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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109344
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】分散型電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/18 20060101AFI20240806BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H02J3/18
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014086
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 充博
(72)【発明者】
【氏名】脇 昌裕
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066FA02
5G066FB01
5G066FB11
5G066HA10
5G066HA19
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】連系点の力率をより適切に所定の範囲内に収めることができる全量自家消費型の分散型電源システムを提供する。
【解決手段】発電した電力の供給を行う分散型電源と、分散型電源から供給された電力を負荷に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を負荷に供給する電力変換装置と、電力変換装置から出力する有効電力を目標値に追従させるとともに、電力系統との連系点における力率を目標値に追従させるように電力変換装置の動作を制御する追従制御を行う制御装置と、を備え、制御装置は、連系点の力率に対して、目標値よりも低い値に設定される下限値と、目標値と下限値との間に設定される閾値と、を設定し、連系点の力率が下限値以上閾値未満である場合に、連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御を実行する分散型電源システムが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統及び負荷に接続され、分散型電源で発電された電力を前記負荷に供給することにより、前記電力系統から前記負荷への買電を抑制する全量自家消費型の分散型電源システムであって、
発電を行うとともに、発電した電力の供給を行う分散型電源と、
前記分散型電源から供給された電力を前記負荷に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記負荷に供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置から出力する有効電力を目標値に追従させるとともに、前記電力系統との連系点における力率を目標値に追従させるように前記電力変換装置の動作を制御する追従制御を行う制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記連系点の力率に対して、前記目標値よりも低い値に設定される下限値と、前記目標値と前記下限値との間に設定される閾値と、を設定し、前記連系点の力率が前記下限値以上前記閾値未満である場合に、前記連系点の力率が前記下限値未満となることを抑制するための制御を実行する分散型電源システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記連系点の力率が前記下限値に近接したことを表すアラームの発報を行うための信号の出力を、前記連系点の力率が前記下限値未満となることを抑制するための制御として実行する請求項1記載の分散型電源システム。
【請求項3】
前記連系点における力率の改善を行う進相コンデンサと、
前記進相コンデンサの投入及び開放の切り替えを行う開閉器と、
をさらに備え、
前記制御装置は、前記開閉器の投入及び開放の切り替えを制御することにより、前記進相コンデンサの投入及び開放の切り替えを制御し、前記進相コンデンサの投入を、前記連系点の力率が前記下限値未満となることを抑制するための制御として実行する請求項1記載の分散型電源システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記連系点の力率が前記下限値未満である場合に、前記連系点の力率が前記下限値未満となったことを表すアラームの発報を行うための信号の出力を行う請求項1記載の分散型電源システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記連系点の力率が前記下限値未満である場合に、前記電力系統から前記負荷への電力の供給を停止する制御を行う請求項1記載の分散型電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、分散型電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電機、風力発電機、地熱発電機などの分散型電源を用いた全量自家消費型の分散型電源システムが知られている。分散型電源システムは、分散型電源の発電電力を負荷に応じた電力に変換し、変換後の電力を負荷に供給する電力変換装置を備える。
【0003】
全量自家消費型の分散型電源システムでは、分散型電源の発電電力を最大限に活用し、電力系統からの買電を抑えることが望ましい。このため、電力変換装置は、負荷での消費電力に応じて、電力系統からの受電電力(買電)が設定値で一定となるように、分散型電源から負荷に供給する有効電力の大きさを制御する追従制御を行う。これにより、分散型電源から電力系統側への逆潮流の発生を抑制しつつ、電力系統からの買電を抑制することができる。
【0004】
また、全量自家消費型の分散型電源システムでは、電力系統との連系点における力率を所定の範囲内に収めることが求められている。このため、電力変換装置は、分散型電源から負荷に供給する有効電力の大きさを制御する有効電力の追従制御を行うとともに、連系点の力率を所定の範囲内に収めるように制御する力率の追従制御を行う。
【0005】
しかしながら、上記のような追従制御を行ったとしても、運転や停止などによる負荷の稼働状況によって需要の有効電力量が大きく変動した際などに、連系点における力率も変動し、所定の範囲から逸脱してしまう可能性がある。
【0006】
このため、全量自家消費型の分散型電源システムでは、連系点の力率をより適切に所定の範囲内に収められるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-118721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、連系点の力率をより適切に所定の範囲内に収めることができる全量自家消費型の分散型電源システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、電力系統及び負荷に接続され、分散型電源で発電された電力を前記負荷に供給することにより、前記電力系統から前記負荷への買電を抑制する全量自家消費型の分散型電源システムであって、発電を行うとともに、発電した電力の供給を行う分散型電源と、前記分散型電源から供給された電力を前記負荷に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記負荷に供給する電力変換装置と、前記電力変換装置から出力する有効電力を目標値に追従させるとともに、前記電力系統との連系点における力率を目標値に追従させるように前記電力変換装置の動作を制御する追従制御を行う制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記連系点の力率に対して、前記目標値よりも低い値に設定される下限値と、前記目標値と前記下限値との間に設定される閾値と、を設定し、前記連系点の力率が前記下限値以上前記閾値未満である場合に、前記連系点の力率が前記下限値未満となることを抑制するための制御を実行する分散型電源システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
連系点の力率をより適切に所定の範囲内に収めることができる全量自家消費型の分散型電源システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る太陽光発電システムを模式的に表すブロック図である。
図2】実施形態に係る太陽光発電システムの動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る太陽光発電システムの動作の一例を模式的に表すグラフである。
【0012】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る太陽光発電システムを模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、太陽光発電システム10(分散型電源システム)は、太陽光パネル12(分散型電源)と、電力変換装置14と、制御装置16と、監視装置18と、受電盤20と、電力計22と、を備える。
【0014】
太陽光発電システム10は、電力系統2及び負荷4に接続される。太陽光発電システム10は、太陽光パネル12で発電された電力を負荷4に供給することにより、電力系統2から負荷4への買電を抑制する全量自家消費型のシステムである。電力系統2の電力は、交流電力である。負荷4は、交流負荷である。負荷4は、換言すれば、需要家である。
【0015】
太陽光パネル12は、発電を行うとともに、発電した電力の供給を行う。太陽光パネル12は、光起電力効果を利用し、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換することにより、発電を行う。太陽光パネル12の発電電力は、直流電力である。太陽光パネル12は、発電した直流電力を電力変換装置14に供給する。
【0016】
電力変換装置14は、太陽光パネル12と接続されるとともに、変圧器6や構内系統8などを介して負荷4と接続される。電力変換装置14は、太陽光パネル12から供給された電力を負荷4に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を負荷4に供給する。
【0017】
負荷4は、電力変換装置14と接続されるとともに、構内系統8及び受電盤20などを介して電力系統2と接続される。負荷4は、太陽光パネル12の発電電力の供給を電力変換装置14から受けるとともに、必要な電力に対して太陽光パネル12の発電電力では足りない分の電力の供給を電力系統2から受ける。電力変換装置14は、太陽光パネル12の発電電力を最大限に活用できるようにすることにより、電力系統2からの買電を抑えられるようにする。
【0018】
太陽光パネル12(電力変換装置14)の容量は、例えば、500kW以上2MW以下である。太陽光発電システム10の電力系統2との契約電力は、例えば、500kW以上2MW以下である。換言すれば、太陽光発電システム10の電力系統2との契約電力は、例えば、高圧電力である。
【0019】
制御装置16は、電力変換装置14による電力の変換の動作を制御する。監視装置18は、電力変換装置14及び制御装置16の動作を監視する。監視装置18は、例えば、電力変換装置14及び制御装置16から種々の情報を取得し、取得した情報の表示などを行うことにより、電力変換装置14及び制御装置16が正常に動作しているか否かを、太陽光発電システム10の管理者などが監視できるようにする。
【0020】
受電盤20は、電力系統2と負荷4との間に設けられる。受電盤20は、例えば、電力系統2と構内系統8との間に設けられる。電力系統2の交流電力は、受電盤20を介して構内系統8及び負荷4に供給される。
【0021】
電力計22は、負荷4に供給される電力を計測する。換言すれば、電力計22は、負荷4で必要とされている電力を計測する。電力計22は、例えば、通信線30を介して受電盤20と接続されている。電力計22は、通信線30を介して受電盤20と通信を行うことにより、負荷4に供給される電力の計測結果を受電盤20に入力する。
【0022】
受電盤20は、例えば、電力計24と、逆電力継電器26(RPR:Reverse Power Relay)と、を有する。電力計24は、電力系統2から負荷4に供給される電力を計測する。電力系統2から負荷4に供給される電力は、換言すれば、負荷4で必要な電力と太陽光パネル12側から負荷4に供給される電力との差分の電力である。また、電力計24は、電力系統2から負荷4に供給される電力を計測するとともに、電力系統2との連系点における力率を計測する。
【0023】
受電盤20は、例えば、通信線31を介して制御装置16と接続されている。受電盤20は、通信線31を介して制御装置16と通信を行うことにより、電力計22の計測結果及び電力計24の計測結果を制御装置16に入力する。なお、電力計22の計測結果は、例えば、受電盤20を介することなく、電力計22から制御装置16に直接的に入力してもよい。また、電力系統2から負荷4に供給される電力、及び連系点の力率は、例えば、連系点の電圧値及び電流値を計測し、計測結果を基に、制御装置16側で演算して求めてもよい。
【0024】
逆電力継電器26は、電力変換装置14から電力系統2側に向かう逆潮流の検知を行う。電力変換装置14は、変圧器6、構内系統8、及び受電盤20などを介して電力系統2と接続される。このため、太陽光パネル12の発電電力が負荷4で消費される電力よりも大きくなった場合には、電力変換装置14の出力電力の一部が、電力系統2側に流れてしまう可能性がある。逆電力継電器26は、こうした逆潮流の発生を検知し、逆潮流を抑制する動作を行う。
【0025】
逆電力継電器26は、信号線35を介して電力変換装置14と接続されている。逆電力継電器26は、逆潮流の発生の検知に応じて、検知信号を電力変換装置14に入力する。逆電力継電器26は、例えば、逆潮流の状態が所定時間以上継続された場合に、検知信号を電力変換装置14に入力する。換言すれば、逆電力継電器26は、例えば、逆潮流の状態が所定時間以上継続された場合に、逆潮流の発生を検知する。所定時間は、例えば、0.5秒以上2秒以下程度の時間である。
【0026】
電力変換装置14は、検知信号の入力に応じて、負荷4に交流電力を出力する動作を停止する。このように、逆電力継電器26は、逆潮流の検知を行い、逆潮流の発生の検知に応じて、負荷4に交流電力を出力する電力変換装置14の動作を停止させる。これにより、逆電力継電器26は、電力系統2側に逆潮流の電力が流れ続けてしまうことを抑制する。換言すれば、逆電力継電器26は、電力変換装置14の動作を停止させる動作を、逆潮流を抑制する動作として行う。
【0027】
逆電力継電器26は、例えば、電力系統2との接続を開閉する遮断器を有してもよい。逆電力継電器26は、逆潮流の発生の検知に応じて電力変換装置14の動作を停止させるとともに、遮断器を開放することにより、逆潮流を抑制してもよい。逆潮流を抑制する動作は、電力変換装置14の動作を停止させるとともに、遮断器を開放する動作でもよい。なお、逆電力継電器26は、必ずしも受電盤20に設けなくてもよい。逆電力継電器26は、受電盤20とは別に設けてもよい。
【0028】
電力変換装置14は、変換回路50と、制御部51と、通信部52、53と、入力部54と、を有する。
【0029】
変換回路50は、太陽光パネル12から供給された電力を負荷4に対応した交流電力に変換する回路である。変換回路50は、例えば、インバータ回路である。制御部51は、変換回路50による電力の変換の動作を制御する。
【0030】
通信部52は、制御部51と接続されるとともに、通信線32を介して制御装置16と接続される。通信部52は、通信線32を介して制御装置16と通信を行う。制御装置16は、電力変換装置14の動作を制御するための制御信号を通信線32を介して通信部52に入力する。通信部52は、制御装置16と通信を行うことにより、制御装置16から制御信号の入力を受け、入力された制御信号を制御部51に入力する。制御部51は、通信部52から入力された制御信号に基づいて、変換回路50の動作を制御する。これにより、制御装置16から入力された制御信号に応じて、変換回路50(電力変換装置14)から出力される交流電力を制御することができる。
【0031】
通信部53は、制御部51と接続されるとともに、通信線33を介して制御装置16及び監視装置18と接続される。通信部53は、通信線33を介して制御装置16及び監視装置18と通信を行う。
【0032】
制御部51は、通信部53及び通信線33を介して監視装置18と通信を行うことにより、電力変換装置14の動作を監視装置18で監視するための情報を監視装置18に送信する。制御装置16は、通信線33を介して監視装置18と通信を行うことにより、制御装置16の動作を監視装置18で監視するための情報を監視装置18に送信する。このように、監視装置18は、通信線33を介して電力変換装置14及び制御装置16と通信を行うことにより、電力変換装置14及び制御装置16の動作を監視する。通信部52は、制御用に用いられる通信部であり、通信部53は、監視用に用いられる通信部である。なお、電力変換装置14において、制御用の通信及び監視用の通信は、1つの通信部で行ってもよい。
【0033】
入力部54は、信号線35を介して逆電力継電器26と接続される。また、入力部54は、制御部51と接続される。入力部54は、信号線35を介して逆電力継電器26から入力される逆潮流の発生の検知信号を制御部51に入力する。制御部51は、入力部54からの検知信号の入力に応じて、変換回路50による電力の変換の動作を停止させる。
【0034】
このように、逆電力継電器26は、例えば、信号線35を介して入力部54と接続され、逆潮流の発生の検知に応じて検知信号を入力部54に入力することにより、電力変換装置14の動作を停止させる。これにより、上記のように、逆電力継電器26による逆潮流の発生の検知に応じて電力変換装置14の動作を停止させ、電力系統2側への逆潮流を抑制することができる。
【0035】
通信線30~33による通信では、通信部52、53などの通信回路が必要となる。通信線30~33による通信では、例えば、電力変換装置14の出力電力の大きさを表す制御信号など、種々の情報の送受を行うことができる。反面、通信線30~33による通信では、通信部52、53などの処理にともなう通信の遅れが発生してしまう。通信線30~33による通信は、例えば、EthernetやRS485などの通信規格に準拠した通信である。換言すれば、通信部52、53は、所定の通信規格に準拠した通信回路である。
【0036】
信号線35による通信では、例えば、逆潮流の検知信号の入力及び入力の停止などのように、二値の状態の入力のみしか行うことができない。検知信号は、例えば、逆潮流の検知状態と、非検知状態と、の2つの状態を有する信号である。反面、信号線35による通信では、例えば、通信部の処理などによる通信の遅れを抑制し、通信線30~33による通信と比べてより高速に各信号の入力を行うことができる。信号線35による通信は、例えば、リレーなどの接点のオンオフの切り替えによる通信である。入力部54は、通信部52、53による通信よりも高速な接点入力を使用する回路である。入力部54は、例えば、入出力端子(IO端子)である。信号線35は、例えば、ハードワイヤである。
【0037】
太陽光発電システム10では、通信線30~33を用いた通信によって電力変換装置14(変換回路50)から出力する電力の制御を行う。一方で、逆電力継電器26による逆潮流の検知にともなう電力変換装置14の動作の停止には、信号線35による通信を用いる。これにより、逆潮流の検知にともなう電力変換装置14の動作の停止は、通信線30~33を用いた通信よりも高速に行うことができる。このように、太陽光発電システム10は、逆潮流の検知にともなう電力変換装置14の動作の停止の実行に、通信線30~33を用いた通信よりも高速な接点入力を使用する。
【0038】
太陽光発電システム10は、進相コンデンサ40と、開閉器42と、をさらに備える。進相コンデンサ40は、電力系統2との連系点における電流の位相が電力系統2側から見て遅れ、電力系統2との連系点における力率が低下した際に、電力系統2との連系点における電流の位相を進ませることにより、電力系統2との連系点における力率の改善を行う。開閉器42は、進相コンデンサ40の投入及び開放の切り替えを行う。
【0039】
進相コンデンサ40は、例えば、開閉器42を介して構内系統8に接続される。換言すれば、進相コンデンサ40は、開閉器42を介して負荷4と並列に接続される。これにより、開閉器42を介して進相コンデンサ40を投入することにより、負荷4に起因する連系点の遅れ力率の改善を行うことができる。但し、進相コンデンサ40及び開閉器42の構成は、これに限ることなく、進相コンデンサ40の投入によって連系点の力率の改善を適切に行うことができる任意の構成でよい。
【0040】
開閉器42は、信号線44を介して制御装置16と接続される。制御装置16は、信号線44を介して制御信号を開閉器42に入力することにより、開閉器42の投入及び開放の切り替えを制御する。換言すれば、制御装置16は、信号線44を介して制御信号を開閉器42に入力することにより、進相コンデンサ40の投入及び開放の切り替えを制御する。
【0041】
太陽光発電システム10は、例えば、複数の進相コンデンサ40と、複数の開閉器42と、を備えてもよい。制御装置16は、複数の進相コンデンサ40のそれぞれの投入及び開放の切り替えを個別に制御できるようにする。換言すれば、制御装置16は、投入する進相コンデンサ40の台数を制御できるようにする。これにより、投入する進相コンデンサ40の台数によって、連系点の力率をより細かく制御することができる。また、この場合、複数の進相コンデンサ40のそれぞれの容量は、異なってもよい。これにより、投入する進相コンデンサ40の組み合わせによって、連系点の力率をさらに細かく制御することができる。
【0042】
制御装置16は、通信線31を介して受電盤20と通信を行うことにより、電力計22の計測結果を基に、負荷4で必要とされている有効電力の大きさを表す負荷消費電力の情報と、電力系統2との連系点における力率の情報と、を取得する。また、制御装置16は、電力計24の計測結果を基に、電力系統2から負荷4に供給される有効電力の大きさ(買電量)を表す受電電力の情報を取得する。
【0043】
また、制御装置16は、通信線32又は通信線33を介して電力変換装置14と通信を行うことにより、電力変換装置14から負荷4に供給される有効電力(発電電力)の大きさを表す電力変換装置14の出力電力の情報を取得する。
【0044】
但し、負荷消費電力の情報、力率の情報、受電電力の情報、及び出力電力の情報の取得方法は、上記に限ることなく、制御装置16において各情報を適切に取得可能な任意の方法でよい。例えば、力率の情報は、前述のように、制御装置16内の演算によって取得してもよい。また、負荷消費電力、受電電力、及び出力電力の大きさとは、より詳しくは、交流電力である各電力の実効値の大きさである。
【0045】
制御装置16は、電力変換装置14の出力電力が負荷消費電力よりも小さい場合(逆潮流が発生していない場合)においては、取得した各情報を基に、有効電力を目標値に追従させるとともに力率を目標値に追従させるように電力変換装置14の動作を制御する追従制御を行う。
【0046】
有効電力の目標値は、負荷消費電力から設定値を差し引いた値に設定される。これにより、制御装置16は、電力系統2から負荷4に供給する受電電力が設定値で一定となるように、電力変換装置14の出力電力(有効電力)を制御する。設定値は、例えば、予め制御装置16に設定された一定の値である。設定値は、例えば、制御装置16に設けられた操作部の操作や監視装置18などの外部の機器からの入力などに応じて変更できるようにしてもよい。
【0047】
力率の目標値は、例えば、100%である。例えば、電力会社との契約などにより、力率の上限が指定されている場合には、指定された値に設定される。力率の目標値は、換言すれば、力率の上限値である。力率の目標値は、例えば、予め制御装置16に設定された一定の値である。力率の目標値は、例えば、制御装置16に設けられた操作部の操作や監視装置18などの外部の機器からの入力などに応じて変更できるようにしてもよい。
【0048】
制御装置16は、例えば、有効電力の目標値及び連系点の力率の情報を基に、連系点の力率を目標値に近付けるために電力変換装置14から出力する無効電力の大きさを決定する。そして、制御装置16は、有効電力の目標値及び決定した大きさの無効電力を電力変換装置14から出力させるための制御信号を生成し、生成した制御信号を通信線32を介して電力変換装置14に入力する。
【0049】
電力変換装置14の制御部51は、通信線32及び通信部52を介して制御信号の入力を受けると、入力された制御信号に基づく大きさの有効電力及び無効電力を出力させるように、変換回路50の動作を制御する。これにより、有効電力を目標値に追従させるとともに力率を目標値に追従させるように電力変換装置14の動作を制御することができる。換言すれば、電力系統2からの受電電力を設定値で一定とし、かつ連系点の力率を所定の範囲内に収めるように電力変換装置14の動作を制御することができる。
【0050】
但し、電力変換装置14の制御の方法は、上記に限定されるものではない。例えば、有効電力の目標値及び連系点の力率の情報を制御装置16から電力変換装置14に送信し、無効電力の大きさの演算は、電力変換装置14側で行ってもよい。電力変換装置14の制御の方法は、各情報を基に、有効電力を目標値に追従させるとともに力率を目標値に追従させることが可能な任意の方法でよい。
【0051】
また、制御装置16は、電力系統2との連系点の力率に対して目標値を設定するとともに、下限値と閾値とを設定する。下限値は、目標値よりも低い値に設定される。下限値は、例えば、85%である。例えば、電力会社との契約などにより、連系点の力率が所定値未満となった際に、電気料金の割り増しが発生する場合がある。例えば、電力系統2側から見た遅れ方向の力率が85%未満となった際に、電気料金の割り増しが発生する場合がある。下限値は、例えば、こうした割り増し料金の発生する値に設定される。下限値は、85%に限ることなく、電力会社との契約などに応じて適宜設定すればよい。
【0052】
閾値は、目標値(上限値)と下限値との間に設定される。閾値は、例えば、目標値よりも下限値に近い値に設定される。閾値は、連系点の力率が下限値に近接したことを検知するための閾値である。例えば、目標値が100%で下限値が85%である場合、閾値は、90%程度に設定される。
【0053】
力率の下限値及び閾値は、目標値と同様に、予め制御装置16に設定された一定の値でもよいし、制御装置16に設けられた操作部の操作や監視装置18などの外部の機器からの入力などに応じて変更できるようにしてもよい。
【0054】
制御装置16は、電力変換装置14の出力電力が負荷消費電力よりも小さい場合に、上記のように追従制御を行うとともに、力率の情報を基に、連系点の力率が下限値以上閾値未満か否かの判定、及び連系点の力率が下限値未満か否かの判定を行う。
【0055】
制御装置16は、連系点の力率が下限値以上閾値未満と判定した場合に、連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御を実行する。
【0056】
制御装置16は、例えば、連系点の力率が下限値に近接したことを表すアラームの発報を行うための信号の出力を、連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御として実行する。
【0057】
制御装置16は、例えば、連系点の力率の下限値以上閾値未満の判定に応じて、アラームの発報を行うための信号を監視装置18に出力することにより、監視装置18にアラームの発報を行わせる。監視装置18は、例えば、制御装置16からの信号の受信に応じて、表示部にアラームを表示したり、スピーカからアラーム音を出力したりすることにより、アラームの発報を行う。
【0058】
これにより、監視装置18を介して太陽光発電システム10の各部の監視を行う太陽光発電システム10の管理者などに対し、連系点の力率が下限値に近接したことを報知することができる。これにより、例えば、電力変換装置14の出力電力の抑制や進相コンデンサの投入などといった対策の実施を管理者などに促し、連系点の力率が下限値未満となってしまうことを抑制することが可能となる。
【0059】
なお、監視装置18によるアラームの発報の態様は、上記に限ることなく、連系点の力率が下限値に近接したことを管理者などに対して適切に報知可能な任意の態様でよい。また、アラームの発報を行うための信号の出力先は、監視装置18に限定されるものではない。例えば、管理者などが保有するスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末に信号を出力することにより、管理者などに報知を行えるようにしてもよい。信号の出力先は、例えば、力率が下限値に近接したことを制御装置16や監視装置18の周囲の者に報知する警告灯やスピーカなどでもよい。信号の出力先は、例えば、力率低下に対する対策の実施を管理者などに対して適切に促すことが可能な任意の機器でよい。
【0060】
また、制御装置16は、例えば、進相コンデンサ40の投入を、連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御として実行する。制御装置16は、例えば、進相コンデンサ40が開放された状態で、電力系統2側から見た遅れ方向における連系点の力率が下限値以上閾値未満と判定した場合に、開閉器42に制御信号を入力することにより、進相コンデンサ40を投入する。これにより、連系点の力率が下限値未満となってしまうことをより適切に抑制することができる。
【0061】
制御装置16は、進相コンデンサ40を投入した後、例えば、連系点の力率が所定値以上となった際、あるいは連系点の力率が進み側に変化した際などに、開閉器42に制御信号を入力することにより、進相コンデンサ40を開放する。
【0062】
このように、制御装置16は、例えば、アラームの発報を行うための信号の出力と、進相コンデンサ40の投入と、を連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御として実行する。これにより、連系点の力率が下限値未満となることを抑制し、連系点の力率を所定の範囲内に収めるように電力変換装置14の動作を制御することができる。すなわち、連系点の力率を目標値と下限値との間の範囲内に収めるように、電力変換装置14の動作を制御することができる。
【0063】
なお、アラームの発報を行うための信号の出力、及び進相コンデンサ40の投入は、必ずしも両方行わなくてもよい。制御装置16は、アラームの発報を行うための信号の出力、及び進相コンデンサ40の投入の少なくとも一方を、連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御として実行してもよい。また、連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御は、上記に限ることなく、連系点の力率が下限値未満となることを抑制可能な任意の制御でよい。
【0064】
制御装置16は、連系点の力率が下限値未満と判定した場合には、例えば、連系点の力率が下限値未満となったことを表すアラームの発報を行うための信号の出力を行う。制御装置16は、例えば、連系点の力率の下限値未満の判定に応じて、アラームの発報を行うための信号を監視装置18に出力する。但し、力率が下限値に近接したことを表すアラームの発報の場合と同様に、アラームの発報の態様及びアラームの出力機器は、任意でよい。
【0065】
また、制御装置16は、連系点の力率が下限値未満と判定した場合には、例えば、電力系統2から負荷4への電力の供給を停止する制御を行う。電力系統2から負荷4への電力の供給を停止する制御は、例えば、電力系統2との連系点に設けられた遮断器(図示は省略)を開放することにより、太陽光発電システム10及び負荷4を電力系統2から解列させる制御である。電力系統2から負荷4への電力の供給を停止する制御は、換言すれば、太陽光発電システム10の電力系統2との連系を停止させる制御である。電力系統2から負荷4への電力の供給を停止する制御は、上記に限ることなく、電力系統2から負荷4への電力の供給を停止させることが可能な任意の制御でよい。
【0066】
制御装置16は、例えば、連系点の力率を下限値未満と判定して電力系統2から負荷4への電力の供給を停止させた場合、例えば、連系点の力率の下限値以上への復帰に応じて、電力系統2から負荷4への電力の供給を再開させる。制御装置16は、例えば、連系点の力率の下限値よりも高い閾値以上への復帰、又は目標値への復帰に応じて、電力系統2から負荷4への電力の供給を再開させてもよい。これにより、連系点の力率が下限値以上となった後、連系の再開に応じて再び下限値未満となってしまうことを抑制することができる。
【0067】
このように、制御装置16は、連系点の力率が下限値未満と判定した場合には、例えば、アラームの発報を行うための信号の出力、及び電力系統2から負荷4への電力の供給の停止を行う。但し、制御装置16は、アラームの発報を行うための信号の出力、及び電力系統2から負荷4への電力の供給の停止のいずれか一方のみを行ってもよい。制御装置16は、連系点の力率が下限値未満となった際に、必ずしも電力系統2から負荷4への電力の供給を停止させることなく、力率が低下した状態のまま太陽光発電システム10を電力系統2と連系させ、電力変換装置14の運転を継続させてもよい。連系点の力率が下限値未満と判定した場合の制御装置16の動作は、上記に限ることなく、連系点の力率が下限値未満となった際に適応した任意の動作でよい。
【0068】
図2は、実施形態に係る太陽光発電システムの動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る太陽光発電システムの動作の一例を模式的に表すグラフである。
図3(a)は、連系点の力率の一例を模式的に表す。図3(b)は、負荷4で必要とされている負荷消費電力の一例、及び電力変換装置14の出力電力の一例を模式的に表す。
【0069】
図2に表したように、太陽光発電システム10では、逆電力継電器26が、電力変換装置14から電力系統2側に向かう逆潮流の検知を行う(図2のステップS101)。逆電力継電器26は、逆潮流の発生の検知に応じて、検知信号を電力変換装置14及び制御装置16に入力する。
【0070】
電力変換装置14及び制御装置16は、検知信号の入力に応じて、負荷4に交流電力を出力する動作を停止する(図2のステップS102)。これにより、電力系統2側に逆潮流の電力が流れ続けてしまうことを抑制することができる。
【0071】
制御装置16は、逆電力継電器26によって逆潮流の発生が検知されていない状態において、負荷消費電力、力率、及び受電電力の各情報の取得を行う(図2のステップS103)。制御装置16は、例えば、通信線31を介して受電盤20と通信を行うことにより、負荷消費電力の情報、力率の情報、及び受電電力の情報を受電盤20から取得する。
【0072】
制御装置16は、各情報の取得を行った後、取得した力率の情報を基に、連系点の力率が閾値未満か否かの判定を行う(図2のステップS104)。
【0073】
制御装置16は、連系点の力率が閾値以上であると判定した場合には、通信線32を介して電力変換装置14と通信を行うことにより、電力変換装置14の状態の監視を行う(図2のステップS105)。制御装置16は、電力変換装置14と通信を行うことにより、電力変換装置14の出力電力の情報を電力変換装置14から取得する。
【0074】
制御装置16は、出力電力の情報を取得した後、取得した各情報を基に演算処理を行うことにより、有効電力を目標値に追従させるとともに力率を目標値に追従させるように電力変換装置14の動作を制御する追従制御を行うための制御信号を生成し、生成した制御信号を通信線32を介して電力変換装置14に入力する(図2のステップS106)。
【0075】
電力変換装置14の制御部51は、通信線32及び通信部52を介して制御信号の入力を受けると、入力された制御信号に基づいて変換回路50の動作を制御することにより、有効電力を目標値に追従させるとともに力率を目標値に追従させる追従制御を実行する(図2のステップS107)。制御装置16は、電力変換装置14に追従制御を実行させた後、ステップS101の処理に戻る。
【0076】
制御装置16は、ステップS104において、連系点の力率が閾値未満であると判定した場合には、続けて連系点の力率が下限値未満か否かの判定を行う(図2のステップS108)。
【0077】
制御装置16は、連系点の力率が下限値以上閾値未満と判定した場合には、連系点の力率が下限値に近接したことを表すアラームの発報を行うための信号の出力を実行する(図2のステップS109、図3のタイミングt1、t2)。制御装置16は、例えば、連系点の力率の下限値以上閾値未満の判定に応じて、アラームの発報を行うための信号を監視装置18に出力することにより、監視装置18にアラームの発報を行わせる。
【0078】
制御装置16は、連系点の力率が下限値に近接したことを表すアラームの発報を行った後、進相コンデンサ40の投入を実行する(図2のステップS110)。
【0079】
制御装置16は、連系点の力率が下限値以上閾値未満と判定した場合には、アラームの発報や進相コンデンサ40の投入などの連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御を実行した後、ステップS105の処理を開始する。
【0080】
制御装置16は、ステップS108において、連系点の力率が下限値未満と判定した場合には、連系点の力率が下限値未満となったことを表すアラームの発報を行うための信号の出力を行う(図2のステップS111、図3のタイミングt3)。制御装置16は、例えば、連系点の力率の下限値未満の判定に応じて、アラームの発報を行うための信号を監視装置18に出力することにより、監視装置18にアラームの発報を行わせる。
【0081】
制御装置16は、連系点の力率が下限値未満となったことを表すアラームの発報を行った後、電力系統2から負荷4への電力の供給を停止する制御を行う(図2のステップS112)。制御装置16は、例えば、電力系統2との連系点に設けられた遮断器を開放し、太陽光発電システム10及び負荷4を電力系統2から解列させることにより、電力系統2から負荷4への電力の供給を停止する。
【0082】
制御装置16は、連系点の力率が下限値未満と判定した場合には、アラームの発報や電力系統2から負荷4への電力の供給の停止の制御を実行した後、ステップS105の処理を開始する。制御装置16は、以下、上記の処理を繰り返し実行する。
【0083】
以上、説明したように、本実施形態に係る太陽光発電システム10では、制御装置16が、連系点の力率が下限値以上閾値未満である場合に、連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御を実行する。これにより、例えば、図3のタイミングt1、t2のように、運転や停止などによる負荷の稼働状況によって需要の有効電力量が大きく変動した際などにも、追従制御のみを行う場合と比べて、連系点の力率が所定の範囲から外れてしまうことをより適切に抑制することができる。全量自家消費型の太陽光発電システム10(分散型電源システム)において、連系点の力率をより適切に所定の範囲内に収めることができる。また、これにより、例えば、力率の低下による電気料金の割り増しが発生してしまうことを抑制することができる。
【0084】
制御装置16は、例えば、連系点の力率が下限値に近接したことを表すアラームの発報を行うための信号の出力を、連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御として実行する。これにより、連系点の力率が下限値未満となってしまうことをより適切に抑制することができる。
【0085】
また、制御装置16は、例えば、進相コンデンサ40の投入を、連系点の力率が下限値未満となることを抑制するための制御として実行する。これにより、連系点の力率が下限値未満となってしまうことをより適切に抑制することができる。
【0086】
なお、上記実施形態では、分散型電源システムの一例として、太陽光パネル12を分散型電源とする太陽光発電システム10を示している。分散型電源は、太陽光パネル12に限ることなく、例えば、風力発電機や地熱発電機などでもよい。分散型電源は、発電した電力の供給を行うことが可能な任意の電源でよい。分散型電源の供給する電力は、直流電力に限ることなく、交流電力などでもよい。分散型電源システムは、太陽光発電システム10に限ることなく、任意の分散型電源を用いた任意のシステムでよい。
【0087】
本実施形態は、以下の態様を含む。
(付記1)
電力系統及び負荷に接続され、分散型電源で発電された電力を前記負荷に供給することにより、前記電力系統から前記負荷への買電を抑制する全量自家消費型の分散型電源システムであって、
発電を行うとともに、発電した電力の供給を行う分散型電源と、
前記分散型電源から供給された電力を前記負荷に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記負荷に供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置から出力する有効電力を目標値に追従させるとともに、前記電力系統との連系点における力率を目標値に追従させるように前記電力変換装置の動作を制御する追従制御を行う制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記連系点の力率に対して、前記目標値よりも低い値に設定される下限値と、前記目標値と前記下限値との間に設定される閾値と、を設定し、前記連系点の力率が前記下限値以上前記閾値未満である場合に、前記連系点の力率が前記下限値未満となることを抑制するための制御を実行する分散型電源システム。
【0088】
(付記2)
前記制御装置は、前記連系点の力率が前記下限値に近接したことを表すアラームの発報を行うための信号の出力を、前記連系点の力率が前記下限値未満となることを抑制するための制御として実行する付記1記載の分散型電源システム。
【0089】
(付記3)
前記連系点における力率の改善を行う進相コンデンサと、
前記進相コンデンサの投入及び開放の切り替えを行う開閉器と、
をさらに備え、
前記制御装置は、前記開閉器の投入及び開放の切り替えを制御することにより、前記進相コンデンサの投入及び開放の切り替えを制御し、前記進相コンデンサの投入を、前記連系点の力率が前記下限値未満となることを抑制するための制御として実行する付記1又は2に記載の分散型電源システム。
【0090】
(付記4)
前記制御装置は、前記連系点の力率が前記下限値未満である場合に、前記連系点の力率が前記下限値未満となったことを表すアラームの発報を行うための信号の出力を行う付記1~3のいずれか1つに記載の分散型電源システム。
【0091】
(付記5)
前記制御装置は、前記連系点の力率が前記下限値未満である場合に、前記電力系統から前記負荷への電力の供給を停止する制御を行う付記1~4のいずれか1つに記載の分散型電源システム。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
2…電力系統、 4…負荷、 6…変圧器、 8…構内系統、 10…太陽光発電システム(分散型電源システム)、 12…太陽光パネル(分散型電源)、 14…電力変換装置、 16…制御装置、 18…監視装置、 20…受電盤、 22、24…電力計、 30~33…通信線、 35…信号線、 40…進相コンデンサ、 42…開閉器、 44…信号線、 50…変換回路、 51…制御部、 52、53…通信部、 54…入力部
図1
図2
図3