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特開2024-109333電力変換装置、制御装置、及び分散型電源システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109333
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電力変換装置、制御装置、及び分散型電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240806BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240806BHJP
   H02J 3/16 20060101ALI20240806BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02M7/48 R
H02J3/16
H02J3/38 160
H02J3/38 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014070
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】重政 隆
(72)【発明者】
【氏名】小浦 弘之
【テーマコード(参考)】
5G066
5H770
【Fターム(参考)】
5G066AA03
5G066AE09
5G066DA04
5G066DA06
5G066FA01
5G066HB01
5G066HB02
5G066HB03
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5H770BA11
5H770CA04
5H770CA05
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA11
5H770DA22
5H770HA02W
5H770HA03W
5H770HA03Y
5H770HA04Y
(57)【要約】
【課題】計測値のノイズへの耐性を高めつつ、系統特性の変化への追従性も高めることができる電力変換装置、制御装置、及び分散型電源システムを提供する。
【解決手段】分散型電源の電力を電力系統に対応した交流電力に変換する主回路部と、主回路部の動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定値演算部を有し、推定値演算部は、所定の期間の複数の有効電力値、複数の無効電力値、及び複数の電圧値を含む期間データに対して共分散行列適応進化戦略を適用することにより、抵抗成分の推定値、リアクタンス成分の推定値、及び電圧値の推定値を演算する推定部を有する電力変換装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型電源の電力を無限大母線電力系統につながる電力系統に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給することにより、前記分散型電源を前記電力系統と連系させる電力変換装置であって、
前記分散型電源の前記電力を、前記電力系統に対応した前記交流電力に変換する主回路部と、
前記主回路部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記電力系統との連系点の有効電力値、前記連系点の無効電力値、及び前記連系点の電圧値を基に、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定値演算部と、
前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を基に、前記電力系統に供給する無効電力の無効電力指令値を演算する無効電力演算部と、
所定の有効電力及び前記無効電力指令値に対応する無効電力を出力するように、前記主回路部を駆動する駆動回路と、
を有し、
前記推定値演算部は、所定の期間の複数の前記有効電力値、複数の前記無効電力値、及び複数の前記電圧値を含む期間データの入力を受け、入力された前記期間データに対して共分散行列適応進化戦略を適用することにより、前記期間データを基に、前記電力系統の前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定部を有する電力変換装置。
【請求項2】
前記推定部は、
前記抵抗成分と前記リアクタンス成分と前記電圧値とを多変量正規分布の平均ベクトルとして設定し、
前記多変量正規分布に従う複数の探索点を演算し、
前記複数の探索点のそれぞれの評価値を演算し、
前記評価値を基に、評価の高い上位数個の探索点を抽出し、
抽出した前記上位数個の探索点を基に、前記多変量正規分布を更新し、
所定の終了条件を満たすまで前記複数の探索点の演算から前記多変量正規分布の更新までの演算を繰り返し実行し、
最終回の演算で更新された前記多変量正規分布の前記平均ベクトルに含まれる前記抵抗成分、前記リアクタンス成分、及び前記電圧値を前記電力系統の前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値、及び前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値として演算する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記複数の探索点のそれぞれは、前記抵抗成分、前記リアクタンス成分、及び前記電圧値のそれぞれの値を含むベクトルであり、
前記推定部は、
前記期間データに含まれる複数の前記有効電力値、複数の前記無効電力値、及び前記複数の探索点に含まれる前記抵抗成分、前記リアクタンス成分、及び前記電圧値のそれぞれの値を基に、1つの前記探索点に対し、前記期間データに含まれる複数の前記電圧値の数に応じた複数の前記電圧の演算値を演算し、
前記期間データに含まれる前記電圧値と前記演算値との誤差を、前記期間データに含まれる複数の前記電圧値のそれぞれについて演算し、
前記電圧値と前記演算値との誤差の絶対値の総和を1つの前記探索点の前記評価値として演算し、
前記評価値の小さい前記探索点の評価を高くし、前記複数の探索点のうち、前記評価値の小さい上位数個の探索点を抽出する請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記推定値演算部は、前記有効電力値、前記無効電力値、及び前記電圧値の入力を受け、入力された前記有効電力値、前記無効電力値、及び前記電圧値を基に、前記期間データを生成し、生成した前記期間データを前記推定部に入力するデータ生成部をさらに有し、
前記データ生成部は、前記所定の期間の経過に応じて前記期間データを生成した後、次の前記有効電力値、前記無効電力値、及び前記電圧値の入力を受けた際に、最も古い前記有効電力値、前記無効電力値、及び前記電圧値のデータを削除し、入力された新しい前記有効電力値、前記無効電力値、及び前記電圧値のデータを追加することにより、次の前記期間データを生成する移動窓の処理を行う請求項1記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記推定値演算部は、選択部をさらに有し、
前記推定部は、入力された1つの前記期間データに対して前記共分散行列適応進化戦略を用いた演算を複数回実行することにより、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値の評価値と、を含む出力データを入力された1つの前記期間データから複数生成し、生成した複数の前記出力データを前記選択部に入力し、
前記選択部は、前記評価値を基に、入力された複数の前記出力データから最適な1つの出力データを選択し、選択した1つの前記出力データに含まれる前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値を前記無効電力演算部に入力する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記推定値演算部は、選択部をさらに有し、
前記推定部は、前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値を前記選択部に入力し、
前記選択部は、前記推定部から前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値の入力を受けるとともに、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分、及び前記無限大母線電力系統の電圧値のそれぞれの事前設定値の入力を受け、入力された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値が所定の範囲内に収まっている場合には、入力された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値を前記無効電力演算部に入力し、収まっていない場合には、前記事前設定値を前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値として前記無効電力演算部に入力する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記事前設定値は、前日の同じ時間帯に前記無効電力演算部に出力された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値の前日値である請求項6記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記推定値演算部は、選択部をさらに有し、
前記推定部は、前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値を前記選択部に入力し、
前記選択部は、前記推定部から前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値の入力を受けるとともに、前回の演算において前記無効電力演算部に入力した前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値の前回値の入力を受け、入力された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値が所定の範囲内に収まっている場合には、入力された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値を前記無効電力演算部に入力し、収まっていない場合には、前記前回値を前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値として前記無効電力演算部に入力する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項9】
分散型電源の電力を無限大母線電力系統につながる電力系統に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給することにより、前記分散型電源を前記電力系統と連系させる電力変換装置の動作を制御する制御装置であって、
前記電力変換装置との通信を行う通信部と、
前記電力変換装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電力系統との連系点の有効電力値、前記連系点の無効電力値、及び前記連系点の電圧値を基に、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定値演算部を有し、前記推定値演算部によって演算された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値に応じた無効電力を前記電力変換装置に出力させるように、前記電力変換装置の動作を制御し、
前記推定値演算部は、所定の期間の複数の前記有効電力値、複数の前記無効電力値、及び複数の前記電圧値を含む期間データの入力を受け、入力された前記期間データに対して共分散行列適応進化戦略を適用することにより、前記期間データを基に、前記電力系統の前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定部を有する制御装置。
【請求項10】
分散型電源と、
前記分散型電源の電力を無限大母線電力系統につながる電力系統に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給することにより、前記分散型電源を前記電力系統と連系させる電力変換装置と、
を備え、
前記電力変換装置は、
前記分散型電源の前記電力を、前記電力系統に対応した前記交流電力に変換する主回路部と、
前記主回路部の動作を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記電力系統との連系点の有効電力値、前記連系点の無効電力値、及び前記連系点の電圧値を基に、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定値演算部と、
前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を基に、前記電力系統に供給する無効電力の無効電力指令値を演算する無効電力演算部と、
所定の有効電力及び前記無効電力指令値に対応する無効電力を出力するように、前記主回路部を駆動する駆動回路と、
を有し、
前記推定値演算部は、所定の期間の複数の前記有効電力値、複数の前記無効電力値、及び複数の前記電圧値を含む期間データの入力を受け、入力された前記期間データに対して共分散行列適応進化戦略を適用することにより、前記期間データを基に、前記電力系統の前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定部を有する分散型電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置、制御装置、及び分散型電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統に接続された太陽光発電機、風力発電機、バッテリなどの分散型電源を用いた分散型電源システムにおいて、分散型電源の連系点の電圧変動分を補償するように、分散型電源から連系点に無効電力を注入することが行われている。無効電力の注入は、分散型電源の電力を電力系統に応じた電力に変換する電力変換装置によって制御される。また、分散型電源システムは、電力変換装置の動作を制御する制御装置を備える場合がある。
【0003】
例えば、分散型電源の連系点からみた見かけの系統特性を最小二乗法や拡張カルマンフィルタなどの演算手法を用いることによって推定し、推定結果に基づいた無効電力を注入することが検討されている。これにより、系統インピーダンスなどに対応した無効電力を注入することができ、系統インピーダンスが大きい場合などにも電圧の変動を抑制することができる。
【0004】
系統特性の推定は、例えば、電力系統との連系点の有効電力、無効電力、及び電圧などの計測値に基づいて行われる。しかしながら、こうした計測値には、計測誤差などにともなうノイズが重畳する可能性がある。また、系統特性は、例えば、電力系統網内での遮断器の入り切りによる経路変更、あるいは直近の負荷や電源のトリップなどにより、急激に大きく変化する場合がある。
【0005】
ノイズに強い演算手法を用いて系統特性の推定を行った場合には、系統特性が変化した場合に、変化後の系統特性を適切に推定するまでに時間がかかってしまうことが懸念される。反対に、系統特性の変化に対する追従性の高い演算手法を用いた場合には、計測値にノイズが重畳した場合に、系統特性の推定の誤差がノイズの影響によって大きくなってしまうことが懸念される。
【0006】
このように、計測値のノイズへの耐性を高めようとすると、系統特性の変化への追従性が低下してしまい、系統特性の変化への追従性を高めようとすると、計測値に重畳するノイズにも過敏に反応して系統特性の推定の誤差が大きくなってしまう恐れがある。
【0007】
このため、電力変換装置、電力変換装置の動作を制御する制御装置、及びこれらを用いた分散型電源システムでは、計測値のノイズへの耐性を高めつつ、系統特性の変化への追従性も高められるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-63525号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Nikolaus Hansen. The CMA Evolution Strategy: A Tutorial. 2005. hal-01297037
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態は、計測値のノイズへの耐性を高めつつ、系統特性の変化への追従性も高めることができる電力変換装置、制御装置、及び分散型電源システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態によれば、分散型電源の電力を無限大母線電力系統につながる電力系統に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給することにより、前記分散型電源を前記電力系統と連系させる電力変換装置であって、前記分散型電源の前記電力を、前記電力系統に対応した前記交流電力に変換する主回路部と、前記主回路部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電力系統との連系点の有効電力値、前記連系点の無効電力値、及び前記連系点の電圧値を基に、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定値演算部と、前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を基に、前記電力系統に供給する無効電力の無効電力指令値を演算する無効電力演算部と、所定の有効電力及び前記無効電力指令値に対応する無効電力を出力するように、前記主回路部を駆動する駆動回路と、を有し、前記推定値演算部は、所定の期間の複数の前記有効電力値、複数の前記無効電力値、及び複数の前記電圧値を含む期間データの入力を受け、入力された前記期間データに対して共分散行列適応進化戦略を適用することにより、前記期間データを基に、前記電力系統の前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定部を有する電力変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
計測値のノイズへの耐性を高めつつ、系統特性の変化への追従性も高めることができる電力変換装置、制御装置、及び分散型電源システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る分散型電源システムを模式的に表すブロック図である。
図2】実施形態に係る分散型電源システムの電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
図3】実施形態に係る推定値演算部を模式的に表すブロック図である。
図4】推定部の動作を模式的に表すフローチャートである。
図5図5(a)及び図5(b)は、期間データの一例を模式的に表すグラフである。
図6図6(a)~図6(d)は、推定部の演算結果の一例を模式的に表すグラフである。
図7】実施形態に係る推定値演算部の変形例を模式的に表すブロック図である。
図8】実施形態に係る推定値演算部の変形例を模式的に表すブロック図である。
図9】実施形態に係る推定値演算部の変形例を模式的に表すブロック図である。
図10】実施形態に係る分散型電源システムの変形例を模式的に表すブロック図である。
【0014】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0015】
図1は、実施形態に係る分散型電源システムを模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、分散型電源システム2は、無限大母線電力系統3につながる電力系統4と、分散型電源6と、電力変換装置10と、を備える。電力系統4の電力は、交流電力である。電力系統4の電力は、例えば、三相交流電力である。
【0016】
分散型電源6は、例えば、ソーラーパネルである。分散型電源6の電力は、直流電力である。電力変換装置10は、分散型電源6と接続されるとともに、変圧器12、14などを介して電力系統4と接続される。電力変換装置10は、分散型電源6の直流電力を電力系統4に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を電力系統4に供給することにより、分散型電源6を電力系統4と連系させる。
【0017】
分散型電源6は、ソーラーパネルに限ることなく、例えば、風力発電機やガスタービン発電機などの他の発電機でもよい。また、分散型電源6は、例えば、蓄電池やコンデンサなどを用いた蓄電装置などでもよい。分散型電源6の電力は、直流電力に限ることなく、交流電力などでもよい。電力変換装置10の構成は、分散型電源6から供給された電力を電力系統4に対応した交流電力に変換可能な任意の構成でよい。
【0018】
電力系統4の直近には、分散型電源6及び電力変換装置10の他に、例えば、需要家16(負荷)や他の発電機18などが接続される可能性がある。電力変換装置10は、分散型電源6の出力に基づき、有効電力を電力系統4に供給するとともに、最適な無効電力を電力系統4に供給する。これにより、電力変換装置10は、自身の有効電力の供給、及び需要家16や発電機18の影響によって、電力系統4との連系点LPの電圧が変動してしまうことを抑制する。
【0019】
分散型電源システム2は、例えば、複数の分散型電源6と、複数の分散型電源6のそれぞれに対応する複数の電力変換装置10と、を備える。但し、分散型電源システム2に設けられる分散型電源6の台数及び電力変換装置10の台数は、任意の数でよい。分散型電源6の台数及び電力変換装置10の台数は、1台でもよい。また、電力変換装置10の台数は、必ずしも分散型電源6の台数と同じでなくてもよい。例えば、1台の電力変換装置10に対して複数台の分散型電源6を接続してもよい。
【0020】
図2は、実施形態に係る分散型電源システムの電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
図2に表したように、電力変換装置10は、主回路部40と、制御部42と、を有する。主回路部40は、分散型電源6から供給された直流電力又は交流電力を、電力系統4に対応した交流電力に変換する。制御部42は、主回路部40の動作を制御する。
【0021】
主回路部40は、例えば、複数のスイッチング素子を有し、複数のスイッチング素子のオン・オフにより、電力の変換を行う。制御部42は、主回路部40の複数のスイッチング素子のオン・オフの切り替えを制御することにより、主回路部40による電力の変換を制御する。主回路部40には、例えば、周知のインバータ回路が用いられる。主回路部40の構成は、上記の電力変換を行うことができる任意の構成でよい。
【0022】
分散型電源システム2は、例えば、計測装置20、22をさらに備える。計測装置20は、分散型電源6から電力変換装置10に入力される直流電圧の電圧値Vdc、及び分散型電源6から電力変換装置10に入力される直流電流の電流値Idcを検出し、検出した電圧値Vdc及び電流値Idcを制御部42に入力する。
【0023】
制御部42は、例えば、直流電力を分散型電源6の最大電力点に追従させるMPPT(Maximum Power Point Tracking)方式の制御を行う。制御部42は、例えば、計測装置20によって検出された電圧値Vdc及び電流値Idcを基に、分散型電源6の最大電力点(最適動作点)を抽出し、抽出した最大電力点に応じた有効電力を電力系統4に供給するように、主回路部40の動作を制御する。
【0024】
但し、電力変換装置10から電力系統4に供給する有効電力の決定方法は、MPPT方式に限るものではない。電力変換装置10から電力系統4に供給する有効電力は、例えば、上位のコントローラなどから入力される有効電力指令値に基づいて決定してもよい。制御部42は、入力された有効電力指令値に応じた有効電力を電力系統4に供給するように、主回路部40の動作を制御してもよい。
【0025】
計測装置22は、電力変換装置10の電力系統4との連系点LPの有効電力値Pと、連系点LPの無効電力値Qと、連系点LPの電圧値Vsと、を検出し、検出した有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを制御部42に入力する。
【0026】
制御部42は、推定値演算部50と、無効電力演算部52と、駆動回路54と、を有する。制御部42は、計測装置22から入力された有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを推定値演算部50に入力する。
【0027】
推定値演算部50は、計測装置22から入力された有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを基に、電力系統4の系統インピーダンスの抵抗成分Rの推定値^Rと、電力系統4の系統インピーダンスのリアクタンス成分Xの推定値^Xと、無限大母線電力系統3の電圧値Vrの推定値^Vrと、を演算する。なお、^Rなどの推定値を表す^(ハット)は、図2などに表すように、Rなどの直上に表記されるものであるが、明細書中においては、書式形式の都合により、^Rのように、ずらして表記するものとする。
【0028】
推定値演算部50は、換言すれば、有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを基に、電力系統4の系統特性を推定する。この際、推定値演算部50は、図2に表したように、電力系統4の系統モデルを系統インピーダンスの抵抗成分R及びリアクタンス成分Xのみの最も簡素な系統モデルとして考える。推定値演算部50は、演算した各推定値^R、^X、^Vrを無効電力演算部52に入力する。
【0029】
無効電力演算部52は、推定値演算部50から入力された各推定値^R、^X、^Vrを基に、電力系統4に供給する無効電力の無効電力指令値Qopを演算する。無効電力演算部52は、演算した無効電力指令値Qopを駆動回路54に入力する。
【0030】
無効電力演算部52は、例えば、次の(1)式により、各推定値^R、^X、^Vrから無効電力指令値Qopを演算する。無効電力演算部52は、各推定値^R、^X、^Vr及び有効電力値Pを基に、最適な無効電力指令値Qopを演算する。なお、(1)式において、「sign」は、符号関数である。
【数1】
【0031】
駆動回路54には、無効電力演算部52で演算された無効電力指令値Qopが入力されるとともに、計測装置20で計測された分散型電源6の電圧値Vdc及び電流値Idcが入力される。
【0032】
駆動回路54は、電圧値Vdc及び電流値Idcに基づくMPPT方式の制御によって有効電力を決定し、決定した有効電力及び無効電力指令値Qopに対応する無効電力を出力するように、主回路部40を駆動する。駆動回路54は、主回路部40の複数のスイッチング素子のオン・オフを切り替えることにより、決定した有効電力及び無効電力指令値Qopに対応する無効電力を、主回路部40から電力系統4に供給する。
【0033】
計測装置22及び推定値演算部50は、定期的に有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを取得する。推定値演算部50は、有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを取得する毎に、各推定値^R、^X、^Vrを演算(予測)する。
【0034】
無効電力演算部52は、推定値演算部50から各推定値^R、^X、^Vrが入力される毎に、無効電力指令値Qopを演算する。駆動回路54は、無効電力指令値Qopが入力される毎に、主回路部40の制御信号を生成し、有効電力及び無効電力を主回路部40から電力系統4に供給する。制御部42は、上記の処理を繰り返すことにより、分散型電源6に応じた有効電力を電力系統4に供給するとともに、電力系統4の系統特性に応じた無効電力を電力系統4に随時供給する。
【0035】
このように、有効電力及び無効電力を電力系統4に供給することにより、電力変換装置10から電力系統4への有効電力の供給や、需要家16及び発電機18などの影響による連系点LPの電圧の変動を抑制することができる。例えば、連系点LPの電圧値Vsの変動を±2%以内に抑えることができる。
【0036】
図3は、実施形態に係る推定値演算部を模式的に表すブロック図である。
図3に表したように、推定値演算部50は、データ生成部60と、推定部62と、を有する。
【0037】
データ生成部60は、計測装置22から入力された有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを基に、所定の期間の複数の有効電力値P、複数の無効電力値Q、及び複数の電圧値Vsを含む期間データの生成を行う。データ生成部60は、生成した期間データを推定部62に入力する。
【0038】
データ生成部60は、例えば、計測装置22から入力された有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを所定の期間記憶することにより、計測装置22からの入力に基づいて期間データを生成する。
【0039】
計測装置22は、例えば、有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsの検出を数秒周期で行う。この場合、所定の期間は、例えば、5分間~30分間などの数分間の期間である。例えば、計測装置22の計測の周期が5秒間で、所定の期間が30分間である場合には、期間データは、それぞれ360個の有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを含むデータである。但し、期間データの所定の期間は、上記に限ることなく、任意の期間でよい。計測装置22の計測の周期は、上記に限ることなく、任意の周期でよい。
【0040】
また、データ生成部60は、例えば、移動窓の処理によって期間データの生成を行う。データ生成部60は、所定の期間の経過に応じて期間データを生成した後に、計測装置22から次の有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsの入力を受けた際に、最も古い有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsのデータを削除し、入力された新しい有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsのデータを追加することにより、次の期間データを生成する。この場合、データ生成部60は、計測装置22から有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsの入力を受ける毎に期間データを生成し、生成した期間データを推定部62に入力する。
【0041】
但し、データ生成部60による期間データの生成方法は、上記に限定されるものではない。データ生成部60は、例えば、期間データを生成する毎に、有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsのデータの蓄積を最初から始めることにより、所定の期間の経過毎に期間データを生成してもよい。有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsの各データは、計測装置22に限ることなく、例えば、上位のコントローラなどからデータ生成部60に入力してもよい。データ生成部60の構成は、有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsの入力を受け、入力された有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを基に、所定の期間の複数の有効電力値P、複数の無効電力値Q、及び複数の電圧値Vsを含む期間データの生成を行うことが可能な任意の構成でよい。
【0042】
また、期間データは、必ずしも推定値演算部50(データ生成部60)で生成しなくてもよい。期間データは、例えば、計測装置22や上位のコントローラなどで生成してもよい。推定値演算部50は、例えば、計測装置22や上位のコントローラなどから期間データの入力を受け、入力された期間データを推定部62に入力する構成としてもよい。このように、データ生成部60は、推定値演算部50に必要に応じて設けられ、省略可能である。計測装置22や上位のコントローラなどの外部の機器から期間データを推定値演算部50に入力する場合には、データ生成部60は、推定値演算部50から省略される。
【0043】
推定部62は、期間データの入力を受け、入力された期間データに対して共分散行列適応進化戦略(CMA-ES:Covariance Matrix Adaptation Evolution Strategy)を適用することにより、期間データを基に、電力系統4の系統インピーダンスの抵抗成分Rの推定値^Rと、電力系統4の系統インピーダンスのリアクタンス成分Xの推定値^Xと、無限大母線電力系統3の電圧値Vrの推定値^Vrと、を演算する。推定部62は、換言すれば、共分散行列適応進化戦略を用いることにより、期間データを代表する系統特性(^R、^X、^Vr)を演算する。
【0044】
共分散行列適応進化戦略は、確率変数ベクトルの確率分布を表す多変量正規分布N(m,σC)を用いて解の探索を行う手法である。ここで、mは、平均ベクトルであり、Cは、共分散行列(分散共分散行列)であり、σは、ステップサイズである。平均ベクトルmは、解である抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrのそれぞれの平均値を表すベクトルである。ステップサイズσは、探索地点と最適解との距離に応じて増減するスカラー値であり、共分散行列Cの補正を行うことにより、探索速度を高める役割を持つパラメータである。
【0045】
図4は、推定部の動作を模式的に表すフローチャートである。
図4は、より詳しくは、推定部62による共分散行列適応進化戦略を用いた系統特性の推定演算の動作の一例を表す。
【0046】
推定部62は、系統特性の演算を行う場合、まず、データ生成部60などから入力された期間データを共分散行列適応進化戦略の入力データとして設定する(図4のステップS101)。
【0047】
推定部62は、期間データを設定した後、共分散行列適応進化戦略の各パラメータの初期化を行う(図4のステップS102)。推定部62は、共分散行列Cを単位行列で初期化する。推定部62は、抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrのそれぞれの平均値の初期値R、X、Vrで平均ベクトルmを初期化する。初期値R、X、Vrは、例えば、電力系統4において取り得る抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrの代表的な値に設定される。推定部62は、ステップサイズσを初期値σに初期化する。初期値σは、探索空間(R、X、Vr)に応じた0以上の任意の値に設定される。
【0048】
また、推定部62は、共分散行列適応進化戦略に用いられる共分散行列Cの進化パスp、及びステップサイズσの進化パスpσを0に初期化する。進化パスp及び進化パスpσは、過去の世代における個体の移動方向を累積することで、最適化の安定性を高めるためのものである。
【0049】
推定部62は、各パラメータの初期化を行った後、多変量正規分布N(m,σC)に従う複数の探索点xの演算を行う(図4のステップS103)。推定部62は、λ個の探索点xを演算によって生成する。探索点xの数λは、例えば、目的関数の入力次元数をNとする時に、λ=4+3・ln Nによって求められる。この例において、入力次元数Nは、抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrの3であるから、λは、例えば、7である。すなわち、推定部62は、7個の探索点xを生成する。但し、探索点xの数λは、上記に限ることなく、任意の値でよい。
【0050】
推定部62は、λ個の探索点xの演算において、まず、共分散行列Cを以下の形に固有値分解する。なお、下式において、Bは、直交行列である。Dは、共分散行列Cの固有値の平方根を対角要素とする対角行列である。Tは、転置を表す。
C=BDDB
次に、推定部62は、標準正規分布N(0,I)から入力次元数Nに応じた数の乱数を含むベクトルzを生成する。この例では、3個の正規分布乱数を含むベクトルzを生成する。推定部62は、ベクトルzを生成した後、下式により、探索点xを演算する。
y=BDz
x=m+σy
上式において、yは、標準正規分布から生成されたベクトルzの線形変換を表す。推定部62は、ベクトルzの生成、及び探索点xの演算をλ回繰り返すことにより、λ個の探索点xを演算する。複数の探索点xのそれぞれは、換言すれば、乱数的に発生させた抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrのそれぞれの値を含むベクトルである。
【0051】
推定部62は、λ個の探索点xを演算した後、各探索点xのそれぞれの評価値の演算を行う(図4のステップS104)。推定部62は、評価値の演算において、まず、期間データに含まれる複数の有効電力値P、複数の無効電力値Q、及びλ個の探索点xに含まれる抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrのそれぞれの値を基に、次の(2)式により、連系点LPの電圧の演算値Vseを演算する。
【数2】
【0052】
推定部62は、1つの探索点xに対し、期間データに含まれるデータ数に応じた複数の電圧の演算値Vseを演算する。例えば、前述のように、期間データが、360個の有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsのデータを含む場合、推定部62は、1つの探索点xに対し、360個の電圧の演算値Vseを演算する。
【0053】
推定部62は、1つの探索点xに対し、期間データに含まれる複数のデータのそれぞれに対応する複数の電圧の演算値Vseを演算した後、期間データに含まれる実際の計測値である電圧値Vsと演算値Vseとの誤差(Vs-Vse)を演算する。
【0054】
推定部62は、より詳しくは、期間データに含まれる1つのデータの有効電力値P、及び無効電力値Qと、1つの探索点xの抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrと、を基に、上記の(2)式によって電圧の演算値Vseを演算し、同じデータに含まれる電圧値Vsと演算値Vseとの誤差を演算する。
【0055】
推定部62は、上記の誤差を期間データに含まれる複数のデータのそれぞれについて演算した後、次の(3)式のように、電圧値Vsと演算値Vseとの誤差の絶対値の総和を1つの探索点xの電圧に関する評価値Jvとして演算する。
【数3】
【0056】
また、推定部62は、期間データに含まれる複数の有効電力値P、及びλ個の探索点xに含まれる抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrのそれぞれの値を基に、上記の(1)式により、無効電力の演算値Qopを演算する。
【0057】
推定部62は、1つの探索点xに対し、期間データに含まれる複数のデータのそれぞれに対応する複数の無効電力の演算値Qopを演算した後、期間データに含まれる実際の計測値である無効電力値Qと演算値Qopとの誤差(Q-Qop)を演算する。
【0058】
推定部62は、より詳しくは、期間データに含まれる1つのデータの有効電力値Pと、1つの探索点xの抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrと、を基に、上記の(1)式によって無効電力の演算値Qopを演算し、同じデータに含まれる無効電力値Qと演算値Qopとの誤差を演算する。
【0059】
推定部62は、上記の誤差を期間データに含まれる複数のデータのそれぞれについて演算した後、次の(4)式のように、無効電力値Qと演算値Qopとの誤差の絶対値の総和を1つの探索点xの無効電力に関する評価値Jqとして演算する。なお、(3)式及び(4)式において、nは、期間データに含まれるデータ数に相当する。
【数4】
【0060】
推定部62は、上記の電圧に関する評価値Jvの演算、及び無効電力に関する評価値Jqの演算をλ個の探索点xのそれぞれについて実行する。
【0061】
推定部62は、λ個の探索点xのそれぞれの評価値Jv、Jqを演算した後、評価値Jvを基に、評価の高い上位μ個の探索点xの抽出を行う(図4のステップS105)。
【0062】
上位の探索点xの数μは、例えば、λ/2の整数値によって決定される。例えば、λが7である場合、μは、3である。推定部62は、例えば、7個の探索点xのうち、評価の高い3個の探索点xを抽出する。
【0063】
推定部62は、電圧に関する評価値Jvの小さい探索点xの評価を高くする。換言すれば、推定部62は、実際の計測値である電圧値Vsと演算値Vseとの誤差の小さい探索点xの評価を高くする。すなわち、推定部62は、λ個の探索点xのうち、評価値Jvの小さい上位μ個の探索点xを抽出する。
【0064】
推定部62は、上位μ個の探索点xの抽出を行った後、抽出したμ個の探索点xを基に、共分散行列適応進化戦略の各パラメータの更新を行う(図4のステップS106)。推定部62は、換言すれば、抽出したμ個の探索点xを基に、多変量正規分布N(m,σC)の更新を行う。
【0065】
推定部62は、各パラメータの更新において、まず、次の(5)式により、上位μ個の探索点xに対応するyの加重平均yを重みwを用いて演算する。
【数5】
【0066】
重みwは、例えば、次の(6)式に表すように、μ個の探索点xのそれぞれの重みwの総和が1となるように求められる。
【数6】
【0067】
推定部62は、加重平均yを演算した後、次の(7)式により、平均ベクトルmの更新を行う。なお、(7)式において、cは、平均ベクトルmの学習率を表す。cは、例えば、1に設定することが推奨された任意の係数である。
【数7】
【0068】
推定部62は、次に、ステップサイズσの更新を行う。推定部62は、ステップサイズσの更新において、まず、次の(8)式により、ステップサイズσの進化パスpσの更新を行う。
【数8】
【0069】
なお、(8)式において、cσは、進化パスpσの学習率を表す。μeffは、次の(9)式によって表される。
【数9】
【0070】
推定部62は、進化パスpσを更新した後、更新後の進化パスpσを用いて、以下の(10)式により、ステップサイズσの更新を行う。なお、(10)式において、dσは、ステップサイズσの更新の減衰パラメータである。
【数10】
【0071】
推定部62は、次に、共分散行列Cの更新を行う。推定部62は、共分散行列Cの更新において、まず、次の(11)式により、共分散行列Cの進化パスpの更新を行う。
なお、(11)式において、cは、進化パスpの学習率を表す。hσは、進化パスであり、ステップサイズσが大きすぎる時に共分散行列Cの進化パスpの更新を中止する役割を持つ。
【数11】
【0072】
推定部62は、進化パスpを更新した後、更新後の進化パスpを用いて、次の(12)式により、共分散行列Cの更新を行う。
【数12】
【0073】
なお、(12)式において、cは、共分散行列Cのrank-one更新の学習率を表す。cμは、rank-μ更新の学習率を表す。δ(hσ)は、δ(hσ)=(1-hσ)c(2-c)と表すことができる。Σwは、次の(13)式によって表される。
【数13】
【0074】
また、(12)式において、第1項のcδ(hσ)-c-cμΣwの部分は、必要に応じて設けられ、省略可能である。換言すれば、cδ(hσ)-c-cμΣw=0とすることができる。
【0075】
推定部62は、上記のように共分散行列適応進化戦略の各パラメータの更新を行った後、系統特性の推定演算の終了条件を満たしたか否かの判定を行う(図4のステップS107)。
【0076】
推定部62は、終了条件を満たしていないと判定した場合には、ステップS103の処理に戻る。推定部62は、例えば、ステップS103からステップS106までの演算の回数、及び評価値Jvを基に、終了判定を行う。推定部62は、例えば、演算回数が予め設定された所定回数未満であり、かつ評価値Jvが所定値以上である場合には、終了条件を満たしていないと判定する。そして、推定部62は、演算回数が所定回数に到達した場合、又は評価値Jvが所定値未満となった場合に、終了条件を満たしたと判定する。
【0077】
このように、推定部62は、例えば、演算回数が所定回数に到達するまで、又は評価値Jvが所定値未満となり、系統特性の推定演算が十分に収束したと判定されるまで、ステップS103からステップS107までの演算を繰り返し実行する。ここで、判定に用いる評価値Jvは、最終回の演算で更新された平均ベクトルmに含まれる抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrのそれぞれの平均値と期間データとを基に、探索点xの場合と同様の手順で演算した評価値Jvである。また、終了条件は、上記に限定されるものではない。推定部62は、例えば、演算回数のみで終了判定を行ってもよい。
【0078】
推定部62は、終了条件を満たしたと判定した場合には、最終回の演算で更新された平均ベクトルmに含まれる抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrのそれぞれの平均値を、電力系統4の系統インピーダンスの抵抗成分Rの推定値^R、電力系統4の系統インピーダンスのリアクタンス成分Xの推定値^X、及び無限大母線電力系統3の電圧値Vrの推定値^Vrとして出力する。
【0079】
以上のように、推定部62は、期間データに対して共分散行列適応進化戦略を適用することにより、期間データを基に、電力系統4の系統インピーダンスの抵抗成分Rの推定値^Rと、電力系統4の系統インピーダンスのリアクタンス成分Xの推定値^Xと、無限大母線電力系統3の電圧値Vrの推定値^Vrと、を演算する。
【0080】
推定部62は、例えば、抵抗成分Rとリアクタンス成分Xと電圧値Vrとを多変量正規分布N(m,σC)の平均ベクトルmとして設定し、多変量正規分布N(m,σC)に従う複数の探索点xを演算し、複数の探索点xのそれぞれの評価値Jvを演算し、評価値Jvを基に、評価の高い上位数個の探索点xを抽出し、抽出した上位数個の探索点xを基に、多変量正規分布N(m,σC)を更新し、所定の終了条件を満たすまで複数の探索点xの演算から多変量正規分布N(m,σC)の更新までの演算を繰り返し実行し、最終回の演算で更新された多変量正規分布N(m,σC)の平均ベクトルmに含まれる抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrを電力系統4の系統インピーダンスの抵抗成分Rの推定値^R、電力系統4の系統インピーダンスのリアクタンス成分Xの推定値^X、及び無限大母線電力系統3の電圧値Vrの推定値^Vrとして演算する。
【0081】
図5(a)及び図5(b)は、期間データの一例を模式的に表すグラフである。
図6(a)~図6(d)は、推定部の演算結果の一例を模式的に表すグラフである。
図5(a)は、期間データに含まれる有効電力値P、及び無効電力値Qの一例を模式的に表す。
図5(b)は、期間データに含まれる電圧値Vsの一例を模式的に表す。
図6(a)は、図5に表した期間データを基に、推定部62によって演算された評価値Jv、及びステップサイズσの一例を模式的に表す。
図6(b)は、図5に表した期間データを基に、推定部62によって演算された電力系統4の系統インピーダンスの抵抗成分Rの推定値^Rの一例を模式的に表す。
図6(c)は、図5に表した期間データを基に、推定部62によって演算された電力系統4の系統インピーダンスのリアクタンス成分Xの推定値^Xの一例を模式的に表す。
図6(d)は、図5に表した期間データを基に、推定部62によって演算された無限大母線電力系統3の電圧値Vrの推定値^Vrの一例を模式的に表す。
【0082】
図6(a)~図6(d)では、図5に表した期間データを基に、図4のステップS103~ステップS107の処理を2000回繰り返した例を示している。図6(a)~図6(d)に表したように、この例では、ステップS103~ステップS107の処理を800回程度繰り返すことにより、各推定値^R、^X、^Vr、及び評価値Jvがほぼ一定になり、収束していることが分かる。また、探索地点と最適解との距離に応じたステップサイズσは、演算回数の増加に応じて徐々に小さくなり、0に近付いていることが分かる。なお、評価値Jvは、終了判定に用いた評価値Jvを表している。
【0083】
図5(b)には、移動窓の処理によって有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsの入力毎に生成される期間データを基に演算された無限大母線電力系統3の電圧値Vrの推定値^Vrの一例、及び演算された各推定値^R、^X、^Vrを基に、上記の(2)式と同様の式に基づいて演算した電圧Vsの演算値Vshの一例を、期間データに含まれる電圧値Vsの一例とともに表している。
【0084】
図5(b)に表したように、演算値Vshは、計測値である電圧値Vsに追従しており、共分散行列適応進化戦略によって各推定値^R、^X、^Vrを適切に推定できていることが分かる。
【0085】
以上、説明したように、本実施形態に係る分散型電源システム2及び電力変換装置10では、電力変換装置10の制御部42に設けられた推定部62が、期間データに対して共分散行列適応進化戦略を適用することにより、各推定値^R、^X、^Vrを演算する。
【0086】
推定部62は、所定の期間の複数の有効電力値P、複数の無効電力値Q、及び複数の電圧値Vsを含む期間データを基に、各推定値^R、^X、^Vrを演算する。これにより、例えば、計測値である有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsにノイズが重畳している場合にも、1つの有効電力値P、無効電力値Q、及び電圧値Vsを基に各推定値^R、^X、^Vrを演算する演算手法などと比べて、ノイズへの耐性を高めることができる。
【0087】
さらに、系統特性が変化した場合にも、変化後の期間データを取得することで、変化後の系統特性を適切に推定することができる。すなわち、期間データの長さ以上に系統特性の変化への追従が遅れてしまうことを抑制することができる。従って、計測値のノイズへの耐性を高めつつ、系統特性の変化への追従性も高めることができる電力変換装置10、及び分散型電源システム2を提供することができる。電力変換装置10、及び分散型電源システム2では、期間データを代表する系統特性を高精度・高信頼に推定することができる。
【0088】
本実施形態に係る電力変換装置10では、例えば、電力系統4の系統特性をより適切に推定し、連系点LPの電圧変動をより適切に抑制することができる。本実施形態に係る電力変換装置10では、適切な無効電力を連系点LPに注入することで、連系点LPの電圧Vsの変動をより適切に抑制できるとともに、出力する交流電力の力率を改善し、より効率良く有効電力を電力系統4に供給することができる。これにより、例えば、分散型電源システム2から電力系統4への有効電力の供給量を増大させ、分散型電源システム2の事業主の売電収入の増加を見込むことができる。
【0089】
また、共分散行列適応進化戦略を用いた演算では、勾配を計算する必要などがなく、データのフィルタ前処理なども不要である。このため、例えば、推定部62の演算負荷が高くなってしまうことを抑制することもできる。例えば、共分散行列適応進化戦略を用いた演算により、推定部62の構成が複雑になってしまうことなどを抑制することもできる。
【0090】
また、本実施形態に係る電力変換装置10では、推定値演算部50が、データ生成部60を有し、データ生成部60は、移動窓の処理によって期間データの生成を行う。これにより、電力系統4の系統特性をより適切に推定し、連系点LPの電圧変動をより適切に抑制することができる。
【0091】
図7は、実施形態に係る推定値演算部の変形例を模式的に表すブロック図である。
図7に表したように、推定値演算部50aは、選択部64をさらに有する。なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものには、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0092】
この例において、推定部62は、入力された1つの期間データに対して共分散行列適応進化戦略を用いた演算を複数回実行することにより、電力系統4の系統インピーダンスの抵抗成分Rの推定値^Rと、電力系統4の系統インピーダンスのリアクタンス成分Xの推定値^Xと、無限大母線電力系統3の電圧値Vrの推定値^Vrと、を含む出力データを入力された1つの期間データから複数生成し、生成した複数の出力データを選択部64に入力する。
【0093】
推定部62は、例えば、複数の演算器を有し、1つの期間データを複数の演算器に入力し、複数の演算器のそれぞれで共分散行列適応進化戦略を用いた演算を実行することにより、複数の出力データを生成する。これに限ることなく、推定部62は、例えば、1つの期間データを1つの演算器で繰り返し演算することにより、複数の出力データを生成してもよい。図7では、推定部62において5つの出力データを生成する例を示している。生成する出力データの数は、5つに限ることなく、任意の数でよい。
【0094】
また、推定部62は、出力データに各推定値^R、^X、^Vrの評価値Jvを含める。換言すれば、推定部62は、各推定値^R、^X、^Vrと評価値Jvとを含む出力データを生成する。推定部62は、例えば、終了判定に用いた評価値Jvを出力データに含める。換言すれば、推定部62は、例えば、最終回の演算で更新された平均ベクトルmに含まれる抵抗成分R、リアクタンス成分X、及び電圧値Vrのそれぞれの平均値と期間データとを基に演算した評価値Jvを出力データに含める。
【0095】
選択部64は、入力された複数の出力データから最適な1つの出力データを選択する。選択部64は、各出力データに含まれる評価値Jvを基に、複数の出力データのうち評価値Jvの最も小さい出力データを最適な1つの出力データとして選択する。選択部64は、選択した1つの出力データに含まれる各推定値^R、^X、^Vrを無効電力演算部52に入力する。
【0096】
本願発明者は、鋭意の検討の結果、共分散行列適応進化戦略を用いた演算では、同じ期間データを用いて演算を行ったとしても、各推定値^R、^X、^Vrの演算結果が一意ではないことを見出した。これは、λ個の探索点xの生成に乱数を用いているためであると推察される。すなわち、λ個の探索点xの乱数の生成具合によって、各推定値^R、^X、^Vrの演算結果にバラツキが生じるものと推察される。
【0097】
このため、推定値演算部50aでは、1つの期間データから複数の出力データを生成し、各出力データの中から評価値Jvの最も小さい出力データを最適な1つの出力データとして選択する。これにより、電力系統4の系統特性をより適切に推定し、連系点LPの電圧変動をより適切に抑制することができる。
【0098】
図8は、実施形態に係る推定値演算部の変形例を模式的に表すブロック図である。
図8に表したように、推定値演算部50bでは、選択部64が、推定部62から複数の出力データの入力を受けるとともに、電力系統4の系統インピーダンスの抵抗成分R、電力系統4の系統インピーダンスのリアクタンス成分X、及び無限大母線電力系統3の電圧値Vrのそれぞれの事前設定値Rd、Xd、Vrdの入力を受ける。
【0099】
事前設定値Rd、Xd、Vrdは、例えば、電力系統4での安全を考えた保守的な系統特性に設定される。事前設定値Rd、Xd、Vrdは、例えば、共分散行列適応進化戦略の演算に用いられる初期値R、X、Vrと同じでもよい。
【0100】
事前設定値Rd、Xd、Vrdは、例えば、前日の同じ時間帯に無効電力演算部52に出力された各推定値^R、^X、^Vr(前日値)としてもよい。例えば、分散型電源システム2が太陽光発電システムである場合には、朝や夜の時間帯の発電量が小さく、日中の時間帯の発電量が大きい。そして、これにともなって電力系統4の系統特性にも時間帯に応じた傾向が発生する可能性がある。従って、事前設定値Rd、Xd、Vrdを前日値とした場合には、時間帯の傾向を考慮した系統特性とすることができる。
【0101】
但し、事前設定値Rd、Xd、Vrdは、上記に限定されるものではない。例えば、各時間帯の前日までの週毎や月毎の平均値などを事前設定値Rd、Xd、Vrdとして設定してもよい。事前設定値Rd、Xd、Vrdは、電力系統4での安全性を考慮した任意の系統特性でよい。
【0102】
制御部42は、例えば、図示を省略した記憶部を有し、事前設定値Rd、Xd、Vrdを記憶部に記憶させる。事前設定値Rd、Xd、Vrdは、例えば、記憶部から選択部64に入力される。記憶部は、推定値演算部50b内に設けてもよいし、制御部42内の別の位置に設けてもよい。事前設定値Rd、Xd、Vrdは、例えば、上位のコントローラなどの外部機器、あるいは電力変換装置10に設けられた操作部などから選択部64に入力してもよい。選択部64への事前設定値Rd、Xd、Vrdの入力方法は、上記に限ることなく、任意の方法でよい。
【0103】
選択部64は、推定部62から入力された複数の出力データに含まれる各推定値^R、^X、^Vrのそれぞれについて、所定の範囲内に収まっているか否かの判定を行う。より詳しくは、選択部64は、複数の出力データのそれぞれについて、推定値^Rが推定値^R用の所定範囲内に収まっているか否か、推定値^Xが推定値^X用の所定範囲内に収まっているか否か、推定値^Vrが推定値^Vr用の所定範囲内に収まっているか否かを判定する。
【0104】
選択部64は、各推定値^R、^X、^Vrのいずれかが所定の範囲から外れていると判定した場合には、その出力データを選択対象から除外する。選択部64は、各推定値^R、^X、^Vrのそれぞれが所定の範囲内に収まっている出力データがある場合には、各推定値^R、^X、^Vrのそれぞれが所定の範囲内に収まっている出力データの中から評価値Jvの最も小さい出力データを最適な1つの出力データとして選択する。
【0105】
一方、選択部64は、複数の出力データのいずれも各推定値^R、^X、^Vrのいずれかが所定の範囲から外れている場合には、事前設定値Rd、Xd、Vrdを選択し、事前設定値Rd、Xd、Vrdを各推定値^R、^X、^Vrとして無効電力演算部52に入力する。換言すれば、選択部64は、各推定値^R、^X、^Vrのそれぞれが所定の範囲内に収まっている出力データがない場合には、事前設定値Rd、Xd、Vrdを各推定値^R、^X、^Vrとして無効電力演算部52に入力する。
【0106】
このように、推定値演算部50bでは、事前設定値Rd、Xd、Vrdが、選択部64に入力され、選択部64は、複数の出力データのいずれも各推定値^R、^X、^Vrのいずれかが所定の範囲から外れている場合には、事前設定値Rd、Xd、Vrdを各推定値^R、^X、^Vrとして無効電力演算部52に入力する。
【0107】
これにより、何らかの不具合などによって現実的ではない推定値^R、^X、^Vrが演算されてしまったとしても、現実的ではない推定値^R、^X、^Vrに基づいて主回路部40の動作が制御されてしまうことを抑制することができる。従って、連系点LPの電圧変動をより適切に抑制することができる。
【0108】
なお、図8に表した例では、選択部64に複数の出力データと事前設定値Rd、Xd、Vrdと、を入力している。これに限ることなく、推定部62で演算された1つの推定値^R、^X、^Vrと、事前設定値Rd、Xd、Vrdと、を選択部64に入力する構成としてもよい。
【0109】
選択部64は、入力された各推定値^R、^X、^Vrが所定の範囲内に収まっているか否かを判定し、収まっていると判定した場合には、入力された各推定値^R、^X、^Vrを無効電力演算部52に入力し、収まっていないと判定した場合に、事前設定値Rd、Xd、Vrdを各推定値^R、^X、^Vrとして無効電力演算部52に入力してもよい。
【0110】
図9は、実施形態に係る推定値演算部の変形例を模式的に表すブロック図である。
図9に表したように、推定値演算部50cでは、選択部64が、推定部62から複数の出力データの入力を受けるとともに、前回の演算において無効電力演算部52に入力した各推定値^R、^X、^Vrの前回値Rp、Xp、Vrpの入力を受ける。
【0111】
図8に表した例と同様に、選択部64は、複数の出力データのいずれも各推定値^R、^X、^Vrのいずれかが所定の範囲から外れている場合に、前回値Rp、Xp、Vrpを選択し、前回値Rp、Xp、Vrpを各推定値^R、^X、^Vrとして無効電力演算部52に入力する。換言すれば、選択部64は、各推定値^R、^X、^Vrのそれぞれが所定の範囲内に収まっている出力データがない場合に、前回値Rp、Xp、Vrpを各推定値^R、^X、^Vrとして無効電力演算部52に入力する。
【0112】
このように、推定値演算部50cでは、前回値Rp、Xp、Vrpが、選択部64に入力され、選択部64は、複数の出力データのいずれも各推定値^R、^X、^Vrのいずれかが所定の範囲から外れている場合には、前回値Rp、Xp、Vrpを各推定値^R、^X、^Vrとして無効電力演算部52に入力する。
【0113】
これにより、図8に表した例と同様に、何らかの不具合などによって現実的ではない推定値^R、^X、^Vrが演算されてしまったとしても、現実的ではない推定値^R、^X、^Vrに基づいて主回路部40の動作が制御されてしまうことを抑制することができる。従って、連系点LPの電圧変動をより適切に抑制することができる。
【0114】
図8に表した例と同様に、推定値演算部50cにおいても、推定部62で演算された1つの推定値^R、^X、^Vrと、前回値Rp、Xp、Vrpと、を選択部64に入力する構成としてもよい。
【0115】
選択部64は、入力された各推定値^R、^X、^Vrが所定の範囲内に収まっているか否かを判定し、収まっていると判定した場合には、入力された各推定値^R、^X、^Vrを無効電力演算部52に入力し、収まっていないと判定した場合に、前回値Rp、Xp、Vrpを各推定値^R、^X、^Vrとして無効電力演算部52に入力してもよい。
【0116】
さらには、図8の構成と図9の構成とを組み合わせ、複数の出力データ又は1つの推定値^R、^X、^Vrを選択部64に入力するとともに、事前設定値Rd、Xd、Vrdと前回値Rp、Xp、Vrpとを選択部64に入力してもよい。
【0117】
例えば、太陽光発電システムにおける朝の稼働時など、制御部42が動作を開始した1回目の演算においては、適切な前回値Rp、Xp、Vrpが存在しない可能性がある。このため、選択部64は、前回値Rp、Xp、Vrpが存在しない状態において各推定値^R、^X、^Vrのそれぞれが所定の範囲内に収まっている出力データがない場合に、事前設定値Rd、Xd、Vrdを選択し、前回値Rp、Xp、Vrpが存在する状態において各推定値^R、^X、^Vrのそれぞれが所定の範囲内に収まっている出力データがない場合に、前回値Rp、Xp、Vrpを選択してもよい。
【0118】
図10は、実施形態に係る分散型電源システムの変形例を模式的に表すブロック図である。
図10に表したように、分散型電源システム2aは、制御装置100をさらに備える。制御装置100は、分散型電源システム2aに設けられた複数の電力変換装置10のそれぞれの動作を制御する。制御装置100は、例えば、メインサイトコントローラなどと呼ばれる場合がある。但し、制御装置100は、複数台の電力変換装置10に限ることなく、1台の電力変換装置10の動作を制御してもよい。
【0119】
制御装置100は、通信部102と、制御部104と、を備える。通信部102は、電力変換装置10との通信を行う。通信部102は、例えば、複数の電力変換装置10のそれぞれと通信を行う。なお、通信部102と電力変換装置10との間の通信は、有線でもよいし、無線を介してもよい。
【0120】
制御部104は、推定値演算部110を有する。推定値演算部110の構成は、上記実施形態に関して説明した推定値演算部50~50cのいずれかの構成と同様とすることができる。制御部104は、推定値演算部110によって演算された各推定値^R、^X、^Vrに応じた無効電力を各電力変換装置10に出力させるように、各電力変換装置10の動作を制御する。
【0121】
制御部104は、例えば、上記実施形態に関して説明した無効電力演算部52と同様の無効電力演算部を有し、無効電力演算部によって演算された無効電力指令値を各電力変換装置10に入力することにより、各推定値^R、^X、^Vrに応じた無効電力を各電力変換装置10に出力させるように、各電力変換装置10の動作を制御する。
【0122】
例えば、各推定値^R、^X、^Vrを制御装置100から各電力変換装置10に入力し、無効電力の演算は、各電力変換装置10に演算させてもよい。各推定値^R、^X、^Vrに応じた無効電力を各電力変換装置10に出力させるように、各電力変換装置10の動作を制御する制御の態様は、各推定値^R、^X、^Vrに応じた適切な無効電力を各電力変換装置10に出力させることが可能な任意の態様でよい。
【0123】
分散型電源システム2aにおいては、各電力変換装置10の制御部42の推定値演算部50を省略可能である。また、制御装置100の制御部104に無効電力演算部を設けた場合には、各電力変換装置10の制御部42の無効電力演算部52も省略可能である。
【0124】
このように、推定値演算部は、各電力変換装置10の制御部42に限ることなく、各電力変換装置10の動作を制御する制御装置100の制御部104に設けてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様に、計測値のノイズへの耐性を高めつつ、系統特性の変化への追従性も高めることができる。
【0125】
本実施形態は、以下の態様を含む。
(付記1)
分散型電源の電力を無限大母線電力系統につながる電力系統に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給することにより、前記分散型電源を前記電力系統と連系させる電力変換装置であって、
前記分散型電源の前記電力を、前記電力系統に対応した前記交流電力に変換する主回路部と、
前記主回路部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記電力系統との連系点の有効電力値、前記連系点の無効電力値、及び前記連系点の電圧値を基に、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定値演算部と、
前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を基に、前記電力系統に供給する無効電力の無効電力指令値を演算する無効電力演算部と、
所定の有効電力及び前記無効電力指令値に対応する無効電力を出力するように、前記主回路部を駆動する駆動回路と、
を有し、
前記推定値演算部は、所定の期間の複数の前記有効電力値、複数の前記無効電力値、及び複数の前記電圧値を含む期間データの入力を受け、入力された前記期間データに対して共分散行列適応進化戦略を適用することにより、前記期間データを基に、前記電力系統の前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定部を有する電力変換装置。
【0126】
(付記2)
前記推定部は、
前記抵抗成分と前記リアクタンス成分と前記電圧値とを多変量正規分布の平均ベクトルとして設定し、
前記多変量正規分布に従う複数の探索点を演算し、
前記複数の探索点のそれぞれの評価値を演算し、
前記評価値を基に、評価の高い上位数個の探索点を抽出し、
抽出した前記上位数個の探索点を基に、前記多変量正規分布を更新し、
所定の終了条件を満たすまで前記複数の探索点の演算から前記多変量正規分布の更新までの演算を繰り返し実行し、
最終回の演算で更新された前記多変量正規分布の前記平均ベクトルに含まれる前記抵抗成分、前記リアクタンス成分、及び前記電圧値を前記電力系統の前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値、及び前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値として演算する付記1記載の電力変換装置。
【0127】
(付記3)
前記複数の探索点のそれぞれは、前記抵抗成分、前記リアクタンス成分、及び前記電圧値のそれぞれの値を含むベクトルであり、
前記推定部は、
前記期間データに含まれる複数の前記有効電力値、複数の前記無効電力値、及び前記複数の探索点に含まれる前記抵抗成分、前記リアクタンス成分、及び前記電圧値のそれぞれの値を基に、1つの前記探索点に対し、前記期間データに含まれる複数の前記電圧値の数に応じた複数の前記電圧の演算値を演算し、
前記期間データに含まれる前記電圧値と前記演算値との誤差を、前記期間データに含まれる複数の前記電圧値のそれぞれについて演算し、
前記電圧値と前記演算値との誤差の絶対値の総和を1つの前記探索点の前記評価値として演算し、
前記評価値の小さい前記探索点の評価を高くし、前記複数の探索点のうち、前記評価値の小さい上位数個の探索点を抽出する付記2記載の電力変換装置。
【0128】
(付記4)
前記推定値演算部は、前記有効電力値、前記無効電力値、及び前記電圧値の入力を受け、入力された前記有効電力値、前記無効電力値、及び前記電圧値を基に、前記期間データを生成し、生成した前記期間データを前記推定部に入力するデータ生成部をさらに有し、
前記データ生成部は、前記所定の期間の経過に応じて前記期間データを生成した後、次の前記有効電力値、前記無効電力値、及び前記電圧値の入力を受けた際に、最も古い前記有効電力値、前記無効電力値、及び前記電圧値のデータを削除し、入力された新しい前記有効電力値、前記無効電力値、及び前記電圧値のデータを追加することにより、次の前記期間データを生成する移動窓の処理を行う付記1~3のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0129】
(付記5)
前記推定値演算部は、選択部をさらに有し、
前記推定部は、入力された1つの前記期間データに対して前記共分散行列適応進化戦略を用いた演算を複数回実行することにより、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値の評価値と、を含む出力データを入力された1つの前記期間データから複数生成し、生成した複数の前記出力データを前記選択部に入力し、
前記選択部は、前記評価値を基に、入力された複数の前記出力データから最適な1つの出力データを選択し、選択した1つの前記出力データに含まれる前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値を前記無効電力演算部に入力する付記1~4のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0130】
(付記6)
前記推定値演算部は、選択部をさらに有し、
前記推定部は、前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値を前記選択部に入力し、
前記選択部は、前記推定部から前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値の入力を受けるとともに、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分、及び前記無限大母線電力系統の電圧値のそれぞれの事前設定値の入力を受け、入力された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値が所定の範囲内に収まっている場合には、入力された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値を前記無効電力演算部に入力し、収まっていない場合には、前記事前設定値を前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値として前記無効電力演算部に入力する付記1~5のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0131】
(付記7)
前記事前設定値は、前日の同じ時間帯に前記無効電力演算部に出力された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値の前日値である付記6記載の電力変換装置。
【0132】
(付記8)
前記推定値演算部は、選択部をさらに有し、
前記推定部は、前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値を前記選択部に入力し、
前記選択部は、前記推定部から前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値の入力を受けるとともに、前回の演算において前記無効電力演算部に入力した前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値の前回値の入力を受け、入力された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値が所定の範囲内に収まっている場合には、入力された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値を前記無効電力演算部に入力し、収まっていない場合には、前記前回値を前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値として前記無効電力演算部に入力する付記1~7のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0133】
(付記9)
分散型電源の電力を無限大母線電力系統につながる電力系統に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給することにより、前記分散型電源を前記電力系統と連系させる電力変換装置の動作を制御する制御装置であって、
前記電力変換装置との通信を行う通信部と、
前記電力変換装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電力系統との連系点の有効電力値、前記連系点の無効電力値、及び前記連系点の電圧値を基に、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定値演算部を有し、前記推定値演算部によって演算された前記抵抗成分の推定値、前記リアクタンス成分の推定値、及び前記電圧値の推定値に応じた無効電力を前記電力変換装置に出力させるように、前記電力変換装置の動作を制御し、
前記推定値演算部は、所定の期間の複数の前記有効電力値、複数の前記無効電力値、及び複数の前記電圧値を含む期間データの入力を受け、入力された前記期間データに対して共分散行列適応進化戦略を適用することにより、前記期間データを基に、前記電力系統の前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定部を有する制御装置。
【0134】
(付記10)
分散型電源と、
前記分散型電源の電力を無限大母線電力系統につながる電力系統に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給することにより、前記分散型電源を前記電力系統と連系させる電力変換装置と、
を備え、
前記電力変換装置は、
前記分散型電源の前記電力を、前記電力系統に対応した前記交流電力に変換する主回路部と、
前記主回路部の動作を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記電力系統との連系点の有効電力値、前記連系点の無効電力値、及び前記連系点の電圧値を基に、前記電力系統の系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定値演算部と、
前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を基に、前記電力系統に供給する無効電力の無効電力指令値を演算する無効電力演算部と、
所定の有効電力及び前記無効電力指令値に対応する無効電力を出力するように、前記主回路部を駆動する駆動回路と、
を有し、
前記推定値演算部は、所定の期間の複数の前記有効電力値、複数の前記無効電力値、及び複数の前記電圧値を含む期間データの入力を受け、入力された前記期間データに対して共分散行列適応進化戦略を適用することにより、前記期間データを基に、前記電力系統の前記系統インピーダンスの抵抗成分の推定値と、前記電力系統の系統インピーダンスのリアクタンス成分の推定値と、前記無限大母線電力系統の電圧値の推定値と、を演算する推定部を有する分散型電源システム。
【0135】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0136】
2、2a…分散型電源システム、 3…無限大母線電力系統、 4…電力系統、 6…分散型電源、 10…電力変換装置、 12、14…変圧器、 16…需要家、 18…発電機、 20、22…計測装置、 40…主回路部、 42…制御部、 50、50a~50c…推定値演算部、 52…無効電力演算部、 54…駆動回路、 60…データ生成部、 62…推定部、 64…選択部、 100制御装置、 102通信部、 104制御部、 110…推定値演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10