(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109351
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】モータ装置及び推進装置
(51)【国際特許分類】
H02K 9/06 20060101AFI20240806BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240806BHJP
B64D 27/24 20240101ALI20240806BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240806BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H02K9/06 A
B64C39/02
B64D27/24
H02K7/116
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014094
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀明
(72)【発明者】
【氏名】中田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】竹村 優一
【テーマコード(参考)】
5H607
5H609
【Fターム(参考)】
5H607AA02
5H607BB01
5H607DD04
5H607EE31
5H607FF04
5H609PP02
5H609PP10
5H609PP11
5H609QQ02
5H609QQ12
5H609QQ13
5H609RR04
5H609RR10
5H609RR27
5H609RR37
5H609RR42
(57)【要約】
【課題】放熱効果を高めることができるモータ装置及び推進装置を提供する。
【解決手段】推進装置15及びモータ装置60は、モータ61及びモータハウジング70を有している。モータ61は、ロータ64a,64b、ステータ62及びモータシャフト130を有している。モータシャフト130は、シャフト流路141を有している。シャフト流路141は、シャフト空間140の少なくとも一部により形成されている。シャフト流路141には、シャフト下端口140b及び上流外周口140cが含まれている。シャフト下端口140bは、シャフト下端面130dに設けられている。上流外周口140cは、シャフト外周面130aに設けられている。シャフト下端口140b及び上流外周口140cは、シャフト流路141を気体が通り抜けるようにシャフト空間140を開放している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体(10)を推進させるために駆動するモータ装置(60)であって、
ステータ(62)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転するロータ(64a,64b)と、
前記ロータを支持し、前記回転軸線を中心に前記ロータと共に回転するモータシャフト(130)と、
を備え、
前記モータシャフトは、
前記モータシャフトの内部空間(140)の少なくとも一部により形成されたシャフト流路(141)と、
前記モータシャフトの外面(130a,130c,130d)に複数設けられ、前記シャフト流路を気体が通り抜けるように前記シャフト流路を開放しているシャフト開口(140a,140b,140c,140d,140e,140f)と、
を有しているモータ装置。
【請求項2】
前記シャフト流路の外周側に設けられ、前記モータシャフトを回転可能に支持するシャフトベアリング(52,66a,66b)、を備え、
前記シャフト開口は、前記シャフト流路を流れる気体が前記シャフトベアリングの内周側を通り抜けるように設けられている、請求項1に記載のモータ装置。
【請求項3】
前記シャフトベアリングは、前記回転軸線の軸方向(AD)に並べられた2つの前記シャフト開口の間に設けられている、請求項2に記載のモータ装置。
【請求項4】
前記回転軸線の軸方向(AD)に並べられた複数の前記シャフトベアリングは、前記軸方向に並べられた2つの前記シャフト開口の間に設けられている、請求項2又は3に記載のモータ装置。
【請求項5】
前記ステータ及び前記ロータを収容しているモータハウジング(70)を備え、
前記モータシャフトは、前記モータハウジングを前記回転軸線の軸方向(AD)に貫通するように設けられており、
前記シャフト開口は、前記シャフト流路を流れる気体が前記モータハウジングを前記軸方向に通り抜けるように設けられている、請求項1又は2に記載のモータ装置。
【請求項6】
前記シャフト開口は、前記飛行体の飛行に伴って生じる飛行風(Wp)が気体として前記シャフト流路を通り抜けるように設けられている、請求項1又は2に記載のモータ装置。
【請求項7】
前記ステータ及び前記ロータを収容しているモータハウジング(70)と、
前記モータハウジングとの間に気体が流れるように、前記モータハウジングの少なくとも一部を外側から覆っている外側ダクト(120)と、
前記シャフト開口として前記外側ダクトの外側に設けられ、前記シャフト流路に気体を流入させるシャフト流入口(140f)と、
前記シャフト開口として前記外側ダクトの内側に設けられ、前記シャフト流路から気体を流出させるシャフト流出口(140d,140e)と、
を備えている請求項1又は2に記載のモータ装置。
【請求項8】
前記シャフト開口であり、前記シャフト流路に気体を流入させるシャフト流入口(140b)と、
前記シャフト開口であり、前記シャフト流路から気体を流出させるシャフト流出口(140c)と、
を備え、
全ての前記シャフト流入口の開口面積を合計した値は、全ての前記シャフト流出口の開口面積を合計した値以上である、請求項1又は2に記載のモータ装置。
【請求項9】
気体が前記シャフト流路を通り抜けるように送風する送風ファン(111,112,113)、を備えている請求項1又は2に記載のモータ装置。
【請求項10】
前記送風ファンは、前記飛行体の飛行に伴って生じる飛行風(Wp)とは逆向きに気体が前記シャフト流路を通り抜けるように送風する、請求項9に記載のモータ装置。
【請求項11】
前記モータシャフトは、
前記飛行体を推進させるためのプロペラ(20)と、前記プロペラのピッチを調整するピッチコントローラ(151)と、を接続する接続棒(152)が前記シャフト流路の少なくとも一部に挿通されるように前記モータシャフトの前記外面に設けられた挿通口(140a,140b)、を有している請求項1又は2に記載のモータ装置。
【請求項12】
飛行体(10)を推進させる推進装置(15)であって、
前記飛行体を推進させるために駆動するモータ装置(60)を備え、
前記モータ装置は、
ステータ(62)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転するロータ(64a,64b)と、
前記ロータを支持し、前記回転軸線を中心に前記ロータと共に回転するモータシャフト(130)と、
を有し、
前記モータシャフトは、
前記モータシャフトの内部空間の少なくとも一部により形成されたシャフト流路(141)と、
前記モータシャフトの外面(130a,130c,130d)に複数設けられ、前記シャフト流路を気体が通り抜けるように前記シャフト流路を開放しているシャフト開口(140a,140b,140c,140d,140e,140f)と、
を有している推進装置。
【請求項13】
前記回転軸線に沿って前記モータ装置に並べられ、前記モータ装置を駆動させるモータ駆動装置(80)、を備え、
少なくとも1つの前記シャフト開口は、前記モータ装置と前記モータ駆動装置との間に設けられている、請求項12に記載の推進装置。
【請求項14】
前記回転軸線に沿って前記モータ装置に並べられ、前記モータシャフトの回転数を変更して出力可能なギア装置(100)、を備え、
少なくとも1つの前記シャフト開口は、前記ギア装置と前記モータ装置との間に設けられている、請求項12又は13に記載の推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、モータ装置及び推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、航空機に搭載される推進システムが開示されている。この推進システムは、モータ、インバータ及びケースを有している。モータとインバータとは、モータの回転軸に沿って並べられている。モータは、ステータ、ロータ及びシャフトを有している。シャフトは、ロータを支持しており、ロータと共に回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、モータの熱がシャフトにこもることが懸念される。モータの熱がシャフトにこもると、モータの放熱効果が低下しやすくなってしまう。
【0005】
本開示の主な目的は、放熱効果を高めることができるモータ装置及び推進装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するため、開示された態様は、
飛行体(10)を推進させるために駆動するモータ装置(60)であって、
ステータ(62)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転するロータ(64a,64b)と、
ロータを支持し、回転軸線を中心にロータと共に回転するモータシャフト(130)と、
を備え、
モータシャフトは、
モータシャフトの内部空間(140)の少なくとも一部により形成されたシャフト流路(141)と、
モータシャフトの外面(130a,130c,130d)に複数設けられ、シャフト流路を気体が通り抜けるようにシャフト流路を開放しているシャフト開口(140a,140b,140c,140d,140e,140f)と、
を有しているモータ装置。
【0008】
上記モータ装置によれば、シャフト開口は、気体がシャフト流路を通り抜けるようにシャフト流路を開放している。この構成では、シャフト流路の熱が気体と共にシャフト開口からモータシャフトの外部に放出される。このため、モータ装置の熱がモータシャフトの内部にこもるということを抑制できる。したがって、モータ装置の放熱効果を高めることができる。
【0009】
開示された態様は、
飛行体(10)を推進させる推進装置(15)であって、
飛行体を推進させるために駆動するモータ装置(60)を備え、
モータ装置は、
ステータ(62)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転するロータ(64a,64b)と、
ロータを支持し、回転軸線を中心にロータと共に回転するモータシャフト(130)と、
を有し、
モータシャフトは、
モータシャフトの内部空間の少なくとも一部により形成されたシャフト流路(141)と、
モータシャフトの外面(130a,130c,130d)に複数設けられ、シャフト流路を気体が通り抜けるようにシャフト流路を開放しているシャフト開口(140a,140b,140c,140d,140e,140f)と、
を有している推進装置。
【0010】
上記推進装置によれば、シャフト開口は、気体がシャフト空間を通り抜けるようにシャフト空間を開放している。したがって、上記モータ装置と同様に、推進装置の放熱効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態におけるeVTOLの構成を示す図。
【
図3】第2実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図4】第3実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図5】第4実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図6】第5実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図7】第6実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図8】第7実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図9】第8実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図10】第9実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図11】第10実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図12】第11実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図13】第12実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図14】第13実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図15】第14実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図16】第15実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図17】第16実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図18】第17実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図19】第18実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図20】第19実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【
図21】第20実施形態における推進装置の概略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
<第1実施形態>
図1に示す推進システム30は、eVTOL10に搭載されている。eVTOL10は、電動垂直離着陸機である。電動垂直離着陸機は、電動式の垂直離着陸機であり、垂直離着陸することが可能である。eVTOLは、electric Vertical Take-Off and Landing aircraftの略称である。eVTOL10は、大気中を飛行する電動式の飛行体であり、電動飛行体と称されることがある。eVTOL10は、電動式の航空機でもあり、電動航空機と称されることがある。eVTOL10は、乗員が乗る有人飛行体、及び乗員が乗らない無人飛行体のいずれでもよい。eVTOL10は、操縦者としてのパイロットにより操縦される。パイロットは、乗員としてeVTOL10を操縦してもよく、eVTOL10に乗らずにeVTOL10を遠隔操作してもよい。推進システム30は、eVTOL10を飛行させるために駆動するシステムである。
【0014】
eVTOL10は、機体11及びプロペラ20を有している。機体11は、機体本体12、翼13を有している。機体本体12は、機体11の胴体であり、例えば前後に延びた形状になっている。機体本体12は、乗員が乗るための乗員室を有している。翼13は、機体本体12から延びており、機体本体12に複数設けられている。翼13は固定翼である。複数の翼13には、主翼、尾翼などが含まれている。
【0015】
プロペラ20は、機体11に複数設けられている。eVTOL10は、少なくとも3つのプロペラ20を有するマルチコプタである。例えばプロペラ20は、機体11に少なくとも4つ設けられている。プロペラ20は、機体本体12及び翼13のそれぞれに設けられている。プロペラ20は、プロペラ軸線を中心に回転する。プロペラ軸線は、例えばプロペラ20の中心線である。プロペラ20は、eVTOL10に推力や揚力を生じさせることが可能である。プロペラ20は、ロータや回転翼と称されることがある。
【0016】
プロペラ20は、ブレード21を有している。ブレード21は、プロペラ軸線の周方向に複数並べられている。プロペラ20では、複数のブレード21がボスにより連結されている。プロペラ20では、プロペラシャフトがボスからプロペラ軸線に沿って延びている。プロペラ20は、ピッチ可変式のプロペラである。プロペラ20では、プロペラ軸線に対するブレード21の角度を変更可能になっている。
【0017】
eVTOL10の飛行態様には、垂直離陸、垂直着陸、クルーズ及びホバリング等が含まれている。eVTOL10は、垂直離陸として、例えば滑走を行わずに垂直方向に上昇することで離陸地点から離陸することが可能である。eVTOL10は、垂直着陸として、例えば垂直方向に下降することで滑走せずに着陸地点に着地することが可能である。
【0018】
eVTOL10は、チルトロータ機である。eVTOL10においては、プロペラ20のチルト角が調整可能になっている。チルトロータ機においては、1つのプロペラ20をリフト用プロペラ及びクルーズ用プロペラの両方として機能させることが可能になっている。なお、複数のプロペラ20には、リフト用プロペラ及びクルーズ用プロペラが含まれていてもよい。
【0019】
eVTOL10は、バッテリ31、分配器32、飛行制御装置40及びEPU50を有している。バッテリ31、分配器32、飛行制御装置40及びEPU50は、推進システム30に含まれている。バッテリ31は、複数のEPU50に通電可能に接続されている。バッテリ31は、EPU50に電力を供給する電力供給部であり、電源部に相当する。バッテリ31は、EPU50に直流電圧を印加する直流電圧源である。バッテリ31は、充放電可能な2次電池を有している。バッテリ31は、飛行制御装置40にも電力を供給する。なお、電源部としては、バッテリ31に加えて又は代えて、燃料電池や発電機などが用いられてもよい。
【0020】
分配器32は、バッテリ31及び複数のEPU50に電気的に接続されている。分配器32は、バッテリ31からの電力を複数のEPU50に分配する。分配器32がEPU50に分配する電力は、EPU50を駆動させるための駆動電力である。
【0021】
飛行制御装置40は、推進システム30を制御する。飛行制御装置40は、eVTOL10を飛行させるための飛行制御を行う。飛行制御装置40は、複数のEPU50に通信可能に接続されている。飛行制御装置40は、複数のEPU50を個別に制御する。飛行制御装置40は、後述するインバータ制御部82を介してEPU50の制御を行う。
【0022】
EPU50は、プロペラ20を駆動回転させるために駆動する装置であり、駆動装置に相当する。EPUは、Electric Propulsion Unitの略称である。EPU50は、電駆動装置及び電駆動システムと称されることがある。EPU50は、複数のプロペラ20のそれぞれに対して個別に設けられている。EPU50は、プロペラ軸線に沿ってプロペラ20に並べられている。複数のEPU50はいずれも、機体11に固定されている。EPU50は、プロペラ20を回転可能に支持している。EPU50は、プロペラ20に接続されている。プロペラ20は、EPU50を介して機体11に固定されている。
【0023】
プロペラ20は、EPU50の駆動に伴って回転する。プロペラ20は回転体に相当する。eVTOL10は、プロペラ20の回転により飛行する。すなわち、eVTOL10は、プロペラ20の回転により移動する。eVTOL10は、移動体に相当する。eVTOL10は、推進装置15を有している。推進装置15は、プロペラ20及びEPU50を有している。推進装置15は、プロペラ20の回転によりeVTOL10を推進させる。推進装置15は、プロペラ20とEPU50とが一体化された装置である。なお、プロペラ20及びEPU50のうちEPU50だけが推進装置と称されてもよい。
【0024】
推進装置15では、プロペラ20の回転に伴ってプロペラ風Wp(
図2参照)が生じる。プロペラ風Wpは、軸方向ADに流れる空気等の気体の流れである。プロペラ風Wpは、プロペラ20からEPU50に向けて流れる。EPU50は、プロペラ20に対してプロペラ風Wpの風下側に設けられている。本実施形態では、プロペラ風Wpにとっての風上側を上流側と称し、プロペラ風Wpにとっての風下側を下流側と称することがある。プロペラ風Wpは、eVTOL10の飛行に伴って生じる飛行風に含まれている。
【0025】
図2に示すように、EPU50は、モータ装置60及びインバータ装置80を有している。モータ装置60及びインバータ装置80は、全体として短尺の円柱状に形成されており、軸方向ADに延びている。モータ装置60とインバータ装置80とは、軸方向ADに並べられている。モータ装置60とインバータ装置80とは、軸方向ADに重ねられた状態になっている。モータ装置60とインバータ装置80とは同軸に設けられている。インバータ装置80の中心線は、モータ軸線Cmに一致している。モータ装置60は、軸方向ADにおいてインバータ装置80とプロペラ20との間に設けられている。
【0026】
モータ装置60は、モータ61及びモータハウジング70を有している。モータハウジング70は、筐体であり、モータ61を収容している。モータ61は、複数相の交流モータである。モータ装置60は、eVTOL10を推進させるために駆動する。モータ装置60は、eVTOL10の飛行駆動源であり、電動機として機能する。モータ装置60は、回転電機と称されることがある。
【0027】
モータ61は、ステータ62、ロータ64a,64b及びモータシャフト130を有している。モータ61は、ステータ62やロータ64a,64b、モータシャフト130などの機械部品を含んで構成されている。ステータ62は、固定子であり、モータハウジング70に固定されている。
【0028】
ロータ64a,64aは、回転子であり、ステータ62に対して回転する。モータシャフト130は、ロータ64a,64bを支持している。モータシャフト130は、ロータ64a,64bと共に回転する。モータ61は、アキシャルギャップ式のモータである。モータ61では、ステータ62とロータ64a,64bとが軸方向ADに並べられている。また、モータ61は、ダブルロータ式のモータである。モータ61では、第1ロータ64aと第2ロータ64bとがステータ62を介して軸方向ADに並べられている。
【0029】
軸方向ADは、モータ軸線Cmが延びた方向である。モータ軸線Cmは、ロータ64a,64bの回転軸線である。ロータ64a,64bは、モータ軸線Cmを中心に回転する。モータ軸線Cmは、例えばロータ64a,64bの中心線である。モータ軸線Cmは、モータ61やステータ62、モータシャフト130の中心線でもある。モータ軸線Cmは、回転軸線に相当する。モータ軸線Cmについては、軸方向ADと径方向RDと周方向CDとが互いに直交している。なお、径方向RDの外側は、径方向外側や外周側と称されることがある。径方向RDの内側は、径方向内側や内周側と称されることがある。
【0030】
モータハウジング70は、モータ外周壁71及びモータ対向壁73を有している。モータ外周壁71及びモータ対向壁73は、金属材料等により形成されており、熱伝導性を有している。モータ外周壁71は、周方向CDに環状に延びている。モータ外周壁71は、モータハウジング70の外周面を形成している。モータ外周壁71は、ステータ62及びロータ64a,64bを外周側から覆っている。モータ対向壁73は、軸方向ADに一対並べられている。一対のモータ対向壁73は、ステータ62、ロータ64a,64b及びモータ外周壁71を介して対向している。モータ対向壁73は、軸方向ADに直交する方向に延びている。モータ対向壁73は、モータ外周壁71に固定されている。
【0031】
モータハウジング70は、図示しないモータフィンを有いている。モータフィンは、モータ外周壁71に設けられている。モータフィンは、モータハウジング70の熱をモータ装置60の外部に放出する。モータフィンは、モータ外周壁71から外周側に延びた放熱フィンである。モータフィンは、周方向CDに直交する方向に延びている。モータフィンは、周方向CDに複数並べられている。
【0032】
モータ装置60は、第1モータベアリング66a及び第2モータベアリング66bを有している。モータベアリング66a,66bは、モータシャフト130を回転可能に支持している。モータベアリング66a,66bは、軸受部材である。モータベアリング66a,66bは、モータハウジング70に収容されている。モータベアリング66a,66bは、モータハウジング70の内部においてモータ対向壁73などに固定されている。第1モータベアリング66aと第2モータベアリング66bとは、軸方向ADに並べられている。
【0033】
インバータ装置80は、モータ装置60を駆動させる。インバータ装置80は、モータ駆動装置に相当する。インバータ装置80は、インバータ81、インバータ制御部82及びインバータハウジング90を有している。インバータハウジング90は、筐体であり、インバータ81及びインバータ制御部82を収容している。インバータ81は、モータ61に供給される電力を変換することでモータ61を駆動させる。インバータ81は、電力変換部に相当する。
【0034】
インバータ81は、スイッチング素子やコンデンサ素子など複数の電子部品を含んで構成されている。インバータ81では、これら電子部品が回路基板等に実装されている。インバータ制御部82は、インバータ81の制御を行うことでモータ61の制御を行う。インバータ装置80は、モータ61に供給される電力を制御する。インバータ装置80では、1つのインバータ81と1つのインバータ制御部82とが1つのインバータモジュールを形成している。
【0035】
インバータハウジング90は、インバータ内周孔95を有している。インバータ内周孔95は、インバータハウジング90を軸方向ADに貫通している。インバータ内周孔95は、モータ軸線Cmに沿って軸方向ADに延びている。インバータ内周孔95は、インバータハウジング90の中央に設けられている。インバータ内周孔95の中心線は、モータ軸線Cmに一致している。インバータハウジング90は、モータ駆動ハウジングに相当する。
【0036】
インバータハウジング90は、インバータ外周壁91、インバータ内周壁92及びインバータ対向壁93を有している。インバータ外周壁91、インバータ内周壁92及びインバータ対向壁93は、金属材料等により形成されており、熱伝導性を有している。
【0037】
インバータ外周壁91及びインバータ内周壁92は、周方向CDに環状に延びている。インバータ外周壁91は、インバータハウジング90の外周面を形成している。インバータ内周壁92は、インバータハウジング90の内周面を形成している。インバータ内周壁92は、インバータ内周孔95を形成している。インバータ外周壁91とインバータ内周壁92とは、径方向RDに並べられており、インバータ81及びインバータ制御部82を介して対向している。
【0038】
インバータ対向壁93は、軸方向ADに一対並べられている。一対のインバータ対向壁93は、インバータ81、インバータ制御部82、インバータ外周壁91及びインバータ内周壁92を介して対向している。インバータ対向壁93は、軸方向ADに直交する方向に延びている。インバータ対向壁93は、インバータ外周壁91及びインバータ内周壁92に固定されている。
【0039】
インバータハウジング90は、図示しないインバータフィンを有している。インバータフィンは、インバータ外周壁91に設けられている。インバータフィンは、インバータハウジング90の熱をインバータ装置80の外部に放出する。インバータフィンは、インバータ外周壁91から外周側に延びた放熱フィンである。インバータフィンは、周方向CDに直交する方向に延びている。インバータフィンは、周方向CDに複数並べられている。
【0040】
モータハウジング70とインバータハウジング90とは、軸方向ADに並べられている。例えば、モータ外周壁71とインバータ外周壁91とが軸方向ADに並べられている。モータハウジング70とインバータハウジング90とは、軸方向ADに離れた位置に設けられている。モータハウジング70とインバータハウジング90とは、例えばスペーサを介してボルト等の固定具により固定されている。
【0041】
EPU50は、ギア装置100を有している。ギア装置100は、モータ装置60とプロペラ20とを機械的に接続している。ギア装置100は、モータ装置60の駆動をプロペラ20に伝達する。ギア装置100は、ロータ64a,64bやモータシャフト130の回転数を変更してプロペラ20に出力することが可能である。ギア装置100には、モータシャフト130が接続されている。
【0042】
ギア装置100は、軸方向ADにおいてモータ装置60とプロペラ20との間に設けられている。ギア装置100は、ギアボックスと称されることがある。ギア装置100は、全体として短尺の円柱状に形成されており、軸方向ADに延びている。ギア装置100は、モータ装置60及びインバータ装置80に軸方向ADに並べられている。ギア装置100は、軸方向ADにおいてモータ装置60及びインバータ装置80とプロペラ20との間に設けられている。ギア装置100は、モータ装置60及びインバータ装置80に同軸に設けられている。ギア装置100の中心線は、モータ軸線Cmに一致している。
【0043】
ギア装置100は、ギア、ギアシャフト及びギアハウジングを有している。ギアシャフトは、軸方向ADに延びており、モータシャフト130とプロペラ20とを接続している。ギアは、減速機を有しており、ギアシャフトに設けられている。ギアハウジングは、ギアを収容している。
【0044】
ギア装置100は、モータハウジング70及びインバータハウジング90に軸方向ADに並べられている。ギア装置100は、モータハウジング70及びインバータハウジング90のうち、モータハウジング70に隣り合う位置に設けられている。ギア装置100とモータハウジング70とは、軸方向ADに離れた位置に設けられている。
【0045】
モータシャフト130は、ギア装置100に接続されている。モータシャフト130は、モータハウジング70からギア装置100に向けて軸方向ADに延びている。モータシャフト130は、モータハウジング70を軸方向ADに貫通するように設けられている。モータシャフト130は、モータハウジング70からインバータハウジング90側に突出している。モータシャフト130は、インバータ内周孔95に軸方向ADに並べられている。モータシャフト130は、インバータ内周孔95から軸方向ADに離れたい位置に設けられている。
【0046】
モータシャフト130は、中空構造を有している。モータシャフト130は、全体として筒状に形成されている。モータシャフト130は、シャフト空間140を有している。シャフト空間140は、モータシャフト130の内部空間である。モータシャフト130の中空構造は、シャフト空間140により実現されている。シャフト空間140は、モータ軸線Cmに沿って軸方向ADに延びている。シャフト空間140の中心線は、モータ軸線Cmに一致している。シャフト空間140は中空部分と称され、モータシャフト130は中空シャフトと称されることがある。
【0047】
モータシャフト130は、シャフト外周面130a、シャフト内周面130b、シャフト上端面130c及びシャフト下端面130dを有している。シャフト外周面130a、シャフト上端面130c及びシャフト下端面130dは、モータシャフト130の外面に含まれている。シャフト外周面130aは、モータシャフト130の外周面である。シャフト内周面130bは、モータシャフト130の内周面である。シャフト内周面130bは、シャフト空間140を形成している。シャフト上端面130cは、モータシャフト130が有する一対の端面のうち上流側の端面である。シャフト下端面130dは、一対の端面のうち下流側の端面である。
【0048】
モータシャフト130は、シャフト外周部131を有している。シャフト外周部131は、筒状に形成されており、軸方向ADに延びている。シャフト外周部131は、径方向RDの厚さを有しており、モータシャフト130の肉部分である。シャフト外周部131は、モータシャフト130において、シャフト空間140やシャフト外周面130a、シャフト内周面130b、シャフト上端面130c、シャフト下端面130dを形成している。
【0049】
シャフト空間140は、モータシャフト130において上流側及び下流側の両方に向けて開放されている。モータシャフト130は、シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bを有している。シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bは、外面開口である。外面開口は、モータシャフト130の外面に設けられた開口である。外面開口は、シャフト空間140をモータシャフト130の外部に開放している。外面開口は、シャフト外周部131を貫通する孔により形成されている。モータシャフト130は、外面開口を複数有している。シャフト上端口140aは、シャフト上端面130cに少なくとも1つ設けられている。シャフト上端口140aは、シャフト空間140を上流側に向けて開放している。シャフト下端口140bは、シャフト下端面130dに少なくとも1つ設けられている。シャフト下端口140bは、シャフト空間140を下流側に向けて開放している。
【0050】
推進装置15は、ピッチ装置150を有している。ピッチ装置150は、プロペラ20のピッチを変更可能である。例えば、ピッチ装置150は、プロペラ軸線に対するブレード21の角度を変更することでプロペラ20のピッチを変更する。ピッチ装置150は、ピッチコントローラ151、ピッチ棒152及びピッチハウジング153を有している。ピッチコントローラ151は、モータ等のアクチュエータを含んで構成されている。ピッチ棒152は、ピッチコントローラ151とプロペラ20とを接続している。ピッチ棒152は、接続棒に相当する。ピッチコントローラ151は、ピッチ棒152を介してプロペラ20のピッチを変更する。ピッチハウジング153は、ピッチコントローラ151を収容している。ピッチコントローラ151及びピッチハウジング153は、モータシャフト130及びインバータハウジング90から下流側に離れた位置に設けられている。
【0051】
ピッチ棒152は、モータシャフト130やギア装置100を介して、ピッチコントローラ151とプロペラ20とにかけ渡された状態になっている。ピッチ棒152は、モータシャフト130を貫通して軸方向ADに延びている。ピッチ棒152は、シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bを介してシャフト空間140に挿通されている。ピッチ棒152は、シャフト空間140に通すためにシャフト上端口140a及びシャフト下端口140bに挿通される。シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bは、挿通口に相当する。
【0052】
モータシャフト130は、上流外周口140cを有している。上流外周口140cは、外面開口である。上流外周口140cは、軸方向ADにおいてシャフト上端口140aとシャフト下端口140bとの間に設けられている。上流外周口140cは、少なくとも1つ設けられている。上流外周口140cは、EPUダクト120の内部に設けられている。
【0053】
モータシャフト130は、シャフト流路141を有している。シャフト流路141は、モータシャフト130の内部に設けられており、気体が流れる流路である。シャフト流路141は、気体の通り道である。シャフト流路141は、シャフト空間140の少なくとも一部を含んで形成されている。シャフト流路141には、複数の外面開口が含まれている。例えば、シャフト流路141には、シャフト下端口140b及び上流外周口140cが含まれている。シャフト下端口140b及び上流外周口140cは、シャフト開口に相当する。
【0054】
シャフト流路141では、シャフト下端口140b及び上流外周口140cのうち一方から気体が流入し、他方から気体が流出する。このように、シャフト下端口140b及び上流外周口140cのうち一方が流入口になり、他方が流出口になることで、気体がシャフト流路141を通り抜けるように流れる。
【0055】
モータシャフト130は、絞り通路142及び補助通路143を有している。絞り通路142及び補助通路143は、シャフト空間140の少なくとも一部を含んで形成されている。補助通路143は、絞り通路142を介してシャフト流路141に軸方向ADに並べられている。絞り通路142は、補助通路143とシャフト流路141とを接続している。絞り通路142は、シャフト空間140において局所的に絞られた空間である。絞り通路142の断面積は、補助通路143の断面積及びシャフト流路141の断面積よりも小さい。これら断面積は、モータシャフト130においてモータ軸線Cmに直交する断面での面積である。絞り通路142は、シャフト流路141を流れる気体が補助通路143に流れ込むことを規制する。シャフト流路141及び補助通路143は、絞り通路142よりも拡径されている。
【0056】
モータシャフト130は、通路絞り部132を有している。通路絞り部132は、シャフト内周面130bに設けられた凸部である。通路絞り部132は、シャフト内周面130bから径方向内側に突出していることで、シャフト空間140を局所的に絞っている。通路絞り部132は、軸方向ADにおいてシャフト流路141と補助通路143との間に設けられている。通路絞り部132は、シャフト外周部131の径方向内側に設けられている。
【0057】
ピッチ棒152は、シャフト流路141、絞り通路142及び補助通路143に挿通されるように、シャフト空間140に挿通されている。ピッチ棒152は、シャフト流路141の少なくとも一部に通されている。補助通路143は、シャフト流路141のプロペラ20側に設けられている。補助通路143には、シャフト上端口140aが含まれている。補助通路143が絞り通路142よりも拡径されていることで、シャフト外周部131において補助通路143を形成する部位が薄肉化されている。このため、モータシャフト130に補助通路143が設けられていることで、モータシャフト130の軽量化が図られている。
【0058】
モータシャフト130では、シャフト流路141がモータハウジング70を軸方向ADに貫通するように延びている。シャフト流路141は、軸方向ADにおいてモータハウジング70の両側に突出した状態になっている。軸方向ADでは、モータハウジング70の一方側に上流外周口140cが設けられ、他方側にシャフト下端口140bが設けられている。シャフト下端口140b及び上流外周口140cは、シャフト流路141を流れる気体がモータハウジング70を軸方向ADに通り抜けるように設けられている。
【0059】
シャフト流路141では、上流外周口140cがモータハウジング70の上流側にある。上流外周口140cは、ダクト上路125bに設けられている。上流外周口140cは、軸方向ADにおいてモータ装置60とギア装置100との間に設けられている。上流外周口140cは、第1モータベアリング66aの近傍に設けられている。例えば、上流外周口140cは、軸方向ADにおいてダクト上面部122よりもモータハウジング70に近い位置に設けられている。上流外周口140cは、軸方向ADにおいてモータハウジング70と後述する上流ファン111との間に設けられている。このように、上流外周口140cは、モータ対向壁73を介して第1モータベアリング66aに極力近い位置にある。
【0060】
シャフト流路141では、シャフト下端口140bがモータハウジング70の下流側にある。シャフト下端口140bは、ダクト中間路125dに設けられている。シャフト下端口140bは、軸方向ADにおいてモータ装置60とインバータ装置80との間に設けられている。シャフト下端口140bは、第2モータベアリング66bの近傍に設けられている。例えば、シャフト下端口140bは、軸方向ADにおいてインバータハウジング90からモータハウジング70側に離れた位置に設けられている。シャフト下端口140bは、軸方向ADにおいてインバータハウジング90よりもモータハウジング70に近い位置にある。このように、シャフト下端口140bは、モータ対向壁73を介して第2モータハウジング極力近い位置にある。
【0061】
シャフト流路141は、モータベアリング66a,66bを軸方向ADに貫通した状態になっている。シャフト流路141は、モータベアリング66a,66bの内周側に設けられている。すなわち、モータベアリング66a,66bは、シャフト流路141の外周側に設けられている。モータベアリング66a,66bは、シャフトベアリングに相当する。
【0062】
シャフト流路141は、軸方向ADにおいてモータベアリング66a,66bの両側に突出した状態になっている。軸方向ADでは、シャフト下端口140bと上流外周口140cとの間にモータベアリング66a,66bが設けられている。シャフト下端口140b及び上流外周口140cが、軸方向ADに並べられた2つのシャフト開口に相当する。シャフト流路141では、上流外周口140cがモータベアリング66a,66bの上流側に設けられている。また、シャフト下端口140bがモータベアリング66a,66bの下流側に設けられている。上流外周口140c及びシャフト下端口140bは、シャフト流路141を流れる気体がモータベアリング66a,66bの内周側を通り抜けるように設けられている。
【0063】
EPU50は、EPUダクト120を有している。EPUダクト120は、モータ装置60及びインバータ装置80を収容している。EPUダクト120は、熱伝導性を有しており、金属材料や樹脂材料により形成されている。EPUダクト120は、モータ装置60及びインバータ装置80を外側から覆っている。EPUダクト120は、モータハウジング70の少なくとも一部を外側から覆っている。EPUダクト120は、外側ダクトに相当する。EPUダクト120は、インバータハウジング90の少なくとも一部を外側から覆っている。EPUダクト120は、モータハウジング70及びインバータハウジング90から離れた位置に設けられている。
【0064】
EPUダクト120は、ダクト外周部121、ダクト上面部122及びダクト下面部123を有している。ダクト外周部121は、全体として筒状に形成されており、軸方向ADに延びている。ダクト外周部121は、モータ装置60及びインバータ装置80を外周側から覆っている。ダクト外周部121は、モータハウジング70及びインバータハウジング90から径方向外側に離れた位置にある。
【0065】
ダクト上面部122及びダクト下面部123は、軸方向ADに直交する方向に延びている。ダクト上面部122及びダクト下面部123は、フード部であり、モータ装置60及びインバータ装置80を軸方向ADから覆っている。ダクト上面部122は、モータ装置60及びインバータ装置80を上流側から覆っている。ダクト下面部123は、モータ装置60及びインバータ装置80を下流側から覆っている。
【0066】
EPUダクト120は、ダクト空間125を有している。ダクト空間125は、EPUダクト120の内部空間である。ダクト空間125には、ダクト外周路125a、ダクト上路125b、ダクト下路125c及びダクト中間路125dが含まれている。ダクト外周路125aは、ダクト外周部121の内周面に沿って周方向CDに環状に延びた空間である。ダクト外周路125aは、モータハウジング70及びインバータハウジング90とダクト外周部121との間の空間である。
【0067】
ダクト上路125bは、ダクト上面部122の内面に沿って、軸方向ADに直交する方向に延びている。ダクト上路125bは、ダクト上面部122とモータハウジング70との間の空間である。ダクト下路125cは、ダクト下面部123の内面に沿って、軸方向ADに直交する方向に延びている。ダクト下路125cは、ダクト下面部123とインバータハウジング90との間の空間である。ダクト中間路125dは、モータハウジング70とインバータハウジング90との間の空間である。ダクト中間路125dは、モータ対向壁73及びインバータ対向壁93に沿って、軸方向ADに直交する方向に延びている。
【0068】
ダクト外周路125aは、ダクト上路125b、ダクト下路125c及びダクト中間路125dにかけ渡された状態になっている。ダクト外周路125aは、ダクト上路125b、ダクト下路125c及びダクト中間路125dのそれぞれに連通している。
【0069】
EPUダクト120は、ギア装置100及びピッチ装置150を収容していない。EPUダクト120は、ギア装置100及びピッチ装置150に軸方向ADに並べられている。EPUダクト120は、軸方向ADにおいてギア装置100とピッチ装置150との間に設けられている。モータ装置60とギア装置100との間には、ダクト上面部122が設けられている。ピッチ装置150とインバータ装置80との間には、ダクト下面部123が設けられている。
【0070】
ピッチ装置150では、ピッチハウジング153がEPUダクト120に固定されている。例えば、ピッチハウジング153は、ダクト下面部123に固定されている。ピッチ装置150では、ピッチ棒152がダクト下面部123を軸方向ADに貫通している。
【0071】
ピッチ装置150は、ピッチ空間155を有している。ピッチ空間155は、ピッチハウジング153の内部空間である。ピッチ空間155は、ダクト下路125cに軸方向ADに並んでいる。ピッチ空間155とダクト空間125とは、ダクト下面部123及びピッチハウジング153により仕切られている。
【0072】
ダクト空間125は、EPUダクト120の外部に通気可能に開放されている。EPUダクト120は、少なくとも1つの通気孔を有している。通気孔は、EPUダクト120を厚さ方向に貫通している。通気孔は、ダクト空間125の通気を可能にしている。EPUダクト120では、外気等の気体が通気孔を通ってダクト空間125を通過するようになっている。
【0073】
EPUダクト120は、通気孔として、ダクト外周上孔121aを有している。ダクト外周上孔121aは、ダクト外周部121に設けられている。ダクト外周上孔121aは、ダクト外周部121を径方向RDに貫通している。ダクト外周上孔121aは、ダクト上路125bに径方向RDに並ぶ位置に設けられている。ダクト外周上孔121aは、ダクト上路125bを通気可能に外部に開放している。
【0074】
ダクト空間125は、ピッチ空間155を介して外部に開放されている。ダクト空間125とピッチ空間155とは、ダクト連通孔123b及びピッチ連通孔157により連通している。ダクト連通孔123bは、ダクト下面部123に設けられている。ピッチ連通孔157は、ピッチハウジング153に設けられている。ダクト連通孔123bとピッチ連通孔157とは、軸方向ADに並べられており、互いに連通している。ピッチ空間155は、ピッチ外孔156によりピッチハウジング153の外部に通気可能に開放されている。ピッチ外孔156は、ピッチハウジング153を厚さ方向に貫通している。ピッチ外孔156、ピッチ空間155、ダクト連通孔123b及びピッチ連通孔157は、ダクト空間125をEPUダクト120及びピッチハウジング153の外部に通気可能に開放している。
【0075】
EPU50は、上流ファン111を有している。上流ファン111は、EPUダクト120に収容されている。上流ファン111は、遠心ファン等の送風ファンである。上流ファン111は、モータシャフト130に固定されている。上流ファン111は、モータ61の駆動に伴ってモータシャフト130と共に回転する。上流ファン111は、ダクト上路125bに設けられている。上流ファン111は、ダクト外周上孔121aに軸方向ADに並べられている。
【0076】
上流ファン111は、気体がダクト空間125を通り抜けるように送風する。上流ファン111が回転した場合、気体が、ダクト外周上孔121a及びダクト連通孔123bのうち一方からダクト空間125に流入し、他方からEPUダクト120の外部に流出する。この場合、モータ装置60やインバータ装置80にて発生した熱が、ダクト空間125を通り抜ける気体と共にEPUダクト120の外部に放出される。ダクト連通孔123bを介してダクト空間125に出入りする気体は、ピッチ空間155を介してダクト空間125に出入りする。
【0077】
また、上流ファン111は、ダクト空間125において、気体がシャフト流路141を通り抜けるように送風する。上流ファン111が回転した場合、気体が、シャフト下端口140b及び上流外周口140cのうち一方を通じてシャフト流路141に流入し、他方を通じてシャフト流路141から流出する。この場合、ロータ64a,64bやステータ62からモータシャフト130やモータベアリング66a,66bに付与された熱が、シャフト流路141を通り抜ける気体と共にモータシャフト130の外部に放出される。
【0078】
上流ファン111が回転した場合、外部気体が上流ファン111に吸い込まれるようにしてダクト連通孔123bからダクト空間125に流入する。この場合、ダクト空間125が負圧になるなどして、外部気体がダクト連通孔123bに流入しやすくなる。外部気体は、EPUダクト120の外部に存在する気体である。ダクト連通孔123bから流入した気体は、ダクト下路125cからインバータ内周孔95やダクト中間路125d、ダクト外周路125a、ダクト上路125bを通過して、ダクト外周上孔121aから外部に流出する。ダクト連通孔123bに流入する気体は、ピッチ空間155を通った後にダクト連通孔123bからダクト空間125に流入する。
【0079】
ダクト空間125では、ダクト逆流Fa1が生じる。ダクト逆流Fa1は、プロペラ風Wpとは逆向きに軸方向ADに流れる。例えば、ダクト逆流Fa1は、ダクト外周路125aやインバータ内周孔95を軸方向ADに流れる。上流ファン111は、ダクト逆流Fa1が生じるように送風する。
【0080】
また、インバータ内周孔95を通るなどしてダクト中間路125dに到達した気体は、シャフト下端口140bに流入し、シャフト流路141を通過して上流外周口140cからモータシャフト130の外部に流出する。この気体は、シャフト流路141を流れる際に、モータベアリング66a,66bの内周側を軸方向ADに通り抜ける。上流外周口140cから流出した気体は、ダクト上路125bを通過してダクト外周上孔121aから外部に流出する。このように、気体がシャフト下端口140bに流入して上流外周口140cから流出する場合、シャフト下端口140bがシャフト流入口に相当し、上流外周口140cがシャフト流出口に相当する。
【0081】
シャフト流路141では、シャフト逆流Fb1が生じる。シャフト逆流Fb1は、プロペラ風Wpとは逆向きに軸方向ADに流れる。シャフト逆流Fb1は、ダクト逆流Fa1と同じ向きに流れる。例えば、シャフト逆流Fb1は、少なくともモータハウジング70を貫通するようにシャフト流路141を軸方向ADに流れる。シャフト逆流Fb1は、モータベアリング66a,66bの内周側を軸方向ADに流れる。上流ファン111は、シャフト逆流Fb1がシャフト流路141を通り抜けるように送風する。
【0082】
モータシャフト130では、シャフト流入口の総開口面積がシャフト流出口の総開口面積以上になっている。例えば、シャフト流入口がシャフト下端口140bである場合、シャフト流入口の総開口面積は、シャフト下端口140bの開口面積を全てのシャフト下端口140bについて合計した値である。また、シャフト流出口が上流外周口140cである場合、シャフト流出口の総開口面積は、上流外周口140cの開口面積を全ての上流外周口140cについて合計した値である。
【0083】
ピッチ装置150では、ピッチ空間155を経由してダクト連通孔123bに流入する気体がダクト空間125に流入しやすいように、ピッチ外孔156及びピッチ連通孔157の大きさが設定されている。ピッチ外孔156は、ピッチ連通孔157よりも大きい。例えば、ピッチ外孔156の総開口面積がピッチ連通孔157の総開口面積よりも大きい。ピッチ外孔156の総開口面積は、ピッチ外孔156の開口面積を全てのピッチ外孔156について合計した値である。ピッチ連通孔157の総開口面積は、ピッチ連通孔157の開口面積を全てのピッチ連通孔157について合計した値である。
【0084】
なお、本実施形態では、ダクト連通孔123bがピッチ連通孔157よりも大きいことなどに起因して、ピッチ空間155からダクト空間125に流入する気体の量がピッチ連通孔157により規定されるとする。
【0085】
EPU50では、ピッチ外孔156がピッチ連通孔157よりも大きいため、上流ファン111が回転した場合に、ピッチ空間155が負圧になるということが生じにくい。このように、上流ファン111が作動してもピッチ空間155の圧力ができるだけ下がらないように、ピッチ外孔156が大きく設定されていることで、上流ファン111の作動に伴って気体がピッチ空間155を介してダクト空間125に取り込まれやすい。仮に、ピッチ空間155が負圧になってしまうと、気体がピッチ空間155からダクト空間125に流入しにくくなってしまう。
【0086】
ここまで説明した本実施形態によれば、シャフト下端口140b及び上流外周口140cは、複数のシャフト開口として、気体がシャフト流路141を通り抜けるようにシャフト流路141をモータシャフト130の外部に開放している。この構成では、シャフト流路141の熱が気体と共にシャフト下端口140b及び上流外周口140cの少なくとも一方からモータシャフト130の外部に放出される。このため、モータ装置60の熱がモータシャフト130の内部にこもるということを抑制できる。したがって、モータ装置60や推進装置15の放熱効果を高めることができる。
【0087】
モータ装置60の熱としては、ロータ64a,64bやステータ62にて発生した熱などがある。ロータ64a,64bやステータ62にて発生した熱は、モータシャフト130やモータベアリング66a,66bに伝わり、モータシャフト130やモータベアリング66a,66bにこもることが考えられる。これに対して、本実施形態では、気体がシャフト流路141を通り抜けるように流れることで、モータシャフト130の熱が気体と共にシャフト流路141の外部に放出される。このようにモータシャフト130が冷却されると、モータベアリング66a,66bの熱がモータシャフト130に付与されやすくなる。このため、モータベアリング66a,66bの熱が、モータシャフト130を介してシャフト流路141の外部に放出されやすくなる。したがって、気体がシャフト流路141を通り抜けるように流れることで、モータベアリング66a,66bが冷却される。
【0088】
本実施形態では、モータシャフト130が中空にされ、入口及び出口としてシャフト下端口140b及び上流外周口140cが設けられている。このため、モータシャフト130の中を空気が通り抜けることができるようになり、モータ61の熱などモータシャフト130に伝わった熱を、モータシャフト130内の空気に逃がしやすくなる。したがって、モータシャフト130の温度が抑制され、モータ装置60におけるモータシャフト130との接触部の過熱を防ぐことができる。
【0089】
本実施形態によれば、シャフト下端口140b及び上流外周口140cは、シャフト流路141を流れる気体がモータベアリング66a,66bの内周側を通り抜けるように設けられている。この構成では、シャフト流路141を流れる気体がモータベアリング66a,66bに極力近い位置を通過する構成を実現できる。すなわち、気体が、モータシャフト130においてモータベアリング66a,66bの熱が伝わりやすい部位を通る構成を実現できる。このため、モータベアリング66a,66bの熱を気体と共にシャフト流路141の外部に放出することができる。したがって、シャフト流路141によるモータベアリング66a,66bの冷却効果を高めることができる。
【0090】
本実施形態によれば、モータベアリング66a,66bは、軸方向ADにおいてシャフト下端口140bと上流外周口140cとの間に設けられている。この構成では、シャフト流路141を流れる気体がモータベアリング66a,66bの内周側と通り抜ける構成を実現できる。
【0091】
モータ装置60では、モータベアリング66a,66bがモータシャフト130に接触している。このため、モータベアリング66a,66bとモータシャフト130との間で熱が伝わりやすい。したがって、モータベアリング66a,66bの近傍にシャフト下端口140b及び上流外周口140cが設けられていることで、シャフト流路141を通り抜ける気体がモータベアリング66a,66bの付近を流れることになる。これにより、シャフト流路141を流れる気体によるモータベアリング66a,66bの冷却効果を高めることができる。
【0092】
本実施形態によれば、第1モータベアリング66a及び第2モータベアリング66bの両方が、軸方向ADにおいてシャフト下端口140bと上流外周口140cとの間に設けられている。この構成では、シャフト下端口140b及び上流外周口140cを有する1つのシャフト流路141により、第1モータベアリング66a及び第2モータベアリング66bという2つのシャフトベアリングをまとめて冷却できる。このように、シャフト流路141を流れる気体により複数のシャフトベアリングがまとめて冷却されることで、シャフト流路141によるモータ装置60の冷却効果を更に高めることができる。
【0093】
本実施形態によれば、シャフト下端口140b及び上流外周口140cは、シャフト流路141を流れる気体がモータハウジング70を軸方向ADに通り抜けるように設けられている。この構成では、シャフト流路141を流れる気体が、軸方向ADにおいてモータハウジング70の全体を冷却できる。このため、シャフト流路141によるモータハウジング70の冷却効果を更に高めることができる。
【0094】
本実施形態によれば、シャフト流入口であるシャフト下端口140bの総開口面積が、シャフト流出口である上流外周口140cの総開口面積以上である。この構成では、シャフト流路141において、気体が流入してくるシャフト下端口140bが絞られた状態になっていない。このため、気体がシャフト下端口140bからシャフト流路141に流入しやすい。そうすると、シャフト流路141を通り抜ける気体の量が増えるため、シャフト流路141の冷却効果を高めることができる。
【0095】
例えば、本実施形態とは異なり、シャフト下端口140bの総開口面積が上流外周口140cの総開口面積より小さい構成を想定する。この構成では、シャフト流路141において、気体が流入してくるシャフト下端口140bが絞られた状態になってしまう。このため、シャフト流路141を通り抜ける気体の量が不足し、シャフト流路141の冷却効果が不足することが懸念される。
【0096】
本実施形態によれば、上流ファン111は、気体がシャフト流路141を通り抜けるように送風する。この構成では、上流ファン111の送風により、シャフト流路141を通り抜ける気体の量が増えやすい。このため、シャフト流路141の冷却効果を上流ファン111により高めることができる。
【0097】
本実施形態によれば、上流ファン111は、気体がシャフト流路141をプロペラ風Wpとは逆向きに通り抜けるように送風する。すなわち、上流ファン111は、シャフト逆流Fb1がシャフト流路141を通り抜けるように送風する。この構成では、プロペラ風Wpの有無や強さに関係なく、気体の流れであるシャフト逆流Fb1等によりモータシャフト130を冷却することが可能である。このため、気体をモータ装置60の冷却に適した態様でモータシャフト130に流すことができる。このように、飛行用のプロペラ20とは別に冷却用の空気流を発生させる上流ファン111が設けられていることで、より適切な空気流をモータシャフト130の内部に作ることができる。
【0098】
本実施形態によれば、シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bは、ピッチ棒152がシャフト流路141の少なくとも一部に挿通されるようにモータシャフト130の外面に設けられている。この構成では、シャフト流路141をピッチ棒152が挿通される挿通孔として活用することができる。このため、例えば、モータシャフト130においてシャフト流路141とピッチ棒152の挿通孔とが別々に形成された構成に比べて、モータシャフト130を細くすることが可能になる。したがって、モータ装置60の小型化や軽量化を実現できる。
【0099】
また、シャフト流路141の少なくとも一部にピッチ棒152が挿通されることは、モータシャフト130の内部に気体を流す構成と、モータシャフト130の内部にピッチ棒152が挿通される構成と、の両方を実現するための工夫である。特に、ピッチ装置150がモータシャフト130の下流側に設けられた構成では、この工夫が、気体をモータシャフト130の内部に流す上で効果的である。
【0100】
本実施形態によれば、少なくとも1つのシャフト開口として、シャフト下端口140bがモータ装置60とインバータ装置80との間に設けられている。この構成では、気体がシャフト下端口140b及びシャフト流路141を流れることで、モータ装置60とインバータ装置80との間に熱がこもることを抑制できる。例えば、シャフト逆流Fb1がシャフト下端口140bに流入することに伴って生じる気体の流れにより、ダクト中間路125dの熱が径方向外側に放出されやすい。このように、モータ装置60とインバータ装置80との間にある熱をシャフト逆流Fb1により外部に放出できる。
【0101】
本実施形態では、モータ装置60とインバータ装置80とが同軸上に配置されているため、その間に挟まれた部分に熱がたまることが懸念される。これに対して、本実施形態によれば、モータ装置60とインバータ装置80とに挟まれた部分にシャフト下端口140bが設けられているため、その部分に、シャフト下端口140bを介して気体が流れやすくなり、その部分から熱を逃がしやすくなる。
【0102】
本実施形態によれば、少なくとも1つのシャフト開口として、上流外周口140cがモータ装置60とギア装置100との間に設けられている。この構成では、気体が上流外周口140c及びシャフト流路141を流れることで、モータ装置60とギア装置100との間に熱がこもることを抑制できる。例えば、上流外周口140cからダクト上路125bに流出したシャフト逆流Fb1が、モータ装置60とギア装置100との間にある熱と共に径方向外側に放出される。このため、モータ装置60とギア装置100との間に熱がこもることをシャフト逆流Fb1により抑制できる。
【0103】
本実施形態では、モータシャフト130は、モータ装置60とギア装置100とにかけ渡されるように軸方向ADに延びている。このように、モータシャフト130の一端がギア装置100に接続されていても、モータ装置60とギア装置100との間に上流外周口140cが設けられていることで、上流外周口140cを通じてシャフト流路141に気体を流すことができる。
【0104】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、モータ装置60がインバータ装置80の上流側に設けられている。これに対して、第2実施形態では、インバータ装置80がモータ装置60の上流側に設けられている。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第2本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0105】
図3に示すように、モータ装置60とインバータ装置80との位置が、上記第1実施形態に対して入れ替わっている。EPUダクト120では、ダクト上路125bがインバータハウジング90とダクト上面部122との間に形成されている。ダクト下路125cは、モータハウジング70とダクト下面部123との間に形成されている。上流ファン111は、ギア装置100とインバータ装置80との間に設けられている。
【0106】
モータシャフト130は、インバータハウジング90を軸方向ADに貫通した状態になっている。モータシャフト130は、インバータ内周孔95に挿通されている。上流ファン111は、モータシャフト130においてインバータハウジング90とギア装置100との間の部位に固定されている。モータシャフト130は、ギア装置100とピッチ装置150とにかけ渡された状態になっている。モータシャフト130は、ダクト連通孔123b及びピッチ連通孔157を通じてピッチハウジング153に内部に入り込んだ状態になっている。例えば、シャフト下端面130dは、ピッチコントローラ151の外面に重ねられている。
【0107】
モータシャフト130は、中間外周口140d及び下流外周口140eを有している。中間外周口140dは、外面開口である。中間外周口140dは、少なくとも1つ設けられている。中間外周口140dは、軸方向ADにおいて上流外周口140cと下流外周口140eの間に設けられている。中間外周口140dは、シャフト流路141に含まれている。中間外周口140dは、シャフト開口に相当する。中間外周口140dは、上記第1実施形態のシャフト下端口140bに代えて、モータハウジング70とインバータハウジング90との間に設けられている。中間外周口140dは、ダクト中間路125dに設けられている。中間外周口140dは、EPUダクト120の内部に設けられている。
【0108】
下流外周口140eは、外面開口である。下流外周口140eは、少なくとも1つ設けられている。下流外周口140eは、軸方向ADにおいてシャフト下端口140bと中間外周口140dとの間に設けられている。下流外周口140eは、シャフト流路141に含まれている。下流外周口140eは、シャフト開口に相当する。下流外周口140eは、ダクト下路125cに設けられている。下流外周口140eは、モータハウジング70とピッチコントローラ151との間に設けられている。下流外周口140eは、モータハウジング70の下流側に設けられている。下流外周口140eは、EPUダクト120の内部に設けられている。
【0109】
なお、下流外周口140eは、モータハウジング70及びインバータハウジング90の下流側に設けられていればよい。例えば、下流外周口140eの少なくとも一部は、ピッチ空間155に設けられていてもよい。下流外周口140eの少なくとも一部がピッチ空間155に設けられた構成としては、下流外周口140eの少なくとも一部がダクト連通孔123bやピッチ連通孔157に径方向RDに並ぶ位置に設けられた構成などがある。
【0110】
シャフト流路141には、上流外周口140c、中間外周口140d及び下流外周口140eが含まれている。シャフト流路141では、上流外周口140c、中間外周口140d及び下流外周口140eの少なくとも1つから気体が流入し、他の少なくとも1つから気体が流出する。このように、上流外周口140c、中間外周口140d及び下流外周口140eの少なくとも1つが流入口になり、他の少なくとも1つが流出口になることで、気体がシャフト流路141を通り抜けるように流れる。
【0111】
軸方向ADにおいては、モータハウジング70の一方側に中間外周口140dが設けられ、他方側に下流外周口140eが設けられている。中間外周口140d及び下流外周口140eは、シャフト流路141を流れる気体がモータハウジング70を軸方向ADに通り抜けるように設けられている。
【0112】
シャフト流路141では、中間外周口140dがモータハウジング70の上流側に設けられている。中間外周口140dは、第1モータベアリング66aの近傍に設けられている。シャフト流路141では、下流外周口140eがモータハウジング70の下流側に設けられている。下流外周口140eは、第2モータベアリング66bの近傍に設けられている。軸方向ADでは、中間外周口140dと下流外周口140eとの間にモータベアリング66a,66bが設けられている。中間外周口140d及び下流外周口140eが、軸方向ADに並べられた2つのシャフト開口に相当する。
【0113】
EPU50は、EPUベアリング52を有している。EPUベアリング52は、モータシャフト130を回転可能に支持している。EPUベアリング52は、軸受部材である。EPUベアリング52は、インバータハウジング90に固定されている。EPUベアリング52の少なくとも一部は、インバータ内周孔95に設けられている。EPUベアリング52は、モータベアリング66a,66bに軸方向ADに並べられている。
【0114】
モータシャフト130では、シャフト流路141がインバータハウジング90を軸方向ADに貫通するように延びている。シャフト流路141は、軸方向ADにおいてインバータハウジング90の両側に突出した状態になっている。軸方向ADでは、インバータハウジング90の一方側に上流外周口140cが設けられ、他方側に中間外周口140dが設けられている。上流外周口140c及び中間外周口140dは、シャフト流路141を流れる気体がインバータハウジング90を軸方向ADに通り抜けるように設けられている。
【0115】
軸方向ADでは、上流外周口140cと中間外周口140dとの間にEPUベアリング52が設けられている。上流外周口140c及び中間外周口140dの少なくとも一方がEPUベアリング52の近傍に設けられている。例えば、EPUベアリング52は、軸方向ADにおいて中間外周口140dよりも上流外周口140cに近い位置に設けられている。この場合、上流外周口140cがEPUベアリング52の近傍に設けられている。
【0116】
シャフト流路141は、EPUベアリング52を軸方向ADに貫通した状態になっている。シャフト流路141は、EPUベアリング52の内周側に設けられている。すなわち、EPUベアリング52は、シャフト流路141の外周側に設けられている。EPUベアリング52は、シャフトベアリングに相当する。
【0117】
シャフト流路141は、軸方向ADにおいてEPUベアリング52の両側に突出した状態になっている。軸方向ADでは、上流外周口140cと中間外周口140dとの間にEPUベアリング52が設けられている。上流外周口140c及び中間外周口140dが、軸方向ADに並べられた2つのシャフト開口に相当する。シャフト流路141では、上流外周口140cがEPUベアリング52の上流側に設けられている。また、中間外周口140dがEPUベアリング52の下流側に設けられている。上流外周口140c及び中間外周口140dは、シャフト流路141を流れる気体がEPUベアリング52の内周側を通り抜けるように設けられている。
【0118】
上流ファン111が回転した場合、モータシャフト130では、ピッチ空間155やダクト下路125cにおいて気体が下流外周口140eに流入する。下流外周口140eに流入した気体は、シャフト逆流Fb1として、シャフト流路141を軸方向ADに逆流し、中間外周口140dや上流外周口140cに到達する。中間外周口140dに到達したシャフト逆流Fb1は、中間外周口140dからダクト中間路125dに流出する。上流外周口140cに到達したシャフト逆流Fb1は、上流外周口140cからダクト上路125bに流出する。このように、気体が下流外周口140eから流入して上流外周口140c及び中間外周口140dから流出する場合、下流外周口140eがシャフト流入口に相当し、上流外周口140c及び中間外周口140dがシャフト流出口に相当する。
【0119】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、送風ファンとしての上流ファン111がモータ装置60の上流側に設けられている。これに対して、第3実施形態では、送風ファンがインバータ装置80の下流側に設けられている。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第3本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0120】
図4に示すように、モータシャフト130は、中間外周口140d、下流外周口140e及びダクト外上流口140fを有している。上記第2実施形態と同様に、中間外周口140dはダクト中間路125dに設けられ、下流外周口140eはダクト下流路設けられている。
【0121】
ダクト外上流口140fは、外面開口である。ダクト外上流口140fは、少なくとも1つ設けられている。軸方向ADにおいてシャフト上端口140aと中間外周口140dとの間に設けられている。ダクト外上流口140fは、シャフト流路141に含まれている。ダクト外上流口140fは、シャフト開口に相当する。ダクト外上流口140fは、EPUダクト120の外側に設けられている。ダクト外上流口140fは、ダクト上面部122を介してモータ装置60の反対側に設けられている。ダクト外上流口140fは、ギア装置100とEPUダクト120との間に設けられている。ダクト外上流口140fは、ギア装置100に軸方向ADに並ぶ位置にある。
【0122】
シャフト流路141には、中間外周口140d、下流外周口140e及びダクト外上流口140fが含まれている。シャフト流路141では、中間外周口140d、下流外周口140e及びダクト外上流口140fの少なくとも1つから気体が流入し、他の少なくとも1つから気体が流出する。このように、中間外周口140d、下流外周口140e及びダクト外上流口140fの少なくとも1つが流入口になり、他の少なくとも1つが流出口になることで、気体がシャフト流路141を通り抜けるように流れる。
【0123】
ダクト外上流口140fは、上記第1実施形態の上流外周口140cに代えて、モータ装置60の上流側に設けられている。すなわち、モータ装置60に対しては、上記第1実施形態の上流外周口140c及び中間外周口140dという2つのシャフト開口に代えて、ダクト外上流口140f及び中間外周口140dという2つのシャフト開口が設けられている。
【0124】
モータシャフト130は、上記第2実施形態と同様に、インバータ内周孔95に挿通されている。インバータハウジング90には、上記第2実施形態と同様に、EPUベアリング52が設けられている。インバータ装置80に対しては、上記第2実施形態の上流外周口140c及び中間外周口140dという2つのシャフト開口に代えて、中間外周口140d及び下流外周口140eという2つのシャフト開口が設けられている。
【0125】
EPUダクト120は、通気孔として、ダクト上面孔122a及びダクト下面孔123aを有している。ダクト上面孔122aは、ダクト上面部122に設けられている。ダクト上面孔122aは、ダクト上面部122を軸方向ADに貫通している。ダクト上面孔122aは、ギア装置100とモータ装置60との間に設けられている。ダクト上面孔122aは、径方向RDにおいてダクト外周部121よりもモータシャフト130に近い位置に設けられている。ダクト上面孔122aは、ダクト上路125bを通気可能に外部に開放している。
【0126】
ダクト下面孔123aは、ダクト下面部123に設けられている。ダクト下面孔123aは、ダクト下面部123を軸方向ADに貫通している。ダクト下面孔123aは、ピッチ装置150から径方向外側に離れた位置に設けられている。ダクト下面孔123aは、径方向RDにおいてモータシャフト130よりもダクト外周部121に近い位置に設けられている。ダクト下面孔123aは、ダクト下路125cを通気可能に外部に開放している。
【0127】
EPU50は、下流ファン112を有している。下流ファン112は、軸流ファン等の送風ファンである。下流ファン112は、モータシャフト130に固定されている。下流ファン112は、モータ61の駆動に伴ってモータシャフト130と共に回転する。下流ファン112は、ダクト下路125cに設けられている。下流ファン112は、ダクト下面孔123aに軸方向ADに並べられている。
【0128】
下流ファン112は、気体がダクト空間125を通り抜けるように送風する。下流ファン112が回転した場合、ダクト上面孔122a及びダクト下面孔123aのうち一方からダクト空間125に流入し、他方からEPUダクト120の外部に流出する。
【0129】
また、下流ファン112は、ダクト空間125において、気体がシャフト流路141を通り抜けるように送風する。下流ファン112が回転した場合、気体が、中間外周口140d、下流外周口140e及びダクト外上流口140fの少なくとも1つを通じてシャフト流路141に流入し、他の少なくとも1つを通じてシャフト流路141から流出する。
【0130】
下流ファン112が回転した場合、外部気体が下流ファン112に吸い込まれるようにしてダクト上面孔122aからダクト空間125に流入する。この場合、ダクト空間125が負圧になるなどして、外部気体がダクト上面孔122aに流入しやすくなる。ダクト上面孔122aから流入した気体は、ダクト上路125bからダクト外周路125aやダクト下路125cを通過して、ダクト下面孔123aから外部に流出する。
【0131】
ダクト空間125では、ダクト順流Fa2が生じる。ダクト順流Fa2は、プロペラ風Wpと同じ向きに軸方向ADに流れる。例えば、ダクト順流Fa2は、ダクト外周路125aを軸方向ADに流れる。下流ファン112は、ダクト順流Fa2が生じるように送風する。
【0132】
また、EPUダクト120の外部では、外部気体が下流ファン112に吸い込まれるようにしてダクト外上流口140fからシャフト流路141に流入する。この場合、ダクト空間125と共にシャフト流路141が負圧になるなどして、外部気体がダクト外上流口140fに流入しやすくなる。ダクト外上流口140fからシャフト流路141に流入した気体は、モータハウジング70やインバータハウジング90、モータベアリング66a,66b、EPUベアリング52を貫通するように軸方向ADに流れる。
【0133】
シャフト流路141では、シャフト順流Fb2が生じる。シャフト順流Fb2は、プロペラ風Wpと同じ向きに軸方向ADに流れる。シャフト順流Fb2は、ダクト順流Fa2と同じ向きに流れる。シャフト順流Fb2は、モータハウジング70を軸方向ADに通過するように流れた後、インバータハウジング90を軸方向ADに通過するように流れる。シャフト順流Fb2は、シャフト流路141を軸方向ADに流れ、中間外周口140dや下流外周口140eに到達する。中間外周口140dに到達したシャフト順流Fb2は、中間外周口140dからダクト中間路125dに流出する。下流外周口140eに到達したシャフト順流Fb2は、下流外周口140eからダクト下路125cに流出する。このように、気体がダクト外上流口140fから流入して中間外周口140d及び下流外周口140eから流出する場合、ダクト外上流口140fがシャフト流入口に相当し、中間外周口140d及び下流外周口140eがシャフト流出口に相当する。
【0134】
本実施形態では、ダクト空間125とピッチ空間155とが連通されていない。例えば、EPUダクト120及びピッチハウジング153にダクト連通孔123b、ピッチ外孔156及びピッチ連通孔157が設けられていない。下流ファン112が回転した場合、外部気体は、ピッチ空間155を通らずに、ダクト上面孔122aからダクト空間125に直接的に流入する。下流ファン112がダクト下路125cに設けられた構成では、下流ファン112がピッチ装置150側からダクト空間125に気体を吸い込むように流入させる必要がない。
【0135】
本実施形態によれば、モータシャフト130では、シャフト流入口であるダクト外上流口140fがEPUダクト120の外側に設けられ、シャフト流出口である中間外周口140d及び下流外周口140eがEPUダクト120の内側に設けられている。この構成では、下流ファン112が回転した場合、ダクト空間125と共にシャフト流路141が負圧になることで、ダクト外上流口140fと中間外周口140dとで圧力差が生じやすくなる。この場合、外部気体がダクト外上流口140fからシャフト流路141に流入しやすくなるため、シャフト流路141の冷却効果を高めることができる。
【0136】
本実施形態では、下流ファン112の回転に伴ってダクト空間125において気体が流動すると、EPUダクト120の外側と内側とで圧力差が生じやすい。このため、ダクト外上流口140f及び中間外周口140dという2つのシャフト開口のうち一方がEPUダクト120の外側に設けられ、他方がEPUダクト120の内側に設けられることで、2つのシャフト開口に圧力差が生じやすくなる。このように、2つのシャフト開口に生じる圧力差を利用して、シャフト流路141に空気流が発生しやすい構成を実現できる。
【0137】
また、本実施形態によれば、ダクト外上流口140fがEPUダクト120の外側に設けられているため、モータハウジング70がEPUダクト120に収容されていても、外部気体がダクト外上流口140fからシャフト流路141に流入する。このため、モータハウジング70等の熱が付与されていない状態の外部気体によりモータシャフト130を冷却することができる。このため、モータ装置60の放熱効果をダクト外上流口140fにより高めることができる。
【0138】
本実施形態によれば、モータシャフト130では、シャフト流出口である中間外周口140dがモータ装置60とインバータ装置80との間に設けられている。すなわち、中間外周口140dがダクト中間路125dに設けられている。この構成では、シャフト流路141の気体が中間外周口140dからダクト中間路125dに流出すると、この気体と共に中間外周口140dの熱が径方向外側に向けて放出される。このため、シャフト流路141から流出した気体を利用して、モータ装置60とインバータ装置80との間の熱を径方向外側に放出することができる。また、この構成では、シャフト流路141からダクト中間路125dに流出した気体を利用して、ダクト中間路125dに気体の流れが発生しやすい構成を実現できる。これにより、シャフト流路141での気体の流れを利用して、モータ装置60とインバータ装置80との間について更に適切な冷却が可能になる。
【0139】
<第4実施形態>
上記第3実施形態では、モータ装置60がインバータ装置80の上流側に設けられている。これに対して、第4実施形態では、インバータ装置80がモータ装置60の上流側に設けられている。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第3実施形態と同様である。第4本実施形態では、上記第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0140】
図5に示すように、モータ装置60とインバータ装置80との位置が、上記第3実施形態に対して入れ替わっている。モータシャフト130では、上記第3実施形態と同様に、EPUダクト120の外部気体がダクト外上流口140fからシャフト流路141に流入する。シャフト流路141では、シャフト順流Fb2が、インバータハウジング90を軸方向ADに通過するように流れた後、モータハウジング70を軸方向ADに通過するように流れる。
【0141】
モータシャフト130では、下流外周口140eが第2モータベアリング66bの近傍に設けられている。例えば、下流外周口140eは、軸方向ADにおいてダクト下面部123よりもモータハウジング70に近い位置に設けられている。下流外周口140eは、軸方向ADにおいてモータハウジング70と下流ファン112との間に設けられている。
【0142】
<第5実施形態>
上記第1実施形態では、送風ファンとしての上流ファン111がモータ装置60及びインバータ装置80の上流側に設けられている。これに対して、第5実施形態では、送風ファンがモータ装置60とインバータ装置80との間に設けられている。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第5本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0143】
図6に示すように、EPUダクト120は、上記第3実施形態と同様に、中間外周口140d及びダクト外上流口140fを有している。モータシャフト130は、インバータ内周孔95から軸方向ADに離れた位置に設けられている。モータシャフト130では、シャフト下端面130d及び中間外周口140dの両方が、ダクト中間路125dに設けられている。すなわち、シャフト下端面130d及び中間外周口140dは、モータ装置60とインバータ装置80との間に設けられている。
【0144】
EPUダクト120は、通気孔として、ダクト外周中間孔121bを有している。ダクト外周中間孔121bは、ダクト外周部121に設けられている。ダクト外周中間孔121bは、ダクト外周部121を径方向RDに貫通している。ダクト外周中間孔121bは、ダクト中間路125dに径方向RDに並ぶ位置に設けられている。ダクト外周中間孔121bは、ダクト中間路125dを通気可能に外部に開放している。
【0145】
EPU50は、中間ファン113を有している。中間ファン113は、遠心ファン等の送風ファンである。中間ファン113は、モータシャフト130に固定されている。中間ファン113は、モータ61の駆動に伴ってモータシャフト130と共に回転する。中間ファン113は、ダクト中間路125dに設けられている。中間ファン113は、モータハウジング70とインバータハウジング90との間に設けられている。
【0146】
モータシャフト130では、中間外周口140dが第2モータベアリング66bの近傍に設けられている。例えば、中間外周口140dは、軸方向ADにおいてインバータハウジング90よりもモータハウジング70に近い位置に設けられている。中間外周口140dは、軸方向ADにおいてモータハウジング70と中間ファン113との間に設けられている。
【0147】
中間ファン113は、気体がダクト空間125を取り抜けるように送風する。中間ファン113が回転した場合、ダクト上面孔122a、ダクト連通孔123b及びダクト外周中間孔121bの少なくとも1つからダクト空間125に流入し、他の少なくとも1つからEPUダクト120の外部に流出する。
【0148】
また、中間ファン113は、ダクト空間125において、気体がシャフト流路141を通り抜けるように送風する。中間ファン113が回転した場合、気体が、中間外周口140d、下流外周口140e及びダクト外上流口140fの少なくとも1つを通じてシャフト流路141に流入し、他の少なくとも1つを通じてシャフト流路141から流出する。
【0149】
中間ファン113が回転した場合、外部気体が中間ファン113に吸い込まれるようにしてダクト上面孔122a及びダクト連通孔123bからダクト空間125に流入する。この場合、ダクト空間125が負圧になるなどして、外部気体がダクト上面孔122a及びダクト連通孔123bに流入しやすくなる。ダクト上面孔122aから流入した気体は、ダクト上路125bからダクト外周路125aを通過してダクト外周中間孔121bから外部に流出する。ダクト連通孔123bから流入した気体は、インバータ内周孔95やダクト中間路125d、ダクト外周路125aを通ってダクト外周中間孔121bから外部に流出する。
【0150】
ダクト空間125では、ダクト逆流Fa1及びダクト順流Fa2の両方が生じる。中間ファン113は、ダクト逆流Fa1及びダクト順流Fa2の両方が生じるように送風する。ダクト連通孔123bからダクト空間125に流入した気体は、ダクト逆流Fa1としてインバータ内周孔95やダクト外周路125aを軸方向ADに流れる。ダクト逆流Fa1は、インバータハウジング90に沿って流れる。ダクト上面孔122aからダクト空間125に流入した気体は、ダクト順流Fa2としてダクト外周路125aを軸方向ADに流れる。ダクト順流Fa2は、モータハウジング70に沿って流れる。モータシャフト130では、上記第3実施形態と同様に、シャフト順流Fb2がシャフト流路141を流れる。
【0151】
<第6実施形態>
上記第5実施形態では、モータ装置60がインバータ装置80の上流側に設けられている。これに対して、第6実施形態では、インバータ装置80がモータ装置60の上流側に設けられている。第6実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第5実施形態と同様である。第6本実施形態では、上記第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0152】
図7に示すように、モータ装置60とインバータ装置80との位置が、上記第5実施形態に対して入れ替わっている。EPUダクト120では、上記第5実施形態と同様に、ダクト逆流Fa1及びダクト順流Fa2が生じる。ダクト逆流Fa1は、モータハウジング70に沿って軸方向ADに流れる。ダクト順流Fa2は、インバータハウジング90に沿って軸方向ADに流れる。
【0153】
<第7実施形態>
上記第5実施形態では、モータシャフト130にピッチ棒152が挿通されていた。これに対して、第7実施形態では、モータシャフト130にピッチ棒152が挿通されていない。第7実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第5実施形態と同様である。第7本実施形態では、上記第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0154】
図8に示すように、推進装置15は、ピッチ装置150を有していない。このため、ピッチ棒152がシャフト空間140に挿通される必要がない。モータシャフト130は、上記第5実施形態とは異なり、シャフト下端口140bを有していない。また、上記第5実施形態とは異なり、ダクト連通孔123bがEPUダクト120に形成される必要がない。例えば、EPUダクト120では、ダクト下面孔123aがモータ軸線Cm寄りの位置に設けられている。
【0155】
なお、モータシャフト130にピッチ棒152が挿通されなくても、シャフト下端口140bがモータシャフト130に設けられていてもよい。また、シャフト流路141とダクト中間路125dとは、シャフト下端口140b及び中間外周口140dの少なくとも一方により通気可能に連通されていればよい。
【0156】
<第8実施形態>
上記第7実施形態では、モータ装置60がインバータ装置80の上流側に設けられている。これに対して、第8実施形態では、インバータ装置80がモータ装置60の上流側に設けられている。第8実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第7実施形態と同様である。第8本実施形態では、上記第7実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0157】
図9に示すように、モータ装置60とインバータ装置80との位置が、上記第7実施形態に対して入れ替わっている。モータシャフト130では、シャフト下端口140bがダクト下面孔123aからEPUダクト120の外部に露出している。例えば、シャフト下端口140bは、ダクト下面孔123aに径方向RDに並んだ位置にある。モータシャフト130は、シャフト下端面130dがダクト下面孔123aに入り込んだ状態になるように設けられている。シャフト下端口140bには、外部気体が流入しやすくなっている。中間ファン113が回転した場合、外部気体がダクト下面孔123a及びシャフト下端面130dの両方に流入する。この場合、シャフト流路141の冷却効果がシャフト下端面130dから流入する外部気体により向上しやすい。
【0158】
なお、シャフト下端口140bは、ダクト下路125cに設けられていてもよい。例えば、モータシャフト130は、ダクト下面孔123aから軸方向ADに離れた位置に設けられていてもよい。また、シャフト下端口140bは、EPUダクト120の外側に設けられていてもよい。例えば、モータシャフト130がダクト下面部123を貫通するように設けられていてもよい。
【0159】
<第9実施形態>
第9実施形態では、シャフト流路141に付属流路が通気可能に接続されている。第9実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第9本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0160】
図10に示すように、モータ装置60は、シャフト通過管160及び通過流路165を有している。シャフト通過管160は、通過流路165を形成している。通過流路165は、シャフト通過管160の内部空間である。通過流路165は付属流路であり、シャフト通過管160は付属菅である。シャフト通過管160は、通気可能な配管等により形成されている。
【0161】
シャフト通過管160及び通過流路165は、モータハウジング70の内部に設けられている。通過流路165は、シャフト流路141とモータハウジング70の外部空間とを通気可能に連通している。例えば、通過流路165は、シャフト流路141とダクト上路125bとを連通している。気体は、シャフト流路141及びダクト上路125bのうち一方から他方に向けて通過流路165を通過するように流れる。通過流路165は、気体がモータハウジング70を通過するように気体を通過させる流路である。通過流路165は、シャフト流路141から第1モータベアリング66aと第2モータベアリング66bとの間を通って径方向外側に向けて延びている。例えば、通過流路165とシャフト流路141との接続部分は、軸方向ADにおいて第1モータベアリング66aと第2モータベアリング66bとの間にある。
【0162】
モータシャフト130では、通過流路165がシャフト空間140から分岐した状態になっている。例えば、シャフト流路141が絞り通路142と通過流路165とに分岐している。モータシャフト130では、軸方向ADにおいて通過流路165とシャフト流路141との接続部分を介してシャフト下端口140bとは反対側に通路絞り部132及び絞り通路142が設けられている。
【0163】
シャフト通過管160では、一方の端部がモータハウジング70に接続され、他方の端部がモータシャフト130に接続されている。例えば、シャフト通過管160は、モータシャフト130とモータ対向壁73とにかけ渡された状態になっている。シャフト通過管160は、モータシャフト130が回転してもシャフト流路141と通過流路165との連通が維持されるように、モータシャフト130に接続されている。
【0164】
上流ファン111が回転した場合、気体は、シャフト下端口140bからシャフト流路141に流入し、シャフト流路141から通過流路165に流入する。通過流路165に流入した気体は、ダクト上路125bに流出する。通過流路165を流れる気体は、モータハウジング70の内部においてモータシャフト130から離れた部位や空間を冷却することが可能である。例えば、通過流路165が、シャフト流路141よりもステータ62やロータ64a,64bに近い部分を有している構成では、この部分を流れる気体によりステータ62やロータ64a,64bの冷却効果を高めることができる。
【0165】
本実施形態では、シャフト流路141から通過流路165が延びているため、シャフト流路141を流れる気体が、モータシャフト130から取り出された状態でモータハウジング70の内部を流れることになる。このため、モータハウジング70の内部において、モータシャフト130から離れた部位や空間の冷却効果を通過流路165により高めることができる。
【0166】
本実施形態では、シャフト流路141と通過流路165とを接続するために、シャフト空間140やシャフト外周部131の形状や大きさが通過流路165に合わせて設定されている。このため、シャフト流路141と通過流路165とが通気可能に連通され、気体がシャフト流路141と通過流路165との間を通り抜けるように流れる、という構成を実現できる。したがって、モータ装置60の更に適切な冷却が通過流路165により可能になる。
【0167】
<第10実施形態>
上記第9実施形態では、付属流路としての通過流路165が気体を通過させるように設けられている。これに対して、第10実施形態では、付属流路が気体を迂回させるようにも売られている。第10実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第9実施形態と同様である。第10本実施形態では、上記第9実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0168】
図11に示すように、モータシャフト130は、シャフト流路141を複数有している。例えば、モータシャフト130、シャフト流路141として、第1流路部145及び第2流路部146を有している。第1流路部145と第2流路部146とは、絞り通路142を介して軸方向ADに並べられている。モータシャフト130では、第1流路部145と第2流路部146との間に通路絞り部132及び絞り通路142が設けられている。第1流路部145は、絞り通路142を介して第2流路部146の下流側に設けられている。第1流路部145は、シャフト下端口140bに通じている。第2流路部146は、上流外周口140cに通じている。
【0169】
モータ装置60は、シャフト迂回管170及び迂回流路175を有している。シャフト迂回管170は、迂回流路175を形成している。迂回流路175は、シャフト迂回管170の内部空間である。迂回流路175は付属流路であり、シャフト迂回管170は付属菅である。シャフト迂回管170は、通気可能な配管等により形成されている。
【0170】
シャフト迂回管170及び迂回流路175は、モータハウジング70の内部に設けられている。迂回流路175は、絞り通路142を迂回した状態で第1流路部145と第2流路部146とを接続している。気体は、第1流路部145及び第2流路部146のうち一方から迂回流路175を通って他方に向けて流れる。迂回流路175は、気体を迂回させるように流す流路である。迂回流路175は、軸方向ADにおいて第1モータベアリング66aと第2モータベアリング66bとの間に設けられている。
【0171】
モータシャフト130では、迂回流路175がシャフト空間140から分岐した状態になっている。例えば、第1流路部145が絞り通路142と迂回流路175とに分岐している。
【0172】
シャフト迂回管170では、両方の端部がモータシャフト130に接続されている。例えば、シャフト迂回管170は、モータシャフト130が回転しても第1流路部145及び第2流路部146と迂回流路175との連通が維持されるように、モータシャフト130に接続されている。
【0173】
上流ファン111が回転した場合、気体は、シャフト下端口140bから第1流路部145に流入し、第1流路部145から迂回流路175を通って第2流路部146に流入する。迂回流路175に流入した気体は、上流外周口140cからダクト上路125bに流出する。迂回流路175を流れる気体は、モータハウジング70の内部においてモータシャフト130から離れた部位や空間を冷却することが可能である。例えば、迂回流路175が、シャフト流路141よりもステータ62やロータ64a,64bに近い部分を有している構成では、この部分を流れる気体によりステータ62やロータ64a,64bの冷却効果を高めることができる。
【0174】
本実施形態では、第1流路部145及び第2流路部146といったシャフト流路141から迂回流路175が延びているため、シャフト流路141を流れる気体が、モータシャフト130から取り出された状態でモータハウジング70の内部を流れることになる。このため、モータハウジング70の内部において、モータシャフト130から離れた部位や空間の冷却効果を迂回流路175により高めることができる。
【0175】
<第11実施形態>
上記第1実施形態では、モータ装置60及びインバータ装置80がEPUダクト120に収容されている。これに対して、第11実施形態では、モータ装置60及びインバータ装置80がEPUダクト120に収容されていない。第11実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第11本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0176】
図12に示すように、推進装置15は、EPUダクト120及びピッチ装置150を有していない。また、EPU50は、上流ファン111等の送風ファンを有していない。さらに、上記第1実施形態とは異なり、モータ装置60とインバータ装置80とは、互いに重ねられた状態になっている。例えば、モータハウジング70とインバータハウジング90とは、軸方向ADに離れていない。
【0177】
モータ装置60及びインバータ装置80では、モータハウジング70の外面やインバータハウジング90の外面に沿ってプロペラ風Wpが流れる。このため、モータ装置60やインバータ装置80の熱がプロペラ風Wpに放出されやすい。プロペラ風Wpにより、モータ装置60やインバータ装置80の放熱効果が向上しやすい。
【0178】
モータシャフト130では、シャフト下端口140bや上流外周口140cといったシャフト開口が、プロペラ風Wpがシャフト流路141を通り抜けるように設けられている。例えば、シャフト流路141では、プロペラ風Wpによりシャフト逆流Fb1やシャフト順流Fb2が生じる。例えば、プロペラ風Wpが上流外周口140cから流入する場合、このプロペラ風Wpがシャフト順流Fb2としてシャフト流路141を流れ、シャフト下端口140bから流出する。また、インバータ装置80の下流側にて渦流などが生じるなどして気体がシャフト下端口140bに流入した場合、この気体がシャフト逆流Fb1としてシャフト流路141を流れ、上流外周口140cから流出する。
【0179】
第2モータベアリング66bは、モータハウジング70とインバータハウジング90との境界部に近い位置に設けられている。第2モータベアリング66bは、モータ対向壁73及びインバータ対向壁93の両方に固定された状態になっている。このため、モータ装置60及びインバータ装置80の両方の熱が第2モータベアリング66bに付与されやすい。また、モータハウジング70とインバータハウジング90とが重なった状態になっているため、第2モータベアリング66bの熱がモータハウジング70の下流側に放出されることがインバータハウジング90により阻害されやすい。
【0180】
第2モータベアリング66bは、モータ装置60及びインバータ装置80の両方から熱を受けやすい。また、第2モータベアリング66bでは、モータ装置60やインバータ装置80から受けた熱が逃げにくい。これらのように、第2モータベアリング66bが過熱しやすいことが懸念される。
【0181】
これに対して、モータシャフト130では、シャフト流路141を流れる気体が第2モータベアリング66bの内周側を通り抜けるように、シャフト下端口140bや上流外周口140cといったシャフト開口が設けられている。このため、モータ装置60及びインバータ装置80の両方から第2モータベアリング66bに熱が付与されたとしても、この熱がシャフト流路141の気体に放出されやすい。このように、第2モータベアリング66bの熱を外部に逃がしやすいため、第2モータベアリング66bが過熱することを抑制できる。
【0182】
本実施形態によれば、シャフト下端口140b及び上流外周口140cは、プロペラ風Wpがシャフト流路141を通り抜けるように設けられている。この構成では、eVTOL10の飛行に伴って生じるプロペラ風Wpにより、気体がシャフト流路141を通り抜けるように流れやすくなる。このため、シャフト流路141の冷却効果をプロペラ風Wpにより高めることができる。また、この構成では、上流ファン111等の送風ファンがEPU50に設けられていなくても、シャフト流路141に気体を流すことができる。このため、送風ファンが設置されないことで、EPU50の軽量化や小型化を図ることができる。
【0183】
eVTOL10では、モータ装置60によって飛行用のプロペラ20が回転している場合や、eVTOL10が実際に飛行している場合、モータ装置60の周辺に空気流がプロペラ風Wpなどにより発生する。この空気流によってモータシャフト130の内部を空気が通り抜けられるようにシャフト下端口140bや上流外周口140cといった孔を設けることで、モータシャフト130を効率良く冷やすことができる。
【0184】
<第12実施形態>
上記第11実施形態では、モータ装置60がインバータ装置80の上流側に設けられている。これに対して、第12実施形態では、インバータ装置80がモータ装置60の上流側に設けられている。第12実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第11実施形態と同様である。第12本実施形態では、上記第11実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0185】
図13に示すように、モータ装置60とインバータ装置80との位置が、上記第5実施形態に対して入れ替わっている。モータシャフト130は、上記第2実施形態と同様に、モータハウジング70から下流側に突出している。モータシャフト130は、上記第2実施形態と同様に、中間外周口140dを有している。ただし、中間外周口140dは、インバータ内周孔95の内側に設けられている。例えば、中間外周口140dは、第1モータベアリング66aとEPUベアリング52との間に設けられている。
【0186】
上記第11実施形態と同様に、シャフト流路141では、シャフト逆流Fb1やシャフト順流Fb2が生じる。例えば、シャフト順流Fb2が生じた場合、シャフト順流Fb2は、上流外周口140c及び中間外周口140dのうち少なくとも上流外周口140cからシャフト流路141に流入し、シャフト下端口140bから流出する。また、シャフト逆流Fb1が生じた場合、シャフト逆流Fb1は、シャフト下端口140bからシャフト流路141に流入し、上流外周口140c及び中間外周口140dのうち少なくとも上流外周口140cから流出する。
【0187】
<第13実施形態>
上記第5実施形態では、EPUダクト120にインバータ装置80が収容されている。これに対して、第13実施形態では、EPUダクト120にインバータ装置80が収容されていない。第13実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第5実施形態と同様である。第13本実施形態では、上記第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0188】
図14に示すように、EPU50にインバータ装置80が含まれていない。モータ装置60は、上記第5実施形態と同様に、下流ファン112と共にEPUダクト120に収容されている。モータシャフト130は、上記第5実施形態と同様に、下流外周口140e及びダクト外上流口140fを有している。下流ファン112が回転した場合、ダクト空間125ではダクト順流Fa2が生じ、シャフト流路141ではシャフト順流Fb2が生じる。
【0189】
<第14実施形態>
上記第13実施形態では、EPU50にギア装置100が含まれている。これに対して、第14実施形態では、EPU50にギア装置100が含まれていない。第14実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第13実施形態と同様である。第14本実施形態では、上記第13実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0190】
図15に示すように、モータシャフト130がギア装置100に接続されていない。モータシャフト130は、シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bを有している。シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bは、シャフト流路141に含まれている。シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bがシャフト開口に相当する。シャフト流路141では、シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bのうち一方から気体が流入し、他方から気体が流出する。このように、シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bのうち一方が流入口になり、他方が流出口になることで、気体がシャフト流路141を通り抜けるように流れる。
【0191】
下流ファン112が回転した場合、ダクト空間125ではダクト順流Fa2が生じ、シャフト流路141ではシャフト順流Fb2が生じる。モータシャフト130では、シャフト上端口140aが上流側に向けて軸方向ADに開放されている。シャフト上端口140aは、プロペラ風Wpに向けて開放されている。このため、プロペラ風Wpがシャフト上端口140aからシャフト流路141に流入しやすい。モータシャフト130では、気体がシャフト流路141を通り抜けるように流れることがプロペラ風Wpにより促進される。これにより、モータシャフト130の内部に強い空気流を生み出すことができる。
【0192】
<第15実施形態>
上記第13実施形態では、モータ装置60及び下流ファン112がEPUダクト120に収容されている。これに対して、第15実施形態では、モータ装置60及び下流ファン112がEPUダクト120に収容されていない。第15実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第13実施形態と同様である。第15本実施形態では、上記第13実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0193】
図16に示すように、EPU50は、EPUダクト120を有していない。下流ファン112が回転した場合、プロペラ風Wpやファン順流Fcがモータハウジング70の外面に沿って軸方向ADに流れる。ファン順流Fcは、気体が下流ファン112に吸い込まれるように軸方向ADに流れることで生じる気流である。モータ装置60では、モータハウジング70からの放熱がプロペラ風Wpやファン順流Fcにより促進される。
【0194】
<第16実施形態>
上記第15実施形態では、EPU50にギア装置100が含まれている。これに対して、第16実施形態では、EPU50にギア装置100が含まれていない。第16実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第15実施形態と同様である。第16本実施形態では、上記第15実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0195】
図17に示すように、上記第14実施形態と同様に、モータシャフト130がギア装置100に接続されていない。下流ファン112が回転した場合、上記第15実施形態と同様に、プロペラ風Wpやファン順流Fcがモータハウジング70の外面に沿って軸方向ADに流れる。
【0196】
<第17実施形態>
上記第15実施形態では、EPU50に下流ファン112が含まれている。これに対して、第17実施形態では、EPU50に下流ファン112が含まれていない。第17実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第15実施形態と同様である。第17本実施形態では、上記第15実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0197】
図18に示すように、EPU50は、下流ファン112等の送風ファンを有していない。シャフト流路141では、上記第11実施形態と同様に、シャフト逆流Fb1やシャフト順流Fb2が生じる。シャフト順流Fb2は、上流外周口140cからシャフト流路141に流入し、下流外周口140eから流出する。シャフト逆流Fb1は、下流外周口140eからシャフト流路141に流入し、上流外周口140cから流出する。
【0198】
<第18実施形態>
上記第17実施形態では、モータシャフト130が下流外周口140eを有している。これに対して、第18実施形態では、モータシャフト130が下流外周口140eを有していない。第18実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第17実施形態と同様である。第18本実施形態では、上記第17実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0199】
図19に示すように、モータシャフト130では、シャフト外周面130aに下流外周口140eが設けられていない。シャフト流路141には、シャフト下端口140b及び上流外周口140cが含まれている。シャフト流路141では、上記第17実施形態と同様に、シャフト逆流Fb1やシャフト順流Fb2が生じる。シャフト順流Fb2は、上流外周口140cからシャフト流路141に流入し、シャフト下端口140bから流出する。シャフト逆流Fb1は、シャフト下端口140bからシャフト流路141に流入し、上流外周口140cから流出する。
【0200】
<第19実施形態>
上記第18実施形態では、モータシャフト130が上流外周口140cを有している。これに対して、第19実施形態では、モータシャフト130が上流外周口140cを有していない。第19実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第18実施形態と同様である。第19本実施形態では、上記第18実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0201】
図20に示すように、モータシャフト130では、シャフト外周面130aに上流外周口140cが設けられていない。シャフト流路141には、シャフト上端口140a及びシャフト下端口140bが含まれている。シャフト流路141では、上記第18実施形態と同様に、シャフト逆流Fb1やシャフト順流Fb2が生じる。シャフト順流Fb2は、シャフト上端口140aからシャフト流路141に流入し、シャフト下端口140bから流出する。シャフト逆流Fb1は、シャフト下端口140bからシャフト流路141に流入し、シャフト上端口140aから流出する。
【0202】
<第20実施形態>
第20実施形態では、モータシャフト130が気体の流れを促進する構成になっている。第20実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第19実施形態と同様である。第20本実施形態では、上記第19実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0203】
図21に示すように、モータシャフト130は、内部フィン96を有している。内部フィン96は、シャフト内周面130bに設けられたフィンである。内部フィン96は、シャフト外周部131から径方向内側に向けて延びている。内部フィン96は、周方向CDに直交する方向に板状に延びている。内部フィン96は、シャフト内周面130bに沿って軸方向ADに延びている。内部フィン96は、周方向CDに複数並べられている。内部フィン96は、モータシャフト130の回転に伴って周方向CDに移動する。
【0204】
モータシャフト130が回転すると、内部フィン96は、軸流ファン等の羽根のように機能することで、気体が軸方向ADに流れるように送風する。内部フィン96は、軸方向ADの一方側に向けて送風する。例えば、内部フィン96は、モータシャフト130の回転に伴ってシャフト順流Fb2が生じるように、シャフト内周面130bに設けられている。モータシャフト130が回転した場合、気体が内部フィン96に吸い込まれるようにシャフト上端口140aに流入することで、シャフト順流Fb2が生じる。
【0205】
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、又は組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0206】
上記各実施形態において、モータベアリング66a,66b等のシャフトベアリングは、少なくとも1つ設けられていればよい。例えば上記第1実施形態において、モータハウジング70に1つのシャフトベアリングが設けられ、インバータハウジング90に複数のシャフトベアリングが設けられていてもよい。
【0207】
上記各実施形態において、EPU50は、モータ装置60やインバータ装置80を複数有していてもよい。例えば、EPU50では、複数のインバータ装置80が少なくとも1つのモータ装置60を駆動してもよい。また、1つのインバータ装置80が複数のモータ装置60を駆動してもよい。さらに、複数のモータ装置60でモータハウジング70が共通化されていてもよい。複数のインバータ装置80でインバータハウジング90が共通化されていてもよい。
【0208】
上記各実施形態において、EPUダクト120は、モータ装置60及びインバータ装置80の少なくとも一方を収容していれば、どのように設けられていてもよい。例えば上記第1実施形態において、EPUダクト120は、ダクト上面部122及びダクト下面部123の少なくとも一方を有していなくてもよい。また、ダクト外周部121は、モータハウジング70の少なくとも一部を外周側から覆っていればよい。さらに、EPUダクト120は、ギア装置100を収容していてもよい。
【0209】
上記各実施形態において、モータ61は、ダブルロータ式のモータでなくてもよい。例えば、モータ61は、シングルロータ式のモータでもよい。また、モータ61は、アキシャルギャップ式のモータでなくてもよい。例えば、モータ61は、ラジアルギャップ式のモータでもよい。ラジアルギャップ式のモータでは、ロータとステータとが径方向RDに並べられている。
【0210】
上記各実施形態において、モータ装置60や推進装置15が搭載される垂直離着陸機は、少なくとも1つのプロペラ20を少なくとも1つのEPU50が駆動するという電動式の垂直離着陸機であればよい。例えば、1つのプロペラ20を複数のEPU50が駆動する構成でもよく、複数のプロペラ20を1つのEPU50が駆動する構成でもよい。
【0211】
上記各実施形態において、モータ装置60や推進装置15が搭載される飛行体は、電動式であれば、垂直離着陸機でなくてもよい。例えば、飛行体は、電動航空機として、滑走を伴う離着陸が可能な飛行体でもよい。さらに、飛行体は、回転翼機又は固定翼機でもよい。飛行体は、人が乗らない無人飛行体でもよい。
【0212】
上記各実施形態において、モータ装置60や推進装置15が搭載される移動体は、回転体の回転により移動可能であれば、飛行体でなくてもよい。例えば、移動体は、車両、船舶、建設機械、農業機械であってもよい。飛行体では、プロペラ20がモータ装置60の駆動に伴って回転する回転体に相当する。例えば、移動体が車両や建設機械などである場合、移動用の車輪などが回転体に相当する。この場合、モータ装置60は、車輪の内側に設けられていてもよい。
【0213】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0214】
(技術的思想1)
飛行体(10)を推進させるために駆動するモータ装置(60)であって、
ステータ(62)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転するロータ(64a,64b)と、
前記ロータを支持し、前記回転軸線を中心に前記ロータと共に回転するモータシャフト(130)と、
を備え、
前記モータシャフトは、
前記モータシャフトの内部空間(140)の少なくとも一部により形成されたシャフト流路(141)と、
前記モータシャフトの外面(130a,130c,130d)に複数設けられ、前記シャフト流路を気体が通り抜けるように前記シャフト流路を開放しているシャフト開口(140a,140b,140c,140d,140e,140f)と、
を有しているモータ装置。
【0215】
(技術的思想2)
前記シャフト流路の外周側に設けられ、前記モータシャフトを回転可能に支持するシャフトベアリング(52,66a,66b)、を備え、
前記シャフト開口は、前記シャフト流路を流れる気体が前記シャフトベアリングの内周側を通り抜けるように設けられている、技術的思想1に記載のモータ装置。
【0216】
(技術的思想3)
前記シャフトベアリングは、前記回転軸線の軸方向(AD)に並べられた2つの前記シャフト開口の間に設けられている、技術的思想2に記載のモータ装置。
【0217】
(技術的思想4)
前記回転軸線の軸方向(AD)に並べられた複数の前記シャフトベアリングは、前記軸方向に並べられた2つの前記シャフト開口の間に設けられている、技術的思想2又は3に記載のモータ装置。
【0218】
(技術的思想5)
前記ステータ及び前記ロータを収容しているモータハウジング(70)を備え、
前記モータシャフトは、前記モータハウジングを前記回転軸線の軸方向(AD)に貫通するように設けられており、
前記シャフト開口は、前記シャフト流路を流れる気体が前記モータハウジングを前記軸方向に通り抜けるように設けられている、技術的思想1~4のいずれか1つに記載のモータ装置。
【0219】
(技術的思想6)
前記シャフト開口は、前記飛行体の飛行に伴って生じる飛行風(Wp)が気体として前記シャフト流路を通り抜けるように設けられている、技術的思想1~5のいずれか1つに記載のモータ装置。
【0220】
(技術的思想7)
前記ステータ及び前記ロータを収容しているモータハウジング(70)と、
前記モータハウジングとの間に気体が流れるように、前記モータハウジングの少なくとも一部を外側から覆っている外側ダクト(120)と、
前記シャフト開口として前記外側ダクトの外側に設けられ、前記シャフト流路に気体を流入させるシャフト流入口(140f)と、
前記シャフト開口として前記外側ダクトの内側に設けられ、前記シャフト流路から気体を流出させるシャフト流出口(140d,140e)と、
を備えている技術的思想1~6のいずれか1つに記載のモータ装置。
【0221】
(技術的思想8)
前記シャフト開口であり、前記シャフト流路に気体を流入させるシャフト流入口(140b)と、
前記シャフト開口であり、前記シャフト流路から気体を流出させるシャフト流出口(140c)と、
を備え、
全ての前記シャフト流入口の開口面積を合計した値は、全ての前記シャフト流出口の開口面積を合計した値以上である、技術的思想1~7のいずれか1つに記載のモータ装置。
【0222】
(技術的思想9)
気体が前記シャフト流路を通り抜けるように送風する送風ファン(111,112,113)、を備えている技術的思想1~8のいずれか1つに記載のモータ装置。
【0223】
(技術的思想10)
前記送風ファンは、前記飛行体の飛行に伴って生じる飛行風(Wp)とは逆向きに気体が前記シャフト流路を通り抜けるように送風する、技術的思想9に記載のモータ装置。
【0224】
(技術的思想11)
前記モータシャフトは、
前記飛行体を推進させるためのプロペラ(20)と、前記プロペラのピッチを調整するピッチコントローラ(151)と、を接続する接続棒(152)が前記シャフト流路の少なくとも一部に挿通されるように前記モータシャフトの前記外面に設けられた挿通口(140a,140b)、を有している技術的思想1~10のいずれか1つに記載のモータ装置。
【0225】
(技術的思想12)
飛行体(10)を推進させる推進装置(15)であって、
前記飛行体を推進させるために駆動するモータ装置(60)を備え、
前記モータ装置は、
ステータ(62)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転するロータ(64a,64b)と、
前記ロータを支持し、前記回転軸線を中心に前記ロータと共に回転するモータシャフト(130)と、
を有し、
前記モータシャフトは、
前記モータシャフトの内部空間の少なくとも一部により形成されたシャフト流路(141)と、
前記モータシャフトの外面(130a,130c,130d)に複数設けられ、前記シャフト流路を気体が通り抜けるように前記シャフト流路を開放しているシャフト開口(140a,140b,140c,140d,140e,140f)と、
を有している推進装置。
【0226】
(技術的思想13)
前記回転軸線に沿って前記モータ装置に並べられ、前記モータ装置を駆動させるモータ駆動装置(80)、を備え、
少なくとも1つの前記シャフト開口は、前記モータ装置と前記モータ駆動装置との間に設けられている、技術的思想12に記載の推進装置。
【0227】
(技術的思想14)
前記回転軸線に沿って前記モータ装置に並べられ、前記モータシャフトの回転数を変更して出力可能なギア装置(100)、を備え、
少なくとも1つの前記シャフト開口は、前記ギア装置と前記モータ装置との間に設けられている、技術的思想12又は13に記載の推進装置。
【符号の説明】
【0228】
10…飛行体としてのeVTOL、15…推進装置、20…プロペラ、52…シャフトベアリングとしてのEPUベアリング、60…モータ装置、64a…ロータとしての第1ロータ、64b…ロータとしての第2ロータ、66a…第1モータベアリング、66b…第2モータベアリング、70…モータハウジング、80…モータ駆動装置としてのインバータ装置、100…ギア装置、111…送風ファンとしての上流ファン、112…送風ファンとしての下流ファン、113…送風ファンとしての中間ファン、120…外側ダクトとしてのEPUダクト、130…モータシャフト、130a…外面としてのシャフト外周面、130c…外面としてのシャフト上端面、130d…外面としてのシャフト下端面、140…内部空間としてのシャフト空間、140a…シャフト開口及び挿通口としてのシャフト上端口、140b…シャフト開口、シャフト流入口及び挿通口としてのシャフト下端口、140c…シャフト開口及びシャフト流出口としての上流外周口、140d…シャフト開口及びシャフト流出口としての中間外周口、140e…シャフト開口及びシャフト流出口としての下流外周口、140f…シャフト開口及びシャフト流入口としてのダクト外上流口、141…シャフト流路、151…ピッチコントローラ、152…接続棒としてのピッチ棒、Wp…プロペラ風、Cm…回転軸線としてのモータ軸線、AD…軸方向。