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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010935
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】シースヒータおよびステージ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/48 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
H05B3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112544
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】相川 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】木田 直哉
(72)【発明者】
【氏名】二口谷 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼梨 雅也
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA02
3K092QB02
3K092QB04
3K092QB14
3K092QB26
3K092QB43
3K092RA01
3K092RB02
3K092RB04
3K092RB05
3K092RB07
3K092RB08
3K092RB11
3K092RC16
3K092RD02
3K092VV34
(57)【要約】
【課題】耐熱性が向上したシースヒータを提供すること。
【解決手段】
シースヒータは、金属シースと、金属シース内に配置されるヒータ線と、金属シースとヒータ線とを離間するように金属シース内に充填される絶縁材と、ヒータ線に電力を供給するリード線と、金属シースの端部から延出されたヒータ線とリード線とを接続する圧着スリーブと、金属シースの端部を覆い、圧着スリーブが配置される筒状部材と、筒状部材と嵌合し、リード線が挿通される開口を含む蓋状部材と、を含み、金属シースの端部は、ヒータ線が挿通される第1の貫通孔を含む第1の絶縁管と、金属シースと第1の絶縁管との間の間隙を埋める封止剤と、を含み、封止剤は、セラミックバインダを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属シースと、
前記金属シース内に配置されるヒータ線と、
前記金属シースと前記ヒータ線とを離間するように前記金属シース内に充填される絶縁材と、
前記ヒータ線に電力を供給するリード線と、
前記金属シースの端部から延出された前記ヒータ線と前記リード線とを接続する圧着スリーブと、
前記金属シースの前記端部を覆い、前記圧着スリーブが配置される筒状部材と、
前記筒状部材と嵌合し、前記リード線が挿通される開口を含む蓋状部材と、を含み、
前記金属シースの前記端部は、
前記ヒータ線が挿通される第1の貫通孔を含む第1の絶縁管と、
前記金属シースと前記第1の絶縁管との間の間隙を埋める封止材と、を含み、
前記封止材は、セラミックバインダを含む、シースヒータ。
【請求項2】
前記第1の絶縁管は、2つの前記第1の貫通孔を含む、請求項1に記載のシースヒータ。
【請求項3】
さらに、前記筒状部材内に配置され、第2の貫通孔を含む第2の絶縁管を含み、
前記圧着スリーブは、前記第2の貫通孔内に配置される、請求項1に記載のシースヒータ。
【請求項4】
前記第2の絶縁管は、2つの前記第2の貫通孔を含む、請求項3に記載のシースヒータ。
【請求項5】
さらに、前記リード線に固定される係止部材を含み、
前記係止部材は、前記蓋状部材と接合されていない、請求項3に記載のシースヒータ。
【請求項6】
前記係止部材は、前記リード線を挟持することによって前記リード線に固定される、請求項5に記載のシースヒータ。
【請求項7】
さらに、前記筒状部材内において前記第1の絶縁管と前記第2の絶縁管との間に配置され、前記ヒータ線が挿通される第3の貫通孔を含む第3の絶縁管を含む、請求項3に記載のシースヒータ。
【請求項8】
前記第3の絶縁管の外径は、前記第2の貫通孔の孔径よりも小さい、請求項7に記載のシースヒータ。
【請求項9】
前記第3の絶縁管の少なくとも一部は、前記第2の貫通孔内に入り込んでいる、請求項7に記載のシースヒータ。
【請求項10】
前記筒状部材内に2つの前記第3の絶縁管が配置される、請求項7に記載のシースヒータ。
【請求項11】
シャフトと、
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のシースヒータと、を含み、
前記金属シースの前記端部は、前記シャフト内に格納されている、ステージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、シースヒータに関する。また、本発明の一実施形態は、シースヒータを備えるステージに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスはほぼ全ての電子機器に搭載されており、電子機器の機能に対して重要な役割を担っている。半導体デバイスはシリコンなどが有する半導体特性を利用したデバイスである。半導体デバイスは、半導体膜、絶縁膜、および導電膜を基板上に積層し、これらの膜がパターニングされることによって構成される。これらの膜は、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長(CVD)法、または基板の化学反応などを利用して積層され、フォトリソグラフィープロセスによってこれらの膜がパターニングされる。フォトリソグラフィープロセスは、パターニングに供される膜上へのレジスト膜の形成、レジスト膜の露光、現像によるレジストマスクの形成、エッチングによる膜の部分的除去、およびレジストマスクの除去を含む。
【0003】
上述した膜の特性は、膜を形成する条件、またはパターニングの条件によって大きく左右される。前記条件の一つが基板の温度である。多くの場合、基板の温度は、基板を設置するための載置台(以下、「ステージ」という。)の温度を調節することによって制御される。基板を加熱し基板内における温度分布を均一に抑制するため、ステージを加熱するヒータの1つがシースヒータである。例えば、特許文献1には、金属シース内に電熱線(ヒータ線)が配置されたシースヒータを複数備えたステージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-91660号公報
【特許文献2】特開2021-26857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シースヒータでは、金属シースとヒータ線との短絡を防止するために、金属シース内に絶縁材が充填される(例えば、特許文献2参照)。また、金属シース内に充填された絶縁材の吸湿および飛散を防止するため、金属シースの端部は、エポキシ系接着剤によって封止される。シースヒータをステージに用いる場合、金属シースの端部はステージのシャフト内に格納されることが好ましい。しかしながら、シャフト内の温度が高温(例えば、100度超)となる場合がある。その場合、エポキシ系接着剤の耐熱温度が低いため、上記のような構成を適用することができない。したがって、ステージの使用温度範囲を広げるためにも、耐熱性が向上したシースヒータが望まれていた。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、耐熱性が向上したシースヒータを提供することを目的の一つとする。また、本発明の一実施形態は、広い温度範囲で使用することができるステージを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るシースヒータは、金属シースと、金属シース内に配置されるヒータ線と、金属シースとヒータ線とを離間するように金属シース内に充填される絶縁材と、ヒータ線に電力を供給するリード線と、金属シースの端部から延出されたヒータ線とリード線とを接続する圧着スリーブと、金属シースの端部を覆い、圧着スリーブが配置される筒状部材と、筒状部材と嵌合し、リード線が挿通される開口を含む蓋状部材と、を含み、金属シースの端部は、ヒータ線が挿通される第1の貫通孔を含む第1の絶縁管と、金属シースと第1の絶縁管との間の間隙を埋める封止剤と、を含み、封止剤は、セラミックバインダを含む。
【0008】
第1の絶縁管は、2つの第1の貫通孔を含んでいてもよい。
【0009】
シースヒータは、さらに、筒状部材内に配置され、第2の貫通孔を含む第2の絶縁管を含み、圧着スリーブは、第2の貫通孔内に配置されてもよい。
【0010】
第2の絶縁管は、2つの第2の貫通孔を含んでいてもよい。
【0011】
シースヒータは、さらに、リード線に固定される係止部材を含み、係止部材は、蓋状部材と接合されていなくてもよい。係止部材は、リード線を挟持することによってリード線に固定されてもよい。
【0012】
シースヒータは、さらに、筒状部材内において第1の絶縁管と第2の絶縁管との間に配置され、ヒータ線が挿通される第3の貫通孔を含む第3の絶縁管を含んでいてもよい。第3の絶縁管の外径は、第2の貫通孔の孔径よりも小さくてもよい。
【0013】
第3の絶縁管の少なくとも一部は、第2の貫通孔内に入り込んでいてもよい。筒状部材内に2つの第3の絶縁管が配置されていてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係るステージは、シャフトと、上記シースヒータを含み、金属シースの端部は、前記シャフト内に格納されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態に係るシースヒータは、端子部が高温に耐え得る構造を有する。そのため、シースヒータの耐熱性が向上する。また、本発明の一実施形態に係るステージは、耐熱性が向上したシースヒータを含むため、ステージの使用温度範囲が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るシースヒータのヒータの外観構成を示す模式的な平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシースヒータの内部構成を示す模式的な断面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係るシースヒータの構成を示す模式的な断面図である。
図3B】本発明の一実施形態に係るシースヒータの構成を示す模式的な断面図である。
図3C】本発明の一実施形態に係るシースヒータの構成を示す模式的な断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るステージの外観構成を示す模式的な斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るステージに含まれるシースヒータの配置構成を示す模式的な上面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るステージの内部構成を示す模式的な断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るステージの内部構成を示す模式的な断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るステージの内部構成を示す模式的な断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るステージに含まれるシースヒータの配置構成を示す模式的な上面図である。
図10】本発明の一実施形態に係るエッチング装置の構成を示す模式的な断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係るCVD装置の構成を示す模式的な断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置の構成を示す模式的な断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る蒸着装置の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本出願で開示される発明の各実施形態について、図面を参照し説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0018】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。また、説明の便宜上、上方または下方という語句を用いて説明するが、上方または下方はそれぞれステージの使用時(基板載置時)における向きを示す。
【0019】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これら複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、さらに大文字のアルファベットを添えて表記する。一つの構成のうちの複数の部分をそれぞれ区別して表記する際には、同一の符号を用い、さらにハイフンと自然数を用いる。
【0020】
<第1実施形態>
図1図3Cを参照して、本発明の一実施形態に係るシースヒータ10について説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るシースヒータ10の外観構成を示す模式的な平面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るシースヒータ10の内部構成を示す模式的な断面図である。具体的には、図2は、図1の平面図と対応する断面図である。図3A図3Cは、本発明の一実施形態に係るシースヒータ10の構成を示す模式的な断面図である。具体的には、図3Aは、図2に示されるA1-A2線で切断されたシースヒータ10の断面図であり、図3Bは、図2に示されるB1-B2線で切断されたシースヒータ10の断面図であり、および図3Cは、図2に示されるC1-C2線で切断されたシースヒータ10の断面図である。
【0022】
シースヒータ10は、ヒータ部100および端子部200を含む。ヒータ部100は、金属シース110、ヒータ線120、絶縁材130、第1の絶縁管140、および封止材150を含む。端子部200は、筒状部材210、蓋状部材220、係止部材230、リード線240、接続端子250、圧着スリーブ260、第2の絶縁管270、および第3の絶縁管280を含む。なお、ヒータ部100の一部の構成要素は、端子部200内に入り込んでおり、以下では、端子部200として説明する場合がある。
【0023】
ヒータ部100において、ヒータ線120は、金属シース110内に配置されている。絶縁材130は、金属シース110とヒータ線120とが離間するように金属シース110内に充填されている。すなわち、ヒータ線120は、絶縁材130内に埋設され、金属シース110と電気的に絶縁されている。
【0024】
金属シース110の第1の端部111-1は開管されており、金属シース110の第2の端部111-2は、閉管されている。金属シース110の第1の端部111-1には、第1の絶縁管140が配置されている。金属シース110と第1の絶縁管140との間の間隙は封止材150によって埋められ、第1の絶縁管140は、金属シース110の第1の端部111-1に固定されている。
【0025】
第1の絶縁管140の断面形状は円形であるが、これに限られない。第1の絶縁管140の外径は、金属シース110の内径よりも小さく、第1の絶縁管140の一部が、金属シース110内に挿設されていることが好ましい。第1の絶縁管140は、2つの第1の貫通孔141を含む。金属シース110内において、ヒータ線120は折り畳まれ、ヒータ線120の両端は、金属シース110の第1の端部111-1から外側に延出している。換言すると、金属シース110の第1の端部111-1において、両端に相当する2本のヒータ線120の各々が、第1の貫通孔141に挿通されている。
【0026】
金属シース110の外径は小さく、柔軟性を有する。そのため、ヒータ部100は、折り曲げることが可能である。また、ヒータ線120は金属シース110および絶縁材130によって保護されているため、ヒータ部100は、耐衝撃性および耐腐食性に優れている。
【0027】
金属シース110の熱伝導率は、10W/mK以上430W/mK以下であることが好ましい。金属シース110の材料として、例えば、アルミニウム、チタン、ニッケル、鉄、クロム、ニオブ、銅、もしくはモリブデンなどの金属、またはこれらの合金などを用いることができる。
【0028】
ヒータ線120は、発熱線および非発熱線を含む。発熱線は、電力が供給されることにより熱を発生する。一方、非発熱線は、発熱線よりも高い熱伝導率を有し、熱の発生が抑制されている。そのため、ヒータ線120に電力が供給されると、主に、発熱線で熱が発生する。発熱線と非発熱線との接合部は金属シース110内に位置し、ヒータ線120の非発熱線が金属シース110の第1の端部111-1から外側に延出している。発熱線の材料として、例えば、ニッケル、クロム、鉄、モリブデン、タングステン、もしくはアルミニウムなどの金属、炭素、またはこれらの合金もしくはこれらの酸化物などを用いることができる。非発熱線の材料として、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄などの金属、またはこれらの合金を用いることができる。
【0029】
絶縁材130は、粉末または微粒子の形状で金属シース110内に充填される。あるいは、絶縁材130は、粉末もしくは微粒子の焼結体、仮焼結体、または圧粉体の状態で、金属シース110内に充填されてもよい。絶縁材130の熱伝導率は、10W/mK以上300W/mK以下であることが好ましい。絶縁材130の材料として、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化ジルコニウム、窒化チタン、窒化タンタル、窒化モリブデン、窒化ニオブ、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化シリコン、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化モリブデン、または炭化ニオブなどを用いることができる。
【0030】
第1の絶縁管140の材料として、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化ジルコニウム、窒化チタン、窒化タンタル、窒化モリブデン、窒化ニオブ、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化シリコン、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化モリブデン、または炭化ニオブなどを用いることができる。
【0031】
封止材150として、例えば、セラミックバインダを含むセラミック系封止剤が用いられる。セラミック系封止剤は、エポキシ系封止剤よりも耐熱性に優れる。セラミックバインダの材料として、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化ジルコニウム、窒化チタン、窒化タンタル、窒化モリブデン、窒化ニオブ、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化シリコン、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化モリブデン、または炭化ニオブなどを用いることができる。
【0032】
端子部200において、筒状部材210は、第1の筒体211-1および第2の筒体211-2を含み、第1の筒体211-1と第2の筒体211-2とが連通された構造を有する。第1の筒体211-1の内径(または外径)は、第2の筒体211-2の内径(または外径)よりも大きい。すなわち、筒状部材210は、第1の筒体211-1と第2の筒体211-2とが段差状に連通された構成を有する。但し、筒状部材210の構成はこれに限られない。筒状部材210は、第1の筒体211-1と第2の筒体211-2とがテーパ状に連通された構成を有していてもよい。
【0033】
第2の筒体211-2の内径は、金属シース110の外径と略一致しており、金属シース110の第1の端部111-1が、筒状部材210の第2の筒体211-2に挿通されている。換言すると、筒状部材210の第2の筒体211-2は、金属シース110の第1の端部111-1を覆っている。筒状部材210の開口部(第1の筒体211-1側の開口部)は、蓋状部材220によって覆われている。第1の筒体211-1の外周面にはツバ部212が設けられており、蓋状部材220は、第1の筒体211-1の端部およびツバ部212によって係止されている。
【0034】
挿通された金属シース110の第1の端部111-1は、溶接またはろう付などを用いて、筒状部材210の第2の筒体211-2に接合されている。また、蓋状部材220は、溶接、ねじ止め、またはろう付などを用いて、ツバ部212と接合されている。ろう付用のろうとして、例えば、銀、銅、および亜鉛を含む合金、銅および亜鉛を含む合金、リンを微量含む銅、アルミニウムを含む合金、チタン、銅、およびニッケルを含む合金、チタン、ジルコニウム、および銅を含む合金、またはチタン、ジルコニウム、銅、およびニッケルを含む合金などを用いることができる。
【0035】
蓋状部材220は、開口部221を含む。蓋状部材220の開口部221の口径は、筒状部材210の第1の筒体211-1の開口部の口径よりも小さい。蓋状部材220の開口部221には、2本のリード線240が挿通されている。すなわち、リード線240の一端は、筒状部材210の内部に位置し、リード線240の他端は、筒状部材210の外側に位置する。リード線240の他端には、接続端子250が接続されている。接続端子250は、シースヒータ10に電力を供給する電源と接続される。
【0036】
蓋状部材220の開口部を通じて筒状部材210の外側に延在するリード線240には、係止部材230が取り付けられている。係止部材230は、リード線240を挟持し、リード線240に固定されている。係止部材230は、蓋状部材220と接していてもよいが、係止部材230と蓋状部材220とは接合されていない。係止部材230は、例えば、セットカラーであるが、これに限られない。
【0037】
筒状部材210内において、ヒータ線120は、リード線240と接続されている。具体的には、ヒータ線120の両端の各々に、圧着スリーブ260を介して、リード線240の一端が接続される。したがって、筒状部材210内には、2本のリード線240に対応する2つの圧着スリーブ260が存在する。
【0038】
ヒータ線120は発熱などによって伸縮する場合がある。この場合、ヒータ線120と接続するリード線240が固定されていると、ヒータ線120の伸縮性が失われ、ヒータ線120が断線するおそれがある。そのため、シースヒータ10では、上述したように、リード線240に固定される係止部材230は、蓋状部材220に接合されず、ヒータ線120の伸縮に合わせて可動する構成を有する。
【0039】
筒状部材210内には、第2の絶縁管270および2つの第3の絶縁管280が配置されている。第2の絶縁管270の断面形状は直線部を有する略楕円形であるが、これに限られない。第2の絶縁管270の最大外径は、筒状部材210の第1の筒体211-1の内径と略一致している。第2の絶縁管270は、2つの第2の貫通孔271を含む。2つの圧着スリーブ260の各々は、第2の貫通孔271内に配置されている。そのため、2つの圧着スリーブ260は、第2の絶縁管270の2つの第2の貫通孔271間の隔壁によって電気的に絶縁されている。第3の絶縁管280は、第1の絶縁管140と第2の絶縁管270との間に配置されている。第3の絶縁管280の断面形状は円形であるが、これに限られない。第3の絶縁管280は、少なくとも1つの第3の貫通孔281を含む。第3の貫通孔281には、第1の絶縁管140の第1の貫通孔141から延出したヒータ線120が挿通されている。筒状部材210内には2本のヒータ線120が延在している。第1の絶縁管140と第2の絶縁管270との間に延在する2本のヒータ線120の短絡を防止するため、筒状部材210内において、2本のヒータ線120の各々が第3の絶縁管280で覆われている。
【0040】
第3の絶縁管280の外径は、第2の絶縁管270の第2の貫通孔271の孔径よりも小さい。第3の絶縁管280の少なくとも一部は、第2の絶縁管270の第2の貫通孔271内に入り込んでいてもよい。
【0041】
筒状部材210および蓋状部材220の各々の材料として、金属シースと同様の材料を用いることができる。また、筒状部材210および蓋状部材220の各々の材料として、さらに、ステンレスなどを用いることができる。
【0042】
第2の絶縁管270および第3の絶縁管280の各々の材料として、第1の絶縁管140と同様の材料を用いることができる。
【0043】
以上説明したように、シースヒータ10は、エポキシ系接着剤のような耐熱温度の低い構成要素を含まない。そのため、シースヒータ10の耐熱性が向上する。
【0044】
シースヒータ10は、いわゆる片端子型シースヒータである。しかしながら、シースヒータ10の構成は、両端子型シースヒータに適用することもでき、同様の効果を奏する。
【0045】
<第2実施形態>
図4図6を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ20について説明する。ステージ20はシースヒータ10を含む。そのため、以下では、第1実施形態で説明した構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0046】
図4は、本発明の一実施形態に係るステージ20の外観構成を示す模式的な斜視図である。
【0047】
図4に示すように、ステージ20は、第1の支持プレート310、第2の支持プレート320、およびシャフト330を含む。第1の支持プレート310と第2の支持プレート320とは重畳し、第2の支持プレート320は、第1の支持プレート310の下に設けられている。第2の支持プレート320は、溶接、ねじ止め、またはろう付などを用いて、第1の支持プレート310に接合されている。シャフト330は、第1の支持プレート310および第2の支持プレート320を支持するように、第2の支持プレート320の下に設けられている。シャフト330は、溶接、ねじ止め、またはろう付などを用いて、第2の支持プレート320に接合されている。
【0048】
第1の支持プレート310上には、シリコンもしくは化合物半導体などを含む半導体基板、または石英もしくはガラスなどを含む絶縁体基板が載置される。そのため、第1の支持プレート310の上面は、平坦面を有する。第1の支持プレート310の材料として、例えば、200W/mK以上430W/mK以下の熱伝導率を有する金属を用いることができる。第1の支持プレート310が熱伝導率の高い金属を含むことにより、シースヒータ10が発する熱エネルギーを第1の支持プレート310に効率よく伝導することができる。また、第1の支持プレート310に含まれる金属は、5×10-6/K以上25×10-6/K以下の熱膨張率を有することが好ましい。具体的には、第1の支持プレート310の金属として、チタン、アルミニウム、またはステンレスなどを用いることができる。
【0049】
図示しないが、第1の支持プレート310には、基板を固定するための静電チャック、基板とステージ20との間にヘリウムなどの熱伝導率の高いガスを供給するための貫通孔、または液体の媒体を環流するための環流路などが設けられていてもよい。
【0050】
第2の支持プレート320の材料として、第1の支持プレート310と同様の金属を用いることができる。第2の支持プレート320に含まれる金属は、第1の支持プレート310に含まれる金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。第1の支持プレート310に含まれる金属と第2の支持プレート320に含まれる金属とが異なる場合、熱膨張率の差が10×10-6/K以下となるように、それぞれの金属が選択されることが好ましい。これにより、熱膨張の違いによるステージ20の変形が抑制されるため、ステージ20の信頼性を向上させることができる。
【0051】
図示しないが、ステージ20では、第2の支持プレート320の下に、第3の支持プレートが設けられていてもよい。第3の支持プレートは、第1の支持プレート310または第2の支持プレート320と同様の構成を含む。第3の支持プレートも、溶接、ねじ止め、またはろう付などを用いて、第2の支持プレート320に接合されてもよい。
【0052】
シャフト330は、シースヒータ10のリード線240を格納するため、中空構造を有する。また、静電チャックが設けられる場合、静電チャックと接続される配線もシャフト330内に格納される。
【0053】
図示しないが、シャフト330は、回転機構と接続されていてもよい。シャフト330が回転機構と接続されることにより、ステージ20をシャフト330の長軸を中心として回転させることができる。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態に係るステージ20に含まれるシースヒータ10の配置構成を示す模式的な上面図である。図5では、説明の便宜上、第1の支持プレート310の図示が省略されている。また、シャフト330が点線で示されている。図6は、本発明の一実施形態に係るステージ20の内部構成を示す模式的な断面図である。具体的には、図6は、図5に示されるD1-D2線で切断されたステージ20の断面図である。
【0055】
図5に示すように、ステージ20は、第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2を含む。第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2は、第2の支持プレート320に配置されている。なお、以下では、第1のシースヒータ10-1と第2のシースヒータ10-2とを特に区別しない場合には、シースヒータ10と記載して説明する。
【0056】
図6に示すように、第2の支持プレート320の上面には、溝321が設けられている。溝321の深さは、シースヒータ10の外径と略同一である。具体的には、溝321の深さは、シースヒータ10の外径の100%よりも大きく150%以下であり、好ましくは100%よりも大きく120%以下であり、特に好ましくは100%よりも大きく110%以下である。第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2は、溝321に埋め込まれるように配置されている。
【0057】
第2の支持プレート320には、シャフト330と重畳する領域に2つの貫通孔322が設けられている。第2の支持プレート320上に配置された第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2の各々において、ヒータ部100が折り曲げられて貫通孔322に挿通され、端子部200がシャフト330内に格納されている。
【0058】
端子部200の接続端子250は、ヒータ電源(図示せず)と接続される。リード線240を介して、ヒータ電源からヒータ部100に電力が供給されると、ヒータ部100が発熱し、第1の支持プレート310および第2の支持プレート320が加熱される。
【0059】
以上説明したように、ステージ20は、耐熱性が向上したシースヒータ10を含む。そのため、ステージ20が、封止された金属シース110の第1の端部111-1をシャフト330内に格納する構成を有する場合においても、ステージ20は、高温で使用することが使用することができる。すなわち、ステージ20がシースヒータ10を含むことにより、ステージ20の使用温度範囲を広げることができる。また、第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2を独立して制御することができるため、ステージ20に載置される基板の温度を均一に、かつ、精密に制御することができる。
【0060】
<変形例1>
図7を参照して、ステージ20の一変形例であるステージ20Aについて説明する。以下では、ステージ20Aの構成がステージ20の構成と同様であるとき、ステージ20Aの構成の説明を省略する場合がある。
【0061】
図7は、本発明の一実施形態に係るステージ20Aの内部構成を示す模式的な断面図である。具体的には、図7は、図5に示されるD1-D2線で切断されたステージ20Aの断面図である。
【0062】
図7に示すように、第1の支持プレート310の下面には、溝311が設けられている。溝311の深さは、シースヒータ10の外径と略同一である。具体的には、溝311の深さは、シースヒータ10の外径の100%よりも大きく150%以下であり、好ましくは100%よりも大きく120%以下であり、特に好ましくは100%よりも大きく110%以下である。第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2は、溝311に埋め込まれるように配置されている。
【0063】
溝311の端部は、第1の支持プレート310のシャフト330と重畳する領域内に設けられている。溝311の端部は、第2の支持プレート320の貫通孔322と連通している。そのため、第1の支持プレート310上に配置された第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2の各々において、ヒータ部100が折り曲げられて貫通孔322に挿通され、端子部200がシャフト330内に格納されている。
【0064】
以上説明したように、ステージ20Aも、耐熱性が向上したシースヒータ10を含む。そのため、ステージ20Aの使用温度範囲を広げることができる。また、第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2を独立して制御することができるため、ステージ20Aに載置される基板の温度を均一に、かつ、精密に制御することができる。
【0065】
<変形例2>
図8を参照して、ステージ20の別の変形例であるステージ20Bについて説明する。以下では、ステージ20Bの構成がステージ20の構成と同様であるとき、ステージ20Bの構成の説明を省略する場合がある。
【0066】
図8は、本発明の一実施形態に係るステージ20Bの内部構成を示す模式的な断面図である。具体的には、図8は、図5に示されるD1-D2線で切断されたステージ20Bの断面図である。
【0067】
図8に示すように、第1の支持プレート310の下面には、溝311Bが設けられている。また、第2の支持プレート320の上面には、溝321Bが設けられている。溝311Bの位置と溝321Bの位置とは対応している。溝311Bの深さは、溝321Bの深さと同じであってもよく、異なっていてもよい。但し、溝311Bの深さと溝321Bの深さとの和は、シースヒータ10の外径と略同一である。具体的には、溝311Bの深さと溝321Bの深さとの和は、シースヒータ10の外径の100%よりも大きく150%以下であり、好ましくは100%よりも大きく120%以下であり、特に好ましくは100%よりも大きく110%以下である。第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2は、溝311Bおよび溝321Bに埋め込まれるように配置されている。
【0068】
第2の支持プレート320のシャフト330と重畳する領域内には、貫通孔322が設けられている。第1の支持プレート310と第2の支持プレート320の間に配置された第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2の各々において、ヒータ部100が折り曲げられて貫通孔322に挿通され、端子部200がシャフト330内に格納されている。
【0069】
以上説明したように、ステージ20Bも、耐熱性が向上したシースヒータ10を含む。そのため、ステージ20Bの使用温度範囲を広げることができる。また、第1のシースヒータ10-1および第2のシースヒータ10-2を独立して制御することができるため、ステージ20Bに載置される基板の温度を均一に、かつ、精密に制御することができる。
【0070】
<変形例3>
図9を参照して、ステージ20のさらに別の変形例であるステージ20Cについて説明する。以下では、ステージ20Cの構成がステージ20の構成と同様であるとき、ステージ20Cの構成の説明を省略する場合がある。
【0071】
図9は、本発明の一実施形態に係るステージ20Cに含まれるシースヒータの配置構成を示す模式的な上面図である。図9では、説明の便宜上、第1の支持プレート310の図示が省略されている。
【0072】
図9に示すように、ステージ20Cは、第1のシースヒータ10-1、第2のシースヒータ10-2、第3のシースヒータ10-3、および第4のシースヒータ10-4を含む。第1のシースヒータ10-1~第4のシースヒータ10-4は、第2の支持プレート320上に配置されている。
【0073】
ステージ20Cでは、第2の支持プレート320が4つに区画され、4つの区画のそれぞれに独立した4つのシースヒータ10が配置されている。4つの区画の各々では、シースヒータ10は、円弧を形成するようにジグザグに配置されている。第1のシースヒータ10-1~第4のシースヒータ10-4は、同一の配置形状を有する。また、第1のシースヒータ10-1~第4のシースヒータ10-4の1つを、第2の支持プレート320の中心を通る軸で90度回転させると、他の1つと重畳するように配置されている。
【0074】
以上説明したように、ステージ20Cも、耐熱性が向上したシースヒータ10を含む。そのため、ステージ20Cの使用温度範囲を広げることができる。また、第1のシースヒータ10-1~第4のシースヒータ10-4を独立して制御することができるため、ステージ20Bに載置される基板の温度を区画ごとに均一に、かつ、精密に制御することができる。
【0075】
<第3実施形態>
図10を参照して、本発明の一実施形態に係るエッチング装置50について説明する。エッチング装置50は、ステージ20を含む。そのため、以下では、第2実施形態で説明した構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0076】
図10は、本発明の一実施形態に係るエッチング装置50の構成を示す模式的な断面図である。
【0077】
エッチング装置50は、種々の膜に対してドライエッチングを行うことができる。エッチング装置50は、チャンバー502を有している。チャンバー502は、基板上に形成された導電体、絶縁体、または半導体などの膜に対してエッチングを行う空間を提供する。
【0078】
チャンバー502には排気装置504が接続され、これにより、チャンバー502内を減圧雰囲気に設定することができる。チャンバー502には、さらに反応ガスを導入するための導入管506が設けられ、バルブ508を介してチャンバー502内にエッチング用の反応ガスが導入される。反応ガスとしては、例えば、四フッ化炭素(CF)、オクタフルオロシクロブタン(c-C)、デカフルオロシクロペンタン(c-C10)、またはヘキサフルオロブタジエン(C)などの含フッ素有機化合物を用いることができる。
【0079】
チャンバー502上部には導波管510を介してマイクロ波源512を設けることができる。マイクロ波源512はマイクロ波を供給するためのアンテナなどを有しており、例えば2.45GHzのマイクロ波や、13.56MHzのラジオ波(RF)といった高周波数のマイクロ波を出力する。マイクロ波源512で発生したマイクロ波は導波管510によってチャンバー502の上部へ伝播し、石英またはセラミックなどを含む窓514を介してチャンバー502内へ導入される。マイクロ波によって反応ガスがプラズマ化し、プラズマに含まれる電子、イオン、またはラジカルによって膜のエッチングが進行する。
【0080】
チャンバー502下部には、基板を載置するためのステージ20が設けられる。ステージ20には電源524が接続され、高周波電力がステージ20に与えられ、マイクロ波による電界がステージ20の表面、基板表面に対して垂直な方向に形成される。チャンバー502の上部および側面には、さらに磁石516、磁石518、および磁石520を設けることができる。磁石516、磁石518、および磁石520は、永久磁石でもよく、電磁コイルを有する電磁石でもよい。磁石516、磁石518、および磁石520により、ステージ20および基板表面に平行な磁界が生成される。磁界とマイクロ波による電界との連携により、プラズマ中の電子は、ローレンツ力を受けて共鳴し、ステージ20および基板表面に束縛される。その結果、高い密度のプラズマを基板表面に発生させることができる。
【0081】
ステージ20には、さらに、ステージ20に設けられるシースヒータ10を制御するヒータ電源530が接続される。ステージ20には、さらに、任意の構成として、基板をステージ20に固定するための静電チャック用の電源526、ステージ20の内部に環流される媒体の温度制御を行う温度コントローラ528、およびステージ20を回転させるための回転制御装置(図示せず)が接続されてもよい。
【0082】
<第4実施形態>
図11を参照して、本発明の一実施形態に係るCVD装置60について説明する。CVD装置60は、ステージ20を含む。そのため、以下では、第2実施形態で説明した構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0083】
図11は、本発明の一実施形態に係るCVD装置60の構成を示す模式的な断面図である。
【0084】
CVD装置60はチャンバー602を有している。CVD装置60は、反応ガスを化学的に反応させ、種々の膜を基板上に化学的に形成する場を提供する。
【0085】
チャンバー602には排気装置604が接続され、チャンバー602内の圧力を低減することができる。チャンバー602にはさらに反応ガスを導入するための導入管606が設けられ、バルブ608を介してチャンバー602内に成膜用の反応ガスが導入される。反応ガスとしては、作製する膜に依存して種々のガスを用いることができる。ガスは、常温で液体でもよい。例えば、シラン、ジクロロシラン、またはテトラエトキシシランなどを用いることでシリコン、酸化ケイ素、または窒化ケイ素などの薄膜を形成することができる。また、フッ化タングステンまたはトリメチルアルミニウムなどを用いることで、タングステンまたはアルミニウムなどの金属薄膜を形成することができる。
【0086】
エッチング装置50と同様、チャンバー602上部には導波管610を介してマイクロ波源612を設けてもよい。マイクロ波源612で発生したマイクロ波は導波管610によってチャンバー602内部へ導入される。マイクロ波によって反応ガスがプラズマ化し、プラズマに含まれる種々の活性種によってガスの化学反応が促進され、化学反応によって得られる生成物が基板上に堆積し、薄膜が形成される。任意の構成として、プラズマの密度を増大させるための磁石644をチャンバー602内に設けることができる。チャンバー602の下部には、ステージ20が設けられ、基板がステージ20上に載置された状態で薄膜の堆積を行うことができる。エッチング装置50と同様、チャンバー602の側面にはさらに磁石616および磁石618を設けてもよい。
【0087】
ステージ20には、さらに、ステージ20に設けられるシースヒータ10を制御するヒータ電源630が接続される。ステージ20には、さらに、任意の構成として、高周波電力をステージ20に供給するための電源624、静電チャック用の電源626、ステージ20の内部に環流される媒体の温度制御を行う温度コントローラ628、およびステージ20を回転させるための回転制御装置(図示しない)が接続されてもよい。
【0088】
<第5実施形態>
図12を参照して、本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置70について説明する。スパッタリング装置70は、ステージ20を含む。そのため、以下では、第2実施形態で説明した構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0089】
図12は、本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置70の構成を示す模式的な断面図である。
【0090】
スパッタリング装置70はチャンバー702を有する。スパッタリング装置70は、高速のイオンとターゲットの衝突、およびその際に発生するターゲット原子を基板上に堆積させるための場を提供する。
【0091】
チャンバー702にはチャンバー702内を減圧にするための排気装置704が接続される。チャンバー702にはアルゴンなどのスパッタリングガスをチャンバー702へ導入するための導入管706およびバルブ708が設けられる。
【0092】
チャンバー702の下部には、成膜する材料を含むターゲットを保持し、かつ陰極として機能するターゲットステージ710が設けられ、その上にターゲット712が設置される。ターゲットステージ710には高周波電源714が接続され、高周波電源714によってチャンバー702内にプラズマを発生することができる。
【0093】
チャンバー702の上部には、ステージ20を設けることができる。この場合、基板がステージ20の下に設置された状態で薄膜の形成が進行する。エッチング装置50やCVD装置60と同様、ステージ20にはヒータ電源730が接続される。ステージ20には、さらに、高周波電力をステージ20に供給するための電源724、静電チャック用の電源726、温度コントローラ728、およびステージ20を回転させるための回転制御装置(図示せず)が接続されてもよい。
【0094】
チャンバー702内で発生したプラズマによって加速されたアルゴンイオンは、ターゲット712に衝突し、ターゲット712の原子が弾き出される。弾き出された原子は、シャッター716が開放されている間、ステージ20の下に設置される基板へ飛翔し、堆積する。
【0095】
本実施形態では、ステージ20がチャンバー702の上部に、ターゲットステージ710がチャンバー702の下部に設置される構成が例示されるが、本実施形態はこの構成に限られず、ターゲット712がステージ20の上に位置するようにスパッタリング装置70を構成してもよい。または、基板の主面が水平面に対して垂直に配置されるようにステージ20を設置し、それに対向するようにターゲットステージ710を設けてもよい。
【0096】
<第6実施形態>
図13を参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着装置80について説明する。蒸着装置80は、ステージ20を含む。そのため、以下では、第2実施形態で説明した構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0097】
図13は、本発明の一実施形態に係る蒸着装置80の構成を示す模式的な断面図である。
【0098】
蒸着装置80はチャンバー802を有する。蒸着装置80は、蒸着源810における材料の蒸発、ならびに蒸発した材料を基板上へ堆積させるための空間が提供される。
【0099】
チャンバー802にはチャンバー802内を高真空にするための排気装置504が接続される。チャンバー802には、チャンバー802を大気圧に戻すための導入管806が設けられ、バルブ808を介して窒素またはアルゴンなどの不活性ガスがチャンバー802内に導入される。
【0100】
チャンバー802の上部には、ステージ20を設けることができる。基板がステージ20の下に設置された状態で材料の堆積が進行する。エッチング装置50、CVD装置60、およびスパッタリング装置70と同様、ステージ20には、さらに、ヒータ電源828が接続される。ステージ20には、さらに、任意の構成として、静電チャック用の電源824、温度コントローラ826、およびステージ20を回転させるための回転制御装置830が接続されてもよい。ステージ20は、さらに、基板と蒸着源810の間にメタルマスクを固定するためのマスクホルダ816を有してもよい。これにより、材料を堆積する領域にメタルマスクの開口部が重なるように、基板近傍にメタルマスクを配置することができる。
【0101】
蒸着源810がチャンバーの下側に設けられ、蒸着する材料が蒸着源810に充填される。蒸着源810には材料を加熱するためのヒータが設けられており、ヒータは制御装置812によって制御される。排気装置804を用いてチャンバー802内を高真空にし、蒸着源810を加熱して材料を気化させることで蒸着が開始される。蒸着の速度が一定になった時にシャッター814を開放することで、基板上において材料の堆積が開始される。
【0102】
以上、第3実施形態~第6実施形態において説明したエッチング装置50、CVD装置60、スパッタリング装置70、および蒸着装置80には、ステージ20が用いられる。ステージ20を用いることで、基板を均一に加熱し、かつ、加熱温度を精密に制御することができる。そのため、エッチング装置50、CVD装置60、スパッタリング装置70、または蒸着装置80を用いることで、特性が制御された種々の膜を基板上に均一に形成することが可能となる。また、ステージ20では、シャフト330内に金属シース110の第1の端部111-1がシャフト内に格納されているため、ステージ20の配置する位置の自由度が向上する。
【0103】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0104】
また、上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
【符号の説明】
【0105】
10:シースヒータ、 20、20A、20B、20C:ステージ、 50:エッチング装置、 60:CVD装置、 70:スパッタリング装置、 80:蒸着装置、 100:ヒータ部、 110:金属シース、 111:端部、 120:ヒータ線、 130:絶縁材、 140:第1の絶縁管、 141:第1の貫通孔、 150:封止材、 200:端子部、 210:筒状部材、 211:筒体、 212:ツバ部、 220:蓋状部材、 221:開口部、 230:係止部材、 240:リード線、 250:接続端子、 260:圧着スリーブ、 270:第2の絶縁管、 271:第2の貫通孔、 280:第3の絶縁管、 281:第3の貫通孔、 310:第1の支持プレート、 311、311B:溝、 320:第2の支持プレート、 321、321B:溝、 322:貫通孔、 330:シャフト、 502:チャンバー、 504:排気装置、 506:導入管、 508:バルブ、 510:導波管、 512:マイクロ波源、 514:窓、 516:磁石、 518:磁石、 520:磁石、 524:電源、 526:電源、 528:温度コントローラ、 530:ヒータ電源、 602:チャンバー、 604:排気装置、 606:導入管、 608:バルブ、 610:導波管、 612:マイクロ波源、 616:磁石、 618:磁石、 624:電源、 626:電源、 628:温度コントローラ、 630:ヒータ電源、 644:磁石、 702:チャンバー、 704:排気装置、 706:導入管、 708:バルブ、 710:ターゲットステージ、 712:ターゲット、 714:高周波電源、 716:シャッター、 724:電源、 726:電源、 728:温度コントローラ、 730:ヒータ電源、 802:チャンバー、 804:排気装置、 806:導入管、 808:バルブ、 810:蒸着源、 812:制御装置、 814:シャッター、 816:マスクホルダ、 824:電源、 826:温度コントローラ、 828:ヒータ電源、 830:回転制御装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13