(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109337
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】走行速度推定装置
(51)【国際特許分類】
G01S 13/60 20060101AFI20240806BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240806BHJP
【FI】
G01S13/60 200
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014075
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 鉄兵
(72)【発明者】
【氏名】後藤 国広
(72)【発明者】
【氏名】堀田 浩之
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AE20
5J070AF03
5J070AK40
5J070BA10
5J070BB02
5J070BB05
5J070BB15
(57)【要約】
【課題】移動体の走行速度の推定精度を向上させる。
【解決手段】車速推定装置4は、車両に搭載されてレーダ波を送受信するレーダ装置2から、レーダ波を反射した観測点とレーダ装置2との相対速度と、水平方位角とを含む観測点情報を繰り返し取得する。車速推定装置4は、複数の観測点情報の中から、真値に近い車両の車速を推定可能な観測点情報を選別する。車速推定装置4は、選別された1または複数の観測点情報の相対速度および水平方位角に基づいて、車速の真値を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体(VH)に搭載されてレーダ波を送受信するレーダ装置(2)から、少なくとも、前記レーダ波を反射した観測点と前記レーダ装置との相対速度である観測点相対速度と、前記観測点が存在する方位角である観測点方位角とを含む観測点情報を繰り返し取得するように構成された情報取得部(S10)と、
複数の前記観測点情報の中から、真値に近い前記移動体の走行速度を推定可能な前記観測点情報を選別するように構成された選別部(S70~S76)と、
前記選別部によって選別された1または複数の前記観測点情報の前記観測点相対速度および前記観測点方位角に基づいて、前記走行速度の前記真値を推定するように構成された推定部(S80~S90)と
を備える走行速度推定装置(4)。
【請求項2】
請求項1に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点が、静止している物体である静止物で前記レーダ波を反射した地点である静止観測点であるか否かを判断するように構成された静止物判断部(S30)を更に備え、
前記選別部は、前記静止物判断部が前記静止観測点であると判断した前記観測点情報の中から、前記真値に近い前記移動体の走行速度を推定可能な前記観測点情報を選別する走行速度推定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の走行速度推定装置であって、
前記選別部は、前記推定部が前記真値を推定する際に前記真値との誤差が大きくなる要因である誤差要因となる前記観測点情報を除外することによって、前記観測点情報を選別する走行速度推定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の走行速度推定装置であって、
前記選別部(S70,S71)は、前記観測点方位角に起因した前記誤差要因である角度誤差要因となる前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の走行速度推定装置であって、
前記選別部(S71)は、前記移動体の左側に位置する前記観測点の前記観測点情報の数と、前記移動体の右側に位置する前記観測点の前記観測点情報の数とが一致するように前記観測点情報を除外することにより、前記角度誤差要因となる前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【請求項6】
請求項4に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点方位角は、前記移動体に対して水平方向に沿った方位角である水平方位角を含み、
前記選別部(S70)は、前記水平方位角が大きいことを示す予め設定された水平方位角除外条件を満たす前記水平方位角を含む前記観測点情報を除外することにより、前記角度誤差要因となる前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の走行速度推定装置であって、
前記選別部(S72,S73,S74)は、前記移動体の上方または下方に位置する前記観測点の前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点方位角は、前記移動体に対して垂直方向に沿った方位角である垂直方位角を含み、
前記選別部(S72)は、前記垂直方位角が大きいことを示す予め設定された垂直方位角除外条件を満たす前記垂直方位角を含む前記観測点情報を除外することにより、前記移動体の上方または下方に位置する前記観測点の前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【請求項9】
請求項7に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点方位角は、前記移動体に対して水平方向に沿った方位角である水平方位角を含み、
前記選別部(S73)は、
複数の前記観測点情報のそれぞれを、前記観測点情報に含まれる前記観測点方位角に基づいて、複数の水平方位角範囲の何れか1つに分類し、
複数の前記水平方位角範囲のそれぞれについて、前記水平方位角範囲に属する1または複数の前記観測点情報の中から、前記観測点相対速度が最も大きい前記観測点情報以外、または、前記観測点と前記レーダ装置との間の距離である観測点距離が最も小さい前記観測点情報以外の前記観測点情報を除外することにより、前記移動体の上方または下方に位置する前記観測点の前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【請求項10】
請求項7に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点情報は、前記観測点と前記レーダ装置との間の距離である観測点距離を含み、
前記選別部(S74)は、前記観測点距離が短いことを示す予め設定された距離除外条件を満たす前記観測点距離を含む前記観測点情報を除外することにより、前記移動体の上方または下方に位置する前記観測点の前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の走行速度推定装置であって、
前記選別部(S75,S76)は、前記観測点相対速度における前記移動体の進行方向成分の大きさが、前記移動体の車輪の回転速度に基づいて算出される前記走行速度の近傍でないことを示す予め設定された速度除外条件を満たす前記観測点相対速度を含む前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点方位角は、前記移動体に対して水平方向に沿った方位角である水平方位角を含み、
前記選別部は、複数の前記観測点情報のそれぞれについて、前記観測点情報に含まれる前記観測点相対速度と前記水平方位角とに基づいて前記観測点相対速度における前記進行方向成分を算出する走行速度推定装置。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載の走行速度推定装置であって、
前記推定部は、前記選別部によって選別された1または複数の前記観測点情報のそれぞれに基づいて算出された1または複数の前記走行速度の中央値、平均値または最頻値を算出することにより、前記走行速度の前記真値を推定する走行速度推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体の走行速度を推定する走行速度推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静止物のドップラ周波数から自車速を算出するように構成されたミリ波レーダ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者の詳細な検討の結果、レーダ装置を搭載する移動体の走行速度を、静止物で反射してレーダ装置で受信されたレーダ波を用いて推定すると、走行速度の推定精度が低下することがあるという課題が見出された。
【0005】
本開示は、移動体の走行速度の推定精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、情報取得部(S10)と、選別部(S70~S76)と、推定部(S80~S90)とを備える走行速度推定装置(4)である。
情報取得部は、移動体(VH)に搭載されてレーダ波を送受信するレーダ装置(2)から、少なくとも、レーダ波を反射した観測点とレーダ装置との相対速度である観測点相対速度と、観測点が存在する方位角である観測点方位角とを含む観測点情報を繰り返し取得するように構成される。
【0007】
選別部は、複数の観測点情報の中から、真値に近い移動体の走行速度を推定可能な観測点情報を選別するように構成される。
推定部は、選別部によって選別された1または複数の観測点情報の観測点相対速度および観測点方位角に基づいて、走行速度の真値を推定するように構成される。
【0008】
このように構成された本開示の走行速度推定装置は、走行速度の推定において、真値から離れた走行速度が推定されてしまう観測点情報の寄与を低減することができ、移動体の走行速度の推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】車速推定システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】レーダ装置の設置位置と物体検出領域とを示す図である。
【
図3】第1実施形態の車速推定処理を示すフローチャートである。
【
図4】静止物であるか否かを判断する方法を説明する図である。
【
図5】第2実施形態の車速推定処理を示すフローチャートである。
【
図6】第3実施形態の車速推定処理を示すフローチャートである。
【
図8】第4実施形態の車速推定処理を示すフローチャートである。
【
図10】第5実施形態の車速推定処理を示すフローチャートである。
【
図11】第6実施形態の車速推定処理を示すフローチャートである。
【
図12】第7実施形態の車速推定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下に本開示の第1実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の車速推定システム1は、車両に搭載され、
図1に示すように、レーダ装置2と、車速センサ3と、車速推定装置4とを備える。
【0011】
レーダ装置2は、
図2に示すように、車速推定システム1を搭載した車両VHの前側に設置される。そしてレーダ装置2は、レーダ波を車両VHの前方に向けて送信し、反射したレーダ波を受信することにより、車両VHの前方の物体検出領域Rf内に存在する物体を検出する。
【0012】
レーダ装置2は、例えば周知のFMCW方式を採用しており、上り変調区間のレーダ波と下り変調区間のレーダ波とを予め設定された変調周期で交互に送信し、反射したレーダ波を受信する。FMCWは、Frequency Modulated Continuous Waveの略である。これにより、レーダ装置2は、変調周期毎に、レーダ波を反射した地点(以下、観測点)までの距離Rと、観測点の相対速度Vrと、観測点の水平方位角θと、観測点の垂直方位角φとを検出する。水平方位角θは、車両VHの車幅方向に沿った方位角である。垂直方位角φは、車両VHの車高方向に沿った方位角である。またレーダ装置2は、検出した距離R、相対速度Vr、水平方位角θおよび垂直方位角φを示す観測点情報を車速推定装置4へ出力する。
【0013】
車速センサ3は、車両VHの駆動軸の回転に応じて所定角度毎にエッジが生じるパルス信号を車速検出信号として車速推定装置4へ出力する。車速推定装置4は、車速センサ3から取得した車速検出信号に基づいて、車両VHの走行速度(以下、車速)を算出する。
【0014】
車速推定装置4は、
図1に示すように、CPU11、ROM12およびRAM13等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成された電子制御装置である。マイクロコンピュータの各種機能は、CPU11が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROM12が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、CPU11が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、車速推定装置4を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0015】
車速推定装置4が実行する車速推定処理の手順を説明する。車速推定処理は、車速推定装置4の動作中において繰り返し実行される処理である。
車速推定処理が実行されると、車速推定装置4のCPU11は、
図3に示すように、S10にて、レーダ装置2から観測点情報を取得する。
【0016】
CPU11は、S20にて、車速センサ3から車速検出信号を取得する。
CPU11は、S30にて、S10で取得した観測点情報に対応する観測点が静止物(例えば、ガードレール、側壁)で反射した地点であるか否かを判断する。具体的には、CPU11は、
図4に示すように、(Vn-Vr/cosθ)の絶対値が0付近である場合に、観測点が静止物で反射した地点であると判断する。なお、Vnは、S20で取得した車速検出信号に基づいて算出された車速である。Vrは、レーダ装置2が検出した観測点の相対速度である。θは、レーダ装置2が検出した観測点の水平方位角である。
【0017】
CPU11は、
図3に示すように、S40にて、S30での判断結果に基づいて、レーダ装置2が静止物を検出したか否かを判断する。ここで、静止物を検出していない場合には、CPU11は、S60に移行する。一方、静止物を検出した場合には、CPU11は、S50にて、S10で取得した観測点情報を、静止物の観測点情報(以下、静止観測点情報)として、RAM13に記憶し、S60に移行する。
【0018】
S60に移行すると、CPU11は、予め設定された車速推定条件が成立したか否かを判断する。本実施形態の車速推定条件は、例えば、予め設定された実行周期が経過することである。
【0019】
ここで、車速推定条件が成立していない場合には、CPU11は、車速推定処理を終了する。一方、車速推定条件が成立している場合には、CPU11は、S70にて、RAM13に記憶されている静止観測点情報の中から、水平方位角θが大きい静止観測点情報を除外する。具体的には、CPU11は、RAM13に記憶されている静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる水平方位角θの絶対値が予め設定された第1除外閾値以上であるか否かを判断し、水平方位角θの絶対値が第1除外閾値以上である場合に、対応する静止観測点情報を除外する。
【0020】
CPU11は、S80にて、RAM13に記憶されており且つS70の処理で除外されなかった静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる相対速度Vrの進行方向成分Vtを算出する。具体的には、CPU11は、Vt=Vr/cosθにより、相対速度Vrの進行方向成分Vtを算出する。
【0021】
CPU11は、S90にて、S80で算出された1または複数の進行方向成分Vtの中央値を算出し、算出した中央値を、推定車速とする。なお、CPU11は、S80で算出された1または複数の進行方向成分Vtの平均値を算出して推定車速としてもよいし、S80で算出された1または複数の進行方向成分Vtの最頻値を算出して推定車速としてもよい。
【0022】
CPU11は、S100にて、S90で算出した推定車速を示す推定車速情報を、推定車速を利用する車載装置へ出力する。
CPU11は、S110にて、RAM13に記憶されている静止観測点情報を消去して、車速推定処理を終了する。
【0023】
このように構成された車速推定装置4は、車両VHに搭載されてレーダ波を送受信するレーダ装置2から、少なくとも、レーダ波を反射した観測点とレーダ装置2との相対速度Vrと、水平方位角θとを含む観測点情報を繰り返し取得するように構成される。
【0024】
車速推定装置4は、複数の観測点情報の中から、真値に近い車両VHの車速を推定可能な観測点情報を選別するように構成される。
車速推定装置4は、選別された1または複数の観測点情報の相対速度Vrおよび水平方位角θに基づいて、車速の真値を推定するように構成される。
【0025】
このような車速推定装置4は、車速の推定において、真値から離れた車速が推定されてしまう観測点情報の寄与を低減することができ、車両VHの車速の推定精度を向上させることができる。
【0026】
また車速推定装置4は、観測点が静止物でレーダ波を反射した地点である静止観測点であるか否かを判断するように構成される。そして車速推定装置4は、静止観測点であると判断した観測点情報(すなわち、静止観測点情報)の中から、真値に近い車両VHの車速を推定可能な観測点情報を選別する。このような車速推定装置4は、静止物の観測点情報に基づいて車両VHの車速の推定するため、車両VHの車速の推定精度を更に向上させることができる。
【0027】
具体的には、車速推定装置4は、真値を推定する際に真値との誤差が大きくなる要因(以下、誤差要因)となる静止観測点情報を除外することによって、静止観測点情報を選別する。
【0028】
また車速推定装置4は、観測点が存在する方位角(以下、観測点方位角)に起因した誤差要因(以下、角度誤差要因)となる静止観測点情報を除外する。具体的には、水平方位角θが大きいことを示す予め設定された水平方位角除外条件を満たす水平方位角θを含む静止観測点情報を除外することにより、角度誤差要因となる静止観測点情報を除外する。本実施形態の水平方位角除外条件は、静止観測点情報に含まれる水平方位角θの絶対値が予め設定された第1除外閾値以上であることである。
【0029】
また車速推定装置4は、選別された1または複数の静止観測点情報のそれぞれに基づいて算出された車両VHの車速の中央値を算出することにより、車両VHの車速の真値を推定する。これにより、車速推定装置4は、中央値を算出するという簡便な方法で真値を推定することができる。
【0030】
以上説明した実施形態において、車速推定装置4は走行速度推定装置に相当し、車両VHは移動体に相当し、相対速度Vrは観測点相対速度に相当し、水平方位角θは観測点方位角に相当する。
【0031】
また、S10は情報取得部としての処理に相当し、S70は選別部としての処理に相当し、S80,S90は推定部としての処理に相当し、S30は静止物判断部としての処理に相当する。
【0032】
[第2実施形態]
以下に本開示の第2実施形態を図面とともに説明する。なお第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。
【0033】
第2実施形態の車速推定システム1は、車速推定処理が変更された点が第1実施形態と異なる。
第2実施形態の車速推定処理は、
図5に示すように、S70の処理の代わりにS71の処理を実行する点が第1実施形態と異なる。
【0034】
すなわち、S60において車速推定条件が成立している場合に、CPU11は、S71にて、静止観測点情報の数が左右で同一となるように、静止観測点情報を除外し、S80に移行する。
【0035】
具体的には、CPU11は、RAM13に記憶されている静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる水平方位角θに基づいて、車両VHの左側に位置する静止物の静止観測点情報であるか、車両VHの右側に位置する静止物の静止観測点情報であるかを判断する。
【0036】
次にCPU11は、車両VHの左側に位置する静止物の静止観測点情報の数(以下、左側観測点数)と、車両VHの右側に位置する静止物の静止観測点情報の数(以下、右側観測点数)とを算出する。
【0037】
そしてCPU11は、左側観測点数と右側観測点数とが一致するように、静止観測点情報を除外する。例えば、左側観測点数が20、右側観測点数が15である場合には、CPU11は、車両VHの左側に位置する静止物の静止観測点情報を5個除外する。なお、CPU11は、必要な数の静止観測点情報を、ランダムに除外してもよいし、相対速度Vrが遅い順に除外してもよいし、相対速度Vrが速い順に除外してもよい。またCPU11は、Vr/cosθ(すなわち、相対速度Vrの進行方向成分Vt)が速い順に除外してもよいし、Vr/cosθが遅い順に除外してもよい。
【0038】
このように構成された車速推定装置4は、車両VHの左側に位置する静止観測点の静止観測点情報の数(すなわち、左側観測点数)と、車両VHの右側に位置する静止観測点の静止観測点情報の数(すなわち、右側観測点数)とが一致するように静止観測点情報を除外することにより、角度誤差要因となる静止観測点情報を除外する。これにより、車速推定装置4は、真値から離れた車速が推定されてしまう静止観測点情報の寄与を低減することができ、車両VHの車速の推定精度を向上させることができる。
【0039】
以上説明した実施形態において、S71は選別部としての処理に相当する。
[第3実施形態]
以下に本開示の第3実施形態を図面とともに説明する。なお第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。
【0040】
第3実施形態の車速推定システム1は、車速推定処理が変更された点が第1実施形態と異なる。
第3実施形態の車速推定処理は、
図6に示すように、S70の処理の代わりにS72の処理を実行する点が第1実施形態と異なる。
【0041】
すなわち、S60において車速推定条件が成立している場合に、CPU11は、S72にて、車両VHの上方または下方に位置する静止物の静止観測点情報を除外し、S80に移行する。具体的には、CPU11は、
図7に示すように、RAM13に記憶されている静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる垂直方位角φの絶対値が予め設定された第2除外閾値以上であるか否かを判断し、垂直方位角φの絶対値が第2除外閾値以上である場合に、対応する静止観測点情報を除外する。
【0042】
このように構成された車速推定装置4は、車両VHの上方または下方に位置する静止観測点の静止観測点情報を除外する。具体的には、車速推定装置4は、垂直方位角φが大きいことを示す予め設定された垂直方位角除外条件を満たす垂直方位角φを含む静止観測点情報を除外する。本実施形態の垂直方位角除外条件は、垂直方位角φの絶対値が予め設定された第2除外閾値以上であることである。
【0043】
これにより、車速推定装置4は、真値から離れた車速が推定されてしまう静止観測点情報の寄与を低減することができ、車両VHの車速の推定精度を向上させることができる。
以上説明した実施形態において、S72は選別部としての処理に相当する。
【0044】
[第4実施形態]
以下に本開示の第4実施形態を図面とともに説明する。なお第4実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。
【0045】
第4実施形態の車速推定システム1は、車速推定処理が変更された点が第1実施形態と異なる。
第4実施形態の車速推定処理は、
図8に示すように、S70の処理の代わりにS73の処理を実行する点が第1実施形態と異なる。
【0046】
すなわち、S60において車速推定条件が成立している場合に、CPU11は、S73にて、各方位角範囲内で最速の相対速度の静止物以外の静止観測点情報を除外し、S80に移行する。
【0047】
具体的には、CPU11は、
図9に示すように、RAM13に記憶されている静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる水平方位角θに基づいて、複数の水平方位角範囲R1,R2,・・・・,R19,R20の何れに属するかを判断する。
【0048】
複数の水平方位角範囲R1,R2,・・・・,R19,R20は、-90°から+90°までの水平方位角θの範囲を20個に等分割することにより形成されている。
例えば、水平方位角範囲R1は、-90°~-81°である。水平方位角範囲R2は、-81°~-72°である。水平方位角範囲R10は、-9°~0°である。水平方位角範囲R11は、0°~+9°である。水平方位角範囲R20は、+81°~+90°である。
【0049】
CPU11は、複数の水平方位角範囲R1~R20のそれぞれについて、水平方位角範囲R1~R20に属する静止観測点情報の中から、相対速度Vrが最も大きい静止観測点情報を抽出し、抽出した静止観測点情報以外の静止観測点情報を除外する。
図9において、黒色で塗り潰された丸は、各水平方位角範囲内で相対速度Vrが最も大きい静止観測点情報を示す。白抜きの丸は、各水平方位角範囲内で相対速度Vrが最も大きくないために除外された静止観測点情報を示す。例えば、水平方位角範囲R8内の点P1は、水平方位角範囲R8内で相対速度Vrが最も大きい静止観測点情報であり、水平方位角範囲R8内の点P2は、相対速度Vrが最も大きくないために除外された静止観測点情報である。
【0050】
このように構成された車速推定装置4は、複数の静止観測点情報のそれぞれを、静止観測点情報に含まれる水平方位角θに基づいて、複数の水平方位角範囲R1~R20の何れか1つに分類する。そして車速推定装置4は、複数の水平方位角範囲R1~R20のそれぞれについて、水平方位角範囲R1~R20に属する1または複数の静止観測点情報の中から、相対速度Vrが最も大きい静止観測点情報以外の静止観測点情報を除外することにより、車両VHの上方または下方に位置する静止観測点の静止観測点情報を除外する。
【0051】
これにより、車速推定装置4は、真値から離れた車速が推定されてしまう静止観測点情報の寄与を低減することができ、車両VHの車速の推定精度を向上させることができる。
以上説明した実施形態において、S73は選別部としての処理に相当する。
【0052】
[第5実施形態]
以下に本開示の第5実施形態を図面とともに説明する。なお第5実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。
【0053】
第5実施形態の車速推定システム1は、車速推定処理が変更された点が第1実施形態と異なる。
第5実施形態の車速推定処理は、
図10に示すように、S70の処理の代わりにS74の処理を実行する点が第1実施形態と異なる。
【0054】
すなわち、S60において車速推定条件が成立している場合に、CPU11は、S74にて、車両VHから近い静止物の静止観測点情報を除外し、S80に移行する。具体的には、CPU11は、RAM13に記憶されている静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる距離Rが予め設定された第4除外閾値以下であるか否かを判断し、距離Rが第4除外閾値以下である場合に、対応する静止観測点情報を除外する。
【0055】
このように構成された車速推定装置4は、距離Rが短いことを示す予め設定された距離除外条件を満たす距離Rを含む静止観測点情報を除外することにより、車両VHの上方または下方に位置する静止観測点の静止観測点情報を除外する。
【0056】
これにより、車速推定装置4は、真値から離れた車速が推定されてしまう静止観測点情報の寄与を低減することができ、車両VHの車速の推定精度を向上させることができる。
以上説明した実施形態において、S74は選別部としての処理に相当し、距離Rは観測点距離に相当する。
【0057】
[第6実施形態]
以下に本開示の第6実施形態を図面とともに説明する。なお第6実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。
【0058】
第6実施形態の車速推定システム1は、車速推定処理が変更された点が第1実施形態と異なる。
第6実施形態の車速推定処理は、
図11に示すように、S70の処理の代わりにS75の処理を実行する点が第1実施形態と異なる。
【0059】
すなわち、S60において車速推定条件が成立している場合に、CPU11は、S75にて、相対速度Vrの進行方向成分Vtが、車速検出信号から算出される車速Vnの近傍でない静止物の静止観測点情報を除外し、S80に移行する。具体的には、CPU11は、RAM13に記憶されている静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる相対速度Vrの進行方向成分Vtが、予め設定された除外範囲外であるか否かを判断し、進行方向成分Vtが除外範囲外である場合に、対応する静止観測点情報を除外する。除外範囲は、下限値が(Vn-ε)であり且つ上限値が(Vn+ε)である範囲である。εは、除外範囲が車速Vnの近傍となるように予め設定された定数である。すなわち、CPU11は、Vt<(Vn-ε)であるか、Vt>(Vn+ε)である場合に、対応する静止観測点情報を除外する。
【0060】
このように構成された車速推定装置4は、相対速度Vrにおける車両VHの進行方向成分の大きさ(すなわち、相対速度Vrの進行方向成分Vt)が、車両VHの車輪の回転速度に基づいて算出される走行速度(すなわち、車速Vn)の近傍でないことを示す予め設定された速度除外条件を満たす相対速度Vrを含む静止観測点情報を除外する。なお、車速推定装置4は、複数の静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる相対速度Vrと水平方位角θとに基づいて相対速度Vrの進行方向成分Vtを算出する。本実施形態の速度除外条件は、相対速度Vrの進行方向成分Vtが予め設定された除外範囲外であることである。
【0061】
このような車速推定装置4は、車速の推定において、真値から離れた車速が推定されてしまう静止観測点情報の寄与を低減することができ、車両VHの車速の推定精度を向上させることができる。
【0062】
以上説明した実施形態において、S75は選別部としての処理に相当する。
[第7実施形態]
以下に本開示の第7実施形態を図面とともに説明する。なお第7実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。
【0063】
第7実施形態の車速推定システム1は、車速推定処理が変更された点が第1実施形態と異なる。
第7実施形態の車速推定処理は、
図12に示すように、S70の処理の代わりにS76の処理を実行する点と、S80の処理の代わりにS86の処理を実行する点と、S86の処理を実行した後にS76の処理を実行する点とが第1実施形態と異なる。
【0064】
すなわち、S60において車速推定条件が成立している場合に、CPU11は、S86にて、RAM13に記憶されている静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる相対速度Vrの進行方向成分Vtを算出する。
【0065】
S86の処理が終了すると、CPU11は、S76にて、進行方向成分Vtが、車速検出信号から算出される車速Vnの近傍でない静止観測点情報を除外し、S90に移行する。具体的には、CPU11は、S75と同様にして、RAM13に記憶されている静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる相対速度Vrの進行方向成分Vtが、予め設定された除外範囲外であるか否かを判断し、進行方向成分Vtが除外範囲外である場合に、対応する静止観測点情報を除外する。
【0066】
このように構成された車速推定装置4は、相対速度Vrにおける車両VHの進行方向成分の大きさ(すなわち、相対速度Vrの進行方向成分Vt)が、車両VHの車輪の回転速度に基づいて算出される走行速度(すなわち、車速Vn)の近傍でないことを示す予め設定された速度除外条件を満たす相対速度Vrを含む静止観測点情報を除外する。なお、車速推定装置4は、複数の静止観測点情報のそれぞれについて、静止観測点情報に含まれる相対速度Vrと水平方位角θとに基づいて相対速度Vrの進行方向成分Vtを算出する。本実施形態の速度除外条件は、相対速度Vrの進行方向成分Vtが予め設定された除外範囲外であることである。
【0067】
このような車速推定装置4は、車速の推定において、真値から離れた車速が推定されてしまう静止観測点情報の寄与を低減することができ、車両VHの車速の推定精度を向上させることができる。
【0068】
以上説明した実施形態において、S76は選別部としての処理に相当する。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
【0069】
[変形例1]
例えば上記実施形態では、移動体が車両VHである形態を示したが、移動体はこれに限定されるものではなく、例えば、自動二輪車であってもよい。
【0070】
[変形例2]
上記実施形態では、レーダ装置2がFMCW方式を採用している形態を示したが、レーダ装置2のレーダ方式は、相対速度を検出することができる方式であればよく、例えば2周波CW方式またはFCM方式を採用するようにしてもよい。FCMは、Fast-Chirp Modulationの略である。
【0071】
[変形例3]
上記第1,2,3,4,5,6,7実施形態では、それぞれS70,S71,S72,S73,S74,S75,S76の処理を実行する形態を示したが、観測点情報を除外するためにS70~S76の処理を組み合わせてもよい。例えば、S70,S72,S75の処理を組み合わせてもよいし、S71,S73の処理を組み合わせてもよいし、S74,S75の処理を組み合わせてもよい。
【0072】
[変形例4]
上記第4実施形態では、S73にて、各方位角範囲内で最速の相対速度の静止物以外の静止観測点情報を除外する形態を示したが、S73にて、各方位角範囲内で最短の距離の静止物以外の静止観測点情報を除外するようにしてもよい。
【0073】
[変形例5]
上記実施形態では、S30にて、(Vn-Vr/cosθ)の絶対値が0付近である場合に、観測点が静止物で反射した地点であると判断する形態を示した。しかし、観測点が静止物で反射した地点であるか否かを判断する方法はこれに限定されるものではない。例えば、車両VHの走行速度と、車両VHの進行方向と、レーダ装置2で観測した観測点の位置とを逐次記録することにより、或る時点での車両VHの位置を原点とした2次元直交座標系における観測点の位置の時間変化を算出することができる。この2次元直交座標系における観測点の位置が時間経過に伴い変化していない場合には、この観測点が静止物で反射した地点であると判断することができる。なお、車両VHの走行速度と、車両VHの進行方向とを用いる代わりに、GPS情報に基づいて車両VHの位置を算出してもよい。GPSは、Global Positioning Systemの略である。
【0074】
また、レーダ装置2が検出した観測点が静止物で反射した地点(すなわち、静止観測点)である場合には、車両VHが静止観測点に近付いて静止観測点の水平方位角θが大きくなる程、レーダ装置2が検出した観測点の相対速度Vrが小さくなる。このため、同一の観測点の相対速度Vrと水平方位角θとを逐次記録し、横軸が水平方位角θであり縦軸が相対速度Vrである2次元直交座標系にプロットするようにしてもよい。プロットした点群が、静止観測点であると仮定した場合における水平方位角θと相対速度Vrとの関係を示す静止物曲線付近に分布している場合には、この観測点が静止物で反射した地点であると判断することができる。
【0075】
本開示に記載の車速推定装置4およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の車速推定装置4およびその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の車速推定装置4およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。車速推定装置4に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0076】
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。
【0077】
上述した車速推定装置4の他、当該車速推定装置4を構成要素とするシステム、当該車速推定装置4としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、車速推定方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
移動体(VH)に搭載されてレーダ波を送受信するレーダ装置(2)から、少なくとも、前記レーダ波を反射した観測点と前記レーダ装置との相対速度である観測点相対速度と、前記観測点が存在する方位角である観測点方位角とを含む観測点情報を繰り返し取得するように構成された情報取得部(S10)と、
複数の前記観測点情報の中から、真値に近い前記移動体の走行速度を推定可能な前記観測点情報を選別するように構成された選別部(S70~S76)と、
前記選別部によって選別された1または複数の前記観測点情報の前記観測点相対速度および前記観測点方位角に基づいて、前記走行速度の前記真値を推定するように構成された推定部(S80~S90)と
を備える走行速度推定装置(4)。
【0078】
[項目2]
項目1に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点が、静止している物体である静止物で前記レーダ波を反射した地点である静止観測点であるか否かを判断するように構成された静止物判断部(S30)を更に備え、
前記選別部は、前記静止物判断部が前記静止観測点であると判断した前記観測点情報の中から、前記真値に近い前記移動体の走行速度を推定可能な前記観測点情報を選別する走行速度推定装置。
【0079】
[項目3]
項目1または項目2に記載の走行速度推定装置であって、
前記選別部は、前記推定部が前記真値を推定する際に前記真値との誤差が大きくなる要因である誤差要因となる前記観測点情報を除外することによって、前記観測点情報を選別する走行速度推定装置。
【0080】
[項目4]
項目3に記載の走行速度推定装置であって、
前記選別部(S70,S71)は、前記観測点方位角に起因した前記誤差要因である角度誤差要因となる前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【0081】
[項目5]
項目4に記載の走行速度推定装置であって、
前記選別部(S71)は、前記移動体の左側に位置する前記観測点の前記観測点情報の数と、前記移動体の右側に位置する前記観測点の前記観測点情報の数とが一致するように前記観測点情報を除外することにより、前記角度誤差要因となる前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【0082】
[項目6]
項目4に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点方位角は、前記移動体に対して水平方向に沿った方位角である水平方位角を含み、
前記選別部(S70)は、前記水平方位角が大きいことを示す予め設定された水平方位角除外条件を満たす前記水平方位角を含む前記観測点情報を除外することにより、前記角度誤差要因となる前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【0083】
[項目7]
項目1~項目6の何れか1項に記載の走行速度推定装置であって、
前記選別部(S72,S73,S74)は、前記移動体の上方または下方に位置する前記観測点の前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【0084】
[項目8]
項目7に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点方位角は、前記移動体に対して垂直方向に沿った方位角である垂直方位角を含み、
前記選別部(S72)は、前記垂直方位角が大きいことを示す予め設定された垂直方位角除外条件を満たす前記垂直方位角を含む前記観測点情報を除外することにより、前記移動体の上方または下方に位置する前記観測点の前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【0085】
[項目9]
項目7に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点方位角は、前記移動体に対して水平方向に沿った方位角である水平方位角を含み、
前記選別部(S73)は、
複数の前記観測点情報のそれぞれを、前記観測点情報に含まれる前記観測点方位角に基づいて、複数の水平方位角範囲の何れか1つに分類し、
複数の前記水平方位角範囲のそれぞれについて、前記水平方位角範囲に属する1または複数の前記観測点情報の中から、前記観測点相対速度が最も大きい前記観測点情報以外、または、前記観測点と前記レーダ装置との間の距離である観測点距離が最も小さい前記観測点情報以外の前記観測点情報を除外することにより、前記移動体の上方または下方に位置する前記観測点の前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【0086】
[項目10]
項目7に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点情報は、前記観測点と前記レーダ装置との間の距離である観測点距離を含み、
前記選別部(S74)は、前記観測点距離が短いことを示す予め設定された距離除外条件を満たす前記観測点距離を含む前記観測点情報を除外することにより、前記移動体の上方または下方に位置する前記観測点の前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【0087】
[項目11]
項目1~項目10の何れか1項に記載の走行速度推定装置であって、
前記選別部(S75,S76)は、前記観測点相対速度における前記移動体の進行方向成分の大きさが、前記移動体の車輪の回転速度に基づいて算出される前記走行速度の近傍でないことを示す予め設定された速度除外条件を満たす前記観測点相対速度を含む前記観測点情報を除外する走行速度推定装置。
【0088】
[項目12]
項目11に記載の走行速度推定装置であって、
前記観測点方位角は、前記移動体に対して水平方向に沿った方位角である水平方位角を含み、
前記選別部は、複数の前記観測点情報のそれぞれについて、前記観測点情報に含まれる前記観測点相対速度と前記水平方位角とに基づいて前記観測点相対速度における前記進行方向成分を算出する走行速度推定装置。
【0089】
[項目13]
項目1~項目12の何れか1項に記載の走行速度推定装置であって、
前記推定部は、前記選別部によって選別された1または複数の前記観測点情報のそれぞれに基づいて算出された1または複数の前記走行速度の中央値、平均値または最頻値を算出することにより、前記走行速度の前記真値を推定する走行速度推定装置。
【符号の説明】
【0090】
2…レーダ装置、4…車速推定装置