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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109362
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/04 20060101AFI20240806BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20240806BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01H13/04 B
H01H9/02 E
H01H13/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014113
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000230722
【氏名又は名称】NKKスイッチズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】高橋 剛文
【テーマコード(参考)】
5G052
5G206
【Fターム(参考)】
5G052AA13
5G052AA21
5G052BB01
5G052HA01
5G052HA13
5G206AS06H
5G206AS06Q
5G206AS06Z
5G206AS35H
5G206AS35Q
5G206AS35Z
5G206AS45H
5G206AS45Q
5G206AS45Z
5G206CS01H
5G206CS01Q
5G206CS01Z
5G206KS03
5G206NS04
5G206QS02
5G206RS21
5G206RS31
(57)【要約】
【課題】スイッチにおける表示を容易に変更できるようにすること。
【解決手段】押しボタンスイッチ1は、スイッチ本体部12と操作部11を備える。操作部11は、ディフューザ113とボタンカバー112を備える。ディフューザ113は、側部113Bの軸Z方向の両端に夫々突設された2つの突起部113Dと、側部113Cに配設され、ディフューザ113にかぶされたボタンカバー112をディフューザ113に係止するための爪受部113Eとを備える。ボタンカバー112は、軸受溝112Aと爪部112Bを備える。軸受溝112Aは、2つの突起部113Dの夫々に係合する。爪部112Bは、軸受溝112Aに係合された2つの突起部113Dの軸Zを中心に回転したボタンカバー112がディフューザ113を覆ったときにディフューザ113の爪受部113Eに係止される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押下操作を受付ける押下面と、前記押下面の両縁に対向して配置された第1縁部及び第2縁部とを有するディフューザと、前記ディフューザが固定されたスイッチ本体部と、前記ディフューザを覆うカバーと、を備えるスイッチであって、
前記ディフューザは、
前記第1縁部の、前記押下面の法線と垂直な方向に延伸する軸の方向の両端に夫々突設された2つの突起部と、
前記第2縁部に配設され、前記ディフューザにかぶされた前記カバーを係止するための第1係止部と、
を備え、
前記カバーは、
前記2つの突起部の夫々に係合する2つの軸受溝と、
前記軸受溝に係合された前記突起部の前記軸を中心に回転した前記カバーが前記ディフューザを覆ったときに前記ディフューザの前記第1係止部に係止される第2係止部と、
を備えるスイッチ。
【請求項2】
前記カバーが前記軸を中心として前記押下面に対して第1角度以上開ける方向に回転されると、前記2つの軸受溝の夫々が対応する前記突起部から外れる機構を有する、
請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記軸受溝は、前記突起部が嵌る幅の開口部を有する溝部と、前記突起部を前記開口部から前記溝部に迎い入れるガイド部と、前記突起部を支持する支持部とを有し、
前記機構は、
前記カバーを前記ディフューザに取り付ける場合、前記カバーを前記押下面に対して第2角度範囲に傾けた状態で移動させて前記2つの軸受溝の夫々の前記開口部を前記2つの突起部に係合させて、前記カバーを前記押下面に対して閉じる方向に回転させることで、前記2つの軸受溝の夫々の前記ガイド部に沿って移動した前記突起部が前記溝部に係合して、前記カバーが前記ディフューザを覆うと、前記支持部が対応する前記突起部を支持する支持機構と、
支持された前記カバーを前記ディフューザから取り外す場合、支持力を超える力で前記カバーが前記軸を中心として前記押下面に対して開ける方向に回転されて、回転角度が前記第1角度以上になると、前記溝部から前記突起部が外れる取外機構と、
を有する、
請求項2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記支持機構は、前記ディフューザで覆われた前記カバーを前記開ける方向に回転させないために、前記カバーの前記第2係止部と前記支持部とで前記ディフューザを挟持する、
請求項3に記載のスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に光源が配置されることで照光される、押下操作を受付ける押しボタンスイッチが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-19130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照光された(照光式)押しボタンスイッチは、暗所に配置され得る操作盤等に用いられる。具体的には例えば、照光式押しボタンスイッチは、テレビジョン放送の編集等、複数のカメラからの映像等の切り替え等を行うオペレータが用いる機器の操作盤に用いられる。
【0005】
ここで、汎用的な操作盤においては、複数のスイッチの夫々に対して、対応付けられた入出力ポート等の表示がなされているのが通常である。
【0006】
しかしながら、操作盤が暗所に配置された場合であって、照光式押しボタンスイッチがオフのときにはオペレータにとって視認性が悪いことがある。また、オペレータは、押しボタンスイッチを目視せず周囲の状況を確認しながら操作することもある。そのため、当該スイッチの形状に応じて異なるタッチ感により表示することが求められる。
【0007】
また例えば、スイッチに付される文字列は、オペレータにとって理解しやすい表示がなされるのが好適である。具体的には例えば、「全体カメラ」、「Aさんカメラ」等、そのボタンが押下操作された際に実現される機能等が表示されることで、オペレータの直観的な操作を行うことが実現される。更に言えば、このような文字列はオペレータ毎や番組毎に異なるのが通常である。
そこで、オペレータは、オペレータ毎や番組毎に、文字列を記入したテープ等をスイッチの上部や近傍に付していた。このようなテープ等の貼替作業はたいへん手間のかかるものであった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、押しボタンの表示を容易に変更することができるスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るスイッチは、
押下操作を受付ける押下面と、前記押下面の両端に対向して配置された第1縁部と第2縁部とを有するディフューザと、前記ディフューザが取り付けられたスイッチ本体部と、前記ディフューザを覆うカバーと、を備えるスイッチであって、
前記ディフューザは、前記第1縁部の、前記押下面の法線と垂直な方向に延伸する軸方向の両端に夫々突設された2つの突起部と、前記第2縁部に配設され、前記ディフューザにかぶされた前記カバーを前記ディフューザに係止するための第1係止部と、を備え、
前記カバーは、前記2つの突起部の夫々に係合する2つの軸受溝と、前記軸受溝に係合された前記突起部の前記軸を中心に回転した前記カバーが前記ディフューザを覆ったときに前記ディフューザの前記第1係止部に係止される第2係止部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、押しボタンの表示を容易に変更することができるスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のスイッチの一実施形態に係る押しボタンスイッチの分解斜視図である。
図2図1の押しボタンスイッチの一部の構成を示す右側面図である。
図3図1の押しボタンスイッチの操作部の正面図である。
図4図1の押しボタンスイッチの操作部の背面図である。
図5】押しボタンスイッチ1のカバー表面の形状のバリエーションを示す図である。
図6】押しボタンスイッチ1の動作を示す図である。
図7図1に示した押しボタンスイッチのボタンカバーとディフューザとの着脱構造の他の実施形態(他の例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のスイッチの一実施形態に係る押しボタンスイッチについて、図面を用いて説明する。即ち、以下、本発明のスイッチは、押下操作を受付けることにより電気回路の開閉を切り替える押しボタンスイッチであるものとして説明する。
図1は、本発明のスイッチの一実施形態に係る押しボタンスイッチの分解斜視図である。
図2は、図1の押しボタンスイッチの操作部の右側面図である。
図3は、図1の押しボタンスイッチの操作部の正面図である。
図4は、図1の押しボタンスイッチの操作部の背面図である。
【0013】
図1乃至図4に示すように、押しボタンスイッチ1は、操作部11と、スイッチ本体部12とを備える。
操作部11は、ディフューザ113とボタンカバー112とを有する。
ボタンカバー112は、ディフューザ113を覆うカバーであり、例えば透明又は半透明な樹脂で形成されている。
ディフューザ113は、スイッチ本体部12に着脱自在に取り付けられている。
ディフューザ113は、押下操作を受付ける押下面113Aと、押下面113Aの両縁に対向して配置された側部113B(第1縁部)及び側部113C(第2縁部)とを有する。
【0014】
以下、押しボタンスイッチ1の押下操作が行われる軸を「軸z」とする。また、ユーザ(例えば操作盤等の操作者であるオペレータ等)が押下操作をする方向を「軸z負方向」と呼び、その逆を「軸z正方向」と呼ぶ。
即ち、押しボタンスイッチ1は、ユーザにより軸z負方向に押圧され、ユーザが押圧を解くことにより軸z正方向に戻ることで押下操作を受付けると共に、再度の押下操作を受付可能な状態となる。
【0015】
「軸x」及び「軸y」の夫々は、軸zと垂直な面(以下、「x-y平面」と呼ぶ)において、互いに夫々直行するものとする。x-y平面において押しボタンスイッチ1の中心を通過する軸であって、x-y平面と垂直、即ち、軸zと平行な軸を、「軸az」と呼ぶ。
【0016】
また、詳しくは後述するが、操作部11は、例えば図1の左右の突起部113Dを結ぶ軸Yを回転軸として、ボタンカバー112を上下に回転させることで開閉することができる。
このとき、ボタンカバー112の係止機構を有する側(正面)の方向を「軸x正方向」と呼び、その逆であってボタンカバー112の回転軸である軸Yを有する側(背面)の方向を「軸x負方向」と呼ぶ。また、3次元直交座標系が右手系となるように「y軸」を定め、夫々の方向を「y正の方向」及び「y負の方向」と呼ぶ。
また、軸azから離れる方向を「外側」と呼び、その逆を「内側」と適宜呼ぶ。ボタンカバー112が「外側」又は「内側」に回転する方向を「周方向」と呼ぶ場合もある。
【0017】
続いて、押しボタンスイッチ1の各構成要素について詳しく説明する。
操作部11は、スイッチの操作を行うユーザから、押下操作を受付ける。具体的には例えば、ユーザ(図示せず)は、スイッチの開閉を切り替えるべく、操作部11を軸z負方向に押圧し、その押圧を解くことにより押下操作する。
操作部11は、ボタンカバー112と、ディフューザ113とを含むように構成されている。
【0018】
ディフューザ113は、孔部113Fを有する。孔部113Fには、スイッチ本体部12の可動部12Cの上部に配設された爪部12Aが係止される。これにより、ディフューザ113は、スイッチ本体部12の可動部12Cに固定される。即ち、操作部11は、スイッチ本体部12の可動部12Cと一体となり、ユーザによる押下操作に応じて軸Z方向(図面上は上下方向)に移動可能にされる。
【0019】
ディフューザ113は、軸z正方向から見て矩形の押下面113Aを有する。ディフューザ113の矩形の押下面113Aの4つの縁のうち対向する2つの縁には、ボタンカバー112をディフューザ113に係止するための機構の一部が設けられている。
ディフューザ113の例えば背面側の縁としての側部113Bには、2つの突起部113Dが突設されている。正面側の縁としての側部113Cには、爪受部113E(第1係止部)が配設されている。
突起部113Dは、側部113Bの、押下面113Aの法線と垂直な方向に延伸する軸Z方向の両端に夫々突設されている。
爪受部113Eは、ディフューザ113にかぶされたボタンカバー112をディフューザ113に固定するためのものであり、後述するボタンカバー112の爪部112Bが係止される。
【0020】
ディフューザ113(中間部材)は、後述するスイッチ本体部12が有する光源からの光を拡散し、ユーザに個々のボタンの位置を明示する。
即ち、ディフューザ113は、スイッチ本体部12が有する光源から軸z正方向に照射された光を、軸z正方向に進むほど軸azから離れるように拡散する。
詳しくは、光源からの光がボタンカバー112に到達することで拡散される。これにより、押しボタンスイッチ1の軸Z正方向の操作部11が照光される。
【0021】
ボタンカバー112は、例えば半透明又は透明な樹脂製のものであって、カバー表面112Cを有する。
カバー表面112Cは、軸z正方向から見て矩形である。カバー表面112Cの4つの縁の部分は、およそ45度の面取りがなされ、カバー表面112Cの中央には、ユーザの指が当たる部分に凹み112Dが設けられている。
【0022】
ボタンカバー112は、上記機構の一部が設けられており、ディフューザ113に対して着脱自在に固定されている。
ボタンカバー112の例えば正面側の縁には、爪部112B(第2係止部)が設けられ、背面側の縁には軸受溝112Aが設けられている。
軸受溝112Aは、ディフューザ113の2つの突起部113Dの夫々に係合する。爪部112Bは、軸受溝112Aに係合された突起部113Dの軸Zを中心に回転したボタンカバー112がディフューザ113を覆ったときにディフューザ113の爪受部113Eに係止される。
軸受溝112Aは、図2に示すように、ディフューザ113の2つの突起部113Dが嵌る幅の開口部を有する溝部132と、突起部113Dを開口部から溝部132に迎い入れるガイド部131と、突起部113Dを支持する引掛部133(支持部)とを有する。
引掛部133は、溝部132に嵌った突起部113Dが開口部から外れないように、対向する爪部112Bとの間隔Wで挟持することで支持するものである。
【0023】
ユーザは、ボタンカバー112を軸z正方向から軸z負方向へ押圧する、つまりカバー表面112Cを上から押すことで、押下操作を行うことができる。この際、ユーザは、カバー表面112Cの形状に応じて異なるタッチ感を得ることができる。
なお、カバー表面112Cに対向する面、つまりカバー裏面側に表示用のシートを挟んでもよい。シートに文字を印字しておくことで、ユーザは、どういったボタンかを視認できる。
【0024】
ここで、ボタンカバー112の支持機構と取外機構について説明する。
ボタンカバー112は、軸受溝112Aを有する。また、ディフューザ113は、突起部113Dを有する。
ボタンカバー112の軸受溝112Aは、ディフューザ113の突起部113Dと係合する。これにより、ボタンカバー112は、ボタンカバー112の軸受溝112A及びディフューザ113の左右の突起部113Dを結ぶ軸Yに対して回転可能となる。
【0025】
また、ボタンカバー112は、爪部112Bを有する。また、ディフューザ113は、爪受部113Eを有する。
【0026】
ボタンカバー112がディフューザ113を覆った状態において、ボタンカバー112の爪部112Bがディフューザ113の爪受部113Eに掛かり、ボタンカバー112がディフューザ113に係止され、固定される。
支持機構は、ディフューザ113で覆われたボタンカバー112を開ける方向に回転させないために、ボタンカバー112の爪部112Bと引掛部133(図2参照)とでディフューザ113を挟持する。
【0027】
ここで、ボタンカバー112が外れない仕組みについて説明する。
実施形態の支持構造では、ボタンカバー112は、抜ける方向ではなく、回転方向の力を抑えることで、ボタンカバー112が容易に外れない構造となっている。
操作部11の正面側に設けた爪部112Bと爪受部113Eとの係止構造により、ボタンカバー112が回転方向の力で外れることを防止している。
また、ボタンカバー112とディフューザ113との前後のガタつきは、ボタンカバー112の内寸とディフューザ113の外寸との寸法差で生じるが、ボタンカバー112前面の爪部112Bを僅に内側に膨らませて、ボタンカバー112の背面の溝の形状とでその間隔Wにディフューザ113を挟み込むことで、ボタンカバー112がボタンカバー112から外れることを抑えている。また、正面側の爪部112Bを軸に回転して外れる力は、突起部113D(軸)とボタンカバー112の爪部112Bのテーパーで抑え込むようにしている。
このような挟持構造とすることで、ボタンカバー112の一端を、着脱性を考慮した軸受溝112Aのような形状にした場合でもボタンカバー112が使用中に不用意に外れることなくボタンカバー112をディフューザ113に支持する機構として機能させることができる。
【0028】
換言すると、ボタンカバー112の爪部112Bがディフューザ113の爪受部113Eに掛かった時点で、ボタンカバー112は、ディフューザ113と一体となった状態が維持される。
これにより、押しボタンスイッチ1の使用する際に、ディフューザ113と一体となったボタンカバー112が操作可能になる。
【0029】
ここで、ボタンカバー112の正面側の縁を回転方向へ押し上げることでボタンカバー112が簡単に外れる仕組みについて説明する。
ボタンカバー112の正面側の縁を指で回転方向に押し上げることでボタンカバー112の爪部112Bが爪受部113Eから外れる。
これにより、ボタンカバー112を支持するのが、ディフューザ113の突起部113Dだけになる。
そのまま、ボタンカバー112を開くと、ボタンカバー112の背面の引掛部133がディフューザ113の背面に当たり、それがテコとなってディフューザ113の突起部113Dからボタンカバー112の軸受溝112Aが外れる。
つまり、ボタンカバー112の回転軸が、ディフューザ113の突起部113Dからディフューザ113の背面(後部の壁面)に移ることで、ボタンカバー112がディフューザ113の突起部113Dから外れる。
【0030】
スイッチ本体部12は、図示はしないが、電気回路を開閉する接点モジュールを有する。即ち、スイッチ本体部12は、操作部11と可動部12Cとが一体となり、ユーザの操作に応じて上下に移動して接点モジュールを開閉する。
【0031】
ここで、スイッチ本体部12は、ユーザにより押下操作がなされると、接点モジュールが動作する。これにより、スイッチ本体部12の接点端子12B等に接続された電気回路が開閉されることで、電気回路の開閉の切り替え等が行われる。
【0032】
次に、図5を参照して、押しボタンスイッチ1のカバー表面の形状のバリエーションについて説明する。
図5は、押しボタンスイッチ1のカバー表面の形状のバリエーションを示す図である。
図5(A)に示すボタンカバー112のカバー表面112Cの例は、押しボタンスイッチ1のカバー表面の広い範囲を円形に凹ませた円形凹み141とし、この円形凹み141の中心付近の部分をドーム状に盛り上がらせた凸部142としたものである。
図5(B)に示すボタンカバー112のカバー表面112Cの例は、押しボタンスイッチ1のカバー表面112Cの中央部付近を円形に凹ませた円形凹み143とし、円形凹み141の中心部をドーム状に盛り上がらせた凸部142としたものである。
図5(C)に示すボタンカバー112のカバー表面112Cの例は、押しボタンスイッチ1のカバー表面112Cを凹凸のない平坦面144としたものである。
このようにカバー表面112Cが様々な形状のボタンカバー112に容易に交換可能にすることで、ユーザの好みに応じたタッチ感が得られる押しボタンスイッチ1を提供することができる。
【0033】
次に、図6を参照して、押しボタンスイッチ1の動作を説明する。
図6は、押しボタンスイッチ1の動作を示す図である。
まず、ボタンカバー112の取付動作を説明する。
ボタンカバー112をディフューザ113に取り付ける取付方法として、図6(A)に示す第1取付パターンと、図6(B)に示す第2取付パターンがある。
【0034】
例えば第1取付パターンの方法で取り付ける場合は、図6(A)に示すように、ボタンカバー112を角度θ1(例えば60度)くらいに傾けた状態で、ボタンカバー112の2つの軸受溝112Aの開口部を2つの突起部113Dに合わせて、下方に押し込むことで、軸受溝112Aに突起部113Dが入り込み、そのままボタンカバー112を閉じると、ボタンカバー112がディフューザ113を覆った図6(C)の状態になる。
【0035】
詳細に説明すると、第1取付パターンの場合、ボタンカバー112の軸受溝112Aの開口部は広く設定されており、例えば図6(A)に示すように、ディフューザ113の押下面113Aに対してボタンカバー112を所定の角度θ1、例えば60度程度に傾けて、ボタンカバー112の軸受溝112Aの開口部を突起部113Dに合わせて、上方からボタンカバー112を押し込むことで、開口部から突起部113Dが軸受溝112A内に容易に入り込み、フックされる。
【0036】
例えば第2取付パターンの方法で取り付ける場合は、図6(B)に示すように、ボタンカバー112を斜め20度くらいに傾けた状態で、ディフューザ113の上を矢印Pの方向へスライドさせて、ボタンカバー112の2つの軸受溝112Aの開口部を2つの突起部113Dに合わせる。
【0037】
そして、図6(C)に示すように、ボタンカバー112をディフューザ113の押下面113Aに対して閉じる方向Qに回転させると、軸受溝112Aの夫々のガイド部131(図2参照)に沿って突起部113Dが軸受溝112Aの溝の中に入り込んで(係合して)、ボタンカバー112が閉じてディフューザ113を覆うようになる。
【0038】
詳細に説明すると、第2取付パターンの場合、図6(B)に示すように、ディフューザ113の押下面113Aに対してボタンカバー112を所定の角度θ1、例えば15度程度に傾けて、ボタンカバー112の背面下端をディフューザ113の手前から滑らせるように送り込み、スライドさせることで、軸受溝112Aのガイド部131に突起部113Dが当たり、そのまま押し込むと、突起部113Dがガイド部131に沿って開口部から軸受溝112A内へパチンと嵌り、図6(C)のようにフックされる。
即ち、上記第1取付パターン又は第2取付パターンのいずれかの方法でボタンカバー112の軸受溝112Aに、ディフューザ113の突起部113Dを嵌め込んでフックさせ、ボタンカバー112でディフューザ113を覆うことができる。
【0039】
ボタンカバー112がディフューザ113を覆うと、爪部112Bが爪受部113Eに係止されて、図2に示した2つの爪部112Bと2つの引掛部133との間隔Wに働く挟持力によりボタンカバー112がディフューザ113を挟持してディフューザ113に固定される。
即ち、図2に示した間隔Wに働くボタンカバー112の挟持力によりディフューザ113が挟持されて、ボタンカバー112がディフューザ113に固定される。
【0040】
続いて、ボタンカバー112の取外動作を説明する。
ディフューザ113により支持されたボタンカバー112をディフューザ113から取り外す場合、図6(D)に示すように、上記の支持力を超える力でボタンカバー112の正面の縁部を押し上げると、ボタンカバー112は、軸Zを中心として押下面113Aに対して開ける方向Rに回転する。
回転角度が角度θ2以上(第1角度以上(例えば80度以上等))になると(図6(E))、溝部132から突起部113Dが外れ、ボタンカバー112を上方に抜くことができ、ディフューザ113から取り外すことができる。
【0041】
詳細に説明すると、ボタンカバー112の正面の縁部を押し上げると、ボタンカバー112の爪部112Bが爪受部113Eから外れて、ボタンカバー112が軸Zを中心として回転し、突起部113Dを60度程度まで回転させると、ボタンカバー112の背面がディフューザ113の背面に当たり、さらにボタンカバー112を回転させると、回転軸がディフューザ113の背面に移り、背面を支点としてボタンカバー112がテコの原理で押し上げられるので、80度乃至90度程度まで回転したときに、ボタンカバー112の軸受溝112Aがディフューザ113の突起部113Dから外れてボタンカバー112をディフューザ113から取り外すことができる。
【0042】
次に、図7を参照して、押しボタンスイッチの変形例について説明する。
図7は、図1に示した押しボタンスイッチのボタンカバーとディフューザとの着脱構造の他の実施形態(他の例)を示す図である。
図7に示すように、押しボタンスイッチの操作部は、カバー152と、ディフューザ153と、で構成される。
カバー152は、カバー全体が曲線的なフックの形状をしており、フックの形状の一端には、ディフューザ153の側部153Bに突設されている突起部154に係合する係合部152Aが設けられている。またフックの形状の他端には、ディフューザ153の側部153Cの下端に係合する係合部152Bが設けられている。
ディフューザ153は、側部153B、153Cを有しており、側部153Bには、突起部154が突設されている。側部153Cの下端は、鋭角に尖った形状とされ、カバー152が閉じたときに、カバー152の係合部152Bに係合される。
このように形状のカバー152とディフューザ153で構成される操作部の場合、ディフューザ153の上からカバー152の係合部152Aを、ディフューザ153の突起部154に引っ掛けて、カバー152を上から押し込むようにして、カバー152の係合部152Bを、ディフューザ153の側部153Cの下端に引っ掛けることで、カバー152をディフューザ153に一体化して固定することができる。
また、カバー152を取り外すときは、カバー152の係合部152Bを外側に開くように力を加えることで、係合部152Bが側部153Cの下端から外れて、矢印Sの方向に回転し、カバー152を外すことができる。
【0043】
図7の実施形態の場合、カバー152の上部の盛り上がった部分とディフューザ153の上面うち露出した部位にユーザの指が触れることになるため、カバー152の上部の盛り上がった部分の形状を変えたものにカバー152を交換することで、ユーザのタッチ感を変えることができる。
この実施形態の場合も上述した実施形態と同様に、カバー152の交換を容易に実施することができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。また、本発明に係る要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を施してもよい。
【0045】
例えば、上述の実施形態の説明において、本発明のスイッチは、押下操作を受付けることにより電気回路の開閉を切り替える押しボタンスイッチであるものとして説明したが、押下操作以外を受付ける他のスイッチであってもよい。即ち例えば、回転操作やスライド操作を受付けるボリュームスイッチ等に本発明を適用することができる。即ち、開閉操作は、押下操作以外により、行われてもよく、開と閉との2値のみならず、連続的な値をとるものが採用されてもよい。
例えば、ボリュームスイッチに本発明が適用される場合、スイッチ本体部12は、接点の開閉のみならず、接点間の抵抗値の変化等を発生させれば足りる。
【0046】
また、上述の実施形態では、ディフューザ113に爪受部113Eを設け、ボタンカバー112に爪部112Bを設けることで係止構造を構成したが、この例に限らず、爪受部113Eと爪部112Bとの逆にしてもよく、他の形状の係止構造としてもよい。
【0047】
上述の実施形態では、ディフューザ113に突起部113Dを設け、ボタンカバー112に軸受溝112Aを設けることで着脱可能な支持構造を構成したが、この例に限らず、突起部113Dと軸受溝112Aとの配置を逆にしてもよく、他の支持形態の支持構造としてもよい。
【0048】
以上まとめると、本発明が適用されるスイッチは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用されるスイッチ(例えば図1の押しボタンスイッチ1等)は、
押下操作を受付ける押下面(例えば図1の押下面113A等)と、前記押下面の両縁に対向して配置された第1縁部(例えば図1の側部113B等)及び第2縁部(例えば図1の側部113C等)とを有するディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)と、前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)が(着脱自在)に取り付けられたスイッチ本体部(例えば図1のスイッチ本体部12等)と、前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)を覆うカバー(例えば図1のボタンカバー112等)と、を備えるスイッチであって、
前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)は、
前記第1縁部(例えば図1の側部113B等)の、前記押下面(例えば図1の押下面113A等)の法線と垂直な方向に延伸する軸(例えば図1の軸Z等)の方向の両端に夫々突設された2つの突起部(例えば図1の2つの突起部113D等)と、前記第2縁部(例えば図1の2つの側部113C等)に配設され、前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)にかぶされた前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)を前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)に係止するための第1係止部(例えば図1の爪受部113E等)と、を備え、
前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)は、
前記2つの突起部(例えば図1の2つの突起部113D等)の夫々に係合する2つの軸受溝(例えば図1の軸受溝112A等)と、前記軸受溝(例えば図1の軸受溝112A等)に係合された前記突起部(例えば図1の突起部113D等)の前記軸(例えば図1の軸Z等)を中心に回転した前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)が前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)を覆ったときに前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)の前記第1係止部(例えば図1の爪受部113E等)に係止される第2係止部(例えば図1の爪部112B等)と、
を備える。
このようにスイッチ(例えば図1の押しボタンスイッチ1等)を構成することで、カバー(例えば図1のボタンカバー112等)が簡単に着脱することができるようになるので、カバーを用途(オペレータ毎や番組毎等)に応じたカバーに換装することで、スイッチの表示を容易に変更することができるようになる。
【0049】
前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)が、前記軸(例えば図1の軸Z等)を中心として前記押下面(例えば図1の押下面113A等)に対して第1角度以上(例えば80度以上等)開ける方向に回転されると、前記2つの前記軸受溝(例えば図1の軸受溝112A等)の夫々が対応する前記突起部(例えば図1の突起部113D等)から外れる機構を有する。
これにより、カバー(例えば図1のボタンカバー112等)を90度付近まで開いて初めてカバー(例えば図1のボタンカバー112等)が外れるので、カバー(例えば図1のボタンカバー112等)を開放していると途中で外れたりすることなく、カバー(例えば図1のボタンカバー112等)を安全に取り外すことができる。また、カバー(例えば図1のボタンカバー112等)が不用意に脱落したりすることがなくなる。
【0050】
前記軸受溝(例えば図1の軸受溝112A等)は、前記突起部(例えば図1の2つの突起部113D等)が嵌る幅の開口部を有する溝部(例えば図2の溝部132等)と、前記突起部(例えば図1の突起部113D等)を前記開口部から前記溝部(例えば図2の溝部132等)に迎い入れるガイド部(例えば図2のガイド部131等)と、前記突起部(例えば図1の突起部113D等)を支持する支持部(例えば図2の引掛部133等)とを有し、
前記機構は、
前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)を前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)に取り付ける場合、前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)を前記押下面(例えば図1の押下面113A等)に対して第2角度範囲(例えば15度乃至25度程度、又は45度乃至70度程度等)に傾けた状態で(図6(A))又は(図6(B))前記2つの軸受溝(例えば図1の2つの軸受溝112A等)の夫々の前記開口部を前記2つの突起部(例えば図1の突起部113D等)に係合させて、前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)を前記押下面(例えば図1の押下面113A等)に対して閉じる方向に回転させると(図6(C))、前記2つの前記軸受溝(例えば図1の軸受溝112A等)の夫々の前記ガイド部(例えばガイド部131等)に沿って移動した前記突起部(例えば図1の2つの突起部113D等)が前記溝部(例えば図2の溝部132等)に係合し、前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)が前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)を覆うと(図6(C))、前記支持部(例えば図2の引掛部133等)が対応する前記突起部(例えば図1の突起部113D等)を支持する支持機構と、
支持された前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)を前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)から取り外す場合、支持力を超える力で前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)が前記軸(例えば図1の軸Z等)を中心として前記押下面(例えば図1の押下面113A等)に対して開ける方向(例えば図6(D)の方向R)に回転されて、回転角度が前記第1角度以上(例えば図6(E)のθ=80度以上等)になると(図6(E))、前記溝部(例えば図2の溝部132等)から前記突起部(例えば図1の突起部113D等)が外れる取外機構と、
を有する。
このように、カバーをディフューザに取り付けたときは、ディフューザの上でカバーを移動させてカバーの軸受溝をディフューザの突起部にあてがい、カバーを閉めるように回転させると、軸受溝に突起部が係合してカバーがディフューザを覆った状態で支持される。
また、カバーをディフューザから取り外すときは、カバーを開ける方向に回転して、回転角度が第1角度以上になると、溝部から突起部が外れるので、簡単な操作でカバーをディフューザから着脱することができる。この結果、カバーを用途(オペレータ毎や番組毎等)に応じたカバーに容易に換装することができるので、スイッチの表示を容易に変更することができるようになる。
【0051】
前記支持機構は、前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)で覆われた前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)を前記開ける方向に回転させないために、前記カバー(例えば図1のボタンカバー112等)の前記第2係止部(例えば図1の爪部112B)と前記支持部(例えば図2の引掛部133等)とで前記ディフューザ(例えば図1のディフューザ113等)を挟持する。
このような挟持構造とすることで、カバーの一端を、着脱性を考慮した溝のような形状にした場合でもカバーが使用中に不用意に外れることなくカバーをディフューザに支持する機構として機能させることができる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・押しボタンスイッチ、11・・・操作部、12・・・スイッチ本体部、12A・・・爪部、12B・・・接点端子、112・・・ボタンカバー、112A・・・軸受溝、112B・・・爪部、112C・・・カバー表面、112D・・・凹み、113・・・ディフューザ、113A・・・押下面、113B、113C・・・側部、113D・・・突起部、113E・・・爪受部、113F・・・孔部、141・・・円形凹み、142・・・凸部、144・・・平坦面、152・・・カバー、153・・・ディフューザ、154・・・突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7