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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109339
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】モータ、およびポンプ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20240806BHJP
   H02K 3/46 20060101ALI20240806BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K3/46 C
F04C15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014079
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
【テーマコード(参考)】
3H044
5H604
5H605
【Fターム(参考)】
3H044AA02
3H044BB03
3H044CC14
3H044DD18
3H044DD24
5H604AA05
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB14
5H604BB16
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604PB03
5H604QB03
5H604QB17
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB07
5H605BB14
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC03
5H605CC06
5H605CC10
5H605DD05
5H605DD09
5H605EA06
5H605EC07
5H605EC08
5H605GG04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コイル引出線と接続端子とを安定して電気的に接続でき、コイル引出線と接続端子の接続状態を視認できるモータおよびポンプを提供する。
【解決手段】ステータ30は、ステータコア31と、ステータコア31に装着され接続端子50を保持する絶縁部材32と、絶縁部材32を介してステータコア31に装着されるコイル本体部34aと、コイル本体部34aから引き出されるコイル引出線と、を有するコイル部34と、を有する。接続端子50は、回路基板70と接続される基板接続部と、コイル引出線が通される溝部と、絶縁部材32と軸方向に接触する固定部と、を有する。コイル引出線は、溝部に圧入され、絶縁部材32は、溝部と径方向に対向し、且つ、軸方向に延びる壁部を有し、壁部は、溝部の軸方向一方側を向く面よりも軸方向一方側に位置し、且つ、コイル引出線と軸方向に接触する引出線接触部を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を有するモータ部と、
前記モータ部の軸方向一方側に配置される回路基板と、
前記ステータと前記回路基板とを電気的に接続する接続端子と、
を備え、
前記ステータは、
環状のステータコアと、
前記ステータコアに装着され、前記接続端子を保持する絶縁部材と、
前記絶縁部材を介して前記ステータコアに装着されるコイル本体部と、前記コイル本体部から引き出されるコイル引出線と、を有するコイル部と、
を有し、
前記接続端子は、
前記回路基板と接続される基板接続部と、
軸方向と交差する方向に窪み、前記コイル引出線が径方向に沿って通される溝部と、
前記絶縁部材と軸方向に接触する固定部と、
を有し、
前記コイル引出線は、前記溝部に圧入され、
前記絶縁部材は、前記溝部と径方向に対向し、且つ、軸方向に延びる壁部を有し、
前記壁部は、前記溝部の軸方向一方側を向く面よりも軸方向一方側に位置し、且つ、前記コイル引出線と軸方向に接触する引出線接触部を有する、モータ。
【請求項2】
前記壁部は、前記壁部の軸方向一方側の端部から軸方向他方側に窪み、径方向に沿って開口する凹部を有し、
前記コイル引出線は、前記凹部の内側を通され、
前記引出線接触部は、前記凹部の内側面のうち軸方向一方側を向く面である、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記接続端子は、軸方向に延びる端子本体部と、前記端子本体部から軸方向と交差する方向に突出し、前記溝部が設けられる腕部と、を有し、
前記溝部は、径方向に並び、同一の前記コイル引出線が通される第1溝部および第2溝部を含む、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記接続端子は、2つの前記腕部を有し、
一方の前記腕部は、前記端子本体部から周方向一方側に突出し、他方の前記腕部は、前記端子本体部から周方向他方側に突出する、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記固定部は、軸方向一方側を向く固定面を有し、
前記絶縁部材は、軸方向他方側を向き、前記固定面を軸方向に支持する支持面を有する、請求項3に記載のモータ。
【請求項6】
前記接続端子は、前記端子本体部から軸方向他方側に延び、前記固定部を有する脚部を有し、
前記絶縁部材には、前記絶縁部材の軸方向一方側の端部から軸方向他方側に窪む穴部が設けられ、
前記脚部は、前記穴部の内部に配置される、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記脚部には、前記脚部を径方向に貫通する脚孔部が設けられ、
前記固定部は、前記脚孔部の内側面のうち軸方向一方側を向く面から、軸方向一方側と径方向の一方側との間を向く方向に向かって延び、且つ、径方向に弾性変形可能である、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
請求項1または2に記載のモータと、前記ロータに接続されるポンプ機構部と、を備える、ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、およびポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定子が有する巻線を、絶縁部材に設けられるワイヤ拘束溝に保持しつつ、絶縁部材に設けられたキャビティ内に圧着端子を挿入することによって、圧着端子の導通用溝の内側面に巻線を圧入して、巻線と圧着端子とを電気的に接続する電動機が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-130586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動機においては、巻線と導通用溝の内側面との接触面積を広くすること困難であったため、巻線と圧着端子の電気的な接続が安定しない虞があった。また、導通用溝が絶縁部材のキャビティ内に位置するため、導通用溝の内側面と巻線との接触状態を視認することが困難であった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、コイル引出線と接続端子とを安定して電気的に接続できるとともに、コイル引出線と接続端子の接続状態を視認できるモータおよびポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、中心軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を有するモータ部と、前記モータ部の軸方向一方側に配置される回路基板と、前記ステータと前記回路基板とを電気的に接続する接続端子と、を備える。前記ステータは、環状のステータコアと、前記ステータコアに装着され、前記接続端子を保持する絶縁部材と、前記絶縁部材を介して前記ステータコアに装着されるコイル本体部と、前記コイル本体部から引き出されるコイル引出線と、を有するコイル部と、を有する。前記接続端子は、前記回路基板と接続される基板接続部と、軸方向と交差する方向に窪み、前記コイル引出線が径方向に沿って通される溝部と、前記絶縁部材と軸方向に接触する固定部と、を有する。前記コイル引出線は、前記溝部に圧入され、前記絶縁部材は、前記溝部と径方向に対向し、且つ、軸方向に延びる壁部を有し、前記壁部は、前記溝部の軸方向一方側を向く面よりも軸方向一方側に位置し、且つ、前記コイル引出線と軸方向に接触する引出線接触部を有する。
【0007】
本発明のポンプの一つの態様は、上記のモータと、前記ロータに接続されるポンプ機構部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、モータおよびポンプにおいて、コイル引出線と接続端子とを安定して電気的に接続できるとともに、コイル引出線と接続端子の接続状態を視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態のポンプを示す斜視図である。
図2図2は、一実施形態のポンプを示す断面図である。
図3図3は、一実施形態のポンプの一部を示す上面図である。
図4図4は、一実施形態のポンプの一部を示す第1の斜視図である。
図5図5は、一実施形態のポンプの一部を示す第2の斜視図である。
図6図6は、一実施形態のポンプの一部を示す断面図である。
図7図7は、一実施形態のポンプの他の一部を示す断面図である。
図8図8は、一実施形態のポンプの一部を示す第3の斜視図である。
図9図9は、一実施形態の接続端子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において図には、適宜、Z軸を示す。Z軸は、以下に説明する実施形態の中心軸線Jが延びる方向を示している。各図に示す中心軸線Jは、仮想軸線である。以下の説明では、中心軸線Jが延びる方向、つまりZ軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」または「軸方向一方側」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」または「軸方向他方側」と呼ぶ。径方向のうち中心軸線Jを向く側を「径方向の一方側」と呼ぶ場合がある。なお、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
周方向は、各図において矢印θで示されている。周方向のうち矢印θが向く側(+θ側)を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θが向く側と逆側(-θ側)を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、上側から見て中心軸線J回りに反時計回りに進む側である。周方向他方側は、上側から見て中心軸線J回りに時計回りに進む側である。
【0012】
図1に示す本実施形態のポンプ1は、車両に搭載される機器に取り付けられる電動ポンプである。ポンプ1が取り付けられる機器は、自動変速機であってもよいし、車両の車軸を駆動する駆動装置であってもよい。図2に示すように、ポンプ1が取り付けられる機器を被取付体5と呼ぶ。ポンプ1は、例えば、車両に搭載される機器にオイルを供給する電動オイルポンプである。
【0013】
ポンプ1は、モータ2と、ポンプ機構部40と、を備える。モータ2は、ハウジング10と、モータ部3と、回路基板70と、接続端子50と、封止部材63と、を備える。
【0014】
ハウジング10は、モータ部3、回路基板70、接続端子50、封止部材63、およびポンプ機構部40を内部に収容する。ハウジング10は、モータハウジング11と、基板収容部材13と、蓋部材14と、ポンプカバー部材19と、を有する。モータハウジング11、基板収容部材13、蓋部材14、およびポンプカバー部材19は、互いに別部材である。基板収容部材13は、モータハウジング11の上側に固定される。蓋部材14は、基板収容部材13の上側に固定される。ポンプカバー部材19は、モータハウジング11の下側に固定される。
【0015】
モータハウジング11は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。モータハウジング11は、モータ部3、接続端子50、封止部材63、およびポンプ機構部40を内部に収容する。モータハウジング11は、周壁部11aと、底部11dと、シャフト支持部11eと、封止部材保持部11gと、ポンプ機構収容部11hと、を有する。
【0016】
周壁部11aは、モータ部3、接続端子50、および封止部材63を径方向外側から囲む。周壁部11aは、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。周壁部11aの上側の端部は、モータハウジング11の上側の端部である。周壁部11aは、上側に開口する第1開口部11bと、固定凹部11cと、を有する。固定凹部11cは、周壁部11aの外周面から径方向内側に窪む溝である。固定凹部11cは、周壁部11aの上側の部分に設けられる。本実施形態において、固定凹部11cは、周壁部11aの外周面に沿って一周に亘って設けられる。
【0017】
底部11dは、中心軸線Jを中心とする略円環状である。底部11dの上側を向く面の径方向外縁は、周壁部11aの下端と軸方向に繋がる。シャフト支持部11eは、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。シャフト支持部11eの外周面のうち下側の部分は、底部11dの内周面と径方向に繋がる。シャフト支持部11eは、上側および下側に開口する。封止部材保持部11gは、シャフト支持部11eの上側を向く面から上側に突出する。封止部材保持部11gは、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。封止部材保持部11gの内周面には、封止部材63が保持される。
【0018】
ポンプ機構収容部11hは、ポンプ機構部40を内部に収容する。ポンプ機構収容部11hは、底部11dから下側に突出する。ポンプ機構収容部11hは、中心軸線Jを中心とし、下側に開口する略円筒状である。ポンプ機構収容部11hの内部は、シャフト支持部11eの内部を介して、周壁部11aの内部と繋がる。
【0019】
ポンプカバー部材19は、中心軸線Jを中心とする略円板状である。ポンプカバー部材19は、ポンプ機構部40の下側に配置される。ポンプカバー部材19は、ポンプ機構収容部11hの内周面のうち下側の部分に固定される。ポンプカバー部材19は、ポンプ機構収容部11hの開口を下側から塞ぐ。ポンプカバー部材19には、吸入部19a、吸入口19bおよび吐出口19cが設けられる。
【0020】
吸入部19aは、ポンプカバー部材19から下側に突出する円柱状である。吸入部19aの外周面には溝が設けられ、溝にはOリング69が嵌め込まれている。吸入口19bは、ポンプカバー部材19および吸入部19aを軸方向に貫通する孔である。吐出口19cは、ポンプカバー部材19を軸方向に貫通する孔である。吸入口19bおよび吐出口19cのそれぞれは、ポンプ機構収容部11hの内部と、ポンプ1の外部とを繋ぐ。本実施形態では、吸入口19bを介して、オイルがポンプ機構収容部11hの内部に吸入され、吐出口19cを介して、オイルがポンプ1の外部に吐出される。
【0021】
基板収容部材13は、回路基板70を内部に収容する。基板収容部材13は、回路基板70を保持する。基板収容部材13は、モータハウジング11の上端に固定される。基板収容部材13は、中心軸線Jを中心とする略円環状である。本実施形態において、基板収容部材13は、樹脂製である。基板収容部材13は、基板収容部13aと、基板保持部13fと、固定爪部13bと、フランジ部13cと、を有する。
【0022】
基板収容部13aは、中心軸線Jを中心とする略円環状である。基板収容部13aは、回路基板70を径方向外側から囲む。基板収容部13aは、下側に開口する第2開口部13iと、上側に開口する第3開口部13jと、を有する。モータハウジング11の内部と、基板収容部材13の内部とは、第1開口部11bおよび第2開口部13iを介して繋がる。基板収容部13aの内側面には、上側を向く段差面13eを有する段差が設けられる。基板収容部13aの外周面には溝が設けられ、溝にはOリング67が嵌め込まれている。
【0023】
基板保持部13fは、回路基板70を保持する。基板保持部13fは、段差面13eから上側に突出する。図3に示すように、本実施形態において、基板収容部材13は、複数の基板保持部13fを有する。本実施形態において、基板収容部材13は、3個の基板保持部13fを有する。各基板保持部13fは、周方向に沿って互いに略等間隔をあけて配置される。各基板保持部13fは、支持部13gと、挿通部13hと、を有する。図2に示すように、支持部13gは、段差面13eから上側に突出する円板状である。支持部13gの板面は、軸方向を向く。挿通部13hは、支持部13gから上側に突出する円柱状である。図3に示すように、挿通部13hの外径は、支持部13gの外径よりも小さい。
【0024】
図2に示すように、固定爪部13bは、基板収容部13aから下側に突出する。固定爪部13bは、周壁部11aよりも径方向外側に配置される。固定爪部13bの先端は、径方向内側に向けて突出する。本実施形態において、基板収容部材13は、複数の固定爪部13bを有する。図示は省略するが、本実施形態において、基板収容部材13は、14個の固定爪部13bを有する。図4に示すように、各固定爪部13bは、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。図2に示すように、各固定爪部13bの先端は、モータハウジング11の固定凹部11cの内部に位置する。各固定爪部13bは、径方向内側に弾性変形可能であるため、各固定爪部13bの先端が固定凹部11cの内部から外れることを抑制できる。これにより、基板収容部材13は、モータハウジング11に固定される。
【0025】
図4に示すように、フランジ部13cは、基板収容部13aから径方向外側に突出する。軸方向に見て、フランジ部13cは、一つの角が径方向外側に突出する略三角形状である。フランジ部13cには、フランジ部13cを軸方向に貫通するフランジ孔13dが設けられる。フランジ孔13dには、軸方向に延びる円筒状のカラー部材83が固定される。本実施形態において、基板収容部材13は、複数のフランジ部13cを有する。本実施形態において、基板収容部材13は、2個のフランジ部13cを有する。各フランジ部13cは、互いに径方向に対向する位置に設けられる。カラー部材83の内部には、図示しないボルトが、上側から通され、係るボルトが、図2に示す被取付体5に設けられた図示しないねじ穴に締め込まれると、各フランジ部13cは、被取付体5に固定される。これにより、モータ2およびポンプ1は、被取付体5に固定される。
【0026】
蓋部材14は、蓋部14aと、コネクタ収容部14eと、を有する。蓋部14aは、中心軸線Jを中心として軸方向に突出する略円筒状である。蓋部14aは、下側に開口する。蓋部14aは、基板収容部材13の上端と固定される。これにより、蓋部材14は、基板収容部材13に固定される。蓋部14aは、第3開口部13jを上側から塞ぐ。
【0027】
図1に示すように、コネクタ収容部14eは、蓋部14aから上側に突出する。コネクタ収容部14eは、上側および下側の両方に開口する略角筒状である。コネクタ収容部14eの内部は、蓋部14aを軸方向に貫通する図示しない孔を介して、蓋部材14の内部と繋がる。
【0028】
図2に示すように、モータ部3は、モータハウジング11の内部に収容される。軸方向において、モータ部3は、回路基板70よりも下側、且つ、ポンプ機構部40よりも上側に配置される。モータ部3は、ロータ20と、ステータ30と、を有する。
【0029】
ロータ20は、中心軸線Jを中心として回転可能である。ロータ20は、ロータコア21と、磁石22と、シャフト23と、を有する。磁石22およびシャフト23は、ロータコア21に固定されている。ロータ20は、シャフト23を支持するシャフト支持部11eの内周面によって、中心軸線Jを中心として回転可能に支持される。シャフト23は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。シャフト23は、シャフト支持部11eの内部を軸方向に通され、周壁部11aの内部とポンプ機構収容部11hの内部とに跨って配置される。
【0030】
ステータ30は、ロータ20の径方向外側に配置される。ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。ステータ30は、ステータコア31と、絶縁部材32と、コイル部34と、を有する。
【0031】
ステータコア31は、ロータコア21を径方向外側から囲む環状である。ステータコア31の外周面は、モータハウジング11の周壁部11aに固定されている。本実施形態において、ステータコア31は、周壁部11aに圧入されている。ステータコア31は、接着等の他の方法によって、周壁部11aに固定されてもよい。
【0032】
絶縁部材32は、ステータコア31に装着される。絶縁部材32は、ステータコア31とコイル部34との間に配置される。絶縁部材32は、ステータコア31とコイル部34とを絶縁する。絶縁部材32は、上側に突出する環状壁部32aを有する。軸方向において、環状壁部32aは、ステータコア31と回路基板70との間に配置される。環状壁部32aは、中心軸線Jを中心とする略円環状である。環状壁部32aは、周壁部11aと径方向に隙間を介して対向する。図5に示すように、環状壁部32aには、挿通凹部32c、および端子保持部33が設けられる。
【0033】
挿通凹部32cは、環状壁部32aの上端から下側に窪む穴である。挿通凹部32cは、径方向の両側に開口する。径方向に見て、挿通凹部32cは、略矩形状である。本実施形態において、環状壁部32aには、複数の挿通凹部32cが設けられる。図示は省略するが、本実施形態において、環状壁部32aには、6個の挿通凹部32cが設けられる。各挿通凹部32cは、周方向に沿って互いに間隔をあけて設けられる。本実施形態では、1対の挿通凹部32c毎に、周方向に沿って互いに略等間隔をあけて配置される。1対の挿通凹部32cを構成する2つの挿通凹部32c同士は、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。
【0034】
端子保持部33は、軸方向に突出する略直方体状である。端子保持部33の形状は、略直方体状に限定されず、例えば、軸方向に延びる円柱状等の他の形状であってもよい。端子保持部33の2個の外側面は、径方向を向く。径方向に見て、端子保持部33は、長辺が軸方向に延びる略長方形状である。本実施形態において、絶縁部材32は、複数の端子保持部33を有する。本実施形態において、絶縁部材32は、3個の端子保持部33を有する。各端子保持部33は、周方向に沿って互いに略等間隔をあけて配置される。各端子保持部33には、穴部33aが設けられる。各端子保持部33は、壁部33bと、第1部分33cと、第2部分33dと、第3部分33eと、を有する。
【0035】
穴部33aは、端子保持部33の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部から下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に窪む穴である。軸方向に見て、穴部33aは、長辺が周方向に延びる略長方形状である。壁部33bは、端子保持部33のうち、穴部33aよりも径方向外側の部分である。壁部33bは、軸方向に延びる板状である。壁部33bの板面は、径方向を向く。径方向に見て、壁部33bは、略長方形状である。壁部33bは、凹部33hと、当該凹部33hの内側面のうち上側を向く面である引出線接触部33iと、を有する。
【0036】
凹部33hは、壁部33bの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部から下側、すなわち軸方向他方側に窪む穴である。凹部33hは、径方向に沿って開口する。本実施形態において、壁部33bは、2個の凹部33hを有する。各凹部33hは、周方向に互いに間隔をあけて配置される。一方の凹部33hは、壁部33bの周方向一方側(+θ側)の部分に設けられる。他方の凹部33hは、壁部33bの周方向他方側(-θ側)の部分に設けられる。引出線接触部33iは、凹部33hの内側面のうち上側、すなわち軸方向一方側を向く面である。本実施形態において、引出線接触部33iは平面状である。引出線接触部33iは、曲面状であってもよいし、周方向または径方向に傾斜する傾斜面であってもよい。
【0037】
第1部分33cは、端子保持部33のうち、穴部33aよりも径方向内側の部分である。第1部分33cは、軸方向に延びる板状である。径方向に見て、第1部分33cは、略長方形状である。図6に示すように、軸方向において、第1部分33cの上端は、壁部33bの上端よりも下側に位置する。図7に示すように、軸方向において、第1部分33cの上端は、引出線接触部33iよりも下側に位置する。図5に示すように、第1部分33cには、貫通孔部33kが設けられる。貫通孔部33kは、第1部分33cを径方向に貫通する孔である。径方向に見て、貫通孔部33kは、長辺が軸方向に延びる略長方形状である。貫通孔部33kの内部は、穴部33aの内部と繋がる。貫通孔部33kの内側面のうち下側を向く面は、支持面33mである。すなわち、絶縁部材32は、下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)を向く支持面33mを有する。
【0038】
第2部分33dは、端子保持部33のうち、穴部33aよりも周方向一方側(+θ側)の部分である。第3部分33eは、端子保持部33のうち、穴部33aよりも周方向他方側(-θ側)の部分である。第2部分33dおよび第3部分33eは、それぞれ、周方向と直交する方向に広がる板状である。周方向に見て、第2部分33dおよび第3部分33eは、それぞれ、略長方形状である。第2部分33dは、壁部33bおよび第1部分33cそれぞれの周方向一方側の縁部と繋がる。第3部分33eは、壁部33bおよび第1部分33cそれぞれの周方向他方側の縁部と繋がる。軸方向において、第2部分33dの上端および第3部分33eの上端は、第1部分33cの上端よりも下側に位置する。
【0039】
図2に示すように、コイル部34は、接続端子50を介して回路基板70と電気的に接続される。コイル部34には、接続端子50を介して回路基板70から電力が供給される。図5に示すように、コイル部34は、複数のコイル本体部34aと、コイル引出線34cと、を有する。
【0040】
複数のコイル本体部34aは、絶縁部材32を介してステータコア31に装着される。複数のコイル本体部34aは、環状壁部32aよりも径方向内側に配置される。本実施形態において、コイル部34は、6個のコイル本体部34aを有する。各コイル本体部34aは、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。
【0041】
図8に示すように、コイル引出線34cは、接続端子50と接続される。コイル引出線34cは、コイル本体部34aから引き出される。本実施形態において、コイル部34は、6本のコイル引出線34cを有する。各コイル引出線34cのそれぞれは、互いに異なるコイル本体部34aから引き出される。各コイル引出線34cは、コイル本体部34aから、互いに異なる挿通凹部32cを介して、環状壁部32aの径方向外側に引き出される。各コイル引出線34cが配置される経路、および各コイル引出線34cと接続端子50との接続構成等については、後段で詳細に説明する。
【0042】
図2に示すように、封止部材63は、封止部材保持部11gの内周面に保持される。封止部材63は、ロータコア21よりも下側に配置される。本実施形態において、封止部材63は、径方向内側にリップ部を有するリップシールである。封止部材63のリップ部は、シャフト23の外周面と接触する。これにより、封止部材63は、シャフト23とモータハウジング11との間を封止する。
【0043】
ポンプ機構部40は、ポンプ機構収容部11hの内部に収容される。ポンプ機構部40は、インナーロータ41と、アウターロータ42と、を有する。インナーロータ41は、シャフト23のうちポンプ機構収容部11hの内部に突出する部分と接続される。これにより、ポンプ機構部40は、ロータ20に接続される。インナーロータ41は、シャフト23を囲む環状である。アウターロータ42は、インナーロータ41を囲む環状である。インナーロータ41とアウターロータ42とは、互いに噛み合っている。これにより、ロータ20が中心軸線J回りに回転すると、インナーロータ41およびアウターロータ42も中心軸線J回りに回転する。
【0044】
回路基板70は、接続端子50を介して、コイル部34と電気的に接続される。回路基板70は、コイル部34に供給する電力を制御する。上述のように、回路基板70は、基板収容部13aの内部に収容される。回路基板70は、モータ部3の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に配置される。回路基板70は、軸方向と直交する方向に広がる板状である。図4に示すように、軸方向に見て、回路基板70は、略円形状である。回路基板70には、複数の第1貫通孔70a、および複数の第2貫通孔70bが設けられる。また、回路基板70には、コネクタ部材72が取り付けられる。
【0045】
複数の第1貫通孔70aのそれぞれは、回路基板70を軸方向に貫通する孔である。本実施形態において、第1貫通孔70aは、3個設けられる。各第1貫通孔70aは、周方向に沿って互いに略等間隔をあけて配置される。各第1貫通孔70aには、基板保持部13fの挿通部13hが軸方向に通されている。本実施形態において、各第1貫通孔70aには、挿通部13hが嵌め合わされている。これにより、基板収容部材13に対する回路基板70の周方向の位置および径方向の位置が決まる。また、図2に示すように、回路基板70の下側を向く面は、基板保持部13fの支持部13gによって軸方向に支持される。これにより、基板収容部材13に対する回路基板70の軸方向の位置が決まる。これらにより、回路基板70は、基板収容部材13に保持される。
【0046】
図4に示すように、複数の第2貫通孔70bは、回路基板70を軸方向に貫通する孔である。第2貫通孔70bは、例えばスルーホールである。第2貫通孔70bの内側面には導電性を有する銅箔が設けられる。本実施形態において、第2貫通孔70bは、6個設けられる。本実施形態では、1対の第2貫通孔70b毎に、周方向に沿って互いに略等間隔をあけて配置される。1対の第2貫通孔70bを構成する2つの第2貫通孔70b同士は、周方向に互いに間隔をあけて配置される。
【0047】
コネクタ部材72は、モータ2に電力を供給する図示しない外部機器と、回路基板70とを電気的に接続する。コネクタ部材72は、回路基板70の上側を向く面に取り付けられ、上側に突出する。コネクタ部材72の上側の部分は、図2に示すコネクタ収容部14eの内部に配置される。
【0048】
接続端子50は、コイル引出線34cと回路基板70とを電気的に接続する。すなわち、接続端子50は、ステータ30と回路基板70とを電気的に接続する。軸方向において、接続端子50は、ステータコア31と回路基板70との間に配置される。図8に示すように、接続端子50は、絶縁部材32の端子保持部33に保持される。本実施形態において、モータ2は、複数の接続端子50を有する。本実施形態において、モータ2は、3個の接続端子50を有する。各接続端子50は、周方向に沿って略等間隔をあけて配置される。接続端子50は、導電性を有する。本実施形態において、接続端子50は、金属製である。図9に示すように、接続端子50は、端子本体部51と、2つの腕部52,53と、脚部54と、基板接続部55と、を有する。
【0049】
端子本体部51は、軸方向に延びる。軸方向において、端子本体部51の下端は、腕部52の下端と略同じ位置である。端子本体部51は、第1端子本体部51aと、第2端子本体部51bと、第3端子本体部51cと、を有する。第1端子本体部51aは、軸方向に延びる板状である。第1端子本体部51aの板面は、径方向を向く。径方向に見て、第1端子本体部51aは、略矩形状である。第1端子本体部51aの下端は、端子本体部51の下端である。
【0050】
第2端子本体部51bは、第1端子本体部51aの上端から径方向外側に延びる板状である。第2端子本体部51bの板面は、軸方向を向く。軸方向に見て、第2端子本体部51bは、略矩形状である。本実施形態において、端子本体部51は、2個の第2端子本体部51bを有する。一方の第2端子本体部51bは、第1端子本体部51aの上端のうち周方向一方側(+θ側)の部分と繋がる。他方の第2端子本体部51bは、第1端子本体部51aの上端のうち周方向他方側(-θ側)の部分と繋がる。各第2端子本体部51bは、周方向に間隔をあけて配置される。
【0051】
第3端子本体部51cは、第2端子本体部51bの径方向外側の端部から上側に突出する板状である。第3端子本体部51cの板面は、径方向を向く。径方向に見て、第3端子本体部51cは、略矩形状である。第3端子本体部51cの上端は、端子本体部51の上端である。本実施形態において、端子本体部51は、2個の第3端子本体部51cを有する。一方の第3端子本体部51cは、一方の第2端子本体部51bの上端と繋がる。他方の第3端子本体部51cは、他方の第2端子本体部51bの上端と繋がる。各第3端子本体部51cは、周方向に間隔をあけて配置される。
【0052】
2つの腕部52,53のそれぞれは、端子本体部51から軸方向と交差する方向に突出する板状である。本実施形態において、各腕部52,53は、第1端子本体部51aから周方向に突出する板状である。一方の腕部52は、第1端子本体部51aから周方向一方側(+θ側)に突出する。他方の腕部53は、第1端子本体部51aから周方向他方側(-θ側)に突出する。本実施形態において、各腕部52,53の板面は、軸方向と直交する方向を向く。軸方向に見て、各腕部52,53は、略U字形状である。各腕部52,53それぞれの形状は、周方向と直交し、かつ、接続端子50の周方向中心を通る仮想平面を対称面として、互いに面対称の形状である。図8に示すように、各腕部52,53のそれぞれは、互いに異なるコイル引出線34cと接続される。
【0053】
図9に示すように、腕部52は、第1腕部52aと、第2腕部52bと、第3腕部52cと、を有する。腕部52には、腕凹部52eおよび溝部52fが設けられる。第1腕部52aは、第1端子本体部51aの周方向一方側(+θ側)の端部から周方向一方側に延びる板状である。第2腕部52bは、第1腕部52aの周方向一方側の端部から、径方向内側に延びる板状である。第3腕部52cは、第2腕部52bの径方向内側の端部から周方向他方側(-θ側)に延びる板状である。径方向に見て、第3腕部52cは、第1腕部52aと重なる。
【0054】
腕凹部52eは、腕部52の周方向一方側の端部から周方向他方側に窪む穴である。より詳細には、腕凹部52eは、第2腕部52bの周方向一方側を向く面から、周方向他方側に窪み、腕凹部52eの周方向他方側の端部は、第1腕部52aおよび第3腕部52cそれぞれの周方向一方側の部分に位置する。腕凹部52eは、径方向の両側に開口する。径方向に見て、腕凹部52eは、第2腕部52bの周方向一方側を向く面から略同一の軸方向の寸法で周方向他方側に延びた後に、周方向他方側に向かうにしたがって、軸方向の寸法が小さくなる。
【0055】
溝部52fは、腕凹部52eの周方向他方側の端部から軸方向と交差する方向に窪む穴である。本実施形態において、溝部52fは、腕凹部52eの周方向他方側の端部から周方向他方側に窪む穴である。溝部52fは、径方向の両側に開口する。径方向に見て、溝部52fは、長辺が周方向に延びる略長方形状である。図8に示すように、溝部52fは、壁部33bと径方向に重なる。溝部52fには、コイル引出線34cが径方向に沿って通される。図9に示すように、本実施形態において、溝部52fは、第1溝部52gおよび第2溝部52hを含む。
【0056】
第1溝部52gは、第1腕部52aにおいて、腕凹部52eの周方向他方側の端部から周方向他方側に窪む穴である。第2溝部52hは、第3腕部52cにおいて、腕凹部52eの周方向他方側の端部から周方向他方側に窪む穴である。第1溝部52gおよび第2溝部52hは、それぞれ、径方向両側に開口する。図7に示すように、径方向に見て、第1溝部52gおよび第2溝部52hは、互いに重なる。第1溝部52gおよび第2溝部52hは、径方向に並んで配置される。軸方向において、引出線接触部33iは、第1溝部52gおよび第2溝部52hそれぞれの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)を向く面よりも上側に位置する。すなわち、引出線接触部33iは、溝部52fの上側を向く面よりも上側に位置する。また、引出線接触部33iは、溝部52fの下側を向く面よりも下側に位置する。第1溝部52gおよび第2溝部52hには、同一のコイル引出線34cが径方向に沿って通される。
【0057】
周方向に見て、第1溝部52gの下側を向く内側面は、径方向の両端から径方向の中央に向かうにしたがって下側に位置し、下側の端部には角部52jが構成される。周方向に見て、角部52jは、下側に向かって尖った形状である。周方向に見て、第1溝部52gの上側を向く面は、径方向の両端から径方向の中央に向かうにしたがって上側に位置し、上側の端部には角部52kが構成される。周方向に見て、角部52kは、上側に向かって尖った形状である。角部52j,52kは、軸方向に対向する。
【0058】
周方向に見て、第2溝部52hの下側を向く内側面は、径方向の両端から径方向の中央に向かうにしたがって下側に位置し、下側の端部には角部52mが構成される。周方向に見て、角部52mは、下側に向かって尖った形状である。周方向に見て、第2溝部52hの上側を向く面は、径方向の両端から径方向の中央に向かうにしたがって上側に位置し、上側の端部には角部52nが構成される。周方向に見て、角部52nは、上側に向かって尖った形状である。角部52m,52nは、軸方向に対向する。
【0059】
図9に示すように、腕部53は、第1腕部53aと、第2腕部53bと、第3腕部53cと、を有する。腕部53には、腕凹部53eおよび溝部53fが設けられる。上述のように、腕部53の形状は、周方向と直交し、かつ、接続端子50の周方向中心を通る仮想平面を対称面として、腕部52の形状と面対称の形状である。腕部53において、腕部52の構成等と同一の構成等については、説明を省略する場合がある。第1腕部53aは、第1端子本体部51aの周方向他方側(-θ側)の端部から周方向他方側に延びる板状である。第2腕部53bは、第1腕部53aの周方向他方側の端部から、径方向内側に延びる板状である。第3腕部53cは、第2腕部53bの径方向内側の端部から周方向一方側(+θ側)に延びる板状である。
【0060】
腕凹部53eは、腕部53の周方向他方側の端部から周方向一方側に窪む穴である。腕凹部53eは、径方向の両側に開口する。溝部53fは、腕凹部53eの周方向一方側の端部から周方向一方側に窪む穴である。溝部53fは、径方向の両側に開口する。図8に示すように、壁部33bは、溝部53fと径方向に対向する。溝部53fには、コイル引出線34cが径方向に沿って通される。図9に示すように、本実施形態において、溝部53fは、第1溝部53gおよび第2溝部53hを含む。
【0061】
第1溝部53gは、第1腕部53aにおいて、腕凹部53eの周方向一方側の端部から周方向一方側に窪む穴である。第2溝部53hは、第3腕部53cにおいて、腕凹部53eの周方向一方側の端部から周方向一方側に窪む穴である。第1溝部53gおよび第2溝部53hは、それぞれ、径方向両側に開口する。第1溝部53gおよび第2溝部53hは、径方向に並んで配置される。図示は省略するが、軸方向において、引出線接触部33iは、第1溝部53gおよび第2溝部53hそれぞれの上側を向く面よりも上側に位置する。すなわち、引出線接触部33iは、溝部53fの上側を向く面よりも上側に位置する。また、引出線接触部33iは、溝部53fの下側を向く面よりも下側に位置する。第1溝部53gおよび第2溝部53hには、同一のコイル引出線34cが径方向に沿って通される。
【0062】
なお、図示は省略するが、第1溝部53gの下側を向く面および上側を向く面のそれぞれには、図7に示す第1溝部52gに構成される角部52j,52kと同一形状の一対の角部が構成される。また、第2溝部53hの下側を向く面および上側を向く面のそれぞれには、第2溝部52hに構成される角部52m,52nと同一形状の一対の角部が構成される。
【0063】
図9に示すように、基板接続部55は、第3端子本体部51cの上端から上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に突出する板状である。基板接続部55の板面は、径方向を向く。径方向に見て、基板接続部55は、長軸が軸方向に延びる略楕円状である。基板接続部55には、基板接続部55を径方向に貫通する孔が設けられる。径方向に見て、孔は、長軸が軸方向に延びる略楕円状である。基板接続部55には孔が設けられるため、基板接続部55は、周方向に弾性変形可能である。本実施形態において、接続端子50は、2個の基板接続部55を有する。一方の基板接続部55は、一方の第3端子本体部51cから上側に突出する。他方の基板接続部55は、他方の第3端子本体部51cから上側に突出する。2つの基板接続部55は、周方向に互いに間隔をあけて配置される。
【0064】
図4に示すように、各接続端子50それぞれの基板接続部55は、回路基板70の第2貫通孔70bを軸方向に通される。各基板接続部55は、第2貫通孔70bに圧入される。上述のように、基板接続部55は、周方向に弾性変形可能であるため、基板接続部55の復元力によって、各基板接続部55は、第2貫通孔70bに固定される。これにより、各基板接続部55は、回路基板70と接続される。すなわち、接続端子50は、回路基板70と接続される。つまり、接続端子50は、回路基板70と電気的に接続される。本実施形態では、接続端子50と回路基板70とを接続する工程において、予め端子保持部33に保持された接続端子50の上側から回路基板70を下側に移動させる簡易な作業によって、各基板接続部55を第2貫通孔70bの内部に通して、各基板接続部55を第2貫通孔70bに固定できる。したがって、容易に接続端子50と回路基板70とを接続できるため、モータ2およびポンプ1の組立工数が増大することを抑制できる。
【0065】
図9に示すように、脚部54は、端子本体部51から下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に延びる板状である。軸方向において、脚部54の上端は、腕部52の下端と略同じ位置である。脚部54の板面は、径方向を向く。径方向に見て、脚部54は、長辺が軸方向に延びる略長方形状である。図6および図7に示すように、脚部54は、端子保持部33の穴部33aの内部に配置される。脚部54は、壁部33bおよび第1部分33cのそれぞれと径方向に接触する。図示は省略するが、脚部54は、第2部分33dおよび第3部分33eと周方向に接触する。図9に示すように、脚部54には、脚孔部54bが設けられる。脚部54は、固定部54cを有する。
【0066】
脚孔部54bは、脚部54を径方向に貫通する孔である。径方向に見て、脚孔部54bは、長辺が軸方向に延びる略長方形状である。固定部54cは、脚孔部54bの内側面のうち上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)を向く面から、上側と径方向内側、すなわち径方向の一方側との間を向く方向に向かって延びる板状である。固定部54cは、径方向に弾性変形可能である。固定部54cの外側面のうち、上側、すなわち軸方向一方側を向く面は固定面54dである。すなわち、固定部54cは、上側を向く固定面54dを有する。図6に示すように、固定面54dは、端子保持部33の支持面33mと軸方向に接触する。すなわち、固定部54cは、絶縁部材32と軸方向に接触する。固定面54dは、支持面33mによって軸方向に支持される。
【0067】
本実施形態によれば、接続端子50は、端子本体部51から下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に延び、固定部54cを有する脚部54を有し、絶縁部材32には、絶縁部材32の上側、すなわち軸方向一方側の端部から下側、すなわち軸方向他方側に窪む穴部33aが設けられ、脚部54は、穴部33aの内部に配置される。よって、穴部33aの径方向を向く2つの内側面および穴部33aの周方向を向く2つの内側面によって、絶縁部材32に対して脚部54が径方向および周方向に移動することを抑制できる。これにより、絶縁部材32に対する接続端子50の径方向の位置および周方向の位置を精度よく決めることができるため、回路基板70に対する接続端子50の径方向の位置および周方向の位置を精度よく決めることができる。したがって、接続端子50と回路基板70とを接続する工程において、容易に接続端子50の基板接続部55を第2貫通孔70bの内部に通すことができるため、容易に基板接続部55と第2貫通孔70bとを接続できる。したがって、容易に接続端子50と回路基板70とを接続できるため、モータ2およびポンプ1の製造工数が増大することを抑制できる。
【0068】
本実施形態によれば、脚部54には、脚部54を径方向に貫通する脚孔部54bが設けられ、固定部54cは、脚孔部54bの内側面のうち上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)を向く面から、上側と径方向内側、すなわち径方向の一方側との間を向く方向に向かって延び、且つ、径方向に弾性変形可能である。よって、接続端子50を絶縁部材32に取り付ける作業において、脚部54を穴部33aの内部に挿入する際に、固定部54cが穴部33aの内側面に接触すると、固定部54cは径方向外側に弾性変形する。これにより、固定部54cが穴部33aの内側面に引っ掛かることを抑制できるため、容易に脚部54を穴部33aの内部に挿入できる。また、図6に示すように、固定部54cが支持面33mよりも下側に位置するまで接続端子50を穴部33aの内部に挿入すると、固定部54cの復元力により、固定部54cは径方向内側に弾性変形する。そのため、固定部54cが貫通孔部33kの内部に入り込み、固定面54dと支持面33mとを軸方向に接触させることができる。これにより、絶縁部材32に対する接続端子50の軸方向の位置を決めることができるとともに、接続端子50を絶縁部材32に取り付けることができる。よって、接続端子50を下側に移動させる簡易な作業のみによって、接続端子50を絶縁部材32に取り付けることができるため、接続端子50を絶縁部材32に取り付ける作業の簡易化を図ることができる。したがって、モータ2およびポンプ1の製造工数が増大することを抑制できる。
【0069】
図8に示すように、本実施形態において、各接続端子50の腕部52,53のそれぞれには、互いに異なる1本のコイル引出線34cが接続される。すなわち、各接続端子50には、2本のコイル引出線34cが接続される。2本のコイル引出線34cのそれぞれは、各接続端子50を周方向に挟んで配置される一対のコイル本体部34aのそれぞれから引き出される。該一対のコイル本体部34aのうち、接続端子50の周方向一方側(+θ側)に配置されるコイル本体部34aから引き出された一方のコイル引出線34cは、腕部52に接続される。該一対のコイル本体部34aのうち、接続端子50の周方向他方側(-θ側)に配置されるコイル本体部34aから引き出された他方のコイル引出線34cは、腕部53に接続される。
【0070】
上述のように、コイル引出線34cは、コイル本体部34aから、挿通凹部32cを介して、環状壁部32aの径方向外側に引き出される。コイル本体部34aから環状壁部32aの径方向外側に引き出された一方のコイル引出線34cは、端子保持部33に向けて周方向他方側(-θ側)に引き出され、壁部33bの2個の凹部33hのうち周方向一方側に配置される凹部33hの内側を径方向に通された後、図7に示すように、第1溝部52gおよび第2溝部52hの内側を径方向に沿って通される。すなわち、一方のコイル引出線34cは、溝部52fの内側を径方向に沿って通される。また、一方のコイル引出線34cは、引出線接触部33iと軸方向に接触する。図8に示すように、環状壁部32aの径方向外側に引き出された他方のコイル引出線34cは、端子保持部33に向けて周方向一方側に引き出され、壁部33bの2個の凹部33hのうち周方向他方側に配置される凹部33hの内側を径方向に通された後、図示は省略するが、第1溝部53gおよび第2溝部53hの内側を径方向に沿って通される。すなわち、他方のコイル引出線34cは、溝部53fの内側を径方向に沿って通される。また、図示は省略するが、他方のコイル引出線34cは、引出線接触部33iと軸方向に接触する。
【0071】
図7に示すように、腕部52の第1溝部52gの角部52j,52k同士の間の間隔の寸法は、コイル引出線34cの径よりも小さい。また、第2溝部52hの角部52m,52n同士の間の間隔の寸法は、コイル引出線34cの径よりも小さい。よって、一方のコイル引出線34cは、第1溝部52gおよび第2溝部52hのそれぞれに圧入される。すなわち、一方のコイル引出線34cは、溝部52fに圧入される。これにより、コイル引出線34cと腕部52とが接続される。同様に、図示は省略するが、腕部53の第1溝部53gに設けられる一対の角部同士の間の間隔の寸法は、コイル引出線34cの径よりも小さい。また、第2溝部53hに設けられる一対の角部同士の間の間隔の寸法は、コイル引出線34cの径よりも小さい。よって、他方のコイル引出線34cは、第1溝部53gおよび第2溝部53hのそれぞれに圧入される。すなわち、他方のコイル引出線34cは、溝部53fに圧入される。これにより、他方のコイル引出線34cと腕部53とが接続される。つまり、接続端子50は、コイル部34と接続される。また、上述のように、回路基板70は、接続端子50の基板接続部55と接続される。これらにより、接続端子50は、コイル部34と回路基板70とを電気的に接続する。
【0072】
本実施形態によれば、接続端子50は、回路基板70と接続される基板接続部55と、軸方向と交差する方向に窪み、コイル引出線34cが径方向に沿って通される溝部52f,53fと、絶縁部材32と軸方向に接触する固定部54cと、を有する。コイル引出線34cは、溝部52f,53fに圧入され、絶縁部材32は、溝部52f,53fと径方向に対向し、且つ、軸方向に延びる壁部33bを有し、壁部33bは、溝部52f,53fの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)を向く面よりも上側に位置し、且つ、コイル引出線34cと軸方向に接触する引出線接触部33iを有する。よって、図7に示すように、周方向に見て、コイル引出線34cは、引出線接触部33iから溝部52f,53fにかけて下側に屈曲する。したがって、コイル引出線34cのうち溝部52f,53fの内側に位置する部分には、上側を向く復元力が加わるため、コイル引出線34cは、溝部52f,53fの下側を向く面に押し付けられる。これにより、溝部52f,53fの下側を向く面とコイル引出線34cとの接触圧力を高めることができる。よって、コイル引出線34cと溝部52f,53fの内側面との接触面積を広くすることができるため、コイル引出線34cと接続端子50とを安定して電気的に接続できる。したがって、接続端子50を介して、ステータ30と回路基板70とを安定して電気的に接続できるため、モータ2およびポンプ1を安定して駆動させることができるとともに、モータ2の出力効率を高めることができる。
【0073】
また、本実施形態では、引出線接触部33iが溝部52f,53fそれぞれの上側を向く面よりも上側に位置するため、コイル引出線34cが径方向外側に移動しようとすると、引出線接触部33iと壁部33bの径方向内側を向く面とを繋ぐエッジ部にコイル引出線34cが引っ掛かる。これにより、コイル引出線34cが径方向外側に移動することを抑制できるため、コイル引出線34cと接続端子50とをより安定して接続できる。したがって、接続端子50を介して、ステータ30と回路基板70とをより安定して電気的に接続できる。
【0074】
また、本実施形態では、溝部52f,53fが周方向、すなわち軸方向と交差する方向に窪む穴であるため、接続端子50の周方向外側から溝部52f,53fの内側を視認できる。よって、コイル引出線34cを接続端子50に接続する作業を行った後に、コイル引出線34cと溝部52f,53fの内側面との接続状態を視認できる。したがって、コイル引出線34cと接続端子50とをより確実に電気的に接続できる。
【0075】
本実施形態によれば、壁部33bは、壁部33bの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部から下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に窪み、径方向に沿って開口する凹部33hを有し、コイル引出線34cは、凹部33hの内側を通され、引出線接触部33iは、凹部33hの内側面のうち上側を向く面である。よって、凹部33hの周方向を向く内側面によって、端子保持部33および接続端子50に対してコイル引出線34cが周方向に移動することを抑制できる。したがって、コイル引出線34cと接続端子50とをより安定して接続できるため、接続端子50を介して、ステータ30と回路基板70とをより安定して電気的に接続できる。
【0076】
本実施形態によれば、接続端子50は、軸方向に延びる端子本体部51と、端子本体部51から周方向、すなわち軸方向と交差する方向に突出し、溝部52f,53fが設けられる腕部52,53と、を有し、溝部52f,53fは、径方向に並び、同一のコイル引出線34cが通される第1溝部52g,53gおよび第2溝部52h,53hを含む。よって、第1溝部52g,53gおよび第2溝部52h,53hのそれぞれにコイル引出線34cが圧入されるため、第1溝部52g,53gまたは第2溝部52h,53hの一方にのみにコイル引出線34cが圧入される構成と比較して、コイル引出線34cと接続端子50との接触面積を広くできるとともに、より強固にコイル引出線34cを接続端子50に固定できる。これらにより、コイル引出線34cと接続端子50とをより安定して接続できるため、接続端子50を介して、ステータ30と回路基板70とをより安定して電気的に接続できる。
【0077】
本実施形態によれば、接続端子50は、2つの腕部52,53を有し、一方の腕部52は、端子本体部51から周方向一方側(+θ側)に突出し、他方の腕部53は、端子本体部51から周方向他方側(-θ側)に突出する。よって、1つの接続端子50に2本のコイル引出線34cを接続できるため、1つの接続端子50に1本のコイル引出線34cを接続する構成と比較して、モータ2が備える接続端子50の個数を削減できる。よって、モータ2およびポンプ1の部品点数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0078】
また、本実施形態によれば、2つの腕部52,53が互いに周方向に離れて配置されるため、2つの腕部52,53のそれぞれに接続されるコイル引出線34c同士が干渉することを抑制できる。したがって、より容易にコイル引出線34cを接続端子50に接続できるため、モータ2およびポンプ1の製造工数が増大することを抑制できる。
【0079】
本実施形態によれば、固定部54cは、上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)を向く固定面54dを有し、絶縁部材32は、下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)を向き、固定面54dを軸方向に支持する支持面33mを有する。上述のように、本実施形態では、絶縁部材32の引出線接触部33iが溝部52f,53fの上側を向く面よりも上側に位置するため、コイル引出線34cは、引出線接触部33iから溝部52f,53fにかけて下側に屈曲する。よって、コイル引出線34cの復元力によって、溝部52f,53fの上側を向く面には上側を向く力が加わる。つまり、接続端子50には上側を向く力が加わる。これに対して、本実施形態では、接続端子50の上側を向く固定面54dが、絶縁部材32の下側を向く支持面33mによって軸方向に支持されるため、絶縁部材32に対して接続端子50が上側に移動することを抑制できる。したがって、回路基板70に対する接続端子50の軸方向の位置がばらつくことを抑制できるため、より容易に接続端子50を回路基板70に接続できる。よって、モータ2およびポンプ1の製造工数が増大することをより好適に抑制できる。
【0080】
なお、本実施形態において、コイル部34は、銅線の周りを例えばエナメル等の絶縁被膜で被覆したコイル線によって構成されている。このようなコイル線を用いる場合において、コイル引出線34cを接続端子50に電気的に接続する方法としては、少なくとも溝部52f,53fの内側面と接触する部分の絶縁被膜を予め除去した後に、コイル引出線34cを接続端子50に接続する方法、および、エナメル線を溶融させつつ銅線を接続端子50に接合する、例えばヒュージング溶接等の接合溶接を行う方法が一般的である。
【0081】
これに対して、本実施形態では、上述のように、腕部52の第1溝部52gの内側面には、下側に向かって尖った形状である角部52j、および上側に向かって尖った形状である角部52kが構成され、角部52j,52k同士は、軸方向に互いに対向し、角部52j,52k同士の間の間隔の寸法は、コイル引出線34cの径よりも小さい。よって、絶縁被覆の除去を行っていない一方のコイル引出線34cを、腕部52の周方向一方側(+θ側)から第1溝部52gの内側に圧入することにより、角部52j,52kによって一方のコイル引出線34cの絶縁被膜を裂くことができるため、第1溝部52gの内側面とコイル引出線34cの銅線とを接触させることができる。同様に、絶縁被覆の除去を行っていない一方のコイル引出線34cを、腕部52の周方向一方側から第2溝部52hの内側に圧入することにより、角部52m,52nによって一方のコイル引出線34cの絶縁被膜を裂くことができるため、第2溝部52hの内側面と一方のコイル引出線34cの銅線とを接触させることができる。これらにより、腕部52と一方のコイル引出線34cとを電気的に接続できる。
【0082】
また、上述のように、腕部53の第1溝部53gおよび第2溝部53hのそれぞれにも、一対の角部が設けられる。よって、絶縁被覆の除去を行っていない他方のコイル引出線34cを、腕部53の周方向他方側(-θ側)から第1溝部53gおよび第2溝部53hそれぞれの内側に圧入することにより、第1溝部53gおよび第2溝部53hそれぞれの一対の角部によって他方のコイル引出線34cの絶縁被膜を裂くことができるため、第1溝部53gの内側面および第2溝部53hの内側面のそれぞれと他方のコイル引出線34cの銅線とを接触させることができる。よって、腕部53と他方のコイル引出線34cとを電気的に接続できる。したがって、コイル引出線34cを接続端子50に接続する工程において、コイル引出線34cの絶縁被膜を除去する作業が不要となるため、コイル引出線34cを接続端子50に接続する作業の簡易化を図ることができる。また、コイル引出線34cを溝部52f,53fの内側に圧入する簡易な作業のみによって、コイル引出線34cと接続端子50とを電気的に接続できるため、ヒュージング溶接等の接合溶接によって、コイル引出線34cと接続端子50とを電気的に接続する場合と比較して、コイル引出線34cを接続端子50に接続する作業の簡易化を図ることができる。したがって、モータ2およびポンプ1の製造工数が増大することをより好適に抑制できる。
【0083】
また、本実施形態では、上述のように、絶縁部材32の引出線接触部33iが溝部52f,53fの上側を向く面よりも上側に位置するため、コイル引出線34cは、引出線接触部33iから溝部52f,53fにかけて下側に屈曲する。これにより、コイル引出線34cの上側の部分の絶縁被膜には径方向を向く張力が加わるため、溝部52f,53fそれぞれの一対の角部によって、絶縁被膜をより安定して裂くことができる。したがって、溝部52f,53fの内側面とコイル引出線34cの銅線とをより安定して接触させることができるため、コイル引出線34cと接続端子50とをより安定して電気的に接続できる。
【0084】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。例えば、絶縁部材が有する端子保持部の個数は3個に限定されず、2個以下でもよいし、4個以上であってもよい。また、モータが有する接続端子の個数は、3個に限定されず、2個以下でもよいし、4個以上であってもよい。また、接続端子と接続されるコイル引出線の本数は、1本でもよいし、3本以上であってもよい。また、1つの腕部に2本以上のコイル引出線が接続されてもよい。
【0085】
基板収容部材が有するフランジ部の個数は、3個以上であってもよい。また、フランジ部は、蓋部材に設けられてもよいし、モータハウジングに設けられてもよい。
【0086】
基板接続部と第2貫通孔とを接続する方法は、圧入に限定されず、半田付け等の他の方法によって接続されてもよい。
【0087】
本発明が適用されるモータの用途は、特に限定されない。モータは、ポンプ以外の機器に搭載されてもよい。本発明が適用されるモータを備えるポンプの用途は、特に限定されない。ポンプによって送られる流体の種類は、特に限定されず、水等であってもよい。モータおよびポンプは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【0088】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を有するモータ部と、前記モータ部の軸方向一方側に配置される回路基板と、前記ステータと前記回路基板とを電気的に接続する接続端子と、を備え、前記ステータは、環状のステータコアと、前記ステータコアに装着され、前記接続端子を保持する絶縁部材と、前記絶縁部材を介して前記ステータコアに装着されるコイル本体部と、前記コイル本体部から引き出されるコイル引出線と、を有するコイル部と、を有し、前記接続端子は、前記回路基板と接続される基板接続部と、軸方向と交差する方向に窪み、前記コイル引出線が径方向に沿って通される溝部と、前記絶縁部材と軸方向に接触する固定部と、を有し、前記コイル引出線は、前記溝部に圧入され、前記絶縁部材は、前記溝部と径方向に対向し、且つ、軸方向に延びる壁部を有し、前記壁部は、前記溝部の軸方向一方側を向く面よりも軸方向一方側に位置し、且つ、前記コイル引出線と軸方向に接触する引出線接触部を有する、モータ。
(2) 前記壁部は、前記壁部の軸方向一方側の端部から軸方向他方側に窪み、径方向に沿って開口する凹部を有し、前記コイル引出線は、前記凹部の内側を通され、前記引出線接触部は、前記凹部の内側面のうち軸方向一方側を向く面である、(1)に記載のモータ。
(3) 前記接続端子は、軸方向に延びる端子本体部と、前記端子本体部から軸方向と交差する方向に突出し、前記溝部が設けられる腕部と、を有し、前記溝部は、径方向に並び、同一の前記コイル引出線が通される第1溝部および第2溝部を含む、(1)または(2)に記載のモータ。
(4) 前記接続端子は、2つの前記腕部を有し、一方の前記腕部は、前記端子本体部から周方向一方側に突出し、他方の前記腕部は、前記端子本体部から周方向他方側に突出する、(3)に記載のモータ。
(5) 前記固定部は、軸方向一方側を向く固定面を有し、前記絶縁部材は、軸方向他方側を向き、前記固定面を軸方向に支持する支持面を有する、(3)または(4)に記載のモータ。
(6) 前記接続端子は、前記端子本体部から軸方向他方側に延び、前記固定部を有する脚部を有し、前記絶縁部材には、前記絶縁部材の軸方向一方側の端部から軸方向他方側に窪む穴部が設けられ、前記脚部は、前記穴部の内部に配置される、(5)に記載のモータ。
(7) 前記脚部には、前記脚部を径方向に貫通する脚孔部が設けられ、前記固定部は、前記脚孔部の内側面のうち軸方向一方側を向く面から、軸方向一方側と径方向の一方側との間を向く方向に向かって延び、且つ、径方向に弾性変形可能である、(5)または(6)に記載のモータ。
(8) (1)から(7)のいずれか一項に記載のモータと、前記ロータに接続されるポンプ機構部と、を備える、ポンプ。
【符号の説明】
【0089】
1…ポンプ、2…モータ、3…モータ部、20…ロータ、30…ステータ、31…ステータコア、32…絶縁部材、33a…穴部、33b…壁部、33h…凹部、33i…引出線接触部、33m…支持面、34…コイル部、34a…コイル本体部、34c…コイル引出線、40…ポンプ機構部、50…接続端子、51…端子本体部、52,53…腕部、52f,53f…溝部、52g,53g…第1溝部、52h,53h…第2溝部、54…脚部、54b…脚孔部、54c…固定部、54d…固定面、55…基板接続部、70…回路基板、J…中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9