(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109356
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ユニットハウス用の配線用基盤パネル
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20240806BHJP
H02G 3/02 20060101ALI20240806BHJP
H02G 3/08 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
E04B1/348 V
H02G3/02
H02G3/08
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014103
(22)【出願日】2023-02-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】592192907
【氏名又は名称】日建リース工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】関山 正勝
(72)【発明者】
【氏名】田中 智行
【テーマコード(参考)】
5G357
5G361
【Fターム(参考)】
5G357CA10
5G357CB02
5G357CC05
5G357CD07
5G361AA02
5G361AB12
5G361AC09
5G361AD01
(57)【要約】
【課題】より利便性に優れるユニットハウス用の配線用基盤パネルを提供すること。
【解決手段】ユニットハウスを構成する壁面パネルとして使用可能な、配線用基盤パネルであって、ユニットハウスの壁面を構成し開口部11を設けてある本体部10と、開口部11に着脱可能に構成し配線用基盤を収容可能な収容部20と、を少なくとも具備する。収容部20は本体部10から屋外側に張り出す屋外側張出部23と、本体部10から屋内側に張り出す屋内側張出部24と、を有する。屋外側張出部23の上面には屋外配線用の電源ケーブルを通すための屋外側挿通孔231を設け、屋内側張出部24の底面には屋内配線用の電源ケーブルを通すための屋内側挿通孔241を設けて、屋内外への電源ケーブルの配線を可能とし、さらに屋内の上隅に設けた配線ダクトに電源ケーブルを収納するまでの折曲回数を減らすことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットハウスを構成する壁面パネルとして使用可能な、配線用基盤パネルであって、
ユニットハウスの壁面を構成し、開口部を設けてある、本体部と、
前記開口部に着脱可能に構成し、配線用基盤を収容可能な、収容部と、を少なくとも具備し、
前記収容部は、
前記本体部から屋外側に張り出す、屋外側張出部と、
前記本体部から屋内側に張り出す、屋内側張出部と、
を有し、
前記屋外側張出部の上面に、屋外配線用の電源ケーブルを通すための、屋外側挿通孔を設け、
前記屋内側張出部の底面に、屋内配線用の電源ケーブルを通すための、屋内側挿通孔を設けたことを特徴とする、
ユニットハウス用の配線用基盤パネル。
【請求項2】
前記屋内側張出部の上方に、前記屋内側挿通孔を通った屋内配線用の電源ケーブルを隠すための、カバー部を設けてあることを特徴とする、
請求項1に記載のユニットハウス用の配線用基盤パネル。
【請求項3】
前記屋外側張出部の下方に、当該屋外側張出部を支持する支持部を設けてあることを特徴とする、
請求項1または2に記載のユニットハウス用の配線用基盤パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事のユニットハウスを構成する壁面パネルとして使用可能な、配線用基盤パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
ユニットハウスは、住宅、事務所、倉庫または店舗などに用いられる簡易的な建築物である。
一般的なユニットハウスは、規格化された支柱や壁面パネルなどの構成部材を箱状に組み立てて建築するものであり、組立作業や分解作業を短時間で実施できるため、仮設の建築物に対して利用されることが多い。
【0003】
このユニットハウス内に電力を供給するための配線工事を省力化するための手段として、以下の特許文献1には、ユニットハウスの壁パネルに予め配電盤を装着してなる、配電盤パネルが開示されている(
図5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている配電盤パネルは、以下に記載する問題のうち、少なくとも何れか1つの問題を有する。
(1)壁パネルに対し、配電盤が屋外側にのみ張り出すように設計されているため、配電盤から延びる電源ケーブルを屋内側に配線する場合に、屋外側に引き出された電源ケーブルを屋内側に戻す為の穴や、配電盤パネルの屋内側に設けた扉に電源ケーブルを通すための穴の確保が必要となる。
(2)壁パネルに対し、配電盤が屋外側にのみ張り出すように設計されているため、配電盤から屋内側へと引き込まれる電源ケーブルが、パネル正面から現れるため、当該電源ケーブルを屋内の上隅に設けた配線ダクトに収納するまで少なくとも二度折曲させる必要があり、ケーブルの破損要因になり得るほか、配線の取り回しも煩雑となりやすい。
(3)屋内側での配線時に、配電盤から配線ダクトまでの間は、電源ケーブルが露出してしまうため、意匠面で改善の余地がある。
【0006】
よって、本発明は、より利便性に優れるユニットハウス用の配線用基盤パネルの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべくなされた本願発明は、ユニットハウスを構成する壁面パネルとして使用可能な、配線用基盤パネルであって、ユニットハウスの壁面を構成し、開口部を設けてある、本体部と、前記開口部に着脱可能に構成し、配線用基盤を収容可能な、収容部と、を少なくとも具備し、前記収容部は、前記本体部から屋外側に張り出す、屋外側張出部と、前記本体部から屋内側に張り出す、屋内側張出部と、を有し、前記屋外側張出部の上面に、屋外配線用の電源ケーブルを通すための、屋外側挿通孔を設け、前記屋内側張出部の底面に、屋内配線用の電源ケーブルを通すための、屋内側挿通孔を設けたことを特徴とするものである。
また、本願発明は、前記屋内側張出部の上方に、前記屋内側挿通孔を通った屋内配線用の電源ケーブルを隠すための、カバー部を設けてもよい。
また、本願発明は、前記屋外側張出部の下方に、当該屋外側張出部を支持する支持部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を有する。
(1)配線用基盤を収容する収容部の一部を屋内側に張り出してなる屋内側張出部を設け、この屋内側張出部の上面に屋内側挿通孔を設けることにより、屋内の上隅に設けた配線ダクトに電源ケーブルを収納するまでの折曲回数を一回に減らすことができる。
(2)配線用基盤を収容する収容部の一部を屋外側に張り出してなる屋外側張出部を設け、この屋外側張出部の底面に、屋外側挿通孔を設けることにより、屋外からの雨水が、収容部の内部に浸入する恐れが低減する。
(3)屋内側張出部の上方にカバー部を設けることにより、収容部から屋内の上隅に設けた配線ダクトまでの間の電源ケーブルの配線を隠しつつ、外部の衝撃等から電源ケーブルを保護することができる。
(4)屋外側張出部の下方に支持部を設けることにより、収容部の内部に収容した配線用基盤の重量や、その他の外的要因による、収容部の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1に係る配線用基盤パネルの屋内側および屋外側の概略斜視図。
【
図2】実施例1に係る配線用基盤パネルの概略分解図。
【
図3】実施例1に係る配線用基盤パネルの概略側面図。
【
図4】実施例1に係る配線用基盤パネルの概略六面図。
【
図5】従来の配電盤パネルの形状および使用イメージを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例0011】
<1>全体構成(
図1)
本発明に係る配線用基盤パネルは、規格化された支柱や壁面パネルなどの構成部材を組み立てて建築するユニットハウスにおいて、壁面パネルの一種として、配線用基盤の収容空間を設けるために使用される部材である。
なお、本発明において「配線用基盤」とは、配電盤や分電盤などの電源配線のための基盤類を指す。
本発明に係る配線用基盤パネルは、
図1に示すように、本体部10および収容部20を少なくとも具備し、その他、必要に応じてカバー部30および支持部40を具備して構成することができる。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0012】
<2>本体部(
図1,
図2)
本体部10は、ユニットハウスの壁面を構成するための部材である。
本体部10は、ユニットハウスの壁面パネルと同一の外形を呈し、側縁に支柱や間柱との連結構造を有することで、通常の壁面パネルのように、ユニットハウスの壁面の一部を構成する部材として機能する。
図2に示すように、本体部10には、屋内外を連通するように貫通する開口部11を設けている。
【0013】
<2.1>開口部(
図2)
開口部11は、収容部20の着脱箇所に相当する部位である。
開口部11は、本体部10の屋内外を貫通するように設ける。
本発明において、本体部10上での開口部11を設ける位置は特段限定しないが、収容部20に収容する配線用基盤パネルの大きさや、配線工事を行う作業員が作業しやすい範囲で適宜設計することができる。
また、本発明において、開口部11の形状は特段限定しないが、本実施例では、開口部11を矩形形状に構成している。
また、開口部11の周囲には、後述する収容部20を本体部10にボルトで結合する際の結合孔を適宜設けている。
【0014】
<3>収容部(
図2)
収容部20は、配線用基盤を収容するための部材である。
収容部20は、内部空間を設けた箱形形状とし、屋内側に開閉可能な扉21を設けて、内部空間に収容した配線用基盤にアクセス可能とする。
また、収容部20は、本体部10の開口部11へと隙間無く嵌め込み可能な形状とする。
なお、本発明において、収容部20の形状は特段限定しないが、本実施例では、矩形形状を呈する開口部11の外形にあわせて、収容部20を直方体形状に構成している。
また、収容部20の周囲には、収容部20を所定位置で本体部10に固定するための取付部22を設けている。
【0015】
<3.1>取付部(
図2,
図3)
取付部22は、収容部20を本体部10に固定するための部位である。
本発明において、取付部22の構造および形状は特段限定しないが、本実施例では、収容部20の上面および両側面から外方に延伸させた鍔片でもって取付部22を構成している。
また、取付部22は、収容部20の奥行き方向における任意の途中位置に設けておく。当該構成により、収容部20の一部が屋外側に露出するように、収容部20を開口部11に嵌め込んだ状態で、本体部10に収容部20を固定することができる。なお、本実施例では、収容部20を屋内側から嵌め込んで固定することで、雨水が屋内に進入し難くなるよう構成している
よって、
図3に示すように、本体部10に収容部20を固定した状態において、収容部20は、本体部10から屋外側に張り出してなる屋外側張出部23と、本体部10から屋内側に張り出してなる屋内側張出部24と、に区分けすることができる。
【0016】
<3.2>屋外側張出部(
図2)
収容部20の一部に相当する屋外側張出部23には、屋外配線用の電源ケーブルを通すための屋外側挿通孔231を設ける。
この屋外側挿通孔231を介して、屋外と、収容部20に収容した配線用基盤との間での配線を可能とすることで、電線からの入電や、隣接するユニットハウスとの間への電源ケーブルの配線作業を屋外側で実施することができる。
本発明において、屋外側張出部23における屋外側挿通孔231を設ける位置や数は特段限定しないが、本実施例では、略直方体状となる屋外側張出部23の底面部分に相当する箇所に、上下方向に貫通する屋外側挿通孔231を4つ設けており、入電用および送り用として2つずつ利用することを想定している。
当該構成により、雨水などが収容部20内部に侵入することを防止している。
【0017】
<3.3>屋内側張出部(
図2)
収容部20の一部に相当する屋内側張出部24には、屋外配線用の電源ケーブルを通すための、屋内側挿通孔241を設ける。
この屋内側挿通孔241を介して、屋内と、収容部20に収容した配線用基盤との間での配線を可能とすることで、ユニットハウス内に設けた照明や空調機器への配線を実施したり、隣接するユニットハウスに対する電源ケーブルの配線作業を屋内側で実施したりすることができる。
本発明において、屋内側張出部24における屋内側挿通孔241を設ける位置や数は特段限定しないが、本実施例では、略直方体状となる屋内側張出部24の上面部分に相当する箇所に、上下方向に貫通する屋内側挿通孔241を5つ設けている。
当該構成により、ユニットハウスの上隅部に設ける配線ダクトへと電源ケーブルを配線するにあたり、屋内側挿通孔241から引き出された電源ケーブルの曲折回数を1回に抑えることができる。
【0018】
<4>カバー部(
図1(a),
図2)
カバー部30は、屋内側で、屋内側張出部24から引き出された電源ケーブルを隠すための部材である。
本発明において、支持部40の形状および構造は特段限定しないが、本実施例では、平板状の鋼材の両側縁をカバー部30の奥行きと、本体部10との取付箇所を確保するように二箇所折り曲げてL字状に形成した部材を、カバー部30としている(
図2)。
さらに、本実施例では、カバー部30の幅長や奥行き長を屋内側張出部24のそれと略同一となるよう構成することで、意匠上の統一感を得られるよう構成している(
図1(a))。
このカバー部30でもって、屋内側張出部24の上面から引き出される屋内側の電線ケーブルを覆うことにより、屋内側での電線ケーブルの露出を極力避けることができる。
【0019】
<5>支持部(
図1(b),
図3)
支持部40は、収容部20における屋外側張出部23を支持するための部材である。
支持部40は、本体部10の屋外側の面に設けて、屋外側張出部23を支持するよう構成する(
図1(b))。
本発明において、支持部40の形状および構造は特段限定しないが、本実施例では、鋼材を立体枠状に組み上げて上部に屋外側張出部23の底面を支持するよう構成したブラケットを支持部40としている(
図3)。