)および車両後側(+TL方向)のそれぞれの方向に延ばされたフランジ部23,23とを有する。フランジ部23,23のそれぞれには、矩形状断面の中空部を有し、車幅方向に延ばされた筒部24,24が固定されている。
【0019】
(ガイドレール70)
ガイドレール70は、延在部12の車両後側(+TL方向)と車両前側(-TL方向)とにそれぞれ対称的に配置されている。対称的に配置されたガイドレール70のそれぞれは同じ構成を有している。以下、車両前側(-TL方向)に配置されたガイドレール70を代表して説明する。ガイドレール70は、3つのレール71,72,73を3段に組み合わせた構造を有する。3つのレール71,72,73のそれぞれは、車幅外側(+BL方向)に延ばされている。
【0020】
3つのレール71,72,73の中の車両後側(+TL方向)に位置するレール71は筒部24に固定されている。3つのレール71,72,73の中の車両前側(-TL方向)に位置するレール73は、立壁部12bに固定されている。3つのレール71,72,73の車両前後方向の中央に位置するレール72は、レール71およびレール73のそれぞれに対してBL方向に移動可能にベアリング(不図示)を介して支持されている。これにより、3つのレール71,72,73のそれぞれは、車幅方向(BL方向)に互いに移動可能に構成される。
【0021】
被ガイド部20は、延在部12にガイドレール70を介してBL方向に移動可能に支持されている。延在部12、被ガイド部20およびガイドレール70のそれぞれは、載置台30よりも車両下側(-WL方向)に配置されている。換言すれば、載置台30は、延在部12、被ガイド部20およびガイドレール70のそれぞれよりも車両上側(+WL方向)に配置されている。
【0022】
(載置台30)
載置台30に載置されたバッテリ3は、ガイドレール70を介して、延在部12に対して車幅内側位置と車幅外側位置との間を移動可能にされる。なお、車幅内側位置は、本開示の「車両内側位置」に対応する。また、車幅外側位置は、本開示の「車両外側位置」に対応する。
【0023】
載置台30は、表板31と、裏板32と、中板33と、複数のブラケット34とを備えている。
【0024】
表板31は、略矩形状の外形を有する平面31aと、平面31aの車両前側および車両後側のそれぞれの端から車両下側に延ばされたフランジ31b,31bとを備える。
【0025】
裏板32は、表板31の車両下側(-WL方向)に配置されている。裏板32は、裏板32の車両前後方向(TL方向)の中央部に配置され、車両下側に凸設された中央下凸部32aと、裏板32の車両前側(-TL方向)および車両後側(+TL方向)のそれぞれの位置に配置され、車両下側に凸設された端下凸部32bと、中央下凸部32aと端下凸部32bとの間に配置され、車両上側(+WL方向)に凸設された上凸部32cと、を有する。端下凸部32bは、平板部12aの平面に沿うように延ばされ、平板部12aに車両上側から当接している。
【0026】
中板33は、表板31の車両下側(-WL方向)かつ裏板32の車両上側(+WL方向)に配置されている。換言すれば、中板33は、車両上下方向(WL方向)において表板31と裏板32との間に挟まれるように配置されている。中板33は、中板33の車両前後方向(TL方向)の中央部に配置され、車両下側に凸設された中央下凸部33aと、中板33の車両前側(-TL方向)および車両後側(+TL方向)のそれぞれの位置に配置され、車両下側に凸設された端下凸部33bと、中央下凸部33aと端下凸部33bとの間に配置され、車両上側(+WL方向)に凸設された上凸部33cと、を有する。
【0027】
中央下凸部33aは、中央下凸部32aに車両上側(+WL方向)から当接している。端下凸部33bは、端下凸部32bの平面に沿うように延ばされ、端下凸部32bに車両上側から当接するとともに、フランジ31bの車両下側端部に車両下側から当接している。上凸部33cは、表板31に車両下側から当接している。
【0028】
複数のブラケット34のそれぞれは、表板31の車両上側面に固定されている。複数のブラケット34のそれぞれは、バッテリ3の底部が有する車両上側(+WL方向)に凹設された複数の凹部のそれぞれに車両下側(-WL方向)から嵌まるように配置されている。バッテリ3は、載置台30上に載置される場合、凹部にブラケット34が嵌まることで、車幅方向(BL方向)かつ車両前後方向(TL方向)に位置決めされる。
【0029】
(メインラッチ機構40)
メインラッチ機構40は、バッテリ3を車幅内側位置に拘束するように第1ストライカ4に係合する公知の技術が用いられる。例えば、メインラッチ機構40は、本体41と、本体41の内部に配置され、第1ストライカ4に係合する係合位置と第1ストライカ4から離脱する離脱位置とに移動可能にされるラッチ42と、ラッチ42を係合位置から離脱位置に移動する方向に付勢する部材(不図示)と、ラッチ42を係合位置に拘束する拘束位置とラッチ42を拘束解除する拘束解除位置とに移動可能にされるポール43と、ポール43を拘束位置から拘束解除位置に駆動するため駆動モータ44とを備える。
【0030】
(サブラッチ機構50)
図5は、載置台が車幅内側位置に移動された場合の拘束部の一例を示す側面図である。図6は、載置台が車幅外側位置に移動された場合の拘束部の一例を示す側面図である。サブラッチ機構50は、バッテリ3を載置台30に載置された載置位置(車両下側位置)に拘束するように第2ストライカ5に係合する(図3図5を参照)。サブラッチ機構50は、バッテリ3を拘束解除するように第2ストライカ5から離脱する(図2図6を参照)。
【0031】
サブラッチ機構50は、本体51と、本体51の内部に配置され、第2ストライカ5に係合する係合位置と第2ストライカ5から離脱する離脱位置とに移動可能にされるラッチ52と、ラッチ52を係合位置から離脱位置に移動する方向に付勢する部材(不図示)と、ラッチ52を係合位置に拘束する拘束位置とラッチ52を拘束解除する拘束解除位置とに移動可能にされるポール53とを備える。なお、ポール53は、拘束解除位置から拘束位置に移動する方向に付勢されている。
【0032】
サブラッチ機構50は、載置台30における車幅内外方向(BL方向)の中央位置よりも車幅外側(+BL方向)の位置に配置されている。
【0033】
(操作ケーブル60)
図7は、載置台が車幅外側位置に移動された場合の操作ケーブルの一例を示す平面図である。図8は、載置台が車幅内側位置に移動された場合の操作ケーブルの一例を示す平面図である。図9は、載置台が車幅内側位置に移動された場合の操作ケーブルの一例を示す斜視図である。
【0034】
操作ケーブル60は、載置台30が車幅外側位置から車幅内側位置に移動操作される場合、バッテリ3を拘束するように、載置台30が車幅内側位置から車幅外側位置に移動操作される場合、バッテリ3の拘束を解除するようにポール53を操作する。
【0035】
操作ケーブル60は、アウターケーシング61およびインナーワイヤ62を有する。操作ケーブル60の長さ方向の中央部は、折り返し部80に巻き掛けられるように配置されている。インナーワイヤ62の長さ方向の一端部は被係止部63を有する。被係止部63は、調整機構90を介してガイド部10(ベース13)に係止される。アウターケーシング61の長さ方向の他端部は、ブラケット64を介してサブラッチ機構50(本体51)に連結されている。インナーワイヤ62の長さ方向の他端部は、サブラッチ機構50(ポール53)に連結されている。
【0036】
(折り返し部80)
折り返し部80は、プレート81と、壁82と、ゲート83と、ゲート84とを有する。
【0037】
プレート81は、ベース13に固定されている。プレート81は、矩形状の外形形状を有する平板を有する。
【0038】
壁82は、プレート81から車両上方向(+WL方向)に立設されている。壁82は、半円筒形状壁部82aと、車両前側壁部82bと、車両後側壁部82cとを有している。
【0039】
半円筒形状壁部82aは、所定の半径を有する円弧状の壁である。半円筒形状壁部82aは、車幅内側(-BL方向)に突出している。所定の半径は、操作ケーブル60が半円筒形状壁部82aに巻き掛けられる場合、操作ケーブル60が半円筒形状壁部82aに対して円滑に相対移動できるように設定される。また、所定の半径は、サブラッチ機構50および調整機構90のそれぞれの車両前後方向(TL方向)の位置に対応して設定される。
【0040】
車両前側壁部82bは、半円筒形状壁部82aの車両前側の端から車両後側(-TL方向)に折り曲げられている。
【0041】
車両後側壁部82cは、半円筒形状壁部82aの車両後側の端から車両前側(+TL方向)に折り曲げられている。
【0042】
ゲート83は、半円筒形状壁部82aの車両前側の端部に対応する位置に配置されている。ゲート84は、半円筒形状壁部82aの車両後側の端部に対応する位置に配置されている。ゲート83およびゲート84のそれぞれは同じ構成をしている。以下、ゲート83を代表して説明する。ゲート83は、プレート81に立設される両脚部と、両脚部のそれぞれの車両上側端部同士を架設する架設部とを有する。両脚部および架設部は、操作ケーブル60を車幅方向(BL方向)に通す通し穴を構成する。架設部は、車両上側に所定半径で湾曲する湾曲部を有している。両脚部間の幅や、湾曲部の半径は、操作ケーブル60の通過し易さ等の観点から、実験やシミュレーションの結果に基づいて設定される。
【0043】
(操作ケーブル60と折り返し部80との関係)
次に、操作ケーブル60と折り返し部80との関係について説明する。バッテリ3が図8に示す車幅内側位置にあるとき操作ケーブル60の長さ方向の中央部は撓んだ状態にあって、半円筒形状壁部82aに巻き掛けられていない。
【0044】
バッテリ3が車幅内側位置から車幅外側位置に移動される途中である途中位置において、操作ケーブル60の長さ方向の中央部が半円筒形状壁部82aに巻き掛けられる。操作ケーブル60が半円筒形状壁部82aに巻き掛けられることで、操作ケーブル60の長さ方向の一端部と操作ケーブル60の長さ方向の中央部との間が直線状に張られる。また、操作ケーブル60の長さ方向の他端部と操作ケーブル60の長さ方向の中央部との間が直線状に張られる。このとき、インナーワイヤ62の他端部とポール53との間に相対移動はない。換言すれば、ポール53はインナーワイヤ62に引っ張られていない。ポール53はラッチ52を係合位置に拘束する拘束位置にある。
【0045】
バッテリ3が途中位置から図7に示す車幅外側位置に移動されると、ポール53がインナーワイヤ62に引っ張られる。これにより、ポール53によるラッチ52の拘束が解除され、ラッチ52が付勢力によって係合位置から第2ストライカ5から離脱する離脱位置に移動する。
【0046】
(調整機構90)
次に、調整機構90について図7を参照して説明する。
調整機構90は、スライド部91と、係止部92と、ボルト93(図7におけるA-A断面図を参照)とを有する。
【0047】
スライド部91は、車幅方向(BL方向)を長手方向とする長穴94を有する短冊状平板を有する。
【0048】
係止部92は、スライド部91の車幅内側(-BL方向)の端から車両上側(+WL方向)に折り曲げられた第1折り曲げ部95と、折り曲げ部の端から車幅外側(+BL方向)に折り曲げられた第2折り曲げ部96とを有している。係止部92は、スリット97を有している。スリット97は、第1折り曲げ部95の車両上下方向の中央部から車両上側端に向かって切り込まれ、さらに、第2折り曲げ部96の車幅内側端(第1折り曲げ部95の車両上側端)から車幅外側の端縁に切り込まれた溝を有している。スリット97には、インナーワイヤ62が通され、被係止部63が係止部92に係止されている。
【0049】
ボルト93は、頭部とネジ部とを有する。頭部はベース13に固定されている。ネジ部は、車両下側(-WL方向)から長穴94を通って車両上側(+WL方向)に突出している。ネジ部の車両上側端部にはナット98が螺合している。
【0050】
スライド部91は、ネジ部の車両上側端部に螺合するナット98によって、車幅方向(BL方向)の所定位置に固定される。スライド部91は、ナット98を緩めることで、車幅方向の位置調整可能にされる。スライド部91の車幅方向の位置が調整されることで、操作ケーブル60の長さ調整が可能となる。サブラッチ機構50等の取り付け位置や、操作ケーブル60の長さにバラツキがある場合の個体差を解消することができる。
【0051】
次に、バッテリの着脱構造100の動作の一例について説明する。
【0052】
(車幅内側位置)
図3は、車幅内側位置に移動されたバッテリ3および載置台30を示す。また、図8は、車幅内側位置に移動されたサブラッチ機構50を示す。
図3に示すラッチ42は第1ストライカ4に係合している。これにより、バッテリ3が車幅内側位置に拘束される。また、図3に示すラッチ52は第2ストライカ5に係合している。これにより、バッテリ3が載置台30(サブラッチ機構50)に拘束される。また、図8に示すように、操作ケーブル60は、ベース13上で(車両水平方向)に撓んだ状態になっている。
【0053】
(車幅内側位置から車幅外側位置へ移動操作)
バッテリ3を車幅内側位置から車幅外側位置へ移動操作する場合、ユーザの操作によって、ポール43が拘束位置から拘束解除位置に移動するように駆動モータ44を駆動させる。これにより、ラッチ42が付勢力によって係合位置から離脱位置に移動して、ラッチ42が第1ストライカ4から離脱するため、ユーザの操作によって、バッテリ3を車幅内側位置から車幅外側位置へ移動することが可能となる。
【0054】
ユーザの操作によって、バッテリ3(載置台30)を車幅内側位置から車幅外側位置に移動する。バッテリ3の車幅内側位置から車幅外側位置への移動に応じて、操作ケーブル60の長さ方向の中央部が半円筒形状壁部82aに巻き掛けられた状態となる。その結果、操作ケーブル60がベース13上で(車両水平方向)に撓んだ状態から引っ張られた状態に変化する。そして、バッテリ3がさらに車幅外側に移動されると、インナーワイヤ62がポール53を引っ張る引っ張り力が生じて、ポール53が拘束位置から拘束解除位置に移動し、ポール53がラッチ52の拘束を解除する。これにより、ラッチ52が付勢力によって係合位置から離脱位置に移動する。
【0055】
(車幅外側位置)
図2は、車幅外側位置に移動されたバッテリ3および載置台30を示す。また、図7は、車幅外側位置に移動されたサブラッチ機構50を示す。
図2に示すラッチ52は付勢力によって係合位置から離脱位置に移動している。これにより、バッテリ3がサブラッチ機構50から拘束解除される。
【0056】
(バッテリ3の着脱操作)
バッテリ3(載置台30)が車幅外側位置に移動されたとき、バッテリ3がサブラッチ機構50から拘束解除されているため、ユーザの操作によって、バッテリ3を載置台30から取り外すことが可能となる。また、バッテリ3を載置台30に載置することが可能となる。バッテリ3を載置台30に載置すると、第2ストライカ5がラッチ52を押し込む。これにより、ラッチ52が付勢力に抗して離脱位置から係合位置に移動して、ラッチ52が第2ストライカ5に係合する。
【0057】
(車幅外側位置から車幅内側位置へ移動操作)
ユーザの操作によって、バッテリ3が載置された載置台30を車幅外側位置から車幅内側位置に移動する。バッテリ3の車幅外側位置から車幅内側位置への移動に応じて、インナーワイヤ62がポール53を引っ張る引っ張り力が減少し、ポール53を付勢する付勢力が引っ張り力よりも大きくなると、ポール53が拘束解除位置から拘束位置に移動し、ポール53がラッチ52を係合位置に拘束する。
【0058】
また、バッテリ3(載置台30)が車幅外側位置から車幅内側位置へ移動すると、操作ケーブル60の長さ方向の中央部が半円筒形状壁部82aに巻き掛けられた状態からほどける。その結果、操作ケーブル60がベース13上で(車両水平方向)に撓んだ状態となる。
【0059】
また、バッテリ3(載置台30)が車幅中側位置に移動すると、第1ストライカ4がラッチ42を押し込む。これにより、ラッチ42が離脱位置から係合位置に移動し、ラッチ42が第1ストライカ4に係合する。そして、ポール43が拘束解除位置から拘束位置に移動し、ラッチ42を係合位置に拘束する。これにより、バッテリ3が車幅内側位置に拘束される。
【0060】
以上のように、バッテリ3が載置された載置台30を車幅内側位置から車幅外側位置に移動操作することで、特別な操作を行うことなく、バッテリ3を載置台30から取り外し可能となる。また、バッテリ3を載置台30に載置することで、バッテリ3が載置された載置台30を車幅外側位置から車幅内側へ移動操作することで、特別な操作を行うことなく、バッテリ3を載置台30から取り外し不可となる。これにより、バッテリの着脱する際の操作性を上げることが可能となる。
【0061】
上記実施の形態におけるバッテリの着脱構造100は、車両1に固定され、車幅内側位置から略水平方向の車幅外側位置に延在するガイド部10と、車両走行用のバッテリ3が載置され、ガイド部10により、車幅内側位置と車幅外側位置との間で移動するように案内される載置台30と、載置台30にバッテリ3を拘束するサブラッチ機構50と、載置台30が車幅外側位置から車幅内側位置に移動操作される場合、バッテリ3を拘束するように、載置台30が車幅内側位置から車幅外側位置に移動操作される場合、バッテリ3の拘束を解除するようにサブラッチ機構50を操作する操作ケーブル60と、を備える。
【0062】
上記構成によれば、バッテリ3が載置された載置台30を車幅内側位置から車幅外側位置に移動操作することで、特別な操作を行うことなく、操作ケーブル60がサブラッチ機構50を操作して、バッテリ3の拘束が解除されて、バッテリ3を載置台30から取り外し可能となる。また、バッテリ3を載置台30に載置し、バッテリ3が載置された載置台30を車幅外側位置から車幅内側へ移動操作することで、特別な操作を行うことなく、操作ケーブル60がサブラッチ機構50を操作して、バッテリ3が拘束されて、バッテリ3を載置台30から取り外し不可となる。これにより、バッテリの着脱する際の操作性を上げることが可能となる。
【0063】
また、上記実施の形態におけるバッテリの着脱構造100では、前記操作ケーブルの長さを調整可能な調整機構をさらに備える。これにより、操作ケーブル60の長さにバラツキがある場合の個体差を解消することが可能となる。また、ブラケット64などの操作ケーブル60の取り付け部品や、取り付け位置にバラツキがある場合であっても、そのバラツキを解消することが可能となる。
【0064】
また、上記実施の形態におけるバッテリの着脱構造100では、操作ケーブル60は、載置台30が車幅外側位置から車幅内側位置に移動操作される場合、車両水平方向に撓む。これにより、例えば、操作ケーブル60が車両下側に撓まないため、例えば、操作ケーブル60が地面に落下している物体などと干渉するのを回避することが可能となる。
【0065】
また、上記実施の形態におけるバッテリの着脱構造100では、サブラッチ機構50は、載置台30における車幅内外方向の中央位置よりも車幅外側に配置されている。サブラッチ機構50の位置が中央位置よりも車幅外側に寄って配置されているため、操作ケーブル60の全長を、中央位置に配置される場合の操作ケーブル60の長さよりも長くすることができるため、長さ方向の調整代を十分に設けることができる。これにより、例えば、操作ケーブル60の個体差によってラッチ52の解除操作がし難くなるのを改善することが可能となる。
【0066】
また、上記実施の形態におけるバッテリの着脱構造100では、サブラッチ機構50は、バッテリ3に固定される第2ストライカ5に係合する。これにより、バッテリ3に第2ストライカ5を配置する簡単な構成で、バッテリ3を載置台30(サブラッチ機構50)に拘束することが可能となる。
【0067】
また、上記実施の形態におけるバッテリの着脱構造100では、ガイド部10は、折り返し部80を有し、操作ケーブル60の長さ方向の一端部は、ガイド部10に連結され、操作ケーブルの長さ方向の他端部は、サブラッチ機構50に連結され、操作ケーブル60の長さ方向の中央部は、折り返し部80に巻き掛けられるように配置されている。操作ケーブル60の長さ方向の中央部が折り返し部80に巻き掛けられるため、操作ケーブル60が折り返し部80に巻き掛けられないで、単に車幅方向に延ばされる場合に比べて、操作ケーブル60の全長を長くすることができるため、操作ケーブル60の長さ方向の調整代を十分に設けることができる。
【0068】
なお、上記実施の形態では、バッテリ3(載置台30)の移動方向である車両内外方向を、車幅内外方向としたが、本開示ではこれに限らず、車両前後方向であってもよい。また、バッテリの着脱構造100の設置場所をサイドメンバー2としたが、車両を構成する構成部品であればよい。
【0069】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、バッテリを着脱する際の操作性を向上することが要求されるバッテリの着脱構造を備えた車両に好適に利用される。
【符号の説明】
【0071】
1 車両
2 サイドメンバー
3 バッテリ
4 第1ストライカ
5 第2ストライカ
10 ガイド部
11 固定部
12 延在部
12a 平板部
12b 立壁部
13 ベース
20 被ガイド部
21 底部
22 壁部
23 フランジ部
24 筒部
30 載置台
31 表板
31a 平面
31b フランジ
32 裏板
32a 中央下凸部
32b 端下凸部
32c 上凸部
33 中板
33a 中央下凸部
33b 端下凸部
33c 上凸部
34 ブラケット
40 メインラッチ機構
41 本体
42 ラッチ
43 ポール
44 駆動モータ
50 拘束部(サブラッチ機構)
51 本体
52 ラッチ
53 ポール
60 操作ケーブル
61 アウターケーシング
62 インナーワイヤ
63 被係止部
64 ブラケット
70 ガイドレール
71 レール
72 レール
73 レール
80 折り返し部
81 プレート
82 壁
82a 半円筒形状壁部
82b 車両前側壁部
82c 車両後側壁部
83 ゲート
84 ゲート
90 調整機構
91 スライド部
92 係止部
93 ボルト
94 長穴
95 第1折り曲げ部
96 第2折り曲げ部
97 スリット
98 ナット
100 バッテリの着脱構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に固定され、車両内側位置から略水平方向の車両外側位置に延在するガイド部と、
車両走行用のバッテリが載置され、前記ガイド部により、前記車両内側位置と前記車両外側位置との間で移動するように案内される載置台と、
前記載置台に前記バッテリを拘束する拘束部と、
前記載置台が前記車両外側位置から前記車両内側位置に移動操作される場合、前記バッテリを拘束するように前記拘束部を操作し、前記載置台が前記車両内側位置から前記車両外側位置に移動操作される場合、前記バッテリの拘束を解除するように前記拘束部を操作する操作ケーブルと、
を備える、
バッテリ着脱構造。
【請求項2】
前記操作ケーブルの長さを調整可能な調整機構をさらに備える、
請求項1に記載のバッテリ着脱構造。
【請求項3】
前記操作ケーブルは、前記載置台が前記車両外側位置から前記車両内側位置に移動操作される場合、車両水平方向に撓む、
請求項1または2に記載のバッテリ着脱構造。
【請求項4】
前記拘束部は、前記載置台における車両内外方向の中央位置よりも車両外側の位置に配置されている、
請求項に記載のバッテリ着脱構造。
【請求項5】
前記拘束部は、前記バッテリに固定されるストライカに係合する、
請求項に記載のバッテリ着脱構造。
【請求項6】
前記ガイド部は、折り返し部を有し、
前記操作ケーブルの長さ方向の一端部は、前記ガイド部に連結され、
前記操作ケーブルの長さ方向の他端部は、前記拘束部に連結され、
前記操作ケーブルの長さ方向の中央部は、前記折り返し部に巻き掛けられるように配置されている、
請求項に記載のバッテリ着脱構造。