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特開2024-109354交通情報処理システムおよび交通情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109354
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】交通情報処理システムおよび交通情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
G08G1/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014100
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山岬 健一
(72)【発明者】
【氏名】長野 英俊
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC01
5H181CC04
5H181CC18
5H181DD01
5H181DD04
5H181DD06
5H181EE11
5H181EE15
5H181FF03
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF21
5H181MC12
5H181MC14
5H181MC17
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】優先度に応じてセンサ情報を振り分けることによって、交通情報の処理の効率化を図る。
【解決手段】交通情報処理システム(1)は、車両走行エリアにおける交通に関わるセンサの情報であるセンサ情報を処理する第1処理部(11)および第2処理部(12)を備え、前記第1処理部は、前記センサ情報の優先度を決定し、前記優先度に基づき、前記第1処理部で処理するセンサ情報と、前記第2処理部で処理するセンサ情報とを振り分ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両走行エリアにおける交通に関わるセンサの情報であるセンサ情報を処理する第1処理部および第2処理部を備え、
前記第1処理部は、
前記センサ情報の優先度を決定し、
前記優先度に基づき、前記第1処理部で処理するセンサ情報と、前記第2処理部で処理するセンサ情報とを振り分ける、
ことを特徴とする交通情報処理システム。
【請求項2】
前記第1処理部は、
前記センサ情報からイベントを検出し、
前記イベントに基づき、前記優先度を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の交通情報処理システム。
【請求項3】
前記第1処理部は、
前記車両走行エリアを走行する1以上の車両から第1センサ情報を取得し、
前記第1センサ情報の優先度を決定し、
前記優先度に基づき、前記第1センサ情報を前記第1処理部および前記第2処理部に振り分け、
前記第1処理部に振り分けられた第1センサ情報に基づく処理結果を前記1以上の車両に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の交通情報処理システム。
【請求項4】
前記第2処理部は、
前記車両走行エリア上の路側情報収集装置から交通に関わるセンサの情報である第2センサ情報を取得し、
前記第2センサ情報と前記第2処理部に振り分けられた第1センサ情報とを含む第3センサ情報の第2の優先度を決定し、
前記第2の優先度に基づき、前記第3センサ情報の処理の順序を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の交通情報処理システム。
【請求項5】
前記第2処理部は、
前記第3センサ情報からイベントを検出し、
前記イベントに基づき、前記第2の優先度を決定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の交通情報処理システム。
【請求項6】
車両走行エリアにおける交通に関わるセンサの情報であるセンサ情報を処理する第1処理部と第2処理部とを備える交通情報処理システムにおける交通情報処理方法であって、
前記センサ情報の優先度を決定し、
前記優先度に基づき、前記第1処理部で処理するセンサ情報と、前記第2処理部で処理するセンサ情報とを振り分ける、
ことを特徴とする交通情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報処理システムおよび交通情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路での車両の走行を管理するために、道路を走行する車両や道路に設置した機器から交通に関わるセンサの情報(センサ情報)を取得して、交通情報として処理する技術が開発されている。
【0003】
特許文献1は、交通イベントに基づいて優先度を決定し、交通事故に関するメッセージを高い優先度、高いパワー、または高い頻度で転送するシステムを開示する(段落0069、0070参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-171627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、メッセージを転送する優先度を設定するに留まり、処理の効率化を図ることは困難である。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、優先度に応じて交通に関わるセンサの情報(センサ情報)を振り分けることによって、交通情報の処理の効率化を図る交通情報処理システムおよび交通情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る交通情報処理システムは、車両走行エリアにおける交通に関わるセンサの情報であるセンサ情報を処理する第1処理部および第2処理部を備え、前記第1処理部は、前記センサ情報の優先度を決定し、前記優先度に基づき、前記第1処理部で処理するセンサ情報と、前記第2処理部で処理するセンサ情報とを振り分ける。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、優先度に基づき、第1処理部で処理するセンサ情報と、第2処理部で処理するセンサ情報とを振り分けることによって、交通情報の処理の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る交通情報処理システムを表す図である。
図2】本発明の実施形態2の一例に係る交通情報処理システムを表す図である。
図3】本発明の実施形態2の他の例に係る交通情報処理システムを表す図である。
図4】本発明の実施形態2に係る交通情報処理システムにおける交通情報処理方法の処理の流れを表す図である。
図5】コンピュータの構成の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0011】
本例示的実施形態に係る交通情報処理システム10の構成について、図1を参照して説明する。図1は、交通情報処理システム10の構成を示すブロック図である。交通情報処理システム10は、車両走行エリアにおける交通に関わるセンサの情報であるセンサ情報を交通情報として処理するシステムであり、車両走行エリアにおけるセンサ情報を処理する第1処理部11および第2処理部12を有する。
【0012】
第1処理部11は、前記センサ情報の優先度を決定し、前記優先度に基づき、前記第1処理部11で処理するセンサ情報と、前記第2処理部12で処理するセンサ情報とを振り分ける。第1処理部11は、優先度に基づき、取得したセンサ情報を第1処理部11と第2処理部12に振り分ける。これにより、第1処理部11と第2処理部12を有効に活用して、交通情報の処理の効率化を図ることができる。
【0013】
以上のように、本例示的実施形態に係る交通情報処理システム10においては、第1処理部11は、センサ情報の優先度を決定し、優先度に基づき、第1処理部11で処理するセンサ情報と、前記第2処理部12で処理するセンサ情報とを振り分ける。このため、本例示的実施形態に係る交通情報処理システム10によれば、第1処理部11と第2処理部12を有効に活用して、交通情報の処理の効率化を図ることができる。
【0014】
(交通情報処理方法の流れ)
本例示的実施形態に係る交通情報処理方法S10の流れについて、説明する。交通情報処理方法S10は、車両走行エリアにおける交通に関わるセンサの情報であるセンサ情報を処理する第1処理部11と第2処理部12とを備える交通情報処理システム10における交通情報処理方法であって、センサ情報の処理の優先度を決定し、優先度に基づき、前記第1処理部11で処理するセンサ情報と、前記第2処理部12で処理するセンサ情報とを振り分ける。これにより、第1処理部11と第2処理部12を有効に活用して、交通情報の処理の効率化を図ることができる。
【0015】
以上のように、本例示的実施形態に係る交通情報処理方法S10においては、センサ情報の優先度を決定し、優先度に基づき、前記第1処理部11で処理するセンサ情報と、前記第2処理部12で処理するセンサ情報とを振り分ける構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る交通情報処理方法S10によれば、第1処理部11と第2処理部12を有効に活用して、交通情報の処理の効率化を図ることができる。
【0016】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0017】
図2および図3は、第2の例示的実施形態の一例および他の例に係る交通情報処理システム10を表す模式図である。図4は、第2の例示的実施形態に係る交通情報処理システム10における処理の流れの一例を表すフロー図である。
【0018】
図2および図3に示すように、交通情報処理システム10は、第1処理部11、第2処理部12、および通信装置13を有し、車両走行エリアAにおける交通に関わるセンサの情報である、センサ情報IT1(第1センサ情報)、センサ情報IT2(第2センサ情報)を取得して、処理し、この処理結果R1、R2を、車両走行エリアAを走行する車両C(通信車両C1(例えば、通信車両C1~C13))に送信する。
【0019】
通信車両C1は、自車のセンサ情報IT1を、通信装置13を介して、第1処理部11に送信する。センサ情報IT1は、例えば、(1)自車の位置、方向、速度等の走行関連センサ情報、(2)急ハンドル、急加速、急ブレーキ、エアバックの起動等の車両個別(自車)の異常挙動関連センサ情報である。これらの走行関連センサ情報、および異常挙動関連センサ情報は、時刻の情報と共に、通信装置13を介して、第1処理部11に送信される。
【0020】
異常挙動関連センサ情報は、例えば、ハンドル、アクセル、ブレーキ、エアバック等の車両の挙動状態を検知するセンサからの出力に基づいて通信車両C1において生成される。これらのセンサの出力が閾値以上に変化し、通信車両C1の制御部等において異常事象と判断した場合、本事象の情報を異常挙動関連センサ情報(例えば、急ハンドル、急加速、急ブレーキ、エアバックの起動の情報)として第1処理部11に送信する。
【0021】
第1処理部11は、例えば、路車間センサ情報処理装置(一例として、MECサーバ:マルチアクセス・エッジ・コンピューティング・サーバ)である。第1処理部11は、通信装置13を介して、車両走行エリアAを走行する1台以上の通信車両C1からセンサ情報IT1を取得する。第1処理部11は、取得したセンサ情報IT1の優先度を決定して、この優先度に基づき、取得したセンサ情報IT1を第1処理部11および第2処理部12に振り分ける。第1処理部11は、第1処理部11に振り分けられたセンサ情報IT1を処理して、第1処理部11に振り分けられたセンサ情報IT1に基づく処理結果R1を1以上の通信車両C1に送信する。
【0022】
第2処理部12は、交通情報処理システム10を管理する管制装置である。第2処理部12は、車両走行エリアA上の路側情報収集装置14が収集したセンサ情報IT2を取得する。第2処理部12は、(センサ情報IT2と、第1処理部11によって第2処理部12に振り分けられたセンサ情報IT1と、を含む)第3センサ情報の第2の優先度を決定し、第2の優先度に基づき、第3センサ情報の処理の順序を決定する。第2処理部12は、第3センサ情報(センサ情報IT2と第1処理部11によって第2処理部12に振り分けられたセンサ情報IT1)を処理して、この処理結果R2を1以上の通信車両C1に送信する。
【0023】
通信装置13は、第1処理部11と通信車両C1との間での通信を介在する無線通信装置であり、例えば、路車間用専用通信、自営用通信、汎用通信等(一例として、ローカル5GやWiFi)を用いて、通信車両C1と通信を行う。通信装置13は、車両走行エリアAに沿って複数配置され、交通情報処理システム10が多数の通信車両C1と通信することを可能とする。
【0024】
センサ情報IT1は、例えば、通信車両C1の位置、速度等の走行関連センサ情報、および通信車両C1の急ブレーキ、急ハンドル、エアバックの起動等を表す異常挙動関連センサ情報を含む。通信車両C1は、このような走行関連センサ情報および異常挙動関連センサ情報を含むセンサ情報IT1を、通信装置13を介して、第1処理部11に送信する。このセンサ情報IT1の送信は、周期的かつ比較的高頻度(例えば、100~500ミリ秒程度の頻度)で行われる。
【0025】
路側情報収集装置14は、路側に設置されたセンサS(センサS1,S2等)からセンサ情報IT2を収集する。センサSは、具体的には、ループコイルやCCTVカメラなど車両走行エリアA上に設置される機器を指し、所定の地点または所定の区間における情報を収集するために利用される。なお、センサSは、例えば、ファイバセンサであってもよい。これらのセンサ情報IT2は、車両走行エリアA上の交通量の変化を示す時系列データや交通状況を可視化した映像データである。
【0026】
センサ情報IT2は、路側情報収集装置14がセンサSから収集したセンサ情報であり、路側情報収集装置14から第2処理部12に常時送信される。第2処理部12は、センサ情報IT2に基づいて、車両走行エリアA上の交通量の変化を逐次検出でき、加えて、車両走行エリアA上での交通事象(イベント)の発生を検出できる。このイベントには、例として、混雑、渋滞、事故、落下物、車両Cの逆走等を挙げることができる。イベントの検出は、画像処理やAI技術等を用いた機械的な検出、オペレータの目視等による人的判断による検出のいずれでもよい。
【0027】
以下、図4に基づき、交通情報処理システム10によるセンサ情報の処理の流れを説明する。
【0028】
第1処理部11は、通信装置13を介して、車両走行エリアAを走行する1台以上の通信車両C1からセンサ情報IT1(第1センサ情報)を取得する(ステップS11a)。
【0029】
第1処理部11は、取得したセンサ情報IT1の優先度を決定する(ステップS12a)。例えば、第1処理部11は、取得したセンサ情報からイベントを検出し、このイベントに基づき、優先度を決定する。
【0030】
イベントは、例えば、車両Cの急ブレーキ、急ハンドル、エアバックの起動であり、このようなイベントを含むセンサ情報IT1に対して高い優先度が決定される。なお、イベント間に優先度の高低を付けてもよい。例えば、イベントに関わるセンサの検出量(一例として、急ブレーキ、急ハンドル時のセンサの検出量の大きさ)、他のイベントとの時間的近接(一例として、時間的に近接する急ブレーキと急ハンドル)に応じて、優先度の大きさを決定できる。
【0031】
また、複数の車両Cでイベントが発生した場合、これらのイベントに関わるセンサ情報IT1内でさらに優先度を詳細に決定してもよい。例えば、近接する複数の車両Cにおいてイベント(例えば、急ブレーキ)が発生した場合である。特に、先行する車両Cでのイベントに引き続く、後続する車両Cでのイベントは、優先度を高くすることが好ましい。すなわち、例えば、先行する車両Cでの追突事故の二次被害に繋がる場合、後続する車両Cでのイベントが発生し、さらに優先度を高く決定する可能性がある。
【0032】
第1処理部11は、決定した優先度に基づき、取得したセンサ情報IT1を第1処理部11および第2処理部12に振り分ける(ステップS13a)。例えば、第1処理部11は、優先度の高いセンサ情報IT1を第1処理部11と第2処理部12の双方に振り分け、優先度の低いセンサ情報IT1を第2処理部12に振り分ける。これにより、優先度に応じた交通情報の処理の効率化を図ることができる。すなわち、優先度の高いセンサ情報IT1(例えば、異常挙動関連センサ情報)は、第1処理部11による即時性を重視した処理(例えば、イベント発生の警告)、および第2処理部12によるセンサ情報IT2を併用し、信頼性を重視した処理(例えば、イベントの分析)の双方が可能となる。一方、優先度の低いセンサ情報IT1(例えば、走行関連センサ情報)は、第2処理部12により、センサ情報IT2と合成することで、より高度な交通流の分析や予測処理に用いることができる。
【0033】
第1処理部11は、第1処理部11に振り分けられたセンサ情報IT1を処理する(ステップS14a)。この処理は、例えば、センサ情報IT1に基づく警告の作成である。一例として、先行する車両Cでのイベントの発生の警告が挙げられる。
【0034】
第1処理部11は、処理の結果R1を、通信装置13を介して、車両走行エリアAを走行する1以上の通信車両C1に送信する(ステップS15a)。
【0035】
この処理の結果R1として、例えば、先行する車両Cでのイベント(例えば、急ハンドル、急加速、急ブレーキ、エアバックの起動)の発生の警告が送信される。この警告を受け取った車両Cは、この警告に基づいて、危険を回避することができる。
【0036】
第2処理部12は、車両走行エリアA上の路側情報収集装置14から交通に関わるセンサの情報であるセンサ情報IT2(第2センサ情報)を取得する(ステップS11b)。
【0037】
第2処理部12は、(センサ情報IT2と、第1処理部11によって第2処理部12に振り分けられたセンサ情報IT1とを含む)第3センサ情報の第2の優先度を決定する(ステップS12b)。例えば、第2処理部12は、第3センサ情報からイベントを検出し、このイベントに基づき、第2の優先度を決定する。
【0038】
ここで、第3センサ情報から検出されるイベントは、センサ情報IT1から検出されるイベントEV1(車両Cから取得したイベント)と、センサ情報IT2から検出されるイベントEV2(センサSから取得したイベント)とに区分できる。イベントEV1は、既述のように、例えば、車両Cの急ハンドル、急加速、急ブレーキ、エアバックの起動である。イベントEV2は、既述のように、例えば、車両走行エリアAでの混雑、渋滞、事故(一例として、車両Cの衝突)、物品の落下(落下物の発生)、車両Cの逆走である。
【0039】
このようなイベントを含むセンサ情報IT1、IT2に対して高い優先度が決定される。イベント間に優先度の高低を付けてもよい。例えば、イベントEV2が混雑、または渋滞である場合と、事故、物品の落下、車両Cの逆走である場合とで、異なる優先度を決定することができる。また、イベントEV1、EV2間において、優先度を決定できる。例えば、イベントEV2が混雑、または渋滞を示す場合、イベントEV1より、優先度を低く決定し、イベントEV2が事故、落下物、または車両Cの逆走である場合、イベントEV1より緊急性を要するイベントであることから、イベントEV1より高い優先度を決定する。
【0040】
また、例えば、イベントに関わるセンサの検出量(一例として、急ブレーキ、急ハンドル時のセンサの検出量の大きさ)、他のイベントとの時間的近接(一例として、時間的に近接する急ブレーキと急ハンドル)に応じて、優先度の大きさを決定してもよい。
【0041】
さらに、複数の車両Cでイベントが発生した場合、単一の車両Cで発生した場合よりもイベントが発生したことの信頼性が高いと判断し、これらのイベントに関わるセンサ情報の優先度を高くしてもよい。例えば、近接する複数の車両Cにおいてイベント(例えば、急ブレーキ)が発生した場合である。特に、先行する車両Cでのイベントに引き続く、後続する車両Cでのイベントは、優先度を高くする。なぜなら、先行する車両Cでの追突事故の影響で、後続する車両Cで同種のイベントが発生している可能性が高いと判断できるからである。
【0042】
なお、第2処理部12が決定する第2の優先度は、第1処理部11が決定する優先度と同一でも良いし、異なっていてもよい。すなわち、第2処理部12は、第1処理部11が優先度を決定したセンサ情報IT1に対して、この優先度と異なる第2の優先度を決定してもよい。一方、第2処理部12は、第1処理部11が優先度を決定したセンサ情報IT1に対して、この優先度をそのまま、第2の優先度として、用いてもよい。
【0043】
第2処理部12は、第2の優先度に基づき、第3センサ情報の処理の順序を決定する(ステップS13b)。これにより、優先度の高い第3センサ情報が優先して処理され(例えば、大きなイベントに関わる処理が優先して行われ)、その処理結果R2が車両Cに迅速に送信可能となる。
【0044】
第2処理部12は、第3センサ情報を処理する(ステップS14b)。この処理は、次の(1)、(2)に区分できる。
【0045】
(1)イベントの分析
第2処理部12は、センサ情報IT1、IT2を用いて、イベントの状況を詳細に分析できる。例えば、複数の異常挙動関連センサ情報に基づいて、イベントの発生原因、イベントの広がりを分析し、今後の推移を予測することができる。第2処理部12は、イベントの分析に基づいて、車両Cに推奨する走行状態(例えば、減速、進行方向の変更、車線の変更、迂回路への移行)の情報を提供できる。
【0046】
なお、第2処理部12は、画像、音声等によって、イベントの発生をオペレータに通知することで、オペレータにイベントへの対応を促してもよい。
(2)交通流の分析
第2処理部12は、センサ情報IT1、IT2を用いて、車両走行エリアA上での車両Cの流れ(交通量)を分析できる。この分析には、AI(人工知能)を用いてもよい。
【0047】
第2処理部12は、交通量の分析によって、例えば、渋滞の検知、渋滞の予測を行うことができる。第2処理部12は、交通量の分析に基づいて、車両Cに推奨する走行状態(例えば、進行方向の変更、車線の変更、迂回路への移行)の情報を提供できる。第2処理部12は、車両Cに、交通量の分析に基づく、目的地までの所要時間、道路状況等の情報を提供してもよい。
【0048】
第2処理部12は、第3センサ情報の処理の結果R2を第1処理部11、通信装置13を介して、車両Cに通知する(ステップS15b)。
【0049】
通信車両C1は、通信装置13を介して、第1処理部11でのセンサ情報IT1の処理結果R1、第2処理部12でのセンサ情報IT1、IT2の処理結果R2を受信する。通信車両C1は、これらの処理結果R1、R2に基づく対応が可能となる。
【0050】
既述のように、処理結果R1は、例えば、先行する車両Cでのイベント(例えば、急ハンドル、急加速、急ブレーキ、エアバックの起動)の発生の警告である。通信車両C1は、処理結果R1に基づき、自車の減速等の対応が可能となる。
【0051】
既述のように、処理結果R2は、例えば、(1)イベントの分析結果、および(2)交通量の分析結果、さらに、推奨する走行状態の情報である。通信車両C1は、処理結果R2に基づき、自車の減速、車線の変更、迂回路への移行等の対応が容易となる。
【0052】
図2は、通信車両C15、C16が衝突した状態を表す。この場合、通信車両C15、C16は急ハンドル、急ブレーキ、エアバックの起動等の異常挙動関連センサ情報を含むセンサ情報IT1を送信する。
【0053】
このセンサ情報IT1は、第1処理部11によって処理され、例えば、先行車両でのイベントの発生を警告する処理結果R1として、通信車両C15、C16に後続する通信車両C11、C12、およびC14に送信される。また、通信車両C13に対しては、隣接する車両走行エリアでのイベントの発生を警告する処理結果R1が送信される。通信車両C11~C14は、処理結果R1に基づいて、減速、車線の変更等の対応が容易となる。
【0054】
一方、第2処理部12は、このイベント(通信車両C15、C16の衝突)を分析し、この分析結果および推奨する走行状態の情報を処理結果R2として、通信車両C11~C14に送信する。通信車両C11~C14は、処理結果R2に基づいて、今後の推移の確認、および迂回路への移行等の対応が容易となる。
【0055】
図3は、車両走行エリアA1中の車両走行エリアA12において車両Cが密集している状態(いわゆる渋滞)を表す。この場合、第2処理部12は、交通流の分析によって、渋滞の発生、およびその範囲を検出し、今後の推移を予測する。第2処理部12は、処理結果R2として、例えば、渋滞の発生、その範囲、および迂回路(車両走行エリアA13、A14)の情報を、車両走行エリアA12の後方の車両走行エリアA11を走行する通信車両C11に送信する。通信車両C11は、処理結果R2に基づいて、迂回ルートとして、車両走行エリアA13、A14を走行することで、車両走行エリアA12での渋滞に巻き込まれずに走行することができる。
【0056】
以上のように、交通情報処理システム10において、第1処理部11は、センサ情報IT1の優先度を決定し、この優先度に基づいて、第1処理部11、第2処理部12への処理を振り替える。この結果、第1処理部11、第2処理部12を用いた効率的な処理が容易となる。また、第2処理部12は、センサ情報IT2および第1処理部11に振り分けられたセンサ情報IT1の第2の優先度を決定し、この第2の優先度に基づいて、処理の順序を決定する。この結果、第2の優先度に基づく、優先的な処理が可能となる。
【0057】
〔ソフトウェアによる実現例〕
第1処理部11、第2処理部12の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0058】
後者の場合、第1処理部11、第2処理部12は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図5に示す。コンピュータCは、例えば、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC1と、を備えている。メモリC1には、コンピュータCを第1処理部11、第2処理部12として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC1から読み取って実行することにより、第1処理部11、第2処理部12の各機能が実現される。
【0059】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC1としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0060】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0061】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0062】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0064】
(変形例)
上述の実施形態に記載されるセンサ情報IT1から検出されるイベントEV1、センサ情報IT2から検出されるイベントEV2、および、これらのイベントの検出に関わるセンサは一例である。通信車両C1が有するセンサ、路側に設置されるセンサSは、上述の実施形態に示されるセンサに限られず、また、これらのセンサの全てを有しなくてもよい。例えば、急加速のイベントは、通信車両C1のアクセルペダルに設置するセンサからの出力ではなく、速度計からの出力に基づいて、検出してもよい。さらに、通信車両C1でのイベントの発生を、通信車両C1ではなく、第1処理装置11において、検出してもよい。
【0065】
(付記1)
車両走行エリアにおける交通に関わるセンサの情報であるセンサ情報を処理する第1処理部(11)および第2処理部(12)を備え、
前記第1処理部は、
前記センサ情報の優先度を決定し、
前記優先度に基づき、前記第1処理部で処理するセンサ情報と、前記第2処理部で処理するセンサ情報とを振り分ける、
ことを特徴とする交通情報処理システム(10)。
【0066】
上記の構成によれば、優先度に基づき、センサ情報を振り分けることで、交通情報の処理の効率化を図ることができる。
【0067】
(付記2)
前記第1処理部は、
前記センサ情報からイベントを検出し、
前記イベントに基づき、前記優先度を決定する、
ことを特徴とする付記1に記載の交通情報処理システム。
【0068】
上記の構成によれば、イベントに基づき、優先度を決定するここで、イベントに関わるセンサ情報を適切に振り分けることができる。
【0069】
(付記3)
前記第1処理部は、
前記車両走行エリアを走行する1以上の車両(C)から第1センサ情報(センサ情報IT1)を取得し、
前記第1センサ情報の優先度を決定し、
前記優先度に基づき、前記第1センサ情報を前記第1処理部および前記第2処理部に振り分け、
前記第1処理部に振り分けられた第1センサ情報に基づく処理結果(R1)を前記1以上の車両に送信する、ことを特徴とする付記1又は2に記載の交通情報処理システム。
【0070】
上記の構成によれば、優先度に基づき、1以上の車両からの第1センサ情報を第1処理部で迅速に処理して、1以上の車両に送信することができる。
【0071】
(付記4)
前記第2処理部は、
前記車両走行エリア上の路側情報収集装置(14)から交通に関わるセンサの情報である第2センサ情報(センサ情報IT2)を取得し、
前記第2センサ情報と前記第2処理部に振り分けられた第1センサ情報とを含む、第3センサ情報の第2の優先度を決定し、
前記第2の優先度に基づき、前記第3センサ情報の処理の順序を決定する、
ことを特徴とする付記1から3の何れかに記載の交通情報処理システム。
【0072】
上記の構成によれば、第2の優先度に基づき、第3センサ情報を優先して処理することができる。
【0073】
(付記5)
前記第2処理部は、
前記第3センサ情報からイベントを検出し、
前記イベントに基づき、前記第2の優先度を決定する、
ことを特徴とする付記4に記載の交通情報処理システム。
【0074】
上記の構成によれば、イベントに関わる第3センサ情報を優先して処理することができる。
【0075】
(付記6)
車両走行エリアにおける交通に関わるセンサの情報であるセンサ情報を処理する第1処理部と第2処理部とを備える交通情報処理システムにおける交通情報処理方法(S10)であって、
前記センサ情報の優先度を決定し、
前記優先度に基づき、前記第1処理部で処理するセンサ情報と、前記第2処理部で処理するセンサ情報とを振り分ける、
ことを特徴とする交通情報処理方法。
【0076】
上記の方法によれば、優先度に基づき、センサ情報を振り分けることで、交通情報の処理の効率化を図ることができる。
【0077】
(付記7)
車両走行エリアにおける交通に関わるセンサの情報であるセンサ情報を処理する第1処理部および第2処理部として機能する少なくとも1つのプロセッサを備える、交通情報処理システムであって、
前記プロセッサは、
前記センサ情報の優先度を決定し、
前記優先度に基づき、前記第1処理部で処理するセンサ情報と、前記第2処理部で処理するセンサ情報とを振り分ける、交通情報処理システム。
【0078】
なお、この交通情報処理システムは、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、プロセッサを第1処理部および第2処理部として機能させ、かつ、優先度の決定およびセンサ情報の振り分けを実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 交通情報処理システム
11 第1処理部
12 第2処理部
13 通信装置
14 路側情報収集装置
C1 通信車両(コネクティド・カー)
IT1、IT2 センサ情報
図1
図2
図3
図4
図5